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【梟宵堂】一夜

都槻・綾 2019年6月3日


『宵にのみ開くという、手紙屋をご存知?』

樹板の梟が風に揺れる、
看板娘の人形がゆるりと首を傾げる。

どちらも「ほぅ、」と
吐息のような声を上げたとか、何とか。

あな珍しき、客の訪い。




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都槻・綾 2019年6月3日
(銀の砂子散る群青の帳が下りた頃。『宵にのみ開くという、手紙屋をご存知?』――何処ぞに構える店へ訪う為のまじないだとか、或いは、引っ切り無しに出歩いては商売する気が一向に窺えない店主を憂えた看板の梟が、看板娘の人形が、風の噂と流した謳い文句だとか。真偽のほどは定かではないけれど、)
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都槻・綾 2019年6月3日
――おや、今宵は賑やかですねぇ。見知った花のかんばせ二つに、華やかな君。ようこそ、いらっしゃいませ。梟宵堂へ。
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都槻・綾 2019年6月3日
(薄紅の貴女からの挨拶へ、少女人形が優雅な一礼を返す。)夏の風情の便箋ですね。露草、柳に燕、様々御座います。どうぞ自由にご覧下さいな。案内が必要でしたら、私も共に。https://tw6.jp/character/status/f11024
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都槻・綾 2019年6月3日
(聞き慣れた、然れど聞き飽きぬ、凛と響く声音は耳に心地よい。手土産へ瞳を瞬き、次いで破願した。)えぇ、ご覧の通り。息災ですとも。詞波さんもお元気そうで何より。其方、何を持ち寄られたのです?https://tw6.jp/character/status/f09892
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都槻・綾 2019年6月3日
(花めく女性達の後ろから、飄々と顔を覗かせた青年もまた、華を纏うかの風情と彩り。気取らぬ彼の口調と様子へふくふく笑みを向け、)えぇ、どうぞ。お入りくださいな。いずれ一葉をお連れ頂けましたら、看板の梟も己の働きっぷりに満足することでしょう。https://tw6.jp/character/status/f04128
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都槻・綾 2019年6月3日
私は店主の都槻です。都槻、綾。此方の人形は縫。以後お見知りおきを。(名乗りは自由に、此のひと時の袖振り合いも続く縁となるなら嬉しい限り、と笑み添えて。)
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ロカジ・ミナイ 2019年6月4日
どーも、遠慮なく邪魔するよ。……っとと、これはこれはご丁寧に。僕はロカジと言います。綾の旦那に縫の嬢ちゃん、宜しくねぇ。(牡丹を咲かせた女性の方へも会釈しながら)おや、詞波じゃないの。これは偶然。(知った後ろ姿を見つけてヒラヒラと手を振る)
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都槻・綾 2019年6月4日
ロカジさんですね、(「宜しくお願い致します」と、人形と共に一礼。)おや、詞波さんとお知り合いでしたか。仕事上がりに立ち寄られたとのことでしたけれど、お二人は仕事繋がり?(勘定台の奥、畳敷きの間に皆を招いて茶を淹れる。ふくよかな香りが広がった。)
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境・花世 2019年6月5日
綾が店主らしいところ、実は初めて見た気がするなあ。(縫と顔を見合わせて、聞こえるほどのひそひそ声で笑っている)それに――他のお客さんと行き会うのも初めてだ。わたしは花世っていうよ。ロカジ、詞波も、どうぞよろしく。
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葦野・詞波 2019年6月5日
何、この辺りでは洋菓子に事欠くと思ってな。好みに合うかは分からないが、カステラというやつだ。(下げた袋を押し付けるようにして)偶然にしては出来の良い偶然だな、ロカジ。――いいや、仕事ではないが。最近会った酒飲み相手といったところだ。――ふむ、しかし。綾も中々隅に置けないな。いや失礼、詞波という。花世は良しなに。
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ロカジ・ミナイ 2019年6月7日
花世、花世ね、どうぞ宜しく。そうそう、詞波は酒飲み相手でね、(こいつはどーもと、遠慮なく畳に上がって湯呑みに手を伸ばす)見たところ、皆さん揃って大人かねぇ、綾や花世も酒はいかれる口かい?
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都槻・綾 2019年6月7日
――酒! えぇ、えぇ、嗜みますとも。カステラも肴になりそうですねぇ。(ふぅわりと、酒精の馥郁たる芳香が咲くが如くの笑みを浮かべた。たった今提供した茶がほんの少し悔やまれる、とは胸の裡。菓子を遠慮なく受け取り、皿に乗せて皆へと配りつつ、今度は茶目っ気を含んだ眼差しで、)――あぁ、ふふ。誤解は光栄ですが私は分不相応でしょう。むしろ隅に置いておく訳には行かぬ絢爛さですからね、百花の王とは、正に。
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都槻・綾 2019年6月7日
(皆が茶を乾したなら次は此れ、と、いそいそ棚の隠しから酒甕を引っ張り出したところで、訪いの声を聞く。提灯が柔らに揺らめいていたから、あかりの少ない店内に、水面のようにゆらりゆらりひかりが揺蕩った。)いらっしゃいませ。ようこそ梟宵堂へ。今宵は誠に盛況ですねぇ。お得意様を得るには絶好の機会でしょうか。どうぞご贔屓に、なんて、ふふ。https://tw6.jp/character/status/f10471
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境・花世 2019年6月7日
わたしがエンパイアで暮らす理由のひとつに、美酒の入手しやすさがあるくらいには好きだよ。これは皆で飲むしかない。(たまご色した菓子を遠慮なくひとくち。おいしい、と頬を緩ませ) ……? 真ん中に置いて眺めるなら、綾のほうがきれいだと思うけど。確かに隅っこにおいておくのはもったいないもんね?(首を傾げながらもぐもぐしている)
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境・花世 2019年6月7日
ほんとう、今日はずいぶん千客万来だ。雪が降らないかな?(どことはなしに見覚えのある顔に笑いかけ、)確かUDCでもきみと逢ったね。わたしは花世、どうぞよろしく。
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華折・黒羽 2019年6月8日
(店内へと足を踏み入れれば提灯の灯りをそうっと吹き消し視線を上げる。被ったままでは失礼だろうかと拙い手の運びでフードを脱げば緊張でか僅かに下がる黒の獣耳。店主であろう男の迎え入れる言葉にひとつ、小さく頭を下げて)…失礼します、受け入れに感謝を。…邪魔を、してしまいましたか(持ったままの甕を見れば酒の類だろうかと。酒の席を設けるところであったなら飲めない自分が居るのは些か気まずい気がして。思案する中でぼんやりと覚えのある顔に声をかけられればこちらにも一礼を)黒羽、です。…宜しくお願いします。
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ロカジ・ミナイ 2019年6月9日
おお、おお、僕もね、酒があるからエンパイアから出られないんだよねぇ。(カステラにも舌鼓を打ちつつ、チラッと覗いた酒甕に身を乗り出したところ)……ん?おや、新しいお客さんかい?どーもどーも、邪魔だなんてとんでもないよ。僕はロカジといってね、今さっき来たばかりさ。さぁさこっちへいらっしゃいな。(気さくに手招く)
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都槻・綾 2019年6月9日
えぇ、ロカジさんの仰る通り。邪魔どころかむしろ大歓迎ですよ。千客万来、此の店にも其の言葉を唱える日が来ようとは。青天の霹靂で本当に雪が――『あめ』が降るかもしれません、なんて、(手招く様子に重ね、ふわりと笑みを咲かせた。『あめ』の声に合わせて皆が坐す中央へと色取り取りの飴玉をころころ降らせたのは、ほんの茶目っ気。)
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都槻・綾 2019年6月9日
(自らの名を告げてのち、)――黒羽さん、ですね。今度はかよさんのお知り合い。ロカジさんと詞波さん、かよさんと黒羽さん。皆々様の御縁が更に紡がれていく場になったようで、何だか嬉しい気持ちです。
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都槻・綾 2019年6月9日
(盃に追加して新たな茶器を準備しようと片膝を立てたところで、雅やかな香りを聞く。おや、と視線を上げれば、麗しき襲色目に瞳を奪われた。思わず、傍らに置いていた書と絢爛な女性とを交互に見詰める。)――やぁ、絵巻物から抜け出して来たかのような姫君ですね。いらっしゃいませ。偶然の足の運びとは、何と素敵な天の配剤。https://tw6.jp/character/status/f00347
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紫丿宮・馨子 2019年6月10日
(するり、と滑るような足運びで、香りと共に店内へ)通りかかったのは偶然にございますが、見過ごせない「香り」がいたしましたので、こちらへの訪いを決めたのは、わたくしの意志にございますれば。こうして迎えていただけることを感謝いたします(身についた優雅な所作で礼を示せば、衣に焚きしめた香りが揺れて)……わたくしは馨子、紫ノ宮馨子にございます。どうぞよしなに(集った皆様の顔を確認すれば、見知った顔も見つけた様子)
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ロカジ・ミナイ 2019年6月10日
おや、今日の天気はずいぶんとイイモノが振ってきた様だね。(転がった飴を一つ引き寄せると、ちょいちょいと指先で遊んで)……ん?(声が飛び交うより前に、漂ってきた芳香にスンと鼻が反応した)おお、これはこれは、……正に絵巻物の姫君の様だ。(パチクリと瞬いた後、ため息と一緒に顔を綻ばせて丁寧にお辞儀をする)どーも、僕はロカジ。よろしくねぇ。(めちゃめちゃいい匂いがするよ、と誰にともなく呟き)
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葦野・詞波 2019年6月11日
おや、千客万来だな。店が繁盛するのは喜ばしいことだ。といっても綾は商魂逞しいのかそうでないのかよく分からないな。――黒羽に馨子か、それに一部は知り合い同士ときた。世間は狭いものだな。この調子では他にも知り合いが常連で来ていても驚けそうにないな。(飴玉を一つ見定めるようにして見)失礼、詞波という。よろしく頼む。
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都槻・綾 2019年6月11日
見過ごせない「香り」とは正に貴女自身の事かと思いますけれど、此の場に馨子さんの足を留めるものがあったのなら、嬉しい限りですねぇ。私は店主の都槻です、名は綾、と。皆様もお好きにお呼び下さいな。(居住まいを正して改めての一礼後、「失礼、」と悪戯に笑って降らせたばかりの「あめ」の雫を一粒、口中に転がした。あまい、蜂蜜の。)千客万来、そして千紫万紅ですね。新たな茶を淹れましょう。酒精をお好みなら、勿論、遠慮なく。
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境・花世 2019年6月11日
貴なる姫君が訪う店だなんて、梟宵堂もずいぶん幸先がいいね?(花のように降った薄紅の飴をひとつ摘んで、衣擦れの音も馨しいひとに差し出した。恭しい仕草と裏腹に悪戯っぽくわらっている) 前にきみと逢ったのは桜の季節だったね、また御縁があってうれしいよ、馨子。 ……ところで綾がすきあらば呑ませようとしてくる。呑みます。
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紫丿宮・馨子 2019年6月13日
ロカジ様、葦野様、そして店主様は都筑様、境にございますね。どうぞ、仲よくしていただけると、大変嬉しゅうございます(匂い立つような笑顔で今一度、お辞儀を)……あら?(差し出された薄紅の飴に目をしばたかせて)ふふ、覚えていてくださいましたか、境様。ええ、早咲きの桜の季節にございましたね。こうしてまたお会いすること、言葉をかわすことが叶い、縁に感謝でございます(飴を受け取って)わたくしもお酒は嗜みますが……さて、初めて訪った処で最初にお酒をいただくのは……礼儀としてはどうなのでしょう(拒否する様子はなく、小首をかしげて微笑して、困った風に装って)
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紫丿宮・馨子 2019年6月13日
ああ……お名前を間違えてしまうとは何たる失礼を……都槻様、にございますね。申し訳ございませぬ。
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紫丿宮・馨子 2019年6月13日
境様にも様を落としてしまっておりますね……申し訳ございません。恥ずかしいところばかりお見せいたしまして……穴があったら入りとうございます。
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ロカジ・ミナイ 2019年6月14日
世間ってのは狭いもんだね。否、そう感じる出逢いこそヒトの醍醐味なのかもしれないな。(手の中の湯呑みを空っぽにして)おやまぁ、綾は勧め上手だ。それじゃあ僕も一杯もらおうじゃないの。礼儀はまぁ、ふふ、酒の場は無礼講というでしょう。
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華折・黒羽 2019年6月14日
(手招かれればその脚を前へと運び、適当に空いてる場所へと座す。何処か浮き立つ酒の場を万一にも興を削ぐ事の無い様少し間隔は空けながら。順に音となる名は逃さぬ様記憶に留め、転がった飴をひとつ摘まんだ所で掠める香に視線をあげて)…初めまして、黒羽と、いいます(居住まいを正す周囲の様子を見ながら理解の追い付かぬままに習う様に頭を下げ、強く香るにおいは僅かこの身の鼻には強さが勝るものの、嫌なものでは無く)…確かに、いい香ですね(ぽつり、呟いた)
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都槻・綾 2019年6月15日
(薫の姫はどうぞお気になさらず、と当人は全く気にした様子も無くからりと笑って、)えぇ、ロカジさんの仰る通り、無礼講ですよ。そも、お客人を棚に案内もせずに上がりへ早々招いておりますからね、私はきっと後で此の非礼を縫に叱られる。(肩を竦めつつ、勘定台の上に鎮座している絡繰り人形を流し見た。心なし店主を睥睨しているような気もするが多分気の所為ではない。たぶん。)
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都槻・綾 2019年6月15日
(希望者の酒器へと注いで回り、少しばかり遠くに坐した少年の傍らへと膝をついた。ふわり笑んで、あなたへはこちら、と差し出したのは淡い米の香の露。酒精無き甘酒。)私も黒羽さんと同じものを相伴で。詞波さんから頂いた焼き菓子を肴に、皆で祝杯と行きましょう。積もる話は其れからゆっくり。集いし縁に、乾杯。
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境・花世 2019年6月19日
あは、そうそう、無礼講っていい言葉だ。だいじょうぶだよ馨子、何かあったら綾が代表で怒られてくれるって。 ――これから始まる縁に。乾杯! (ほがらかに声を重ねるや否や、ひといきで呑みほした)(ご機嫌そうに空の酒杯を掲げて、お代わりを要求しているらしい)
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紫丿宮・馨子 2019年6月20日
華折様もどうぞ、よろしくお願いいたしますね。香水のような強い香りは纏っておりませぬが、衣に焚きしめているので、嗅覚がするどくいらっしゃると強く感じられるかもしれませぬ。もしご不快であれば、遠慮なさらずお申し付けくださいませね(頭を下げて)……無礼講、にございますか? ふふ……それではお言葉に甘えまして、馨るえにしの糸に、乾杯、でございます(すすす、と酒杯を傾けて、のどを潤す)
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都槻・綾 2019年6月23日
(そうして満ちるひと時、満ちる香り、満ちる笑み。立葵が咲き切る梅雨終わりには、まだほんの少し早い頃合いの、初夏の宵の出来事。)
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都槻・綾 2019年6月23日
―了―
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