それいけダンジョンバスターズ!
●迷宮の中の樹海
「みんな! オブリビオン退治の時間なの!」
猟兵達の前に姿を現すなり、神楽火・遥瑠(テンペストナイト・f02078)は大きな声でそう言った。
「アルダワ魔法学園の地下迷宮にオブリビオンが現れるんだよ。そんなに深いところじゃないから、うっかり学園生が迷い込んじゃったりするとヤバいの!」
オブリビオンはそのフロアを自分が過ごしやすいように改造している最中らしく、今のところそこから動く様子はない。だが、いずれ改築が終われば迷宮直上の魔法学園を目指して進攻を開始するだろう。
「現れたオブリビオンは『錬金術ドラゴン』。こいつは放っておくと自分で自分を強化して、どんどんどんどん強くなっていくの。だから、進化する前にやっつけないと手遅れになっちゃう」
そのフロアボスの居場所に辿り着くには、いくつかの障害を突破しなければならないと遥瑠は予知していた。
「まずはダンジョンの突破ね。災魔の力でフロアの一部が森林化してるの。普通の迷宮よりも迷いやすいし、森の中ならではの危険もある。ザコモンスターが襲ってくることもあるから、準備はしっかりしておいてね」
●黒い影と金の竜
森林迷宮を抜けた先にはいくつか部屋があるが、ボスの部屋の前には他にない特徴がひとつある。すぐ手前の部屋に「ドッペルゲンガー」と呼ばれる悪魔系モンスターの群れが住み着いているのだ。
「逆に言えば、ドッペルゲンガーのいる部屋を探せばその次の部屋にボスがいるってわけなの。ドッペルゲンガーは回避力が高いのが特徴。テレパシーで攻撃の予備動作を見切るとか、技をコピーして相殺するとか。敵が対応しきれない速度で攻撃すると戦いやすいかもね」
そして、話題はフロアボスたるオブリビオン、災魔「錬金術ドラゴン」の攻略法へ移る。
「錬金術ドラゴンのユーベルコードは、自分への攻撃を防ぐ『無敵の黄金』、いろんな属性のブレスを吐き出す『ドラゴンブレス』と、爪で攻撃して外れても自分を進化させる魔方陣を刻む『アルケミックスラッシュ』の三種類。このうちブレスを使う時は大きく息を吸って一瞬動きが止まるから、避けたり耐えたりする自信があるならカウンターを入れるチャンスになるの」
ドッペルゲンガー達との集団戦も合わせて、敏捷性が勝利の鍵になりそうだ。
話を終えた遥瑠はグリモアを取り出すと、猟兵達にむかってにっこりと笑ってみせた。
「それじゃあ、準備できた人からレッツゴー! アルダワ魔法学園の明日はみんなに託された! ボクも応援してるから頑張ってね!」
中村一梟
猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
今回はスチームパンクで魔法学園でダンジョンハックな世界、アルダワ魔法学園のシナリオをお届けいたします。
内容としてはダンジョンを探索し、中ボスを倒し、大ボスを倒すというハックアンドスラッシュアンドスラッシュな筋立てです。
第1章の迷宮踏破シーンではいくつかトラップを準備してありますが、「なんとこんな仕掛けが!」みたいなプレイングを頂いた場合はそちらを優先して描写します。
第2章第3章と戦闘シーンが連続しますので、ユーベルコードの指定忘れ、指定間違いにはご注意ください。
それでは、今回も皆様とよい物語を作れることを楽しみにしております。
第1章 冒険
『森林迷宮』
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POW : 森の中を体力勝負で進む。植物を切り拓き、災魔が出れば排除する。力押しで乗り切ろう。
SPD : 森の中を素早く駆け抜ける。ちんたらしていたら、危険は増すばかり。速いに越したことはない。
WIZ : 森の中を知識を活かして進め。どんな危険が、どんな障害がありえるのか。事前に分かれば、対応できる。
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シャレム・アルカード
事前に脅威の芽を摘むのも大公たる者の務めよな。まあ我、別にアルダワの支配者層とは何の関係もないわけだが。
フハハハ!まあどうでもよい!我にかかれば金メッキトカゲなどちょちょいのちょいだからな!
我の誇る武装収容棺『ヘカトンケイル』の内蔵武装から、今回は展開式チェーンソー剣『タナトス』を使用するとしよう。
立ちふさがる樹木は全て伐採し、我の歩んだ栄光のロードをこの森に物理的に刻むことによって、迷うことがなくなるというわけだ!フハハハ!
木っ端災魔共が襲い掛かってこようともやることは同じ、このタナトスで貴様らを冥府へと送ってやろう!
オブリビオンの手によって緑の地獄と化したアルダワ地下迷宮。正体も定かではない樹々の狭間に、一人の男の笑声が木霊する。
「フハハハ! 我、降臨!」
シャレム・アルカード(ダンピールのガジェッティア・f09897)である。脅威の芽を摘むのは高貴なる者の義務と考える彼は、立ち塞がる樹木を伐採していく力技でこの森林迷宮を突破しようとしていた。
「まあ我、別にアルダワの支配者層とは何の関係もないわけだが」
支配者と呼べるかはともかくとして、学園というからには学園長とか理事長とかそういう役職に就いている人物がいるはずではあるが。
「フハハハ! まあどうでもよい! 我にかかれば金メッキトカゲなどちょちょいのちょいだからな!」
まだ見ぬオブリビオンへ宣戦布告し、シャレムは愛用の武装収納棺「ヘカトンケイル」を滑らかな手つきで操作。七十年間連れ添った棺が、この場に最も相応しい武器へと姿を変える。
「展開式チェーンソー剣『タナトス』! 我の歩んだ栄光のロードをこの森に物理的に刻むことにより、迷うことはなくなるというわけだ! フハハハ!」
エンジン始動。電動鋸が唸りを上げる。ダンピールの手が剣呑なる凶器と化した棺を振るい、鬱蒼と繁茂する深緑を切り取っていく。
「このタナトスで貴様らを冥府へと送ってやろう!」
飛び出して来た下級の災魔を幹ごと両断。シャレムは足を止めることなく、樹海の奥へと突き進んでいくのだった。
成功
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伊美砂・アクアノート
いやっほい! 竜と魔法とダンジョンと! めくるめくダンジョン&ファンタジー! たっのしー!(森林を全速力で駆け抜けて)……や、無策ってワケじゃあ無いぜ? ちんたら歩いてたって、敵に遭遇するときはあるんだ。なら、一直線に突っ切っちまった方がいい。兵は拙速を尊ぶ…とも言うしな。 万一、敵に遭遇したら、指先でコインを撃ち出す【羅漢銭・須臾打】で怯ませ、そのまま脱兎の如く突破。コンマ秒以下の早打ちだぜ。…早く、もっと速く、だ。邪魔な草木は武装のタクティカルマチェット(鉈)で切り払い、道なき道を進むよん。目指せ、一番乗り…ってね! 世界も敵も、待ってはくれない! 疾く、迅く、もっともっと最短最速一直線!
差し渡し二メートルにならんとする巨大で分厚い葉っぱをどけると、その向こうには蝙蝠と蛇が合わさったような姿の災魔がいた。
災魔がゆっくりと振り返る。硝子玉のような瞳が彼女を見つめる。災魔が牙を剥き、飛び掛からんと翼を広げた、その瞬間。
「暗器とは、このように不意打ちで有効です」
伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)の袖口から放たれたコインが災魔の鼻面を強かに打ち据えた。奇声を上げてのたうち回る災魔。その尻尾を素早く避けて、伊美砂は駆け出した。
下生えを切り開き、方角も定かではない樹海の中を、伊美砂は一直線に駆け抜けていく。その姿は一見何も考えていないように見えるが、敵と遭遇してその対処に時間を取られるよりは突っ切ったほうがいいだろうという判断に基づくものだった。
「世界も敵も、待ってはくれない! 疾く、迅く、もっともっと最短最速一直線! 目指せ、一番乗り…ってね!」
伊美砂の作戦は、彼女自身も思いもよらない形で成果を出した。それまで道なき道だった森林迷宮の中に、くっきりと刻まれた足跡を発見したのだ。
大きさと形からして、このフロアのボスたるオブリビオン、錬金術ドラゴンのものに違いない。とすれば、この痕跡を追っていけば遠からず奴の棲みかに辿り着けるだろう。
「いやっほい! 竜と魔法とダンジョンと! めくるめくダンジョン&ファンタジー! たっのしー!」
伊美砂はさらに走る速度を上げると、点々と残された足跡が向かう先へと駆けていく。
大成功
🔵🔵🔵
闇之雲・夜太狼
この前一緒にお仕事した英壱ちゃん(f07000)と同行するよ♪
なんでかって?ん~、なんか辛気臭そうな顔してたから放っておけなくてさ~
それにそれに!一人より二人いる方がぜーったい楽しいって!
【SPD】
森林浴は今はいいかな。虫とか汚れとかイヤだもんね!
ってことで、ボール型偵察機のI-Ballを飛ばして『情報収集』と『撮影』で辺りを探るよ。
先に情報集めちゃえば、後はダダッと駆け抜けるだけだもんね。チョロいチョロい♪
英壱ちゃんの提案いいね。戻ってきたI-Ballのデータに手を加えて先導してもらおうか
森を駆け抜ける時に敵が飛び出てきたら、秘密のビックリ銃で氷の『属性攻撃』!
俺ってば環境に優しい~♪
黒谷・英壱
<SPD>
あれ、お前って確かこの前会った……って、辛気臭いって意味分かって言ってるのかよ
ということで夜太狼(f07230)と共に参加
そういえば前も使ってたそのボールみたいなやつ、何に使えるのか気になるな
……ふーん、空に飛ばして偵察できるんだ
じゃあその情報と俺が持ってきたこの森の大まかな地形情報を混ぜて先導させればさくっと抜けられるんじゃないか?
と、飛ばされたi-Ballを見ながら伝え、戻ってきた所でデータをコピーし誘導してもらう
俺もあいつも多分早く走れるとは思うが、もし何かあったら【逃げ足】でなんとか乗り切れないものか
「……」
黒谷・英壱(ダンス・オン・ワンライン・f07000)は、幾重にも重なった緑の化0点をじっと見つめていた。
この辺りの地形はおおまかに把握した。足の速さにも自信がある。後は一気に駆け抜けるだけなのだが、今ひとつ不安が拭いきれない。もう少し情報が欲しい……。
そんな英壱の肩を、ポンと叩いた者がいた。
「あれ、お前って確かこの前会った……なんでいるんだよ」
「なんでかって? ん~、なんか辛気臭そうな顔してたから放っておけなくてさ~」
そう言って、闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)は快活な笑みを浮かべる。
「辛気臭いって意味分かって言ってるのかよ」
「それにそれに! 一人より二人いる方がぜーったい楽しいって!」
まあそういうわけで。二人は再び地下迷宮の攻略へと乗り出すこととなった。
「さて、どうしたもんか」
「なるほどー。じゃあこれの出番だね」
じゃん、とが取り出したのは、ボールのような物体。英壱はそれに見覚えがあった。
「それ、何に使えるんだ?」
「これはね、ボール型偵察機のI-Ballさ!」
ふわり、と球状の機体が夜太狼の手から飛び立つ。
「……ふーん、空に飛ばして偵察できるんだ。じゃあその情報と俺が持ってきたこの森の大まかな地形情報を混ぜて先導させればさくっと抜けられるんじゃないか?」
「それいいね。先に情報集めちゃえば、後はダダッと駆け抜けるだけだもんね。チョロいチョロい♪」
夜太狼と英壱は樹海の奥へと飛んでいく偵察機を見送る。しばらくして戻ってきた偵察機からデータを取得し、マップを作成。最短ルート算出。
「森林浴は今はいいかな。虫とか汚れとかイヤだもんね! 寄り道はなしで行こう!」
「そうだな。他の災魔がいないとも限らないし」
「もし敵が飛び出てきたら、この秘密のビックリ銃でやっつけるよ。水属性だから環境にも優しいしね♪」
「さっさと逃げたほうがいいんじゃないか?」
微妙な齟齬はあるものの、大きな問題にはならないだろう。顔を見合わせ頷いて、二人は森林迷宮と突破すべく走り出した。
成功
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ベルリリー・ベルベット
ダンジョンの探索ですって?
なんだかワクワクする響きだわ。
オブリビオンと一緒にお宝が眠っていたりはしないのかしら。
まずは迷宮踏破を目指さなくてはね。
リリはまどろっこしいのはキライなの。
持ち前のスピードで森を一気に駆け抜けるわ。
足場の悪いところに気を付けつつ、起伏は飛び越えて、狭い場所はスライディングを使ってくぐり抜けるわ。
もしも途中でザコモンスターが襲いかかってきたら、スカイステッパーで踏んづけてあげる。
他の参加者さんと協力できそうな場面は、協力して乗り越えたいところね。
目的は同じなのだもの。
ここはギブアンドテイクでいきましょう。
誰かが罠にかかって困っていたなら、助けてあげるわ。
シシィ・オクトニーア
地下迷宮に来るのは初めてなのでわくわくしますね!
もちろん、オブビリオンは退治しないと、ですね。
まずは森林迷宮を突破しましょう。
ここは体力勝負でどーんとまっすぐ進んで突破したいですね!
事前に干し肉などのお肉の携帯食料を準備します。
災魔が出て戦いになったらそれを食べてフードファイト・ワイルドモードで強化して戦い、突破します!
災魔の数が多かったりして突破が難しい場合は携帯食料の一部を進行方向とは違う方向へ投げて敵の気をそらした隙に突破したいです。
森の中ならではの危険もあるらしいのですが……毒キノコなど、でしょうか?
武器を使って道を切り拓きつつ、派手な色のキノコや植物には触れないように注意しますね。
ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)の小柄な体が、深緑の中を駆け抜けていく。
ぐらつく岩を的確に見抜いて避け、起伏や小川を飛び越え、横たわる倒木の下をスライディングでくぐり抜けて突き進んでいく。
立ち上がり、真っ白な服に付いた泥を叩いて払う。再び歩を進めようとした時、ベルリリーの視界の端にきらりと光るものが映った。
輝く髪のクリスタリアンの少女だ。背丈はベルリリーよりも少し低いくらい。木陰にうずくまっている。
(罠にでもかかったのかしら。それなら助けなきゃ)
ベルリリーは少女に近づいて、声をかけた。
「大丈夫?」
「え? あ、はい。大丈夫です」
クリスタリアンの少女はシシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)と名乗った。彼女もまた、オブリビオンを倒すべくやってきた猟兵である。
「森の中ならではの危険もあるらしいとうかがっていたので……これは毒キノコなのかなあ? と」
シシィが指差す先には、褐色の茸が群生していた。
「派手な色のキノコや植物には触れないようにしてきたんですけど、これは食べても大丈夫なんでしょうか?」
「…やめておいたほういいんじゃないかしら? お腹を壊しても困るでしょう?」
「そうですね。まだ干し肉もいっぱいありますし」
そう言ってシシィも立ち上がる。旅は道連れ世は情け、目的が同じなら協力すべきと二人は肩を並べて歩き出した。
「地下迷宮に来るのは初めてなんです。わくわくしますね!」
「ダンジョン探索ってなんだかワクワクする響きよね。オブリビオンと一緒にお宝が眠っていたりはしないのかしら」
話しながら木立を抜ける。それまでよりも開けた場所。そこに、とぐろを巻く大蛇の姿をした災魔がいた。
「どうしましょう?」
「リリはまどろっこしいのはキライなの」
「わかりました。どーんとまっすぐ進んで突破しちゃいましょう!」
にっこり笑い、シシィが取り出した干し肉を噛む。ベルリリーもレガリアスシューズを起動させた。
「行きます!」
全身の細胞を活性化させ、災魔に肉薄するシシィ。その頭上の空を蹴って、ベルリリーが躍りかかる。
災魔の頭を踏み付け、ベルリリーは再度跳躍。くるりと宙でとんぼを切って、見事な着地。怯んだ大蛇の太い胴をシシィが掴み、投げ飛ばす。
「やりました!」
「後は一気に駆け抜けるわよ!」
敵が体勢を立て直す前に、走り出す。あっという間に災魔を置き去りにして、二人は迷宮の先へと向かっていった。
成功
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第2章 集団戦
『ドッペルゲンガー』
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POW : 心の模倣
【対象の目を見ることで思考を読み取り 】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD : 体の模倣
戦闘中に食べた【対象の血肉 】の量と質に応じて【捕食した対象の姿を模倣し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : 技の模倣
対象のユーベルコードに対し【対象の動きを模倣し同じユーベルコード 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
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●蟠る影
森林迷宮を抜けると、よくある石と土の迷宮だった。
この唐突な変化もまた、オブリビオンの影響によるものなのだろうか。
慎重に歩を進める。ややあって、広間とは呼べないまでもそれなりの大きさがある空間に出くわした。
予知によればここに……いた。
ぐねぐねと姿を変える、影の塊と呼ぶしかない異形。災魔ドッペルゲンガー。姿形が定まらない故に何体いるかも判然としないが、一体二体ではないだろう。
奴らを全滅させなければ、フロアボスの下には辿り着けない。となれば、進むしかない。
伊美砂・アクアノート
……わたくし、あまり多芸ではありませんので、使える技といってもコイン投げくらいなのですわよね…。他の皆さんの様に、多彩な魔法とか使えると良いのですけれど…と、独り言を呟きながら【だまし討ち1】 指先の僅かな動きだけで、コインを銃弾の如く撃ち出す。……は、ドッペルゲンガーねぇ? なぁ、多重人格者のコピーってどうなるんだ? 私は誰で、僕の名前は何だと思う? にゃはは、ワタシの模倣も見てみたいよねー。笑ったり真顔になったりして、マチェットを【2回攻撃2】【なぎ払い1】 頭は早く先に進んでドラゴン見たいなーくらいに思いつつ、ペラペラ喋りながら鉈を振り回す。ーーーキミ、邪魔なんだけど。倒れてくれるかな?
「……わたくし、あまり多芸ではありませんので、使える技といってもコイン投げくらいなのですわよね……。他の皆さんの様に、多彩な魔法とか使えると良いのですけれど」
独り言を零しながら現れた少女の姿に、ドッペルゲンガー達は色めき立った。食料としても玩具としても申し分ない。フロアボスが地上へ向けて進攻を始めるまでのいい暇つぶしになるだろう。
影塊が少女の前に立ちはだかり、まずは泣いて怯える姿でも見てやるかと彼女が最も恐怖するものに姿を変え……られない。ドッペルゲンガーの体表にノイズのようなさざ波が走るが、それだけだ。
「……は、ドッペルゲンガーねぇ? なぁ、多重人格者のコピーってどうなるんだ?」
そう、彼女は多重人格者。一つの体にいくつもの心を持つ。それらをあたかもカードをシャッフルするように次々と切り替え、災魔の読心能力を無力化したのだ。
「私は誰で、僕の名前は何だと思う?」
問い掛けとともに、少女の袖口からコインが放たれる。銃弾並に鋭い一撃が影塊を貫くが、致命傷ではなかったらしく影は形を変えて逃げ出そうとする。
「にゃはは、ワタシの模倣も見てみたいよねー」
追いすがる少女が手にした鉈が振り下ろされた。肉を切るような感触と共に、影の一部がちぎれ塵となって消える。
「――キミ、邪魔なんだけど。倒れてくれるかな?」
もう一撃。半分ほどの大きさになった影の塊の中心を、少女は鉈でなぎ払う。ばしゃっ、と小さな水音を残して、ドッペルゲンガーは完全にその姿を消した。
「私は……早く先に進んでドラゴン見たいなー」
そんなことを呟いて、伊美砂は次のドッペルゲンガーへと向かっていった。
成功
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シャレム・アルカード
ふむ、このくらいの広さがあれば"アレ"が使えるか。
木っ端災魔共に弾薬をくれてやるのもいいが、タダではないからな。
別に金を惜しむわけではないが、意味のない無駄遣いは我の好むところではない。
という理論で武装したところで、我のターン!
ここまで棺を引きずってきた、運搬用鉄鎖『タイタン』を握り、思い切り振り回すのだ!
フハハハ!どうだ!この圧倒的質量の旋風は!近づけば挽き肉になるとわかっていて近づく阿呆はそうはいまい!
さらに、この勢いのまま振り下ろせば……潰れたトマト……いや、潰れた黒蜜団子の完成というわけだな!
「ふむ、このくらいの広さがあればアレが使えるか」
堂々と腕を組んで、シャレムはドッペルゲンガーの群れを見据えていた。
「木っ端災魔共に弾薬をくれてやるのもいいが、タダではないからな。別に金を惜しむわけではないが、意味のない無駄遣いは我の好むところではない」
猟兵の活動における使途不明金の追求など誰もやらないと思うのだが……武具での武装と同じように理論による武装も大事である。
「というわけで、我のターン!」
武装収納棺に繋がった運搬用鉄鎖「タイタン」を鷲掴みにし、シャレムは黒く重い棺を思い切り振り回した。
「フハハハ! どうだ! この圧倒的質量の旋風は! 近づけば挽き肉になるとわかっていて近づく阿呆はそうはいまい!」
風を切る音と共に右へ左へ踊り回る棺。その勢いと尋常ならざる膂力にドッペルゲンガーは太刀打ちできない。だが、彼らはシャレムの瞳から動きの隙を読み取り、徐々にではあるが近づいてきていた。
「フ、甘いな貴様ら。この勢いのまま振り下ろせば……どうなるかは我の目を見ずとも理解できるであろう?」
ニヤリと口の端を歪めたシャレム。危険を察知した災魔達が離れようとするが、もう遅い。
「そう、潰れたトマト……いや、潰れた黒蜜団子の完成というわけだな!」
シャレムは鎖を引いた。棺が宙を舞い、上昇の終着点で刹那動きを止める。
「フハハハ! 潰れてしまえーい!」
大笑と共に振り下ろされた棺が超重の凶器となってドッペルゲンガー達に襲いかかる。巨人の鉄槌(タイタン・ハンマー)の名に相応しい一撃が、轟音と共に地面ごと災魔を粉砕した。
成功
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闇之雲・夜太狼
英壱ちゃんと行動するよ!
ドッペルゲンガーはモノマネが得意って聞いたけど、俺のマネができるかな?
俺になったら、きっと自分の頭の中身に耐えられなくなるよ。ふふ。
まあ、まともに相手なんかしてやんないもんね~。べー、っだ。
距離を取った状態で「トイズ・マーチ」を使って、トテチテターズを呼び出して戦わせるよ。
相手が何体いようとも、英壱ちゃんのレギオンと合わせたらこっちも負けないよ!
戦いは数だよ!多勢っていう力には、何者も及ばないんだ!
レギオンたちにわちゃわちゃしてる内に隙を見せたら、俺も外から「手」を出させてもらおうかな。
マジックアームガッチャーの手型部品をグー状態にして、射出&巻き取り!外からパンチだ!
黒谷・英壱
【夜太狼】と行動、アレンジ歓迎
どうやらドッペルゲンガーはいっぺんに出るのではないと……なら尚のことこちらが有利ですね
あ、ご挨拶が遅れてました
俺、通りすがりの魔導師……ちょっと変わった、ね
【時間稼ぎ】で伝わりもしない挨拶をしながらさりげなくコードの準備
そして間合いを取り、相手が動き出す瞬間を【見切り】で捉えて発動
こちらは夜太狼のと合わせればゆうに100体を超える
こうなれば数の暴力でいけるだろう
おっと、その間にゴーグルを装着して【情報収集】っと
今なら正確な情報が手に入るはず
こっちが終わるまでなんとか頑張ってくれよな、夜太狼!
夜太狼と英壱のコンビにもドッペルゲンガーが近づいていく。
「どうやらドッペルゲンガーはいっぺんに出るのではないと……なら尚のことこちらが有利ですね」
「モノマネが得意って聞いたけど、俺のマネができるかな? 俺になったら、きっと自分の頭の中身に耐えられなくなるよ。ふふ」
「あ、ご挨拶が遅れてました。俺、通りすがりの魔導師……ちょっと変わった、ね」
「まあ、まともに相手なんかしてやんないもんね~。べー、っだ」
うごめく影塊に向かって舌を出すと同時、夜太狼がユーベルコード「トイズ・マーチ」を発動。
「チャチャチャと出撃、『トテチテターズ』! オモチャだからって甘く見ないでよ!」
六十五体もの玩具のような姿をした兵器達を呼び出す。その内十数体が、ドッペルゲンガーの繰り出した小さな影の礫と相打ちになって消滅。二人が数での有利を取ろうとしていたことを察知し、自らの肉体から小さな災魔を生み出すことで相殺しようとしたらしい。
だが、敵のユーベルコードを見切っていたのはドッペルゲンガーだけではなかった。英壱がエレクトロレギオンを発動。トテチテターズと激突した瞬間を狙っての行使だったため、分身を送り込むのが間に合わない。結果、二人の猟兵が呼び出した軍勢は合わせて百を超えた。
「戦いは数だよ! 多勢っていう力には、何者も及ばないんだ!」
「こうなれば数の暴力でいけるだろう」
二人が指示を出す。玩具の兵隊と小型機械兵器の混成軍とドッペルゲンガーの小分身達が小さいながらも激しい戦闘を繰り広げ、次々に散っていく。
「こっちが終わるまでなんとか頑張ってくれよな、夜太狼!」
英壱がゴーグルを装着し、情報収集を開始する。手段は受動的な観測に限られるが、戦闘を有利に運ぶには十分。ややあって、彼は一つの結論に辿り着いた。
「奴には弱点がある! そこを狙えば倒せるぞ!」
「オッケー! それじゃあ俺も外から『手』を出させてもらうよ!」
夜太狼が伸ばしたマジックアームガッチャー形作った握り拳が、射出された勢いのままに英壱の指示する弱点を打ち飛ばす。ばしゃっ、と影の塊が弾けて黒い染みになり、そして消えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
伊美砂・アクアノート
【POW】敵の数が多いのが問題なのよねー…。というか、手が足りない。うーん、困ったにゃーん。 本心から困ったように笑いつつ、【だまし討ち5】【羅漢銭・無影撃】我輩の全周囲にコインをバラ撒くのである。……ま、これは牽制。外れてもいいのだけれど。【2回攻撃2、なぎ払い1】 ナタを滅茶苦茶に振り回しながら、対多数戦を試みる。オレは、まだまだ健在だぜ? さあ、試合続行と行こうじゃないか。 ダメージ受けたら、真の姿モードになる。……見た目は、何一つ変わらないのだけれど、ね。さあ、愛し合いましょう? 互いに呪いましょう? どうせ全ては一切合切、脳内に宿る意識の見せる夢ですもの! さあ、さあ! うふふ!
目の前で壁をなす影塊を前に、伊美砂はひとつ息を吐いた。
(敵の数が多いのが問題なのよねー……。というか、手が足りない)
困ったように笑いつつ、人格転換。刹那の殺気と共にコインが放たれる。
「これは、指先の動きでコインを弾き飛ばすだけの……ただの技術です。ええ、種も仕掛けも無い、射撃技術ですの」
人格を入れ替えながら戦うことでドッペルゲンガーの心の模倣を封じ、終始有利に事を進めているものの、彼女が分厚い壁を一息に突破するだけの火力を持ち合わせていないのは事実であった。
「うーん、困ったにゃーん」
無影撃で怯んだ敵と敵の間に飛び込み、縦横に鉈を奮って叩き切り、引き裂き、なぎ払う。ばしゃり、ばしゃりと飛び散るドッペルゲンガーの残骸を踏んで、伊美砂は僅かな隙間をこじ開けていく。
「オレは、まだまだ健在だぜ? さあ、試合続行と行こうじゃないか」
黒い影の塊が殺到してくる。伸びてきた触腕に手足を取られながらも、伊美砂は口角を吊り上げた。
「さあ、愛し合いましょう? 互いに呪いましょう?」
災魔達はたじろいだ。見た目は何も変わらないというのに、彼女の藍色の瞳が異様な迫力でぎらぎらと輝いている。
「どうせ全ては一切合切、脳内に宿る意識の見せる夢ですもの! さあ、さあ! うふふ!」
真の力を解放した伊美砂が身を翻す。白い狂風となった彼女はドッペルゲンガーを薙ぎ倒し、駆け抜けていった。
成功
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ベルリリー・ベルベット
ドッペルゲンガー?
なんだか、黒くてぶよぶよしたのがたくさんで気持ちが悪いわ。
リリたちはこの先のお部屋に用があるの。
さっさとそこをどいてちょうだい。
あら、お前たちは回避が得意なの。
それなら、避けきれないほどの攻撃を見せてあげる。
予想できても、それに対応しきれなきゃ意味ないものね。
【2回攻撃】【属性攻撃】【投擲】を駆使しながら、ユーベルコードで素早く正確にナイフを投げていくわ。
どう?目にも留まらぬナイフ捌き。
ほらほら、ちゃんと避けないと的になっちゃうわよ。
敵の攻撃は【見切り】【逃げ足】を使ってかわすわ。
回避するのはリリも得意なのよ。
「なんだか、黒くてぶよぶよしたのがたくさんで気持ちが悪いわ」
ボスが待ち受ける部屋への出口を塞ぐようにひしめくドッペルゲンガーに向けて、ベルリリーが言い放った。
その台詞を理解したわけでもなかろうが、災魔達が姿を変えながら近づいてくる。
「リリたちはこの先のお部屋に用があるの。さっさとそこをどいてちょうだい。」
青い髪の少女の指先が閃いた。二連続で放たれたナイフが影塊の表面に突き立ち、刀身にこめられた属性の力を解放。白い光が不定形の肉体を溶け崩れさせる。
「避けきれないほどの攻撃を見せてあげる。予想できても、それに対応しきれなきゃ意味ないものね。……ダメよ、目をそらしちゃ」
白銀色が次々と空を裂き、災魔達に襲いかかった。まるで潮が引くように、早撃ちシンデレラの周囲に空白が生まれていく。
「どう? 目にも留まらぬナイフ捌き。ほらほら、ちゃんと避けないと的になっちゃうわよ」
ナイフの雨をかい潜って近づいてきたドッペルゲンガーが腕を伸ばす。だが、踊るかの如く身を翻すベルリリーの影さえも踏むことはできない。
「貴方もどうぞ、見てらして」
風の中を舞う蝶のように、小柄な狩人は優雅な歩みを続けていく。
成功
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第3章 ボス戦
『錬金術ドラゴン』
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POW : 無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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●金色の魔
声無き断末魔と共に、最後の闇塊がばしゃりと形を失って消えた。
猟兵達は頷き合うと、壁面にぽっかりと口を開けた通路へと飛び込んでいく。
しばらく進むと、先頭の猟兵の靴底がこつりと固いものを叩いた。見れば、石と土を均しただけだった通路が、いつの間にか金属に覆われたものに変化している。壁面も同じように、鈍い灰色の輝きを放っている。
フロアボスたるオブリビオン、錬金術ドラゴンの仕業なのだろうか。敵の底知れぬ力に警戒を強めつつ猟兵達が進んでいくと、先刻ドッペルゲンガーの群れと戦った所よりも広い空間に出た。
通路と同じ金属で覆われた、ドーム状の空間である。闇に遮られて判然としないが、天井までは十メートルほどの高さがあるだろうか。
ドラゴンが暴れ回るのにお誂え向きの部屋だ。
そう呟いた誰かの声に呼ばれたのか、猟兵達の目前に黄金の鱗を持つドラゴンが舞い降りた。
「猟兵……ワレノ進化ヲ邪魔スル敵。……排除」
たどたどしい言葉遣いでドラゴンが言う。自在に人語を操れる程には進化していないようだ。それが勝機と呼べるかはわからないが。
猟兵達はそれぞれの武器を構え、過去から生まれながらも進化を求める竜に対峙した。
伊美砂・アクアノート
【SPD】いやっほーぅ! 初手から全速力で飛び出すよっ!……竜狩りだ。ワクワクするねっ! 【オルタナティブ・ダブル】で、分身 「「さあ、オレ(ワタシ)が相手だよっ!!」」 ……叫ぶのは、仲間との連携を期待して。ぶっちゃけ、鉈一本とコイン数枚で竜狩りに挑むほど、ちょっと蛮勇は無いのだわよ。ちょこまかと動いて、ドラゴンの気をひいて、他の猟兵がフリーで動けるようにする囮役をかってでるのよぅ。 接敵したら、タクティカルマチェットの【2回攻撃2】で斬りつけ。・・・怖いのはブレス、ね。敵の首の動きを注視して、兆候があったら大声で叫んで注意喚起。ワタシと分身を突撃させて、全体としての被害軽減を図るのだわ。
「いやっほーぅ! 竜狩りだ。ワクワクするねっ!」
鬨の声を上げて、低い姿勢で伊美砂がドラゴンの懐に飛び込んだ。その影が音もなく盛り上がり、もう一人の伊美砂の姿を形作る。
「さあ、オレが――」
「――ワタシが相手だよっ!!」」
重なって響く声に向けて、ドラゴンが牙を剥いた。鉈一本とコイン数枚で巨大なオブリビオンに挑むほど彼女達は蛮勇ではない。素早く動き回って声を上げ、注意を引きつけて囮になる。それが伊美砂の作戦だった。
いくら巨大でも頭は一つしかない。ドラゴンは左右に分かれた二人の伊美砂のどちらを追うか迷い、隙を晒した。
「もらいっ!」
右の伊美砂の振るったマチェットがドラゴンの前足を裂く。……が、浅い。
「まだまだ!」
左から走ってきた伊美砂がさらに鉈を打ち込んだ。鱗が割れ、血が飛沫く。
「へえ……オブリビオンの血も赤いんだね」
愉しそうに二人の伊美砂が笑う。振り下ろされた爪をかわし、再び散開。ドラゴンが首を巡らせ、吠えた。牙が並ぶ口内に空気が吸い込まれていく。
「ブレス……!」
「来るよ!」
伊美砂の声に、猟兵達がドラゴンの側面に素早く回り込む。直後、竜の顎から灼熱の炎が吐き出され、迷宮の床を焦がした。
伊美砂を始め猟兵は誰も負傷していない。対して、ドラゴンは一気に吐息を吐いたことで動きを止めている。
反撃のチャンスだ。伊美砂達は素早く態勢を立て直し、オブリビオンに突撃した。
成功
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黒谷・英壱
夜太狼と行動
やっぱりあのドラゴン、只者じゃないな
あーでもそりゃそうか、そうでないと今回の事件なんて起きないよなあ
ただ現状こっちの勢力を考えると……ちょっと考えてやるしかない、か
【逃げ足】で素早くドラゴンや他の猟兵達と少し距離を置き移動
合間に奴の気を引いて攻撃をする所を【見切り】、UC発動してそのまま避ける
仕入れた情報と読みが正しければ、今居た場所に魔方陣が出来るはず
出来てなければご自慢の魔方陣が浮かぶまで続けるのみ
もし出来ていたら……しょうがねえ、ここは間合いを見て次に向けて準備するか
夜太狼、ここは一旦任せた。あいつの気を引け!
闇之雲・夜太狼
英壱ちゃんと行動するよ
すごいすごい、金ピカのドラゴンだ!
あのウロコをうまいこと剥がせたら、きっと高く売れると思うんだよね~
見たところ、おつむの方はあんまりよろしくなさそうだし、
人間様の知恵と勇気と技術と力と愛情とかでサクッと狩っちゃおうよ!
こちらからは「レッドホット・ウルヴズ」をレベル数だけ召喚、7・8ずつの2体になるように合体強化♪
2体になったウルヴズと共に、ユラリマントをヒラヒラさせながら
【逃げ足】【残像】【フェイント】でドラゴンの近くを駆け回って【挑発】するよ
相手が痺れを切らして攻撃してきたら【見切り】でうまいこと回避して、
その隙をついてウルヴズをけしかける!回避できなくてもけしかける!
「すごいすごい、金ピカのドラゴンだ! あのウロコをうまいこと剥がせたら、きっと高く売れると思うんだよね~」
「油断すんな。やっぱりあのドラゴン、只者じゃないぞ。……あーでもそりゃそうか、そうでないと今回の事件なんて起きないよなあ」
「そうかなあ。見たところ、おつむの方はあんまりよろしくなさそうだし、人間様の知恵と勇気と技術と力と愛情とかでサクッと狩っちゃおうよ!」
「ただ現状こっちの勢力を考えると……ちょっと考えてやるしかない、か」
英壱と夜太狼が肩を並べ、オブリビオンに向かっていく。
「夜太狼、ここは一旦任せた。あいつの気を引け!」
ドラゴンの間合いから素早く逃れ、英壱が相棒の名前を呼ぶ。その声に応え、夜太狼はユーベルコードを発動させた。
「『オオカミがきたぞ
!!』……な~んてね♪」
十五匹の狼型をした炎が地を蹴る。戦場を駆け抜けながら炎狼達は合体。二匹の巨狼となってドラゴンに襲いかかった。
狼と竜が激突。振り回される尻尾をかわし、夜太狼は付かず離れずオブリビオンの目と鼻の先を駆け回る。
苛立たしげに唸り、ドラゴンが前足を大きく振り上げた。短剣の如き爪が魔力を宿し、ぎらりと輝く。
「そいつを待ってた!」
英壱があえて叩きつけられる竜の爪を受ける。
「その技、いただくよ」
ユーベルコード発動。アルケミックスラッシュの情報をデバイスにコピー、事象を再構成。英壱が伸ばした右腕が錬金術ドラゴンと同じ形に変じ、鋭い爪がオブリビオンを穿つ。
「隙ありっ!」
続けて、夜太狼がけしかけた炎の狼が食らいついた。灼熱の牙が黄金の鱗を砕き、肉を焼いていく。
ドラゴンが再び爪の一撃を繰り出した。二人は咄嗟に飛びのき、鋭い爪痕が床に刻まれる。その爪痕が光を放つや、ドラゴンの体が一回り大きさを増した。
「邪魔スルナ、猟兵!!」
ドラゴンが尾を振るい、炎狼の片割れを弾き飛ばす。英壱と夜太狼は一度間合いを開け、次なる攻勢に向けて準備を整えるのであった。
成功
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シャレム・アルカード
ふうむ、自己進化をする竜な。行きつく先がどれほどのものか、少しばかり興味はあるが……最終的に我に倒されるのであればいつ倒しても変わらぬか!フハハハ!
『ヘカトンケイル』全射撃武装オールグリーン!さあ、竜狩りと行こうではないか!
まずは『イダテン』のブースターで【ダッシュ】、射撃武装で攻撃を加えながら敵の攻撃を避けて隙を誘うぞ!
我は決定的な瞬間を見逃さぬ!敵の隙を見つけたら、【百手千撃】にて武装の【一斉発射】だ!【誘導弾】【範囲攻撃】【援護射撃】【なぎ払い】で回避を許さぬ破壊の嵐を巻き起こそうぞ!
【無敵の黄金】とやらで防がれたとしても問題はない!
解いた瞬間【2回攻撃】!おかわりをやろう!フハハハ!
伊美砂・アクアノート
【SPD】……他猟兵の攻撃にドラゴンの視線が向いたら、オルタナティブ·ダブル】の分身を解除。今度は後ろに下がって、【羅漢銭・須臾打】で、後方からの狙撃を敢行するわ。ーーー本来、こういう技ではないのだけれど。……竜殺しの二つ名を狙うチャンスだもの。頑張って狙って当てるわ。 ええ、随分な図体をしているけれどーーー逆鱗、だったかしら。狙い撃たせて貰うわよ。 真の力を開放する程に、表情は酷薄に、冷徹に。…さあ、楽しませて頂戴? まだコインの残弾は残っているわよ…? 袖口から、手品のようにコインを出し、射撃し続けるわ。
きしきしと微かな音を立てて、錬金術ドラゴンの姿が変わっていく。
前脚はより強靭に、鱗は冷気を帯びて。それはこれまでに猟兵達から加えられた攻撃への耐性を得ようとしたかのような姿だった。
「ふうむ、自己進化をする竜な。行きつく先がどれほどのものか、少しばかり興味はあるが……」
顎を撫でつつ感慨深げに呟いたシャレムが、不敵な笑みを浮かべる。
「最終的に我に倒されるのであればいつ倒しても変わらぬか! フハハハ!」
棺に内蔵されたブースターに火を入れ、シャレムがドラゴンに向かっていく。それを横目で捉えた伊美砂は分身を呼び出していたユーベルコードを解除し、単身で距離を取る。
(ええ、随分な図体をしているけれど――狙い撃たせて貰うわよ」
少女の横顔は冷たく、鋭く、純粋な殺意の色を帯びていた。
「全射撃武装オールグリーン! さあ、竜狩りと行こうではないか!」
対照的に闘志を燃やしたシャレムが、砂煙を巻き上げながらオブリビオンの目前で停止。その姿を睨めつけたドラゴンが翼を大きく広げ、盾を構えるように身体を覆う。
「貴様には特別にヘカトンケイルの真髄を見せてやろう。全武装展開! さあ、避けれる物なら避けてみるがいい!」
対峙したシャレムとドラゴンが同時にユーベルコードを発動。蒸気式ガトリングガンが火を噴き、黄金に輝く石像と化したドラゴンに無数の銃弾を浴びせかけるが、その悉くが弾かれ地面や天井に弾痕を穿つ。
錬金術の到達点、完全なる物質としての黄金をまとったドラゴンは、無敵。だが、シャレムもまた猟兵、超常の力を持つ者である。ガトリングガンの弾丸を撃ち尽くし、棺が排熱のために蒸気を吹き出すや否や、ミサイルと砲弾が竜の黄金像に襲いかかる。
ドーム内に響く爆音。紅蓮の炎が空気を焦がす。城塞ですら灰塵に帰さしめるような砲火を受けて、しかしドラゴンは微動だにしない。
こうなれば、後はどちらが先に切れるかの勝負だ。シャレムの弾薬か、ドラゴンの集中力か。シャレムは弾倉を交換し、再びガトリングガンを発砲。
と、破壊の嵐が突然止んだ。ドラゴンはすぐさま「無敵の黄金」を解除し、大きく顎を開く――。
「本来、こういう技ではないのだけれど、不意打ちとしては最高の形ね」
伊美砂が袖口から放ったコインが小さな流星となってドラゴンの口腔に飛び込む。次の瞬間、竜の口の中で凍てつく吹雪が炸裂した。吐き出そうとしていたブレスが暴発したのだ。
「おかわりをやろう! フハハハ!」
シャレムと彼の「ヘカトンケイル」が吠える。残弾全てを一斉発射。ドラゴンの鱗が、翼がはじけ飛んでいく。
「……さあ、楽しませて頂戴? まだコインの残弾は残っているわよ……?」
砲火に混じって伊美砂の「羅漢銭・須臾打」が襲いかかる。殺意の乗ったコインがコインとは思えぬ鋭さで急所を抉り、ドラゴンは身をのけぞらせた。
「……竜殺しの二つ名、もらうわよ」
「どうやら進化が足りなかったようだな! フハハハ!」
満身創痍でうずくまるドラゴン。二人の猟兵は勝利が目前にあることを確信した。
大成功
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黒谷・英壱
[夜太狼と行動]
へえ、邪魔をするなと言ってやったのが無敵状態になる防御技ね
案外知能があるじゃん
ただ中も外も大怪我状態な今、どこまで耐えられるかな?
俺が見る限りじゃ、もう持ちそうもないけど
ここまできたらその体にミサイルを打ち込むのが妥当か
ただ奴がこっちに向かってきたら【フェイント】をかましてすかさず【2回攻撃】で【カウンター】を決める
この受けた傷じゃあ例え気力があったとしてももう派手に動けないだろうし、これでおしまいって所だな
じゃあな、お騒がせな金ぴかドラゴンさん
次は何処か別の機会に会えるのを楽しみにしてるよ
闇之雲・夜太狼
英壱ちゃんと行動
あっは!派手にドンパチだなんて凄いもの見せて貰っちゃったね♪
そろそろ狩りも終わりの時間かな~?
とまあ、ニコニコしながらも
相当に弱って見えるけど、相手は腐ってもドラゴンだよ?
しかも金ぴかのね
だから油断なくこっそり『プライベート・アイ』を使って様子を窺うんだ
強化した五感、特に視覚での【情報収集】で怪しい動きは何一つ見落とさないよ
攻撃の余力と予兆の【見切り】ができたら「来るよ、最後っ屁!」とか大声あげてみんなにバラしちゃお♪
回避は【地形の利用】をするよ
【クイックドロウ】したマジックアームガッチャーで、先程のドンパチで崩れた壁か床を掴んでビュンとね!
英壱ちゃん、大丈夫ー?後は任せたよ!
伊美砂・アクアノート
【WIZ】ラストの一撃は、他のお人に譲るとするぞね。 【羅漢銭・空間掌】で、広範囲にコインを散弾のように投げる。たとえ外れても、錬金竜の魔法陣による地形効果を減衰させるのが狙い。魔法陣の表面に、引っ掻き傷のように、コインで線を刻みつけていく。 ・・・さあ、そろそろ終いぞね。怪かしい錬金術なんぞに、人間は負けんよ。たとい私が無うなっても、その次の誰かが、次の次に意志を継ぐ『誰か』が居るぞね。 個としての完全を目指すっちゅうアプローチは否定せんよ? ただ、これは在り方の違いやき。此処で貴様は行き止まり、進化の袋小路となって呉れぬかよ。つまらん過去なんぞ、アクアノートさんの輝ける未来には不要ちや。
「あっは! 派手にドンパチだなんて凄いもの見せて貰っちゃったね♪」
はしゃぎながらも、夜太狼は油断することなくオブリビオンの様子を窺う。ユーベルコードによって強化された感覚は錬金術ドラゴンが再び姿を変えていく様を余さず捉えていた。
左前足の鱗が肥大化し重なり合っていき、同時に右前足の爪が長く伸びる。それはまるで、剣と盾を構えた戦士を模したかのような姿だった。
「モット……モット……」
大型化していく四肢とは反対に翼は縮んで、わずかな痕跡を残すだけとなった。被弾面積を減らし、一足飛びに肉薄して格闘戦に持ちこむための形だと、加速した思考で夜太狼は結論づける。彼らとの体格差であれば、殴り合いのほうが有利だとドラゴンは判断したのだろう。
「来るよ、最後っ屁!」
鋭い声で夜太狼が叫ぶ。瞬間、ドラゴンの後ろ足が地を蹴った。その巨体からは想像もできないほど素早い跳躍で夜太狼に迫り、右前足を振り上げる。
「残念でしたー♪」
しかし、大鎌の如き爪の一撃が夜太狼を引き裂くことはなかった。素早く抜いたマジックアームガッチャーで床の亀裂を掴み、移動することで逃れたのだ。
ドラゴンの爪に穿たれた床が輝く。刻まれた爪痕が魔方陣となり、オブリビオンにさらなる進化をもたらそうとしている。それを見て取った伊美砂は、迷うことなくドラゴンの懐に飛びこんだ。
「たとい私が無うなっても、その次の誰かが、次の次に意志を継ぐ『誰か』が居るぞね。怪かしい錬金術なんぞに、人間は負けんよ」
伊美砂の掌が翻り、無数のコインを撒き散らす。ドラゴンは盾の左腕を掲げて高速回転するコインの弾丸を防ぐが――それこそが彼女の狙いだった。
「個としての完全を目指すっちゅうアプローチは否定せんよ? ただ、これは在り方の違いやき」
弾かれたコインは勢いを失うことなく地面を削り、錬金術の魔法陣に引っかき傷を付ける。精緻な式の一部を失って、魔方陣に宿っていた光が消えてゆく。
「……さあ、そろそろ終いぞね。つまらん過去なんぞ、アクアノートさんの輝ける未来には不要ちや」
にやりと唇を歪める伊美砂。その視線はドラゴンの背後を見ている。
「中も外も大怪我状態な今、どこまで耐えられるかな? 俺が見る限りじゃ、もう持ちそうもないけど」
藍色の瞳の先に、九十もの炎の矢を従えた英壱がいた。
「じゃあな、お騒がせな金ぴかドラゴンさん。次は何処か別の機会に会えるのを楽しみにしてるよ」
英壱がオブリビオンを指差すや、紅蓮の炎がドラゴンに殺到した。急速に進化しても癒えることのなかった傷痕を穿ち、鱗を焼いて肉を焦がす。
「ワレハ、最モ優レタ生命体ニ……グアアアァッ!!」
次々と撃ちこまれる魔法の矢が、ついにドラゴンの心臓を貫いた。断末魔の絶叫をフロアに響かせて、オブリビオンが爆発に呑まれる。
爆煙が晴れた時、いかなる作用によるものか、錬金術ドラゴンは鱗の一枚も残さずきれいさっぱり消え去っていた。
まるで、その存在自体が夢だったかのように。
成功
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