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おっさんヒーロー改造計画!!

#ヒーローズアース


「……はあ……」
 節電のために電気を消した、薄暗い部屋の中に重苦しい溜め息が転がる。
 憂鬱とした彼の名は尾登・三大(おと・さんた)、中年ヒーロー・カレイダーの中の人である。
『――頃、ゴーゴー☆ベジタブル野郎百貨店の正広コーナーで大漁発生した謎の正広は、今なお店内を荒らしており、外に正体不明の正広が暴れ出るのも時間の問題だと正広より正式発表が……』
 ブラウン菅から響く緊迫した声にもやる気のない表情を浮かべ、壁にかけられた時計を見る。
(正広専門の駆除ハンターの営業時間の開始まで、まだ時間があるな……仕方ない、出動するか……)
 三大、否、カレイダーは再び大きな溜め息を吐いて壁にかけられたワイシャツを取り、その袖に腕を通した。
 でっぷりと肉付いた腹を窮屈に収め、スラックスを履きベルトをぎっちり締める。
 ぎゅうぎゅうの革靴に足を入れ、ネクタイを回しショルダーアーマーを肩に乗せれば、戦う中年ヒーロー・カレイダーの完成だ。
 玄関の姿見で少々心許なくなった頭髪を櫛でセットし、彼は誰もいない部屋に行ってきます、とだけ呟いて外へ出た。
 この仕事を最後に、ヒーローを止める。
 そう彼が強く想った言葉が実る事なく、その後、姿見に彼の姿が映る事もなかった。

●そんな訳で。
「よく来たな、諸君! お前誰だという顔をしたそこの君、説明しよう。
 私だ!!」
 グリモアベースの片隅に佇むひょっとこ面は、持参したスポットライトを浴びながら天を仰ぎ、鬱陶しいことこの上ないY字バランスを披露する。
「見るがいい、諸君。この不滅の輝きをかもす我がバランス能力をっ、はあっ!!
 …………、ん。何? まあ構わないが、うん」
 気合を爆裂する赤ジャージだったが、数瞬の後に寂しそうに縮こまると何事かを呟く。
 背を丸めて哀愁漂う姿でお面を剥ぐと、その下から美しき顔が――なんてこともなく、どこにでもいそうな平々凡々とした青年が顔を覗かせた。
「まーったく、要領をえねんだがらこいつは」
 ほっかむりにしていた唐草模様のタオルで汗を拭き、かっちり一番上まで閉められたジッパーを下げる男。
「改めて自己紹介するべ。おらぁ伊敷・一馬(いしき・かずま)。
 こいつはヒーローマスクのひょっとこライダー、よろしくなぁ」
 友好的な笑みを浮かべた一馬は、過去のUDCとの戦いで呪いを受けており、ひょっとこライダーを被っていない間は秒単位で寿命が縮むから手短に要点をまとめると、どこからともなく引き摺りだしたホワイトボードに文字を書き込んでいく。
 割りと重要な設定が出た気がするが、彼は気にすることなくスポットライトを片付けて説明を始めた。
「おら達が予知したのはヒーローズアースの中年ヒーロー、カレイダーが何者かに殺されるっ、てなもんだぁ。
 まあUDCだろうけんどな」
 一馬の言葉によるとこのおっさん、自らの実力をしっかりと把握し状況把握能力もさることながら、その経験と、確かな情報に裏打ちされた判断力からそうそうやられる人間ではないのだと。
 そんな彼がやられてしまったのは、一重に自分の大きな悩み、それに気を取られてしまったからだ。
 彼の悩み、それは人気が無く、知名度も絶望的に低い事に因む。
「カレイダーなんて名前で華麗に戦ったのも今は昔、結婚して幸せ太りしたカレイダーはもう、昔のように動けねえ。
 母ちゃんには愛想を尽かされ子供にまでバカにされで、実家に逃げられ残ったのは加齢臭のある太った体だけってなぁ」
 ぐすん。
 涙を流し鼻をすするひょっとこ面を唐草タオルで拭いつつ、一馬はこのおっさんの悩みはヒーローを辞めることだとズバリ言う。
 しかし、前述の通り彼は人気さえ除けば優秀なヒーロー、命を守ったとしてもヒーローを辞めさせてしまうには惜しい逸材だ。
 彼がこの状況でヴィランとならなかったのも、正義を愛する心あってこそだ。
「そこでお前さんらの出番ってワケだべ。
 力で豪快に敵をなぎ倒すか、技量でもって翻弄するのか、はたまたその知識で敵を絡めとるのか、お前さんらにヒーローとしての新たな道をカレイダーに示して欲しいんだべ」
 説明が終わると一馬は落涙するひょっとこ面を再び被る。
 ひょっとこライダーはジッパーを上げてほっかむりをすると、涙を袖で拭った。
「ぐすん。そういうことだ、諸君。
 私からもお願いだ。君達の個性溢れたウルトラハイパーな自分星をカレイダーに見せてやってはくれまいか!
 彼を救う為に、己の内に燃え立つジャスティスソウルを輝かせるのだ、ぬぁぜならばっ!
 その時、君は一番美しく――、うん? うん、うん、別にいいが」
 スポットライトを再び点灯させ、独り善がりに盛り上がるひょっとこライダーを制して再び顔を見せた一馬が転送の準備を始める。
 彼の受けた呪いとは、ひょっとこライダーそのものではないのだろうかという一抹の疑問と不安が君達の胸に去来したのだった。


頭ちきん
 初めまして、頭ちきんです。
 初のシナリオということでネタに走らせ、思う存分自由にプレイングをしていただけたらと思います。
 皆さまのプレイングでカレイダーの新たなヒーローが目覚めることでしょう。
 あまりにも極端なエログロ描写はぼかすなどしてマスタリングするかも知れませんのでご容赦下さい。
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第1章 集団戦 『キャロライナー正広』

POW   :    黙って喰え
【攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【口に向けた捨て身の超回転攻撃を】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    THE・人参
全身を【βカロテン 】で覆い、自身の【周囲にある人参パワーを持つ存在の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    全は人参に還る
自身からレベルm半径内の無機物を【使用した無機物のサイズ分の人参 】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:くずもちルー

👑11
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●それは悲劇から始まる。
「黙って喰え」
「おぶぅっ!」
 おっさんの咽頭に深々と突き刺さる正広。きりもみ回転し削孔機械の様相で捩じ込まれた下半身は、コルク栓をペースト状になるまで噛み潰せるさしものヒーロー・カレイダーでも防げなかったらしく。
 天を見上げ、腕を組み。イースター島に佇む胸像の如く、ぬぅんと唸りそうな顔は、見ようによっては切なげで。
 自らの体を食せと言う彼の自己犠牲に溢れた博愛精神こそ、昨今のヒーローに求められるべきものではないだろうかと正広は推察する。
「まあ、そういう訳にはいかないんですけどね」
「ぬぅん!?」
 あっさりと口の中から引っ張り出したカレイダー。同時に正広は自らの下半身にまとわりつく物に気づく。
「こ、これはっ――」
「気づいたようですね。これは超々薄型デラックスぱおーん用ゴム――、それも業務用一箱二百枚入りお値段はなんとお買い得八百円セール実施中の代物!
 愛を語らう時こそ必須、デラックスぱおーんさんでも問題なく収容できるこのゴムは男子の悩みを解決しますぞ!」
「くっ、この男、テレビを意識した販促活動とセックスアピールに悩みを持つ男性への配慮と性教育の三本柱をやってのけるとは……!
 出来る、この男!」
 その手際にさしもの正広も驚きを隠せない中で、カレイダーはおろしがねを用意する。
「そ、それはっ――」
「気づいたようですね。これはどんな固い野菜でも楽々おろせるハイパーおろしがね受け皿付ウルトラモード――、定価八万ポッキリというちょっとお高めな金額ながら、台所で大量発生する正広も楽におろせる事で業界トップの売上を誇る(当社比)代物!
 固~いお野菜のあれやこれやに正広退治もお手の物、家庭用新三種の神器はこれに決定ですな!」
「くっ、この男、消費者を意識した唄い文句で注意を引きつつさっかり逃げ道を確保し誇大広告でない事をアピール、挙げ句に正広もダシに使うとは……!
 出来る、この男!」
 などと正広が冷静に分析している間も、カレイダーは次なる行動に移っている。
 その橙色の足先がおろしがねへ宛がわれた時、さしもの正広も目を剥いた。
「ここからはR指定、音声のみでお送りしますよ~っ!」
「くっ、この男、グロ耐性のない視聴者のブゥウェエタァアアッ!!」
「そぅれそれそれそれそれ~っ!」
「キィヤアァロットゥオオオ!!」
 ふう。ふう。ふう。
 作業を終えて、カレイダーは乱れた前髪を払い、ハンカチで額を拭う。
「黙って喰え」
「おぶぅっ!」
 溜め息を吐いたその口へ、即座に飛び込むきりもみ回転正広。
 彼は 天を見上げ、腕を組み。イースター島に佇む胸像の如く、ぬぅんと唸りそうな顔は、見ようによっては切なげで。
 まあそんな感じでカレイダーの口内へ深々と体を突きこんでいた。
「お前は勝利に心を酔わせた、そこに度し難い隙があった。
 不甲斐なしやヒーロー」
「まあ、そういう訳にはいかないんですけどね」
「ぬぅん!?」
 再びあっさりと口の中から引っ張り出したカレイダー。同時に正広は自らの下半身にまとわりつく物に再び気づく。
 天丼である。
「貴様、お買い得とは言え業務用を重ねて使うなど倹約家の敵……資本主義のヒーローが正体を現した、と言った所か……!」
「分かっていませんね。ヘソクリとは家族にもバレずに行うもの。そして、重ね着もまたパートナーにバレずに行うもの。
 重ね着することで普段より持続力アップ! パートナーの満足度もアップ! 男の面子もアップップ!
 これが裏技というものなのですよ!」
 唸る正広を再びおろしがねへ宛がう。
 もちろん、R指定はカットでお送りする。

●例え刀折れ矢が尽きようとも。
 幾本もの正広をおろし、筋肉痛と四十肩で上がらなくなった腕。
 ヘルニアによる腰の痛み、正広の執拗な咽頭への攻撃、乱れた頭髪。
 ヒーロー・カレイダーはすでに戦う力の殆どを失っていた。
 しかし、まだひとつの、たったひとつの力が残っている。例え万人が彼の敗北を宣言しようと、彼の心に諦めはなかった。
「よくここまで戦ったな、ヒーロー」
「しかし」
「お前はもう我らをおろす力は残っていまい」
「さあ、大人しく受け入れるのだ」
「……この熱く滾るベータカロチンを……!」
 謎の煌めく粒子を放ち、カレイダーを取り囲む正広は口々に言葉を紡ぐ。
 カレイダーは周囲を睨み、視界の片隅でまだ増殖を繰り返す正広の様子を捉えた。
(倒すのが間に合わない……これでは……しかし……!)
 彼は枯れた頭に似合わぬ闘志を燃やし、痛む腰を押さえて背を伸ばす。
 たったひとつ残された最後の力。
「……それは正義……! 人類は、これ以上のベータカロチン摂取を良しとしない! 私は戦い続ける!
 そして覚えておくがいい、例えこのカレイダーが倒れても人類は屈しない、第二第三のカレイダーが現れ、君たちを駆逐する。
 具体的に言えば正広専門の駆除ハンター営業時間が開始された時――おぶぅっ!」
「黙って喰え」
 カレイダーの決死の覚悟も虚しく、その咽頭へ突き刺さる正広は何本目だと言うのか。
 カレイダーは霞む視界に意識が薄れていくのを感じた。
ラウンツ・ハーリッシュ
蛇が無言でボクに変わったから何かと思えば…うん、とりあえず通報したら万事解決じゃないかな…え、だめなの?仕方ないな…
創具展開で28本のヴァナルガンド複製。そのまま【一斉発射】で相手の股間部を狙撃。世界が世界だし、パンツもきっと未知の素材で作られてる可能性もあるからしっかり【鎧砕き】も忘れずに。変質者に慈悲はない。

というか新鮮野菜なのに半額ってどういうことなのさ…その矛盾を万人が納得するように説明してもらいたいね。いやその前に農家に土下座して?
心を入れ替えたならこの男性用ビキニアーマー『FUNDOSHI』を着るといい。別にボク達着れないし、いい感じに処分できるなとか思ってないよ。



●真面目ぶった文章など、もう構わんだろう? さあ、破壊者イェーガーの登場だ!
「ふむぐぐ。んほぉ!」
 残る力を持って正広を引き抜いたカレイダー。まだそんな力が残っていたかとする正広であるが、その顔に驚きの色はない。
 引き抜かれるならば、続く正広がカレイダーの咽頭へダイブすればよいだけの事。すでに勝敗は決しているのだと正広は嘯く。
 それを証明するかのように、百貨店のライトを浴びて燦然と輝く正広が攻撃態勢を取る。
 哀れカレイダー、風前の灯。万事休すか。しかし。
 悲劇を切り裂く一発の銃声。
「カロてぃんッ!」
「ぬぅん!?」
 奇声を挙げて派手にぶっ飛んだ正広に、正広はついに驚きの色をその顔に浮かべる。もちろん橙色の顔色が物理的に変わったという事ではない。
 壁にぶつかり地へと落ちた正広はびくびくと震えている。その腰に嵌められていた蠱惑的な紫色のブリーフは見当たらず、うつ伏せである事に胸を撫で下ろすしかないだろう。
「……一体、何が……」
 呆然とするカレイダーの手の中の正広。狙撃されたんだよ。
 続く銃声が次々と煌めく粒子に囲まれた正広を吹っ飛ばし、ブリーフを失い、床の上でびくびくとうつ伏せに震える正広を量産していく。
 誰一人として仰向けに転がる事はないその技術以前に、全ての正広の下着が消えている事に戦くカレイダー。
 そしてようやく正気に返った正広たちは襲撃者を見つけるべく、歯を食い縛ってこめかみに青筋を浮かべ、サーチライトの如き怪光を両眼から放つ。百貨店の照明はついてんだぞ。意味なく怖い顔をするな。
「ぬぅん!?」
 正広の一人が声を上げると、百貨店内に散らばる全ての正広がその視点に光る目を向ける。
 大量に増殖を続ける橙色のマッシヴ紫ブリーフおじさんに怖い顔で両目のライトを向けられる。
 字面からしてヤバい。子供なら咽び泣きトラウマとなり、大人となってもそれを解くのは難しいだろう。カレーを食べられなくなるという人生の不幸すら背負うかも知れない。
 しかし、この者は違う。
 何故ならばこの者、否、この者たちこそ、これらの恐怖と相対し、そして駆逐する事を生業としているのだから。
 ――その名も。
「……イェーガー……! 来て下さったんですね!」
 希望に溢れるカレイダーの声。正広の大量のサーチライトに照らされ、というかそもそも隠れてもいなければ影にもいない、ただ二階の踊場から普通に射撃していた猟兵は、半ば呆れた様子で百貨店の惨状を見下ろしていた。
「……蛇が無言でボクに変わったから何かと思えば……」
 両手に持っていた一対の大型自動拳銃、【ヴォルフ&ウールブ】を虚空に浮かべて、ラウンツ・ハーリッシュ(黄昏の獣試作02式【TYPE-D/Fenrir】・f10078)は溜め息を吐いた。
 否、今の彼は彼女であって彼ではない。封印処置によるデバイス、その拡張ユニットである【黒狼霊装・屍姫】。眼鏡状の物をを装着する事でデバイスの効果により性別反転した別人格のボクっ娘、識別コード屍姫とされる人格が表出するのだ。
 つまりどういう事だって? 眼鏡をかければボクっ娘になる。有りのままを受け入れろ、この世界には水だのお湯だので性別が入れ替わる人間もいるのだから。
「そこの女、怪しい奴を観なかったか?」
 現在進行形で怪しいのはお前らだろ。
 今は手放しているとは言え、拳銃を構えていたにも関わらず攻撃手と気づかない脳みそベータカロチンの正広の群れに、銀髪を揺らしてかぶりを振る。
「これとりあえず通報したら、万事解決じゃないかな?」
「あ、いえ、駆除業者はブラックな体制が多く次々と内部告発や行政処分の対象となっているため、残る業者も時間厳守としている所しかないのですよ。
 なので、この増え続ける正広を対処するには、彼らの動かない時間は我らヒーローがお相手しているんです」
「ぬぅん?」
 ラウンツ、否、ここでは屍姫と呼ぶべきであろうか。彼女の疑問に即座に詳細を伝えたカレイダーは、やはり出来る男といった所だろう。
 そのカレイダーに捕まったまま首を捻る正広。所構わず増えるおめーらのせいでブラック企業化してんだぞ、業者に謝れ。ヒーローが行政処分の対象になったら絶対に許さんぞ。
 そんなヒーローズアースの世界事情に、屍姫はやる気の亡くしていた顔を引き締める。
 仕方ないな。
 ぽつりと漏らす一言を合図に、虚空に浮かぶ大型拳銃が零式収束砲【ヨルムンガンド】と合体、狙撃銃へと変貌する。
 息を飲むギャラリーの前で、屍姫は眼鏡の端を持ち上げ、掛け直す。
「装具展開」
 大出力ビーム狙撃銃【ヴァナルガンド】。それが彼女の言葉で二十を余る数に複製され、空を切りこちらを見上げていた正広を取り囲む。
「なんと!」
『ぬぅん!?』
 驚きの声をあげるカレイダーと正広軍団。次々と独りでにスライド、発射準備を整えていくライフルの群れに、ようやく屍姫の正体を悟った正広の一部が攻撃姿勢を取る。
 たが、全ては遅い。
「舞い踊れ――Valkyrie」
 屍姫の号令の下、狩りの咆哮を告げるヴァナルガンドたち。
 斉射され雨の如き光の群れに正広たちは反撃する術もなく、股間を撃ち抜かれていく。
 …………。ん? なんて?
「カロてぃんッ」
「ヴェタッ!」
「にぃんじぃいんさああんっ!!」
「キャロォッ!」
 意味不明、あるいは意味の分かりやすい叫び声とともに床に転がっていく正広軍団。
 股間のブリーフは弾け飛び、やはり観衆視聴者を意識してか全ての妖精さんはうつ伏せだ。
「ヒーローズアース。世界が世界だし、パンツもきっと未知の素材で作られてる可能性もあるから、しっかり鎧を砕ける出力にしたよ」
 ただの変態じゃねーか。
「変質者に慈悲はない」
 そうでした、変態は彼らでした。
 さも当然のようにその格好でこの世界に溢れている為に忘れられがちだが、彼らは皆が一様にマッチョマッシブかつ無毛で橙色の体に紫色の【しんせんやさい】と書かれたブリーフを履き、乳首には半額セールのシールを、頭上にはハイロゥよろしく人参の茎を浮かべ、背中にはそれこそ天使の羽の輝く粒子を放っている。
 真夜中に裸をコート一枚に隠す紳士諸兄が憤慨するレベルの大変態なのだ。

●善には慈悲の湿布を、悪には無慈悲の鉄槌を。
「というか、……新鮮野菜なのに半額ってどういうことなのさ……その矛盾を万人が納得するように説明してもらいたいね。
 いやその前に農家に土下座して?」
「いやこれは農家の皆さんによる新鮮野菜セールなるもので、豊穣感謝を表す為にあえて半がおぶぅっ!」
「黙って喰え」
 残念だが頭ちきん製ヒーローズアース百科事典ことカレイダーの発言は認められていない。
 平和的かつこの世界の平和への想いが込められているであろうセールの実態を知った屍姫の目に、僅ながら怒りが灯る。
 農家の皆さんの想いを踏みにじる変態軍団・正広。その存在に慈悲を与えるつもりはなくなった。元より与えるつもりがないのは量産されるうつ伏せ正広の姿から予想はされるが。
「股間を砕かれたなら本物の妖精さんになってるはずだね。
 心を入れ替えたならこの男性用ビキニアーマー【FUNDOSHI】を着るといい」
 別にボク達着れないし、いい感じに処分できるなとか思ってないよ。
 隠せていない本音を述べつつ、床で痙攣する正広の為に白布を放る。慈悲はあった。
「ぬっく、き、貴様っ、サイズが合わんではないかァアッ!」
「【FUNDOSHI】でボディビルが出来るかっ」
「我らが太陽の如き体色に映えるかこんなモン!」
「常識がないのか女! 恥を知れ、恥を――キャロォッ!!」
 非難の嵐に踊場から飛び降りた屍姫は、表情を一切変えずに正広の股間を狙撃銃でフルスイング。
 ビームじゃなくてもパンツって砕けるんだね。やっぱり慈悲なんてないや。
「なんと情け容赦の無い女だっ、――……!
 こ、これが猟兵というものか?」
 今さら気づいたのかお前。カレイダーさん種明かししてたじゃん。
 怯む彼らもすでに残り少ない。駆逐されるのは時間の問題だろう。
 そこでカレイダーが口の中の正広を放り捨てる隙を見計らい、手の中の正広は全身をベータカロチンで覆っていく。
「ぬぅん!」
「ぬめぬめで非常に気持ち悪い!」
 滑りでカレイダーの手から脱出した正広は、床に倒れて痙攣する仲間の体からもベータカロチンを吸収していく。
 百貨店の明かりにも負けぬ輝く光を放つ、真なるキャロライナー正広となった正広は、肩越しに敵の凶光で股間を砕かれていく同胞へ視線を送った。
 その目は苦悩に満ちていた。
「ま、まずいですよイェーガー! あれは【THE・人参】を発動した正広、真のキャロライナーとも言うべき存在です!」
「え?」
 緊迫した声に振り向けば、キャロライナー正広が翼を広げる所である。
 逃亡する。すぐにでも撃たねばならぬ状況の中で、キャロライナー正広は瞬く間すらなく光となって百貨店の奥へと消えていった。
 なんという速度。さしもの猟兵であっても対応するに難しかっただろう。
「くっ、しかし、まだ大丈夫です。キャロライナー正広が正広から離れてベータカロチン・パワーを失えば元の正広に戻ります。
 ですから奴は逃げ、再び増殖するつもりでしょう。奴の行きそうな場所は事前にサーチしています、早く奴を追って止めを刺しましょう!」
「待って、無理をしないで」
「こ、これしきの事で!」
 四十肩に痛む肩を押さえるカレイダーを押し止め、屍姫は伊敷・一馬から秘かに手渡された秘密道具の一、湿布を貼る。
「……すみません、役立たずなロートルで……」
「そんなことない、あなたは出来る事をしてくれた。今もそうだ、正義を為している。
 善(せいぎ)には慈悲を、悪(へんたい)には無慈悲の鉄槌を。それが、ヒーローだよ」
 それが、ヒーロー。
 屍姫の言葉を胸中で反芻する。
 湿布を張り終えたカレイダーは、以前にも増して元気を生じ、朗らかな笑みを見せた。
「ヒーローとして、そしてカレイダーとして、今出来る精一杯に誇りを持てるよう、今日も頑張りますぞ!」
 さあ、追撃だ。
 数歩走った所でヘルニアの痛みを思い出して崩れたヒーロー。その腰に湿布を貼りつつ屍姫は思う。
(背中向けてたから股間攻撃できなかったな~)
 と。
 …………。カレイダーには絶対に言わないであげてね?

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
……大変な事になってるっていうから来てみれば

いやコレ単なる変態集団じゃねーか!!
(心の底からの叫びと共にジャンプキックエントリー)

◆SPD
ひとまず、こいつら片付けないと話が進まない事は分かった
あ、カレイダーさん。ちょっとそのおろし金お借りしても?

まぁ、あれだけの数のキャロライナーをおろしたら
流石に肩か腕が死にかねないけど……

―それは、『人力だったら』の話だ

UC発動。召喚したゴーレムの一体におろし金を持たせて
残りは敵集団にけしかけ捕縛、後にすりおろしの刑

地味な上に、攻撃したらR指定の絵面になるって問題はあるが……
まぁ、周囲に余計な被害が出ないのはいいかな
(キャロライナー達の叫びは聞こえないふり)


ルドルフ・エルランゲン
※アドリブ絡み大歓迎

その戦術眼!、分析力!、世界知識!、経験!、出資者への配慮!
体力の限界で一線を引いたとしても、まだヒーローとしての道がある!

■エレクトロレギオン(Wiz)
カレイダー、正義の心がある限り、戦えるのです
私のレギオンの指揮権を一時的に譲渡します
貴方の采配で敵を駆逐してください

…どうです?、貴方の指揮能力、ご自身で納得されました?
ヒーローのネットワークを構築して組織化すれば、司令官というヒーローです
時間は誰にも平等、華麗な戦士ではなくなり人気を落すのは仕方ない事です
だが、頭髪の薄れは髷でも結えば個性として誤魔化せる。出た腹は貫禄だ
胸を張れ!、貴方はヒーローを纏めるヒーローとなれ!


鳳鳴・ブレナンディハーフ
(第二人格)
変態を呼ぶのは誰だあ!
そう、僕こそ露出狂の変態、ブレナンディハーフ!

変態同士は惹かれ合う……
この僕を惹きつける変態性、確かに感じ取った

とうっ!(高所から飛び降りたのではない、服を全部脱いだのだ)

(対正広)
……そのシール……クールだな……
下さい!

●戦法
敵の放った人参を
『尻で受け止める』アッー!

ふっ……これで『人参』は『人参(意味深)』になった

言い換えれば、『変態した』

キミの人参(意味深)を僕の桃(意味深)に突っ込んだのだ!
さあ、次は!

食べる(意味深)
いただきます……

(ダークヴェンジャンスを使って殴るだけ)

●対カレイダー
たまには良識を捨ててフリーダムになってみるんだ!
さあキミも!



●燃え上がれカレイダー!
(これはマズい、……マズいですよ……!)
 店の一角にある陳腐なおもちゃ売り場を占領したかの如く、無作為に増える正広の群れにカレイダーは切れる息の為に声をあげるのもままならなかった。
 もうひとつの発生予測地点に猟兵を向かわせた為、今、正広の対処をできるのは彼一人。しかし予想を遥かに上回る勢いで増えた正広を駆除するには、彼一人の力では重すぎる。
 分かれた猟兵が戻らない所を見るに、そこでも正広の軍勢が展開されているのだろう。最悪のパターンだ。
 しかし。
 ――善には慈悲を、悪には無慈悲の鉄槌を。
 ――それが、ヒーローだよ。
 猟兵の残してくれた言葉が、枯れかけていたの彼の心を真っ赤に燃やしている。
 かっこ書き? ルビ? 何の話だい?
「そう、私は……枯れても老いても……!
 正義のヒーロー、カレイおぶぅっ!」
「黙って喰え」
 天を見上げ、腕を組み。イースター島に佇む胸像の如く、ぬぅんと唸りそうな顔は、見ようによっては切なげで。
 新生、否、新鮮正広軍団は艶々の肌と煌めきを棚引かせて息を整えたばかりのカレイダーの咽頭へ突撃した。言わせてやれ。
 見栄すら切らせてもらえないカレイダー。それどころか咽頭に突き刺さる新鮮正広を抜こうにも腕が上がらない。
 しかしその程度で逆境では、もはや彼の闘志を消沈する鎮火させる事など出来はしない。
「ほぐん!」
「ニンジィッ!」
 ごりり、と新鮮なお野菜を生でいただく様な豪快かつ爽快な音を響かせる二重顎。
 勝利の為ならばベータカロチンの過剰摂取も厭わない、悲壮な決意がそこにはあった。
 しかし。
「おぉうッ。ぐ、はあ、はあ」
 不意にえづき、片膝をつくカレイダー。
(こ、こんな時に、逆流性食道炎がっ。治ってはいなかったという事ですか)
 口許から溢れた橙色の液体をぐいと拭い、カレイダーは息も荒く、ハイパーおろしがね受け皿付ウルトラモードを手に立ち上がる。
 力が欲しい。彼は願った。迫り来る若かりし頃のあの日の様に。
 不屈の闘志を叶える為の、不滅の正義を体現する為の力が!
「終りだ、ヒーロー」
 背中の羽を広げ、次々と突撃姿勢へ変じる正広の攻勢は、店の証明を浴びて、まるで主の命を受けて最後の審判を下さんとする御使いの如く。
 いや、やっぱりライトでてかるマッチョの変態軍団がオヤジ狩りしている様にしか見えんね。
「――大変な事になってるっていうから来てみれば……」
 側方から響く声に、中年の反射神経が追い付く前に。
「コレ単なる変態集団じゃねーか!!」
 心の底から本心真心こもった魂の叫びと共に、飛び狂う正広の群れを、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)はジャンプキックでまとめて叩き落とした。


●求めよ、さらば(望むものと限らないが)与えられん。
 豪速の跳び蹴りで正広を叩き落としたハルマは、そのまま着地と同時に反転、身を屈めて両足とトンファー型のガジェット【魔導蒸気式旋棍】で減速を図る。
 滑走する間も油断なく睨み付ける眼光は、状況を飲み込めていない正広に向けられていた。
「き、君は?」
「あ、ども。月凪・ハルマ、猟兵です。よろしくです」
 静止すると軽く息吹き、ハルマはカレイダーの問いに答えて笑みを見せた。
 蒼い羽織を翻し、風で脱げかけた帽子を被り直す。
「新たなイェーガー! なんと心強い!」
「ぬぅん、新手のヒーローか!」
「いや、イェーガーだって」
「ぬぅん?」
 浮き足立つ正広に告げるか、皆一様に首を傾げるだけだ。
 なんと苛立つ光景か。ハルマの頬も思わず引き吊る。一先ず彼ら、正広を片付けねば話が進まない事は分かったとカレイダーへ視線を向けた。
「カレイダーさん。ちょっとそのおろしがねお借りしても?」
「もちろん、構いませんよ。しかしあの数の正広をおろすには、もはや、私の腕では……ハルマ君も私と同じ運命を辿る事になりますよ……!」
「まぁ、あれだけの数の正広をおろしたら流石に肩か腕が死にかねないけど」
 ハルマは未だにイェーガーという単語について議論をしている正広たちを一瞥してから、カレイダーへ笑みを向けた。
 肩や腕へのオブリビオン的な負担――それは、『人力だったら』の話だと少年は言う。
「ユーベルコード始動、【魔導機兵連隊(レジメント・オブ・ゴーレム)】!
 皆、出番だ!」
 ハルマの喚び声を受けて現れた、四十に迫ろうかという小型魔導機械式ゴーレムの軍勢。
 その光景にカレイダーはなるほどと頷き、ハルマは武器が足りていないかと困った様子だ。しかしカレイダーは悩む彼へ心配無用と親指を上げた。
「こんな事もあろうかと。…………、ふう。カァアムヒアッ、シジュウカッター!」
 一度、息を整えてから叫んだカレイダー。
 人差し指を天に向け、余った腕は腰に、大きなお尻をぶるんと振ってポーズを決めた男の呼び声に応えるべく、店内のショウウィンドウを凪払い、大型の冷蔵トラックがエントリー。
 車体にシジュウカラのイラストの書き込まれており、その下にはシジュウカラ運送の文字。
 ポーズを取るカレイダーの前ぎりぎりに車を止めて、運転席から銀行強盗にでも行きそうな目出し帽の黒ずくめが顔を出す。
「待たせたな!」
「いや、いいタイミングですよ」
 笑顔を浮かべるカレイダーに対し、誰だこの犯罪者とゴーレムに攻撃準備をさせるハルマ君。車を攻撃するのは危ないから止めてくれ。
「紹介します。この方は私の相棒(サイドキック)、シジュウカッターです」
「初めましてだな、イェーガー。ちなみに名前は見ての通り勤続四十年になる会社の名前からだ。四十肩だからじゃねぇぞ!」
「ど、どもです」
 カレイダーより灰汁のありそうな語り口調で笑い飛ばすサイドキック・シジュウカッター。彼が開いたトラックの中には、大量のおろしがねが並んでいる。
「好きなのを使いな!」
「ありがとうございます!」
 ばちこんとウインクするシジュウカッターに、ハルマはお礼を言うと冷蔵庫内のおろしがねをゴーレムたちへ配っていく。
 若者の後ろ姿を見つめ、シジュウカッターは見た目通りの若さを評価した。
 それはカレイダーも同じくで、同時に自らの時代の終わりを悟った様でもある。
「ひとつの時代の終わりか」
「幾ら血潮を滾らせても、体がついていきません。老兵は去るのみ、やはり後続のヒーローたちへ全てを任せるべきなんでしょう」
「さて、それはどうでしょう」
『ふぁっ!?』
 突然の第三者に振り向けば、白を基調とした気品ある服装に眼鏡をかけた男、ルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)がそこに立っていた。
「あ、あの、どちら様で?」
「少しお話をしましょうか、カレイダー」
「いやあの」
「時は金なり、時間を無駄には出来ません」
「あっはい」
 眼鏡をきらりと光らせて妙に迫のあるルドルフに、一言名乗ればいいじゃんという言葉をカレイダーと共に飲み込み黙るシジュウカッター。
 その様子によろしいとばかり、ルドルフは明後日の方角へ体を向けた。
「カレイダー、私はあなたの手腕を拝見し、そしてその実力を高く評価しています」
「はあ、ありがとうございます」
「……こいつ男が趣味なんじゃねえか……?」
 声を潜めるシジュウカッターに、刺激するなとアイコンタクトを取るカレイダー。
 そんな二人のやりとりを知ってか知らずかルドルフはたっぷりと間を取って振り返る。
「カレイダー、私はあなたを評価しているんです」
「わかってるって、それさっき聞いたゾ」
「いいや、あなた方は分かっていない!」
 やおら張り上げられた声にびくりと震えるおっさんズ。情けないぞ。
「その戦術眼! 分析力! 世界知識! 経験! 出資者への配慮!
 体力の限界で一線を引いたとしても、まだヒーローとしての道がある! 全てを後に任せるなどととんでもない。あなたが何もせずに、今、去る事はどのような悪にも勝る悪!
 カレイダーさん、あなたにはまだすべき事があるのです」
「……名無しの権兵衛さん……!」
 ルドルフです。そう、彼は感銘を受けて震える腹を従えるオヤジに漸くと名乗りを上げた。
 更にルドルフは、自らの軍勢の指揮権をカレイダーに譲渡する事を宣言。
「私のレギオンの指揮権を一時的に譲渡します。貴方の采配で敵を駆逐してください。
 カレイダーさん、正義の心がある限り、戦える事。それを全てのヒーローに、あなたが示して下さい」
「…………。分かりました、ルドルフさん。私はやってみせましょう!」
 ルドルフ・エルランゲンより受け取った小型の戦闘用機械兵器の群れがカレイダーの足下に集う。
 準備は万全とばかり、おろしがねを配り終えたハルマの姿を確認してカレイダーは正広の軍団へ視線を向ける。
「私に作戦があります。皆さん、私に力を貸おぶぅっ!」
「黙って喰え」
 助力を願うカレイダーの咽頭へ、長い間を待たされた正広が突進した。


●正広軍団、決着の時。
『カレイダァァアッ!』
 床の上に仰向けに転がるヒーローに、その場にいた全ての人間と人参が叫ぶ。何でお前らまで叫んでんの?
「くっ。皆、正広を倒せ!」
 ハルマの言葉に反応してゴーレムたちは正広へおろしがねを手に立ち向かうが、空を舞い飛ぶ正広を捕らえる事が出来ない。
 捕まえてしまえばこちらのものだが、それまでのステップが足りないのだ。
「俺のスピードなら追い付けるけど、増える量に対して倒す速度が間に合わない!」
 それでもやるしかない。
 手裏剣を構えたハルマに対し、しかし待ったをかけたのはカレイダーだった。ルドルフに助け起こされたカレイダーは、口の中にいた正広の処分を相棒に任し、考えがあるのですと語った。
「必要な作戦はふたつ、そして必要な力をあなたたちイェーガーからお借りしたいのです」
「分かりました」
「ええ、お任せ下さい」
 頷く二人の装備を確認し、カレイダーはこれならば、正広を殲滅できると強い笑みを見せた。
 作戦の内容を手短に説明した後、まず始めにカレイダーはサイドキック・シジュウカッターに声をかけ、トラックの冷蔵庫へと二人で乗り込む。
 トラックの運転席に座るのはシジュウカッターから説明を受けたルドルフだ。
「いいか、直線以外は減速して構わねえ、あんたの〝作戦に必要な場所〟を回ってくれ!
 大型車の運転には癖がある、さっき話した点だけ注意してくれよな!」
「お任せ下さい。行きますよ、ハルマさん。作戦の要は私たちです」
「了解です、ルドルフさん!」
 同胞の言葉に力強く頷き、ハルマは壁を蹴って二階へ駆け上がると、ゲームコーナーとその付近を一望できる場所へ陣取った。
 ゴーレムたちが正広の軍団を変わらず追いかける中、準備は出来たと合図するハルマ。少年とルドルフは互いの通信機器で連絡を取っている。
「覚悟はいいですか、シジュウカッター」
「ふん。お前こそヤラれんじゃあねえぞ、カレイダー」
 おっさんズはにやりと笑い、そして大口を開けて叫ぶ。
 正広たちの気を引くためだ。
「来いっ、正広ども! ベータカロチンなどなくても人々は生きられると教えてやる!」
「どんな栄養も取りすぎればただの脂肪、余分なものは削り取る、それが人間界のルゥウルなんですよーっ!」
『ぬぅんッ?』
 彼らの言葉に複数の正広が反応を見せた。しかし様子がおかしい。
 誰もが戸惑いの色を顔に浮かべながら、走り出すトラック目掛けて飛んでいく。
 開け放した冷蔵庫、そこに乗るおっさん二人に引き込まれる正広軍。
 それは彼らの口腔に秘密があった。度重なる咽頭への突撃と、正広をピーッした際に起きた胃袋の内容物が逆流した事でカレイダーの口腔にはベータカロチンが、シジュウカッターもまた、直前に正広をブブーッした事から口腔にベータカロチンスポットを発生させている。
 これにより、ベータカロチンの申し子とも言うべき正広は、二人の待つ冷蔵庫へ吸い込まれていった。
『黙って喰え』
『おぶぅっ!』
 その咽頭に深々と突き刺さる正広たち。狭い場所を駆けるトラックに正広から逃れる術はなく、あっという間に冷蔵庫は正広でぎっちりと埋まる。
 入れなかった正広たちはゴーレムが未だに追いかけている状況だ。
 そこで内部へ突入するのは、車体の裏に隠れていたレギオンの群れ。
「こんな代物で、正広が止められるものか!」
 鼻で笑う正広たちが攻撃をしかけるが、主に突進をその手段とする正広らにとって十分な加速を出せない正広は上手く攻め切れない。
 しかし、それはお前たちも一緒だと正広は笑う。
「この中ではゴーレムも上手く身動きできまい。故に小型の戦闘機械の使用、状況に合わせた判断と褒めてやっても良いだろう。
 ……相手が我ら正広でなければな……!」
 戦闘用機械では正広駆除には殲滅力が足りない。そして手間取る程に正広は増えていく。
 不利なのは貴様らだと高笑う正広に対し、彼らが攻撃に移った事で出来た隙間から外へと突破するおっさんズ。
 口の中にぎっちり詰まった正広はグロテスクなので描写はさけるが、とにもかくにも脱出に成功した二人を認めたハルマの合図でルドルフは車を止めた。
「ぬぅんッ?」
「正広、やはり勝つのは我々だよ」
 ルドルフはそう告げると、車内を縦横無尽に駆け回り始めた機械の群れに敬礼し、冷蔵庫の扉を閉めた。
 次の瞬間。
「キィイェアロットゥウウウ!」
「ニィンジィイイ!」
「ベベペェウトォウアァ!」
 断末魔の絶叫が大きく揺れる車内から放たれる。
 やがて静かになったドアを開くと、中にはシャーベット状の橙色の液体と機械群が鎮座していた。
 その様子に気づいた正広は、カレイダーを筆頭とする猟兵らの作戦に思わず呻いた。
「ぬっく! なるほど機械の群れを高速回転し、我ら正広をミキシングし、更に余ったベータカロチンで我らを再びおびき寄せようとするその作戦! 素晴らしい手腕だ。しかし!」
 正広たちの体に光が集中していく。
 引き寄せられるのならば、引き寄せられないようにするだけのこと。散乱するベータカロチンを集めるべく燦然と輝く正広に対し、勝つのは我々と言ったはずだとルドルフ。
 彼の合図を受けて、ハルマは加速用ブーストエンジンを本体に取り付けた大型のチェーンアンカー、その名も【破砕錨・天墜】を天井目掛けて発射、天板をはがして店内に落とし、即席の壁とする。
「ぬぅんッ!」
 突如現れた壁に飛行方向を変える正広たち。ゴーレムに追われ、彼らが選んだ飛行ルートで、ルドルフがトラックを運転しながら撒いた【霊符】、その破魔の力が光を発して空を舞い、網の如く張り巡らされた力が正広を痺れさせ撃墜させた。
 撃墜してしまえばもう、残る道はひとつしかない。
 おろしがねを手に佇むゴーレムの群れ。後は分かるだろう。
 R指定故にカットだ。


●ヒーローは、遅れてやってくる。
 全てが終わり、カレイダーはシジュウカッターを見送った。振り返れば半壊した八百屋があり、ひどい有り様の自分がいる。
 右腕は痛みに上がらず、腰も痛ければ胸焼けも酷いと、咽頭へ立て続けに受けたダメージも合わせ満身創痍に近いものだった。
 しかし、カレイダーの心は晴れやかだった。
「どうです? 貴方の指揮能力、ご自身で納得されましたか?
 その力を存分に発揮し、ヒーローのネットワークを構築して組織化すれば、司令官というヒーローとなるでしょう。
 時間は誰にも平等、華麗な戦士ではなくなり人気を落すのは仕方ない事です。
 だが、頭髪の薄れは髷でも結えば個性として誤魔化せる。出た腹は貫禄だ。
 胸を張りなさい! 貴方はヒーローを纏めるヒーローとなれ!」
「…………。ありがとう、イェーガー。私は、大事な事を思い出したよ」
 ハルマ、ルドルフ。彼らの行動により再び自信を得たヒーローの姿がそこにはあった。
 老若男女など関係がない。燃える正義一輪胸にあれば、その時、人はヒーローとなるのだ。
「私はもう迷わない。その心を思い出させてくれたからこそ、私は――」
「――黙って喰え」
 終わったと思っていた三人の隙を縫い、瓦礫から現れたキャロライナー正広が飛来する。
 誰もそれを止めるのが間に合わない、完璧なるタイミング。
 すでに限界を迎えたカレイダーの咽頭に、惨劇による幕引きが脳裏を駆け巡る。
「お゛ふぅんっ」
 野太い声が上がる。
 天を見上げ、腕を組み。イースター島に佇む胸像の如く、ぬぅんと唸りそうな顔は、見ようによっては切なげで。
 過剰なベータカロチンをその身に宿し、てっかてかになったキャロライナー正広の姿がそこにはあった。
「この勝負、負けを認めよう。しかしヒーロー、お前の咽頭は…………ぬっく!?」
「……はっ……?」
 驚きに震えるキャロライナー。自らの咽頭の無事に驚くカレイダー。
 そして彼は気づく、彼の前に勃つ存在に。
(身を呈して、私を守ってくれたのか)
 視界を埋める肌色に、お礼を言うべく口を開いたカレイダーの動きが止まる。
 眼前の光景に理解ができず。それは彼より離れた位置にいる猟兵たちも同じであった。
「変態を呼ぶのは誰だあ!
 お待たせしましたよいこの皆様、そう、僕こそ露出狂の変態、ブレナンディハーフ!」
「呼んでねーよっ!? いや確かに叫びはしたけど!」
 ハルマの全力の突っ込みもどこ吹く風、露出とかそんな話ではなくただただ全裸の男、鳳鳴・ブレナンディハーフ(破戒僧とフリーダム・f17841)は光る頭部に負けない爽やかな笑みを浮かべ、そそり勃つデラックスぱおーんさんをカレイダーへ突きつけていた。
 余りの光景に頭の処理が追いつかず、完全に停止しているカレイダーと、変態が増えたと嘆くハルマ。
 ルドルフはとりあえず眼鏡型電脳ゴーグル【スマートデバイス】で記録を録りつつ、彼らの位置からでは確認できない、キャロライナーがどうなっているのか問う。
「……どうなったか……だって……?
 彼の人参(意味深)を僕の桃(意味深)に突っ込んだのだ! つまりどういう事かと言うと」
「いや、うん。仔細は要りません」
 詳しく説明しようとするブレナンディハーフの言葉を遮るルドルフ。
 見出しを見た方は理解するだろう、遅れてやってきたヒーローが彼なのだと。この様な人間がヒーロー足り得るのか?
 そう、足り得るのだ。
 真人間で僧侶の主人格〝鳳鳴〟と、変態の第二人格〝ブレナンディハーフ〟。この二つの人格が一つの肉体に共存する事で変態行為の結果悪を倒すダークヒーロー、鳳鳴・ブレナンディハーフが爆誕生したのだ。
 故にブレナンディハーフは悪を撲滅する。彼もまた、ヒーローなのだから。
 桃(意味深)の間で踠くキャロライナー正広を見下ろし、ブレナンディハーフは歯をきらりと光らせた。
「……そのシール……クールだな……下さい!」
「ぬっく、うぬうッ。何をたわけた事を、変態めが!」
 橙色に紫ブリーフで男のケツ(直球)に埋まってる変態がなんか言ってるぞ。
「変態同士は惹かれ合う。この僕を惹きつける変態性、確かに感じ取った。故に僕はここにいる!」
「おのれ、破廉恥な全裸と我ら正広を同列で語るとは、これが人間か! ならば今すぐにでも――」
 八つ裂きにしてやる。
 そう言おうとした正広の体が引き込まれる。余りにも異様な感覚に目を見開き、ブレナンディハーフを見上げる。
 当のブレナンディハーフは空を見上げ、微笑みを浮かべていた。
「いただきます」
 それは、余りにも理解を超えた言葉。シンプルであり理解に易い単語だからこそ混乱を呼ぶ。
 あり得ない。キャロライナー正広は叫んだ。
 しかし余裕を崩さぬブレナンディハーフ。それが正しいと言うかのようにキャロライナー正広の身体は桃(意味深)の中に引き込まれる。
「変態とはどういう意味か知っているかい? 世の理を打ち破り出来ないはずの事、すべきでないはずの事をついついやってしまう事なんだよ」
 つまりはそう、変態とは不可能を可能とする。世の理に縛られない自由の力なのだ。
 ブレナンディハーフの言葉。だが正広はもはや答える事もできず、桃(意味深)の中へと消えていった。
 こうして、最後のキャロライナー正広は退治られたのだった。
 彼は自らの腹の具合を確かめる様に、ぐるんぐるんと体を回して異常の有無を確認する。
「ふっ、良い調子だ。キミも見たね? 自由の力を!
 たまには良識(主に衣服)を捨ててフリーダムになってみるんだ! さあキミも!」
「…………」
 暴れるデラックスぱおーんさんを従え迫るブレナンディハーフ。
 己の理解を超えた光景に、肉体の消耗も合わせて遂にカレイダーの意識は奈落の底へと堕ちて逝った。
 どうしてこうなった。そう考える者はいるだろうか。
 私も思う。なぜこうなった。だが現実は、こうなってしまったのだ。意識を失ったカレイダー、その運命や如何に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『悩めるヒーロー』

POW   :    体を動かし悩みを散らす為、特訓に付き合う

SPD   :    何が足りないのか、アドバイスをする

WIZ   :    聞き役に徹し、カウンセリングをする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
ラウンツ・ハーリッシュ
君に足りないものは、それは! 情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!…個性が足りない!!!いや知らないけど☆
ヒーロであるなら他人にはない唯一無二が必要だと思うんだよね。例えば僕なら、このケモミミを(懐からすっと取り出す)こうして(創具展開で増やす)あとは敵味方問わず周辺に飛ばして装着させたりね。先の正広を思い出してほしい。彼らにこのケモミミを着けたらどうなるか…考えただけでも恐ろしいね☆僕は楽しいからいいんけど♪(敵味方問わず隙が作れるのは黙っておこう)
強靭な肉体や崇高な信念も大事だけど、アイデンティティとも言える唯一無二を探すのも重要だと思うよ僕は


鳳鳴・ブレナンディハーフ
●アドバイス

脱げ。

ふっ…解説が必要なようだね

キミの一番ダメな所は『コスチューム』だ

いいかい、見た目にインパクトを与えたいなら、普通ってのが一番ダメだ!

そこのところは刺激的でなくてはいけない

まず顔は隠すんだ
マスクドヒーローは基本だ

それから武器
そして必殺技
これらをわかりやすくて派手なものにするんだ

キミは中身は優秀なくせに形をおろそかにしすぎている!

当事者以外にとっては、ヒーローはエンタテイメントなんだ

というわけで……
まずは服をすべて脱ぎ捨てて
覆面で顔だけ隠す

決め台詞は「ののしって下さい!」だ

コンセプトは『M奴隷』
今日からキミは『スレイヴM』と名乗れ!


月凪・ハルマ
いやまぁ、あの状況じゃ気を失っても仕方ないです

ひとまず【医術】技能でカレイダーの状態を確認
必要なら携帯式医療キットを使って手当もしておこう

うーん……とにかく健康状態の改善は必須ですかねぇ
ヒーローに限らず、どんな仕事でも体が資本ですから

……見た感じ、今回の件を抜きにしても大分疲れが
溜まってるように見えます。十分な休息は取れてますか?

ま、今はひとまず眠りましょう。睡眠は大事ですよ?
下手に薬で症状を抑えたり、栄養を取る為とか言って
あれこれ食べたりよりも、質の良い睡眠をとる方が
体の調子を整えるには余程効果的なんです

って訳で【ガジェットショータイム】で
リラクゼーションベッド召喚
こいつで一休みしてもらおう



●お見舞い行こうぜ!
 ヒーローズアースのとある病院。一見どこにでもありそうな、いや何べん見直してもどこにでもある普通の病院を見上げて、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は伊敷・一馬から渡された地図を羽織の袖に収めつつ、見舞いの品はこれでいいかと手元に下げたみかんの詰め合わせを見下ろした。
 キャロライナー正広との戦いで傷ついたカレイダーは現在、病院に入院している。とは言え検査入院であり、重症という訳ではないようだ。
 最後の一体を倒した後、力尽きたカレイダーも体力だの精神だのの状態故であって問題はないが、気絶は気絶。その後の迅速な猟兵の行動により病院まで送り届けられた。
(いやまぁ、あの状況じゃ気を失っても仕方ないですけと)
 男でも辛いであろう状況を思い出してハルマは想わず目を閉じた。
 それはさておき、活躍したとは言えヒーローも人間だ。こういう場合、目立たない病院へと入院し、ヴィランの目に留まらぬよう配慮されている。
 面会については通常、難しい部分もあるのだが、今回は共闘したこともあり猟兵の名を予め通しているので簡単に面会できるとは一馬の談である。
 ともかくも、問題なくカレイダーの病室にたどり着いたハルマであったが、個室から響く喧騒。
 敵襲と判断した少年はノックする間も惜しく扉を開く。
「てめえ、オヤジをおちょくってんのか!」
「なぜだい!? 僕はただカレイダーにアドバイスをあげているだけじゃないか!」
 あからさまに一般人と争っているのはラウンツ・ハーリッシュ(黄昏の獣試作02式【TYPE-D/Fenrir】・f10078)だ。仮面をつけていること、その口調から中でも蛇という人格のようだ。
 慌てて仲裁に入り、彼の胸ぐらを掴む金髪の少年を引き離す。
「ちょっとちょっと、病院ですよ、なにしてんですか!」
「離せ! この野郎、オヤジに向かって『情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ』が足りないとか言いやがったんだ!」
「……割とストレートに煽ってる……!」
「はっはっはっ、嫌だなぁ。
 『そしてなによりもォォォオオオオッ!!
 …………っ、個性が足りない!!!』が抜けてるよ。これが一番大事だからね♪」
「めちゃくちゃ煽ってる!?」
 驚くハルマに対して、まあ知らないけど、と自分の発言を根底から投げっぱなしにした男の言葉に、やはり馬鹿にしているのかと怒り狂う少年。
 件のカレイダーはベッドの上で困惑した視線を向けているが、やがて少年をタカシと呼び、落ち着くように言う。
「すまないね。息子も悪気があったわけじゃないんですよ」
「あいつは悪気しかねーだろ!」
「ははっ☆ミ」
 星を飛ばす道化師に、大人しくしているようハルマは懇願しつつ、カレイダーの容態を確認する。
 外的傷はないようだが、軽度の記憶の混乱があるようだ。具体的には正広たちとのラストバトル付近の記憶が曖昧らしい。
 だがこれについては、放置していてもすぐに記憶は戻るだろう。
(戻ったほうがいいのかは、知らないけど)
 てきぱきと診断を下すハルマに、医者の卵だろうかとタカシは興味津々だ。
「君、カレイダー、尾登・三大さんの息子さん?」
「あ、ああ、そうだ」
「ちょっと立ち入った話になるんだけどさ」
 帽子を目深に被ってハルマ。
 彼の所見では、今回の件を抜きにしてもカレイダー疲労は大きく、回復仕切れている様子にも見えない。グリモア猟兵の予知の内容からすれば、タカシはこの状況に心配になって飛んできたといった所が、普段の様子を見るに会話もないのだろう。
 このままだと肉体的・精神的疲労から倒れる可能性とてある。
「じゃあ、とうすれば……?」
「ま、今はひとまず眠りましょう。睡眠は大事ですよ?
 下手に薬で症状を抑えたり、栄養を取る為とか言ってあれこれ食べたりよりも、質の良い睡眠をとる方が体の調子を整えるには余程効果的なんです」
 なんだそんな事か。
 胸を撫で下ろすタカシに、それがまた難しいのだという言葉は飲み込む。見れば簡素なベッド、カレイダーの為に特注された物でもない。
「ようし、【ガジェットショータイム】!」
 疲労と戦うヒーローの為に召喚されたのはリラクゼーションベッド。一晩眠れば疲れも吹き飛びそうな柔らかな材質と素肌に馴染むシルクの手触り。
 パイプベッドでは味わえないような高級感に、タカシは見惚れていたが我に返ると父に肩を貸してベッドを移動させる。
「おお、これは凄い! まるで……天にも昇るかのような心地好さ……! 感謝しますよ、イェーガー」
「別にいいですよ。しっかり休んで、また頑張って下さい」
 手土産のミカンをベッドの脇に置いて、せっかくの家族の団らんは邪魔しないと退室しようとするついでに蛇に声をかけた。
 しかし彼は、自分はアドバイスに来たのだと蛇は帰るのを拒んだ。
「今後の事、まだヒーローを続けるつもりなら、唯一無二が必要だと思うんだよね」
 意外にもまともな指摘である。
 例えば用意したケモミミをユーベルコードで複製し、周辺に飛ばして敵味方問わず装着させたりなど。
 ハルマはこれが先の戦いで起こらなかったことに安堵した。
 大量に増殖を繰返す橙色マッチョがケモミミで溢れかえっていく姿。
 考えるだけに恐ろしい。
「強靭な肉体や崇高な信念も大事だけど、アイデンティティとも言える唯一無二を探すのも重要だと思うよ、僕は。
 ま、マジメな話もこれくらいで。バイ星(笑)」
 それじゃあ、と片手を挙げた蛇にカレイダーもまた手を挙げて答えた。
 ドアを二人が抜けた後、アイデンティティなるものへとカレイダーは想いを伸ばした。


●こいつは全てをぶち壊す。
 彼らが帰って数分とただずにドアがノックされる。返事を返し、ドアを開きに行くタカシ。
 忘れ物だろうかとのんびり考えるカレイダーはしかし、力なくへたりこむ我が子の姿に目を見開いた。
「敵ですか!」
「……敵……? いいや違うよぉ」
 つつつ、と、ドアの隙間から覗く足。
 やおらドアをばん、と大きく開き、要注意人物が現れる。
「変態を呼ぶのは誰だあ!
 お待たせしましたよいこの皆様、そう、僕こそ露出狂の変態、ブレナンディハーフ!」
「!?」
 鳳鳴・ブレナンディハーフ(破戒僧とフリーダム・f17841)。どうやってここまでやって来たのか、全裸の男は眩い笑みを見せる。
 その姿に失われし記憶の一部を思い起こして、カレイダーの動きが止まる。
 ブレナンディハーフは彼の元まで近づくと、厳かに言う。
「脱げ」
 シンプルかつインパクトな言葉。カレイダーが反応できないでいると、説明が必要なようだとブレナンディハーフは独り笑う。
「キミの一番ダメな所は『コスチューム』だ。
 いいかい、見た目にインパクトを与えたいなら、普通ってのが一番ダメだ!」
 全裸が何を言ってるんだ。
 普通ならば服を着た人間が怒るべき場面だが、記憶にダメージを残すカレイダーには普段の冷静さが失われていた。
「まず顔は隠すんだマスクドヒーローは基本だからね!
 それから武器、そして必殺技。これらをわかりやすくて派手なものにするんだ」
 カレイダーが優秀であることはブレナンディハーフも承知している。だが、だからこそ形を、外面をおろそかにしていると見える彼に、ブレナンディハーフはその股間に滾る熱い想いを伝えに来たのかもしれない。
 服を着てから出直せ。
 腰をぐーるぐーると回す変態はお構いなしに言葉を続ける。
「カレイダー、当事者以外にとっては、ヒーローはエンタテイメントなんだ」
「ヒーローはエンタテインメント?」
「そうさ。……というわけで……まずは服をすべて脱ぎ捨てて、覆面で顔だけ隠すんだ!」
 いや、それはちょっと。
 普通に遠慮するカレイダーに対し、日本人の美徳はわびさびに非ず、世界を沸かせた【HENTAI】であるとしたブレナンディハーフは入院服のカレイダーの衣服を全て剥ぎ取った。
「な、なにを!?」
「さあ、マスクを受けとるんだ」
「…………!」
 しっとりと湿り気を帯び、人肌に温められたマスクをブレナンディハーフがカレイダーへ強制装備。
 男の背中に電流走る。
「ふふふ、いいぞぉ。さあ、見たまえ!」
 どこからともなく取り出した姿見――いやほんとにどこから取り出した?
 カレイダーは姿見に映る自らに衝撃を受けていた。
 ――変質者に慈悲はない。
 ――善には慈悲を、悪には無慈悲の鉄槌を。
 ――貴方はヒーローを纏めるヒーローとなれ!
 次々と浮かんでは消えるあの日の言葉。様子のおかしなカレイダーに気づいているのかいないのか、ブレナンディハーフの言葉は続く。
「決め台詞は『ののしって下さい!』だ。コンセプトは『M奴隷』。
 今日からキミは『スレイヴM』と名乗れ!」
「……スレイヴ……M……?」
「そう、言うんだ、スレイヴM!」
「スレイヴM」
「もっとだ! もぉーっと激しく!」
「スレイヴMッ!」
「まだだ、吼えろ! 気高きデラックスぱおーんさんの如くぅうう!!」
「…………! スレイヴッ、エェエム!!」
 ――善(へんたい)には慈悲を、悪には無慈悲の鉄槌を。
 ――貴方はヒーローを纏めるヘンタイとなれ!
 ――コレ単なる変態(サイコー)集団じゃねーか!!
 ――変態同士は惹かれ合う。待たせたな、同志よ。
 カレイダーの記憶がおかしな方向に組上がっていく。
 これ洗脳じゃ?
「さらばだ、もはや、キミに僕が教えることはなにもない!」
「ええ、ですがまた、私たちは出会うこととなるでしょう。惹かれ合う【HENTAI】の同志として」
 満足そうに去る全裸の男は、気絶している少年が風邪を引かないよう、父親の履いていたブリーフを被せてあげて病室をでていった。
 残るはカレイダー、否、スレイヴM。優雅に午後のティータイムを楽しむ男に明日はあるのか。具体的には離婚調停まったなしの危機的状況を脱する事はできるのか?
 全ては猟兵に託されている。
 …………、大変なことになったぞーぅ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルドルフ・エルランゲン
※アドリブ絡み大歓迎

■お見舞い品:ダンディーが読む素敵っぽい雑誌

全裸に覆面とかおかしいから!?(ハリセンでスパコーンっと)
妻子あるヒーローがなんて格好してんですか!?、戻して戻して!(病院の検査服被せ)

…カレイダーさん、これまでの活動で、他のヒーローを助けた事はないですか?
助けた誰かが、新たにヒーローに目覚めた話はありませんか?

…ヒーローズネットワークを構築し、その知識と経験を生かすのです
…英雄は個人の働きだけを指す言葉ではありません
ナポレオンもネルソンも、他者を指揮して英雄となった…貴方が今から目指すヒーロー像はソレです。

…どうですタカシくん、そんなお父さんはカッコいいと思いませんか?



●THE HERO
「やめろーっ、オヤジ、止めてくれ~っ!」
「離すんだマイ・サン! 私は正義を為さねばならぬ!」
 白目をむき失神する女性、叫ぶ少年、覆面に裸体の男も叫ぶ。病室の中の阿鼻叫喚の光景を、見舞品のダンディズム溢れる中年オヤジの為の素敵雑誌を持つルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は天を仰ぐ。
 仰いでも何も言わぬ見知らぬ天井が広がるばかりだ。
「そんな格好でどうしようってんだ!」
「そんな格好? フフ、マイ・サン、これこそが今のヒーローに求められるエンタテインメント性溢れた、真のヒーローの姿なのだ!」
「いや全裸に覆面とかおかしいから!?」
 雑誌を丸めてスパコーンっ、とカレイダーと思わしき変態の頭部を一撃。
 そこで彼はようやく来訪者に気付いたようで、覆面の下で素敵な笑みを浮かべる。
「おお、名も知らぬお人! あなたの言葉通り、私はヒーローを纏めるヘンタイとなりますよ!」
「何言ってんですか」
「お前のせいでオヤジが!?」
「違いますから!」
 逸るタカシの言葉を否定して、自分が求めたものはヒーローを纏めるヒーローだと訂正する。
 ついでに改めて名乗っておく。
「ヒーローとヘンタイは同義ですよ」
「何ほざいてんですか」
「ルドルフさん、私の姿を見てください。私のどこが、ヒーローでないと呼べるんです?」
「堂々と恥部を晒す人間をヘンタイと呼んでも、ヒーローと呼ぶ習慣はこの人類にはありません」
 キャロライナー正広にすら否定されている世の理だ。
 そうだそうだとルドルフの言葉を支持する息子に、しかしカレイダーは華麗なる笑みを浮かべてどこからともなく取り出したティーカップに紅茶を注ぐ。
 技能【HENTAI】には異次元収納技術を使用できるのがデフォルトなのかな?
「マイ・サン・タカシ、覚えておくといい。ヘンタイとは、そう……ヘンタイとは……!!
 現世の荒野に!! 晒すべき己を晒すことだッ!」
「何抜かしてんですか」
「……かっこ……いい……?」
「いやいやいやいや、騙されちゃ駄目ですよタカシくん!」
 勢いに押されてしまったタカシから説得すべきと判断したルドルフは、少年の肩に手を置いて静かに語る。
 あれはヘンタイであってヒーローではないのだと。
「タカシくん、カレイダーは、いや尾登・三大さんは素晴らしい能力を持っています。多くの経験、実績に裏打ちされた確かな知識と判断力。
 先の事件でもその驚嘆すべき力で彼は多くのキャロライナーを倒し、人を守ったのです。
 ヒーローを纏め、導くヒーロー……その知識と経験を皆のために生かす、それこそカレイダーとして彼が存分に力を発揮するのです。
 決して恥部を晒して紅茶を啜るのがカレイダーのあるべき姿ではありません。
 ……どうですタカシくん、そんなお父さんはカッコいいと思いませんか?
 ……あれはお父さんじゃない、そうでしょう?」
 割と酷いことと良いことを混ぜた高等な話術に、タカシも誤解が解けたようで今のカレイダーがただのヘンタイであることをしっかりと認識した。
「オヤジ。いや、父ちゃん。俺、ヘンタイな父ちゃんなんて見たくないよ!」
「まだ分からないのかマイ・サン! ヘンタイとは常識という衣を脱ぎ捨てた原初足る人類の力を解放する唯一の――」
「馬鹿者ッ!」
 涙目に訴える息子を悪の道へ引きずり込もうとする父親の姿。
 激昂したルドルフは拳を振り上げ、カレイダーは「おぶぅっ!」とぶっ飛んで病室の壁に激突する。
 しかしそこはヒーロー、すぐに立ち上がり抗議のティータイムを始めた。馬鹿にしてんのか。
「いいか、カレイダー。今のお前さんにヒーローの資格はない!
 妻子あるヒーローがそんな格好で、愛する人が傷ついてなお強行しようとするエゴに満ち溢れた姿を、誰がヒーローと認めるんだ!」
「うっく!?」
 痛い所を突かれてティーカップを落とすカレイダー。涙目の息子と全く触れていなかったがあまりの衝撃に倒れてしまった妻を前に、咎める良心は残っていたようだ。
 ケツでニンジンを受け止める真性とは違うのだ。
「…………。カレイダーさん、これまでの活動で、他のヒーローを助けた事はないですか?
 助けた誰かが、新たにヒーローに目覚めた話はありませんか?」
 ――ありがとうよ、カレイダー。俺も今度からはお前を助けてやるぜ!
 ――ありがとう、父ちゃん。僕も父ちゃんみたいなヒーローになりたい!
「……シ、シジュウカッター、タカシ……! 私は……!」
「重ねて言いますが、ヒーローズネットワークを構築し、その知識と経験を生かすのです。英雄は個人の働きだけを指す言葉ではありません。
 ……ナポレオンもネルソンも、他者を指揮して英雄となった……貴方が今から目指すヒーロー像はソレです」
「ヘンタイを纏めるのではなく?」
「ヘンタイから離れろってんだ馬鹿野郎」
 私は間違っていたのか。
 ルドルフの熱い激励を受けて、がっくりと膝から崩れ落ちる。汚い画面である。
 カレイダーは自ら入院服を羽織り、覆面を脱いだ。一生ものの間違いを犯した中年の男の顔は、それでもどこかさっぱりしているようだった。
「イェーガー・ルドルフ、あなたにはまた、助けて頂きました。
 一度はくじけそうになった私の心を、そして今度はヘンタイになろうとした私の心を。
 二度も、弱き私を救ってくれました」
「何を言うのです、カレイダー。私はあなたがヒーローとして人々を助けることが、一番私たちがこのヒーローズアースで戦う上でもプラスになると考えているだけですよ」
 にっこりと笑って、ちょっとシワの寄ったダンディズム雑誌を手渡す。
 これは、と訝しむカレイダーへ、すぐに必要になるものだとルドルフは笑って背を向けた。
 改めて礼を言うように、その背に向けて深々と頭を下げるカレイダー。同じく頭を下げるタカシ。
 残るは倒れた女性と三人で、嵐となった病室には清廉潔白な風が吹いていた。
 ありがとう、ルドルフ・エルランゲン! 正義の心を持つ猟兵により、彼は誤った道から踏み止まる力を得た。
 後は奥さんを説得するだけだが、それは家庭の事情であるためここは控えよう。
「……私の……私の進むべき道は……!」
 カレイダーは大きな過ちを犯したのかもしれない。
 しかしこの日この瞬間こそ、カレイダーが新たな自分という確固たるイメージを築いた瞬間でもあったのだ。
 それは正に、ヒーロー誕生の瞬間でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『剛力淫魔シエイラ』

POW   :    インフィニティエクスタシー
戦闘中に食べた【熱狂、性感、興奮、快感などの感情 】の量と質に応じて【フェロモンや肉体が強まっていき】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    超サキュバスティックアーツ
【濃厚なフェロモンを纏わせた強力な連続攻撃】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    エクスプローシブテンプテーション
【 快楽エネルギーによる桃色に輝く気弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【誘惑状態から生じる偽りの主従関係】で繋ぐ。

イラスト:すねいる

👑11
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●真実の愛
 【HENTAI】騒動も一先ず終わり、リラクゼーションベッドに寝かせていた妻が目覚めたとき、カレイダーが行ったのは謝罪だった。
 覆面をつけ、見られたのも一瞬。ごまかすこともできただろう。しかしカレイダーはそれを良しとせず、誠実を選んだのだ。
「……あなた……いいのよ。あなたが常識という檻に閉じ込められて苦しんでいたのを、私は知っているもの」
「……おまえ……」
「だからいいのよ、【HENTAI】を解放しても」
「母ちゃん!?」
 驚く二人であったが、カレイダーは辛い笑みを浮かべた。
 こんなにも自分を暖かく包み込もうとしている女性に何を言わせてしまったのかと。
「大丈夫だ。私は、あの日から変わらず、君に飽きられ息子に飽きられ、家を出て行かれてからもずっと変わらず、愚直なカレイダーのままなんだから」
 愛する人と出会い、その性格を変えるためにカレイダーと名乗った。
 華麗に振る舞えるよう努力した。けれども結局は自分の本質を変えることなどできず、無理を来すこととなったのだ。
 だが、彼は自分の道を後悔していない。だからこそ、信頼できる仲間と、愛する人と出会えたのだから。
「……だから私は、君が望むなら……!」
「ああ、違う、違うのよカレイダー! 本当は私――!」
 そこまでよ。
 年頃の息子の前でラブストーリーを繰り広げようとしたバカップルの前に、白衣の女性が一人。
 紫の豊かな長髪をなびかせた女性に、医者だろうかとタカシは鼻の下を伸ばした。
「ご主人様!」
「ごしゅ、え、なに?」
 目を瞬かせるカレイダーに、女は笑うと白衣を脱ぐ。
 桃色の煙が室内を満たし、濃厚な甘い香りにカレイダーは即座に鼻と口元をベッドのシーツで覆い、タカシにも同じようにしたものの、煙を多く吸ってしまったか昏倒している。
「くっ!」
 姿の見えぬ妻を助けるためにも、タカシを抱えて閉じられた扉を体当たりでぶち抜いて煙を逃がすカレイダー。
 即座に火災報知器たるベルを鳴らし、非常事態を病院内に知らしめる。
 果たして、薄れいく煙の中、病室に立っていたのは、褐色の肌にボディラインがくっきりと浮き出た、扇情的な姿の女性が気を失った妻を抱えていた。
 ついでに言うとめっちゃゴツい。
 笑みを浮かべて謎の女は言う。
「カレイダー! あなたの愛する人は連れて行くわ。あなたたち二人の思い出の場所に来ることね。
 例え正義の味方でも、快楽には抗えないことを教えてあげる。
 あたしの名はシエイラ。覚悟することね!」
「ま、待てっ!」
 高笑いをしながら八階の病室の窓を叩き割って外に飛び出したシエイラ。
 その体は当然の如く重力に引かれて落下し、アスファルトにクレーターを作った後、深々と足跡を残しながら驚異の脚力で町中を、車を弾き飛ばしながら走って行った。
 思い出どうのこうの以前にこの破壊の跡を追えば楽にシエイラの場所を割り当てることもできるだろう。
「くうっ」
 先の正広との戦いでまだ癒えぬ腰を抑えて、カレイダーは倒れた。


・カレイダーは満身創痍の状態ですが、放っておくと決戦の場に姿を見せます。放置するか連れて行くか、あるいは止めるかは皆さんのプレイング次第です。
・シエイラは一般女性を人質とすることはありませんが、カレイダーが姿を見せるとゆりゆりれずれずしようとします。おのれ悪党!
・シエイラは自らの誘惑力に絶対の自信をもっています。反発するなり従うなり、上手く利用しましょう。
ラウンツ・ハーリッシュ
…で、なにこれ剛力なの淫魔なの?まぁどうでもいいんだけどさ。でもごめんね?僕の心を奪えるのは、この世にただ一人しかいないんだ。まあ、それ以前に生体兵器だしね僕☆
さてさて、さんざん煽りまk…げふんげふん…アドバイスして肝心の僕が戦わないってわけにも行かないし…すこしは踊ってみせますか

とまぁ長々と【覚悟】を決めたところで、【ダッシュ】で一気に距離を詰め。D/Fenrirによる【属性攻撃】にて【零距離射撃】。【見切り】と【カウンター】を織り交ぜつつ格闘と銃撃による中・近距離戦闘を行う。

…いやまてよ?万が一猫耳が似合う可能性もあるし、【フェイント】かけて猫耳かぶせようか。うんそうしよう☆


ルドルフ・エルランゲン
カレイダー改め『華麗軍師・シレイダー』を名乗るのです。
大軍師孫臏や諸葛孔明は四輪車で戦場を指揮したと言います。ヘルニアを悪化させない為、今回は車いすに乗ってください。
衣装は、この古代の軍師っぽい道士服を纏いなさい。体型も気にならないはずです。冠を戴けば頭髪も誤魔化せます。

さぁ往きましょう、奥方救出こそヒーローの第一歩です

■詭道の計
フフッ、淫魔シエイラ、室内ならいざ知らず、このような解放空間ではフェロモンはすぐに霧散する
広域空間なら猟兵も周りを気にせず自在に戦える
地の利を捨てた自らの不明を呪うが良い!

シレイダー、シジュウカッターも喚びましょう
さぁ指揮扇を執りなさい。猟兵に指示と助言を与えるのです



●よっしゃ、今度はお礼参りに行こうぜ!
 破壊された街路。弾き飛ばされた車。どうしてこんなことにと、蹲るぼんぼんっぽい悪趣味スーツの七三分け。
 まあこいつはどうでもいいや。
 ともかく怪獣が歩いたかのような破壊跡の先には小さな公園があった。端には茂みやベンチが並び、トイレ、中央には砂場とブランコ、滑り台だ。
 滑り台の上には気を失った女性。
「あら、あなたは病院で見た顔ね」
 振り向いた先でトイレからすっきりした顔で出てきたシエイラ。その言葉を受けてラウンツ・ハーリッシュ(黄昏の獣試作02式【TYPE-D/Fenrir】・f10078)は仮面の上からもわかるおどけた笑みを見せる。
「……僕に覚えはないけど……ところで君、剛力なの淫魔なの?」
「見てわからないのかしら? 剛力で淫魔、それがこの私シエイラよ! あなたもこの私の虜にしてあげるわ」
 んばっ、と髪を広げて天を仰ぐ姿は自信に溢れ、トイレから出た直後を目撃された女とは思えない。
 その自信を支えるであろう彼女のフェロモンは、蛇のコードネームを持つ彼には通じなかった。
「ごめんね? 僕の心を奪えるのは、この世にただ一人しかいないんだ。まあ、それ以前に生体兵器だしね僕☆」
「あら、あなたお人形さんなの? 安心して、私の力は機械すら堕として見せるわ」
 面白い。
 シエイラの言葉に目を細めた蛇。今まさに戦いが始まる、といった所で一台の軽トラが公園に乗り込んできた。
 ハンドルを握るのはシジュウカッター。助手席にはマイクを持つルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)、そして荷台にはいかにも古代に居たと思われる軍師っぽい服をつけたカレイダーが指揮扇を持ち、固定された車椅子に座る。
 服の下には腰に巻くサポーターや体全身の至る箇所に貼られた湿布により凄い臭いだ。
 しかし痛みや不調を顔に出さずに前を向く姿は普段の頼りなさげなカレイダーとは全く違い、少なくなった毛髪を隠す冠と合わせて貫禄ある雰囲気が漂う。
 これらの服装はルドルフの案によるもので、雰囲気はもちろん満身創痍の彼自身を鼓舞し、相手にそれを悟らせない意味合いも持つ。
「来たわねカレイダー! お友達を連れてコスプレなんて、白馬を連れた王子様を気取っているのかしら。乗ってるのはただの白い軽トラだけど。
 お~っほっほっほっほっほっ!」
「黙らっしゃい!!」
 高々と笑うシエイラを一喝し、カレイダーは扇を振り上げる。
「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ! 我こそは華麗軍師シレイダー!
 剛力淫魔シエイラ! あなたは今ここで討ち取りますよっ」
 新たな名乗りを見せたカレイダー、否、シレイダー。自信に満ち溢れた今の彼に、相棒のシジュウカッターは誇らしげな表情を浮かべ、助手席のルドルフは満足そうに頷いた。
 蛇はそんなの関係ないと攻撃の準備をしている所で、その獲物を見定めたシレイダーは彼の傍らに軽トラを横付けさせる。
「射撃による遠距離からの攻撃、といった所ですか。蛇さん、力をお貸し願えますかな?」
「さんざん煽りまk……げふんげふん……!
 アドバイスして肝心の僕が戦わないってわけにも行かないしねぇ☆」
 素直に肯定しない彼に、戦い方は色々あるようだとカレイダーは頷く。
 敵は剛力ゆえに近距離戦には抜きん出た力を持つだろうが、それは普段のパフォーマンスを発揮してこそ。
 蛇をアタッカーとし、軽トラ部隊を陽動とした作戦で撃破を狙うシレイダーは、作戦の要となるルドルフに合図を送る。
「相談は終わったかしら。なにをしようと、何人来ようと同じことよ。全ての者を骨抜きにして、私の下に膝まずかせてあげるわ!」
『その自信、どこまで持ちますかね?』
 走り始めた軽トラはシエイラから離れるように、公園を回り始める。
 車体外部に取り付けたスピーカーから声を拡散させるルドルフ。それを合図に、蛇はシエイラに向けて走った。
 軽トラに気を取られた直後のために軽々と接近を許してしまったシエイラの腹に二丁一対の大型自動拳銃、【ヴォルフ&ウールヴ】を突きつける。
「コード反転、灰燼と成せ――【D/Fenrir(ディ・フェンリル)】」
 蛇の普段の様子からは想像も出来ない低く、冷徹な声音がシエイラに警鐘を鳴らす。
 続け様に放たれた精霊の力はユーベルコードによって魔狼の炎となり、同時に現れた氷を介して黒炎と成る。
「あっちゃっちゃ~っ!?」
 瞬時に燃え盛る体に焦るシエイラは腕を薙ぎ、蛇を弾こうとするも寸で見切る彼はかわし様に拳撃を放ち、更に炎を追加してシエイラを火だるまにした。
「なんて熱いのを浴びせるの! 燃えてきちゃう!」
「……いや燃えてるんだけどね……」
 ダメージを受けていないはずはないのだが、なぜかテンションと戦闘能力の高まるシエイラ。その連撃にかわすのも難しく、次第に防戦に回る蛇。
 シエイラは勢いに乗ると、包まれた火の中で目を輝かせた。
「あなた、なかなか良かったけど、これで終わりよ」
 その手に桃色の快楽エネルギーを纏わせる。淫魔のフェロモンを利用した攻撃と判断したルドルフは急ぎマイクを取った。
『淫魔シエイラ、室内ならいざ知らず、このような解放空間ではフェロモンはすぐに霧散する。更には発火状態ではフェロモンも炎とともに上空へ巻き上げられるだけだ』
「…………! た、確かに!」
『だが反対に猟兵なら周りを気にせず自在に戦える。地の利を捨てた自らの不明を呪うが良い!』
「……くっ……!?」
 自らの得意技にして必殺の魅了が無効化されていると知り、ユーベルコードを解除するシエイラ。
 そもそもが超常の力であるユーベルコードに物理的事象が必ずしも当てはまるとは限らないが、これはルドルフの得意とする説得力を持つハッタリ、【詭道の計(ストラテジックブラフ)】が通ったからこそだ。
「今です。敵は動揺している!」
「ありがとう、完璧な援護だよ!」
 得意技勝負では猟兵に軍配が上がり、付け焼き刃のファイティングポーズを取るシエイラに銃口を向ける。
 彼女の意識が一点に集中したその刹那、拳銃をシエイラへと投げた。拳でそれを弾くシエイラは目の前から消えた猟兵に驚愕し、同時に背後へと回っていた蛇は必殺の一撃を。
「せいっ」
 すぽっ。
『…………?』
 誰もがそれを理解出来なかった。人は自分の理解できないものを目の当たりにした際、動きが止まると言うがそれはオブリビオンも一緒のようだ。
 背後に回った蛇は攻撃ではなく、シエイラに取りついた炎を消して猫耳を被せたのだ。なにしてんの。
 唐突に決戦の公園へと訪れた沈黙。その中でも蛇は平然とシエイラの前に回り、じっくりと爪先から頭頂部までを見つめた。
「ふむ。万が一にと思ったけど、せめてウサミミなら似合ったかな☆」
「超サキュバスティックアーツ!!」
 勝手に被せて勝手な評価を告げる蛇を怒りの連撃で空へと殴り飛ばすシエイラ。頭を抱える軽トラ組。気持ちは分かる。
 だが、彼女が動揺しているのは確かなようで、その攻撃は腕力だけでフェロモンを纏う昂りはない。
 あの豪腕から放たれる攻撃は一般人に耐えられるものではないが、それでも猟兵ならば十分に耐えられるだろう。
「……こうなったら……!」
 シエイラのギラつく眼が滑り台の上で気を失う女へと向けられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳鳴・ブレナンディハーフ
(カレイダーが現れてから登場
なお格好は以下略)


スレイヴM!
いや、今はカレイダーだったか……

ならばキミが諦めた力、その目に焼き付けておけ!

ゆくぞ、オブリビオン!

○ここから戦闘
まずUCで火の鳥を召喚して乗り
上空へ舞い上がる

一般人を巻き込む場合
炎の羽は飛ばさない

そして
上から押さえつけて
何度も激しく突く!

(※意訳:上空からなぎなたで攻撃する)

狙いを付けられないようヒットアンドアウェイの戦法をとる

ステキな筋肉美女だが僕は自由を愛する!

もし誘惑されたら
薄れるのを待ち人格交替

「奴と拙僧は別の人間……よって隷属も白紙に戻る!」

主人格は隙をついてタックルで脚を取るぞ

変態が迷惑をかけた……
誠にすまない



●待ってたんだぜ、お前の事を!
「あーれ~☆ミ」
 どこか楽しげに空を舞うのはラウンツ・ハーリッシュ(黄昏の獣試作02式【TYPE-D/Fenrir】・f10078)、その別人格たる蛇だ。
 敵である剛力淫魔シエイラに殴り飛ばされたのだが、彼に危機感は全く無かった。
「ダイナミィック、トラアァァップ!」
 そこへ現れたのは肌色の人影。その姿を認めたとき、余りにも肌色の面積が広く、というか肌色しか見当たらなくて蛇の表情は真顔となった。
 すい、と鳥のように腕を広げて空中で軌道を変え、厚い胸板で受け止めようとしたであろう男をかわす。
 さしもの男も驚いたようだが、照れ屋さんめ、とやたらといい笑顔とウィンクでそれを見送る。
 一方、地上ではシエイラがカレ、シレイダーの妻へ標的を変えたことに焦りを見せていた。
「しかし安心しろカレ、シレイダーッ! 俺たちの乗るこの軽トラックは六百キログラムまで積載可能な運搬のスペシャリストッ!
 ボタンひとつで四駆へ切り替え可能なお手軽機能つきッ! ひと踏みで加速は実に十秒をかけずに三十キロメートルに達するッ!」
「さすがはニチノの軽トラック! 引っ越しから登山まで道を問わずに思いのまま!」
『皆の笑顔を届けたい、ニチノです!』
 声を揃えて宣伝し、アクセルを踏み込んで急加速する軽トラック。
 それを鼻で笑うのはシエイラだ。
「よっぽど技術に自信があるのね。けれど!」
 どんな芸術品もハンマーの一振りの前には無力。
 そう言って足を大きく振り上げたその光景は、メスゴリラのものであっても非常にエキサイティングだったとだけ告げておこう。
 貞操観念のしっかりしたヒーローたちはそれに見とれることはなかったが、振り下ろされた足の一撃が地面を揺らし、割ったとなれば話は別だ。
 跳ね上がる車体に四輪駆動など意味はなく、大きく揺れる車内でシジュウカッターは運転席のレバーを引いた。
「な、なにをしているんです、シジュウカッター!」
「こんなこともあろうかと、荷台をダンプアップさせた時に車椅子の拘束バンドも剥がれるよう調整済みだ!」
 操縦している間に車がふっ飛ぶのではないか、というのは野暮な突っ込みだ。
 ダンプアップした荷台から車椅子が滑り降りて、シレイダーの目の前で軽トラックが横転する。
「シジュウカッター! …………、はっ!?」
 車椅子から飛び降りたシレイダー、そんな彼の呼び声に答えるように、シジュウカッターをお姫様だっこした男、ルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)だ。
 ルドルフは余裕を取り戻した笑みで悠々と女の元へ向かうシエイラを睨む。
 大変だ、このままではR指定むふふな描写をせざるを得ない!
 せざるを得ない!!
 それはさておき、蛇が殴り飛ばされてしまった以上、アタッカーを担うべきだと直感したルドルフはシジュウカッターの無傷を確かめながら傍らへと降ろす。
「ドキィッ、なんという紳士ッ」
 そういう反応はいらんぞシジュウカッター。今求められているのは女性同士のいちゃこらだ。
「直接戦闘とは得意な方ではありませんが、仕方ないですね」
 霊符を構え、ずい、と前に出るルドルフ。
 その頭上できらりと光る一番星。肌色の流星が滑り台と剛力淫魔との間に着弾する。
「誰も呼んでくれないなら、自分から出てくれば良い話。
 そう、僕こそ露出狂の変態、ブレナンディハーフ! 再三!!」
 砂煙を引き裂いて、堂々と立ち上がったのは肌色の人影、つまりは全裸の鳳鳴・ブレナンディハーフ(破戒僧とフリーダム・f17841)がエントリーである。
「ムム、全裸!? ヘンタイか貴様ーっ!」
 猛るシジュウカッター。でも本人がそう名乗ってるからしょうがない。
「何だか知らないけど、とにかく良しね!」
 逞しい体つきに何かしらのシンパシーを覚えたか、シエイラからの評価は上々だ。
 しかしブレナンディハーフの顔に以前の笑みはない。骸の海より現れしオブリビオンを前に、さしものヘンタイも【HENTAI】を解放するには向かないようだ。
「……はあぁ……ふうッ!」
 鋭い息吹とともにマッスルポーズ。威嚇ですか。
「ふんッ、ぬう、はっ!」
 それに合わせてシエイラもポージング。威嚇ですか。
 二人は言葉を出さずに歩み寄ると、静かに笑ってシェイクハンド。何をしてるんですか。
 互いに背を向けて同じ位置に戻ったところで、ブレナンディハーフはシレイダーへ顔を向ける。
「スレイヴM! いや、今はシレイダーだったか。ならばキミが諦めた力、その目に焼き付けておけ!
 ゆくぞ、オブリビオン! これこそ自由を愛し常識という名の枷から解き放たれた人間の力! 人間力!」
 人間力と略したら服を着ないと駄目だと思います。
 シレイダーからすれば苦い思い出しかないブレナンディハーフの登場に内心複雑ではあったろうが、愛する者の危機ゆえに藁にもすがる想いで彼を声援を送る。
「見せてください、共感は多分絶対に万が一もなくできないと思いますが、あなたの想い描く人間力というものを!」
「がんばれー」
 ルドルフは出番が奪われたので少し寂しそうにシレイダーの隣に立っていた。
「出でよ火の鳥、【火照火威(ホデリ・カイ)】!」
「おおっ!」
 現れたのはごうごうと燃え盛る火の鳥。ブレナンディハーフはそれに飛び乗ると上空へと舞い上がった。
 陽の光を浴びて煌めく赤鳥、誰もがその光景に思うだろう。熱くはないのか? と。
「いやああっ!」
「んほぉうっ!」
 火の鳥でシエイラを上から押さえつけると、槍を表すシンボルがいくつも付いた【♂漢の武器♂】、と彼の呼ぶ薙刀で上空から容赦なく突き崩す。
 無論、あらゆる攻撃において要となる腰を、突きに合わせてグラインドすることも忘れない。
 いくら剛力淫魔とは言え、猟兵から受けた攻撃、そして精神への動揺は冷静を取り戻したかに見えどもその筋肉の締まりまでは取り戻せていなかった。
 しかしそこは淫魔。苛烈な攻撃により傷つくシエイラは痛みを性的興奮へと変え、筋肉を隆起し、ブレナンディハーフの攻撃を受け止めながらもその手に快楽エネルギーを集中させる。
 狙いをつけさせないようヒットアンドアウェイを繰り返すブレナンディハーフだが、戦闘能力を増加させていくシエイラの前には難易度が上がってしまう。
 数ある攻撃の中でも雑な一撃を見逃さず穂先を捕らえて、シエイラはにやりと笑った。
「むむむぅっ!」
「なかなか良かったわよ。さあ、女王様のお熱ゥいのをお浴び!
 エクスプローシブテンプテーション!」
 桃色の気を纏う鉄拳が火の鳥を打ち砕き、そのまま拳から放たれた気は弾としてブレナンディハーフに直撃した。
「ぬほぉうっ!」
 火の鳥を打ち砕かれ、シエイラの攻撃を受け撃墜されたヘンタイの姿を見送って、シレイダーとルドルフはあることを考えていた。
 ――援護すべきなんじゃね? と。
 それでも彼らが救いの手を差しのべられなかったのは、ただ単に彼の日頃の行いのせいだろうか。シジュウカッターは顔を赤くして俯いているので放置しておこう。
 シエイラは倒れながらもいきり勃つという文章にすると非常に哲学的な姿勢のヘンタイに、勝利を宣言した。
 彼女の使用したユーベルコードは攻撃が命中した相手を誘惑状態から生じる偽りの主従関係に繋ぐというもの。
 しかも相手は自他共に認めるクールジャパニーズカルチャー、【HENTAI】である。まごうことなき敗北、むしろ敵が増える、誰もがそう思っただろう。
 しかし、しかしだ。
 ゆっくりと立ち上がった彼は、先程までの堂々とした出で立ちと違い、少しばかり女性のような、恥じらいを見せる立ち姿でそれを否定した。
「奴と拙僧は別の人間……よって隷属も……白紙となる!」
「なんですって! ――はっ!?」
 自らの誘惑が効かないことに驚愕したシエイラは、気づかなくてもいいことに気づいてしまう。
 左手で恥部を隠し、右手で乳房を隠し緩やかな曲線から成る完璧な立ち姿。
 それは美の化身。破戒僧ヴィーナスの誕生である。
「ぐふうっ!」
 蛇に手玉に取られ、ルドルフに自信をへし折られ、ヘンタイ、もとい鳳鳴には技を打ち破られ、内心自尊心をぼろぼろにされていたシエイラにとって、もはや自らを超えたとも言える美は毒でしかなかった。
「隙有り!」
 その度し難い隙を突いた鳳鳴がタックルで脚を取る。抵抗すらままならずに倒れたシエイラにマウントを取って、鳳鳴はシレイダーらへと振り返った。
「我が名は鳳鳴。ブレナンディハーフは拙僧の別の人格なのだ。
 ……ヘンタイが迷惑をかけた……誠にすまない。だがケジメは拙僧がきっちりと致そう!」
「……鳳鳴、さん……!」
 その誠実かつ厳正な性格が伺い知れる言葉に、シレイダーは胸も詰まる想いだった。彼もまた、内なる【HENTAI】とのせめぎ合いに苦心する犠『性』者だったのだ。だからこそ彼らは共鳴したのかも知れない。
 止めを刺すべく拳を振り上げる鳳鳴。そこへ、普通に歩いて戻って来た蛇が、経緯が分からないなりの率直な感想を漏らした。
「あらら。全裸のヘンタイが恥女に【HENTAI】してるね☆」
「…………、……それ分かってて誰も言わなかった奴……!」
 全裸の男が野外の公園で女の人に馬乗りになったら、まあそうなるよね。
 情け容赦のない感想に、沈痛な面持ちでルドルフは言葉を転がした。
「チャンスっ、ブリッジスタンディング!」
 自らのヘンタイ性を指摘されて固まった鳳鳴をブリッジで弾き飛ばしたシエイラが立ち上がる。
 鍛え抜かれた筋肉はまだ闘志を宿しているが、その心はずたぼろ、決着の時はあと僅かだろうか。
「剛力淫魔シエイラ。調伏させてもらいますよ!」
 同志として、ショックにより傍らで倒れたままの鳳鳴にはあえて触れず、並び立つルドルフ、蛇、シジュウカッターと共にシエイラと向かい合う。
 ゆりゆりれずれずはなかった。おのれヘンタイ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
……なんかカオスな事だけは理解した
(現れつつブレナディンハーフ氏に着替えを投げつけるムーブ)

てか本気(マジ)で何なのこの状況(困惑)

えーと……要は人質を守りつつ、あの痴女倒せばいいんですよね?
ハイ了解(そして深く考える事を止めた)

※なお相手の誘惑力はガン無視

◆SPD
まずは人質の救出

シレイラに気づかれない様、【忍び足】で人質に接近
可能ならそのまま救出して安全圏まで移送

それが無理なら人質に近づかせない様に手裏剣の【投擲】で牽制
更にUC発動。敵の攻撃は強化された【見切り】【残像】で躱しつつ
魔導蒸気式旋棍で反撃(【早業】+【2回攻撃】)

若干決め手に欠ける気もするが、まぁここに居るのは
俺一人じゃないし



●最後のヒーロー
 町を揺るがす騒音を聞き付けて、自らの世界へ帰還を果たそうとした月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)はその元凶となる公園へやってきた。
 そこにはヒーロー、華麗軍師カレイダーを初め、シジュウカッター、蛇と呼ばれるラウンツ・ハーリッシュ(黄昏の獣試作02式【TYPE-D/Fenrir】・f10078)、ルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)、鳳鳴・ブレナンディハーフ(破戒僧とフリーダム・f17841)がせっせせっせと準備をしていた。鳳鳴は倒れたままであるが。
 おそらくは敵であろうと考える、刺激的な格好の剛力淫魔シエイラも同じくなにかの準備に取りかかっており、状況の読めないハルマはひとまずヘンタイであろう鳳鳴へ着替えを投げつけつつ、シレイダーの肩を叩いた。
「あの、カレイダーさん。今、ナニがどうなってるんです?」
「おお、ハルマさん! いやなに、あの敵、シエイラを追い詰めていたのですが、彼女は力を回復しようと我が妻を狙うものですから」
「ふむ」
「ビーチバレーで決着をと提案し、彼女もそれに乗ったのですよ。ちなみに今の私は華麗軍師シレイダーです」
「意味が分からない」
 眉間を押さえるハルマ。実際、彼の懇切丁寧な説明によれば、位置関係上、どうしてもシエイラがシレイダーの妻へと早くたどり着いてしまうため、その気をそらすべく直接戦闘とは別の戦いを提案したのだと言う。
 追い詰められていたシエイラは時間稼ぎのためにもこの勝負を受け入れた。
「オーライ☆ミ オーライ☆ミ」
「さすがダンプアップ機能を持つニチノの軽トラは違うぜ! 横転を直してくれてありかとよ、シエイラ!」
「も、もう、そんなのいいから早く砂を下ろしなさいよ!」
「ふう。ブランコの砂場で足りそうですね。後はあそこの鉄棒を使ってネットを張りましょうか」
 皆で力を合わせて一丸となり、楽しそうに準備を進めていくおっさんたち。
 もはや位置関係とかどうでもいい状況だが、目をキラキラと輝かせている彼らにハルマは指摘することができず。
 それから待つこと五分と経たずに特設ビーチバレー場は完成した。ビーチないけど。
「さて、メンバーの割り振りですが。まずはやはり蛇さんとルドルフさんに出てもらいましょう。私たちは腰や膝をやらかしているので間に入り、あくまでお二人が休むための間という形でいきます」
「しかし、腰・膝をやらかしているのではお辛いでしょう。やはりここは私たちだけで……」
「いけません! ビーチバレーとは水着が正装、つまりは蠱惑的な戦場なのです! であれば淫魔が〝ビーチバレー戦技〟を修めているのも道理であり、戦いである以上、使えない手を我々が自ら増やす必要はありません」
「……シレイダー……! 分かりました、それでいきましょう」
 犠牲を厭わぬ彼の覚悟に感極まるルドルフ。
 一方でハルマは話の内容についていけず、薄目で時が過ぎるのを待つ。途中、彼の用意した着替えによりヘンタイの属性から離れることに成功した鳳鳴の暑苦しい、もとい熱い要望によりルドルフと彼の二人が先となり、一人しかいないシエイラは数を合わせるため、蛇とともに戦うこととなった。
「ようし、世界の平和を守るため。ヒーローバレーチーム、いきますよぉっ! ファイッ!」
『オー!』
「無駄な気合を入れちゃって。白い砂浜の黒いゴリラと呼ばれた私の力を見せてあげるわ!」
「バレー関係あるのそれ?☆」
 仲良く盛り上がる彼らを遠目に、ベンチに座るハルマの周りを一陣の風が吹く。
「……てか本気(マジ)で何なのこの状況……」
(……えーと……要は人質を守りつつ、あの痴女倒せばいいんだよね?)
 理由はわかったものの、大人しくビーチバレーをするという選択に至った結果を理解できないハルマは、密かにシレイダーの妻救出を決意する。
 最初は気をそらすためだったのだろうが、共にコート製作などしたせいか彼らの目にはシエイラに対する殺気がなくなっていた。
 それはシエイラも同じだが、それでも彼女はオブリビオンだ。未来へ進む世界に受け入れられる存在ではない。
「よし、行くか。…………!」
 立ち上がるハルマに突き刺さる鋭い視線。シエイラだ。
「ゴ、ゴーゴー・ヒーロー! がんばれがんばれ猟兵!」
 慌てて声援を送る振りをしてやり過ごす。このような馬鹿げた内容でもやはり敵、警戒は強いようだ。
 故に油断させるため、本気の遊戯をやろうと言うのか。ハルマは考えを改めて、応援をする振りをしつつ、シエイラに怪しまれない程度の距離へ気絶する女の下へ近づく。
(これ以上はコートから離れる……絶妙な場所に作ったのも、あのシエイラとかいう奴の作戦なのか……!)
『先手必勝! 修験サーブ!』
『ぬるいわね、マッスルレシーブwithアス!』
「……ネーミングセンス悪いなこの人たち……」
「ハルマくん」
「! シレイダーさん?」
 始まった試合、そしてこちらに真剣な眼差しを向けるシレイダー。
 彼は懐から財布を取り出すと、紙幣をハルマへ渡し、片目を閉じた。
「申し訳ありません、みんな喉が乾いているんです。ジュースを買ってきてくれませんか?」
「でも、そんな場合じゃ!」
『落下地点予測、ここだバーティカルトス!』
『いいぞ尊公! 【火照火威(ホデリ・カイ)】アタァーック!』
「いえ、今だからこそです」
『甘いね、同じユーベルコードの炎で返す!』
『どきっ! ただの優男と思ったけど……やるじゃない……!』
 バレーに熱中する彼らにちらと視線を送り、シレイダーは自販機を指差した。
 その方角、彼の妻が眠る方向。
「……なるほど……!」
「ハルマさん、よろしくお願いいたします」
「任されました!」
 シレイダーの言葉に力強く頷き、ハルマはパシりを演じて走り出す。
 彼がシレイダーの妻を救出し、遠くへと連れていっている間に大人たちのバレーは更に過熱していた。
「ビーチバレー裏戦技、超サキュバスティックアタァアアック!」
 ボールへフェロモンを纏わせ耐久力を上げつつ、一度のアタックに超高速の連打を叩き込み打ち込みの速度を上げる禁断の反則技。
 しかしこの戦いの中で連携力を磨いたルドルフと鳳鳴はボールへ同時に飛び込む。
『友情のダブルサザンクロスレシーブ!』
 互いの腕を交差し支えあって強力な一撃を受け止めたヒーローバレーチーム。
「球が浮いた! ルドルフさん!」
「かませぇえっ!」
 そして交替はしたものの一発で退場することになったシレイダーとシジュウカッターの声援が響く。
「チャンスは最大限に活かさせて貰います」
「よし、来い、ルドルフ殿!」
 鳳鳴の手に足をかけ、高く打ち出されたルドルフが超高度鋭角スマッシュを放つ。
 しかし、それに反応したシエイラは更に高く蹴りあげた。
「これが私と蛇さんの愛によるツープラトン!」
「うん、絶対違うけどね」
 彼の足をがっちりと掴み、高速回転を加えて空へ投げ飛ばす。蛇は足を抱えて丸まり、回転力を上げ、それの力を最大限に活かした踵落としを放つ。
「二人の力、一人じゃ絶対に受け止められないよね☆」
「――しまっ……!」
 地上にいるのは鳳鳴一人。
 狙われた。思う間もなく、恐ろしい速度で迫るボールが鳳鳴に直撃、弾き飛ばされてシジュウカッターを巻き込みニチノ製の軽トラを粉砕した。
 それらの惨劇が終わって着地するルドルフ。
「あらあらあら。勝負が見えちゃったかしら? ホーッホッホッホッホッ!」
「くっ」
 高笑いするシエイラ。元より満身創痍だったシレイダーも先の交替で選手生命を断たれ、ルドルフ一人で彼らのアタックを受け止められない。
 敗けなのか。人類の未来はここで決してしまうのか。
 崩れ落ち――いや腰やらかして元々崩れ落ちていたシレイダーが目を背けた時、救いの手が現れる。ハルマだ。女性の救出を終えたハルマが戻って来たのだ。
「シレイダーさん、ルドルフさん、これで思いっきり戦えますよ!」
「ハルマくん! 良かった。さあ、鳳鳴さんの替わりにコートに立ってくれ!」
「は?」
「急いでくれ、ハルマ! 俺たち猟兵は、いや人類は! オブリビオンに負ける訳にはいかねえ」
「それはそうだけど、バレー続ける気!?」
 おっさんズの勢いに乗せられてコートに立つハルマ。
「あら、今度は一皮も剥けてなさそうなフルーツボーイじゃないの」
「無駄な抵抗は止めて、僕たちに屈服したらどうだい? フフ」
(……シエイラはわかるけど、なんでシレイダーさんの見舞いに来てた人はあんなノリノリなんだ……)
 ノリが良いからじゃないかな。
 そんな少年の疑問に付き合うでもなく、蛇の放つサーブを慌てて返してしまうハルマ。
「サービスタイムね! マッスルトスwithバスト!」
 シエイラはにやりと笑ってこれを空中高く打ち上げ、後方の蛇が彼女の体を足場に空へと舞う。
(くう、即席のコンビでは……だが……あれなら一人で止められる!)
(――集中しろ。もっと、深く……!)
 僅かな間に流れる思考、絡む視線。
 二人の男は頷くと、上空から放たれた球に対応する。まずはルドルフのレシーブ。
 腰をしっかりと下げ、全身で受け止めるルドルフはその速度、角度を計算して見事へと直上打ち上げた。これに対して飛ぶのはハルマ。
(蛇ちゃんはまだ空――けど二人の勢いでないなら私一人で十分止められるわ!)
 そして、まだ連携が完璧でない内に、もう一人破壊してやろう。シエイラは凶悪な笑みを浮かべた。
「――叩き込めハルマ! バレーボール表戦技!」
「! バ、バレーボール表戦技ですって!?」
 慢心、ゆえの動揺。ルドルフのハッタリにより集中力を乱されたシエイラに、空中でハルマはユーベルコードを始動する。
 【瞬身】。超強化した多重の残像を発生させることでシエイラにこちらの手を読ませなくし、更にその姿勢から反応できないであろう部位を見切る。
 ハルマの諸手にあるのは魔導蒸気式旋棍。
「バレーボール戦技ってなんだぁーっ!!」
 渾身の突っ込みと共に放たれた二発同時の打撃は、球を加速させシエイラの無防備な腹を貫いた。


●決着、戦友には手向けの笑みを
「……私の……負けよ……」
 力尽きて倒れたシエイラを囲う面々の顔は、勝利を素直に喜んでいる風ではなく、むしろ悲しさを漂わせていた。
 車椅子に乗せられたシレイダーは、ぎりぎりの勝利だったとシエイラの力を讃えた。
「ふっ。いいのよ、お世辞なんて。それより、あなたの妻、ヨシコのことよ」
「…………」
「彼女に……ぐ、……あなたと別居するように言ったのは……私よ……。
 ふふふ、悔しかったのよ……私の力でも魅了できなくて……脅すことでしか彼女を縛れなかった……」
 良い女ね。
 シエイラの言葉に、シレイダーは力強く頷く。それを見て苦しげに血を吐いた彼女を鳳鳴が支える。
 もう、無理をする必要はないと破戒僧は言う。
「あなたの強さ、忘れません」
「一緒に戦えて良かったよ」
「えっとその、お元気で?」
「…………、さらばです。同じ人を愛した戦友よ」
 微笑みかける面々に、こちらも笑みで返して目を閉じるシエイラ。
 逞しい筋肉に包まれて、シエイラは目を閉じた。ゆっくりと息を吹くと、苦しみから解放されるように穏やかな表情となった。
「ああ、最期にもう一度だけ、ヨシコ様の鞭に責められたかっ……た……」
 言葉を遺し、風とともに世界へと溶けていく。
 彼女は再び骸の海へと還るのだ。そしていつかまた、危機としてこの世界に現れるかも知れないが、それはまだ先の話となる。
 今はただ、逝ってしまった戦友に思いを馳せるのみ。
 シレイダーは目を閉じると、深く、深く溜め息を吐いた。
「……責める方……だったのか……」


●エピローグ
 後日、グリモアベースでは伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)が今回の事件に参加していた猟兵を集めて慰労会を開いていた。
 とはいえ、とても慎ましやかなもので、駄菓子にジュース程度のものだったが。
 それでも彼らの胸には世界を守るヒーローを救い、強敵、いや友との戦いに得るものも多くそれが胸を膨らませてくれていた事だろう。
「一時はどうなるかと思ったべ。でもまぁ、終わりよければなんとやらだ。今はカレイダーもダークヒーローの司令官としてニッチなファンを増やしてるみたいだ」
 ダークヒーローの司令官。
 予想と違う活躍に訝しげな声が上がる。一馬は表情を固めたが、とにかく、と何事もなかったように事件の解決を告げ、解散を宣言した。
 疑問を持つ彼らを残し、そそくさと逃げ出してしまった。


●エピローグ?
 そこは普通の一軒家。かつてのヒーロー、カレイダーが侘しく出動していた家だ。
 しかし今は明るく、戻って来た妻のヨシコが料理をする、暖かな雰囲気が残っていた。
 そこへ、上機嫌なシレイダーが帰宅する。
「ただいま」
「あら、お帰りなさい、あなた」
 おたまを持ったまま玄関に出迎えた最愛の人に、彼は思わずだらしない笑みを見せた。
「聞いてください、今日は部下となった忠犬撰しオスイヌマンが――」
「――いつまで人語を喋ってんだ豚ぁ!」
「ぶっひひぃん!!」
 おたまに入ったあっつあつの出し汁をかけられてシレイダーがもがきよがる。
 ヨシコは玄関先でシレイダーを引き倒し四つん這いにすると、その背にどっかと腰を下ろして彼の数少ない頭髪に指を書き入れた。
「いつもいつも聞き分けのない豚は、こいつらを引き抜いてわからせてやってもいいんだぞ?」
「ぶひっ、ぶひひぃっ!」
「ぶひぶひでわかるか豚ぁ!」
「ぶっひひぃん!!」
 はあ、はあ、はあ。
 激しい夫婦の挨拶が終わると、ヨシコは頬を染めて、四つん這いの夫の体に手を回す。
 優しく彼の胸をいじくりながら、ヨシコは夫への感謝を告げた。嫌われてしまうと、必死に自らの【HENTAI】を抑制してきた彼女は、その全てを受け入れるとしたシレイダーに心からの感謝を告げる。
「気にする必要なんてないさ。僕はただ」
「なに、クソ生意気に人の言葉を使ってんだ豚が~!」
「ぶぎぃっ!」
 まさぐられていた所を思いっきりつねられてシレイダーは悦びの声を上げた。
 華麗軍師シレイダー。彼は、類い稀なる高い指揮能力と数多くの実戦経験から培われた判断力、そして情報で多くの人々の危機を救った。
 また、ヘンタイ系ヒーロー、ヒロインを集め世間の否定的な目に悦べないソフトヘンタイから、全てを海のように受け入れ悦びへと変えるヘヴィメタルなヘンタイまで自らのヒーローズネットワークに収めて活躍している。
 通称、華麗なるヘンタイ管理人。彼は今日も世界平和のため、そして家庭の平和のため、有能な指揮官としても無能な豚としても輝き続けるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月04日


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#ヒーローズアース


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアリュース・アルディネです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト