晴れた日にはもふもふと。
●
サムライエンパイアのとある山中にて。
「猫又さん、猫又さん」
「ニャー。山吹、見つかったかニャ?」
2種のオブリビオンが夜の帳の中で面会していた。猫又と呼ばれた者は見た目もまさしく猫又で。山吹と呼ばれた者は妖狐の姿をしている。どちらも見た目は女の子。
「えぇ、活きのいい情報が。実はね……」
ごにょごにょと猫又に耳打ちする山吹こと山吹・牡丹。
「ニャるほどニャるほど。それじゃ皆に教えて、その村に突撃ニャー!」
そう言って猫又は夜の山を駆け下りていく。
数刻の後、近くの村が猫又たちに蹂躙されるのであった。
●
緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)は自分が見た予知を猟兵たちに語り。ふぅ、とひと息入れてから力強くこう述べた。
「つまり、妖狐のしっぽがもふもふ!」
違うそこじゃない。キマフューの戦争辺りで気が触れたのか、と思いきや。
「私、妖狐のしっぽもふりが趣味だから」
唐突に残念な趣味をカミングアウトした冬香であった。特に意味はない。
小さく咳払いをして本題に戻る冬香。
「今回、皆に頼みたいのはとある村の防衛よ」
それはオブリビオンの迎撃戦となる。相手は、集団で来る猫又とそれらに情報を与えた妖狐の山吹・牡丹。
「猫又と山吹、協力体制ってほどではないんだけど、程よく共生してるみたいね」
ギブ・アンド・テイクな関係と言えばいいだろうか? 猫又は山吹の身辺警護を受け持ち、山吹が仕入れてきた情報に伴って猫又は遊ぶ。
「猫又は『生きてるもの』で遊んでいるみたいなの」
たくさんの猫又が遊ぶには、たくさんの生きているものがいる。そのため、住民・家畜含め、そこに居る生き物が多い場所を、情報屋である山吹から仕入れたようだ。
「それが今回の村ってわけ。結構大きな農村よ」
その村を守るため、本格的に遊ぶ……というか襲撃して来る猫又たちを村の外で迎撃してほしいという話なのだ。
「猫又を倒したら、その場でしばらく待機してて。様子を見にきた山吹に遭遇できるから」
その後、逃げようとする山吹を倒せば今回の襲撃事件は阻止できる。
「でも情報屋って単語に惑わされないで。普通にオブリビオンとして戦う力は持ってるから」
それはもちろん猫又もだ。なので、舐めていると痛い目にあう。しっぽがもふもふだからといって、もふもふしてたら終わるわけではないのだ。もちろん隙を見てもふるのは自由なのだが。
「猫又と山吹、どちらも倒し終えたら農村でのんびり休憩といきましょう」
村を救ってくれた猟兵たちを歓迎してくれるはずだ。のんびり過ごすもいいし、村の人と交流を持つのもいい。子供と遊んだり、収穫した食べ物を分けてもらったり、とその時を楽しみにしてほしい。
「というわけで、今回の事件解決、よろしくね。あ、もふもふしっぽレポートはいつでも受付中よ!」
冗談ですよ? オブリビオンを倒すことだけが必須事項ですからね?
るちる
はじめまして、あるいはこんにちは、るちるです。
猫又と妖狐のもふもふしっぽをお届けします。
冬香「敵妖狐キタ! これは磨きに磨いた私の『バックスタブもふもふ』を披露すると……え、グリモア猟兵は前線に出れない? そんなぁぁぁぁ……(がくっ)」
こんな風に項垂れている冬香の代わりに、猫又と妖狐退治をお願いします。
ほんのりネタ風味でお届けしたいなーと考えています。最終的には退治してほしいのですが、戦いながらもふもふとか、もふもふ比べとかしても全然OKです。
シリアスバトルの息抜きにどうぞー。
それではプレイングお待ちしていまーす。
第1章 集団戦
『猫又』
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POW : バリバリ引っ掻くニャ
【両手の鋭い爪による引っ掻き攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 猫の本領発揮なのニャ
【両手を地に付ける】事で【四足の型・高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : これが猫又の妖術なのニャ
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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大崎・玉恵
また頭の悪そうな猫共が攻めてきたのう。身体だけは一人前なのじゃから、雄でも捕まえて猫らしく盛っておけばよいものを。
じゃがわしの前に現れたからには容赦はせん。年季の違いを見せつけてやるとしようかのう!
【フォックスファイア】で複数体まとめて相手取るぞ。奴等も似たような術を使ってくるようじゃが委細構わぬ、むしろ望むところじゃ!
わしは神体として人々の願いを聞いてきた身、さっさとこやつらを片付けて悪い狐を炙り出さねばならぬ、文字通りにの。
まぁ、尻尾の質は較べるべくもなかろう。猫ごときの貧相な尾が二本になろうが束でかかってこようが、わしの毛並みの足元にも及ばぬよ。くっくっ!
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村を襲おうと疾走する猫又たち。その進行方向に立ち塞がる者がいた。
赤茶色の瞳に琥珀色の髪。そして頭の上で揺れる狐耳と存在感を示すしっぽ。彼女の名を、大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)という。
「また頭の悪そうな猫共が攻めてきたのう」
「ニャにー!?」
玉恵の言葉に聞き捨てならないと急ブレーキをかける猫又。
「身体だけは一人前なのじゃから、雄でも捕まえて猫らしく盛っておけばよいものを」
「猫が盛るのは発情期だけニャー! あ、いま春か」
もうすぐ発情期かもしれない。いや、違うそうじゃない。今の猫又は発情期ではなく、そういう気分では無いのだ。なので、遠慮なく玉恵を攻撃する態勢に。
「これが猫又の妖術なのニャー!」
猫又たちが一斉に自分の周りに鬼火を浮かべる。しかし玉恵は臆することなく。
「年季の違いを見せつけてやるとしようかのう!」
自分の前に現れたからには容赦はしないと。空中に編み出すのは数多の狐火。ユーベルコード『フォックスファイア』が猫又の妖術を迎え撃つ。
(奴等も似たような術を使ってくるようじゃが委細構わぬ、むしろ望むところじゃ!)
ここに、キツネ対ネコの炎のバトルが幕開けした!
●
鬼火と狐火。色や性質は個々の些細な差があれど、今重要なのはその数。人数が違う分、鬼火のほうがとても多い。
「食らうニャー!」
と猫又たちが一斉に鬼火を玉恵にけしかける。押し寄せてくる鬼火の、最早津波と言っていい数を、さすがに全てかわし切れず。
「これは厄介じゃのう」
羽衣の裾を焦がしていく鬼火に嘆息を漏らす玉恵。
「ニャハハハ! 次いくニャー!」
調子に乗って再び同じような感じで鬼火をけしかけようとする猫又。しかし。
「まぁ、そこが限界じゃな」
玉恵が両手を振るう。その動きに合わせて、玉恵の狐火が鬼火を大きく回避、あるいは隙間を縫って猫又に襲いかかる。それはまるで玉恵の『相手を手玉に取るような言動』のごとく動いて、複数体をまとめて薙ぎ倒していく狐火。
「これがおぬしたちとわしの差じゃよ」
羽衣で鬼火を薙ぎ払いながら玉恵が笑む。これは言い換えれば、勢いで生きている猫又ととある神社で神として祀られていたという玉恵の差でもある。
猫又が次の手を打って来る前に、再び『フォックスファイア』を展開して、上下左右から猫又たちを翻弄する玉恵。
「わしは神体として人々の願いを聞いてきた身」
猫又たちを薙ぎ払い、一仕事終えた狐火たちを呼び戻して、玉恵が言葉を紡ぐ。
「さっさとおぬしらを片付けて悪い狐を炙り出さねばならぬ、文字通りにの」
それはおそらく彼女の出自がもたらす矜持。そのためには猫又ごときで足踏みなどしていられない、と。
そして。
「まぁ、尻尾の質は較べるべくもなかろう」
ふふん、と得意げに振り返る玉恵。そこにはふさふさ毛並の良い狐の尻尾が!
「猫ごときの貧相な尾が二本になろうが束でかかってこようが、わしの毛並みの足元にも及ばぬよ」
好みに千差万別あれど、抱き抱えた時のもふっとした感触であれば、確かに狐のほうがすごいかもしれない。こう、枕に出来る感! まさかこの点でも叩きのめしに行くとは!
「くっくっ!」
「く、無念、ニャ」
戦闘的にも、もふもふ的にも。
完膚なきまでに負けたと思った猫又はぱたりと力尽きるのであった。
成功
🔵🔵🔴
木元・杏
服装はいつものミニスカート丈の着物
あと、ふわふわのねこみみと肉球ぐろーぶにねこしっぽつけて
戦争の時一緒に戦ったおねえさんが、こんな風な姿でとっても強かったからわたしも見習って
強くなれるかなにゃん
ねこ仲間だけど倒す
うさみみメイドさんはうさぎね?
いって、とメイドさん動かし、【白銀の仲間】で透明なメイドさんを2体。
メイドさん(正)は囮。第六感で爪の攻撃を察知し見切り回避
その一瞬をついて透明メイドさん2体で波状攻撃を叩き込む
猫又にゃん、倒れた?
(念押しに防御に使用していた灯る陽光でぺしっと)
ここからが大事
しっぽのもふもふ具合を確認
しっぽはしっぽだけど、双子の兄のしっぽとどっちがもふもふかを調査(こく)
●
一方、別集団の猫又たちは目の前の猟兵に対して踏み込めずにいた。そこにいたのは……。
服装はいつものミニスカ丈の着物!
そこに、ふわふわのねこみみと、肉球ぐろーぶとねこしっぽ!
「強くなれるかなにゃん」
肉球ぐろーぶをにゃんポーズで構えながら、今日は猫に変身した木元・杏(微睡み兎・f16565)が呟く。
(戦争の時に一緒に戦ったおねえさんが、こんな風な姿でとっても強かったの)
そんな想いが杏に彼女を見習わせるという行動に導いたのだ。その時のオブリビオンが相手なら問題なく一撃必殺である、きっと。
そんな猫杏に対して、猫又はじりじりと間合いを測っている。たぶん猫の本能が、見た目は同じ猫類なのだが油断するなと伝えているのだ。イイ勘してる。
「ねこ仲間だけど倒す」
そう言って杏が肉球ぐろーぶを構え直す。
「うさみみメイドさんはうさぎね?」
傍らに立つうさみみメイドさんにそう話しかけて。
「いって」
と杏はうさみみメイドさんを繰り出す。
「……静かにね」
それは、誰にも聞こえない、小さな小さな祈り。その声に応えて、杏の側に2体の透明なうさみみメイドさんが現れる。ユーベルコード『白銀の仲間』、杏だけが認識している今日の彼女の、本当の『刃』。
杏の意識は前方に集中。杏の繰るうさみみメイドさんに、猫又たちも黙って立っているわけも無く。
「ウサギがネコに勝てると思うニャー!!」
兎には強気らしい。両手を掲げて、鋭い爪でバリバリ引っ掻きニャーと攻撃を仕掛けてくる猫又たち。
「……!」
その動きを後ろから視認、流れと動きを見切り、それに合わせて、うさみみメイドさんを繰る杏。細かく、正確な動きが猫又の爪をかわしていく。
しかし、多勢に無勢。猫又たちの波状攻撃にうさみみメイドさんは防戦一方。少しずつ爪がかすりはじめ、鋭い爪の攻撃にうさみみメイドさんが捉えられそうになる。
「もらったニャー!」
必殺を確信した猫又のバリバリ引っ掻きが炸裂しようとした、その一瞬。
(……今!)
それは杏の第六感。このタイミングなら外さない、と。その『一瞬』を突いて透明メイドさんたちが猫又を強襲する。
「ニャー!?」
目の前の獲物に意識を完全に奪われていた猫又にかわす術は無く、左右からのメイドアタックで後方へ吹っ飛んだ。
「ニャ!? なにごニャー!!?」
「まさか伏へギニャー?!」
攻撃を中断して周囲を確認する猫又たち。動揺の隙をついて透明メイドさんの追撃が入る。見えない攻撃が猫又たちを翻弄していく。
「このまま」
杏が呟きとも指示とも見える言葉を紡ぐ。それに応じて、うさみみメイドさん(正、透明2体)が残りの猫又たちへ一斉に攻撃を仕掛ける。見えるうさみみメイドさんを囮にしつつの、3体同時攻撃が猫又たちを圧倒していく。
「無念、ニャ」
最後の猫又がぱたっと倒れ。
「猫又にゃん、倒れた?」
杏が確認のために、おそるおそる近付く。もしかしたら罠の可能性もある。近付いて、白銀の光が剣を象った『灯る陽光』でぺしっと叩いてみる。
反応は無い。ただの猫又(BS:瀕死)のようだ。
「……ぐっ」
小さく拳を握って、杏は猫又の側に座り込む。
そう、杏にとってはここからが大事!
杏の目的は……しっぽのもふもふ具合の確認調査だったのだ! 猫又のしっぽがどんなものか確認に来たの、この子。
(しっぽはしっぽだけど、双子の兄のしっぽとどっちがもふもふかを調査)
こくりと頷いて、しっかりともふもふ具合を確認する。
もふもふもふもふもふ。
もふもふ、もふもふ。
もふもふ、もふもふ?
「もふもふはもふもふだけど、やっぱり猫では細すぎて物足りないの」
個人的な見解ですが、もふもふ具合では双子の兄に勝てないと思います。
成功
🔵🔵🔴
イデア・アイオンハート
静葉(f06375)姉さんと参加。
使用能力値:POW
同じ依頼を見ていたお姉さんに誘われ同行。
「お姉さん1人でも動けそうに見えるけど、何か隠してない?」と純粋な視線を向け疑いつつ村にて待機。
戦闘時『挑発』で猫又の気を惹く。
騎士として『庇う』/『盾受け』/『オーラ防御』でダメージ軽減したり姉さんを庇う。
また『シールドバッシュ』によるカウンターや『フェイント』/『衝撃波』を交えた剣撃で敵にダメージを与えたりヘイトを取り姉さんが動きやすい状態を作る。
敵UCは【トリニティ・エンハンス】で防御力を底上げし軽減。盾で巧く受け止めたら『ダッシュ』/『シールドバッシュ』で押し込んで敵の動きを固める。
蒼龍院・静葉
イデア(f09399)さんと参加。
使用能力値:POW
息抜きも兼ねて冬香さんからの依頼を見た際同じ依頼を見ていた少年を引き連れて。
「別に裏はありませんよ、えぇ」と微笑み。
彼と連携しつつ此方は攻撃と支援に。
敵攻撃及びUCは彼の【騎士】としての行動と自身の『武器受け』/『オーラ防御』で軽減。『早業』で隙を減らしたり『ダッシュ』による距離調整を活用。
攻撃は『フェイント』を交え確実に、『串刺し』/『衝撃波』で脚を狙い機動を落とす。
敵の隙を付く形でUC【黒竜焔槍】使用。
敵の機動力が落ちているなら攻撃力、落ちていないなら命中を重視し攻めきる。
「良き覇気ね、此方も負けてはいられません!」
●
猫又たちが村を襲う少し前……というか、グリモアベースにて。
蒼龍院・静葉(蒼闇の果てに着きし妖狐の戦巫女・f06375)がグリモア猟兵である冬香の呼びかけに応じたのは、戯れとも息抜きとも思える気まぐれ。そこに、イデア・アイオンハート(霞の先に咲く蒼き紫苑・f09399)が居たのもまた偶然であった。
そんな偶然の邂逅から連れ立ってサムライエンパイアに降り立った静葉とイデア。そして、いま村の外で猫又を待ち構えている。
「お姉さん1人でも動けそうに見えるけど、何か隠してない?」
「別に裏はありませんよ、えぇ」
勘繰ってるわけではなく、純粋な視線と疑問で静葉に問うイデア。対して、静葉は蒼き月の魔力を秘めた九尾扇『蒼闇之魂精』でふわふわ仰ぎながら、ふふりと笑うばかり。
「むー、本と……」
もうひとつ問いかけようとしたところで、だだだだだーっと言う騒がしい足音が聞こえてきた。猫又たちだ。
「では、先に話し合った通りに」
そう言う静葉に頷きを返し、イデアも魔煌剣と『幻想の盾』の名を持つ白き騎士盾を構えた。
●
「どけニャー! 猫の最高速度は時速約44km/h!」
速度を緩めず、突っ込んで来る猫又たちは静葉たちを轢き逃げする算段らしい。しかし、その前に滑り込むイデア。
「……ここだ!」
タイミングは第六感で。先頭の猫又の突進に合わせる形で、イデアがカウンター、幻想の盾でシールドバッシュを叩き込む。
「ニャー!?」
吹っ飛ぶ先頭の猫又。彼女としてはそんな絶妙なカウンターをされると思ってなかったし、後続は先頭が立ち止まるしで、猫又たちはどんがらがっしゃん状態である。
「疾風、いきますよ」
静葉の言葉で側に浮いていた小型竜が槍の姿へ変化する。直後、ユーベルコード『黒竜焔槍』を繰り出す静葉。猫又の1匹が串刺しにされ、そのまま消えていく。
まずは先制。しかし、本番はここからだ。
●
彼らの作戦はイデアが守りで、静葉が攻め。
「ハッ!」
イデアをブラインドにしつつ、蒼闇之魂精を振るって衝撃波を放つ静葉。狙いは猫又の足、機動力を奪う作戦だ。
「お前、面倒ニャー!」
「目の前に敵がいるのにバカなの?」
「ニャにー!」
静葉を狙おうと爪を向けるも、イデアの挑発であっさり向きを変える猫又。ついでにイデアの言葉を聞いていた猫又たちが一斉にイデアへ向き直る。
「もらった!」
そこへ魔煌剣を一閃して衝撃波を放つイデア。猫又たちがまた吹っ飛ぶ。
「お・ま・え・ら、本当に面倒ニャー!」
勝手にキレた猫又たちがイデアへ、文字通り飛び掛かる。ほぼ全員、全周囲から。
「くっ!」
かわしきれない、と判断したその瞬間に。『トリニティ・エンハンス』の水の魔力、そしてオーラ防御で守りを固めるイデア。猫又の引っ掻き攻撃によるダメージを軽減して耐える。
「お前もニャー!」
そしてごく一部が静葉の方へ。
「もらったニャー! キツネがネコに勝てると思うニャー!」
遠距離攻撃に徹していた静葉を接近戦で仕留めるべく、猫又が鋭い爪をかざして飛び掛かってくる。しかし。
「良き覇気ね、此方も負けてはいられません!」
バリバリっと引っ掻きにきたその爪を、静葉は蒼闇之魂精で受け流す。そのまま、蒼闇之魂精ですくい上げるように猫又の態勢を崩し、そこへ『黒竜焔槍』。空中であたふたしている猫又にかわす余裕は無く、攻撃を重視した一撃で串刺しに。
「まだまだじゃのう」
その言葉は、静葉からわずかにこぼれ出た、妖しい魅力を秘めた妖狐の香り。
「……よし、ここなら!」
それはイデアの反撃の一撃。タイミングを見計らい、幻想の盾で爪を受け止め、押し返すように。ダッシュによる瞬発力でシールドバッシュをしつつ、猫又の包囲網を力ずくで突破するイデア。そのまま地面に叩き付けて猫又を仕留める。
「静葉姉さん!」
「心得ました!」
叫んだイデアの声に応える静葉。竜槍と化した『疾風』を構え、ユーベルコード『黒竜焔槍』を解き放つ。
イデアもただ攻撃を受けていたわけではない。自分を狙って猫又たちが固まれば。そしてイデアを狙って固まっている今ならば。
「狐竜一身、この槍撃を見切れるか!!」
疾風(かぜ)と化した静葉が猫又たちとの距離を一気に詰め、息もつかせぬ連続攻撃を仕掛ける。狐竜一体の槍撃が一刺しごとに猫又を仕留めていく。
「これで終わりです!」
最後に繰り出した竜槍の一撃に確かな手応えを感じて。
イデアと静葉の前に立ち上がる猫又たちは1匹たりともいなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ニコ・ベルクシュタイン
【うさみっち(f01902)】と
アドリブ歓迎
うら若き乙女の外見というだけでも既に充分あざといというのに
猫耳やら肉球やら二股の尻尾まで完備しているとは…
放置しては一般人が籠絡されて被害が発生してしまう、
行くぞうさみよ、心を鬼にして退治してくれよう
何やら横でうさみが猫になっていて若干困惑するが
気を引き締めて戦わねば
【懐中時計の妖精さん】を発動させ身体をフェアリーサイズに変え
同時に得た弾力性で「地形の利用」を駆使し
周辺の木や岩などを蹴り飛び跳ねる事で猫又達を翻弄
うさみがUCを発動させるまでの「時間稼ぎ」をする
タイミングを見計らって、変身した身体を思い切り伸ばし
猫又をペチッと叩いてうさみの援護をしよう
榎・うさみっち
【ニコ(f00324)と!】
猫耳に肉球に二股の尻尾とはあざとさの塊だな!
その風貌で数多くの一般人や猟兵達を誘惑してきたんだろう!
悪い子だ!うさ耳うさ尻尾のうさみっち様がおしおきしてやる!
でも今回は俺も対抗して猫になっちゃおうかな!
【早着替え】で全身猫着ぐるみに身を包む!
で、うさみっちスケブセットを取り出して
猫耳猫尻尾のうさみっち、名付けてねこみっちの
イラストを【早業】で描きまくる
そして【かみえしうさみっちクリエイション】で
ねこみっち達を実体化!どうだ可愛いにゃ!
人間以上の筋力のねこみっちで猫パンチだにゃ!
更にジャイアントねこみっちも召喚してタックルしてやるにゃ!
※アドリブ・キャラ崩壊どんと恋
●
まだまだ土煙をあげて村に押しかけてくる猫又たちに対して、村の前で待機する猟兵が二人。
「うら若き乙女の外見というだけでも既に充分あざといというのに、猫耳やら肉球やら二股の尻尾まで完備しているとは……」
「あざとさの塊だな! その風貌で数多くの一般人や猟兵達を誘惑してきたんだろう! 悪い子だ! うさ耳うさ尻尾のうさみっち様がおしおきしてやる!」
憂いを示すニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)とワンブレスを言い切った榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)である。とりあえず見た目は長身の人間と手のひらサイズのフェアリーだが、その実、ヤドリガミ(本当)と未知が夜なべして作ったゆたんぽに命が宿った存在(真偽不明)である。……えっ?
とにかくだ。
これ以上猫又たちの被害者を出すわけにはいかない。その想いは二人とも同じだ。
「放置しては一般人が籠絡されて被害が発生してしまう。行くぞうさみよ、心を鬼にして退治してくれよう」
「でも今回は俺も対抗して猫になっちゃおうかな!」
「?!」
うさみっちの言葉に彼を見るニコ。おかしい、さっきまでうさ耳うさ尻尾を主張していたうさみっちなのに、今ニコの眼に映るうさみっちは猫である。
「……」
二度見したけど猫だった。正確には全身タイプの猫着ぐるみだった。どうやら早着替えしたらしい。困惑するニコ、だが猫又たちは待ってくれない。
(気を引き締めて戦わねば)
うん、いろんな意味で。
●
接近する猫又たち。それに対してうさみっちがうさみっちスケブセットを取り出す。その様子を確認したニコは。
「なら、時間(とき)を稼ぐとしよう」
ユーベルコード『懐中時計の妖精さん』を発動させる。直後、ニコの身体が、弾力性と伸縮性を備えたフェアリーサイズに変化する。
「行くぞ」
そう言って、近くの岩に突進するニコ。激突の瞬間、体の上下を入れ替えて岩をキック。反動と体の弾力性を使って、さらに別の岩へジャンプ。それを周囲にある岩や茂みの木を駆使しながら次々と繰り返し。
「ニャんだコレー?!」
びょんびょん飛び回る正体不明の物体(猫又視点)に思わず足を止める猫又たち。弾力と伸縮があるものだから、勢いついてますます形がよく見えなくなる、こわい。
そんな感じで時間稼ぎは順調である。
ニコが時間稼ぎをしている間、うさみっちは早業で描きまくっていた。何をって?
「猫耳猫尻尾のうさみっち、名付けてねこみっちだ!」
そう、ねこみっちである。ねこみっちのイラストをばばばばーっとスケッチブックに大量に描いていくうさみっち。そして。
「うさみっち先生のエモい作品、その目に焼き付けろー!!」
ユーベルコード『かみえしうさみっちクリエイション』発動。スケッチブックから次々とねこみっちたちが実体化していく。
「どうだ可愛いにゃ!」
可愛い、とても可愛い。しかしうさみっちのアイデンティティは大丈夫か?
それはさておき、ねこみっちたちには人間以上の筋力が付与されている。というわけで。
「猫パンチだにゃ!」
「上等ニャー! ネコがネコに勝てると思うニャー!」
猫又vsねこみっち(1対1のバトル)が各地というか、視界内の各所で繰り広げられる。もはや猫又も何言ってるかわからん状態だが、一進一退の結構いい勝負のようだ。このままでは千日手になりかねない。
「ならば!」
もう一回スケッチブックを開くうさみっち。その様子を見ていた猫又が妨害すべく、鬼火を召喚する。
「食らえニャぶっ?!」
鬼火を放とうとしたところへ自分から鬼火へ突っ込む猫又。寝ぼけたのか……否、違う。それはニコの援護だった。
「間に合ったようだ」
限界まで体を伸ばして鞭の如く、後ろからペチッというかべしっというか、そんな感じで猫又の頭を叩いたのだ。鞭なので当然痛い。
その間に、うさみっちは新たなねこみっちを描きあげる! そう、それは!
「ジャイアントねこみっち、タックルだにゃ!」
めっちゃ大きいねこみっちだった。たぶんフェアリーサイズなら踏みつけていくやつ。それが猫又の集団に対してタックルするものだから。
「それは反則的ネコなのニャー!?」
どーん、と吹っ飛ばされる猫又たち。
「猫又がねこみっちに勝てると思ってるのにゃ!」
ドヤ顔で言ううさみっち。最早ウサギなのかネコなのかよくわからない、うさみっちの概念が崩壊しそうな勢いだ。
「猫又を倒せたのだから問題ない……ない、のか?」
ニコの言う通り、猫又の撃退には成功しているので、ひとまず問題なしとしましょう、うん。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ティノ・ミラーリア
しっぽ…狐の尻尾はもふもふしてるよね……
でも、あの尻尾はあんまりもふもふでは無いかな…
知り合いの妖狐の尻尾を思い出しながら、猫又の尻尾を見る。
残りも少ないみたいだし、後は一気にいっちゃおう。
【断罪執行】で血を捧げて「処刑人の剣」を断罪執行形態へ変化。
基本的にダンピールの身体能力を生かしたもので、
剣術などの技術は拙く武器を振り回すような戦い方。
自分の陰からオオカミ「眷属」を出して共に戦わせ、
敵の攻撃を受けそうになればかばう盾にも使う。
断罪執行は使った後には血が足りなくなるから、
早く終わらせたいところだね。
尻尾はもふもふじゃなかったけど、耳のところはもふもふしてそう?
●
猟兵たちの攻撃でだいぶ勢いがなくなってきた猫又たち。しかし、まだだ、まだ終わったわけではない。そんな感じで押し寄せてくる猫又たち。
その前に立つのはティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)であった。
(しっぽ……狐の尻尾はもふもふしてるよね……)
グリモア猟兵の言葉と知り合いの妖狐のしっぽを思い出してみるティノ。そして、猫又のしっぽを視認するティノ。
「でも、あの尻尾はあんまりもふもふでは無いかな……」
今回しっぽのもふもふ具合ではだいぶ分の悪い勝負になっている猫又であった。狐っこのもふもふはすごいのです。
しかし猫又にしてみれば、そんなに簡単に負けを認めるわけにはいかないわけでして。
「しっぽだけが猫又じゃないニャー!」
きらーん、と日の光を跳ね返す鋭い猫の爪を見せて、シャーッと飛び掛かってくる猫又たち。
「……!」
四方からの攻撃に身を翻し、回避していくティノ。しかし、1匹の猫又の爪が頬をかすめた。傷口からツーッと一筋の血が流れ出て。
(残りも少ないみたいだし、一気にいっちゃおう)
しかしティノは冷静に判断を下す。流れ出る血すらもったいないと詠唱を紡ぐ。
「其の存在は罪……判決は死刑」
その言葉を受けて、ティノの血が空に溶ける。いや、正確には血の霧と化し、手にした『処刑人の剣』へと吸い込まれていく。ユーベルコード『断罪執行』。その力で『断罪執行形態』へ変化する処刑人の剣。
「行くよ」
封印を解き、殺傷力の増した剣を、ダンピールの身体能力を以て、振り回すティノ。それはおよそ精錬された剣術とは言えない戦い方であるが、身体能力ゆえに鋭く、そして力強く。次々と猫又たちを叩きのめしていく。
「やらせるかニャー!」
しかし猫又たちもすぐに対策を打ってきた。大振りなティノの動きに対して、素早く細かく動いて狙いを絞らせない作戦に。徐々にティノの剣が空を切る回数が増えていく。
ならば、とティノが命ずる。
「来て」
ティノの言葉に応じて、自身の影が形を成す。それはオオカミとして具現した眷属たち。それぞれが意思を持ち、戦闘に参加する。猫又たちに飛び掛かり、直接、あるいは間接的に猫又らの動きを封じていくオオカミたち。
「せいっ」
掛け声とともにティノがそこへ処刑人の剣を叩き込む。必殺の重さを持つ一撃が猫又たちを纏めて薙ぎ倒す。
「やられっぱなしでいられるかニャー!」
窮したネコも必死にひっかく。しかしティノの向かって振るわれた鋭い爪の攻撃を、オオカミが割り込み、その身で攻撃を受け止める。威力に耐え切れず、霧散する影。
ただし、オオカミたちは影の眷属。ティノの影へ戻った後、再び彼の声によって姿を成す。これで力でも頭数でもティノたちが押し負ける要素はなくなった。
こうなるとティノの懸念はたったひとつ。『断罪執行』は彼の血を代償とする。すなわち、戦闘が長引くと血が足りなくなる。
「早く終わらせたいところだね」
そう言って処刑人の剣を横薙ぎに一閃するティノ。あとは出来る限り素早く。眷属たちと共に猫又たちを倒すだけだ。
●
ほどなくして。
ティノたち猟兵たちの前に全ての猫又たちが叩き伏せられた。いまだ形を保っている個体もあるが、この世界から消えるのも時間の問題だろう。
倒れた猫又を覗き込んで、その辺りを確認していたティノがぽつり呟く。
「尻尾はもふもふじゃなかったけど、耳のところはもふもふしてそう?」
これまた知り合いの妖狐と比べるために、一応もふもふしておくティノでした。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『山吹・牡丹』
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POW : プリティーテイルスマッシュ
【もふもふしっぽ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : ヘヴン&ヘルクラッシュ
【投げキッス】が命中した対象に対し、高威力高命中の【踵落とし】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : あなたの秘密を教えてね♪
質問と共に【魅惑のウインク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●
猫又たちは全員猟兵たちに叩きのめされ。地面に倒れ込んだままの者もいれば、徐々に消えていく者もいる。
そんな中、姿を現す一匹の妖狐。その名は『山吹・牡丹』。猫又たちの様子を確認しに来た山吹が見たものは、前述の猫又の惨状である。
「あれ? 猫又さんたち全滅です? なっさけないなー」
出てきた山吹の言葉は意外にも軽く。猫又たちもただ利用していただけといった雰囲気だ。
しかし、山吹の視線と物腰に油断はなく。猟兵たちの存在を見据え、すぐに踵を返す。
「私、まだまだ暗躍し足りないんで。この辺りで失礼しますね♪」
だっ、と走り出す山吹。
山吹を逃がすまいと猟兵たちは動き出す。
今なら山吹がこの場から離脱し切る前に攻撃を仕掛けられる。また、山吹を一度離脱させた後、油断しているところへ強襲したり、あるいは逃げる先に回り込むことも可能だ。
いずれにせよ、山吹を逃がさず倒さねば。それこそが猟兵たちの目的なのだから。
大崎・玉恵
同行:ティノ・ミラーリア(f01828)
そこらで会った鬼……てぃのと言ったか。と共に戦う。狙いは同じ狐じゃ、複数で当たる方がよかろうて。
まずわしが切り込む。奴の近接間合いに入り込むと尾が飛んでくるようじゃな、薙刀を使い【破魔】の力を纏って間合いをとりつつ【2回攻撃】して戦うぞ。
引き付けた所でてぃのの蝙蝠が奴の視界を塞ぐ。奴が翻弄されたら【石動手力雄】で奴を掴んで高く持ち上げ、地面に叩きつける。頭から地面に埋まるくらいの勢いで落とすぞ。
埋め込めれば質問も投げ接吻もできまい、袋叩きにして終わりじゃ。
協力して妨害をするのも茶番をさせぬためじゃ、他者を誘惑するつもりならもっとたおやかにせぬか。
ティノ・ミラーリア
大崎・玉恵(f18343)と同行。
ついさっき会ったばかりだけど、協力できるに越したことはないしね。
ぶっつけの連携だけど…よろしく…
近接は玉恵に任せて、それ以外は投げキスやウィンク…
『眷属の召喚』で陰からコウモリ「眷属」を大量に呼び出して、
その攻撃の射線を遮ったり、「眷属」で受けて庇わせよう。
妨害の間にも「狩猟銃」での射撃もして、動きを乱させていくよ。
もちろん、こちらからの攻撃はしっかり通るように眷属を操作。
もし上手くいったら地面から逆に生えた妖狐の出来上がり。
……まあ…オブリビオンだし、仕方ないよね…
戦っている間に見てたけど、尻尾のもふもふは知り合いの妖狐の方がかな…?
他絡みアドリブなども歓迎
●
山吹が姿を現す少し前。
大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)とティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)は、即席のペアを組んでいた。ついさっき会ったばかりだけれども。
「狙いは同じ狐じゃ、複数で当たる方がよかろうて」
という玉恵に。
「協力できるに越したことはないしね。ぶっつけの連携だけど……よろしく……」
とティノも首肯を返したのである。
そんなわけで、目の前で今、山吹が逃げ出そうとしている。
●
山吹が踵を返そうとした瞬間。
「やらせんわー!」
玉恵がなぎまたを手に、一気に距離を詰める。『逃げようとする』こと自体は既に知っている情報なのだから。その瞬間を野生の勘で捉えた玉恵が強襲したのだ。
「ふっ!」
短く息を吐きつつ、破魔の力を纏ってなぎなたの二連撃。振り下ろした斬撃で山吹の肩を捉え、そのまま斬りあげようとするが。
「痛いじゃないですかー!」
「むぅっ?!」
山吹の反応も素早く、そのもふもふしっぽを全力でフルスイング。プリティーテイルスマッシュが玉恵のなぎなたを弾き飛ばす。
「ではこれで、って、えぇぇぇ?!」
玉恵をいなした山吹が振り返るより早く、その視界へ大量のコウモリが出現する。それはティノの影が成した眷属、ユーベルコード『眷属の召喚』によるもの。
「……逃がさない」
思惑通り、視界と逃走を封じて、ティノは狩猟銃を構える。もちろんコウモリたちも飛んでいるだけではなく、山吹をかく乱しようと複雑な動きを仕掛ける。
「よし、今じゃ!」
再び距離を取っていた玉恵が手をかざした。ユーベルコード『石動手力雄』、これで翻弄された山吹の動きを完全に封じる。それが二人の連携にして作戦。
しかし、玉恵の詠唱が終わるその瞬間、山吹が動いた。
「うっとーしいぃぃ!」
山吹の踵落としがコウモリたちを薙ぎ払った。投げキッスがコウモリたちに遮られたから苦し紛れにそのままぶちかましただけなのだが。
「……っ!?」
そのタイミングがティノの射撃のタイミングが重なった。射線のためにコウモリたちを退避させるタイミングと周囲の残っていたコウモリたちが薙ぎ払われるタイミングが。
ティノの弾丸は大きな隙が出来ていた山吹の太ももを貫いたが、結果として視界が開けてしまった。
「開け、岩戸!」
そこへ玉恵の『石動手力雄』が発動する。見えない神通力が山吹を捕まえる。
「このまま地面に叩き付けてくれる!」
「私は逃げるんです!」
視界が開けたことにより、玉恵が仕掛けてきたことがわかってしまった。そこへおそらく山吹の野生の勘と第六感。プリティーテイルスマッシュが襲いかかってきた神通力を相殺してしまった。
「っ、ラッキー! 結構危なかったけど、私に運があったみたい!」
そう言って、少し足を引きずりながら離脱する山吹。
「ええい、忌々しい!」
「……今度は」
この結果は少々の運、あるいはユーベルコードの相性といった、ほんの些細な差。決して作戦や連携が悪かったわけではない。
きっちり説教し損ねた玉恵の叫びに、しっぽをしっかり観測し損ねたティノの呟き。
二人の前から逃げ出した山吹の動きは、最初に比べて明らかに鈍っていた。それは間違いなく、玉恵とティノの功績である。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
木元・杏
本命降臨(しっぽ的に)
冬香にももふレポート見せなきゃいけないから
勇気を出して気合い入れる
【白銀の仲間】で透明のわたし背丈のうさぎを1羽
逃げ出す山吹の前に出て、
蹴りを入れてこっちに引き戻して?
今回はうさみみメイドさんお休み
灯る陽光を幅広の大剣にして構え
蹴り飛ばされた山吹に一気に詰め寄り
しっぽもふ
もふのチャンスは一瞬
全ての感覚を掌に集めて感じ取る
そして些細なしっぽの動きの感覚と第六感を働かせて
高速しっぽを見切…るのは間に合わなさそう
即時に大剣を盾にしてオーラ防御しつつジャンプし後退で直撃避ける
以後もうさぎさんに岩投げさせて
山吹の動きを妨害しつつ
隙見定めて大剣で高速しっぽの間合いを潰して薙ぎ払う
●
玉恵とティノから逃げる山吹。その先へ回り込むように現れたのは木元・杏(微睡み兎・f16565)であった。
「本命降臨」
しっぽ的な話である。ぐっと小さくポーズを取りながら、山吹の前に立ち塞がる杏。山吹は進行方向をずらして杏を回避しようとする。
「残念でしたー♪」
杏の方を振り向きながら逃げて行こうとする山吹に杏が言葉を紡ぐ。
「こっちに引き戻して?」
「ぶっ?!」
突如前方からの衝撃に吹っ飛ぶ山吹。
それは杏のユーベルコード『白銀の仲間』。実は進行方向へ回り込むように、透明な杏の背丈のうさぎが1羽、そこに『いる』のだ。その子が後ろ脚全力キックで杏の方向へ山吹を吹っ飛ばしたのである。
「ありがと」
小さく呟いて『灯る陽光』を構える杏。白銀の光が幅広の大剣を成し、それを構えて杏が山吹との距離を一気に詰める。
「くっ、しまっ……」
吹っ飛ばされている今、空中の山吹は思うように身動きが取れない。このままではやられる、とその思いが山吹の瞼をぎゅっと閉じさせ。……勝負は一瞬だった。
もふもふ(しっぽを)。
「……はい?」
杏とのすれ違いざま、感じた感触に思わず山吹が抜けた声を発する。
そう、もふのチャンスは一瞬しかなかった。
「……完璧」
ぐっ、と小さくガッツポーズする杏。彼女はその一瞬を、全ての感覚を掌に集めて感じ取るという一瞬を見事に勝ち取ったのだ。
(もふレポート見せなきゃいけないから)
グリモア猟兵の戯言を信じた杏は、勇気を出して気合を入れて、山吹の前に立ち塞がったのだ。この子健気すぎて可愛い。今頃グリモア猟兵はくしゃみをしているでしょう。
「なんか知りませんけど……これはチャンス!」
山吹の声に杏も意識を戦場へ戻す。今一度逃げようとしている山吹へ、今度こそ攻撃のために接近する杏。
そこへ山吹がもふもふしっぽでのカウンターを仕掛けてくる。
(見切……るのは間に合わなさそう)
白銀の大剣を縦に構えて、横薙ぎのしっぽを受け止めつつ、後方へジャンプ。剣に纏わせたオーラ防御と合わせて直撃をなんとか避けて。
「うさぎさん」
杏の声に応じて、透明なうさぎさんが近くの岩をぽーいと山吹に向かって投げつける。進行方向を塞ぎ、山吹の動きを妨害しつつ。
「てやっ」
隙を見定めて、再度接近した杏がしっぽスイングされる前に大剣で山吹をなぎ払う。切先が山吹を捉え、確かな手応えが杏に伝わった。
成功
🔵🔵🔴
榎・うさみっち
【ニコ(f00324)と!】
ほぉ~さっきは和服の猫娘でお次は中華ロリータ服の狐娘と来たか
またしてもあざといな!
猫好きと狐好きのどちらの需要も満たすなんて恐ろしい奴らだ!
てわけで今回もお仕置きだ!
あ、逃げた!!
だが俺には追いつく秘策がある!
地上で最も速い動物はなーんだ?そう、チーター!
【おたすけ!あにまるっちフレンズ】でチーターっちを召喚!
距離が離れすぎる前に総ダッシュで山吹を追いかける
勢いをつけてジャンプし山吹の尻尾にダイブ!
しがみついて動きを止め、ついでにガジガジ!
俺も尻尾に飛びついてもふもふしてやるぜ!
ニコー!ここは俺に任せて攻撃するんだ!
\ぴゃあああ!/(ニコの攻撃に巻き込まれそうに)
ニコ・ベルクシュタイン
【うさみっち(f01902)】と
※アドリブ歓迎
妖狐娘の…中華ロリータ!?
此れは特定の層の方々の性癖にクリーンヒットするのではないか
取り逃がしては世界の危機やも知れぬ、行くぞうさみよ
何という逃げ足の速さだ、俺ではとても追いつけぬ
…おお、うさみには策があるのか、では頼りにさせてもらおう
うさみの目論見を看破されぬよう俺自身必死で追い駆ける姿勢を見せ
「時間稼ぎ」をしよう
野生の俊足ハンター・チーターっちが首尾良く山吹を抑えてくれたら
【時計の針は無慈悲に刻む】で少々痛い目を見て貰おう
さあ、お仕置きのお時間だ
何? うさみが山吹の尻尾でもふもふしている?
申し訳無いが身の安全は保証出来ない、上手に避けてくれ
●
杏の攻勢をなんとかかわし、その場から離脱した山吹。その前に回り込んだのは、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)と榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)である。
「妖狐娘の……中華ロリータ!?」
「ほぉ~さっきは和服の猫娘で、お次は中華ロリータ服の狐娘と来たか」
山吹の姿に驚愕と感嘆を示す二人。というか、何故いつも性癖チェックから入るのか。対して山吹は警戒心全開である。その山吹に対し。
「此れは特定の層の方々の性癖にクリーンヒットするのではないか。取り逃がしては世界の危機やも知れぬ」
「またしてもあざといな!」
どうして二人の読みはそこまで深いのか。もふもふ可愛いのはあざとくても仕方ないじゃないですか!
違うそうじゃない。猟兵としては山吹を逃がす訳にはいかないのであって。
「猫好きと狐好きのどちらの需要も満たすなんて恐ろしい奴らだ! てわけで今回もお仕置きだ!」
「行くぞうさみよ」
「あれ、私、どこにカテゴライズされてます??」
すまない、書いてる人も想定外だ。
そんなこんなで戦闘開始である。山吹が速攻踵を返す。
「あ、逃げた!!」
「何という逃げ足の速さだ、俺ではとても追いつけぬ」
叫ぶうさみっちに、舌打ちするニコ。だが手をこまねいて見ている二人ではない! うさみっちには秘策があるのだ!
「地上で最も速い動物はなーんだ? そう、チーター!」
チーターの最高速度は最大120km/h。
ってな感じで、ユーベルコード『おたすけ!あにまるっちフレンズ』炸裂。野生の俊足ハンター・チーターっちが颯爽と現れ、山吹への追跡を開始する。
「では頼りにさせてもらおう」
チーターっちを援護すべく、ニコは山吹を追い駆ける姿勢を見せて『時間稼ぎ』を。
「……する暇無いな?」
5秒で約100km/hに到達するチーターっちのほうが圧倒的に速かった。ニコが走り出した頃には山吹を捕まえてた。山吹にしがみついて動きを止め、ついでにガジガジしようとしてた。
「おりゃー!」
そこへ実はチーターっちとほぼ同時にダッシュしていたうさみっち参上! 山吹のプリティーしっぽにダイブする。
「ちょっと! 乙女のしっぽに何してるんですか!?」
ガジガジしようとするチーターっちを両手で抑えこんでいるため、しっぽに対する防御がなってない山吹が叫ぶ。
「何をするかって?」
そりゃ、もふもふするに決まってる。
もふもふもふもふもふもふもふもふ。
「ちょっとぉぉぉぉ! 私のしっぽもふもふは有料なんですよぉぉぉぉぉ!!」
今明かされる事実。別にどうでもいいか。
うさみっちを振り払おうとしっぽをぶんぶんする山吹。離れないうさみっち。ガジガジしようとするチーターっち。若干カオスである。
「さあ、お仕置きのお時間だ」
そこへ出遅れたニコのユーベルコード『時計の針は無慈悲に刻む』発動。山吹に向けて放とうとするその時、ニコはふと気づく。
「何? うさみが山吹の尻尾でもふもふしている?」
このまま放つと巻き込んでしまう可能性がある。わずかに緩んだ切先に、うさみっちが叫んだ。
「ニコー! ここは俺に任せて攻撃するんだ!」
うさみっちの声に、ニコは。
「申し訳無いが身の安全は保証出来ない、上手に避けてくれ」
と改めて、『時計の針は無慈悲に刻む』をぶっ放す。
「ぴゃあああ!」
うさみっちの悲鳴。しっかり巻き込まれた……と思いきや、山吹のしっぽで上手く防いだようだ。よかったよかった。
「よくないですよ!!」
あ、山吹は全力で食らったようです。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
大崎・玉恵
同行:てぃの(f01828)
やられっぱなしは性に合わぬ、文字通り灸を据えてやろうかのう。
【式陣・朱天照】で狐火を配置し取り囲んで逃げ道を断つ。
そこでてぃのが拘束に入る。…猿轡に荒縄。似合っておるではないかの?
拘束の成功如何に関わらず、そのまま炎を集めて焼く。
遠距離攻撃でこちらに物理攻撃はさせぬ、投げ接吻も陽炎を目隠しにしやらせぬ。
あるとすれば質問じゃが、別段隠す事もなし。何でも答えてやろう。
じゃが、過去の男の話を茶化した暁には神の逆鱗に触れると知れ。
(※その昔、無垢な青年貴族に人として取り入り愛し合ったが、狐とばれお付きの武士に追われた。かなり入れ込まれていた為、裏切ったと罪悪感を覚えている)
ティノ・ミラーリア
大崎・玉恵(f18343)と同行。
まだ動ける…なら、追いかけるよ。
【眷属】を展開して山吹を「追跡」し、
【猟銃】の「先制攻撃」は「スナイパー、援護射撃」で玉恵と僕の動きやすいように。
敵からの攻撃には「第六感」や【眷属】の「かばう」で対応。
僕たちの攻撃で山吹に隙が生まれたら【咎力封じ】を使用して拘束を狙う。
全て決まるのが一番ではあるけど、猿轡なら質問ができなくなるし、
手枷や拘束ロープどれかひとつでも楽になるはず…。
もふもふは一応、諦めてはいないよ。
●
「はぁっ、はぁっ、もう、何なんですかアレ!」
ニコとうさみっちのカオスなコンビネーションを何とか振り切った山吹は、その追跡をかわすべく、森の中へ身を潜める。
「うーん、逃げるにしてもただダッシュでは厳しいですねぇ……」
どうしようかな、と悩んでるその最中に、二人は現れた。
「まだ動ける……なら、追いかけるよ」
「やられっぱなしは性に合わぬ、文字通り灸を据えてやろうかのう」
ティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)と大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)の追撃戦。先の遭遇では上手くかわされてしまっただけで、二人とて負傷しての敗退ではない。ならば、まだ……終わってはいない!
「空に地に、満ちろ眷属……」
ティノが眷属たちを影から成し、周囲に展開させる。山吹を追い駆けるだけではなく、場所を捕捉し、確実に捕まえるために。それは功を奏して、コウモリたちが山吹の場所を発見する。
「行こう」
「うむ!」
眷属が導く先へ、ティノと玉恵が駆ける。
「うーん、逃げるにしてもただダッシュでは厳しいですねぇ……痛ったっ?!」
そう呟いた山吹を撃ち抜く弾丸はティノが放ったもの。遠距離からスナイパーの要領で放った弾丸が森の中を抜け、山吹を捉える。
「もう追手ですか、面倒な!」
ティノから距離を取る方向へ駆け出そうとする山吹の前に。
「夜とて、昼と染めようぞ」
玉恵が立ち塞がる。ユーベルコード『式陣・朱天照』による狐火が山吹に向かって乱れ飛ぶ。それは攻撃にして、逃走経路を断つ炎の檻。狡猾に狐火が山吹の周囲を飛び交い、動きを制限していく。
「こうなったら……あなたの秘密を教えてね♪」
狐火の間をかいくぐり、山吹が玉恵にウインクを飛ばす。そのウインクは直撃するが。
「秘密か……別段隠す事もなし。何でも答えてやろう」
「えっ、そう言われるとちょっと困るんですが」
玉恵のリアクションで質問を考えようとしていた山吹、とっても困る。その隙がティノにとっての好機となる。
「その隙……逃がさない」
ユーベルコード『咎力封じ』によって放たれた手枷と猿轡と拘束ロープ。生きているような動きを見せるそれらのうち、手枷と拘束ロープが山吹を捉える。
「なっ、んですかコレ!」
「似合っておるではないかの?」
山吹の姿に玉恵がくっく、と笑いをあげる。その様子に頭に血が昇った山吹は。
「こ……のっ!
腕ごと使ってティノに向かって投げキッスを送る。しかし。
「今じゃ!」
動揺、怒り、そして物理的拘束。山吹の動きが完全に止まったところへ、玉恵が狐火を収束する。狐火が壁となって投げキッスを遮り、そのまま山吹に向かって集まっていく狐火。
「うっそぉぉぉぉ!?」
拘束ロープによって大きく回避行動が取れない山吹を『式陣・朱天照』が燃やしていく。
「他者を誘惑するつもりならもっとたおやかにせぬか」
ふん、と玉恵が狐耳を揺らす。それは妖狐にしかわからない矜持なのかもしれない。狐火が消え、山吹の姿が露わになる。勢いよく燃やされたためか、目を回しているようだ。
「今なら……いける?」
もふもふは一応、諦めてはいなかったティノ。今がチャンスと近付き、山吹のしっぽを捉える。
もふもふ。もふもふ。
「はっ!?」
その感触というか、有料サイト(山吹のしっぽもふもふは有料らしい)を無断で使われたショックか、目を覚ます山吹。
「お、覚えてなさいよー!」
ティノの手を振り払い、あっという間にその場から離脱する。
しかしこれが最後の逃走であろう。遠くに逃げ切るだけの体力はこの場において玉恵とティノにより完全に削がれた。後は……猟兵たちの包囲網が彼女を捉えるだけだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イデア・アイオンハート
引き続き静葉(f06375)姉さんと参加。
使用能力値:POW
他の猟兵が奇襲や追撃の中更に追い討つ。
「戦略的撤退は分かるけど策が足りてない気が」と冷静にツッコミ。
『ダッシュ』/『野生の勘』で距離詰めしつつ静葉姉さんの援護受け勢いよく『シールドバッシュ』を叩き込む。
『挑発』で気を惹き『庇う』/『盾受け』/『オーラ防御』で軽減や庇いをしつつ『シールドバッシュ』でカウンターや『フェイント』/『属性攻撃』(風属性による斬撃強化)を交えた剣撃で攻撃。可能なら脚部狙い。
敵UCは【トリニティ・エンハンス】、炎の魔力を帯び防御力を底上げし軽減。巧く受け止めたら『ダッシュ』/『シールドバッシュ』で押し込む。
蒼龍院・静葉
イデア(f09399)さんと継続参加。
使用能力値:SPD
「猫又達を利用していた割には戦術は乏しいか、或いは最初から計算外かしらね。」
『ダッシュ』で距離を維持・詰め逃げる山吹・牡丹のふわふわの尻尾や脚に『高速詠唱』/『全力魔法』による稲妻の呪縛で機動力を削ぐ。
此方のダメージは『武器受け』/『オーラ防御』で軽減。
「走るよりも早い主雷撃の味はいかが!」
呪縛でイデアが接敵したのを確認したら『高速詠唱』による稲妻の呪縛や猛毒の弾丸で更に弱らせる。
特に敵UCは情報や手癖から【蒼闇纏う死神の予知】で投げキッスの予兆を推測、妨害し撃たせない或いは回避する。
●
「はぁ……はぁ……これ、ヤバいんじゃ」
息も絶え絶えに近くの森まで逃げ込んできた山吹。ここで猟兵を振り払えなければ最早……。そんな状態に息を整え。
「戦略的撤退は分かるけど、策が足りてない気が」
山吹の進もうとしていた方向、その先から聞こえてきた冷静なツッコミはイデア・アイオンハート(霞の先に咲く蒼き紫苑・f09399)のもの。
「猫又達を利用していた割には戦術は乏しいか、或いは最初から計算外かしらね」
そしてイデアの後ろから現れたのは、蒼龍院・静葉(蒼闇の果てに着きし妖狐の戦巫女・f06375)。
「えぇ、私、実働部隊ではないんで」
そう言いながら山吹が初めて、応対する構えを取る。
山吹追撃戦、最後の戦いが始まった。
イデアがダッシュで一気に距離を詰める。
「単調ですよ!」
山吹がプリティーテイルスマッシュをカウンターとして放って来るが、その攻撃はイデアの野生の勘で回避される。空を切ったしっぽの反動でわずかに動きが止まったところへ。
「走るよりも早い主雷撃の味はいかが!」
静葉の高速詠唱による全力の稲妻の呪縛が山吹を捉える。狙いは脚、機動力を削ぐこと。バチバチと紫電を放つ稲妻が山吹の脚を掴む。
「ほんっとう! 面倒ですねあなたたち!!」
いら立ちを隠さず、山吹の標的は静葉に変更。間髪入れず、自由になっている上半身と手で、静葉に向かって投げキッスを贈る。投げキッスが静葉に命中し、静葉の動きがわずかに止まる。そこへ山吹の踵落としが繰り出され……。
「お主の手の内は見抜いておるよ」
しかし、静葉のユーベルコード『蒼闇纏う死神の予知』が寸分違わず、未来――山吹の踵落としを捉え、鋭い一撃を難なくするりとかわす。
「ここ、ですね!」
山吹の踵が地に着く前に、静葉がカウンターの猛毒の弾丸を叩き込む。態勢を整える暇すらない山吹の脇腹を猛毒が蝕む。
「ぐっ、このっ」
ぐらりと山吹の体が揺らぐ。そこへイデアがシールドバッシュを叩き込む。その衝撃で吹っ飛ぶ山吹。
「がっ……」
木に叩き付けられ、口から血を吐く山吹。
「これでトドメだ!」
そこへイデアが風の属性で以て強化した魔煌剣での斬撃を放つ。その狙いは、脚。
「しつ……こいんですってば!」
静葉もイデアも『これ以上逃がさない』という意思がそのまま攻撃に出ている。そこまで逃がさないと言うのなら、山吹もまた二人を倒していくしかない。
山吹がキレて、強引に距離を詰め、やけっぱちのプリティーテイルスマッシュを放つ。その一撃はイデアの不意を突いて彼の体に叩き込まれる。
「くっ!」
しかし、ユーベルコード『トリニティエンハンス』の炎の魔力を帯びた盾がもふもふしっぽの一撃を完全に受け止めた。
「年貢の納め時、ね」
静葉の高速詠唱。稲妻の呪縛がさらに山吹を呪縛する。これまでに蓄積されたダメージに先ほどの無理。そして体中に張り巡らされた稲妻の呪縛。山吹の動きを封じるには十分すぎる要素で。
「今度こそ!」
イデアの鋭い一閃が風となって山吹を斬り裂く。その一撃がトドメとなって。
「きゃああああああああっ!!」
猫又たちを使って、暗躍しようとしていた情報屋の妖狐はこの場に散ったのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『とある農村の一日』
|
POW : 村人から作物の収穫の手伝いを頼まれる
SPD : 人懐っこい子供にまとわりつかれる
WIZ : 何かへ祈りを捧げる村人と遭遇
|
●
猫又たちと山吹・牡丹、2種のオブリビオンの脅威を防いだ猟兵たち。
その戦闘の光景は、村の中からも確認されていたようで。村に戻ってきた猟兵たちを、村人たちは『自分たちを救ってくれた恩人』として歓迎してくれた。
農村だけに娯楽施設などは無いけれど。そこにはのんびり平穏とした生活がある。
折しも村は夏前の収穫時期。畑ではキュウリやナスといった夏野菜。それから桃と西瓜の収穫が行われている。収穫を手伝うもいいし、採れたての夏野菜や果物を味わってもいい。
手伝うと言えば、この時期は麦刈りの時期だ。人手のいる作業なので手伝うと喜ばれるかもしれない。
いやいや、ひと仕事を終えた後なのだから。そんな重労働をすることもないかもしれない。村の中にいる子供たちと一緒に遊んでもいいし、近くの川で水浴びなんて楽しいかもしれない。
もしくは。村の中を散策すれば、意外な人たちに会えるかもしれない。例えば、小さな祠に祈りを捧げている村人、とか。
何にせよ、今からはのんびりまったり、休憩タイムだ。遠慮なくくつろいでほしい。
ああ、もちろんだけれども。公序良俗は守って、村人には危害を加えず。横暴な態度や傍若無人な振る舞いは、無しでお願いしますね。
木元・杏
ん、村は無事
でももうひと仕事
皆で頑張れば皆でお休み出来るから
鎌を持ち
村の人達に刈り方教えてもらって麦刈り
ん、こう?次はそっち?
コツをつかめば早く刈れるね
…そうだ
灯る陽光を大鎌にし、麦を痛めないように注意(こく
一気にまとめて刈り取る
白銀の仲間も今日はおつかれさま
もう一息、狼になって麦を脱穀場所に運んで?
麦、ふさふさしっぽに似てる
(一束ふにっとし、嬉しそうに笑って
休憩は木陰でのんびり
あ、冬香(手を振り
これ、しっぽの報告書(こくん
冬香よかったらここで一緒に休憩して
報告書の解説(ぐ)
わたしの一番はまつりん(双子の兄)のふわしっぽだけど
どのしっぽも、きっと誰かの一番のしっぽ
素敵なもふだったの(こくこく)
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のどかながらも、日々の生活がそこにしっかりと在る。その風景を眺めながら木元・杏(微睡み兎・f16565)は小さく、自分に頷いた。
(ん、村は無事)
でも、杏にはもうひと仕事あるのだ。
(皆で頑張れば皆でお休み出来るから)
人には見えず、されど杏の側に在る『白銀の仲間』。姿見えぬ狼の頭をひと撫でしてから、杏は村人の方へ歩いていく。
そして。
「ん、こう?」
杏は鎌を手に、麦畑を訪れていた。もちろん、麦刈りをするおじさんたちと一緒に。
「おお、そうそう。筋がいい」
「次はそっち?」
教えた通りにする杏の手付きに、おじさんは顔をほころばせて。それを見て、杏もまた鎌を動かく手に力が入る。
「お嬢ちゃん、すまんなぁ。村を助けてくれただけでなく、こっちも手伝ってもらって」
騒ぎは被害なく収束したとはいえ、その間、安全のために引きこもっていたので、その分、作業が遅れているのだ。
「コツをつかめば早く刈れるね」
ざっくざっく刈り取っていく杏。そして慣れてくると閃きや工夫も出て来る。
「……そうだ」
『灯る陽光』を取り出して、白銀の光を収束していく杏。その際、刃の角度や柄の長さを調整して……大鎌の形を成す。
「……(こく)」
麦そのものは傷めないように注意しながら、根元にそっと白銀の刃を当てて。
「えい」
さくっ。さくっ。先よりも広い範囲の麦を一気に刈り取っていく杏。順調にいけば、予定より早く終わりそうだ。
「おつかれさま。もう一息、頑張って」
麦刈り中は畔で待機させていた『白銀の仲間』を呼び寄せて。杏がお願いするのは麦の運搬。いっぱい刈ったから、いっぱい運ばないと。こっちもお手伝いしているのだ。
「……」
麦を『白銀の仲間』の背に積み込みながら、杏の視線は麦の束の先に。じーっ。
「麦、ふさふさしっぽに似てる」
麦の束をふにっと触りながら、杏は嬉しそうに笑う。何を思い出したのかな?
麦刈りが終わって、木陰でのんびりお休みしている杏。そこへ通りかかったのはグリモア猟兵の冬香。
「あ、冬香」
「杏さん、お疲れ様。お仕事も麦刈りも、ね」
手を振る杏に冬香はにっこり笑って彼女を労う。そんな冬香に杏が差し出すものがあった。
「これ、しっぽの報告書」
「なん……ですって
……!?」
完全に予想外だったらしい。こくん、と頷く杏に冬香の視線が注がれる。
「冬香よかったらここで一緒に休憩して。報告書の解説」
ぐっ、と何かが籠もった視線とお誘いを受けて、冬香はいそいそと杏の隣に座るのでした。
そんなわけで、杏が確かめてきたしっぽのレポートが解説(プレゼン)される。丁寧な説明を受けて、ふむふむと冬香が頷いている最中。
「わたしの一番はまつりんのふわしっぽだけど……」
双子の兄のしっぽの感触。それを思い出しながら杏が手をにぎにぎする。それが一番なのは、変わらない事実だけど、でも。
「どのしっぽも、きっと誰かの一番のしっぽ。素敵なもふだったの」
そう言って杏はこくこく頷く。
「とっても、素敵なことね」
杏の楽しそうな表情を見て、冬香もまた満面の笑みを浮かべるのであった。
成功
🔵🔵🔴
大崎・玉恵
同行:てぃの(f01828)
さて……氏神に挨拶に行ってもよいが、少し疲れたのう。
どこか、座れる濡れ縁か座敷はないかのう。村人に聞いてみるとしよう。
(あくせく働く村人、遊ぶ子供達を見て)
……懐かしいのう、尾沙木(玉恵の社がある地名)に氏子がおった頃を思い出すようじゃ。
……おお、てぃのか。此度はご苦労じゃったな。
ああ、こうして眺めておると、昔が懐かしくてのう。わしにも家族のような者達がいたのじゃよ。少し、郷愁に浸っておった。
飯か、気が利くのう。なに、元気がない?気を遣わせてしまったか。すまぬのう。
確かに戦の後で空き腹じゃし、考え事も腹が減る。……しかし、些か多すぎではないかの?
ティノ・ミラーリア
玉恵(f18343)と同行
連戦だったし、猫又の時には血を消費したから疲れたかな。
見慣れたダークセイヴァーとは違う、緑豊かな景色を眺めながら休憩。
オブリビオンから解放したら、夜も明けてこの世界のようになるのかな?
もし子供が来たら眷属の召喚で増やした眷属に相手をさせておこう。
ちょっとした荷運びなら手伝わせてもいいし…
なにやら玉恵の雰囲気がしんみりとしているのに気づく。
けれど励ましたり慰めたりする方法がわからないため、
お腹一杯になれば元気になるという聞きかじりを実行。
村人に分けてもらったご飯を持ってきて食べる端から差し出していく。
上手くいけば、これが正しいと覚えてしまいそうだけれどそこは構わない。
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(連戦だったし、猫又の時には血を消費したから疲れたかな)
木陰にある大きな岩に座ってほーっと気を抜きながら、ティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)は村の様子を、そして空を眺める。見慣れたダークセイヴァーの世界とは違う、緑豊かな、日の光がある世界。
(あの世界も、オブリビオンから解放したら、夜も明けてこの世界のようになるのかな?)
そんなことを考えていたティノの元へ、子供たちが興味津々に近寄ってくる。
「……」
徐に『眷属の召喚』で影からオオカミを作り出すティノ。目の前で、魔法のように突然増えたオオカミに、子供たちは大はしゃぎ。
「遊んできても、大丈夫だよ?」
ティノの言葉に、子供たちは大喜びでオオカミを連れて、側の広場で遊び始めるのであった。
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(少し疲れたのう……)
こちらは濡縁にて湯飲みを手にして休憩中の大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)。
その出自ゆえか、この地の氏神へ挨拶に行く、とも考えたのだが、先の戦いで少し疲れた模様。なので、ここでこうやってのんびりしているというわけだ。
目の前には、あくせく働く村人に、村の中で遊ぶ子供たち。
(……懐かしいのう、尾沙木に氏子がおった頃を思い出すようじゃ)
目を細めて、遠い過去に想いを燻らす玉恵。そうやって穏やかな時間が過ぎていく……。
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そんなしんみりしている玉恵を発見したティノ。先の戦闘で協力した仲でもある玉恵を放っておけず、声をかける。
「……おお、てぃのか。此度はご苦労じゃったな」
ティノの声に玉恵が振り向いて微笑を浮かべる。しかしながら、その顔には少し元気が無いようで。
「ああ、こうして眺めておると、昔が懐かしくてのう。少し、郷愁に浸っておった」
自分にもかつて家族のような者たちがいた、と。それは決して悲しいだけのことではないけれど、今は無き想い。そんな想いに浸る玉恵を、ティノはどうやって励ましたり慰めたりするかが思い当らない。
「……これで、いこう」
しばし悩んだ結果。ティノは少し席を外す。
(お腹一杯になれば、元気になる)
そんな話をどこかで聞いたような気がする。というわけで、大量のおにぎりを抱えて玉恵の元へ戻るティノ。
「ん? 飯か、気が利くのう」
そんなティノを見て、玉恵が言う。何故、今なのか、と。
「元気が、ないみたい、だったから」
「……気を遣わせてしまったか。すまぬのう」
それならば、と。ティノが差し出してくるおにぎりを受け取る玉恵。
(確かに戦の後で空き腹じゃし、考え事も腹が減る)
それに美味しいごはんは活力の元という考え方も間違いではない。手にしたおにぎりを頬張り、美味しそうに食べていく玉恵。手が空くと、すぐにティノから次のおにぎりが供給され。
そんなやりとりを数回繰り返した後。ティノが見るに、玉恵に少し元気が出てきたようだ。
(やっぱりこの方法で良かっ……)
「……しかし、些か多すぎではないかの?」
危うくティノに『人を元気にするには大量のご飯』とインストールされかけたわけだが、玉恵ナイスセーブ。
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こうして、この村を巡るオブリビオンとの闘いは終幕。村の平穏を守った猟兵たちはその雰囲気を少しばかり体験して。
晴れた日には、もふもふと……のどかで平和な光景。それが今回猟兵たちが得たモノである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴