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バトルオブフラワーズ⑬〜自由の定義

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #オブリビオン・フォーミュラ #ドン・フリーダム



 鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は、眼光鋭く尖らせて、猟兵たちを見据える。
 その真剣極まりない視線は、『ドン・フリーダム』が現れたことを報せる。
「ヤツは今までの幹部の、ラビットバニー、ウインドゼファー、エイプモンキーの能力を有してやがる。
 今までと同じだ。おめえらが攻撃するより先にヤツは動く。その力の全部が今までヤツらより断然強え――まさに最後って感じだな」

 我慢しなくていいのですよ。欲望は止めなくていいのです。
 オール・フォー・フリーダム! 自由こそが、この世の全てなのです!

「なんてこたァ言ってるが、コイツが『修理』したシステムに支配されるっつーことだろ。
 オブリビオンに支配されるとか、反吐がでる」
 強敵だ。
 見た目からして常識の埒外だ。
 こんなナリだがオブリビオン・フォーミュラだ。
 誉人は唾棄する。
「考え続けろよ、途中でやめンな、先制攻撃の対策はぜってー怠ンな――俺もおめえらのこと守っから」
 グリモアベースへの帰還のことだ。とどめをさされる前に、必ず帰還させると彼は続ける。
「……今までの戦いを踏まえて、の話になっけどォ……いや、前提にな、おめえらのスタイルで戦えばいいと思う。それだけは忘れんな。
 でだ、戦闘一辺倒のウインドゼファーの能力を使わせるより、頭をひねるだけで隙が生まれるエイプモンキー、それよりもバニーレベルで崩れる『エモい』ことを曝け出すのが、突破の鍵になるんじゃねえかなァ……って、俺は思ってる」
 こればっかりは、実際戦うおめえらに任せっけどォ……と誉人は言って、拳大のグリモアを生み出す。
 仄青く輝く球体は、俄かに花の香りを漂わせた。
「花畑の中で戦うことになるぜ、これも今までとおんなじだな」
 グリモアからこぼれ出てくる花弁が落ちた。
「頼んだぜ、しっかりな」


藤野キワミ
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

POW:絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
SPD:風で足場を崩してきます。
WIZ:猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。

 これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
====================

いよいよラストバトルですねー、藤野です。
バニーちゃんの再来ですよ、まさかです。
やってやれないことはないです。
私も、あなたも。
相応の覚悟を。

それではみなさまのプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『ドン・フリーダム』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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氷月・望
【アドリブなど大歓迎】

POW

わぁお、わぁお、チョー大胆!
花畑も相まって、こりゃ壮観至極って感じかな?
……オブリビオンじゃなくて、少し前ならナンパしてたかもね

(伊達眼鏡を外して、真剣な様子で)
自由、欲望、そりゃ大歓迎
……テメェの支配の上で、って大前提だろ?

他の不特定多数のヤツらはどーぞお好きに、でもアイツはダメだ
黄昏のヴィランに手ェ出すコトだけは許さねェ
アイツは俺のだ、俺だけのモノだ、身体も心も命も全部
愛して愛されて……殺して、殺されて、ハハッ……!

殺したい程、愛したい
殺されたい程、狂わされたい

バリアは解けた、かな?
【雷槌】を全力で放ってから離脱するよ
……嗚呼、ゴメンね?嘘か本当かは秘密デース



花筵。
 ピンク、白、淡い青――その中で悠然と、一糸纏わぬ姿で佇むのは、システム・フラワーズの創造主。
 ふざけた面を被り、素顔を晒していない。
 完全でないシステムを修理し、完全な自由を与えてやると宣った、厚顔不遜な女。
 長い髪はゆらりと揺れる。
 その姿に、氷月・望(夢想の囚人・f16824)は、伊達メガネの奥に隠した赤瞳をきらりと輝かせた。
「わぁお、わぁお、チョー大胆!」
 滑らかな柔肌に触れることは叶わないが、眺めることならできる。
 見渡す限りの幻想的な花畑という状況も相まって、惜しげもなく均整のとれた肢体を晒す、ドン・フリーダム。
 壮観至極――しかし、それは忌むべきオブリビオンだ。
 女はこちらをゆっくりと振り返る。
「大胆とは、わたくしのことなのですの?」
「アンタしかいねえだろ? アンタがオブリビオンじゃなくて……――少し前の俺ならナンパしてたかもね」
「あらそう、とっても残念な感じがするような気がしますのに」
 その独特な言葉選びは、なにものにも囚われない自由を意味するものなのか。
 考えても詮無いことだ。
 望は軽薄なメガネを外し、赤く乱暴に光る目をドン・フリーダムへと向けた。
 静かな闘志をくゆらせるその視線に、そのふざけた逆さ面の下はどう変化したか。
「自由、欲望、そりゃ大歓迎だ」
「なら邪魔しないでほしいですわ、ほら、とーっても時間の無駄ですもの」
 その一言は望に、小さな棘となって刺さった。不愉快に不機嫌に苛立つ。
「けど、それってよ……テメェの支配の上で、って大前提だろ?」
 望の声はどんどん冷えていく。
 熱く滾る思いは言葉を得て、望の唇から凍える声に乗ってこぼれ落ちてくる。
「他の不特定多数のヤツらはどーぞお好きに、でもアイツはダメだ。アイツに手ェ出すコトだけは許さねェ」
 その心に映し出される姿だけは、望のモノだ。
「アイツは俺のだ、俺だけのモノだ、身体も心も命も全部」
 狂気的な想いを、倒錯的な劣情を吐露し発露し、心に溢れて流れていく。
「愛して愛されて……殺して、殺されて――」
 口元だけに笑みを刻みつけ、赤い双眸はドン・フリーダムを突き抜け、心に棲む黄昏を舐めるように見つめる。
「ハハッ……!」
 渇望、熱情、情欲、親愛――ぐちゃぐちゃになったアイが、望を支配している。
「狂ってるって思うか?
 けどよ、それは、テメェの支配下じゃあ意味ねえことなんだよ。
 殺したい程、愛したい。殺されたい程、狂わされたい――テメェにわかるか?」

「あああ……! まってえ……それ、なんて依存関係……!」

 己の肢体を抱き締めて、ドン・フリーダムはその身をよじらせる。
(「バリアは解けた、かな?」)
 とはいえ、ドン・フリーダムの細い肩に担がれるように現れた、似合わない赤べこキャノンの間抜け面――照準はブレにブレる。
「共依存!? それともあなたの一方的な愛なのですの!? あっはァ……!」
 表情はわからない。だが、望は確信する。
 ドン・フリーダムの様子は、確かに絶対無敵バリアが解除されている。
 ならば、今が好機!
 望の両の赤瞳が爛然と紅を放つ――望の手に咲く雷花は、神の息吹。
「雷神降臨、ブッ潰れろ……!」
 凄まじいエネルギーを内包して、巨大な槌のような雷電が、ドン・フリーダムへと迷うこともなく疾った。
 【雷槌】の容赦のない一撃は轟音を上げ、閃光を爆発させ、ドン・フリーダムを中心に花畑は焦土と化す。
 神雷の嵐が蹂躙する中、ドン・フリーダムはその身を焼く雷撃を受けて、なお悠然と立つ。
 その姿に、それでも焼け焦げる肩先を認めて、望は目を細めて、口元を緩ませる。
「……嗚呼、ゴメンね?」
 紅の眼光は、次に瞼を上げたときには、普段の軽薄な色を滲ませていた。
「嘘か本当かは秘密デース」
 ドン・フリーダムに聞こえていようがいまいが、望は気にせず、再び赤瞳をメガネで隠した。

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
私がいた世界は自由でしたよ。吸血鬼が己の欲望のために弱者を自由に虐げる世界ですが。ここをあの世界のようにはさせません。

足場を崩して来るのであれば、「騙し討ち」のため抵抗できなかった振りをして敢えて足場の下へ潜りましょう。
暴風も脅威ですが、自分の立つ場所は吹き飛ばせません。暴風の音に紛れて彼女の足元付近にロープ付きのスローイングナイフを「投擲」、「ロープワーク」を駆使し振り子の要領で彼女の背後に出ます。

そのまま無差別の暴風で体力を削られる前にできる限りの「ダッシュ」と「忍び足」で「暗殺」者のように接近、【クイックドロウ・四連】の「零距離射撃」を叩き込みましょう。




 自由とはなにか。セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)の問う言葉にドン・フリーダムは、首を傾げた。
「私がいた世界は自由でしたよ」
「そーかそーか、それはとっても結構なことなことなのだわ」
「吸血鬼が己の欲望のために弱者を自由に虐げる世界ですが」
 傾げた首は元に戻らず、長い髪をゆらゆらと揺らす。
 笑っている。
「あははは、それは、そう、自由な世界なのだわですのね」
「ここをあの世界のようにはさせません」
 ころころ笑う逆さ面は、セルマの気迫に押されることもなく、焦げた腕を振り上げる。
 それは、先に戦ったウインドゼファーの力――颶風は大蛇のように口を開けて、セルマが立つ花畑を喰らい尽くすように、瓦解させる。
 その威力は、確かにウインドゼファーの比ではない。
 彼女の暴力をその身に受けたセルマだからこそ、その歴然たる力の差を目の当たりにした。
 あの撹拌された空気の塊の中、濁流のような上も下もない気流の中にあって、セルマは、それでも、心は凪いでいた。
 まったく知らない技ではない。
 その身をもって味わってきた。
 吹き飛ばされることを前提とした先の策は、あまり効果を生まなかったことも、その記憶に刻み込まれている。
 喉に刺さった棘のような感覚――それをセルマは、今こそ、抜いてみせる。
 この暴風に抵抗できず、崩落した足場もろとも落ちていく――というフリをすれば、どうなる。
 ドン・フリーダムの颶風は確かに脅威だ。
 ウインドゼファーを凌ぐ攻撃力は、確かにオブリビオン・フォーミュラだ。
 しかし、このまま風に切り刻まれてやるつもりもない。
 いかなドン・フリーダムとて、己の足場は崩すことははないだろう。
 その考えは確かにその通りだ。
 この轟音、加えて花弁の嵐の中、セルマの真意を隠すにはちょうどいいかもしれない。
 これに乗じて、ロープを結わえた《スローイングナイフ》を投擲し、楔のように打ち込めば――だが、風の凄まじさにセルマは翻弄される。
「くうっ!」
「のうのう、少女よー」
 風がうねりを上げて、無差別に瓦礫を撒き散らし、凶刃でセルマの肌を裂き続ける。
「そのなにかを懸命に考えてる顔は、ほんっっとうに可愛いのですけれども、わたくし、少しばかしナメられている気がしてなりませんのだわですの」
 足元に潜り込んで、ドン・フリーダムの背後をとるつもりの策。
 ウインドゼファー以上の威力を誇る颶風を前に、空へと押し戻される――それでも乾坤一擲、投じたナイフは軌道を変えられ、握るロープの先でナイフは暴風に翻弄された。
「足元に潜り込む策、わたくしの意表を突いた策、とってもステキなことですの。でも、」
「おしゃべりは、たくさん!」
 セルマは、確かに背後を取ることはできなかったが、その手はまだ動く。血は流れているが、目はまだ開く。
 颶風を逆巻かせるドン・フリーダムの一糸纏わぬ自由奔放な姿を睨み据えた。
 セルマに残された、とれるべき対抗策は少ない。それでも抵抗はできる。

「早撃ちですよ、あなたの風を掻い潜ってみせます」

 零距離射撃で弾丸を撃ち込むつもりだった。そのために準備をしてきた。
 瓦礫が邪魔をする――舞い吹雪く花弁が視界を塞ぐ――風刃の塊がセルマに照準を定めることを許さない。
 それでも、彼女の培ったスナイパーとしての経験が、矜持がセルマに引き金を引かせる。
 常軌を逸した神速のクイックドロウは、暴風を引き裂いてドン・フリーダムを強襲!
 機銃をぶっ放すがごとく淀みない連射は、ドン・フリーダムの逆さ面を掠め、わずかに傷をつけた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

四王天・燦
不利でも風に挑む。
ゼファーに感じた敬意が、安易な上位互換を認めたくないのさ

ゼファー戦同様に目を守り、花舞う風の道を飛び、瓦礫を蹴り駆ける…迂闊に接近はしない。
見るはフリーダムの動向(砲撃や攻撃を見切り回避)と花が散り剥き出しになる戦場

ここがフラワーズの中枢なら重要機器も埋まってるはず…フリーダムが無差別攻撃を躊躇する場所が続く『道』が見えたら反撃開始

妖魔解放。(見習い)雪女を霊着。
『道』を滑るように高速移動で詰める。
アークウィンドで接近戦&吹雪の衝撃波。
本命は吹雪に紛れ密かに垂らすデストラップ…罠を張る。
敵の攻撃の勢いを利用して一気に鋼糸を引いてやるぜ

「アンタ不自由だよ。誇りと夢に縛られてる」




 グリモア猟兵が、わざわざ言及したということは、そういうことだ。
 ドン・フリーダムにウインドゼファーの力を使わせるのは、他の示された選択肢の中で最も危険を孕んでいると。
 それでも、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、ドン・フリーダムの操る颶風に挑まざるを得なかった。
(「ゼファーに感じた敬意が、安易な上位互換を認めたくないのさ」)
 それは己の気持ちがざわつくからだ。あの気持ちを、一瞬にして否定されたような気がするのだ。
 燦は、ウインドゼファー相手に立ち回ったときと同様に、ゴーグルで視界を確保しつつ、花弁吹き荒ぶ中、ドン・フリーダムと対峙する。
「言いたいことは山ほどあるけど、まずは、あんたを斃してから、ゆっくり言うことにするか」
「続々ときましたね、猟兵! ほうほう、わたくしに言いたいことを我慢しているのかしら――なんて愚か! 我慢をするなんてナンセンスなのですわ!
 オール・フォー・フリーダム! さあ、欲望のままに吐き出すがいいのですわ!」
 彼女ほどのスピードはないだろうが、風刃の鋭さも、撹拌する空気の流れも、その力強さも、なかなかどうして、燦の警戒心を煽る。
 迂闊には接近しないように心がけて、彼女の動向を探ろうとした。
 が、その攻撃の手は、思い切りが良すぎた。
 瓦礫に足をかけ、風の道を読もうと試みる。
 システム・フラワーズの中核となる場所だ。
 ここにきっと、ドン・フリーダムが修理したくてたまらない、例の装置があるはずなのだ。
 だが、彼女は躊躇わない。
 燦は不可解に思いながらも、素早く思考を切り替える。
 ここで、読み間違えてしまっては、辛くも耐えた第一波、そして予想される第二波には耐えきれない。
 逆巻く颶風は、凶刃を仕込み、燦に容赦なく向かいくる。
 道は――見えた。しかし、彼女が守ってやまないだろうシステムへの道ではない。
 これ以上時間をかけていい相手でないことは、身体中につけられた傷が物語っている。
 フッっと鋭く息を吐き、凍風を操る魔物娘の魂を霊着させ、燦はウインドゼファーをも凌ぐほどのスピードを手に入れる――《アークウィンド》の刃をぎらつかせ、舞い上がった瓦礫を足場に彼女の空中感覚をフルに活用しながら、ドン・フリーダムへと接近していく。
 上位互換だというのならば、燦を容易く退けてしまうはずだ。
 薄紅色の花弁を凍りつかせるほどの猛吹雪を解き放ち衝撃波となって、ドン・フリーダムを真正面から飲み込んでいく。
 燦はその隙に彼女に急接近を果たし、近接戦闘へと持ち込む――
「どうするよ、この距離で風を巻き起こせば、あんただってただじゃすまないだろう?」
 《アークウィンド》の銀閃が走る!
 しかし、不愉快な笑みを浮かべ銃創が走る逆さ面は、ひらりと身軽にそれを躱していく。

(「かかった……!」)

 先の吹雪に紛れさせた鋼糸を、強く引く。
 ドン・フリーダムの細首に巻きついたそれは、彼女の呼吸を奪う――
「かはっ……」
「アンタ不自由だよ。誇りと夢に縛られてる」
 歪むことを知らない逆さを向いた不気味な笑みは、薄ら寒くて。
 瞬間、その場に猛烈な風が巻き起こる。
 足元の花々を舞い上げる暴風は、鋼糸を締め上げる燦の手を緩めさせた。
「わたくしが不自由……そう、それはそうかもしれませんのですことで、あなたがた猟兵が、わたくしの邪魔をしているのですわ」
 長髪を揺らめかせて、ドン・フリーダム。
「ですがあなたたちを退けてしまえば、わたくしは、自由になってこれを修理いたしますわ」
 コレ。
 どこを指して言ったのかは分からなかったが、ナニを指して言ったかは容易に想像がついた。
(「システム・フラワーズ……」)
 燦は、小さな舌打ちを残して、ドン・フリーダムから距離をとった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

黒天・夜久
「オール・フォー・フリーダム」……。なら、貴女を倒すという選択も一つの「自由」ということですよね?

自分が操作する人形・ブラックウィドウを乗せた宇宙バイク・アトラタスを囮として真正面から突撃させます。アトラタスが備えている【オーラ防御】で暴風に対しての対処はします。
自分自身は【迷彩】で姿を隠しユーベルコードで弾力性を最大限にして、ナハトへクセの【空中戦】で生成した足場を引っかかりにパチンコのごとく跳躍を繰り返し、ドン・フリーダムの背後へと。しくじらないように【視力】で補助もしておきます。
攻撃は影ノ刃による【属性攻撃】を纏った【なぎ払い】。空中に留まっている人形からの【援護射撃】もつけましょう。




 ドン・フリーダムは、悠然と立つ。
 だが全くの無傷ではない。左腕――肩先から肘にかけて焦げ焼け、細い首には真っ赤な締め上げられた痕には、わずかに血が滲み、不気味に嗤う逆さ面にはひびが入っている。
 先の激闘の跡は、確かに残っている。
「オール・フォー・フリーダム……なら、あなたを倒すという選択も、ひとつの自由の形であるということですね?」
「まさにそういうことになりますですわね」
 黒天・夜久(ふらり漂う黒海月・f16951)の黒い目に映るのは、負傷したドン・フリーダムの姿。
 コンコンコンのシステムを構築した当の本人。
 自由を脅かす人。
 己の作り出す「自由」が史上だと宣う人。
 夜久にそれを許容することはできなかった。
 倒す、斃す。眼前のドン・フリーダムを骸の海へと突き落とす。
 彼女の足元の花々が揺らめく。その西風は、なるほどウインドゼファーが操ったものだ。
「頼みましたよ」
 小声で呟いて、《ブラックウィドウ》を乗せた漆黒のバイクがエンジン音を轟かせながら、ドン・フリーダムへと走り出す。
 彼女が囮となってドン・フリーダムの気を逸らしてくれている間に、夜久にはやりたいことがある。
 ドン・フリーダムは焦げていない方の腕を振り上げた瞬間――彼女へ向かって真正面から突っ込んでくる《アトラタス》が、暴風の煽りを受けて進路を外れていく。
 そして、その余波は夜久をも巻き込む――否、余波でなく、こちらが本命か。否、だとしてもやらなければならないことは変わらない。
 【バウンドボディ】で最大限まで伸縮性を手に入れ、彼は颶風に巻かれた花弁の嵐に紛れる。
 花筵は捲れあがり瓦解していく。
 無差別に奔り、風刃を振りかざしてくるが、彼は《ナハトヘクセ》の力を発揮し、宙を蹴って飛来した瓦礫を踏み抜いた。
 視界を塞ぐほどの花嵐は、どこまでも幻想的で暴力的だ。
 この戦いが始まってからこの嵐をいったい何度目にしただろう。
(「戦争でなければ、戦いの最中でなければ……」)
 夜久は手に入れた伸縮自在の己の体を最大限に駆使して、ドン・フリーダムへと接近を試みる。
 狙いを定める。《ナハトヘクセ》が力場を生成して、そこに足をかける。引き絞れ、ギリギリと。そのスピードを殺すことなく、ドン・フリーダムへと突っ込めるように。
 夜久は、花弁の乱舞が熄む気配を感じた瞬間、体を弾けさせる。
 しかし、ただまっすぐに突っ込んでいくわけではない。彼は、空中を踏みつけ、軌道を無理やり変え、ドン・フリーダムの眼前から消えて見せる。
「ウサギさんのようで――」
 転瞬、夜久の背を守るように空中でとどまっていた《アトラタス》の紫が鮮烈にきらめく。それを駆る喪に服す女――彼女が構える《ミーティア》の銃口から、一気呵成に銃弾が放たれる!
 無駄話をしている場合ではない。しかし、最早何をするにも遅すぎた。
 ドン・フリーダムは、弾丸の嵐を身に浴びて、白い肌を赤く染め上げる。
「これが、自分で選んだ『自由』だ」
 夜久の黒外套の裾が翻る。
 宙を蹴って踏んで手に入れた、ドン・フリーダムの背後だ。
 夜久は漆黒の薙刀をその手に、黒刃一閃、細い腰を薙ぎ払う!
 白磁のごとき夜久の頬に、赤い花が咲いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋縅・善蔵
まさかUCごと弱点まで完全移行とは、まぁ最初からクライマックスで。
【オーラ防御】と【力溜め】で守りを底上げ。【盾受け】で可能な限りダメージを減らす。
〔要請する支援機〕はレベル÷2の強さの2機。背中合わせの3機編成で死角をなくして【空中戦】の【ダッシュ】
〔ミサイルカーニバル〕はエモーショナルな板NOサーカスの軌道を描く。
「自由には責任が付きまとうんだよ!」
【コミュ力】を駆使した問答で弱点突き。
無人機が撃破されても【第六感】を使って俺が〇野サーカスなマニューバで回避。
敵のバリアが消えたら壁ドンならぬ花ドン。
「敵でなければ最高なんだがな」
花ドンから〔回転撲殺拳〕に、【一斉発射】と〔斬鐡〕で攻撃。




 まさにほうほうの体といったところか。
 無理もない、その身一つで、一糸纏わぬ姿で猟兵の全力と向き合ってきたのだ。
 それでも、その場に立っているという事実が、緋縅・善蔵(首輪付き・f06737)の頬に笑みを刻みこませる。
 この女。ドン・フリーダム。門番として立ち塞がってきた今までの幹部の技を、そっくりそのまま移行しているのだ。
「まあ、弱点ごと移行しちまうのは、どうかと思うが……」
 しかし、それがなければもっと苦戦していたはずだ。どこか抜けていてくれてよかった――初見でなく、その身で一度は受けた技なのだ。
 始まった瞬間から、大団円へ向けて全速力で駆け抜ける。
「その仮面とってでも、俺のマニューバに心動かせよ」
「そんなものに、わたくしが震えるわけありませんのですわ」
 善蔵は、頬に笑みを刻む。
 その強がりをいつまで続けることができるか、お手並み拝見と行こうか――善蔵は装備しているすべての銃火器から、弾丸を撃ち出した。
 すべての砲弾は互いにぶつかる寸前で軌道を変え、ときに隊列を組み、散開、弾道は白煙の尾を、宙に描き出す。
 そして、全弾がドン・フリーダムに向いて、飛来する!

「……! なんですか、その、エモなミサイル!」

 傷まみれのドン・フリーダムだが、ヒビの入った仮面の奥で黄色い声をあげた。
「よきですわ! よきですのよ! ぶつかるかぶつからないかの瀬戸際が、もう! あはァ!」
 ひらりひらりと弾丸を躱しながら、彼女は悦びに身をよじる。
「……ちょろいな」
 思わず呟いてしまった。しかし、これでドン・フリーダムの無敵バリアは解かれた――ということだろう。
「ちょろくって構いませんのですわ、それはわたくしの楽しみでもありますもの!」
 ドン・フリーダムは、それでもどこからともなく取りだした赤べこキャノンを構えて、善蔵に照準を合わせる。
 充填されるエネルギー――吐き出される強烈な一撃を、善蔵は躱すために、一旦宙へと飛びたつ。
「さあさあ、もっとわたくしを楽しませてくださいませなのですわ!」
 ドン・フリーダムの言下、善蔵は腹に激痛を覚える。
 まさか。
 そのキャノンは躱した。
 彼は眉根を寄せる。あまりの痛みに花筵の中に落ちた。
「なにを……!」
「なにも! わたくしはただただあなたを撃ち落としただけですのよだわ!」
 躱したと思っていた。屈強な体躯に纏ったオーラで致命傷は免れたが、脂汗が噴き出す。
「……くそっ」
 歯噛みした善蔵は、コロコロ笑うドン・フリーダムの隙をつき、突進!
 彼女の傷にまみれた肢体を押し倒し、馬乗りになった。
「なっ!?」
「敵でなければ最高なんだがな」
 敵でなければ。
 こんな状況でなければ。
 拳を振り上げ、ふざけた面に向かって振り下ろす、拳に衝撃――否、それは、彼女の顔面を掠め、花々を殴りつけた衝撃だ。
「まったく遅い攻撃ですことだわ」
 動揺していると思っていたドン・フリーダムは、満身創痍とは思えない身のこなしで、くるりと反転し、善蔵の下から飛び出してくる。
「敵同士であるからこそ邂逅を果たせたのですわ、もしあなたがわたくしの配下であったなら、気に留めることもなかったでしょうに。さて、わたくしには、システムを修理するという仕事が残っているのですの」
 のたまうドン・フリーダムへと、善蔵は再び接近しようとした――が、赤べこキャノンが撃ち出され、その身を焼かれた。
「逃げるという選択肢を選ぶ自由は、奪われていませんが、」
「自由には責任が付きまとうんだよ!」
 付き纏う責任は、ときに善蔵を雁字搦めにするだろう。しかし、それがあるから、人生と真剣に向き合うことができる。
 たとえ、この身が焼き切れようとも。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

香神乃・饗
暴風に飛ばされた様子を装うフェイントで上空に舞いあがり
花の嵐が弱まる迄念で浮かべた苦無の足場で待つ
暴風は香神写しで複製した苦無を剛糸で手に縛り念で引き残りの苦無を旋回し小竜巻起こし相殺狙いつつ突っ切る

いっちゃん早いの見せてやるっす!
足に苦無を結い重力という地形を利用し敵頭上に高速落下
手足の苦無を念で引き加速
何を喰らってもちょうてんさいを超え討つ覚悟で

舞う花弁の地形を利用し身と足場隠し
進路を読み辛いよう目立たない剛糸を張り巡らせ足場にし駆け一層加速とフェイントを
苦無の雨をフェイントに暗殺の勘をいかし斬る
敵を盾にし落下ダメージを全乗せするっす

自由は与えられるモノじゃないっす
自分で掴み取るモノっす!




 大きく息を吸った。
 肺腑の奥まで酸素を行き渡らせる。赤べこキャノンをどこかに仕舞い込んだ、ドン・フリーダムは、乱れた長い髪を撫でつける。
 倒されたときに強かに背を打ち据えて、黒外套の猟兵の奔らせた傷を庇うそぶりを見せる。
 本当に痛むのか、ブラフなのか。 どちらにせよ、やることは変わらない。
 香神乃・饗(東風・f00169)は、合わせ鏡に写すように武器を増やしていく。
「まったくもって、大変な目に遭いましたのだわ」
 自由奔放な話し口調は一向に定まらない。
 何も纏わぬ姿はひどく負傷し絶えず血が流れる。
 白い肌は果たして、本来の白さか――失血によるダメージか。
「これからもっとひどい目に遭ってもらうっす」
 ドン・フリーダムを見据える黒瞳は、寸分も外れることなく彼女の動向を見続ける。
「それはわたくしのセリフというものですわ、さあ、奈落までの道を開けてさしあげますですわ」
 腕を振れば血も舞った。
 たちまちのうちに暴風が花々をざわめかせ、饗の足元を瓦解させ、崩落させ、めくり上げていく。
 瓦礫と花弁の狂ったように続けられる乱舞に、飛ばされた――ように見せかける饗は、念で宙に縫いとめた苦無の上にとどまって、息継ぎのタイミングを計る。
 飛んでくる瓦礫は、己を守るように旋回させる苦無が薙ぎ払っていく。颶風に巻かれた粉塵が饗の顔にかかる――こともなく、それは饗が巻き起こした小さな竜巻に飲まれ立ち消えていく。
 ウインドゼファーですらあった、嵐の熄み間――ドン・フリーダムの方が確か能力は上だろうが、見たことのある技、受けたことのある技というのは、アドバンテージになる。
 さあ、くる。
 風が俄かに弱くなった。
(「いっちゃん速いの見せてやるっす!」)
 鋭く息を吸う、息を詰める、苦痛に身をよじるドン・フリーダムの頭上へと苦無を閃かせる!
「くうっ! もう!」
 こっちへ来るな――言外にそう叫ぶドン・フリーダムは、腕を振り颶風を巻き起こす。
「わっ!?」
 どれほどの攻撃を受けたところで、この「ちょうてんさい」を討つ覚悟はできている。饗は自身の周囲に旋回させていた苦無を咄嗟に女へと奔らせる。
 弾丸のように撃ち出された苦無の防ぐ隙に、饗は体勢を立て直す。
 舞い荒れる花弁の嵐を最大限に利用して、彼は巧みに剛糸を編み、念を織り込んで足場を構築――
「この、」
「手加減なしっす!」
 ドン・フリーダムは、口数があからさまに減ってきた。それが何を意味するのか、彼女の柔肌に流れる血を見れば、簡単に推察できる。
 饗の黒瞳は、静かに燃える。頭は次の手を生み出すために回転し続ける。
(「もういっちょ、どうっすか!」)
 風刃で肌が裂かれる痛みを無視、剛糸の足場に全体重をかけ、全身のバネを弾けさせ、突貫。
 同時に集結させてあった複製苦無は、暴風を切り裂いて雨あられとドン・フリーダムへと降り注いでいる。
 舞い狂う花弁を目隠しに利用して、苦無も彼女の視界を奪う。
 わずかな隙間を見つけ、饗は宙を跳ね、ドン・フリーダムの死角へと入り込んだ。
「自由は与えられるモノじゃないっす――」
 あらぬところからの声。
 長い髪を乱したドン・フリーダムは、慌てて振り返って饗を仰ぎ見る。

「自分で掴み取るモノっす!」

 墜落。
 奔る梅鉢紋の赤が、苦無の銀刃が鮮烈だった。
「――――ッ!」
 耳を劈く裂帛の悲鳴と共に、ドン・フリーダムは鮮血を噴き上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

戒道・蔵乃祐
ドンフリーダムはシステムフラワーズの開発者
旧人類の生き証人でしたか

ですが
猟兵をこの場に招いたのはシステムからの救援要請
貴女の大義は既に、貴女が丸ごと改造した惑星自体に拒絶されるウイルスに成り果てた

貴女程の才智が論証する欲望至上主義を、僕は論破出来ないけれど
貴女の夢を打ち砕かんとする意思もまた欲望なれば

決して交わらない平行線
故に最早言葉も要らない


怪力と踏みつけで花の足場を破壊し、畳返しの要領で地面をグラップルで捲り上げて武器受け
赤べこキャノンを防ぎ
吹き飛ばしと投擲で瓦礫の盾を遠投、塞がれた視界の影に忍び足で大ジャンプして接近

限界跳躍・業蹴撃を繰り出し、投げ飛ばした花の地形越しに敵を蹴り砕きます


緋縅・善蔵
「自由には責任が伴う。その責任をどう果たしてくれるのか。言ってみろよ」
フリーダムが言う自由というのは、それに伴う大きな責任を果たそうという世界には見えない。
【オーラ防御】と【力溜め】を使いながら再起。【盾受け】で敵からのダメージを極力抑える。
そして〔支援要請〕で10程の無人機を召喚して目標を囲む。
「責任は、”敵を落すだけ”とかふざけたことじゃなかろうな?自分で支払うんだよ!」
【空中戦】と【ダッシュ】、それに真の力をフリーダムを追撃。
【コミュ力】を使っても相手が十分の答えでないなら〔ミサイルカーニバル〕含む【一斉発射】で攻撃。爆風と【迷彩】で敵の目を暗まし、急襲出来れば良し。
〔戦場の亡霊〕で保険


水衛・巽
アドリブ歓迎
POW

(個人的にこの方向のネタは禁じ手なんだけど
勝つためにはまあ仕方ない、我慢して演じきろう)

自由、か
良い言葉だけど貴女の場合、出どころが怪しすぎる
それ以上にこれから私が自分のモノにしようって人にまで
勝手に手を出さないでほしいな


せっかく時間かけて外堀埋めて
これからじっくりあの男(ひと)を落とそうって時に
たかがぽっと出の貴女に横取りされるなんて
私のプライドが許さないんだよねえ…

わかる?私がどれだけ苛立っているか

――そう、勝つためとは言え
こうやって心にもないこと言わなきゃならないのが心底腹立たしいよ

バリアが消えた一瞬を狙って居合の要領で切り捨て、離脱




 こんなはずではなかっただろう。
 まさかここまでの窮地に立たされることになるとは思いもしなかっただろう。
「あなたは、」
 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)はふらりと傾いだ体を、なんとか持ち直したドン・フリーダムへ、向き直る。
「システム・フラワーズの開発者と伺いました――なるほど、旧人類の生き証人でしたか」
 強面な蔵乃祐は、裏腹に穏やかな声音を紡ぎ出す。
 それを聞くドン・フリーダムはピクリと肩を震わせた。
 ここにきて、彼女に歩み寄ろうとする言葉を聞けるとは思わなかったのだ。
 悪趣味なスマイルの面が、蔵乃祐を見つめる。
「ですが、」
 その単語が出た瞬間、ドン・フリーダムは、絶対無敵バリアを展開し、いずこからか再三赤べこキャノンを取り出し、肩に担いでみせた。
「『ですが、』ですかなのだわね、わたくしと楽しくおしゃべりをしたくってココまでいらっしゃったのかと、思いました」
「そんな奇特なやつなんかいねえって」
 屈強に鍛え上げた体をオーラで纏い、善蔵は再びドン・フリーダムへと挑みかかる。
 握った拳に力が入って、入りすぎた気合いは、気負いとなる――それを吐く息と一緒に捨てた。
「自由には責任が伴う」
「それは先ほども聞いたのですわ――そして、あなたはわたくしに劣ったのだわ」
「その責任をどう果たしてくれるのか。言ってみろよ」
「なぜ? なぜわたくしはあなたと問答をしなければならないのですか? なぜなのかしら?」
 裸体から溢れ出す血はとめどなくて、喉の奥で笑うドン・フリーダムに鬼気迫るものを覚える。
「わたくしはちょうてんさい、そんな責任なんて関係ありませんのだわ。げんに、あなたがたは、コンコンコンとお楽しみではありませんこと? そこにわたくしの責任があると? あはは、あははははははは!」
 高らかに笑いながら、赤べこの鼻先にエネルギーが収斂していく。
「ちゃんちゃらおかしな話ですことね」
笑い声はすぐさま凍結し、冷たい声となってとびきりの一撃が放たれた――瞬間、地を揺るがす爆音が轟く。
 蔵乃祐の怪力でもって花畑に亀裂が入り、踏み抜かれた衝撃で、巨大な壁が聳り立ったではないか。
 まるで畳返しだ。
「いや、すごいな……」
 思わず声が漏れた水衛・巽(鬼祓・f01428)は、蔵乃祐の背後で感嘆した。自分にはできそうにない荒技だ。

「なんですか、その! えっ!? 予想外なのだわ!」

 不可視のバリアが一瞬揺らぐほどに、ドン・フリーダムも蔵乃祐の盾に驚いている。
 彼女の放ったキャノンはその場にいる全ての猟兵を狙って放たれたが、うち二発はその壁に突き刺さって、壁は役目を終え粉砕した。
「助かりました」
「なんの、お役に立てたのなら」
 巽は蔵乃祐に礼を述べれば、彼は柔和に笑んだ。

 こちらに向かってくるキャノンは、先刻浴びたものだ。それは善蔵の記憶に新しく、そして苦々しく刻み込まれている。
 溜めた力でオーラを堅牢に練り上げ、焼かれまいと見極める。
 なんとか躱すことができれば、次の一手を打ち易いものとなる、迫る、横っ跳びに跳躍、しかしその一発は腹を掠め、彼に激痛を走らせた。しかしこの程度では怯まない。
 善蔵には、どうしても彼女の言う「自由」が無責任に思えてならなかったのだ。
 望めはなんでもかんでも手に入る。
「それは、自由なんてものじゃない――好きにしていいと強大な力を渡され、それを正しく使うことができてこそ、自由だ」
 善蔵の言葉にドン・フリーダムは大きくため息をついた。
「あなたは、本当に……では、その正しいというのは誰が定義したのですの? 責任とは、誰がどのように定義したのですか?」
 この問答に意味はありますか。
 ドン・フリーダムの声は冷たい。
 これっぽっちもエモを感じられない――至極残念そうに彼女は、再三ため息を惜しげもなくつく。
「では、こうしましょうか――ロープで首を絞められ殺されたニンゲンがいるとしまして、今のあなたは、ロープを生み出し作り上げた第三者に『あなたがロープを生み出したから殺人事件が起こった、責任はどうする?』と問うているようなものでございますですのよ」
 わたくしを言いくるめたいのでしょうか。
 わたくし、あまりの暴論に笑ってしまいますわ。
「論点をすり替えるな!」
 善蔵は一喝する。
「貴女程の才智が論証する欲望至上主義を、僕は論破出来ないけれど」
 二人の交わりをみせない問答に、じわりと蔵乃祐が口を開いた。
「貴女の夢を打ち砕かんとする意思もまた欲望なれば、それは、決して交わらない平行線」
 双方に、譲ることのできない両極に位置する主張があるのだ。
 それが邂逅するはずもない。
「故に最早言葉も要らない」
 その様子を一歩下がったところから見ていた巽も、つっと出てくる。
(「個人的にこの方向のネタは禁じ手なんだけど……勝つためにはまあ仕方ない、我慢して演じきろう」)
 ドン・フリーダムの展開するバリアを解除させなければ、この戦いは終結しない。
 彼は涼やかな青眼に、ぎらりと不穏な光を宿す。
「自由、か――良い言葉だけど貴女の場合、出どころが怪しすぎる」
 そも「オブリビオンに与えられる自由」というのは、どうにも腹に据えかねる。
 巽の声は、熱を帯びた。
「それ以上に、これから私が自分のモノにしようって人にまで、勝手に手を出さないでほしいな」

「っ!?」

 ドン・フリーダムは巽の言葉に強烈な興味を示し、その不愉快な面越しに、口元に手を当て、彼の言葉を待つ。
「せっかく時間かけて外堀埋めて、これから、じっくりと、あのひとを落とそうって時に……」
 巽はゆっくりと言葉を紡ぎながら、《川面切典定》の間合いにぎりぎり入らないぐらいにまで近づいていく。
「たかがぽっと出の貴女に、横取りされるなんて……」
 ドン・フリーダムがやや前のめりになった。
「私のプライドが許さないんだよねえ」
 
「うっきゃぁぁああ! ああ、いつですの!? わたくし、あなたにいつ横恋慕してたんですの!?」

 巽の端正な顔立ちから放たれる嫉妬の色に、ドン・フリーダムは、その身を震わせ、きゃっきゃし始める。
 瞬間、不可視だった絶対無敵バリアが、ゆらゆらと揺らめき出して、その揺らぎが立ち消える。
 弾かれたように巽はドン・フリーダムを間合いにおさめ、洗練された剣撃を放つ!
 抜刀しざまに横一文字に疾る剣閃。瞬間、ドン・フリーダムは一歩後ろに下がり、赤べこを差し出すように防御の構えをみせた。
 巽は、刃を通して伝わってくるわずかに肉を斬り裂く感触と、硬い赤べこキャノンを切断した重い衝撃、そして心にもないことを言い、反吐が出そうな不快感に、眉根を寄せた。
「わかる? 私がどれだけ苛立っているか」
 彼女に伝わったのは、「嫉妬心」の方だけだろう。
 巽は巧みにダブルミーニングの片方を隠し続けたのだ。
 ドン・フリーダムは、斬撃の苦痛に身をよじりながらも、「エっモ……わたくしってば無自覚にも横恋慕してしまっていましたのね!」と、そこらにいる罪なき女子のように浮かれていた。

「……俺は、あんなのを相手にしてたのか?」

 その様子に善蔵は頭を抱えそうになった。
 大真面目に自由について答えを求めたというのに、たったこれだけのことで、はしゃぐドン・フリーダムの「自由さ」に辟易する。
 ともあれ、今、あの厄介なバリアは巽が解いてくれた。
 とても満足のいく答えは得られなかったが、ならば、この不愉快を、苛立ちを、嫌悪感を――内情する悪感情の全てを吐き出すように、善蔵は己の装備する銃火器から一斉に弾丸を発砲した。
 解放した己の真なる力は、弾丸一発一発すべてに纏繞し発露している。
 弾丸の多くは身悶えするドン・フリーダムの四肢を貫いていった。
 そして、着弾時の爆風で舞い上がった土埃でドン・フリーダムの視界は遮られた。
「貴女の大義は既に、貴女が丸ごと改造した惑星自体に拒絶されるウイルスに成り果てた」
 蔵乃祐の声に、自由にならない視界の中、ドン・フリーダムは振り返る。
 影が揺らめく――その時には、蔵乃祐は、目前に迫っていた。
「排除しなければならないでしょう。僕ら猟兵を招いたのは、貴女が作りあげたシステムからの救援要請だったのですから」
 一切の容赦を捨て去った【業蹴撃】――蔵乃祐の巨躯は、実に身軽に跳躍。

「あなたはそんなに、!」

 その跳躍のどこに心を揺り動かすものがあったのか、ドン・フリーダムは胸元に手を当て、ときめきを隠せていなかった。
 勧善懲悪のもとに、蔵乃祐は轟音をあげる蹴撃を放ち、彼女は堪えることができずに、吹っ飛ばされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎹・たから
オーラ防御の構えのまま、想いを大声でぶつけましょう

あなたの言う自由が実現すれば
なんでも思うままでしょう
そしていつか、この世界の人々は夢を失くすのでしょう
こども達も、きっと夢を見なくなります

たからはそんなこと、許せません
こども達が夢を失い
ただ呼吸するだけになっては
この輝く楽しい世界がほろびます

だから、たからはあなたをほろぼします
どれだけ砲撃を受けようと
どれだけ血を流しても
【恫喝、覚悟、勇気、優しさ】

バリア解除と同時
砲撃に身を隠し急接近
全力で氷の拳を二撃、彼女に叩きこみます
【ダッシュ、暗殺、鎧砕き、グラップル、2回攻撃、気絶攻撃、衝撃波】

たからの意志は決して砕けません
あなたの欲望を砕いてみせます


仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
蟻を障壁替わりにするのはもう別個体で使った
風を感じる
そういや、あの子も身を削ったねぇ

先制攻撃に対して、【学習力】と【失せ物探し】をフル活用して赤べこキャノンにフォーカス
無限に湧く蟻をボール状にし【投擲】で迎撃
散らばった蟻達の捕食に合わせ、【携帯食料】を食みながら手首を斬り血を蟻達に与える

正面から行く【礼儀作法】通りに堂々と
機を伺い気を練る
【覚悟】を決める
「欲望に自由って嫌いなんですよね。生まれが生まれなもので」
「でも…私の我儘に付き合ってもらってよいですか?」
このUCで出来る最大の攻撃で挑んでやる
飛翔で加速し【鎧無視攻撃】を乗せた刺突
バリアがあってもなくても関係ない
押し通す



 吹っ飛ばされたドン・フリーダムが、よろよろと起き上がってくる。
 それは彼女にまだ余力があるということか――鎹・たから(雪氣硝・f01148)は、小さな体躯に、闘志を漲らせて、すうっと息を吸った。
 思いの丈をぶつける。これで彼女の琴線を揺らすことができたのなら、突破の糸口になる。
 あれほど艶めかしく美しかった白い肌な無残な様相を呈している。
 雷で焼かれ焦がされ、ありとあらゆる弾丸で穿たれ、多岐にわたる刃で斬られ、途方もない力で打撃を与えられ、血が流れ続けている。
 否。それは同情を誘い、憐憫を抱かせる姿ではあるが、たからがそうしてやるいわれはない。
 だからどうした。
 それは仁科・恭介(観察する人・f14065)とて同じだった。
 いい加減、この花畑も見飽きた。
(「そういえば、あの子も身を削ったねぇ」)
 いつかのラビットバニーと対峙したとき、恭平は軍隊蟻たちを障壁として展開したことを思い出すも、その戦いの記憶さえ懐かしく思うのは、眼前のドン・フリーダムが虫の息だからだろうか。
 いましがた砕かれた、赤べこはまだ動くらしく――埒外な存在なのだ、今さら驚くまい――、絶対無敵バリアが展開された今、キャノンはすぐにでも射出されそうなほどに、エネルギーを充填している。
 恭介には今までの経験によるデータが頭に叩き込まれている。
 さあ、どれほどの威力でくる。
 たとえ触れれば戦線を離脱してしまうほどの高威力のものであっても、恭介は受け切る心算でいる。
 ぞわり。
 足元の影から現れる無数の軍隊蟻は、恭介を守るために身体に登ってくる――しかし、恭介が彼らを手のひらへと集める。
 真っ黒なゴム毬のような、蟻塊が出来上がった。
(「今回も頑張ってもらうよ、あとでご褒美をあげようね」)
 撃ち出されたキャノンに向けて、正確無比な軌道を描いて擲つ。
 蟻塊は弾け飛んで、それに邪魔をされたドン・フリーダムの一撃も大した威力でなく、オーラを纏っただけのたからが凌げるほどの、弱々しいものになった。
「……ああっ、私の子たちが……」
 四散した軍隊蟻たちの散りざまに、覚悟していたとはいえ、やはり心が痛む。
 しかし、中には恭介の元まで戻ってくる蟻たちもいる。
 その様子に、恭介は携帯食を分け与え、彼も食みながら、ナイフで自傷しその血すらも蟻たちに分けてやった。

「その蟻どもを投げつけた本人が、慈しむのですか!? わたくし知っていましてよ、それ、ツンデレとかいうものなのでしょう!?」

 違う――即座にツッコミをいれる者は皆無。なぜなら、ドン・フリーダムの展開しているバリアが波打ち、今にも消えそうになっているのだ。
 この機を逃さず、たからの高らかな声が響いた。
 真剣に見据えられた銀瞳の輝きに、恭介と蟻の戯れに身悶えていたドン・フリーダムの動きが止まる。
「あなたの言う自由が実現すれば、なんでも思うままでしょう。そしていつか、この世界の人々は夢を失くすのでしょう」
 それはたからの宝を奪い去っていくことと同義だ。
 許容できるはずがないではないか。
 力のかぎり抵抗するほかないではないか。
「こども達も、きっと夢を見なくなります。こども達が夢を失い、ただ呼吸するだけになっては、この輝く楽しい世界がほろびます」
 すべてが瞬時に手に入る――そんな世界のどこに希望がある。どこに自由がある。

「たからはそんなこと、許せません。
 だから、たからはあなたをほろぼします」

 小さな少女は敢然と言い放つ。
 その凛乎たる立ち居振る舞いに、ドン・フリーダムは、たまらず己の身を抱き寄せた。

「そんなに必死になって、わたくしに楯突くのですね……! あなたのような、少女ですら! 自分の信念を貫こうとしているなんてえっ!」

 ドン・フリーダムはいたく感激しているようで、バリアに回していた気が削がれ全くの丸腰となっている。
「どれだけ砲撃を受けようと、どれだけ血を流しても!」
「あはァっ! ここにきて倒置法! とっても効果的ではありませんか!」
 バカにされている感じは拭えないが、しかし、どうだっていい。
 この眼前の痴女紛いの厄介者を討伐することができるなら、なんだって、やってやる。
 バリアは、いよいよ解除された。
「私はねぇ、欲望に自由って嫌いなんですよね。生まれが生まれなもので」
 恭介の声は飄然として、涼やかに言葉を紡ぐ。あの世界は、実に無節操に、欲望の赴くままに殺人が横行し、否、人を人と思わない事件が絶えず起きている。
 故郷に思いを馳せ、親方からもらった剣を持つ手にも力が入る。
「でも……私の我儘に付き合ってもらってよいですか?」
 ひどく丁寧に言葉を紡ぐ。
 恭介は無尽蔵に現れる軍隊蟻たちを鎧のように纏い、ドン・フリーダムの返事を待つことなく、恭介は一度、二度跳ね、一陣の風を巻き起こして飛翔した。
 弾丸のように弾かれ、射られた矢のように一直線に、ドン・フリーダムへと強襲。
 これが防がれようが構いはしない、退くこともない、このまま正面きって当たって砕ける覚悟を決め、強烈な刺突を見舞う!

「――――――っ!」

 ドン・フリーダムは、今までにない金切り声をあげて、面越しに恭介を睨んでくる。血が刀身を伝い、柄にまで流れ落ちてくる。
 思った以上に熱い。
 その熱が、突然の冷気にさらされ凍えていく。
 恭介の剣刃が深々と突き刺さるドン・フリーダムへ、とどめを刺すために躍り出るのは、たからだ。
 風のように疾駆し、ドン・フリーダに肉薄する瞬間には、彼女の両の拳は凍結している――【冰雪】による冷気が花々を凍えさせた。
 そして、固めた拳を叩き込む!
 一発目で、後ろによろめき、恭介の《サムライブレイド》が抜け落ちる。
「たからの意志は決して砕けません! あなたの欲望を砕いてみせます!」
 二撃目の氷結の拳撃が生々しく鳩尾に突き刺さり、ドン・フリーダムは息をつめ、花の中に倒れ伏した。
 あれほど饒舌にぺらぺらと話していたドン・フリーダムの最期は、凍えるほどに不気味に沈黙したまま、迎えることになった。


 たからの呼気。
 恭介の呼気。
 流れた風が、花畑を揺らすわずかな音。
 しかし、超天才だか超天災だかが起き上がってくる音はしない。
 一陣の風にのってくるのは、次なる厄災か、平穏か――それでも今は、緩んだ緊張を甘んじて受け入れて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月29日


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30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト