追憶のモーニング・レイン
●暗い空、冷たい雨、紅い花
光のない空から、しとしとと無数の雫が落ちてくる。
昼を奪われた世界に降り注ぐのは潤いもたらす慈雨ではなく、温もりを奪い去り心を凍えさせる嗜虐の氷雨だった。
異端の神々の悪戯めいた雨の中、一人の女が佇んでいる。
年齢はようやく二十を迎えた頃。短く切った金髪から雫を滴らせ、両の拳をぎゅっと握り締め、唇を引き結んで彼女は目の前の地面に空いた穴を見つめていた。
彼女の両手を広げたくらいの大きさの穴――墓穴。
ひどい怪我を負ってさ迷い歩いた挙げ句に力尽きた、どこの誰とも知らぬ男。彼のために彼女が掘った墓だ。
血汚れを拭っただけの亡骸を落とし、水を吸った泥土の重さに苦労しながらも埋めていく。獣に掘り返されないようしっかり土で覆って、比較的形の整った石を置く。
周囲には似たり寄ったりの粗末な墓が並んでいる。これまでに彼女が作ったものと、彼女より前に誰かが作ったものと。
ヴァンパイアの軍勢に蹂躙され打ち捨てられた廃村の片隅。同じように燃やされた故郷から逃げ出して、逃げて逃げてたどり着いたここを終の棲家と見定めて、彼女は墓を作り続ける。きっと、彼女が死ぬまで。
一人きりの葬礼を終えて疲れた息を吐きつつ、彼女は辺りを見回した。墓標に捧げる何かを――祈りの一節も知らない自分の代わりに、死者を慰めてくれる何かを探して。
どうせ何も見つかりはしないのに、と思っていた。だが、今日は違った。
どこから種が迷いこんだのか、花が咲いている。白く冷たい雨の中、一層鮮やかな赤色が目を惹く。
その花を摘みとろうと伸ばしかけた手を彼女は止めた。
何かが聞こえる。低く、何かの楽器を爪弾くような音。旋律とも呼べない、途切れ途切れの音の連なり。
それが目の前の花から聞こえてくることと、その根本に何が埋まっているのかを理解した瞬間、彼女は身を折った。肺腑から咳が溢れて、止まらない。
口を覆う細い指の隙間から、花と同じ色の雫がこぼれ落ちた。
●メメント・モリ
猟兵達がグリモアベースを訪れると、ミレイユ・ダーエ(永遠の森の歌乙女・f01590)が空を見上げていた。
重く暗く黒雲が垂れこめた、ダークセイヴァーの空だ。
「あら、これは失礼を。ごめんあそばせ。こんにちは、猟兵の皆さん」
来訪に気づいたミレイユが視線を下ろして微笑む。その頬からは闊達さが欠けていた。
「しばらく前から、ダークセイヴァーで『疫病楽団』と呼ばれるオブリビオンの集団が活動していることはご存知でしょうか?」
その名の通り、人々の間に不治の病を蔓延させることで滅ぼそうとするオブリビオン達である。一度感染してしまえばユーベルコードをもってしても治療困難なその病から人々を救うには、感染源たる『疫病楽団』を壊滅させるより他にない。
「今回私が予知しましたのは、その『疫病楽団』の一角をなす植物型オブリビオン『ネクロ・ロマンス』の出現ですの。それは――人の亡骸を糧に咲く真紅の花」
死を苗床にするという性質が示す通りに、ネクロ・ロマンスは墓場に現れるという。
「墓地と言いましても、計画的に作られたものではありませんの。滅ぼされた村の跡地に、故郷を奪われた女性が一人住んでいて、その方がご自分と同じような境遇の、けれども生き延びることができなかった方々を弔っているだけのささやかな墓所です」
当然継続的な手入れなどできるはずもなく、墓石は倒れ草に埋もれ、散々な有様だという。ネクロ・ロマンスが入りこむのは、そういう荒れた部分からだ。
「ですので、まずはその女性を手助けしてお墓を綺麗にしていただきたいのです。そうすれば、ネクロ・ロマンスの繁茂と感染を防ぐことができます」
整地や墓石の運搬などの力仕事から、浄化されずに留まったままの死者の霊を慰撫することまで、やることは山積している。
また、
「霊的環境が荒れているからか、疫病楽団の影響かはわかりませんが、その墓地では皆さんがお持ちの『死』の心象が幻影となって現れることもあるでしょう」
死を忘れないことも大切ですが、死の影に囚われてオブリビオンに隙を突かれないよう十分ご注意くださいませ、と言い添えて、ミレイユは猟兵達を送り出す。
「それでは、オブリビオンの掃討をよろしくお願いいたします。――皆様の旅路に、星影と雲掃う風の祝福がありますように」
中村一梟
猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
今回はダークセイヴァーより、高湿度しんみり系のシナリオをお届けいたします。
●第1章
「日常」フラグメントのシーンです。即席墓地の整備や掃除を行っていただきます。
また、このシーンでは「PCの思い出深い故人の話題」でNPCと会話することもできます。故人の名前や性別、年齢などを明記の上、記憶に残っているエピソードと一緒にプレイングに記載してください。
●第2章・第3章
共に「集団戦」フラグメントのシーンです。
1章で綺麗にした墓地が戦場となりますので、粗雑な戦い方にならないような工夫があればとボーナスを入れさせていただきます。
●ギミック
シナリオ全編を通して、プレイングに「PCが抱える『死』のイメージ(具体的な記憶でなくても構いません)」の記載がある場合、そのイメージが幻覚となってPCの行動を妨害してきます。
妨害への対抗策も書いていただきますと大きなボーナスとなりますので、よろしければ狙ってみてください(1章で妨害、2章以降で対策という描写もしますのでドラマチックな展開をご希望の方はご検討を)。
それでは、今回も皆様とよい物語を作れることを楽しみにしております。
第1章 日常
『墓地を再び綺麗な姿に』
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POW : 墓石や獣除けの塀に使う材料を調達。力仕事を頑張ろう。
SPD : 壊れたり汚れた墓地を綺麗な場所に整えよう。匠の技を示そう。
WIZ : 死者が眠るに相応しい土地に霊的に改善しよう。見えざる力にその手を伸ばそう。
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新芽・伍騎
黙々と草むしりや堀を作成していた。
草むしりの方はともかく、堀の方は生来か記憶喪失故かわからないが出来栄えがよくはなかった。
記憶がないから墓所に思い入れはないはずだが、ある映像がフラッシュバックした。
恐らく同年齢の赤いくせ毛の落ち着いた雰囲気の男性と年下のこれまた赤いポニーの活発な女性がこちらに話しかけていた。
内容はこの旅が終わったらという内容だったが、そこから段々と映像が赤く染まっていった。
初めての記憶の手掛かりと̪死のイメージで伍騎はしばらくその場を動けなかったが、頭を振った後、作業に戻った。
//視界が赤に染まるのは記憶がない中での死のイメージ。対策は無視かつよがる事、よろしくお願いします。
降り止まない雨。どうやらここでは星は見えそうにない。
新芽・伍騎(サイボーグのブレイズキャリバー・f21434)は分厚い雲に覆われた空から視線を下ろし、墓地のそこかしこに生えた雑草を引き抜いていく。
伍騎には過去の記憶がない。墓場というものがどういう場所であるか理解はできるものの、そこに死者が埋まっているのだ、という実感はどうにも感じられない。ただ、ここは自分が眠っていたあの白い廃墟にどこか似ている気がした。
雑草をあらかた抜き終えて、伍騎は辺りを見回す。黙々と作業を続けるうちに、皆から離れたところに来てしまったらしい。
合流して次の作業を相談するか、と足を踏み出しかけて、伍騎は立ち止まった。
誰かの声が聞こえたような気がする。
もう一度ぐるりと巡らせた視線が、二つの人影を捉えた。
一人は男性。おそらく伍騎自身と同じ年頃の、落ち着いた物腰の誰か。
もう一人は女性。こちらは彼らよりはいくらか年下。ポニーテールにした髪をぴょんぴょんと跳ねさせて歩く、活発な印象の誰か。
赤毛の二人が伍騎のほうを振り返る。彼女が口を開いて何か言う。
声は聞こえなかったが、どこかに行ってしまったはずの記憶のひとひらがふと蘇り、彼女が何を言っているのか教えてくれた。
『ねえ、この旅が終わったらさ――』
ばしゃり。二人の背中が、血のような赤い飛沫に変わって散り消える。伍騎は思わず膝を着いた。地面に残った赤い水溜まりから目が離せない。
気づけば、周囲一面が赤く染まっていた。右を向いても、左を向いても、曇天から降り注ぐ雫さえも赤。
この赤色の海のどこかに、俺の記憶が沈んでいるのか。
伍騎はあてもなく手を伸ばした。指先が何かに触れる。正体も定かではないまま、それを掴んで、引き抜く。
彼が手にしていたのは残っていた一本の雑草だった。心が死の残像に囚われていても、機械仕掛けの手は先程までと同じ動作を忠実に実行したらしい。
ふっ、と伍騎は小さく息を吐いた。そうだ、手がかりがあったからと言って闇雲に掴んでも、それが真実とは限らない。頭を振りながら、自分にそう言い聞かせる。
伍騎は立ち上がった。さて、次は何の作業に取りかかろうか――。
成功
🔵🔵🔴
ディー・ジェイ
「ハハ、まさかこの俺が墓作りの手伝いをする羽目になるとはな!」
・墓の区分け、整備
戦地での陣地作成の経験を活かし、事前に持ち込んだ強靭ワイヤー、調達した木材で柵を作成。墓を大まかに五つほどの横並びグループで分けて一つの区画とする。
こうすりゃ見栄えもいいし、管理も少しはしやすいってもんだ。
・作業しながら墓地の主とおしゃべり
常在戦場な俺にとって明確な死のイメージはなく、今回は陣地作成が得意だった傭兵仲間がふと思い浮かぶ。即席で作った木製の柵が破られて死んだ男がいたのを。
木ならお前の蹴りで妨害出来たろうが、ワイヤーなら凹む程度で済むかもな。
そうか、お前が今日の俺の死ってわけだ。
※アドリブ台詞大歓迎!
「ハハ、まさかこの俺が墓作りの手伝いをする羽目になるとはな!」
暗空に似合わない陽気な調子でディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)が言うのに、墓守りの女性――ニコと名乗った――は目を丸くした。
「お墓が珍しいですか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが……馴染みがないのは事実だ」
ディーはニッと口の端を上げて笑う。彼は戦場で生まれ、戦場を渡り歩いた歴戦の兵士だ。死者は墓の中に眠っているものではなく、銃口を向けてくる敵、あるいは背中を預けるべき友だった。
二人は墓地と森との境目あたりまで来ると、抱えていた荷物を降ろした。生木を切って削っただけの、飾り気のない杭だ。
「俺の昔の友人に、こういう作業が得意な奴がいてね」
陣地作成が得意だったその傭兵仲間の顔が思い浮かぶ。そしてその死に様も。
「今の俺達と同じように即席で柵を作ってくれたんだが、死んじまった」
傍らでニコが小さく息を呑むのを感じつつ、傭兵はあえて何でもないことのような調子を保って語り続ける。
「あの時あいつが作ってくれた柵も木製だった。身を隠してくれる物があるだけで十分有り難かったんだが……やっぱり強度不足でね。あっさり破られて、そいつも巻き添えになったんだよ」
今でも思い出せる。友が作ってくれた柵に身を隠し、一息ついたその瞬間。至近距離で爆発が起こったのだ。熱風に煽られ数メートル転がった先でようやく起き上がると、戦友は砕けた頭と裂けた腹を見せて死んでいた。
「だから俺は、それ以降柵を作る時はこうすることにしている」
と、ディーは立てた杭にワイヤーを巻きつけ、杭同士を繋げて固定していく。強靭な鉄線を巻かれた杭は、頼もしげな壁となって立ちはだかった。
「そうか」
作業を続けながら、ディーはふと呟いた。視線の先、森の際にはあの日と同じ、頭と腹から鮮血を溢れさせ、仰向けに倒れたかつての友の姿がある。
「お前が今日の俺の死ってわけだ」
首を傾げるニコをよそに、ディーは黙々と柵を立てていく。
やがて、墓地と森との間に真新しい境界線ができあがり。
「あばよ」
小さな小さな声が、柵の向こう側へと投げかけられた。
成功
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アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
ホワイトナイトを召喚し素人ながらも清掃の助力を申し出ます。
不審に思われないよう『礼儀作法』に則ってご挨拶。私はこの辺りを巡回している神父とでも伝えましょう
死者に祈りを捧げていると、今は亡き母を思い出しますね。
母は料理が上手い人でした。食事の場では二人の弟達がよく食べ比べをして叱られていましたね。懐かしい思い出です。
私の『料理』の腕は母から教えられたものです。……残念ながら少ししか教えてもらえませんでした。
今から2年、いや3年近くか。脳の病気で50歳手前であっという間に亡くなってしまって。
悲しくないといえば嘘になります。でも自分で料理をすると片隅に母の名残があって……少し楽になります
自らを巡回の聖職者だ、と称したアリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)を、ニコは喜んで迎え入れた。
死者に捧げる言葉を持たない自分の代わりに祈ってくれと懇願されて、アリウムは他の猟兵達の手で整然とした姿へと変わりつつある墓地に立った。
「猫の手ではなく騎士様の手をお借りしましょうか」
静かな声音で呟くと、アリウムの傍らに銀色の鎧をまとった騎士の姿が現れる。
濃藍と白銀、陰と光の一対の如く、同じ背丈をした二人の騎士は対象の動作で剣を抜き、ゆるやかな円を描いて切っ先を地面に突き立て、跪いた。
一幅の絵画のようなその姿に、ニコが感嘆の吐息を漏らす。
かつて習い覚えた聖句をいくつか舌に乗せる。思いのほかすんなりと、安息を願う一節は声になってくれた。
低く、アリウムの声が墓地に響く。ややあって、ニコも見よう見まねで膝を着いて、つっかえつっかえ祈りの言葉を追い始める。いつの間にか、他の猟兵達も手を止めていた。
最後の単語が短く告げられて、墓地に静寂が戻った。先に立ち上がったニコは、いくぶん晴れやかな顔をしていた。
「ありがとうございます。……この人達に何もできていなんじゃないかって、ずっと思っていて」
そう言って頭を下げた、儚げな微笑み。その表情はアリウムに、亡き母のことを思い出させる。
料理が抜群に上手だった母。その母の料理を競うように食べては叱られる弟達。それは懐かしく、消え去ってしまった思い出。
少しだけ手習いをしたが……その期間は決して長くはなかった。
もっと多くの料理を教えてもらいたかったし、悲しくないといえば嘘になる。が、長く苦しみが続かなかったのはせめてもの救いか。
過去へと沈むアリウムの意識を、くう、と小さな異音が引き戻した。音の出所を見れば、ニコが頬を赤く染めている。
「お腹が空きましたね。では、何か作りましょう」
そういって微笑み、アリウムは亡母の面影を辿って歩き出した。
成功
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シャルロット・クリスティア
……墓、か。
ここに眠る彼らは幸せですね。こうして弔ってくれる人がいて。
雑草を抜いたり、汚れを落としたり……地味な仕事ですが、こういうところを着実にやって、場を整えて行きましょうか。
体力は自信ありますので、力仕事はどんどん回していただければ。
……そうですね。私の故郷も焼け落ちました。ヴァンパイアの手で。
そのヴァンパイアは、少し前に私の手で倒したんですが……まだ、帰ることは出来なくて。墓も立ててあげられていないんです。
代わり、というわけではないですが……こうして、手の届く分はやってあげなければ。
……こんな人たちが、少しでも減ってくれればいいんですけどね。
猟兵達の手で整えられた墓地は、見違えるような姿になっていた。
丁寧に磨かれ並べ直された墓石の群れを見て、シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)はひとつ息を吐く。
力仕事の類を次々引き受けて溜まった疲労と、胸中に去来する彼女自身の故郷の光景がこの場所に降り続ける雨のようにまとわりついてくる。
焼け落ちた家屋、踏み荒らされた道。そしてそこかしこに打ち捨てられた、もはや二度と目を開くことのない人々の亡骸。
埋めきれない喪失感に、シャルロットがぎゅっと拳を握る。そんな彼女の背中に、やや躊躇いがちな声がかけられた。
「……あの、大丈夫ですか? 気分が悪いとか?」
振り返ると、中途半端に伸ばした右手を宙にさ迷わせているニコがいた。
「ありがとう、平気です。……故郷のことを思い出していました」
墓地に背を向ければ、壊滅した村の跡が否応なく目に入る。何かを噛み締めるようなシャルロットの表情に、ニコも事情を察したようだった。
「……あなたもそう、なんですか?」
「……そうですね。私の故郷も焼け落ちました。ヴァンパイアの手で」
二ヶ月は前のことだが、今でも鮮明に思い出せる。仇のヴァンパイアの顔と、彼との激闘。その胸を撃ち抜いた銃弾を放った、引き金の重み。
「……まだ、帰ることは出来なくて。墓も立ててあげられていないんです。代わり、というわけではないですが……こうして、手の届く分はやってあげなければ」
俯いたシャルロットの手を、ニコが掴んだ。少女の握り拳を両手で包んで、彼女は言う。
「もし、あなたはが故郷に帰る日がきたら、その時はあたしも手伝います」
絶対に手伝う、と繰り返す言葉はまるで、神聖なる誓いのようだった。握った拳を解いてニコの手を握り返し、シャルロットは頷く。
「ここに眠る彼らは幸せですね。こうして弔ってくれる人がいて」
目を瞬かせるニコに小さく笑みを返し、シャルロットは再び墓地に目を向ける。
(……こんな人たちが、少しでも減ってくれればいいんですけどね)
いつの間にか雨脚は弱まって、白い霧雨になっていた。
成功
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第2章 集団戦
『『死花』ネクロ・ロマンス』
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POW : パイル・ソーン
【既に苗床となったヒトの手による鷲掴み】が命中した対象に対し、高威力高命中の【背から突き出す血を啜る棘を備えた茨の杭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : フラバタミィ・ニードル
【体を振い止血阻害毒を含んだ大量の茨棘】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : バイオ・ビュート
レベル×5本の【木属性及び毒】属性の【血を啜る棘と止血阻害毒を備えた細い茨の鞭】を放つ。
👑11
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●カルペ・ディエム
ニコが寝起きしている焼け残りの小屋を借りて休息を取った後、猟兵達は再び墓地を訪れていた。
オブリビオン『疫病楽団』を迎え撃つためである。
墓場の片隅に、真っ赤な花が咲いている。『死花』ネクロ・ロマンスの花だ。
荊のような刺だらけの茎がひとりでに蠢いた。濡れた土を破って、青白く腐食変色した腕が這い出してくる。
死花の苗床となった亡骸が、刺蔦に絡められまるで操り人形のように動いているのだ。
温もりを失って久しい唇が呪いの調べを口ずさんでいる。呻き声のようなそれは、致死の病を人にもたらすものだ。
みしり、と、猟兵達が立てた柵が軋んだ。森の中に潜んでいた『疫病楽団』が集まって来ているらしい。
だが、猟兵達は動じない。それぞれの武器を構え、眼前の敵に、あるいは柵を押し破らんとする敵に狙いを定める。
骸の海の呪音を断ち切るためにこそ、彼らはここに来たのだから。
シャルロット・クリスティア
……人は、静かで穏やかな場所で、目を閉じて眠りにつくものです。
耳障りな音色も、目に痛いほどの花の彩りも、眠りには不要と言うものですよ。
(真の姿解放、光り輝く旗を手に取る)
本来は生者のための希望の光を示す旗。ですが、今ばかりは死者を阻む光となりましょう。
あなた達は、ここにいるべき者ではない。
この光は邪を祓う。物理的な守りは無意味です。(【鎧無視攻撃】)
【早業】で敵の攻撃を許す前に、先手を取って仕留めて行きましょう。
もはや救えないのならば……せめて皆の眠りを妨げる前に、骸の海へと還して差し上げます!
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
死者の安寧の場所においてその音は好ましいものではありませんね。
招かれざる客は摘んで骸の海へと還っていただきましょう。
死者を冒涜するその姿。私は嫌いです。
とはいえ派手なUCを使うとお墓がまた荒れてしまいます。
『範囲攻撃』『属性攻撃』ホワイトブレスを放ち、屠っていきましょう。
ここではお静かに。ここは死者を想う場所。部外者には早々に立ち去ってもらいませんとね。
敵の攻撃が無差別なのは怖いですね。ならばホワイトパスで『見切り』避けていきたいです。
もし当たってしまった場合でも『毒耐性』や『激痛耐性』で最後まで戦い抜く『覚悟』です。
また他の猟兵に致命傷になりそうでしたら『かばう』よう動きます。
オブリビオンに命を奪われ、屍となった後も死花の苗床として囚われ続ける哀れな者達の群れが迫ってくる。
忌まわしき『疫病楽団』の行進の前に立ちはだかる猟兵が、二人。
「……人は、静かで穏やかな場所で、目を閉じて眠りにつくものです。耳障りな音色も、目に痛いほどの花の彩りも、眠りには不要と言うものですよ」
「いかにも、死者の安寧の場所においてその音は好ましいものではありませんね。招かれざる客は摘んで骸の海へと還っていただきましょう」
じゃきり、と音を立ててシャルロットが遊底を引けば、アリウムが鞘から抜いた白刃が霧雨を裂いて煌めく。
「志は未だ折れず、灯は未だ消えず
……。……私は、諦めない……!」
銃把を握るのとは逆の手、白手袋をはめたシャルロットの左手が翻るや、白と金の旗が雲間から差しこむ日差しの如く輝いた。
「本来は生者のための希望の光を示す旗。ですが、今ばかりは死者を阻む光となりましょう」
たったひとりの生者のための加護の盾を前に、亡者共はたじろいだように足を止める。蔦に吊られた頭が、かくり、とどこか滑稽な動きで傾いだ。
「死者を冒涜するその姿。私は嫌いです」
冬の夜風のような声がした。たちまち先頭の数体が真っ白に凍りつき、砕け散る。
「……私にこれを使わせないで欲しかったな」
アリウムの一挙手一投足ごとに極低温の魔力が亡骸を包み、季節外れの粉雪と化さしめ散華させていく。
「ここではお静かに。ここは死者を想う場所。部外者には早々に立ち去ってもらいませんとね」
その言葉通り、真白の吐息は一切の騒音を立てず静寂のままにネクロ・ロマンスをなぎ倒していった。
形勢不利と見たのか、何体かのオブリビオンが氷の魔力の支配領域から退いていく。だが次の瞬間、銃声と共に走った閃光が骸ごと死花を撃ち抜き、哀れな虜囚だけを残して赤い花を消し飛ばした。
「あなた達は、ここにいるべき者ではない。もはや救えないのならば……せめて皆の眠りを妨げる前に、骸の海へと還して差し上げます!」
真の姿を顕したシャルロットが引き金を引くたび、光の粉が散る。板金を重ねた鎧であっても防ぐことの叶わぬ魔力衝撃は、死者の肉体への損傷を最小限にしつつオブリビオンを打ち破っていく。
それを唯一の活路と見たか、それとも苦し紛れか。数体のネクロ・ロマンスが大量の茨棘を伸ばし放った。だが、アリウムは冷たく研ぎ澄ませた感覚で反撃を察知、素早く退く。追いすがる蔦はシャルロットがはためかせた戦旗の領域を侵せず、そこに満ちた光と氷の魔力によって枯死させられた。
みし、とどこかで柵が軋む音がした。どうやら『疫病楽団』の第二陣が到着したようだ。
シャルロットとアリウムはどちらからともなく視線を交わすと、長い戦いを覚悟してそれぞれの獲物を握り直した。
成功
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ディー・ジェイ
「綺麗にした墓に埋め直してやるからもっかい死にな、死体諸君」
・弱点看破
最初の一体目のみ弱点発見の実験台とし、頭部から花弁に至るまであらかた撃ち尽くして反応を確認。
反応が一番強いポイントを発見できた場合、二体目以降は全てそこを撃って的確に数を減らしていくぞ。
脚を破壊して動きが鈍くなるのなら、それも積極的に狙って全体の敵の動きを鈍らせるのもあり。
・草むしり
邪魔な動きを見せる植物部位には遠慮なく火喰蛇を放つ。
火を恐れなかろうと先端を炭化させりゃ脅威も減るはずだ。
墓地には燃え広がるようなものや場所も少ないし、俺の作った柵も基本は強靭ワイヤーで燃え切れる可能性も薄いから問題はないだろう。
※アドリブ大歓迎
『死花』ネクロ・ロマンスに操られる死者達が、自傷をも厭わぬ怪力で真新しい柵を押し破らんとする。ごん、ごん、と低く響くその音は、冥府の使者が扉を叩く音に似ていた。
群れをなして柵を圧迫するオブリビオンの側方に、静かに降り立つ影がひとつ。
「綺麗にした墓に埋め直してやるからもっかい死にな、死体諸君」
暗灰色の迷彩服に身を包んだディーが引き金を引いた。分間五百発を超える発射速度を誇る突撃銃が狂暴な咆哮を上げ、横殴りの鉄雨を降らせる。
最も手近なオブリビオンが無様なダンスを踊り、倒れた。攻撃に反応して標的を柵から自身へと変えたネクロ・ロマンスを前に、しかしディーは姿勢を崩さない。
何千何万回もの反復訓練をこなした兵士だけが可能とする、機械的な滑らかさで弾倉を交換。片膝を地面に着く膝射の体勢へと移行。自らの呼吸さえも排除した完璧な静止から、一発。
その一発の完全被甲弾が亡骸の胸を撃ち抜くや、死を糧とする真紅の花がたちまち萎れ、茶褐色の灰へと変わる。
異形とはいえ植物。であるならば、その体を支えるものは根を置いて他にはない。そして、根は一点に集束して茎へと変わる。そこを破壊すれば、支えを失った死花は自ずと枯死するだろう。
初手の全自動射撃を通じて敵の弱点を的確に看破したディーは、続けざまにネクロ・ロマンスを撃ち倒していく。
だが、一方的な圧倒は長くは続かなかった。一度に装填できる弾丸には限りがあり、歴戦兵の技量でも弾倉交換の際には攻勢が途絶える。そして相手は死をも恐れぬ亡者の群れ。行動不能の味方を、あるいは前を行くものを盾にして迫るオブリビオンが、ついにディーをその射程内に捉えた。
掴みかかってくる、死者達の青白い手。それは戦場では見慣れぬものなれど、敵という点ではよく知る彼の隣人達だった。
「ちょいと失礼……イグニッション」
だから、ディーはライターの蓋を指で弾いた後、軽く頭を下げてみせた。友人達の前で煙草に火を点ける時そうするように。
もっとも、彼が手にしたライターから噴き出すのはただの火ではない。ユーベルコード『火喰蛇(ヒクイヘビ)』による炎は意志ある生物のように虚空を這いずり、周囲の亡者達をその顎に捕らえて呑みこんだ。
「制圧完了。損害は零」
ぱちん、とライターの蓋を閉めて火炎蛇を消すと、傭兵は次の戦場へと向かっていった。
成功
🔵🔵🔴
唐草・魅華音
任務、疫病楽団の討伐。まずは墓が荒れる原因になる雑草の駆除だね。
荒らさないために、正確性を重視した攻撃を心がけ確実に倒していくよ。
UCで命中率を上げてから、わたし自身の銃と戦闘補助ドローンの簡易銃とで敵にだけ当たるよう【一斉発射】しながら敵の急所や動きを止めやすい個所を【情報収集】【戦闘知識】と照らし合わせて【学習力】で学習、攻撃精度を上げていく。
接近してくる敵がきたら、ゆらゆら小刻みに動くようにして【残像】を発生させ、動きを【見切り】回避、捕まれたら刀やヘアピンナイフを抜いて次撃の杭を受け流すように【武器受け】か【零距離射撃】で杭を撃ちぬきます。
アドリブ・共闘OK
ネクロ・ロマンスの苗床となった亡者の群れが、低く呻くような声で歌っている。穢れたメロディは、霧雨と共に墓地へと浸み入ってくるようだった。
「任務、疫病楽団の討伐」
仲間達が丁寧に整備した墓地を背にして、唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)がオブリビオン共の前に立ちはだかった。
「まずは墓が荒れる原因になる雑草の駆除だね」
愛用の銃を抜いた魅華音の隣に、戦闘補助ドローンがふわりと浮かんで侍る。
「我はこの戦場に適応し、制する……流法、機略縦横」
ユーベルコード発動。魅華音とドローンが同時に放った銃火が死花の苗床の脚を撃ち抜き、動きを止める。続けざまの火線が頭部と花弁を粉砕。
(みんなが掃除したお墓を荒らさないようにしないと……)
その気遣いから狙いを絞って射撃する魅華音だったが、精度が高くとも密度に欠ける弾幕ではオブリビオンの進撃を止めるには至らない。
ドローンが発する接近警報は鳴り止まない。包囲の輪がじわじわと狭まってくる。小刻みに揺らめくステップで魅華音は亡者共が伸ばしてくる手をかい潜るが、振り切れない。
ついに、一体の亡者が魅華音の肩を掴んだ。腐れてふやけた掌のずるりとした感触に、彼女は総毛立つ。
咄嗟に抜いた白刃で茨を切り払い、魅華音は辛くもオブリビオンの魔の手から抜け出した。背中を掠めた刺が血の雫を啜るのが、視界の端に映る。
包囲網から完全に逃れ得ぬまま、魅華音は墓地と森とを隔てる柵から少しずつ遠ざけられていった。
苦戦
🔵🔴🔴
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
人の手が届かぬ森の暗がりから、ネクロ・ロマンスに操られた亡者達が次々と現れる。それはこの地に潜む『疫病楽団』の勢力の大きさを想像させると共に、オブリビオンの犠牲となった人々がこれほどの数に及ぶという現実を示していた。
「なるほど。ここはまさしく、地獄と呼ぶに相応しいですね」
迫りくる死者共の前に立ち、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は嘆息した。彼自身の故郷にもオブリビオンに殺される人が皆無ではないが、よもやこれほどの軍勢を築くことができるほど犠牲者がいたとは。
「地獄に咲く、命を啜って咲く花とは……」
立ち尽くす家光に、ネクロ・ロマンスの伸ばした毒荊が襲いかかった。体を貫き毒で蝕み殺すはずのそれは、だが赤髪の青年をよろめかせもしない。
「身は空、心は虚にて、柳流鉄を穿つ」
呟きと共に掲げられた左の掌から、荊の蔦が放出された。ユーベルコード『無刀取り(カウンター・エア)』により、オブリビオンの攻撃を無効化した羅刹の瞳がぎらり、と鋭く輝く。
「この家光、悪は決して許せぬ!」
右手が腰の鞘から妖刀を抜き放った。霧雨を裂いて銀弧を描く、肉薄鎬高の刃。すなわち、千子村正権現。
「成敗!」
一足跳びに距離を詰め、横薙ぎの一閃。燕が身を翻すように反転し、背後から近づいてきていた一体を袈裟掛けに斬り倒す。
荒々しくも鮮やかな剣風が吹いた後には、死花の真紅の花弁がはらはらと舞い散るのみであった。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール(サポート)
『吸血鬼を狩るにはいい夜ですね』
ダークセイヴァー出身のダンピールのシスター
【属性攻撃】で聖槍に炎属性を付与した近接戦闘が得意
切り札は【転身・炎冠宰相】によるパワーアップ変身
召喚ユーベルコードによって手数を増やした調査なども可能(獅子の嗅覚など)
多種多様な技能で幅広い対応が可能
圧制に対して強い怒りを覚える叛逆気質
普段は大人しい喋り方(私・あなた)だが、非道な者には強い言葉を使う(私・貴様)
戦闘や調査の手数にしていただければ
セクシャルな方向はNG
ささやかな安息の場を巡る猟兵達と『疫病楽団』との攻防は、ひとたびの決着を迎えようとしていた。
「猛き炎よ、我が脚に集い、破邪の流星となれ――!」
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が放った『熾天流星脚(ブレイズ・ストライク)』が炸裂。魂を失い、血さえも奪われ虚ろとなった亡骸が粉砕され、ネクロ・ロマンスの花は聖なる炎に焼き尽くされた。
「そろそろ敵の手勢も出尽くした、とは思いますが……」
自身の意に従う炎を墓地を守る城壁となして、オリヴィアは視線を巡らせる。
青白い霧雨の中で戦う猟兵達は、多少の負傷はあれどほぼ健在。対して『疫病楽団』のネクロ・ロマンスの数は今や指折り数えられるほど。
「勝てる、と思った時こそ手痛い反撃を受けるもの。最後の一体を倒すまで油断はできませんね……っ!」
火炎宿った槍を振るい、オリヴィアはまた一体のオブリビオンを貫き屠る。
「……」
ひとつ、気になることが彼女にはあった。
『疫病楽団』が現れてから、ずっと聞こえている亡者のハミング。致死の病をもたらすそれが、ネクロ・ロマンスの数が減ってもなお、聞こえ続けている。
残響ではない。それならば敵が掃討されつつある今、もっとかすかに弱い音色であってもいいはずだ。だが、実際はどれだけオブリビオンの数を減らそうとも、重く低く、剣戟の音に混じって耳に届いてくる。
やがて、最後のネクロ・ロマンスが散り、亡骸が濡れた地面に倒れる音がした。
だがそれでも、『疫病楽団』の歌声は消えずに鳴り続けている――。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『その地に縛り付けられた亡霊』
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POW : 頭に鳴り響く止まない悲鳴
対象の攻撃を軽減する【霞のような身体が、呪いそのもの】に変身しつつ、【壁や床から突如現れ、取り憑くこと】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 呪われた言葉と過去
【呪詛のような呟き声を聞き入ってしまった】【対象に、亡霊自らが体験した凄惨な過去を】【幻覚にて体験させる精神攻撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 繰り返される怨嗟
自身が戦闘で瀕死になると【姿が消え、再び同じ亡霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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●ヴァニタス
死の花の紅い花弁が散る墓地、亡者の枯れた喉が奏でる怨歌はいまだ鳴り止まず。
その事実に『疫病楽団』との戦いが終わっていないことを悟った猟兵達は、戦列を組み直し次なる敵の出現に備える。
最初にその異変に気づいたのは、誰だっただろうか。死花の苗床となっていた誰かの亡骸が、降り続く霧雨に溶けるようにその形を変えていく。
ゆらり、と音もなくそれは立ち上がった。朽ち果てた肉の輪郭はそのままに、棘荊ではなく暗がりを屍衣のようにまとった、忌まわしくも悍ましい姿。
命を奪われた被害者だったはずのそれは、今や新たな加害者――亡霊となって呪病の旋律を奏でている。
もしかすると、この被害者達もまた『疫病楽団』に殺された人々だったのかもしれない。オブリビオンのもたらす悲劇の連鎖に戦慄しつつも、猟兵達はそれを断ち切るべくそれぞれの武器を構えた。
高く、叫び声のようなファルセットが響いて。死者の臥処を舞台とした戦いの、際終幕の火蓋か切って落とされた。
ニノン・トラゲット(サポート)
『冒険はロマンです!』
『まだ見ぬ何かの予感がします……アガってきちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!
ディー・ジェイ
「神とは無縁の俺がエクソシストの真似事とはな!」
・弾を変更、攻め手を変える
姿を確認したと同時にhalo弾が込められた弾倉を装填。この手の相手は核が確認できない場合が多いからな、とにかく霊体に弾が多く当たるよう胴体を中心にばら撒くぜ。
姿が隠れた場合は火喰蛇を先に出しておき、憑り付かれる前にカウンターを噛ませる。
・止まない声などない
響く声には耳を貸さず、可能な限り銃撃音やPartyCrackersによる爆発音で意識を一方に向けないようにする。
聞き慣れた声だろうが何だろうが俺には関係ない。
戦場で与太話に耳を貸してる暇はない。
既に死んだ奴が俺の足を引っ張るな。
※アドリブ大歓迎、珍しくシリアスなおっさん
「神とは無縁の俺がエクソシストの真似事とはな!」
「わたしも専門家ではありませんが……幽霊退治の魔術を実践してみるいい機会です」
亡霊の群を前に唸るディーの傍らに、どこかうきうきした調子でニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)が立つ。彼女の緑の瞳は墓地には似つかわしくない――死を呼ぶものからは最も縁遠い、生命の活力に満ちていた。
「とりあえず、基本的な光魔法からいってみようかと思います」
「オーケー。なら俺は、早速だが切り札を出させてもらうぜ」
そう言って、ディーはAR-MS05から残弾を排出、先程までとは異なる銃弾が篭められた弾倉を機関部に叩きこむ。遊底を引いて、初弾を装填。
「……それは?」
興味深げに見上げてくるニノンに、傭兵はマスクを被りつつ親指を立ててみせた。
「こいつは対霊体精神裂傷弾だ。ああいう奴らにはどびきりのご馳走さ」
「なるほど、それは心強いですね。では、準備もできたので行きましょう! 手近な敵からやっつけます!」
制服の裾を翻し、ニノンが亡霊の一団へと向かう。堂々と正面から、眼前のオブリビオンに指先を向ける。
「地に縛られし魂に、浄化の光を!」
永遠の夜空に、一筋の光条が閃いた。それは槍の如く亡霊へと突き刺さり、彼が抱えた怨恨の念と対消滅して爆裂する。
「既に死んだ奴が、俺の足を引っ張るな……!」
一瞬白く染まった世界の中、釘付けとなった亡霊達にディーは銃口を向ける。先刻までの一射必殺ではなく、ありったけの弾を惜しむことなく浴びせかける飽和射撃だ。
黒い霊体に撃ちこまれたhalo弾が威力を解放、非物質のオブリビオンを引き裂く。そこに、ニノンの第二射――光の精霊の力を借りて巻き起こされた竜巻――が到来。亡霊をまさに風の前の塵の如く打ち破っていく。
呪病の歌声が高まる。それとと共に亡霊達の姿がかき消えた。消失したのではない。墓地に響く呪いの歌と同化して、致死の病もたらす不可視の波涛となって二人に襲いかかる。
「ちょいと失礼……イグニッション」
「精霊よ……もっと光を!」
だが、ディー達も無策ではなかった。召喚された光の精霊が『火喰蛇(ヒクイヘビ)』の力を増幅するや、それは呪いを退ける聖火となって燃え盛り、オブリビオンの凶手から皆を守る盾となったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
残念ですね。
犠牲となった方々を辱める事はしたくなかったのですが。
悲しいですが仕方がありません。
敵に私の攻撃がどこまで通じるか未知数です。
それでも私のすべき事に変わりはありません。『覚悟』を決めて戦いに挑みます。
先ずは『属性攻撃』『全力魔法』ホワイトマーチで敵を斬り裂き凍らせていきます。
もう二度と利用されないようにと安寧を密かに思いつつ……。
敵からの攻撃は可能ならホワイトパスで『見切り』つつ避けていきましょう。
攻撃に当たってしまった場合は『呪詛耐性』『狂気耐性』で耐えられる分だけ耐えていきます。
敵は集団。油断せずに他の猟兵と協力し、確実に平穏を取り戻していきましょう。
「我が魔力を代償に自らの冬を呼び起こせ!」
アリウムの声と共にごうっ、と風が吹いて、霧雨もろとも亡霊が白く凍てついた。
(残念ですね。犠牲となった方々を辱める事はしたくなかったのですが)
だが、命と世界に害をなすオブリビオンとなってしまった以上は捨て置けぬ。悲しみさえも氷の下に閉じこめて、アリウムは再び刃を振るう。
また一体、亡霊が粉雪となって散った。こうなれば二度とオブリビオンに利用されることもあるまい、と彼は密かに胸を撫で下ろした。
だが、敵の数はまだ墓地を埋め尽くす程にある。自らの戦技が剣術に依っている以上、実体の希薄な相手にはいつ通用しなくなるとも限らない。
「それでも――!」
猟兵として、そして無私の責務を負うことを義務づけられた者として、己がなすべきことをなす。冷厳たる決意と共に、アリウムは霜の下りた草を踏んで次の敵へと斬りかかる。
と、切っ先を向けた亡霊の姿がゆらめいて消えた。同時に、アリウムの側頭部を万力で締めつけられるような鈍痛が襲う。
呪詛そのものと化した亡霊による不可視の襲撃――この頭蓋を捩じ曲げられるような頭痛こそ、疫病楽団が彼にもたらす致死の病――その痛みは、アリウムに否応なく母親のことを思い出させる。
永遠に続くと思われるような痛みを、だがしかしアリウムは耐え抜いた。それは呪いと狂気への耐性を授ける飾紐のためでもあり、また彼自身の覚悟が厳冬の嵐にも似た呪詛に勝ったためでもあった。
(この場所に平穏を取り戻す)
氷蒼の剣が三度宙を舞う。刃の軌跡が地面に白い道を描き、アリウムはその道を辿って戦場を進んでいった。
成功
🔵🔵🔴
シャルロット・クリスティア
【FH】
……まだ来ますか。
さぞ無念だったことでしょうが……もはやこの地にあなた達の安息はありませんよ。
真の姿は継続。
あまり流れ弾で荒らしたくはないので銃は仕舞いましょう。この旗は槍代わりにもなりますので。
【怪力】にて【なぎ払う】。
この旗の輝きであれば、周囲への【鼓舞】にもなるでしょう。
魅華音さんとも合流できそうですし、お互い背中をフォローしつつ、隙の無いように。
死と怨恨のワルツ……と言ったところでしょうか。
悲しい旋律はここで終わり。ハッピーエンドで追われないのは残念ですが、もう彼らの舞台の幕は降ろしてあげなければ。
唐草・魅華音
【FH】
死は一つの区切り。それを受け入れた死者まで巻き込んでもその呪いは終わりを迎える事はない。その呪いの連鎖の終焉を、そして新しい希望の光への道を導き切り開いてあげるよ。
シャルロットさんと合流した後、協力して亡霊を倒していきます。
シャルロットさんの振るう旗を探し出して木々を【ロープワーク】で伝って行き合流。
その後ドローンを周囲へ飛ばして敵の位置を【情報収集】、どこから来るか【戦闘知識】で予測させ、わたしは主にシャルロットさんの背面から来る亡霊を相手に【竜飛鳳舞の流法】を発動させて、シャルロットさんの放つ輝きを振り撒くように刀で【なぎ払い】します。
アドリブOK
光の戦旗を翻し、シャルロットは死花から亡霊へと姿を変えた『疫病楽団』のオブリビオンを見やる。
「……まだ来ますか」
眼差しを鋭くした彼女の傍らに、頭上の梢を割って一つの影が舞い降りた。
「ああ、やっと見つけました」
オブリビオン達が変異する隙を突いて、枝から枝へ渡ってきた魅華音である。頼もしい仲間の登場に、シャルロットの頬がわずかに緩んだ。
「これなら、十分勝ち目がありますね」
「ええ、わたし達で終わらせましょう!」
二人が視線を交わす間に、亡霊共が音もなく迫り来る。
「さぞ無念だったことでしょうが……もはやこの地にあなた達の安息はありませんよ」
「その呪いの連鎖の終焉を、そして新しい希望の光への道を導き切り開いてあげるよ」
互いの背中を背に、彼女達の武器が霧雨止まぬ森の中に弧を描いた。
「志は未だ折れず、灯は未だ消えず……!」
先刻の戦いを経て輝きをいや増した旗を槍代わりに振るうシャルロット。
「我この戦場を駆け巡り、蹂躙する……流法、竜飛鳳舞」
背後の光輝を刃に受け、横薙ぎの剣閃を描き出す魅華音。
魅華音が放ったドローンからの位置観測情報を助けにしつつ、二人が紡ぐ光の円弧は十重二十重に広がり、亡霊達を討ち砕いていく。
「死は一つの区切り。それを受け入れた死者まで巻き込んでもその呪いは終わりを迎える事はない」
「死と怨恨のワルツ……と言ったところでしょうか」
反撃。不可視となった亡霊達が死の手を伸ばす。だがそれも、お互いの側背を補い合い円舞する二人には届かない。
悪あがきのように、一際おどろおどろしい呪いの声が叩きつけられる。永遠の夜に耐え抜いた草木でさえ枯死させる瘴気の大波が二人を呑みこみ、彼女達の姿は暗闇の中に消えた――と思われた。
「悲しい旋律はここで終わり。ハッピーエンドで追われないのは残念ですが、もう彼らの舞台の幕は降ろしてあげなければ」
だがしかし、呪詛を含む重い暗闇の中でもなお高々と掲げられた光輝なる旗は、希望は決して潰えたりしないと皆に告げているのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アカイ・グランドマスター(サポート)
■ヒーローマスクのサウンドソルジャー×バロックメイカー、23歳の男です。
■普段の口調は「男性的(僕、~さん、だね、だよ、~かい?)」、年上には「丁寧(僕、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
■性格は臆病で優柔不断、人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ。多様性を主としており、他人や自分の価値観を犯すような考え方には頑なに拒否する。正義感もそれなり程度にはあるので、悪事を見過ごせないが、追及するのは気が引けるヘタレ。
■既存の曲を組み合わせて作曲する「サンプリング」を得意とするトラックメイカ―。戦闘ではサンプラーという登録した音を発する事の出来る機材を武器にする。
基本任せます、絡み◎
ジャスティス・ボトムズ(サポート)
俺は闘争や探索などあらゆるものをシンプルに考えて行動するのを好む。
考えることがあるとすればズル、イカサマをするときくらいだぜ。
探し物なら愚直に探そう。
闘うのなら、殴りやすいヤツから問答無用でぶっ飛ばす。
物事は単純な方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ。
好きなことは敵を力のままに叩きつぶすこと。
嫌いなことは理屈をこねることだ。
俺は闘いや探索を続けていくことで、俺自身がどう変わるのかを楽しみに暮らしている。
やること決めたら後は全力で突っ込んでいくだけだぜ。
★雑な正義感で動く乱暴者ですが、最低限の常識やマナーは守ります。
まわりと協力して動くことにも積極的です。
人のために尽力し敵には容赦ないです。
サンディ・ノックス
害ある存在であることを感染させていく、まさに疫病だね
せめて俺にできる精一杯、滅ぼしてここで連鎖を断とう
(この世界出身のため物心ついたときから死は身近だった
気質や経験から死は聖域と思っている
しかし間接的だが私欲のために命を奪っていた時期がある
その人々の悲鳴が聞こえたら、動揺
咄嗟に目前の戦いに集中しなきゃと思うがそれは違うと考え直す)
俺を恨む声から逃げてこの亡霊を斬るのは違う
恨まれるのは当然
俺は罪を背負って生きていく
亡霊を殺すことも罪ならこれもだ
俺を害して気が晴れるならいくらでも受けるけど恨みが増殖するだけなら止めなきゃね
怨嗟ごと切り裂くつもりで解放・宵を放つ…自己満足でしかなくても
※アドリブ歓迎
白く煙る霧雨の中、『疫病楽団』を相手に防戦を続けるサンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)の耳に、高く掠れた断末魔が飛びこんできた。
その声は、一体誰の悲鳴だっただろうか。いいや、サンディはその声の主が誰か知らない。彼が直接手を下したわけではないから。
だがそれでも、剣戟の響きの合間に聞こえてくるそれが、己の行為が産み落とした忌み子達の声だということをサンディは直感することができた。――できてしまった。
手にした剣がひどく重い。その重みが動揺という名前だと気づいた瞬間、サンディは自らの過去ではなく現在の戦闘に意識を集中し、重たい剣を振り被り――。
(それは違う……!)
眼前の敵ごと幻影を斬り捨てようとした自分の腕を、サンディは押し止める。
怨嗟の声に背を向けて、己の過去とは無関係な『疫病楽団』に刃を向けるのは確かに、今やるべきことには違いない。
だが、恨みの声から逃げることは、いつかオブリビオンになるかもしれない己の過去との戦いを放棄することにはならないだろうか?
「……そうだ。私欲のために命を奪って、恨まれるのは当然」
ならば、罪を背負って生きていく。いつか、骸の海に沈むその時まで。
サンディは剣を振り下ろし、目の前のオブリビオンを斬り屠った。煙りのように消えていくその残骸の中に、彼自身の過去の影はいない。
オブリビオンの最期を見届けて、顔を上げたサンディの目に『疫病楽団』と死闘を繰り広げる仲間達の背中が映った。彼らと肩を並べ、オブリビオンに剣を向ける。
「害ある存在であることを感染させていく、まさに疫病だね」
「まったくだ。けど、だからこそ遠慮なく叩きつぶせるぜ。物事は単純な方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ」
応じるジャスティス・ボトムズ(裏切りの正義・f22965)の横顔に、狂暴な笑みが浮かんでいる。想像力を燃料とするユーベルコードが発動、光と共に彼の体が無敵の戦闘鎧に包まれていった。
「それじゃ……トラックメイクを始めようか」
二人の傍らで、アカイ・グランドマスター(仮面のトラックメイカ―・f21437)もまたユーベルコード『Pushin'(キック・スネア・ハイハット)』を発動させた。オブリビオン達の怨恨の叫びを収集、解析し反転させたリズムが、突撃を促す軍鼓の響きとなって猟兵達の背を押す。
「いいねぇ! 後は全力で突っ込んでいくだけだぜ!」
振り返って親指を立ててみせるジャスティスに、アカイは視線を逸らしつつ頷き。
「俺にできる精一杯、滅ぼしてここで連鎖を断つ……!」
黒剣を握り直し、サンディは駆けた。刃金の重さは、もはや憎悪のそれではない。
「亡霊を殺すことも罪ならこれもだ。……さぁ、宴の時間だよ」
白い煙雨を暗夜の剣が裂く。一閃。二、三、四、五――疾風の如き斬撃が重ね合わされ、その一つごとに亡霊が打ち倒されていく。
「あんたらに恨みはねえけどな。悪いが全力でいかせてもらう!」
ユーベルコードの鎧をまとい、正義の流星と化したジャスティスが『疫病楽団』の中央に突っこみ、亡霊達を吹き飛ばす。爆弾でも炸裂したかのような大音声が、死病をもたらす歌声もろともにオブリビオンを引き裂いた。
やがて、アカイが唐突にサンプラーを停止し演奏を止めた。最後の一体が倒されたのを見て、これ以上の支援は必要ないと判断したのだ。
一転、墓地が静寂に沈む。雫の音もしない沈黙は、耳に痛いくらいだ。
ややあって、猟兵達は誰が提案するでもなく戦闘で荒れた墓地を整え始めた。
死者達に安らぎあれ、そして、孤独なニコに未来あれ。
言葉にならない祈りを、霧雨だけが包んでいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴