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その友情が誰かを殺す

#UDCアース

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#UDCアース


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 ひとりの女子高生が物陰から、一組のカップルを恨めしそうに盗み見ている。
「どうして……?」
 女子高生シオリの視線は、カップルの男、ではなくその隣にいる少女アカリへ向けられている。
「あたしたち、ずっと友達だっていったじゃない……。なのに、最近連絡を全然くれないから、心配して家に来てみたら……」
 アカリの家の前に大学生と思しき見ず知らずの男性がいたのだ。そして、家の中から着飾ったアカリが出てくると、仲睦まじそうに腕を組んで歩きだした。女子高生シオリは、その一部始終を尾行して目撃していたのだ。
「彼氏がいるなんて、聞いてない! 親友のあたしに何で教えてくれないの!?」
 愛憎交々の感情が女子高生シオリの心底から湧き出てくる。そして彼女の鞄から出てきたのは、くすんだ色の水晶石。
「そうだ、このお守りがあれば、アカリはあたしのところへ戻ってくるはず!!」
 女子高生が生み出す憎しみの感情が願いとともにお守りの水晶石に流れ込んだ時、それは本来の効果を発揮する。
「きゃあっ!?」
 足元に現れた魔法陣の中に、邪神の贄として女子高生は引きずり込まれてしまった。
 残ったのは、鈍く輝く水晶石――邪神復活の祭具のみだった。

「う~ん、なんだかエグい予知だったんだよ……」
 げんなりとしているグリモア猟兵の蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は、集まってくれた猟兵たちに事件の概要を説明し始めた。
「今回の事件はUDCアース、日本の地方都市の閑静な住宅街で発生するよっ。とある女子高生の女の子がね、友達を年上の男によって友情を引き裂かれたと思って、出自不明のお守りと称される水晶石に願いを託しちゃうんだよ。でも、その正体は、邪神復活の祭具なんだよっ!」
 しかも、祭具である水晶石の発動条件は『恨みの感情』というのだから性質が一層悪い。
「入手先を叩く前に、猟兵のみんなにはこの女子高生シオリさんを止めてもらいたいんだよっ!」
 つまり猟兵たちは女子高生シオリと接触して、力ずくで水晶石のお守りを奪ったり、説得をして願いを諦めさせたり、またはこっそりと彼女から盗むなりして阻止せねばならない。方法は各自に任せる、とレモンは言った。
「それじゃあ、みんな、準備はいいかなっ? 頑張ってねっ!」
 そして、UDCアースへ転送が始まる。


七転 十五起
 はじめまして。七転十五起(なぎてんはねおき)と申します。
 読めない名前ですが、ぜひ覚えていただければと思います。
 では、改めて簡単に今回の事件をご説明いたします。

 舞台:某地方都市の閑静な住宅街。時間帯は昼過ぎ。
 対象:女子高生シオリの持つ水晶石のお守り(邪神復活の祭具)。
 戦闘:本シナリオの戦闘パートは、第三章のボス戦のみです。
 プレイングについて:“他のキャラと連携希望”とあれば、積極的にまとめて執筆します。
 それでは、皆様、奮ってご参加いただけますよう、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『この恨み、晴らさでおくべきか』

POW   :    当事者を見付け次第、力尽くで食い止める

SPD   :    呪具を盗んだり魔法陣を破壊するなど、邪神復活の妨害工作を行う

WIZ   :    当事者を説得することで、邪神復活の儀式を中止させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

斬崎・霞架
友情、愛、絆。それらは尊く美しいもの。
が、それ故に悲劇を招く事すらある…。
…そうならないよう尽くすのが、僕らの役目ですね。

可能な限り穏便に、【礼儀作法】を以って話を聞きましょう。
「そこの貴女。今とても悩んでいますね?…ふふ、見ればわかります。
そのような表情をしていては、折角の魅力も陰ってしまう。
…僕でよければ、話しては下さいませんか?」
相手を安心させられるような【優しさ】も重要ですね。

「辛いでしょう。悲しいでしょう。…その事を、貴女は相手に伝えましたか?さぁ、勇気を出して。」(【手をつなぐ】)
こうして促すのが吉と出るか凶と出るか…。
『アリス』、彼女を追って様子を見てくれますか?



 UDCアースへ転送された直後、斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)の目の前を仲睦まじいカップルが素通りしてゆく。
「アカリ、おまえ最近、太ったんじゃね?」
「ひっどっ!? いきなり彼女に向ってそんなこと言う奴サイテー!」
「えっ? 俺、ぽっちゃりした女の子の方が好きなんだけど……!? ご、ごめん! さっきのはデリカシーなかった! でも、本当に可愛いなぁって思ったから、つい……!」
「え、ちょ……、ばかっ! 他人が見ている前でそんなこと言わないでよ、恥ずかしい……。そういう事なら、まぁ、許す……」
 周囲の一般人の目線など何のその。カップルは甘ったるい空気を纏わせながら、幸せそうに駅方面へ仲良く歩いてゆく。
「平和ですねぇ……。友情、愛、絆。それらは尊く美しいもの。が、それ故に悲劇を招く事すらある……」
 斬崎はカップルが歩く道路に並ぶ街路樹の影に、異様なドス黒い威圧感を受け取った。
 問題の女子高生シオリの姿が、そこにあった。
「……そうならないよう尽くすのが、僕らの役目ですね」
 早速、斬崎は行動を開始する。
 警戒されないように自然体でシオリに接近すると、はたと足を止めて彼は声を掛ける。
「そこの貴女。今とても悩んでいますね? ……ふふ、見ればわかります」
「は?」
 いきなり色白の黒髪金眼の物腰柔らかく礼儀正しそうな少年に声を掛けられたシオリは、警戒心からその態度を頑なに閉ざす。だが、ここまでは斬崎の想定の範囲内だ。
「失礼しました。あまりにも深刻そうな表情を浮かべていたものですから、差し出がましいとは重々承知の上でお声をお掛けしたのです。それに、そのような表情をしていては、折角の魅力も陰ってしまいますよ?」
「えっと、ナンパなら間に合ってますんで」
「ナンパ? いえ、これはあなたへの敬意の現れです」
 斬崎の優しい笑顔、そして僅かににじみ出る誘惑技能によって、シオリの態度はたちまち軟化してゆく。
「敬意、ね。アンタ、怪しいけど悪い奴じゃなさそうよね? ……確かに、悩み事は、あるよ」
「……僕でよければ、話しては下さいませんか? ほら、そこの喫茶店で。僕が御馳走しましょう」
「やっぱりナンパじゃん」
「いえ、あなたの助けに来た助っ人1号ですよ」
 茶目っ気たっぷりに斬崎が片目をつむってみせると、シオリは思わずぷっと噴き出してしまった。
「……なぁに、それ? わかった。なんかアンタ、面白いから付き合ってあげる。ほら、行こっか?」
 チラチラとカップルの背を気にしながら、シオリは斬崎とともに喫茶店へ入っていった。

「それは辛いでしょう。さぞかし悲しいでしょう……」
 一通りシオリから愚痴に付き合ってあげた斬崎は、眼鏡を一旦外すと紙ナプキンで目元を抑える仕草をする。愚痴の内容は、アカリは中学3年生からの親友で、同じ高校へ通うために励まし合った戦友であり、男を作るよりも親友同士の方が気楽でいいよねって言っていたにも関わらず抜け駆けされて、デート現場を尾行してでも真相を突き止めたいと行動していた、という感じであった。
「シオリさん、その事を、貴女は相手に伝えましたか?」
 斬崎の問いに、シオリは首を横に振った。
「言えるわけないじゃん。キモいと思われるし……」
 だが斬崎はそれをやんわり遮った。
「果たして、そうでしょうか? 言わなければ伝わらない感情も、あるのですよ?」
 黙りこくるシオリに、斬崎は手を差し伸べて告げる。
「さぁ、勇気を出して」
 差し出された手を数秒間、じっと見つめたシオリは、逃げるように喫茶店を後にしていった。
「さて、こうして促すのが吉と出るか凶と出るか……。『アリス』、彼女を追って様子を見てくれますか?」
 斬崎はユーベルコード『“物静かな”アリス』を発動させると、召喚された這いずる女性の霊にシオリの追跡を任せるのであった。
「……それにしても、ここのパンケーキは絶品ですね!」
 これからの展開に備えて、すこし腹ごしらえはしておこうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

カルティーチェ・ルイナ
アドリブ絡みOKです!

「じゃあ私は助っ人2号ですね!」

と喫茶店を出てどこかへ行ったシオリさんを追っかけます!
他の猟兵さんから居場所は特定されてると思うので止まっているところを、か先回りで出会います。
鎧が重いので逃げられたら辛いんです。

「話を聞いてください!」

うーん不審者っぽくて逃げられないか不安です…

そうなったら存在感を出して追います、それでも逃げたら頭から転んで捨て身の一撃おびき寄せです!大丈夫、痛くないので!むしろ…いや今はいいです。

たぶん、シオリさんがお守りを使ったのも相手が心配だったからと思うんです、予知を見た上での決めつけですけどね。
なのでその方向から優しく手を取って説得しましょう。


嶋野・輝彦
【POW】力尽く
人居ない所で
場合によっちゃUCD使って人払い
シオリの襟首掴んで路地裏に
恫喝、存在感、コミュ力
ヤクザ騙って脅す
「お嬢さんが持ってるお守りの石、アレうちの組のでな。返してくんないかなぁ」
第六感で叫んだり携帯に注意
重ねて牽制
「警察は呼ばない方が良い、出所がアレな石。おじさんも困るがお嬢さん自身も困るよ」
揺さぶったら飴を与える
霞架 の接触を利用
存在感、コミュ力、催眠術
「このまま力づくでも良いんだが…前に会った変なナンパ師、アレうちの若いのでな。願いを叶える代わりに石を渡すってのはどうだ?何、男の方を車に乗せてちょっと撫でるだけさ。別れた所でお友達に優しくすれば、ほら元通り簡単だろ?」



 喫茶店から飛び出した女子高生シオリ。その姿を見守っていたカルティーチェ・ルイナ(自己犠牲の悦楽を知る者・f10772)が席を立つ。
「ごちそうさまでした! パンケーキ、美味しかったです。代金はここに置いておきますね!」
 プレートアーマーを着込んだエルフの幼い幼女が、今の今まで喫茶店でお茶している光景はカオスだと思われるだろうが、ご安心願いたい。
 猟兵の特性として、どの種族であろうがどんな格好や携行品を所持していようが、訪れている世界の人々に違和感を与えず接することが可能なのだ。故に、カルティーチェがガッションガッションと音を立てて喫茶店を出ようとしても、店員はなんら不審がらずに笑顔で彼女を見送ってくれるのだ。
「猟兵の特性って、やっぱり便利ですね! それでは、私は助っ人2号として頑張りますよ!」
 先程、シオリの居場所は他の猟兵の追尾型ユーベルコードにて補足済み。あとは現場へ駆け付けるだけだ。
「急がないと、また動き出してしまいます。幸い、この近辺ですし、今のうちに追い付かないと!」
 意を決して、ガションガションと重量感たっぷりのダッシュを披露するカルティーチェ。お気付きであろうが、彼女の鎧は非常に重い。10歳の少女が着込む代物にしては重たすぎるのだ。
「ああ、やっぱり鎧を着たまま走ると疲れます……! でも、シオリさんを助けたいって思いながら走ると、なんだか疲労感が多幸感に変わってきて、ふふふ、すごーい! 楽しくなってきたよ!」
 カルティーチェは、めっちゃイイ感じのまぶしい笑顔のままガションガションと鎧を鳴らして全力疾走。もはや自己犠牲を飛び越えて被虐趣味の女の子である。
 だが猛ダッシュのおかげか、彼女は路地裏で女子高生シオリを発見。その傍らで、目つきが悪いダウナー気質な中年男性に絡まれていた。
「おう、そこのお嬢さん? 悪いが、ツラ貸せや」
「え、ちょ、えっ!?」
「いいからこっち来い……!」
 中年男性はシオリの襟首を掴むと、更に人気のない路地の裏へ連れ込んでゆく。
 この光景を目撃してしまったカルティーチェは、目を丸くしながら様子を窺う事にした。一方、連れ込まれたシオリは青い顔をしたまま、中年男性に気圧されて震え上がっていた。
「な、何の用ですか……?」
「俺は組織の人間でな。おたく、アレ持ってんだろ? とぼけても無駄だ。ネタはとっくにアガってるんだからな」
 彼は嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)、組織は組織でもUDC組織に属するエージェントである。つまり彼も猟兵だ。つい先日まで一般人だったのだが、ひょんなことから不祥事を起こした際に世界の裏側を知ってしまった彼は、気が付けば猟兵として最前線へ送り込まれる羽目となったのだ。
 彼は恫喝や如何にもチンピラ風情の存在感を発揮しながらシオリに迫ってゆく。
 なお、UDCアースでは、オブリビオンや猟兵の諸々は一般人に隠匿されている。故に、シオリは組織という単語に対して、シオリは犯罪の香りを感知してしまうのだった。
「あ、あの、あたし、極道の方々が欲しがるブツなんて持ってません!」
「ブツって……。いやさ、お嬢さんが持ってるお守りの石、アレうちの組のでな。返してくんないかなぁ」
 嶋野の巧みな話術に、もしかしてとシオリは反射的に水晶石をカバンから取り出してしまう。それに嶋野は手を伸ばす!
「盗らないで! 警察に通報するわよ!」
 だがシオリは咄嗟にこれを回避! 奪い取れなかった嶋野はゆっくり首を横に振った。そしてスマホを突き出さんとするシオリの腕を掴む。
「まぁ、待て。警察は呼ばない方が良い、出所がアレな石なんだ。通報されるとおじさんも困るが、お嬢さん自身も困るよ。ご両親に迷惑かけたくないだろ?」
「あんた、サイテーよ……!」
 シオリが苛立ちながら嶋野を睨み付けた。迂闊に怒りを暴発させると、水晶石が反応しかねない。そこで、嶋野は揺さぶりをかける。
「このまま力づくでも良いんだが……。なあ、ここに来る前に会った男、覚えているか? アレ、うちの若いのでな。お嬢ちゃんの願いを叶える代わりに。その石をおじさんに渡すってのはどうだ?」
「い、一体、何をする気なの……?」
 恐る恐る尋ねるシオリに、嶋野は意味深な笑みを浮かべて答えた。
「喫茶店であった男から話は聞いている。親友の女の子と話がしたいんだろ? なぁに、おじさん達が男の方を車に乗せて、ちょっと車内で撫でるだけさ。別れた所でお友達に優しくすれば、ほら元通り。簡単だろ?」
「それは、ちょっと、気が引けるんですけど……」
 話が拗れそうな予感しかしない雰囲気が漂い始めたその時、路地の角から突っ込んでくる小さな影!
「話を聞いてください! あっ!!」
 カルティーチェが駆け寄ってくる途中、鎧の重さで足がもつれて顔から大転倒!
「い~っぅぅぅぅっ!? あれっ? 起き上がれないです!?」
 地面にうつぶせのままバタバタ手足を動かす鎧のロリ娘。シオリは真っ先に彼女へ駆け寄った。
「大丈夫? コスプレも本格的すぎると怪我するわよ?」
 シオリがカルティーチェを立たせると、彼女は凛とした態度で告げた。
「大丈夫、痛くないので! むしろ……いや、今はいいです」
 顔面に走ったのは激痛ではなく快感であったことは、この場では伏せる事にしたようだ。
「それより、ごめんなさい! この人、探偵なんです! そして私はこの探偵さんのお手伝いです! つまり、全部演技です!」
「え???」
 ぽかーんと口を開けたまま固まるシオリに、カルティーチェが上手くフォローを入れて辻褄を合わせてゆく。
「……ですので、その水晶石を持っていると色々と健康被害やなんやかんやでとても危ないのです。依頼主の命により、水晶石は私たちで回収するので、お願いします! 私たちにその石を預けてください!」
「と、いうわけだ、お嬢さん。騙して悪かった」
「いえ、これがそんな危険な石だったなんて、知りませんでした……」
 シオリは嶋野とカルティーチェに頭を下げた後に、握っていた水晶石を2人にに託した。これにカルティーチェが再度のフォローを入れる。
「シオリさんは、親友の方が心配だったから、これに頼ったんだと私は思ってます。その気持ちをありのまま伝えてみてください。きっと親友の方に届きますよ」
 シオリの手を取り、カルティーチェは優しく言い聞かせた。
 その後、2人はシオリと別れ、回収した水晶石をUDC職員へ渡す手筈を整えていた。

「……危険な石だと分かっても、願いを叶えてくれるものならば、あたしは……!」
 シオリの鞄の中に程手渡した水晶石と同じものが、もうひとつ忍ばせてあったのだ。
 猟兵たちよ。まだ事件は解決に至っていない……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水心子・静柄
何か設定考えて取り上げるのも面倒よね。それにどうせ取り上げてもあと2、3個は持ってそうよね。だからといって使わせるわけにはいかないけど。まぁ私は普通にカツアゲでもしましょうかね、幸い目立つように鞄から出してる事だし。鞘に入った脇差を金属バットのように扱って威圧しながらね(殺気プラス)

「あらあら中学を卒業したばかりの小娘がそんな高価なものを持ったりして生意気ね。色気づくには100年早いわよ。それはお姉さんが預かってあげるからよこしなさい。ほら何個も隠し持ってんでしょう、全部出しなさい。嘘かどうかはその場でジャンプしてみればわかるでしょ。この事をセンコーにチクったりしたらただじゃおかないからね!」



 女子高生シオリに不穏な動きが未だあり――。
 その情報を聞き付けた水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、やれやれと肩を竦めてしまう。
「何か設定考えて取り上げるのも面倒よね。それにどうせ取り上げてもあと2、3個は持ってそうよね。だからといって使わせるわけにはいかないけど」
 だったら、真正面から奪い取ってしまえばいい。
 早速、静柄は鞘に入った脇差を金属バットのように肩に担ぐと、先回りしてシオリの行く手を阻んだ。
「はい、ここから先は通行止めよ」
「あ、あんたも探偵なの!?」
「いいや、私はあなたが気に食わないから足止めしているのよ。通りたかったら通行料を払いなさいよ」
「本物の不良!? 歌舞伎っぽい人かと思ったら、そっちの歌舞伎者なの!?」
「おや、学が少しはあるようね、お嬢ちゃん? でも、いけないわね。中学を卒業したばかりの小娘がそんな高価なものを持ったりして。生意気よ。色気づくには100年早いわよ」
 脇差をシオリの鼻先につき付けて、殺気を放って威圧する静柄。
「あ、あんたも、これが欲しいの!?」
 シオリがカバンから水晶石を差し出した。それに静柄が悪役っぽさを演出しながらニタリと口角を上げる。
「話が早くて助かるわ。それはお姉さんが預かってあげるからよこしなさい」
 手を差し伸べる静柄に、シオリは大人しく水晶石を差し出した。
「もういいでしょ? 通るわよ」
「待った!」
 シオリの行く手を静柄の脇差が鞘ごと振り下ろされる!
 打ち下ろされたアスファルトが陥没し、クレバスのような亀裂が入る!
「きゃっ!? なんて馬鹿力なの!?」
「あなた、何個も隠し持ってんでしょう、全部出しなさい。嘘かどうかはその場でジャンプしてみればわかるでしょ?」
「お見通しだったのね……!」
 シオリは鞄を静柄に差し出し、自分の身体を確認するように要求した。静柄は言われるがまま身体検査を行い、カバンの中の水晶石3個を取り出した。
「やっぱり、こんなに持っていたのね。体には隠し持っていなかったし、これで正真正銘、全部ね。いいかい? この事をセンコーにチクったりしたらただじゃおかないからね!」
 凄む静柄にシオリは押し黙って睨み付ける。
「何? その眼付き? あなた、これがどれだけ危険なのか、もう知ってるでしょう?」
「……っ!!」
 突如、シオリが静柄の手を掴みかかると、一番小さな水晶石を奪って逃走!
「こら、待ちなさい!」
 だが、シオリは逃げながら泣き叫んでいた。
「あたしは、何がしたいか気付いたの……! あたしは、アカリを、親友を、自分だけのものにしたかったって……! たとえそれが、誰かの命を、奪う事になっても、あたしはシオリを独占したい!!」
 逃げるシオリ、追う猟兵たち。
 残る1個の水晶石を回収すべく、命がけの鬼ごっこが幕を開けた!

成功 🔵​🔵​🔴​

キア・レイス
「私達から逃げて石使う覚悟と度胸があるんなら…ちゃんと好きって言いなさいバカー!!!」

叫びながらドタドタ走るカルティーチェが見える。
彼女から呼び出されたが…あれじゃ追い付くのは無理だろうな、呼ばれた理由がわかった。
歪んでいるが好きな人のため全力を出せるのは良い事、結果はあれだが。

多少強引に行こう、ここまで分からず屋なら流石にお灸を据えないとな。
装備のサーチドローンで彼女を追跡。
ダッシュジャンプクライミング、場所によったらフックショットも使うだろうか、それらを駆使し先回りする。
追い込んだら【今の私を形作る記憶】を発動。
使用すると私は動けないが彼女はそれを知らない、私とわたくしに任せて投降させる。


アレクシア・アークライト
「その水晶をどこで手に入れたのか聞こうと思って来たんだけど、まさか4つも持っていただなんて、驚きね」(呆)
「他の人はみんな優しく接してくれたようだけど、私はそうじゃないわよ?」
「それだけヤバイものなんだってこと、認識してちょうだいね」(微笑)

 念動力で
・身体の動きを封じる。
・空中に持ち上げる。
・水晶を取り上げる。
・大声を出そうとしたら口を塞ぐ。

「他には持ってないわよね? 貴方の家をひっくり返して、まだ出てこないか振ってもいいのよ?」
「さて、と。この水晶、どこで手に入れたのか教えてくれる?」

「最後に……申し訳ないけど、色々忘れてもらうわね」[記憶消去銃]


嶋野・輝彦
【POW】当事者を見付け次第、力尽くで食い止める
UDCから情報取りながら【第六感】も使い先回りシオリの首根っこ捕まえる

存在感、コミュ力、恫喝で
「素直に出したかと思えば…さっさと残りの石も出せやゴラァ!」
俺も悪いんだが石の力の情報色々入れちまったからなぁ
存在感、コミュ力、恫喝重ねて
「その石な、願掛けした人間を喰うんだよ。石の力信じてここまでやらかしてる人間が馬鹿なと言うなよ?」
これでもダメならさらに飴を…カルティーチェの言った探偵設定使うか
コミュ力で
「今時の探偵の収入源ってな、浮気調査、ペット探し、別れさせ屋なんだよ。んな命がけの危ねぇもんに頼るより俺がきっちり別れさせてやるから、石よこしな」



「アカリ、アカリはどこ……!? あたしが、助けてあげるから!!」
 半狂乱のまま猟兵から逃げてゆくシオリ。
 そのあとをキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)が追っている。
「なるほど、タガが外れた者の馬鹿力という奴か。重装備の知り合いでは到底追い付くことはかなわないだろう」
 救援に応じたキアだったが、現場に来てその意味を理解することとなった。
 すかさずセントリードローンを飛ばしてシオリを追尾させると、それを目安に塀を登り飛び越え、屋根伝いに走り跳び周り、木々をフックショットで伝いながらショートカット!
「そこだ!」
 追い付いたキアはユーベルコードで3人に増えて追い詰める!
「うそ、なんで増えんの!?」
「歪んでいるが好きな人のため全力を出せるのは良い事、結果はあれだが……」
 やれやれ、と肩を竦めながらじりじりと追い詰めてゆくと、シオリの行く手を嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)が先回りして行く手を阻む!
「止まれっつーの、このガキ!」
「っ!? さっきの探偵!?」
 嶋野が探偵なのは、他の猟兵が場を丸く収めるための方便だが、意外とシオリには効果があるようでかなりビビらせることが出来ているようだ。嶋野を見たシオリの足が竦む!
「こら、大人しくしやがれ……」
「運動部なめないでよね、おじさん!」
「なっ!?」
 シオリは巧みに嶋野の手から身をかわすと、更に細い路地へ逃げてゆく!
 キアがカバーリングにスライディングで制止するも、飛び越えられて回避された!
「マジかよ? ちょっと運が悪くないか、俺……? つーかおじさん言うな。なんか腹立つ……」
 キアがユーベルコードを解除すると、嶋野に話し掛けてきた。
「お互い、惜しかったな。いつも全てうまくいく事もあるまい。今見たく失敗する時もあるだろうな」
 キアに励ましの言葉を受け、嶋野は肩を落として途方に暮れていた、のだが……。
「待てよ? この先の路地は行き止まりだったはずだ。はは~ん、俺の存在感にビビッて、わざわざ不利な方向へ逃げてゆくなんてな。どうやらツイていないのは俺じゃなくて、あのお嬢さんのようだ」
 嶋野は第六感、そしてエージェントの勘がそういっていると自信満々で答えた。
「ほう、やはり土地勘があるものは心強いな」
「伊達にUDCエージェントはやってないんだな、これが。……本当はすぐに辞めたいけどな」
 ボソッと最後の言った台詞は、キアは聞かなかった事にした。
 そして2人はシオリを追い詰めるべく、細い路地へと進んでゆくのだった。

 キアと嶋野は呆然としていた。一体何が起きているのだろうか?
 2人の目の前には、空中で上下逆さまに浮かんでいるシオリ。当然、重力で制服のミニスカートがめくれないように必死に抑えながら喚くが、彼女の声は一向に響かない。
「他の人はみんな優しく接してくれたようだけど、私はそうじゃないわよ? それだけヤバイものなんだってこと、認識してちょうだいね。あ、お疲れ様~っ! 待ってたわよ? ってどうしたの? 鳩が豆鉄砲を食ったよう喰らったような顔しちゃって?」
 アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)はサイコキネシスでシオリを捕縛したのち、本当に石を持っていないのか宙吊りにして調べていたところだったという。
「えーと、確か君はエージェントのアレクシア、だったか? どうしてここに?」
「そういうあなたはエージェントの嶋野さんよね? これも何かの縁ってことで、今後ともよろしくお願いしますわ。あ、私が此処にいる理由? それは……、何と言うか……」
 とても説明しづらそうにアレクシアは口ごもったのち、思い切って嶋野に打ち明けた。
「偶然(クリティカル)なのよね、てへ♪」
「マジかよ……」
 嶋野、思わず天を仰いだ。天命がそうさせたのなら致し方がない。こればっかりは誰とて操作できないのだから。
「とはいってもね、このJKちゃん。めちゃくちゃ頑固で、隙あらば水晶石を奪おうとしてくるのよ。嶋野さん、そして、そちらの……」
「キア・レイスだ。名乗りが遅くなってすまない。つまり、説得やらシオリの無力化を手伝えばよいのか?」
「そういう事よ。ここは2人にビシッと締めてもらいたいの」
 なるほど、と嶋野が呟くと、シオリに近付く。
「ま、最初からそのつもりだったからな……。ちょっとおろしてやれ。あと逆さまは可哀そうだろ」
「了解よ。念のため、念動力の拘束は継続しておくわ。声帯も絞っているから、その子は大声を上げることが出来ないわよ」
「私は、もう一度ユーベルコードを使わせてもらうぞ」
 キアは再び『今の私を形作る記憶』を使用すると、現在のキアから『過去を圧し殺した自身の分身』と『過去を求めている自身の分身』が出現する。
「今度は逃がさない」
「逃がさないわよ……」
「逃がすものか」
 再び3人に分裂したキアに混乱するシオリ。だが嶋野がすぐになだめにかかった。
「落ち着け。お前は今、その石の影響でおかしくなっちまってるんだ。つーか素直に出したかと思えば……さっさと残りの石も出せやゴラァ!」
 ごめんなさい、と口をパクパクするシオリ。今回ばかりはかなり参っているようだ。なおも強い口調で嶋野が言い聞かせる。
「その石な、願掛けした人間を喰うんだよ。石の力を信じてここまでやらかしてる人間が“ありえない、そんな馬鹿な話があるはずない”とか言うなよ? おまえ自身の事を言ってるんだぞ、分かってるのか?」
 シオリは無言で、一度だけ大きく頷くだけだった。
(説得まであと一歩、ってとこか? だったら、ここで探偵設定を使ってみるか……)
 嶋野の恫喝じみた言葉が、急に角が取れて優しい口調へ変化する。
「今時の探偵の収入源ってな、浮気調査、ペット探し、別れさせ屋なんだよ。んな命がけの危ねぇもんに頼るより俺がきっちり別れさせてやるから、石よこしな」
 シオリはアレクシアの顔を見詰める。
「あ、ごめんごめん! 残りの石ひとつは私が取り上げてたわ! その水晶をどこで手に入れたのか聞こうと思って来たんだけど、まさか4つも持っていただなんて、ほんと驚きね」
 呆れ返っているアレクシアに、嶋野がぼそりと呟く。
「石持ってんなら言えや……」
「本当ごめんなさい! でも嶋野さんの説得、重みがあって流石って感じよね!」
 これにキア3人もこくこくと小さく頷き同意を示す。
 実質、若い女性4人に同意された嶋野は怒るに怒れず、なんやかんやでそろそろ本題に入る事にした。
「……まぁいい。アレクシア、声帯絞るのやめてやれ。重要なことを聞かなくちゃいけないだろ?」
「ええ、分かってるわ。さて、と。シオリさん。この水晶、どこで手に入れたのか教えてくれる?」
「あ、ああ、声が出る……? えっと、あたし、この地域の高校に通っているんですけど、その帰り道で見慣れない制服の男子から手渡されたんです。面識がないはずなのに、どこか懐かしい感じで……」
「それで受け取ってしまったのか」
 キアが小首を傾げていた。
「催眠術の類か何かか? お嬢さんの高校、どこか教えてくれないか?」
「はい、都立百合山女学院高校です。あ、そうだ。あたしの高校の近くで、その見慣れない制服の男子の目撃が幾つかSNSの書き込みでありましたよ。あたしも実際に会うまでは都市伝説の類だと思ってましたけど……」
 嶋野とアレクシアは顔を合わせて力強く頷いた。
「間違いないな」
「完璧に管轄内の案件ね」
「もっとも、これは猟兵の職務でもあるのだがな」
 キアも次に為すべき事を理解したようだ。
 話に付いてゆけないシオリを地面に降ろすと、アレクシアは近寄って凄みだした。
「他には持ってないわよね? 貴方の家をひっくり返して、まだ出てこないか振ってもいいのよ?」
「もう本当に持っていないわよ!? 手品だか何だか分からないけど、超コワかった!」
 本気でビビっているのか、シオリの足がガクガクと震えていた。
 その返答と態度にアレクシアは満足すると、最後にひとつだけ言葉を投げかけた。
「最後に……申し訳ないけど、色々忘れてもらうわね」
 閃光が記憶を撃ち抜いた。

 記憶消去銃の光線を浴びて呆然とするシオリを後にして、猟兵たちは都立百合山女学院高校を目指すのだった。もう、これ以上の被害者を増やしてはならない……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『怪しいセールスマンに御用心』

POW   :    街中を隈なく移動して取引現場を捜索する

SPD   :    怪しい人物を尾行して取引現場を嗅ぎ付ける

WIZ   :    囮捜査を敢行し、セールスマンと接触を図る

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 都立百合山女学院高校は、知名度こそ低いが100年以上続く歴史ある女子高である。
 校則に『卒業まで男性との恋愛を禁ずる』とあるが、実際にこれを守っている生徒が果たして何割いるか甚だ怪しい。恐らく教師側も黙認していることも多々ある。
 とはいえ、実際それを頑なに守り続ける生徒も一定数存在するのも事実。内申点が稼げるというのが一番の理由だ。
 そんな一定数の女子生徒たちが、自分の親友に彼氏が出来たら……一体、何を願うだろうか?

「友達が、キミのもとへ帰ってくるといいね……」

 その声が、またひとり、女子生徒を闇へ誘おうとしていた。
カルティーチェ・ルイナ
「シオリさんは後でちゃんと友達に告白して欲しいですね」
とまだどこか虚ろげだった彼女を心配しつつ、学院近辺にいます。

キアお姉さんと合流して聞き込みをします、優しくしてあげるくらいしかできなくてあんまり話術には長けてないのでキアお姉さんの護衛が主ですけどね。

どうも石を配っている男がくせ者っぽいです。
シオリさんを催眠術かなにかで混乱させていましたし、呪詛耐性とかないので私が混乱したりしてキアお姉さんの足を引っ張らなければ良いですけど…
町中ですから怪しくても普通の人をいきなり攻撃するわけにもいかないですし、物理攻撃から守る以外ではあまり役に立たないですね…なんとかキアお姉さんの役に立ちたいのですけど…


キア・レイス
まずはカルティーチェと合流しシオリとの巻末を話す。
以前依頼で一緒になったときから妙になつかれている、聞くと似た者だと感じるんだとか。

おそらく学院の周囲で女生徒達の弱味につけこみ取引しているんだろう、カルティーチェと歩き回り現場を探すことにする。
とは言えこの身一つとサーチドローンだけでは周囲を見渡しきれないので【スカウトドローン】も召喚し周囲を視て回らせ怪しい人物がいたら記録させ追跡、私が出向いて直接確認しにいく。

相手の手管が若干胡散臭い、自分一人で行ったなら言いくるめられてシオリがそうなったように洗脳に近いことになってしまうかもしれないな。
まぁそうならないようカルティーチェを頼るんだが。



 都立百合山女学院高校の校門前に、板金鎧姿のカルティーチェ・ルイナ(自己犠牲の悦楽を知る者・f10772)が佇んでいる。彼女は今、待ち合わせをしているのだ。
 行き交う生徒たちが重装備のカルティーチェの存在こそ認識するが、猟兵の特性によって不審者に見られることはまずない。
 なので、警備員の男性が近付いたとしても、
「お嬢ちゃん、どうしたんだい? 誰かと、はぐれたのかな?」
 なんて、追い返さずに優しくカルティーチェに声を掛けてくれる。
「はい、此処でキアお姉さんと待ち合わせなのです。あ、勝手に待ち合わせの場所に使ってしまってごめんなさい……」
「いいんだよ、気にしないで。お姉さん、早く来るといいね」
 警備員の男性がそう言っている傍から、キアお姉さんことキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)がやってきた。
「待たせたな、カルティーチェ。ああ、警備員のアナタ、何やらお手を煩わせてしまったようだが……」
 姿を見せたキアは、眼帯にドレス姿、鎖がぶら下がった鉄の首輪となかなかのパンクな出で立ち。だが、警備員の男性が狼狽えることは全くない。猟兵の特性とは、かくも便利なものか。
「いえいえ、無事に合流出来たようで安心しました。あ、お姉さん。鎖、踏んでますよ?」
「おっと、これは親切に痛み入る。では、行くとしようか、カルティーチェ」
「はい! キアお姉さん!」
 一旦、猟兵2名は校門から離れる事にした。それを見送る警備員は、思いっ切り背伸びをすると、清々しい笑顔で青空を見上げる。
「いやぁ、良いことすると気分がいなぁ。今日も不審者ゼロ!」

 女子高すぐそばの喫茶店内。
 キアは事の顛末をカルティーチェへ伝達していた。カルティーチェ自身も、全てが終わった後のシオリの姿を目撃していて、ようやく点と線が繋がったようだ。
「シオリさんは後でちゃんと友達に告白して欲しいですね」
「出来るさ。彼女にあれだけの強い想いがあるのなら、な。さて……」
 キアはこれからの方針を提案した。
「おそらく学院の周囲で女生徒達の弱味につけこみ取引しているんだろう。取引現場を押さえたいな」
「どうも石を配っている男子学生がくせ者っぽいです」
 カルティーチェの意見にキアも同意を示す。
「だろうな。相手の手管が若干胡散臭い、自分独りで行ったなら、言いくるめられてシオリの如く洗脳に近いことになってしまうかもしれないな。まぁそうならないようカルティーチェを頼るんだが」
「えっ!? あ、あの、呪詛耐性とかないので私が混乱したりしてキアお姉さんの足を引っ張らなければ良いですけど……?」
 自分が頼られた理由に対し、カルティーチェが急に不安を覚え始める。
「町中ですから怪しくても普通の人をいきなり攻撃するわけにもいかないですし、物理攻撃から守る以外ではあまり役に立たないですね……。なんとかキアお姉さんの役に立ちたいのですけど……」
 秒単位でしおれてゆくカルティーチェに、キアはどうしたものかと押し黙ってしまう。
(以前依頼で一緒になったときから妙になつかれているし、理由を聞けば似た者だと感じるとか、……私がカルティーチェと似ている、のか?)
 今ひとつピンとこない様子のキア。だが、このまましおれたカルティーチェを放置するわけにもいかない。
「では、一緒に聞き込みを行おう。私は並行して、ドローンで上空から捜索に当たろう」
「わかりました! 頑張ります!」
 今度はコンマ1秒で復活するカルティーチェだった。

「ドローンの展開完了、敵の索敵、そして支援射撃……は今回は控えよ。行け!」
 キアのサーチドローン1体とスカウトドローン20体が散開してゆく。
 その後、百合山の女生徒たちに聞き込みを続けると、いくつか共通点が浮かび上がってきた。
「年齢は中学生くらい? 学ラン着用? でもこれって……」
「ああ、どうやら、SNS上の都市伝説の域を出ないようだ。……まて、ドローンがそれらしい人物を一瞬捉えたようだ。現場にゆくぞ!」
「あ、キアお姉さん、待ってください!」
 ドローンの元へ向かうキアを追い掛けようとしたカルティーチェ。
 その後ろを、得体の知れぬ学ランの男子生徒がじっと見詰めて、消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

嶋野・輝彦
【POW】街中を隈なく移動して捜索
闇雲に行ってもだよな

街中でナンパしてるバカを捕まえて
【恫喝】【存在感】【コミュ力】で情報収集
【第六感】で逃げ道封鎖しつつ
何か知らんか?
お嬢学校の生徒にピンポイントだろ?
俺の若い頃だったらナンパのネタとしてほっとかなかったぞ
出没する場所、正確な恰好、見た目諸々徹底的にリーサチして…お嬢とエロい事出来る可能性が1%でもあればその位したぞ
やってねぇとか必死さが足りん、男ならガツガツいけよ
知らなかったら…
【恫喝】【存在感】【コミュ力】で
メールとかSNSでナンパ野郎の仲間からも情報を吸い上げさせる
ほらほら必死にやれよ、じゃないとおじさん力加減間違えちゃうかもしれないなぁ



 一方、問題の女子高からさほど遠くない最寄り駅の繁華街。
 そこで嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)は情報を集める事にしたのだが。
「とは言ったものの、闇雲に行ってもだよな」
 ひとまず人の行き来が多い場所に来たのは正解だと思いたい。
 ここには百合山の制服を着た女生徒のグループもチラホラ見かける。そのグループにちょっかいを掛けてくる、いかにも頭の悪そうな男4人組もいるわけで。
 案の定、2つのグループは何やらもめ始めたではないか。
「さて、どっちに話を聞くかは、一目瞭然だな」
 嶋野は揉めているグループの中に強引に割って入ると、手近なナンパ男の喉を片手で握り潰す勢いで締め上げてゆく。突然の乱入者に、ナンパ男たちはもちろん吊るされた男は竦み上がってしまう!
「お嬢さんたち、危ないから早く逃げな? ここは俺に任せて、ほら」
「あ、ありがとうございます!」
 百合山の女生徒たちを逃がすと、吊るされた男の仲間たちに嶋野は尋ねた。
「悪いな。ちょっと聞きたいことがあってな? ……まとめてツラ貸せや?」
 その威圧感やら存在感やら目つきの悪さやら、会話の堂の入りっぷりやら諸々が、完全に極道のソレと化していた。
「上等だコラ……。おっさん独りでイキってんじゃねーぞッ!!」
 仲間を助けるべく残る3人が嶋野へ飛び掛かった!

「ほらほらキミたち、必死にやれよ。じゃないとおじさん、チカラ加減を間違えちゃうかもしれないなぁ~?」
 嶋野のヤクザキックがチャラ男Aの側頭部を強打!
「げはッ!? ス、スンマセン、アニキ!」
 転げ落ちるAは涙目でスマホを拾上げて情報を漁り始めた。
「舎弟にした覚えはねぇぞ? ほらそこ、手が止まってるぞ!?」
 今度はチャラ男Bの背中を踵で蹴り込んだ!
「ごほっ!? サーセン! つーかアニキ、めちゃくちゃ強いっすね!?」
「関係ない話すんなよ。もう一発行くかコラ?」
「ヒィッ!? 知ってることはもう全部話したっすよ!?」
 ……おわかりいただけただろうか。
 嶋野は猟兵である。諸事情で嫌々ながら最前線で戦っている猟兵である。それなりの場数と死線を潜り抜けてきたこの傭兵に対して、一般人のチンピラが敵うはずないのだ。
 あのあと、嶋野はチャラ男4人を瞬時にボコったあとで、例の都市伝説について彼らに調べさせていたのだ。あと何故か舎弟が増えた。
(ちなみに4人は全く情報源として利用できなかったことを付随しておく)
「しかし、ホント、何か知らんか? お嬢学校の生徒にピンポイントだろ? 俺の若い頃だったらナンパのネタとしてほっとかなかったぞ」
「アニキもああいう、お嬢学校は好みなんすか?」
 お調子者のチャラ男Cの問いに、当たり前だと嶋野は返した。
「出没する場所、正確な恰好、見た目諸々徹底的にリーサチして……、それこそ、お嬢とエロい事出来る可能性が1%でもあれば、その位したぞ?」
「マジっすか!? その場のノリでテイクアウトしようとしてた俺らとは格が違うっすね!」
 チャラ男Dの称賛に他の3人もアニキぱねぇと連呼する。
「その程度の事をやってねぇとか必死さが足りん、男ならガツガツいけよ」
「うッす! 肝に銘じるっす! って、アニキ、見てください、コレ! 百合山に通ってる仲イイ子からなんすけど!?」
 チャラ男DのSNSのメッセージに、有力情報が記載されていた。
【たすけて いま しらない学ランのおとこに ストーカーされてる】
 嶋野は思わず舌打ちをした。
(既に次の標的を狙ってやがったか、畜生!)
「アニキ、これ、やばくねぇっすか!?」
「分かってるさ、んなこと! 場所を早く聞け! 俺が助けに行く!」
 こうして、問題の学ラン男の居場所を特定した嶋野。
 被害を食い止めるべく、全力で急行する!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・静柄
グリモア猟兵の予知ではシオリが贄になったのよね?それは回避出来たのかしら?それに記憶消去はどこまでの記憶を消したのかしらね?私達が関わり合った所だけなら、石を失くして振り出しに戻っただけかもしれないわね…何か嫌な予感(第六感、野生の勘)がするわ。私の杞憂なら良いのだけど用心に越した事はないわね。街中を隈なく移動して取引現場を探すついでにシオリを見つけたなら、シオリの後を追ってみるわ。怪しい男との接触がなければ安心出来るし、接触しても怪しい男の方をどうにかすれば良いだけだしね。念の為に怪しい男には「何者?」と簡単な質問を投げてみるわね。



 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)はシオリの顛末を見届けた後、街中を隈なく移動して取引現場を押さえようと捜索していた。
「……何か、嫌な予感がするわ」
 彼女の第六感と野生の勘が警鐘を打ち鳴らし続けていた。
「私の杞憂なら良いのだけど用心に越した事はないわね」
 静柄は学生が溜まりそうなゲームセンターから出てくると、別の場所へ移動しようとしたその時だった。
「あれは、シオリね?」
 意識が戻ったのか。恐らく、猟兵に遭ったことや水晶石のことをきれいさっぱり忘れているはずだ。それでも、静柄は何か引っかかっていた。
「グリモア猟兵の予知ではシオリが贄になったのよね? それは本当に回避出来たのかしら? それに記憶消去はどこまでの記憶を消したのかしらね? 私達が関わり合った所だけなら、石を失くして振り出しに戻っただけかもしれないわね……」
 気になった静柄は、シオリの尾行を開始した。

 しばらくすると、シオリは親友アカリと彼氏へ怒鳴り込んでいた。
「これ以上、アカリをたぶらかさないで!」
「お、おい、アカリ? なに、この子?」
「ゴメン、ちょっと待って! ……シオリ! いきなり何言いだすの!?」
「アカリこそ目を覚まして! あたし、そいつが他の女と手を繋いで歩いてるの、偶然見たんだよ!?」
「シオリ? その人は妹さんよ」
「絶対にウソよ!! 騙されてるのよ!!」
「泣かないで、シオリ。……最近、かまってあげられなくて、ごめん。でも、一緒に居るだけが親友じゃない。この人と付き合って、そういう考えもあるんだなって、世界が広がったんだ」
 見兼ねた彼氏が、アカリへ助け舟を出した。
「アカリさん、だっけ? 妹っていうのは本当なんだ。あ、ほら、向こうから走ってきた。3人で買い物に出かけようって、ちょうど誘ってたんだよ」
「あ……」
 シオリが愕然としていた。恐らく、以前に目撃した女性そのものだったのだろう。
「なにこれ……。あたし、超キモイじゃん……。えぐ、えぐ、ぐすんっ」
「だから泣かないで、シオリ。……ごめん、今日はここで。いいかな?」
「うん、その子と一緒に居てあげて、アカリちゃん。……いい友達を持ったね」
「違うよ。シオリは、最高の親友」
「……アカリ……!」
 少女たち2人が固く抱擁し合う。
 その光景に、静柄はホッと胸を撫で下ろす。
「こっちは、一応、丸く収まったようだね」
「そうだね、僕も安心したよ」
 背後から聞こえた声に、すかさず彼女は振り向き、そして問い掛けた。
「何者!?」
 そこにいたのは、学ラン姿の青白い顔の中学生くらいの少年。
 少年は答えた。
「“わからない”んだ」
 ダメージ判定は……ない!
「わからない? そんな答えが通るの……?」
 信じられないと目を丸くする静柄に対し、少年は無表情のまま淡々と語り出した。
「実際わからないんだ。僕が僕自身の存在を定義付け(カテゴライズ)できていないからさ。だから苦しいんだ。一体、僕の身体は、精神は、魂や記憶はどうなっちゃったんだろう? 少なくとも、もう人間じゃないことは間違いない」
 でも、と少年は言葉を継ぐ。
「誰かとの友情が壊れそうになる時に漏れ出る感情のエネルギー。あれを“食べる”時だけ、苦しみが和らぐんだ。だから、仲直りの手伝いを進んでしているんだ」
「アンタが、この事件の黒幕……!」
「お姉さん、もしかして、猟兵ってやつなの? だったら、……まで来てよ。待ってるから」
 少年は一方的に話を切り上げると、アスファルトの道路に溶けるように消えてしまったのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

斬崎・霞架
例の子(シオリ)にこっそりポインセチア(花言葉は幸運を祈る、元気を出して)を送っておきましょう。
意味などないかも知れませんが。自己満足のアフターケア、ですかね。

『アリス』を通じて状況は把握しましたが、細かい情報を聞けるなら助かります。
女子高の生徒を探して『アリス』に追って貰います。
悩んでいそう、一人でいる子などがいい。
…ある意味、囮にする事になってしまいますかね。

何者かに付けられていたり、絡まれていたら助けましょう。
アタリハズレはともかくとして、レディのピンチを見過ごしたとあっては紳士の名折れです。(【優しさ】【手を繋ぐ】)
まぁ、名乗るほどの者でもありませんが。ただの“変なナンパ師”…ですよ。


アレクシア・アークライト
 仲間から聞いた情報をもとに現場に向かう。

・個人犯か組織犯かを確認する必要がある。
・男子生徒も誰かに使われているだけのおそれがある。
・逆に男子生徒がオブリビオンである可能性もある。その場合、街中で戦闘になることは避ける必要があるし、女子生徒が人質に取られるおそれもある。
 といった理由から、女子生徒に水晶を渡すのを止めたりはせず、男子生徒を尾行し、そのアジトを突き止めようとする。[千里眼]
 なお、女子生徒に渡された水晶は、念動力でこっそりと取り上げておく。

 「さ、そこまでよ」
 「それともひょっとして、私達を招待してくれたのかしら?」


嶋野・輝彦
【POW】チャラ男ーズが聞き出した場所に直行
もうちょっと時間かかると思ったんだがアタリなのか?ただのストーカー?
しかし平仮名おおいメッセージだったな、相当焦ってんのか?それとも何かあるのか?急がないと不味いな

後はやってから考えよう

教えられた女の子の近くにいる吸い上げた情報と合致する学生に
行ってすぐ見つけたらそのままの勢いで
隠れたり見当たらなかった場合は【第六感】で見つけて
走った勢いのまま相手に対応させない様にして捕まえる
【先制攻撃】【だまし討ち】【恫喝】
で蹴りを入れて
「テメェ何やってんだゴラァ!!言ってみろやコラァ!?」
脅す
これだけやらかすんだ、アタリかハズレか相手の反応を見りゃわかるだろうよ


枯井戸・マックス
学ランの男が現れたとの情報を受け現場に急行し、それらしい男を発見次第尾行する。
「様子を聞いた感じ随分と荒っぽい捜査をしてるみたいだねぇ。まあ状況が状況だ。次の被害を出さない為に俺もなりふり構っちゃいられないな」

男が1人になったら裁ち鋏を取り出し低く呪文を唱える。
すると鋏は手から浮き上がり男の口の寸前目掛けて飛翔する。
「振り向かず質問に答えろ。都立百合山女学院の生徒に水晶石のアクセサリを渡したのはお前か?」

男の背後に立って軽薄な、しかし冷酷な声色で話しかける。
「下手な嘘はつかない方がいい。お前が嘘をついた瞬間、その鋏はあと5cm前に進んで刃を閉じる。二度と珈琲を味わえない体になりたくないだろ?」



 斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)はUDC組織と連絡を取り合っていた。
 現在の進捗状況の報告、そして、シオリへ届けてほしいものを伝達するためだ。
「ええ、そうです。ポインセチアを彼女へ。『祈る』『元気を出して』という意味があるんですよ。宛名、ですか? 適当に、怪しまれないような名称を付けて送ってください。懸賞に当たったって事にしてもいいですね」
 恐らく、記憶消去銃によって猟兵たちと会った記憶は殆ど残っていないのだろう。故に、この行いに意味などないかもしれないが。
「僕なりの自己満足のアフターケア、ですかね」
 こうして、情報交換をしつつ組織に事後を託した斬崎は、事件当初からずっと這いずり回っていた『アリス』を呼び寄せた。
「ありがとう、アリス。もう少しだけ頑張ってくれませんか?」
 捜索・追跡するのは、悩んでいそう、独りでいるなどの百合山の女生徒。
「ある意味、囮役にさせてしまう事になりますが……」
 その時は、駆け付けて救い出すまでだ、と彼は覚悟する。
 再び『アリス』が這いずると、女子高へ向かって調査を開始する。

 一方、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)も百合山女学院高校付近で、捜査の網を張っていた。
「単独犯のようだけど、にしては出現情報が広域で同時間に集中してるわね。瞬間移動の類かしら……?」
 または男子生徒自体が人間ではないと踏んだアレクシアは、街中での戦闘を最も危惧していた。UDCアースでは、UDCモンスター……つまりオブリビオンの存在は世間に公表されていない。当然、その交戦記録も隠匿されるべきなのだ。
「最悪、女子生徒を人質に取られると厄介よね」
 その視線の先には百合山の女子生徒に紛れて歩く学ランの少年の姿。ユーベルコードで超感覚的知覚を発動させたアレクシアは、千里眼でちょうど、少年が落ち込んでいる様子の女子生徒へ水晶石を手渡している決定的瞬間を目撃していた。
「あら? あのお面を頭に乗せた男の人も猟兵なの? 既にマークが入っていたのね」
 アレクシアは合流を開始する。

 さて、幾分か遅れて現場へ駆け付けてきたのは、額にマスクをちょいと乗せた丸眼鏡の男、枯井戸・マックス(サモナー・ザ・アーティファクト・f03382)だ。
 実はアレクシアが千里眼で発見する前から、第六感で少年にアタリを付けていた枯井戸。その勘は的中し、彼も取引現場を目撃する。そして、また別の少女の後ろを追い始めたのを見て、行動を開始する。
「よし、そろそろ始めるか」
 このまま次の少女に水晶石を渡すわけにはいかない。
「蜜を啜るのはこの舌か? 嘘を吐くのはこの舌か?」
 低い声で詠唱を行い、ユーベルコードの魔導遺物『舌切り雀の鋏(ホーネスト・オア・シザース)』を解き放つと、浮遊する裁ち鋏が枯井戸の目線近くに出現。
 すると鋏は手から浮き上がり、少年の口の寸前目掛けて飛翔する!
 学ラン少年の足が止まる。目の前5cm先で急停止した浮遊する裁ち鋏から逃れようと踵を返そうとするが、枯井戸の声でそれは制止された。
「振り向かず質問に答えろ。都立百合山女学院の生徒に水晶石のアクセサリを渡したのはお前か?」
「そうだよ」
 即答が返ってきた。念押しのため、枯井戸は少年の背後に立って軽薄な、しかし冷酷な声色で話しかける。
「下手な嘘はつかない方がいい。お前が嘘をついた瞬間、その鋏はあと5cm前に進んで刃を閉じる。二度と珈琲を味わえない体になりたくないだろ?」
「嘘も何にも、おじさん、見てたでしょ?」
 ぽん、と枯井戸が肩を叩かれた。
 まさか、と振り返ると、そこに少年の姿が!
「な、なにっ!? ふたりいたのか!?」
 正面を見れば、先程の少年の姿が消えている。
「テレポートか!」
 枯井戸に手が伸ばされる。
(やばい! 確か、こいつには催眠術が……!)
 絶体絶命!
 その時だった。
「テメェ何やってんだゴラァ!! 言ってみろやコラァ!?」
 嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)の全身のバネを利かした見事なドロップキックが、枯井戸の目の前の少年の顔面にクリーンヒット! 少年は勢いよく顔面からゴミ集積場へ突っ込んだ!
 立ち上がった嶋野は先を行く少女が居なくなったのを目視すると、悪びれなく少年を睨み付けた。
「マジで一発大当たりか。チャラ男ーズ、やるじゃねぇか。女の子の平仮名多いメッセージといい、結構ヤバい感じだと思って駆け付けてみれば、猟兵の方がピンチだったとか、ったく笑えねぇ」
「……助けてもらったことは恩に着るぜ。そうか、お前さんが今回、様子を聞いた感じ、随分と荒っぽい捜査をしちゃってるみたいだねぇ。まあ状況が状況だ。油断したが、俺もなりふり構っちゃいられないな」
「気を付けて。その子、瞬間移動できるみたい」
 アレクシアが合流すると、斬崎も遅れて参上。
「女子生徒はUDC職員の手引きで無事ですよ。先程、水晶石を受け取った方も同様に、全て滞りなく」
「あら、石なら念動力で回収したわよ?」
「またあなたでしたか……」
 アレクシアの手際の良さに苦笑する斬崎。彼は少年へ向けて告げた。
「これ以上、レディの尊い感情を文字通り食い物にするのは止めていただけませんか? まぁ、名乗るほどの者でもありませんが。ただの“変なナンパ師”……ですよ」
 少年は直ぐに数メートル先へ瞬間跳躍、そして連続使用して逃走を開始。
 猟兵たちが追い掛けた先は、人気のない高架下の空き地であった。
「さ、そこまでよ。……それともひょっとして、私達を招待してくれたのかしら?」
「話を聞いてもらいたいんだ、猟兵のみんな」
 振り向いた少年の顔は、既に人間のそれではなく、徐々に学ランを突き破り膨張、耐え難い酸性の刺激種を放ち始めた。
「ねぇ、教えてよ」
 少年だったものは、澄んだ声で猟兵たちに問い掛けた。
「僕は、一体、なんなの……?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『鑼犠御・螺愚喇』

POW   :    友、死にたまふことなかれ
【友を想う詩 】を聞いて共感した対象全てを治療する。
SPD   :    怪物失格
自身の【友の帰る場所を守る 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    永遠の怪
【皮膚 】から【酸の霧】を放ち、【欠損】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 僕は気が付いたら、こんな体になっていたんだ。
 もうどれだけ長い時間、この身体で過ごしたことか。
 はっきりしていることは、ただひとつ。
 僕はただ、“友達が返ってくる”事を信じて待っていただけなのに。
 信じて、信じて、信じて、棺の中の友達を見送っても、信じてたのに。

 この水晶石はね、僕の身体の破片なんだ。願いが叶うらしいんだ。
 友達が返ってこないって子たちに分けてあげてるんだよ。
 独りぼっちは誰だって嫌だ。
 その石を使った子の願いを叶えてあげたかった。
 その子たち、仲直りできていると良いな。

 ねぇ、猟兵のみんな。教えてよ。
 僕は一体、どうなるの?
 どうして、あんなに願ったのに友達は戻ってこないの……?
キア・レイス
カルティーチェと主に連携を取るが他の猟兵とも協力できるようにするぞ。

一人ぼっちが嫌と言うのは分かる、私も人には言えない過去の中で歪だったが「繋がりの」幸福に縋っていた…いや「繋がれた」だったかもしれないな。
…仕様も無い話だ、苦笑いも出ない。

「カルティーチェ、思いっきりやって注意を引いてくれ、その方がこちらも動きやすい」

カルティーチェ達に前衛を任せ【スカウトドローン】を召喚。
追跡探索攻撃と便利だからでずっぱりだな。
ドローンに各猟兵の援護を任せ、自身はフックショットとクライミング技術で高いところに登り狙撃する。

後々無茶な動きをする…かもしれないので今は出来るだけ目立たず、ダメージを負わずにいたい。


カルティーチェ・ルイナ
キアお姉さんと一緒に戦いますけど他の人とも頑張ります、戦いだったらきっとお役に立てますよ!

「一人ぼっちは可哀想ですけど拗らせすぎです、他の人を守るためにも倒します!」
なるだけ囮になったりかばったりで他の猟兵さんとの負担を軽くします
装備品の勇気と誘引の旗を握りしめバナーを展開、みんなを盛り上げて、もはやなんて名前なのか読めないこいつを誘き寄せます。
受難の代替者を発動、周囲に人の気はあんまりないですがオブリビオン自体がかなりどろどろしたものを持ってそうなので利用できそうです。
キアお姉さんとの作戦があるので限界ギリギリまで受難の代替者は解除しません、もちろん倒しきれたらそれでもオッケーですけれど。


アレクシア・アークライト
 あいつから悪意は感じない。
 おそらく、その想いの強さから邪神に魅入られた、又は利用されていただけね。
 救えるなら救いたいけど……私達にその術はない。
 犠牲が出る前に骸の海に、友達がいるかもしれないところに返してあげるわ。

・知覚を研ぎ澄まし、瞬間移動を予知したら、仲間に伝える。[予知、精神感応]
・念動力で敵の攻撃を妨害する。
・動きが鈍ったら、核を見通し攻撃する。[千里眼、サイコキネシス]

「可哀想だけど……直撃させるわよ」

 さっきの台詞、今日の3人以外にも水晶を渡した人がいるってことよね。
 あいつが倒れた後、この水晶が残ったままだったら、すぐ探しにいかなきゃ。



 猟兵たちは目の前の少年、否、UDCモンスターを見詰めている。
 岩石のような肉体。明滅する黄色の鉱石状の感覚器官。そして、全身から溢れる強酸臭の液体が飛び散るたびに、地面が溶解して白い煙が上がる。
 組織のデータベースを調べれば、この怪物が『鑼犠御・螺愚喇(ラグオ・ラグラ)』という伝承上の怪物だと分かるのだが、今の彼らにそれを知る術はない。
「ねぇ、教えてよ。僕はどうなっちゃうのっ!? お姉さんたち、何か知ってるんでしょ!? なんでもいいんだ、教えてよ……!」
 ずり、ずり、ずり、と少しずつ猟兵へ接近する怪物。この様子だと、本当に自分が何者なのかを知らないらしい。
 この問いに、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)が苦々しく答えた。
「……UDC(アンディファインド・クリーチャー)。または、オブリビオン。世界の未来を喰らい、世界を絶望と破滅へ導く、失われた過去の化身。それが、今のあなたの存在よ」
「そんな……!?」
 怪物は悲しげな声を上げる。
(やっぱり。あいつから悪意は感じない)
 アレクシアは確信した。経緯は不明だが、おそらく、その想いの強さから邪神に魅入られた、又は利用されていただけの存在だと。つまり、あれは邪神絡み被害者の成れの果てだ。
「僕は……そんな、バケモノだったのか……! これじゃあ、もう、永遠に独りぼっちじゃないか……」
「独りぼっちが嫌と言うのは分かる」
 そこへ、キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)が言葉を割り込ませた。怪物へ共感の眼差しを注ぐと、彼女は自身の身の上を口にし始めた。
「私も、人には言えない過去の中で、歪だったが“繋がりの”幸福に縋っていた……。いや“繋がれた”だったかもしれないな。……仕様も無い話だ、苦笑いも出ない。だが、アナタは存在するだけで未来を、世界を破滅と滅亡へ追い込む……」
「救えるなら救いたいけど……、私達にその術はない。次の犠牲が出る前に骸の海に、友達がいるかもしれないところに帰してあげるわ」
 アレクシアは全身の念動力を活性化させ、戦闘態勢に移行する。
「独りぼっちは可哀想ですけど拗らせすぎです、他の人を守るためにも倒します!」
 カルティーチェ・ルイナ(自己犠牲の悦楽を知る者・f10772)もタワーシールドとランスを構え、キアとアレクシアの前に進み出て盾とならんとする。
「そういうことだ。悪く思うな。――スカウトドローンの展開完了!」
 突如、20体の戦闘用機銃付きドローンが一斉に高架下の空間に出現する!
 これに怪物は、嗚呼、と短く声を漏らした。
「猟兵……、これが猟兵なんだね。初めてみたのに、薄々分かってたんだ。お姉さんたちは、僕を殺すためにここへ来たんだね……」
「まさか、逃げるなんて言わないわよね?」
 アレクシアの問いに、怪物は身体をふるふると横に振った。
「逃げないよ。たとえ、猟兵たちに殺されかけても、僕は友達を待っているんだ。これからも、ずっと……」
 偶然か意図的かは定かではないが、怪物が猟兵を目の前にして逃亡をしないと宣言し、それを行動に移したことによって、怪物の岩肌が隆起してゆくのを猟兵たちは確認する。これは身体強化されている証左!
「カルティーチェ、思いっきりやって注意を引いてくれ、その方がこちらも動きやすい」
「キアお姉さん、わかりました! さぁ、怪物さん! これを見てください!」
 カルティーチェが勇気と誘引の旗印を握りしめバナーを展開、猟兵たちを鼓舞するとともに、怪物の興味を引かせる。
「なにそれ! もっとよく見せてほしいな……!」
 純真無垢な態度で興味を引いた怪物が近付いてくる。そこへ20体のドローンの機銃の一斉掃射が怪物の全身に銃弾を浴びせ掛けた!
「わぁっ!? 痛いっ! 痛いよぉっ!!」
 身を捩って必死に自身をガードする怪物。戦闘知識は全くの皆無のようだ。自発的に攻撃を仕掛けてくる様子も、今のところ見受けられない。
「無抵抗の相手を殴るのは気が引けますが、恨まないでくださいね!」
 カルティーチェはユーベルコード『受難の代替者』を発動させた。
「総ての負いを私の小さな身体で受け止めます、カルティーチェは痛みや苦しみが大好きなんです、だから私に気にせず渡してください」
 周辺の人々の怨嗟、苦痛、恐怖を宿し、彼女は超強化を果たす。その代償で盛大に口から吐血する。
「ねぇ、血を吐いてるよ! 大丈夫!?」
「平気です! そして失礼しますね! えいっ!!」
 渾身のシールドバッシュが怪物の正面を強かに打ち据えた!
「痛いっ!」
 そのまま地面に転がる怪物。だが、身体能力が向上しているせいか、もっとダメージを与えないと倒すことが出来ない。
「周囲に人の気配がないのに、この怨念の量……、もしかして、これは、怪物の中に蓄積された、今まで石を与えた人たちの怨念……!」
「多分、無自覚でしょうけど、既にどれだけの人たちを食べたかと思うと反吐が出るわね」
 アレクシアは超感覚的知覚を研ぎ澄ますと、怪物の核を千里眼でサーチ。
「なんかいっぱいあるわね。とりあえず片っ端から潰していくわ」
 彼女が右手を前に突き出して力を籠めると、怪物は内部から破裂する!
「可哀想だけど……直撃させるわよ」
 もう一撃、今度は黄色い鉱石状の感覚器官が勢いよく破裂する!
 そこへフックショットとクライミング技術で高架に上ったキアが、頭上からのアサルトライフル連射とドローンの機銃で制空権を掌握する!
 念動力によって幾度も内部破裂する怪物の悲鳴と機銃の発砲音が鳴り止んだ。怪物は動かない。ただ、声は聞こえる。
「ユージ、僕はこんな体でも、今でも君を大切な友達だと思ってるよ……。絶対に生き返らせてみせるから……!」
 怪物の友を想う詩は、自らを奮い立たせ、その傷を徐々に塞いでいくではないか。
「キアお姉さん、回復しちゃいましたよ!?」
「見れば分かる、カルティーチェ。やれやれ、これは、少々無理をしないと倒せそうにないな」
 2人のやり取りの間、アレクシアは既に石を渡した人たちが亡き者になっていることを悟り、奥歯を強く噛み締めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メルフローレ・カノン
遅れての推参ですいませんが、
助太刀させていただきます。
目前の彼の心は邪悪ではないのでしょうけど
ここでオブリビオンを撃破するしか
彼を救う方法がないのであれば、全力を尽くします。

私の得物は主にメイスですが
状況によって予備武器で剣も使います。
回復能力が高いようなので、とにかく攻撃しましょう。
[力溜め]の上で、[2回攻撃][鎧砕き][なぎ払い]などで
岩状の体をガンガン砕いていきましょう。

その度に、取り込んだ怨念や思いが聴こえてくるのでしょうけど
心を強く持って戦いましょう。
それらに対して、私は理解はします。同情もできます。
でも、それを受けて、なお戦いの手は止めません。


斬崎・霞架
報われずとも待ち続けた。それは素晴らしく、愚かな事です。
信じ、願う。それで、貴方は何かを成そうとしたのですか?
しかし、誰の所為ともせず信じ続けた貴方は優しいのでしょう。
…残念ですね。貴方を討たなければならない事が。

他の方と動きを合わせられれば良いのですが。
攻撃を【見切り】つつ、素早く動き回り【カウンター】を狙いましょう。
好機とあらば、隙を与えず攻めます。(【早業】【二回攻撃】)
【生命力吸収】で相手を削ぎつつこちらの力を増せれば良いのですが。

その友人は、今の貴方を見てどう思うでしょう。
姿ではなく、その行いをです。
僕にはわかりません。…ですが、貴方にはわかるのではないですか?


カルティーチェ・ルイナ
「あぁ~…死にそう」
腰砕けになりそうな甘すぎる激痛、常備している痛み止を飲んでなお足がプルプルしちゃってます。


シオリさんの最期は悲惨でした、過去にあのような目に合った人がいたと思うと、未来にあのような目に合うかもしれない人がいると思うと…


潰えることのない希望への活路を発動
「キアお姉さん…私はまだ動けます…!」
「こいつは絶対に倒しましょう!」
身体はぼろぼろですけど反動を抑える重りぐらいにはなります、支えるのはもう一人の自分にお願いします。
落ちてくるキアお姉さんを受け止めそのまま力の限り離さないよう抱き支えます。

後で頑張ったのでキアお姉さんに誉めてもらいますからね。
それとシオリさんも気になります。


キア・レイス
「あまりこの姿は晒したくなかったのですけれど…強くなれるのなら躊躇っている場合ではないわね…」

瞳の色が変わりベビードールと首輪だけを纏ったはしたない姿、過去の姿でもあるわたくしの真の姿を現しトドメを刺しに行きましょう。

フックショットを使って振り子の要領で鑼犠御・螺愚喇の眼前に飛び降り、彼女と事前に打ち合わせたプランを繰り出します。

「カルティーチェ、例の作戦でいきますわ」

作戦事態はとても単純。
わたくしの【人の身に余る火砲】を二人に増えた彼女と体力を温存し真の姿で強化したわたくしが反動を抑え込み零距離で2回攻撃いたします。

こいつを無事に倒せたらUDC組織に石を回収させるよう伝えないといけませんね。


枯井戸・マックス
「お前さんも訳ありらしいが、俺からの答えは1つ。知ったことか」
プロとしてUDC、オブリビオンに情けをかけるつもりはない。
それに接客以外で身の上相談に乗ってやるほど俺は優しくないんでね 。

「配ってる石が遺物なら回収しようと思ったが体の欠片とはな、とんだ骨折り損だ。さっさと終わらせるぜ?…来たれ、サモンアーマー!」
無数の遺物を召喚し、山羊座の鎧として体の上で組み上げる。
頭部に山羊の大角を召喚して装備完了。

「奇遇だな、俺も瞬間移動の心得があってね。見切れるかな?」
触媒道具と召喚術の応用で空間を繋げ、四方八方から鎧無視攻撃、衝撃波、風の属性攻撃を纏った連続キックを繰り出す。

アドリブ、連携も大歓迎。


アレクシア・アークライト
 本当に反吐が出る。
 無自覚なまま人を食らうのを見て、笑っていたのだろう。
 今こうして私達が戦っているのを見て、笑っているのだろう。
 いや、邪神は私達のことなんて認識すらしていないのかもしれない。
 でもだからこそ、救いがあってほしい。

 分かっている。こんなのは心の贅肉だってこと。

・念動力で味方をサポート。
・彼が化け物のまま殺されそうになったら、その攻撃を弾く。

「さっき、“友達がいるかもしれないところ”なんて言ったけど、撤回するわ。
 貴方は受け入れなきゃいけない。
 ユージ君が死んだことを。そして、彼は生き返らないということを。
 じゃないと貴方は、永遠に同じことを繰り返す存在になってしまう」


水心子・静柄
どうなるの?って、あなたは過去の存在だから骸の海に帰る事になるわね。あんなに願ったのに友達は戻ってこないの?って、あなたは願うだけで行動を起こしたのかしら?起こしてないなら当然の結果ね。起こしてて戻ってこなかったのなら、あなたに問題があって、それを解決できてなかったんでしょうね。何にせよあなたもあなたの友達も、全て過去のものよ、今更現れたところでどうにもならない…って言っても聞き入れてもらえないわよね。

さてと、治療されるのは厄介だけども友を想う詩を歌っている時がチャンスでもあるわね。素早く近づいて、防御を一切考えない捨て身の一撃の居合を放つわ。


嶋野・輝彦
命は一回こっきりどうにもならんことばっかりよ
それを信じれば?信じていたのに?
そんなもん願いなんて言わねぇんだよ
舐め腐ってんのかお前
「僕は、一体、なんなの……?」
知らねぇよ、バーカ

【捨て身の一撃】【零距離射撃】【鎧無視攻撃】で超接射で攻撃
ダメージに対しては【覚悟】【激痛耐性】で耐える
テレポートは【第六感】で対応
催眠術はまだ使うのか?使って来たら【覚悟】で耐える、それでも足りなきゃ自傷で【覚悟】【激痛耐性】で引っ張られない様にする
こんなガキに言いようになれるなんざまっぴらよ
早く死にかけた方が奥の手、戦場の亡霊のトリガーにもなるしな

お前の理屈じゃ誰も救えねぇよ
しかも他人様巻き込んでんじゃねぇぞゴラァ



「本当に反吐が出るわね」
 真っ先に言葉を吐き捨てたのはアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)だった。目の前の怪物は、無自覚のまま人を喰っていた。そして今も自分がオブリビオンであることに無自覚のまま。無自覚のまま、笑ったり、無邪気に困っている人へ手を差し伸べていることに腹が立った。
(もしかしたら、邪神(カレ)は私達のことなんて敵として認識すらしていないのかもしれない)
 だとしたら、このまま猟兵に一方的に攻撃されたまま終わってしまうだろう。
(それでも……、救いがあってほしいけど……)
 だが、それは都合が良すぎる話だ。ムシの良すぎる話だ。無視できない話だ。
「分かってるわよ、こんなの、心の贅肉よ……」
 小声で彼女は呟いたのち、怪物へ指を指して宣言する。
「さっき、“友達がいるかもしれないところ”なんて言ったけど、撤回するわ。貴方は受け入れなきゃいけない。ユージ君が死んだことを。そして、彼は絶対に生き返らないということを。じゃないと貴方は、永遠に同じことを繰り返す存在になってしまうわ」
「ユージが生き返らないって、そんな、まだ、まだ分からないじゃないか! 僕がい怪物になってしまったぐらいだ、生き返る奇跡だって……」
「ねぇよ、んなもん、最初っからな!」
 嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)が怪物の言葉を遮るようにがなり立てた。
「命は一回こっきりどうにもならんことばっかりよ。それを信じれば? 信じていたのに? そんなもん、願いなんて言わねぇんだよ。舐め腐ってんのかお前? あ゛?」
 怪物の言葉は、嶋野の堪忍袋の緒が切れるのに充分過ぎるものであった。そして、もうひとり、怪物の言葉に不快感を露わにする猟兵がいた。
「さっきから聞いていれば……、勘違いも甚だしいわよ、あなた」
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が険しい表情で怪物に苦言を呈し始めた。
「どうなるの?って、あなたは過去の存在だから骸の海に帰る事になるわね。あんなに願ったのに友達は戻ってこないの?って、あなたは願うだけで行動を起こしたのかしら? 起こしてないなら当然の結果ね。起こしてて戻ってこなかったのなら、あなたに問題があって、それを解決できてなかったんでしょうね。何にせよあなたもあなたの友達も、全て過去のものよ、今更現れたところでどうにもならない…って言っても聞き入れてもらえないわよね」
 怪物は何も言い返せない。押し黙ったまま、何かを堪えるかのように小さく体を震わせていた。
 ここで、遅れて駆け付けた斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)が優しく怪物へ問い掛けた。
「報われずとも待ち続けた。それは素晴らしく、愚かな事です。信じ、願う。それで、貴方は何かを成そうとしたのですか?」
「ユージ……親友を、蘇生させようと……。ユージは、僕の目の前で死んだんだ。酔っ払った運転手が乗ったバイクがユージに突っ込んできて……」
 怪物の話を聞く限り、その親友は理不尽な交通事故に巻き込まれて死んでしまったようだ。斬崎は同情を怪物に向けながら、なおも言葉を継いだ。
「それで、人体組成の禁忌に手を伸ばしてしまったのですか。それでは自業自得ではありませんか。ゆえに、誰の所為ともせず信じ続けた貴方は優しいのでしょう。ですが、その友人は、今の貴方を見てどう思うでしょう。姿ではなく、その行いをです。僕にはわかりません。……ですが、貴方にはわかるのではないですか?」
 怪物は答えない。それに斬崎は首を横に振った。
「……残念ですね。あなたをこれから、討たなければならない事が」
 そこへ、遅れて駆け付けてきた猟兵の姿があった。
「遅れての推参ですいませんが、助太刀させていただきます。メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)と申します。状況は……?」
 カルティーチェ・ルイナ(自己犠牲の悦楽を知る者・f10772)は吐血の影響で青白い顔のままメルフローレへ告げた。
「あぁ~……、死にそう」
 カルティーチェは今、腰砕けになりそうな甘すぎる激痛に蝕まれ、常備している痛み止を飲んでなお足がプルプルしちゃってる。つまり血が足りない。
「既に重傷者が!?」
 驚くクレリックにキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)が、すかさずカルティーチェの言葉の意味を代弁した。
「ああ、すまない。カルティーチェの場合はユーベルコードの代償だ。戦闘の状況は、……と、いった感じだ」
「ありがとうございます。……そうなると、目前の彼の心は邪悪ではないのでしょうけど、ここでオブリビオンを撃破するしか彼を救う方法がないですね」
「そういう事だ、お嬢ちゃん」
 仮面と丸眼鏡の男、枯井戸・マックス(サモナー・ザ・アーティファクト・f03382)がゴキゴキと肩の関節を鳴らしながら怪物を見定める。
「プロとしてUDC、オブリビオンに情けをかけるつもりはない。それに接客以外で身の上相談に乗ってやるほど俺は優しくないんでね。あと……」
 途端に渋い顔付きになると、枯井戸は大きく肺から空気を漏らした。
「配ってる石が呪具のような遺物なら喜んで回収しようと思ったが、まさかこんなきったない体の欠片とはな、とんだ骨折り損だ。もういいだろ、みんな? 言いたいことは全部言ったか?」
 枯井戸が集まった猟兵たちの顔をそれぞれ見渡す。猟兵たちは無言で頷いた。
 奇しくも、ここにはメルフローレ以外の猟兵はこの事件の調査から関わってきた者たちが全員揃っていた。
「よし、なら、さっさと終わらせるぜ? ……来たれ、召喚武装(サモンアーマー)!」
 枯井戸のユーベルコードが、開戦の合図となった。

 枯井戸の呼び声に応じて召喚された無数の遺物が、光を放って山羊座の鎧として体の上で組み上げられてゆく!
『サモン・ゾディアックアーマー! カ! カ! カ! カプリコーン!!』
 額の仮面を顔に装着し、頭部に山羊の大角を召喚して装備すれば、山羊座の鎧騎士が降臨完了だ。
「行くぜっ! とうっ!」
 枯井戸は力任せに怪物を殴り抜いた! 砕かれる岩上の体組織が辺り一面に散らばった。
「私も行きます! えいっ!」
 メルフローレが精一杯力を溜めたメイスの一撃が、怪物の身体にヒビを入れてゆく。鎧砕きの応用だ。
「どけっ! おらぁああっ!!」
 そこへ嶋野がアサルトライフルを構えて接近しながら乱射を開始!
 そのまま超至近距離からマガジンが空になるまで捨て身の銃撃特攻だ!
 鎧無視効果を銃弾に付与しているため、弾丸が全て怪物の体内へめり込んでゆく!
「ちっ、もう弾切れか! おらぁ!!」
 銃身で怪物をぶん殴った嶋野が、もう一挺のアサルトライフルのセーフティーを解除したその時だった。
「あ、ぐっ、畜生ッ! こいつは、催眠術かっ! やめろ、俺はそんなものは見たくねぇ!!」
 ここへきて、怪物がは初めて反撃を行ったのだ!
 トラウマを抉られた嶋野が悶え苦しむ!
「ちょっと、どういうこと?」
 アレクシアが驚き、怪物へ尋ねた。すると怪物は悲嘆に満ちた声で答えた。
「おにいさんやお姉さんたちが言うように、ユージはもう帰ってこない。よく分かったよ、僕が馬鹿だった」
「だったら、もう……!」
「僕だって死にたくないんだ。猟兵が僕を殺すというのなら、僕は猟兵を殺す。いや、殺さなくちゃいけないんだ。僕は……怪物だから! そうしないと、もう、自我が保てないみたいだ……」
 アレクシアは咄嗟に念動力で怪物の感覚器官を破裂させた!
 悲鳴を上げる怪物を一瞥すると、怒りに震えながら声を振り絞る。
「だから心の贅肉だって言ったのよ……」
 それは自分に言い聞かせた言葉だった。
「私は、あなたが怪物ではなく、人間として死ねるようにどうにかできないか考えていたわ。他の猟兵が止めても、それだけの覚悟があったわ。……でも、自分から怪物になる事を厭わないというのなら、話は別よ。あなたは私たちの――世界の敵よ、オブリビオン」
 指鉄砲を構えると、アレクシアは指先に黒いサイキックエナジーを集中させる。そしてそのまま怪物目掛けて射出!
 直撃すると、水風船が破裂するが如く、内部から強酸性粘液とともに体組織が爆発した!
「みんな、続けて!」
 アレクシアの言葉に猟兵たちが再度動きだす
「ユージ、ごめん、ごめんね……!」
 死んだ友を想う詩を詠み、怪物の身体が修復されてゆく。
 そして猟兵たちに襲い掛かる精神汚染という名の催眠術! 各々の猟兵のトラウマが抉られる!
「うざいわね、回復だけにとどめておきなさいよ! ハッ!」
 静柄は縮地からの捨て身の居合の一撃を放つ! 火焔の刃紋が怒りに燃え、赤い剣閃の軌跡を描いた!
 右の腕部らしき部位が切り捨てられた。
「喰らい尽くしなさい、呪われし赤。奪い尽くしなさい、無慈悲な雷」
 斬崎は呪詛耐性で催眠術を凌ぐと、ユーベルコード『御し難い暴虐(クリムゾン・レイジ)』を発動。呪われた武具から溢れた赤い雷を纏うと、高速移動と荒れ狂う赤雷の放射で怪物の身体を焼き焦がしてゆく。
「もう一撃、いかがですか?」
 続けざまに振るわれる赤雷が怪物の身体を貫く。生命力が奪われ、焦げた体組織がボロボロと崩れ落ちる。
「おや、瞬間移動はしないのですか?」
 斬崎の言葉に怪物は反論する。
「僕は逃げない。もう守るべき場所は無くても、僕は逃げずに立ち向かう!」
 怪物は身体能力を底上げして斬崎へ殴りかかった! それを軽々と見切って回避すると、キアが高架にフックショットを引っかけてターザンタックル!
「転がっていろ!」
 キアが怪物を足場にして、再び高架の上へ飛び移った。
 いくら身体能力が上といえども、不意を突かれて身動きが出来ない今、猟兵は一気に畳みかける!
「奇遇だな、俺も瞬間移動の心得があってね。見切れるかな?」
 触媒道具と召喚術の応用でワームホールを生成、そこへ枯井戸は蹴りを突っ込むと、怪物の背後の空間から足が飛び出して強かに蹴り込まれた!
「どうしたどうした? タフさが取り柄なんじゃないのか?」
 風属性のキックが放たれるたびに、ランダムに開通するワームホールから衝撃波とともに怪物の固い外皮を無視した魔法攻撃が撃ち込まれてゆく。
 これに嶋野が呼応した。彼は自傷行為によって催眠術から難を逃れていた。
「クソが……。おかげで瀕死じゃねーか。まぁ、そのおかげで呼び出せるんだがな、最強の切り札をな」
 ウォーハンマーを握った嶋野が、ユーベルコードで戦場の亡霊を呼び出す。防衛もウォーハンマーを握り締め、これから殴り殺す相手を見定めていた。
「おい、鎧の奴。お前、右から行けるか? 俺は左と正面から行く」
「ん? 俺と連携攻撃したいのか? しょうがねぇな、あとで俺の淹れたコーヒー、飲みに来いよ?」
 嶋野と亡霊がハンマーを掲げて特攻を仕掛け、枯井戸はワープキックを繰り出すタイミングを見計らう。
「お前の理屈じゃ誰も救えねぇよ! しかも他人様巻き込んでんじゃねぇぞゴラァ!」
 嶋野の怒声に感化されたか、枯井戸も怪物へ言葉を投げかける。
「お前さんも訳ありらしいが、俺から言えることはたったひとつだ」
「奇遇だな、俺もこいつに掛ける言葉はもう、たったひとつだけだ」
 嶋野が枯井戸の隣を走り抜けてゆく。
「なら、一緒に言ってみるか? 多分同じ言葉だと思うんだが」
「オッケー、それじゃあ、いくぜ、3、2、1!」
 嶋野が左から、戦場の亡霊が正面から、そして枯井戸はワームホールキックを右から繰り出す!
「「てめぇの事など知るか、バーカッ!!」」
 3方向からの同時インパクトッ! 外皮に深くヒビが入り、体組織が粉々になって吹っ飛んだ!
 たたらを踏む怪物に、今度は背後から赤雷と赤い剣閃が怪物を刻みながら交差する!
 斬崎と静柄のコンビネーションだ!
「なかなか鋭いですね、その脇差? それにとても美しい……」
「あら、“私”をナンパしても何も出ないわよ?」
 切り刻まれて、怪物は一回り小さくなってしまっていた。
 そこへ今度はメルフローレがアレクシアへ耳打ちをしていた。
「……大丈夫なの、それ?」
「お願いします! 今がチャンスです!」
「分かったわ、怪我しないようにね?」
 アレクシアは剣を握ったメルフローレの身体をサイコキネシスで掴むと、空中でブンブン振り回し始めた。そのまま高く高くメルフローレは空へ舞い上がってゆく。
 これは、人間フレイル! 無敵城塞モードのメルフローレをぶん回す事で遠心力を最大限まで高めたのち、アレクシアは怪物の直上からメルフローレを“投げ付けた”!
「あなたの無念、私は理解はします。同情もできます。でも、それを受けて、なお戦いの手は止めません! 何故から、その友情が誰かを殺すからです!」
 遠心力とサイコキネシスによる投擲によって加速したメルフローレは、全体重を剣に乗せて怪物に深々と突き刺した!
 ここで初めて、強酸性の粘液ではなく、どす黒い鮮血を刀傷から噴き出す怪物!
「剣の先がコアに刺さったわ。誰か、早くトドメを……!」
 透視能力で怪物に致命傷を与えた事を悟ったアレクシアが叫ぶ!
 すると、ワイヤーフックで地面に降り立った猟兵――キアの姿が、見る見るうちに変化してゆくではないか。
「あまりこの姿は晒したくなかったのですけれど……、強くなれるのなら躊躇っている場合ではないわね……」
 瞳の色が赤く染まり、漆黒のベビードル姿へたちまち変化。下腹部に刻まれた蠱惑の呪紋が怪しく輝き、キアの身体が熱く疼き出す。
「さぁ、トドメは真の姿のわたくしがアナタ様を葬り去って差し上げましょう。カルティーチェ、例の作戦でいきますわ」
「は、はい、キアお姉さん!」
 ふらふらのカルティーチェが両手で自分の頬をバシバシ叩いて気合を入れる。
(シオリさんの最期は悲惨でした、過去にあのような目に合った人がいたと思うと、未来にあのような目に合うかもしれない人がいると思うと……)
 ここで悲劇を止めなければ! カルティーチェの胸に使命感の炎が熱く灯る!
「キアお姉さん……、私はまだ動けます……!」
「こいつは絶対に倒しましょう!」
 ユーベルコード『潰えることのない希望への活路』によって、もう強化されたひとりのカルティーチェが召喚される。
 2人のカルティーチェはキアの背中を両手で支え、固定する。
「さぁ、行きますわよ! 主砲、前へ!」
「「うわああああああああっ!!」」
 キアはカルティーチェたちに背中を押され、怪物まで一気に距離を詰める!
 次の瞬間、キアの手元に突然、携行式12cm迫撃砲が二挺出現! ユーベルコード『人の身に余る火砲(ジュウニセンチカンポウ)』、二回攻撃バージョン!
 それをほぼ密着状態で怪物に砲口を向けて言い放った。
「撃つとわたくしも吹き飛びますけど……、アナタ様は吹き飛ぶ程度ではすみませんわよ?」
 死の恐怖を覚えた怪物は何かを言おうと声を発したが、その刹那、砲口から放たれた爆炎がその身を貫いた。
「もういっぱぁぁぁぁぁぁぁつっ!」
 カルティーチェたちの支えがあれど後方へ吹っ飛ぶキアがすかさず二挺目の携行式12cm迫撃砲のトリガーを引き絞る!
 赤と白の光の塊が怪物に直撃すると、高架下は辺り一面爆炎に包まれた。
 吹っ飛ばされたキアとカルティーチェたち、そして猟兵たちは黒煙立ち込める着弾点を注視する。
 並々ならぬ破壊力はクレーターを形成し、怪物の体組織を片っ端から吹き飛ばしてしまっていることを目視することが出来た。
「……終わりましたわね。カルティーチェ、ご苦労様」
 キアは妖艶な姿のまま2人のカルティーチェを抱きしめる。
「「わ、私は、キアお姉さんのお役にな手たのなら、光栄です……!」」
 2人は声をシンクロさせながら、顔を真っ赤にして照れまくっていた。

 派手に周囲に響いた爆発音は、ガス爆発という事でUDC組織が処理してくれた、とアレクシアが猟兵たちへ報告した。
「さて、組織の報告は終わったし、帰るか」
 嶋野がダルそうに欠伸をしながら踵を返した。
 そこへ変身を解いた枯井戸がドヤ顔で猟兵たちに告げる。
「だったら、俺の店でコーヒー飲まないか? 実はすぐ近くなんだぜ? このまま祝勝会を洒落込もうじゃないか」
「コーヒーですか。いいですね。お邪魔しても?」
 斬崎が話に乗っかると、他の猟兵たちも興味を示し始めた。

 友情の絆をめぐる邪神復活の事件は、新たな猟兵たちの絆によって打ち砕かれたのだった。
 これからも、UDCアースの平和を極秘裏に猟兵たちは護ってゆくことになるだろう。
 こうして今日、出会えた絆が、後々の最大の武器になると信じて、彼らは今日も戦う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト