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CRY on your smile

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ずっと隠しながら行っていたこと。何年も、いやそれ以上も続いていた。緻密に練られている計画でも、何度も続けていればどこかにミスがある。
 絶対に知られない、隠し通す事など絶対できないのだ。それが、自分たちが支配する世界であってもだ。

 その若い村人はわずかに晴れた時間を使って農作業に励んでいたが、闇が訪れる前に作業を終わらせられずにいた。
 この辺りを徘徊する魔獣が近づいてこないか気を張り巡らせて作業を続けていたその時。魔獣らしき足音がした。すぐに木でできた壁の後ろに身を隠す若者。
 数は10匹程度か。だが自分に気が付いた様子ではないようだ。若者が壁の隙間から向こう側をうかがうと。狼のような魔獣に囲まれ、一人の少女が歩いているのが見えた。
 後ろ姿でもはっきり断定できる。隣家の2番目の娘だ。
「おい!どこ行くんだ!」
 思わず声をかけて、直後にしまったと気が付く。とっさに逃げ出すが、魔獣の方が脚が速い。たちまち追いつかれ、腕を、頭を、ふくらはぎを、首を噛み切られる。
 だが、声をかけられた少女は見知った人が襲われて殺されたのに見てもいなかった。一顧だにしなかったといっていい。魔獣たちに護衛されながら、ゆっくりと歩き続けていた。

「皆さま、お集まりくださりありがとうございます。ダークセイヴァーにおいて潜伏したオブリビオンの居場所を突き止めるチャンスを確認しました。」
 スペースノイドのシャーマンであるデナーリスが、事件の概要を告げる。
 オブリビオンに支配された夜と闇の世界、「ダークセイヴァー」。圧政からの反撃のため、猟兵たちの力が求められている。

「オブリビオンの領主による暴政により、棄てられた村があります。その廃墟となった村に魔獣が住み着いています。」
 今でこそ廃墟周辺に留まっているが、なにかのきっかけで人のいる村を襲うかもしれない。
「魔獣たちは定期的に移動を繰り返しているので、可能性は高いのです。まず、この脅威を排除してください。」

 デナーリスは端末の内容を拡大して空中に投影する。廃墟となった村の地図が映る。
 中央に集会所。北西側の坂の上に食糧庫。さらにその北側は急な崖のある山となっており、村は山を背にしている。食糧庫と逆サイドに見張り台。南側には木製の門がある。もはや鍵はなく、開け放たれている。
「我々が知る狼は集団行動を好みますが、あの狼に似た魔獣も同様の性質を持つようです。数はすべてで10数匹。なにかの命令を受けているのか、数匹が決まった場所を巡回しています。」
 巡回コースを把握することができれば、罠や仕掛けで数を減らしておけそうだ。
 さらに、見た目のイメージに反して探知能力はそれほど高くない。居場所を特定できれば先制攻撃も容易だろう。
「戦闘に入っても魔獣を見下ろす位置を確保していれば有利に戦えます。」
 デナーリスは地図に赤い印をつける。
「村の北東にある見張り台。ここからは村の全てが見渡せます。あとはここの食糧庫手前の急な上り坂。迎え撃つには最適です。道の両側には石でできた壁があるので、そうそう囲まれません。」
 魔獣は単体であれば猟兵にとって恐れるほどの戦闘力ではない。どう優位性を確保するかだ。

「ですが、私が見た予知は魔獣の被害を主軸とするものではございません。さっき、なにかの命令を受けているようだ、と言いましたよね。」
 デナーリスは続ける。
「魔獣の先導で一人の女の子が非常に新しい階段を降りていくのが見えました。放棄されて数年経っている村に新品の階段。違和感を強く感じました。」
 デナーリスは思い起こすようにゆっくりと話す。周辺地域一帯を管理するヴァンパイアの領主は十年近く住民に目撃されていない。それとの結びつきを考えているのだ。
「潜伏しているヴァンパイアは発見が困難です。これは領主の居場所を突き止めて倒すチャンスだと思っています。」
 もちろん、領主を倒せたとしても世界の問題が解決するわけではない。だが状況は確実に一歩進む。
 デナーリスは手にした端末を閉じ、そして深々と頭を下げる。
「来るべき未来を守り、世界に生きる人々に取り戻せるかは皆さま次第です。どうかよろしくお願いいたします。」
 そう言って送り出すのだった。


神田愛里
 こんにちは、神田愛里と申します。

 今回は「ダークセイヴァー」世界で、ある村とその周囲にある脅威を排除するシナリオになります。
 残念ながらOPに出てくる若者は助かりません。
 転移先は人の住んでない廃墟の村の側です。魔獣を倒し、人の住んでいる村に行かないようにしてください。

 その他詳細はオープニングにて確認をお願い致します。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『廃墟の魔獣』

POW   :    魔獣の痕跡から居場所を特定する

SPD   :    罠や仕掛けを用意して設置する

WIZ   :    地形や建物を調べて戦闘しやすい場所を探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鏡磨・シロミ
──最初から戦いの気配を強く感じるね。
警戒度を引き上げて取り掛かろう。

【WIZ】
『目立たない』『ダッシュ』を用い、『第六感』と『情報収集』で村の周囲を探索。
一対多を強いられるようなことがない様な、身を隠しつつ戦闘する上で適した場所を探しそこに潜伏するよ。
もし戦闘になった場合、遠方に現れる敵は【集光術・光の鏃】を発動して射抜き、接近を許した個体は『なぎ払い』と『2回攻撃』を用いた上で鏡月(なぎなた)で対処。
群れでやってくる様が見えたならば、『なぎ払い』を用いて【集光術・光の鏃】を発動し、遠方から一掃を試みるよ。

狼の統率力は舐めると命を落としかねないから、戦う際は細心の注意を払うよ。



ダークセイヴァーは夜に包まれた世界。別の世界の人間が時間と天気から想定するのはよく晴れた昼間のはずだが、此処はまるで夜更けのようだった。
 その闇の中に一点だけ、ぽつんと純白があった。鏡磨・シロミ、その人である。
 シロミは廃墟の村の周辺から身を隠せそうな場所を探し、そこから別の身を隠せる場所へダッシュを繰り返しながら移動していた。いくつかの点と点を駆け抜けると、身を隠せる深さの窪みを見つけ、そこに身を潜めた。

 一度、深く息を吐いてから辺りを見回す。見た目こそ若い女の子だが、周りを警戒するその目つきは多くの経験を伺わせる。
 (狼のように見える魔獣が三体。巡回中なのか、こっちに近づくのが一体、離れたところに別の方向を警戒してて動いてないのが二体。)
 先に排除しておけば村の中に入れる、そう判断したシロミはパッと飛び出すと鏡月を構える。刃に白い肌が映ったその瞬間、魔獣は声も出せずに倒れる。

 夜更けのような暗い中でも光は無いわけではない。鏡に光が集まっていく。
 シュン!
 細い細い光の筋が横に払われると、二匹の魔獣も横倒しになってそれ以上動くことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュトフテア・ラルカ
私にできることを、するだけなのです。罠を仕掛けたりは知識のない身でやっても効果は得られないでしょうし…。【学習力】を活かして地形の把握を走り回って行うのです。地形を把握して戦いやすくできれば遠くから狙い撃つこともできるですし。できるだけ詳しくマッピングを行い、他の猟兵の方に情報を共有するのです。何か私では気づけ無いことにも気づいてくれるかもなのです。手早く、慎重に。慣れない世界なのですから気を回しすぎるくらいでちょうどいいのです。


ナーシャ・シャワーズ
ふむ、魔獣に命令するモノ、か。
予知で見たっていう女がカギになるってことだな。
どんな結末が待っているかは知らんが
そこにたどり着く為にも、まずは邪魔な奴らから排除するとしよう。

決まった場所を巡回しているってんなら話は早い
まずはそのルートを探ろう。
高所を確保するのにそう苦労はせんようだし
ワイヤーガンも使って効率よくいこう。

ルートを確認し、トラップの設置場所を決めたら
スペースサーファーで手早く仕掛けに回る。
とはいえ私はこういう細かい奴は本職ではないんだが…
まあ、話の通りならそんなに複雑な奴にする必要はないだろう。

あとは目立たんところで待機して
音の出ないソウル・ガンで仕留めきれなかった奴を討てばいい。


シノギ・リンダリンダリンダ
この世界のこの雰囲気は、好きになれませんね。
早急な解決をしたいものです。

とりあえず、北側にあるという山を見に行きましょう。
普通に前方から潜入する他の方々が多いでしょうし、挟み撃ちの形にできるならより戦いやすいでしょう。
崖から飛び降りたりできるか、山から村の見晴らしはどうか。
そして、できるなら山から村の全体像を見たいですね。
魔獣の動きも見えるでしょう。見たものは、私のなけなしの【学習力】で頭にとどめておきましょう。
相手側の元凶がなにも見えないのは不気味ですが……まずはできる事を、ですね。



村の近く。ナーシャ・シャワーズは明確な目的をもって動こうとしていた。魔獣の巡回ルートを探るために見晴らしのよい高所を見つけようと。
 右腕の腕輪からワイヤーが放たれ、見張り台の欄干に巻き付く。そのままワイヤーは腕輪に巻き取られ、彼女はたやすく見張り台に登る。
 闇に包まれているとはいえ、下はよく見える。何匹かの狼に似た魔獣が動いてるのがわかる。ここならルートを確認できるだろう。
 だが。見渡すうちに山の方に何かいると気が付いた。

 シノギ・リンダリンダリンダは北側にある山の斜面にいた。ここも村を一望できる。彼女もまた、高所から村の全体像、そして魔獣の動きを把握しようとしていた。
 彼女はこの世界特有の雰囲気を好きではない。ゆえに事態を解決させる最短の道筋を探っていたのだ。

 すると、すぐ横の岩にワイヤーが張られ、ナーシャが近づいてきた。この世界のどの人とも違う雰囲気。猟兵なのはすぐわかる。しかも。
 (おお、これは本物の宇宙海賊ですね…)
 シノギのまじまじと見つめる視線に疑問を抱きながら、ナーシャは情報の共有を行う。ナーシャにとっても、手っ取り早い方がいいのだ。
 シノギはなけなしの学習力で把握した魔獣のルートを教える。二人の情報がマッチングする箇所はほぼ確定と考えていい。
 それと、最初から山に向かっていたシノギはナーシャより長い時間にわたって観察しており、もう一つ大きな情報を持っていた。

 シュトフテア・ラルカは村の周辺を走り回りながら探索していた。
 地図にはいくつもの書き込みがあった。彼女のマッピングは他の人が見てすぐにわかるような書かれ方をしていた。それは他の猟兵の方に情報を共有する時を考えての行動だ。
 それでいて手早く、慎重に。地図への書き込みはどんどん増えていく。
 だが突然。びっくりして足を止める。上の方から声をかけられたのだ。
 ナーシャの宇宙バイク、スペースサーファーだ。シノギからは探索しているシュトフテアが見えており、三人の情報をまとめようとしたのだ。

 シュトフテアの地図にナーシャとシノギが見てきた魔獣のルートがさらに追加される。魔獣が建物の角を曲がったその先など、シュトフテアから見て気が付かないことが他の二人が上から見た魔獣の動きで補完される。
 反対に、ナーシャとシノギの両名が見てきたルートがシュトフテアが持っている地図に書かれることにより強い具体性を持つようになった。
 
 まずはできる事を。シノギとシュトフテアの提案でナーシャが宇宙バイクを走らせ、手早くトラップを仕掛けにいく。ルートはかなり正確に把握できているのだから、成果はすぐ現れる。
 シュトフテアがスイッチを押すと、魔獣の数体が静かに吹き飛ぶ。まだ生きてるのがいればソウル・ガンを構えたナーシャが素早くとどめをさした。
 時間こそ少々かかったが、一切のダメージを受けることなく、三人は村の内部に入り込めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ライヴァルト・ナトゥア
POW、技能:追跡、情報収集、撮影を使います

【獣人同盟】で参加

(エウトティアに応えて)
そうだな。出来ることからコツコツと。そういう考え方、兄ちゃん好きだぞ。
(足跡を見つけたところは撮影して、その地点と、新しさからどの順番で巡回してるのかを推し量る。ある程度情報が集まったらスピ、ティアと情報共有。他の猟兵との折衝はティアに任せる)
さてと、拠点まで割り出せれば万々歳なんだけどな。
(地図を広げて、簡単に情報を書き込んでいく。それに法則性、特に全ての組が集中して通っている箇所があればそこに目星をつける)
手下がやられて出て来てくれるようなら楽なんだけどねぇ。そうじゃないなら、こっちからカチこむしかないか


エウトティア・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

WIZを使用

この世界はいつも殺伐としているのう…
まあ、ぼやいても仕方ないの、わしらに出来る事をやるのじゃ

(味方の猟兵から情報を入手)
今回は、皆との連携が重要そうじゃな
まずは、他の猟兵との情報共有をするのがよいじゃろ
いくさ場を選ぶにしても、敵の情報は必須じゃからの

(情報入手後)
さて、情報も得たことじゃし、狼の群れを呼び出すのじゃ
わしの「野生の勘」で大体の見当をつけ、狼の嗅覚・聴覚を頼りに敵に気取らぬよう罠を仕掛けるに相応しい場所を探し、「動物と話す」で情報を得るかの

首尾よく情報を入手できたら、狼に手紙を持たせ皆と情報の共有をするのじゃ。


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

私は罠を用意して魔獣たちを待ち受けるとしましょう
「私は専門家ではないので複雑な罠を仕掛けることはできません。だからこそ、最小の労力で最大の成果を狙ってみることにします」
昔遊んだホラーゲームから着想を得て、着火すると爆発するドラム缶……いえ、ここはダークセイヴァーの世界に合わせて樽を用意させてもらいましょう
お兄様とお姉様のおかげで、魔獣の巡回コースの把握はバッチリです
可燃性のガスが入った樽を設置して、魔獣が近づいてきたら遠距離から火矢による【スナイパー】で着火するとしましょう
「なにが狙いかは知りませんが、私たち兄妹の目についたのが運の尽きです。滅ぼしてさしあげましょう!」


皐月・灯
こっちも数を揃えて挑むってのもひとつの手だが…。
まあ、いざってときに不意を打たれちゃ笑い話にもならねー。

オレは周囲の建物や地形を調べて、戦いやすい場所を探すぜ。
たとえば、最初にデナーリスが挙げてる、食料庫前の左右を壁に挟まれた上り坂。
そこへ連中を誘い込むためのルートを確保しておくんだ。
途中にヤツらが飛び出してこれる獣道がねーか、とかな。

あとは後々のヴァンパイア戦を視野に入れて、
村に被害が及ばず、かつオレ達が全力でやれるような広場もいくつか見つけておくぜ。



夜に包まれた世界。長身の若い男が闇の中を進んでいる。視線の前方には一匹の魔獣。気づかれないように後を追跡しているのだ。
 男は名前をライヴァルト・ナトゥアといった。どこか穏やかな表情ではあるが、目つきは真剣だった。
 魔獣の後を追跡し、そこからコースを把握するか、足跡を撮影し、その地点と地面に残る新しさから巡回の順番を推測する。小さな情報を積み重ねる大事さを彼は理解していた。

 一方、エウトティア・ナトゥアは皐月・灯と接触していた。といっても、この世界はいつも殺伐としているのう…と一人でブツブツぼやいてるところに声をかけられたのだが。
 灯はすでに敵との戦いに考えを巡らせていた。建物や地形を調べて、より戦いに適した場所や複数の敵を誘い込んで撃破できる場所を探していたのだった。
 鍛錬を重ねた彼の知見は、食料庫前の左右を壁に挟まれた上り坂を最適な解としていた。その観点はエウトティアには無く、感心する。
 感心しつつも、エウトティアはさらに一つ情報を上乗せすればより良い結果を導けると考えた。

 エウトティアが振り返ると、いつの間にか狼の群れがそこにいた。灯は狼に驚くも、それは魔獣ではない。彼女が呼び出したものだ。
「いくさ場を選ぶにしても、敵の情報は必須じゃからの」
 エウトティアの合図で狼が方々に向かって走り出す。群狼による情報の狩猟だ。エウトティアの勘で目星をつけた個所に、狼がその嗅覚や聴覚を頼りに罠を仕掛けるに相応しい場所を探しだす。

「そうだな。出来ることからコツコツと。そういう考え方、兄ちゃん好きだぞ。」
 狼に持たせた手紙を受け取り、二人と合流したライヴァルトはそう言ってエウトティアを褒める。
 ライヴァルトは地図を広げて手早く追記していく。彼が調べた魔獣の巡回ルート。灯があたりをつけた戦闘に最適なポイント。そしてエウトティアが狼を使って探した罠を仕掛けるポイント。彼は確証を得る。これだけあれば十分だと。

「私は専門家ではないので複雑な罠を仕掛けることはできません。だからこそ、最小の労力で最大の成果を狙ってみることにします」
 そこに自分の身長に比べてずいぶんと大きな樽を背負ったスピレイル・ナトゥアが現れる。昔遊んだホラーゲームから着想を得た、着火すると爆発する可燃性のガスが入った樽の罠だ。
 そこら辺にドラム缶が転がっているのだが、わざわざ樽を選んできたのは彼女なりのこだわりがあるのだろう。
 スピレイルは兄の作った地図を手に、姉が印をつけた場所である上り坂の手前に樽を運ぶ。巡回するコースは把握している。あとは時間まで隠れていればいい。

 十数分後。やがて狼のような魔獣が歩いてくる。その数は五匹。樽を見つけるといぶかしみ、樽の周囲を取り囲む。そこに飛び込んでくる火矢の一本。スピレイルが樽を狙い撃ったのだ。
 ドオォォォォン!
 詰められていたガスに火が付き、爆音をあげて吹き飛ぶ魔獣たち。三匹はその場で絶命するも、火に包まれてもまだ健在である二匹が逃げ出す。だが魔獣も火を嫌うのか。樽とは反対の方向に逃げ出す。
 樽のあった場所は左右に壁があり、魔獣は自由に走れる上り坂を駆け上がる。当然ながらそこには灯が待ち伏せており、一瞬で残りの二匹も闇の中に散る。

「なにが狙いかは知りませんが、私たち兄妹の目についたのが運の尽きです。滅ぼしてさしあげましょう!」
 スピレイルは村の入り口に向かって走り出し、灯も続いて走りだす。おい、むやみに突っ込んでは危ないとライヴァルトが釘をさす。
「もう敵に気づかれるだろうし、いざってときに不意を打たれちゃ笑い話にもならねー。オレ達が全力でやれるような広場はもう見つけてんだ。子供扱いすんなよな。」
 灯はそう切り返すとスピレイルを追っていく。こっちからカチこむしかないかとあきらめたライヴァルトは左手をぐっと握りしめるとエウトティアと共に二人の後に続いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ヴァンパイアの夜会』

POW   :    真っ正面から敵に戦いを挑んだり建物等を破壊してまわる。

SPD   :    罠の設置や先回りして生贄のダッシュを行います。

WIZ   :    変装して侵入し話術によって敵を撹乱します。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵たちは一匹の魔獣に先導された背の低い少女を見つけた。ブロンドの髪をした少女は導かれるままに建物に入り、階段を降りていく。あとに続く猟兵たち。
 守衛に相当する敵はいなかったが、それは最初から見つかってしまうと考えてないから置いてなかったか。それとも何かの罠か。

 細い地下通路の先に男女の談笑する声が聞こえる。ヴァンパイアたちが集会を行っているのだ。
 彼らの中には挨拶して回っているのもいる。この集会は開かれる感覚が長く、新顔が多数混ざるようだ。
 正面からの戦闘や罠によって敵のせん滅を図る方法もあるが、何気なく彼らの集会に混ざり会話から情報を引き出せるかもしれない。バレなければ。

 上座の席にヴァンパイアの男が座っている。彼が目上に思えるが、もし領主であればヴァンパイアたちを束ねる実力が必要なはずなのに、強者特有の力の重圧を彼からは感じない。
鏡磨・シロミ
──ただ一言に、不気味。
相手のテリトリーに入り込んでいることを踏まえ、慎重に動くよ。

【WIZ】
夜会を楽しんでいるのかな。
なら、最期を迎える前に華でも添えてあげようか。

『変装』を使用してヴァンパイア達の輪に加わり、そこから更に『歌唱』を用いてその場の皆に私の得意な歌を披露。
関心を上手く引くことが出来たら『情報収集』を駆使して敵の持ってる情報を引き出す。
『見切り』で引き出した情報の真贋を見極めてから、それを元に虚偽の情報を流して撹乱するよ。

とにかく怪しい行動は控えるべき。
変装するからには、しっかり成りきるよ。



「記念すべきこの日に乾杯!やっとですなあ。」
「……これで一安心。ということですよね。」
 鏡磨・シロミはヴァンパイア達雑談の輪に加わり、適当に相槌をうっていた。
 自然すぎるほど自然な変装だ。その秘訣は肌色にあった。極端なまでに白い肌。白亜の像の如き清らかさを感じさせる風貌であったが、そこから変装で血色をなくせばそれこそ本当に像のようで人には見えないからだ。
 笑顔は見せているがシロミは言いようのない不気味さを場に感じていた。早く何らかの情報をつかんでこの場を去りたかった。

 上座の男はご機嫌だ。褒美はやるから何か芸の一つもないのか、と騒いでいる。
「……私が歌うから」
 嫌悪感を胸にシロミは中央の舞台に上がる。
 (最期を迎える前に華でも添えてあげようか)
 会話は受け答えが遅くとも、歌声は声量高く、澄んでいた。伝わる心地よさは、雑談をしている者も話を止め、聞き入っていた。
 上座の男はあの娘は誰だろうと一瞬思ったが、誰かの従者なのだろうと気にしなかった。歌が終わり、拍手がシロミを包む。
 素晴らしい、と手を叩き、金のネックレスをシロミに渡す。
「ありがとう…ついでにいいかな……なんでそんなにご機嫌?」
 彼らが何かを祝っているのはわかった。何かの内容をシロミは引き出したかった。
「お前は聞かされてないのだな。"媒体"がやっと手に入り、我らの盟主が人の姿を得てお戻りになられるのだ。」
 媒体?シロミは考えたが、嘘を言っているとは思えなかった。しかし媒体の事まで聞くと何も知らないと疑われそうで聞けずにいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エウトティア・ナトゥア
WIZ変装して侵入し話術によって敵を撹乱します
【獣人同盟】で参加します

猫耳ヴァンパイアに変装して、集会に潜入し情報収集します。

(技能「迷彩」「聞き耳」「地形の利用」「忍び足」使用)
フリフリの真っ赤なドレスで入場し、目立たない場所で壁の花になるかのう。
「その歳でよくやるのじゃ…」とスピレイルを呆れて見やりながら、
気のないふりをしながらスピレイルの後を着いて回って、聞き耳を立てて情報収集するのじゃ。

例のブロンド髪の少女には、念の為、風の精霊をつかせておくかのう。

情報が入手できたら、風の精に声を運んで貰って、収集した情報を他の猟兵と共有するのじゃ。


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

猫耳ヴァンパイアさんに変装して、集会をまわって情報を集めます
愛玩動物チックなかわいさを重視した黒のドレスで、猫耳をふりふりしながら集会の参加者たちを【誘惑】します
もちろん、【聞き耳】で他のヴァンパイアさんたちの会話を盗み聞くことも忘れません
「その歳でって、お姉様もしてるじゃないですか。お姉様のドレスも凄くかわいらしいです!」
だけど、ヴァンパイアさんの集会に参加するのなんて初めてです
猟兵として世界を回っていると、こんな不思議な体験をする機会もあるのですね
ヴァンパイアらしく、美味しいワインが用意されていたりするんでしょうか?
「いったい誰が本当の領主さんなのでしょうか……?」



パーティ会場に二匹の猫が忍び込む。エウトティア・ナトゥアとスピレイル・ナトゥアの姉妹の変装だ。
 姉のエウトティアはフリフリの真っ赤なドレス、妹のスピレイルは愛玩動物チックなかわいさを重視した黒のドレスと対照的である。

 スピレイルは猫耳をふりふりさせながらかわいらしく参加者と話しながら愛想をとっていく。ヴァンパイアの集会に参加する機会などそうあるものではない。彼女は不思議な体験として楽しんでいた。
 それが自然な笑顔を作り出し、参加者に疑いをもたれなかったのだ。
 テーブルにはいくつもの料理と、酒の瓶が置かれている。彼女はエールの瓶を手に取り、お酌して回る。
 (ヴァンパイアらしく、美味しいワインが用意されていたりするんでしょうか?)
 興味を持っていくつかのテーブルを見回すと、一人のヴァンパイアが赤いグラスを手に取って楽しんでいた。テーブルには瓶ではなく、木の器に赤い液体が満たされて置いてあった。
 とても紅い。あざやかな赤だ。そう、まるで鮮血のように……。
 (あれは無理なのです)
 スピレイルはそれ以上あのテーブルを見ないようにして、ほかのヴァンパイアから話を引き出そうとする。

「その歳でよくやるのじゃ…」
 一方のエウトティアは聞き耳を立てつつ妹を見てつぶやいていた。そもそも同じ歳なのだが。
 呆れているのはこの会場にいるヴァンパイアに対してもだった。おおよそ警戒心というものがない。今まで部外者が入り込んだことなどないのだろう。知らない顔があっても、誰かの関係者であろうと思われているのだ。
 ふわりふわりと風の精がエウトティアに近づいてくる。ブロンド髪の少女は会場を抜けて奥の部屋に連れられたので精霊を召喚して後をつけさせたのだ。
「風の精霊よ、教えておくれ…」
 風の精を手のひらにのせると、見聞きしたものが伝わってくる。いま上座にいる男が少女に黒いローブを被せ、呪文を唱える。たちまち少女の髪色が変わり、何か別の存在、そう、オブリビオンと思える存在に少女の姿のままに変わっていった。

「これはまずいのう…」
 エウトティアはスピレイルの後を追う。
「その歳でって、お姉様もしてるじゃないですか。お姉様のドレスも凄くかわいらしいです!」
 しっかりつぶやきは聞かれていたようだ。そんな無邪気な妹に姉は情報を分け与える。だがスピレイルは笑顔を変えることなく傍らのヴァンパイアに直球の質問をぶつける。
「領主さんにご挨拶したいのですが。いったい誰が領主さんなのでしょうか……?」
 ヴァンパイアはもうすぐお出になられるからしばし待てと返答する。

 姉妹は顔を合わせる。まさか、領主というのは……

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナーシャ・シャワーズ
ふうむ、予知にあった少女に真新しい階段。
手に入った媒体。
そして”これから”現れる領主…

ここまでそろえばまあ、想像するのは簡単だ。
問題は媒体を使えなくしてしまえばそれで問題が解決するのかという事…
ついでに言えばヴァンパイアども全員を相手にする訳にもいくまい。
情報は十分、かな…

領主がこの場に現れる前に奴らを封殺する。
猟兵達に被害が出ないよううまくやらなきゃならんが…
館ごと生き埋めにしてしまおう。

幸いにしてここは廃墟の村。
構造さえ把握してしまえばこの掌で十分に崩せるだろう。


ライヴァルト・ナトゥア
SPD、祈り、追跡、目立たない、聞き耳、第六感、ジャンプ、鍵開け、変装、救助活動、破壊工作、情報収集を使用

さて、妹も頑張っているようだし、俺も少しは働かないとな
(聞き耳、情報収集を使って囚われた人を探し、安全なルートを選定、看守を追跡した後、同僚に変装、交代。鍵開けで牢のカギを外し、救出、身体的に危ない人については救助活動、祈りで治療、後方から指示を出す形をとり、破壊工作で追ってくるものを排除するよう罠を設置)
助けに来たよ。さぁ、この場所から脱出しよう
早く、時は一刻を争う
心配するな。俺が君たちを守ってやる
(罠を見て)
ふふ、ここを通ろうものなら地獄絵図が見れそうだな
実際に見れないのが残念だ



「さて、妹も頑張っているようだし、俺も少しは働かないとな」
 ライヴァルト・ナトゥアは変装してすでに会場に乗り込んでいた。目的は囚われた人を探し救出すること。
 その前に看守らしき人物を探さねばならない。ライヴァルトが会場の中を見渡しているその時、どこか遠くから声がする。
「とおりゃあ!」
 上……?階段を降りたのだからここは廃墟のどこかの建物の地下のはずだ。上の方から声がしたと思うとズシン、と音がして天井が揺れる。

 数分前。ナーシャ・シャワーズは廃墟の集会場にいた。ヴァンパイアを建物ごと生き埋めにしてしまおうと企んでいたのだ。
 その眼には真剣さが宿り、よく床を確認して構造を確認していた。柱も床も古くなり衝撃に耐えられないだろう。ポイントを確認して手を振り上げる。
(領主がこの場に現れる前に奴らを封殺する!)
 その掌には人間とは思えない程のパワーが籠められている。掛け声と共に一打。手ごたえを感じる。もう一打。地面の内側まで衝撃が通っていくのがわかる。
 そして三打目。床、つまり地下の会場の天井は崩れ、会場はパニックとなる。数体のヴァンパイアが崩落した天井の下敷きになったようだ。

 現場は混乱している。好機と判断したライヴァルトは囚われた人を探しに行く。牢のような施設はだいたい奥の生きづらい場所にあるものだ。
 鉄格子のある座敷牢。それを見つけた彼は鍵を手早く開けると手を差し伸べる。
「助けに来たよ。さぁ、この場所から脱出しよう」
 数人の男女が座敷牢から助け出されたが、その中に例のブロンドの少女はいなかった。

 誰かが追手がきた、と悲痛の叫びをあげる。
「心配するな。俺が君たちを守ってやる」
 ライヴァルトは自信があった。予想してすでに罠は仕掛けてあるのだ。
 ナーシャが一人のヴァンパイアにマウントをとって殴り潰している横を彼らは駆け抜ける。
 直後、巨大な爆音。爆炎の罠だ。崩れた天井から炎が噴きあがる。

 もう少しで生き埋めになるところじゃったぞと何処からか聞こえる見知った非難の声をスルーしてライヴァルトは囚われてた人達を先に外へ逃がす。すると。
「やってくれたな!」
 上座にいた男が剣を振りかざし、切りつけてきた。ライヴァルトはすんでのところで躱すも、バランスを崩す。
「伏せな!」
 ナーシャの大声にライヴァルトはそのまま倒れこむ。

 ヒュッと空気が鳴ると、上座の男は横から半分になった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なぜ……長い間忠実にお仕えしていたのに」
 上座の男が半身のまま問う。
『お前はよくやってくれた。我に合う肉体を探してくれたのだからな。だが、とんでもない者を招き入れてしまったな』
 黒いローブに身を包んだ少女は焦点の合わない目で返答する。声は小さい子の声ではなく、もっと年上の女性の声だ。
『聞いたことがある。どこか他の世界からやってきて我らを狩る連中がいると』
 彼女の立場からすれば猟兵たちに潜入されたことでプラスの評価を打ち消してマイナスなのだろう。鎌を一振りすると半身の男は消滅した。
『久しぶりの仕事が使えぬ部下の後始末とはな……我が名はゼラ。月並みなセリフで恐縮だが、ここが君たちの墓場だ」
 黒いローブから禍々しい力を感じる。あのローブこそがオブリビオンだと猟兵たちは確信した。ブロンドの少女を操っているのだ。
ナーシャ・シャワーズ
どうやら相手しなきゃいけないのは一体で済んだようだ。
そしてなるほど…本命のお出ましって奴だ。

悪いが私の墓は数年前に作ったのがあるんでね…
まあ、結局こうして舞い戻ってきたわけだが。
ついでに言えば次に入るやつは銀河の一等地と決めてるんだ。

それにしても大仰な武器を振り回してはいるが…
いや、武器に振り回されているのか?
こっちから当たりにでも行かなきゃかすりもしなさそうだ。

こちとらマゾじゃないんでね。
このスピードと銃で遠くから料理させてもらおう。

しかし本体はローブの方か…
うまいことそっちだけを引きはがせりゃあいいんだがね。
まあ、まずは動きを止める。
お嬢ちゃん、少しばかり痛いのは勘弁してくれよ、っと。



「なるほど、本命のお出ましって奴だ。」
 ナーシャ・シャワーズはどこか飄々とした態度でゼラの前に立ちふさがる。金色のウェーブヘアが自分が叩き壊した天井から入る風で少しだけ揺れる。
「悪いが私の墓は数年前に作ったのがあるんでね…まあ、結局こうして舞い戻ってきたわけだが。」
 自分の事を話してはいるが、目はゼラとの間合いを測っている。靴が床を擦る音。その音がいくつか鳴ると、ゼラが先手をとった。
 少女の体格に不釣り合いな巨大な鎌の切っ先がナーシャを狙う。だが、ナーシャはバックステップで軽くかわす。
「次に入るやつは銀河の一等地と決めてるんだ。ここじゃあない」
 ナーシャは今の一撃で理解した。振りの初動が重い。武器に振り回されているのだ。ゼラは少女の体を操っているが、乗っ取ったばかりで慣れていないと。
 変形させた彼女の宇宙バイク、スペースサーファーにまたがるとアウトレンジからの銃撃を行う。

「お嬢ちゃん、少しばかり痛いのは勘弁してくれよ、っと。」
 ゼラに数発の銃弾がヒットする。のけぞり、身をかがめる。
 バイクに乗りながら続いて放たれる銃撃。だが。ゼラは滑るようにステップし、あるいは鎌で弾を防いだ。
『確かに、我らを狩るとうたうだけの事はあるようだな』

成功 🔵​🔵​🔴​

姫鶴・いろは
「さぁ、最初から全開で行くわ…!」
本体がローブで、女の子は人質ね。難しい相手だわ
大鎌が相手では長い間合いを制するのは厳しい…なら更に遠い間合いからいくべきね!

妖刀・姫鶴を水平構えてユーベルコードの発動
『…~~~♪(今では言葉も分からぬ古い古い童謡を唄い始める)』
そのまま唄いながら戦闘開始、高速移動で多方向から飛ぶ斬撃で斬りつけ眷属やローブを削っていく
そして、遠距離の敵を一掃しようと慟哭を放つ瞬間の隙を狙い、ハングナイフで大鎌を巻き取り拘束を試みる。場合によっては剥ぎ取る事も視野に入れる



(本体がローブで、女の子は人質ね。難しい相手だわ)
 姫鶴・いろはがゼラからは見えぬ遠い位置で考えていた。自分の武器、といっても自分本体であるこの妖刀・姫鶴より大鎌の方がリーチが長い。
 武器そのものに間合いの差があるなら。更に遠い間合いからいくべきと心を決めて走り出す。

 ……りゃんせ……
 どこからか歌のような音が聞こえる。ゼラは警戒して身構える。
 ……てんじーんさーまの
『姿を見せよ!』
 ゼラがいら立って声をあげると、返事代わりに空を切りさく斬撃が返ってきた。鎌を起こし、それを防ぐ。
 だが、まったく別の方向からさらなる斬撃。ローブの二の腕の部分に深い切れ目が入る。
『何だと?!』
 ゼラは驚きを隠せなかった。おそらく、ローブが切れる事態が今までなかったのだろう。驚きのまま、切れた方に振り返る。そこには闇の世界ではほとんど見られない新緑の緑があった。
 ゼラは跳躍し、高速の薙ぎ払い、ベル・クロスを放つ。だが踏み込みが浅く、空をきったのみであった。
 届かぬのなら。ゼラは構えを変える。この動きを見切ったいろはは、ハングナイフのワイヤーを大鎌に巻き付ける。
「全開で行くわ…!」
 お互いに引き合うと、なんと鎌の刃の金属部と柄がすっぽ抜けて離れてしまう。
「これでご自慢の得物はお終いね」
『刃が無い程度でどうということはない!』
 ゼラは強がるが、猟兵たちが有利になったのは明らかだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エウトティア・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

SPDを使用

スピレイル(f06014)に気を取られている隙をつき、狼で奇襲。ローブに限定して攻撃します。

(ぷりぷり怒りながら)
兄様もやる事が大雑把なのじゃ!目の前に瓦礫が落ちて来た時は生きた心地がせなんだわ

スピレイル、この場は頼むのじゃ

「地形の利用」「迷彩」「忍び足」「援護射撃」《巨狼猛襲》使用
スピレイル達に気を取られている隙に「瓦礫」やゴーレムに「紛れて」「忍び足」で死角から急襲するかの
奇襲直前に狼の背から飛びのいて、「破魔」の「祈り」を載せた矢を射て「援護射撃」じゃ
「マニトゥ!あの薄汚いローブをボロ布に変えてやるのじゃ!」


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加
「だけど、大雑把なところもお兄様の魅力だと思うんです!」
とフォローしておきます

「あなたの攻撃は見切りました!」
ゴーレムを前衛にして、少女の30cm以内に近づかないようにしながら精霊印のアサルトライフルで攻撃します
「こういうとき、憑りつかれた少女をビシッとカッコよく助けるのがデキる猟兵の条件なのでしょうが、私には少数を助けるために多数を危険に晒せるほどの自信はありません」
だから、敵の視界をゴーレムで塞ぐようにしながら、私自身も敵の注意を派手に引きつけるとしましょう
「だから、あとはデキる猟兵のお兄様(f00051)とお姉様(f04161)に任せようと思います。あとは任せました!」


ライヴァルト・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

「すまない!ティア!生きてるな?生きてるって言え!」
(と、妹に謝る?)
「ううむ、もう少し爆薬を少なくしておくべきだったな」
(それはそれとして妹はこれくらいなんとかできると信頼はしてる)
「至近距離限定の高速攻撃か。攻めには不得手じゃあないか?その技は」
(ユーベルコードを起動して遠距離から斬撃を放って手数を潰す)
「妹に注意が向くのは兄としては少々複雑だが、せっかく作ってくれた好機だ。活用させてもらうとしよう」
(掃射に合わせ、スピレイルの射線と向かい合わせにならないように、様々な角度から斬撃を叩き込む)
「死神ごときに、スピードで負けてやるわけにはいかないなぁ!」



「すまない!ティア!生きてるな?生きてるって言え!」
 ライヴァルト・ナトゥアは妹のエウトティア・ナトゥアの両肩を掴んで揺さぶりながら謝っていた。エウトティアの金髪から土ぼこりがバサバサと落ちる。
「兄様もやる事が大雑把なのじゃ!目の前に瓦礫が落ちて来た時は生きた心地がせなんだわ!」
 ライヴァルトの爆薬を使った罠でヴァンパイアたちを吹っ飛ばしたはいいが、崩落した天井に生き埋めになりかけていたのだ。ぷりぷりと怒るが、歳が歳だけにかわいいものである。
「ううむ、もう少し爆薬を少なくしておくべきだったな」
「いや、そういう事じゃなくてじゃな……」
「それはそれとして妹はこれくらいなんとかできると……ああっ!」
 二人は気が付く。もう一人の妹はすでに戦っていたのだ。

 土の精霊を宿したゴーレムを20体も召喚させ、スピレイル・ナトゥアはゼラの相手をしていた。
「だけど、大雑把なところもお兄様の魅力だと思うんです!」
 二人の方を見ずにそうフォローする。見たいが見れないのだ。ゼラは小柄な体躯をうまく駆使して突っ込んでくる。彼女だけでは防戦一方であった。
 精霊印の突撃銃(アサルトライフル)を連射する。ゴーレムで視界を塞いではいるが、よく見るとゼラがとりついている少女の目は視点があっていない。オブリビオンだけあって顔の向きさえあっていれば視界が確保できるのか。
「あなたの攻撃は見切りました!」
『そのようには見えぬがな!』
 スピレイルはベル・クロスの間合いである30センチ以内に入らないよう心掛けてはいたが、ゼラの速さがそれを許さなかった。
 柄だけになったとはいえ、オブリビオンが保有する呪われた武器だ。まともにくらえばただでは済まない。その証拠に、スピレイルがギリギリで避けた一撃がゴーレムにあたると、簡単に粉々になった。

 彼女には自信がなかった。少数を助けるために多数を危険に晒せるほどの自信が。だから敵の注意を引き付け、チャンスを作ろうとしていたのだ。
 姉妹の間柄だ。感覚で理解できる。ゴーレムで眼前を塞ぎ、大きく叫ぶ。
「あとは任せました!」
「任された!!」
 ライヴァルトの狼の爪からいくつもの斬撃が放たれる。シリウス・ライセン。彼の左手にある封印を限定解除したのだ。
「せっかく妹が作ってくれた好機だ。活用させてもらうとしよう」
 その斬撃にスピレイルの方に向かっていたゼラは攻撃を中断せざるをえなくなる。
「わしに任せい!マニトゥ!あの薄汚いローブをボロ布に変えてやるのじゃ!」
 巨狼の背に乗ったエウトティアがゼラの死角から急襲を仕掛ける。
『体の方はガラ空きだな……なに?!』
 大鎌の柄でエウトティア自身を打ち払おうとしたゼラだったが、柄が巨狼の背に届くころにはエウトティアはいなかった。狼の背から飛び降りていたのだ。
 ゼラは巨狼の噛みつきを柄で受ける。そこにエウトティアの破魔の力を込めた矢が放たれる。
 巨狼を振り払い、足を滑らすように、普通の人間が取るにはおおよそ無理がある動きで矢をかわす。
「死神ごときに、スピードで負けてやるわけにはいかないなぁ!」
 ライヴァルトの右手と一体化した鎌がさらに畳みかける。連携の取れた攻撃を全て避けきるのは不可能であった。ローブの右脇腹がざっくりと割かれる。

「お兄様!お姉さま!さすがです!」
『あり得ぬ!このような!』
 賛美の喜色を見せるスピレイルとは対照的に、ゼラの無表情な顔からでる声色は苦渋に満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナーシャ・シャワーズ
よう、調子はどうだい?
そろそろその体を諦める気になってきたんじゃないか。
月並みなセリフで悪いが、ここがお前さんの墓場だ、ってね。

おっと、まだこんなに眷属を呼ぶ力が残っていたか。
だが早撃ちには自信があってね。
一発当たれば消えるような奴を掻い潜るのはそう難しい事じゃない。
その隙間を抜けて、ソウル・ガンの魂エネルギーをぶち込んでやろう。
お前さんの魂はこいつに耐えられるか。

あとは動きが止まったところで
ワイヤーガンを射出、ローブを引っぺがして破り捨ててやればいい。

サイズの合わない服を着てたらうまく体が動かんもんだ。
そのお嬢ちゃんはお前さんが思ってたより
いい体と心をしてたらしいな。


彩花・涼
遅ればせながら、戦いに参加させてもらう。オブリビオンをのさばらせるわけには行かないのでな、少女を返してもらう。
黒華・改で【2回攻撃】と【生命力吸収】で、敵の残っている体力を削ぎに行く。
敵の攻撃には黒爪・改で【武器受け】し、【激痛耐性】で耐え凌ぐ。
攻撃が止んだ直後に【ダッシュ】で敵の懐に入り【カウンター】攻撃するぞ。
もう限界だろう、終わりにする。
黒蝶の鎮魂歌を武器に纏わせて【見切り】で敵の動きを見切って斬りつける。

敵を倒したら、少女の容体を見て大丈夫か確認する。



本体ともいえるローブに大きな切れ目を作ってしまったゼラ。
 好機に続けるように追い打つのはナーシャ・シャワーズと彩花・涼の二人だ。
 ナーシャは左腕のソウル・ガンからソウル・エネルギー弾を射出する。真横に飛びのいて躱したゼラは、大量の眷族を召喚する。

 眷族から一斉に放たれる魔力。主に狙われたのは涼の方であった。
 だが、彼女の少年のごとき顔にはまったく苦痛の気配はない。
『効かぬだと!』
 強力なオブリビオンの一斉攻撃を受けて平気なはずはない。涼は魔力の波を武器で受け、表情を崩さず耐えているだけだ。が、ゼラの驚きは大きな隙を作った。
「お前さんの魂はこいつに耐えられるか」
 眷族の攻撃を避けていたナーシャは再びソウル・ガンからソウル・コンフュージョン弾を放つ。今度は胴のど真ん中を撃ちぬいた。ローブの真ん中に大きな穴が開く。
『こんな攻撃!いや、何が……?!』
 魂の混乱により、ゼラの体は棒立ちとなる。当然、歴戦の戦場傭兵である涼が見逃すはずもない。
「オブリビオンをのさばらせるわけには行かないのでな、少女を返してもらう」
 闇に溶け込む黒髪がローブに触れるくらいの距離に飛び込んだ涼は、黒華・改で切り上げる。黒い蝶が、夜に溶け込む。
 ゼラは離れようとするが、涼には完全に動きを見切られている。そして、刃を返してもう一閃。
 バツの字に切り付けられたローブは先ほどからの切れ目と重なり、少女の体が現れるほどに大きく裂ける。ナーシャは吸着機能のあるワイヤーガンでローブをひっかけ、真上に引き剥がす。

 ローブは、闇の世界に残るわずかな光に照らされてふわりと空中を舞う。
「言い返してやるよ。月並みなセリフで悪いが、ここがお前さんの墓場だ」
 ソウル・エネルギー弾が真上に放たれると、さらに大きな穴が開いた。
『勝ったと思うのは早いぞ!我が本体はここにはない!次に出会う時こそ本当に……きっ』
 全てを言わせる前に涼がローブを両断すると、蝶に囲まれながら砂のように消えていった。
「強い相手なら再戦は歓迎。だが次はしっかり黄泉の国に還してやる」
 黒華・改を鞘に納め、涼は憑依されていたブロンドの少女を助け起こす。
 あれだけの戦闘にもかかわらず、傷一つ無い。オブリビオンの強固なローブは彼女の体を完全に保護していたのだ。

「セラ!」
 完全に崩れてしまった地下の館を出ると走り寄ってくる男女の姿があった。猟兵たちはちょっと驚いてしまったが、どうやらセラはこのブロンドの少女の名前のようだ。中年の男女に若い男性。いずれも髪はブロンドで、彼女の家族だろう。
「よく無事で帰ってきてくれた!」
「お母さん心配で心配で……」
 みんなして泣きながら少女を抱きしめる。でも少女は今まで何があったのか理解していないのだろう。三人の泣き顔の下でただ笑っているだけだった。
 にこやかで純粋な笑顔。それはダークセイヴァーと呼ばれるこの闇の世界の行く道を表していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト