夜の水族館と夜会と……おみやげ?
●
夜の海は夜の会。
夜の海を楽しめば、夜会へ誘われる。
そこで永遠に楽しめばいい。
その力を邪神の贄にしよう。
そんな邪神教団の目論見は、核にしたUDCによって崩れた。
時間止まったら、自分達が食べてもらえないじゃない。
断固拒否!
食べてもらうために、なんとかしちゃうんだからね!
●
「夜の、水族館ー……お好きでしょうかー……」
くらげのぬいぐるみを持った澪が、話し出す。
「呪詛型UDCが現れるのでー……解決に力を貸して、いただきたいの、ですよー……」
今回の舞台はとある水族館。
「ナイトアクアリウム、と言ってー……夜間楽しめる、水族館のイベントがありますー……呪詛を皆さんに集めるため、ぜひ満喫して、くださいねー……」
薄暗い館内は昼に見るのとは、また違った風情を楽しめる。
うっすら照らされた水槽やプールはどこか不思議な感覚かもしれない。
普段ショーを行うイルカやアシカなどが休むスペースにいるのも見られるらしい。
特にその水族館ではくらげの展示スペースが凄い。
巨大な水槽に浮かぶくらげや、くらげが触れるコーナー、照明を使った色とりどりのくらげが見れたりするそうだ。
出口付近には売店もあるので、おみやげも買ってもいいかもしれない。
「楽しみますと、ですねー……出口のゲート潜ると、ドレスコードが仮面、の夜会に招待されますー……」
ドレスやタキシード、着物などの正装で食事したり踊ったり食べたりする、あの夜会。
しかも仮面をつけなくてはならない。
「あ、仮面は、何故か勝手につけてるそうですよー……人によっては、別の格好に、着替えさせられてる、かもしれませんねー……」
いつもの格好の人もいれば、正装している人もいたらしい。
会場では、仮面さえ付けていれば特に気にされない。
「で、ですねー……その夜会、時間が止まった感じなんですよー……」
18時の夜会に招かれるが、どれだけ踊ろうが食べようが、特定の行動を取らなければ時間が進まない。
会場の大広間からは出られるし、ネットを使うこともできる。
けれど夜会が行われている洋館から脱出することはできない。
窓から出ても、ドアから出ても、建物に戻されてしまう。
「夜会で、一言でもいいので、終了時のお土産の、情報集めるとー……時間がすすみますー……」
時間が進み、0時になればこの呪詛の元になっているオブリビオン達が現れる。
「詳細、は、わかりませんがー……集団で、くるみたい、ですー……」
それ等を倒せば解放されるはずだ。
転移したときの格好と持ち物で、水族館の出口に戻れる。
「水族館も、夜会もー……良ければ楽しんで、一般の方が巻き込まれないようー……よろしく、お願いします、ねー……」
水族館のチケット差し出し、一音謳って。
夜の海への道を紡ぐのだった。
霧野
くらげが好きです。ぷるるんとしたあの触感も。
よろしくお願いします。霧野です。
UDCアースで、夜の水族館楽しんで、夜会で情報収集して、集団戦を行う。
そんなシナリオです。
皆様のプレイング、お待ちしております。
●シナリオについて
基本ほのぼの、場合によってはコミカルな雰囲気になるかと思います。
一章:夜の水族館を楽しんでください。
あまり大騒ぎはできませんが、水槽を眺めたり、くらげに触ったり、おみやげ買ったりできます。
日常です。
二章:夜会に飛ばされます。
仮面や服装の希望がありましたら、プレイングに書いていただいて構いません。
お任せいただくと、こう、正装系の服装を考えます。
最後に一言でいいので、「夜会終了時に渡されるおみやげ」の情報を集めてください。
探検です。
三章:集団戦です。詳細は断章にて。
●複数人で参加される方へ
どなたかとご一緒に参加される場合、プレイングに「お相手の呼び名(ID)」を。
グループ参加を希望の場合は【グループ名】をご記入いただけると、助かります。
●アドリブ・絡みの有無について
勝手に連携していただいたり、アドリブを加えさせていただくことがあります。
以下の記号はプレイングの文字数削減としてプレイングの頭にご利用下さい。
◎ アドリブ歓迎・絡み歓迎。
△ アドリブ歓迎・絡みNG。
× アドリブNG・絡みNG。
第1章 日常
『たのしい水族館』
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POW : お土産をたくさん買う
SPD : 魚をいっぱい見る
WIZ : イルカやアシカなどのショーを楽しむ
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●夜の水族館
水族館にチケットで入れば、そこは夜の海。
青く暗い館内で泳ぐ魚や、休む動物。
色とりどり照らされたくらげ達。
猟兵は各々楽しむことにした。
ジノーヴィー・マルス
◎
夜の水族館、ね。中々経験がないな……まぁ、忘れちまっただけかも知れないがね。
せっかく来た事だし、魚が泳いでるのでも見てみようか。
やっぱ、生で見るとこうディスカバリー何とかの番組で見るのと違う気がするねえ。こういう経験は大事だ、忘れちまうかも知れねえけど。
海月にも触っておこう。…お、この柔らかさ、不思議なもんだねぇ。
光りながら悠々と漂ってる姿も中々綺麗なもんだ。
俺も、記憶のねえままふらふらと漂ってる様なモンだから、なんだかお前らには親近感みたいなのを感じるよ。
ま、良い経験させてもらったし、妙な夜会に繰り出すとしますか。土産は買わねえ。仕舞った場所忘れるから。
●海月のような
(夜の水族館、ね。中々経験がないな……まぁ、忘れちまっただけかも知れないがね。)
ジノーヴィー・マルス(Ennui blues・f17484)は自身が失った記憶のどこかにはあったかもしれない夜の水族館を見て回る。
一人足を踏み入れた館内は薄暗く、深い青に包まれていた。
歩くのを邪魔しない明るさで、足元は照らされているので不自由はしない。
近くにいる人は見えるが、数歩離れれば顔も覚束ない薄闇の中をゆるり歩を進めて、魚が泳ぐ水槽に近づく。
この近海に暮らす魚が集められた水槽もほのかに暗く、夜の海を泳ぐ魚の姿を見ることができる。
時折僅かな光を弾く魚の姿、水槽の中で静かにたゆたう姿、砂の側で動かない姿。
目の前で生きた魚の姿を見るというのは、テレビを通した番組で見るのとは違うものだとジノーヴィーは思う。
二次元と三次元、カメラと自身の目、切り取った姿とあるがままの姿。
そんな違いが何かを生むのだろう。
こうやって生で得た経験は、記憶から忘れてしまってもどこかに積み重なるものがあるのかもしれない。
いつか忘れてしまっても、大事な経験なのだ。
順路通りに館内を巡り、他と違って明るく照らされた「くらげふれあいコーナー」にも足を進める。
浅いバットのような容器に入れられたくらげが数匹並ぶスペース。
そばにはくらげの生態の展示も並んでいた。
係員に言われたとおり優しく触れればつるり、ひんやりした感覚。
(……お、この柔らかさ、不思議なもんだねぇ)
ゼリーよりは少し柔らかい、ジュレよりは固い、水まんじゅうのような食感。
ふるんと震える感覚は不思議な心地よさだった。
コーナーから離れれば、また夜の海を辿っていく。
色が移り変わる水槽にふより、ふよりただようくらげは中々綺麗だった。
光に照らされるまま色をかえ、光にほのかに浮かび上がりながら浮かぶくらげ。
(俺も、記憶のねえままふらふらと漂ってる様なモンだから、なんだかお前らには親近感みたいなのを感じるよ)
気のむくまま水の流れるまま、時に何かを忘れて漂う。
くらげとジノーヴィーの今の生き方は、少し似ていた。
幾つも展示を巡り、出口に近づく通路は少しずつ明るくなる。
明るい照明に照らされた出口の側に土産物を売る売店もあったが、ジノーヴィーはそこは素通りする。
彼は仕舞った場所を忘れてしまうから。
取り出せない物を増やすことはない。
(ま、良い経験させてもらったし、妙な夜会に繰り出すとしますか)
出口のゲートをくぐった途端、ジノーヴィーは別の建物へと転移した。
大成功
🔵🔵🔵
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
水族館…いや、知識はあるが訪れるのははじめてでな…。水や海とは縁遠かったゆえ。
魚にクラゲか生き物が生きる様はやはり美しいな。
こう言ったものを司ることが出来たなら俺も…いや、なんでもない。
こんな風に青をゆったり見るのも久しいな…。
青は俺にはない色だからな。あまり好んで使わなかったが。
ああ、でもマクベス、お前の瞳は綺麗な青だったな…(じっと瞳を見つめる)
やはり、青は…美しいな。
嫌いな色ではない。
俺にはない色だからこそ余計に欲しくなる。
勘違いか…まぁそう思いたいならそう思っておくといい。
(軽く頭を撫でて)
△
マクベス・メインクーン
おじさん(f16720)と
水族館って結構デートの定番だよな~
いや、おじさんはデートとか思ってないかもしんないけどさ
でも興味持ってくれてよかったぜ♪
わぁ…夜の水族館ってライトアップされててすごい幻想的だな
クラゲとか漂ってる姿綺麗だよな~
思わずガラスに手をついて見ちゃうぜ
なぁおじさん、あの魚とかすっげぇ可愛くね?
普段おじさんと青い色ってあんま見ないから新鮮だなぁ
ん?なにおじさん?(目をじっと見られて
え…う…お、おじさん…見るとこが違うってば…///
おじさんが満足そうなら良かったけど
そういう事言われると勘違いするだろ…
△
●愛しの青
(水族館って結構デートの定番だよな~。いや、おじさんはデートとか思ってないかもしんないけどさ。でも興味持ってくれてよかったぜ♪)
少し浮かれるようにマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は、グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)と一緒に入り口をくぐる。
「これが水族館……いや、知識はあるが訪れるのははじめてでな……。水や海とは縁遠かったゆえ」
火炎の神であるグラナトは初めての場所に珍しげに首を巡らせる。
夜の水族館はほのかに暗い。
まるで本当に夜の海の中のよう。
ほのかに照らす照明は青い物。
足元だけは少し明るく、外から来た身として、土の上に生きるものとして、海の中のような光景はなんとも幻想的に映った。
順路に沿って足を進めれば、夜の海に浮かぶ生き物の姿。
「なぁおじさん、あの魚とかすっげぇ可愛くね?」
「ふむ……そうなのか?」
「そうそう!」
小さな魚が群れで存在する水槽を指して、マクベスは少しはしゃぐ。
グラナトはよくわからないものの、マクベスがそう言うならそうなのだろう、と納得した。
「こっちはクマ、か。夜ゆえか少々おとなしいか」
「ペンギンやアザラシも、眠いのかな〜」
シロクマやペンギン、アザラシの水槽もあったが、ゆったりと寝そべっていたり、固まって眠っているかのよう。
静かな夜の動物の姿も珍しく、二人の目を楽しませる。
水槽の中には夜のほうが活発なものもいた。
普段、昼は活発に動くものが穏やかに体を休めていたり、逆に夜こそ活発になっていたりと普段と違う姿を見せてくれる。
二人ゆっくりと肩を並べ、順路に従い進んでいくと、くらげの展示された水槽が見えてきた。
ふわり、ゆらり、見上げるほど大きな水槽を幾つものくらげが上に下に、横に奥にと、ほのかな明かりに浮かび上がりながら漂っている。
「クラゲとか漂ってる姿綺麗だよな~……」
思わずガラスに手をついて、慌てて離すマクベス。
ほの白い柔らかな生き物が、濃い青の中をゆったり漂う姿は幻想的な雰囲気すら感じる。
そんな彼を微笑ましげに見守りながら、グラナトも水槽を見上げた。
「生き物が生きる様はやはり美しいな」
魚、動物、貝や甲殻類。
この建物の中では海に関わる生物が幾つも生きて展示されていた。
少し狭い空間ではあるかもしれないが、安全に、それぞれの生態を大きく歪めることなく生きている。
その様は、少し歪でもやはり美しい。
「こう言ったものを司ることが出来たなら俺も……いや、なんでもない」
小さく、呟かれた言葉がマクベスに届いたかどうか。
火炎と戦いの神である彼は、生きた命を守るものであるが同時に奪うものでもある。
人が彼を呼ぶのはいつだって戦いの場だ。
もしも、自身が海と命のようなものを司るものであれば、もしかしたら──。
言っても詮ないことではあれど、思ってしまったのだろう。
口から溢れた言葉は、夜の海の中に消えていった。
二人、しばし青い青い水槽を見上げる。
「……普段おじさんと青い色ってあんま見ないから新鮮だなぁ」
「青は俺にはない色だからな。あまり好んで使わなかったが……ああ、でもマクベス、お前の瞳は綺麗な青だったな……」
「ん? なにおじさん?」
グラナトは、自分より低い位置にあるマクベスの瞳を覗き込むように身をかがめる。
きらりと辺りの青を移しこみ、日の下で見るより深く色を増した青い瞳。
「やはり、青は……美しいな」
そう愛おしげに囁かれて、マクベスの瞳が戸惑うように揺れる。
「え……う……お、おじさん……見るとこが違うってば……」
マクベスが周りや水槽を小さく手を振って示しても、グラナトの金がマクベスの青から離れることはない。
むしろより一層熱を持って見つめていく。
「嫌いな色ではない。俺にはない色だからこそ余計に欲しくなる」
じっと見つめ、満足そうなグラナトに、ならまあ良いか、と思うマクベスの頬は薄明かりでもわかる程に染まっていて。
「そういう事言われると勘違いするだろ………」
「勘違いか……まぁそう思いたいならそう思っておくといい」
火と戦いの神は、愛し子の頭を軽く撫でて、不敵に微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オリオ・イェラキ
夜の海だなんて
素敵な響き
…そう、水族館は室内なのね
翼は仕舞っておきましょう
あれが、イルカにアシカ
可愛らしい事。ね、海の中は快適ですの?
どんな寝心地なのかしら
水の中で過ごす夜…素敵な夢が見られそうね
あら、起こしてしまったかしら。いいの、お気にせず
おやすみなさい
まぁクラゲがあんなに沢山
明かり一つでこんなに変わりますの
綺麗。このガラス一枚先が絶景だなんて…触れますの?
面白い事。では、少しだけ
…これは初めての感触ね
お土産も是非。夫に、何か持って行きたいの
何が良いかしら…店の方にお勧めを訪ねてみましょう
夫も興味を持って貰えたら
次は共にただ楽しむ為に来たいの
その前にやるべき事をしませんと
出口はあちらかしら
●夜の海
「夜の海だなんて、素敵な響き」
オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)は背に広がる星空を仕舞い、人間と変わらぬ姿で、水族館の館内に入る。
館内は明るさを抑えた照明に照らされ、幻想的な雰囲気だ。
彼女自身の髪や翼とよく似た、ほの暗い青の中をゆるりと進んでいく。
魚や貝、甲殻類、動物。
様々な姿を見せる水槽を眺めながら進んでいけば、プールへ繋がる大きな水槽があった。
そこにいるのはいつもショーで活躍するイルカやアシカ達。
オリオは彼らの水槽の前で立ち止まり、まじまじと彼らを見つめる。
今は眠っているのか身動ぎせず、大きな体でぷかぷか浮いている。
「ふふ、可愛らしい事。ね、海の中は快適ですの?」
オリオは水槽に近づいて、大きな体のイルカを見つめる。
ゆらゆら照明を跳ね返して煌めく水槽は夜空のよう。
(どんな寝心地なのかしら、水の中で過ごす夜……素敵な夢が見られそうね)
水の揺り籠の寝心地はどうだろう。
力を入れずとも浮かび上がり、程よい冷たさや温もりに包まれる、そんな寝心地だろうか。
さぞ気持ち良い夢が見れるだろう。
ずっと見つめていたらイルカの目がオリオを見つめていた。
「あら、起こしてしまったかしら。いいの、お気にせず。おやすみなさい」
そこを離れていくつか水槽を眺め進めば、くらげの大水槽が現れる。
「まぁクラゲがあんなに沢山」
気ままにふわり、流れてふより。
オーロラのように色の変わる照明に照らされて、くらげ達も七色に移り変わる。
「明かり一つでこんなに変わりますの……綺麗。このガラス一枚先が絶景だなんて」
厚い硝子の一枚向こうにはくらげの気ままな舞い姿。
オーロラの夜空を舞うようなくらげの姿は綺麗だった。
そこから少し離れた場所に、明るい部屋。
「くらげふれあいコーナー」となっており、浅い容器にクラゲが並べられていた。
「あら……触れますの?面白い事。では、少しだけ」
オリオがその細い指一本で触ると、返ってくるのはつるりとした感触。
軽く押せばぷるんと柔らかな弾力が感じられる。
(……これは初めての感触ね)
ぷるんぷるんとあまり長くは押せなかったが、優しく儚い感触を楽しんだ。
また離れ、歩みを進めれば出口そばの売店にたどり着く。
彼女の愛する夫に、何か買っていきたい、と寄ることにした。
(興味を持ってもらって、次は二人、ただ楽しむためにまた来たいの)
そう思い、この売店のおすすめを店員にたずねれば、くらげや魚の写真のポストカードを勧められる。
飾ってもいいし、見ながら今日の思い出をお話するのもいいのでは、と。
それもいい、とオリオは一つ買い求め。
カードを手に、次につなげるため、やるべきことをするために、出口へ向かったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
僕も水族館は初めてです
きみと一緒ですから、より深く楽しめそうです
胸を張って手を繋いで歩けるのが、なんだか少しだけ不思議な感じがするんですよね
ウミウシはその胴体と言うより、正しくは牛のような一対の触覚があることから名づけられたそうですよ
これが貝の仲間だなんてとても驚きですね……
ふふ、ペンギンはとても可愛らしいですね……
一緒に泳いでみたいものです
照明に照らされ浮かび上がる幻想的なクラゲの水槽には
きらきらふわふわとした美しい世界が海にもあると考えると
不思議で見事と言うほかありませんね
ええ、僕と一緒ならば怖くないでしょう?
今年の夏は一緒に海に行きましょうね
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
水族館は初めて故少し緊張するな
少し暗い館内を宵とはぐれぬ様手を繋いで歩こう
生きた魚の展示か…
この良く分からぬ生き物はウミウシというのか?これの何処か牛なのだろうか…?
ペンギンの水槽の前ではつい興奮を
何なのだあの愛らしい鳥は…触れんのが残念だ
照明に照らされた海月の水槽の前に辿り着けば、淡い光を受け上下に浮かぶ幻想的な光景に思わず感嘆の声が漏れてしまうかもしれん
深夜の海に潜った事はないが…月明かりが照らす浅瀬はもしかしたらこの様な物なのかもな
海にはまだ多少恐怖があるが、宵と共にならば存外怖い物でもないのかもしれん…と
そうだな、今年は共に海に行き沢山思い出を作るとしよう
今から楽しみだ
●少し未来への約束
「水族館は初めて故少し緊張するな」
「僕も水族館は初めてです。きみと一緒ですから、より深く楽しめそうです」
逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は二人、薄暗い館内ではぐれないようどちらからともなく手を繋ぐ。
誰を気にすることもなく、胸を張って手を繋いで歩ける。
ただこれだけのことができる、それが少しだけ不思議な心地だ。
握った手から温もりを分けながらひんやりした館内を歩きだす。
水族館は広く、様々な海の生物が展示されている。
泳ぎ回る魚はもちろん、貝や甲殻類も並んでいた。
「この良く分からぬ生き物はウミウシというのか?」
ザッフィーロはウミウシの水槽の前で立ち止まり、水槽を触れずに指し示す。
水槽の照明に照らされ、暗い中でもわかるカラフルさと、うにゅーというような感じで伸びる姿に興味を覚えたのだ。
「白黒でもなく、茶色くもなく。草を食べるようにも見えない。これの何処か牛なのだろうか……?」
「ウミウシはその胴体と言うより、正しくはこの、牛のような一対の触覚があることから名づけられたそうですよ」
宵もザッフィーロと並び、ウミウシの触覚を指して説明する。
「これが貝の仲間だなんてとても驚きですね……」
またペンギンの水槽の前ではつい興奮してザッフィーロは弾んだ声を出す。
「何なのだあの愛らしい鳥は……触れんのが残念だ」
白と黒の成鳥、灰色ぽわぽわの子鳥、どちらも愛らしい。
ひと塊になって眠っているのか、静かに佇む姿はぬいぐるみのようでもあった。
「ふふ、ペンギンはとても可愛らしいですね……一緒に泳いでみたいものです」
宵も愛らしい姿に顔を緩め、一緒に泳ぐことを夢想する。
「泳ぐのか?」
「矢のように素早く泳げるんですよ」
「それも、見てみたいな」
「次は昼に来ましょう」
宵とザッフィーロは昼の中、泳ぐペンギンの姿と、それを見る自分達を思い、笑みを浮かべた。
そんな感じで二人、穏やかに水槽を見ていくと、照明に照らされた大きな水槽が現れた。
照明に照らされた無数のくらげ。
淡く光を帯びて水中を漂う美しい光景。
なんとも幻想的な光景に、二人立ち止まって感嘆の声を漏らす。
「深夜の海に潜った事はないが…月明かりが照らす浅瀬はもしかしたらこの様な物なのかもな」
ザッフィーロは未だ見ぬ夜の海の光景を思い浮かべ。
「きらきらふわふわとした美しい世界が海にもあると考えると、不思議で見事と言うほかありませんね」
宵は、今まで自身が見てきた夜空と負けず劣らず、美しい光景があるということにただ感嘆する。
「宵。その、海にはまだ多少恐怖があるが、宵と共にならば存外怖い物でもないのかもしれん……と、ここに来て思った」
「ええ、僕と一緒ならば怖くないでしょう?」
ザッフィーロの言葉に、宵は繋いだ手を優しく握り直して少し未来の約束をする。
「今年の夏は一緒に海に行きましょうね」
「そうだな、今年は共に海に行き沢山思い出を作るとしよう。今から楽しみだ」
くらげ達が舞い踊る中、二人は未来の海を想い、微笑みをかわした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
零落・一六八
涼さん(f01922)と
夜の水族館ってなんだかわくわくしますね!
わー、ダイオウグソクムシですって!
でっかいダンゴムシみたいですね!
ん?クリオネ?えー?ボクに似てる?にしては随分と可愛らしい…
(捕食風景か捕食図解を見て)
うわ!きもっ!食べてる姿はボクのがまだ愛嬌あると思いますよ!
おっと、イルカショーもうすぐ始まるらしいですよ!せっかくだから行きましょう!
お、前の方はやっぱり開いてますね!
前行くと水しぶき飛んでくるらしいですよ!前いきましょ!
ふっふっふ、今に分かります
(水しぶきでずぶ濡れになって爆笑するし大はしゃぎ)
そーいうことです!楽しいでしょ!
大丈夫ですって、どうせこの後着替えるんですから!
彩花・涼
一六八(f00429)と
水族館…海の生物を潜らなくても観れるとは、UDCアースは凄い場所だな本当に
夜だと更に幻想的だ…
見ろ一六八、この小さい天使のような生物(クリオネ)は可愛らしいな…
どことなく一六八に似ている気がする
なんでも食べるし
ん?イルカ、しょー…?
イルカが何かするのか…?と引っ張られて向かう
近くで観るのは見やすくていいが
水しぶきとは一体…
油断しているところに一六八と一緒に水がかかり
……なるほど、そういうことか
全く、この後の事は考えているのかお前はと
一六八に投げかけながら
濡れている一六八の顔をハンドタオルで拭く
そのままでは風邪を引くからな
●クリオネに似た君とずぶ濡れイルカショー
「夜の水族館ってなんだかわくわくしますね!」
「海の生物を潜らなくても観れるとは、UDCアースは凄い場所だな、本当に。夜だと更に幻想的だ……」
わくわくいっぱい、むふー、と言う表情の零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)は、静かな表情ながら、どこか期待した雰囲気の彩花・涼(黒蝶・f01922)と二人、夜の水族館に入っていく。
暗く静かな海のような館内は、足元以外は薄暗い青に染まっていた。
普通の魚や、ペンギンやアシカ、シロクマ。
水槽のトンネルを超え、先を進めば一六八の目に節を多く持つ生物の姿が飛び込む。
「わー、ダイオウグソクムシですって!でっかいダンゴムシみたいですね!」
「そうだな……こんなものも海底にはいるのか……」
うにゅうにゅ足を蠢かし、水槽の底をうごうごずりずり動く姿は子供にはとても人気だった。
その中に交じる、同じ表情の一六八を優しく涼は見守っていた。
少し先に進み、小さな水槽の前で涼は立ち止まる。
「見ろ一六八、この小さい天使のような生物は可愛らしいな……」
ふよふよと浮かぶ天使のような姿、透き通った体、ほんのり赤いワンポイント。
流氷の天使、クリオネが水槽の中に漂っていた。
「どことなく一六八に似ている気がする」
「ん?クリオネ?えー?ボクに似てる?にしては随分と可愛らしい……」
「なんでも食べるし」
「なんでも……」
涼の目線の先には捕食図解があった。
バッカルコーンしている図解を見た一六八は、小さい声で反論する。
「うわ!きもっ!食べてる姿はボクのがまだ愛嬌あると思いますよ!」
「そうか?」
そんな風に、小声ながらも賑やかな一六八と、静かに楽しむ涼が外へ続く通路に差し掛かったところ、ポーンとアナウンスが入る。
『……これより、屋外プールで、ナイトショーが行われます……ご観覧の方は……』
「おっと、イルカショーもうすぐ始まるらしいですよ!せっかくだから行きましょう!」
「ん?イルカ、しょー……?イルカが何かするのか……?」
イルカショーにはしゃぐ一六八は涼の手を引いて、急ぎ足で屋外プールへ向かう。
「お、前の方はやっぱり開いてますね!前行くと水しぶき飛んでくるらしいですよ!前いきましょ!」
一六八と涼は空いている最前列に並んで座る。
目の前ではたぷん、と海水が揺れる大きなプール。
「近くで観るのは見やすくていいが、水しぶきとは一体……」
「ふっふっふ、今に分かります」
程なくショーが始まると、プールの端から泳ぐイルカ達が入ってきた。
飼育員を背に乗せて泳いだり、投げられたボールを鼻でキャッチして、ゴールに入れたり、と一六八と涼はショーに夢中になる。
そして、空中の輪をくぐるために跳ねるイルカ。
「いーーやっはーーー!!」
「わぷっ」
着水と同時に水しぶきが溢れ、知っていた一六八と、すっかり油断した涼に襲いかかった。
「……なるほど、そういうことか」
「そーいうことです!楽しいでしょ!」
はしゃいで爆笑している一六八の狙いを涼はここにきて理解する。
顔や髪、体の前面がしょっぱい水を浴びて湿る。
髪や顎からはポトポト水が滴ってきた。
たしかに楽しいが、この後移動があるし、夜風に吹かれれば少し冷えるだろう。
「全く、この後の事は考えているのかお前は」
そう涼は言いながら、風邪を引かぬよう濡れている一六八の顔を取り出したハンドタオルで拭いてやる。
うれしげに笑って面倒を見られる一六八は、問題ない、と自信満々に答えた。
「大丈夫ですって、どうせこの後着替えるんですから!」
そう、確かに夜会に行くと勝手に着替えるとグリモア猟兵は言っていたが、涼はその後の言葉も覚えていた。
「だが戻ってくるときは今と同じ格好に戻るんじゃなかったか?」
「……大丈夫っすよ、たぶん!」
「全く、お前は……」
悪童の顔で笑う一六八の髪からも水分を拭ってやりつつ、涼は小さくため息をつきながらも柔らかく笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
【ヤド箱】
主にステラと
夜の水族館。初めて来た。
水族館自体に、あまり縁がない…とも言うが
別に、嫌悪とかは無いんだがな
陸を歩きながら、水の中を見ているというのが
不思議な感覚で
(服を引っ張られる感覚に、意図してゆっくりめに歩く。彼女が暗い・狭い・水がある場所が苦手なのは知っている)
海月、か…スペースシップワールドで、巨大海月のオブリビオンと戦ったことはあるが
うん。ぷかぷかして、綺麗だったのだが、ちょっとびりっとした
ここの海月も、ぷか、ぷか、と
同じところを泳いでいるのを、ただ見ているだけなのに
どうしてか、飽きない
ステラも、ここなら平気か
それなら良かった
大丈夫、大丈夫。怖くない。
カガリも一緒にいるからな
ペイン・フィン
◎【ヤド箱】
主にファンと行動
写真撮影とか、良いのかな?
良かったら、ファンとの写真、撮りたい
ちょっとした記念に、ね
幸せ……、か
多分それに、優劣は無いと思うよ
あるとしても、きっとそれは、自分の心の中にだけ
クラゲが、どう思っているのかは……、良くも悪くも、自分には分からない
それに、どっちにしても、自分が幸せなことには、変わりないし、ね
非情かもしれないけど、自分は、気にしないことにしているよ
……それに案外、ここはここで、幸せなのかもね
正しい世界で、正しいあり方で生きることが、幸せとは、限らないし、ね
……さて、そんなことより、自分は、あっちのクラゲぬいぐるみが気になるから、買ってくるよ
ファンも、欲しい?
落浜・語
◎【ヤド箱】で自由行動
基本的には単独で。
あまり水族館とか来たこと無いんだよな。
他の二組を邪魔しないよう、のんびり見て回ろうか。
クラゲ。
クラゲか……綺麗なんだけどな。このクラゲは悪くないんだが…
なんか、前に倒したヤなものまで思い出した…。他に行こう。イルカとかもいるんだったか。
あっちこっち一通り見て回ったら、クラゲのいなさそうな水槽の前とかで、ぼんやりしてても良いか。
回遊魚は寝てる間も泳いでるが、何か考えているんだろうか。それとも、そんなもの、なのかな。
ステラ・アルゲン
◎【ヤド箱】
主にカガリと行動
夜の水族館というのは人気なのか?
私も水族館は初めてだが…水の中にいる感覚があまり好きじゃないな
それにこの暗さも苦手だ
少しだけ心細さを感じてカガリの服の端を掴む。今は逸れたくない気分だ
行く場所は照明で照らされたくらげの所にしよう
照明があるからあまり暗さを感じないだろうし
鮮やかな彩りを乗せてふわふわ浮かぶくらげはきっと綺麗だろうから
宇宙にもくらげが居るんだな。知らなかったよ
ここのは…風船みたいに見えるだろうか?
海の中の景色なんて見たことなかったな
隕石だった頃は海に沈んでたらしいけど覚えがないし
カガリが居なかったら安心してこの綺麗な光景を見られなかったかもな
ファン・ティンタン
◎
【SPD】切り抜かれた海で
【ヤド箱】で自由散策
主にペインと行動
海の生き物を集めた、水族館
色んな意味で閉ざされたこの場所に、モヤモヤがないこともないけれど
隣を歩くその顔を見たら、余計な考えは無粋かな
ん、写真取るの?
いいけど―――仮面、外してね?
くらげお触りのコーナー?
なにこれ、ナニコレ…(触感にご執心)
この子達、何を考えて生きてるんだろ…
ペインは、何の悩みも抱かず在るあの子達と、自我を持ち得た私達、どっちが幸せだと思う?
…ん、不要な質問だったかな
くらげ、ホントに変な子達だよ
ただ未来へ向かって種という自分の影を伸ばし繋ぐ命
まるで、重ねた過去の残滓―――オブリビオンみたい
くらげの、ぬいぐるみ…と?
●巡る魚は何思う
(あまり水族館とか来たこと無いんだよな)
他の二組を邪魔せぬよう、一人落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は水族館を巡る。
深海のような薄暗い、青い照明の水族館を一人気ままに歩きゆく。
近海の魚やウミウシ、ダイオウグソクムシ、カニやエビがいる水槽をなんとなしに眺めていく。
トンネルの水槽もくぐりエイの腹を見て、のんびりと歩いていくと中くらいの円柱状の水槽が現れた。
そこに浮かぶのは、丸い紙ふうせんくらいの大きさのくらげの群れ。
ふわりふわり水中に浮かぶ群れは、現実離れして綺麗かもしれない。
しかし語は眉根を寄せて渋い顔をする。
あまりくらげにはいい思い出がなかった。
(クラゲか……綺麗なんだけどな。このクラゲは悪くないんだが……)
けれど渋い顔は晴れぬまま。
たゆたうくらげを見て連想する。
空中に浮かぶ七色のくらげ、過去の幻影、高座にある『あの人』の姿、その手の中で生きた自身の本体。
(なんか、前に倒したヤなものまで思い出した……)
おまけに他の依頼に出てきた幻影をも思い出し、眉の間のしわは深くなるばかり。
他に行き、気分を晴らそうと踵を返す。
イルカでも見てくるか、と大きな水槽を目指し歩き出した。
魚の群れの水槽、貝に深海生物、くらげ、アシカやアザラシ甲殻類、くらげのふれあいコーナー、イルカにジュゴン、そしてくらげ。
語にとってうんざりするほど、くらげの展示がやはり多い。
少々くらげを食傷気味に感じつつ、あちらこちらひと通り見て回り、くらげの入っていない回遊魚の水槽を見つけその前でぼんやりすることにする。
ぐるりぐるりひたすら泳ぎ続ける回遊魚。
彼らは寝てる間も泳いでいる。
止まったら死んでしまうから。
(回遊魚は寝てる間も泳いでるが、何か考えているんだろうか。それとも……そんなもの、なのかな)
『あの人』の言葉に従い、行けるだけの先を見てから、会いに行くというのは決めていた。
けれど先とはどこで、いつまで進めばいいのか。
そもそも自分はあの時から進んでいるのか、ただ何も思わず、生まれた役割のまま同じ場所をくるくる回っているのでは。
泳ぎ続ける魚は何を夢見るのか。
語はこの先、何を見るのか。
巡る回遊魚を眺めながら、語はぐるぐると答えの見えない問に悩むのだった。
●海月と宿り神はどちらが幸福だろうか
(海の生き物を集めた、水族館)
ファン・ティンタン(天津華・f07547)は水族館のゲートをくぐる。
果てのある水槽、どこにも行けない箱の世界。
色んな意味で閉ざされた場所には少しもやもやを感じるが、入り口にあったパンフレットを見つめるペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)の顔をちらりと見て。
(その顔を見たら、余計な考えは無粋かな)
ペインの変わらないはずの仏頂面がいつもより柔らかい気がしたから。
ファンは今の考えを沈めることにした。
顔を上げたペインはファンに声をかける。
「ね、写真撮影とか、良いのかな?」
「ん、写真取るの?」
「うん。良かったら、ファンとの写真、撮りたい。ちょっとした記念に、ね」
そう言うペインにファンは頷き。
「いいけど──仮面、外してね?」
とん、と細い指先でペインの白い仮面をつつくのだった。
この水族館では撮影禁止以外ではフラッシュを焚かなければ撮影できる。
なので青い夜の水族館でカラフルな魚やカニやエビ、眠るペンギンを背景に、二人並んで記念写真を取りながら進んでいくと、普通に照明の灯った部屋があった。
「くらげお触りのコーナー?」
他と違って明るいその部屋には、浅い容器に入れられたくらげがいくつか並んでいた。
係員の誘導に従い、そぉっと潰さぬよう優しく触れるとつるんとした感覚。
弾力のある水、という感触にファンは左目を軽く見開いた。
「なにこれ、ナニコレ……」
ぷるぷるとした触感にファンは瞳を輝かせ、夢中になる。
ペインは並んで突きながら、そんなファンを優しく見守っていた。
「ねえ、この子達、何を考えて生きてるんだろ……」
しばしくらげを堪能してその場を離れたファンは、別のくらげの水槽の前に立って呟く。
ファンの視線の先では、くらげがただふよふよただよっている。
「ペインは、何の悩みも抱かず在るあの子達と、自我を持ち得た私達、どっちが幸せだと思う?」
「幸せ……か」
自我はなく、何にも拘わらず、囚われず、ただあるがままにあるくらげ。
自我を持ち、何かを抱き、しがらみに縛られ、思い悩むこともあるヤドリガミ。
そこに優劣があるのか。
自我を持ったからこそ生まれたファンの悩み。
青い光に照らされたファンの横顔を見ながら、ペインは答える。
「多分それに、優劣は無いと思うよ。あるとしても、きっとそれは、自分の心の中にだけ」
上に下に、たゆたうくらげ達。
彼らと自分達、どちらが幸せか。
それはファンの心が決めることだとペインは言う。
「クラゲが、どう思っているのかは……良くも悪くも、自分には分からない」
ペインの見つめる先で、くらげは幸せの定義も、優劣も気にせずそこに在るようで。
「それに、どちらがより幸せだとしても……今、自分が幸せなことには、変わりないし、ね」
人の姿を得たことで約束を得て、友に出会い、愛しい人に出会った。
今が幸せと彼は言う。
「非情かもしれないけど、自分は、気にしないことにしているよ」
そうペインは答えた。
「……それに案外、ここはここで、幸せなのかもね。正しい世界で、正しいあり方で生きることが、幸せとは、限らないし、ね」
ここは人口の世界、閉じられた場。
自然の姿、正しい生態系とは違うけれど、だからこそ幸せなのかもしれない。
「……ん、不要な質問だったかな」
ファンはただ、頷く。
「くらげ、ホントに変な子達だよ。ただ未来へ向かって種という自分の影を伸ばし繋ぐ命。まるで、重ねた過去の残滓──オブリビオンみたい」
水槽を見上げてファンはふと呟く。
誰かのため、何かのために作られた自分達とは異質な存在。
ただそこに在り、過去になりながら生きるくらげ。
そう思うとたゆたう物体が、少し不気味にも見えてくるような。
「……さて、自分は、あっちのクラゲぬいぐるみが気になるから、買ってくるよ」
「くらげの、ぬいぐるみ……」
「ファンも、欲しい?」
「欲しい、かも」
少し視線をずらせば、売店のくらげのぬいぐるみが見える。
ふんわりと柔らかそうで手触りも良さそう。
ペインとフィンの二人はぬいぐるみをお家に迎えるため、売店へ進むのだった。
●水中の風船と手の温もり
「夜の水族館。初めて来た。」
出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)はゲートをくぐり、青い水族館を見渡す。
カガリは水族館自体にあまり縁はなかった。
特に水族館や水中に嫌悪を持っているわけではないが、陸を歩きながら水の中を見ているというのが不思議な感覚で、積極的に足を運ぶ気にはならなかったからだ。
その後にどこか落ち着かない表情で、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)が続く。
「夜の水族館というのは人気なのか?」
常の凛とした誇りある表情とは違い、少し怯えたような風情であった。
「私も水族館は初めてだが……水の中にいる感覚があまり好きじゃないな」
青い照明に照らされた館内は、海の中のようにも感じる。
さらに今回は夜ということで、より明るさが抑えられ薄暗い。
そのせいか通路も狭く感じ、ステラの苦手なものが揃っていた。
ステラは少しだけ心細さを感じてカガリの服の端を掴む。
逸れたくない、独りになりたくない。
彼女の苦手を知るカガリは、ゆっくり、ステラと離れないように意識して歩く。
あまり周りを見ないように、カガリの服の裾をじっと見てステラは提案する。
「カガリ、くらげの場所に向かおう」
くらげの水槽は照明で照らされているという。
そこならあまり暗さを感じないだろうし、鮮やかな彩りを乗せてふわふわ浮かぶくらげはきっと綺麗だろう、とステラは思ったからだ。
「うん」
カガリは答えを返し、入り口にあったパンフレットを見ながら向かうのだった。
くらげの大水槽に向かう道すがら、カガリは落ち着いた声で語りかける。
「海月、か……スペースシップワールドで、巨大海月のオブリビオンと戦ったことはあるが」
ふわふわと宇宙空間に浮かぶ巨大なくらげ。
自分を飲み込めるほど大きかったことを思い出す。
「宇宙にもくらげが居るんだな。知らなかったよ」
「うん。ぷかぷかして、綺麗だったのだが、ちょっとびりっとした」
カガリが甘く苦い夢から目覚めたあと、その腕に飛び込み、動かぬ砲台となって駆逐した大きな宙海月。
綺麗な青い体だった。
触れたら痺れるような攻撃を受けた覚えがある。
「ここの海月は、そんなには大きくないだろうな」
世界には巨大なくらげもいないことはないが、パンフレットを見る限りは小さなものに見えた。
他の水槽をほぼ素通りし、少しずつ色が移り変わる照明に照らされた大きな水槽の前で二人は立ち止まる。
ステラはまだ顔を上げない。
「ここのは……風船みたいに見えるだろうか?」
「そうだな、風船みたいだ」
カガリは服を掴むステラの指をそっと外し、そのまま握りこむ。
「ここの海月も、ぷか、ぷか、と、同じところを泳いでいるのを、ただ見ているだけなのに。どうしてか、飽きない」
穏やかな声に励まされるように、顔を上げたステラの目に飛び込んできたのはまあるいくらげ。
腕も短く、手毬ほどの大きさのくらげはぷかぷか、ふよふよ、水の中をたゆたっている。
まるい水の中の風船はオーロラのように赤から橙、黄色、緑、青、紫、また赤に。
変わる照明に照らされて淡く美しい姿を見せている。
「……綺麗」
「うん」
照明のおかげかあまり水がある暗い場所ということを感じない。
おまけに大きな水槽のある場所で他と比べても大きな空間になっているから、少し気分が楽なのだろう。
「……海の中の景色なんて見たことなかったな」
ステラが隕石だった頃は海に沈んでたらしいが、それは剣になる前。
道具としての姿を取る前の事を覚えているものはいないだろう。
人の姿で見上げる、切り取られた海の中は綺麗だった。
「ステラも、ここなら平気か。それなら良かった」
「ああ。でも、カガリが居なかったら安心してこの綺麗な光景を見られなかったかもな」
繋いだ手の温もりはとても安堵するもので。
もし一人でこの場に立つ、と考えると少し怖い。
そう思ってステラの手がわずかに強張ったが、カガリは手に少しだけ力を入れる。
「大丈夫、大丈夫。怖くない。カガリも一緒にいるからな」
「……そう、だな。ありがとう」
二人並んで見るまあるいくらげは、とても綺麗で。
ステラは、今は怖さを忘れて堪能できたのだった。
大成功
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第2章 冒険
『秘密の夜会』
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POW : 参加者に混じって情報を集める。
SPD : 従業員に成りすまして情報を集める。
WIZ : 会場の外からあらゆる手段を用いて情報を集める。
👑11
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●
出口のゲートをくぐって外に出た、と思ったらそこは夜会のホールだった。
きらめくシャンデリア、穏やかに流れる管弦楽、正装に仮面をつけた人のざわめき。
ビュッフェスタイルの軽食や飲み物も用意されている。
これが呪詛で呼ばれた空間か、と猟兵達は理解するだろう。
彼らの手にも仮面があり、衣類もいつの間にか場にふさわしく整えられている。
武器や道具など、どこに行ったかと意識したら手の中に現れた。
隠そうと意識すればまた消える。
少しうろついてみればホールからの出入りは自由で、従業員の部屋や休憩室、備品置き場もノーチェックだった。
これなら着替えて従業員に交じることも、会場の外から色々調べることも簡単にできるだろう。
ホールに戻ると、何人か会場中央にペアを作って集まっていた。
どうやらダンスが始まるらしい。
=========
情報収集は一言、「最後のお土産の事を調べる」としていただければ十分です。
お気に召すまま、夜会をお楽しみください。
ジノーヴィー・マルス
いやホント、分かってたけど何これ。妙ちきりんでしょ。
手には何か仮面あるし。っつーか何か勝手にタキシードに着替えさせられてるし。
ダメダメ。俺こういうビシッとした服嫌い。タイ外してボタンもあけちまお。
それに俺ダンスのやり方もロクに覚えてねーんだよ。だから、飲み物一杯貰ったらこっそり抜け出して休憩室行っちまお。
そうすれば、同じ様に休憩に来た誰かから「最後の土産」云々について聞けるだろ。
人が来たらまず挨拶して、軽い世間話。
妙な夜会だよねぇ、あんたは疲れちゃったクチ?
俺は最初からマトモに参加してねーよ。趣味じゃねーから。
ん?だったら何でここに来たって?
「最後の土産の事を調べてんだよ」
●
(いやホント、分かってたけど何これ。妙ちきりんでしょ)
外に出たら夜会のホールに立っていた、というのは何とも不思議な状況だった。
ジノーヴィーの手には、黒のシンプルな目元を隠す仮面。
勝手に着替えさせられた服装も正しく着用されたタキシード。
首元まできっちり締めたシャツとタイに、息苦しささえ感じる。
髪も後ろに撫で付け整えられており、そのままなら上流階級の子息とも見えるだろう。
「うぇー……ダメダメ」
そう言って首を振ると、ジノーヴィーは締めていたタイを外してポケットにねじ込む。
シャツやタキシードのボタンも緩めて、髪もぐしゃぐしゃと手ぐしで乱す。
仮面は仕方なくつけたが、それ以外は開放感を感じ一気に呼吸が楽になった。
「よろしければお飲み物をどうぞ」
「あ、ども」
丁度側を通りがかったウェイターからウィスキーの水割りのロックグラスを受け取る。
チビリと唇を湿らせ、そのまま夜会のホールの出口に向かう。
ジノーヴィーの記憶にはダンスもあまり入っていないのだ。
踊るよりは休憩室で情報収集したほうがいいだろう。
悠々とダンスが開催される中央に背を向けて、扉から出ていく。
扉を閉めると、音が減って一気に静かになった。
微かにホールから管弦楽が聞こえる明るい廊下を進み、一番近い「休憩室」とプレートのかかったドアを開ける。
客がゆったり落ち着けるように、会場と比べれば少し明るさも装飾も抑えられている。
壁に掛かった時計は18時のまま止まっていた。
絨毯が引かれた部屋の中央には、ローテーブルと複数の柔らかな一人がけのソファが並ぶ。
ローテーブルの上には酒や炭酸水、水に氷、果汁、葉巻や軽食、つまみ、チョコレートなども用意されており、会場に行かずともこの場で楽しめる。
ジノーヴィーはゆったりとソファの一つに陣どり、持ってきた水割りをゆっくりと味わい、軽食を摘む。
(……さて、誰か来るまでのんびりするかね)
足をゆるく投げ出し、ソファにもたれて、のんびりすることしばらく。
カチャリとドアノブが回り、扉が開く。
立っていたのはやはり仮面で目元を隠した50代くらいの紳士だ。
「どーも、こんばんは」
「おやこんばんは、良い夜だね」
向かいの席に座った彼へ、ジノーヴィーはボトルを示す。
「水割り、どうだい?」
「ああ、いいねぇ。頼めるかい?」
「適当だけどな」
グラスについでやれば紳士は受け取り、ちびりちびりと飲み始め、ジノーヴィーは炭酸水を飲みながら会話する。
「料理はうまいし、酒もいいもんがあるんだが……何とも妙な夜会だよねぇ。ここに来たってことは、疲れちゃったクチ?」
「そうだね、少し年甲斐もなくはしゃいでしまってね。君は?」
「俺? 俺は最初からマトモに参加してねーよ。趣味じゃねーから」
「おや、そうなのかい。なら何故ここへ?」
夜会が趣味でない、というのならなぜここに来たのか、と紳士が眉を上げ訊ねれば、ジノーヴィーはにやりと笑う。
「最後の土産の事を調べてんだよ」
その答えは紳士にとって望ましいものだったか、満足げに微笑んで。
「なるほど、最後の土産か。0時になったらダンスホールに戻るといい。そこで配られるはずさ」
かちり、かちり。
問を口にした時から、壁の時計が動き始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
マクベス・メインクーン
おじさん(f16720)と
夜会かぁ……おじさんとダンスしてみたいなぁ
意識的に服装が決まるなら【変装】で女装も出来るかな
金髪のゆるふわウェーブヘアに
青いミディアムドレスとアクセサリー
これならおじさんと踊っても違和感ないよな?(青い仮面を付けながら笑い
おじさんはダンスは踊れる?
踊れないならオレがリードするけど
それじゃあ、オレに合わせてね?
ふふっ…燕尾服のおじさんもカッコいい…
ねぇグラナトさん、オレをずっと貴方の『青』にしてくれる?
ダンスが終わったら、最後のお土産について踊っていた人達に【情報収集】する
△
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
(燕尾服に赤い仮面)
ほぅ、なかなか華やかな雰囲気だな…。
夜会にダンス…縁はなかったが一応知識は…ふっ…俺はそればかりだな。
マクベスは…うむ、美しいな。やはり青がよく似合っている。いつもよりながい金の髪もよい…(髪が乱れない程度に柔らかく撫ぜ)
さて…折角の夜会だ。
共に踊るか?(そっと手を差し出し)
不慣れ故リードしてくれるというならまかせよう。
ただ俺はマクベスが映えるよう踊れればそれでいい。
あぁ、でもこの姿を他のものに見せるのは少々もったいないような気もするがな
俺だけの…いや、お前は私だけの『青』だよ
さて…土産は何を用意してくれているのだ?
(さりげなく従業員に聞く)
△
●踊る赤と青
「おわ……ホントに夜会だ……」
「ほぅ、なかなか華やかな雰囲気だな……」
マクベスとグラナトが二人並んでゲートをくぐると、そこは夜会の会場だった。
二人、自分の服装を確認する。
マクベスは金の緩くウェーブかかった髪を夜会巻きにセットし、青い小花の髪飾りを飾っていた。
ふくらはぎまでのエンパイアラインのアクアブルーのドレスはビーズで飾られ、波のようなサテンのドレープがふわりと体を包み込む。
華奢な左足には金のアンクレットを嵌め、足元は低めのヒールの、真珠のついたシンプルな黒いパンプス。
手にはシルバーで縁取られ、真珠色のスパンコールがついた青い仮面を持っていた。
マクベスが思う通りの女装姿がそこにあった。
グラナトは黒いタキシード。
髪はいつもよりしっかりと纏め、すっきり精悍な顔を見せている。
落ち着いた赤色のハンカチーフや、カフスボタンについた赤い石がアクセントになっていた。
指には柘榴石の指輪と、紺碧の指輪が飾られる。
精悍な雰囲気に合わせた装飾や服装は彼をより堂々と見せていた。
手に持っているのは炎をモチーフにしたようなデザインの赤いマスク。
二人、互いにパートナーの姿を見て微笑み合う。
「マクベスは……うむ、美しいな。やはり青がよく似合っている。いつもよりながい金の髪もよい……」
「ありがと。これならおじさんと踊っても違和感ないよな?」
普段より長い髪を優しく撫ぜるグラナトにマクベスは嬉しげに笑い、二人は仮面をつける。
「さて、このような夜会に縁はなかったが一応知識は……ふっ……俺はそればかりだな。今は、共に踊るか?」
「もちろん!」
縁がなかった、知識はある、などというのは少々野暮かもしれない。
ひとまず、夜会を楽しむことにしよう。
幸せな笑みを浮かべ、二人手を取りあい、曲が変わるタイミングにあわせてホールの中央へと進んでいった。
「ね、おじさんはダンスは踊れる?」
ホールの中央に手を握り、もう一方の腕に手を添えて寄り添ったグラナトに、マクベスは問いかける。
「ふむ、不慣れなのでな……リードしてくれるのか?」
「うん、任せて。それじゃあ、オレに合わせてね?」
クラナドと握った手を、寄り添った体を、視線を使ってマクベスが、音楽にあわせて踊りだす。
曲目はゆっくりとしたワルツ。
そのメロディーに合わせて赤と青が踊る。
青は赤を導いて音楽にあわせて優雅に舞い、羽のように軽やかに、ターン、ステップ、ターン。
ひらりとドレスの裾を翻して、楽しげに踊る。
(ふふっ……燕尾服のおじさんもカッコいい……)
赤は青をより際立たせようと、青に合わせてステップを踏み、ターンを補助する。
しっかりとパートナーをより美しく、鮮やかに際立たせて踊る。
(この姿を他のものに見せるのは少々もったいないような気もするが、な)
心通わせ、笑みを交わし、体を寄せ合って、ただ楽しく踊る。
音楽の盛り上がりに合わせて、触れるほどに顔を寄せて、囁きあう。
「ねぇグラナトさん、オレをずっと貴方の『青』にしてくれる?」
それは唯一になりたいという、彼の願い。
「俺だけの……いや、お前は私だけの『青』だよ」
それは唯一にしたいという彼の望み。
踊りにあわせて、そっと互いに唯一の約束を交わすのだった。
幸せなダンスが終わり、ホールの中央から一度端の方に引いた二人。
高揚した気分のまま、少しのどの乾きを覚えたマクベスのために、グラナトは飲み物を取りに行く。
一息ついて、ゆっくりと余韻に浸る残ったマクベスに女性が声をかけてくる。
「お二人とも、素敵なダンスでしたわね」
先程一緒の曲で、踊っていた女性だった。
扇で口元を隠す女性は上品な仕草で微笑んだ。
「ありがと、アンタも素敵だった」
「あら、お褒めに預かり光栄ですわ」
「なあここの夜会の最後、お土産が出るって聞いたんだけど……何なのか知ってる?」
「あら、最後のお土産。ええ、そうね、若い子も大人も、きっとみんな好きなものですよ」
近くを通りがかったウェイターから飲み物を受け取り、グラナトは褒めながら一つ問いかけた。
「中々のもてなしに感謝する。さて……土産は何を用意してくれているのだ?」
「お褒めいただき、ありがとうございます。最後にお出しするおみやげでございますが、きっと皆様に楽しんでいただけるものでしょう」
かちり、かちり、かちり、かちり。
遠くで時計の針が、ゆっくりと進んでいった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
ふふ、仮面舞踏会ですか
以前の所有者に踊りの作法を教え込まれたのがこんな時に役立つとは
黒の燕尾服を着ましょうか
気分はインナモラートですが、イル・ドットーレの仮面をつけましょう
お手を拝借しますよ、今日も素敵に格好いいザッフィーロ君
僕はフォローに回りましょう
こうして踊るのは二度目ですね
相変わらず頼もしく、きみのリードは踊りやすい
こうしてただ踊っているだけでも幸せですね
このような時間がずっと長く続けばいいのに
ああそうそう、最後のお土産のことを調べないといけないのでした
手が離れるのは寂しいものですが、傍へと行きましょう
ええ、抜かりなく調査を行わなければ
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
マスカレードか…アースに居た頃に所有者の指の上から見た事があるな
あの時は己が踊るとは思いもよらなかったが…折角の機会ゆえ楽しませて貰おう
宵は燕尾服を着るのか?
ならば俺も宵と揃いの黒の燕尾服と目元を隠す黒のベネチアンマスクを着用して参加をしよう
宵こそ似合っているではないか
忍びで来て居る貴族と言われても誰も疑わんかもしれんな
ワルツを踊る時は以前共に踊った時と同じくリード側に回らせて貰おう
心地よい音楽と共に宵と踊る時間は本当に楽しく…終わりを考えると惜しくなってしまう
だが、依頼で来ているからな。土産の事も調べんといかん故に
踊りが終ったら名残惜し気に手を離そう
さて、気を引き締めていくか
●永久のワルツを願えども
「ふふ、仮面舞踏会ですか」
宵とザッフィーロも、ゲートを抜けた途端夜会のホールに立っていた。
正装の老若男女が明るく華やかに飾られたホールで思い思いに楽しみ、さざめきあっている。
「マスカレードか…アースに居た頃に所有者の指の上から見た事があるな」
聖職者とて夜会に呼ばれることはあったゆえ、ザッフィーロも司教の指輪の時分に見たことがある。
(あの時は己が踊るとは思いもよらなかったが……折角の機会ゆえ楽しませて貰おう)
人の身となって踊るとは、不思議な巡りあわせと思いつつ、彼らは夜会ホールの中心を目指す。
宵の気分としては恋人の役割を表すインナモラートだが、残念なことに仮面のない役柄である。
故にこの場ではシンプルな黒い額覆いに大きな鼻のイル・ドットーレ、博識な人物の仮面をつけていた。
髪は首元で縛り、宵髪の飾をつけている。
ザッフィーロは顔の半分を覆う黒の麗しのコロンビーナ。
目元を覆う艷やかな黒い紙製の仮面に金糸の刺繍、青いビーズがあしらわれている。
彼らの身を包む揃いの燕尾服は黒。
胸元には銀のLa croce di benedizione。
どちらも首元は白でまとめられたホワイトタイの正装。
小物のカフスボタンやハンカチーフに、彼らの青や夜色があしらわれていた。
髪を撫で付け後ろに流した美丈夫二人は、曲目の入れ替わりに合わせ、ホール中央へと並び立つ。
「さて、お手を拝借しますよ、今日も素敵に格好いいザッフィーロ君」
「宵こそ似合っているではないか。忍びで来て居る貴族と言われても誰も疑わんかもしれんな」
二人手を取り、ザッフィーロのリードで3拍子で軽やかに流れる管弦の調べに合わせ、ワルツを踊る。
「こうして踊るのは二度目ですね」
「そうだな、あの時も楽しいものだった」
「相変わらず頼もしく、きみのリードは踊りやすい」
「宵のフォローあってこそだ」
キマイラフューチャーでのダンスバトルでもワルツを踊った二人。
あの時もザッフィーロがリードし、宵がフォローするという形だった。
舞踏会にてずっと踊るさまを見てきたザッフィーロ、以前の所有者に踊りを教えこまれた宵。
くるり、くるりとターンを軽く決め、ステップを鮮やかに踏み、ワルツを踊る。
背丈が近い二人がこうも容易く華麗に踊れるのは、心得があるだけでなく、互いの心が通い合うからだろうか。
「心地よい音楽と共に宵と踊る時間は本当に楽しく……終わりを考えると惜しくなってしまうな」
「こうしてただ踊っているだけでも幸せですね。このような時間がずっと長く続けばいいのに」
身を寄せ、囁き合う二人が思うのは同じこと。
ただ踊るだけのこの尊い時間が、ずっと続けばいい。
終わりなど来ないで、二人、ただ共に在れたら。
そう思えど曲は徐々にフィナーレ目指して盛り上がり、このワルツも終わりを迎えた。
互いに礼を交わし、名残惜しげに繋いだ手を離して次に踊る者たちと入れ替わるザッフィーロと宵。
「……依頼で来ているからな。土産の事も調べんといかん」
「ああそうそう、最後のお土産のことを調べないといけないのでした」
余韻を残しながらも目的のために意識を切り替える宵とザッフィーロ。
「さて、気を引き締めていくか」
「ええ、抜かりなく調査を行わなければ」
さて、誰に話を聞こうかと辺りを見渡す彼らのもとに、ザンニの仮面の男が話しかけて来た。
「やあ、楽しまれてますか?」
鼻の長い仮面をした男はどこかおどけた仕草で宵とザッフィーロに礼をする。
渡りに船だろう、と二人は最後の土産を聞くことにする。
「ああ、楽しい夜会で良いな。一つ、聞きたいことがあるのだが」
「おお歓迎ですよ、何でも聞いてください」
「では、最後のお土産についてご存じですか?」
「ああ、最後の土産!」
男は手を打ち鳴らし、明るい声で答える。
「それは魅惑の代物、時には熱く恋に例えられるような、素晴らしいものですよ!」
かちり、かちり。
かちり、かちり。
時計の針は止まらず、夜会の終わりへ進み続ける。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
オリオ・イェラキ
あら、新しいドレスも夜空色ね
とても幸せ。仮面も素敵
終わったら同じものをオーダーしようかしら
会場、良い飾り付けですわ
こんな場でなければもっと褒め称えたいくらい
では早速。シャンパンを頂きましょう
グラス片手に貴婦人達と談笑を
礼儀は優雅に、それでいて華やかさが少し香る程度振る舞えたら上出来
まぁ、仮面の紳士さま。わたくしとダンスを?
でもごめんなさい。わたくし、パーティでダンスを踊る時は最初の方が決まってますの
その方が今夜は居ないので。踊れませんわ
にこり笑顔も、上品に
後はこっそり、軽食を味わいたいの
昔もよく夜会の輪を抜けて夜空を見ながら頂いたものですわ
あら美味しい
堪能した後は最後のお土産の事、調べましょう
●夜の貴婦人
「あら、新しいドレスも夜空色ね」
オリオが夜会のホールに立ったとき、着用していたのは夜空のようなドレスだった。
袖のないボールガウンのドレスは、艷やかな黒の布に煌めく細かなクリスタルビーズを縫い付けてある。
デコルテから首元までは滑らかなサテンで覆われ、ロンググローブも揃いの光沢のあるサテン。
ちらりと覗く月色のハイヒールがアクセントになっている。
手にしている仮面も夜色のマスカレード。
黒い羽飾りに赤いビーズ、銀の刺繍で縁取られ、リボンで止められるようになっていた。
髪を結い上げて立つ姿は夜の女神のようでもあった。
「とても幸せ。仮面も素敵。ふふ、終わったら同じものをオーダーしようかしら」
シャンデリアやランプの明かりは曇りなく会場を照らしている。
壁には所々に精緻なタペストリーや品のいい絵画が飾られ、踊らないものの目を楽しませる。
花瓶や調度品も華美すぎず、質素すぎず。
訪れた者に楽しさと華やかさを十分味わえるよう計算された飾り付けに、オリオもため息をもらす。
呪詛によって紡がれた場でなければ、褒め称えたいほどだった。
早速、シャンパンをウェイターから受け取り、オリオはグラス片手に辺りの貴婦人達と談笑を始める。
その振る舞いは優雅かつ、香るような華やかさ。
「麗しき御婦人、一曲お相手願えますかな?」
「まぁ、わたくしとダンスを?」
その姿が目に止まったか、オリオのもとに、赤い仮面の紳士がダンスの誘いをかけてきた。
「でもごめんなさい。わたくし、パーティでダンスを踊る時は最初の方が決まってますの」
オリオのファーストダンスの相手、雄々しき彼がいないなら、この夜で踊ることはない。
指にしているγεράκιを撫で、にこりと上品に微笑み、けれどきちんと断りの言葉を紡ぐ。
「その方が今夜は居ないので。踊れませんわ」
「それは残念。では、失礼しましょう。どうぞ楽しい夜会を」
「ありがとう、貴方も」
紳士は穏やかに、礼を交して去っていく。
これを機に、貴婦人たちの輪の中からそっと抜け出した。
軽食は食べやすいよう一口で供されており、側に立つウェイターに欲しいものを示せば、綺麗に盛り分けられる。
オリオは甘いサンドイッチやプチフールを盛り分けてもらい、窓際のテーブルへと向かった。
(昔もよく夜会の輪を抜けて夜空見ながら頂いたものですわ)
上品に美味を堪能し、記憶の夜会に思いを馳せた。
さて最後の土産を調べようと席をたつ。
そこに訪れたのは、黒い仮面の年配の紳士。
「御婦人、楽しまれておりますかな?」
「ええ、堪能させていただきましたわ」
「それは重畳。お困りごとはございませんか?」
「いえ、特に……ああ、困りごとではありませんが、一つお尋ねしても?」
老紳士はどうぞ、というように手を翻した。
「噂に聞いたのですけれど、最後のお土産、どのようなものでしょうか」
「ふむ、最後の土産ですな。それは色も形も、千差万別。人々を魅了する代物でしょう」
かちり、かちり。
夜はとどまることなく、更けていく。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・語
◎【ヤド箱】で自由行動
基本的に単独
正装だと落ち着くのは袴なんだが、この場だと浮きそうなんで、この前アルワダで作った制服で。
ダンスとかはわからないから、暫くは壁に寄りかかって、さっきの思考の続きを。
どうせ回遊魚みたくぐるぐるして答えは出ないだろうし、適当に甘いものと軽食をくすねて、裏に情報収集しに行ってみようか。
このあと出てくるものとか、教団がなんでそんなの呼び出そうとしたのかとか、最後のお土産の事とか今回の件に関係ありそうなことがあればいいが…さて、どこまで期待できるか。
もし、怪しまれるようなら従業員の制服着て紛れ込む【変装】
●
語がゲートをくぐると、やはり夜会の会場だった。
いつの間にか、以前アルダワ魔法学園で助けを借りながら自分で作成した制服を着用している。
ラインが綺麗に出る紺の詰め襟、腰に茶色の革のベルト、鳥の細工の施された金ボタン。
ぴんと背筋を伸ばした語の体にフィットした作り。
靴はシックな艶消しの黒のショートブーツ。
こうしてみると軍服のようにも見えるだろうか。
揃いの帽子は今は被らず、代わりに鳥をモチーフにした白い仮面を着用している。
(正装なら袴のほうが落ち着くんだが、ここじゃあ浮きそうだな)
ダンスはよくわからないし、こういった場でのマナーも少し心許ない。
まずは様子見、と久々の詰め襟に落ち着かなさを感じながら、ひとまず壁に寄りかかって会場を眺める。
華やかな装いで手を取り合い、ステップを軽やかに踏み、巡る姿は華麗で美しい。
入れ替わり立ち替わり、くるりくるり。
それは今の語には、思い悩む思考が浮き沈みする様に重なって見えた。
(ぐるぐる、ぐるり)
物思いに耽ってみても、先程見た回遊魚と同じ、いつまでも同じところを堂々巡りで巡るだけ。
このまま立っていても答えは出ないだろう。
ため息一つついて、語は近くのテーブルからプチフールやチョコレート、オードブルをウェイターに取り分けてもらい、摘む。
「なあ、ちょっといいかい?」
「いかがなされました、お客様」
「このあと何が出るんだい?」
「最後に皆様にお持ちいただく、お土産でございます」
「……? 何か、人とか生き物が出るんじゃないのか?」
「いいえ、そういったものの出演はございません」
事前の情報では0時まで時間が進めばオブリビオンが出てくる、と言っていたが。
何か認識がずれるような呪詛なのだろうか。
少し、踏み込んで話を聞いてみるか、と語は疑問を口にした。
「なあ、教団って知ってるか?」
その単語を口にした途端、従業員の雰囲気が少し柔らかくなった。
仲間を認めたような、そんな感じだ。
「教団……お客様は、洒落の方にご縁があるのでしょうか?」
「洒落の方?」
「洒落の人、言葉遊びの人、言葉結びの人……そんな風に呼ばれる方でございます。この場の呪詛をこの形に整えた方」
例えば今回なら、夜の海を夜の「かい」、夜の会と掛けて結んで、呪詛を唱えるUDCが潜む夜会へと繋ぐ。
場合によっては物事とUDCを直接掛けて結ぶ場合もあるとか。
「駄洒落に近いと言いますか……まあ、そんなものでも言霊になるのだとか」
結構いい加減で力の弱いものだそうです、と舞台装置は語った。
外から来た者以外にいる、この場の人のようなものは呪詛の場の舞台装置だ。
表面上は仮面舞踏会の参加者や従業員として、教団を知っているなら、少し今回の裏話を。
戦う力は備えられていない。
「舞踏会をらしく整えるので精一杯ですし、本当は訪れる方を長く留めて、エネルギーにしようとしたらしいのです」
全ては最後のお土産のために。
しかし、そのお土産が時を動かす仕組みを組み込んだ。
それが、「最後の土産を尋ねる」こと。
「……最後のお土産、って何なんだ?」
「最後のお土産でございますね。甘く薫り高い、艷やかで見た目もよいものでございます」
かちり、かちり。
くるり、くるり、くるくる。時計の針は巡り続ける。
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
◎【ヤド箱】
主にファンと行動
ん……。
次は、ダンスパーティ、かな。
さしずめ、仮面舞踏会。だね。
折角だから、参加しながら、情報収集しよう。
仮面は、自分が付けているいつもので問題ないし、
服装も、前に作った、貴族制服、あるから、そっちで。
……んと、ファン。
その……、自分と、踊ってくれないかな。
依頼中で、申し訳ないけど、
踊るなら、やっぱり、ファンじゃ無いと、駄目なんだ。
……それに、前から、少しは練習したから、
それなりに、踊れるように、なったんだよ。
踊りと、踊りの、休憩の時間に、情報収集。
この場所のこととか、参加者のこと。
もちろん、お土産についても、ね。
……でも、踊っている間は、ファンだけ、見ているよ。
ファン・ティンタン
◎
【POW】仮面舞踏
【ヤド箱】で参加
主にペインと行動
概念型UDCの唐突さには驚かないつもりだったけれど…仮面舞踏会、か
ペインには、丁度良い舞台設定だね?
ペインの服に合わせて、自身も以前仕立てたメイド服へ
少々、演劇じみた感じになるけれど、ま、それも【パフォーマンス】の一つということで
想像で色んな道具が準備出来るなら…そうだね、ペインの仮面を、私にも
さながら、仮面の主従…って、ね?
演じるべく、心にも仮面を
―――さ、御主人様、お手を
【ダンス】の準備は整っておりますよ
…上達、なさられました?
場に溶け込めたなら適宜【情報収集】
夜会の人々は何者で何処から来た?
そう言えば、お土産
くらげぐるみでも貰えるのかな
●赤髪の貴族と白黒チャイナメイド
「ん……。次は、ダンスパーティ、かな」
ペインとファンもいつの間にか着替えさせられて、不思議な夜会に二人並んで立っていた。
ペインが着ているのは貴族風にも見える制服。
以前アルダワ魔法学園で作成した、金の縁取りがされた比較的明るめの紺色地の上着。
肩につけられた金の飾りとボタン部分に繋がる金の鎖が垂れ下がり、袖部分にも金の刺繍が施されている。
ズボンは紺色が映える明るい白。
ペインの赤い髪と上着の紺のコントラストがよく映えるが、見た目だけでなく武装の機能面も整えられている。
袖や胴のポケットや隠し、目立つ飾りにそっと隠した拷問具や仕込みワイヤーなど、武器を隠してあるのだ。
仮面はいつものシンプルな白い仮面。
隣に立つファンは、やはりアルダワ魔法学園で作成した、ちょっと変わったデザインのメイド服。
白の長袖に白の長い、裾に黒いラインの入ったスカート。
その下からは可愛らしくフリルが覗いている。
右サイドの深いスリットはホックで止めて、今はおしとやかに。
エプロン代わりの上着は、黒地のノースリーブで、肩口には白のフリル。
チャイナカラーで後ろにいくにつれて長さを増しており、前開きの胸元は白い紐と腰元の白布で締め。
襟元のリボンと縁取りの赤が、上着の生地とフリルの黒によく映えている。
黒地に白ラインのヘッドドレスに黒のタイツ、白のパンプスと揃えば、愛らしいチャイナ風メイドの出で立ちだ。
手にした仮面はペインと揃いの白い仮面。
並び立つ様は、さながら仮面の主従というところか。
「さしずめ、仮面舞踏会。だね」
周りの皆も着飾り、ダンスを踊ったり、歓談する様はファンの言う通りだろう。
「概念型UDCの唐突さには驚かないつもりだったけれど……仮面舞踏会、か。ペインには、丁度良い舞台設定だね?」
ちょん、と白い指先で手にした揃いの仮面を突きながらファンは呟く。
常日ごろから仮面をつけているペインにはぴったりではないかと、からかっているのだ。
そのまま仮面を目元につけて、ファンはメイドの仮面を心にもつける。
装いに合わせた振る舞いを、演じるために。
「……んと、ファン」
「はい、何でしょうか?」
ペインはおずおずと、少し緊張した面持ちでファンへ手を差し出す。
「その……自分と、踊ってくれないかな」
「私と、ダンスを?」
「うん。依頼中で、申し訳ないけど、踊るなら、やっぱり、ファンじゃ無いと、駄目なんだ」
誰よりも大切な君とだけ、踊りたい。
「……上達、なさいました?」
「うん。前から、少しは練習したから、それなりに、踊れるように、なったんだよ」
だからお願い、と言うペインにそっとファンは手を差し出した。
「──さ、御主人様、お手を」
踊りの誘いなら、手を差し出さないと。
「ダンスの準備は整っておりますよ?」
ペインは差し出された手を少し見つめて、照れくさそうに微笑むとそっとファンの手を取った。
見目初々しい主従のような二人が手を取り、程よいテンポのワルツで踊る様は見ていて微笑ましい。
多少ちぐはぐかとファンは考えたが、この場の者は気にしていないようだった。
ペインはただファンを見つめ、うれしげに踊っている。
ファンもそんなペインの顔を見れば、むずむずするような、弾むような心持ちでダンスに集中するのだった。
楽しい一曲が終わり、踊る人々の入れ替えが行われる。
二人は、この間に情報収集をすることにした。
話好きそうな男女のペアがやはり踊りを終えて盛り上がっており、そこに声をかける。
「すみません、少々お聞きしたいことが」
「あら、かわいらしいご主人様にメイドさん!」
「どうぞどうぞ、分かれば何でも答えるよ!」
陽気に半分の仮面をつけた彼らは気軽に応じた。
女性がその場に通りがかったウェイターを呼び止め、ジュースを進められるので、二人とも受け取り、喉の乾きを癒やして話を進める。
「ここは、どこなんですか?」
「ここは永遠の夜会!」
「ずっと踊って、楽しんでいられる場ですの」
「あの、あなた達はどこからいらしたのですか」
その問いに陽気な男女は明るい笑顔を浮かべる。
「あら外からのお客人でしたの? お会い出来てうれしいわ」
「僕らは皆舞台装置の一つさ! お客人がこの場の皆で楽しく過ごせるように」
はぐらかすことなく彼らは答える。
そう整えられているから。
「最後のお土産って、何ですか」
「くらげぐるみとか?」
「最後のお土産かい? いいねぬいぐるみも!」
「そうね! でも残念だけど、ぬいぐるみではないの。甘い、あまぁい、幸せよ!」
かちりかちり、かちりかちり。
会場全部を包む永遠は、もうない。
時間は進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・アルゲン
◎【ヤド箱】
主にカガリと行動
出口を出たら夜会ですか
呪詛の影響でしたか…仕組みが気になりますね
服装はこのままで仮面を付けましょう
王宮の夜会に招かれたりしますから馴染み深いですが
この場では別の仮面も…品行方正な騎士の面も被ってしまいますね
では私と一曲、踊ってくださいますか?
令嬢を誘うかのようにカガリに手を差し出して
…まさか手を差し返されるとは
そのまま差し出された手を取りましょうか
私がリードしつつダンスを教えるように踊ります
好きな人と踊るのは初めてですね
心なしか足取りが軽くなっている
仮面があって良かったかもしれない
今の私はきっと顔が赤いでしょうから
そういえばお土産とはなんでしょうね?
調べてなくては
出水宮・カガリ
◎【ヤド箱】
主にステラと行動
水族館から、夜会のホールか
洒落た呪詛なのだなぁ…
ステラはその衣装のままか
ならば、カガリもこのままで
防具を外す程度はするか
仮面をつけると、ステラの顔がわかりにくくで嫌だなぁ…
カガリはダンスに馴染みがないので
(キマイラフューチャーで踊った程度)
よろしくご教授の程を、というやつだ
差し出された手を、教えと勘違いして真似する
胸に手を当て、片手を差し出して。
一曲、踊って頂けますか? と
…おや、これは手を取るべきだったのか
常に身を寄せながら歩みを揃える、というのは
呼吸も同じくしているようで、楽しいものだな
ほかならぬステラなら、尚更
最後の土産についても調べておくな
●騎士と甘いダンス
「出口を出たら夜会ですか」
明るく煌めく会場にステラは目を少し丸くした。
先程まで深い夜の海にいたと思えば、今度は明るいダンスホール。
「水族館から、夜会のホールか」
隣にいるカガリも少し首を傾げながら、感心したふうに言う。
「洒落た呪詛なのだなぁ……」
「そうですね……仕組みが気になりますね」
二人の装いはいつもと同じ騎士の装いである。
ステラは白の騎士服。
青と落ち着いた真鍮色のアクセントが凛々しい雰囲気をかもしている。
靡く後ろの裾と、青いマントが涼しやかだ。
銀の髪を首元で結んでいるのもいつも通りだが、何故か今は青い細いリボンで結ばれていた。
仮面はシンプルな青い目元を覆う仮面。
並ぶカガリは黒いインナーに白と黒い縁取りの軍服。
常と違い籠手や肩当てを外した軽装である。
金に縁取られたサッシュと腰から流れる飾りの赤が色を添え、紫の裏地の黒いマントが落ち着きを与えていた。
手にした仮面はステラと揃いの形の白い仮面。
並ぶ姿は凛々しい二人の騎士が立つ姿そのものだった。
「王宮の夜会に招かれたりしますから馴染み深いです」
ただこの場では心に別の、品行方正な騎士のペルソナも被ってしまうだろう。
そんなふうにつぶやきながら仮面を付ければ、視線を感じる。
隣を見ると、カガリがじっと仮面をつけたステラの顔を見つめていた。
「カガリ、どうしました?」
「仮面をつけると、ステラの顔がわかりにくくで嫌だなぁ……」
なんともマイペースに、少し不満げに、愛しのステラの顔が分かりづらくて嫌、と不満をもらしていた。
現在流れる曲が終わりに近づく。
せっかくだからカガリと一曲踊ろうと、このような場に慣れぬ彼に、令嬢を誘うかのごとく手を差し伸べた。
「私と一曲、踊ってくださいますか?」
カガリは以前キマイラフューチャーにてダンスを踊った位しか心得がないため、差し出された手をこうして誘うのだ、という教えと勘違いした。
なのでステラの真似をして、胸に手を当てもう一方の手を彼女に差し出して微笑んだ。
「一曲、踊って頂けますか?」
「……まさか手を差し返されるとは」
「手を取るべきだったのか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
ちょっとびっくりしつつ、ステラは笑ってカガリの手を取った。
二人、曲の合間の入れ替わりに合わせてホールの中央に向かい手を繋ぐ。
始まったワルツの曲にあわせて、ステラのリードで踊り始めた。
ダンスのレッスンのように、ステラがカガリにダンスの姿勢やステップの基礎、動きの基本を教えながら踊っていく。
しばし集中して何度かステップを踏めば、カガリも少し慣れて話す余裕が生まれる。
管弦の調べに合わせて踊りながら、カガリはそっとステラの耳にささやく。
「常に身を寄せながら歩みを揃える、というのは、呼吸も同じくしているようで、楽しいものだな」
息を合わせ、身を寄せて一つになって踊るのはとても楽しい。
心まで寄せなければ息があったダンスは踊れないだろう。
「ほかならぬステラなら、尚更」
楽しいし、幸せだと。
カガリは愛する人へ微笑む。
「私も……好きな人と踊るのは初めてですね」
ステラもふわふわした心地に、心なしかステップも軽く、優雅に踊る。
カガリと二人、手を取り踊るのは楽しく、やはり幸せで。
「今は、仮面があって良かったかもしれません」
「何故?」
「それは……秘密、だ」
そういうステラの僅かに覗いた耳は、赤かった。
何曲か踊って、少し疲れたためカガリとステラは一度休憩しようとホールの中央から一度離れた。
ウェイターから飲み物を受け取り、辺りを観察していると仮面の女性が話しかけてきた。
「まあまあ、お二人とも素敵ですね」
「ダンスもお上手で、素晴らしかったです!」
どこかはしゃいだ様子できゃっきゃと話しかけてくるドレスの女性二人。
ステラは丁度いいとばかりに微笑みを浮かべて話しかける。
「お嬢さん方も美しいですよ」
にっこり仮面に隠れているが人たらしの笑顔を浮かべて答えれば、より若い女性ははしゃぎだす。
カガリは逆にマイペースに、質問した。
「最後の土産、というものがあるそうなのだが」
「ああ、最後のお土産! 騎士様もきっと気に入りますわ! 美味しいものですので!」
「そうなんですか? お嬢さん方もお好きで?」
「ええ勿論! 甘くとろける、幸せですわ」
かちりかちり、かちり、かちり。
もうすぐ終わりも近い。
最後の土産はもうすぐそこに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
彩花・涼
一六八(f00429)と
夜会か…服装が変わるとは
まず普通の場所ではなさそうだな
参加者らしくドレス姿になったか…まぁ馴染むにはこの格好が適切だな
(蝶モチーフの仮面を付け)
さて一六八、この後はどうする?
(手を差し出され)
自分でやって笑うとは…
まぁいい、ではリードしてもらうか
久しくダンスは踊っていないからな…
お手柔らかに頼むぞ?
(一六八がふざけて踊ったら)
お前の嘘は嘘の場合が多いと思うんだが…
まぁいい、だいぶ感覚を思い出してきたからな
ここからは私がリードしよう
ダンスが終わったなら、近くのスタッフから飲み物を貰う際にお土産とやらについて
それとなく聞いてみよう
零落・一六八
涼さん(f01922)と
(グレーのパーティースーツにおなじみの黒狐面)
(ビュッフェであれもこれもととってもぐもぐ)
(聞かれて)
うーん、そうですね
…レディ、一曲踊っていただけませんか?
(傅いて手を差し出す)
(だがじわじわとこみ上げてくる笑い)
ぶっはははは!キャラじゃなさ過ぎてうけますね!
でもちょっとサマにはなってたでしょ?
リードは任せておいてください
(意外とちゃんと踊れる)
結構上手いでしょ?
これでもボクはいいところのお坊ちゃんだったんですよ
まあ、嘘ですけれど
(リードが変わり)
ひゅうー!涼さんやるぅー!
まぁたまにはこうして誰かと踊ってみるのも楽しいものですね
それが終わったら最後のお土産の事を調べる
●
「夜会か……服装が変わるとはまず普通の場所ではなさそうだな」
そういう涼のドレスは落ち着いた青と濃い茶のドレス。
裾から見える重ねの記事は上から白いドット、白いラインの縁取り、ストライプ。
細身の腰には花の飾りと後ろについたストライプのリボンがアクセントになっている。
髪はドレスの共布のリボンで纏められ、袖と揃いの花飾りがつけられていて可愛らしい。
手にした仮面は涼の蝶のシルバーピアスとよく似た蝶モチーフの仮面だった。
「そうですね、乾いた服でラッキーですね! あ、ドレス似合ってますよ」
先程イルカショーで濡れた服から着替えられて一六八は快適、と早速ビュッフェからあれこれ好きなもの、気になったものを取り分けてもらいぱくついていた。
一六八は細身の濃いチャコールグレーのパーティースーツをそつなく着こなし、足元は黒のプレーントゥの革靴。
貝ボタンの白いシャツにシンプルなボウタイをしており、それだけ見れば良家の子息といった風体だ。
仮面はいつもおなじみの黒狐面を斜めにかけている。
「結構おいしいですよ、ご飯」
「そうか、よかったな」
一六八には好きなだけ食べれるビュッフェスタイルは好ましいものだったのだろうか。
結構な量があった皿を空にしていく一六八を微笑ましげに見つめて、涼は尋ねる。
「さて一六八、この後はどうする?」
「うーん、そうですね」
食べ終えた皿を近くのテーブルにおいて一拍悩み。
それから一六八はすっと優雅に涼の前に傅いて、手を差し出す。
「……レディ、一曲踊っていただけませんか?」
いつも楽しげな笑いを浮かべた顔をきりっと引き締め、切れ長の目を真剣にじっと涼に向ける。
が、その顔と態度は長く持たなかった。
すぐにじわじわと笑いがこみ上げてきており、口が歪み頬が震える。
「…………」
「……ぶっ、く……ぶっはははは!キャラじゃなさ過ぎてうけますね!」
臨界点を突破した笑いは口から吹き出した。
涼はほんのり呆れを滲ませて一つ息をつく。
「自分でやって笑うとは……」
「でもちょっとサマにはなってたでしょ?
リードは任せておいてください」
いつもの自由気ままな笑みを受かべて一六八が差し出し直した手に、涼は自身の手を重ねる。
「まぁいい、ではリードしてもらうか。久しくダンスは踊っていないからな……お手柔らかに頼むぞ?」
二人、手を取り合いホールの中央で立ち、始まったワルツに合わせて踊る。
ふざけてデタラメに踊るかと思えば、意外なことにちゃんと一六八はステップを踏んでリードしてくれる。
「結構上手いでしょ?これでもボクはいいところのお坊ちゃんだったんですよ」
「確かにうまいな」
「まあ、嘘ですけれど」
「お前の嘘は嘘の場合が多いと思うんだが……」
いつもの通り、にししと笑って嘯く一六八をジト目で見つめる涼。
「まぁいい、だいぶ感覚を思い出してきたからな。ここからは私がリードしよう」
次のステップからは涼のリードに変わる。
先程より踊りやすくなったリードに一六八はひゅう、と感嘆の息をもらした。
「すっげー! 涼さんやるぅー!」
「ふふん、だろう?」
少しお茶目に、涼は胸を張る。
「まぁたまにはこうして誰かと踊ってみるのも楽しいものですね」
「そうだな、たまにはいいな」
くるりくるり、二人軽やかにワルツを踊るのは意外にも楽しくて。
一六八と涼は二人微笑み合うのだった。
曲終わったら、二人はホールの中央から離れて飲み物を貰おうとウェイターを探す。
ちょうど飲み物を持って回っていたウェイターが近くに来たとき目を合わせて、頷いて呼び寄せる。
「どうぞ」
「ありがとう」
「ありがとーございます」
差し出されたカクテルグラスを手に取り、二人はそのまま尋ねる。
「なあ、お土産とやらがあるって聞いたんだが」
「はい、最後のお土産でございますね」
「いったいどんなものなんです?」
「ええ、それはもう。皆様が一度は見たことがある、美味しいものでございます」
かちり、かちり、かちり。
時計の針が、0時を指した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『チョコっとショコラーズ』
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POW : カロリー・イズ・ジャスティス
戦闘中に食べた【チョコレート】の量と質に応じて【身体のツヤと素早さが増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 一口チョコの誘惑
レベル×5体の、小型の戦闘用【チョコレート製ロボット】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : チョコレートーテムポール
【大きなトーテムポール】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●おみやげはチョコレート
ぼーん、ぼーん、ぼーん。
0時を指した時計から、ホール全体に響き渡る音量で鐘が鳴る。
「皆様、本日はご参加いただきありがとうございます」
主催者役であろうか、一人の紳士が何かを乗せて布がかけられたワゴンを押すウェイターを連れてホールに入ってきた。
「夜会も終わりの刻限となってしまいました。参加していただいた皆様に、最後のお土産でございます」
紳士が布を取り払うと、そこにあったのは──チョコレート。
つやつやでまんまる、甘い香りを漂わせており、好きなものにはたまらない。
蕩けて誘惑する、熱くもすばらしいチョコレート。
正確にはチョコレート姿のオブリビオン、チョコっとショコラーズだった。
身も心もギフト箱入りのチョコになりきっているオブリビオン達。
一般人でも倒せる程弱く、倒すとそれぞれの味の美味しいチョコを落とす。
上から時計回りにミルク、ホワイト、ナッツ、イチゴ、ビター。
なお栄養価は高い。
「さあ、どうぞお持ち帰りください!」
その紳士の言葉を皮切りに会場にいた猟兵以外の人々はすべて消え失せ、チョコっとショコラーズが残るのみだった。
さあ、食べて食べて!
ジノーヴィー・マルス
◎
さ、おっさんの言ってた時間も近いしそろそろホールに行くか。
…で、0時になって土産が配られる、と。なになに?
……えっと、チョコ?ん?んん?
なんかこう、もうちょっと恐ろしいの想像してたんだけど?
もう仮面付けた奴がブツブツ言いながら襲いかかってくるかと思ったんだけど?
いやお持ち帰りくださいったってお前よ……って消えちまったよ。
まぁしゃあねーか。ダンスをサボっちまった手前フィットネスまで不参加な訳にもいかねぇわな。
……「分身使って楽する」かね。
忍ばせておいたダガーで分身と協力して撃破していくぜ。
しかし倒したらこいつらチョコ落としてった。まぁ、食ってくれってんなら遠慮なく頂こうか。
●仮面ホラーじゃなかった
(さ、おっさんの言ってた時間も近いしそろそろホールに行くか)
ジノーヴィーはゆったり休憩室で過ごしたあと、0時数分前ににホールへ戻ってきていた。
ほんの少し待てば0時の鐘がなり、ワゴンと紳士がホールの中央に進み出てくる。
(お、来たな。なになに?)
ざわめく群衆の中から眺めれb,口上を述べる男の後ろに何やら重ねられた荷物がある。
身振りと声にあわせて、布が外されて出てきたのはチョコの入ったギフトパッケージ。
(ん? んん?)
あまり想定していない物が出てきてじっと目を凝らす。
「なんかこう、もうちょっと恐ろしいの想像してたんだけど?」
ジノーヴィーが想像していたのは、もっとおどろおどろしいホラーだった。
この会場は敵の根城だ、ならば猟兵以外全て敵になってもおかしくない。
故に。
「もう仮面付けた奴がブツブツ言いながら襲いかかってくるかと思ったんだけど?」
──雰囲気たっぷりの夜会ホール、豪華な建物、楽しむ参加者達。
ところが0時の鐘の音に合わせて出てきた紳士の土産という言葉とともに、電気やロウソクが何故か消えて辺りは真っ暗になる。
突如響いた稲光で浮かび上がるのは仮面をつけた参加者やスタッフ達。
口々に怨嗟をぶつぶつ呟きながら襲いかかってくる、そう土産とは、呪詛とは、この暴力なのだと──。
というような、ホラー系の恐ろしいと表現できそうな物を想像していた。
呪詛系オブリビオンだし。
実際にはやけにコミカルなチョコなオブリビオン。
しかもお持ち帰り希望である。
「いやお持ち帰りくださいったってお前よ……って消えちまったよ」
紳士のセリフとともに周囲の人々も消え、残ったのは猟兵とチョコっとショコラーズの群れであった。
さて、早速ショコラーズが「食べて食べて!」と、一口チョコロボットの大群を呼び出し、自分たちをジノーヴィーへと運ばせた。
つぶらな目でジノーヴィーを見ている。
あと一口チョコロボットは無駄に数が多い。
ちょっと倒すのに手数が入りそうで、少しげんなりする。
「……まぁしゃあねーか。ダンスをサボっちまった手前フィットネスまで不参加な訳にもいかねぇわな」
気怠げにため息つきつつ、分身使って楽するためにもう一人の自分を呼び出す。
「ほら働け働けー」
「お前も働けー」
「俺だもんなぁ」
同じ思考をする分身なら、相手を働かせようとする考えたに至るのは必然か。
ジノーヴィーと分身は、忍ばせていたダガーでチョコっとショコラーズと一口チョコメカの群れをぺちぺち叩いていく。
ちょこちょこ飛んだり跳ねたりしていた彼らは一発軽く叩かれると、ぽんと弾けていくつかチョコを落としていった。
「まぁ、食ってくれってんなら遠慮なく頂こうか」
ビターの猫型チョコを口にすると、カカオの程よい苦味と、ほのかな甘さが口に広がるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
これは美味しそうなチョコレート……はっ、ザッフィーロ君(振り返る)
……ええ、想像はついていましたとも
かわいいもの好きで大の甘党のきみがこれに心惑わされないはずはないということは
……今、なんだか聞こえた気がするんですがまぁ気にしないことにしましょう
なんだか心が痛みますが、ぺちっと叩いて成仏願いましょう
チョコレートを手に入れたなら、ナッツのそれを手にしてザッフィーロ君に差し出しましょう
はい、あーん?
相手からも一粒差し出されたならいただきます
ふふ、とても甘いですね
きみから貰う甘味は格別な味がします
でも僕のは恋ではなく、愛ですよと笑って見せて
大事に大事に食べたいものです
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
愛らしい上に…チョコレートを落とす…だと?
ああ、本当に惑わされはせんが心は踊るな…!
心が痛いが甘味の為だ、宵…一つでも多くの敵を落と…、…一体でも多くの敵を倒さんといかんな…!
チョコレートを痛めぬ様戦闘時は通常攻撃
『先制攻撃』と『二回攻撃』そして『なぎ払い』でチョコレートを集めて行こう
ああ、本当に夢の様だな、宵…と
ん?くれるのか?ならば俺も甘いミルクのそれを宵の口に差し出し食べさせ合おう
土産を問うた時に魅惑の代物、時には熱く恋に例えられるようと言われたが…
確かにその通りの様だなとついぞ笑みを
きっと土産故持ち帰れるだろう。…帰ったらゆっくりと二人で食べるのも良いかもしれんな
●甘い甘い恋人たち
お土産、とホール中央に現れたチョコオブリビオンに宵は微笑む。
「これは美味しそうなチョコレートですね」
ギフト用にパッケージされたチョコ達は、丁寧にテンパリングされており艶々で、ころんと動物をもした丸みのある見た目も愛らしい。
そこまで考えて、宵ははっとあることに気づき隣を伺えば。
「愛らしい上に…チョコレートを落とす……だと?」
「あぁ……ザッフィーロ君」
予想通り、そこにいたのはきらきら目を輝かせたザッフィーロだった。
それはもう大好物を見つけたときの顔。
銀の瞳を輝かせて、可愛らしい甘いチョコレート達に釘付けだ。
つぶらなおめめにころんとした体で、ラッピングされたチョコになりきってるものの、時折もぞり、ちらりと見上げ食べて、食べて?と訴えてくる。
さらに少し離れていても、甘くカカオや各種フレーバーが香ってくる。
そんな可愛らしい甘い誘惑にザッフィーロはすっかりはしゃいでいるようで、宵はちょっぴりため息をついた。
「……ええ、想像はついていましたとも。かわいいもの好きで大の甘党のきみがこれに心惑わされないはずはないということは」
「ああ、本当に惑わされはせんが心は踊るな……!」
うきうきとザッフィーロはその手に武器を携えて、やる気満々でショコラーズへと向かう。
「心が痛いが甘味の、いや事件解決の為だ、宵……一つでも多くの敵を落と……ごほん、一体でも多くの敵を倒さんといかんな……!」
「……今、なんだか本音が聞こえた気がするんですが、まぁ気にしないことにしましょう」
やれやれ、と宵もザッフィーロの背を追うのだった。
宵が軽く宵帝の杖で手近なショコラーズをぺちぺち叩くだけで、ぽんと弾けてチョコレートを落としていく。
ほぼ無抵抗で食べて?と寄ってくる彼らをぺちぺち叩くのはなんだか心が痛む気もするが、ぜひ成仏してほしい。
チョコは美味しく食べるので。
ザッフィーロはもっと豪快に、stella della seraを鞭のように伸ばし、ショコラーズが固まったところを一網打尽に先制攻撃でなぎ払い、そのまま戻して二回攻撃。
その軌跡が通った場所にはぽろぽろとチョコが落ちていく。
少し振るえば、それだけで山ほどのころんとしたチョコレートを手に入れていた。
「ああ、本当に夢の様だな、宵……」
見た目にも可愛らしいチョコを山ほど抱えて、ザッフィーロはうっとり呟く。
彼にしてみれば可愛いものがたくさん迫ってきて、しかも甘いものが手に入るこの状況は夢のようで。
大柄な青年が、一口大のころんとしたチョコを抱えて幸せそうに笑う姿に、宵もつい、笑いを吹き出した。
そのまま優しい笑みを浮かべて、頬にハートを浮かべたリスのナッツチョコを一つ手に取った。
そのままザッフィーロの口元へ差し出す。
「はい、あーん?」
「ん?くれるのか?」
ぱくりと開いた口に宵の指で入れてもらい、ナッツの香ばしい甘みを味わったあと、ザッフィーロもリスの尻尾がついたミルクをひと粒取って宵の口元へ差し出した。
同じように宵も口に入れてもらい、甘いミルクチョコを味わう。
二人視線をかわして微笑み合い。
「うまいな」
「ふふ、とても甘いですね。きみから貰う甘味は格別な味がします」
恋人の手から食べさせてもらう甘味は、いつも以上に甘く、柔らかい幸せの味がするようだ、と宵が言えば。
「土産を問うた時に魅惑の代物、時には熱く恋に例えられるようと言われたが……確かにその通りの様だな」
と、つい甘い笑みをより甘くし、愛しい人へザッフィーロも告げる。
それに宵は軽く首を振って、
「でも僕のは恋ではなく、愛ですよ」
と、愛しげに笑って見せた。
大量のチョコを革の道具袋にしまい込みながら、ザッフィーロは呟く。
「戻った時には元の姿のまま、という話だったが。このチョコはきっと土産故持ち帰れるだろう。……帰ったらゆっくりと二人で食べるのも良いかもしれんな」
「いいですね。コーヒーも合うと聞きますし、お茶もいいでしょう。大事に大事に食べたいものですね」
それは甘く幸せなティータイムになるだろう。
二人で想像しあって、期待の笑みを浮かべるのだった。
なお、水族館の出口に戻った時に袋を見たら、ちゃんとチョコは入っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オリオ・イェラキ
ごきげんよう紳士淑女の皆様方
好い、夜会でしたの
最後に一杯ワインを頂いて行きますわ
ふふ…可愛らしいお土産
折角の素敵なドレスも、破かずに済みそう
おりこうさん達。ちゃんと箱に入っているのね
とびきりのショコラと頂くワインは贅沢な時間よ
感謝を込めて。優しく骸の海へ還しましょう
まずは一粒摘んだ子へ、そっとひとひらメテオリオの花弁を贈る
おやすみなさい、甘い貴方
手に入れた甘味をじっくり味わう
どの子も深い風味と、フレーバーが舌に楽しくて
そう…ミルクが一番だったかしら
いいえ、きっともう味わえない甘さだから
全て特別ね。ごちそうさま
良い一日でしたわ
水族館に、夜会とショコラ
ポストカードと共に語る土産話の夜が、待ち遠しい
●香るワイン、ショコラ、そして花びら
「ごきげんよう紳士淑女の皆様方。好い、夜会でしたの」
0時が近づき、そろそろ夜会もお開きという時間にオリオは辺りの仮面をつけた参加者達と礼を交わす。
優雅にグラスを持ち上げたり、軽く会釈を返したり。
「ご機嫌よう、お嬢さん」
「ご機嫌よう、良い夜を」
仮面をつけたそれぞれが、それぞれに夜の乙女に楽しそうに応える。
最後にオリオはワインのグラスを一つ、手に持ちお土産の発表を待ち構えた。
ホール中央で行われたお土産の発表に合わせ、現れたのは可愛らしいチョコレート達。
「ふふ……可愛らしいお土産」
数体のチョコっとショコラーズがおとなしくパッケージに包まれて、一口チョコロボットに運ばれオリオのそばまでやってくる。
食べて?食べて?と見上げる目はとても可愛らしい。
「おりこうさん達。ちゃんと箱に入っているのね」
時折そわそわしながらも暴れずおとなしくしているので、大立ち回りをしてここに来るときに着せられた素敵なドレスも、破かずにすみそうだ。
M42:Trapeziumを手元に出して柄の模様と同じ星空の薔薇へと変化させていく。
とびきりのショコラと頂くワインは贅沢な時間だから。
オリオは感謝を込めて、彼らを優しく骸の海へ還すことにする。
見上げてくる小さなミルクのリスのチョコを白い指で優しく摘んで、そっとひとひらメテオリオの花弁を贈る。
「おやすみなさい、甘い貴方」
花びらが触れた途端、軽い音を立ててリスチョコのオブリビオンは弾け、同じ姿のチョコを落としていった。
次は別のチョコをつまみ上げ、花びらをふれて。
幾度か同じようにして、オリオのもとを訪れたチョコたちに花びらを送り、骸の海へ送り出す。
優しく甘いミルク、薫り高いナッツ、柔らかに甘やかなホワイト、ほろ苦いビター、甘酸っぱいストロベリー。
それぞれに良いところがある極上のショコラたちが、ちょこんちょこんと手の中に集まっていく。
集まったショコラを摘んで口に放り込めば、滑らかに蕩けるチョコレート。
じっくり味わい、時折ワインを楽しみ、チョコのフレーバーで舌を蕩かす。
(そう……ミルクが一番だったかしら)
と、一度は思うものの、すぐに否定する。
きっともう、味わえない甘さだから全て特別だろう、と。
「ごちそうさま」
夜の水族館、夜会、それにおいしいショコラ。
良い一日だった、とオリオは思う。
(ふふ、帰ってあの人に語るお土産がたくさんですわね)
家に帰って、ゆっくりと夫と二人で座りながら水族館で購入したポストカードとこのショコラと。
共に語る土産話の夜が、待ち遠しい。
そう思って、オリオは小さく微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
…オブリビオンとはもっと禍々しいものだと思っていたが…この様なモノもいるのだな…。
しかも、なんとも手応えのない…。
(取り出した剣をさっくりと刺せば簡単に倒すことができ。倒せばチョコレートに)
チョコレートか…マクベス、甘いものは好きか?
嫌いじゃないのなら…食べるか?
(頷いたのを確認しそっと口元に運び)
美味いか?…そうか、よかったな。
(マクベスの甘味に緩む表情に自身も表情を柔らかくする)
(首に回された腕を受け入れながらキスされると一瞬目を見開くもすぐにすっと細め)
あぁ、本当に甘いな…。
(言いながら軽くキスを返す。)
△
マクベス・メインクーン
おじさん(f16720)と
これはまた…
色々ツッコミどころのあるオブリビオンだな
まぁたまにはいんじゃね?
楽しい雰囲気のまんま帰れるし
とりあえず…溶けないように倒そうか
氷の精霊を喚び出して【属性攻撃】氷の刃でサクッといくぜ
ん?甘い物は嫌いじゃねぇぜ
おじさんが食べさせてくれるなら
(あーん、とチョコをおじさんの手から食べる)
うん、甘くて美味しいぜ
はい、グラナトさんもお一つどうぞ?
(ニヤリと何かを企む笑みを浮かべながら)
おじさんが口に入れたら
そのまま首に手を回してキスする
ふふっ…どう?
もっと甘くなったっしょ♪
△
●チョコとキスと
「これはまた……色々ツッコミどころのあるオブリビオンだな」
グラナトはホール中央でわちゃわちゃしているオブリビオンに少し胡乱げな目を向ける。
食べてほしいと各々猟兵のもとに行き、見上げてくる様は色々ツッコみたい。
敵じゃないのかお前達。
「……オブリビオンとはもっと禍々しいものだと思っていたが……この様なモノもいるのだな……」
なんとも脱力しがいのある姿に戦という気分にもならず、ひとまず取り出した蠍の剣でさくっと手近に来た一体を突き刺せば、ぽんっと弾けて同じ姿のチョコを残して倒せてしまう。
「しかも、なんとも手応えのない……」
「まぁたまにはいんじゃね? 楽しい雰囲気のまんま帰れるし」
本当にこれでいいんだろうか、と眉間にシワを刻むグラナトとはうってかわって、マクベスは楽しい気分でドレスを翻しながら氷の精霊、ミニ狼【フェンリル】を喚び出す。
フェンリルがあおーんと吠える仕草をすると氷の刃が生まれ、ショコラーズをぽぽんと切って、ひえひえのチョコへと変えていった。
「うん、これならしばらく溶けないな」
その横でさくさく刺してチョコをそれなりにゲットしたグラナトは、手近な一個を指で摘んでみる。
「ふむ……」
手に取った真っ赤な猫のチョコからは、甘酸っぱいイチゴの香りが漂った。
「チョコレートか……マクベス、甘いものは好きか?」
「ん?甘い物は嫌いじゃねぇぜ」
小さなフェンリルと一緒にチョコを集めていたマクベスの側に歩み寄ると、グラナトはつまんだチョコをマクベスの目の前に差し出して。
「嫌いじゃないのなら……食べるか?」
「おじさんが食べさせてくれるなら」
そのまま餌をねだる猫のように開いたマクベスの口に、グラナトはつまんだチョコを入れてやる。
マクベスの口の中にイチゴのフレーバーとチョコの香り、甘味がいっぱいに広がった。
噛み締めれば香りがより際立ち、口の中で甘味が滑らかに溶けていく。
ちょっと幼げに緩んだ表情で味わってから飲み込んで、マクベスは笑って感想を述べる。
「うん、甘くて美味しいぜ」
「美味いか? ……そうか、よかったな」
マクベスの幸せな緩んだ表情にグラナトも心が温まるような心地で、柔らかく幸せな表情に変わっていく。
マクベスもビターチョコを一つつまんで、ニヤリと笑みを浮かべながらマクベスに差し出した。
「はい、グラナトさんもお一つどうぞ?」
何かを企んでいる笑みを見ながらもグラナトは追求も逆らうこともせず屈んで、マクベスの持つチョコを口に迎え入れる。
その瞬間、マクベスがグラナトの首に手を回し、チョコを追いかけてキスをした。
逆らうことなくマクベスのするがままに任せていたグラナトは、キスされれば一瞬目を見開く。
すぐにすっと目を愛しさに細めて、愛し子を見つめた。
唇はすぐに離れて行くが、腕は離れない。
「ふふっ……どう? もっと甘くなったっしょ♪」
「あぁ、本当に甘いな……」
そしてすぐそばでいたずらっぽく笑うマクベスに甘さのおすそ分けとばかりに、軽くキスを返すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ファン・ティンタン
◎
【WIZ】甘い夢の終わりに
【ヤド箱】で参加
チョコ、ね…
私自身は食べ物を食べない(摂食による自分に何かが混ざる感じが酷く怖い、水分は何とか大丈夫)から、この子達はヤド箱へのお土産かな
…と言うか、コレ、本当に食べて害ないのかな?
ステラも語も、警戒心がすっぽ抜けてるけど…あ、食べちゃってる…大丈夫?
……そう
ペインは…あのオコジョに食べさせるの?
あの子の生態は、詳しくは私も知らないけど、チョコ、あげて大丈夫なのかな…?
ま、その辺は飼い主に任せるけど…
さて、私もお土産分は回収しておかないとね
何やら変なポールになってるから、ゆーっくりと撫で斬ろうか
時間の停滞した【緑の夢】の中なら、保存鮮度も問題なし…と
ペイン・フィン
◎【ヤド箱】
チョコレートか……。
おいしそうな匂いもするね。
甘いもの好きだし、嬉しいとは、思うよ。
……でも、恋人と楽しめないのは、お土産として、不満かな。
だから、これは飼いオコジョの八兵衛と、ヤド箱の仲間の分だけ、持って帰ろう。
自分の分は、別に良いかな。
恋人との時間のお土産は、二人で楽しめる物じゃ無いと、ね。
八兵衛は、甘いもの、好きだよ。
最近は、桜餅、お気に入りだった。
チョコも、多分、気に入ると思う。
コードを使って、握手。
そしてナイフでツンツンして、回収するよ。
落浜・語
◎
【ヤド箱】で
言霊、洒落、言葉遊び。前にも「すくって」くれるかみさまとか、「くさり」もといゾンビとか相手にしたが……。
今回のも同じ輩か?かみさま以外はあんまり大きな影響は出てないが、その輩も何とかしたいな。
でもって、だ……生き物じゃないとは言ってたが。言ってたけどな。
そう言う……?
一般人でも倒せる、ってことなんで奏剣で切り捨てるか。
え、食べれるの?いや、甘い物は好きだけどな。……食べんの?
これはちょっと抵抗があるというか……あ、案外美味しい。
出水宮・カガリ
【ヤド箱】◎
一般人でも、倒せる程度の
そして、食べられるチョコを落とす、オブリビオン…
(甘い物にとにかく目が無いステラが心配。案の定テンションの高い彼女に複雑やら苦笑するやら)
まあ、うん。今回は、食べていいやつではあるが…
オブリビオンの方に食いつくなよ、食べるのは落ちた菓子の方だぞ
さて、オブリビオンは…どう倒すかなぁ
籠絡の(【籠絡の鉄柵】)を呼んで、ぺちっとしておけば
いける、気がする
栄養価が高いようなので、土産にたくさん持って帰りたいな
どうせならカガリも食べてみたい
苦手なものは特には…ミルクがいいかなぁ
ん? どれ、どれ(差し出されたチョコを手からもぐもぐ)
ステラは、どれがいい?
ステラ・アルゲン
◎【ヤド箱】
お土産は……チョコレート?
とても甘い香りと可愛らしい見た目で誘うなんて!
カガリ、あれは食べていいよな?
前にアルダワであのアイスは食べるなと言われたが、このチョコは食べていいやつだよな?
(よしと言われるまで待つ犬のように待機)
倒すのがとても惜しい見た目をしているが……オブリビオンだからな
剣で斬っていき、落とすチョコを回収していく
合間にチョコを食べてしまってもいいよな?
もちろん味は全種類揃え……いやビターは苦手かな
苦いのはあまり好きじゃないんだ
なぁカガリ、このチョコもおいしいぞ?
カガリに食べさせるようにチョコを口元に差し出して
私はホワイトが好きだな
お土産の為にも沢山持って帰ろう
●お土産について各人思うところはありますが
語はしばし思考にふける。
(言霊、洒落、言葉遊び。前にも「すくって」くれるかみさまとか、「くさり」もといゾンビとか相手にしたが……)
そう、確かに過去相手にしたことがある。
言葉の響きを持って呪をかける輩がいた。
(今回のも同じ輩か?かみさま以外はあんまり大きな影響は出てないが、その輩も何とかしたいな)
今回は直接UDCと結んだわけではないようだが、それはそれ。
似た手法であるのは確かだ。
絶望した者を追い詰め死に至らしめ、復活の糧としたかみさま以外は事前に被害を防げているが、今後こう上手く行くとは限らない。
(でもって、だ……生き物じゃないとは言ってたが。言ってたけどな)
半ば現実逃避めいた思考が現在に戻ってきてしまった。
確かに生き物じゃない、といったが。
てっきり怨霊、怪奇現象とかの可能性とか、無機物のゴーレム、人形とかも考えたのに。
語の目前にいるのは美味しそうなチョコオブリビオン。
「そう言う……?」
思わず遠い目になっても誰も彼を責められない、と思われる。
「チョコ、ね……」
「チョコだね……」
主人とメイドペインとフィンも、目の前に現れたものはチョコである、と認めた。
艶々まんまるチョコボディ、甘く香るカカオとフレーバー。
デコレーションされたり、違う色で表現されたお目々や模様も可愛らしい。
紛うことなくチョコだった。
「一般人でも、倒せる程度の、そして、食べられるチョコを落とす、オブリビオン……」
カガリはあんまり見ないタイプのチョコ、もといオブリビオンにステラをちょっとうかがう。
「お土産は……チョコレート?」
きらっきらと顔を輝かせたステラがそこにはいた。
「とても甘い香りと可愛らしい見た目で誘うなんて! カガリ、あれは食べていいよな? 前にアルダワであのアイスは食べるなと言われたが、このチョコは食べていいやつだよな?」
「ああ、うん」
心配したとおりのテンションで彼女はそこにいた。
ステラは甘いものに目がない。
アルダワにいたアイス触手すら、食べてみようとするほどには甘いものが大好きだ。
許可を待つ様はまるで待てをされたわんこのよう。
なんだかブンブン勢い良く振られている幻の尻尾が見える気がする。
(多分これ、よしと言うまでこのままだな)
普段の凛然とした彼女とは違うさまに、カガリは複雑な気分で苦笑を浮かべた。
「まあ、うん。今回は、食べていいやつではあるが……」
「やった! さあ食べよう!」
意気揚々と駆け出すステラにカガリは釘を刺しておく。
「オブリビオンの方に食いつくなよ、食べるのは落ちた菓子の方だぞ」」
「……勿論だとも!」
数拍の間は何だったのか。
一応目を離さないでおこう、とカガリは思ったのだった。
逆にテンションが上がらないのがファンとペインである。
「この子達はヤド箱へのお土産かな」
自身に何かが混ざるのが、とてつもない恐怖であるファンは食物を取らない。
なのでこれらのチョコたちも食べれない。
「ぬいぐるみとかなら、よかったのにな」
これだけ可愛いのに、と指先でつんつん。
こちらはつやっとした滑らかな感触だった。
「おいしそうな匂いもするね。甘いもの好きだし、嬉しいとは、思うよ」
でも、とペインは続ける。
「恋人と楽しめないのは、お土産として、不満かな。だから、別にいいかな……」
ちょっぴりしょんぼりしたショコラーズがいた気がするが、気にしない。
ファンと過ごした時間のお土産は、ファンと楽しめなければ意味がないのだから。
なにやらごにょごにょやってるチョコっとショコラーズを見ながら、ファンはふと疑問に思ったことを口にする。
「……と言うか、コレ、本当に食べて害ないのかな?」
オブリビオンの落とすものだ、もしかしたら害のあるものかもしれない。
そう思って仲間を見ると、警戒心がどこかにすっぽ抜けていた。
「倒すのがとても惜しい見た目をしているが………オブリビオンだからな、うん。チョコも落とすしな」
チョコチョコした見た目のショコラーズは一口サイズのチョコロボットに乗って、ステラの目の前までやってくる。
どう見てもチョコらしいチョコで、その香りもチョコらしい。
「……ちょっとくらい、齧っても……」
「ステラ、ステラ。だめだぞ」
誘惑されかかったステラを、籠絡の鉄柵達を従えたカガリが救う。
ステラの目の前にのショコラーズを頭の無い黒い魚の骨がぺちぺちと叩けば、ぽんぽんっと軽い音を立てて同じ形のチョコに変わった。
「分かっているとも、うん」
きりっとした顔に戻ったステラは己自身を振るって、張り切ってチョコに変えていく。
語も奏剣でぺちぺち叩き、チョコを量産していた。
「なぁなぁ、ちょっとはチョコを食べてしまってもいいよな?」
「え、食べれるの?」
てっきり食べれないと思っていたのか、語はぎょっとした顔でステラを見る
「どうせならカガリも食べてみたい」
「いや、甘い物は好きだけどな。……食べんの?」
カガリの同意を得たステラは早速いそいそと数個拾って、パッケージを開く。
途端より香り立つチョコの香り。
にこぉっと幸せそうな笑顔を浮かべて、ステラはひと粒、白い鳥のチョコを口に入れる。
ふわり香るホワイトチョコの、甘い味が口の中で蕩けていった。
「うん、甘い……おいしい」
幸せなステラの顔に釣られたか、語も一個手に取ってみる。
先程倒したオブリビオンとなったく同じ形のチョコがそこにはあった。
「これはちょっと抵抗があるというか」
と、言いつつも一つ摘んで、口に入れるとナッツの香ばしい風味が広がる。
「……あ、案外美味しい」
しっかり食べているステラと語の二人、美味しいという感想まで聞こえてきてファンは、一言。
「……そう」
と、呟くしかなかった。
頭を振って、ファンはペインを見る。
「ペインも、持って帰るの?」
「うん。八兵衛と、ヤド箱の仲間の分、持って帰るよ」
ペインはそっと握手しようと手を伸ばすが大切なことに気づく。
チョコっとショコラーズには手がない。
しばしお互い見つめ合ったあと、ショコラーズがペインの手に乗った。
手はなくても心で握手しあったのだ。
そしてそのまま、ペインはナイフ"インモラル"でペちん。
ぽんっとチョコに変わった。
「……あのオコジョに食べさせるの?」
「うん。喜ぶと思う」
オコジョにチョコをあげるという言葉にファンは首を傾げる。
「あの子の生態は、詳しくは私も知らないけど、チョコ、あげて大丈夫なのかな……?」
一般的にチョコは動物に食べさせてはいけない。
色々有毒なものが詰まっているのだ。
「八兵衛は、甘いもの、好きだよ。最近は、桜餅、お気に入りだった。チョコも、多分、気に入ると思う。」
しかしペインのオコジョ、八兵衛は普通のオコジョではなかったようだ。
「ま、その辺は飼い主に任せるけど……」
ファンもお土産分を回収するために天華を構える。
何やら先程もぞもぞしていたショコラーズが大きなトーテムポールとなっていた。
ゆーっくり、ゆっくり近づいてそうっと縦に撫で斬る。
ぽんぽんぽんぽんぽん、と軽く弾けた後に残っていたのはチョコではなく──
「……キーホルダー?」
一口サイズのショコラーズが連なるキーホルダーが2セット落ちていたのだった。
一個ずつ取り外せて、付け替えたり順番を変えられるタイプのものである。
「……変な子たち」
楽しめないといったのを気にしたのだろうか。
それ以外のショコラーズはチョコになっていたので緑の夢の中に保存して。
キーホルダーの片方をペインへ差し出しに行くのだった。
さっくりさくさくとショコラーズを殲滅して、全種類をいくつも手に入れたステラは大変ご満悦だった。
うきうきした顔でカガリに話しかける。
「なぁカガリ、どの味が好きだ?」
栄養価がたっぷりあるのでたくさん持って帰ろうと抱えていたカガリは少しだけ考えて、答えた。
「苦手なものは特には……あえて言うなら、ミルクがいいかなぁ」
「ミルクか! いいよな、あ、このイチゴチョコもおいしいぞ?」
真っ赤な猫チョコを摘んで差し出したステラの手から、直接カガリは啄む。
「ああ、おいしいな。ステラは、どれがいい?」
「私はホワイトが好きだな! ビターはちょっと苦手だ」
「そうか、ならカガリがビターをいっぱい食べよう。ステラはホワイトを食べるといい」
「いいのか、カガリ! ありがとう」
二人、和気あいあいとチョコを集めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
彩花・涼
一六八(f00429)と
ふむ、これはなんというか…
拍子抜けだな…
あまり敵意のないものを攻撃したくないんだが
(オブリビオンな以上倒すしかないんだがな)
黒華・改で斬って倒すが
……一六八、食べるか?
ひとつ摘んで一六八の口に運ぶ
ふふっ、先程水族館でみたクリオネみたいだな
ん?まぁチョコは嫌いではないからな
私もひとつ頂こう
んんっ?!(口に入れられ)
急に入れるな…せっかくのチョコに噎せるところだったぞ
まぁ確かにナッツ入りは美味いな
さて、後は帰るだけだが…
イルカショーで濡れたままなんだが
早く着替えねば風邪を引きそうだな
せっかくだから、買うならイルカのタオルにしよう
零落・一六八
涼さん(f01922)と
最後はデザートみたいな感じなんですかね?
まー、チョコレートといってもオブリビオンですし
倒さなければデザートはお預けな感じみたいなんで、さくっとやっちゃいましょ。
(一切の躊躇いも優しさもなくぼこる)
差し出されたら特になんも考えずぱくり
もぐもぐしながら
えー、だからボクの食べてる姿はもっと愛嬌あるでしょ?
バッカルコーンと一緒にしないでほしいですよー、まったくー
でもこれうまいっすねー、涼さんも食べたらどうですか?
隙ありー(隙を見て口につっこむ)
そのナッツ入ってるやつが個人的には美味いです
さて、帰りますか
あ、それなら売店にバスタオル売ってましたよ
ボクはジンベエザメにします
●彩花・涼(f01922) ※(過去採用=第1章・第2章)
一六八(f00429)と
「ふむ、これはなんというか……拍子抜けだな……」
呪詛と言うくらいだ、もっとおどろおどろしいものが出てきてもおかしくなかったが、実際に現れたのは食べて?食べて?と迫ってくるオブリビオン。
涼は警戒していたのが無駄な気がしてきた。
「最後はデザートみたいな感じなんですかね?」
一六八は無銘野太刀を携えながらも首を傾げる。
悪意無くショコラーズは二人のそばに集い始めた。
食べて食べて、と訴えてくるかのようだ。
「あまり敵意のないものを攻撃したくないんだが……」
「まー、チョコレートといってもオブリビオンですし。倒さなければお持ち帰りのデザートはお預けな感じみたいなんで、さくっとやっちゃいましょ」
さくさく、ぽんぽん。
少し躊躇う涼と違い、一六八は一切躊躇わず、可愛らしい見かけに頓着もせず、無銘野太刀で撫で切りにしていく。
「……まあ、そうだな」
どんなに可愛くてもオブリビオン。
悪意がなくても倒さなくてはいけないのだ。
涼も意識を切り替えて、黒華・改で残像を残す素早い動きでショコラーズを斬っていく。
二人の周りには、ぽんぽん弾ける音とともにまるっこいチョコ入りパッケージが落ちていた。
一六八は早速パッケージを開いていくつも口に放り込んでいる。
涼もパッケージを拾い、ビターな猫型チョコを摘んでみた。
ほのかな苦味を感じるカカオの香りが強く漂う。
「……一六八、食べるか?」
そのまま一六八の口元へ差し出した。
一六八は差し出されたチョコを、涼の指からぱくりと口へ入れる。
躊躇なく頬張る様に先ほど水族館で見た大食漢のクリオネを思い出して涼は笑った。
「ふふっ、先程水族館でみたクリオネみたいだな。こう、口をぱかんと開いたところとか」
「えー、だからボクの食べてる姿はもっと愛嬌あるでしょ? バッカルコーンと一緒にしないでほしいですよー、まったくー」
一六八はもぐもぐチョコを咀嚼しながらわざとらしく憤慨したような顔をしてみせるが、すぐにご機嫌な笑みを浮かべる。
「でもこれうまいっすねー、涼さんも食べたらどうですか?」
「ん? まぁチョコは嫌いではないからな、私もひとつ頂こう」
そう涼が答えて、新しいチョコを摘んで口を開いた瞬間、いきなり甘味が飛び込んできた。
「んんっ?!」
「隙ありー」
悪戯な笑みを浮かべた一六八が、ナッツのリスのチョコを涼の口に滑り込ませたのだ。
口の中でとろけるナッツの香ばしさとチョコに涼は目を白黒させている。
ひとまず口の中のチョコを噛んで飲み込んでから、涼は一六八を軽く睨んだ。
「急に入れるな……せっかくのチョコに噎せるところだったぞ」
「あはは、すみません。でも、美味しかったでしょ? そのナッツ入ってるやつが個人的には美味いです」
全種類食べてみて、美味しいものをお裾分けしたのだとからりと笑う。
「まぁ確かにナッツ入りは美味いな」
そんな一六八に涼は苦笑ながらも頷いたのだった。
無事に水族館の出口に戻ってきたあとのこと。
元の服装になり、あとは帰るだけ二人だが、服は湿っぽい。
「イルカショーで濡れたままだな……早く着替えねば風邪を引きそうだな」
「あ、それなら売店にバスタオル売ってましたよ。買って帰りましょう」
「そうか。せっかくだからイルカのタオルにしようかな」
「ボクはジンベエザメにします」
帰るまでに風邪を引かぬよう、出口横の売店でタオルを買う二人の姿があったのだった。
大成功
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