勇者の伝説 秘境探求
●勇者の伝説
アックス&ウィザーズ世界にかつて存在した帝竜ヴァルギリオス。
かの竜は数千の勇者と共に棲み処である「群竜大陸」と共に沈んだと伝えられている。
現在、その帝竜が群竜大陸と共に蘇ったと噂されているが、未だに所在は掴めていない。
帝竜はオブリビオン・フォーミュラとも目されており、それが事実なら大陸の発見は必須である。
「その手掛かりとなるのが、帝竜と運命を共にした勇者の伝説です」
そう言うのはグリモア猟兵の一人、ステラ・リデルだ。
彼女が言うには「勇者の伝説」には勇者の意志が残っている可能性が高く、それを猟兵達が「発見」することで予知の精度が高まり、将来的には群竜大陸に関する予知をする事も可能になるはずだという。
「何故かと言われると、すいません。説明はできないのですが、確信があります。これは私だけではなく、他のグリモア猟兵も感じている事ですから、多分、間違いないと思います」
あやふやですいませんと謝りつつも「勇者の伝説」を見つければ見つける程、良いという話をした後で、今回の予知について話す。
最初に行って貰う場所はグランツというそれなりに大きな規模の街、ここは勇者の一人の故郷らしい。
この勇者は剣の達人だったそうだが、その技は秘境で磨かれたということだ。
その秘境を発見して欲しいというのが今回の依頼だ。
グランツで情報収集をすれば、その秘境が何処にあるかの情報が得られるとステラは言う。
「賑やかな街なので、散策を楽しみながら気軽に勇者の伝説について情報を集めて頂ければと思います。それではよろしくお願いしますね」
そう言ってステラは頭を下げ、了承した猟兵達の転移を開始する。
淵賀
4回目のシナリオをお届けします。淵賀です。
今回は「勇者の伝説」です。よろしくお付き合い頂ければ幸いです。
以下で今回の依頼をまとめさせてもらいます。
『第一章 日常』
比較的大きな街での情報収集となります。
勇者の伝説はこの街では有名なので、簡単に教えて貰う事が出来ると思います。
食事や買い物など、自由に楽しんで英気を養って第二章に備えてください。
『第二章 冒険』
第一章の情報収集が成功すれば、秘境に旅立ってもらいます。
詳細は第一章終了時に明らかになると思います。
『第三章 集団戦』
第二章の冒険が成功すれば、秘境に巣食っているオブリビオンとの戦闘となります。
この戦いに勝利する事で「勇者の伝説」の言わばフラグが成立します。
第1章 日常
『のんびり市場巡り!』
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POW : 食べ物や装備のお店へ!
SPD : アクセサリーや道具のお店へ!
WIZ : 書物や骨董品のお店へ!
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カーニンヒェン・ボーゲン
勇者どのの故郷とは楽しみですな。
剣技を磨かれた秘境とはまた、刃を武器に持つこのジジイめには更に興味深い。
賑やかな街の様子を楽しみ、勇者どのに纏わる伝説を訊ねて歩きます。
お人柄や人相などや剣技の逸話も分かればと。
彼の方が遺された意志、ですか。
見つかるかもしれない過去の痕跡に、自らの冒険心も掻き立てられる心地ですな。
併せて、もしも街中に腕の良い研師の方の噂があれば店を訪ねたいものです。
ここ暫くはあまり手をかけてやれませんでしたので、武器(刃物)である老兎と兎牙の手入れの依頼をしたいのです。
このジジイめに剣士を名乗る資格があるかは分かりませんが、大切な相棒にございますからな。
よろしくお願い致します。
●人狼の老紳士
霊峰ヴァイスブルカンを望む大規模な城塞都市グランツ。
剣の達人であったと伝えられる勇者、アルトゥルの故郷としても知られている。
そのグランツの雑踏を背筋のピンと伸びた老紳士が歩いている。
カーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)。この地に「勇者の伝説」を求めて訪れた猟兵の一人だ。
グリモア猟兵の告げた今回の伝説は勇者が剣技を磨いた秘境の発見。それは自らも刃を武器とする彼には興味深いものだった。
「此処が、勇者殿の故郷。どの様な街か楽しみですな」
賑やかな街並みを見て回りながら、時折、勇者に纏わる伝説を訊ねる。
商店を回り、小物を買い、時にチップを渡しながら巧みな会話術で勇者の話を集める姿は、もし、客観的に見る者が居れば優秀な情報員だと判断するだろう。
「ふむ、秘境はどうやら、霊峰にある洞窟の中にあるようですな。なかなか、辺鄙な処にあるようですが、そうでなければ秘境とは言いませんか」
得られた情報から秘境の位置を霊峰に存在する洞窟であると当たりをつける。
秘境の場所だけではなく、勇者自身にも興味のあったカーニンヒェンは様々な情報を得ている。
例えば人柄。勇者は帝竜が跋扈する時代にその卓抜した剣技でモンスターを退治して人々を守ったが、狷介不羈の性格から孤高の存在として扱われていたこと。
またその腕前。剣技は鉄を紙の様に斬り裂き、離れた敵さえも斬り裂いたと伝えられるていること。
伝説故に誇張が混じっているとしても、常人とは一線を画した腕前だったのは間違いないようだ。
人相などは流石に分からず、同じ伝説でも美男子と言う者もいれば強面の豪傑のように言う者もいた。
「さて、もう一つの目的地に参りましょうか」
勇者の伝説の収集を終えたカーニンヒェンは、もう一つの目的である研師の元に向かう。
情報収集の際に聞き出していたこの街一番の研師の店だ。
店に着き、愛刀である『老兎』と仕込み杖の『兎牙』を見せる。
店の主人である男はその美しい刀身を見て呻る。
「この辺りの武器ではありませんが、手入れをお願いできますかな?」
「むう、研ぐだけなら俺でも何とか出来るだろう。これ程、見事な刀身を見たのは久しぶりだ」
老兎から目を離さずに言う主人に、この様子なら大丈夫そうだと判断する。
「大切な相棒にございますからな。よろしくお願い致します」
「おう、任せておけ。全身全霊で研がしてもらう」
丁寧な言葉に主人は彼の方に顔を向け力強く頷く。
こうして来るべき秘境探索の準備を整えるカーニンヒェンだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜神・静流
剣術の達人で有名な勇者の故郷という事であれば、剣術道場や武器店なども多かったりするのではないでしょうか。探してみましょう。
個人的に興味もありますし。
そういった次第で道場やお店を回って、勇者を知っている人を探して話を聞き、手掛かりを探りましょう。
お話を聞く際は礼儀作法技能を使用します。
後はこの世界の剣術や武器防具についても見聞を広めておきたいですね。
●月神の剣士
剣術の達人であった勇者の故郷ならば、剣術が盛んなのではないか?
城塞都市グランツを訪れた猟兵の一人、夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)の予測は当たっていた。
少し、訊いただけで複数の流派が存在していることが分かる。
面白いのはほとんどの流派が勇者アルトゥルを祖師として仰いでいる事だ。
「勇者の技を今に伝えているのでしょうか?」
自らも剣の達人である静流は興味を抱く。
勇者を祖としているのならば伝説に関しても知っている可能性が高いと趣味と実益を兼ねてまずは剣術道場に向かう。
「ああ、此処は勇者アルトゥルを祖師としているが、実質的には一番弟子だったカミル様が開いたと言えるな」
「そうですか。カミル様は勇者様と行動を共にされたのでしょうか?」
「いや、勇者が群竜大陸に向かった時に街の守りを託されたって話だ」
男装ではあるが佳人である静流が礼儀正しく尋ねれば、剣術道場の門下生達の口は滑らかだ。
複数の道場を回った結果、勇者アルトゥルが修行し、秘剣に開眼した地は霊峰にある洞窟の奥だと知れる。
ただ、霊峰にはモンスターが数多く棲息し、危険である事から実際に行った者はいないようだ。
「ありがとうございます。剣の技を見せていただいても構わないでしょうか?」
「ああ、構わないぜ」
秘境の位置以外にも勇者の技が知れるのなら、また単純に見聞を広める為に道場で訓練の見学も行ったが、静流の眼には特に際立った処はないように思えた。
自らの剣に活かせる処があれば良かったのですが、と少し残念に思いつつも丁寧に御礼を言って道場を後にする。
その後は武器屋に足を運ぶ。剣術が盛んなだけあって複数あるようだ。
この世界特有の武器防具などを期待しつつ見て回ると。
「これは」
「お、お嬢さんお目が高いね」
武器の形状は一般的な物ばかりだったが、材質が特殊なものがチラホラ混ざっていた。
静流が手にしたのはミスリルという魔法金属で出来た剣だ。
切れ味は彼女の愛刀に劣るだろうが、淡く蒼く光る刀身は美しい。
今回の件が無事に終わったらお土産に買って帰っても良いかもしれない、などと思いつつ勇者の伝説に関して尋ねる。
少し時間が経つ。
複数の武器屋や道場から得た情報から、静流は霊峰の洞窟の入口の場所を大まかではあるが把握する事に成功する。
大成功
🔵🔵🔵
ヒナ・ローレンス
ふと気になって立ち寄ってしまったのですけれど、ここは骨董品のお店だったんですね。
並んでいる物の中にはかなり古い物もあるようですね。
もしかして、この中にも勇者さんと同じ時代を生きた物があるのでしょうか?
そう考えると、こういうお店ってとても素敵ですね。
お店の方に勇者さんと秘境に関するお話や見解を伺いつつ、かつての勇者さんに関わりのありそうな品物を探してみようと思います。
えっと…目利きの技術などはないので、勘頼り(第六感)になりますけれども…
●籠から出た鳥
城塞都市グランツの骨董品店に銀髪の美しい少女の姿があった。
ヒナ・ローレンス(今はまだ小さな光・f06137)。この街を訪れた猟兵の一人だ。
彼女は何とはなしに惹かれるものがあってこの店に入って来たようだ。
「ここは骨董品のお店だったんですね」
店内に陳列されている物を見回して、この店が骨董品店である事を把握する。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
店主がヒナに語り掛ける。
「ここは素敵な品が沢山ありますね。かなり古い物もあるようですが、もしかして、勇者さんと同じ時代を生きた物もあるのでしょうか?」
「おお、お嬢さんは勇者様に興味がおありですか。そうですね、少しお待ち下さい」
ヒナの要望に、店主は幾つかの骨董品を並べる。
「こちらは勇者様が使っていた……とは言えませんが、勇者様が活躍した時代の食器、そして装飾品ですね」
「わあ、綺麗ですね。近くで見ても良いでしょうか?」
「ええ、こちらの品々は箱から出さない様にして頂ければ構いませんよ」
「ありがとうございます」
彼女は勇者の伝説を求めてこの街に来た。その勇者と同じ時代に既にあった品物というのは不思議な感じがする。
その素直な感想を店主にすると、彼は他に客もいなかったからか骨董品の魅力を語り出す。
その話に如才なく相槌を打ちながらヒナは折を見て勇者の伝説について訊いてみる。
「勇者様が技を磨いた秘境ですか? そうですな、有名な伝説です。この街の北に望める山脈をご存知ですかな?」
この街では有名な伝説だったようで、秘境がグランツの北に聳える霊峰の洞窟にあるという話を聞く。
「有名なのですか。それでしたら、行ったことがある人もいるのでしょうか?」
「いえいえ、あの山はモンスターの棲み処ですからな。とてもとても」
店主が言うには秘境が霊峰にあるというのは物語で有名だが、実際に行った者は少なくとも店主が知る限りはいないようだ。
かなり昔は勇者に憧れる剣士が目指す事もあったが、いずれも途中で挫折、又は生きて帰らずでいつしか目指す者自体いなくなったらしい。
「そうですか」
その情報にしっかりと準備して行こうと気を引き締める。
その後は何か良い物がないかと、骨董品を見て回るヒナ。そんな彼女の勘に引っかかる物があった。
「店主さん、これはなんでしょうか?」
「これですか、ああ、この辺りに伝わる木彫りのお守りですね。かなり、古いですな。ひょっとしたら勇者様の時代の物かも知れません。御気に入りましたかな?」
他の物と比べ特に精緻と言える作りでもないが、心惹かれるものがある。
「はい。お幾らでしょうか?」
「そうですな」
店主の告げた金額はヒナの手持ちで十分買えるものだった。彼女は勘を信じて購入する。
ヒナは知る由もないが、これは勇者が旅立つ時にその妻に贈った物が、巡り巡ってこの骨董品店に辿り着いていたものだった。
これが勇者の伝説を求める彼女の手に渡ったのも何かの運命かも知れない。
大成功
🔵🔵🔵
龍牙崎・黒斗
【POW】で判定。アドリブOK
「帝竜と運命を共にした、剣の達人だった勇者。そんな奴が修行したって言う秘境とか、行くしかねぇよな」
楽しそうに口元を歪ませて笑う。その顔を見た街の人が怖がって避けていることに気が付き、自分を落ち着かせる。
「……さてと、折角だからちょいと装備品でも見ていきますかね~」
少し離れたところにあった、武具屋らしき店に立ち寄りおススメの品や、特産品があるかなどを聞きつつ、勇者の伝説についても尋ねておく。
「あとは、秘境に行くなら保存食を含めて、何種類か食い物も買っておかねーとな」
今度は食料品を取り扱っている店に顔をだし、同じようにおススメや特産品と情報を仕入れ、準備を整えていく。
●紅き剣豪
「帝竜と運命を共にした、剣の達人だった勇者。そんな奴が修行したって言う秘境とか、行くしかねぇよな」
そんな思いでグランツを訪れた猟兵の名は龍牙崎・黒斗(紅きドラゴニアンの剣豪・f17935)。
アルダワ魔法学園で生まれ、サムライエンパイアで剣の腕を磨いた数奇な運命の持ち主だ。
剣豪である彼は、まだ見ぬ秘境の光景を想像して楽しそうに口元を歪ませて笑う。
眼光が鋭く左眼に通る傷もある黒斗のその表情は控え目に言って迫力があり過ぎる。
その顔を見た通行人が怖がって避ける程だ。
「いかん、いかん」
すぐにそれに気づき、自分を落ち着かせる。
そうして、街並みを見回せば、ちょうど武器屋らしき店が見える。
「……さてと、折角だからちょいと装備品でも見ていきますかね~」
この地の武器防具を見ながら勇者の伝説の情報を集めるのも悪くないと、武器屋に足を運ぶことにする。
「いらっしゃいませ」
「おう、オススメの武器とかねーかな?俺の得物はこれだが」
声を掛けて来た店主に腰に下げた愛刀、『鎧太刀』を見せながら訪ねる。
鎧ごと絶ち切る業物の太刀に店主は目を丸くする。
「残念ながら、これを超える剣は置いておりませんね。ですが、こちらの短剣類はどうでしょうか?」
メインウェポンではなく、戦闘からサバイバルまで幅広く使えるサブウェポンとしてダガーを勧められる。
「ほう、なかなかいーじゃねぇか。ま、これも候補とするとして他にも何かあるかい?」
「そうですね……」
色々な武器を紹介される過程で打ち解け、さり気なく勇者の伝説についても訊き出す。
「へぇ、霊峰の洞窟ねぇ」
この都市では有名な勇者の伝説。その一部として勇者が修行した場所として伝えられる洞窟の存在を知る。
「面白そうだな。一度見てみたいな」
「あまり、お勧めできません。霊峰にはモンスターが棲みついていますし、そうでなくとも道は険しいですからね」
秘境に興味を見せると店主は親切心から止めておいた方が良いと言う。
秘境の情報は得られた。黒斗は適当な物を買うと、店主に礼を言って店を出る。
「道は険しいか。秘境に行くなら山を登る道具。他にも保存食を含めて、何種類か食い物も買っておかねーとな」
頭の中で準備する物を整理しつつ、色々な店を巡っていく。
準備を整えつつ、なおも情報収集を続け、霊峰の洞窟。そこに行く為の目印などを把握する黒斗だった。
大成功
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シン・コーエン
【WIZ】で
剣の達人の勇者か、同じ武器を使う者として興味深いな。
一度会ってみたかった。
どこにある秘境でどのような修行をしたのか、グランツで【情報収集・世界知識・コミュ力】を使い、図書館や書店では書物・言い伝えを調査し、骨董品屋では主に勇者の武器のレプリカを中心に調査します。
調査対象が多くて時間が掛かる場合は、【第六感】で面白そうな事が起こりそうな方を選択する。
グランツの人々にとって勇者は大切な伝説であり、シンにとっても戦士として尊敬に値します。
だから調査時は、【礼儀作法】に則り、勇者への敬意を示しつつ、グランツの人々と接します。
時間的に余裕があれば観光も楽しむ。
アドリブ・連携、歓迎です。
●灼閃の剣士
城塞都市グランツ。
その中にある書店の一つに黒い軍服に身を包んだ、シン・コーエン(灼閃の・f13886)の姿があった。
彼もまた、勇者の伝説を求めてこの街を訪れた猟兵の一人だ。
この街では有名である勇者アルトゥルの伝説。ならば、書物となっている可能性が高いと考えての事だ。
彼の考えは当たっており、この書店にあるだけでも複数の勇者に関する書物を見つける。
それらの本を読み、秘境が何処にあるのか、また、その場でどの様な修行をしたのかを調べるシン。
時間をかけて幾つかの事を調べ終える。
まずは秘境が何処にあるのか?
これは霊峰ヴァイスブルカンの中腹にある洞窟の奥、又はそれを越えた処にあるようだ。
次にどの様な修行をしたのか?
勇者アルトゥルは鉄を紙の様に斬り裂いたなど、常人離れした伝説があるが、どうも彼は気功(オーラ)を剣術に組み入れていたようだ。
その業に開眼したのが、秘境だと言われている。
「剣の達人の勇者か、同じ武器を使う者として興味深いな。一度会ってみたかった」
勇者の伝説を調べる内に勇者アルトゥル個人への興味が増す事を感じる。
同じ剣を使う者として会話をしてみたかったという思いが浮かんだ。
書店で調べられるだけの事を調べたシンは、次は骨董品店に向かう。
勇者の武器のレプリカなどがないかと思っての事だ。
レプリカ自体は複数、見つかったが、シンの見る限り特に勇者の伝説へのヒントになるとは思えなかった。
だが、話のタネにはなる。
「これはレプリカですが、勇者が使っていた本物は何処かにあるのでしょうか?」
「さてねぇ……勇者様が最後まで使っていた剣は群竜大陸と共に沈んだはずだが、旅立つ前に使ってた剣とかはあると聞いた事があるな」
などと勇者好きの旅人として、勇者の伝説に関して訊き出す。
勇者アルトゥルの物語はグランツの人々にとって大切なもの。また、シンにとっても尊敬に値する戦士の物語だ。
その誠実な心根はシンと話をする者にも伝わり、自然と少しでも聞かせたいという心持になる。
結果として、情報収集は上々で、秘境の洞窟、その洞窟への道筋などを知ることに成功した。
秘境への情報は十分。準備を整えつつグランツの観光を楽しむジンだった。
大成功
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カイム・クローバー
剣の達人の勇者…ねぇ。こういう話は眉唾、もしくは大抵尾ひれが付くもんだが…ま、戦争、戦争で最近は忙しかったからよ。気分転換にゃ丁度良いかもな。
【S】
飯を楽しみつつ、散策するぜ。個人的には出店を楽しみてぇな。串焼きやらリンゴやら手に持って齧れるもんを食べつつ、装飾の店やら道具の出店やらを見て回るぜ。商人なら噂話、まして剣の達人なんて勇者の伝説知らねぇ訳ねーだろうから、UCを交えつつ情報収集を。個人的には秘境の場所と勇者の伝説、何で剣の達人なんて呼ばれたか、とかそういうの聞きてぇな。あ、後は使ってた剣とか?只の興味本位だが、意外とそういう情報が群竜大陸に繋がる情報だったり……しねぇよな、やっぱ。
●便利屋Black Jack
城塞都市グランツでも特に賑わいを見せる場所。様々な出店が立ち並ぶ区域を藍色のトレンチコートを纏った銀髪の青年が歩いている。
青年の名はカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。この街を訪れた猟兵の一人だ。
「剣の達人の勇者……ねぇ。こういう話は眉唾、もしくは大抵尾ひれが付くもんだが……」
出店で買った串焼きを食べながら、今回の勇者の伝説について考える。
何と言ってもかなり昔の話、剣の達人と言ってもどれ程の物だろうか、と知り合いの剣の名手達を思い浮かべる。
かく言うカイム自身も達人と言える腕前の持ち主だ。
あまり期待し過ぎると期待外れになるかも知れない……などと思いもするが。
「ま、戦争、戦争で最近は忙しかったからよ。気分転換にゃ丁度良いかもな」
たまには気軽に伝説を追うのも良い。装飾の店や道具の店、様々な店を回り楽しみながら噂話を集める事にする。
もともとUDCで便利屋『Black Jack』を営むカイムは話術もお手のもの。
今はそれに加えユーベルコード《話術の心得(トーク・マスター)》を使っている。
出店を一通り回る頃には知りたい情報はほぼ全て揃っていた。
「秘境は霊峰の山腹にある洞窟。剣の達人と言われるのは……まあ、これが本当なら達人だな」
訊き出した逸話は常人離れした荒唐無稽なものも多かった。
とは言え猟兵ならば可能な者も多いだろう、カイム自身も出来る。
「……昔から俺達みたいな存在はいたという事だし、勇者がそうである可能性もあるのか?」
などと考えながら次いで勇者の使用していた剣に関して思いを馳せる。
鉄を紙の様に斬り裂いたと言われる勇者の剣技。剣自体が特別であった可能性はないだろうか?
「只の興味本位だが、意外とそういう情報が群竜大陸に繋がる情報だったり……しねぇよな、やっぱ」
思い浮かべた考えをすぐに否定する。
これは剣自体が勇者と共に群竜大陸諸共消えた為に例えそうだとしても確かめる術がないからだ。
「まあ、良い。必要な情報は得られた。後は秘境に期待するぜ」
秘境に向かう準備をしながら、楽しそうにするカイムであった。
大成功
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第2章 冒険
『竜の喉元』
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POW : 気合で進む
SPD : 手早く進む
WIZ : 賢く進む
👑11
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●秘境へと続く道
城塞都市グランツで集めた情報を元に霊峰ヴァイスブルカンを進む猟兵達。
険しい山道を乗り越え、行く手を阻むモンスターを退けた彼等の前にはぽっかりと空いた洞窟の入口が見える。
巨大なドラゴンでも自由に出入りできそうな入口。
「これは想像していたより遥かに大きいな。奥も深そうだ」
気を引き締め直す猟兵達だった。
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第一章では情報収集お疲れ様でした。
第二章は秘境へと続く洞窟への入口から始まります。
中は暗く、分岐も多いです。足場も悪いところもあるのでお気をつけ下さい。
モンスターも存在するのでどんな風に相手をするか書いて頂けると幸いです。
それでは洞窟探索を宜しくお願いいたします。
茲乃摘・七曜
心情
…遅参になってしまったようですね
気功という力もなかなか興味深いです
指針:Wiz
探索完了範囲を広げるように行動
※探索中、この先行き止まり等の合図を示し合わせ壁面に刻む等の情報共有を提案
「アルトゥルの使っていた痕跡…は流石に残っていないですよね
行動
秘境に繋がる経路には風の流れがあると予測しその指針で調査
「匂いや地面の土の状況…あとは、秘境から洞窟内に吹き込んできた何か等、違和感がないか注視しましょう
暗所対策
反響の福音で洞窟の構造や振動で崩落しそうな場所等を認識し灯りを使わず移動
※音波で魔物を呼び寄せる可能性を考慮し二挺拳銃を抜き放てる状態で探索
「…とはいえ、可能な限りは戦闘は避けたいものですね
夜神・静流
視界の悪さに対しては視力・暗視技能を使用。
分岐ではどちらに進んだか分かるように目印を付け、慎重に進みます。
「迷わないように、堅実に参りましょうか」
魔物に対しては聞き耳・第六感・戦闘知識を使って接敵を事前に察知し、早業・先制攻撃・衝撃波・破魔技能を使用しての一ノ太刀・隼で機先を制す。
巨大で強力な魔物が現れた場合は見切り・残像技能を使って回避重視で戦う。
「足場が悪いですね。注意しましょう」
アドリブ・絡み歓迎。
●黒衣の淑女と男装の麗人
猟兵達が秘境を求めてグランツを出発する少し前、黒薔薇があしらわれたドレスに身を包んだ猟兵が新たにこの地を訪れていた。
「少し、遅参になってしまったようですね。ですが、皆さんと合流できて良かったです」
そう言うのは茲乃摘・七曜(魔導人形の騙り部・f00724)だ。
夜色の帽子に目元は隠されているが、見えている口元で優しく微笑んでいるのが分かる。
「お久しぶり……と言う程ではないですが、またお会いできて嬉しいです。今回も宜しくお願いします」
礼儀正しく七曜に答えるのは男装の麗人、夜神・静流だ。彼女も猟兵であり、七曜とは戦場を共にした事もある。
「宜しければ、勇者の伝説に関して判明している事をお聞きしたいのですが」
「はい、勿論です」
こうして、七曜は秘境の場所を含めた勇者アルトゥルの伝説を知る。
「ありがとうございます。……気功という力はなかなか興味深いですね」
勇者の伝説の中で特に興味を引いたのはアルトゥルが使ったという気功。
秘境にそれに関する何かが残っていればと期待する。
●洞窟探索
そして、秘境へと続く洞窟の入口。覗き込むと中は漆黒の闇に見える。
猟兵達は松明等、照明器具を用意してきていたが、この闇は探索の障害となるだろう。
「私が先行しましょう。暗闇での行動は慣れています」
静流が言う。彼女は退魔の剣士。代々、夜が主戦場の一族の末裔だ。暗闇を見通す術を持つ。
「分かりました。それでは、私もご一緒しましょう。足手纏いにはなりませんよ」
そう静かに答える七曜も暗視の力を持つ。
また、彼女のユーベルコードの一つ《反響の福音》は彼女の周囲を浮遊する拡声器から発せられる音波の反響で暗闇であろうと洞窟の構造を把握する事が出来る。
洞窟探索においてかなり有用な力を発揮するだろう。
反対意見は出ず、二人は洞窟に足を踏み入れる。
「アルトゥルの使っていた痕跡……は流石に残っていないですよね」
入口付近で辺りを見回す七曜。ここにはアルトゥルは勿論、人間が活動していた形跡も見当たらない。
秘境に期待したいところですね、と前を向く。
危うげない足取りで着実に進む二人。暫くすると最初の分岐に差し掛かる。
「どちらに行きましょうか?」
「……こちらから、風を感じます。アルトゥルが修行していた秘境。いくら剣の達人と言えど、漆黒の闇の中で行っていたとは思えません」
秘境の場所があるのが洞窟の中にせよ外にせよ、光が届く場所にあると予測できる。
つまり秘境に繋がる経路には風の流れがあるだろうというのが七曜の推理だ。
その考えに静流も頷く。
「そうですね。それでは、こちらに向かいましょう」
彼女は後続に分かるように目印をつけると再び歩み始める。
それから暫く時が経つ。行き止まりなどにも何度か出くわしつつも堅実に歩みを続ける二人。
行き止まりだった場合は分岐点に戻って、この先、行き止まりの合図を刻むことも忘れない。
七曜の《反響の福音》は期待通りの威力を発揮して、崩落しそうな場所を予め把握する事に成功して安全な経路を築いて行く。
「どうやら、魔物が近づいているようです」
研ぎ澄まされた感覚で魔物の接近にまず気づいたのは静流だ。
「……どうやらそのようですね。とはいえ、可能な限り戦闘は避けたいものですが」
七曜もすぐに気づく。
彼女は《反響の福音》の音波が魔物を呼び寄せる可能性を考慮して二挺拳銃をいつでも抜き放てる状態にしている。
だが、暗闇で足場も安全とは言えない洞窟内での戦闘は出来るだけ避けたいというのが本音だ。
「そうですね。ですが、そうはいかないようです。……一ノ太刀・隼!」
現在、近付いてきているモンスターは明らかに彼女達を把握して目指してきていた。
七曜の言葉に同意しつつも魔物がその姿を現した瞬間に神速の抜刀術による衝撃波を放つ静流。
虎の様な外見をした魔物は自分の身に何が起こったのかも分らぬまま両断される。
「お見事です」
「ありがとうございます」
二人はそれ以上の魔物の襲撃がない事を確認すると探索を再開する。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
龍牙崎・黒斗
【POW】で判定。アドリブOK
「コイツぁ予想以上だな……町で色々と準備してきて良かったぜ」
松明(またはそれに近しい照明器具)で、洞窟内を照らしながら進んで行く。暫くは歩いて様子を見て、洞窟内も入口並みに大きいようであれば、翼を広げ飛んで進む。
分岐道では通った所には目印をつけ、落ち着けそうな場所があれば買ってきた食料で休憩をしながら、秘境の最奥を目指して進む。
モンスターに遭遇した場合、体力を温存するために全員と戦わず、避けれる戦闘は避けたり、纏めてドラゴニアン・チェインで傷を負わせたりしながら進む。
強敵や避けれない場所での戦いの場合、抜刀し地形を気にしながら闘い、必要なら剣刃一閃にて両断する。
●洞窟進行中
「コイツぁ予想以上だな……町で色々と準備してきて良かったぜ」
巨大な洞窟を歩いていると自然とそんな声が出る。紅い髪と瞳が印象的な猟兵、龍牙崎・黒斗だ。
彼は片手に持った松明で洞窟を照らしながら進んでいる。
「おっと、また広い所に出たな」
入口は巨大であった洞窟だが、内部は狭くなっている場所もあれば入口以上に広い空間もある。だが、広さに関わりなく足場は悪い場所が多い。
この為、ドラゴニアンである彼は飛べる場所ではその翼を広げて、宙を飛んで進む事にしていた。
●分岐点
「また、分岐か……先行組はこっちに行ったか」
何度目かの分岐。先行組が付けた印を見て考える。
道は三つに分かれている。行き止まりの印はまだない。先行組と同じ道を進んで行き止まりの場合、非効率的だろう。
「俺はこっちに行ってみるか」
新たに目印をつけて奥に進む。それから暫し。
「モンスターか」
進路上に巨大なモンスターの姿を発見する。
秘境までの距離がどれだけかかるか分からない以上、無駄な消耗は避けたいとこれまで戦闘を避けて来た黒斗だが、進路上に鎮座するモンスターを避けるのは流石に無理だろう。
「仕方ねぇな」
スラリと愛刀『鎧太刀』を鞘から抜き放つ。
片手に松明を持った状態なので二尺五寸の太刀を片手で構えているのだが、その体幹は全くブレていない。
ここに至ってモンスターも黒斗に気づき、獰猛な唸り声を上げる。
戦闘態勢に入るモンスターを冷静に見つめる黒斗。足元を確認しながらジリジリと必殺の間合いを探る。
「グォオオオ――」
唸り声を上げながらモンスターが飛び掛かる!
それと同時に黒斗も踏み込み、鎧太刀を振るう。
――《剣刃一閃》――
刃が閃き、次の瞬間、モンスターは真っ二つに切断されて洞窟の床に転がる。
黒斗は血振りを行って太刀を鞘に戻すと何事もなかったかのように歩みを再開する。
●休息
「お、良い感じの場所に出たじゃん」
程よく広くモンスターの気配もない。まだ、先は長そうだと体力を温存する為に休憩を取ることにする。
賞金首として狙われた経験もある黒斗は休める時に休んでおくことの重要性を熟知しているからだ。
用意して来た食料で腹を満たし、少しの休憩を終えた黒斗は再び秘境を目指して歩き出す。
成功
🔵🔵🔴
ヒナ・ローレンス
話によればこの奥が…一体どんな場所なんでしょう。
暗い場所は慣れていますが、急な段差などに足をとられないよう進みます。
他に訪れている方もいるようです、合流できれば心強いですね。
何にせよ道中怪我をされている方がいたら治療しますね。
来た方向が分かるように、分岐点では落ちている石などで通路の隅に目印を作っていきます。
隅であれば、余程の事でない限り無くならないでしょう。
第六感や聞き耳でモンスターの接近をなるべく事前察知して、不利な状態での戦いを回避したいです。
自分一人なら身を隠して戦闘そのものも避けたいですが、戦いを避けられない時は鈴蘭の嵐を使います。
挟撃されないよう、手早く済めばよいのですが。
カイム・クローバー
なるほどね。猟兵じゃなきゃ確かにこの霊峰とやらはキツいかもな。だが、本番はこれからだ。宝の一つでもありゃ、儲けモンなんだが。
【S】
購入した松明に火を付けるぜ。UCを使いつつ進む。UCには【追跡】もあるから何かしら情報がありゃ、それを辿っていくってのも方法だろう。分岐かぁ…しゃあねぇ。一定距離進んで、断腸の思いで硬貨を落としていく。流石に硬貨食う奴ぁ、居ねぇだろ。もし、他の猟兵が迷わない別の方法を持ってるなら任せるぜ。俺だって望んで金を捨てたくはない。
戦闘時は銃を派手にぶっ放す…と行きたいトコだが、折角、剣の勇者の秘境なんだ。郷に入れば郷に従え、だっけ?剣で魔物の相手するぜ。かかって来やがれ!
●洞窟までの道
霊峰ヴァイスブルカンの険しい山道を物ともせず軽やかに進む青年が一人。
「なるほどね。猟兵じゃなきゃ確かにこの霊峰とやらはキツいかもな」
そう呟くのはカイム・クローバー、銀髪紫瞳の猟兵だ。
此処に来るまでに何度か魔物を撃退している。足場の悪い山道と相俟って常人に辿り着くのは困難だろうと。
そう呟く間にも歩みは止めず、秘境に続くとされる洞窟が見えてくる。
「さて、本番はこれからだ。宝の一つでもありゃ、儲けモンなんだが」
●洞窟入口
「話によればこの奥が……一体どんな場所なんでしょう」
洞窟の入口に立ち、秘境に思いを馳せるのはヒナ・ローレンス。輝く銀の髪と澄み切った青い瞳を持つオラトリオの聖女だ。
彼女が覚悟を決めて第一歩を踏み出そうとした時に後ろから声がかかる。
「よお、お嬢さん。あんたも秘境を目指す猟兵かな?」
「……はい、そうです。そう仰る貴方も猟兵なのですよね?」
「ああ、そうだ。俺の名前はカイム・クローバー。お嬢さんの名を聞いても良いかい?」
「ヒナ・ローレンスです。カイムさん、ですか。よろしくお願いします」
「よろしく。折角だ。一緒に行くかい?」
声をかけたのはカイム。ヒナは驚きながらも挨拶を交わす。
同道の誘いを受ければ断る理由はない。二人は連れ立って洞窟に入ることにした。
●探索開始
暗い洞窟内、カイムは用意して来た松明に火を灯す。
「先行組がいるって話だからとりあえず、その後を追うか……ところで、ヒナは灯りは?予備を渡しても良いぜ」
「ありがとうございます。ですが、大丈夫です。私は暗い場所には慣れているので」
「そうかい、じゃあ行こうか」
慣れているとかの問題かとも思ったが、彼女も猟兵。大丈夫と言う言葉を信じて進みだす。
実際、ヒナは暗闇を見通す力があるようで、足元に気をつけている様子は見えるが、暗闇を苦にしている様子はないようだ。
幾つもの分岐、あえて先行組が印をつけていない方に行ったりもするが、その場合は今のところ行き止まりばかりだ。
「この道は行き止まりっと」
「では、目印を作っておきますね」
分岐地点まで戻ると、ヒナが道の隅に行き止まりの目印を落ちている石を拾って作る。
同じ道を何度も行かない為でもあるし、後続の為でもある。
●魔物襲撃
「……!カイムさん」
耳を澄まして進んでいたヒナは魔物と思しき複数の生物の接近を察知する。
身を隠しましょうかと提案する彼女にカイムは首を振る。
「どうやら数が多そうだ。下手に隠れて見つかった時が動きにくい。なら、最初からこっちのペースで行こうぜ」
余裕の笑みすら浮かべているカイムにヒナも覚悟を決める。もとより、彼女も魔物に不覚をとるつもりはない。
そして、姿を現したのは巨大な蝙蝠に似た魔物の群れだ。明らかにこちらを敵もしくは餌として認識している!
「飛んでるのか。まあ、銃で……と行きたいトコだが、折角、剣の勇者の秘境なんだ。郷に入れば郷に従え、だっけ? 剣で相手するぜ。かかって来やがれ!」
銃も剣も得意とするカイム。飛んでいる相手なら銃の方が有利とは百も承知で愛剣『Marchocias』を顕現させる。
黒と銀の業物は顕れるなりカイムに振るわれ、彼を急襲しようとした魔物を斬り裂く。
斬られた魔物は銀の炎に包まれて燃え尽きる。
「すごいです。それでは私も!」
カイムの鮮やかな斬撃を見て感嘆した後、美しい歌声でユーベルコード《鈴蘭の嵐》を発動するヒナ。
彼女の所持する『シンフォニックデバイス』が拡声した彼女の歌声は奇跡の力で鈴蘭の花弁を創生して近づく魔物共に襲い掛かる!
魔物共はなす術もなく無数の花弁に裂かれて地面に落ちる。
僅かな時間の後、ある魔物は大剣に斬り裂かれ、また他の魔物は鈴蘭の花弁に襲われ、全滅する事となる。
二人はお互いの技量を称え合うと、秘境への歩みを続けるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シン・コーエン
勇者アルトゥルの秘境に向けて行進。
大きく複雑な経路の洞窟に加え、モンスターが出るとの事。
洞窟の踏破については、分岐点近くの鍾乳石にロープの切れ端等の目印を付けて迷わぬようにする。
モンスター出現時は「俺は勇者アルトゥルの偉業を確認する為にここに来た。貴殿等と戦うつもりは無いが、降り掛かる火の粉は払う所存だ。」と宣言し、UC:灼星赫奕を警告で使用。
その上で「通して貰えないなら全力でお相手するが、できれば通して貰いたい。」とモンスター達に頭を下げて頼む。
許可を得られれば、街で買った菓子等を手土産に渡す。
戦闘時には【2回攻撃・念動力・炎の属性攻撃】の攻撃や【見切り・オーラ防御・武器受け】の受けで戦う。
●
勇者アルトゥルが修行したとした伝えられる秘境を目指して進行する猟兵達。
その中に金髪碧眼の青年、シン・コーエンの姿もあった。
洞窟の探索を開始して既にかなりの時間が経っている。
シンは他の猟兵がつけた目印を時に参考にして、時に自分の判断で歩みを続けていた。
――ぼうぼうと魔物の死体が燃えている。
何度目かの魔物の襲撃。シンは炎を自在に操って危うげなく襲ってきた魔物を倒した所だ。
「これで何度目か。しかし、襲撃の頻度が上がっているな」
入口付近には殆ど魔物はいなかったが奥に行くにつけ増えている実感がある。
「秘境が近い……のかも知れないな」
根拠はないが直感が秘境が近いと囁く。
●
暫く歩くと再び魔物の気配を感じ取る。それも複数だ。
油断なく様子を見るシン。猩々に似た魔物の群れが現れる。シンの様子を窺っているようだ。
「……?」
その様子に他の魔物に見られない知性を感じとるシン。
駄目でもともとと声を掛ける。
「俺は勇者アルトゥルの偉業を確認する為にここに来た。貴殿等と戦うつもりは無いが、降り掛かる火の粉は払う所存だ」
凛然とした声が響く。
そして、シンは魔物達との距離を見切ってフォースセイバー『灼星剣』を顕現させるとそれを掲げる。
するとシンの掲げる灼星剣の真紅の輝きがいや増し――灼光が彼の周囲を焼き尽くす。
ユーベルコード《灼星赫奕》を警告のつもりで発動したのだ。
魔物達は射程範囲外にいた為に無傷であるが……もし、あと数歩近づいてたら跡形もなく焼かれていただろう。
恐怖が魔物を襲う。そんな魔物を見据えながらシンは再び口を開く。
「通して貰えないなら全力でお相手するが、できれば通して貰いたい」
そう言って頭まで下げる。
「――――」
シンの言葉が通じたのかどうかは分からない。だが、魔物達は互いの顔を見合わせ……踵を返そうとする。
「待たれよ。これは通してくれる礼だ」
グランツで買った菓子を手土産として出すシン。魔物が取りやすい様に足元に置くと、そのまま後ろに下がる。
魔物達は戸惑った様子だったが、やがて一匹が恐る恐ると言った様子で近づき、菓子を持って下がる。
魔物達はシンの方を見ると、今度こそ踵を返してその姿を消す。
踵を返す際に御礼をするように頭を下げたように見えたのは気のせいであろうか……?
魔物達の後ろ姿を見送った後、清々しい気持ちで歩みを再開するシンであった。
成功
🔵🔵🔴
カーニンヒェン・ボーゲン
喉元とはゾッとしませんな。
(と言いつつも恐ろしさよりも興味深げに)
腰に佩いた老兎に満足の笑みを一つ。
細道からの奇襲に聞き耳で警戒しつつ、大きな通りを行きますかな。
同幅ならばモンスターの痕跡を避けて、消耗を押さえたいものです。
なに、老い先短いジジイ故。
ですが遭遇すれば逃げ腰でばかりもおられますまい。
相手の動きを視線で追跡し、見極めながら目立たぬように死角へ。
UC:剣刃一閃にて薙ぎ払って参ります。
力より速さに重点を置いた剣技を使っております。
流派は、…何と申しましたか。
古い友人の受け売りです。
脆い足場は岩と岩の溝が目につくもの、泥濘には足跡が残るもの、
若い方々に遅れぬよう油断なく歩を進めましょう。
●
秘境へと続く巨大な洞窟。
この洞窟の入口は竜が口を開けて獲物を飲み込まんとしている様にも見える事から竜の喉元と呼ぶ者もいる。
「喉元とはゾッとしませんな」
その事を知る人狼の老紳士、カーニンヒェン・ボーゲンはそう独り言つ。
とは言えその表情に恐ろしさを感じている様子はない。むしろ、興味深さが勝っている様だ。
腰に佩いた愛刀『老兎』を一撫ですると満足気な笑みを浮かべて、洞窟に浸入する。
●
洞窟に入って既に数時間。細い道、広い道、カーニンヒェンは弛まず進む。
一見、常と変わらぬ様子で歩いている様に見える。
だが、よくよく観察すれば聞き耳を立てて周囲を警戒している事、道に残るモンスターの痕跡を目敏く見つけ、余計な戦闘を避けている事が分かるだろう。
カーニンヒェンにこの事を訊ねれば、彼は穏やかな笑みを浮かべて「消耗を押さえたいものです。なに、老い先短いジジイ故」と答えるだろう。
そんな彼だが戦闘が不得手な訳では決してない。
例えば道を塞ぐ形でモンスターがいた場合。彼は躊躇なく排除する事を決めて歩を進める。
自然な歩みに見えながらも、相手の動きを確実に見極めて死角を突くような歩法。
相手の死角、虚をつくカーニンヒェンは悟られることなく自身の必殺の間合いまで詰め……
斬――
『老兎』を抜き放って振るわれた《剣刃一閃》は音もなくモンスターを両断する。
「力より速さに重点を置いた剣技を使っております。流派は、……何と申しましたか」
まあ、死んだ貴方には関係ない事でございますね、と呟き何事もなかったかのように歩みを再開する。
足元の泥寧を見れば、まだ新しい足跡が残っている。
「もう少しで追いつきそうですね。若い方々に遅れぬよう油断なく歩を進めましょう」
そう言って歩むカーニンヒェンの挙動に老いは感じられないのであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『棘蜥蜴』
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POW : 集団遊猟
技能名「【追跡】【地形の利用】【トンネル掘り】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : 探知器官
技能名「【暗視】【見切り】【失せ物探し】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 鱗色変化
技能名「【目立たない】【忍び足】【迷彩】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
👑11
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●秘境到着
長い長い洞窟を遂に抜け、かなりの広さを持った場所に出る。
霊峰ヴァイスブルカンの山頂近くだろうか?
眼下の景色は絶景と言える。遥か下界には城塞都市グランツが小さく見える。
「ここが終着点。という事はアルトゥルが修行した秘境と言うのは此処か……」
「そうだと思いますが……あれを見てください。朽ちてはいますが、建造物ではないでしょうか?」
「そう見えるな。調べてみるか」
朽ちた建造物と思しきものを調べる猟兵達。
「流石に何も残ってないか……」
「ちょっと、こちらに来て下さい」
興奮気味に仲間を呼ぶ声に向かってみれば……
「これは」
「アルトゥルが残した……?」
所々掠れて判別できない個所もあるが、確かに壁面に文字が刻まれている。
また、剣を持った人型も刻まれている。
「これは……アルトゥルの剣術?」
「解読できれば、伝説の正体が掴めるかもな」
これで勇者の伝説を見つけたと言えるだろう。
そう思う猟兵達であったが……
ガサガサ――ガサガサ――
「任務終了はこいつらを倒してからのようだな」
現れた棘蜥蜴の群れを見据えながら、それぞれの得物を構える猟兵達だった。
===============================
第二章の洞窟探索、お疲れ様でした。
皆さんのお陰で無事、秘境に辿り着くことが出来ました。
秘境に残された勇者の伝説。今回は壁面に残された文字と絵になります。
遥か昔の文字ですし、所々、読めない部分もありますが、これはアルトゥルが『気功』の修行方法と彼の使った剣術の構えなどが刻まれています。
興味がおありでしたら、これからのRPのネタの一つにでもしていただければ嬉しいです。
さて、最後はこの秘境を棲み処としているオブリビオン、棘蜥蜴の群れを撃破していただければ『勇者アルトゥルの伝説』のフラグは回収完了となります。
よろしくお願いできれば幸いです。
ヒナ・ローレンス
相手の姿が消えたとしても、本当に消えてしまった訳ではありません。
でも何らかの手段で相手の場所さえ特定できればどうにかできるはず。
引き続き鈴蘭の嵐を使っていきます。
……いえ、ただ闇雲に攻撃するのではなく、少し考えがあるんです。
失せ物探しなら私も少しは得意なんです。
花びらの動きがおかしい場所を探していけば、きっと相手の場所が特定できると思うんです。
相手を見つける事ができたら、そちらに攻撃を集中させます。
壁面、戦闘で傷は付いていませんよね。
ここは今を生きる人達にも長く、誇りとして語り継がれている場所ですから、大事にしていきたいですね。
シン・コーエン
技能レベル上昇により、地中からの攻撃(POW)、追跡と回避能力強化(SPD)、奇襲攻撃(WIZ)を使い分けて、群れ全体で狩りに来る手法か。
厄介な相手だがオブリビオンには容赦しない。
守勢に回れば相手の技能と数に押されると見た。
戦場を固定しないよう素早く動きつつ敵を倒す。
同時に囮となって仲間への攻撃を減らし、行動を援護する。
【自身を念動力で運ぶ・ダッシュ・ジャンプ・空中戦・残像】を組み合わせ、重力に囚われずに平地や壁面を自在に駆け抜け、囮として敵の群れを翻弄しつつ、UC:灼閃・連星と【2回攻撃・衝撃波・炎の属性攻撃・範囲攻撃・なぎ払い】で攻撃。
防御は【見切り・武器受け・オーラ防御・第六感】で対応。
●
霊峰の洞窟を抜け辿り着いた秘境、勇者アルトゥルの修行の地。
雄大な景色が広がるその場所にドラゴンの亜種にも見える巨大なトカゲ『棘蜥蜴』の群れが現れる。
その体表は棘に覆われ、三対六つの赤い瞳が猟兵達を獲物として見据える。
「シィ――」「シィ――」「シィ――」
独特の鳴き声が辺りに響く。見れば前方からだけではなく、左右、後方からも姿を見せている。
「何処に隠れていた? 此処は奴等の巣か――」
周囲に油断なく気を配りながら真紅に輝く光の剣を発現させたのはシン・コーエン。
日常では快活な好青年である彼だが、今は秀麗な顔を鋭く引き締め戦人の顔付きになっている。
「ドラゴン……トカゲでしょうか?珍しい種ですね」
凶悪な外見の棘蜥蜴を見て知識欲を刺激されたのはヒナ・ローレンス。
白磁の肌に輝く銀の髪を持ったオラトリオの少女だ。
「奴等は多分、棘蜥蜴という種族だろう。 ……この気配はそれのオブリビオンだな」
ヒナの疑問にシンが答える。彼はグランツでの調査の際、書物を読み込んでおり、勇者の伝説に登場する魔物の一種に眼前のトカゲと同じ特徴を見出していた。
「棘蜥蜴ですか」
見たままの納得のネーミングだな、と思いつつシンにお礼を言うヒナ。
そうしている間に棘蜥蜴の襲撃が始まる。
●
「――――!」
それを避けられたのは紙一重だ。微かな違和感を信じて飛び退いたヒナ。
一瞬前に彼女がいた場所に突如現れた様に見える棘蜥蜴の前脚が振るわれる。
「えっ、突然、現れた?」
急いで距離を離しながら棘蜥蜴を観察する。するとその姿は周囲の景色に溶け込むように消えていく。
「透明化……? いえ」
保護色や擬態能力を持つ生物がいる事をヒナは知っている。棘蜥蜴はそれを超常的なレベルで備えているのか?
辺りを見回せば姿がはっきりと見えている棘蜥蜴も多い。
それらの見えている蜥蜴がある意味囮になって見えなくなっている蜥蜴からの攻撃の脅威度を増している。
本能によるものか知性によるものかは分からないがよく出来た狩りの形と言えるだろう。
――とは言え。
「……相手の姿が消えたとしても、本当に消えてしまった訳ではありません。何らかの手段で相手の場所さえ特定できればどうにかできるはず」
ヒナは歌を唄う。
その歌声は蒸気機関式拡声器によって拡大され――ユーベルコード《鈴蘭の嵐》の奇跡の力で鈴蘭の花弁に変換される。
普段は彼女の意思に応じて敵を切り裂く花弁が今は花嵐の様に宙を舞っている。
その様子を注意深く見るヒナ。そして。
「そこです――」
花弁の動きがおかしい場所。何もない空間のはずなのに何かに当たっているような場所を見極めたヒナ。
鈴蘭の花弁による攻撃を集中させる。
「ジザァアア――」
体中を花弁に切り裂かれた棘蜥蜴が血塗れになって姿を現し、動かなくなる。
「失せ物探しなら私も少しは得意なんです」
そう言って彼女は次の獲物に狙いを定める。
●
ドサァ――
棘蜥蜴の首が真紅の軌跡と共に落ちる。シンの振るう灼星剣による斬撃だ。
首を刈り取った彼は、しかし立ち止まらず、跳躍して姿を消す。
そして、跳躍先で再び光の剣を振るって仕留める……先程からシンはそれを繰り返している。
棘蜥蜴の攻撃方法は多彩だ。
透明化と言える程の迷彩能力、こちらの攻撃を見切り、また立ち位置を的確に狙ってくる探知能力。
そして、地面を掘って地中から不意に攻撃してくる襲撃能力。どれも厄介である。
その蜥蜴が徒党を組んで襲ってくる。
守勢に回れば数とその能力に押されると判断したシンはヒットアンドアウェイに徹して数を減らしている。
時に足を止める事もあるが、これは囮になって仲間の行動の援護とする為だ。
超人的な身体能力と自身の念動力を駆使して戦場を駆ける姿は空を舞っている様だ。
「唸れ、灼星剣!」
神速の二連撃でまた一匹、仕留めると、瞬間的に辺りを見回して仲間がいないことを確認する。
「薙ぎ払う!」
輝きが増した灼星剣を横薙ぎに一閃――炎の衝撃波が複数の敵を一気に屠る!
●
「大分、殺ったはずだが、まだ数が多いな」
縦横無尽に戦場を駆け回り、今はヒナの背中を守っているシン。
「はい。ですが、確実に減ってきています。もう少し頑張りましょう。……ところで壁面、戦闘で傷は付いていませんよね。
ここは今を生きる人達にも長く、誇りとして語り継がれている場所ですから、大事にしていきたいですね」
勇者の遺した壁面を気遣う余裕を見せるヒナ。
「ああ、そうだな」
壁面を自在に駆け抜けて戦っているシンだが、文字が刻まれた部分は避けている。
「よし、じゃあ、もう一働きするか」
「ええ」
再び駆け出すシンをヒナの鈴蘭の花弁が援護する。
まだ猟兵達の戦いは続く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カイム・クローバー
へぇ、トカゲ野郎か。またゾロゾロと出やがって。こっちは石板解読の最中だってんだ。邪魔すんじゃねぇよ。
【S】
集団戦っつー事で一人で無茶な突進は避けてぇトコだな。ホントなら銃で集団攻撃の方が纏めて片付くんだが、今回ばかりはコイツ一本でやると決めてるんでね。
【二回攻撃】【串刺し】【なぎ払い】【属性攻撃】を組み合わせてUC。集団相手だし、囲まれりゃ流石に不利は避けれねぇ。深追いはせず、確実に一匹ずつ叩いていくぜ。攻撃に対しちゃ【見切り】【残像】で避ける。んであのトカゲ、こっちの攻撃を見切りで躱そうとすんのか。ならこれでどうだ?【フェイント】技能入れてUC。見切れるモンなら見切ってみやがれ、トカゲ野郎!
●
勇者アルトゥルの修行の地。
霊峰の山頂付近のこの地で棘蜥蜴と猟兵達の戦いは続いている。
「へぇ、トカゲ野郎か。またゾロゾロと出やがって。こっちは石板解読の最中だってんだ。邪魔すんじゃねぇよ」
そう吐き捨てながら棘蜥蜴を両断するのは色黒の肌と銀髪の青年。黒と銀の業物、魔剣『Marchocias』を振るうカイム・クローバーだ。
彼は流麗な舞うような動きで棘蜥蜴を一匹、また一匹と屠っている。
一対一ならば圧倒的に優位なカイムだが、相手は多勢。囲まれれば厄介と、深追いはしない戦術だ。
「銃を使った方が楽ではあるが……今回ばかりはコイツ一本でやると決めてるんでね」
カイムは優れた銃使いでもある。集団戦においては腰にさした二丁の銃を使った方が早いかもしれない。
だが、戦いの舞台は剣の勇者の秘境である。かの勇者に敬意を払う様に彼は剣一本で戦っていた。
「痺れさせてやるぜ? 受け取りな!」
紫雷を纏ったカイムが電光の速度で踏み込んでまた一匹の棘蜥蜴を倒す。
しかし、その瞬間。仲間を囮にしたのだろうか?
剣を突き刺したカイム目掛けて棘蜥蜴の群れが一斉に襲い掛かる!
棘蜥蜴の鋭い爪がカイムの体を捉えたかに見えたが――それは残像である。
残像に振るわれた爪は虚しく空を切るどころか、複数が殺到していた為に互いを傷つけ合う。
「ハッ、甘いんじゃねぇの?」
残像を残して後ろに跳ぶ事で危うげなく回避したカイム。顔には余裕の笑みが浮かぶ。
そして、彼が黒と銀の魔剣を横に薙ぎ払えば、奇襲をかけた棘蜥蜴達は纏めて斬り裂かれるのだった。
●
激戦が続く秘境。棘蜥蜴の数は目に見えて減っている。だが、少しずつ猟兵の動きを見切り始めたのだろうか?
カイムの斬撃に反応して回避する棘蜥蜴。
「やるじゃん。なら、これでどうだ?」
再び電光の速度で刺突を放つ。棘蜥蜴はそれにも反応して回避しようとするが――
「ジアアァア――」
断末魔の叫びを上げて動かなくなる。
反応できたかに見えたがそれはカイムの巧みなフェイント。本命の一撃に為す術もなく貫かれたのだ。
本能だけで戦っている奴等と違い、彼の使うのは剣術。敵を屠る為の術理がある。
「見切れるモンなら見切ってみやがれ、トカゲ野郎!」
棘蜥蜴如きが見切れるものではないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
夜神・静流
「姿を消す能力……なかなか厄介ではありますが……」
見切り・視力・暗視・聞き耳・戦闘知識・第六感を使用して索敵。
自分の持つ感覚を全て使用し、目視は勿論、音や空気の流れ、気配などを察知します。
敵を捉えたら早業・カウンター・属性攻撃・範囲攻撃を使用して、四ノ太刀・氷雨で攻撃。
変温動物のような姿ですし、冷気には弱い可能性があります。試してみる価値はあるのではないでしょうか。
弱点では無くても、凍結させて動きを封じる範囲攻撃は有効かと。
動きを封じる事に成功したら怪力・早業技能を使って刀で直接叩き斬ります。
「……捉えた。凍てつけ!」
アドリブ・絡み歓迎。
茲乃摘・七曜
心情
厄介な魔物のようですが、壁画を荒らされてもかないませんしね
指針:Wiz
壁画を巻き込まない形で範囲攻撃を主体に行動
「暗所での活動に迷彩能力ですか
※仲間同士の連携に音若しくは振動を用いていると予測
行動
Angels Bitsとの輪唱で自信を中心に風刃の領域を展開し自衛しながら風切り音で魔物の声を塗りつぶす
「足元からの襲撃も気を付けるべきですね
※致死毒を土に染み込ませてゆき地下からの攻撃に対する逆撃にする【毒使い・麻痺攻撃】
防御
魔物が数で押してくる場合、二挺拳銃で迎撃、密着された場合は格闘戦に移行
※銃撃は足などを狙い動きを止める事などを意識し流転を織り混ぜる
「さて、この場所は返していただきましょう
●
棘蜥蜴。強靭な鱗と鋭い棘を持つ獰猛な巨大蜥蜴である。
集団での狩りを得意とし、戦闘能力は高いが知能は動物並み。それはオブリビオンとして蘇った今も変わらない。
そんな彼等が今抱いている感情は『恐怖』である。
目の前にいる女性、夜神・静流はその華奢な外見からは信じられない剛の剣で容赦なく仲間を屠っている。
普段は清楚で穏やかな彼女だが、人に害する魔に対する顔は全く違う。そこにいるのは冷徹な処刑人だ。
「――――!」「――――!」
人間の可聴域外の鳴き声で連携を取る。姿を見せた状態では無理だと。姿を消して襲おうと。
そうして複数の棘蜥蜴が周囲の景色に溶け込み、透明化して静流を目指す。
●魔を狩る剣士
「姿を消す能力……なかなか厄介ではありますが……」
《鱗色変化》の優れた迷彩能力で透明化して、音もなく忍び寄る棘蜥蜴の群れ。
しかし、その接近を名刀『十六夜』を構えた静流はハッキリと把握していた。
微かな空気の流れ、気配などを感じ取る鋭敏な感覚。
そして超常の存在と戦い続けて来た彼女の戦闘経験は見えない敵をも捉える。
「変温動物のような姿ですし、冷気には弱い可能性がありますね」
試してみる価値はあると棘蜥蜴への攻撃方法を決める。
彼女の意思に呼応するかの如く『十六夜』が冷気を纏い始める。
そして、十分に棘蜥蜴を引き付けた瞬間。
「……捉えた。凍てつけ!」
裂帛の気合と共にぐるりと一回転しながら刀を振るう。
《四ノ太刀・氷雨》、静流が修める剣術流派の四の型「水」の初伝である。
『十六夜』の刀身から激しい吹雪が放たれ、今まさに彼女を襲わんとしていた棘蜥蜴達を凍てつかせる。
棘蜥蜴が冷気に弱いか否か?
それは分からない。だが今、彼等は凍り付き、動きを止めている。
その隙を逃す静流ではない。パリン、パリンと氷の砕ける音が響く。
一瞬後には彼女の周囲には砕け散った棘蜥蜴の残骸が散乱する事となる。
「次に行きましょう」
それら残骸を気にすることなく静流は次の獲物を狙って動き出す。
●魔法を紡ぐ歌声
あちらこちらで猟兵に狩られて行く棘蜥蜴達。
劣勢と言える彼等が戦いを続けるのはオブリビオンとしての本能が猟兵を天敵と訴え、また知能が低いだけに撤退して捲土重来を計るなどの選択肢を取れない為だ。
こちらの戦場でもまた、棘蜥蜴は透明化しての襲撃を選択していた。
狙うは茲乃摘・七曜。黒き魔導人形の淑女である。
しかし、七曜もまた歴戦の猟兵。
「見事な迷彩能力です。ですが、互いに見えない筈にも関わらず連携は取れている……」
この事から棘蜥蜴は音若しくは振動を用いて互いの位置を把握していると正解を予測していた。
それに基づいて対処法を考え出す。
美しい七曜の歌声が響く。少し遅れて彼女の周囲を浮遊する『Angels Bit』からも歌声が発せられ輪唱が形成される。
その歌声は魔法となり、七曜を中心とした風刃の領域を展開する。
彼女に忍び寄った棘蜥蜴は風に切り裂かれ姿を現し――愚者の名を冠した二挺拳銃から放たれた銃弾に貫かれて絶命する。
風の刃に裂かれなかった棘蜥蜴もその風切り音により七曜の思惑通り連携を阻害され、姿を現し……同じく銃弾の犠牲となる。
●
七曜は戦いながら文字の刻まれた壁面から離れる。「壁画を荒らされてもかないませんしね」というのが理由だ。
その場に静流がやってくる。
「お疲れ様です。もう少しですね」
棘蜥蜴相手には冷徹な彼女も仲間に対する口調は柔らかい。
「ええ、もう少しです」
こちらも穏やかに頷く七曜。その時、静流の表情が鋭く引き締まる。
「――下から来ます」
彼女の鋭敏な感覚は穴を掘って地中から襲撃せんとする棘蜥蜴の存在を感知する。
「そのようですね。ですが、此処までは来れないようです」
七曜の言葉通り、棘蜥蜴が途中で動きを止めたのを感知する静流。
「何故――?」
「足元からの襲撃も気を付けるべきですからね」
致死毒を土に染み込ませておきましたおきましたと種明かしする七曜。
「さて、そろそろ、この場所を返していただきましょう」
「ええ、そうしましょう」
七曜の言葉に静流は頷き、二人は棘蜥蜴の掃討に動き出す。
大成功
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龍牙崎・黒斗
【POW】で判定。アドリブ・連携OK
「ほぉ?コイツが勇者アルトゥルの手掛かりか……読むのには時間がかかりそうだな」
大した疲労も損害もなく、無事にたどり着いた先で見つけた壁画のような物。そしてその周辺には、鋭い棘を纏う大蜥蜴。棘だけでなく爪も鋭く、おそらくは地中を移動したり壁をよじ登ったりするのだろう、と予想を立てながら抜刀する。
「悪いが襲ってくるなら、容赦はしないぜ?」
地上にいる敵は剣刃一閃にて斬り伏せる。地中からの攻撃はギリギリで≪見切り≫、空中に回避する。そのまま壁や天井からの奇襲に警戒しながら、手掛かりを燃やさぬように、≪範囲攻撃≫として【ブレイズフレイム】も織り交ぜて戦う。
●
「悪いが襲ってくるなら、容赦はしないぜ?」
棘蜥蜴が襲撃してきた際に彼等に対してそう言い放った紅蓮の剣士、龍牙崎・黒斗。
彼はその言葉通り、苛烈に容赦なく棘蜥蜴を屠っている。
無論、棘蜥蜴も斬られるのを待つだけの木偶ではない。今も連携を取り、左右から黒斗を挟撃せんと試みる。
「シィイイ――!」「ジィイイ――!」
棘蜥蜴の連携は見事なもので並の剣士ならば、左右どちらかを防いでいる間にもう一方の爪に切り裂かれるであろう。
だが、黒斗は並の剣士ではない。
優れた剣士を多く輩出するサムライエンパイアの中でも高名な剣士に師事し、その師に並ぶ腕前まで鍛え上げられた剣豪である。
今も右の棘蜥蜴の振り上げた腕を一歩踏み込んで斬り落としたと思えば左の棘蜥蜴の一撃を残像を残して回避。返す刀で左の棘蜥蜴も両断する。
「容赦はしないと言ったはずだぜ?」
黒斗の鋭い眼光に睨まれ、棘蜥蜴達は思わず後ずさる。
●
棘蜥蜴の襲撃開始から数十分。周囲を覆わんばかりだった棘蜥蜴は数を減らし、残すところ僅かとなっている。
「一矢報いる」
そんな考えを棘蜥蜴がしたかどうかは分からない。だが、棘蜥蜴は最後の攻撃をせんと行動を開始する。
標的は赤き剣豪。黒斗だ。
地上から二匹の棘蜥蜴が彼を目掛けて突進するが……これは囮。
本命が地中にトンネルを掘って黒斗目掛けて進む。
二匹がもう少しで黒斗の間合いに入るというタイミング。
彼の注意が地上の棘蜥蜴に向いた瞬間を狙って地中に潜み機を窺っていた棘蜥蜴が地面から飛び出る!
必殺のタイミングに思えた一撃であったが、黒斗に油断はなかった。
彼はギリギリまで引き付けてから翼を広げて空中に飛び立ち、回避する。
「御苦労さん。だが、バレバレだぜ」
黒斗を襲わんと地上に現れた棘蜥蜴が彼の姿を求めて右往左往するのを冷たく見下ろし……
鎧太刀の刀身を使い左掌を傷を付ける!
「燃えな」
傷付いた掌からは鮮血の代わりに地獄の炎が噴出、紅蓮の炎は棘蜥蜴達を焼き尽くす。
これが最後の棘蜥蜴であった。黒斗は棘蜥蜴が全滅したのを確認すると地獄の炎を消し去る。
「さて、これでやっと勇者の壁画に集中できるな。……読むのに時間がかかりそうだ」
●勇者の遺した遺産
棘蜥蜴の集団を下した猟兵達。再び、アルトゥルが遺したと思しき文字の刻まれた壁面の前に集まる。
刻まれた文字はアックス&ウィザーズのもの。それもかなり昔のものだ。
ところどころ、文字の判別ができない個所もある。
猟兵達は壁面に損害が行かない様に気を付けて戦っていたので、これは先程の戦闘のせいではない。
単純に月日を重ねた事によるものだ。
その後の行動は様々だ。
勇者の伝説の発見は「成った」としてこの場を去る者。
自身の豊かな知識を紐解いて解読を試みる者。
この場での解読は諦めるものの、書き写して持って帰ろうとする者。
猟兵達は自由である。
ただ一つ分かっていること。
それは彼等が秘境を発見した事で、帝竜と群竜大陸に一歩近づいたという事実だろう。
成功
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