バトルオブフラワーズ⑤〜Starry story
●Starry story
煌めく流星に手を伸ばそう。
大丈夫、君ならきっと掴めるはずさ。
彩りの星が手のひらで瞬いたなら……。
きっとそれは、世界の。
――君の、ちからになる。
●The game stage
「バトルオブフラワーズについては聞いているかい?」
グリモアベースにいる猟兵達ならきっと耳にしているであろう、キマイラフューチャーの危機。はじまりはオブリビオンに追われていたテレビウム達からの救援要請。それに猟兵達が答え、システムへと続くメンテナンスルートを開放した結果、キマイラフューチャーはまっぷたつに。システム中枢を占領しているのはこの世界のオブリビオン・フォーミュラ「ドン・フリーダム」。そしてその周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を取り戻さなければ『システム・フラワーズ』に辿り着くことはできない。
予知したステージの説明をはじめたのはエール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)、角と翼を持つ、白馬のキマイラだ。
「挑んで欲しいのは《Starry story》というファンタジーRPG。君たちにはゲームキャラクターとなって、このゲームの特殊ステージをクリアしてもらいたいんだ」
本来は奪われてしまった星空を取り戻す為に、冒険者となって魔物と戦う物語。しかしこのゲームでは、戦闘後、各エリアの真っ暗闇に星を描く特殊ステージが発生するのだと説明を続けた。満天の星空を描いて、やっとこの物語は完成する。つまり、オブリビオンが現れるのは星空が完成する直前。
「星空を描くことによって、世界は、君たちは力を取り戻す。この世界でのエネルギーは、星の瞬きなんだ。だからね、オブリビオン自体は簡単に倒すことができるはずだよ」
そしてゲームに挑むにあたって、まず選んでほしいのは装備アイテム。
ひとつめは星を描くためのペイント瓶。このペイント瓶は口が筆になっていて、直接星を描くことで描いたものをふわふわと実体化させ、空に浮かべることができる。種類は赤、黄、青、白の4色。選べるのはひとり2色までだが、混ぜ合わせて新しい色を作成することも可能だ。
ふたつめは空を飛ぶための手段。現実世界で翼やその他の浮遊手段があっても、この世界では通用しない。扱いは少し難しいが、慣れれば自在に空を駆けることが可能な小さな翼がついた特殊なブーツを履くか、或いは予めペイント瓶で描き実体化させた浮遊物に乗って空を飛ぶかの二択となる。浮遊物の形状は自由だが、あまり繊細な造形なものは描けないことは頭に入れておいた方がいいだろう。
「――星を浮かべてほしい。真っ暗闇を彩る、満天の星を」
そうして白馬は翼を揺らし、ふわりと頭を下げた。
紗綾形
紗綾形(さやがた)と申します。
どうぞよろしくお願いします。
こちらは戦争シナリオ⑤『ザ・ゲームステージ(集団戦)』です。このシナリオでは『ゲームキャラクター』という特殊ルールが適用されます。ゲーム内のデジタル世界でゲームキャラクターとして活躍して頂きます。
●ペイント瓶。
赤、黄、青、白から2色まで選べます。2色を混ぜ合わせて新しい色を作ることは可能です。描いた星はふわふわしていて、きらきら光ります。(あとこっそり星以外の絵などをちょっとくらいなら描いても大丈夫です。ぜひ楽しんでください)
●飛行手段。
現実世界での翼等では飛ぶことができませんのでご注意ください。このゲーム内では小さな翼がついたブーツで空を駆けるか、ペイント瓶で描いて実体化させた浮遊物に乗って空を飛ぶプレイングをかけてください。
●炭水化物トリオ。
星を頑張ってたくさん描いたら「倒す」の一言で簡単に倒せます。あと炭水化物は食べられます。きっとおいしい。
※👑達成以降は、無理ない範囲での執筆となります。少数採用の予定ですので大変恐縮でございますがプレイングに問題がなくてもお返しする可能性がございます。(先着順ではございません)
※お手数をおかけしますが、プレイング受付期間に関する情報はMSページをご確認ください。
第1章 集団戦
『炭水化物トリオ』
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POW : 炊きたてごはん怪人・ウェポン
【炊きたてごはん兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 焼きたてパン怪人・ジェノサイド
【焼きたてパン攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 蒸したて中華まん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【蒸したて中華まん】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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連・希夜
ファンタジーRPGって大好き!
ささっと冒険者風の衣装に着替え、銅の剣っぽいガジェットを携え、いざ参戦
こういうのは楽しんだもの勝ちって信じてる★
選ぶ色は赤と青
まずは青で紙飛行機をさっと描いて…わぁ、本当に浮かんだ
これは浪漫だ、ヤバい楽しい
次は星を描けばいいんだよね?
地上すれすれの夜空に、赤と青を混ぜて紫色の星を描く
まぁるい星、五芒星に六芒星。ついでに六花も
紙飛行機でふよふよ漂いながら、ぽんぽんぽんっと
沢山の星を生み出しご満悦
オブリオンへは、お呼びじゃないよ、と銅の剣を一振り
赤と青の箒星を飛ばして攻撃
炭水化物は美味しく頂きます
敵を倒して食料を手に入れたってやつだね
五条・巴
暗闇を数多の小さな光で灯そう
使うのは青と白のペイント瓶
混ぜて柔らかな水色に
煌々と光るわけではないけれど、朝待つ空の色を筆にのせて
この前、優しい、お日様みたいに笑う友人と行った
上も下も煌めく星空を思い出しながら
思うままに描き続ける
沢山星を描いていると、自然と楽しい気持ちになるね
楽しい気持ちそのままにこっそりと魚に蝶にペンギン、あと錠も。
僕のサインも一つだけ。
大きなキャンバスにあの時の思い出を沢山描こう
お腹がすいたらそこにいるパン、怪人におすそ分けしてもらって描き続ける
ああ、忘れてた、倒すよ、勿論。
帰ったら、
夜空に星を描いたんだ、そう話をしよう
きっとまた楽しそうに笑ってくれると信じて。
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ等歓迎
白と青の瓶
靴の履けない僕が乗れるように、櫻宵が描いてくれたふわふわ桜色の雲に乗って
空に絵を描くよ
……ゲームの中でくらい足になってもいいのにな…
雲はふわふわで心地いいうさぎ雲
歌は得意だけれど
絵は下手
櫻宵はすごく上手くて、感心してしまう
見様見真似で描くよ
歪な白い星
丸っこくなった青い星
水色の桜のような星!
みてみて!海が穹になったみたいだろ!
櫻宵の星は桜色に白に赤
赤はヒトデ、みたい
君の赤と僕の青をまぜて大きな紫の星を描こうよ
あ!ヨルも描いてくれたの?
嬉しいな
綺麗に綺麗に星を描いて綺麗な星空を作ろう
絵を描くって楽しい
頑張ったあとは炭水化物を倒すん
美味しそう
食べちゃダメ?
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ等歓迎
白と赤の絵の具瓶
あたし絵を描くの大好きよ!
何故なら華麗なる彫刻家だもの
リィが空を飛べるように桜色の雲を描いてあげる
こっそり兎型なのよ
空飛ぶ靴だなんて楽しいわね
そうね!綺麗な花畑のような星空を描きましょ!
リィの歪な星が微笑ましい
だいぶ可愛いわね!
白の絵の具で繊細で綺麗な星
赤は花の様な星で、2色混ぜた桜は――小さな星をたくさん
花弁のように散らして描くわ
こっそり、リィの相棒のヨルを泳がせて
空飛ぶペンギンにしてあげる
2人の絵の具を混ぜて紫にしたなら
大きな星を2人で描くわ!
とっても楽しいわ
瞬く星の海が完成よ!
炭水化物、は取りすぎ注意
しっかり倒さなきゃ
もう
一口だけ、よ?
●Eastern sky
気が付けば切り立った崖の上にいた。見下ろせば、広がる森は静まり返り、仰げば星のない空が寂しさをより深く感じさせる。まっくらな空の下でも、辛うじて景色を望むことができるのは、嘗て世界を守った勇者の加護だという。
「ファンタジーRPGって大好き!」
冒険者風の衣装を纏い、銅の剣に変化させたガジェットを腰に装着しながら意気揚々と声をあげたのは連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)。元よりバーチャルキャラクターである青年は、この世界を楽しむ気満々だ。
「こういうのは楽しんだもの勝ちって信じてる★」
「ふふ、確かにそうかもしれないね。暗闇を数多の小さな光で灯そう」
彼の言葉に答えたのは五条・巴(見果てぬ夜の夢・f02927)。プルシアンブルーの虹彩に映る空には、彼が度々夢だと口にする『お月さま』は存在していない。見つめる眸が寂しげに見えたのは、暗闇が表情に影を落とすからだろうか。
希夜が選ぶのは赤と青のペイント瓶。まず描くのは自分が空を飛ぶための魔法の乗り物。身体いっぱい使って青の紙ヒコーキを描けば、それはふわふわと宙に浮く。
「わぁ、本当に浮かんだ……よっと」
ヒコーキの上にひょいと飛び乗れば、「……これは浪漫だ、ヤバい、楽しい」とアメジストの眸に静かに光が灯った。
「次は星を描けばいいんだよね?」
こてりと懐っこく首を傾げる希夜に、巴は穏やかに目を細めて頷いて見せる。希夜が「はっしーん」とゆるゆるヒコーキで飛んでいく姿を見送った巴が選んだ色は、青と白。二色を混ぜれば柔らかな水色へと変化する。その色は、煌々と鮮やかには光らないかもしれない。けれど、朝待つ空の――暁天の狭間の淡い空色を筆にのせて。
たたんとブーツで暗闇へ向かいながら思い浮かべたのは、上も下も煌めく星空。つい最近、おひさまのように笑う友人と出かけた本物のファンタジーの世界を思い出しながら、思うままに、夜空を彩っていく。あの日のことを想っているからだろうか、それとも星をたくさん描いているから? 自然と心が躍るような心地がして、弾む気持ちのままにこっそりと浮かべたのは魚に蝶々にペンギン、錠も隣に添えて。それから――。
(「僕のサインも、ひとつだけ」)
まっくらな夜空も、大きなキャンバスだと思えば、あの時の思い出を沢山描くことができる。勿論星も忘れることはなく、淡い光でも煌々と空を、この世界の人々を照らすように。
さて、パイロットとなった希夜といえば、地上すれすれの夜空に赤と青を混ぜて作った紫の星を描いていた。まぁるい星、五芒星に六芒星、雪の花もふわりと添えて。それらはどれも、希夜の眸の色にちょっぴり似ていた。
――それはきっと、いつかのように。今度はこの世界の誰かの、希望の欠片になるのかもしれない。そんなことは知った話ではないけれど。他人事なんて思うのに、それなら良いとも思って。そんな想いすらも、自由に気ままに。ふよふよと漂いながら、次から次へとぽんぽんふわふわ、沢山の星を生み出して、希夜はすっかりご満悦だ。
さてさて、回るティーカップのように楽しく気ままに!
――もう少しだけ、夜空に希望を零そうか。
ふたりから少し離れた空。花あかりの淡墨桜がふわり、風に揺れる。「ゲームの中でも夜風は心地良いのね」なんて髪を耳に掛けながら呟いた木龍、誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)は暗闇をゆったりと歩く。そして揺れる髪を、楽し気な彼の姿を眸の瑠璃に映すのは、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)。
「あたし、絵を描くの大好きよ! 何故って華麗なる彫刻家だもの」
振り向きざま、細められた瞳に。人魚の心臓がとくんと揺れた。嗚呼、僕の櫻は今日も綺麗だ、なんて思って。少しだけ返答が遅れてしまう。
「……さ、櫻宵が描いてくれた雲、ふわふわで心地良いよ。それにうさぎの形、可愛い」
「いいえ、リィが喜んでくれて嬉しいわ?」
選んだ二色を混ぜ合わせた、ほんのり愛らしい桜色のうさぎ。
けれども同じ色に染まる頬には気づかないふりをして、櫻宵はくすりと微笑うだけだ。
「うん、ありがとう」
――嗚呼、でも。
(「……ゲームの中でくらい、足になってもいいのにな」)
そうしたら、君と一緒に空を駆けることが出来たのに。リルは自分の尾鰭に視線を落とす。叶うことのない願い。ヴェールがゆらりと揺れたのは、リルにとっては無意識のはずなのに。そんな人魚の気持ちを汲み取ったように、たた、と近寄って雲に膝を預けた木龍は、秘色を撫で、瑠璃を指に絡めて囁く。
「行くわよ、リィ」
その音があまりにも優しかったから、今はそれだけでいい気がして。リルはこくりと頷き、彼の色の上で、彼の後を追う。
「綺麗な花畑のような星空を描きましょ!」
こんな感じかしら? まずはひとつ、櫻宵が描いたのは白の星。
ささっと描いたようで整った形の星を目にして、リルは素直に感心する。
自分は歌は得意でも、絵は下手だと思っているから。
それでもこの世界の星空を取り戻そうと、見よう見まねで描いてみる。
歪つな白い星、丸っこくなった青い星。
描いているうちにどんどん楽しくなって――そして優しい水色で描くのは桜のような星。
「みてみて! 海が穹みたいだろ!」
えへん! とどこか得意げな人魚が愛おしくて、歪でも、一生懸命に描いたと分かる星が微笑ましくて。
「ふふ、だいぶ可愛いわね!」
「ふふふ……わ、さくらっ?」
夢中になっていて、気づかなかったのだろう。櫻宵が描いていたのは、淡い色の小さなたくさんの星。それはまるで桜のように空に咲く。
「すごい! 満天のさくらだ!」
星の満天と、桜の満開が混じって、ちょっぴりおかしな言葉もご愛嬌。
花のような赤も、繊細な白も煌々瞬いて、そして桜の中からひょっこりと顔を出したのは空飛ぶペンギン。相棒のペンギンを描いてくれたこと、何よりその気持ちが嬉しくて星たちに負けないくらいの笑顔を咲かせる。
「ねえ、櫻宵――」
人魚の提案に木龍は「素敵ね!」と頷いた――ところで姿を現したのは。
切崖の上から声をあげるのは食パンとご飯と中華まん。
「わ、出た」
「出たわね」
ぴょこぴょこと跳ねる三体は、「降りてこーい!」などと叫んでいる。
「なんか投げてる。美味しそう、食べちゃダメ?」
炭水化物は取りすぎ注意よ? なんて笑いながら、そっと彼らに近づいて投げつけてきた中華まんをキャッチ。そして桜の精霊の式神がさっくりとそれを倒した。
「もう、一口だけ、よ?」
「オブリビオンはお呼びじゃないよ」
「丁度お腹が空いてたんだ」
投げつけてきた焼き立てパンをキャッチしてもぐもぐ食べる巴に、希夜もオレもとほかほかごはんをキャッチして。
「折角だから美味しく頂きます。でもその前に、っと」
希夜が銅の剣を一振りすれば、赤と青の箒星が流れる。巴の彗星の矢と重なって、コンビとなってしまったごはんとパンをきらきらと消し去った。
トリオを倒して、みんな揃ってご馳走様をしたところで、櫻宵とリルはふたりの持つ色を合わせて大きな五芒星を描く。
そんな星を眺めながら、巴は友人のことを思い浮かべていた。
帰ったら、夜空に星を描いたんだ。そう話をしよう。
――きっとまた、楽しそうに笑ってくれると信じて。
--- Eastern sky area clear! ---
成功
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フィロメーラ・アステール
「おおー、描くぞ! お星様めっちゃ描く!」
黄と白の瓶を持ってブーツで行くぜ!
普段使ってる靴も空中滑ってるし、似たようなもんだ!
夜空はあたしのステージ!
その魅力を表現するために【気合い】を入れて描くぞー!
黄色いきらきら星、クリーム色の丸い星、混ざったしましま星!
おっと、忘れちゃいけないのが小さいたくさんの星!
ブラシに息を吹きかける手法で細かい点々を作れないかな?
これがないと星空はさびしいぜ!
【ダンス】するように星を散りばめる【パフォーマンス】!
【念動力】で浮遊位置を調節するこだわり!
そんなこんなでのびのび描かせてもらう!
最後はお星様パワーをこの身に受けて!
【スーパー流れ星キック】で敵を倒すぞ!
糸縒・ふうた
■なゆ(f00421)と◎
げーむ、は初めて
自分と違う自分になるってどんな感覚なんだろ?
じゃあなゆが先輩だね
元気で明るい星を描きたいから、選ぶのは青と白
最初に白でもくもくもく
二人乗ってもへーきな大きい積乱雲を描こう
おいで、なゆ
一緒に星を描こう!
ゆっくり進む雲に乗ってぐるぐる描くは青の丸
中心にチカッと輝く白星を描けば
できた!
若くて元気な星は、青色なんだよ!
雲の足跡には水色の雨
でも雨が上がればそこは満天の星空
オレの星となゆの星が輝いて夜を照らしてくれる
この星座の名前は?
こんなに綺麗な流れ星
きっと願いも届けてくれるよ
夜遅くに食べるご飯は誘惑たっぷり罪の味
揃って悪い子になっちゃおう?
お星様と三人の内緒事
蘭・七結
フータさん/f09635と◎
まあ。ゲームの世界は、はじめてなのね
今回もきっと、ステキな場所へといざなってくださるわ
咲かせるのは、あかとしろ
常闇を彩る、鮮明な色
ナユ好みの色を手にしたのなら
いざないの声に応じましょう
ええ。フータさん
明るい星を、一緒に紡ぎましょう
もくもくふんわり、大きくて
ゆっくりと進む白雲へと、身を預ける
雨上がりの満天
一筆を走らせ、流星を降らせたのなら
足りない場所へ、点、点、と輝点を置いて
そのひとつひとつを、線で繋いで
ふたりだけの星座の、出来上がり
キラキラ輝く星空
流れ星にお祈りをしたのなら、
お願いごとは、叶うかしら
お星さまは、きっと秘密にしてくださるわ
悪い子ふたりと、お星さまの物語
シャルファ・ルイエ
ペンは青と白を選んで、ブーツにチャレンジしてみます。
いつもと勝手が違うのってちょっと難しいですね……!
ひっくり返ってしまわない様に気を付けて、真っ暗な中に青と白、二つを混ぜて水色、三色の星をどんどん描いて行きます。
本物の星空みたいに星座みたいな形も混ぜて、
ドラゴン座、ベル座、猫座、花や本や犬も、思い付くままに。
……それにしてもこのふわふわ、何かを思い出す気が……、あっ。
こっそり何匹か小さな羊を描いて、ふわふわの手触りを堪能しても良いでしょうか。
夜に羊が飛ぶのはきっと、そんなにおかしなことじゃないはずですし。
綺麗な星空を堪能したら、あなた達にも星を。
オブリビオンには【星を呼ぶ歌】を歌いますね。
●West sky
集まった猟兵達が次々と各エリアに転送されていく。
此処は西の空の下。
「オレ、げーむ、は初めて。自分と違う自分になるって何だか不思議な感覚」
自分が此処に存在していることを確かめるようにぽんぽんを身体を叩いたり、帽子をふわっと持ち上げて耳があることを確かめたり。そわそわ落ち着かない様子の糸縒・ふうた(風謳エスペーロ・f09635)の様子を「まあ」と、菖蒲の眸に細く映すのは蘭・七結(恋一華・f00421)だ。
「ゲームの世界ははじめて、なのね」
「なゆは来たことあるの? じゃあなゆが先輩だね」
例えゲームの世界であっても、夜を好む自分とこのまっくらやみの相性が良いことは確か。そして七結はつい先日も、ゲームの世界を経験済みだ。少し毛色は違うけれど、そのゲームも存分に楽しむことが出来たから。
「今回もきっと」
――ステキな場所のはずだわ、そう言いかけて。
「この場所を素敵にするのは、ナユたちの仕事ね?」
長い睫毛を伏せて、鬼と人、それから僅かな天使の混血少女がふわりと微笑めば、仔狼は無邪気に頷いた。
一方は赤、一方は青。それから揃いの白。好みの色を手にしたふたり。まずふうたが小さな身体をうんと伸ばして描くのは、ふたりが乗ることができるくらい大きな積乱雲。
「わあ、ほんとに浮かんだっ」
もくもくと浮かび上がる大きな夏の雲に、尻尾がゆらゆら揺れて。
「おいで、なゆ。一緒に星を描こう!」
振り返り手を伸ばすふうたの眸が、あまりにも煌々と輝くものだから。
「ええ、フータさん。明るい星を、一緒に」
七結の眸に映ったその笑顔が、きっと今日の一番星。
誘われるまま、もくもくふんわり、大きな白雲へそっと身を預ければ、七結の眸も僅かに瞬く。
「本当にふわふわ。不思議ね」
「ね! 不思議っ」
ふかふかふかふか。ちょっぴりだけ雲の感触を楽しんで、ゆっくり空を進んでいく雲の軌道のままに、星を描き始める。
ぐるぐる描く青の丸。その中心に眩い白を一滴零せば。
「できた! 若くて元気な星は、青色なんだよ!」
何処で聞いたのか、調べたのか。青白く光る星は一等輝いて見えるのだと知ったから。折角世界を彩るならば、元気で明るい星を描きたい。それはふうたの、純粋で真っ直ぐな想いだ。
雲の軌跡には水色の雨を。積乱雲は時に雨や雷を伴うけれど。でも雨があがった澄んだ空には、満天の星空が輝くから。
ふうたが描く雨上がりの煌きの傍ら、足りなそうな場所へ七結が点々と置いた小さな星。それらをひとつひとつ、丁寧に繋げば、ふたりだけの星座の出来上がり。
まっくらだった空は、やがて輝きを取り戻していく。
夜を灯す数多の星を見上げ、ふうたがぱぁっと天を指す。
「ねぇね、なゆ。この星座の名前は?」
「そうね。……花狼座、なんてどうかしら」
どこか狼の姿を連想させるかたちと、頭に咲く数点の星が花飾りを思わせるから。
「あっ、流れ星」
それは七結が筆を走らせ描いた、空を駆ける星。
「流れ星にお祈りをしたのなら、お願いごとは、叶うかしら」
少女の問いに、少年は頷く。
だって彼女の描いた星は。
「――こんなに綺麗なんだもん。きっと願いも届けてくれるよ」
一方、空飛ぶブーツにチャレンジ中の少女、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)は――。
「いつもと勝手が違うのってちょっと難しいですね……!」
現実世界では背の翼を羽ばたかせることができても、この世界でそれは叶わないらしい。飛び立ったところで、翼は役目を果たせずにまっさかさま。それではゲームオーバーだ。
歩めばふわりと綿を踏むような感覚。ゆっくりゆっくり、ひっくり返ってしまわない様に気を付けながら。とりあえず少しずつ、真っ暗な空に星を描きはじめよう。
シャルファが選んだのは青と白のペイント。ふたつの色を混ぜ合わせて作った水色も用意して、三色の灯りを少しずつ空に描いていく。
髪に咲く青と、星のような真珠を揺らめかせながら、細い腕を伸ばした。
翼を羽ばたかせ、空を駆けるそれは、傍らの小竜を思わせるドラゴン座。
からんからんと美しい音色が聞こえそうなベル座は竜の傍ら。
大好きな動物、ねこ座やいぬ座、花座――それから本座と、思いつくままに。
それは歌と物語、星や動物が好きな少女の夢の空。
そうしてふわふわにゃんこの星の傍。撫でるようにそれに触れれば、ふと。
「……それにしてもこのふわふわ、」
何かを思い出す気がする。
ふわふわもこもこと言えば――。
「あっ」
青の双眸が瞬く。楽し気に筆を走らせ、空に浮かんだのは。
ひつじが一匹。ひつじが二匹。ひつじが三匹。
そう、おやすみの友。
慣れないブーツにちょっぴり疲れてしまったから、休憩も兼ねて。描いたふわふわ羊の背中によいしょ。きっと、少しくらいならふわふわな手触りを堪能したって問題ないはずだ。物語好きの少女は、その心地に身を任せて描いた星空を見上げる。
――だって、夜に羊が飛ぶのはきっと、そんなにおかしなことじゃないはずだから。
「おおー、描くぞ! お星様めっちゃ描く!」
黄色と白のペイントを持って、ブーツに履き替えた星屑の妖精、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は元気とやる気に満ち溢れている。
このゲームに自分が現れた。つまりそれはボーナスタイム、めちゃくちゃラッキーな時間のはじまりというわけだ。
「夜空はあたしのステージ!」
普段使っている流星の名を持つ靴だって、空を滑る為のもの。たん、たたん。最初からリズムに乗って、駆けあがろうとすれば、バランスを崩しそうになったけれど。
「わわ、……っと、せーふ!」
そのままくるんと回って両手を広げ、体制を立て直す。
煌く夜空の魅力を最大限に表現したい。そんな想いを胸に、気合いっぱいに両の拳を天に向かって突き上げた。
描くのは黄色く輝く煌々星。
くりーむ色の柔らかなあかりが灯る星。
そのふたつを交互に塗り重ねた個性いっぱいのしましま星。
「そして忘れちゃいけないのが小さいたくさんの星!」
筆の先っぽに息を吹きかけながらダンスを踊るように星を散りばめていく。
「これがないと星空はさびしいぜ!」
くるくると回れば、鮮やかなツインテールが願いを乗せる星のように流れる。
数多の煌きが、空を埋め尽くせば、そこはもう星の銀河!
今、空を見上げたならば、きっと誰もがこう口にするだろう。
「すごい! 夜空のステージだ!」
声のした方角。星屑の妖精が額に手を当てて目を凝らせば、三人の炭水化物が地上で大きく手を振っていた。
「最高のステージだったぜ!」
「姉ちゃん輝いてたぜ!」
「これは差し入れだ!」
目があったなら、はーと型になっていたかもしれない。もうすっかり彼らはフィロメーラのファンと化した。
ちなみに差し入れと言って投げつけられたのは蒸したてほかほかの中華まんだ。
「うわっ」
「あれ。わたしが頂いてしまっていいんでしょうか」
オブリビオンの出現に、このエリアにいた猟兵達が集まる。投げつけられた熱々の中華まんを咄嗟によけてしまったフィロメーラの後ろにいたシャルファがそれをキャッチ。小さくそれをちぎると、「良かったらいかがですか?」とフィロメーラへ差し出す。
「ありがとう! おお、美味しいなっ」
「俺たちの差し入れも受け取ってくれー!」
続いて投げつけられたのはほかほかのおにぎりと、それから焼きたてのパン。
それをキャッチしたのはふーたと七結だ。
少し和んでしまったが、倒さなければならない敵であることに違いはない。
露草の天使が、星を呼ぶ歌で流星を降らせる。
星屑の妖精が、その合間を縫って流星のキックをお見舞いすれば、炭水化物トリオは呆気なく消え去った。
あっという間の出来事に、ほかほかおにぎりを手にしたふうたと、焼き立てパンを手にした七結は、顔を見合わせて瞬く。
夜遅くに食べるご飯は誘惑たっぷり罪の味。
「ねぇ、なゆ。揃って悪い子になっちゃおう?」
「ええ。お星さまは、きっと秘密にしてくださるわ」
いただきます、と一緒にぱくり。
みんなでつくった満天の星空の下。
悪い子ふたりと、お星さまの内緒事――。
--- West sky area clear! ---
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オズ・ケストナー
色は黄をぱっと取って
次は白
そらをとぶもの
たくさんあるよ、なににしようかなあ
上向きのふかふかと、たね
できた
たんぽぽのわたげっ
種に足をかけ柄をもって
ふわふわ浮かび上がり
きいろでほしをたくさんかくね
おおきいの
ちいさいの
となりあったなかよしのほし
おにごっこであそんでるほし
こっそりたんぽぽ型の星を描くのにも挑戦
まあるいふわふわを描くのはちょっと難しい
ふふ、もういっこかいちゃおう
あ、ねこのかたちのほし
あってもいいかなあ
ねこならふたつ並べたい
猫の顔のとなり、白でも猫の顔を描いて
そしたらみんなもかきたい
ほしのかたちにひとつひとつともだちの名前を思い浮かべ
猫のまわりに集まった星がいくつも
トリオはえいっと倒すね
◎
宵鍔・千鶴
【◎】お好きに
ペイント瓶は赤、白を選択
絵は不得手だから、あまり難しいものは描けないと
暫し悩んで、白のペイント瓶で大きく
乗れるくらいの簡易的な白い鳥を描く
上手く羽ばたけるか不安だけれど
ねえ、俺と一緒に翔んでくれる?
選んだ赤、白を空へ瞬くように交互に星を描いて
白い鳥と共に闇に光を浮かべれば
俺も、羽が生えて鳥になったみたい。
初めてのゲームの中はとても自由で。
気持ちがいいと自然に笑みが溢れる
赤白を混ぜて夜空に浮かべたのは桃色、桜の花
満天の星と夜桜散りばめて強くなった光が集まれば
炭水化物たちを一網打尽にしてしまおうか
美味しそうだけど、今はこの綺麗な空で
俺、おなかいっぱい。ご馳走様。
アルバ・アルフライラ
◎
仮想の世界とはいえ、星のない夜なぞ退屈よな
ふふん、私が手を貸すのだ
幾万、幾億の瞬きを約束しよう
選ぶ色は白と青
先ずは空を駆るべく簡略化した竜を描き、騎乗――さあ、往こう
星が少ない場所を埋めるよう、鮮やかなに煌めく星を鏤める
星海を揺蕩う船が彷徨わぬよう帆を加え
その傍らに、青き煌めき抱く白竜の星を連ねる
偶に周囲を見渡しては浮かぶ星々を見詰めよう
本来の星図に沿わぬ、我々だけの星空
…ああ、斯様に美しいものなぞそうそうなかろうよ
最後に、叶うならば青白二色の流星を夜空に添える
さあ…皆の願いを乗せ、輝いておくれ
充分に星を描いた後は炭水化物共を焼き払いに向う
…美味いのは分るが、この見目ではどうも食指が動かんな
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
☆◯◎
ふわあ…!
ゲーム?はやったことないけど、これならとっても楽しめそうなのだ
俺は青と白のペイント瓶を選ぶぞ!
あとはブーツで…むむ、中々難しいな?
だが、スケート靴と一緒だと思えばコツがつかめるはず!
おおー!空飛んでる!俺空を飛んでいるぞ!
空飛ぶブーツで空を飛びながら、真っ黒な空に星を描くぞ
まずは濃い青から。そこから白を少しずつ混ぜて描いていって、青のグラデーションにしていくのだ
明るい青や薄い水色、白の星はまるで雪みたいで
手や頬が絵の具塗れだけど、その出来栄えにえっへんと胸を張る
切り取って持ってけないのは残念だなあ…
後は空飛ぶブーツでキーンと急降下
怪人に【亡き花嫁の嘆き】の蹴りをお見舞いするぞ!
●South sky
転送された南の空の下。
「ふわあ……! ゲーム? は、やったことないけど、これならとっても楽しめそうなのだ」
はじめてのゲームの世界にわくわく心を躍らせるのは、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)。聞きなれた明るい声に、柔らかなプラチナブロンドが振り返る。仔猫色の眸が少女を捉えれば、ぱちぱちと瞬いた。
「わ、ヴァーリャだっ。ヴァーリャも来てたんだねえ」
ぎゅっと両手を握って無邪気に口にしたのはオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)。その笑顔に絆されるように、ヴァーリャもにこにこ鏡合わせ。
「うむ! 嬉しい偶然だな? 折角なのだ! オズさえ良ければ、一緒に星を描かないか?」
「いいの? ふふ、うれしいっ。いっしょいっしょ」
ヴァーリャの申し出に、オズは更にふにゃりと笑顔を綻ばせて。
用意されたペイント瓶。選ぶ色は最初から決まっていたとばかりに、黄色をぱっと手に取って、それから白を選ぶ。少女の方は青と白。選んだ色をひょいっと覗き込んだオズは「ヴァーリャの色だ」とふわりふわり。
普段からスケート靴を履きこなす雪娘にとって、空飛ぶブーツを使いこなすのなんて何のその。最初は少しだけバランスを崩していたものの、すぐに空をぴょんぴょんと自在に駆けて。
「おおー! 空飛んでる! 俺、空を飛んでいるぞ!」
「すごいすごいっ!」
ぶんぶんと大きく手を振るヴァーリャに手を振り返しつつ、オズも描いていたそれにそっと身を預ける。
(「そらをとぶもの、たくさんあるけれど」)
――何にしようかなあ、と、選んだのは。
上向きのふかふかと、たね。
「たんぽぽのわたげっ」
ふわふわと宙に浮かび上がってしまう前に、いそいそ種に足を掛け、柄を持って。
「わ、わぁ、ちゃんとういたっ」
自分が乗ってもしっかりと浮かび上がっていくそれに歓喜の声を漏らしながら。さあさあ、まっくらな夜空の旅へ出発だ。
先に空に飛び立ったヴァーリャは、小さな翼の生えたブーツで空を駆け、明るい青い星や薄い水色の星、白い星を雪のように降らせる。濃いめの青い星をたくさん零して、そして少し白を混ぜて描いて、また白を足してとそれを繰り返せば。綺麗な青のグラデーション銀河の完成だ。
ヴァーリャより少し低い空。彼女の銀河を見つめながら、よし、自分もと。
おおきなほし、ちいさなほし。
となりあったなかよしのほし。
筆を走らせて描く流星は、まるでおにごっこをしているように楽しげに。
まあるいふわふわを描くのはちょっぴり難しいけれど、こっそりたんぽぽ型の星を描くのにも挑戦して。
黄色いお星さまをたくさん夜に散りばめれば、まっくらだった夜空は煌きを取り戻していく。
「あ、ねこのかたちのほし、あってもいいかなあ」
ペイントで縁どった黒猫のとなり、ふわふわと塗りつぶした白猫を並べる。
「あっ! ヒナタとヒメだな?」
ぴょこんと降りてきたヴァーリャが笑えば、分かってくれたことが嬉しくて、綻ぶ笑顔。
「あ、ヴァーリャ」
――ほっぺたに絵の具、ついてるよ。
そっとハンカチを差し出せば、少し恥ずかしそうな表情をしながらも、ありがとうとそれを受け取った少女にふわりと笑む。きっといっしょけんめい、がんばったからだなあと思ったから、ぽかぽか温かな気持ちになる。
「切り取って持って帰れないのは残念だなあ……」
「こんなにきれいなんだもの。みんなにもみせたいものね。……あっ」
思いついたことを耳元でそっと口にすれば、さっきまで少しだけしゅんとしていた少女の眸に星が煌めいた。
――満天の星空まで、あともう少し。
「仮想の世界とはいえ、星のない夜なぞ退屈よな」
まっくらな夜空を見上げ、そう零したのはアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)。
「ふふん、私が手を貸すのだ。幾万、幾億の瞬きを約束しよう」
薔薇色輝石の指先が、白と青のペイント瓶を手にするのを横目に、随分な自信だなあと思いながら、赤と白のペイント瓶を選んだのは宵鍔・千鶴(nyx・f00683)だ。
アルバが空を駆ける為に選んだのは竜。双星の従者を思わせるそれを選んだのは無意識か意識的か。描けば、ふわふわと浮かび上がる竜が天へ昇ってしまう前に華麗に騎乗してみせる。
「――さあ、往こう」
ふかふかの頭を柔く撫で、空へ。
アルバの様子を眺め「本当に飛ぶんだ」と小さく零して。自分は絵は不得手だからあまり難しいものは描くことが出来ない。そう暫し頭を悩ませていた千鶴も、白のペイント瓶で自分が乗れるくらい大きな白い鳥を宙に描いた。上手く羽ばたけるか、ちょっとだけ不安だけれど。
「――ねえ、俺と一緒に翔んでくれる?」
ふわふわと翼に華奢な指先が触れる。そっと身を預ければ、鳥はゆっくりと空へ向かって。
選んだ赤と白を手に、ひとつずつ丁寧に星を描いていく。
交互に零された鮮やかな星の合間を縫うように翔ければ、闇に浮かぶひかりの中。
嗚呼、まるで自分も――。
(「羽が生えて、鳥になったみたい」)
初めてのゲームの中は、歪んだ思考の発端となったあの場所では決して見ることができなかった世界。とても自由で、気持ちがよくて。それに自分が浮かべた星たちが、あまりにも美しく輝くものだから、千鶴は自然と笑みを溢れさせた。
赤と白を混ぜて出来上がった淡いその色を無数に散らせば、春の日を思わせるような、満開の桜が空に咲いて。心も麗らかに、温かな春が芽吹く。
そして、こっそりひっそり、星に混ぜたのは金平糖。同じ星のかたちなんだから、きっと問題ない。それは甘味好きな少年と、この夜空だけが知っている、甘い秘密。
さて、竜に乗った宝石の男はと言えば、南の夜空全体の様子を見渡して、星の少ない場所を埋めるよう、鮮やかに煌めく星を鏤めていた。竜が空を往けば、美しい黎明の空を写し取ったような髪が、軌道に沿って揺れる。
星海を揺蕩う船が彷徨わぬよう帆を加え、その傍ら。青き煌めきを抱く白竜の星を連ねた。普段は秘している従者の美しい翼を表現できたなら、その双眸に宿る三本の星彩は心なしか幾分、光度を増して映る。
偶に周囲を見渡し浮かぶ星々を見詰めたなら、本来の星図に沿わない自分たちだけの星空に感嘆の息を漏らして。
「……ああ、斯様に美しいものなぞそうそうなかろうよ」
「ちょっと待ったー!」
そうして余韻に浸る暇もなく、雰囲気ぶち壊しトリオ元い、炭水化物トリオが登場したのだった。
「へいへいへい! このゲームをクリアさせるわけにはいかないんだぜ!」
ぽいっと中華まんを投げつけて来たのは蒸したて中華まん怪人・リフレクション。アルバはそれをひょいっと除けると冷めた視線をそれらに向けた。
「……美味いのは分かるが、この見目ではどうも食指が動かんな」
「うん。美味しそうだけど、今はこの綺麗な空で、俺、おなかいっぱい。ご馳走様」
詠唱と共にアルバが召喚した無数の青き蝶が舞い、千鶴のドール達が最後の音色を刻み込むように、炭水化物の頭をしたトリオに刃を向ける。
オブリビオンの出現に駆け付けたオズも、蒸気の勢いのままガジェットで敵へ向かい、空飛ぶブーツでキーンと急降下したヴァーリャの鋭い氷刃による蹴りまでもが炸裂。
そうして怪人トリオは跡形もなく消え去ったのだった。
怪人を倒した世界に、最後の星を描くべくもう一度空へ。
オズとヴァーリャは、星空を切り取ることはできなくても、友人ひとりひとりの顔を思い浮かべながら、星を散りばめる。
そしてアルバは、最後に青と白、双星の。二色の流星を空に奔らせた。
――さあ、皆の願いを乗せ、輝いておくれ。
--- South sky area clear! ---
大成功
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ヘルガ・リープフラウ
☆▽
ヴォルフ(f05120)と共に
選ぶ瓶は黄色と白。
まずは白い瓶で、二人分が乗れる雲を描き、ふわりと浮かべて乗りましょう。
夜空に描くは金の星
黄色と白を混ぜ合わせ、真珠のようにふんわりと優しく輝く希望の星を。
絵画に慣れないヴォルフの手をとりそっと導いて。
大丈夫、あなたの思うままに描けばいいの。
星空はどこまでも広く、何よりも自由で、
きっとどんな想いも受け入れてくれる。
ヴォルフの描く銀の星の海に、蛍の光が舞うように。
暖かで、どこか幻想的な光景を。
そして密かに描きましょう。
彼が描いた狼の星座の隣に、白い絵の具で、寄り添う白鳥の星座を……。
……そういえば、そろそろおなかがすきましたね(にっこり)。
ヴォルフガング・エアレーザー
☆▽
ヘルガ(f03378)と
選ぶ色は青と白。
ヘルガと共に白い雲を描き、空に浮かべて乗り込もう。
生まれた時から戦いしかなかった俺には、絵心なんてものは分からないが、それでもお前がいいと言うのなら、思うがままに描いてみよう。
青と白とを混ぜ合わせれば、描く星は銀の星。
最初はたったひとつの冷たく寂しい極北の星が、彼女の描く星と出会い、更に多くの星が集って、輝く星の海となる。
多くの猟兵と、人々と出会い、世界に繋がりゆくように。
無数の命が輝けば、きっともう孤独ではない。
気がつけば、夜空には狼の星座
真白き白鳥の星座と、そっと寄り添いいたわるように
……さて、星空を取り戻したら、無粋な輩にはお帰り願おうか。
ジャック・スペード
☆○◎
空に星を――夢があるゲームだな
俺は……そうだな、白いペイント瓶を選ぼうか
はじめに描くのは空を旅する為の白い雲
少し拙い絵に成ったが……俺一人くらいなら乗れるだろうさ
さあ、夜空へ飛んで往こう
空を飛ぶのは初めてだ、中々心地良いものだな
それに空がこんなに近くにあるのも新鮮だ
――さて、どんな星を描こうか
どうせなら、星座とやらを作ってみたい
夜空のキャンバスを前に暫し悩んで
いつか図鑑で見た、ダイヤモンドを象る星座
――あれは綺麗だった、此の空にも浮かべてみるか
白いインクの雫を6つ夜空に零せば、煌く星で象られた宝石の完成だ
もし此れだけで寂しければ、小さな星を其の周囲に鏤めて
勿論、炭水化物は確り倒すとしよう
仇死原・アンナ
夜空に星を描くか…
なんともロマンチックだ…
「星を描くか…絵を描くのは苦手だけど…こうかな?」
赤と青のペイント瓶を使って慣れないながらも頑張って星を描く
赤と青を混ぜて紫の星も描いたりしよう
足場を描いて空も走りながら星を次々描いていく
[暗視、ダッシュ、地形の利用]で足元に気をつけながら夜空を走る
「あーもう邪魔だな…さっさと燃えろ…」
敵群が出てきたら【ブレイズフレイム】で燃やして炭にする
…今まで絵をまともに描いたことはなかったけれど…
自分の描いた星が空に輝いてるのを見るとなんだか嬉しい……
けど人と比べたら自分の星は歪な形だな…恥ずかしいな…
夜空に浮かぶ星空を見てぼんやりそう思ったり
【☆・○】
靄願・うぐいす
お空に星を描くなんて贅沢なこと!
昔話の貴族様も羨ましがるでしょう
あまり絵は達者でないの
これが精一杯…♪
恥じらいつつくるくる尾を仕上げ、愛らしい桃肌の豚が完成
この世は尊い奇跡で溢れています
ならば豚も熊猫も空を飛びましょう(無理なら翼を足しましょうね)
はい、いい子の豚さんですね♡
星に紛れて咲かすは赤椿、白椿
今にもぽとりと落ちそうな重たげな光、ひとつひとつ慈しむ
ふふ、いつか美しく流れる星になりなさいな
お腹が鳴れば星より団子
白い小花と赤い果実を実らせましょう
紅白団子と苺、夜のつまみ食い
本当に食べられないかしらねぇ
あら、あなたも私に頂かれたいの?
甘味をおかずに白米、大いにあり!
握り潰してお結びがいい?
◎
●North sky
東、西、南。3つのエリアに星が満ちた。
最後に残ったのは、此処――北の空。
まっくらな空の下、純白の翼を携えた天使、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)と、人狼の聖騎士、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は、其々、望む色を手に取った。
天使が選んだのは黄色と白。ヴォルフガングが青と白のペイント瓶を手にするのを確認すれば、まずは白い瓶を小さな身体いっぱいに動かして、二人が共に乗ることができる大きさの雲を描く。
ふわふわと実体化した雲を、お互い揃いの青に宿せば、視線を合わせて。
「行きましょう、ヴォルフ」
先に雲に乗り込んだ少女の華奢な細い指先が、彼へと伸びる。柔らかな雲。大柄な自分が乗ることで壊れてしまうことはないだろうか、なんて思考を消し去るような微笑みが降る。
――何時も容易く、心解かれるのだ。
そうして手を引かれ、導かれるまま雲に身を預け、空へと。
ゆったりと進む雲の流れのまま、ヘルガが描くのは金の星。黄色と白を混ぜ合わせれば、淡い真珠のようにふんわりと優しく輝く希望の星を空に零していく。
――ふと、視線に気づいたヘルガが振り向けば、交わる青。
それだけで、彼の心が少し分かったような気がして。自分の瓶を雲に置いてから、前かがみになって、彼のすぐ傍へ。そして、その武骨な手を取り、優しく導いた。
「大丈夫、あなたの思うままに描けばいいの」
星空はどこまでも広く、何よりも自由で、きっとどんな想いも受け入れてくれるはずだから。
ヘルガの囀りが、耳に。心に沁み透るように響く。
生まれた時から戦いしかなかった自分には、絵心なんてものは分からないけれど。
それでも彼女がいいと言うのなら。導いてくれるから――。
「嗚呼、思うがままに描いてみよう」
ヴォルフガングが描くのは、青と白とを混ぜ合わせた銀の星。
最初はたったひとつ、冷たく寂しい極北に浮かべた星。
でも気づけば傍らには、彼女の描いた星が瞬いていた。
蛍のように温かく浮かぶひかりが、冷たい銀星を癒し、やがて銀星は多くの星と共に、輝く星の銀河となる。
多くの猟兵と、人々と出会い、世界に繋がりゆくように。
あの日、ひとりぼっちになった天使が狼と出会い、猟兵として共に旅立って、広く美しい世界を知ることになったように。
ただ本能の赴くまま、戦うことしか知らなかった狼が、癒しの奇跡に触れ、人を愛する心を知ったように。
そして互いに想い合う心を抱き合ったように。
――無数の命が輝き合えば、きっともう孤独は此処にない。
「お空に星を描くなんて贅沢なこと!」
昔話の貴族様もさぞ羨ましがるでしょう。
そう鳥のように心地良い音で囀るのは、靄願・うぐいす(春の秘めごと・f11218)。柔らかな物腰に乗せられた棘のない言葉を耳に入れれば、黒のディテールをかしゃりと動かして。天を仰ぎ呟くのはジャック・スペード(J♠・f16475)だ。
「空に星を――。夢があるゲームだな」
「ああ、なんともロマンチックだ……」
極端に白い肌に真っ黒な黒髪の女、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)もそう続けて。考えることは皆、似通っている。身体は大人となっても潜む、子供心というやつだろうか。ならば早速、と。手にするものも決まっている。
「……絵を描くのは苦手だけど……こうかな?」
先ずは宙に、流れるように筆を奔らせた。
それは自分が駆ける足場となり、誰かの願いを乗せて輝く流星にもなる。
まっくらな空であっても、夜目が効くアンナにとっては何てことはない。
星を描くことには慣れずとも、出来るだけたくさんの星を描けるようにと、ふわふわと浮き沈みする流星の足場の軌道を読み取り、足を取られないよう注意深く、それでもうんと素早く。彼女自身が彗星となったように、夜空を駆けていく。
描く星は燃えるような赤と、海のように大らかな青。
それからふたつを混ぜた紫は、鮮やかな五芒星となり輝いた。
いつもなら敵を前にすれば、処刑を執行する為だけに存在する手で。けれども今日は、この世界では違う。漆黒の髪を風に揺らし、黒だけしか存在しなかった空に煌きと彩りを宿す、希望の描き人として。
「あらあら、凄い勢いだこと」
上品に口元に手を置いて、彼女が駆ける姿を見つめる鶯色の双眸。
「あまり、絵は達者ではないの」
――だからこれが、精一杯……♪
絵は得意ではないと口にしながら、誰かの目に留まることを恥じらうように。
選んだ色を混ぜたほんのり淡い色で描いたそれに、仕上げ♡とばかりにくるんと尾を巻き上げれば、ぽやぽやと浮かんだ愛らしい桃肌の豚に、胸がきゅうんと鳴る。
「んふふ、この世は尊い奇跡で溢れています」
ならば豚も熊猫も空を飛びましょう。
両足を行儀よく揃えて飛び立つ愛らしい子に身を預ける。ふわりふわりと飛んでいくそれにまたひとつ感動を覚えたのか、両手を合わせてにこにこと笑んでから、ふかふかの頭を細い指先でやわり撫でてやった。
「はい、いい子の豚さんですね♡」
夢見心地な星に紛れて咲かすのは、赤椿、白椿。
今にもぽとりと落ちそうな重たげな光、ひとつひとつを慈しむように描いていく。
そうして、椿が咲き綻んだ先、控えめに零した薄紅の煌きが一片。
手を伸ばして、もう少しで触れそうなところでそっと下ろす。
置いて行かれたくなかったのか、先にお行きと送り出したかったのか。
「ふふ、いつか美しく流れる星になりなさいな」
全部、ぜんぶ。流れるその身に、願いを乗せて――。
「俺は……そうだな」
そう呟いて、白いペイント瓶を選んだジャックがはじめに描くのは、自身が空を旅する為の白い雲。
もくもくと大きな雲を塗り重ねるのは、少し大柄な自分が身を預けても、ぽっかりと底が抜けてしまうことがないように。
機械手をぎこちなく動かして、それでも懸命に描いたふかふかの雲が浮かび上がるのを目に「よし」と零した。
(「少し拙い絵に成ったが……俺一人くらいなら乗れるだろうさ」)
そうしてとすんと雲の上。
「さあ、夜空へ飛んでいこう」
ジャックにとって、空を飛ぶのは勿論初めてのこと。ふわふわ浮かぶ雲に身を任せるのは何とも心地の良い気分だ。嘗て自分が漂った銀河の海の記憶は無機質で、只管に冷たいものだった。けれどそんな過去を塗りつぶした英雄の世界で、“こころ”に――煌めく星のように輝く、温かな優しさに触れたから。
自分も同じように、描きたいのだ。例えこれがゲームの中であったとしても――否、だからこそ、ヒーローと成り得るのならば。
――さて。では自分はどんな星を描こうか。
ふと思いついた、どうせならばただ星を描くのではなく、星と星を繋ぐ……そう、星座とやらと作ってみたいと考え、夜空のキャンバスを前に暫し頭を悩ませて――。
思いついたのは、いつか図鑑で見た、ダイヤモンドを象る星座。
「――あれは綺麗だった、この空にも浮かべてみるか」
白い雫をひとつ、ふたつ、みっつ。少しずつ雲で移動して、繋いだ時に綺麗な形を成すように位置を調整ながら描けば。
煌く星で象られた、眩い宝石の完成だ。
満足気にそれを見上げるも、それだけでは少しだけ寂しいかもしれない、と。
周りに小さな星を丁寧に描いていると――。
「まてまてまてー! こんな綺麗な空にされちゃ困るんだよー!」
やはり現れる、三人の炭水化物。
「そういえば少し、おなかがすきましたね」
そうふわりと微笑んで見せるヘルガに向かって投げつけられたおにぎりと中華まんをキャッチし「食べたいのか?」と尋ねるヴォルフガング。「それではおひとつ――」なんてのんびり会話をしながらも、敵に刃を向けることも忘れずに。地獄の炎を纏った狼犬の群れを放つと、それが命中した蒸したて中華まん、リフレクションはいつの間にやら消滅していた。
「無粋な輩にはお帰り願おうか」
「あーもう邪魔だな……さっさと燃えろ……」
希望の描き人となっていたアンナも、オブリビオン前とあらば、炎獄の執行人と化す。アンナがトリオに向かって言い放つと同時、自身の身体から噴出した紅蓮の炎が、投げつけて来たおにぎりごと焼き払えば、炊きたてごはん怪人・ウェポンは香ばしい焼きおにぎりを通り越し、真っ黒こげの消し炭となって消える。
「うわあああウェポーンまでー!」
お腹が鳴れば花より団子。のんびりお空に白い小花と赤い果実を実らせていたうぐいすも、その叫び声を耳にオブリビオンの訪れに気づいた様子で豚と共に降り立って。
「あら、あなたも私に頂かれたいの?」
「お前が最後か。確り倒させてもらう」
うぐいすがお串でぷすっと指し「アイタタタ!」と焼きたてパンが叫んだ隙、ジャックがガジェットで突撃すれば。
――煌く夜空の下、全ての怪人を撃破することに成功したのだった。
それから猟兵達は、もう少しずつ夜空に星を散りばめた。
完成間近の空に、気が付けば輝いていた狼の星座。
ヴォルフガングが紡いだそれに気づいたヘルガは、密かにその傍ら。
白いペイントで寄り添う白鳥の星座を描き足して微笑う。
アンナは、そうして完成した満天の星空を見上げていた。
(「今まで絵をまともに描いたことはなかったけれど……」)
自分の描いた星が空に輝いているのを見ると、なんだかそれはとても嬉しいことのように思えて。赤い星、青い星、それから紫――自分が描いた星をぼんやり指先で辿る。その星は人のものと比べたら少し歪で、少しだけ恥ずかしく。けれども。
天を仰ぐアンナの漆黒の双眸は夜空の星を映しとり、煌々と瞬いてみえた。
--- North sky area clear! ---
---------- Mission complete!! ---
大成功
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