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息吹の竜へ安らぎを

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●竜の寄り添う世界で
 視えたのは、一面の花。花。花。
 白い花――鮮やかな黄色の副花冠。ああ、あれは『水の仙人』――。
 ぐしゃり。と。
 それらを踏み潰した大きな太い脚。鋭い爪。
 オオオオオォオオ、と。
 竜は空に向けて大きく息吹を吐き出した。
 白い花の上に、竜胆の花弁が舞い散った。

●息吹の竜に安らぎを
「ハイどーも。依頼探しですか? そこの御方」
 グリモアベース──今は冒険者の集う酒場に様相を変えたそこのカウンターで、ミルクティを片手にセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は言う。笑うとその左頬のハートのペイントが僅かに歪む。
「ちょいと竜退治。お願いしてーんですが」
 ふよふよとグリモアを左手の上に浮かべて、聴いてくれますかね、と彼は向き直った。
「行ってもらうのは『アックス&ウィザーズ』。竜が居る世界です」
 やーしかしね、と。彼は頬のペイントを指先で掻く。
「詳しい場所。判んねーんですよ。スイセンの花畑、ってトコまでは視えたんですけどねぇ。だからまず、探り出すトコからお願いしなくちゃなんねーんです」
 言ってセロが取り出したのは1枚のスケッチ画。
 岩山を背に設えられた、石造りの砦のようだ。
 入口には堅牢な鉄の扉が填まっている。
「昔はなんかちゃんとした理由があって建ってたみたいなんですけどね。今じゃただの、モンスター蔓延るダンジョンです。ただやっぱ防衛を主眼に置いてた場所なんで、落とし穴とか矢が飛んで来るとか、そういう典型的な罠もまだ生きてるみたいですよ。……そういうのも『過去』から染み出してるんですかねぇ」
 やーワクワクしますね、と他人事のように笑ってセロはカウンターにスケッチを置く。
「とりあえずまずはこのダンジョンを探って来てください。どこになにがあるか判んねーですが、間違いなく、あの竜に続く道がここにあるんで」
 それから視えた予知を思い返すように、視線を景色の映らない窓へと向けて呟く。
「……なぁんか感じるんですよねぇ、あの竜」
 そして、また視線を猟兵達へ戻すと肩を竦め、セロは浮かぶグリモアを消した。
「ま、そういうことで。良けりゃおれの依頼を受けてやってくださいよ」
 期待してますから、と彼は相変わらず軽薄に映る顔で笑った。


朱凪
 目に留めていただき、ありがとうございます。
 竜良いよね、竜。朱凪です。

 ダンジョン探索、お好きにどうぞ。

 では、竜へと続く道程をどうぞお楽しみください。
201




第1章 冒険 『ダンジョンに挑め!』

POW   :    前衛に立って襲い来る敵の排除。罠にハマって踏み潰す役もあり。

SPD   :    罠の感知や気配察知などを行う。敵との戦闘回避も含む。

WIZ   :    後方支援。保存食やユーティリティツールの準備や回復、アイテムの補充などを行う。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●岩山の砦にて
 そして猟兵達は、その砦を見上げた。
知念・ダニエル
竜退治の前にダンジョン探索っすか。
良い前菜っすね。後がわくわくするっす。

後衛支援でもいいっすけど、ここは男として探索してみたいっす。
ユーベルコードは【スカイステッパー】が使えそうっす。
罠がありそうな場所を空中ジャンプで通過していくっす。
罠が発動したら【スライディング】や【見切り】で回避してみるっす。
パルクールの如く避けてやるっすよ。
これは敵と遭遇した時も同じ事をやるっす。
俺非力っすから、肉弾戦は嫌っす。避けて先行かせて貰うっす。

当たりの道、外れの道、どちらにしても仲間との情報共有は大事っす。
拡声器である【月の叫び】で、探索中の人達に声が届けばいいっすけど。


出水宮・カガリ
うん。とても親しみのある扉だ。
さぞかし古くから、ここを守っていたのだろうなぁ。
……残念なことに、お前の本来の役目は、終わってしまっているようだが。
お前の憂いを、晴らしてやるからな。

【錬成カミヤドリ】で【鉄門扉の盾】を複製、足元以外の全方向をなるべく防御するぞ
道が狭ければ数を減らす
大抵の罠は防げると思うが、落とし穴は穴の底に落ちる前に盾で足場を作ったり、道を塞ぎながら転がる岩はどうにかして進路以外の場所まで逃げたりするぞ

敵との戦闘も、基本は【盾受け】での壁役として振る舞う
まあ、勢い余ってそのまま吹き飛ばすくらいはするかもなぁ?


ボリス・ルーシア
ふふ、こんな堅牢な砦に挑めるなんて楽しみ。
一体中はどうなってるんだろ、な。

SPDで探索
まずは内部を調査しないと、ね
敵の気配に気を配りつつ、罠の有無を確認してマッピングしていこう
と、他の人にもわかるように、罠付近には目印を残して…

敵の気配を感じたら、1人でむやみに戦闘とならないように気を付けながら進むよ
遭遇しちゃったら、クイックドロウで目くらまししながら隠れられるかな
けど、他に人がいるなら、しっかり戦闘も協力していくよ

あ、竜の手掛かりも探さないと、ね
探索に集中し過ぎて見過ごさないように、っと…
鍵かかってるところも気になる、けど、竜の行方探すのが優先、だよね


ギド・スプートニク
クレムと同道

まずはこの砦を踏破する必要があるか
こういった探索の類は小僧(クレム)の方が得意分野であろうな
基本は前衛を任せ、私は周囲の警戒と雑魚どもの露払いを受け持とう

周囲に魔力を張り巡らせて、全方位の警戒
クレムが足元や罠の警戒を主とするならば、私はより遠方の警戒を、というわけだ

わざわざ戦闘を避ける必要もあるまい。
出てくる敵は、全て魔術で焼き尽くす。
私と小僧、二人がかりの弾幕をなお抜けてくると言うのであれば、
その時は拷問具によって壁に拘束、後は焼くなり斬り落とすなりどうとでもできる

良いぞ小僧、どうやらこの道で間違いはない
解るさ。私には視えるぞ、竜の魔力

歪められし過去、早々に引導を下してやらねばな


クレム・クラウベル
【SPD】
ギド(f00088)と同行

払ってくれると言うならば、此方は罠の探知に集中しよう
予知を聞くに物語の様なお約束の罠が多そうか
…まるで御伽噺の世界が実在してるというのは不思議なものだな
他所世界から見れば、俺たちの出身も同じかもしれないが

派手に魔術が振るわれる背に
いかにもな場所から順に目を走らせる
足元のへこみ、壁の不審な突起や窪み、天井も忘れず確認
触れるとまずそうな場所は声をかけギドと共有
解除出来そうなものは解除、作動させてやり過ごせるものは故意に動かすのも手か
援助が必要な際は一度手を止めその場で援護射撃を

魔力を追うのは得意分野、か
宛にさせてもらおう。何にせよ進めるなら、いずれ辿り着ける筈だ



「うん。とても親しみのある扉だ」
 出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は重厚な鉄の扉にそっと手を触れる。幾多の傷が刻まれている。
「さぞかし古くから、ここを守っていたのだろうなぁ」
 紫色の瞳を我知らず緩めて、傷をなぞる。ヤドリガミである己の本体と近しい存在。だからこそ、燻ぶる想いが消えない。
「……残念なことに、お前の本来の役目は、終わってしまっているようだが。任せておけ、お前の憂いを、晴らしてやるからな」
 外敵を防ぐための扉が、オブリビオン──モンスターの蔓延るダンジョンの入口となってしまっているのは本意ではないだろう。力を籠めて、扉を引き開く。
 ごごご、と重い音を立てて開く扉に、
「ふふ、こんな堅牢な砦に挑めるなんて楽しみ」
 ボリス・ルーシア(瑠璃夜天・f09721)は子供のように瞳を輝かせて、彼らはダンジョンへと足を踏み入れた。

 埃っぽい砦の内部を見渡し、ギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)は小さく嘆息した。
「こういった探索の類は貴殿の方が得意分野であろう」
「……まあ」
 青白くすらある顔見知りの横顔を見上げて、クレム・クラウベル(ヴェスペラ・f03413)は短く返す。相手のこうした態度も、己の無口さも互いに承知だ。
 薄闇の向こうに目を凝らせば、見えてくるものもある。
「そこ、なにかスイッチがある」
 素早く視線を走らせる。床のへこみ、壁の突起や窪み、天井──、
「ギド」
「ふん。言われずとも」
 最小限の動きで振るった杖から風を切って数多の炎の矢が放たれ、
「ギィイイイイ!」
「ギィギィギィ!」
 猛禽類ほどはあろうかというサイズの大蝙蝠達の姿を照らし出し炙り出し、追い散らす。
「蝙蝠か……」
 竜に罠。まるでお伽噺のような世界が実在しているというのはクレムにはこうして歩を進めてなお、未だ不思議な心持ちだ。
 だが、己の拠点としている世界にも住む生物を目にすれば、他者から見たあの夜と闇の世界も同じく物珍しく映るのだろうと思う。
「竜退治の前にダンジョン探索っすか。良い前菜っすね、わくわくするっす」
 ととん、と地を蹴り壁を蹴り、長いスカートとマフラーをひらめかせ、知念・ダニエル(黄昏冥土・f00007)はクレムが見付け、ボリスがマッピングかつ目印をつけていく罠を避けて躍り進む。
 石造りの無骨な外観からの印象を裏切らない通路は、大勢の侵入を阻むように狭く、けれどところどころにモザイクの意匠が填め込まれていたり、燭台の意匠が一定の間隔で変えられているなどの細工が見られる。
「! ホブゴブリン!」
 瞬時ボリスは避けるべきか、と思考を巡らせる。けれど今は周囲に仲間も居る。それに道は狭く、戦闘は避けられそうにもない。
「わざわざ避ける必要もあるまい」
「そう、だな!」
 躊躇いなど欠片もなく再度炎の矢を放つギド、けれど敵はそれだけでは倒れず突き進んで来るのを、ダニエルは高く跳躍、ぐ、と膝に力籠め中空を蹴って更に跳び、ホブゴブリンの手をすり抜けてその背後へと脱け出た。
「俺非力っすから、肉弾戦は嫌っす。先の様子見て来るっす」
「は。ならば任せよう」
 あっさりとギドは応じ、彼の傍でボリスもこくり頷きつつも構えたブラスターから幾多の熱線を放って敵の腕足を踊らせるように射抜いていく。
「……よし」
 炎の矢と熱線が狭い通路を塞ぐ壁を成すかのような濃密な弾幕の中、きり、とロングボウを引き絞って放った一矢はその『壁』の隙間を的確に縫って──ホブゴブリンの額に見事に射抜いた。

「っと。よっ、」
 突如大きく口を開けた落とし穴を跳んで越えた先、細い通路の先に見えた、光。人工的な光は、出口ではないだろう。
「なんか広間っぽい場所が見えるっすよ、」
 『月の叫び』──黒一色の拡声器を口許に添え、己の後ろを来るはずの仲間に伝えようと振り向いた、その僅かな間隙。
「危ないっ!」
 ボリスの悲鳴が反響し、咄嗟に視線を前に戻したダニエルの見開いた目の前に迫る飛来した矢が、
──ギギギギィン!
 鈍くも硬質な音がして、弾き落とされた。
 ダニエルは突如目鼻の直前にそびえ視界を遮ったそれに触れる。冷たく硬いそれは、『鉄門扉の盾』。ぐるり、重量あるはずのそれが自在に動いてその盾を操作する青年の許へと戻っていく。
「間に合って良かった」
「助かったっす」
 カガリが小さく首を傾げて見せれば、ダニエルも肩を竦めるように小さく笑った。
 彼らが進んだ先は、ダニエルが想定したような広間だった。円形の室内に、放射線状にいくつかの扉が填まっている。部屋の中央には重厚な机が設えてあり、作戦指揮でも執る場所であったと思われた。
「、この扉だけ開いているな」
 カガリが押した扉の向こうは、また同じような通路が続いている。
「うぅん、今のところ竜の手がかりらしいものはない、ね」
 鍵の掛かってるところも気になるけど。ちらりとボリスは振り向くが、開かないものは仕方ない。竜の行方を探すのが優先だよね、と自分に言い聞かせるように拳を胸に当てる彼女の前で、クレムがギドを窺えば、彼は鷹揚にひとつ肯いた。
「どうやらこの道で間違いはない。私には視えるぞ、竜の魔力」
──魔力を追うのは得意分野、か。
 かのダンピールが告げる言葉にどれほどの真実が含まれているのか、クレムには計り知れるものではない。ただ言えるのはひとつだけ。
「宛にさせてもらおう。何にせよ進めるなら、いずれ辿り着ける筈だ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

メリー・メメリ
【POW】
たんけん!わくわくどきどきだ!
げんきー、いっぱい!ゆうきー、いっぱい!

大食いでお肉を食べて強くなる!
強くなったらフードファイト・ワイルドモードで敵を倒すよ
たくましくて強いんだ!
おまえらになんが負けないぞー!

前は任せて!
ハッ、でもでもいっぱい戦うとケガするから
そしたら交代して…!
強いけどけがしすぎたらととさまとかかさまにおこられる…!
けが、けが、なおしてー…!


花咲・まい
【POW】水仙は香りの強い種類も多いですから、洞窟であれば匂いを辿ることも出来るかもしれませんですね。
けれど、まずは目の前の敵から片付けないことには始まりませんです!敵の排除、お任せ下さいませですよ!

私が戦闘に使うのは悪鬼礼賛です。
どんな敵でも、斬ってみれば分かりますですから!
戦闘は1人でもよいですが、他にも戦っていらっしゃる方がいれば、共闘戦と行くのもよいと思いますですよ。



.ボリスのつけた印を辿りながら、メリー・メメリ(らいおん・f00061)は手にした骨付きの肉に齧りつき、鼻歌混じりに廊下を行く。
「げんきー、いっぱい! ゆうきー、いっぱい! たんけん! わくわくどきどきだ!」
 そんな彼女の後ろを歩きながら、ふふ、と微笑ましさに花咲・まい(紅いちご・f00465)は笑みをこぼす。食べることが大好き。その気持ちは、まいにもよく判る。
「水仙は香りの強い種類も多いですから、こういう狭い場所が続くなら、匂いを辿ることも出来るかもしれませんですね」
「におい? におい! わかったがんばるぞ!」
 あたしはキマイラの子だから! そう言って黒曜石の角にちらちらと通路の燭台の灯りを反射しながらも、メリーはくんくんと周囲を嗅いでみる。
「、」
「ええ。けれど、まずは目の前の敵から片付けないことには始まりませんです!」
 そして嗅ぎ当てたのは濃い獣のにおい。ひく、とメリーの眉が動くと同時、笑顔を絶やさずまいも肯いて刃を抜く。
「おまえらなんかに負けないぞー!」
 きらっ、と緑の双眸をそれぞれ輝かせた彼女達の行く手に現れたのは、ばたばたと大きな羽音を立てる大蝙蝠の群れ。牙を剥き薄闇に眼光鋭く「ギィイ!」「ギイィイ!」鳴き喚く。
 前はまかせて! と飛び出したメリーの幼い細腕には活力が漲っている。フードファイト・ワイルドモード──に、と捕食者の笑みを浮かべて彼女は一体の大きな意志持つ塊かのような蝙蝠の群れの中へと腕を叩き込み、そして振り抜く。たったそれだけの無造作な攻撃に、引っこ抜かれるようにして数匹の蝙蝠達は硬い石の床へと叩き付けられて悲鳴を上げた。
 追い討つようにまいもその黒い塊へと刃を振るう、悪鬼礼賛──ガストロノーム・ディナー。
「どんな敵でも、斬ってみれば分かりますですから!」
「ギィイイイイ!」
 紫電が一閃すると同時、身を裂かれた獣達が墜落する。それを蹴り飛ばすように躍り上がる彼女達はけれど──罠の存在を、忘れていた。
 ひゅひゅひゅひゅひゅん!
「わっわっわっ?!」
「! 危な──!」
 幾多の矢が飛来して、多くの蝙蝠ごと彼女達を襲う。鋭い痛みに上げそうになる悲鳴を噛み殺し、まいは肩に突き立ったそれを引き抜いて、
──けがしすぎたらととさまとかかさまにおこられる……!
「けが、けが、なおしてー……!」
「大丈夫ですよっ!」
 矢傷に先程までの勢いを削がれたメリーへと群がろうとする蝙蝠を叩き付け、そしてまいは笑ってみせる。幸い、矢によってほとんど蝙蝠達は逃げ散ったようだ。
 えぐえぐと涙ぐむメリーを宥めつつも、先に行くぞ、と告げて通路へ消えたダンピールの蒼白い顔を思い浮かべて、まいは小さく肩を竦めて息を吐いた。
「いけないいけない、こんなところで手こずってちゃ、あの人に笑われてしまいますです」
 負けたくないのだ、彼には。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ラスベルト・ロスローリエン
竜退治、か。
いや……余り私情を挟むと眼も智も曇り、事の本質を見失ってしまう。

【WIZ】
砦の探索を進める仲間達が休めるよう“新緑の天蓋”で手頃な地点に休憩所を作る。
地面にこの枝を刺せば……この通り、緑の天蓋(テント)の出来あがりさ。
中は若葉の絨毯が敷き詰められているから、寝転んでも中々に快適だよ。
酒は持ち合わせていないけれど、喉が渇いた人には“四季の雫”をお裾分けしよう。
エルフ秘蔵の果実水でね、一口飲めば疲れた心と身体に安寧と活力が戻ってくる筈だ。

休憩所の設置が終わったら、周囲を警戒するよ。
それにしても……竜に水仙。
天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙――あれはどこの言葉だったかな。



.変哲もないような木の枝。
 それを石畳の隙間に突き刺せば途端にその枝葉が伸びて広がり空を覆う──今の場合は、天井を覆う──天蓋のできあがり。石の床のには若葉が柔らかく絨毯をつくって、特融の清々しい芳香が漂う。
 仲間の後方支援のため。回復の拠点のため。『新緑の天蓋』を先の広間に張って、ラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)は軽くひとつ、息を吐いた。
──竜退治、か。
 年の割に幼く見えるその顔つきの中、密かに齢に見合う落ち着いた碧の瞳に灼き付いているのは、かつての炎。
 しかし彼は小さく首を振る。
──いや……余り私情を挟むと眼も智も曇り、事の本質を見失ってしまうな。
 そこへ、まいに連れられて瞳に涙浮かべたメリーが戻ってきて、彼は瞬時に切り替える。三角帽子を押し上げて、用意した袋の中から取り出したのは『四季の雫』。
「これを飲むといいよ。エルフ秘蔵の果実水でね、ひと口飲めば疲れた心と身体に安寧と活力が戻ってくる筈だ」
 喜んで礼を告げつつ口にする少女に微笑んで、そして彼は通路の先へと視線を遣る。その長い耳には遠く戦いの喧噪が届く。
「それにしても……竜に水仙。天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙──あれはどこの言葉だったかな」
 ぽつり呟いた言葉は、木々の葉擦れに吸い込まれていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
オレの野生の勘も張り合いある強い奴がいると感じるぜ
まあまずは丁寧に目の前のダンジョンを進もうか

他の猟兵とも積極的に報連相して、
SPDに長けた仲間に避けられる戦いの判断に甘えるぞ

だが、どうしても戦いを避けられない場面ならオレの出番!
オレの溢れ出るPOWで前衛に立ち、
襲いかかる敵や罠の脅威を見切りつつ仲間を庇うぞ

仲間の手が届かなそうな場所の敵や罠も、その場の地形を利用して
グラウンドクラッシャーで敵や罠を巻き込むように地形を破壊しちまうぞ
あ、オレ達が損するような変な壊し方はしないよう十分気をつけるぜ

勿論WIZに長けた仲間からの支援も快く受けるぜ
やっぱ持つべきは筋力と仲間だな!


蓮花寺・ねも
ダンジョン。竜。
物語のようで、すこし心が躍るな。
現実だということは忘れていないので、精々万全に準備を整えていこう。

ぼくは後方支援に努める。
事前に装備を調えていこう。
重量や嵩で行動を阻害してしまうと厳しいので、荷物は極力コンパクトになるように。
食事は、……現地調達はだめか。そうか。
大人しく保存食を用意していく。
現地ではぐれることも早々なかろうが、
幾つか用意して各々持てば別行動を取っても大丈夫だろう。

探索中は回復を主に。
探索に障らない程度の軽傷なら、持ち込んだ道具で応急処置を。
重傷は【生まれながらの光】を使う。
障害物などは念動力で動かせないかな。
疲労で荷物にならない程度に頑張るとしよう。


メヤ・トゥスクル
竜退治。
御伽噺の中の話だけじゃ、なかった、ね。
御伽噺の勇者さまには、なれないけど。
勇者さまの、手伝いくらいは、できたらいいな。

ヒントは…スイセン。花には、意味があるらしい、けど。
……でも、これだけじゃ、わからないね。
他の手がかりと組み合わせたら、なにか、わかるかな。
さがさないと、ね。

僕は後方支援やろう、かな。
…保存食とか、ユーティリティーツール?、アイテムの補充、すれば
いいんだっけ。
【バトルキャラクターズ】、手伝ってくれたり、しないかな。
……ちから仕事はめんどう…苦手だけど。
備えあれば、うれいなし、だっけ。皆がちゃんと、たたかえるように。
がんばろう、ね。シユ。

*アドリブ、とても、うれしい。



「っしゃ、次!」
 小柄な身体で巨大な斧を振り抜いて敵を叩き伏せ、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は闊達に笑う。
 その健康的な肌に走った幾多の細い傷には蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)が注意を払って、回復の必要性を確認している。
「竜退治。御伽噺の中の話だけじゃ、なかった、ね」
「ああ──物語に入り込んだようで、すこし心が躍るな」
 左に黄昏を、右に冬空を灯す双眸でメヤ・トゥスクル(憑代・f09104)がふんわりと告げる言葉に、ねもも肯く。
 いくつめの角を曲がっただろう。
 薄暗い通路は同じようで違いながら続いている。分かれ道もあった。仲間達とはそこで分かれたり、通路が途切れて引き返したりを繰り返していた。
「この子達も探索に協力してもらえたら良かったんだけど、ね」
 少し眉を下げたメヤの視線の先には、今は一体になっているバーチャルキャラクターズ。それらは戦闘用としてプログラムされているがゆえに、敵の居ない今は彼の傍から離れない。
「なぁに、心強いぜ。なあ!」
 やっぱ持つべきは筋力と仲間だな! からり笑って裏表なく告げるグァーネッツォの言葉に、メヤは少しはにかんで大切な相棒のシユをそっと抱き締めた。
「まだ先は長そうだね。飲み物いるかい?」
「ありがとう、もらうね。……ううん。竜までのヒントは……スイセン。花には、意味があるらしい、けど」
 充分な準備を携えたねもから水筒を受け取り、喉を潤しながらもメヤは首を捻る。
「……でも、これだけじゃ、わからないね。他の手がかりと組み合わせたら……なにか、わかるかな」
「とりあえず、オレの野生の勘はこの先に張り合いある強い奴がいると感じるぜ」
 それは、まだ先のことかもしれないけれど。
 口角を上げたグァーネッツォは大きく『竜骨ナチュラルアックス』を振りかぶり、
「──その小細工はもう見切ってんだよ!」
 叩き付ける、渾身の一撃。グラウンドクラッシャー。その斧は耳をつんざく轟音を奏で、槍降る罠を作動させようとしていたゴブリン達を巻き込んで、その名の通りに石の床を叩き割った。
 きぃきぃと喚く声の許へと更に踏み込んだグァーネッツォは更に斧を掲げる、しかし。
 闇雲な最後の足掻き。崩れた地形、露わになった槍を引っ掴んだゴブリンがその穂先を彼女に向けて突き立てた。
「ぐっ!」
 力の定まらない攻撃は穂先を大きく揺らして、彼女の腕を大きく斬り裂く。
「!」
 見開いたのは、誰の目だろう。
 その瞠目の意味は、なんだっただろう。
「動かないで」
 数体のバーチャルキャラクターズがゴブリン達へと群がりかかると同時、ねもは胸に当てた両手を、そっと開いた。聖なる光がグァーネッツォへと降り注ぎ、その傷口へと癒しの力を分け与えていく。
 みるみるうちに溢れる血が止まり、痛みが薄れていくのを感じて「……へへ、」グァーネッツォはねもへと笑う。
「助かったぜ! ありがとな!」
 彼女のすぐ傍ではメヤによって生み出され喚び出された十三体のキャラクターズが方々から巻き起こす電子の魔法が、最後のゴブリンを屠る。
 きぃきぃ、きぃきぃ。響く断末魔の叫びが掠れて消えたのを確認してメヤはほぅと息を吐く。
──御伽噺の勇者さまには、なれないけど。
──勇者さまの、手伝いくらいは、できたらいいな。
 その想いは勇者に相応しいのだと、気付くことも無いまま。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

秋稲・霖
【POW】

ま、とりあえず露払いは任せとけって!
大物が来られる前に雑魚が片付いてないとめんどーなことになりそうじゃん
けど俺がやるんじゃねーんだけどねえ
出番だぜ、式神たち
お前らならどんな雑魚が来よーと敵じゃねえっしょ!全部燃やしちまいな!

…っと、その間に俺はわざと罠にハマって潰せるもんは潰しに行ってくるぜ
こーゆーいかにもふぁんたじー、的なトコの罠ってどんなんあるんだろーな
落とし穴、とか?
とゆーわけで足で探せって感じで、周りをちゃんと注意して見ながら探してみっかな!


泉宮・瑠碧
竜と水仙か…中庭でもあるのか、或いは上…?
進まない事には分からないが
花畑程の数があるのなら
若干なりとも匂いが流れてきたりしないだろうか

・僕は後方支援をしよう

移動中は周囲をよく見て第六感も使用
罠や敵の察知の補助も出来れば

道行きの敵には心中で、すまない、と
…本当なら、竜もあまり倒したくは無いが

負傷者が居ればシンフォニック・キュア
仲間にだけ届く程度の音量で密やかに歌唱
何かを探して彷徨う者が、いつか望むものを見付ける
…というそんな歌
今の自分達には合いそうだと思うのだが

配る保存食は干し果物とそれの入ったクッキー、干し肉
水筒にはほんのりレモンバームを効かせた水を
短時間の休憩でも、少しでも皆が安らげる様に


空廼・柩
【SPD】
んー、偶にはこういう仕事も良いよね
何より空気がおいしい
最近狭苦しいデスクワークばかりだったから
リラックス序でに竜退治、頑張ろうか

敵と戦う前から罠で怪我だらけってなったら大変だし
俺は罠の感知や周りに敵がいないか警戒しておくよ
予め『情報収集』で罠の種類、どの様な場所に設置する物か調べる
後は確り己の『視力』を用いて罠がないか確認
見つけたら直ぐに報告しよう
簡単な物だったら解除するけれど…
敢えて追ってきた敵に使うのも有りかな
勿論、身を張って解除する人を止めはしないけれど
…後でちゃんと治療してもらいなよ?

『聞き耳』で動くものの気配も警戒
もし近付く音があれば皆に小声で伝え、物陰に隠れてやり過ごそう


エン・ギフター
スイセンてアレだろ?
韮と間違えて食っちまう毒物系。
まあ見た目綺麗でもあんな、竜に荒らされんの勿体ねえわ。

【SPD】
んじゃダンジョン開拓いきますかね。
あんま頭使うの得意じゃねえし、ルート選択は【野生の勘】頼りだな。
開かない扉を見付けたら【鍵開け】試してみるか。
射出口や床の材質の違いなんかに注意して罠を探しつつ、曲がり角は一旦立ち止まって索敵忘れず。
敵や罠がある道の手前には、自分の羽根差し込んで猟兵サンがたに注意換気する目印にするわ。(ブチィ)(痛)

猟兵サンらと擦れ違ったりした時には、使えないルート等の情報共有。
俺の方はボチボチかね、そっちも気ィ付けろな!

しっかし、ワクワクすんなこういう探索!


リュカ・エンキアンサス
水仙……。毒がある花畑に、竜がいるなんて風情があるね。
観光ついでに、行ってみようか。古城の仕掛けとやらも興味がある。

そういうわけで、罠の感知を行いながら進む。敵がいるようならなるべく避けるように。壁。天井、床。全方向に注意しながら探索していこうか、
特に宝箱のようなオブジェクトや扉周りは鍵穴は勿論その前の床、天井、壁まで念入りにチェックしてから鍵を開けよう。
足元に危険を感じたら、レプリカクラフトでおとりを作ったり、フック付きワイヤーで回避してみるのもいいかもな

……黙々と一見地味に見える細かい作業とか、好きだから
なんだか楽しみで、わくわくしてしまう
……らしくないな。手元が狂わないように気をつけよう


オルハ・オランシュ
詳しい場所がわからなくてもなんとかなるよね。
この仕事を請けた以上、セロにいい報告ができるように、私も力を尽くすよ。
守りに長けたダンジョンみたいだから一筋縄ではいかないかもしれないけどね。

待って!
その床、なんか嫌な感じ。迂回してでも避けた方がいい気がする。
【野性の勘】ってやつかな。

暗くてよく見えないけど、天井にも何かありそうだね。ほら、あそこ。
【槍投げ】で仕掛けを破壊できないか試してみるよ。

行き止まりに見えるけど少し風を感じない?
もしかしたら先に通じているのかも。

避けられなかった敵の排除と後方支援は他の猟兵に任せていいかな。
その代わり、罠の回避と対処はお任せあれ。



「お、……すごい音だなぁ」
 聞き耳を立てていた空廼・柩(からのひつぎ・f00796)はどこからともなく響いた轟音に僅か苦笑する。彼にはそれが敵のものなのか、味方によるものなのか判らない。
 とりあえず、それが近付いて来る気配はなさそうだ。
 一旦肩の力を抜いて、それから柩は伸びをする。強張った背からみしみしと音が聞こえてきそうだ。
「んー、ま、偶にはこういう仕事も良いよね。最近狭苦しいデスクワークばかりだったから、リラックス序でに竜退治。なにより空気がおいし……、……いや期待してたほど美味しくはないけど」
 そこは岩山に拠った砦の中だ。嘆息する彼に、
「まあ、これでもどう、だ?」
 水筒から注いだ水を差し出して、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は小さく首を傾げる。共に行く仲間達の僅かの安らぎになれば良いと、水にはレモンバームの清涼な香りを移す気配りが利いている。
 ひと時の休憩。
「スイセンてアレだろ? 韮と間違えて食っちまう毒物系」
「そう。毒がある花畑に、竜がいるなんて風情があるね」
 周囲をきょろり、見渡しながら告げたエン・ギフター(手渡しの明日・f06076)の言葉に、瑠碧からもらったクッキーを手に、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)は、ふ、と口許に淡い笑みを浮かべる。
 「観光ついでに行ってみようか」と言うリュカに、
 「まあ毒があろうと見た目は綺麗なんだし、荒らされんのは勿体ねえな」とエンも返す。
 素直じゃないふたりのやりとりにオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は大きな耳をふるり震わせてくすくすと笑う。
「そうだね。この仕事を請けた以上、セロにいい報告ができるように私も力を尽くすよ」
 そんなつもりじゃないとでも言いたげなリュカの視線に気付かず、瑠碧はふむと考え込む。
「竜と水仙か……中庭でもあるのか、或いは上……?」
「今のところ、ただ奥に進んでる感じだね。思ったよりも広い」
 くしゃりとぼさぼさの灰の髪を掻き混ぜて柩も応じるのに、秋稲・霖(ペトリコール・f00119)はへらりと笑った。
「まっ、果てに着くまでは進むしかねーんじゃん?」

 露払いは任せとけって! そう宣した霖の言葉に偽りはなかった。
「さ、また出番だぜ、式神たち。お前らならどんな雑魚が来よーと敵じゃねえっしょ! 全部燃やしちまいな!」
 彼の命を受けてぱたぱたぱたぱたっ、と音と立てて敵へと張り付いた紙の式神が次々と燃え上がり、桔梗色の炎の塊になっていく。
「ギィイイイ!!」
 上がる断末魔に、瑠碧は心中で瞼を伏せる。
──……すまない。
 本来なら、この先に居るであろう竜も、彼女は手にかけたくはない。ならばどうしたいのか。己の中でも答えは未だ、出ないまま。
「よーし行くぜ!」
「! 待て」「待って!」
 歩みかけた霖に、けれどエンとオルハの声が掛かる。振り向いた彼に、「あー」とエンが間を置く。
「うまく言えねぇけど」
「うん。……その床、なんか嫌な感じ」
 それはキマイラ達の野生の勘。「確かに、なんか感じるね」と柩の第六感も言う。仲間の言葉を受けて霖も目を凝らすものの、判らない。
 迂回してでも避けた方が、とオルハが言いかけるのに、
「……なんとかなるっしょ!」
 罠は己がハマって潰す。そう決めていた霖は仲間に掌向けて近付かないようにと伝え──踏み出す。
 途端。

 どん。

 天地を失う浮遊感。床が、抜けた。
 これまでにいくつも落とし穴は見てきた、しかしそれとは比にならないサイズ──通路の床すべてを喰らい尽くすかのような。
「っ、!」
 ただただ大きく目を見開くしかできなかった霖の腕に、鈍い痛みが走った。それは鉤つきのロープ。視線で手繰れば、目を眇めたリュカの手許へと繋がる。咄嗟に仲間達が彼に手を貸して、霖の身を引き上げた。
「……あっ……ぶなかった……」
 腕や足に擦過傷や裂傷があるのは割れた石床と共に落下したことと、落とし穴の底だけではなく側面にも白刃がびっしりと据えられていた所為だ。
 さすがの霖も鼓動が走るのを抑えられず、肩でした息を整えたリュカへと礼を告げる。彼はそっけなく「お兄さんが無事で良かったよ」と告げ、
「まったく無茶するね……ちゃんと治療してもらいなよ?」
「なら私、……いや、僕が」
 呆れた柩と瑠碧が続ける。紡がれる歌声は囁くような、シンフォニック・キュア。なにかを探して彷徨う者が、いつか望むものを見付ける──そんな歌。
 この探索に相応しいだろうと、そう願いを籠めた歌。
「まあ、悪いことばっかでもねえみたいですよ」
 ぶち、と己の黒い翼から一枚の羽根を千切って──痛みに目の下にしわが刻まれたのはきっと気の所為だ──床の石に挟み込むのは、後に続いてくるかもしれない仲間達への注意喚起。
 なぜなら崩れたはずのその床が自然に回復したからだ。『過去』が染み出す異常、その一端を目の当たりにして、彼らは更に気を引き締めた。

「それっ」
 そうして何度目かの別の道を選び直した先で、もはや見覚えのあるスイッチを敢えて押す。柩の背後に迫っていたゴブリン達が矢衾に射られるのは当然計算の許。
 そしてその眼鏡の奥の瞳がその傍の壁に、気付く。
「……見たことがない模様だね」
「動くな、これ」
 周囲の状況を綿密に確認したうえで、細心の注意を払いながら抜き取ったそこには、
「……鍵穴だ」
 覗き込んだ瑠碧が言うのに、やってみようとエンが細い金属を取り出す。
 その技術には、目を見張るものがあった。
 指先に引っ掛かる感覚。仲間と視線を交わし合い、回す。
 がちん、と音がして、石壁にしか見なかった場所が、『開いた』。
 そこは行き止まりの小さな部屋。
 部屋の中には古びた机。その天板には雑に刻まれた文字。『永久の眠りを願う』。
 一同は狭い部屋を見渡し、調べ、
「開きそ?」
「ん……、もう少し、あ」
 霖の見守る中、こつこつと──どこか夢中になれそうな心地で──机の鍵を弄っていたリュカの手許で、硬い音がした。滑りの悪い引き出しを開けるとそこには一枚の古びた地図があった。
「この砦の周りの地図か。俺達はここから入ったはずで……山の向こう側には集落があるみたいだね」
「……待って」
 柩の台詞に引っ掛かりを覚えて、オルハが小さく言う。
 彼らはここが砦であることを知っていた。ここが、防衛に主眼を置いていた場所であることも。
 けれど『岩山を背に』、『なにを』護っていたのだろう。
 通路は奥へと続いていた。それは、『どこ』へ?
 そして不要になった砦は、『永遠の眠り』を与えられたのでは?
 ぱっ、とオルハはなにもない壁へと向き直り、その石造りの壁へと掌を這わせた。
「……ね、ここ。行き止まりに見えるけど少し風を感じない?」
 もしかしたら先に通じているのかも。
 再び視線を交わし合い、首肯を重ねて。
 オルハは愛用の三叉の槍・『ウェイカトリアイナ』を構えた。ふう、と息を整えて──瞬息で突きを繰り出す。フィロ・ガスタ。

 ──道が、拓けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『荒野のキャンプ』

POW   :    寝ずの番で警戒する

SPD   :    キャンプ技術や美味な料理で環境を整える

WIZ   :    キャンプ場所を探す、敵を誘う細工をする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●砦の向こう
 嘘だろう、と誰かが言った。
 竜の待つスイセンの花畑があるのだと、思っていた。
 けれどそこに広がるのはただただ、荒れた平原だった。
 準備を万全にしてきた者は、僅かの息を吐く。
 仲間が手に入れた地図では近くに集落がある。そこで必要な食糧などをある程度は買い揃えることや、荒野における出現モンスターの情報を得ることはできるかもしれない。
「スイレン……というからには、水の近く、なのかな」
 誰かが言った。
 地図には砦から丁度北西に進んで一昼夜ほどの距離に水場があるようだ。湖なのか海なのかは、地図の上からはでは判然としない。
「……行くしかないか」
 砦が竜への道に繋がっているというのなら、これもきっと、竜への道程なのだろう。
「ん、ちょっと待て。セロが言っていたのはスイセンだった、よな?」
「あ。言い間違えちゃった。スイセン、だよね。うんうん。水の仙人って言うくらいだから水辺なのかな、って」
 一概にはそう言い切れないものではあるが、手掛かりのない今は。
「──……行ってみれば判るさ」
 誰かがそう言った。

●広がる荒野
泉宮・瑠碧
僕は近くの集落へ行ってみよう

たまたま辿り着いた冒険者の体で
使いそうな食材も幾つか買い求める

道往く人や子供達に尋ねてみよう
この近くに水場はないか、から、あの水場付近の様子を
あと、スイレンの花畑に心当たりはあるかと
直球で最近この付近や遠目にでも竜の姿を見た事は無いか、も

それと
以前のこの周辺を事を良く知る者にも話を訊きたいが誰か知らないか
その者が居れば、
近くのあの砦は何の為に建てられたのか
この集落付近には嘗て何があったのか
と…
スイレンもそうだが竜胆についても何か引っ掛かる事は無いだろうか

…あの花の竜…
過去に亡くなった竜なのだろうが…
何を想い、この地に居るのか
叶うなら、出来るなら、心残りは晴らしたいな


知念・ダニエル
こうも荒れていると、確かに溜め息が漏れてしまうっすねぇ。
だけど進んだ事には間違いないっすよね。

俺は【オルタナティブ・ダブル】で女人格の俺を呼び出すっす。
「はいはーい!呼んだ呼んだ?」
……ちょっとうるさい奴っすが我慢して下さいっす。
で、何で呼んだかと言えば、買い出しや料理を作る為っす。
人手は多い方がいいと思うっすからね。
「ふふん、任せて! メイドは家事が出来て当然なのよ!」

とりあえず作れそうなのはシチュー辺りっすかね。
すぐに皿に盛れるし、すぐに食べられて、栄養もあるっすからね。
他にも調理する人がいるなら手伝うっすよ。
「私達に任せて頂戴!」


出水宮・カガリ
一昼夜の距離か…道中でのキャンプが必要になるのだろうなぁ

カガリにできるのは、キャンプの防御を補強する程度だ
キャンプ地として見繕われた場所の、外界と接する箇所に【錬成カミヤドリ】で複製した【鉄門扉の盾】を壁として並べる
拠点での戦闘が無いのが一番だが、壁は無いよりある方が落ち着くだろう?
戦闘になったとしても、【拠点防衛】としてカガリは守りに徹する
吹きさらしよりは、雨風も凌げるはずだ
撤収もカガリの意志ひとつだしな

人の形になっても、壁の内に暮らしを守るという在り方が、カガリは一番落ち着くなぁ


花咲・まい
【SPD】先を急ぐ冒険ではありますが、急がば回れという言葉もありますです。まずはしっかりと英気を養って、万全の状態で挑みましょうですよ!

というわけで、今夜の晩御飯をみんなで作りましょうです。荒れ果てた平原でも食べられるものは何かしらあるはず。ケモノ肉、きのこ、山菜いろいろ。それに、焼いて煮てしまえば大体食べれますですから。
これを機に親睦を深めるのも良いと思いますですよ!
なにせ、これから一緒に竜を倒しに向かいますですからね!


メヤ・トゥスクル
竜までの道は、とおく、険しい。
本当に、御伽噺と。よく、似てる。
でも、試練を、乗り越えたら。
竜のところに、辿り着ける、はずだから。
がんばろう、ね。

料理とか、キャンプの、設営?とか、罠を作るとか。
どれも、あまり、得意じゃ、ないから。
だから、せめて、みんなが。
安心して寝れる時間を、作ろう、かな。
一緒に夜番をする人に
あたたかい飲み物くらいは、配れる、かな?

【拠点防御】と、【暗視】の技能で
キャンプのまわりを、警戒する、ね。
後は、【群霊萃如】で、80体の、【模造精霊】をよんで。
一緒に、キャンプを、守ってもらおう、かな。
僕ひとりだと、心細い、けど
みんなでなら、だいじょうぶ。

*アドリブ、うれしい、です。


ラスベルト・ロスローリエン
ふむ……この冒険、一筋縄ではいかないらしい。
気を取り直して荒野に竜の翼を追うとしようか。

【WIZ】
地図にある集落に立ち寄り【情報収集】と【コミュ力】で情報を集めよう。
竜の心当たりや荒野の魔物、北西の水場について。
近辺に花の群生地があるかも聞いておきたい。

地図を見る限り水場は結構な大きさのようだけれど……そういえば水仙は潮風が似合う花だったね。
水場に到着したら縁に沿ってぐるりと歩き回ってみるよ。
もし水仙の群生地を見つけたら竜の痕跡を調べてみよう。
同時に【地形の利用】で身を隠したり周囲の観察に適した野営地を見つくろっておく。
草木が生い茂っていたり岩陰などあれば“新緑の天蓋”も使えるかな?


エン・ギフター
こりゃ一筋縄じゃいかねえ具合だな。
闇雲に荒地進んで、消耗し切ったところで危険とコンニチハなんて笑えねえし。
確り身体休めてから、水場目指すか。
【SPD】
腹減ってたら戦ができないって言わね?
がっつり温い飯食っとこうぜ、力出すのも頭働かせるのも栄養使うだろ。
携帯食じゃ味気なさすぎんだろ。
ちょい、集落でなんか買ってあと鍋借りてくるわ。
んで一応、ヤバめのモンスターや竜に関して目新しい話無いかも聞いとく。

クズ肉クズ野菜しか手に入んねえとしても、鍋にブチ込んで適切な塩加減で煮込みゃ立派な飯だ。
俺【大食い】だしな。手順は雑だが、自分で大量に食える気になる味付けにはなってる筈だぞ。
ほらアンタらも食え食え。


リュカ・エンキアンサス
……こんなものだよ、実際は。
とはいえ歩みを止めるわけにはいかないかな。
まずはキャンプを出来る場所を探して、そこに何かしらの脅威が近づかないように罠は張っておく。
それから日があるのならば軽く仮眠を取って、夜は少し離れたところで見回りを行っておこう。
野営地自体は誰かが寝ずの番をしているだろうから、少しはなれて、はなれ過ぎないようにして、不審があれば即座に戻ってそれを伝えられるようにする。
食事は自分の携帯食料があるのでそれで済ませる。
……信頼してないわけじゃないよ。
ただ、みんなで同じもの食べて、腹壊したらしまらないからね。
……俺の故郷では当たり前のことなんだけど、気を悪くしただろうか。距離感難しいな


空廼・柩
【POW】
…まあ、そう簡単にはいかないよね
少し拍子抜けしちゃったけれど、強敵を倒しに行くからこそ準備は磐石にしないといけない
そうだ、荷物持ち役で買い物ついでに叶うならば『コミュ力』で集落の人にモンスターの事と――
最近、この付近で変わった事がなかったか『情報収集』してみよう

愛飲するエナジードリンクを手元に寝ずの番をしよう
大丈夫、徹夜には慣れているから
もし集落で得られた情報があれば整理しつつ、敵がいつ現れても良い様に『聞き耳』で周囲の警戒は怠らない
もしかすると、竜の接近と共ににおいに混じって花とか、何か違った香りがするかも知れないし
兎に角、些細でも変わった事に気付いたら小声で番仲間に声を掛けようか


オルハ・オランシュ
スイセン一輪咲いてなさそうな場所だね……
想定外だけど大丈夫、なんとかなるよ
さっきだってみんなの得意分野を活かしてここまで来られたんだから

ここまで長丁場になると思っていなくて
キャンプの準備はしてこなかったんだよね
集落で買い物してこようかな

【SPD】

買ってきたのはアウトドア用の小さいトースターとパン
網の跡がつく程度までパンを温めて
いつも持ち歩いているいちごジャムをつけて食べるよ
パンは多めに買ってあるから他の人にも分けたいな
甘い食事で良かったら、君もどう?
私も何か貰える食べ物があったらいただきたいな

せめて今ぐらいは、のんびり食事を楽しみたいよね
竜と対峙したらもう一瞬たりとも気が抜けなくなっちゃうもの


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
ダンジョンの次は自然が相手か
自然は侮るとすぐ自分に返ってくる強敵だから、気を引き締めて挑むぜ

集落で購入した食料や道具等の荷物持ちは怪力なオレに任せてくれ
道中やモンスターの危険でも戦闘する時は仲間と一緒に荷物も守る
命に変えてでもみんなの大事な生命線を守ってみせる!

キャンプできそうな場所に着いたら巨大な邪魔な物があったら
アースジャイアントで出した大地の巨人を使ってどかすぜ
後は細かい作業は出来ないから、5分でも寝れる時は少しでも寝て寝ずの番に備える
寝ずの番の時は自然とモンスター、何より弱い自分との根気勝負だと、
仲間の睡眠を邪魔しない様に自分自身を鼓舞するぞ
明日には竜との勝負がある、そんな予感がするぜ


ボリス・ルーシア
…あはは、うん、反省。
セロの話から、砦抜けたら花畑だと思ってた。
思い込みはダメ、ね。気をつけなくっちゃ。

集落があるなら、野営の準備と情報収集、ね(コミュ力)
食料や野営に使えそうなものを見繕いながら
水仙の花畑の場所とか、竜胆の花について何か知らないか、とか聞いてみる
過去が染み出してるなら、この地域の昔話も聞いてみたいな
竜や砦について、関係する情報があるといいんだけど

目的地までの野営とか、キャンプって冒険の醍醐味だよね
もちろん、こういうところにいる獣には気をつけないと、だけど
手に入れた食料で、シンプルながらもしっかり味付けした料理を作るよ
体の中から温めて、みんな万全な状態で竜と対峙しようね


ギド・スプートニク
【SPD】
クレム(f03413)と
そろそろ竜の住処が近いと信じてたのに存外遠くて、視えてるとか言ったのを少し気にしてる

馬でも無いのか、馬
いい加減徒歩にも飽きたのだが

小僧の手際に感心する
マメで勤勉、良いことだ
もう少し愛想でもあれば可愛気があるが…
期待しても詮無き事か

食料は日持ちも気にせず自分の好きな物を見繕う
キャンプでは手製のロールキャベツにパン、ワインも準備
ははは、若いな小僧
人生なぞ愉しんだもの勝ち
斯くも質素な食事では、ドラゴン相手に禄な力も振るえぬであろうよ

酒や料理を他の猟兵にも振る舞って

オブリビオンを滅するのみがヒトの生き様ではない
嗤え、人生を愉しめ
それが先達の忠言よ

*アドリブ歓迎


クレム・クラウベル
【SPD】
ギド(f00088)と同行
……成る程、思ったより長旅になりそうだ
幸いすぐに被害が出る案件でもない
集落で支度を整えてから出立しよう

食料は日持ちが良く、簡素な調理で食べられるものを中心に
少ない調理器具で済むように
キャンプ道具もロープを活用して少ない柱で立てられるものを
目ぼしい話があればモンスターの情報も仕入れよう
参考になる話あれば野営の場所を選ぶ時活用
馬は……どうだろうな
借りれる宛でもあれば、道中楽だが

……別に人生を楽しんでないわけじゃないさ
このくらいの旅程なら軽い方が良いと思っただけだ
嵩張る分はそちらで持ってくれよ、俺は自分の分しか持たないぞ
……まあ、振る舞いの良さは良いと思うけどな


蓮花寺・ねも
見事に荒野だな。
水場の方が、確かに棲み良いだろうけれども。
ここらのひとたちも困るだろうし、極力早く追いつくとしよう。

とはいえ備えもなく歩いたら、飢えて乾いて倒れてしまう。
集落を訪ねて準備を整えねばな。

保存食や水を買うのと合わせて、この辺りの危険種についても訊ねたい。
特性や好物が判ると良い。
それと、現地のひとたちがどう対処しているかも聞けたら上々。
ぼくたちなら、討ち倒していくことも出来るかも知れないけれど。
そうするにしても消耗はなるべく抑えたいし、時間を喰うのも避けたい気持ちはある。

キャンプの際には、得た情報を元に敵の警戒を。
拠点よりも遠くへ誘き寄せるように出来ないかな。
休める時は休むべきだ。



「スイセン一輪咲いてなさそうな場所だね……」
 さくり、さくり。乾いた土くれの上を歩きながら困ったような笑みを浮かべてオルハ・オランシュが告げるのに、
「見事な荒野だな」
「あはは、うん、反省。セロの話から、砦抜けたら花畑だと思ってた」
 蓮花寺・ねもがこっくりと肯き、思い込みはダメ、ね。とボリス・ルーシアも笑う。
「こうも荒れていると、確かに溜め息が漏れてしまうっすねぇ」
 眼鏡のブリッジを押し上げて言葉通りに小さく息を吐いた知念・ダニエルは気怠げに視線を遣る。
「……こんなものだよ、実際は」
 ぽつりと感情のいろを滲ませず告げるリュカ・エンキアンサスに、けれどメヤ・トゥスクルは「そう、だね」ほわり笑みを浮かべた。
「竜までの道は、とおく、険しい。本当に、御伽噺と。よく、似てる」
 電子で構成される彼にとって、物語と呼べるものには近しくも憧れのような想いが募るのかもしれない。
 相棒のシユを抱き締める彼を横目に見て、リュカは「……そうかもしれないね」と小さく返した。
「だけど進んだことには間違いないっすよね、ほら」
「うん。想定外だけど大丈夫、なんとかなるよ。さっきだってみんなの得意分野を活かしてここまで来られたんだから」
「試練を、乗り越えたら。竜のところに、辿り着ける、はずだから。がんばろう、ね」
 ダニエルの言葉に珊瑚色の光帯びる髪を揺らして肯くオルハへ、メヤも応じる。
 視界に捉え、ダニエルが指さしたのは小さな集落。
──正直あそこで休んでいきたい。
 とか、思ったか思わなかったか。連日続いていたデスクワークからの突然の強行軍に、空廼・柩がほんの少しその漆黒の瞳を細める横で、花咲・まいは小さな手を握った。
「先を急ぐ冒険ではありますが、急がば回れという言葉もありますです。まずはしっかりと英気を養って、万全の状態で挑みましょうですよ!」

●砦裏の集落
「嵩張る分はそちらで持ってくれよ、俺は自分の分しか持たないぞ」
 あれとこれと、ああ、それももらおう。と好きなように所望するギド・スプートニクにクレム・クラウベルは小さく釘を刺すが、相手に気にしたふうはない。
 けれどそれも、慣れたものだ。背の高い棚から瓶詰めの魚のオイル漬けを手に取り眺めながら、クレムは変わらぬ表情でカウンターの向こう、肥った男性へと顔を向けた。
「店主。訊きたいことがあるんだが」

「近くじゃないけど、あるよー」
 この近くに水場はあるだろうか。そう訊ねた泉宮・瑠碧に、初めて目にする冒険者への好奇心を瞳いっぱいに籠めて、集落の少女達はきゃらきゃらと笑いながら答えた。
「あのね、行っちゃだめなの」
「こわーいモンスターが出るんだってー」
「、……こわいモンスターというのは、竜のことか?」
 生真面目な瑠碧の問いに、少女達は顔を見合わせ、それから首を振る。
「わかんない」
「行っちゃだめだからー」
「この辺で竜を見かけたことも、ないか?」
 もしも竜がスイセンの花畑を出てしまっていたら。この付近を飛び回ることがあるならば。警戒の度合いが大きく変わる。
 しかし瑠碧の危惧に反して、返す少女の顔は明るい。
「ううん、ないよー」
「……あんまり知らなくてごめんね、おねーちゃん」
 おずおずと窺うようなひとりの少女のその言葉に。かつての記憶がほんの僅か、脳裏を掠める。……姉なら、どうするだろう。ふ、とそんな想いが過ぎったのは一瞬。
「いや。とても助かった。……ありがとう」

 路傍で金物を売っていたドワーフの青年は手を止めてラスベルト・ロスローリエンの森色の瞳を見上げた。
「ほお、あんたよく知っとるねぇ。北西の海辺は確かにスイセンが咲き乱れてるっちゅう話だよ」
「ふむ。やはりあれは海なのか。そういえば水仙は潮風が似合う花だったね。……『話』、というのは?」
「似合うのかね。いや、それがなぁ。北の街から来る商隊の連中が言うにゃあ、」
 彼から滲み出る親しみやすさと情報収集力が大きく影響して、ドワーフの青年は機嫌よく喋り続けた。

「じゃあ、竜胆の花についてはなにか知らない?」
 ねもや柩達と共に保存食を買い込んでいたボリスがエルフの女性店員に訊ねると──「あ、俺持つよ重いでしょ」「え、……ありがとう、じゃあお言葉に甘えて」──彼女はうぅんと首を捻った。
「リンドウの時期じゃないものね、今は。特に出回ってないんじゃないかしら」
「では、この辺りに出没する危険種の特性などが判れば教えて欲しいのだけど」
「ああそうそう。どんなモンスターが多いのかな」
 重ねてねもが問えば、柩も肯いて笑顔で店員を見遣る。
「多いのは胡狼ね。夜行性だけど基本的には他の動物の『おこぼれ』に預かってるみたいよ。ただ、狩りを全くしないわけじゃないから油断は禁物、というところかしら」
 なるほどー、と相槌を打つ柩の隣で、ねもは大きな瞳を瞬いた。
「ここのひと達は、どう対処してるのかな」
──ぼくたちなら、討ち倒していくことも出来るかも知れないけれど。
 戦うにしても消耗はなるべく抑えたいし、時間を喰うのも避けたい。そう考えたねもの現実的な情報収集の手管に、店員は肯いた。
「篝火よね。よほどでなければ、火のあるところに胡狼は近付いて来ないわ」
「そう。ありがとう」
「どういたしまして! ついでにオススメのピクルスはいかが?」

●丘陵の休息
 陽が沈み行き、空は夜へと表情を変え始める。
「おい小僧、馬でも無いのか、馬。いい加減徒歩にも飽きたのだが」
「……借りられるようなところはなかっただろ。もう一度言っておくけど、俺は持たないぞ、それ」
「たわけ。誰が荷物の話をしている」
「……好きにしろ」
 ギドの言葉を受け流して、クレムは顔を上げた。
 なだらかな起伏の続く地形の、小高い丘陵。
 そこにだけ青々とした緑が見える。その傍の灰色の外套の男が振り向く。猟兵か。軽く手だけ挙げて応じる。
 丘に拠った彼らにひとつ肯いて、出水宮・カガリは瞼を伏せてそっと念じる。
「カガリに任せてくれ」
 錬成カミヤドリ。生み出すのは当然、彼の本体である重厚な鉄門扉。最高で十九枚並べられるそれは、
「壁は無いよりある方が落ち着くだろう? 吹きさらしよりは、雨風も凌げるはずだ」
「おお! すげーなこれ! よし待ってろ、あの岩オレがどけてやるぜ」
 瞳輝かせたグァーネッツォ・リトゥルスムィスが喚び出すのは大地の巨人──アースジャイアント。自身の二倍の身長を持つそれ──。だが。
「……」
 ドワーフである彼女が喚び出すそれは、丁度クレムと同じくらいの大きさだ。
「力は強いぞ。安心してくれ!」
 胸を張る彼女の言葉に違わず巨人は仲間達と協力してカガリの扉を立てるのに邪魔になっていた岩をどけることには成功したが、こんなときばかりは普段は気にも留めていない身長がほんの少しだけ恨めしいと、彼女が思ったかどうかは定かではない。

 向かう先は同じ。集落の民達から得られた情報も当然ほとんど同じとなれば、行きつく先も似通うものだ。
 丘陵の傍にいくつかの拠点をつくり、上がるのは灌木の枝を燃やす微かにいがらっぽい煙と、それを塗り替える料理の温かな湯気。
『はいはーい! 呼んだ呼んだ?』
「……ちょっとうるさい奴っすが、我慢して下さいっす」
 既にどこか諦観のようなものを眼鏡の奥に宿すダニエルの隣には、彼と同じ顔、けれど全く違う表情をしている女性。オルタナティブ・ダブル。もうひとりの自分。
『ふふん、任せて! メイドは家事が出来て当然なのよ!』
 ちょこんとスカートの端を抓んで礼をするなり、『彼女』は調理へと取り掛かる。
「見てくださいです、このケモノ肉。どんなものでも焼いて煮てしまえば大体食べれますですよ」
『うっそなんのお肉? すごいすごい、入れちゃお!』
「おいおい待て待て待つっす」
『うそうそ! 大丈夫なのよ、ちゃんとした兎だもの!』
 まいが仕入れてきた肉の塊にも『彼女』が楽し気に包丁を振るって作るのはシチュー。
 すぐに皿に盛れるしすぐに食べられて栄養もあるから、と告げるダニエルの傍ではエン・ギフターとボリスも大鍋を前に味付けについて相談している。
「クズ肉クズ野菜しか手に入んねえとしても、鍋にブチ込んで適切な塩加減で煮込みゃ立派な飯だ。……ん、こんなもんか」
「あとこの香辛料を少しだけ足そうか。……うん、いい感じ。体の中から温めて、みんな万全な状態で竜と対峙しないとね」

「それにしても巧いものだな、小僧」
 灌木やカガリの鉄門扉にロープを渡して固定する天幕をしげしげと眺めてギドが言うのに、炙った魚を口に入れたクレムが顔を上げる。
「マメで勤勉、良いことだ。もう少し愛想でもあれば可愛気もあるが……」
「残念だったな」
「……期待しても詮無き事か」
 くつくつと喉で笑うギドの前にはパン、ロールキャベツ……のみならずワインまである。皿は当然のこと、フォークとナイフまで用意されている徹底ぶりだ。
「……」
 少ない調理器具で済むようにと気を配った己との対比に呆れのような、あるいは一種の羨望のような想いが滲む。彼の視線を咎めと感じたか、ギドは笑う。
「ははは、若いな小僧。人生なぞ愉しんだもの勝ち、斯くも質素な食事ではドラゴン相手に禄な力も振るえぬであろうよ」
 さあ、貴殿らもどうだ。と盛り付けた皿を手渡せば、ラスベルトも「いただくよ」と受け取り、
「酒は持ち合わせていないが、もし良ければこちらもどうぞ。……きみもね」
 と、エルフ秘伝の果実水を差し出した。
「ありがたく。いいか、小僧。オブリビオンを滅するのみがヒトの生き様ではない。──嗤え、人生を愉しめ。それが先達の忠言よ」
「……別に人生を楽しんでないわけじゃないさ」
 このくらいの旅程なら軽い方が良いと思っただけだと口の中で呟くように返すクレムの右腕は、さり、と無意識に首の傷痕を擦る。
「……まあ、あんたの振る舞いの良さは、良いと思うけどな」
 ぽつり告げた言葉は、ギドに届いたか。ただそんな彼らに、ラスベルトも大きな帽子のつばの陰で静かに瞳を翳らせた。

 網に焼いたパンの、あまく香ばしい香りが立ち昇る。
 焼き目がついた頃合いで引き上げて、いつものいちごジャムをたっぷり乗せてかじりついたなら、サク! と耳に心地よい音と、ふんわり温かな小麦の湯気といちごの甘くてちょっぴり酸味の残る風合いが、口の中で蕩けてひとつになる。
「甘い食事で良かったら、君もどう?」
「わ、わ。良いのですか? ありがとうございますです!」
 オルハが差し出すパンに、まいの瞳はきらきら。いちごジャムは彼女の好物だ。微笑ましく眺めるオルハの前に、「ほら、あんたも食え食え」とエンからごろごろと乱切りにして煮込まれた根菜の皿が差し出される。
 受け取って口に運べば、野菜の甘みとじんわり効いた塩味が舌に広がって、甘い後味をやさしく流す。
「腹減ってたら戦ができないって言わね?」
 何杯目か判らないシチューのおかわりを掻き込む大食いなエンに、
「食べ尽くさないでよ? 明日の朝ごはんでもあるんだから。──、」
 と苦笑浮かべる柩の耳に届いたのは、獣の唸り声。
 カガリの鉄門扉の隙間から覗き見れば、暗がりの中、遠巻きに眺めているのだろう獣の光る双眸だけが見えた。
 ぴり、と緊張したのはカガリとグァーネッツォも同じだ。
 しばらく扉を背に相手を窺っていたが、ねも達が集落で揃えた情報の通り、火を焚いている限りは近付いてくる気配はない。
「せめて今ぐらいは、のんびり食事を楽しみたいよね」
 だからこそ、ぴるりと耳を震わせてオルハは敢えて言う。
「竜と対峙したらもう一瞬たりとも気が抜けなくなっちゃうもの」
「そうだな」
 柔らかく煮込まれたジャガイモを吹いて冷ましつつねもが応じて、「話は変わるけど」とボリスが仲間達に問う。
「砦の話、誰か聞けた?」
「ああ。それなら僕が」
 両手で器を持った瑠碧が長く髪を揺らして肯く。辛うじて長寿のエルフに会うことで得たのは、かつての争いの歴史だった。
「あの岩山の向こう側とは、昔は交流もあったそうだ。だけど争いが起きて、あの砦を築いて防戦したけど劣勢になったから……エルフ達が中心になってたくさんの魔法で罠を仕掛けて、塞いでしまったんだと言っていた」
 ただ今回の竜とはあまり関係がなさそうだった、と告げる彼女に、けれどボリスは「そんなことがあったんだねぇ」と目を丸くして素直に感心を示した。

 鉄門扉の壁の周囲をぐるりと巡り、リュカは暗がりに浅く光る星々のような獣の目を眺めるようにしてひとり、腰を下ろす。火の光が届く場所で、獣は寄っては来ない。
 もし寄って来ることがあったとしても、丁寧に仕掛けた罠の鋭い牙が獣の足に喰らいつくだろう。
 鞄から取り出した携帯食料をひと齧り。味は薄いが、よく噛めば甘みも感じられるし空腹が紛れればそれで充分──そう考える彼の前に、湯気立つ皿がぬっと出された。
「携帯食じゃ味気なさすぎんだろ。がっつり温い飯食っとこうぜ、力出すのも頭働かせるのも栄養使うだろうしな」
 エンの気遣いにほんの少しだけ青の目を緩め、けれどリュカは首を振った。
「ありがとう。だけど俺はこれでいい」
「なんだよ。自分じゃ大量に食う気になれる味付けにはなってる筈だぞ」
 首を傾げるエン。「……信頼してないわけじゃないよ」と少年はひとつ肯いた。
「ただ、みんなで同じもの食べて、腹壊したらしまらないからね」
 万が一のためなんだと告げる彼に、エンは小さく息吐くと同時に肩を落とす。
「んじゃ、全員寝静まって腹壊さないって思えたときにでも食えよ。あっため直してさ」
 鉄門扉の向こう側へ消えていくエンの後ろ姿を見送って、リュカはただ静かにゆっくりと瞬きを繰り返す。
──……俺の故郷では当たり前のことなんだけど、気を悪くしただろうか……。
「……距離感、難しいな」
 ぽとりと言葉を落とした彼の傍に、ひょこ、と顔を覗かせたのはメヤだ。
「あたたかい飲み物、も。万が一、で、だめ……かな」
──僕は、料理とか、キャンプの、設営? とか、罠を作るとか。
──どれも、あまり得意じゃ、ないから。
 できることをと探した彼が見付けたのが、共に夜の番に臨む仲間への心配りだった。ふわふわの前髪の下から窺う彼の視線に、「……」リュカは少し、考えて。
「……手を温めるために、もらっておくよ」
 ありがとう。お兄さんたち。

●夜の火の向こう側
 ぱち、ぱち、と。
 小さく薪の弾ける音がする。
「なあ、それなんだ?」
 徹夜には慣れてるから、と嘯いた柩の手許にあるのは『生彩』。これがなくては『それ』を欠くとすら思い込むほど愛用のエナジードリンクだ。
 大きな瞳に好奇心を宿したグァーネッツォの問いに、彼はやんわり笑みを浮かべて空の瓶を鞄へ突っ込んだ。
「お守りみたいなものだよ。それにしても、風の音が獣の声みたいだね」
 小声でそう返す彼に、黄金色の瞳に野生の静けさを湛えてグァーネッツォも全身に意識を行きわたらせる。
「ああ。注意が必要なのは、獣だけじゃない。自然は侮るとすぐ自分に返ってくる強敵だからな」
──自然とモンスター、なにより、弱い自分との根気勝負だ。
 ちらと視線を走らせるのは、寝息を微かに立てる仲間達の影。そして護るべきなのも、それだけじゃない。荷物、食糧、水。どれかを失っても、万全な状態で竜と向き合うことができなくなる。
「明日には竜との勝負がある、そんな予感がするぜ」
 だからこそ。
──命に変えてでもみんなの大事な生命線を守ってみせる!
 決意を瞳に燃やす彼女の傍。扉に背を凭せ掛けたカガリは、鉄門扉の向こう側にずらりと待機している八十体の模造精霊たちを驚嘆にも似た想いで眺める。群霊萃如──レラ・ウタリ・アプト。
「お前……メヤ、メヤ。うん。メヤも、守る力に秀でているんだな」
「そうかな。そうだったら、嬉しい。……僕ひとりだと、心細い、けど。みんなでなら、だいじょうぶ、だから」
 ふにゃり、褒められて表情を緩ませたメヤは照れ隠しのようにシユの手を握る。
 それを眺めて、「みんなでなら大丈夫、か」カガリも零す。
「カガリも、みんなが居てくれるなら耐えられるなぁ。人の形になっても、壁の内に暮らしを守るという在り方が、カガリは一番落ち着く」
「素敵なこと、だね」
 湯気の立つ温かなカップから、掌にじわりと温度が広がっていった。

●スイセンの海辺
 夜の内に獣は襲って来なかった。
 いや、正確に言うと襲っては来ていた。目と鼻の先で良い香りの炊煙を燻らされては、空腹に耐えかねるものもあったのだろう。
 だが、そんな獣達は寝ずの番をした仲間達の入念な警戒が実を結び、夜の内にリュカの仕掛けた罠に足を噛まれ、悲鳴を上げる暇もなくメヤの模造精霊達によって包み込まれて夜露と消えていた。
 簡単な支度を整え、目指すは北西。
 スイセンの咲き乱れるという海の傍。
 そして無味乾燥であった景色の中に、それは突然に現れた。
「……竜の痕跡など、探すまでもなかったね」
 ふつり、湧き上がる熱さはなんだろう。奥歯を噛み締めて、ラスベルトが言う。
 オオオオオォオオ、と。
 竜は空に向けて大きく息吹を吐き出す。
 その姿に、その声に、瑠碧は思わず眉根を寄せた。
──……あの花の竜……過去に亡くなった竜なのだろうが……。
 竜が哭く度に、竜胆の花弁が舞い散る。
 白と黄色の中に鮮やかな青が浮かび上がって見えるのが、どこか物悲しい。
──なにを想い、この地に居るのか。叶うなら、出来るなら、心残りは晴らしたいな。
 それが例え、難しいだろうと心のどこかで解っていても。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その名は息吹の竜『グラスアボラス』
 そこは、切り立ったが崖の上だった。
 広がるスイセンの花畑に佇んだ大型の竜が、ぎょる、と猟兵達へと目を向ける。
「オオオオオォオオ!!」
 鮮やかな花の色の鱗が光を弾いて美しいのに、轟く声は大地を揺るがさんばかり。
「……怒っている、のか……?」
 誰かが言った。
「何故?」
「そりゃ縄張りを荒らされたからじゃ──、」
 だけど。
「……それは、そっちもでしょ」
 砦裏の集落で得た情報達。
 北西の海辺に居るモンスターは恐ろしく、その縄張りに近付いてはいけないのだと。
 そうして長い間近付いていなかったのだが、近頃は商隊のやってくる北の街への被害が出ているのだと。
 被害が出ている。
 今後もそれは、続く可能性が高い。
 ならば──放置はできない。
 猟兵達は竜を見据え、それぞれの武器を構えた。

●竜と花弁と芳香と
 それぞれの想いを胸に、猟兵達は竜を見上げる。
出水宮・カガリ
この、綺麗な花畑を
戦いで踏みにじり、荒らし、散らすのは、とても心が痛む
お前がいるからこそ、この花畑があるのだろうが

許せよ、花の竜
城門のカガリが守るのは、人の縄張りだ

花咲く大地に【鉄門扉の盾】を構え、真の姿へと変ずる
石柱の腕に金の屋根瓦、都を守っていた城門だ
この姿で、【追想城壁】を詠唱する

『都は滅び、人は亡く。儚き栄華は荒城と成り果てた。――されど亡都の扉は此処に在り。追想城壁(ロストウォール)!』

竜を強化している花を散らし、息吹はオーラで防御しかばう
攻撃に出る者を、なるべくカガリの壁の内に


花咲・まい
【POW】あれが私たちが探していた竜なんですね。グラスアボラス……彼にどんな理由があって、どんな想いがあったとしても、私たちはそれを断ち切らなければいけませんです。だから私も、恐れず戦いますですよ。

戦闘には悪鬼礼賛を使いますです。
硬い竜の鱗だって、加々知丸くんの刃をもってすれば斬れないものなんてありませんですから。
花も斬らばその想いも残さず。すべて斬り捨て、私が食べてしまいますですよ。いざ、参ります!



「あれが、私たちが探していた竜なんですね」
 薄緑の瞳をぱちりと瞬き、その大きな身体を見上げて花咲・まいは告げる。息吹の竜『グラスアボラス』。
「……彼にどんな理由があって、どんな想いがあったとしても、私たちはそれを断ち切らなければいけませんです。だから私も」
 恐れず戦いますですよ。決意を籠めた言葉と共に、まいはくるりと『加々知丸』を手首で回し、構えた。
 それは異端の血を啜る剣。かつては大蛇すら喰らい屠ったとされる彼女の牙だ。
「花も斬らばその想いも残さず。すべて斬り捨て、私が食べてしまいますですよ。いざ、参ります!」
 その隣で白と黄、そして青の彩りが眩い花畑を見渡して、出水宮・カガリは小さく息を吐く。
──この、綺麗な花畑を、
──戦いで踏みにじり、荒らし、散らすのは、とても心が痛む……。
「お前がいるからこそ、この花畑があるのだろうが」
 微か、胸の奥の『扉』が軋みをあげて開いていく。
「……許せよ、花の竜。城門のカガリが守るのは、人の縄張りだ」
 旧い鉄門扉であった彼こそが、縄張りの象徴であったとさえ言える。それは譲れぬ彼の性(さが)だ。
 ど、と重い音を立てて『鉄門扉の盾』を突き立てると、同時、花弁が舞った。
 解放するのは、真の姿。腕は石柱、そこに頂く金色の屋根瓦。かつて彼の都を守護し続けてきた──城門そのものの姿。
「わあ……!」
 その姿にすっかり瞳を奪われたまい。ただならぬ気配を感じ彼らへと鼻面を向けた竜が大きく息を吸うのを見定めて、カガリは短く言った。
「カガリの後ろへ」
「!」
 彼女が跳び退るのとほとんど同時、
 ごぉおっ!
 風を巻いて花の息吹が花畑を席巻した。煽られる花弁、迫る疾風にも怯むことなく視線を据えてカガリは詠う。
「都は滅び、人は亡く。儚き栄華は荒城と成り果てた。──されど亡都の扉は此処に在り。追想城壁(ロストウォール)!」
 その喚び声に応じて花畑にそびえ立った今は無き城門の幻影が、竜の息吹を弾いて空へとその魔力を散らして相殺した。
 天災も人災も、永く戦い続けてきた。今更彼が恐れるものではない。
「守りはカガリに任せろ」
「はいです!」
 こっくりと肯いて、まいは駆ける。息吹を防がれたことに戸惑い、狼狽する竜の目の前へと高く跳躍して、紫電帯びる刃を振りかぶる。
「硬い竜の鱗だって、加々知丸くんの刃をもってすれば斬れないものなんてありませんですから!」
 そして一閃する、悪鬼礼賛──ガストロノーム・ディナーはその名の通り、彼女とその牙によって竜の分厚い皮膚を噛み裂いた。
「オ゙オオオオォオオ!!!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

海月・びいどろ
竜の息吹で咲くなんて、物語めいているよね…。
でも、どうして花畑に住むキミが北を攻めたのだろう。
言葉が伝わらないのなら、ここで示して。触れさせて。

無闇に攻撃せずにドローンを飛ばして撮影しつつ
この花畑に何か、花守の竜を怒らせた原因がないか探ってみよう。
技能の迷彩やフェイクできづかれないようにしながら、
動画を見る画面の向こう側からの応援を糧に次の備えを。


ラスベルト・ロスローリエン
『花咲ける世界の主が竜。そして僕は領域を荒らす侵入者……皮肉だね』

【WIZ】
竜の領域と言えどこの手で焼き払うのは御免だ。
この地に相応しき魔法で相手をしよう。

腕に絡み付く“永久の白緑”から【高速詠唱】と【全力魔法】で《落命花》を詠唱。
命散らす白き花の乱舞で竜の吐息が生み出す竜胆を迎え撃つ。
竜胆の花が舞う瞬間を見逃さず相殺を試みたい。
吐息で咲く花の領域も【地形の利用】で逆に《落命花》に生まれ変わらせ竜の命を摘み取ろう。

『――儚く散れ、花の竜。我は吹き荒れる嵐なれば』

潮騒と花の彩りに包まれ君は安らかに眠れるだろうか?
それとも僕らを怨み仇花を咲かせるだろうか。
崖の上から暫く景色を眺め思索に耽りたいな。


ボリス・ルーシア
あぁ、竜胆は竜の息吹だったの、ね
水仙と竜胆、季節外れの組み合わせでも
綺麗だと思ったのだけど…
過去の産物なら、消さなくちゃいけない、ね
戦闘中は難しいだろうけど、花畑、荒らさないようにしたい、な

先手を取るように、シーブズ・ギャンビットで攻撃
後手に回るようなら、武器受けや援護射撃などの技能で
皆のサポートをしながら攻撃する隙を狙うよ
ダメージの大きい仲間がいたら下がるように声をかけるな
隙が無かったら、マントを脱いでスピードアップして攻撃を
当たらなくても翻弄できれば上々
上手く2回攻撃がヒットしたら更に上々、ってな

「そろそろ倒される覚悟はできたか?

竜胆の竜の由来、気になるけど
…聞くことはできないんだろう、な



.蒼穹へと舞い上がるとりどりの花弁を見上げて、ボリス・ルーシアはそっとその藍色の瞳を細めた。
「あぁ、竜胆は竜の息吹だったの、ね」
──水仙と竜胆、季節外れの組み合わせでも綺麗だと思ったのだけど……。
 そして視線を据えるのは、花の竜。
「……過去の産物なら、消さなくちゃいけない、ね」
「竜の息吹で花が咲くなんて、物語めいているよね……」
「ああ。花咲ける世界の主が竜、そして僕らは領域を荒らす侵入者……皮肉だね」
 ボリスの言葉に海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)が首を傾げ、ラスベルト・ロスローリエンは小さく笑う──嗤う。
「竜の領域と言えど、この手で『居場所』を焼き払うのは御免だ。この地に相応しき魔法で相手をしよう」
 かつて己が味わったあの熱さを、繰り返す気にはなれない。持ち上げた腕、そこに絡みつく若木は『永久の白緑』。それに咲く白い花が、淡い光を帯びる。
「やがて大いなる嵐の前に全ての草木は空しく枯れ、花は風に散るものならん──大地に再び命芽吹くその時まで、」
 落ちよ墜ちよ、儚き命。
 澱みない詠唱と共に湧き起こった白い花弁が風を纏って竜を覆い、その命を削り取る落命花。
「ア゙アァアア゙アァア!!」
「あ、」
 その花弁を振り払おうと闇雲に暴れ回った竜の爪が、迷彩帯びているはずのびいどろの操る動画撮影ドローンを引っ掛け、スイレンの中へと叩き落とした勢いのままに、彼自身を襲う。
「っ──!」
 ボリスの伸ばした手が、宙を掻く。瞬時、冷たいような痺れるような感覚の直後、じりじりと灼けつくような痛みにびいどろは鈍く表情を歪めた。
 彼の脳裏にあるのは、ただ純粋な疑問。
──どうして、花畑に住むキミが北の街を攻めたのだろう。
 どうしてキミは、そんなに苦しそうなんだろう。
 既に花の竜によってにじられた場所を跳んで彼に近付き、怪我の具合を確認していたボリスも、彼の視線に籠められた想いを辿るように、吐き零すように竜胆の花弁を散らす竜へと振り返る。
「竜胆の竜の由来、気になるけど……聞くことはできないんだろう、な」
「うん……でも。言葉が伝わらないのなら、ここで示して。触れさせて」
 ゆるり、立ち上がったびいどろが、ここ、と掌を添えるのは己の胸。例え思考回路にバグが多くとも、ここには伝わるものがあるのだと、信じていたい。
「、ああ。そうだな」
 に、とボリスが浮かべた笑みは挑戦的で、それは未知への好奇心と探求心の顕れだ。
 腰に下げたダガーをくるくると回して、ラスベルトと視線を交わすが早いか、マントを翻して竜の鼻面の前へと躍り出る。
 途端、くわっ、と開かれた大きな咢に、
「っとぉ!」
「く……!」
 噴き上がるフラワーカッターの勢いがラスベルトの落命花の速度に勝りボリスの皮膚を斬り裂くのを、彼女はマントをばさりと脱いでダメージを散らす。身軽になったその手に繰り出す刃は『フォルトゥーナ』。
「オ゙オオオ!! ォオオ……!」
 それは既に運命であるかのように過たず竜の瞼を深く裂いたが、暴れる竜はその巨大な身体ごと彼女へ追突し、「あ……っ!」ボリスの身体を吹き飛ばす。
「、」
 灰色の三角帽のつばを押し上げて身を乗り出したラスベルトと思わず目をまんまるにしたびいどろの前で、
「……っへーきへーき」
 けれど彼女は口許を拭いながらひょいと身を起こす。
 痛みは、お互いさまのはずだ。
 だから彼女は笑う。
「竜胆の竜。……そろそろ倒される覚悟はできたか?」
 ぴし、と刃の切っ先を向ける彼女に安堵の息を軽く吐いて、ラスベルトももう一度腕に巻いた若木を指先でなぞり、視線を上げる。
「そうだな、──儚く散れ、花の竜。我は吹き荒れる嵐なれば」
 その澄んだ青い瞳で注視するびいどろも強く肯く。
 ただ一点。灰の魔法使いの胸に燻る想いが、過ぎって消えない。
──……潮騒と花の彩りに包まれ、君は安らかに眠れるだろうか?

──それとも、僕らを怨み仇花を咲かせるだろうか。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
あの集落への被害はまだ出ていない…
北から来る商隊を、過去の戦の名残とでも思っているのか
或いは、ただ縄張りに近付くから?
…竜と言葉が交わせたら良いのに

僕は…優緑治癒で治療に回ろうか
傷の深い者を優先で治す
急ぎなら高速詠唱も使うぞ

竜とはある程度の距離を置く
特に水仙を踏まない様に
自分に攻撃が来るなら見切りで避けられる様に
第六感も使用して
次の攻撃や狙われる相手にも声掛け出来れば

違うかも知れないが…伝えるだけは
竜、もう此処に争いは起きていない
この戦いが終われば、僕達は去るから荒らしもしない
残る水仙も、この地も、穏やかに過ごしていくだろう

だから、君も
花に囲まれて、もう休んで良いんだ

グラスアボラスと花に祈りを


メヤ・トゥスクル
とても、綺麗で。見とれて、しまいそう、だけど。
綺麗でも、何かを、誰かを、傷つけてしまうなら。
止めないと、いけない。

それに。
僕の、我侭、なのかな。綺麗なものは、綺麗な、ままで。
いてほしいと、思うから。
その綺麗な姿で、誰かを、幸せに、してほしかった。
自己愛だけじゃ、勿体ない、よ。

吐き出す息吹には、気をつけて、戦おう、かな。
息吹の前に、吐き出そうとする、動作が
ある、だろうから。
見極めて、避けて、いこう。

避けながら【无咎瑞花】。【雷】と【氷】の属性で。
急所になりそうな所に、集中、攻撃。
鱗は、硬い、だろうから。やわらかいところを、探す。
目とか。口、とか。息吹は、強いけど、隙。

*アドリブ、嬉しい、です。


エン・ギフター
そりゃ自分のモンだと思ってる場所荒らされりゃ腹立たしいよなあ。
けど悪ィな、そりゃ過去の話だ。
帰るぞ、海に。
怒りも悲しみもあるんなら存分にぶつけてくりゃいい。
寄り添うのは無理でも、思いだけは未来まで持って行ってやるさ。

竜との間合い測るのは【野生の勘】頼りにはなるが、極力接近して攻撃する
ユーベルコード蹴刄が届くならそれ、届かねえなら武器使う
爪だの牙だの関節だのに狙い定めて【マヒ攻撃】や【武器落とし】に繋がれば重畳
多少なりとも戦力削って、他の猟兵の攻撃が入れ易くなりゃいんだがな

しっかし、竜胆はアンタが吐いてたのかよフローラルすぎんだろ
一輪ぐらい持って帰れねえかな、アンタを忘れない為にもさ



「そりゃ自分のモンだと思ってる場所荒らされりゃ腹立たしいよなあ」
 首の後ろの髪をくしゃりとやりながらエン・ギフターがぼやきつつ、花畑に血を散らす竜を見る。
「オ゙オォオオオ……!」
 呻く花の竜の姿はメヤ・トゥスクルと泉宮・瑠碧には痛々しく、ふたりは我知らず眉間に深く皺を刻む。
 元の姿は正しく植物の緑に花の色した角と翼。ともすれば見惚れてしまいそうな美しさを伴っているけれど。
「綺麗でも、なにかを、誰かを、傷付けてしまうなら。……止めないと、いけない」
 きゅ、とメヤの色違いの双眸に強い光が宿り──それが瞬時、「それに」緩む。
「綺麗なものは、綺麗な、ままで。居て欲しいと、思うから」
 ……だから。続く言葉を呑み込み、胸の前で拳を握る。
「我が愛する森よ、木々よ、我が存在を依り代に、その恵みをこの場へ……」
 瑠碧の願い招いた、淡い碧色の光がボリス達の傷を癒していく、優緑治癒──フォレスト・ヒール。代わりに引きずられるような疲労を肩に感じながらも、彼女は仲間達の背中ごしに竜を見つめる。
 ずっと、この冒険の間ずっと、会いたかった。……躊躇っていた。
 彼女達が通ってきた砦裏の集落には、未だ被害は出ていない。
──北から来る商隊を、過去の戦の名残とでも思っているのか。
──或いは、ただ縄張りに近付くから?
 ……竜と言葉が交わせたら良いのに。ふるり、小さく首を振る瑠碧の前で、エンが夕焼け色の瞳を眇めて身を低くする。
「けど悪ィな、ここがお前の場所だったのはもう、過去の話だ。……帰るぞ、海に」
 そして鋭い蹴爪で地を蹴り、獣は低く疾駆した。
「ギ、ァ……!」
 竜の頸が捻られるよりも迅くその横っ面に肉迫、竜の視線が黒を捉えた、その時には既に強靭な蹴爪によるえぐるような蹴撃が、
「そら、骸の海へお還りなさいってなァ!!」
「ガァア゙アアァ!!」
 竜を穿った。
 巨大な体躯がバランスを崩し、地響きを立ててスイレンを押し潰し、倒れ込む。
 吐き出す息から出来損ないのような竜胆の花弁が散りしきるのに、
「しっかし、そりゃアンタが吐いてたのかよ。フローラルすぎんだろ」
 呆れのような、それとも親しみのような。そんな声を思わず零すエンの想いが、メヤにも染み入るような気がした。
──その綺麗な姿で、誰かを、幸せに、してほしかった。
 呑み込んだ『だから』の続き。自己愛だけでは勿体ないと思うから。
 それも己の我侭/自己愛(エゴ)だと、もちろん知っているけれど。
「! メヤ!」
「っ、」
 瑠碧の声と同時、力を纏って噴き付けられた息吹をすんでのところで跳んで躱したメヤの足許に、竜胆の花畑が更に広がった。
 ばさり、ばさりと翼を羽ばたかせて巨体を起こした竜の傷付いた瞼の下から、強い光が猟兵達を睥睨する。
 仲間達を癒す力を再び喚んで支援に徹しながらも、その光のいろに、感情に、瑠碧は唇を開いた。
「竜、もう此処に争いは起きていない」
 全く予想が外れている可能性だってある。判っている。
「この戦いが終われば、僕達は此処を去る。もちろん荒らしもしない。残る水仙も、この地も、穏やかに過ごしていくだろう」
 竜は地鳴りのような低い唸りを上げ続けている。聴いているだろうか。聴こえているだろうか。それすら判らないけれど。
 それでも彼女は、伝えずにはいられなかった。否。伝えることだけは、できることだと知っていた。
「だから、君も。花に囲まれて、──もう休んで良いんだ」
「オ゙オオ゙オオォオオ!!!」
「っ、」
 大きく開いた咢に向けて、メヤが両の掌を開くと同時に、雷纏う氷の三叉槍がその息吹を吐き出す口へと怒涛のように降り注ぐ、无咎瑞花──アムキリ・メヤ。
「ゴォ、オ゙オ゙オ……ッ!」
 硬い鱗を避けたメヤのその攻撃の効果は確かであったらしく、ばたばたと零れる鮮血がスイセンを紅く染め、竜は狂気の滲んだ眼光で猟兵達を睨めつけた。
 眉根を寄せるメヤの前で、エンが「……は」小さく笑う。
「いいぜ。怒りも悲しみもあるんなら存分にぶつけてくりゃいい」
 寄り添うのは無理でも、お前の思いだけは未来まで持って行ってやるさ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クレム・クラウベル
ギド(f00088)と共闘
さて、今度こそ竜退治と行こう
見目が綺麗だろうと害を為すなら目溢しは出来ない

可能な範囲で花畑は荒らさぬよう留意
勿論気を取られて遅れを取るつもりはないが
無用に荒らすには惜しい
【祈りの火】は竜の身だけを的確に焼く
フラワーフィールドで生じた花は逆に焼き払う

敵の挙動注視し、息を吐く動作あれば身構え回避を
強力であるなら初撃を躱すまでだ
予兆気付けばギドにも視線で報せる
声までかけぬは一応の信頼あってこそ

拘束で生じた隙は遠慮なく借り
懐潜り込み至近から一撃狙う
借りた分は炎を目眩ましにして返そう
くれてやれ、ギド

過去は過去へ還る時間だ
……花と共に送ってやる
未来を食い散らす前にここで眠れ


ギド・スプートニク
クレム(f03413)と共闘


>花を気にするクレム
ふ、花は彼奴の力の源となるやも知れぬというのに、甘い男だ
だが、その甘さは嫌いではない

▼『咎力封じ』
血より生み出した拷問具の鎖にて竜の首を縛る
動きは完全に封じられずとも良い
攻撃の精度を鈍らせる事が目的だ

>目眩し
言われずとも
小僧を目眩しに合わせて、処刑剣または操るギロチンにて竜に攻撃


▼真の力
金の瞳『意志無き者の王』による恩恵が主体
簡単に言えば意思の無い存在を支配するので、自身の拷問具を支配下に置いて能力を引き上げたり、花を支配して敵への支援効果を断ったり


此方はもう、貴殿が生きていて良い世界では無い
安らかに眠るがいい、花の竜よ

*アドリブ歓迎



.ぐしゃり、と。
 太い竜の脚に踏み潰されていくスイセンの花に、クレム・クラウベルは我知らずその右目の下に微かな皺を刻む。
 無用に荒らすには惜しいと、どこか非情に徹しきれぬ己の魂が疼くのを、クレムは気付かぬふりで噛み殺し、瞼を伏せた。
「祈りよ灯れ、祈りよ照らせ。灯火よ消えるなかれ」
 陽の射さぬ朝も、月無き夜も迷わぬように──。
 祈りに載せて白い浄化の炎がごぅと音を立てて巻き起こるのに、しかし竜の方が疾い。噴き出した花の息吹がその炎を覆い尽くすように暴風となり、
「っ、」
 クレムごと呑み込まんとする花弁の勢いが、びた、と止まった。
「ふ。甘さが枷となったか、小僧?」
 だが、その甘さは嫌いではないがな。声に振り返ればギド・スプートニクがその蒼穹色であった瞳を金色に輝かせて口角を上げた。意志無き者の王──アルカード・グラムゲイズ。真の姿を解放した彼の邪視による、空間支配だ。
 ギドは意図通りに操れない息吹に残る片目を白黒させる竜へ、首を傾げて見せる。
「私が貴様を拒むのではない。世界が貴様を拒むのだ」
「オ゙オォオオオ……!」
 竜が再び息を吸い込む。「無駄だと言うに」ギドが応じながら、軽く引いた妖刀の刃に掌を滑らせる。見事に斬れたその傷に溢れ出す血が形を成して、鎖と化した。
 鎖の先には鋭い牙の並ぶ拷問具が、竜の大きく開いた咢を絡め取る。
「ガ、ァ……?!」
 大きく竜が片目を見開く、そこに映るのはきらり輝いた銀十字。
 届かぬ祈りは、誰がためなのか。クレム自身にも見通せぬまま彼は銃口を向けた。
「過去は過去へ還る時間だ。……花と共に送ってやる」
 二度の銃声はもがく竜によってその眉間を逸れる。「、」狙い通りにいかない状況に彼は奥歯を噛むが、それでも祓魔の弾丸がその鱗へ深く楔を穿った。
「ガァア゙アアァ!!」
「ああ、」
 竜の咆哮にも耳を貸さず、ギドの掌から未だだくだくと流れ続ける血が鎖を溶かしてひとつの質量と成していく。それは切っ先の無い剣。処刑剣。
「此方はもう、貴殿が生きていて良い世界では無い。安らかに眠るがいい、花の竜よ」
 クレムの攻撃に我を失う竜へといっそ優しく、彼はその剣を振り下ろした。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

リュカ・エンキアンサス
何か感じるってなんだろう。
何を怒っているんだろう……。
知りたいな、と思う反面。
……関係ないな、と思うのも反面。
だって、敵だから。
倒す人間に、斟酌するのはおかしいって。
……そういう風にも、思うから。

……と、言うわけで。
とりあえず。気合入れていこうか。
少し離れたところに位置取って、
主に銃を撃って攻撃する。
仲間に攻撃が向きそうなら、けん制したり、どちらかというと援護の方向に動く。
……まあ、自分はそんなに一撃が重いわけでもないし、適材適所だね。
止めとかは、任せるよ。
とはいえこっちに来たら、至近距離でも応戦しないわけには行かない。
其のときはなりふり構わず戦うさ。竜殺しか……。まるで御伽噺みたいだね。


空廼・柩
敵意の眼差しと竜胆の花弁を暫し眺めながら
あんたが頑なに縄張りを守ろうとする理由も、哭く理由も俺には分からない
何も知らない俺が憶測で全てを語っても、何も意味がない
――人なんかを襲うからこうなるんだ
等と悪態吐くけれど胸の痛みは和らぐ事なく苦しいばかり
…全く、困ったもんだね

攻撃には【咎力封じ】を使用
見た目に騙されて舐めて掛かる訳にはいかない
攻撃力減少、叶うならば技を封じる位の勢いでいく
花弁攻撃の範囲も怖い
死角を狙うか極力分散も心掛ける
棺型の拷問具で『武器受け』する等して直撃は避ける
防御した後に『カウンター』も狙ってみる
共に戦う者在れば連携も試み、隙を補う様に行動
体力が危ない猟兵がいたら『かばう』行動


蓮花寺・ねも
互いに不干渉の領分を守っていたなら、
ぼくが口を出す筋ではなかろうけれど。
……否。
それでも、過去は過去か。
猟兵としての本分を果たそう。

ぼくは皆の攻撃の支援を主眼に置こう。
隙を見て近付き、【サイキックブラスト】で動きを封じる。
息吹の出始めを挫けたら上々だけれど、
止められなくてもその後の攻撃に繋げられたらそれで良い。
近場の岩等で遮蔽が取れそうなら、念動力を使って壁にするように。
難しければ拘らない。傷を負ったところで、近付けたら目的を達するに十分だ。

攻撃の範囲が広いのはどうしようもないけれど、
首の向いている方向や息吹の流れに気をつけて、極力被害を抑えるよう努めよう。

ああ、うつくしいのにな。
残念だ。



.人は竜の領域へと足を踏み入れずに過ごしていたのだという。
 怪物を恐れ、畏れ、美しい花が咲くと知りながらも。
──互いに不干渉の領分を守っていたなら、
 蓮花寺・ねもは夜空と黄昏を灯す両の目を僅か翳らせる。己が口を出すことではないと判ってはいるけれど。……否。思案の中、彼女は小さく首を振った。
──それでも、過去は過去か。
 顔を上げ、両の手を軽く開く。手と手の空間に、チリッ、と電流が奔り、ねもは仲間へと視線を巡らせた。
 竜の息吹を棺型の拷問具で受け流し、攻撃後の隙を逃さず繰り出した鋭く太い針で敵の傷口を更にえぐる空廼・柩の表情は、『複雑』を表現したらこんな顔になるのだろう、とでも言えそうなそれだった。
「ギィイァア゙アアア!!」
「……人なんか襲うからこうなるんだ」
 敢えて吐いてみた悪態は、彼の胸の痛みを僅かばかりも癒してくれることはなく。狂気を宿した血塗れの竜は彼を払い落とさんと身を震わせ、荒々しく花弁の吐息を零す。
「ォオオ……!」
──あんたが頑なに縄張りを守ろうとする理由も、哭く理由も俺には分からない。
 憶測でなにを語っても意味がないと諦観を宿す眼鏡の奥の瞳は鋭利で。
「……全く、困ったもんだね」
 なんてぼやく彼から少し離れた場所で隙無く銃火器を構えるリュカ・エンキアンサスの青い双眸も、ひたと竜を見据えたまま。
──なにか感じるってなんだろう。なにを怒っているんだろう……。
 セロの言葉を振り返りながらも、彼は絶望の福音の恩恵を受けて竜胆の息吹を危なげなく躱し、その横っ面に銃弾を浴びせる。竜が吼える。目を眇める。
 知りたい、と願う反面で、もうひとつの声が彼の脳裏を掠める。
──……関係ないな。
 あの竜は、敵だ。
 過去から滲み出て、そして人が害す存在だ。
 それはリュカにとって、ただの事実。
──倒す人間が、斟酌するのはおかしい……そういう風にも、思うし。
 だから全身全霊で相手をしよう。それがリュカにとっての礼儀だ。
「ガァア゙アァ!」
 リュカの弾丸に翻弄され、腕を振り回し大きく翼を広げた竜が、大きく咢を開く。
「っ、」
 今。
 理解はできたが、ただ反応が間に合わなかった。柩の伸ばしかけた腕の向こうで色とりどりの花弁が刃となってねもを襲い、その白い肌を切り裂く。風に圧されて体勢を崩した彼女の視線はそれでも揺らがず、ただ胸にその景色を刻む。
──ああ……うつくしいのにな。
「残念だ」
 ぽつり落とした言葉と共に両の手から放つ、高圧電流。それは二匹の竜が互いに噛み合うように中空を奔り、竜へと突き墜ちた。
「オ゙オッ……?!」
 駆け抜けた電流に竜の身体が自由を奪われた、その一瞬。
「助かるよ」
 気の抜けたような笑みをねもへと向けてから、柩が竜へ放つ手枷等々の拘束具。それらは動けない竜の身体を更に縛め、狙いの通りに敵の息吹を完全に封じ込めた。
「グググ……ッ! グゥウウウ……!」
「悪いね。あんたの攻撃は怖いからさ」
 リュカの銃口が竜へと狙いを定め、ねもの両手に再び電流が留まる。
 竜は、青い花を零して呻いた。
 組み伏せられた地に咲き乱れるのはただ広がる白と黄色。
「グゥウウ……っ!」
 ぽろり。ぽろり。
 竜の瞳から涙が零れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

オルハ・オランシュ
花の似合う綺麗な竜だね
過去の君も亡くなるまでずっと花と共に在ったのかな
……ごめんね
可哀想なんて感情に流されるほど優しい人間じゃなくて
せめて痛みを長引かせないように、早く終わらせてみせるから

敢えて竜の初動を待つんだ
フラワーカッターは初撃さえ気を付ければ対処できそう
【見切り】を狙うか
初撃に当たっちゃったら【武器受け】で防御しよう

龍が行動を終えてから反撃に出るよ
トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化してから【力溜め】
極限まで力を高めておくのが、私の下準備
そして【2回攻撃】で【なぎ払い】
傷口に傷を重ねるように容赦なく

唯一、目だけは狙わないように気を付けるね
きっと大好きなはずの花を見る、大切な目だから


リル・ルリ
*アドリブ、他PCとの絡み歓迎

「綺麗な花の香りに誘われた。と思ったら竜がいる。綺麗でどこか悲しい花の竜」

嗚呼、綺麗だと純粋に思うものの
悲劇はこの花には似合わないよ
【野生の勘】で竜の攻撃を察知し躱せるように……皆に迷惑をかけないように間合いは十分にとって行動しよう
【歌唱】を存分に活かした【サウンドオブパワー】で春を、咲き誇る花を、その生命のめざめと力強さ、歓びを歌い仲間たちを支援しよう

僕には歌うことしかできないが
それでも何も出来ないわけではないから
歌で皆を守れたら
そう思うよ

「哀しみを重ねないように、哀しみを長引かせないように。君に鎮魂歌を歌ってあげる」
花の綺麗な日だから
きっと安らかに眠れるはずさ


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
水仙を浸食する竜胆の竜か、面白くて強そうな相手だぜ
街と花畑、どっちもオレ達が守ってみせる!

真の姿を解放、手足が竜鱗肌になるぜ

オレの野生の勘がとにかく敵の息に当たっちゃいけないと告げてるぜ
尻尾やでかい体にも気をつけるが、なるべく敵の顔の前や近くは避けて
敵の側面や後方にいるようにするぞ

何が何でも槍の初撃を見切りや捨て身の一撃、ジャンプに戦闘知識等
使える技能をフル活用して当ててドラゴニック・エンドを発動させてみせる
召喚出来たドラゴンには敵の口を塞ぐ様に踏みつけや尻尾で叩きつけ等
攻撃と同時に敵がブレスを吐く邪魔をして貰うぜ

戦闘が終わったら、オレが出来る範囲で花畑を直してみるぜ
直し方わからないけど…



「綺麗な花の香りに誘われた。と思ったら竜がいる。……綺麗でどこか悲しい花の竜」
 唄うように音を零して、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)は花畑の中、猟兵達の攻撃に抗い涙を零す血塗れの竜を見つめ、そっと目を伏せる。
 綺麗だと感じたのももはや過去のこと。
 リルと気持ち等しく、オルハ・オランシュもその大きな若菜色の瞳を瞬いた。
──過去の君も亡くなるまでずっと花と共に在ったのかな。
「……ごめんね」
 そう囁くのは、憐憫なんかじゃない。
「可哀想、なんて感情に流されるほど優しい人間じゃなくて」
 せめて痛みを長引かせないように、早く終わらせてみせるから。約束にも似た決意を宿して、彼女は柩の縛めから逃れた竜へ視線を留めながらも、炎、水、風の魔力を纏ってその力を強化した。
 猟兵達の多くが踏み荒らさぬようにと気を配ったスイセンの花畑。けれどそこに陣取る竜が暴れ回るものだから、多くの花は茎から折れて土に塗れている。
 ぐ、と奥歯に力を籠めて、グァーネッツォ・リトゥルスムィスは拳を握る。
 その視線の先には、スイセンを浸食する竜胆の竜。相手に不足はない。
「終りにしてやるぜ!」
 みしみし、と音が聞こえる気がした。彼女の手足に竜の鱗が生まれ、その金色の瞳が更に輝きを灯す──竜の力を宿した、グァーネッツォの真の姿。
 仲間達へと視線を遣れば、オルハとリルが小さく、けれど確かに肯く。
──僕には歌うことしかできないから。
 それでもなにも出来ないわけではないから。
 人魚は唄う。
 歌で仲間を守るために。
 巧みな歌声は春を、咲き誇る花を、その生命のめざめと力強さ、歓びを鮮やかに描き出し、その声を耳にする仲間達を支える力となる。
「ガァア゙アアァ!!」
 咆哮と共に竜の放つ竜胆の花弁が嵐となってオルハを襲った。
「くっ……!」
 見定めるべき対象が散る。振るい掲げた三叉槍をくるり躍るように躱し、風に乗った花の斬撃が彼女の肌を裂く。あかい華が咲く。
 けれどそれでもいい。
 彼女は槍で花弁を薙ぎ払い、そして跳ぶ。狙うは首筋。ギドや柩達によって深く穿たれたその傷。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァア!!」
 空に向けて吼える、その大きな隙。
 それは息吹を警戒し竜の背後に位置取っていたグァーネッツォが狙い澄ました、絶好の機だった。
 リルの唄に背を押され、高く跳んだ彼女が振り投げた槍の一撃は竜の尾を串刺しにして、グァーネッツォは両の指先を合わせて喚ぶ。
「来い!」
 オォオオオオオオオオオオォ、と咆哮上げて応じたのは召喚ドラゴン。ドラゴニック・エンド。彼女の化身かのような金色の竜は、息吹の竜の攻撃を抑え込むかのようにその首へと太い尾を叩き込んだ。
 もはや満身創痍であった息吹の竜は、がふり、と血と花を吐くと、動かなくなった。

 虚ろに濁った瞳の瞼をそっと下ろしてやりながら、オルハはほんの僅かだけの安堵を胸に宿す。片方だけでも、最後まで見えていて良かったと。
──きっと大好きなはずの花を見る、大切な目だから。
 さら、さら。
 さら、さら。
 花弁が散るように欠片となって消えていく竜──オブリビオンの最期に、リルは唄う。
「眠る君がもう哀しみを重ねないように。哀しみを長引かせないように。……君に鎮魂歌を歌ってあげる」
 花の綺麗な日だから、きっと安らかに眠れるはず、と。
 スイセンの花が泳ぐ空に、淡い歌声が響く。
 グァーネッツォがなんとか整えようとスイセンの花畑のえぐれた土をその指先で戻してみる傍らで、瑠碧が消え行くグラスアボラスと花へと祈りを捧げる。
 忘れぬように持って帰ることができたなら。そう願ってスイセンの花に引っ掛かっていた竜胆の花弁を拾い上げたエンの指先で、
──やっぱ、無理か。
 それも等しくさらさらと崩れて消えた。
「竜殺しか……。まるで御伽噺みたいだね」
 ぽつりと告げたリュカの言葉に、相変わらず感情の在り処は不透明で。けれどそれでもシユをぎゅっと抱きしめ、
「そう、だね」
 メヤは小さく肯いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト