しばざくらをしばきにきましたぬ。
●
日向の国。芝桜の景観見事な茶屋がある。
淡紅色のふわりとした絨毯のように広がる芝桜。濃淡は様々であり、時折、白や薄紫の箇所があり。
この時期、芝桜の手入れを行なっている茶屋は、床几台と野点傘をあちこちに配置し、外で甘味と茶を楽しめる催しを行っていた。
のだが。
「たーぬたぬたぬ!」
その景観を眼下におさめられる、なだらかな丘にて狸兵団が高らかな声をあげる。
「たーぬたぬたぬ!」
高らかな、たぶん笑い声。そして、
「ぱんだぱんだぁ」
狸兵団のなかに、まあ、過去血統的なあれこれで色々あったのだろうと思われるパンダもおり、そんな彼らとは一歩引いた位置に、薙刀を背負う女羅刹がいた。
大将と思われる狸が、女羅刹を見上げる――くるっとした狸の瞳はわりとあざとい。
「姫さま!」
「……なんだ」
「ここでわしらが、しばざくらをしばけば、猟兵という名の者どももきっとくると思いますたぬ!」
「む、そうか」
「見事猟兵という名の者どもを釣ったら、姫さまの出番にござるたぬ!」
「この景観、血桜に染めてやりましょうぞたぬ!」
見かけのわりに言うことが物騒な狸。
「姫さま、こちら、先の村で購入した団子と茶でござるたぬ」
「ささ、向こうにて床几を開き、しばしご休憩を。先陣はこの狸兵団にお任せたぬ!」
「……うむ、汝らの働き振り、どれほどのものか見せてみよ」
法螺貝の音が高らかに鳴り、狸兵団の進撃が始まった。
●
グリモアベースへと入る猟兵たちを迎えたのは、ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)だった。
「こんにちは、猟兵の皆さん。待っていたわ。
今回はサムライエンパイアへと向かってほしいの」
サムライエンパイア。今は全国的に花盛りで、あちこちで花見の宴が開かれているだろう時期だ。
「で、芝桜が見事な地に、オブリビオンが攻めてくるのよね。
芝桜を荒らしてやろうと狸兵団がやってくるのだけど、目的が猟兵の誘き出しみたいなの」
「えっ、何、喧嘩売られた感じ?」
思わずといった猟兵の言葉に、多分ね、とポノが頷く。
「狸兵団と一時的に行動を共にしている、血花の紅鬼姫『真千代』という女羅刹がいるのだけど、彼女が猟兵の噂に耳にして、自身の好敵手となるかどうか戦いを挑みたいようなの」
「へえ」
「――じゃあ狸をボコり尽くして、その真千代を倒せばいいんだね」
言葉を重ねる猟兵たちに、うんうん、と頷くポノ。
「彼らと戦うのは芝桜から離れた丘の上辺りになるけど、狸たち、挑発として芝桜を荒らしに行こうとするから気を付けてね」
なお、当然花見客もいるのだが、江戸幕府のお墨付きで諸国を漫遊してオブリビオンを成敗する猟兵のことを、彼らも知っている。
避難は自主的にしてくれるだろう。
「戦闘が終わったら、お茶屋さんで花見をしながら一服しましょう。
緑茶は勿論、甘酒、甘茶や和菓子もあるからね。
どうぞ楽しんできてちょうだい♪」
そう言って、ポノは猟兵たちを送り出すのだった。
ねこあじ
●
ねこあじです。
プレイング締め切りなどが決まりましたらマスターページの連絡上部やTwitterにてご連絡。
お手数おかけしますが、よろしくお願いします。
芝桜を荒らそうとする狸兵団と戦い、血花の紅鬼姫『真千代』と戦い、無事終わったらお花見しようぜなシナリオです。
到着は冒頭オープニング直後となります。
真千代は後方にて狸働きをしばし観察。
戦場は丘を想定してますので、特に一般人避難誘導は必要ありません。自主的に避難します。
万が一、敵におされて戦線が下がったら、芝桜に被害も出るかもしれませんが……たぶん大丈夫。対峙するたぬきとパンダによる。
それではプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『狸兵団』
|
POW : 狂乱野鉄砲
【仲間がやられた恐怖心】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【弓矢や火縄銃の集中砲火】で攻撃する。
SPD : 狸兵団突撃
予め【突撃陣形を組む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : パンダ混じりの狸囃子
戦闘力のない【子狸応援団(何故かパンダがいる…)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【戦場に響く賑やかな太鼓の音】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
葛乃葉・やすな
喧嘩を売られたというから来たがわしは女羅刹など、どうでも良いのじゃ。
わしの狙いは狸をボコすこと。
相手が狸なら負けられぬ。
UC【フォックスファイア】を【二回攻撃】で2回分使い狸をそれぞれ撃破する。
邪魔をするならパンダの太鼓も燃やす。
鉄砲を放つ動作をしたら【衝撃波】【範囲攻撃】【吹き飛ばし】で相手の体勢を崩させ命中精度を下げたうえで回避じゃ。
世間では「狐七化け狸八化け」などと言うておる様じゃが、戦闘では我等狐の方が上じゃということを証明してくれるわ!
※アドリブや絡みじゃ
スミス・ガランティア
猟兵に喧嘩かぁ。うんうん、元気がいいのはいい事だと思うよ。
だけどそのために花を荒らすのは……我ちょっと、いやかなり許せないかな? 折角花見に来てる人達が悲しむじゃない?
その身につけてる武器や防具も無機物扱いでいいんだよね? だったら……効果範囲内に近づいて【氷結の世界】で凍らせちゃうね? 芝桜に向かう前に仕留めるつもりだし、陣形組んでる間にカチコチになっちゃってると思うよ? まあ、花に当たらないように我も気をつけるけどさ。
動物の姿してる子にこれ使うのは心痛むけどほら、悪い事に天罰って我ら神様的に普通のことだしね? 仕方ないよね?
●
ぶおおおー、ぶおおおー。
と、法螺貝が高らかに鳴り、茶色でひしめきあった丘が動き出す。否、あれは狸の大群だ。
大群かつ大軍の進撃。
立ち塞がるように突如として現れたのは――神と妖狐だった。
「たぬ、狸兵団そのたぬ六! 止まれ止まれーぃたぬ!」
「「「きゅっ!」」」
氷の光輪を頭に浮かべた神、金の耳と尻尾をはたりとさせる妖狐の姿に進撃を止める狸兵団その六。
「猟兵に喧嘩かぁ。うんうん、元気がいいのはいい事だと思うよ」
頷きつつ、友好的な声色で狸たちへ近付き話しかけるスミス・ガランティア(春望む氷雪のおうさま・f17217)。
「だけどそのために花を荒らすのは……我ちょっと、いやかなり許せないかな?」
にっこりとスミス。ひらりと軽く手を振れば、過ぎ去った冬が戻ってきたかのような冷気。
「折角花見に来てる人達が悲しむじゃない?」
「!! 冷たぬっ!?」
氷結の世界が広がり、周囲の狸たちの装備がカチンコチンに凍った。ぴぎゃあと慌てる狸兵団その六。
「ぬ、脱げ――ないたぬっ。皮がはげちゃうたぬ!」
無理矢理脱いだらそれこそ皮剥ぎという自傷行為。持った武器も当然氷と化していて、ぶんぶんと振るもどうしようもない。
おててと武器がくっついたよ。
「このままではつめたさにしんでしまぅたぬ。いぬじにはごめんたぬ」
「たぬぬぬっ、こうなれば突撃たぬ――! 我等、氷塊となりたぬ!!」
じゃあ飛ぶ氷になるわ、と狸たちが跳躍し転がっていこうとすれば、可愛らしい戦巫女装束の少女、葛乃葉・やすな(子供好きの妖狐・f14023)が立ち塞がった。
数多の狐火を放ち、先頭の狸にぶつかったフォックスファイアはバッと一気に散開し後続の狸たちを襲っていく。
「喧嘩を売られたというから来たが、わしは女羅刹など、どうでも良いのじゃ」
赤の瞳が狸たちを見据える――彼女の狙いは狸をボコすこと。
そう、これは狐と狸の戦いでもあるのだ。売られた喧嘩はきっちりと買う。
「相手が狸なら負けられぬ」
「た、たぬーーー!!!」
装備が氷化した狸が、ふわっふわな毛を焼かれ肉も焼け、狸兵団その六は撃破されていった。
氷は溶けることなく、しかしその身が焼けるという惨状に狸兵団は震えあがった。
「ぷぎゃあ、狐っ子がいるたぬ!」
「狐狸合戦の雪辱を晴らすたぬー」
狂乱野鉄砲が次々と放たれるも、やすなが即座に鉄扇を振れば衝撃波が巻き起こった。
「甘いわ!」
勢いを殺した弾や矢の回避は容易い。その煽りは狸兵団をも直撃し、吹っ飛ぶ狸たち。
「世間では「狐七化け狸八化け」などと言うておる様じゃが、戦闘では我等狐の方が上じゃということを証明してくれるわ!」
愛用の下駄でざしっと地を穿ち、踏みこんだのち間合いをつめ駆けるやすなが新たな狐火を放っていく。
続く衝撃波にのったそれは鋭く敵眼前へと迫り、攻撃した。
「ぱ、ぱんだぁ……」
何故かいるパンダも巻き添えに。
「後方部隊! 我らが盾になるたぬ! 抜けろたぬーー」
ぶおおおーと法螺貝。
散りゆく狸たちの間を歩むスミスは、ちょこまか動く狸たちを踏み潰さないように……いや、踏み潰してもいいのかと思い直し、踏み歩んだ。
「まあ加減はするけど……基本我、バリバリ凍らせちゃうぞ★」
そう言って突撃陣形を組み始めた後方部隊に氷結の世界を放つ。
「「「冷たぬーー」」」
「動物の姿してる子にこれ使うのは心痛むけどほら、悪い事に天罰って、我ら神様的に普通のことだしね?」
仕方ないよね? と幼子に言い聞かせるように、首を傾げるスミス。
やっぱりにっこりと笑みを向ける彼に、狸はがたがたと震えた。
これは寒いからだろうか、それとも、なんか、あの、容赦ない吹雪レベルの気を受けているからだろうか。
いや比喩じゃねぇ。
相乗して、やすなの衝撃波は冷気を含み刺さる。
「た、たぬ……」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
桐生・明澄
喧嘩を売るって事は実力もそれなりにあるワケだよね。
腕試しに丁度良さそう。
まずは相手の狸を殲滅しないと。
出来れば一対一が良いのだけど、多対一の戦い方になりそうね。
「わたしは桐生明澄。売られた喧嘩を買いに来たよ。腕に覚えのある者はいるかしら?」
どうせ名乗りを上げないだろうけど…。まぁ、いいわ。
「さぁ、死合ましょう」
狸の群れに【礼儀作法】で丁寧なお辞儀をする。
相手が大勢なら速さで翻弄させた方が良さそう。
【ダッシュ】で相手に向かって走りながら【残像】【フェイント】で相手の隙をつき【剣刃一閃】で攻撃。
一撃離脱で一体ずつ丁寧に対処するよ。
相手の攻撃は【武器受け】で弾くよ。
アドリブと連携歓迎
スピレイル・ナトゥア
「私たち猟兵を殺しに来たってことは。殺される覚悟があって桜を荒らしに来たってことでいいんですよね?」
月並みな台詞になってしまいましたが、私の偽らざる本心です
仲間がやられることに恐怖を覚えるような覚悟しかしていないのであれば、あなたがたは私たち猟兵の敵として覚悟不足です
「グラウンドジェイル!」
変に芝桜を荒らされても困りますし、タヌキさんたちを土の檻で拘束して好き勝手できないようにしてしまいましょう
檻のなかのタヌキさんたちをみなさんに攻撃してもらって、タヌキさんが十分に弱ったところで「パニッシュメント!」の言葉を放って、檻ごとタヌキさんたちを押し潰します
「……動物愛護団体から訴えられるでしょうか」
四宮・かごめ
花とはいずれ萎み落ちるもの。なればこそ散らすのは無粋。
四宮かごめ、参る。
まずは遠くから様子を伺う。《視力》
……ふむ。士気は高いが、味方が倒れれば軽挙妄動。その度に数の力と狸囃子で立て直していると見た。実に危うい。
とは申せ時間を与えれば陣形を組まれ一気に押し込まれるは必定。
陣形を組んでいる最中を狙って兵団の横から斬り込み、足を引っ張ってくれる。《目立たない/迷彩/だまし討ち/暗殺》
接近したらなるべく砲手か弓兵を狙って斬りつける。
敵が統率を取り戻したら戦果に関わらず逃走。次の機会をうかがう。三十六計なんとやら。《逃げ足・ダッシュ・早業》
何故パンダが。まぁ獲った所で食えまい。笹でも食べてろでござる。
やや遠く、到着とともに様子を窺うべく身を屈める四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)。
偵察は忍びの仕事ともいえる。
戦働きのための情報収集。
(「……ふむ。士気は高いが、味方が倒れれば軽挙妄動。その度に数の力と狸囃子で立て直していると見た」)
ぶおおおおーと鳴り響く法螺貝の音色を耳にしながら、実に危うい、と判断を下すかごめ。
「とは申せ、時間を与えれば陣形を組まれ一気に押し込まれるは必定」
そう呟き目立たないように、自然に、場に、とけこむかごめ。息を潜め、鼓動を抑え、気配を消し駆けた。
(「喧嘩を売るって事は実力もそれなりにあるワケだよね」)
腕試しに丁度良さそう、と桐生・明澄(駆け出しの剣豪・f17012)はやや目を据えて狸の群れを見た。
「たぬ、猟兵という名の者たぬ!?」
ええ、と頷き応じるは、
「私たち猟兵を殺しに来たってことは――」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)の声は夜を照らす銀月の如く冴え冴えと。
「殺される覚悟があって、桜を荒らしに来たってことでいいんですよね?」
それはスピレイルの偽らざる本心だ。それが、彼女自身月並みな台詞と評していても。
そして明澄もまた凛とした声を上げた。
「わたしは桐生明澄。売られた喧嘩を買いに来たよ。腕に覚えのある者はいるかしら?」
どうせ名乗りを上げないだろうけど――という明澄の視線を感じ取った一狸が声を発した。
「たぬ――ならば狸兵団そのたぬ四、たぬ衛門がお相手つかまつぬ!」
……。
…………。
どこだ。
わらわらといる狸の群れを一瞥しつつ、声の方へ顔を向ける明澄とスピレイル。
「たぬ!」
群れの中から跳躍し、すたりと着地するたぬ衛門。得物は刀。
「さぁ、死合ましょう」
たぬ衛門、そして後ろに控える群れに丁寧なお辞儀を披露する明澄。武士としての礼は、凛とした空気を生み出す。
サムライブレイドの鯉口を切る明澄。
「たぬっ!」
呼気を鋭く吐き、一刀とともに跳躍したたぬ衛門の斬撃を、明澄は抜刀の勢いでいなし弾く。当然たぬ衛門の体も吹っ飛ぶのだが、
「たぬ!」
後方で振られた槍がたぬ衛門の足場となり、再度、弾丸が如くの突撃跳躍を見せた。
「少しは骨があるようですね」
一見、一対一にみせた多対一の武士としては卑怯な狸の戦法を、明澄が呟きながら回避する。
「こちらはお任せ下さい」
たぬ衛門の補助を行った兵団に向けて、精霊の護身用ナイフをややかざすスピレイル――くるりと回す様は儀式の印を描き。
「グラウンドジェイル!」
突如として隆起した丘――土が弾けた。否、それは土精霊だ。土精霊たち線条痕を模すようにうねり狸を囲う。
狸たちを次々と土の檻で拘束し、それを狙撃担当の猟兵たちが攻撃していった。
討たれていく狸兵団その四。
「た、たぬ……! そのたぬ四が……ッ」
「そ、そのたぬ三、鉄砲隊ー、構え!」
がたがたっと震えた狸兵団その三たちが、列をなし、連続射撃の態勢を整えていく――その時、一陣の風が起こった。
「四宮かごめ、参る」
いつの間に接敵していたのか、横手からかごめが腰鉈を振るい斬りこんでいく。
「たぬ!?」
火縄銃が不発に陥り、槊杖を振り叩こうとする狸を腰鉈で斬り飛ばし、空いた片手で苦無を飛ばす。
「やむをえたぬ! 中堅! ――たぬっ!?」
突撃陣形を組み始める狸兵団その三後方真っ只中に飛びこみ、弓兵に狙いをつけて斬り倒すかごめ。
「花とはいずれ萎み落ちるもの。なればこそ散らすのは無粋」
普通の狸よりはやや大きいが、狸は狸。軽く蹴飛ばし場を離脱する。
たぬ衛門を倒した明澄が、敵陣との彼我の距離をつめれば、狸は盾板をかざしていった。
「「「たぬぅぅぅ」」」
「はっ」
呼気を放ち盾板を蹴り台に跳躍した明澄は、狸陣の後ろへと着地する――即応した狸が振り返り槍を振るうも、それは空を叩くだけ――。
「!?」
確かに当たったのにと狸を目を瞠れば、明澄の姿は、残像であったことが分かった。
刹那、真横から横一文字が描かれ狸腹を斬り裂く。衰えない剣勢は盾板を真っ二つにし、開けた視界へと明澄が離脱していく。
中堅から後方の隊伍を切り崩され残った狸兵団その三と四は千々となり孤立していく――慌てる狸。
スピレイルが土の檻で拘束し、放たれる猟兵の攻撃に弱っていく狸たち。
土の檻はまだ途上だ。スピレイルが力ある言葉を放つ。
「パニッシュメント!」
「た、たぬ……ッ!?」
土檻が一気に縮小し土塊となる――当然、中には狸がいた。
狸たちは押し潰されていった。土団子ならぬ狸団子。迸るであろう血も肉も、土が吸収してくれるのが幸いか。
「……動物愛護団体から訴えられるでしょうか」
ふと我に返り呟くスピレイル。
なんか、あの、火打ち石かちかちするレベルの惨状に狸たちは震えあがった。
え。まだしばざくらしばいてねーのに、猟兵おこなの?
え、なにこれこわい。
スピレイルと明澄の戦場から次の戦場へと赴くかごめは、太鼓持ちのパンダと出会った。格好は何やら洋風な鼓舞装備。
「何故パンダが……。まぁ獲った所で食えまい。笹でも食べてろでござる」
「ぱ、ぱんだぁ……」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
琶咲・真琴
【WIZ】
せっかくの綺麗な桜を台無しにするなんて
絶対に許せませんっ!
お祖父ちゃん、お祖母ちゃん
悪い人にお仕置きしに行きますよ!
先手必勝!
地形を利用して
familia pupaで狸さんたちをなぎ払うように楼炎白風で狙い撃ち(スナイパー)です
子狸さんもパンダさんも悪い人を応援するなら
容赦しません
念力で太鼓を叩けないようにした上で
楼炎白風を範囲攻撃でお見舞いさせていただきます
突撃陣形も組ませませんよ
グラップル・衝撃波・鎧無視攻撃を使って
狸さんたちを吹き飛ばしてあげるのです
矢や銃弾の集中砲火は
familia pupaの援護射撃や
不思議Boxを早業で防具改造・オーラ防御で
対抗です
シリン・カービン
これがしばさくら…見事なものです。
この花畑は人の手が入っているのですか。
ならば畑を荒らす害獣は狩らねばなりませんね。
(猟師の本能が疼いて目がキラリ)
タヌキとは見たことの無い獣ですが
この世界では珍しくないのですね。
…どうやって食べるんでしょう?
(猟師の本能が疼いて略)
植物の精霊を宿らせた【スピリット・バインド】を発動。
集中砲火が自分に向いたら投網弾を発射し
急速に伸ばした枝葉で視界を塞いでその場を退避します。
突撃陣形を組むなど狩ってくれと言わんばかり。
【スピリット・バインド】で纏めて捕獲します。
「今日は大猟ですね」
…そう言えば、オブリビオンって食べられましたっけ?
(猟師の本能略)
アドリブ・連携可。
「これがしばさくら……見事なものです」
サムライエンパイアの地に降り立ったシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が目にしたのは下方に広がる薄紅色。
むせ返るような甘い香りは花のものだ。
「この花畑は人の手が入っているのですか」
ならば――と振り返るシリンの瞳が鋭くなり、陽光を弾いた。
「畑を荒らす害獣は狩らねばなりませんね」
鮮やかな薄紅色とは打って変わって、丘の上にはひしめく濃茶――。
「猟兵という名の者があらわれたぬ!」
「たぬたぬ!」
「せっかくの綺麗な桜を台無しにするなんて、絶対に許せませんっ!」
狸兵団の進撃を阻むように、両腕を広げた琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)。
桜色メイド服の裾がふわりと広がり、同調するように片翼の人形たちもゆらりと揺れる。
「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん。悪い人にお仕置きしに行きますよ!」
ひゅうと風が丘を駆けあがってくる――くっと浮上するfamilia pupaが、ふと白く揺らいだ。
「蜃気楼の如く、虚像で惑わせよ――――」
まるで風を呼び寄せるように。
白き炎が虚空に顕現したその瞬間、
「楼炎白風っ!」
真琴の言葉とともに白き炎の突風が次々と狸めがけて放たれ、扇状に展開していくそれはなぎ払っていくが如く。
「た、たぬー!? こりゃいかんたぬ!」
真琴の攻撃に伏せたとある狸が子狸応援団を召喚した。
トン、チン、トン!
軽やかな珍ドンな音が響くのを皮切りに、賑やかな太鼓の音色が流れ出す。
ぽんぽこぽんぽこ、ぱんぱんぱんだぁと狸兵団を応援する歌声も一緒に。
武器と防具が強化され士気も上がった狸兵団が、再び法螺貝を高らかに鳴り響かせた。
ぶおおおー、ぶおおおー。
「子狸さんもパンダさんも、悪い人を応援するなら――容赦しません」
真琴がサイキックエナジーを集めた指先でパンダを差せば、その念力により太鼓のばちがすっぽ抜け、ひゅっと飛んだ。
「ぱ、ぱんだ!?」
突然の空振りにパンダが戸惑い、とてとてと太鼓ばちを拾いに駆けて行く。
「あっ、どこ行くたぬ!」
「ぱんだぁ」
駆けて行ったパンダと子狸――その末路は、のみこんだ楼炎白風と真琴だけが知っている。
その間、精霊猟銃で狸兵団を狙い定めるシリン。
「植物の精霊よ、彼奴を縛れ」
放たれた投網弾が急速に枝葉を伸ばしていく。息吹かれた枝葉が広がり狸兵団たちを捕縛する中、白き炎の風が網目をくぐり吹き荒れた。
ばさばさと嵐に揺れる木々――中では狸がシェイクされている。
「ぷ、ぷぎゃあああああ」
「たぬぅぅぅぅ!!」
「……あれが、タヌキの鳴き声ですか」
「え、ええっと? 違うと思います、けど、鳴き声は――ん、たぬたぬです?」
シリンの呟きに、狸ってどんな鳴き声でしたっけ……と考える真琴。
新たにスピリット・バインドを撃ち、楼炎白風に飛ばされぬよう伏せている狸たちを次々に捕獲していくシリン。
「タヌキとは見たことの無い獣ですが、この世界では珍しくないのですね」
もっふりとした毛にまあるい体。初めて狸を目にするシリンが呟く――その瞳は好奇心でほのかに輝き、きっと、彼女は可愛いとか愛らしいとか、そう思っているのだろう――。
「……どうやって食べるんでしょう?」
違った。好奇心、猟師の本能によるものだ。
キラリと輝く緑の瞳は、猟師の本能が疼いているから。
狸といえば、身近な言葉は、たぬきうどん――は、どうしてたぬきうどんって言うんだろう。
こほんと咳払いした真琴は、メイドさんよろしく「たぬき汁だと思います」と応じた。
「成程。その調理法なら何となく、分かります」
獣を煮込む鍋は、世界を越える。
そんな会話を二人がしていると、捕縛された仲間を盾に、匍匐前進して少しずつ前に出てくる狸兵団。
「こ、ここまで来れば……ったぬ! 狸兵団突撃よぉぉーーいたぬ!」
「組ませません!」
片翼の少年少女の人形が狸兵団を挟撃し、対が合流すれば衝撃波が放たれて狸が千々にころんころんと丘を転がり落ちていく。
その横手からスピリット・バインドで捕獲していくシリン。
「今日は大猟ですね」
植物の檻に捕らわれた狸たちを見て、どこかほくほくとした様子でシリンは言うのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
浅沼・灯人
たぬき……たぬきじゃねぇか。
そうかたぬ……えっ、パンダ?
パンダもいるかぁ。
とりあえずは、芝桜に近寄らせねぇようにすっか。
いつもなら炎一息で……ってやるとこだが、流石に今回はやめておこう。
ドラゴニアン・チェインで爆破しつつ、近寄らせねぇようオーラの鎖で繋ぐ。
複数体相手だとちっと面倒だが、こちとら竜なんだ。
たぬき数匹程度に引き摺られるような柔な身体はしてねぇよ。
花畑狙うような素振りがあったらそいつを優先。
攻撃させちまいそうなら、俺の身体を盾にしよう。
別に痛みに耐性なんてねぇけど、庇えるもんは庇うさ。
この花を、楽しみにしてるやつらがいるんだ。
早々散らせはしねぇ。荒らしたらその分お前らを転がしてやる。
愛久山・清綱
俺も半ば好奇心で猟兵になった身だからな……ある意味奴等と同類か。
しかし、悪事を見逃すわけにはいかん。覚悟して頂こう。
■闘
大なぎなたで戦おう。相手が軍団なら、長柄武器が大いに役立つ筈。
敵の攻撃を【野生の勘】で予測し、【残像】を用いた【見切り】による回避、或いは【武器受け】で攻撃を受け流しつつ軍団に接近する。
軍団との間合いを詰めたら獣の【殺気】を放ち、【怪力】を用いた【鎧無視攻撃】含めの【剣刃一閃】で狸達を【なぎ払い】、隊伍を崩すと同時に【恐怖を与える】。
『仲間を討たれる恐怖』と『おぞましい獣と対峙した恐怖』
これらを同時に浴びせ、狸軍団の戦意を挫いてみせるのだ。
※アドリブ・連携歓迎です
ぶおおおー。
ぶおおおー、と法螺貝の音色が鳴り響く。がしゃがしゃと武者装備の狸たちがひしめく丘は濃茶に染まっていて、ある意味壮観だ。
「たぬき……たぬきじゃねぇか。そうかたぬ――」
そんな光景を目にした浅沼・灯人(ささくれ・f00902)、半ばにして言葉を切る。
まじまじと見る狸の群れ。その中に一際輝く(?)白い毛は洋風鼓舞の装いをした、パンダ。
「ぱんだぱんだぁ」
「えっ、パンダ? ……パンダもいるのかぁ」
「ぱんだぁ」
「……パンダの鳴き声って、あんなんだったか?」
「ぱん、ぱん、ぱんだぁ」
トントンと太鼓を叩き鳴くパンダ。
「俺も半ば好奇心で猟兵になった身だからな……ある意味奴等と同類か」
何かを思い返すような表情で愛久山・清綱(もののふ混合童子・f16956)が呟いた時、あっ、という顔をする狸たち。
「そこな怪しい者ども! たぬ! 貴様ら、猟兵という名の者たぬ!?」
「しばざくらしばく前に来たぬ!」
「釣ったぬどー!!」
「……いつもなら炎一息で……ってやるとこだが、流石に今回はやめておこう」
振り返れば広がる薄紅の花たち。わあああと喝采を上げた狸たちめがけてドラゴンオーラを灯人は放った。
「!? たぬーーー!」
「たぬ助ぇぇぇ!?」
狸兵団の一体に命中し狸が爆破されれば、周囲の狸が驚き仰け反る。
「怯むなたぬ! 奴らを釣った以上勝ったも同然たぬ!」
がしゃがしゃと槍の穂先を向けてくる狸兵団――その八。
だが、灯人が腕を振るえば、当然オーラの鎖で繋がったたぬ助がぶん回されることになり、狸兵団がなぎ払われていく。
「た、たぬ助ぇぇぇぇ!」
同時にドラゴンオーラを次々に放っていく灯人。ばんっと爆破が連なり、狸たちが吹っ飛ぶが、多頭のお散歩よろしくオーラの鎖で繋がった狸たちは虚空で仰け反りぼたっと地面に落ちた。
「……っく。たぬ郎、たぬ吉、たぬ三郎、たぬ五郎!」
「「「応!」」」
一斉にばらばらに散開しようとする彼らの動きにオーラの鎖が伸びていく――だが、
「こちとら竜なんだ。たぬき数匹程度に引き摺られるような、柔な身体はしてねぇよ」
「ぷぎゃあああ」
呆気なく引き戻される狸たち。
「ええい、狸兵団そのたぬ七! 前進たぬー!」
多頭のお散歩の有様となった兵団を飛び越えて迫る狸兵団その七。
そこへ立ちはだかるは腰を据えた清綱。大なぎなたの長柄を幅広く持ち、振るうとともに遠心を利用し鋭く斬りこむ。
「悪事を見逃すわけにはいかん。覚悟して頂こう」
清綱が殺気を放てば、狸はぶわっと逆毛立つ。
「たぬ之進!」
「応!」
わらわらとした濃茶の光景の中では、声の発生源は追えない――しかし、その狸は直ぐに現われた。
仲間の振るった槍を踏切に、弾丸が如く清綱に迫ったたぬ之進が刀を振るえば、剣戟の音。
しかし加重はかかれど均衡ではない。明らかに軽いたぬ之進の一刀に鍔迫り合いなど起こるはずもなく、清綱がいなせばたぬ之進もまた飛んでいった。本塁打。
斬り上げるように上段へ振られた大なぎなたを逆手から順手へ素早く持ち替えた清綱は、そのまま剣刃一閃を放つ。
その鋭き筋を彩る一拍遅れの血飛沫。
「……ッ」
劇画調に険しくなる狸の顔。
「盾板ぬーっ」
盾板による防御が築かれるも、大なぎなたが振るわれれば紙切れ同然だ。あっという間に清綱に隊伍を崩され、殲滅間際となる狸兵団その七。
その惨状を見た隣の狸兵団その八は震えあがる――逃げようとしてもオーラの鎖がそれを阻んだ。
「――この花を、楽しみにしてるやつらがいるんだ」
灯人が眼光鋭く、告げる。
ぶわああっと毛が立ち、もっふもふになる狸たち。うるうるとした目で灯人を見上げた。
「た、たぬ……」
「早々散らせはしねぇ。荒らしたらその分お前らを転がしてやる」
「釣果よき、されどえものは、鬼のよう。
散っていくのは我らが命たぬか――」
句に続き、とある狸が悟ったように言う。
「たぬ蔵、誰がうまいこと言えと……たぬ」
釣った魚(猟兵)は怖かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
サギリ・スズノネ
合プレ【刀二振り】
叢雲・源次(f14403)さんと一緒に行動
(※サギリ:サムライエンパイア出身)
今日はサギリ、源次お兄さんをサムライエンパイアにご案内しに来たのですよ!
ちょうど芝桜が綺麗な季節ですからー、お兄さんに見せたいのです!
そうしたら、狸……!
芝桜を荒そうなんて、ふてぇ輩なのですよ!
源次お兄さん、一緒にぶっ飛ばしてやりましょうです!
●戦闘
【SPD】選択
少し距離を取って【火ノ神楽】で火の鈴を複数出して、狸を攻撃するですよ!
飛び道具を持った狸を優先的に狙います。
火の鈴の【残像】を見せれば、ちょっとは当たりやすくなるですかね?
でも場所が場所だけに、火が周囲に延焼しないように注意するですよ!
叢雲・源次
合プレ【刀二振り】
すまないなサギリ、何分サムライエンパイアは初めてでな…案内役を受けてくれて助かる。頼りにさせてもらおう。
芝桜…そうか、UDCアースの日本の四季と似通っているのだな。
そう思うと、存外遠いようで近い世界なのかもしれん。
うん?狸…狸か…UDCに比べれば可愛らしいものだが、その侵略行為は見過ごせんな。
了解した、サギリ・スズノネ。迎撃行動に移行する。
【戦闘】SPD
兵は神速を尊ぶ。その気勢、横合いから絶たせて貰う。
【ダッシュ】で陣形の横から突っ込み【先制攻撃】で『電磁抜刀』
陣形をかきみだしつつ【見切り】【早業】で距離をとりサギリが攻撃をあてやすいように陽動する
「ここがサムライエンパイアか」
叢雲・源次(炎獄機関・f14403)が言う。
長閑な、という表現が似合っている――自然の風景。
この時期のサムライエンパイアは花盛りで、少し足をのばせば色鮮やかな景色を見ることが出来る。
初めての世界をその目に映す源次。彼を案内するのは、サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう。・f14676)だ。
「ちょうど芝桜が綺麗な季節ですからー、お兄さんに見せたかったのです!」
薄紅色の花々を背景に、両腕を広げて言った彼女の声は軽く弾む鈴の音のよう。ぴょんと跳ねれば簪についた鈴が綺麗な音色を奏でた。
「芝桜……そうか、UDCアースの日本の四季と似通っているのだな」
UDCアースも今は春真っ盛り。
「そう思うと、存外遠いようで近い世界なのかもしれん」
りんりんと簪の音を鳴らし歩み軽やかなサギリを追えば、源次の視界に入ってくる無粋な濃茶――狸兵団。
止まったサギリは、むうっと狸兵団を見た。
「たぬ!?」
売られた喧嘩は買うぜ的に気付いた狸が歩みを止め、サギリを睨みつけた。
ばちばちばちと火花が散るような視線のやりとり。
「芝桜を荒そうなんて、ふてぇ輩なのですよ!
源次お兄さん、一緒にぶっ飛ばしてやりましょうです!」
「うん? ――狸……狸か……」
源次は、もふりとして丸い狸を見て、呟く。瞬き一つで認識を改めて。
「……UDCに比べれば可愛らしいものだが、その侵略行為は見過ごせんな。
――了解した、サギリ・スズノネ。迎撃行動に移行する」
進撃する狸兵団、サギリを睨み止まった一体の狸。
「ぬしら、猟兵という名の者かたぬ!?」
狸に問いかけに応じるは、鈴の音――否、源次の高速の居合であった。
「……その間合い……戴くぞ」
彼我の距離を瞬時に消した電磁抜刀。初手は件の狸を斬り、そのまま進撃する狸兵団を薙ぐ。
空気を震わす電磁が鋭い軌道を描いた。
「たぬーーっ!?」
突撃陣形を組んだ狸たちが一気に蹴散らされた。
どんなに散り、跳ねようとも、源次の左目に搭載されたアナライザーは、狸一体一体を的確に捉えた。
りん。
神楽鈴を手にしたサギリが一振れば、連なる鈴の音は清涼な空気を生む。
舞う火ノ神楽、神楽鈴の音色に応じ数多の火の鈴が放たれた。
しゃりりりりり――音色の強弱に伴い火の鈴は軌道を変え狸兵団を攻撃していく。
「たぬっ!?」
「ひっ、火だたぬ……!」
その時、賑やかな太鼓の音が響き渡り、狸兵団を鼓舞する子狸応援団が現われた。
「「「負けるな負けるなたぬたぬおー」」」
トントンと囃すはパンダの太鼓。トントン、次いでカツカツカチカチ。
「「「カチカチ、カチカチッ、あの惨劇ィ~」」」
「ぴぎゃあああああ」
カチカチと火打石の音真似が凄く上手な応援団。誘導したパンダはわりと黒い。
仲間がやられ、鈴火が飛んできて、さらに恐怖が増大した狸兵団が射撃を行なおうと槊杖をしゃこしゃこと火縄銃に突っ込む最中――弾けた。
「たぬ!? 暴発っ」
慌てて火縄銃を放る狸だが、特に何ともない。
「…………たぬ?」
――その隙を、源次が見過ごすはずもなく一刀のもと斬り伏せた。
「また暴発たぬ!?」
次々と火縄銃がはじけ、慌てる狸たち。しかしそれは、サギリが見せる火の鈴の残像だ。
刹那的に大きく膨張してみせ、ひゅっと空を燕返す火の鈴が狸兵団に降り注いでいく。
狸兵団の悲鳴。
その間、駆ける源次が突撃しようとする次なる集団を見定め、攻撃しながら外周を狭めていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
篝・倫太郎
気が抜ける鳴き声してっけども
気ぃ抜いてっと抜かれて芝桜に被害出るみてーだからなぁ
ま、いっちょ気合い入れて行きますか、っと……
数には数って言うしな
エレクトロレギオン使用
俺や同行者を抜いた狸が居たり応援団を召喚されたら
召喚した機械兵器で攻撃対応
芝桜には近付けさせねぇし応援なんざさせねぇぜ?
俺自身は華焔刀で先制攻撃からのなぎ払い
刃を返して2回攻撃の範囲攻撃
突撃にはフェイント交えて回避からのなぎ払い
つーか……ビビり入ってパニくるんなら、止めりゃいーのによ……
森、じゃねぇ……骸の海に還んな?
たぬたぬ、ぱん(だ)
補足
たぬたぬはとっとと殲滅させて
姫サンと戦いたい
性別はさておき、種族と獲物が被ってんですけど?
花狩・アシエト
可愛いんだけどなんかこう…
挑発で芝桜狙うとか、腹黒いんだよなぁ…
うわその目あざとい
俺には効かないからな
もふりたいなんて思ってないから!パンダとか!
可愛いなんて!
紅椿…はダメだから、界刀閃牙で攻撃してくかー
「右の」か「左の」武器で戦うぞー
一体ずつ確実に
「第六感」で芝桜を狙いに行こうとしたやつから倒す
おりゃー!
「二回攻撃」で確実に倒す
「学習力」で芝桜を狙うような動きをするたぬきをチェックだ!
たぬきって死んだふりするんだよなー
手で撫で撫でして確認しよ。けしてもふりたいわけでは
くっ生きてた!あざとい!
アドリブ、共闘歓迎
狸は可愛い。
寒冷地に限らず、一見ふわふわとした毛。丸っこい体からひゅっとのびる四脚。
おてては小さく、指から爪の形も可愛い。
「可愛いんだけどなんかこう……」
花狩・アシエト(アジ・ダハーカ・f16490)は目を眇めた。その視線の先には、鋭鋭応と士気をあげる狸兵団。
「目標! しばざくらたぬ!」
「「「しばくたぬ!」」」
「……挑発で芝桜狙うとか、腹黒いんだよなぁ……」
と、そう呟けば、一体の狸がハッとして口を開いた。
「む、貴様、猟兵という名の者たぬな!?」
くるっとした愛らしい黒の瞳。四つ脚で駆けてきた狸は、おすわりして彼を見上げる。
――のだが、アシエトはやや仰け反った。
「うわその目あざとい……俺には効かないからな」
言いつつ、しっかりと注視している。
「行くぞたぬ! 突撃ぃぃ」
「たぬ~~~」
丘にひしめく濃茶の大移動。たぬたぬと鳴き声はあちこちから上がっている。
「気が抜ける鳴き声してっけども、気ぃ抜いてっと抜かれて芝桜に被害出るみてーだからなぁ」
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が言う。
いつの間にか落ちていた気合いを拾い上げつつ、丸めてぽんぽんと叩いた。心の中で。
「ま、いっちょ気合い入れて行きますか、っと……」
ぽんぽんと落ちないようしっかりと固めて持って。
小型の戦闘用機械兵器を虚空に召喚し、狸一体の挙動を見逃さぬとばかりに捉えていく。
自身は華焔刀・凪を手に跳躍した。
その着地点は狸兵団のど真ん中。普通の狸よりやや大きめの狸だが、跳躍すれば軽々と越えられる――。
着地の動作とともに長柄をなぎ払えば黒の軌跡に踊る焔色。されど刃筋は鋭く、狸の血飛沫を生み出す。下段、途中やや上へと払われたそれは即座に刃が返され、さらなる一刀。
「たぬぅ!?」
「あれっ、こっちにも猟兵という名の者!?」
「しばく前にきたぬ!」
遠心にのる凪は止まらない。――止める必要も無い、逆手順手と巧みな柄捌きを見せる倫太郎。
「やべ、ガチたぬ!!」
「狸兵団そのたぬイチ! 散開っ!」
ばばばばっと飛び退く狸たち。パンダは転がる。
散開する狸たちを目で追うアシエト。倫太郎の機械兵器が張りつき追うのを見て、
「紅椿……はダメだな」
そう言って、右の刀、左の剣を抜刀し、芝桜の方へと向かった一体の狸に狙いをつける。
「おりゃー!」
叩き伏せるように右の刀で斬り払ったアシエトは、更なる追撃。剣刃が狸を貫き、剣身のルーン文字が刹那的に肉へと沈む。
一体、一体を確実に。
「た、たぬぅ……」
斬り飛ばされた狸がくるりと回り、ばたっと地面に倒れた。
「たぬ!? たぬ太郎ー!?」
「呼んだか?」
悲劇的な悲鳴をあげた狸――たぬ助に反応したのは倫太郎であった。ついでに長柄で胴を突けば、ぐふぅと狸は飛んでいった。機械兵器がトドメをさす。
「たぬきって死んだふりするんだよなー」
そう言ったアシエトはひゅっと刀をおさめ、左の剣は持ったまま、屈み右手をのばす。
(「撫で撫でして確認しよ。けしてもふりたいわけでは――」)
もふりたいわけではない。
これは、確認だ。
しかし、一度触れればそのもふもふ具合に、手は勝手にもふもふしてしまう。
右手は、アシエトとは別のそんざいになってしまった。
もふもふ。
「……」
くったりとして動かないたぬ太郎。
その時、トントンと太鼓を叩くパンダが、太鼓のばちを端の方でカツカツと打つ。カツカツ、カチカチ。
「「「カツカツ、カチカチ」」」
子狸応援団の鼓舞音と歌。
「「「カッチカチ~」」」
めっちゃ火打石の音だった。上手い。たぬ太郎は飛び起きてとても凄い勢いで転がる。
「ぷぎゃああああああああ」
「くっ生きてた! あざとい!」
びくっとしたアシエト。剣でとどめをさす。
「つーか……ビビり入ってパニくるんなら、止めりゃいーのによ……」
斬りこむ倫太郎が黒い部分の多いパンダも片付けていく。
「ぱ、ぱんだぁ!?」
わりと見逃されていたパンダ。まさかの攻撃にびっくり。
「森、じゃねぇ……骸の海に還んな? ――たぬたぬ、ぱん」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と一緒に行動】
今日の相手はタヌキですか
そういえばアヤネさん
タヌキは日本とか東の限られた地域にしか生息してないから
欧米ではかなり珍しいって本当なんですか?
ていうかなんかパンダらしきのもいますね…何故
戦闘では心を鬼にして花髑髏で苦しませることなく一瞬で…
はうあっ!子狸ィィィ!!
やばいやばい
私、今日からこの子達のママになりますぅ!
(子狸達をヨシヨシ)
…と子狸の魅了にかかりますがアヤネさんの声で正気を取り戻します
すみません、取り乱しました
猟兵としての務めを果たしますね
後は
ごめんね、私は猟兵なの!
とタヌキ達を花髑髏で斬り伏せていきます
前にもこんなことがあったような…
まぁいっか
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴ(f00669)と一緒】
タヌキの姿はかわいいけど
今回の相手は胡散臭いネ
タヌキは極東にしか分布しないから
いない国からすれば珍しいそうだ
ある国の動物園ではパンダ並みの待遇を受けてるって
そういえばパンダ?!
なぜさり気なく混じってるの?
謎だ
太鼓叩いているだけで戦力になっていないみたいだし…
敵の数が多いから、今回はライフルは無し
銃で十分だろう
残弾気にしないで連射するよ
パンダ混じりの狸囃子には優先的にすぐ対応
強化系は甘く見てると痛い目に会うからネ
ってー、ソヨゴ!
かわいい姿にだまされてはダメ!?
体勢を立て直して
蹴散らしに行こうか
トントン、ドンドン、と軽やかな鼓舞の音色。
「そういえばアヤネさん」
ちょっぴり身を屈め、アヤネを見上げるような姿勢で問う城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。赤紐で括った一房が揺らいだ。
「タヌキは日本とか東の限られた地域にしか生息してないから、欧米ではかなり珍しいって、本当なんですか?」
アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)はこくりと頷く。
「タヌキは極東にしか分布しないから、いない国からすれば珍しいそうだ」
前に広がる濃茶ひしめく光景をざっと見て、アヤネは言葉を続ける。
「ある国の動物園ではパンダ並みの待遇を受けてる、って――」
言葉半ば、ぴたっと止まるアヤネ。
あれ? と思って冬青はその視線を追えば、狸に混じる白。いや、白黒。
「ていうかなんかパンダらしきのもいますね……」
「パンダ?! なぜさり気なく混じってるの?」
狐狸合戦の最中、狸兵団が滅したのはひっそり(?)混じったパンダの暗躍によるものだ、とかいろいろ噂はあるが――真相は、はて。
「ぱん、ぱん、ぱんだぁ」
トントンと太鼓を叩く洋風鼓舞兵姿のパンダは、気になりだしたら怪しい奴にしか見えない。
可愛い、可愛いが狸どもは成体だ。
冬青は冷静に、狸兵団を見据えた。そして花髑髏の鯉口を切る。
「まあ、心を鬼にして花髑髏で苦しませることなく一瞬で……」
「「「えい、えい」」」
「「「お~~」」」
太鼓の鼓舞のあとは士気をあげる声――ちまい子狸。
猟兵たちの攻撃に召喚された子狸たちだ。
「…………」
切られた鯉口が落ち、元に戻る。
「「「えいえい、お~~」」」
「はうあっ! 子狸ィィィ!! やばい……ッ」
やばい、とまた繰り返す冬青の語彙力は消失していた。
ずしゃあと膝をつき、子狸たちをよしよしする冬青。ちまい子狸は驚いて固まった。驚いて、くったりとなる。
「私、今日からこの子達のママになりますぅ!」
くったりとした子狸を抱え、冬青が宣言した。
「ってー、ソヨゴ! かわいい姿にだまされてはダメ!? それは死んだふりだよ!?」
銃を構えてアヤネが言えば、きょとんとした冬青の手から転がり落ちるようにして逃げていく子狸。
そしてハッとする。
なんて、あざとい。狸。
「狸は死んだふりをするからネ。油断は禁物。――……パンダはどうだったかな」
パンダ。タイヤを背景に笹食べてる姿が、ぱっと思い描かれる。
でもあれは熊だ。いかに白黒で可愛かろうが、熊だ。
「すみません、取り乱しました。猟兵としての務めを果たしますね!」
改めて花髑髏を抜刀し、狸兵団へ接敵する冬青。
そして容赦ない斬撃を繰り出した。
「ごめんね、私は猟兵なの!」
もふもふとしたまぁるい敵の体を斬りつけ言う冬青。
「……そうだネ。猟兵だもの。仕方ないネ」
うんうんと頷くアヤネ――前にもこんなことがあったネと、懐かしげに思い出しながら記憶消去銃を最大出力にして狸兵団を撃つ。
一見、ひしめきあい、わらわらと蠢く濃茶だが、電脳世界を展開させたアヤネは的確に一体を捉え撃ち抜く。
「たぬーーっっ!?」
的確な射撃は、狸の体を浮かせた。衝撃に転がる狸を冬青がとどめをさす――その連携速度は高く、次々と、狸たちを倒していくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
木元・杏
【かんさつにっき】
しばざくらをしばくたぬへー(狸兵団)しばく
陣形作るのは大変(こくこく)
大変な事は無理しなくていいって、おとうさん言ってた
たぬへー達が陣形を作り始めたら鎌鼬
フェイント入れつつ二回攻撃でたぬへー達を撹乱して
動きを乱れさせてくの
うさみみメイドさん(人形)もお手伝いお願い
たぬへー達の陣に突撃させて。
威力より陣を翻弄させる事、優先
うりゃって目潰しもいいね
どかーんは、まつりん(祭莉)と小太刀に任…
(なんか知らないおじさんいた)
たぬへーの攻撃は見切って避ける
でも後ろの芝桜に当たるのはだめ
その時は避けずに受け止めて
勝利のうた?
えいえいおー……
(おじさんまじってる)
(まつりんのうしろに隠れる)
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
しば漬け食べたい…いや、何でもないわ(目逸らし
売られた喧嘩は買わなきゃね
合戦がお望みなら応えてあげようじゃないの
ニヤリと笑い、サモニング・ガイスト!
鎧武者の霊(お調子者でノリがいい)を召喚
はいはいオジサンお仕事よ
後でお茶とお団子お供えしてあげるから、頑張ってよね!
杏のうさみみメイドさん、どんどん狂暴化していくわね(汗
その内ビームでも出すんじゃないの
ぱんだ可愛い♪
祭莉んも可愛い♪
とかやってる場合じゃなかった戦わないと
いざ、尋常に勝負!
歴戦の武者の様に片時雨を手に切り結ぶ
こらオッサン!子狸に混ざって遊んでるんじゃないの!
真面目に働けぇ!
あ、歌…(笑顔になり
ありがとね
※アドリブ歓迎
木元・祭莉
【かんさつにっき】でー!
芝桜、キレイだねー♪
これ台無しになったら悲しいよね?
……茶店も台無しになったら……(ぷるぷる)
頑張る!(ふんす)
高いとこから、全体を見て……
たぬきだー!
白黒のたぬき……ぱんだ?
………。(間近で見たくてうずうず)
じんけい?
……えーと。突っ込んでいい?
うん! そんじゃ行ってきまーす!(ウサ耳メイドさん&おじさんと一緒に)
「野生の勘」で、手薄そうなところに突撃ー!(楽しそう)
「グラップル」で「武器落とし」「鎧砕き」を織り混ぜながら、狸陣を駆け回るよー♪
アンちゃんもコダちゃんも、芝桜も、怪我してない?
ん、それじゃ最後に、母ちゃん直伝の勝利の歌を高らかにー♪(「パフォーマンス」)
サムライエンパイア、日向の国に立った子供たちが目にしたのものは下方に広がる薄紅色。
むせ返るような花の香りは甘く、時折吹く風がそれらをさらっていく。
「芝桜、キレイだねー♪」
丘の上に立ち、木元・祭莉(花咲か子狼・f16554)が両腕を広げた。
その腕におさまらない広い広い花景色。
「これ台無しになったら悲しいよね? ……茶店も台無しになったら……」
お花見どころではないし、美味しいお茶もお菓子もなくなってしまう。祭莉はぷるぷると震え、頑張る! と拳を作った。
薄紅広がる景色のなかでより濃い紅色を見つつ、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)はぽそりと呟く――。
「しば漬け食べたい……」
「しば、づけ?」
小太刀の呟きが聞こえ、彼女をじいっと金の瞳で見上げるは木元・杏(微睡み兎・f16565)。人形のうさみみメイドさんの耳が、そよぐ風にゆらゆら。
しば。しば。しば、って言葉はたくさんの意味を持つ。
「しばざくらをしばくたぬへー、しばく」
杏の言葉に、ふと小太刀の頭に思い描かれたのは、赤紫蘇にくるくる巻かれた狸の姿。
「しばざくらをしばくたぬへーをしばいてしば漬けに……」
……いや、何でもないわ、と小太刀がそっと目を逸らせば次に視界に入ったのは、丘にひしめく濃茶の群れ。
「たぬき、いっぱいだー!
ゆみ、かたな、やり、あ、盾板もある」
と、祭莉。小太刀も杏も群れの動きをじいっと見つめた。
なにやら白黒のたぬきもいて、気になった祭莉の尻尾が振り動く。
ぶおおおー、ぶおおー、と法螺貝が高らかに鳴り進撃をはじめていくところ。
無造作に進撃を始める隊、後方、突撃すべしと組み始める隊。
「陣形つくるのは大変。
大変なことは無理しなくていいって、おとうさん言ってた」
可愛い子には旅させろとばかりに与えた心得は多いのだろうか。杏はすらすらとその時のことを言ってみせた。
「じんけい?」
祭莉、きょとん。難しいことを言う双子の妹と目を合わせ――つつも、うずうずしている。
「……えーと。突っ込んでいい?」
兄の言葉に、こくこくと頷く杏。同時に、糸で繰られるうさみみメイドさんが動きだす。
小太刀もにっこりと笑顔で、
「売られた喧嘩は買わなきゃね。――合戦がお望みなら応えてあげようじゃないの」
言葉後半はニヤリと笑い、サモニング・ガイストで鎧武者の霊を召喚した。
『参上つかまつり候――』
「はいはい、オジサンお仕事よ」
ぱんと小太刀が手を打てば、気心知れた仲という風に姿勢を崩す鎧武者の霊。
「後でお茶とお団子お供えしてあげるから、頑張ってよね!」
「そんじゃ行ってきまーす!」
『行ってきまぁぁす!』
祭莉の声色に応じて鎧武者の霊も共に飛んでいく。おっさんの子供な声色はちょっと気持ち悪かった。
そしてこの流れに、瞬きもせず凍り付いたように止まっていた杏もまた、うさみみメイドを動かした。
隊を組もうとする狸、移動中の場は手薄だ。
そこへ突撃した祭莉がアンバーナックルで狸をふっ飛ばし、次の狸が持つ火縄銃、槍めがけて拳を繰り出した。
主な目的は、撹乱だ。
盾板を踏み台に跳躍し、楽しげに駆けまわる。
「たぬっ!?」
「おいなんか犬が入ってきたぬ! 追い払たぬぅぅぅ!?」
狸、うさみみメイドさんに目潰されて語尾が悲鳴となり、転がる。
弧を描き自在に動く糸はそのままに、杏は向きを変え突撃しようとする狸兵団へと鎌鼬を放った。
うさ印の護身刀から放たれる風刃。圧みあるそれは狸の隊伍を切り崩し、そして跳躍したうさみみメイドさんが突っこんでいった。
「杏のうさみみメイドさん、どんどん狂暴化していくわね……。
その内ビームでも出すんじゃないの?」
小太刀が呟きつつ、次に祭莉を目で追う。
「あっ、ぱんだ!」
気になっていた白黒たぬき。もといパンダを見つけた祭莉は取っ組み合いを仕掛けた。
「ぱ、ぱんだぁぁ!!!」
太鼓のばちを振り、抵抗するパンダ。転がっていく白黒赤茶。
そんな長閑(?)な光景に、小太刀は和む。
「ぱんだ可愛い♪ 祭莉んも可愛い♪ ――とかやってる場合じゃなかった! 戦わないと」
ハッとした表情を見せ、古びた日本刀――片時雨を抜き放てば、陽を弾いた刀身が刹那的に耀く。
「いざ、尋常に勝負!」
「たぬ!」
即応する一体の狸、たぬ三郎が上段から振られたそれを、抜いた刀で受け止める。
が、押し切られ斬り飛ばされたたぬ三郎。
「こりゃいかんたぬ」
「応援団をよぶたぬ!」
召喚されたパンダ混じりの子狸応援団は、トン、トンと太鼓を叩き、端でカツカツカチカチさせる。
そして一緒に高らかに応援歌を奏で始める。
「「「カッチカチ~♪」」」
それは火打石の声真似であった。
「ぷぎゃああああ」
「燃えたくないたぬぅぅ」
それぞれが叫び自身を鼓舞し、音は武器や防具を強化する。
『カッチカチ~、……? カッチカチ~』
鎧武者の霊、同調してみるも上手く声色が変えられず、もう一回。
「「 『カッチカチ~』 」」
「こらオッサン! 子狸に混ざって遊んでるんじゃないの! 真面目に働けぇ!」
小太刀が鋭く、一刀とともに突っ込む。どんどん流れが逸れていきそうな時のツッコミはもはや宝である。
おじさんの野太い歌声にびくびくしていた杏は、小太刀の声にちょっと安堵した。
猟兵たちの攻撃により討伐されていく狸兵団。
ばたばたと狸が倒れ、遠くへ目をやれば他の猟兵たちもまた狸しばきが終わろうとしているところ。
「アンちゃんもコダちゃんも、芝桜も、怪我してない?」
祭莉の言葉に、こくこく頷く杏と、ひとつ頷く小太刀。同調するうさみみメイドさん、何故か鎧武者の霊がサムズアップした。
それをじーっと見上げた杏は、そろそろと後退し、祭莉の後ろに身を隠すように。
「ん、それじゃ、母ちゃん直伝の勝利の歌を高らかにー♪」
兄の声に、ぱちぱちと瞬く杏。
――集い花 咲き誇りて 憩う庭 想い溢れ――
風が起こり、花の香りは薄く淡く舞い、されど色濃く残る花の色。
「あ、歌……」
治癒力のある歌声に、小太刀は笑顔を見せる。
これは勝利の歌だ。
くっと拳を握り、三人の少年少女たちはえいえいおーと、空に向かってその腕をのばした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『血花の紅鬼姫『真千代』』
|
POW : 一槍羅刹
自身に【殺気】をまとい、高速移動と【長槍の刺突による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 血花の紅備え
戦闘用の、自身と同じ強さの【紅備えの徒武者】と【紅備えの騎馬武者】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : 血花の紅鬼姫
全身を【過去殺した者達の血】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
●
「た、たぬぅぅ……ぐふう」
狸が転がっている。
死屍累々とした様であったが、一体、また一体と、息絶えたものは骸の海へ還っていくのか、消えていく狸たち。
芝桜をしばかれることを防いだ猟兵たちが安堵の息をつく――間もなかった。
「――参る!」
凛とした声。
その一声だけで、空気は鋭く、冷たく、冴え冴えとした月光の如く張った。
遠く、猟兵は見る。
振られた長柄の先から迸るが如く弧を描く赤。
払いは薙刀の型。
しかし柄の長さは――その間合いは槍の型。
血花の紅鬼姫『真千代』の斬りこみをいなすべく猟兵が手にした武器を振ろうとすれば、巧みに加重させた真千代の長柄は鍔迫り合いを起こす。
そして、
「はっ!」
体術。
穂先へ重みを滑らせた真千代は、石突を跳ね上げるとともに自身も蹴撃を繰り出す。
様子見が下地となる荒く取られた間合いで繰り出された蹴りは軽く、真千代は飛び退いた。
「我が名は真千代」
長刀をとすりと丘に立て。
真千代が言う。
「猟兵たちよ、お相手願おうか」
篝・倫太郎
はン?独特な動きするじゃねぇか……
ちっとばか、楽しくなってきたぜ?
様子見の蹴りは華焔刀の柄で受け流し
巫覡載霊の舞使用
先制攻撃からのなぎ払い
手を返して2回攻撃……はさっきの一戦で見抜かれてんだろ?
でもな、さっきと違ってンだよなぁ!
2回攻撃の際に刃先から衝撃波を飛ばす
さぁ、こいつはどう受け流す?
受け流されたらフェイント入れて
真千代の手元に突きを入れてみっか
武器落とし狙いでよ
腕試しにゃ充分付き合ってやったろ?
気が済んだら、とっとと還んな
ここはお前の居て良い場所じゃねぇ
補足
戦闘を楽しみ出している為
背に浮かぶ羅刹紋をとても熱く感じる
戦闘・戦況が佳境になればなるほど
背の紋は表皮を這うように肩や腕まで広がる
「はン? 独特な動きするじゃねぇか……」
様子見であった真千代の蹴撃の名残を払うように。
受け流しに使った華焔刀を一回転させた倫太郎はその長柄を受け止める。
パシッと張った音ののち、掌を滑らせ構えをとった。
弧を描く口元。
「ちっとばか、楽しくなってきたぜ?」
対する真千代は脇構え――今、殺気というものは無く、ただただ研ぎ澄まされゆくその『気』に、倫太郎もまた応じれば薄氷が張るが如く。
対峙する羅刹の頭には鋭い黒曜石の角。
巫覡載霊の舞により自らを神霊体へと変じさせゆく倫太郎は、同時に背に在る羅刹紋の熱を感じる。
仕切り直される戦い――その初手へ踏み込むは倫太郎だ。
瞬発力を駆使し、鋭く、そして強く横振りで薙いだ一刀は、下段から斜めに振り上げた真千代の柄が軌道を逸らす。
常に自身の正中を捉えているのか真千代の柄の戻りは速く、時にして一拍、倫太郎は跳ね上がった遠心を殺さず手を返した。
(「手を返して二回攻撃――は、さっきの一戦で見抜かれてんだろ?」)
やや上がった上段から再度の攻撃。
「でもな、さっきと違ってンだよなぁ!」
「!」
先んじて真千代に迫るは凪の刃先から放たれる衝撃波。
一弾指すら生まれない至近距離だ。
故に受け流す術など無く、真千代は衝撃波そして間断なき刃の追撃に弾かれ、着地後も千鳥足が如くの後退を余儀なくされた。
「ふ……」
真千代の唇もまた、楽しげに弧を描き、びりりと走る衝撃を払うように武器を払う。
過去殺した者達の血がじわりと真千代の肌に、服に、滲み広がった。
「ゆくぞ」
倫太郎に向かって大きく踏みこんでくる真千代。
上段の構えからなる一閃は明らかだ。
禍狩の一族に受け継がれる羅刹紋が這うように熱を広げていくのを感じる倫太郎が、動く。
大きな振り落としにやや腰を落とした倫太郎が長柄を跳ねさせ、いなした。
否、即座に手首を返した真千代が、その刃を焔舞い踊る黒柄に滑らせ、次なる手。
柄を短く握った彼女は、穂先を鉈のように扱い、倫太郎へ近距離戦を挑んできた。蹴撃は、組み込めば倫太郎の長柄に刈られると判断したのか、繰り出してこない。
攻防は厚みある音から、剣戟のそれへ。
しかしこの戦法は、真千代が長柄の遠心に振り回される形となる。その隙を逃すことなく、倫太郎が彼女の手元に突きを入れた。
「――ッ」
次いで放つなぎ払いは真千代の肉を裂き、彼女を大きく飛び退かせることとなる。
「気が済んだら、とっとと還んな――ここはお前の居て良い場所じゃねぇ」
倫太郎の言葉に応じるように、真千代の唇が更に赤く赤く、弧を描く。
「冗談を。芽吹いたばかりではないか。血花が咲き誇り、散るまで、お相手願う」
ひゅっと切り捨てるように武器を払う真千代。薄氷の世界が割れるように、時が我に返る。
花の甘味含む薫風が猟兵と、彼女の間を凪いでいった。
乗じるように放たれる猟兵の攻撃。
猟兵の数に比例し戦法は数多、真千代は喜々とした笑みを浮かべ挑みゆく。
大成功
🔵🔵🔵
スピレイル・ナトゥア
「あなたの相手を務めるのは私じゃありません。このコたちです!」
土の精霊を宿したゴーレムさんたちを生成して、真千代さんに攻撃してもらいます
ゴーレムさんたちに前衛をお願いして、私はその後ろから精霊印の突撃銃による【援護射撃】でみなさんを助けるとしましょう
それにしても、紅備えの徒武者や紅備えの騎馬武者を召喚してくるだなんて、真剣勝負を望んでるようなことを口では言っていても全然武士らしくないんですね
「私たち猟兵を殺そうと狙ってくるひとたちには容赦しません! 先ほどはひとではなく狸でしたが、ひとが相手でも狸が相手でもそれは同じことです! 覚悟してください!」
葛乃葉・やすな
ふふふ。
狸どもが消えたようじゃな。やはり狐は戦闘にて狸より秀でておるようじゃ。
お次は血花の紅鬼姫とやらか。良い良い。丁度、体が温まった所じゃ。
じゃがおぬしの得意分野では戦わん。わしのやり方でやらせてもらおう。
UC【招来符・千年鼬】を使用。
紅鬼姫に向けて雷獣を召喚し雷を落とす。
雷があたれば痺れてしばらく動きは止まるじゃろうな。
その隙を狙って【2回攻撃】【衝撃波】【吹き飛ばし】で追加攻撃じゃ。
紅鬼姫が一槍羅刹を使用したならば【第六感】【見切り】で回避行動を試みる。
その長槍、早々に手放した方が良いと思うぞ。
さもなくばわしの雷の格好の的になるじゃろうなぁ。
※アドリブや絡み歓迎じゃ
消えゆく狸たちをみたやすなは、ふふふ、と笑みを浮かべた。
「狸どもが消えたようじゃな。やはり、狐は戦闘にて狸より秀でておるようじゃ」
狐尾を振り、やすなは既に仕切り直された一合の打ち合いを見せている女羅刹へと視線を移した。
「お次は血花の紅鬼姫とやらか。良い良い。丁度、体が温まった所じゃ」
やすな特製の霊符から右手に摘むは一枚、左手には幾枚かの霊符。霊符を口元にかざし、じゃが、と呟くやすな。
「――あやつの得意分野では戦わん。わしのやり方でやらせてもらおう」
花の甘味含む薫風が吹き、剣戟が掻き消える――その隙を狙い動くは、やすなとスピレイルだ。
中距離から近接が得意だと、敵は自らの手の内を先の戦いで見せたようなもの。
「あなたの相手を務めるのは私じゃありません。このコたちです!」
土檻から土塊と化していたそれらが、動く。
「土の精霊さん。一緒に頑張りましょう!」
スピレイルが生成するは、土の精霊が宿るゴーレム。スピレイルの実力に比例する数あるゴーレムたちが駆ければ、それは土波となり、真千代に迫る。
遠目から見れば、やすな、スピレイルの間に構築される堤防のようなもの。
「中々に楽しげだな――」
真千代は跳躍した。
一番手前のゴーレムを踏み台に、駆ける。反復し、ゴーレムの攻撃をその長柄でいなし叩き壊す。
しかしそれは誘導であるのだと、真千代が気付くのはもう少し後。
ゴーレムの額の刻印が増えていく。それは道を作る証。
二人に迫らんとする女羅刹の身が虚空に踊った刹那、
「おいでませ、雷獣殿」
招来符を振るい、向けたやすな。
「その雷で敵を討て」
召喚された千年鼬――虚空に顕現した雷獣ヤスナミカヅチが咆哮を上げ、高威力の雷を落とす。
不定期な軌道を描き駆け落ちる一閃が真千代を直撃する。
「ぐうっ」
落雷に応じ土堤防が裂け、雷とともに地面に叩きつけられる真千代。
帯電からばちりと雷気が追撃に弾け連なり、構築された土精霊のゴーレムに囲われたその中心部は激しい雷の衝撃波を巻き起こした。
過去殺した者達の血で自らを覆った真千代から赤の飛沫が起こる。
その血を舐めとる様を、精霊印の突撃銃の照準越しに目にするスピレイル。炎の精霊が宿る弾丸を連射した。
甘んじてそれを受けたのち真千代が振り払うように武器を地面に強く突き立てたのち、飛び退く。
同時に召喚されるは、紅備えの徒武者と紅備えの騎馬武者だ。
ぴくりとスピレイルの指先が跳ねた。
「――紅備えの徒武者や紅備えの騎馬武者を召喚してくるだなんて、真剣勝負を望んでるようなことを口では言っていても全然武士らしくないんですね」
「何。それ相応の手を使うまでよ」
スピレイルの言葉を事もなげにいなし、揶揄めいた声色の真千代。
「ぬしらが持つ、数多の戦術――可能な限り、目にしてみたいのでな」
現在、猟兵たちが対峙する真千代。違う真千代。オブリビオンであるからこそ、猟兵の戦いの研鑚を目にすることは多くなる――その手応えを、骸の海へ抱いて還れるかといえば、また別の話になるであろうが。
「私たち猟兵を殺そうと狙ってくるひとたちには容赦しません!」
スピレイルの声に応じるように、土精霊宿るゴーレムの動きが鋭くなる。
「先ほどはひとではなく狸でしたが、ひとが相手でも狸が相手でもそれは同じことです! 覚悟してください!」
徒武者と騎馬武者の進みを阻害し動くゴーレムたち。
雷獣が雷気宿す衝撃波を放ち、その一筋は真っ直ぐに真千代の武器へと向かっていった。
やすなが告げる。
「その長槍、早々に手放した方が良いと思うぞ。さもなくばわしの雷の格好の的になるじゃろうなぁ」
ばんっと音が弾け、真千代は顔を歪めたのちに、痺れを払うように長柄を振るう。
そして徒武者と騎馬武者が混迷させる戦場――それを遮蔽にし、自身に自身の者ではない血を覆った。
深呼吸ひとつ、それだけで、乱れた呼気を整え力を体に張るのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
琶咲・真琴
狸さんたちの親玉さんが出てきましたね
槍術と体術が得意なのですか?
ボクもです
お祖父ちゃんはもっと得意ですよ
行こう。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんっ!
フェイント・先制、鎧無視、2回攻撃・怪力・グラップル・なぎ払い・第六感を使って攻撃
お祖父ちゃんと連携して迎え撃ちます
殺気にはオーラ防御をしつつ勇気で一歩前へ!
槍の刺突で来るなら
こっちは烈槍葵牙のなぎ払いで衝撃波の範囲攻撃で対抗しますよ
武者さんたちは
familia pupaの光線でスナイパー・援護射撃・誘導弾・目潰し・早業を使い攻撃で対処
お祖母ちゃん、ありがとう
強化するなら
こちらも生命力吸収するまでです
念動力で狙いを外させていただきます
アドリブ・連携大歓迎
真琴が良く知る、灰の色が視界の端を流れたような気がして、ハッとする。
――だが、それを視認するよりも先に目に入ってきたのは暗き紅色。
真琴が其方を向けば、familia pupaも応じて弧を描き向く。
「狸さんたちの親玉さんが出てきましたね」
気を漲らせる真千代が猟兵との戦いで魅せる戦術。
駆ける紅備えの徒武者と紅備えの騎馬武者が仲間を翻弄していく。
「行こう。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんっ!」
丘を駆ける真琴に気付き迫る騎馬武者を迎え撃つは祖母だ。光線が放たれ、その先端が騎馬武者の眼前で弾けた。
起こった爆発的な閃光に目を眩ませた騎馬が棹立ちとなり、その間に横手へと回った祖母が武者を撃ち抜く。
「お祖母ちゃん、ありがとう!」
猟兵の援護が起こる中、祖母が真っ向から対峙するように騎馬武者へ搦め手を使っていった。
跳躍し先に真千代へと至った祖父の蹴撃で武者たちが掻き消え、ハッと鋭く呼気を吐いた真琴は、接敵とともに烈槍葵牙を薙ぐ。
「甘い!」
薙刀術にしては近すぎる間合いから放たれた真琴の長柄を、下段から打ち上げ弾く真千代。烈槍葵牙が虚空で回る。
しかし、真琴の入った間合いはそもそも薙刀のものでは無かった。
「槍術と体術が得意なのですか? ボクもですっ」
藤色の闘気を纏った真琴が更に一歩を踏みこみ、拳を放つ。
「お祖父ちゃんはもっと得意ですよ!」
虚空で回る薙刀を、エナジーを間に介し『持つ』祖父が上段からの斬撃を繰り出した。
真琴の拳に打たれたのち更に上下から同時に迫る挟撃に、後退し間合いを取ろうとする真千代。
長柄を烈槍葵牙に向かって振り、下の真琴は――蹴りの勢いがつく前に真琴は彼女の脚を捉え、払った。
体勢を崩し舌打ちした真千代は咄嗟に地面へ腕をつき、身を捻っての着地。祖父から落とされるように渡された薙刀を手にする真琴。
「童!」
真千代の覇気が空気を震わせ、殺気となり真琴に突き刺さる。
されど真琴は藤煙流護を全身に纏い前進した。その一歩目は勇気、二歩目にはあたたかな護りを感じて。
真千代が得物から、刺突による衝撃波を巻き起こす。
鋭き一矢のような真空を横跳びで回避した真琴が烈槍葵牙をなぎ払い、衝撃波を放つ。
蒼き刃の一閃から一瞬にして膨張した圧が――葵の牙は、如何なるものも噛み砕く――真千代が繰り出した数多の刺突を殺す。
長柄がかち合う音が鳴り響き、刹那の鍔迫り合い。弾き、彼我の距離ができるのは同時。
回転し、ブオンと荒く空を切る真千代の長柄。
順手逆手と動く手捌きが武器の回転速度を高めた。
「――参る」
跳躍。
勢いそのままに遠心を強めた上段からの攻撃が真琴に振り落とされる。その斬線に入った祖父が僅かに軌道をずらし、逸れたことでやや威力の落ちた一撃をいなすべく烈槍葵牙をかざした真琴。
しかしながら遠心と降下の加重がかかり、負荷で腕が破壊される前に真横へと払い飛ばす。
時にして半拍。
ぎぃんっ! と音が響く。
その衝撃は互いの握りに痺れを齎すものだった。払われた動きそのまま舞うようにくるりと回った真千代が、次に迫る猟兵へと穂先を向けた。
脇構えは一瞬で、直ぐに対応の足捌き。
「見込みのある奴は好ましいな」
赤の唇は弧を描き、背中越しに真千代は告げるのだった。
成功
🔵🔵🔴
叢雲・源次
合プレ【刀二振り】
目的は理解した。…しかし、凛々しく美しいあの女武芸者があの可愛らしさもあった狸軍団を率いたとなるとギャップで微笑ましいものがあるな。そうは思わないかサギリ。(煽ってないです。ギャップ萌えという感じで可愛らしいと褒めているつもりです悪気はないです)
●戦闘
しかし勝負となれば話は別だ
長物の間合いというものは厄介だが…長さが短所となりえる事もあろうさ。
サギリが作った隙を無駄にはしまいと【ダッシュ】で高速踏み込み、あえて相手の薙刀の射程圏内へ飛び込む。狙うべくはその迫り来る薙刀そのもの。【見切り】【カウンター】で薙刀を『電磁抜刀』で迎撃。【二回攻撃】で返す刀で切り伏せんとする
サギリ・スズノネ
合プレ【刀二振り】
叢雲・源次(f14403)さんと一緒に行動
カッチカチな山の次……じゃなくて、狸の次は何か強そうなお姉さんですよ!
狸ともパンダとも違いますけど、源次お兄さん、あの人が狸の親分みたいですよ!
●戦闘
あの武器結構間合いが広そうなのです
近づき過ぎないように気を付けるのです!
【錬成カミヤドリ】で、サギリの本体(神社の鈴)を増やしてぶつけます
敵の頭か足の辺りや【第六感】がビビッと来た方へを狙って
【破魔】の力も籠めて鈴を飛ばしてぶっとばすのです!
攻撃が通れば良し、通らなくても敵がサギリの攻撃に対処してくれれば
意識がそっちに向いている隙に源次お兄さん達の攻撃も当てやすくなるかもです!
消えゆく狸たちの戦場に新たに立つ女羅刹。
それを視認したサギリが言う。
「狸ともパンダとも違いますけど、源次お兄さん、あの人が狸の親分みたいですよ!」
「凛々しく美しいあの女武芸者が、この可愛らしさもあった狸軍団を率いたとなると、ギャップで微笑ましいものがあるな」
そうは思わないか、サギリ、と。そう源次は言った。
一時期行動を共にしていたとされる狸兵団と血花の紅鬼姫『真千代』。
成り行きは分からぬが、狸たちは彼女を姫と呼び慕っていたし、真千代もまた受容していた辺り、そう悪くはない関係だったのだろう。
むむむっ、と悩みの声を上げるサギリ。
「強そうなお姉さんだというのは、分かります……!」
魔除けのものとして、りんりんとサギリの中では警戒の音色が鳴っている。
サギリの言葉に、源次は頷く。
勝負となれば話は別だ、と仲間と切り結ぶ真千代の動きを観察する――。
長物の間合い。
しかしながら、瞬時に柄を短く握りかえ穂先を鉈のように振るう一戦も垣間見える。
成程、油断のならない相手だと源次がひらり舞う真千代の隙を窺う。
羽ばたき終えようと鳥の静まる瞬間――それを捉えたのはサギリ。
少女が腕を振るえば、虚空に古き時代の鈴音が連なり、顕現する。
初手、二、三と複製した自分の本体をサギリは念力で投げつけた。
気付いた真千代が長柄で打ち返すその音は重々しい。その動作に、がら空きとなった胴めがけて新たな鈴をぶつけていくサギリ。
だが石突で突き落とされる。
(「攻撃が通れば良し、通らなくても、敵がサギリの攻撃に対処してくれれば――」)
そう、少女の狙いは攻撃一辺倒ではなく、広い意味での阻害だ。
上段から鈴を叩き落とした真千代、その挙動が止まる一瞬の隙。
そこへ迫るは源次だ。
高速の踏み込みが彼我の距離をあっという間に消失させ、源次は敢えて長物の間合いへと入りこんだ。
鈴に対応していた真千代の、対峙のための足捌きが一瞬遅れる。
「――ッ」
敵片腕の膂力は凄まじい。長柄を振るうための瞬発力は高く、鋭き一閃を伴い源次へと迫る。
だが源次の狙いは迫りくる武器そのものだった。
やや軌道のぶれたそれを見切り迎え撃つはリニア・ブレード。
迎撃に最も適した部分、遠心が乗りやすい柄舌めがけて下段から打ち返すようにすれば、刹那的に真千代の膂力が削がれた。
音は電磁が弾けたもの。
跳ねあがるように遠ざかる穂先――その間に返す刀で、上段から源次が袈裟懸ける。
「ぐうっ」
真千代の鮮血が飛沫するも、電磁刃が更に細かく弾き返し、地面に赤い小花を散らせていった。
殺気を纏った真千代が刺突による衝撃波を放射し、駆ける。得ようとしているのは源次の死角。
しかしながら源次のアナライザーがそれを捉え、振り向き様に一刀。
真千代は破魔の力宿る鈴を打ち当て利用し盾にしようとするのだが、鈴は滞空しぴくりとも動かない。唐突に、重石になったかのようだ。
「――ふ。初手としては適うものだ」
次々と迫る鈴を叩き落としていく真千代。
「二度は乗らぬよ」
再び血花の紅備え、徒武者と騎馬武者を召喚し二人の迎撃へと向かわせるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
「成程。
多種多様で面白き事よ」
自身が受ける傷もまた、彼女の戦意を彩るものなのだろう。
予め組み込まれた戦法、刹那的に掛け合った戦法と、猟兵たちが彩る戦場。
それらを試し食うが如く――否、喰らいては投げるという動きの真千代。
それは勝手気ままなものだ。
姫は告げる。
「しばし、我が腕と、泥臭く真っ向勝負をうける者、誰か有るか?」
桐生・明澄
ふーん、相手は羅刹か。武器は長槍を使うのね。
見たところ体術も申し分なしか。うん、面白いわ。これは楽しめそう。
「わたしは桐生明澄。アンタ強いね。わたしが相手だよ」
名乗りを上げて【礼儀作法】で丁寧にお辞儀をする。
「さぁ、死合ましょう」
お辞儀を終えると同時に刀に手をかけ攻撃を開始する。
UC<妖剣解放>を使い<残像>でかく乱しながら高速移動をする。
何度か剣戟を繰り返した後に、<残像>による<フェイント>で相手の隙をついて<斬撃による衝撃波>を放射だよ。
相手の攻撃は<武器受け>で防御、その後<早業>で<カウンター>も狙っていく。
衝撃波に対しては<見切り><残像>で回避かな。
アドリブ歓迎
「しばし、我が腕と、泥臭く真っ向勝負をうける者、誰か有るか?」
一対一を申し出た真千代の声掛けに、まず進み出たのは明澄だった。
「わたしは桐生明澄。アンタ強いね。わたしが相手だよ」
丁寧なお辞儀を披露して、ゆるりと姿勢を戻した明澄は告げる。
羅刹の証である黒曜石の角に、真千代の唇は赤の弧を描いた。
「さぁ、死合ましょう」
妖刀に手をかけ、その怨念を纏った明澄が上体を屈め――駆けた。脚をばねのように、人のそれより力強い瞬発力を発揮し、地上にて不規則な軌道を描く。
視界におさめる真千代は、一度長柄を振って脇構えに止まっている。
長柄の射程圏外――跳躍し一気に肉迫する明澄が妖刀を振るえば、即応した真千代の柄とかち合い、高らかな剣戟の音。
手首を返した明澄が刃を滑らせれば、摩擦する武器同士の耳障りな音色が流れる。
真千代が手首を返せば、長柄が跳ね、妖刀ともども明澄を虚空へと押し上げた。
上手く鯉口に当てられた上に、羅刹の膂力。
(「うん、面白いわ。これは楽しめそう」)
風を感じつつ心の中で頷き一つ。
追撃に迫る下段からのなぎ払いを見切った明澄は、それを踏み台に飛び退き彼我の距離を作る。
着地と同時に再び跳躍。
二合、続き何度か繰り返される剣戟。
新たに下段から切り結びを挑めば、発生する鍔迫り合い。
加重ののち長柄を払った真千代が蹴撃を繰り出し、咄嗟に刃を寝かせる明澄。衝撃に、自身の足が土にめり込む様を感じつつ、片脚を軸に半身を後退させた。
大地が半円を刻む。
いなされた真千代が姿勢を崩すも、彼女の武器は身体の一部同然だ。
着地を石突に任せ、その体を転換するも明澄を捉える目が空振った。
「――!」
残像を目にした真千代。
その時には明澄は死角へと回っており、二拍という時がゆるされた狙いは的確。やや余裕めいた一刀は斬撃による衝撃波を放った。
生み出される真空は放射であり、真千代は避ける術もなし。
穿たれた彼女は千鳥足が如くの後退を見せた。
だが戦闘狂とも呼ばれる羅刹、突如として体勢を正し踏み込んだ真千代が風を切る。
ただの棒に非ず、漆で固められた柄は遠心がかかる程に威力を増す。
寸前でかわし、がら空きとなった敵胴へ明澄が踏み出すも隙が見えず、妖刀を手に明澄はそのまま推進に身を任せ前転ののち間合いを取った。
振るわれる敵斬線に――斬りこむは新手の猟兵。
成功
🔵🔵🔴
愛久山・清綱
なんと見事な技……相当の手練とみた。
気を抜いたら、一気に首が飛ぶな。
さて、名乗られたなら此方も名乗ろう。
拙者、愛久山・清綱。其方の血肉を喰らい、その魂を黄泉に送らん……
■闘
相手が長柄でも、刀で勝負。
相手の攻撃は【野生の勘】で予測、【残像】を用いた【見切り】で
回避を狙い、【ダッシュ】で急接近を図る。
避けきれないなら【武器受け】と【激痛耐性】で我慢。
敵に近づいたら【フェイント】で翻弄しながら隙を伺い、
死角から【鎧無視攻撃】の太刀を与えよう。
或いは【残像】を併用し背後や死角に回り込みつつ一太刀、
というのも一興だろうか?
好機が来たら愛久山秘伝・【夜見】を攻撃力重視で放つ。
『魂』を断つ剣、お見せ致そう。
漆で固められた柄は遠心がかかる程に威力を増す。
斬線に入り、剛の柄を止めるは清綱。耳を劈く高らかな衝突音。
敵の柄舌に今刀の鯉口を当て絡めるように弾き返せば、真千代は後ろ手で武器を振るい上段の構えへと移行した。
すらりとした切っ先は清綱へと向けられている。
(「先程の見事な技……相当の手練とみた。――気を抜いたら、一気に首が飛ぶな」)
視線を外すことは叶わず。
『しばし、我が腕と、泥臭く真っ向勝負をうける者、誰か有るか?』
と、先程告げた真千代であるが、胴から流れ滴り落ちる血が地を滲ませていく。
骸の海に捨てられた筈の過去、オブリビオン。されど、猟兵と彼女が立つ「今」は時を進めていくもの。
猟兵たちの攻撃により重なる傷は、彼女の戦意を彩っていく。その瞳は鋭く清綱を捉えていた。
「拙者、愛久山・清綱」
今刀の切っ先をやや斜め下に。地の構えを取りつつ、緩やかに左へと脚を運べば真千代の切っ先がついてくる。
「其方の血肉を喰らい、その魂を黄泉に送らん……」
「――いざ」
真千代の強い踏みこみは跳躍のためのもの。
……オン! と空を切り旋回する長柄。
上段から反時計回りに、袈裟懸けに振るわれたそれを更に左へ跳ぶことで回避する清綱。
当然追撃のかかる敵初手、視認し止まる暇は無い。
野生の勘ともいうべき動きで彼は身を回避に屈めると同時に、その掌で地面を打ち存分に瞬発力を高めて駆けた。
片腕で横一文字に斬り払い、旋回する長柄の音を乱す。
さらに剣戟の音一つ。
拮抗する両者だが、刹那の鍔迫り合いは行われない。磁石が合うも反発し合うかのように、滑る。
発生する摩擦伴う衝撃に右腕が持っていかれそうになるも、清綱は耐えた。
――インッ! と終わりを告げる空白が訪れるまで半拍も無かったが、それでも永く感じる時。
この時ばかりは、真千代の武器より、清綱の刀が有利だ。相手に比べればさほど遠心のかからない太刀を構えつつ、死角へと回る。
清綱が繰り出す一閃。その斬線に戻ってきた柄が差し込まれるも、その防護力は彼にかかれば紙も同然だった。
「……ッ」
長物が跳ねあがり、思わずといったように真千代の腕がそれを追う。
それを隙と言わずして何と言えようか。
「秘伝……夜見」
魂を断ち斬るべく放つ、清綱の一太刀。
真胴に入った。女羅刹から起こる血飛沫。
「――ッ、ああ……なかなかに好い」
一瞬苦悶する真千代の顔であるが、声色は心地よさげに。
もっともっとと言うように。
魂を断ち斬らんとする一刀に、やはり猟兵は面白い、と。
柄舌を握り穂先を引き寄せた真千代が鉈のように扱い、清綱を斬り払うと同時――。
女羅刹の体が揺らぐ。
「――ふ、今のは効いたな」
即座に滲み覆う殺戮の証。「今」この時があと、どれ程か。
成功
🔵🔵🔴
木元・祭莉
【かんさつにっき】で!
真千代ねーちゃん、カッコいいね!
おいらも、あんな風になりたいなー♪ 棒術とか始めよっかな?
白炎のオーラがスサノオを形作り。
芯になる少年の髪が腰下まで伸び、伸びた部分は銀に染まる。
笑みにふてぶてしさが加わり、右の八重歯がより目立つように。
コダちゃんの踏み込みに合わせ、うさみん☆と息を合わせて拳で挟撃!
そのまま足を止めず、連続攻撃の流れでラッシュを仕掛ける。
ねえちゃんの攻撃は、ナックル(武器)で受けて、軌跡を皮一枚逸らし。
懐に飛び込み、灰燼拳!!
紅備えの鬼姫って、父ちゃん喜びそうな名前だなあー。
少しっくらいの生命力なら、くれたげる。
このあとは、お花見が待ってるんだもんね!!
木元・杏
【かんさつにっき】
たぬへーのお姫さま、きれい(こく)
お団子とお茶はおいしかった?
みんなで一緒にお団子食べたら
きっともっとおいしいの
……でも、たたかいの方がおいしい?
なら……一緒に食べよ?(臨戦態勢)
(真の姿で瞳が青に。人形は大振りの刀を持って)
うさみみメイドさん(全長20cm位)は小太刀の背に隠れて接近
小太刀の初手と同時にまつりんと連携して攻撃
お姫さまの顔を斬り付けて?
払われたら見切って回避
そのままおじさんの陰に姿ひそめさせるの
わたしは後ろから
出てきた朱武者に【鎌鼬】
おじさんと一緒に二体を抑える
ん、今
メイドさん、行って
早業の2回攻撃を繰り返して
手数でお姫さまに傷を与えていく
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
真打登場ね
わざわざ騒いで呼び出して
羅刹ってどうしてこうも脳筋揃いなのかしら(溜息
分かってる、それが『あなた』なのよね
ならば、思う存分戦って骸の海に還りなさい!
片時雨を構え真の姿解放
殺気が膨らみ目の色が赤くなる
初手から剣刃一閃!
でも私は囮
殺気で注意を惹く事で
祭莉んや杏の攻撃に繋げるよ
紅備えの抑えも必要よね
オジサン(杏が怖がらない様にうさ耳装着)も
引き続きサポート宜しくね!
攻撃は見切りで極力回避
連携して再び剣刃一閃を
あなたにとって狸達は仲間?それとも餌だった?
個人の技量だけが強さじゃないよ
合戦なら尚の事ね
仲間が居るからこそ高め合える強さもある
私達の戦い、その身に刻んでいきなさい!
柄舌を持ち穂先を鉈のように扱った真千代が、石突を地にトンと跳ねさせ、握りを柄に戻す。
「真千代ねーちゃん、カッコいいね! 紅備えの鬼姫って、父ちゃんが喜びそうな名前だなあー」
彼女の殺戮の道に似合わぬ明るい声が聞こえ、思わずと言ったように真千代はそちらへと顔を向けた。
「おいらも、あんな風になりたいなー♪ 棒術とか始めよっかな?」
手を頭の後ろで組む少年は隣の少女たちへ話しかけているようだ。
背丈は同じくらいの子供が三人。
「たぬへーのお姫さま、きれい」
こくりと頷くは、人形を抱く漆黒の髪の少女――杏は尋ねる。
「お団子とお茶はおいしかった?」
かくんと首を傾ける杏に、しばし三人を観察した後に真千代は微かに頷き「美味であった」と答えた。
穏やかな返答でも血の匂いがそれをかき消す。
杏は言う。
「みんなで一緒にお団子食べたら、きっともっとおいしいの。
……でも、たたかいのほうがおいしい?」
杏の金の瞳が、青へと変じた。
「なら……一緒に食べよ?」
うさみみメイドさんが杏の手を離れ、大振りの刀を持った時、空気が震えた。
隣の少年――祭莉を覆う白炎のオーラがスサノオを形作る。ざあっと腰下まで伸びた髪は狼のたてがみのように白炎、否、陽光弾くそれは銀だ。
半身を引き、脇構えとなる真千代。
「わざわざ騒いで呼び出して、羅刹ってどうしてこうも脳筋揃いなのかしら」
抑揚ある、明朗な声色でありながら、もう一人の少女の言葉は溜息交じり。
小太刀は肩を竦めて、やや横目で真千代を見た。
その際、流す視界に覚えのある二体の人形が映ったような気がしたけれど――、
「――分かってる、それが『あなた』なのよね」
鞘から抜き放つ片時雨を構えれば、殺気が膨らみ、小太刀の瞳は赤へと変化した。
「ならば、思う存分戦って骸の海に還りなさい!」
殺気を真千代へ叩きつけ、その勢いは突風の如く、小太刀もまた瞬時にして彼我の距離をつめる。
真っ向勝負。
曇りなき鋭い一閃を放たれた真千代はいなすこともせず、応えるように長柄で受け止めた。
「正直な太刀筋だ――、――!」
キッと張る音。
刹那、小太刀の頭上へと踊り出たうさみみメイドさんの大振りの刃が真千代へと迫る。
そして祭莉が懐へ入ってきたのは同時であった。
三方向。
「ッ」
真千代に与えられた判断は一弾指も無い。
小太刀の刀を絡めとるように長柄を弾き、かつ柄の勢いは上段からの攻撃を叩く。
祭莉への対処は――ほぼ捨てた。
胴へ入った拳は、超高速かつ大威力の一撃。だがそれは止まらない。止める理由も無い。
羅刹に備わる筋力を駆使し気を這った真千代に、祭莉が更なる拳が打った。
穿つように下から入り、二打、三打と続け様に放てば、真千代の体が跳ね、後退へと追い込む。
遠心をきかせた一打に大きく後退した真千代は、千鳥足が如く。
祭莉が、にいっとふてぶてしく笑みを浮かべれば八重歯が目立った。
荒々しい気に混じり、彗眼たる煌きが走る。
「ふ、っ」
鋭気ある呼気とともに、腰を落とした小太刀の斬り上げ。
肉を断たれ、衝撃に一瞬愛用の長物を落としそうになった真千代が、即座に掴み直す。
「っぐ」
血反吐まじりの呻き声。
子らが近付かないよう旋回させ、彼我の距離を取れば――紅備えの徒武者と騎馬武者が出現し、二人へと向かって行った。
「させない」
うさ印の護身刀を構えた杏が、後ろから徒武者へと接敵し素早い一撃を放った。杏の背を守るように付き従う鎧武者のオジサンはうさ耳をつけた姿という、一見、アレな姿であったが、その実力は確かなものなのだろう。
杏の体格上回る武者二体の攻撃を、槍で弾き応戦している。
――その背でたまに跳ねるもの、は、うさみみメイドさん。オジサンにべったりくっついているようだ。
「あなたにとって狸達は仲間? それとも餌だった?」
轟音を立て旋回する長物。その隙を窺いつつ、小太刀が問う。
「あやつらは勝手についてきた狸どもだ」
とくに感情の色はない。ただただ受容していただけの存在。
一瞬だけ小太刀は唇を結ぶ。
「個人の技量だけが強さじゃないよ――合戦なら尚のこと、ね」
小太刀は駆けた。殺気を纏い、それを真千代へとぶつけるように。
「仲間が居るからこそ高め合える強さもある。私達の戦い、その身に刻んでいきなさい!」
骸の海に捨てられた筈の過去、オブリビオン。されど、彼女たちが立つ「今」は時を進めていくもの。
小太刀の殺気と、真千代の殺気がぶつかり合えば武者たちが掻き消えた。
先手を取るは長物扱いの女羅刹。
数多の突きを繰り出せば、小太刀へと衝撃波が放射される。
脚をばねのように、横へと跳躍した小太刀が神経を研ぎ澄ませ、見切りつつ駆けた。
しかし、先んじて前方の土が穿たれた。
「!」
より拡散されたそれに小太刀の体が衝撃に跳ねる。
「コダちゃん!」
追撃の射線めがけて跳躍し着地した祭莉は、地を打つ両の掌をも使い、瞬発力を高めて真千代の懐へと跳びこんだ。
「ん、今。メイドさん、行って」
妹の声が、頬や耳を打ち削る真空に遮断される。
「少しっくらいの生命力なら、くれたげる。
このあとは、お花見が待ってるんだもんね!!」
灰燼拳を放つとともに、上空から旋回する大振りの刀が降った。
いかに戦いに優れたオブリビオンといえど、手数は限られる。
この時、真千代は回避に全てを注いだ。膂力を駆使し、祭莉の拳を受け止めれば、大きな後退。
うさみみメイドさんが地面に着地し、刀を払えば、血の飛沫が散る。
真千代は言う。
「其方たちとの戦いは、ここまでだ。子らよ。
猟兵が持つ、数多の戦法――可能な限り、目にしてみたいのでな」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
傷あるほどに戦意は彩り。
しかしながら、時が終わろうとするのを真千代は感じていた。
「『私』よ――楽しいか?」
彼女は笑む。
何も案ずることは無い。
戦いの佳境へは、猟兵たちが導いてくれるのだから。
花狩・アシエト
長モノか
いいぜ、俺も見よう見まねで槍使いだ
なんで見よう見まねか、って?
相棒が槍使いなんで隣で見てきたんだよ!
武器「オブシディアンランス」を使用
とりあえず突き、払いで様子をみる
突きで素早く「二回攻撃」
払いは小さく見破らないよう左凪ぎ、右凪ぎで様子み
相手の攻撃は武器受けでガードして、払いで退ける
さて、手詰まりだ。でもこれなら避けられんだろ
「紅椿」で攻撃だ
舞い散れ!
紅椿が舞い散ってるときに隙ができたら、一気に叩き込む
「力溜め」で込めて「二回攻撃」で槍で突く
アドリブ、共闘歓迎
四宮・かごめ
……。
赤備え。否、あの服の紅は血。
酸鼻極まり無い。
んー……
間合いこそ槍にござるが。武器も体術も【なぎ払い】の動作が多いようでござるな。まぁ、薙刀を武器に選べばそうもなろうが。
薙刀の立ち回りと、それらが活きる開けた戦場あってこそ必殺の刺突に繋がるというもの。如何。
味方をお助け申す。
忍法四宮流・筍退きを敵の程近い場所に乱打して、長柄武器の利を潰してやるでござる。少なくとも足回りは鈍るに違い無い。
相手が竹藪から距離を取ったらそこに陣取り、また敵の足元に撃ち込む。藪の中で【迷彩】【ダッシュ】【地形の利用】でがさがさと動き回り、気を引いてやる。
突きは普通に通るのでそこは注意したいでござるな。
芝桜に面した傾斜。
敵の挙動を見るに、猟兵が囲うことは現在不可能だ。
幾度か邂逅したことのある猟兵たちが、とある作戦を練る。
その先陣を務めるは、かごめ、そして面白そうだと乗ったアシエト。
「長モノか。いいぜ、俺も見よう見まねで槍使いだ」
広がる芝桜の景色を背に、アシエトがオブシディアンランスを手に真千代へと接敵する。陽の元にさらされる槍は少し錆びているが、現役だ。
「ほう、見よう見まね、と」
長物を脇構えに、アシエトを見据える真千代の瞳はやや面白げである。
「独自の研鑚は面白き戦法を生む」
アシエトの踏み込みからの突きは、一見、正直。
槍使いの相棒を隣で見てきた彼の槍術。
初撃突きは叩き返されるも素早く柄の握りを変えたアシエトが、今度は違う角度の突きを放つ。
耳を劈く金属音が響き、真千代が鍔迫り合いへと持ち込もうとするも、アシエトはそれをあっさりと避けた。
何も、敵の得手に飛びこむことは無い。
逆手順手へと手捌き、遠心を掛けたなぎ払いへ。
「――様子見か?」
真千代が揶揄めき問いかけ、戦意をその身に纏っていく。それは過去殺戮した者たちの赤きもの。
その様子を、じ、と観察するかごめ。
(「……。赤備え。否、あの服の紅は血」)
「酸鼻極まり無い――」
思わず言の葉を紡ぐ。声は淡々としたものであったが。
彼女が観察するに、真千代は武器も体術もなぎ払いの動作が多いように思えた。
傾斜という高低差は、刺突の踏みこみにやや不利を生む時がある。
(「薙刀の立ち回りと、それらが活きる開けた戦場あってこそ、必殺の刺突に繋がるというもの――)」
実際、敵が突きの技を出すときはどうであったか。
刀印を組み、かごめは唱える。
「湯津爪櫛折り捨てて、渡らせられませ黄泉坂――」
この間にも剣戟はつのる。
模擬のような軽やかな音に、しかし真千代は飽きてきたようだ。
踏みこむアシエトをいなし、後退の足取り。
だが、
「――!?」
『隆起した地』を踏んだのが先であったか、突如として生えた筍が彼女の足をさらったのが先であったか、判断はつかないが、筍たちは瞬時に鬱蒼とした竹藪へと姿を変えた。
「奇怪な――」
眉を顰める真千代と反対の反応を見せるはアシエト。
「うわぁ……」
実際目の当たりにすると、シュールな光景ながらもうずうずしてしまう。
竹藪にて長物は不利。
刹那的に身動きできなくなった真千代は、竹を割る構えをとるものの。
その時、
「――舞い散れ!」
告げたアシエトの装備武器がほどけ、数多の椿の花びらへと変じればまるでそこに突風が吹いたが如くに飛んでいく。
自身の身を刻む花びらに真千代は舌打ち、目くらましとなる花びらに紛れ放つは、充分に力を蓄えたアシエトの刺突攻撃。
竹と竹の間を抜ければ、真千代の胴を突く。更に踏みこめば貫かんとする一撃。
「――がはっ」
竹を背にした真千代に、アシエトの穂先が深く食い込む。
縫い止めたも同然か――否。柄舌を握り、真千代が、穂先を抜く――踏ん張ってはみるものの、アシエトの足は大地に退りの跡を刻んだ。
羅刹の膂力を駆使し彼の槍を払った真千代は即座に踵を返し、時に一刀、竹藪を切り開く。
その際に跳ねた竹を慌てて避け、追うアシエト。
かごめが駆ければ忍襟巻が舞う。
忍法四宮流・筍退きを仕掛け、時に槍術が真千代を誘導していく。
丘をのぼり、広がる緩やかな丘陵地。その谷間へ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シリン・カービン
お相手しましょう、紅鬼姫。
…私は遠距離からですが。
真の姿を開放。
額に第三の目が開いた褐色肌のダークエルフに変貌。
気配を消しつつ乱戦を抜け出して狙撃ポイントへ。
腹ばいになり狙撃体制を取ります。
通常では狙撃困難な距離ですが、
【ホークアイ・スナイプ】を発動、
超遠距離の超精密射撃を可能にします。
狙いは二つ。
召喚された紅備えの武者を紅鬼姫を攻撃して解除すること。
紅鬼姫の脚を狙い高速移動を封じること。
足が止まったら回復する間を与えず連射します。
接近されたら精霊猟刀で攻撃を捌きつつ
零距離射撃を直撃させます。
手負いの獣ほど恐ろしいものはありません。
致命傷を負わせても気を抜かず全力で狩ります。
アドリブ・連携可。
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と行動】
たぬ達に不覚を取りましたが次は油断してたらやばい相手ですね
本気で行きます
UC廃園の鬼で花髑髏の威力を上げ斬り合いを挑みます
長槍使い相手に中距離での間合いは危険なので【ダッシュ】で相手の懐まで距離を詰めて近接戦を仕掛けていきます
真千代の長槍からの衝撃波は此方も【衝撃波】で相殺を狙うか無理なら【残像】と【ダッシュ】を駆使して避けます
たぬ達を侍らすお姫様かと思いましたがやりますね
良い薙刀です、私の花髑髏も負けてませんが
【武器受け】で真千代の攻撃を受けながら会話で動きを止めてみます
前衛で私が注意を惹きつけている間
アヤネさんにはライフルで狙い撃って貰ってもらえれば…
浅沼・灯人
こいつがたぬきたちの親玉か。
結構な別嬪だが……成程、いい動きだ。
いいぜ。どちらかが果てるまでの真剣勝負、楽しませてくれよ。
引き抜いたのは鉄塊剣。
折角だ、俺はサムライではないが剣は使う。
互いの間合いを計り合い、存分に楽しもう。
でけぇからって動きが鈍いとは思うなよ。
こいつは付き合いも長い俺の相棒、俺の一部みてぇなもんだ。
受けて、弾いて、返す刃で斬り伏せ御覧にいれよう。
……見よう見まねだが、うまいこといってくれよ。
武器が弾かれたなら……痛いのはごめんなんでな、
竜の魔力を傾けて片腕を変質、肉より硬い鱗で受け止めよう。
弾かれた刃に代わり爪で裂いて、掴んで、ぶっ飛ばす。
ああくそ、これ使って勝ちたくねぇな。
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴ(f00669)と一緒】
【負傷】に比例した戦闘力増強だって?
面倒な能力だネ
対抗するとすれば
負傷を通り越して一撃で仕留めればいい
提案してきたのはソヨゴだ
囮になるの?それって危なくないかしら?
少しだけ不安に思うけれど
いつも通りの笑顔で返されればつられて頷いてしまう
たぶん僕が心配し過ぎなだけだ
彼女にはそれだけの実力があることは認めている
ライフルの二脚を立て、伏射の姿勢で待機
動き回っている相手を狙撃することは不可能だ
ソヨゴが敵の動きを止めてくれるのを待つ
スコープ越しにソヨゴの髪飾りが見えた
そして敵の姿を捉える
呼吸に合わせて引鉄に触れる
グッドラック
先立って丘を越えたのは、シリンとアヤネ。
誘導組としてすでに真千代と対峙しているであろう猟兵に、前線を任せ駆ける。なだらかな二つ目の丘の上で狙撃の用意――共に、ではない。
双方がやや対角となる丘にて射撃の位置をとった。
アヤネが荷を置けば、どさりと重々しい音。
大型ライフル――対UDCライフル「Silver Bullet」を組立てたのち、二脚を立て、伏射の姿勢。
スコープを覗けば、先程越えた丘の向こうに薄らと竹藪が見えた。先程までは無かったものだ。
そして高低差が明らかな、高い丘を選んだシリンは果たして確りと狙えるのか――否、問題は無い。
褐色肌のダークエルフと変貌した彼女は、額の第三の目を開いている。
ホークアイ・スナイプ。その名の通り、鷹の目となった彼女は、戦闘状況に応じた的確な狙撃を目的とする。
二人の目に、発生した竹藪を抜けた真千代の姿が映る。
竹藪の中で前哨ともいえる戦いを、冬青は仕掛けていた。
長物の動きを阻害する竹を利用し、真千代へと斬りつけ、戦意を高めていく――誘導していく。
竹藪を抜ければ再び長物に利した戦場となった。
駆け、加速する真千代を迎え撃つは灯人だ。
ドッと大地を石突で打った真千代が空を跳ぶ。旋回し、鋭い勢いで振り下ろされる長柄を受ける鉄塊剣。
彼らの動きを捉えたシリンの鷹の目が、真千代の動きを改める。
速い。
ギッ、キィン! と耳を劈く音が響き渡る。
瞬時に長柄を絡めた剣が荷重と遠心を殺し、真千代の体ごと払い飛ばしていた。
「こいつがたぬきたちの親玉か。結構な別嬪だが……成程、いい動きだ」
受け身を取ろうとする真千代だが、そこは下る傾斜。一度転がり、態勢を整える。
「いいぜ。どちらかが果てるまでの真剣勝負、楽しませてくれよ」
無骨ながら巨大な剣を手に言う灯人に、真千代は笑んでみせた。羅刹の膂力があれば捌ける。
「でけぇからって動きが鈍いとは思うなよ。
こいつは付き合いも長い俺の相棒、俺の一部みてぇなもんだ」
「――参る!」
殺気を纏った真千代が駆ければ、彼我の距離が掻き消える。下段から貫かんとする刺突が灯人へと放たれ、衝撃波が放射された。
「こちらも行きます!」
丘を越え様に跳躍した冬青が花髑髏を振るい、衝撃波を巻き起こした。
刺突に優れた衝撃波を、鎌鼬の如き衝撃波が薙ぎ、相殺していく。
「良い手だ」
と、真千代。
その間に灯人が敵本命である一突きを鉄塊剣で受け、弾く。真千代が刹那的に遠心に振り回される瞬間を狙い、返した刃で斬り伏せんとし。
「――ッ」
上体を屈める真千代。飛沫する血とともに殺戮の証が彼女の体を覆う。
肩から入った剣は確かに肉と骨を断った――その感触が途中まで伝わった。敵は飛び退いた。
着地し、一度距離をとるべく高速移動で駆けようとする真千代を、シリンが超精密射撃を行い阻害する。
「何っ」
現在、度重なった戦闘力増強による真千代の身体は、頑健であり、素早い。
「お相手しましょう、紅鬼姫。――……私は遠距離からですが」
丘を越えた真千代と灯人との戦いで、今の真千代を改めたシリンは、彼女に動く間を与えまいと腱から脚、胴へと精霊猟銃を連射する。
これは徒武者、騎馬武者の召喚は無理だろう。
一瞬の回避に力を注ぎ、跳躍する真千代へ、今度は冬青が挑む。
気付いた敵の真っ直ぐに迫る穂先を避け、相手の懐まで距離を詰めた。
仕掛けるは近接戦。
花髑髏を振るうもその刃が羅刹の肉へと届く前に、漆で固められた柄が邪魔をする。剣戟は時に鈍く、時に鋭く。
「たぬ達を侍らすお姫様かと思いましたが、やりますね」
刃を立て弾き返す冬青。
足捌きは常に前へ。真千代を押し込むように。
「良い薙刀です、私の花髑髏も負けてませんが――」
花髑髏の刀身を絡めとろうとする柄の動きに合わせ、刃を滑らせる。
そんな彼女と真千代が切り結ぶ様を、スコープ越しに見るはアヤネ。
胸が震え、呼気が乱れそうになるのを、おさえこむ。
――囮になるの? それって危なくないかしら? ――そう思った。少しだけ不安で、少しだけ声に出してみれば、冬青はいつも通りの笑顔で「大丈夫です」と言った。
そう、と。つい、つられて頷いてしまったけれど。
(「たぶん僕が心配し過ぎなだけだ。彼女にはそれだけの実力があることは認めている」)
呼吸を整えたアヤネが、引鉄へと指を添え、時を待つ。
それに共に前線へ立つ仲間がいて、援護に動く猟兵がいる。
続く狙撃を気にしているのか、真千代の動きがたまにぶれる。
動きを止めようとする冬青。
剛毅なる振りを見せる長柄を弾く刃は、灯人。
致命的な攻撃を放とうとする真千代を阻害するはシリン。
その時、真千代の長物が灯人の腕を叩き様に鉄塊剣を弾いた。痺れの走る片腕。
もう片方へと竜の魔力を傾け、注ぐ灯人が突き迫る穂先を受け止める。
高らかな音――硬い鱗と刃先が奏でたものだ。
柄舌を掴み、真千代を引き寄せた灯人が羅刹の腕へとその爪を突きたて掴めば、敵腕が潰れた。
彼の表情は苦い。
「ここまで、ですよ」
冬青の声が告げ、花髑髏の鍔に鮮血が伝う。
決して柔くはない、筋肉質な肉へ突き立てた刃がずるりと抜けていく――千鳥足が如く、後退する敵と、同じ速度で彼我の距離を、ゆっくりと作る冬青。
切っ先から血が落ち、大地に滴下したそれは歪な血花に。
ひとつ、ふたつ。
されど彼女の琥珀の瞳は、敵を捉えたまま。
片腕を潰された女羅刹は、生きた片腕が持つ長柄を地面に突き――ひゅ、と柄が空を斬った。
「――!」
確りと腰を据え、二人に向かって長柄を投擲せんとする。
スコープ越しに冬青の髪飾りが見えた。
彼女へ牙を剥かんとする穂先。だが、アヤネは敵胴を捉える。
「――グッドラック」
UDC細胞炸裂弾が女羅刹を撃ち、敵内部で破裂した弾はオブリビオンを内部から破壊していった。
「が、はっ」
血を吐き、地面へと倒れる真千代。
その手に、武器は無い――遠く、弾き飛ばされていた。
「手負いの獣ほど恐ろしいものはありません」
ふ、と息を吐くシリン。
戦いを終えた真千代の顔は、どんな表情であったのか知ることは出来なかった。
灯人が長物を拾いあげれば、太い柄は血濡れていて、手跡が目に入る。
そして、侵食されゆく羅刹――血花の紅鬼姫『真千代』の近き土へとそれを突き立てた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『茶屋にて一服いかがでしょう?』
|
POW : お茶の味を楽しみながらまったりとする。
SPD : 和菓子の味に舌打ちながらまったりとする。
WIZ : 茶屋からの景色を眺めてまったりとする。
|
「どうやら、危ない所を助けて頂いたようで」
ありがとうございます、と芝桜を管理する茶屋の主は猟兵たちへと礼を述べた。
とはいえ何が起こったのか、詳細を知りたがる。まあ土地の者として当然のことだろう。
猟兵たちの説明に、はい、はい、と一つ一つ丁寧に頷き応じる。
そして主もまた、避難の行方などを説明した。
避難の末、無事帰路を辿る客人を見送り、従業員もまた離れた場所へと行かせた。
主は一人残り、猟兵と敵が決着を迎えるのを待っていた。
と、ここまで話した時、従業員と思われる娘一人が戻ってきた。
ぎょっとする茶屋の主。
「ミツ、お前、ここを離れなさいと言っただろう」
「でも、気になって仕方なかったんですもん。たぶん、みんな後で来ると思いますよ。
――猟兵の皆さん、ほんとにありがとうございましたっ。
それと、お客さんが帰っちゃってあたしたちも暇になっちゃうんで、猟兵さんたちがお客さんになっていきませんか??」
「……ミツ。お前、ちょっと失礼じゃないか?」
態度が。と、主が言う。
ごほん、と改めて、主は猟兵たちへと言う。
「ええ、ですが、此度のお礼代わりにするにはささやか過ぎるものですが、どうぞ、存分に甘味や茶を召し上がっていってください」
団子や饅頭などの和菓子、甘酒や茶があるようだ。
本日は表向きは店仕舞い、そして貸し切りとなるらしい。
「あとは~、芝桜の塩漬けとか、如何でしょーか? 一般のお客さんがいると、なかなか出来ないんですけどね」
ミツが言う。
聞けば芝桜を摘んで、硝子瓶に塩と花を入れるという。いわゆる芳香剤作りだ。
「帰っても、長~く香りが楽しめますよ。
あっ、楽しみたい時は、ここまで来て下さると嬉しいですけどっ」
団子と茶をいただいて、芝桜の原を鑑賞するもよし、摘んでみて押し花や芳香剤を作ってみるもよし、戦いの疲れを癒し昼寝するのもよさそうだ。
さて、どうやって過ごそうか、と猟兵たちは淡紅色の風景へと視線を移した。
篝・倫太郎
塩漬け、なぁ……
確かに、眺めるだけじゃねぇのは
大勢の客が来る状況じゃ、ちっとばか勧め難いし作り難いわな
折角の芝桜が荒らされたみてぇになっちまいそーだしよ
でも、その前にお茶と甘味ー!
戦闘後の一服はたまんねぇよな?
まーったりお茶と甘味つか団子で一服したら
いっちょ、塩漬けでも土産に作っかな
にしても、ミっちゃん(ミツの事)は商売上手だな……
ちゃっかり客になってくれだのここまで来てくれだの
セールストークがするっと出てくんのはすげーや
まぁ、ここを大事にしてるから、ってコトにしとくけどもよ
小瓶に塩と摘んだ芝桜――出来るだけ綺麗に咲いてるやつ
入れて塩漬け作りー
直ぐの直ぐに香る訳でもねぇのかな?コレ(くんくん)
わさっとたくさん咲く濃い桃色の芝桜を、ちょんとつつく倫太郎。
屈んだ体勢そのままに思い出すのは、先程のミツの言葉だ。
(「塩漬け、なぁ……」)
「確かに、眺めるだけじゃねぇのは、大勢の客が来る状況じゃ、ちっとばか勧め難いし作り難いわな」
お開きとなる時期であれば可能なのかもしれないが、まだそういう時期ではない。
――折角の芝桜が荒らされたみてぇになっちまいそーだしよ、と眺め。
遠くの紫や、白の芝桜を見回しながら立ち上がった倫太郎は、ぐっと伸びをした。良い天気だ。
「はいっ、篝さん。お待たせしましたー!」
ミツが茶と甘味を持ってくる。
「お、来た来た」
ぐるっと体を捻ったのち、倫太郎は床几台に座った。白を基調とした毛氈には赤の唐草模様。付近の芝桜の光景に埋もれず、そして邪魔をしない色合いだ。
運ばれてきたものは、煎茶。ふたつ。
「先にこちらのお茶をどうぞ」
ミツが出す茶を受け取る倫太郎。湯呑は大きめだ。
乾いた喉を潤すは、程よく温い茶で、「こちらに熱いお茶を置きますね」とミツが二つ目の湯呑を床几台に置く。
団子は王道の串団子。みたらし、三色、そしてよもぎ餅とあんこの組み合わせのものだ。
桜、よもぎで着色したものを加えた三色団子はほんのりと甘く。
みたらしは、団子に微かに焦げが付けられていて香ばしく飽きがこない。
よもぎの味と香りに追撃してくるのはあんこの団子。熱い茶でいただけば、口の中でじわりと形がほどけ、程よく馴染んだ。
ゆっくりまったりと食べていると、熱い煎茶も冷めてくる。残りを煽り、飲み切った倫太郎は盆の上にことりと置いたのち、ぱんと手を合わせた。
「ごっそーさん」
「お口に合いましたでしょうか?」
食べ終わる気配を感じたのか、ミツが声を掛けつつ、盆を片づけていく。先程とは違い、丁寧な対応。ある意味オンオフの切り替わりだろうか。
さて、と倫太郎。
「まったり一服もしたし、いっちょ塩漬けでも土産に作っかな」
綺麗に咲いたものを摘んでいく。
その間にミツはあちこちを行き来していて、倫太郎のところにも粗塩と瓶を持ってくる。
「にしても、ミっちゃんは商売上手だな……」
「そうですかー?」
きょとんとした様子のミツの声。そーそーと倫太郎は頷く。
「ちゃっかり客になってくれだのここまで来てくれだの、セールストークがするっと出てくんのはすげーや」
「せぇるすとぉく……」
「あー、売り込む時の口上ってやつ」
「あ、なるほど。
らっしゃいませー、そこの奥さん、奥さんの別嬪さにおいちゃん負けたわぁ、更にこの紅つければ天下もとれるってもんよ、お安くしとくけどどう?
ってやつですか」
「…………色々言いてぇことはあっけど、それな」
という風に会話を重ねていくと、ミツは、茶屋の主の姪っ子ということが分かった。
主の姉の子。ミツの母もまた彼女に似た性格のようで――あのおやじさんも苦労してんだな、とやや遠い目に倫太郎はなった。
半刻ほど干し、瓶に粗塩、芝桜、粗塩と、ニ、三繰り返して層になるように入れれば出来上がりだ。
「直ぐの直ぐに香る訳でもねぇのかな? コレ」
閉じていない瓶の口から嗅いでみる。
「しばらくは冷暗所で、熟成させると良いですよ。
そのあとで植物油をたらしていただければ、香りが長持ちします」
倫太郎は、ミツの言葉に頷く。
手中には真白のなか選び摘んだ色。
辺りは芝桜の甘い香りが漂っており、手中のそれは次にどんな香りを魅せてくれるだろうか――今の香りを閉じ込めるように、蓋をする倫太郎であった。
大成功
🔵🔵🔵
叢雲・源次
合プレ【刀二振り】
ほう、やはり…というのもなんだが茶屋というのは時代劇で見たような…そのままなのだな。承知したサギリ…しかしそう急くな。事を片付けた今俺達には時間がある。ゆっくりと茶をしばくとしよう。
俺は…どうしたものか…サギリは団子…ならば俺は饅頭と茶にしよう。
サギリの隣に腰掛け、芝桜を眺める。
UDCアースの都会の喧騒と邪神との戦いで忘れていた景色だ。
いや、もしかしたら初めて見る景色かもしれん。
…そうか、四季か。四季をはっきりと感じられるこの世界は、良い世界だ。サギリ・スズノネ、感謝する。そしてまた案内を頼みたい。
ところで、饅頭を半分やる代わりに団子を分けて貰えないだろうか。
サギリ・スズノネ
合プレ【刀二振り】
叢雲・源次(f14403)さんと一緒に行動
お茶屋さんからのご厚意、ありがたく頂戴するのですよ!わーい!
源次お兄さん、源次お兄さん!
お茶屋さんでお茶をしばきながら、芝桜を眺めましょうですよ!
甘酒にーお団子にーお饅頭にー…これは悩ましいのですよー
よし!サギリ、お団子とお茶をいただくのです!
源次お兄さんは何が良いです?
お茶とお団子を頂いたら、座って芝桜を眺めるです。
今年も綺麗に咲いているのですよー
四季折々の美しさを楽しめるのが、サムライエンパイアの良い所の一つなのです!
まだまだ良い所がありますからー、サギリ、源次お兄さんに紹介したいのですよっ
やったーですよ!お団子半分どうぞですよ!
茶屋の主の声に、わーい! と嬉しそうな声をあげるサギリ。
「源次お兄さん、源次お兄さん!」
満面の笑みを源次へと向け、リンリンと鳴る鈴のようにサギリは楽しげに呼ぶ。
今にも駆け出しそうに、濃淡鮮やかな桜を背景に両腕を広げた。
「お茶をしばきながら、芝桜を眺めましょうですよ!」
源次はそんなサギリへ、こくりと頷いた。
「承知したサギリ……しかしそう急くな」
落ち着いた声で言う源次に、ことりとサギリは首を傾けた。源次は続ける。
「事を片付けた今、俺達には時間がある。ゆっくりと茶をしばくとしよう。
まずは甘味を選ぶとしよう」
「は! そうですね!」
再び、茶屋の主を見るサギリ。
そんな彼女の後ろで、源次は茶屋の外観をまじまじと見る。
(「ほう、やはり……というのもなんだが茶屋というのは、時代劇で見たような……そのままなのだな」)
見覚えはあれど、実物を前にするとやはり目新しく。
母屋、外には野点傘、床几台、遠くに見えるは葦簀張り。所々に客が休めるようになっており、かつ、その身軽ともいえる休憩処の運用法をみるに、時期外は境内などで並び茶屋を開いているのかもしれない。
源次が意識を目前へと戻す。
「甘酒にー、お団子にー、お饅頭にー」
ゆらゆらと揺れるサギリの頭。視線が動くとともに、上半身もそっちを向く。
団子は物によっては炙るようで、みたらし団子などほんのり焦げめをつけてくれる。
「……これは悩ましいのですよー」
目を眇めたのちに、むむ、と少しだけ眉を寄せて。サギリは悩む。
「……――よし! サギリ、お団子とお茶をいただくのです!
源次お兄さんは何が良いです?」
「俺は……どうしたものか」
止まる源次。考えているようだ。そして、サギリの選んだ団子を見遣る。
「サギリは団子……ならば、俺は饅頭と茶にしよう」
「はい、しばしお待ちを。
お持ちしますので、どうぞ、お好きな席でごゆるりと、お体を休めてお待ちくださいませ」
主の言葉に、お願いします! と応えて、サギリは外に出て周囲を見回した。
近くに、薄紫と薄桃を重ねた朝焼けのような色の毛氈を見つけ、その床几台をサギリは指差した。
「あそこにしましょうですよ! 源次さん」
一見、基調の色合いは芝桜に埋もれそうではあるが、すぐに目に入った毛氈は白の流水紋。
並んで腰かけて、広がる芝桜の風景を眺める二人。
と、盆を持った茶屋の主がやってきた。
「お待たせいたしました。まずはこちらのお茶をどうぞ」
と、渡された湯呑にはぬるめの煎茶。それで乾いた喉を潤す二人。
次に置かれた盆には湯呑には熱い茶と甘味。「ごゆっくり」とお辞儀をして、主は次の猟兵の元へと向かっていく。
サギリが選んだのは、桜と白、よもぎの三色団子、そしてきなこは四つ団子が串に刺されている。
加えて温かなみたらし団子。
源次には、黒糖を使った茶饅頭、芋餡を使ったうさぎの形、そして水饅頭だ。
一口食べて綻ぶサギリの表情。
隣の源次もまた、味わうようにゆっくりと。
熱い煎茶は確りと茶葉の味が出ていて、含むように飲めば程よく甘味と馴染んだ。
「今年も綺麗に咲いているのですよー」
鮮やかな濃淡紅、桃、白と薄紫と、どこまでも大地に根付く桜が広がっていた。
サギリが胸いっぱいに空気を吸いこめば、甘い香りに満たされるようで。
「UDCアースの都会の喧騒と邪神との戦いで忘れていた景色だ。――いや、もしかしたら初めて見る景色かもしれん」
空を狭めるものは何もなく、ただただ青い空と地上に広がる彩り。
音は、さわさわと風に揺れ花の擦れる音。
うららかな春の陽射しが満ちる世界。
「四季折々の美しさを楽しめるのが、サムライエンパイアの良い所の一つなのです!」
にっこりを微笑んでサギリは言う。
「……そうか、四季か。四季をはっきりと感じられるこの世界は、良い世界だ」
源次が呟く。香りは嗅ぎ分ける必要などなく、ただ一つ花の香。
「サギリ・スズノネ、感謝する。そしてまた案内を頼みたい」
「お任せ下さいなのですよー。
まだまだ良い所がありますからー、サギリ、源次お兄さんに紹介したいのですよっ」
さあっと風が吹く。
戦いの痕を払い、新しき気を流しこんでくる。
再び、しばし考える源次。
ところで、と、サギリへと声掛けた。
「――饅頭を半分やる代わりに、団子を分けて貰えないだろうか」
言葉に、ぱあっとサギリの表情は花咲くように。
「やったーですよ! お団子半分どうぞですよ!」
はんぶんこ。わけあって。
けれども、楽しいことは掛け合って、今日の思い出に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
志崎・輝
ガラス瓶に芝桜で芳香剤…へえ、そんなものを作れるのか
ミツさんの言葉を聞いてさっそく芝桜を摘んでくる
花を摘むなんざいつぶりだろう…
昔の記憶を引っ張りだしてみるが、思いつかない
コレ持って帰って、どこに置こう
花の香りにわずかに笑む
「なあ、こんなもんで塩漬けって作れるか?
ミツさんに見せて、芳香剤を作ってみる
出来上がった小瓶を見て、満足して眺め回す
キレイ、かわいい
ほくほくと袖の中にしまい込む
誰にプレゼントするわけでもないけど…こういうのを持ってるとちょっと、嬉しくなるな(あまり表情は変わらないけど喜んでる
芝桜の原を眺めて、団子を食う
ふわりと欠伸
茶をすすって、ほかの猟兵たちの様子も眺めながらのんびり過ごす
「ガラス瓶に芝桜で芳香剤……へえ、そんなものを作れるのか」
志崎・輝(紫怨の拳・f17340)はミツたち茶屋の看板娘たちが作った芳香剤を見せてもらう。
桜、芝桜、金木犀と。粗塩と花の層となった瓶。
「お手軽に、という時は、小皿に盛るように作ってみるのもありますよ~」
ミツに促されるまま輝が盛られた小皿の桜と塩をひと撫でしてみると、桜の香りがふわりと。
「アタシも作ってみる」
「是非是非~。あ、お茶と甘味はどうします?」
「後で頂くね」
ひらりと手を振って、茶屋から出た輝はどの色の芝桜にしようかと辺りを見回した。
濃淡ある紅色、桃色、紫と白。
「塩漬けにするなら、濃い色の方が良いか?」
紫と濃い紅色。目的の場所まで少し距離があった。
濃淡鮮やかな桜を眺めながら歩くと、ふかふかとした絨毯の上を歩いているような錯覚。
目的の芝桜へと辿り着いて輝は屈む。
指先に触れた花は柔らかく、程よい冷たさ。ちょんとつついてから、輝は改めて花を選んだ。
(「花を摘むなんざいつぶりだろう……」)
昔の記憶を引っ張り出してみるけど、ぱっとは思いつかない。
それでも何故か手は摘み方を覚えているけれど。
摘んだ花の香りにわずかに笑みを浮かべた。
「なあ、こんなもんで塩漬けって作れるか?」
そして、色々と盆にのせて近くの葦簀張りまでやってきたミツへと声を掛けた。
「志崎さんは小さめの瓶で作られるんでしたよね。大丈夫ですよ」
ミツの言葉に、良かった、と頷く輝。
摘んだ花を半刻ほど干す間に、茶と団子を頂くことにした。葦簀張りに備わった床几台には赤の毛氈。
串団子を手にして、輝は芝桜の原を眺める。
王道のみたらし団子はほんのりと焦げ目付きで、やや香ばしい。
あたたかな陽射しは春にしては少し強いが、ぽかぽかとしていた――その心地良さが、眠気を誘ってきた。
ふわりと欠伸も出てしまう。
瞬きをひとつふたつ。
まだ熱い茶をすすって、芝桜の原で思い思いの時を過ごす猟兵たちを眺めた。
「そろそろ頃合ですかね~」
再びやってきたミツが生乾きの花を見て輝に声掛ける。
小瓶に粗塩、摘んだ芝桜を入れて、また粗塩。
「持ち帰ったらしばらく熟成させてくださいね。そして熟成後にほんの少し植物油をたらすと、香りを留めてくれて長もちしますよ」
ミツの説明に、頷く輝。
「わかった。色々とありがとう」
香りを閉じ込めるように、蓋をして。
出来上がった小瓶を満足気に見て、輝はかざしてみた。
手中には真白のなか、彼女が選び摘んだ色。
「キレイ――かわいい」
表情は変わらないけれど、声にはほんのりと弾みが含まれた。
ほくほくとした様子で袖の中に仕舞い込む。
「誰にプレゼントするわけでもないけど……こういうのを持ってると――ちょっと、嬉しくなるな」
「あっ、わかりますそれ! 疲れた時に見たり、香りを楽しんだりして、また頑張ろってなるんですよね」
輝の呟きに、にこにこと応じるミツは茶のおかわりを用意する。
次はほうじ茶。
ほっとするまろやかな味わいを堪能しつつ、輝はゆるりとした時を過ごすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴ(f00669)と一緒】
ソヨゴは前でがんばってくれたおかげで真千代に勝てた
狙い通りの良い戦闘だった
ありがとう
ソヨゴはUCのせいで腹ペコキャラという位置付けになりつつあるネ
と苦笑し
芝桜というのは桜とは別種なのネ
花もよく見ると形が違う
桜の花は儚くもろい感じだけれど
芝桜はしっかりしていて力強さを感じる
っと、ソヨゴはもうお菓子に夢中の様子だネ
ネリキリって?ふうん、花の形と色をしているの
初めて見る菓子をおそるおそる味見し
うん、甘いネ
お饅頭を食べたりお茶をいただいたりしつつ
ゆったり過ごすよ
押し花はいいアイデアだネ
栞が作れたら自分で使おうかな
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と行動】
お疲れ様です
たぬ達は可愛かったけど率いてた羅刹は強敵でしたね
UCの反動もそうですが沢山動いたのでお腹が空いちゃいましたよ(練り切りもぐもぐ)
んんっ!アヤネさん、この練り切りとっても美味しいですよ
形も芝桜です!可愛いですね
可愛いと言いつつすぐ食べちゃうって?
だからお腹空いてるんですってば
くうぅアヤネさんに腹ペコキャラ扱いされたー(じたじた)
でもお腹に食べ物が入ると落ち着きます
芝桜、とても綺麗ですね
力強いっていうアヤネさんの感想もわかります
桜みたいにハラハラ散ったりしないからかな
花を少し摘んで押し花にしたら旅のいい思い出になりますね
栞に加工してお土産にしたいな
貰った茶と甘味を盆にのせて、何処で食べようかと見回した二人。
「アヤネさん、あっちにいってみましょう!」
冬青が見つけた野点傘と床几台の毛氈は、オレンジを基調としたもの。
「たぬ達は可愛かったけど、率いてた羅刹は強敵でしたね」
「――ソヨゴが前でがんばってくれたおかげで、真千代に勝てた」
狙い通りの良い戦闘になった、と、ふかふかとした芝桜の風景の中を歩く。
「ありがとう」
アヤネの言葉に対し、気にしないでくださいと、笑顔とともに返す冬青。
オレンジの毛氈は白の小花が散っていて、辿れば少しずつ青緑の色を帯びていくものとなっていた。比例して、お日様の色は薄く。
「ユーベルコードを使ったせいなのもありますが、沢山動いたのでお腹が空いちゃいましたよ」
実は自身の一日分のカロリーを代償にする廃園の鬼。冬青はささっと座って、アヤネが座るであろう場所をぽんと叩いた。
二人でいただきますと手を合わせ。
そうしてアヤネが甘味――練り切りを手にした時、隣の冬青は口に入れたところで。
「んんっ!」
びっくりした声を上げる冬青。琥珀色の瞳が輝いた。
「アヤネさん、この練り切りとっても美味しいですよ……! ――あっ、形も芝桜です! 可愛いですね」
「食べてしまった後で、可愛いって気付いたの?」
可愛いと言いながら、二つ目を口にする冬青にアヤネは苦笑する。見つめる瞳は柔らかだ。
「だからお腹空いてるんですってばー」
「ソヨゴはユーベルコードのせいで、腹ペコキャラという位置付けになりつつあるネ」
「……くうぅ、アヤネさんに腹ペコキャラ扱いされたー」
冬青はじたじたと。
脚を動かしたり、身を震わせたり。
そんな彼女を堪能してから、改めてアヤネは練り切りへと目を落とした。
初めて見る――ネリキリ。
芝桜の花をかたどる繊細な細工や、花びら一枚のもの。
色は紅、紫、白、ほんのり色付く桃色。
まるで広がる芝桜の光景を、少しずつ手元に寄せたような。
おそるおそると味見するように食べてみるアヤネ。
「――うん、甘いネ」
桜の香りがする練り切りは甘くて、戦い切った体をじんわりと癒してくれる。
またひとつ、冬青の傍で知ったことが増えた。
「はい、甘いですね」
そんなアヤネの様子を見守るように、冬青は花びらの形の練り切りを摘む。
熱い煎茶を口に含めば、ほろほろと甘味がほどけ馴染んでいった。
さあっと吹く風は、戦いの痕を払い、新しき気を流しこんでくる。
さらさらと髪をなびかせて、露わになった耳に届く音は――花擦れの奏で。
「芝桜、とても綺麗ですね」
ぽつりと呟くように、冬青。
「芝桜というのは、桜とは別種なのネ。花もよく見ると形が違う」
そう言ったアヤネが目を閉じれば強い色の残滓が残っている。甘い花の香りを吸い込んで、ひとつふたつ瞬き。
「桜の花は儚くもろい感じだけれど、芝桜はしっかりしていて力強さを感じる」
力強いと言うアヤネの感想に、はい、と同意する冬青。
改めて眺めれば、芝桜の広がりは、生命力溢れる景色だ。
「力強く感じるのは、桜みたいにハラハラ散ったりしないからかな」
風に吹かれる様も楽しげで、音も賑やかなように感じた。
遠く花を摘む猟兵の姿も見え、ふと、冬青は思いつく。
「花を少し摘んで押し花にしたら、旅のいい思い出になりますね」
なるほど、と頷くアヤネ。
「押し花はいいアイデアだネ」
芝桜の傍に屈み、ひとつ、ふたつと摘んでいく。
お揃いの色と、二人がそれぞれ気になる色。
少女たちのひとときが、未来に向かって、そしていつまでも色褪せることなく輝いていますよう。
「栞に加工してみようかな」
「いいね。栞が作れたら、使いたいな」
思い出ひとつ、手元に置いて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
南雲・海莉
わぁ、見事な芝桜ね!
(仕事を終えた人達を見つければ)
お疲れさまです
芝桜の噂を聞いて遊びに来ちゃいました
(仕事には間に合わなかったけれど、と微苦笑)
ここ(サムライエンパイア)も本当にいい季節になったのね
こんな日に外でお茶とお菓子だなんて本当に贅沢
……美味しい
(餡子をたっぷり載せた串の団子に笑みを浮かべて)
(お外に出かけていく方々を見て、そわそわして)
……偶には頭を空にする時も必要よね
(食べ終われば釣られるように外に
思い切って自分もコロンと横になって)
ふふ、ほんと……久しぶり……
(授業や迷宮探索や依頼で溜まった疲れに押し流されるように、
最後はうたた寝)
アドリブ・他の猟兵さん達との絡み歓迎
そこはまるで、花の海原。
「わぁ、見事な芝桜ね!」
両腕をほんの少し広げて、南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)が花香満ちる空気を胸いっぱいに吸った時、穏やかな風が吹く。
さらさらと黒の髪をなびかせて、垣間見える耳に届く音は花擦れの奏で。
濃淡ある紅色、紫、白。風が止めばふかふかとした絨毯のように。
茶屋を目指して歩けば、行き会うは床几台でくつろぐ猟兵たち。戦い終えた少年少女に、海莉は緩やかに手を振って。
「お疲れさまです。芝桜の噂を聞いて、遊びに来ちゃいました」
仕事には間に合わなかったけれど、と少しだけ苦笑しつつ言えば、違う猟兵が「アタシもなんだ」と声掛けてくる。
日々戦い、その腕を磨く猟兵たち――だからこそ憩いの時も必要で。
海莉もまた、アルダワ魔法学園での授業・迷宮探索や猟兵としての仕事と忙しい日々を送っている。
茶屋へと辿り着き、暖簾をくぐれば看板娘の一人だろうか――三つ編みの少女がいた。
「こんにちは」
「あっ、こんにちは、いらっしゃいませ。
猟兵の方でしょうか。どうぞゆっくりなさっていってください」
そう告げた看板娘、名は「ねい」という。
海莉はねいに案内され、茶屋を出た先にある野点傘の下へと。床几台ともに赤の毛氈には白い小花が散った和柄。
少々お待ちくださいませ、と言って中へ入ったねいを待つ海莉は、膝を揃えて座り、背筋を伸ばして。
しばし芝桜の景色を堪能する。
春が少し去った陽射し。
空を狭めるものは何もなく、ただただ青い空と地上に広がる彩り。
「ここも本当にいい季節になったのね」
「ええ。もうすぐ八十八夜ですし、過ごしやすい時期ですね――お待たせ致しました」
ねいが海莉の呟きを拾い、声を掛けたのちに床几台へと盆をのせた。
熱めの煎茶と、餡子をたっぷり載せた串の団子は白のものと蓬。
「こんな日に、外でお茶とお菓子だなんて本当に贅沢――いただきます」
皿を持った海莉は串を摘む。
「……、……美味しい」
口の中に広がる甘味に笑みを浮かべて。
熱い茶を口に含めばほどよく甘さが馴染んでいく。
団子を食べたあとは、茶が少しずつ冷めていく様を楽しむ――ふと、花を摘む猟兵の姿や、遊ぶ子供の猟兵たちの姿が目に入った。
ぐっと伸びをした人は、そのまま床几台で横になった。
そわそわとする海莉。
考える。
「……偶には頭を空にする時も必要よね」
「ふふ、心ゆくまで楽しんで行ってください」
見送りに出てきたねいに御馳走様を告げて、海莉は芝桜の原を楽しむ。
品種によって花の形も全く違い、よくよく見れば飽きないものだ。
とある場所には昼寝用のござがあった。
再びそわそわと、ゆっくりと近付いたのちに海莉が座ってみれば、陽射しを受けてあたたかない草が心地良さを提供してくれた。
思い切ってコロンと横になってみれば、めいっぱいの青空。
時折トビが視界に入ってきて、細く澄んだ声を響かせる。
「ふふ、ほんと……久しぶり……」
そう呟く声は、ゆらゆら、ふわふわ。
忙しい日々の、束の間の憩い――ゆるやかに目を閉じれば、溜まった疲れに押し流されるように、うとうとと。
花擦れの奏でを子守唄に、海莉はまどろむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
四宮・かごめ
……(とんっ。とんっ。草履を履いた踵で何度か飛び跳ね、
戦闘中の竹が完全に消滅したのを確認する)
……ふふん。(満足気にそう漏らす)
【POW】
む、ここまでの絶景であったとは。
戦いに夢中で気付かなかったでござる。
……まぁ良かろう、とりあえず、茶と団子を所望致す。
縁台に座ったまま、湯呑を持ってぼーっと景色を眺めている。
それがしもエルフ故、こうしているだけで目の前の芝桜から
色々なものを感じ取ることが出来る。
あるいは、それを伝える方法として生け花を始めたのかも知れぬ。
今日はお休みでござる。ゆっくりしたい。
どれ腹ごなしに歩いて来るとするでござる。
忍者は歩かないと駄目になるのでござる。にんにん。
とんっ。とんっ。
「…………」
とんっ。
草履を履いた踵で何度か飛び跳ねる、かごめ。
丘は変わらずなだらか――、先程まで竹藪が生えていたということ以外は、いつも通りの景色だ。
戦いの最中に筍、もしくは竹藪となった地。
飛び跳ねているのは、土の中の筍を調べているのだろうか。それらが完全に消滅したことを確認したかごめは、
「……ふふん」
と、満足げに声を漏らした。
他の猟兵たちが向かった先へと意識を向け歩み始めたかごめは、ふと立ち止まり目を瞬かせた。
「む、ここまでの絶景であったとは」
視界いっぱいに映るは、芝桜の原。
青の空の下、鮮やかな紅の色。白、紫と、彩り豊かな海原のよう。
「戦いに夢中で気付かなかったでござる」
絨毯のように広がる芝桜の景色の中を歩くかごめは茶屋へと辿り着くと、暖簾をくぐった。
「たのもう」
「はい、いらっしゃいませ。猟兵さん、お疲れさまです」
ぺこりと看板娘の一人「ねい」がかごめを出迎えた。改めて礼を言われ、こくりとかごめは頷いた。
「とりあえず、茶と団子を所望致す」
「あい、あい。どちらにしましょう」
むむ、と悩むかごめ。お茶は飲みたい。熱いの。煎茶だろうか。
選んだ串団子は、みたらし団子とよもぎ団子のあんこかけ、そしてきなこ団子。
みたらしの団子は火で炙ってくれるらしい。茶屋で食べることにしたかごめは、ねいに外の縁台へと案内された。
開け放たれた畳の部屋に通じる縁台に座り、先に出された、ぬるい湯呑を持ち、ぼーっと眺め待つ。
ぬるい茶で喉を潤し終わった頃に、熱い煎茶と団子がきた。
「ありがたく頂戴するでござる」
「ごゆっくり」
確りとしたよもぎの味、きなこ団子はほんのりと甘く、擦った黒胡麻が和えられていた。
みたらしは少しだけ焦げ目がついていて、甘味の中に香ばしさが在る。
それらを熱い茶でいただけば、残っていた戦意もゆるゆるとほどけた。
芝桜の原の香りは甘く、ややぬるくなった湯呑を持ち、再びぼーっと景色を眺めるかごめ。
「――それがしもエルフ故、こうしているだけで目の前の芝桜から、色々なものを感じ取ることが出来る」
風に揺らぐ、花擦れの奏で。
さわさわ、しゃらしゃらと唄い騒ぐ花たちは楽しげだ。
エルフの耳をすませば、花たちの声が届くよう。
黒い瞳がぼんやりと揺らげば、花たちは陽光を弾き、花の海原で躍らせる。
湯呑を持つかごめの指先がぴくりと動いた。
あるいは、と心の中で呟く。続く言葉は、言霊に。
「それを伝える方法として、生け花を始めたのかも知れぬ」
ぼんやりと呟いて、ぱちぱちと目を瞬かせて、盆に湯呑を戻したかごめは再び手を合わせての御馳走様の礼。
ぴょんと縁台から降りて、ねいへと盆を渡しに行く。
「ああ、そのままで良かったですのに。ありがとうございます。
猟兵さんは、これからどうされるのです?」
何かやりたいことがあるなら、とねいが告げようとするのだが、かごめは首をゆるりと横に振った。
「今日はお休みでござる」
ゆっくりしたいのだと伝えれば、柔らかくねいは頷いた。
「腹ごなしに歩いて来るとするでござる」
そう言って外へと出たかごめ。
そろそろ八十八夜。サムライエンパイアは安定した気候を迎え、立夏となる。
初候、蛙始鳴。
ふと「うちの蝦蟇」のことを思い出す。
まあ、それよりも、だ。
ゆるやかに、たまにははやく。芝桜の原を歩くかごめ。
「忍者は歩かないと駄目になるのでござる。にんにん」
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
【かんさつにっき】
ミツ、お茶屋から眺める景色、どこがおすすめ?
一面の芝桜にうっとり
あたたかい風も気持ちいいね(目を細めて)
ね、外いこ?(そわそわ)
芝桜を摘んでうさみみメイドさんに一輪どうぞ
まつりんも(ふわ耳の横に一輪さして)
小太刀、真琴、さとにも。
残りは塩漬けにして
来年に来るまでは香りでお花見
次の春が楽しみね
ポノの姿を見たら声かけて
すてきな花畑に連れてきてくれてありがと
うさみみメイドさんがお礼のお花を差し出してたら
頭に花の冠がのっかって
真琴が作ったの?
ありがと、かわいいね(うれしそうに)
皆の声が子守唄みたいで芝桜のお布団も心地良いから
しらないうちに眠ってしまいそう
サト、膝借りるね?
ありがと
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
ミツさんお団子10本!
…あと、しば漬け有りますか?
ほらほら祭莉ん
お鼻に餡子が付いちゃうよ
サトも和菓子好き?
うん、お茶と一緒だと一層美味しいよね
芝桜の練り切り可愛い
じゃあ、このお団子と交換で♪
真琴にもはい♪
戦闘中に見つけてびっくりしたけど
一緒にお花見出来て嬉しくて
べ、別にはしゃいでないってば!(目逸らし
杏のお花を髪に挿し、お礼にお団子を
ありがとね
そうだオジサンにも飾ってみよう
私もお団子もう一本…あれ?
空の皿から視線を上げれば
もぐもぐしてるオジサンがニヤリと笑って消えたとさ
こら、全部食べるな!逃げるなー!
全くもう(溜息一つ、でも笑顔
あ、ポノだ!お疲れ様
お団子食べ…しば漬け食べる?
木元・祭莉
【かんさつにっき】で!
あれ、コダちゃんどうしたの?
え、真琴? この子? えー、赤ちゃんじゃなかったっけ??
わわー、おいら覚えてる?
ほら、コダちゃんにピーマン食べさせようとして、殴られてた!
そっかー、大きくカワイくなったんだねえー♪(ニコニコ)
アンちゃんは、サトちゃんとのんびりしてるね。
のんびりお昼寝してる人も多いしー。
うん、ホント、平和っていいよねー♪(ニコニコ)
おいらは、うさみん☆とウサおじさんと一緒に、お団子食べるんだー!
おミツちゃんとポノちゃんも、一緒にどお?
え、お花の方が美味しそう? そっかなー?(じー)
芝桜の塩漬けって、しば漬けっていうの?(信じた)
へえー、じゃたまこにお土産ーっ♪
琶咲・真琴
【かんさつにっき】
お茶も和菓子も大好きですっ!
家ではよくお母さんが用意していましたし
サトさんもこんにちは
皆でお茶をするともっと美味しくなりますよね
でも、ビックリなのです
まさかまつりん兄さん達と一緒に依頼にいたなんて
え、まつりん兄さん
ボクが赤ちゃんの時に会っているのです?
全然覚えてない…
杏姉さん、どうしましたのです?
あ、芝桜
ありがとうなのです
じゃぁ、ボクは姉さん達に花冠をプレゼントしますね
勿論、杏姉さんのうさみみメイドさんにも
お祖父ちゃんたち(familia pupa)も楽しそうで何よりです
姉さんが楽しそうで何よりなのです
ふふ、そういうことにしますね
ボクも、姉さんたちと一緒で楽しいです♪
駒鳥・了
【かんさつにっき】にお邪魔してます
皆さんはオブリビオンさんのお片付けおつかれさまでした、と
ええと……皆さん、幼馴染みなんでしょうか
のんびり景色を眺めて
骸の海って綺麗なものは何もないのかな……とぼんやり
は。和菓子はとても美味しいです
芝桜のかたちの練り切り、半分たべますか?
抹茶を飲んだ後に食べると舌先に残ったお茶と混ざって
また味わいが変わるの、とても面白いです
問題は小さいということですね
もっと大きいのがあれば……
普通にもうひとつお願いして、ずっと動いている杏さんへ持っていきましょう
あちらこちら行くよりも
景色の良い木陰で皆さんを眺めてます
杏さんは眠っても良いですよ
膝、貸しますか?
ちゃんと起こしますね
「サト」
杏が駆け寄った先には――茶屋の軒下に、駒鳥・了(I, said the Lark・f17343)。
「オブリビオンさんのお片付け、おつかれさまでした」
「ありがと。うん、たくさんがんばった」
了(サト)の言葉に、ほわりと微笑み応える杏。
合流した矢先、ふと、別方向へ顔を向けた小太刀は、ちょっと待っていて、と離れた。
「どうしたのかな?」
「わからない、ね」
きょとんとする祭莉と、かくんと首を傾ける杏。茶屋の軒先で待つこと数分。
戻ってきた小太刀は、灰色の髪の子供を連れてくる。
「コダちゃん、どうしたのー?」
「真琴がいたのよ!」
祭莉が問えば、聞いてよ! という風に小太刀が言う。
「え、真琴? ――この子??」
小太刀と真琴と、交互に見る祭莉は驚きの表情。一度小太刀を見上げた真琴は、三人に向かってぺこりとお辞儀をした。
「えー、まえに会ったときは赤ちゃんじゃなかったっけ??」
これっくらいの、と祭莉が腕で抱えるしぐさをしたあと、真琴の顔を覗きこむ。
「わわー、おいら覚えてる?」
「ええっと……ボクが赤ちゃんの時に会っているのです?」
全然覚えていない……と眉を顰めて、考える真琴。
「ほら、コダちゃんにピーマン食べさせようとして、殴られてた!」
『こだちゃん、あーん!』
『ピーマン、いっっやー!!』
あのときは痛かったなぁ~と言う祭莉に対し、そんなことあったかしら、と目を逸らす小太刀。
「そっかー、大きくカワイくなったんだねえー♪」
祭莉のニコニコ笑顔を見て、真琴はこくこくと頷く。大きく、強くなった。
「ええと……皆さん、幼馴染みなんでしょうか」
やり取りを見守っていたサトの言葉に、「そうなの」と杏が頷く。
「弟の真琴です。いつも姉がお世話になっています」
サトに向かって、改めてお辞儀をする真琴。
所作は七歳思えないほどに洗礼されている。思わず感嘆の息をもらしたサトは、ゆっくりと礼を返した。
●
「ミツさん、私、お団子十本!」
「はぁい、どちらにしましょうか~」
「うぐ、けっこう種類あるのね」
小太刀が元気よく注文すれば、ずらっと書かれたお品書き。
団子だけでも、きなこ、よもちあんこのせ、みたらし、三色とよりどりみどり。
五人でわいわいと悩み選ぶ時間は賑やかだ。しばし時間をとったのち、改めて小太刀が注文。
「はい、ご注文の品はお持ちしますので、お好きな場所でお待ちください~」
ミツの復唱を聞いて、子供たちが選んだ甘味と茶を用意するべく店の奥に向かう店主。
好きな場所、と聞いた少年少女たちは、きょとんとする。
「ミツ、お茶屋から眺める景色、どこがおすすめ?」
「あっ、そうですね~。
お店から出て左手に、丘に沿って作られた石垣があるんですよ。そちらお勧めですよ」
杏が問えば、ミツが左の方へ手を伸ばし言う。その時、あ、と小太刀が軽く挙手した。
「……あと、しば漬け有りますか?」
「しば漬けですか? ありますよー」
漬物単品も、ある。
が。大体軽食に添われるらしく、
「折角なので持ち帰り用おむすびもご用意しますね。本日中にお召し上がりください」
思いもよらず、おむすび入手する子供たち。すぐに出されたそれは竹皮に包まれている。十個。
「ね、外いこ?」
そわそわする杏が言えば、駆けていく祭莉。――外の縁台に座る銀髪のエルフの女性と目が合い、にぱっと笑って多く貰ったおむすびを渡す。
「えるふのおねーさんにも、はいっ、どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
駆けて行く祭莉と小太刀。後に続くサトと杏そして真琴が振り返り小さく手を振ると、エルフの女性は微笑み手を振り返してくれた。
石垣の芝桜は、鈴なりのように。
すぐによじのぼれる高さの石垣に座るのは、小太刀と祭莉、隣り合うように樹木が影を落とす場所には、真琴とサト、そして杏。
少年少女たちの視界いっぱいに映るは、芝桜の原。
青の空の下、鮮やかな紅の色。白、紫と、彩り豊かな海原のような風景。
のんびりと景色を眺めるサト。凪ぐ風は甘い香りに満ちている。
(「骸の海って綺麗なものは何もないのかな……」)
と、ぼんやり。骸の海から変異し生まれるオブリビオン。
この「時」もまた過去へと流れていくのだが、恐らく、綺麗なものは綺麗なものとして、海に留まるのだろう。
そういったものが積み重なった海はどんなところなのか――。
その時、ミツが大きな盆を持ち、団子と茶、そして繊細な形の和菓子を持ってきた。
みんなでいただきますをして、それぞれを手に。
「お団子おいしー♪」
串団子にかぶりつき勢いよく食べる祭莉を見て、苦笑するは小太刀。
「ほらほら祭莉ん。お鼻に餡子が付いちゃうよ」
サトが持つ小皿の上には、芝桜の形の練り切りが咲いている。
「とても美味しいです」
ほわ、と微笑むサト。
「半分たべますか?」
「芝桜の練り切り可愛い――じゃあ、このお団子と交換で♪」
小太刀とサトが交換する様子をどこか懐かしそうに眺める真琴。
「お茶も和菓子も大好きです。家ではよくお母さんが用意していましたし」
そう言えば、姉がうんうんと頷く。
「それじゃあ、久しぶりに。真琴にもきな粉団子を、はい♪
杏にはみたらし団子ね」
「ん
。……、……おいしい。香ばしいね」
みたらしの団子はほんのり炙られていて、美味だった。
団子を手渡す小太刀はとてもニコニコとしていて、真琴は嬉しそうに目を細めた。
「姉さんが楽しそうで何よりなのです」
「! べ、別に、はしゃいでいるわけじゃ、ないのよ!」
戦いの中で真琴を見つけて、一緒にお花見が出来て楽しいだなんて――。もごもご。
「ふふ、そういうことにしますね。ボクも、姉さんたちと一緒で楽しいです♪」
「だ、だから~~」
ぷいっと顔を背ける小太刀の耳は赤い――と、何やら言いたげな鎧武者のオジサンと目が合って、口をぱくぱくとさせた彼女はおじさんの口に団子を突っこむ。
「あ、そうだ! はい、どうぞ」
と、祭莉はうさみみメイドさんにお団子を、オジサンにおむすびを供えて。
とても自由に、思い思いに過ごす子供たち。
「抹茶を飲んだ後に食べると舌先に残ったお茶と混ざって、また味わいが変わるの、とても面白いです」
「あ、本当ですね。――皆でお茶をしていて、美味しいなと感じていたのですが、もっと美味しくなりました」
甘味と抹茶と、堪能するサトと真琴。甘い練り切りの多様性に魅せられる。
お腹も落ち着いたのか、杏は芝桜を摘みお盆にのせていった。
濃い紅色、薄い紅色、薄い桃色、紫――あっちの白い芝桜。
お団子を持つうさみみメイドさんの胸元に挿し、
「まつりんも」
石垣に座る兄に言えば、前傾し頭を下げてくる。
ふわふわもこもこな耳の横に白を一輪挿して。双子の兄はえへへと八重歯を覗かせた。
そのまま杏は真琴のさらさらとした髪に、薄い紅色を。
「杏姉さん、どうしましたのです? ――あ、芝桜」
手で触れた真琴が微笑む。
「ありがとうなのです」
「サトにはこっち」
「桃色ですね。ありがとうございます」
どこかくすぐったそうに笑むサト。
小太刀には濃い紅色を。
「ありがとね」
これでいいかな、と満足気に皆を見た杏は、ちょんちょんと肩をつつかれた。鎧武者の霊・オジサンだ。
「そうだオジサンにも飾ってみよう」
と、小太刀が言ったので、紫色の芝桜をうさみみの横に。
お礼に、と真琴から、杏は三色の団子を貰った。
盆にはまだ芝桜が残っているが、これは塩漬けにするつもりだ。
「来年に来るまでは香りでお花見。次の春が楽しみね」
まずは少し乾かす――そのために、日向へと盆を置いて、杏は芝桜を丁寧に並べていく。
そんな少女の傍に寄ったサトは、手をかざす。
双子の兄とお揃いになるように、白の芝桜を挿せば、杏と目が合って微笑み合った。
(「練り切り……もうひとつお願いして、ずっと動いている杏さんへ持っていきましょう」)
そんな少女のために、サトはミツへと甘味をもう一度頼めば、
「あ、おかわりですか~? お団子もつけちゃいましょうね。と、熱いお茶とお抹茶ですよぅ」
思ったよりもたくさんのものを頂いてしまった。
「皆さん、食べ盛りですし、大丈夫ですよね」
「たくさん食べて大きくなってくださいねー」
と、サトとミツがうんと頷き合って。
「うん。たくさん食べて、おいら大きくなるよー。おミツちゃんも一緒に食べよう!」
祭莉がにぱっと笑顔で言えば、じゃあ一本だけ、ご一緒させてくださいね、とミツは言った。
ゆっくりまったり。
お団子をもう一本……、と小太刀が手を伸ばせば、空振った。
「……あれ?」
皿は空になっていて、あれ、確かにもう一本あったはずなのに、と小太刀が顔をあげれば、もぐもぐしているオジサン――ニヤッと笑って、しゅっと消えた。
「こら、全部食べるな! 逃げるなー!」
とんずらであった。
「全くもう……」
溜息一つ、けれど小太刀は笑顔だ――と、一人の少女を見つけて手を振った。
「ポノだ! お疲れ様!」
「お疲れ様ー、楽しんでいるかしら?」
猟兵たちの様子を見に来たのだろう、ポノが手を振り返し側に来る。
「すてきな花畑に連れてきてくれてありがと」
杏の言葉とともに、うさみみメイドさんが花を差し出せば、ちょっと照れくさそうに「ありがとう」と、ポノが受け取った。
その時、杏の頭にそうっと、色とりどりの花の冠。
振り返れば真琴。
「プレゼントです」
お返しなのです、と自身に挿す花を指差して、真琴はにっこりと微笑む。
「真琴が作ったの? ありがと、かわいいね」
ぱちぱちと瞬く杏は、うれしそうにはにかんだ。
「まだまだ作りますよ。待っていてくださいね。サトさんの花冠は、紫色を多くしてみましょう」
挿した薄めの桃色が映えるように。
一方。
「ポノちゃんも一緒にお団子どお?」
「そうそう、お団子食べ……――……しば漬け食べる?」
祭莉の言葉に続いた小太刀、途中でハッとして言い直す。団子もう無い。戦犯・オジサン。
「しばづけ?」
「しばづけ……」
ポノと、祭莉もまた不思議そうな顔をして杏の方を見た。いま塩漬けのための芝桜を選んだり、干したり、花びらだけにしたり――あんまりよく分かっていない少年は、ぽんと手を打った。
「芝桜の塩漬けって、しば漬けっていうの?」
「へえそうなんだー」
信じる二人。
「へえー、じゃたまこにお土産ーっ♪」
小太刀は一体どこで口を挟むべきか――悩み、そして思った。やはり戦犯はオジサンだ。食べ物の恨みならぬ呪い発動。
しば漬け(本物)は美味しくいただきました。
皆への花冠。
うさみみメイドさんにも小さく花冠を作って。
次に真琴が作ったのは、鎧武者の霊のオジサンに。けれど彼はもう去ってしまっていたので、お供えとして置かれていたおむすびの横に置く。
「ふう、黙々と作ってしまいました」
もう少しお土産にしてみるのも良いかもしれない。
祖父と祖母のfamilia pupaがふわふわと、心地よい風の中飛ぶ。
「お祖父ちゃんたちも楽しそうで何よりです」
真琴の腕の中に降りてきた「二人」を抱きしめ、姉のもとへ。
ふかふかとした絨毯のような芝桜。
その前にいた杏は眠気を誘われる。
陽射しも、触れる花も心地良く、皆の声が子守唄のようにも聞こえて。
景色の良い木陰で皆の様子を眺めていたサトは、そんな少女に気付き、声を掛ける。
「たくさん頑張っていましたね。
杏さんは眠っても良いですよ」
目を擦りながら近づいてきた杏は、すとんとサトの前に座った。
「膝、貸しますか?」
こくりと頷く杏の頭に手を添え、寝かせる。
むにゃむにゃとするなか、小さな「ありがと」がサトの耳に届く。
「どういたしまして――ちゃんと起こしますね」
あたたかなぬくもりを分け合って。
サトは呟く。
「本当に、子守唄のようですね」
皆の声も、風に動く花擦れの奏でも。
この「時間」すらも――優しい子守唄であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シリン・カービン
幼い猟兵たちの歓声に目を細めながら、
茶屋で甘酒を頂きます。
「この国は、美しいですね」
一面の芝桜を楽しみながら
茶屋の主やミツと言葉を交わします。
サムライエンパイアのこと。
自分の郷里、深い森のこと。
ゆったりと流れる時間の中で、
何と言うことのない会話を楽しみます。
ふと、かつて冒険を共にした、
花を食む大蜥蜴のことを思い出しました。
「この花は、あの子たちも好きかもしれませんね」
お子さんが?と問われて苦笑。
異国の冒険譚として、花精から作られる薬に纏わるお話をします。
…私、普段は口数が少ない方なのですが。
ほの甘い酒精に誘われたのでしょうか。
ふふ、今日はもう少し甘味を追加しましょう。
アドリブ・連携可。
ミツに甘酒を頼んだのち、シリンは茶屋の外にある縁台に座った。
精霊猟銃を立てかけ、深呼吸すれば胸いっぱいに甘い香りが満ちるよう。
彩り鮮やかな芝桜の原は、お日様の陽射しを弾くように、キラキラと輝いている――シリンの見る世界では光そのものが踊っていた。
茶屋の中からは幼い猟兵たちの賑やかな声。細めたシリンの目は、柔らかく、優しげだ。
と、外に飛び出してきた、人狼の耳を持つ少年と目が合い――彼はにぱっと笑む。
そして何かを差し出してきた。
「えるふのおねーさんにも、はいっ、どうぞ!」
ぱちぱちと目を瞬かせるシリン。
「あ、ありがとうございます」
受け取った何かはかさかさと――竹の皮に包まれたおむすびだ。
手を振る少年少女へと手を振り返していると、ミツが甘酒を届けにきた。
「お待たせしてしまって、すみません」
「いえ、良いのです。ありがとうございます」
あたたかな甘酒を口に含めば、ゆるゆると戦意もほどけていく。
花の海原に、風に奏でられる花擦れの音色。
とてもとても穏やかなひと時だ。
子供たちに茶や甘味を届けたミツが戻ってくる。
「この国は、美しいですね」
シリンの言葉に、ええ、と頷いたミツが芝桜の原へ顔を向けた。
「冬の光景も好きですが、彩り豊かな春も好きなんです」
夏も、秋も。
「暦が二十四もあるのですか」
「ええ、その中でもっと細やかに分かれているんですけど――ちょうど今は、八十八夜って呼ばれる時ですね」
唐突な霜も降らず、安定した気候となる境目。
アックス&ウィザーズも自然と共に生きる世界で、サムライエンパイアもまた然り。
シリンもまた、自分の郷里のことを話す。深い森のこと。
森に住み、精霊と共に生き、森から糧を得る暮らし。
ゆったりと流れる時間の中、この世界のこと、郷里のこと、何ということのない会話を交わす。
ふと、シリンはかつて冒険を共にした「彼ら」のことを思い出す。
「――この花は、あの子たちも好きかもしれませんね」
「あら、お子さんがいるのですか?」
ミツは、やわらかなシリンの声と表情を見て問う。
苦笑したシリンは首を振り、「いいえ」とこたえた。
「花を食む大蜥蜴のことを思い出したのです」
「蜥蜴さん、ですか?」
「はい。彼らと会ったのは、花精から作られる薬のことを調べていた時のことだったのですが――」
シリンの語るそれは、異国の冒険譚。ミツは目を輝かせて聴き入る。
「蜥蜴さんたち、とても可愛いですね。そして頼りになります」
ミツの言葉に頷くシリン。彼女のひとときの相棒となったトーガは元気だろうか、と。
そして再び甘酒をもう一度――と、いつの間にか、杯は空に。
「……私、普段は口数が少ない方なのですが――ほの甘い酒精に誘われたのでしょうか」
花の海のなか光が踊って。
キラキラとしたもののなかで、緑の瞳もまた揺らいで。
遠い郷里は、すぐそこだったかのように。
少し前のことは、もう懐かしい。
「ふふ、今日はもう少し甘味を追加しましょう」
そう言って、シリンは遠くて近い、近くて遠い「時」に思いを馳せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵