花卵と春兎のヴァルディ
●レジュレクシオン
世界に溢れるパステルカラー。
甘い花の香りに、温かな風。春が世界に運ばれれば、世界が復活する日の訪れ。
さあ、春をお祝いしよう。
溢れる生命を象徴するお菓子と動物と戯れる。そんな賑やかで浮かれた春のお祭りを開催しよう。春の象徴たる花々の中、子供達が春を見つける日が来た。
――春の象徴の中に、邪な存在が混じっている事にはまだ誰も気付いていない。
●カラフル・エッグの危険
春の訪れ。それを日に日に強く感じるようになった。
「世界はどこも春ですね。灰色の世界が色付いて、ワクワクします」
桜と苺――春を纏う少女、ラナ・スピラエア(苺色の魔法・f06644)は楽しそうにそう言葉を紡いだ。けれどすぐに、その瞳には真剣さが宿る。
「寒い冬から春になって、浮かれている人も多い時期です。今日は、1つの村のお祭りに行って欲しいんです」
それはつまり、今回の依頼についてのお話。
舞台はこの時期らしい、春の訪れを祝うお祭り。
だが、お祭りといっても小さなもので。近くのチューリップ庭園の中に隠した、色とりどりの卵を探し出すと云うもの。宝探しみたいな感じだが、その難易度自体は高くない。
では、このお祭りの何が問題なのか?
それは――その庭園内に、オブリビオンが紛れ込んでいるから。
「敵は卵そっくりな見た目をしていて、普通の人では気付かずに襲われちゃいます」
だからその前に、猟兵達が赴き全ての敵を倒してきて欲しいと。そうラナは語る。
卵が眠るのは、大体チューリップの根元辺り。道から手が伸ばせる程度の距離感なので、花々を傷付ける事無く手にする事が出来るだろう。
出来れば戦いでも被害は抑えて欲しいが、そこは必須ではない。
なにより優先すべきなのは、敵の撃破だ。
「全て終わったら、この村で人気の動物。『雲うさぎ』さんと遊んではどうでしょう?」
雲うさぎ――珍しいその名の正体は、ふわふわと柔らかな毛を持つまん丸の兎。
その手触りはふわりと多くの空気を含んで温かく、まるで雲のようだと語られる。
ちょっと警戒心が強く、人が近付くと膨れ上がってふわふわと浮いてしまう。あまり高さは出ないようだが、飛ばされないようにと注意をしてあげる必要があるだろう。
だが、少し一緒にいれば簡単に懐いてくれる。
どのように彼等と過ごすかは、猟兵達の自由だ。
沢山遊んでも良いし、草原で一緒に寝転んでも良い。美味しい物を共有しても良いだろう。その選択は、各々の数だけあるだろうから。
ご褒美について語ったところで、ラナは何かを思い出しぱちりと瞳を瞬く。
「卵を見つけると。後で美味しい卵のプリンが貰えるそうですよ」
両手を合わせた後、思い出したかのようにラナはそう付け足した。
可愛らしい卵形の容器に入ったプリン。とろとろにとろける食感と、ぷりんっとちょっぴり固めの物の2種類が用意されている。
別添えのフルーツソースは苺にマーマレード、キウイの3種類から好きな物を選べる。
このお菓子が子供達へのご褒美なのだろう。その証拠に、容器には様々な模様が描かれている、この日の為に用意したとびきり素敵なお菓子。
「普段は子供達優先みたいですけど、今回はきっと皆さんも貰えますよ!」
それが、村の人からのご褒美になると云うこと。
折角だから、庭園から目一杯楽しんで来て下さい。
楽しそうに笑いながら、ラナは猟兵達を送り出す。――お仕事を忘れなければ、他をどのように過ごすのかは。猟兵達に委ねられるのだから。
公塚杏
こんにちは、公塚杏(きみづか・あんず)です。
『アックス&ウィザーズ』でのお話をお届け致します。
●シナリオの流れ
・1章 集団戦(ランダム・エッグ)
・2章 ボス戦(幻惑喰いの大花)
・3章 日常(草原の雲『雲うさぎ』)
『POW/SPD/WIZ』の行動については、あくまで一例程度に考えてください。ご自由に、自身のキャラらしさを意識して頂けると嬉しいです。
●1章について
舞台は満開のチューリップ庭園の中。
チューリップの種類も色も様々です。現実に無さそうなものも。
人の通れる道から、手が伸ばせる範囲にのみ卵があります。
カラフル卵は掌サイズ。様々な模様や花飾り、リボンの装飾されたものなど。色々あります。お好みのものを考えて頂ければ嬉しいです。
●3章について
草原で雲うさぎと戯れることが出来ます。
ふわふわもこもこ、雲のようにふかふかな手触りの不思議なうさぎ。
臆病で人が近付くと警戒して膨らみます。風船のように空へと浮かび、ぷかぷか一定の高さまで上がります。
優しく接してあげれば次第に懐いていきます。そんなに難しくないです。主食はわたあめ。
雲うさぎを遠くから眺めているだけ。ピクニック。というのもOKです。
1章の舞台で卵を手に入れていた場合、プリンが貰えますが。参加していなくてもプレイングに貰う事を書いて頂ければ、参加したものとして扱います。
こちらのみ、お誘いがあればラナがご一緒させて頂きます。
●その他
・同伴者がいる場合、プレイング内に【お相手の名前とID】を。グループの場合は【グループ名】をそれぞれお書きください。記載無い場合ご一緒出来ない可能性があります。
・途中からの参加も大丈夫です。
・許容量を超えた場合は早めに締め切る、又は不採用の場合があります事をご了承下さい。
・受付や締め切り等の連絡は、マスターページにて随時行います。
以上。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
第1章 集団戦
『ランダム・エッグ』
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POW : いないヨ!ここにはいないヨ!
自身と自身の装備、【殻から出ている体の一部が触れている】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD : これでもくらエ!
【高速で飛ばされた卵の殻】が命中した対象を切断する。
WIZ : 助けテ!
自身が戦闘で瀕死になると【自身が擬態していた生物の成体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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●思いやりの花
鮮やかな赤、黄、紫、白――。
色彩豊かな花々が並び、風に吹かれゆらゆらと揺れる。
温かな風は、春の香りを運びこの場を包み込む。
春の到来を告げるように、咲き誇るのはチューリップの花々。色も形も様々なその花は、一体どれだけ植えられているのだろう。遠く遠く、続く景色はとても美しい。
こちらに咲くのは、淡いピンクから黄色へと花弁が変化している。その隣の花びらは、まるでフリルのように華やかに重なり合っている。
どこの下に、新たな生命を象徴する卵が眠っているのだろう。
可愛らしい花模様の物が良い。リボンの結われた、華やかな装いの物が良い。こちらは輝くビーズが飾られた、どこか高貴な物が。
それは全て、子供達に。そして、祭りを楽しむ人々の為に。
村の者が心を込めて手作りした物ばかり。
揺れるチューリップの元、手にした人が笑顔になってくれますように――そんな願いが込められているような、温かな物。
だからこそ、その笑みを壊す存在は似つかわしくない。
パキリ、何かが割れる音がしたかと思えば。チューリップの下に転がる卵から、何者かの足が覗いていた。ゆらゆら、様子を伺うように揺れる足。
外の様子を伺っているのだろうか。けれど、相手はそれ以上は外に出ようとはしない様子。彼等はあくまで『卵』として、何かを待っているようだ。
雨糸・咲
色も姿も様々の花たちは、まさに春の彩
華やかさに目を細めつつも気は引き締めて
黄色や赤の花も綺麗ですけれど…
ふと気になったのは、白と明るい紫が入り混じる一角
…にせもの卵さん、見つけましたよ
そろりと掻き分けた花の根元に、何やら足のようなものが突き出た奇妙な卵
第六感、見切りで攻撃を避け
高速詠唱で呼び出す、小太刀を手にした椿の娘
お花や本物の卵を傷付けないよう気を付けながら
一体ずつ着実に仕留めていきます
先ほどにせ卵が潜んでいた近くを改めて見ると、
春らしい若葉色に空の青で鳥が描かれ
白い小さな花が飾られた卵を見つけ
…綺麗な青い鳥さん
私にも、しあわせを教えてくれますか?
微笑み、小さな春を手に
※アドリブ・絡み歓迎
●
温かな春の風が、雨糸・咲(希旻・f01982)の群青色の髪を宙へと舞わせる。
風に揺れる色とりどりの花――チューリップの、春の彩に思わず胡桃色の瞳を細めて、どこか心地良さそうに彼女は笑う。
色も姿も様々で、散策するだけで心が躍る。けれど今はお仕事の最中。気を引き締めよう、そう想い真剣な色を宿す瞳が追うのは、やはり花々。
黄色や赤の花もとても美しい。けれど――咲が特に気になったのは、白と明るい紫が混じる一角。軽い足取りで近付けば、彼女は話に聞いていた通り根元を覗き込む。
密集する茎を、傷付けないようにと細心の注意を払いながら。そっと掻き分ければ。
「……にせもの卵さん、見つけましたよ」
小さな声で、咲は零す。
その眼差しの先には、ひとつの卵が。けれどその卵は可愛らしい装いでは無く、何やら鳥らしき足が覗いている。敵は彼女の言葉に返事をするように、足をゆらりと揺らす。
これが話に聞いていた敵なのだと、それは一目瞭然。
だから咲は真白い狐姿の精霊を杖へと変え、臨戦態勢へ。パキリ、音を立てたかと思うと、敵は卵の欠片を咲目掛けて放った。
それはただの欠片とは思えぬスピードと鋭利さを持つ。
寸でのところでかわすと、少女は素早い紡ぎで呪文を唱え椿の精を呼び出す。
雪白の娘は小太刀を光に煌かせ、1体ずつ的確に殺める――辺りを傷付けないようにと云う咲の想いに応えて。
パキリ、パキリ。響くのは卵割れゆく音。
その後に残るのは、春の情景だけ。敵が消えるのを確認し、咲は茂みを覗き込もうと。髪を耳に掛けてしゃがみこんだ。じっと、奥の少し影になっている所を探してみれば。
「……綺麗な青い鳥さん」
宝物を発見したように、ふわりと表情を和らげる咲。彼女の手に取った卵は、春の若葉色に空色で鳥が描かれた。幸福溢れる卵だった。白の小花が散りばめられているのが、春らしさを強調しているようで、咲の心も春の陽気のように温かくなる。
「私にも、しあわせを教えてくれますか?」
小さな春を手にすると、少女はふわりと微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
瑞枝・咲耶
ご友人の東雲(f00865)様と
ちゅうりっぷというのですね
百合に似ているけれど、とても色鮮やかで美しい
しゃがんでチューリップを眺めれば卵が見つかるかも知れません
【失せ物探し】は得意なので【第六感】頼みですけれど
どの卵が好みかと訊ねられれば手に取るのは白地に花や青い鳥が描かれた卵
絵本のように淡くて優しい色がとても可愛らしくて気に入りました
ふふ、東雲様の卵も可愛らしいですね
笑めばひょっこり生える手足
……あら?ひよこが?
一瞬ぽけっとするけれど怪異、ですよね?
ふたりして狼狽えながらも広い場所へ
春の陽気に誘われて、ひなたぼっことかでしょうか
東雲様が矢を射るのであれば桜で怪異を流(かく)してしまいましょう
東雲・咲夜
おともだちの咲耶ちゃん(f02335)と
うちとおんなじ名前やさかい
さっちゃん、呼びますね
わぁ…色とりどりのチューリップがぎょうさん!
遠くまでカラフルやし、まるで絵画みたいやね
まぁるいものとすらっと細いものと
個性があって楽しいわぁ
さて、第六感で卵さんを探してみましょか
あっ…見て見て
拾い上げた卵は夜空にお月様の柄
レースのマスキングに小さいパールまでついとるん
さっちゃんはどれがお好み?
やぁらかい色合い、さっちゃんらしくてかいらしいなぁ
にょきっと生えた手足に狼狽え
お花たちを傷つけへんよう
開けた場所に連れていきます
この子らここで何してはるんやろね?
様子を窺いつつも
害が及ぶようなら天羽々矢で射貫きましょう
●
春の風に揺れる、色とりどりの花々。
「わぁ……色とりどりのチューリップがぎょうさん!」
水底のような青い瞳を輝かせながら、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)は視界に溢れる春色に楽しそうに笑みを浮かべる。
視界の奥まで広がるカラフルな花々。まるで絵画のような景色が今目の前に。
「ちゅうりっぷというのですね」
嬉しそうに声を上げた咲夜の言葉を耳にし、ぱちぱちと春色の瞳を瞬いた瑞枝・咲耶(名残の桜・f02335)は、どこか物珍しげに花を見遣る。
世間に疎い彼女にとって、今目の前に咲き誇る花は初めての対面。彼女の知識の中では百合の花に近い気がするけれど、もっと小振りで色鮮やかで美しいと。素直に思う。
お互い、桜色の長い髪が地面につかないように細心の注意を払いながら。じっと覗き込むのはチューリップの根元――探し物が眠っていると聞いた場所だった。
「あっ……見て見て」
先に見つけたのは咲夜のほう。白い袖を汚さないようにと、抑えながら手を伸ばした彼女の手にしたのは、夜空色にお月様の柄が描かれた夜の卵。星空のような小さなパールが散りばめられ、レースのマスキングで可愛らしく仕上げた物だ。
「さっちゃんはどれがお好み?」
満足そうに笑う彼女が語り掛ければ、先ほど友がしたように咲耶も手を伸ばしてみる。細い指に触れた卵を太陽の下へ照らせば――それは、白地に花や青い鳥が描かれている。
「絵本のように淡くて優しい色がとても可愛らしくて気に入りました」
ふわりと綻ぶ花のように笑う咲耶。その柔らかい色合いが、咲耶みたいで可愛いと咲夜が笑えば。同じように友も笑う。
春風流れ、さわりと揺れる花の下。
笑みを零し合うのは幸せなひと時だが――視界に揺れる物を感じ、咲耶は視線を移す。
「……あら? ひよこが?」
ひょこひょこ、卵からはみ出る揺れる手足。それは鳥のような足や、不思議な獣の手といった。様々な動物の一部分。
何か分からなくて、きょとんと小首を傾げる咲耶。けれど、それが怪異だと――隣で驚いたのか小さく悲鳴を上げた咲夜の様子で気が付いた。
瞳を交わし、慌てて立ち上がると。2人は一歩、チューリップから遠ざかる。
ころん。転がり、距離を詰めてくる不思議な卵。
そのまま2人は、花から遠ざかり、出来る限り害が無いようにと歩みを進める。
ころん、ころん。器用に転がり、移動する卵だが――そのスピードはとても遅く、2人はまるで散策するかのようにゆっくりとした足取り。
「この子らここで何してはるんやろね?」
「春の陽気に誘われて、ひなたぼっことかでしょうか」
言葉を交わす余裕がある、どこか切迫感の無い2人。そしてその内容も、どこか春めいたふわふわとしたものだった。
けれど戦える場に到着すれば――鈴鳴伴う光の矢と。神楽笛を元とする桜の花びらが敵を、視界を覆い尽くした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アズレト・シュヴァロフ
【WIZ】
ボクにもお手伝いできることがあると思うから。
そう思ってやってきたけれど、これは……その、少し倒すのが可愛そうになるね。可愛そうって思ってしまうのまで、オブリビオンの計算のうちかもしれないけれど。
でも、ごめんね。姿形に悪意がなくても、今を生きる人達に害があってはいけないんだと思う。そうでないと、人は進めないからね
きれいなチューリップも、大地がなければ、咲けないんだよ。
ユーベルコード「鈴蘭の嵐」で自分が分かる範囲で、オブリビオンを攻撃しよう。できるだけ、チューリップも、本当のイースターエッグも傷つけないように。
それで自分が不利になるのもしかたないけれど、それでも、できるだけ世界に優しさを
●
ボクにもお手伝いできることがあると思うから――。
その一心でこの場に訪れたアズレト・シュヴァロフ(オラトリオのクレリック・f11253)は、背に携えた真白の羽を揺らした。
散策を行うように歩く少年が、真白のチューリップの下に眠る卵に気付き青い瞳を瞬く。足を覗かせて、ぱたぱたと揺れる敵の姿を見ると、倒すのは可哀想だと感じる。
けれど、そう想わせることすら敵であるオブリビオンの計算なのかもしれない。
だからアズレトは、決意を込め。卵である敵に声を掛ける。
「でも、ごめんね。姿形に悪意がなくても、今を生きる人達に害があってはいけないんだと思う。そうでないと、人は進めないからね」
花影の下で、ころりと転がる卵。アズレトの声に反応しているのだろうか――正体不明の卵は、そのままパキリと殻にひびを入れアズレトへと欠片を放った。
少年の白い髪を過ぎる鋭い欠片――その欠片を追うように視線を動かした後。戦闘体勢に入っている敵へと向き直ると、彼は手にした武器を天へと掲げる。
光を浴びて輝く武器が一瞬にして姿を変えるのは、鈴蘭の花弁。
真白の花が視界を覆うように舞ったかと思えば、小さな卵たちを破壊していく。パキリと音が響くのを耳にして、どこか悲しそうにアズレトは瞳を伏せるけれど。
「できるだけ世界に優しさを」
出来る限り、世界を傷付けないように。
その想いが、幼い彼の奉仕の一念。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
綾華と(f01194)
ほんとだ!一面チューリップの海だ!
溜息が出る程綺麗
手招きに応えぴょこぴょこと
綾華、何か企んでるな?
ふふ、冗談だぞ
似合うとの言われれば照れつつ
綾華も似合うぞ!と赤い方を指差す
プリンが俺を待ってるのだ
でも1人で食べるのは寂しいから
俺も綾華の卵探すぞ!
うむ、気をつけねば…
のわあーっ!出た!
俺も花は傷つけないよう気をつける
もちろんまかせてくれ!
綾華が引きずり出してくれた瞬間、『雪娘の靴』の蹴りを叩き込む!
あった!綾華にあげる卵
真紅のリボンに、鮮やかな花模様
こつりと頭に何か当たって
正体に気付いたら、ぱっと顔を輝かせ
大切に手のひらで包み込んで
これで二人とも食べれるな
ありがとう、綾華!
浮世・綾華
ヴァーリャちゃん(f01757)と
チューリップきれい
海ネ。ふ、確かに
白いのが並んでるとこ
彼女に似合いそうだと手招き
ぴょこぴょこ来る姿が可愛い
何を企むんだよ
心外とからから
隣にしゃがめば
――似合うと思っただけだよ
ほら、この辺探してみよ?
ぷりん?ああ、貰えんだっけ
俺もヴァーリャちゃんの為に頑張んなきゃな
でも敵にも気を付けなきゃネ
おお、でたでたと冷静に咎力封じで捕縛
花を傷つぬよう注意しつつ道の方へ引っ張り出し
よし、攻撃は頼んだぜ
一生懸命探す彼女の頭の上にこつりと優しく当てる悪戯
――たまご、あったよ
水色のリボンと透き通った石が付いたそれを
あげる、と目を細め
彼女がくれたのが嬉しくて
こっちこそありがとな?
●
「ほんとだ! 一面チューリップの海だ!」
視界に広がる春めく光景に、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)は嬉しそうに笑った。頬を微かに桜色に染め、ほう――と零れたのは感嘆の溜息。
そんな彼女の言葉に、瞳を細めながら浮世・綾華(?美しき晴天?・f01194)は頷きを返す。海、その表現は言い得て妙。
赤い海、黄色い海、紫の海――海の色は様々あるけれど。真白の海が彼女に似合うと想い、綾華は少女を手招きした。小首を傾げるが、応えるようにぴょこぴょこと軽い足取りで招かれるヴァーリャ。じっと、近付いた後彼の顔を見上げて。
「綾華、何か企んでるな?」
菫色の大きな瞳で見ながら、そう呟いた。
その言葉に思わず笑い声を零しながら、綾華は何を企むんだよと。心外、そう呟き少女の柔らかな髪に手を置けば。
「――似合うと思っただけだよ」
笑みを零し、そう語る。
並んでしゃがんでいると、視線も近くて。頬が赤くなったのがよく分かってしまう。だからそれを隠すように、綾華も似合うとヴァーリャは赤い海を指差す。
笑みを殺す綾華とヴァーリャは、白いチューリップの根元を探す。プリンがヴァーリャを待っているから。だから、頑張らなくては。
「でも1人で食べるのは寂しいから、俺も綾華の卵探すぞ!」
キリリとした眼差しで語る彼女は、やる気に満ち溢れている。けれど――此処には彩られた宝物以外にも、邪な卵も眠っていることを忘れてはいけない。
探るように根元に触れていた2人だが、その手に触れるころんとした卵。飛び出た不思議な足が、探るように手を軽く蹴った。
「のわあーっ! 出た!」
「おお、でたでた」
飛び退き、驚きを露にするヴァーリャとは対照的に。しゃがんだ姿勢のまま冷静に言葉を零す綾華。そのまま彼は拘束具で不思議な卵を捕縛すると、花の下からずるりと引きずり出す。小さな卵はたやすく太陽の下へと晒された。
ちらり、綾華の紅瞳がヴァーリャに注がれれば。少女は頷き蹴りを繰り出す。
キラリと輝くのは、靴底に仕込まれた氷の刃。花々に被害が及ぶ可能性があるから、外さないように――注意をして放たれた刃は確かに卵へと命中し、その正体を明かす前に姿が消え失せる。
その戦は、一瞬の出来事。
確かな連携での戦いは、手ごたえを感じた。ふう、と整えるように息を零すと、ヴァーリャは先程ちらっと見えた部分に手を伸ばし――。
「あった! 綾華にあげる卵」
その言葉と共に、少し土の付いた手を天へと掲げる。――それは真紅のリボンが可愛らしく、花模様の卵を包み込んでいる宝物。
そんな彼女の頭に、こつりと何かが当たるのを感じて振り向けば。綾華がひとつの卵を差し出していた。
「あげる」
紅の瞳を細め、そっと差し出される大きな掌の中の小さな卵。
目の前の卵とその言葉に。ぱっと、花咲くように笑みを零すヴァーリャ。――水色のリボンがくるくると踊り、透き通る石が煌く卵はまるでヴァーリャの姿を映したよう。
大切そうに掌で包み込み、じっと卵を見た後。にぱりと嬉しそうに笑う少女。
「これで二人とも食べれるな。ありがとう、綾華!」
「こっちこそありがとな?」
その笑みに返すように、綾華も笑う。――彼女がくれた卵を、大切そうに見せながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カチュア・バグースノウ
イースターエッグ…
卵型って可愛いわよね
ていうか、プリンのために!頑張るわ!
よーし、探すわよ!
チューリップ畑を踏まないように注意しなきゃね
エッグはそうね…
あたしの瞳と同じ色の薄花色がいいかな。なかったら水色で!
あとはリボンが飾ってあって、ジグザグの柄が黄色で描かれてて、ワンポイントでピンクのハートが描かれてるのがいいかしら!
そんな細かいのあるのかしらね…
チューリップの根元を注意して探すわ
ランダムエッグへはアックスソードブレイクで攻撃っ!
攻撃は「武器受け」でガードしていくわよ〜
「第六感」で避けてもいいわね
アドリブ、絡み歓迎
●
「よーし、探すわよ!」
天に向かい拳を挙げ、意気揚々と言葉を零すカチュア・バグースノウ(蒼天のドラグナー・f00628)。卵型の宝物が眠っていると云うのも楽しみだし、この後のご褒美のプリンだって楽しみだから。
風に揺れるチューリップの間に、人が通れる道があるから傷付ける心配も無く安心。真白の長い髪を揺らしながら、カチュアはチューリップの根元を探す。
どんな卵があるだろうか?
そんな事を考えるだけで心は踊る。折角だから自身の瞳とお揃いの薄花色はあるだろうか。後はリボンがあって、黄色で模様が描かれていて――。
「そんな細かいのあるのかしらね……」
そんな期待を高めていると、カチュアの瞳に映るのは薄花色のチューリップだった。
つい足を止めてじっと花弁を見つめ――そのまま視線を下にと移せば、角が飛び出た卵を見つけ瞳を微かに見開く。
その角で卵を割り開けばいいのに、そのままじっと様子を伺う卵。そんな卵に、カチュアは先手を取るように黒い斧による重い一撃を放ち敵を破壊する。
確かに敵が消え失せた事を確認するように、根元周囲を見るように覗き込めば。そこには根元の先の花弁と同じ色の卵が。
腕を伸ばし、日の光に掲げてみるカチュア。それは天辺に青いリボンがくるりと巻かれ、全体の薄花色に走るジグザグ模様は鮮やかな黄色。そしてひとつだけのハート模様。
――そんな、彼女の希望を満たす出会いがあった。
大成功
🔵🔵🔵
明智・珠稀
あぁ、なんと美しい光景でしょう…!(うっとり)
天国はこんな景色でしょうか、ふふ!
様々に装飾された卵も愛らしい…!
この素敵なお祭りを守るために、尽力いたします、ふふ!
■行動
チューリップの根本を注意深く観察
「あぁ、美しい卵達ですね、ふふ!」
「あぁ、この卵の装飾素晴らしいです、描いた方にお会いしたい…!」
などと感銘を受けつつ。
どんなアートも愛おしい。
来年は自分も絵を描かせていただきたいな、などと思いつつほっこり、
しかし真剣に怪しそうなものを調べる
敵を見つけたらUC「青薔薇吐息」で
敵のみを攻撃。
他の花等に被害が出ないように留意
「このすてきな祭りに脅威は不粋ですよ、ふふ!」
※アドリブ、絡み大歓迎です!
●
「あぁ、なんと美しい光景でしょう……!」
淡いパステルブルーの空に、色とりどりの花々。春めく景色を前にして、明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は妖艶な眼差しを細める。
天国はきっとこんな景色だろう。
それ程に美しい庭園内を散策出来るとなると、どこか足取りも軽くなるというもの。花々の中、愛らしい卵を探す。そんな素敵なお祭り守る為に――。
「尽力いたします、ふふ!」
決意込めた彼の言葉は、ふわりと春の風に乗って溶けていく。
彼が歩みを始めたのは、自身の瞳によく似た紫色の花弁が溢れる場。ひらひらと宵色のマントをはためかせながら、そっとチューリップの根元を覗いてみれば。
「あぁ、この卵の装飾素晴らしいです、描いた方にお会いしたい……!」
珠稀がそっと手に取ったのは、ビーズで蒼い薔薇の模様描かれた卵。キラリと光に輝く宝物を、どこかいとおしそうに見つめる青年。
どれも美しい卵たち。様々なアートに感銘を受け、来年は自身も描かせて貰いたいと想いながら。手にした卵を眺めていれば――。
パキリ。
何かが壊れる音が耳に届く。
何かと、根元を覗き込む珠稀。注意深く、油断無く細い眼差しを揺らした先に待つのは。不思議な動物の足を出した卵だった。
それは敵だと、直ぐに察せば。彼は手にしていた紫色の刀身の妖刀を煌かせると、その紫は次第に青に染まり――数多の青い薔薇の花弁へと変化していく。
くるり、宙を舞う花弁は的確に敵を狙い降り注ぐ。
それは近くにいた敵をも探し出し、くるりくるり宙を舞い敵だけを狙い破壊する。
「このすてきな祭りに脅威は不粋ですよ、ふふ!」
殻の壊れる音を耳にしながら、珠稀は口元に指を当てながら微笑んでいた。
大成功
🔵🔵🔵
月居・蒼汰
宝探しって何かわくわくする
…いや、もうそういうのに浮かれる年じゃないって言われたらそうなんだけど
うちにもまだ小さい弟と妹がいるし
子供達のために頑張るのも一応ヒーローっぽい、かな…?
チューリップの鮮やかな彩りに息を呑みつつ
気づけば夢中になって卵探し
可愛いもの、綺麗なもの…と見ていく内に気になって手を伸ばしたのは
きらきらのビーズが散りばめられた、星空みたいな青い卵
これにしようと頷いた所で耳が拾った変な物音
見ればすぐ側に毒々しい色合いの
何か虫の足みたいなのが動いてる、どう見ても怪しい卵が
…見つけた
素早く取れたら取り除いて、そのままラビット・カタルシスで
片手をウサギの頭に変えて、一思いに噛み砕きますね
●
風に揺れる鮮やかな色彩の世界の中、佇む黒衣の青年が。
「宝探しって何かわくわくする」
ぽつり――小さな声で呟いた月居・蒼汰(泡沫メランコリー・f16730)は、もうそんな年ではないと少し困ったように眉を寄せる。
けれど、今回の主役は子供達だと聞いたから。小さな弟と妹がいる蒼汰にとっては、他人事ではない事件。――戦うのは好きではないけれど、そんな子供達のためならば。そう考える彼は、立派なヒーロー。
だから、鮮やかなチューリップの世界に息を呑んでしまっても。
その世界の中、卵を探すことに夢中になるのも。
全てがこの日を楽しみにしていた、子供達の為なのだ。
敵を探しがてら、大きな身体で覗き込む根元にはいくつもの彩が眠っていた。
ハートの模様が散りばめられた、愛溢れる物。5色の星模様が眩しい鮮やかな物。
その中で蒼汰が気に入り、手を伸ばしたのは――キラキラと、輝くビーズが散りばめられた、星空を纏ったかのような青い卵。
「これにしよう」
小さな卵を手にしながら、こくり頷いた時。不穏な音が聞こえ、蒼汰の垂れ下がった薄灰色のロップイヤー耳がピクリと反応する。
どこだろう。出所を探るように辺りを見回した後、ころりと転がってきた卵に金色の瞳が向けられる。
その卵からは、毒々しい紫色の足が覗いている。虫のようなその足は、周りの様子を伺うように。ぱたぱたと足を動かし続けている。
「……見つけた」
怪しい卵。それが話に聞いていた、今回の敵だと判断し。蒼汰は伏せられた眼差しに真剣さを宿し相手を見据える。
見つけてしまえば、後は早い。先手必勝、彼が肩にかけた上着を風に揺らしながら、兎の頭を宿した手を敵へと向ければ、鋭い牙が煌く。
広がる薄紫色の翼。揺れるダーコイズブルーの尾。
牙が卵に触れれば、パキリと音が響いて。中を守る殻が崩れ落ちていったかと思えば、中の正体が分かる前に消え失せてしまう。
それは一瞬の出来事。
敵が先程まで居た場所を見つめながら、無事に終わったことに安堵の息を彼は零す。
この美しい場に平穏を取り戻す為に頑張ろう――蒼汰は再び庭園内を歩きだした。
大成功
🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【AMH部】
春の野外活動……お祭りに出陣じゃ!
ああ、うん。もちろんお祭りにきゃっきゃしにきたわけじゃないんよ?
ちゃんとわかっとるんよ。わかっとるよ??(尻尾を楽しそうに揺らしながら)
何色のたまごがあるかの。
こういうときは一番最初に見つける勝負…いや、一番多く見つける勝負…
あっ、あそこにあるわ!
やれカラフルなたまごじゃな。虹色カラーのたまご。まだまだ他にもありそうじゃな、さがそ!
倒さねばならんたまごを見つけた時は、わからぬようにそっと。
この場にある花、チューリップの花へと虚ろの主の姿をかえて。
悪いがここにおってもらっては困るんじゃ。どういてくれんなら退治、させてもらうんじゃよ。
天之涯・夕凪
【AMH部】
卵探しのお祭りですか
楽しそうですね
子どもも楽しめるでしょうし、大人も探索がてら花を見て楽しめますし
ええ、素敵な催しだと思います
お二人の様子をくすくす眺めながら、私もお手伝いしましょう
勝負…では私は審判…あれ、違いますか?
ともあれ、勝ちには拘らずゆっくり卵探しを
レースの様な繊細な絵柄の卵を手に、お二人に自分の見つけた物を持ち上げて示して
動物柄も虹色も、賑やかでいいですね
大味な武器を用いる事が多いのですが、今回は被害を抑えるために聖痕のみで戦います
咎力封じで敵が周囲に被害を与えるのもなるべく食い止めて
トドメはお二人の方がお上手でしょうか
卵のビックリは、子ども達のいたずらで十分ですよ
筧・清史郎
【AMH部】
野外活動か、行楽を楽しむには良い季節だしな(微笑み
ああ、らんらんの言う通り、祭りに浮かれてばかりではいられない
任務は確りと遂行しなければだな
…何、美味しい卵のプリンとは…これは気合を入れて卵を探さねば(甘党
らんらん、ゆんゆん、いざ早速参ろう(気合
勝負か、勿論受けてたとう(微笑み
(チューリップを傷つけぬよう優しく手を伸ばし)
ほう、この卵は、愛くるしい動物さん柄か
此方は淡色の花模様が美しいな
春の彩りは見ていて心躍る
二人は、どのような卵を見つけただろうか?
ランダム・エッグを見つければ
花や周囲を傷つけぬよう、扇でそっと桜吹雪を舞わせよう
人が襲われると予知されている以上、確り倒さねばだからな
●
「春の野外活動……お祭りに出陣じゃ!」
鮮やかな色の海を見渡しながら、終夜・嵐吾(灰青・f05366)はそう言葉を零す。
ゆらり、ゆらり。もふもふの灰青の狐尾を揺らしながら語る彼の様子を眺め、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は微笑みながら頷いた。
勿論、彼等はただお祭りを楽しみに来たのではない。
子供が楽しみにしているお祭りを、邪魔する存在を排除しに。それが大人たる彼等の役目だから――浮かれてばかりもいられない。
わかっとる。わかっとるよ? まるで言い聞かせるように語る嵐吾は、尚楽しそうに尾を揺らしている。そんな彼が、卵を見つけるとプリンが貰えるらしいと零せば。
「……何、美味しい卵のプリンとは……これは気合を入れて卵を探さねば」
先程まで、雅やかに微笑んでいた清史郎の瞳がきらりと輝いた気がする。
甘党な彼にとって、甘味……それも美味しいと云う情報が付加されたら、気持ちが高揚するのも仕方が無い。
「らんらん、ゆんゆん、いざ早速参ろう」
結わえた髪を揺らしながら、清史郎は同行する2人へと声を掛ける。
そう、折角だから任務だけでなく楽しむ事も大切。
子供だけでなく大人だって、探索がてら花を見て楽しむ事が出来るだろうから。
素敵な催しだと――楽しそうにチューリップの中を歩む2人の背を見ながら、天之涯・夕凪(動かない振子・f06065)は笑みを零し、その後を追う。
長身の彼等からすると、咲き誇るチューリップの花々の根元を覗くのは少し大変な事。だからだろうか――どこか童心に返ったような眼差しで、嵐吾は2人を振り返りつつ。
「こういうときは一番最初に見つける勝負……いや、一番多く見つける勝負じゃ!」
へらりと柔らかな笑みを浮かべながら、そう零した。
その言葉に笑い、頷きを返す清史郎。審判を、と夕凪は申し出るが折角なので一緒に勝負をしよう。溢れる花々の下に、どんな宝が眠っているのか――。
ゆるり散策をするように、3人はそれぞれ花の中へと歩みを進める。
身を屈ませ、覗き込んでいけば。
「ほう、この卵は、愛くるしい動物さん柄か」
花を傷付けないよう注意しつつ、清史郎が手を伸ばした先にあるのはひよことにわとり柄の卵。その隣の根元には、淡色の花模様の美しい卵が眠っている事に気付く。
どれも春らしいカラフルな色使い。見ているだけで心が躍る代物だ。
「あっ、あそこにあるわ!」
「見つけました」
まるで繊細な物を扱うように、瞳を細め清史郎が眺めていると嵐吾と夕凪の声が上がる。ほぼ同時、彼等は卵を持ち上げ他の2人に見せるように示す。
嵐吾は虹色に色分けされ、頭部分に白い花が咲く鮮やかな卵を。
夕凪はレースのような繊細な花模様が描かれた、美しい卵を。
どれも大きな彼等の手の中では、簡単に壊れてしまいそうな程小さい。そんな小さなカンバスに、細かな色付けがされた芸術品を手に出来た事が嬉しい。
「動物柄も虹色も、賑やかでいいですね」
2人の持つ卵を見て、眼鏡の奥の銀色の瞳を細めて笑う夕凪。彼自身も、細い指で卵を優しく転がしてみる。
「まだまだ他にもありそうじゃな、さがそ!」
楽しそうに尻尾を立てながら。勝負に勝つ為にも次なる卵を求めて、嵐吾が花の下を覗き込んでみれば――視界に映るのは不思議な翼が飛び出した卵。
嵐吾が見つめれば、彼の存在は自分をアピールするかのように、その身を揺らす。
「どうした、らんらん?」
動きの止まった嵐吾に気付き、清史郎と夕凪も近付いて来る。敵の存在に気付き、はたと瞳を瞬いた後――3人は先程までの和やかな空気から一転、真剣さを眼差しに宿した。
「悪いがここにおってもらっては困るんじゃ。どいてくれんなら退治、させてもらうんじゃよ」
呟きながら、嵐吾はそっと自身の右瞼に触れる。――ふわり、一瞬で世界を彩るのは、咲き誇るのと同じチューリップの白い花弁。その花弁に合わせるように、清史郎も蒼き扇を桜の花弁へと変化させる。
くるり、くるり。
春の世界を舞う花弁が襲うのは、宝物の中に忍び込んだ邪な存在。花弁に包まれ姿を消す仲間を案じたのか、ころりと転がり姿を見せる卵たち。
ちらりと瞳を動かし、夕凪がその新たな敵を捕縛する。普段の大味な武器とは勝手が違うけれど、今日この日を楽しみにしている子供達の為にも。この場は荒らせないと云う彼の心遣いが見て取れる。
「卵のビックリは、子ども達のいたずらで十分ですよ」
笑みを浮かべ語る夕凪。
パキリと卵の割れる音が響けば、春の甘い風が感謝をするようにそよいだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
宵鍔・千鶴
刻(f06028)と
宝探し。えっぐはんと、って前に聞いた
たまごを見つければ良いんだろ?
奇妙なハズレ付らしいし、わくわくする
(好きだとも。と力強く頷いて)
手にした一つは桃色の
雪舞うような白い模様が描かれ
ふと先日見掛けた見事な桜を思い出す
刻の卵、…刻に似てる
真っ白で周りに溶けるのに染まらないなぁと
紛れた歪な卵は見つけたら
ちょっと無邪気に喜ぶ素振り
刻、変なの沢山仕留める勝負な
何でも一つ願いを叶える罰ゲーム付
その方が燃えるだろ
ふーん。じゃあガキに負けねぇようにな、オニイサン?
【SPD】
技能「追跡」使用しつつ卵に装う亜種はぽいぽいと
歯車の檻に閉じ込めて、一匹二匹数えながら淡々と
さあ、勝負の行方は如何に
飛白・刻
千鶴・f00683と
宝探しか
記憶の限りでは経験がない
…なんとなく。千鶴は好きそうだ
ぽつと呟く
ある目的が為に同行を乞うた
年差はあるが興味範囲の広そうな彼にはおそらく
色取り取りの花中に捉えたは真白
染まらぬ色も凛と映えるのだと
和花あしらう卵が並ぶ
白が落ち着くだけだ、と返し
隣見やれば桜の記憶もふと蘇る
花から花摘むその中に
似つかわしくない醜い姿
生まれゆくものに扮して害為すは冒涜と
それすら遊びに変えるとは
無邪気か邪気かどちらか
勝負に罰ゲーム…まるで子供だな
いいだろう。乗ってやる、クソガキ
まるで子供返し、大人心はどこへやら
【SPD】
音を立てるも僅かに
与えるは花蜜など甘くはなく
じわとじわと侵蝕する毒蜜に沈め
●
「宝探し。えっぐはんと、って前に聞いた」
――たまごを見つければ良いんだろ?
そう零す宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の眼差しは、いつもの昏い瞳の中にワクワクと楽しさを宿している。
そんな彼を眺めながら、飛白・刻(if・f06028)はぼんやりと自身の記憶を辿る。
経験が無いそれが、どんなものなのか。それはあくまで想像でしかないけれど。
「……なんとなく。千鶴は好きそうだ」
ぽつりと呟かれたその言葉に、輝くような眼差しを千鶴は向けた。――頷くそれは、好きだと云う力強い意思。
耳の赤い石を揺らしながら、真白のチューリップの中を歩めば。後ろから刻も着いてくるように歩を進める。足を止め、千鶴が下へと視線をやれば――桃色の卵。
そっと優しく掴み、手元へと引き寄せ光の下へ。それは雪舞うような白い模様が描かれた、美しい卵。その卵を見ていると、ふと彼の記憶が呼び起こされる。
物思いに耽るように。じっと見つめていると、刻も同じように卵を手にしていた。
「刻の卵、……刻に似てる」
彼の手の中にあるのは、白纏う彼と同じ真白の卵。そこに小さく和花があしらわれた、上品で控えめなそれは。染まらぬ色が凛と映える美しさ。
「白が落ち着くだけだ」
じっと自身の卵を見た後、視線を千鶴へと向けながら呟く刻。その藍色の瞳が少年のか細い手の中の、桃色へと向けられれば。同じように、桜の記憶を呼び起こしていた。
――吹く風は、春の香りをはらんでいる。
揺れるチューリップの花々の中、春を想う2人の元に訪れるのは邪な卵。
ころり。飛び出たドラゴンの足を器用に動かして、彼等の目の前へと飛び出してきたその存在を視認し、刻は眉を寄せる。
美しい春花の中。似つかわしくない醜い姿。生まれゆくものに扮して害為すは冒涜であると――どこか冷えた眼差しで、心に想う。
そんな彼の横で、千鶴はどこか楽しげに笑みを浮かべると。
「刻、変なの沢山仕留める勝負な」
大鋏を構えつつそう零す。何でもひとつ、願いを叶える罰ゲームを添えた催しをしよう。そのほうが燃えるから――そう語る彼に、刻はゆるりと瞳を瞬くと。
「勝負に罰ゲーム……まるで子供だな」
ぽつりと零す。無邪気か邪気か、その真実は彼には分からないけれど。
「いいだろう。乗ってやる、クソガキ」
「ふーん。じゃあガキに負けねぇようにな、オニイサン?」
敵を見据え刻がそう返せば、千鶴は前出ると歯車の檻を作り出す。
ぎいぎい――音を立て、小さな異質な卵を捕らえる。視界を揺らし、次々と視界に捉えた卵を檻へと捕らえていく千鶴。
そんな彼に負けじと、刻が放つのは毒針だ。花蜜のように甘くはない、3種の毒はじわじわと敵へと侵食していく。
動きが鈍くなり、次々と消えゆく敵。
――さあ、勝負の行方は?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
【SPD】
春のお祭り?
イイね、そういうイベントってワクワクしちゃうよ♪
村の子供達が怪我でもしたら大変だ。
タチの悪い卵くん達はオレらが回収しちゃお!
ほえ~これがチューリップ!
可愛い名前って想ってたけど、実際もすごくキュートだね。
あ、このタイプは
上から見ると星の形っぽくなっててカッコいいかもっ☆
持ち前の【野生の勘】で
妙なひび割れ卵を発見したら
ちょんと摘み挙げて持参した袋の中へ。
大暴れし出す前に触手でむんぎゅって潰しちゃいたい。
うぅぅ、ちょっとかわいそうだったかな…!
屈みこんでしょげそうになるも
シロツメクサの花冠をつけた卵を見つけてほっこり。
大丈夫、君は大切に連れて帰るからね。
※絡み&アドリブ歓迎!
●
色彩溢れる景色広がるこの場は、春のお祭りの会場。
「イイね、そういうイベントってワクワクしちゃうよ♪」
眼帯に隠れている為、片目しか見えないが楽しそうに笑みを零し。パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は春の景色の中佇む。
ピアスにゆるい服装と、ロックが好きな彼らしい装いだが。村の子供達が怪我をしたら大変だと、その心には優しさが満ちている。
「ほえ~これがチューリップ!」
タチの悪い卵を回収しようと、花の中を歩けば初めて見る花に興味津々。同じ名前でも、様々な色や形があることが尚興味を惹かれる。可愛い名前だと想っていたけれど、いざ目の前にすると尚可愛くて。1つ1つ、つい眺めてしまう。
「あ、このタイプは。上から見ると星の形っぽくなっててカッコいいかもっ☆」
ちょんっと優しくチューリップの花弁をつつき、語るパウル。
けれど――花を眺めてばかりもいられない。当初の目的のものを探そうと、今触れたチューリップの根元へと視線を動かしてみれば。そこにはにょろりと触手の飛び出た不気味な卵が転がっていた。
青い瞳でじっと見つめた後、彼は迷う事無くその卵を摘み上げる。
うねうねと動く触手。彼の手に触れようとするから――パウルはそのままぽとりと卵を落としたかと思うと、自身の触手でキャッチしそのままむぎゅっと卵を潰す。
パキリ。儚い卵はその力に耐えられず砕け散る。
「うぅぅ、ちょっとかわいそうだったかな……!」
ぱらぱらと、零れる卵の欠片を見て悲しそうな声を上げるパウル。そのまましょんぼりと、屈んでしまったけれど――視界を落とした彼が見つけたのは、白詰草の花冠をちょこんとつけた可愛らしい卵。
怪しい何かが飛び出していないそれは、村人が用意した宝物なのだろう。そっと、手を伸ばして掲げてみれば、彼は優しく微笑み。
「大丈夫、君は大切に連れて帰るからね」
そう零し、大切そうにその手の中に迎えた。
大成功
🔵🔵🔵
アール・ダファディル
カラフル卵を見つければプリン……だ、そうだ
チューリップを愛でながら探してみるとしようか
御褒美プリンの効果は絶大だ
花壇に顔突っ込む姿は御上品ではないよ、と≪彼女≫を窘める
【錬成カミヤドリ】を用い分身であるテディベアたちを作り出し、
≪彼女≫と瓜二つのくまぬいらを手繰り葉影や根元を覗く
「どちらが先に卵をみつけられるか競争しようか」
張り切る≪彼女≫…Echoに思わず苦笑零しながら、よーいどん!
故に漸く見つけた卵に足生えていた≪彼女≫の怒りは計り知れない
分身らを巻き込み取り囲んだランダム・エッグを袋叩きのタコ殴り
加勢の糸引きながら妹の御機嫌取りを考える
ああ、終わったら早急に愛らしい卵を見つけてやらねば
●
鮮やかな世界の中。正した身なりの少年は、琥珀色の瞳を細め世界を見回した後。足元へと視線を移した。
「カラフル卵を見つければプリン……だ、そうだ」
アール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)が語り掛けるのは、彼の足元にいるリボンを付けたテディベアである≪彼女≫へ。ぴょこり、と跳ねる≪彼女≫の様子はどこか嬉しそうに見える。
橙色と黄色や、白と緑と云った色混ざり合うチューリップの中。ぽてぽてと歩く様子は愛らしいが、プリンが楽しみな≪彼女≫はそのまま花壇の中へずぼり、顔を突っ込む。
「花壇に顔突っ込む姿は御上品ではないよ」
琥珀の瞳に愛おしさを滲ませながら、アールがたしなめれば。≪彼女≫は顔を出しじっとアールのことを見る。
その眼差しを受け止めながら、アールが手元をくるりと弄れば――次々と生まれるのは、≪彼女≫と瓜二つのテディベアたち。輝く糸を手繰り寄せながら、慣れた手付きでアールはその数多の存在を操り葉影や根元を覗いていく。
「どちらが先に卵をみつけられるか競争しようか」
口元に笑みを浮かべ、≪彼女≫へと語り掛ければ。やる気満々をアピールするようにぴょんっと跳ねて両手を振っている。
そんな≪彼女≫――Echoに苦笑を零しながら、彼は呟く。よーいどん!
ゆったりと歩きながら、アールは卵よりもどうやら片割れの様子が気になるようだ。
競争と言われやる気満々な≪彼女≫は、自ら進んで花壇の下を覗いていく。先程たしなめられたから、今度は花壇に顔を突っ込むまではしないように、注意している様子。
けれど上手く見つからず、ちょっぴりしょんぼり。ぽてぽて歩く速度も、最初と比べればどこかゆっくりに。
そんな≪彼女≫が輝く琥珀の花の下を覗いた時――卵を見つけ、嬉しそうに小さく柔らかな手を伸ばしてみるが。ピキリとひびが入り太い足が飛び出してくる。
目の前でよく分からない生き物の足がぶんぶん振るわれ、驚きを露にする≪彼女≫。けれど、次の瞬間にはやっと見つけた卵に足が生えていた事に、怒りを露にする。
くるり、くるり。彼の卵を取り囲むのは、≪彼女≫の分身たち。数多の存在がゆっくり卵へと近付いたかと思えば、その柔らかな手で一斉にぽかぽかと卵を殴る。
そんな妹へ加勢をするように、琥珀色の糸を操りながら。アールは呟く。
「ああ、終わったら早急に愛らしい卵を見つけてやらねば」
――それは大切な妹のご機嫌取りの為に。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『幻惑喰いの大花』
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POW : 喰らいつく
単純で重い【花の中心にある口による噛みつき】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 蔦を振り回す
【蔦の先の花粉嚢】が命中した対象を爆破し、更に互いを【頑丈な蔦】で繋ぐ。
WIZ : 幻覚を見せる
【幻を見せる効果のある花粉】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花粉で埋め尽くし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●毒色の大花
いったいどれ程の卵を壊しただろう。
春を散策し。鮮やかな自分好みの宝物を手にし。目標を倒し終え。
――さあ、仕事を終えたから帰ろう。
そう思うのも当然なほど、包まれる空気は平和なもの。危険が無くなったこの場には、この後お祭りを楽しむ子供たちで溢れかえるのだろう。
そう思えたのも束の間。ざわりと異変を告げるような風が吹き荒れる。
鮮やかなチューリップが揺れ動く中、花壇の中央から起き上がるようにして、巨大な花が突然現れた。その巨体は今までどこに潜んでいたのだろうか。
それは謎だけれど、大きな胴体にあたる茎をぶんぶんと振り回し。人を喰らえそうなほどに大きな花弁の中の口を、パカリと開ける毒々しい花弁を持つ大花。
キラリと輝く牙はとても鋭く、全ての物を喰らい尽くしてしまうだろう。
振り回すその太い蔦で叩かれれば、その身が粉々に砕けてしまう可能性もある。
――それは、幼い子供ならば尚のこと。
春を楽しむ子供たちが。そして、その子供たちの為にこの場を用意した村人が、悲しい思いをしないように。猟兵たちは武器を取る。
一刻も早くこの場に、平和を――。
浮世・綾華
ヴァーリャちゃん(f01757)と
もらったたまご、大切だから
壊さないように手拭で包んでしまっておく
おや、でっけえ口だこと
食べられちゃわないよーに気をつけてネ?
ふふ、相変わらずかっこいー
子供たちも、この村の優しい人たちの想いも
ちゃんと守らないとな
できることなら絡繰ル指で複製した鎖を使い
早業で道の方に引きずりだしたい
幻に見るのは覚えのない少年か、愛しい鳥籠の彼女だろうが
今はヴァーリャちゃんの声さえ届けばなんてことはない
こっちもちゃんと声をかける
攻撃にはカウンター
放つ鬼火、指定するのは大花のみ
可能な限りチューリップは燃やさぬよう注意
熱いのと冷たいので分けわかんねーだろ
お前には何も食わせてやらねーよ
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
綾華と(f01194)
わわわ…!
こんなデカイのが花畑に…!
貰った宝物を、大事にしまい込んでから
食べられても、俺が中から凍らせてやるだけなのだ
もっとも、食われたりなんかしてやらんがな!
ああ!
お祭りを悲しい思い出になんてさせないぞ
チューリップに被害が及ばぬよう
綾華の早業で引きずり出されたところを、【ダッシュ】と【残像】で詰め寄り
迫る蔓は【第六感】で察知、【二回攻撃】で切り落としていく
花粉を飛ばしてきたなら、すぐに氷の【属性攻撃】で凍らせ無力化させる
綾華が幻覚を見たとしても、腕を引いて大きな声で呼んでやるぞ
鬼火が効いたなら
その隙に、【亡き花嫁の嘆き】を顔に食らわせ、だらしない口を開けなくさせてやる!
●
揺れる小さなチューリップの中。そびえ立つのは巨大な毒花。
「わわわ……! こんなデカイのが花畑に……!」
その大きさに、菫色の瞳をくりくりと見開くヴァーリャ・スネシュコヴァ。小さな彼女と違い、長身の浮世・綾華と比べることも出来ない大きさに彼もじっと見つめる。
パカリ、威嚇するように開かれた口は簡単に人を丸呑みに出来そうで。
「おや、でっけえ口だこと。食べられちゃわないよーに気をつけてネ?」
どこか余裕のある物言いで綾華が語れば、ヴァーリャはパチリと瞳を瞬いた後。自信満々にえへんと胸を反らせて見せる。
「食べられても、俺が中から凍らせてやるだけなのだ。もっとも、食われたりなんかしてやらんがな!」
そんな彼女の様子が、相変わらずかっこいいと綾華は微笑む。先程手にした真紅のリボンに花模様の描かれた卵と、水色のリボンと透き通る石の飾られた卵を。2人は壊れないようにと、大切そうに包み込み。ゆるりと会話していた空気が一変、敵を見据える。
「子供たちも、この村の優しい人たちの想いも。ちゃんと守らないとな」
「ああ! お祭りを悲しい思い出になんてさせないぞ」
鋭い綾華の眼差しと、真剣さを宿したヴァーリャの眼差しが敵へと注がれる。――が、当然相手は怯むこと無く、その太い蔦を威嚇するようにぐるりと回した。
その蔦が触れれば、辺りに咲く美しい花々が散る。
その光景に綾華は瞳を細めると、数多の鎖を作り出し敵の巨体を捕らえた。ぐっと鎖を握る手に力を込めると、綾華はそのまま大花を引きずり出す。
それは一瞬の出来事で、大花は抵抗する隙も与えられなかった。花の中ではなく通路へと引きずり出された敵は、そのまま稼動範囲を揺らしたかと思うと。
ばふり。
花弁の部分から放たれたのは、黄色い粉。視界を遮るように舞うその粉は、春風に乗って周囲へと広がっていく。
「っ……!」
くらりと目眩がして頭を抑える綾華。彼の眼差しの先に見えるのは――先程まではいなかった少年の姿。その見た目に覚えは無いけれど、何故か心がざわつく。
「綾華!!」
唇を噛み締め、ふらつく彼の腕が引っ張られたかと思えば――ヴァーリャが彼の傍へと駆けつけ、声を掛けてくれていた。
払われる幻。
真っ直ぐに綾華を見る少女の眼差しに、彼は険しい顔をゆるりと和らげ。
「……ありがとう」
笑みを浮かべ、大きな手を少女の頭へと乗せる。
すぐ離れた掌の温もりを確かめるように、ヴァーリャは自身の頭に触れてみるけれど。敵を見る綾華の姿に、今の状況を思い出し敵へ向き直ると滑るように駆け出した。
彼女を迎え撃つように放たれるのは、再びの花粉。けれど彼女は幻覚の粉に囚われること無く、雪舞う刀身を一振りしたかと思うとその粉を凍り付かせた。
凍て付く粒子が、光を浴びて輝きながら零れ落ちる中。
「――ほら、喰らいな」
呪文を唱えた綾華から放たれた、緋色の鬼火が戦場を舞う。炎は大花だけを包み込み、強く強く燃え盛る。――炎が回ったのを確認し、ヴァーリャが氷のブレードによる蹴りを口部分に目掛け放った。その一蹴りは強い冷気を放ち、炎をかき消し敵を凍て付かせる。
「熱いのと冷たいので分けわかんねーだろ」
不敵に笑む綾華と、ひらりとミニスカートを揺らし敵を見据えるヴァーリャ。
――その大きな口で、喰らうことは許さない。
2人の意思が交差し、敵を追い詰めるように再び戦場を炎と氷の光が舞った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
糸縒・ふうた
■咲(f01982)と
なんだか狂暴そうなお花だ…
チューリップはこんなにかわいいのに
同じお花とは思えないや
初めて戦場を共にするかえるさんにも
よろしくね、とご挨拶をして
子どもたちの楽しい時間を守るために行こう
咲、【疾風】
攻撃はどれも大振りだから、見切るのは簡単
【勇気】で以って懐に飛び込んで、蔦を裂こう
不意打ちで伸びて来た蔦を弾く咲のオーラにありがとうを告げて
花粉は触れても嗅いでも危なそうだから
【野生の勘】で飛び散って来そうな気配に警戒しよう
風で飛び散って二次災害、なんてことにならないように
水や炎のまほう、が使えたら良かったんだけど…むむ
わぁ、咲、すごい、すごい!
風が、全部連れてっちゃった!
雨糸・咲
ふうたさん(f09635)と
まぁ、大きなお花…
これはちょっと、可愛くないですねぇ
頼もしい少年と狼さんにふわりと笑んで頷き
コノハナさんも、挨拶代わりにひょいとお辞儀
はい
お花もお祭りもきちんと守らないと、ですね
見切り、第六感で攻撃を読み
自身とふうたさんにはオーラ防御
お花に被害が及びそうならオペラツィオン・マカブルで受け止めましょう
果敢に切り込むふうたさんに
さすがです、と称賛を送り
私も負けていられませんね
ふうたさんの様子にピンと来て
杖をすいと一振り、雨を抱く柔らかな東風で飛び散る花粉を絡め取ります
攻撃は天から降る雷
あんなに大きいのですもの
全部きちんと当ててみせますとも!
●
「まぁ、大きなお花……。これはちょっと、可愛くないですねぇ」
大花を前にして、雨糸・咲は緩やかに言葉を零した。
太い茎の部分をうねうねと動かし、長い蔦を揺らす敵は戦う気に満ち溢れているよう。
「なんだか狂暴そうなお花だ……」
その敵の動きを見て、糸縒・ふうた(風謳エスペーロ・f09635)はぽつりと呟く。辺りに咲く色とりどりのチューリップはこんなに可愛いのに、同じ花だとは思えない。
「子どもたちの楽しい時間を守るために行こう」
咲と陰より生まれた狼へと語り掛けるふうた。その言葉に、咲はこくりと頷きを返す。
「はい。お花もお祭りもきちんと守らないと、ですね」
ふうたと視線を交わした後、彼女の眼差しは疾風へと移る。一緒に頑張ろう、そんな想いを込めて微笑むと。狼も応えるように一鳴き。すると咲の肩に乗っていた蛙のぬいぐるみのコノハナも、ぺこりとお辞儀をした。
2人が言葉を交わしている隙を狙ってか。ぶんっと太い茎を振り回す大花。その動きは2人を纏めて叩きつけようとしているのが分かるが、巨体の動きは鈍く。先程までの柔らかな眼差しから一転、動きを見切った2人は同じタイミングで横へと避けた。
ずんっと地面を叩きつける重い音が響く。
その衝撃で、周囲のチューリップがいくつかはらりと花弁を散らせたのを見て、咲ははっとする。被害を抑える為に何が出来るのか――真剣に考える彼女の静かな瞳が揺れる中。迷い無く敵の懐へと飛び込んでいくふうたの姿が見えた。
胸に宿すのは沢山の勇気。気持ちを宿した一振りで、ふうたが蔦を切り裂けば。跳ね除けようと、大花は巨大な蔦を振り回す。
「さすがです」
ふうたの果敢な行動に称賛の言葉を零した咲だが。蔦の軌道を読み、大きな瞳を見開き慌てて飛び込んだ。脱力状態で蔦を受け止めれば、肩に乗るコノハナから衝撃が放たれる。全ては、美しい花々に被害が及ばないようにと云う彼女の優しさ。
茎部分を大きくうねらせ、威嚇するように不思議な動きをする大花。
蔦の攻撃を跳ね返され、ふうたに切り裂かれたことで抵抗の意思が見える。――敵はそのまま身体を揺すると、ばふりと花の中心部分から黄色い粉を噴出した。
眉をしかめ、口元を押えるふうた。この粉が危険なものだと、彼は本能で分かった。だから避けようと想うが、春風吹けば花粉は庭園内を舞い踊り広がっていく。
(「水や炎のまほう、が使えたら良かったんだけど……」)
迷うように視線を揺らしふうたが想ったとほぼ同時――雨纏う東風が、花粉を絡め取っていく。ふうたの頬を撫でる雫に振り返れば、そこには杖かざす咲の姿が。
「わぁ、咲、すごい、すごい! 風が、全部連れてっちゃった!」
きらきらと大きな瞳を輝かせ無邪気に笑うふうたに、照れたように笑みを零す咲。杖の飾り彫りが光を浴びて輝けば、彼女は新たに雷を呼ぶ。
「あんなに大きいのですもの。全部きちんと当ててみせますとも!」
いつもは優しげな眼差しに微かに険しさを宿して。杖を振るい巨体に狙いを定め、大きな雷を落とせば――びりびりと音の振動が伝わり、ふうたは帽子の上から耳を押えた。
確かにダメージは蓄積している。
諦めずに――そう語るように、2人は視線を交わし頷き合った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
【SPD】
むむっ!?このお花は見るからにヤバいよね…。
キミにも恨みはないんだけど
村の皆が困らないように…骸の海へお引き取り願おうじゃん!
UC発動!
愛機Glanzに【騎乗】したら
【運転】&【操縦】テクを駆使して敵を翻弄しちゃうもんね☆
ブン回される蔓を【見切り】ながら
Saugerのカラビナを引っ掛け、周囲をぐーるぐる♪
こんがらがって上手く身動き取れなくなるようにしてやんよ!
チャンスが作れたら、他の猟兵の皆にもお知らせしたいな。
蔓の脅威が大分失われたら
Glanzの前輪で【踏みつけ】ながら
Krakeを展開してからの【零距離射撃】。
周辺に流れ弾が飛んで行かないように気を付けるね!
※絡み&アドリブ大歓迎!
●
そびえ立つ、怪しげな色をした巨大な花。
輝く不気味な牙を見て、パウル・ブラフマンは眉をひそめた。
「むむっ!? このお花は見るからにヤバいよね……」
普段の無邪気な笑みとは違うどこか真剣な表情で。――キミにも恨みはない。そう零す彼の心根の優しさが伺えるが、彼にはやらなければならないことがある。
「村の皆が困らないように……骸の海へお引き取り願おうじゃん!」
そう高らかに語る彼は、傍に控えていた愛機Glanzに跨る。陽光浴びて白銀に輝く宇宙バイクのエンジンを掛け、大花の周りを走り出した。
人のスピードではないその速度に、大花は身体をひねるように揺らしている。――それは目標を定められず、翻弄されているように見えパウルは満足そうに笑みを零す。
敵から手当たり次第に放たれるのは、巨大な蔦による叩きつけ。けれど巧みな技術で、寸でのところでパウルが避けたと思えば彼はワイヤーで敵を拘束する。
ぐるりぐるり、軽快に回りながら敵の身をがっちりと拘束し、動けなくしようと試みるパウル。彼の手元でゆらり、揺れるのは添えられたタコのキーホルダー。
身動き出来ない大花は、バランスを崩しその場に倒れこんだ。
重く鈍い音が響き、パウルは満足気に笑む。これで共に戦う猟兵達への手助けも出来ただろう。隙の出来た相手になら、致命傷を与えることも出来るだろうから。
バイクのスピードを上げ、滑りつつパウルは触手に備えられた砲台を構える。
零距離で弾丸を放てば、かなりのダメージになるだろう――バイクの通り抜けざまに勢いよく放たれた弾丸が、大きな音を立て敵へとのめりこんだ。
確かにその巨体はぐらついたが、まだ致命傷には届かない。
――自由を奪いつつある今、後は手数だろう。
パウルは触手をうねらせると、再び砲台を構え敵を見据えた。
大成功
🔵🔵🔵
宵鍔・千鶴
刻(f06028)と
【SPD】
この綺麗な花達の中には余りに不釣り合い、だよな
踏み荒らされる前に俺が剪定する
大鋏をくるりと回して庭師な調子
刻、延長戦だ。まだヘバッて無いよな?
…しくじんなよ
負けた方は解ってるだろ、と確認も
彼の返事に杞憂かと苦笑
遊び言は紡ぎ双眸は敵へと真剣に
大花の死角へと回り込み根元を断ち切れるように
嚢と蔦に注意をし必要ならUCで捕縛
幻惑は例え飲まれても背合わせの彼を信じ
何とかしてくれるだろうと無意識の安堵
あいつには云わないけど
――還れ
自身を吸血し強化したネメシスの刃が大花へ届くなら
勝負事は最終的に忘れた、なんて飄々と
ハイタッチでもしとく?
(届かぬ掌に悪態を吐いたのは云うまでも)
飛白・刻
千鶴・f00683と
春香りを孕む風を心地良いと思うも束の間に
まみえた異花に眉を顰める
得た記憶が霞むより先に枯らせてしまえ、
と懐刀へ手を掛ける
あの程度で?笑わせる
そっちこそ。言うからには無様な姿を晒すなよと軽く躱す
【SPD】
大花の花粉嚢は見切りで躱し
蔦が来るようならば朧月にて薙ぎ払う
無意識にも千鶴側へと向かわぬよう
千鶴の捕縛の可否次第で己も蜜毒使用を考慮
無意識は。背刃へと向ける確信と己も気付かぬうちに
この切先でその存在すら朧に変えてやろう
花であったことすら残らぬ程に
何だ、手を上げるのかと
わざとらしく千鶴の手が届かぬ位置に己が手を
して勝敗などどうでも良いと言わんばかりに僅か口元は弧を描いた
●
温かく、甘い香りを含んだ風が肌を優しく撫でる世界。
それが心地良いと飛白・刻は想ったが、それは束の間の出来事だった。
「この綺麗な花達の中には余りに不釣り合い、だよな」
宵鍔・千鶴がそう零しつつ大鋏を手にする様子を見て、同意を示すように眉をひそめる刻。そのまま千鶴と同じように、彼自信も懐刀へ手を掛けた。
得た記憶が霞むより先に枯らせてしまえ――そう想う刻の横で、くるりと大鋏を回す千鶴の気分はまるで庭師のよう。ちらりとそちらを見遣れば。
「刻、延長戦だ。まだヘバッて無いよな? ……しくじんなよ」
「あの程度で? 笑わせる」
千鶴の言葉に小さく笑む刻。言うからには無様な姿は晒すなよ、と語れば千鶴は不敵に笑んで――敵へ向かい一気に駆け出した。
狙うは大花の死角。巨体だからこそ、確実に隙はあるはずだ。
近付いて来る2人を威嚇するように、大花は花粉を撒き散らす。黄色い粉が世界を満たし、風に運ばれふわりと戦場に広がり2人を包んでいく。
幻想に惑わされぬようにと。眉をしかめ、袖で口元を隠す2人。
――けれど彼等が惑わされることはない。お互いの存在を、確かに感じるから。
離れても感じる、背合わせの存在が頼もしい。
この存在がある以上、何とかしてくれると云う安堵感を無意識に抱くから。そしてそれが確信へと変われば、2人は視線を交わす。そのまま視線を逸らせた刻が、花粉を放つ敵を邪魔するように毒針を放ちその動きを止めた。
決して口にはしない、相手への信頼の気持ち。
けれど共に動けば、確かに連携となってかたちになっていく。
毒針に苦しむように、太い蔦を振るう大花の一撃を。見切った千鶴が寸でのところで交わす。彼の漆黒の髪すれすれを通るその蔦に向け、そのまま放つは大鋏の一撃。
「――還れ」
そう呟く千鶴の眼差しは、いつの間にやら血のような真紅へと変貌している。まるで剪定するかのように、蔦を切り刻めば刻も同じように短刀を用い自身に向かう蔦を切り落とす。――それは、敵を朧へと変える一閃。
ひらりと真白の刻が彩り溢れる世界を舞う姿は、惹きつけられる程に美しい。そんな彼を狙うように、鋭い牙を大花は向けてくるが――千鶴の大鋏が弾くように、その奥へと突きつけられ敵は苦しむようにのたうちまわった。
黒と白。対照的な2人は、いつの間にやら勝負のことなど忘れて共闘を楽しむように。
――全て終わった際には、手を取り喜ぼう。
素直に手を合わせられるとは思えないけれど。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
明智・珠稀
おやおや、この美しいお祭りに更に無粋な花が…!
無害な存在ならば貴方のような花も嫌いでないのですが…
ご退場願いましょう…!(妖刀を構え)
■戦闘
UC【愛しの御主人様♡】を使用し
大花に流し目ビームで攻撃&赤い糸で己の身と結ぶ
「他の花は荒させませんよ…!ふふ」と
妖刀で至近距離で連続攻撃を。
敵の攻撃はオーラシールドでの【オーラ防御】また【武器受け】を。
攻撃当たっても【激痛耐性】で
「あぁ、気持ち良いです、ふふ…!」とむしろ恍惚なド変態。
敵、また己の攻撃で花畑を荒らさないことを大前提に
「さぁ、私だけを見てください…!」
逃走などしないよう引き付け、刃での斬撃を加えていく
※アドリブ&絡み大歓迎!
●
咲き誇る花々は美しく。
春の訪れを祝福するかのように、温かな風に揺れている。
そんな美しいお祭りに、無粋な花が――髪から覗く片目を細め、明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は小さく呟いた。
無害な存在ならば、巨体な毒花は嫌いではないと彼は思うけれど。
「ご退場願いましょう……!」
構えを取れば、珠稀の手の中の妖刀は刀身を煌かせる。
威嚇するようにその大きな口を開ける大花。ぐるりと蔦を振るい、珠稀を打とうとするが彼はひらりとかわしながら、鋭い眼差しを向ける。
「さぁ、私と赤い糸で結ばれしょう……!」
彼が浮かべるのは妖艶な笑み。その笑みは、人で無い存在にも効果がある。――小さく響く爆破音。そしてどこからか放たれた赤い糸が、敵の巨体を拘束していく。
けれど全てを拘束することは叶わず。数多に伸びた蔦のひとつが珠稀目掛けて飛んでくるが――彼は冷静に、手袋からエネルギーの盾を作り出しその攻撃を受け止める。
衝撃が音となり鈍く響く戦場。
離れた位置での武器受けにも関わらず、びりびりと空気が震えるのが珠稀にも分かった。踏ん張るように口元を引き締め、足元に力を入れるが――そんな彼を横薙ぎにする一撃が、敵の振るう蔦により放たれる。
それは一瞬の出来事。
吹き飛ばされ、美しい花の中へその身が放り出されるけれど。立ち上がる珠稀は痛みに顔をしかめるどころか。
「あぁ、気持ち良いです、ふふ……!」
頬に手を当て、恍惚とした表情すら浮かべている。
咄嗟に痛みを緩和した彼には、先程の攻撃など通用していない。反撃をするように、首元の輝く石を揺らし彼は妖刀を振るう。
共に戦う猟兵の攻撃も含め、その巨体にダメージは確実に蓄積している。
蔦による攻撃も、その牙煌かせる一撃も。動きが鈍くなり、どこか切羽詰ったように感じるのがその証拠だ。ここまで追い詰めてしまえば、後の結果は決まったもの。
きらり、春の光を浴びて強く輝く珠稀の刀。
その刀纏う怨念は――いつの間にか珠稀の身を包み込んでいた。
ひらり、がむしゃらな攻撃を避けつつ珠稀が敵へ向け刀を遠くから振れば――何も無いその空間に生まれるのは、衝撃波。鋭い一閃により生み出された衝撃波は、見えぬ存在のまま鋭く大花の巨体を貫く。
――!!
痛みにだろうか。悲鳴のような断末魔が聞こえたと思えば――不気味な存在は、美しい花園からは消え失せていた。
まるで最初から何も、無かったかのように。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『草原の雲『雲うさぎ』』
|
POW : 空に浮かび上がる前に捕まえてふわふわする
SPD : 空に浮かんだ雲うさぎを捕まえてもこもこする
WIZ : 罠を仕掛けて捕まえてもふもふする
|
●雲のうさぎとご褒美
風に揺れる色を見た後。
彼等が訪れたのは、一面に広がる青々とした草原だった。
風吹けばカサリと微かに響く草音。揺れ動くのは可愛らしい小花。遠く広い春の空。
どこまでも続く世界のようなこの場で――転々と、存在するのは白い存在。
ころんと、今にも転がってしまいそうなほどのまん丸な身体はふわふわで。小さく円らな赤いお目々と、申し訳程度に飛び出た耳がうさぎであるとアピールするかのよう。
彼等が噂に聞く『雲うさぎ』のようだ。その証拠に、そこかしこでふわふわと宙を浮いている姿が見える。
空に届くほどに宙を浮くことは出来ない。
長身の大人ならば、十分手が届くくらいの高さで。彼等はふわりふわり、心地良さそうに漂っている。
大切そうに抱えれば、その身は重さを感じないほど軽やかで。触れたことのない柔らかさを感じることが出来るだろう。
鮮やかな装いに身を包んだ人々は、この村の人々。兎の帽子を被った人に、先程見つけた卵を見せると貰えるご褒美は。とろとろプリンか固めのプリンかの2択。
可愛らしい卵型の容器も、様々な模様があるようで。再びの卵探しを楽しむ事が出来るだろう。模様とソースを添えれば、自分だけの甘味を見つけられる。
これは何も無い、平和なひと時への案内。
風吹く春の草原で。どのように過ごすかは各々の自由。
春の心地良さは、思っているよりも一瞬で過ぎ去ってしまうから。
月居・蒼汰
固めのプリンにマーマレードのソースを貰って、草原へ
チューリップも綺麗だったけど
こういうだだっ広い野原も落ち着く…
プリンを堪能して、ごろんと寝転がれば青い空
そよぐ風も心地よくてついうとうとしてたら
雲より近い所を白くてまん丸い雲うさぎが横切ってく
じっと見てたら、他のよりぴゃあって感じの
漂ってるっていうより飛ばされてるのが見えたから
起き上がって救出(?)に
…うわ、ほんと軽い。綿毛みたい
つぶさないように、なるべく力を入れないように
ふわふわを堪能してたら、…寝てる
放してまたぴゃあってなるのも可愛そうだし
取り敢えず抱っこしたまま、もう一度寝転がる
…俺も寝そう…
たまにはこんな風にのんびりするのも、悪くないか
●
片手には、髪色とよく似たターコイズブルーの器を持って。
風吹く草原に腰を下ろし、月居・蒼汰はぼんやりと平和なひと時を過ごしていた。
流れる風は穏やかで、草木や彼の頬を優しく撫でる。先程の鮮やかな一面のチューリップも綺麗だったけれど、こういった草原も落ち着くと。彼は金色の瞳を細めて微笑む。
固めのプリンの添えるのは、苦味のある大人な味わいのマーマレード。
ふんわり感じる卵の風味と果実を堪能すれば、そよぐ春の風も相まって眠気が襲う。ごろりと草原に横になれば、視界に広がるのは青い空。
心地良いひと時。そう蒼汰が思った時――。
「ん?」
青い空に流れる白い雲。では無い、白い物が横切ったのが見えた。
何かと思い、起き上がり探すように視線を泳がせれば。それが漂う雲うさぎだと気付く。けれどその流れは、ただふわふわと心地よく漂っているのではなさそうで。強風にあおられて、吹き飛ばされているようにも感じる。
「助けないと……!」
慌てて立ち上がり、駆け出す蒼汰。長身を活かし手を伸ばせば、ふわりと軽い心地が彼の腕に伝わった。
「……うわ、ほんと軽い。綿毛みたい」
感覚が軽いから、うっかり潰してしまわないように。力を入れないようにそっと抱きとめれば、雲うさぎはあるのかないのか分からないような、小さな手で蒼汰の黒衣にきゅっと掴まった。小さな耳をぴくりと動かす雲うさぎを見て、蒼汰も垂れる耳を揺らす。
動物の温もりを帯びたふわふわな手触りは、よく知った動物とは違うもので。
触れていると心地良くてどこか癒される。雲うさぎは助けてくれたことで警戒も溶けているようで、彼に抱かれているうちにすやすやとお休みモード。
「放したらまた飛ばされちゃうかな……」
それは可哀想。けれどどうしようか――考えるように瞳を揺らした後、蒼汰の出した結論は抱きしめたままでいること。
そのままごろりと草原の上に寝転がれば。広い空に春の風、そして腕に伝わる温もり。
「……俺も寝そう……」
ひとつ欠伸を零しながら、呟く声は風に流されていく。
たまには、こんな風にのんびりするのも悪くない。
大成功
🔵🔵🔵
明智・珠稀
あぁ、無事に祭りを楽しめそうで安心いたしました、ふふ。
おや、プリンをいただけるのですね。
とろとろも固めも好きですが…今の気分はプルンとした固めをいただきましょう。
ふふ、ぷるぷるの弾力と舌触りと優しい甘みが…幸せですね、ふふ!
ご馳走様です…!
…おや?この白い子が『雲うさぎ』さんですか、愛らしい…!(うっとり)
わたあめがお好きなのですか。
どこかで販売しているならば購入し差し上げたいですね。
愛らしい雲うさぎさん、怖くないですよ、ふふ。
その身を優しく撫でさせていただきたいです…!
(柔らかに手を伸ばし)
(触ることができたら)
…幸せな感触…!ずっと抱いていたいです、ふふ!(恍惚)
※アドリブ&絡み大歓迎♡
●
広い草原で、思い思いに過ごす村人たち。
その姿を見て、明智・珠稀は嬉しそうに紫色の瞳を細め妖艶な笑みを浮かべる。
「あぁ、無事に祭りを楽しめそうで安心いたしました、ふふ」
兎の帽子を被った人から固めのプリンを貰い、甘味を楽しみながらの平和なひと時は幸福な時間。ぷるぷるの弾力と舌触り、優しい甘味に卵の風味。嬉しそうに食べる珠稀の姿を見る村人も、どこか嬉しそう。
「ご馳走様です……!」
手を合わせ彼がそう呟いた時――彼の視界に、ふわりふわり舞う白い存在が。
「……おや? この白い子が『雲うさぎ』さんですか、愛らしい……!」
ふわふわ舞いながら、小さな手足をばたつかせて方向を変えた雲うさぎと視線が合えば、にっこりと笑みを浮かべる珠稀。その仕草にびっくりしたのか、ぷくっと更に膨らみふわふわと高度を上げる雲うさぎ。
珠稀は少し申し訳無いと思い、彼の好物をあげようと辺りをきょろきょろ。村人がわたあめを配っているようなので、一袋頂き雲うさぎへと近付く。
「愛らしい雲うさぎさん、怖くないですよ、ふふ」
笑顔で近付き、わたあめを差し出してみれば。ふわふわ舞う彼はちらりと円らな瞳を向け。毛に隠れてどこだか分からない小さな口を、もくもくと動かす。
ふわふわな毛並みが風に揺れる姿は、まるで誘惑しているかのよう。
けれど宙を浮いているということは、まだ警戒していると云うこと。
珠稀は触れるのを我慢して、わたあめを食べる雲うさぎを優しい眼差しで見つめる。しばらくすればお腹がいっぱいになったのか、身体が先程より小さくなったかと思えば徐々に地面へと降りてくる。
ぺたりと地面に辿り着けば、じっと珠稀を見つめる眼差しは甘えているかのよう。
だから彼は、少し遠慮がちに手を伸ばしてみる。ふかりとした手触りと温もりに彼は恍惚とした表情を浮かべる。
「……幸せな感触……! ずっと抱いていたいです、ふふ!」
そう呟く彼の腕の中の雲うさぎは、とても嬉しそうに見えた。
大成功
🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
差障りない範囲でラナちゃん(f06644)に声を掛けたいな。
女の子相手だし緊張するけど、頑張るよ…!
こっ、こんにちは!
良ければオレとおさっぽ……お散歩しませんか!!
あぁぁやっぱ噛んだRapなら絶対噛まないのにぃぃ!(茹でだこ)
さっき見つけた花冠の卵を交換しに行こう。
ラナちゃん、とろとろと固いのどっちが好き?
このプリンはキミにプレゼントするよ。
このお祭りを護ったのは、ラナちゃんも一緒だもんね。
雲うさぎさん達との交流、超楽しそうだね!
手には会社で作ってきた綿飴を詰めた容器。
…オレ、手で壊さないように触れるのはまだ苦手なんだ。
だから、優しくなりたい。
ラナちゃん、うさぎさんの撫で方のコツ教えてくれる?
●
「こっ、こんにちは!」
顔をタコのように真っ赤に染め、春色の少女へと声を掛けるパウル・ブラフマン。ドキドキと緊張で高鳴る鼓動を抑えるように、彼は深呼吸をする。
「良ければオレとおさっぽ……お散歩しませんか!!」
勇気を出して口にした言葉――けれどそれは緊張のせいか途切れ、慌てて訂正するもしっかりと相手に伝わってしまった様子。顔を手で覆い、真っ赤に染まっていく様子を隠そうとするパウル。ラップなら絶対に噛まないのにと、小さな声で呟いている。
そんなパウルの様子に苺色の瞳を瞬き、きょとんとするラナ。
「ふふ、お散歩……いいですね」
けれどすぐに少女は笑みを浮かべる。その反応に、パウルは顔を上げ。ほっと安堵の息を零しながら――彼が手にしているのは、先程庭園で見つけた花冠が飾られた卵。
この卵を見せれば、プリンが1つ貰えると言うから早速交換しよう。
「ラナちゃん、とろとろと固いのどっちが好き?」
「え? そうですね……私は固いのが好きですっ」
笑顔でラナが零せば、兎帽子を被る人から卵型の容器を受け取り――そのまま彼は、ラナへと差し出した。小首を傾げる彼女に、プレゼントすると語るパウル。
「このお祭りを護ったのは、ラナちゃんも一緒だもんね」
最初は遠慮しようと思ったけれど……彼の想いに応えるように、そっと手を伸ばすと。
「ありがとうございます、どんな味か気になってたので嬉しいです」
嬉しそうに笑いながら、ラナは花模様の器を受け取った。
その言葉と行動に、嬉しそうにパウルは笑うと。わたあめの詰まった袋を取り出し、そこかしこでふわふわ浮かぶ雲うさぎの元へ行こうと。
「……オレ、手で壊さないように触れるのはまだ苦手なんだ」
だから、優しくなりたい。
そう語る彼はどこか真剣さを帯びていて。撫で方のコツを教えてくれと言われれば、ラナもすぐに頷く。
「でも、パウルさんは十分優しい人だと思います。だからきっと、すぐに慣れますよ」
頑張りましょう。小さく手を握り鼓舞するラナの様子に、頷きを返すパウル。
優しく心を込めて――そうすればきっと、動物は応えてくれる。
警戒してふわふわと漂う雲うさぎ。届かないラナの代わりに、パウルは背伸びをしてそっと引き寄せる。ちょっぴり膨らみを強くした彼も、一緒に過ごせばきっと大丈夫。
少しの時間が経てば、幸せの時間を過ごすことが出来るだろう。
大成功
🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【AMH部】
ふわふわ、しとる……!
あああ、これは、これはまたもふとちがうの…
せーちゃん、ゆーちゃん、雲のうさぎとは、どのように戯れればよいのじゃろうか!
やさしめに腕に……こうかの?
なんじゃこやつ……ふわふわでおるのかおらんのか…いや手の内におるんじゃけど!
あっ、そういえば。
たまごの交換をせねば。
雲うさぎよ、ありがとぉな。また自由に空で揺蕩うとよい……
…わしもあんな風にお昼寝したいの
わたしは固めプリン、ソースは苺にしよかな。
せーちゃんとゆーちゃんはどれにするんじゃ?
……こういうときは、一口交換というのをするべきじゃろうか
ほう、ここで食べんのは勿体無い。わしからも一口ゆーちゃんにあげよ!
天之涯・夕凪
【AMH部】
雲うさぎ…不思議な生き物ですね
捕まえてみましょう
雲は触れる事ができないから、手触りの比較はできませんが…(ふわもこ)
…ええ、きっとこんな手触りなんでしょうね
軽くて、柔らかくて、空気がたくさん含まれて…断熱効果がありそうな…(布団に向いてそうだなという視線)
ああ、そうですね
優しく包んであげるのが良いのではないでしょうか?
臆病なようですしね
プリンは固めのマーマレード
一人にひとつなら、知人にプリン好きがいるので、私は持ち帰ろうかなと
少し惜しいですが、私の事はお気になさらず
見てるだけで、私も楽しいので…と(誘いに驚きつつ)
いいんですか?
何だか申し訳ありませんが…それでは、お言葉に甘えて
筧・清史郎
【AMH部】
雲うさぎか、見目からしてふわふわしているな
どれ…そっと抱いてみよう(雅に抱っこ
優しく丁寧に戯れれば良さそうだ
ふむ、このふわふわ、新感触だな(堪能
確かに、春の陽を浴びて、ほかほかぬくぬくしているな
擽る頬の感触に、思わず瞳を細めてしまう
雲うさぎとは会話できるだろうか…?
折角の機会だ、試してみよう(動物と話す
「キューキュー?」
…ふむ、成程。そうなのだな(何か通じ合って暫し会話堪能
戯れた後は、有難うと、空に返そう
そしてプリンを交換しなければだな(きり
では俺は、とろとろプリンにキウイソースでいただこうか
おお、一口ずつ交換か、良いな
らんらん、では早速交換こしよう
ゆんゆんも一口どうだ?(微笑み
●
ふわふわ、漂う雲うさぎ。
まん丸な身体から、申し訳程度に飛び出た小さな兎耳をぴこぴこと動かしている。
「雲うさぎか、見目からしてふわふわしているな」
ほう……どこか関心した様子で、筧・清史郎はそう零す。興味深げに、眼鏡の奥の瞳でじっと見つめる天之涯・夕凪が捕まえてみようと呟けば、終夜・嵐吾も手を伸ばす。
長身が揃う彼等にとって、雲うさぎを抱き寄せるのは難しいことではない。
大体自身の目線ぐらい――3人の中で一番長身な清史郎は、少し低い位置に浮かぶ兎に触れてみる。ふわり、と手の中に納まる柔らかさは普通の動物とは違う。
「雲は触れる事ができないから、手触りの比較はできませんが……ええ、きっとこんな手触りなんでしょうね」
動物らしい温もりはあるが、とても軽やかな触り心地を堪能しながら夕凪はぽつりと零す。軽くて、柔らかくて、空気が沢山含まれていて。この毛は布団に向いていそうだ、と想う彼は視線を宙へと向ける。――雲うさぎの毛で作られた布団を想像したのだろう。
そんな彼を見つめて、いまだ捕まえる形で止まった嵐吾は困ったように眉を下げ。
「せーちゃん、ゆーちゃん、雲のうさぎとは、どのように戯れればよいのじゃろうか!」
助けを求めるかのように呟いた。
夕凪と清史郎。2人が視線を交わし、雲うさぎを一目見た後で嵐吾を見る。
「優しく包んであげるのが良いのではないでしょうか?」
「優しく丁寧に戯れれば良さそうだ」
臆病なようだと夕凪が零せば、清史郎も頷く。そして清史郎はそのまま、きゅっと優しく抱き、その柔らかさを堪能する。――春の陽射しの中。動物好きとして自然に漏れる笑み浮かべ、小さな兎を抱く彼の姿はどこか雅。
友のいつもの様子を眺めつつ、嵐吾もやさしめに……と云う言葉の通りに抱き寄せ。
「なんじゃこやつ……ふわふわでおるのかおらんのか……いや手の内におるんじゃけど!」
あまりの軽さに驚いたような声を上げる。動物らしい温もりはあるから、確かに居るのだけれど。彼の大きな声に驚いたのか。ぱたぱたと耳を揺らし、ちょっとぷくっと膨らむ雲うさぎに「すまんのう」と彼は謝った。
そんな彼の様子に雅な笑みを零しつつ、清史郎は雲うさぎと会話が出来るのかと想う。
「キューキュー?」
言葉を零してみれば、ぱたりと耳を揺らし。じっと円らな眼差しが見つめてくる。
「……ふむ、成程。そうなのだな」
どこか通じ合っている1人と1羽。動物と戯れることすら、どこかお祭り騒ぎの彼等。いくらでも楽しめそうだけれど――あ、と零れた嵐吾の声が。
卵の交換をしなければ。先程庭園で見つけた虹色の卵を手にそう呟けば、2人も思い出したようで。そのまま立ち上がり、雲うさぎを空に向け手放す。
「雲うさぎよ、ありがとぉな。また自由に空で揺蕩うとよい……」
放した瞬間から、またふわふわと浮かぶ雲うさぎ。――先程より低いのは、きっと3人への警戒が大分薄れたから。ふわふわ浮かびながら、再びうとうとする彼等を見て。あんな風にお昼寝したいと嵐吾は思いつつ、兎帽子の村人の元へと。
苺ソースに固めのプリンを手にした嵐吾。とろとろプリンにキウイソースを手にした清史郎。折角だから、違う味わいを一口ずつ交換しようと2人は語り合う。
プリンは見つけた卵につき1つらしい。そう聞いた夕凪は、これは持ち帰ろうと大切そうに固めにマーマレードを添えたプリンを手にした。
封を開け交換し合う2人へ、見ているだけで楽しいのでお気にせずと夕凪は零すが。
「ほう、ここで食べんのは勿体無い。わしからも一口ゆーちゃんにあげよ!」
「ゆんゆんも一口どうだ?」
ほぼ同時に。笑顔で一匙差し出されたら。夕凪は銀色の瞳をぱちぱちと瞬いた後、口元に笑みを浮かべる。
「何だか申し訳ありませんが……それでは、お言葉に甘えて」
匙を受け取る夕凪の様子を見て、嵐吾と清史郎も嬉しそうに笑んだ。
兎との戯れも。
甘い甘いご褒美も。
皆で一緒に楽しんだほうが、1人よりも楽しいから。
それは何歳になっても、変わらないのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
綾華(f01194)と
かわいい…!
まんまるでふわふわで…これはもふる以外の選択肢がないな!
大丈夫!持ち前の脚があるから
警戒し浮いてしまった子を、【ジャンプ】し優しく抱え
よしよーし、安心してくれーと撫でて
ふわーっ…なんて可愛いんだろう…!
慣れてきたら、もふもふの体に顔を埋め
ああ…幸せだぁ…
プリン、プリン!
俺はとろとろプリンに苺のソースで…綾華?
子どもにプリンをあげる姿を見て、少し驚き
大人な綾華の対応に、喜ぶ自分が子どもっぽく見えて
…でも、綾華と一緒に美味しいを共有したいから
もう少し子どもでいたいな
綾華、あーんしてくれ!
一緒に楽しく食べるのだ
俺がしよっか?の問いかけには
お、俺は大丈夫!と顔真っ赤に
浮世・綾華
ヴァーリャちゃん(f01757)と
飛んでっちゃいそーな子を優しくつかまえ
とどく?って、流石
大丈夫、ほら、怖くないぞとそっと撫で
あはは、可愛い
(兎も彼女もどちらも
はしゃぐ彼女に目を細め
違うの頼んでわけっこでもしようかと考えていたら
ぷりんが足らない子供をみつけ、あげると声かけ
いーよいーよ
おにーさんはそっちのおねーちゃんのちょっと貰うから
とは言いつつ
本当は幸せそうなとこみれたら
それだけで良かったケド
いーの?――じゃあお言葉に甘えて
うまー!苺、好きだからこの組み合わせ最高
何故だか照れそうになったのを隠すように涼しい顔で
ありがとな。――ふうん 。楽しく、ねえ?
ふ、そんじゃ今度は俺がしよっか?
なんて悪戯に
●
「かわいい…! まんまるでふわふわで……これはもふる以外の選択肢がないな!」
ぷかぷか、自身よりも高いところで浮かぶ真っ白なふわふわを見て。ヴァーリャ・スネシュコヴァは大きな瞳をキラキラと輝かせる。
そんな彼女を微笑ましく眺めながら、浮世・綾華はとどく? と尋ねる。自身は、風に流されてしまいそうな子を優しく捕まえながら。
「大丈夫!」
胸を張ってそうヴァーリャが零すと、彼女は勢い良くジャンプし。手が届かない程高い位置をふわふわしていた雲うさぎを優しく抱える。
「流石」
いつも通りの彼女の様子に、くすりと笑みを零す綾華。そのまま彼は怖くないと、まだ警戒してぷくぷく膨らむ雲うさぎを撫でてやる。彼に倣うようにヴァーリャも安心させるように優しく撫でる。
腕の中には動物の温もり。柔らかく軽い、体験したことが無い心地。
「ふわーっ……なんて可愛いんだろう……!」
頬を緩め、嬉しそうな声を零すヴァーリャ。雲うさぎも慣れてきたのか、ちょっと身体を萎ませて。キラキラな瞳で見つめてくる。だからつい、その身体に彼女は顔を埋める。
「あはは、可愛い」
優しい眼差しと声色で零す綾華。――それは、雲うさぎも、ヴァーリャもどちらも。
雲うさぎとの戯れも勿論楽しいけれど。甘味だって忘れてはいけない。
「プリン、プリン!」
先程見つけた水色のリボン舞う卵を手に、ヴァーリャが交換したのはとろとろに苺ソースを添えたプリン。嬉しそうに封を開ける彼女の隣で綾華は――。
「あげる」
卵が見つけられなかったのだろうか? プリンが食べられずに、じーっと2人を見つめている幼い女の子に自身のプリンを差し出していた。
そわりとするが、遠慮するように瞳を潤ませる少女。
「いーよいーよ。おにーさんはそっちのおねーちゃんのちょっと貰うから」
「おにいちゃんありがとう!」
ぱっと花綻ぶような笑顔を浮かべ、プリンを大切そうに抱え駆けて行く少女。その後姿を、綾華は手を振りながら見送る。
――そんな彼の様子に、ヴァーリャは驚いたように瞳を見開き瞬いていた。
そのまま自身のプリンをじっと見つめる。大人な彼の対応と違って、喜ぶ自身がとても子供っぽく見えてしまう。
でも――綾華と一緒に美味しいを共有したい。
だから、もう少し子供でいたい。ヴァーリャはまだ、そんな我侭が許される年だから。
「綾華、あーんしてくれ!」
だからヴァーリャは、一匙を綾華に差し出していた。精一杯の背伸びをして、彼の口元に届くようにと。目の前の赤色のソースの掛かったプリンを一目見て、綾華はいーの? と尋ねる。本当は、ヴァーリャの幸せそうなところが見れたらそれで良かったのだ。
けれど、一緒に楽しく食べるのだ。そう強く言われては、断ることは出来ない。
ぱくり。一口食べれば、口に広がる卵の風味と自然な苺の酸味。
「うまー! 苺、好きだからこの組み合わせ最高」
満面の笑みで語る彼を、ヴァーリャはとても幸せそうに見つめていた。
その笑顔が視界に入ると――何故か綾華の頬が紅くなる気がする。だから彼は、隠すように涼しい顔を取り繕って。楽しく、と言った彼女の言葉を思い出し。
「ふ、そんじゃ今度は俺がしよっか?」
悪戯っ子な笑みを浮かべ、彼女をじっと見てそんな事を零す。
ぱちり、瞳を瞬いたヴァーリャ。彼の言葉を理解するのに少し時間が掛かったようで。暫しの時間の後、顔を真っ赤に染めてあわあわと。
「お、俺は大丈夫!」
ぷいっと顔を背け、誤魔化すように自身の手でプリンを一口。
春の風が、ヴァーリャの頬を冷ますかのように。優しく吹いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
糸縒・ふうた
■咲(f01982)と
手にした卵を引き換え券に、ぷりん、くーださい!
オレが選んだのはとろとろぷりん、に、苺のソース
掬っただけで落ちそうな程柔らかいから零さない様気をつけて
ぱくっと一口!
苺の甘酸っぱさとぷりんのとろあま具合に顔までとろとろ
お仕事のあとの甘いものは、かくべつ、だね!
咲のは?
一口ちょーだい!
ちょっぴり苦いまーまれーどが、大人の味?
ふふ、オレのもどーぞ
うずうずする彼女の様子に目の前を浮かぶうさぎに聲をかけて
ねぇ、だっこ、してもへーきかな?
漂うそれを優しく捕まえて、そっと、頬を寄せる
ふわふわの毛皮が、気持ち良くて離れがたい
かわいい。癒されるね
穏やかな時間とぬくもりに自然と笑みが浮かぶ
雨糸・咲
ふうたさん(f09635)と
兎帽子の村人さんからいただいたのは
固めプリンにマーマレードソース
やっぱり、お仕事終わりの一杯は格別ですね!
…え、ちょっと違う?
ひとくち、の声に勿論と頷いて交換を
とろとろに苺ソースも美味しい!
甘酸っぱさと蕩ける触感がたまりません
プリンに浸りつつ、
浮いているうさぎさんも気になってうずうず
丸くてふわもこ…
抱っこできるなら、しない手はありませんよね
大きい声で驚かさないよう、しぃ、と唇に指を当て
そうっと近付き、おいでと手を差し出す
緩やかに撫でれば綿雲のようなふわふわの柔らかさ
ほんわか温かくて、とっても可愛いです
●
2つの卵を手に。兎帽子の人に2人は瞳を輝かせ。
「ぷりん、くーださい!」
そう明るく零す糸縒・ふうたの横で、雨糸・咲も少し遠慮がちに。けれど期待に満ちた瞳でじっと見れば、各々が望んだプリンを手渡してくれた。
匙ですくってみれば、とろとろで零れ落ちてしまいそう。
ふうたは零さないよう気をつけて、真っ赤なソースがかかったプリンをぱくり。
ふんわり口に広がるのは、卵とミルクの極上の組み合わせ。少し酸味のある苺ソースが、更にプリンの甘さを際立てていて、とろける舌触りに広がるバニラの香り。
美味しい。その言葉を零しつつ、表情をプリンのようにとろけさせるふうたの横で。
「やっぱり、お仕事終わりの一杯は格別ですね!」
オレンジ色のソース掛かったプリンを一口食べた咲が、そんな事を零す。――その言葉の後、ちょっと違う? と少女は小首を傾げたけれど。
「お仕事のあとの甘いものは、かくべつ、だね!」
ふうたは笑顔で、咲に頷く。そのまま咲のも一口ちょーだいと零せば、頷きが返る。
すくってみればぷりんっとした感触が、とろとろの物とは全く別物で。
「ちょっぴり苦いまーまれーどが、大人の味?」
口に含み、味を確かめるようにふうたは呟きつつ、自身のも勧めれば。
「とろとろに苺ソースも美味しい! 甘酸っぱさと蕩ける触感がたまりません」
一口食べた咲は頬を押えて、嬉しそうにそう零していた。
食感とソース。2つが違えば全く別の味わいで。それぞれが楽しめるのも2人一緒だから。――けれど、プリンを味わいつつも咲の眼差しは辺りをぷかぷかするうさぎへと。
「……」
じっと彼女の胡桃色の瞳が、いつもの静けさとは違う輝きを帯びている。その眼差しに気付いたふうたは笑みを浮かべて、立ち上がると。
「ねぇ、だっこ、してもへーきかな?」
浮かぶ雲うさぎへと、声を掛ける。
ぷうー……膨らむ身体はそのままで。けれど、近付いても膨らみを強くしなかった様子を見ると、2人を強く警戒はしていないのだろう。ふうたは背伸びをして、浮かぶ雲うさぎに頑張って触れてみる。
ぴこぴこ動く、申し訳程度についた小さな手足。
ふわふわなその身体にふうたが頬を寄せてみれば――包み込むような柔らかさが。
そんな彼を羨ましく思い、咲も頑張って雲うさぎへと手を伸ばした。驚かさないように、静かに――おいでと手招きするように。
ちらり、雲うさぎの小さな円らな瞳が咲を見た気がする。
そのまま彼は、風に乗せてふわふわと舞いながら――咲の胸へと舞い降りた。
ふかり。感じるのは動物の温もり。そして柔らかくも、軽くて存在が希薄な心地が不思議で。緩やかに撫でてみれば、嬉しそうに身を震わせる雲うさぎ。
「かわいい。癒されるね」
「ほんわか温かくて、とっても可愛いです」
そんな彼女の様子を見守っていたふうたは、嬉しそうな咲を見て言葉を掛ける。同意の言葉を零した咲は、変わらず雲うさぎを撫で続けていた。
穏やかな時間とぬくもりに自然と笑みが零れてしまう。
離れがたいと感じるこの温もりを、今は堪能しよう。
愛らしい兎を、友と一緒に楽しむひと時を――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベルリリー・ベルベット
柾(f05809)と
危なっかしくて心配になる年上の友達
ほら柾、こっちこっち!
あれが雲うさぎ?
本当に雲みたいでふわふわなのね
高いところでふわふわ浮いてる子を、めいっぱい背伸びして捕まえようとするけれど届かなくて
柾に頼んで代わりに捕まえてもらうわ
背が高いっていいわね、羨ましい
綿菓子…た、たしかに
抱っこしてると気持ちよくて眠くなっちゃいそう
そうだ、プリンも食べましょ
リリはとろとろのにキウイソースをかけて
柾はリリと違う味にしたのね
そっちも一口ちょうだい
お返しにリリのもあげるから
オッケーなら、スプーンで掬って一口分もらうわ
ええ、リリもとっても楽しかったわ
ありがと
白波・柾
リリー(f01474)と一緒に
何かと心配性ながら時々怖い面もある女友達
ああ……そんなに走っていると転ぶかもしれないぞ
雲うさぎは初めて見たが……
なるほどこれは実にもふもふふわふわしていて可愛らしい
リリー、取れないようなら俺が取るから言ってくれ
そう言いつつ自分は手の届く範囲で
浮かび漂っている個体を引き寄せてもふっともふる
……綿菓子のようでいてさらさらとした触感、
なおかつ肌に触れるこのシルクのような毛……
確かにこれは素晴らしい……
プリンか、いいな。食べよう
俺は硬めのプリンに苦めのカラメルソースをかけて
ああ、俺のほうも一口食べるといい
俺も一口貰おう、とスプーンを向けて
今日はとても楽しい思い出になったな
●
「ほら柾、こっちこっち!」
「ああ……そんなに走っていると転ぶかもしれないぞ」
草原でぷかぷか浮かぶ雲うさぎの元へ、駆け出すベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)。長い巻き髪を跳ねさせる彼女の後ろ姿を見ながら、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は心配そうに眉を寄せる。
けれどベルリリーは、雲うさぎを前に待ちきれないと。ひらひらと舞うように駆けていく。草に足を取られないように注意をして。
ぴたっと足を止めたのは、2羽の雲うさぎが浮いている地点。じっと見上げてみれば、風に合わせてゆらゆらと揺れている。
「あれが雲うさぎ? 本当に雲みたいでふわふわなのね」
瞳を輝かせるベルリリー。追いついた柾も、初めて見たと興味深げに見遣る。彼の横でぐぐっと背伸びをして、頑張って手を伸ばす少女。
「リリー、取れないようなら俺が取るから言ってくれ」
頑張る彼女を見ながら、柾は零す。――自身は漂う雲うさぎを引き寄せながら。
頑張ってはみたけれど、やっぱり届かないと察したベルリリーは素直に柾にお願いを。簡単に抱き寄せる彼を見て、背が高いことが羨ましいと小さな声で零していた。
その言葉が聞こえたのかいないのか。柾はいつもの調子で雲うさぎを彼女へと差し出す。ぷくっと膨れるそのうさぎを、そっと抱きしめるベルリリー。
幸せそうに笑みを浮かべる彼女と一緒に、柾もそっと抱えていた雲うさぎを堪能する。綿菓子のようでさらさとした触感。なおかつ肌に触れるシルクのような毛。
「確かにこれは素晴らしい……」
思わず零れた柾の言葉に、くすくすと笑みを浮かべながらベルリリーも頷く。
「抱っこしてると気持ちよくて眠くなっちゃいそう」
小さな欠伸をかみ殺してそう呟くけれど――今日のお楽しみは、雲うさぎだけではない。ぱちりと大きな花色の瞳を瞬いて、彼女はプリンのことを思い出す。
彼女の言葉に、ふわふわを堪能していた柾も頷いて。抱いていた雲うさぎをそっと宙へと返すと、2人は兎帽子の人へと声を掛けプリンを貰う。
とろとろプリンに鮮やかな緑のキウイソースを掛けて。舌にとろける甘い味わいに、キウイの爽やかな香りを堪能するベルリリーは、ちらりと柾を見ると。
「柾はリリと違う味にしたのね。そっちも一口ちょうだい」
キラキラ、興味津々な眼差しでそう呟く。彼は口元を微かに和らげ、頷き差し出した。
固めのプリンはとろとろとは全く違う味わい。ほろ苦ソースが更に魅力を増す。美味しいと、嬉しそうに頬に手を当て微笑む少女。そのまま彼女は、自身のプリンも差し出す。
「俺も一口貰おう」
嬉しそうなベルリリーを眺めていた柾はひとつ頷き、自身も別の味わいを口に。
爽やかなその味は、仄かに温かみを増していくこの季節にぴったりで。華やかな香りが広がるのも心地良い。
広い世界で、不思議な動物と戯れて、美味しい甘味を口にする。
今日を思い出し、柾は小さく笑むと。
「今日はとても楽しい思い出になったな」
そう、ぽつりと零す。
その言葉に、プリンを堪能していたベルリリーは柾をじっと見て。
「ええ、リリもとっても楽しかったわ。ありがと」
満面の笑みで、そう返していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アール・ダファディル
熱心に卵探し中の≪彼女≫越しに遠目に雲うさぎとやらを眺める
ふわふわ膨らみ柔らな様がぬいぐるみのようで妙な親近感を覚える
「……Echo、あちらへは行かなくていいのかい」
漸く満足した籠にはたくさんの卵
あっと言う間にたくさんのプリンへ変わる
「流石にちょっと欲張りじゃないか」
固さもソースも異なるそれらを手にそろそろきょろきょろと
見つけた少女――ラナ(f06644)を見掛けては手を振って
プリンを差出し示し迫る≪彼女≫の言葉足らずの様子に苦笑を零す
「良ければ幾つか貰ってくれ。懸命に探したんでね」
いつかの礼だ、と足した言葉に≪彼女≫も首を振る
さあ崩れぬうちに戴こうか
みんなで食べたほうが美味い……だろう?
●
鮮やかな卵に溢れた≪彼女≫を見やり、遠目から真っ白ふわふわの雲うさぎを眺めるアール・ダファディル。遠くからでも分かるその膨らみと柔らかさが、まるでぬいぐるみのようだと想い妙な親近感が。
「……Echo、あちらへは行かなくていいのかい」
卵に包まれた≪彼女≫へ語り掛ければ、ぴょこりと反応してアールを見る瞳。どうやら≪彼女≫は卵集めに夢中なようで、気付けばそれは籠いっぱいに。
赤や緑といった鮮やかな色から、ピンクやペールブルーと云う春らしいパステルまで。装飾含め数多の卵は――沢山のプリンへと、兎帽子の村人が笑顔で交換してくれた。
「流石にちょっと欲張りじゃないか」
大きな籠を持とうと≪彼女≫は頑張るけれど、その身体ではちょっと難しい様子。ひょいっと籠を持ち上げたアールが、そのまま辺りをきょろきょろと見回せば、見知った春色の少女を見つけて手を振る。
「アールさん! こんにちは」
そんな彼に気付き、ラナは笑顔で駆けて来る。アールの後彼の足元の≪彼女≫へと屈みながら声を掛ければ、≪彼女≫は星模様の卵形の器をずいっと差し出してくれた。
「どうしました?」
小首を傾げ、≪彼女≫へと問い掛けるラナ。ぐいっと更に小さな手を伸ばし、何かを伝えようと頑張る≪彼女≫の姿に、アールはつい苦笑を零し。
「良ければ幾つか貰ってくれ。懸命に探したんでね」
そう、沢山のプリンが入った籠を指し示しながら呟いた。
いつかの礼だ、言葉を足せば。≪彼女≫はこくこくと頷き、再びプリンを差し出してくれる。だからラナは、差し出された夜空の卵を嬉しそうに受け取り。
「ふふ、ありがとうございます」
≪彼女≫と、そしてアールへと――2人に向けて、笑顔でお礼を述べる。
その様子が嬉しかったのか、≪彼女≫はどこか満足気にぴょこりと。アールもそんな様子に微笑み掛けた後、崩れぬ内に戴こうと。
「みんなで食べたほうが美味い……だろう?」
「そうですね、美味しいものは1人より2人。2人より皆です!」
それが彼等の出会いだったから、その気持ちはきっと一緒。
芳しいチーズが繋いだ縁は、次は甘くとろけるプリンへと繋がれていく。
大成功
🔵🔵🔵
宵鍔・千鶴
刻(f06028)と
春の匂い心地よく揺れる草原の合間の白を思わず目で追う
刻の方をちらと見遣って
表情は変わらずとも幸せそうな彼の姿に
茶化しはせずに見守っておく
初めて見るもふもふのうさぎが傍に居たなら
躊躇いがちに両手に乗せぎゅう、と抱きしめ
…わたあめみたい。
小さな生き物に頬擦りして鼓動と体温に一寸感動する
連れて帰りたい。などと供述しており
戯れていればふわ、と頭の上に乗る感覚
…何やってんの、刻
雲うさぎが落ちないよう振り返り
子供扱い。と口は尖る
雲うさぎを数匹確保して刻へ
もふもふの刑に処す
どうせ満更でも無さそうな彼に期待
穏やかな春のひとときに目を細め
暇に刻の袖を引っ張り次はプリンと強請るのは忘れずに
飛白・刻
千鶴・f00683と
慣れぬ地だからと同行を乞うてまでこの場所へと足を運んだのは
他ならぬ、この、目的の為
普段間近で触れるは獰猛の類で
慣れぬ彼等が驚かぬようにそっと両の手を伸ばし受け皿を作る
ふわと触れるその身は。不思議にこちらを見る瞳は
とても柔く。愛くるしい
何を隠そう。まさに、至福
ふと思い立って
雲うさぎを千鶴の頭へと乗せてみる
気付き、振り向き、むくれるさまは
(たまに小動物っぽいな)
などまず口にせぬ事を思う矢先
もふ、もふりと雲うさぎがこちらへと
…なんだそれは
しかし案外悪くない、処されておこう
引かれた袖口、強請るそれ、やはり…
いや。今は己もか、と
2種のどちらも貰いに行くか
春の陽気に浮かされたと言い訳に
●
風が運ぶのは、春の花の香を含み。
草原の合間にはゆらゆらと揺れる白が目に留まる。
穏やかなこの景色。――その景色を前にして、宵鍔・千鶴はちらりとその紫水晶の瞳を隣に立つ飛白・刻へと向ける。
いつもは静かな瞳を持つ刻は、今日はどこかその藍色の瞳が輝いているように見えた。
此処は慣れない地。だから、同行を乞うてまで足を運んだのは、今この瞬間の為。普段、彼が間近で触れるのは獰猛な類だから。雲うさぎという動物に触れてみたかった。
さくりと草の根を響かせながら、雲うさぎへと近付く刻。
ぷかりぷかり、浮かぶ真白のうさぎへと。そっと両の手を伸ばしてみれば。ぴくりと僅かに飛び出た耳を動かし、小さな手足をぱたぱたと。
ちょっぴり警戒しているのだろうか。けれど刻は辛抱強く、じっと待ってみる。するとひゅるりと風が吹き、流された雲うさぎはそのまま刻の胸へと飛び込むかたちに。
ふわり。感じるのは動物の温もりと柔らかさ。空気を多く含むその身体は重さを感じずに、とても不思議な心地。けれど――きらきらとした瞳で見つめられれば、思わず口元も緩んでしまう。これが、至福と云うこと。
そんな変わらぬ表情だが幸せそうな彼を、千鶴は見守っていたが。雲うさぎと無事に戯れている様子を見て、自身も手を伸ばしてみる。
ちょっぴり低めの位置を舞う雲うさぎならば、千鶴でも十分に届く。ふかりと両手で包み込むように、躊躇いながらも抱いてみれば。ぱたぱたと動かす手が彼の腕に触れる。
「……わたあめみたい」
あまりの軽さに千鶴はそう零しつつ、つい柔らかな身体に頬ずりを。柔らかくも感じる、鼓動と動物の体温。それに感動を覚え、連れて帰りたいとつい思ってしまう。
そんな風に、各々で楽しんでいたと思っていたが。
「……何やってんの、刻」
頭に感じる温もりに、千鶴は顔を上げずに振り返る。
重くは無いが、この温もりは頭に雲うさぎが乗っているのだろう。だから落とさないようにと、考えてのこと。子供扱い――小さく零す彼は、少しだけ頬を膨れさせていた。
(「たまに小動物っぽいな)」)
千鶴のその仕草に、こっそりとそんな事を刻は心に想う。勿論、口にすることは出来ないので、心に留めておくだけ。彼がそんな事を考えているとも思わない千鶴は、辺りをころころしている雲うさぎを数羽捕まえるとそのまま――刻へとむぎゅっと。
「もふもふの刑に処す」
草原に腰下ろす刻の周りに雲うさぎを乗せていけば。彼は身動きが取れなくなる。
「……なんだそれは」
千鶴を見上げながらそう零すけれど、彼も満更ではないようで。それ以上の言葉は零さずに、大人しく処されている。――雲うさぎたちも、まったりとして嫌ではない様子。
ふわり流れるのは穏やかな時間と春の風。
その心地良さに千鶴は瞳を細めたが――何かを思い出し、刻の袖を引く。
「次はプリン」
彼の言葉に刻は思い出したように瞳をゆるり瞬き。そのまま2人は立ち上がり、春探しの報酬である甘味を手にしに歩き出す。
春の陽気に、浮かされたのは誰?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東雲・咲夜
さっちゃん(f02335)と
あや…かいらしいうさぎさん
えらい手触りが良さそうな毛並みですね
近づけば膨らまはって
警戒の色が滲んどるのを察知
『動物と話す』で安心してもらいましょ
…嗚呼、堪忍よ
怯えへんと大丈夫
あいらしいあんさんたちと遊びたくて来たの
ほら、お友達もおるんよ
《玉兎》を召喚しては
雪のように真白く小さな友人をさっちゃんの腕の中へ
ふふ…こちらの兎さんもあんさんが気になっとるみたいやね
木陰を選び広げたハンカチに腰掛け
いただいた苺ソースのとろとろプリンをいただきます
春の木漏れ日に抱かれながら
さっちゃん、雲うさぎさん、玉兎ちゃんが
青空の下、和やかに触れ合ってるのを見て
うちも甘くてあったかいきもちです
瑞枝・咲耶
東雲(f00865)様と
はじめまして、うさぎさん
咲耶と申します
動物と話してみましょう
人を避けて山の中の旧い社で暮らしていた私にとって動物は身近な存在
動物と触れあう方が人見知りの私にとっては気楽
そういった意味ではあなた達と同じなのかも知れませんね
うさぎさんに手をやさしく差し伸べて自ら来るのを待ちます
あら?このうさぎさんは?
いきなり現れたうさぎさんに少し驚く
雲うさぎさんとは違うようですし…と少し周囲を見渡せば笑む東雲様の姿
あら、東雲様のお友達だったのですね
春は好き
浮かれる心はこの身が桜であるからでしょうね
あなた達も春に誘われてきたのですか?
ふんわりと軽やかなうさぎさんを抱きしめながら優しく撫でます
●
そよぐ草原で、ころころと転がりそうなほどまん丸な白いうさぎ。
「あや……かいらしいうさぎさん。えらい手触りが良さそうな毛並みですね」
風に流れる髪を押えながら、東雲・咲夜は一目見てついそんな事を零した。じゃれるように草に見えない口を近づけて、もぐもぐと動かしている様子が愛らしく。
「はじめまして、うさぎさん。咲耶と申します」
高さを合わせるようにしゃがみ込んだ瑞枝・咲耶が挨拶をすれば、ちらりと2人を見る雲うさぎ。そのまま彼等は――ぷくっと身体を膨らませ、徐々に高度を上げていく。
「……嗚呼、堪忍よ」
ぷかりぷかり。宙を舞うウサギの姿に、申し訳無さそうに2人は顔を見合わせる。咲夜は謝罪を述べながらも、どうにか警戒を解けないか――そう考えた時、咲耶は物怖じせずに一歩踏み出し。自身より高い位置を舞う雲うさぎをじっと見る。
人を避けて、山の中の古い社で暮らしていた彼女にとって、動物は身近な存在。動物と触れ合うほうが、人見知りな咲耶にとっては気楽に感じることもある。
「そういった意味ではあなた達と同じなのかも知れませんね」
ふわりと微笑み、細い手を伸ばして。うさぎのほうから舞い降りてくれるのを待てば――徐々に身体が小さくなり、降りてくる雲うさぎの姿が。
その様子に、咲夜も倣うように雲うさぎを見上げる。
鮮やかな藍色の瞳でじっと雲うさぎを見ると、彼女も雲うさぎの警戒を解くべく語り掛ける。怯えなくても大丈夫と、心を込めれば通じると信じているから。
「あいらしいあんさんたちと遊びたくて来たの」
じっと相手が降りてくるのを待っていれば。それは害が無いと伝える手段のひとつになるのだろう。徐々に、降りてくる雲うさぎをふかりと受け止めれば、咲夜は嬉しそうに笑う。そうだ、とそのまま彼女は言葉を零し。くるりと扇を舞わせたかと思うと、草原に現れる真白の小さなうさぎ。
ぴくり、玉兎と呼ばれるうさぎは耳を動かすと、ぴょんと跳ねて咲耶へと飛び込んだ。
「あら? このうさぎさんは?」
突然表れたうさぎに、咲耶は瞳を見開きぱちぱちと瞬く。まん丸な雲うさぎとは違う、普通なうさぎ。一体どこから――ときょろきょろ辺りを見回す彼女は、微笑む咲夜が見えて小首を傾げる。そんな彼女に、笑みを返すと。
「ふふ……こちらの兎さんもあんさんが気になっとるみたいやね」
そんな風に、咲夜は零す。その言葉に、咲耶はどこか納得したように頷いて。
「あら、東雲様のお友達だったのですね」
雲うさぎを抱きながら、優しく玉兎を撫でた。
春の陽射しを遮る木の下は、きらきらと零れる木漏れ日が美しく。
甘酸っぱい苺ソースのプリンに舌鼓を打ちながら、和やかに友たちが戯れる姿。
――それはとても幸せで、心が温かくなると咲夜は想い瞳を細めながら眺める。
「あなた達も春に誘われてきたのですか?」
いつの間にか、周囲に集まってきた雲うさぎへ優しく声を掛ける咲耶。優しく、丁寧に軽やかな身体を撫でてれば、どこか嬉しそうに瞳を細めている。
春はじきに終わってしまうけれど。今の温もりに浮かれる心は咲耶が桜の樹から生まれた身であるからか。
きっと友に一緒に訪れたことも、1つの理由。微笑む咲夜へ、彼女は笑みを返した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵