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ずっとずっと、ずっとたのしく、ずっと

#UDCアース

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#UDCアース


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●やさしいかみさま
 その子供たちにとって、彼はまさに神様だった。
 その子供たちにとって、彼女はまさに神様だった。
 学校をサボって、あるいは夜な夜な家を抜け出して。どんなときでも会いに行けば説教一つなく優しい笑顔で受け入れてくれる。
 嫌いなクラスメイトや教師、親への愚痴も嫌な顔ひとつせず最後まで聞いて静かに同意をくれる。
 アドバイスを欲すれば的確に答えをくれる。どうしても欲しいものがあるとき、神様はそれを他の子供たちには内緒でプレゼントしてくれる。
 彼らがその神様に信頼を寄せ、一緒にいる時間が次第に伸びていったのも不思議な事ではないだろう。
 多感な年頃の少年少女にとってまさに理想的な、優しく理知的で、決して自分を否定しない大人である神様に、子供たちは夢中だった。
 そしてある日、神様は子供たち全員に"あるもの"をプレゼントした。最新型のVRゲーム機だ。
 それを受け取った子供たちは高価な玩具に歓声を上げ――その歓声が悲鳴に変わるまで、そう時間はかからなかった。
『――これでぼくらはずっといっしょだ。だいすきなきみたち、ずっとずっとここにいていいからね』

●子供の王国
「戦友諸君、事件です」
 集まった猟兵たちに資料を配るグリモア猟兵、パル。
 機械であり、未だ感情を理解する途上にあるはずの彼女の手が僅かに震えていた。
「場所はUDCアース、その、今回の事件は…………」
 歯切れの悪いパルに代わって資料から事件を読み解けば、なるほど。
 今回の事件はUDCアース。現地の児童十数名がここ数週間に渡って不審な外出を繰り返し、遂に数日前、失踪した。
 現地警察の捜査の結果UDC絡みの事件の可能性があり、その段階で即座にUDC組織が情報統制を敷き捜査を引き継いだ。そして昨日遂に市内のゲームセンターにて行方不明の児童たちの発見に至る。
 ――だが、発見された児童は一様にヘッドギア様の機械を装着しており、その機械が児童の"身体を操る"形で、保護のため現地に向かったエージェント達を攻撃。
 エージェント一名が殉職、三名が重軽傷を負いUDC組織は救助作戦を断念して後退せざるを得なかった。
 問題は、その操られた子供たちは意識を保っていること。加えてUDC組織のメカニックたちの見解で、取り付けられた機械のみを安全に排除すれば現時点ではまだ子供たちの救出は不可能ではない、ということがわかっている。このためにエージェント達は殺傷力の高い武器で反撃することができず、被害が拡大してしまったらしい。
「……ですが助けられるのであれば、できる限り子供たちの命を失わせたくはないです。難しい任務ですが、殲滅ではなく救出をお願いしたいと思います」
 それから、とパルは言葉を続ける。
「UDC組織から提供された資料には存在の記述はありませんでしたが、子供たちに当該の機械を配布したもの……僕の言語能力ではそれを正確に表現することは困難ですが、強いて言えば……」
 ――神。
「……そう、神さま。きっとそれも戦友諸君の前に現れるでしょう。彼は子供たちを手元に置くことに執着していたようですから、子供たちを解き放とうとすれば現れるはずです」
 二度とこんな事件を起こさせないよう、可能であればその撃破もお願いします。
 パルはそう締めくくり、猟兵たちを送り出す準備を開始した。


紅星ざーりゃ
 こんにちは、紅星ざーりゃです。
 今回の依頼は、囚われた子供たちの救出と、彼らを誑かしたUDC存在の撃破。
 ですが、助け出すべき子供たちが邪悪な機械によって操られ、敵として立ち塞がっています。
 幸いにも今はまだ支配が不完全なため、ピンポイントに機械部分のみ破壊すれば子供たちの救出は可能でしょう。
 後味の良い結末のためには子供たちの救助が必要ですが、ただUDC存在を排除するだけならばすべての子供が存在の支配下を脱する――つまり、殺害してもお話は進むでしょう。
 おすすめはしませんが、どうしても救助が困難な場合はそれもひとつの手段です。

 子供たちを無事無力化すれば次はUDC存在との戦闘となります。
 すべての敵を排除した後は、日常シーンをお楽しみください。
 子供たちが無事に救助されていれば、一緒に遊ぶことも可能でしょう。
 また、呼んでいただければパルも伺います。

 例によって情報統制や戦闘痕の隠匿、関係者のケア等はUDC組織が引き継ぎます。
 安心して全力を尽くしてください。

 この事件の後味を少しでも良くするために、皆様のお力をお貸しくださいませ。
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第1章 集団戦 『『ジャガーノート』寄生未完了体』

POW   :    《Now Loading...》
戦闘力のない【電子データ】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【寄生完了を加速させるプログラム】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    助けて、誰か
【寄生された子供の生存願望を叫ぶ悲痛な声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    《緊急防衛モード、作動シマス》
【寄生対象者の生命力】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【自身を緊急防衛モード】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トリテレイア・ゼロナイン
まずは殉職したエージェントに最大の敬意を。

その遺志を継ぎ、騎士として子供達を救出します

UCを発動
武器と盾を捨て、銃器も使わず、センサーで攻撃を●見切って最低限攻撃を躱しつつ子供達に接近

もう大丈夫です、今、貴方達をお助けいたします。今少し我慢してくださいね。

助けを求める伸ばす手と●手をつなぎ、●優しく声を掛けつつ、接触回線で機械に●ハッキング、●破壊工作し子供との繋がりを切断します
その隙にもう片方の手で●怪力●鎧砕きで子供を傷つけぬよう機械を破壊

…人を殺害してしまった子の精神が心配です。もし自我が残ったままだったら…
その子には生きることを肯定してあげなくては、エージェントも浮かばれません


白斑・物九郎
ガキ共助けようとして死んだエージェントも居るんスか
ならそいつを果たして帰らにゃ猟兵の名が廃りますわな


●WIZ
専守防衛気味に交戦
360度包囲だけされねえように、壁・コーナーを背にするポジショニングを適宜実施しまさ(地形の利用)

敵攻勢の間隙を縫って、素手でとっつかまえる【グラップル】
と同時に【アイシクルドライブ(属性攻撃・氷)】!
冷気の出力をガキの体を毀損させねえ程度に絞りながら動きを封じてやりまさァ

ガキと機械とを繋ぐキモの部分はどこですよ?
【野生の勘】でアタリを付けて、その楔をパージしてやりまさァ(鍵開け)


俺めの得物とスキルで達成出来なさゲなら氷結封じに専心
機械動作に関して感じた情報を味方に報告


リダン・ムグルエギ
アドリブ連携歓迎

…そう、あの人が
アタシは正直湿っぽいのは嫌いよ
だから誇ってあげましょ
彼の命で「何人分の命を救えたか」を形にして、彼の成果を全力で誇りましょ
そういうデザインの方が、アタシ好きよ
(アイテム:コネクションで死んだ人と知り合いな演出)

子供と思ったら無茶苦茶強いじゃない、ヤダー!
たーすけてー!

可能なら相手の声に共感し能力底上げするため、あえてそんな気持ちで前線に立つわ
ユーベルコードで得た速度と合わせ回避盾に専念するの

そして「空からいっぱい神様の敵が来てるのに見なくていいの?」
って幻覚を見せる声を、タイミングを図り放つわ

救助活動ならお手のモノでしょ?
ここで隙をついてね、エージェントの皆…!




「来てくれたのですね、猟兵」
 件の子供たちが居るというゲームセンターの周囲は、UDCエージェント達によって封鎖線が敷かれていた。
 転送されやってきた猟兵たちを、ギプスで固めた片腕を三角巾で吊り全身に血の滲む包帯を巻いた痛々しい姿のエージェントが出迎える。
「ご覧の通り、今は貴方がたの到着を待って封じ込めに徹底しているのが現状です」
 子供たちが建物を飛び出して被害を拡散させることはないが、同時に操られている子供たちを積極的に解放させる手立てもない。
 エージェントは不甲斐ないものですと自嘲して、猟兵たちを突入口である正面入口まで導いていく。
 装甲化されたバンが自動ドアの前に隙間なく停車し簡易なバリケードを築き、その周囲を完全武装のエージェントや機材を並べ何やら計測しているらしいメカニックたち。彼らも一様に、猟兵たちの姿を認めると作業の手を止めることなく視線を向けてくる。
 その眼には、囚われた子供たちを救出してほしいという期待とそれを猟兵に頼らざるを得ないことへの無力感がないまぜになった色が浮かんでいた。

「ガキ共助けようとして死んだエージェントも居るんスか」
 物九郎がふと、前を歩くエージェントの背中に言葉を投げかける。足を止めた彼は、短くええ、とだけ応えた。
「ちょっとぶっちー……!」
 咎めるようなリダンを制して、物九郎は更にその背中に語りかける。
「安心しなさいや。そいつのやりかけの仕事を果たして帰らにゃ猟兵の名が廃りますわな」
 後は任せろ、やり遂げてやる。
 断言する物九郎に続いて、トリテレイアも深く頷き口を開く。
「私からも殉職したエージェントに最大の敬意を。その遺志、騎士として引き継ぎます」
 白亜の鎧をがしゃりと鳴らして、二人の男たちは入り口を塞ぐバンの前に立つ。
「……報告書で読んだわ。あの人、やっぱり無茶して逝っちゃったのね」
 何度かUDCアースで戦ったことのあるリダンにとって、たった一度だけ共に仕事をしたエージェント。
 UDC組織の一員でありながら、自分より他人を優先して無茶をするその姿に感じた危うさは、危惧した通りの結末を迎えてしまった。けれど。
「アタシは正直、湿っぽいのは嫌いなのよ。だから誇ってあげましょ」
 彼が子供たちを傷つけまいと、そして同僚たちを守ろうと擲った命。そのおかげで、未だに犠牲者は彼一人だけだ。彼の命で何人の命が救えるのか、救えたのか。それを猟兵たちが形にして、彼の最後の成果として誇る。
「そういうデザインのほうが、アタシ好きよ」
 ひらりと手を振って物九郎とトリテレイアに続くリダン。ゆっくりとバリケード代わりのバンが発車し、突入口を形成していくのを見守るその背中に、エージェント達の敬礼が向けられていた。


「こいつァ……」
「くっ、なんて惨い」
「酷いデザインね……」
 三人の猟兵は絶句した。
 ゲームセンターの薄汚れた床に倒れるようにして蹲る、十数人の子供たち。
 頭を抱え、胸を押さえ、痛みに苦しみ身を丸めていた彼ら彼女らは、包囲が解かれ猟兵たちが踏み込むやのそりのそりと起き上がり、幽鬼のような足取りで出入り口に殺到した。
『たすけて、たすけて……』
『いたいよォ、あたまが、あああ……!』
『かえりたい、いえにかえりたい……!』
 苦悶の表情を浮かべた子供たちとは裏腹に、邪悪の根源たるマシンから伸びるケーブルは荒々しく猟兵を威嚇するように空気を斬り裂きのたうち回る。
 まず前に出たのはトリテレイアだ。
「もう大丈夫です、今、貴方たちをお助け致します。だからもう少しだけ我慢してくださいね」
 優しく声を掛け、助けを求める子供たちの手を優しく包み込むトリテレイア。たすけて、たすけてとうわ言のように繰り返す少年は、大柄な騎士の力強い声かけに小さくうんと応じて唇をぎゅっと結ぶ。
 そのトリテレイア目掛けて、少年のヘッドギアから伸びたケーブルが鋭く突き刺さった。
「そちらから回線を繋いでいただけるとは僥倖です。その無理やり繋いだ縁、断ち切らせていただきます!」
 機械同士であれば、ウォーマシンであるトリテレイアも負けては居ない。クラッキングを仕掛けてきたヘッドギアに対して逆にハッキングを仕返し、少年との接続を丁寧に解いていく。
 それに焦ったのか、ヘッドギアはトリテレイアへの攻撃を中断して少年の支配に全力を傾けたがもう遅い。
 めしゃり、と音を立てて、五指の形に穴の空いたヘッドギアが引き剥がされる。

「ガタイがいいとこういう時便利スね!」
 一方の物九郎は、ゲーム筐体の上を飛び回り、器用に壁際で立ち回って死角を減らしながら子供たちを引きつけていた。
 トリテレイアのように多少の攻撃も物ともしないタフネスがあれば別だが、物九郎は膂力より脚力、スピードタイプの猟兵だ。囲まれて正面から殴り合うタチではない。
「おっ……と! 他人様の身体でやりたい放題ですかよ。マジ害悪スな」
 ぶぉん、と音を立て、物九郎目掛け両替機が宙を舞う。間一髪で躱されたそれは、壁に大きな穴を開けて床に落ち、じゃらじゃらとコインを撒き散らした。
 投げつけた子供の腕が肩からだらりと力なく下がっているのを見て、物九郎は舌打ちする。
 脳が普段掛けている人体のリミッターを無理やり外した馬鹿力。そんなものを未成熟な子供の身体が常時発揮していれば、かかる負荷も尋常ではあるまい。
「時間稼ぎして見極め、なんて言ってる場合じゃねェですわな、ちぃっと冷たいが男の子なら我慢しやがんなせェよ!」
 両替機を投げつけた少年に飛びかかり、その左腕から放った冷気で一瞬だけ少年の筋肉の動きを鈍化させる物九郎。
 その一瞬の間に、少年の身体を覆う機械に目を走らせ――
「そこがキモっスか!」
 握った鍵束から選んだ一本、それを引っ掛けて部品を一つ弾き飛ばす。
 剥き出しになった機械の心臓部に、物九郎の拳が突き刺さった。

「ふたりともソツ無くこなすじゃないの」
 やるじゃない、と的確に機械を無力化した二人を見届けたリダンは、すっと静かに息を吸い込み――
「子供と思ったら無茶苦茶強いじゃない、ヤダー!! たーすけてー!!!!」
 群がる子供たちによってガタガタと揺すられるUFOキャッチャーの筐体の上で、天井から電源を供給するケーブルを握りしめて叫ぶ。
 さながらゾンビ映画の生存者のようだが、群がっているのはゾンビではなく生きている子供で、彼らもまた助けを求める被害者なのだ。
 だが、リダンもただ囲まれているだけではない。その役割は、一人でも多くを引き付けること。
 そして、近くに寄ればあとはリダンの独壇場だ。ふわりと漂う彼女の香水は、痛みと苦しみで朦朧とした子供たちによく染み込み、催眠術の効力を何倍も強く発揮する。
「空からいっぱい神様の敵が来てるわよ、見なくていいの?」
 投げかけられた言葉に、子供たち――いや、その脳に間借りした機械たちがリダンの更に向こう、天井を見上げる。
 彼らには果たして何が見えているのか。動きが止まった機械の群れを見渡して、リダンはもう一度静かに息を吸い込み――
「今よ、皆!」
 その合図で、後続の猟兵と共にエージェント達が建物に雪崩れ込む。
 前衛の猟兵が戦線を築いていくその後ろで、リダンの催眠術によって無力化された子供を数人がかりで抱えて引きずって行くエージェント達。
 すぐさまメカニックが駆け寄り、機械にパソコンを繋いで戒めを解き放つべく奮闘し始める。
 彼らなりの戦いに後は任せ、リダンは筐体から軽やかに飛び降りるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕凪・悠那
ははぁ、なるほど。
……オッケー、大体解った。
――舐めるなよ。

MMOのタンク騎士を召喚
AI操作でボクの代わりにヘイトを受け持たせて[時間稼ぎ]させる

電脳展開、ES起動
VRマシンに[ハッキング]をかける
範囲化([範囲攻撃])した【崩則感染】を使用
ウイルスプログラムによる[破壊工作]で緊急防衛モードの発動自体を無効化
その後、寄生支配を司ってる部分まで[ハッキング]で掌握して寄生対象を解放するよ

機械部分の破壊、ボクはこういう方法を取らせてもらうよ
ボクの分野だ
防衛プログラムとかあるかな?
あったとしても関係ない([鍵開け][暗号作成]の応用[カウンター])けど

アドリブ、連携大歓迎


龍宮・蒼夜
『神』ねぇ…
出て来るなら絶ち殺すが…まぁ、まずは子供だな

[目立たない]ようその辺のゲーム筐体で[地形の利用]しつつ近づいて
[早業][メカニック]の[ハッキング][鍵開け][封印を解く]
で子供をヘッドギアから解放するかねぇ
【レプリカクラフト】で工具も作るがまぁ、ないよりマシって感じかな
「ハイハイ、自由になったらなに降り構わず逃げた逃げた」

子供に害が及ぶようなら[かばう][盾受け]でフォロー
「大丈夫大丈夫。こっちは気にせずその辺のお兄さんお姉さんに保護してもらえー」
安心させるようおどけて見せて
子供の面倒は他の人にパス

「神って連中はどいつもこいつも碌なことしないねぇ」
ホントに…ヘドが出る




「大体わかった。――舐めるなよ」
 後続として突入した猟兵、その最先頭で悠那は毒づいた。
 分厚いフルプレートメイルに1と描かれたタワーシールドを構えた重装騎士達がずらりとジュラルミンの盾を並べる機動隊のように陣を敷き、子供たちに相対するその背後で、悠那は電子精霊を立ち上げる。
「ES、あいつらにハッキングだ。できる?」
 是と答える電子精霊に頷いて、悠那は騎士とぶつかり合う子供たち、その頭に貼り付いたヘッドギアに回線を繋いでいく。
 物質空間に電脳が重なり合い、きらびやかな回路図が拡張現実めいて広がっていくが、それも子供たちに触れた傍からどす黒く変色し、禍々しいものを隠すこと無く垂れ流し始めた。
「"侵入る"前からこれか。ホント……」
 邪悪としか言いようのない、悪意に満ちたプログラム。それがあの機械を介して子供たちを操っている。その様に悠那は小さく溜息を零し、そして攻撃的な笑みを浮かべる。
「そういう機械相手はボクの得意分野だ。防衛プログラムでもなんでも掛かってきなよ」
 本職の電脳魔術士相手に、電子戦で勝てると思わないことだ。ESがリアルタイムに送ってくる敵の電子的な構造データを電脳ゴーグルのディスプレイに流して読み取り、的確に有効なコンピュータ・ウィルスを作成していく悠那。
 だが、機械――ジャガーノート達もやられるままではなかった。
 耳障りな轟音とともに突き破られた防衛線。騎士が押し倒され、流れ込む子供たちによって踏みつけられて光の粒子となって砕け散る。
「電子戦で勝てないからって物理で来るのは卑怯じゃないかな……!」
 敵が突破してくるのを想定していなかったわけではない。すぐさま悠那は押し寄せてくる子供たちから身を翻し距離を取る。
 高脅威目標と定められた悠那を排除すべく、緊急防衛モードを作動したジャガーノートが子供の身体を操り、ゲーム機の前に固定されたスツールをもぎ取って鈍器のように振り回しながら迫る。
 相当に無理な力で引き抜いたのだろう、スツールを握る少女の手からは血が滴っていた。そんな状況で無理矢理に身体を動かされているのだから、力任せの攻撃は悠那にとって躱すことは容易い。容易いが、同時にウィルスを製造できるほどの余裕もない。何しろ敵は四方八方から襲いかかってくるし、その機械から伸びたケーブルもまた擬似的なオールレンジ攻撃として死角から悠那の隙を虎視眈々と狙っている。
 思わず歯噛みする悠那、その退路を塞ぐようにケーブルが伸び、振り返ったその視界いっぱいに血に塗れたスツールが――
「させねぇ、よッ!!」
 筐体の陰から飛び出したものが、その手に握った工具でスツールを受け止める。
 レンチとドライバー、無いよりはマシ程度の得物を交差させて振り下ろされたものを止め、そのまま弾き返す。
 機械からの干渉によって肉体のリミッターが外されたことで、力の差はほぼ無くなった。とはいえ、単純な体格の差から来る有利はやはり成熟した猟兵――蒼夜にあることに変わりない。
 弾き返されてよろめいた少女に、レンチを捨てて更に距離を詰めた蒼夜は機械化された左腕で速やかに椅子を奪い取った。
 奪われた椅子に引っ張られるように飛び込んできた少女を抱きとめ、ドライバーをすばやく動かしヘッドギアの装甲を剥ぎ取った蒼夜は、基盤を引き剥がして指でぱきりと割り捨てる。
「はいよ、自由になったな? ならなりふり構わず逃げた逃げた、あっちのお兄さんお姉さんに保護してもらえ?」
 身体の自由を取り戻し、泣き腫らした目で辺りを確認する少女の背をとんと叩いて笑いかけ、入り口付近に救護陣地を敷いたエージェント達の方を示し送り出した蒼夜。その無防備な背中目掛けて、別の子供達が襲いかかり――
「さっきは助かったよ、でもこれで貸し借りなし、どう?」
 蒼夜が介入した僅かな時間でウィルスプログラムを仕上げた悠那が、それを子供たちのヘッドギアへと送り込む。
 完成とは程遠い、間に合わせのウィルス。きっとすぐにでも適応し、対策を講じてくるだろう。
 纏めて配信したが、それも近場の数人までが限界ですらあった。
 そんなウィルスでも、子供たちを支配する機械の動きをほんの数秒止めることができた。
 そして、その時間があれば――
「いいよ、もともと貸したつもりも無いけどね」
 振り返った蒼夜のドライバーが奔る。機械のように正確に、ヒトの手の繊細な機微をもって振るわれたそれは、違わずヘッドギアを解体し、基幹部分を突き割っていた。
「にしても、神って連中はどいつもこいつも碌なことしないねぇ……」
「まったくだね。子供を狙うのも、ゲームを悪事に使うのも……」
 ――本当に、
「「ヘドが出る」」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
「兵器にされる子供たち……ですか」

囚われた子供たちに重なるのは、
研究所で生まれ育ち、兵器となる実験を受けてきた自分自身の姿。

「兵器にされる子供をこれ以上増やすわけにはいきません!」

固く心に決意し、子供たちと対峙します。

私の攻撃では、機械だけをピンポイントに破壊することはできません。
であれば、私の得意分野のハッキングを使うまで!

【チューリングの神託機械】を発動。
代償で吐血しながらも、ホロディスプレイとキーボードを展開。
子供たちに近づき、有線接続でUDCをハッキングして動きを止めます!

「たとえ私がいくら傷付こうとも、子供たちだけは救い出して見せます!
みなさん、いまのうちに攻撃を!」

アドリブ大歓迎


宇迦野・兵十
へぇー、これがげーむせんたーっていうものか
どこもかしこもきらきらぴこぴこだ
僕が今まで見てきた中でこんだけきらきらなのは
江城か吉原ぐらいなもんだよ、すごいねぇ
(子供達の方を向いて)
なぁお前さん達、よければこのぴこぴこの事教えちゃくれないかい?
邪魔なお面はきつねさん達がどうにかしてするからさ

【誘惑】して敵対心を見せずにふらふらと子供達に近づこうか
相手から攻撃があっても子供は傷つけたくはないね【見切り】【武器受け】で上手く防ぐ
鈍刀・眠狸の間合いまで踏み込んだら
斬るべき位置を【見切り】、機械のみを【剣刃一閃】で断ち斬る

怖い思いさせてごめんよ、もう少しだけ我慢してくれるかい?

アレンジ・アドリブ・絡み歓迎


アリシア・マクリントック
何たる非道……!ですが、今は怒るよりも助かる可能性のある者を助けることに集中しましょう。
一点を狙う、ということであれば私の剣の得意とするところ。開口部や機械を固定しているであろう所を狙って確実に攻めましょう。つらいでしょうが、マリアには攻撃せずに足止めに専念してもらうことになりそうです。これは他の方との連携が重要になりそうですね。
戦っている最中にも捕らえられている子供たちに激励の言葉をかけ続けます。支配に抵抗するという意味でも、ただ生きるという点についても最後にものを言うのは心の力です。
「私のこの命と誇りをかけて必ず助けます!」




「兵器にされる子供たち、ですか……」
 眼前で、悲痛な叫びを上げて助けを求めながら、操られるままに猟兵たちに牙を剥く子供たち。
 その姿が、ふと揺らぐ。揺らいで、別の誰かの姿になる。
 誰か、ではない。その正体を、アイは知っていた。
 白い髪、赤い瞳、華奢な身体。誰よりもよく知るその姿は、まさしく――
「私と同じ……そんな子供をこれ以上増やすわけにはいきません!」
 決意を胸に、キッと前を見据えるアイ。その視野が見る少女は、もう過去の己の写し身ではない。救うべき、一人の被害者の少女だ。
 展開したホロディスプレイを視線が這い、キーボードをを叩いて現状に有効な対抗策を模索するアイ。
 プランA:軌道上に召喚した小型戦艦による艦砲射撃。
 ――論外、精密性に欠け、また規模が大きすぎて犠牲が出る。それどころかUDC組織のエージェント達まで巻き込みかねない。
 プランB:偵察ドローンによる遠隔攻撃。
 ――非推奨。ドローンの攻撃力は低く、有効打を与えうるとは考えにくい。
 結論は出た。
「私の攻撃で彼らを解放することは……出来ませんか。でも、だから救えないとは限りません! 私は私にできることで戦うまでですっ!」
 ディスプレイを這う視線の動きが加速した。眼球が忙しなく駆け回り、視覚情報をコンマ一秒でも速く脳に送り届けるべく無理をする。同様に、キーボードの上を踊る指先の速度も上がっていく。
 情報を、少しでも多くの情報を得るために。
 子供たちを救うための戦いに身を投じたアイの負荷が遂に限界を越えた。頭の中でぶつりと何かが千切れる音がして、目から、口から、耳から血が流れ落ちる。
 それでも、アイは。
『おねえちゃん、たすけて……!』
『いたいよ、あたまが、あたまが、うぅぅ……!』
『やだ、やだ、かってにうごかないで……!!』
 苦悶の声を上げ、枯れ果てた涙を絞り出すようにして悪意に抵抗しながら殺到する子供たちを助けるために、その攻撃を避けること無く受け止め、ヘッドギアにケーブルを繋いで――
「たとえ私がいくら傷つこうとも、子供たちだけは絶対に救い出してみせます!」
 今です、と叫ぶアイ。ぐらりと傾ぎ、倒れ込む白い少女と入れ替わるように、金と黒が躍り出る。

「見事な覚悟でした。あとはこの私が、命と誇りを懸けて必ずや――!」
「うん、お前さんの頑張りは僕が遂げてみせよう」
 美しい細剣を手にした金髪の令嬢と刃の潰れた刀を手にした黒髪の剣士が、頼もしい足取りで飛び出した。
 アイのハッキングで動きの鈍った少年少女、その頭上に頂かれたヘッドギア。
 それでもしぶとく張り付き子供たちの自由を奪うその姿に、アリシアは思わず顔を顰めた。
「何たる非道……! ですが今は憤るより、助かる可能性のあるものを助けることが先決……っ!」
 見たところ、例の機械は外装にまで樹脂ではなく金属を用いているようだ。
 正面から貫くのは――無論、子供たちの安全も鑑みて――あまりいい手段とは言えないだろう。
 剣が傷まず、子供たちに与えうる危険も少ない場所。それを狙うために、動きの鈍った子供を覆う機械を改めて観察するアリシア。
 機械側の支配が緩んだ代償として、重心が不安定で一層よろよろと動く少年の挙動は狙いを定めにくいが、機械を固定する金具であればなんとかできそうだと判断してすぐさま行動に移る。
「大丈夫、絶対に助けます。諦めないで、今は痛いかもしれませんけれど、すぐに外してあげますから!」
 アリシアの激励に気力を振り絞る少年を再び支配しようと再起動を試みるジャガーノートに対して、その時間を与えまいと飛びかかるのはアリシアの相棒である狼のマリア。
 彼女が少年にのしかかり抑え込んでくれたおかげで、アリシアの剣先は寸分違わず倒れ込んだ少年の身を戒める金具を砕く。
 固定の無くなったジャガーノートにマリアが噛みつき、少年から引き剥がして放り投げる。空中を舞うそれをアリシアの鋭い刺突が貫いた。

「いやぁ、これがげえむせんたぁっていうものか」
 どこもかしこもきらきらぴこぴこだ、初めて見たよと呑気に呟き、兵十は目の前の少年に歩み寄る。
「僕が今まで見てきた中でこんなにきらきらしてたのは江城か吉原くらいなもんだよ」
 すごいねぇ、と言ってもこっちの江城や吉原はもっときらきらしているのかねぇ、と。
 その振る舞いはまるで普段どおりのようでいて、無駄な力の入らない自然体だ。
 だが、少年を見るその糸目に宿る眼光は鋭い。正確には、子供を操る邪悪な機械――ジャガーノートを睨む視線だ。
「なぁお前さん達、よければ後でこのぴこぴこの事、教えてくれないかい。その邪魔なお面はきつねさんたちがどうにかしてするからさ」
 にっ、と笑う兵十に、少年も痛みに耐えて泣き笑いを返す。
『ぴこぴこじゃないよおじさん、ゲームっていうんだぜ。いいよ、あとでゾンビハザードガンナーⅢで勝負しよう、俺クラスで一番上手いんだ』
「へぇ、一番かい。凄いねぇ、きつねさんは初めてなんだ、お手柔らかに頼んだよ。さあ、そのために――」
 ふらりと敵対心の欠片もない、殆ど無意識の一歩。
 それがたちまちに少年と兵十の距離を零に詰め、慌てたジャガーノートがケーブルを伸ばして抵抗するがもうそこは兵十の間合いの内だ。
 一閃。刃の潰れた鈍刀が空を滑り――
 ぴしり、と真一文字に切り裂かれたジャガーノートがからんと軽い金属音を立てて床に転がった。
「こいつを外さないとね。怖い思いをさせてごめんよ、さ、勝負の前にもう少しだけ我慢していてくれるかい?」
 あっちへお逃げ、と少年をエージェント達の方へ送り出す。
 少年はアリシアが助けた別の子供を助け起こし、無理が祟って倒れたアイを回収し、後方で治療するため駆けつけたエージェント達に護衛されて退いていく。
「さ、後少しってところだね」
「ええ、今の所子供たちも無事、いい流れだと思います」
 武器を構え直す二人。その向こうで、まだ戦いは続いている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
【PPP開発室】で参加

……これは。よくないやつ。壊そう。
「神は死んだ」


基本的に【気絶攻撃】用の銃弾を使用。
ヘッドギアを狙い、破壊する。
怪我は……骨折程度までは、許容範囲?

「狙い撃つ、からの。しーきゅーしー」
中距離から【スナイパー/誘導弾/2回攻撃】で牽制。
【ダッシュ】で接近し【手をつなぐ/グラップル】で組み付いてヘッドギアに【零距離射撃】。
うまく気絶、またはヘッドギアを壊して動きを止められたら【ロープワーク】で捕縛。
「……重かった」
……移動させるのは。他の皆に任せた。
ビードットとか、いっぱい載せられそう。私は小柄なので。

仲間には横から【援護射撃】。子供達の態勢を崩す、くらいはできる。


ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
見たり見たり見たり、汝らの破滅を見たり
未だ破滅を知らぬ者、数多の可能性持ちし無垢
無垢に取りつきかどわかし、それを眷属せし所業
破滅を知らぬ無垢の者、しばし苦痛を我慢せよ
無垢に付きし屑鉄よ、汝の破滅はここにあり

UCにて過去のUDCアースの大隊を招来
これなるはとある島にて民を救おうとし敗れた者なり
数多の命が失われまたも失われようとしておる
再度救う、時来たれり。民を救いて未来に繋げ

大隊を複数出し人海戦術にて救助を行いけり
押さえつけ動きを封じ我自身が【ハッキング】を
行いて安全に取り外しを試みけり
難しければ攻撃し無理矢理取り外しけり

無垢を操り挑もうと勝てる道理はなかろうて
いと哀れな存在なり


イデアール・モラクス
【PPP開発室で参加】
フン、哀れなガキ共など鏖殺…と言いたいがパルやフィーナはそれを望まないだろう。
ならば私はこの極めた魔術を使って全てのガキを救ってみせる…ガキが死ぬのは見たくないしな。

・行動
UC【鏖殺魔剣陣】の術式を改良して放つ事でガキ共を操るヘッドギアだけを破壊する。
『全力魔法』で斬れ味を増し『範囲攻撃』で無数に数を増やし『属性攻撃』で雷を纏わせ、極めつけは『武器改造』で一振り一振りの魔剣を小型化して『高速詠唱』で連射、ヘッドギアを斬り刻む!
「小賢しい支配術など私が粉砕してくれる!」
敵の攻撃を右手に持ったドミナンスで斬り払う『武器受け』しながら鏖殺魔剣陣を操り、救出を成す。

※アドリブ歓迎


フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
また何ていうか、変わった帽子が流行ってるのね!
ちゃんと前見えているのかしら?
あ、こいつらが敵なのね?わかったわ!じゃあぶっ飛ばしてやるわ!
え?駄目なの?ああ。これ操られてるのね!胸糞悪いわね!

じゃあ私は皆と動きを合わせながらフォローに入るわ!
器用に一部だけ壊すとか私は出来ないもの!吹っ飛ばすor焼き尽くすよ!
仲間の攻撃に合わせてUCを「高速詠唱」「先制攻撃」使用で
子供が間違って傷つかないように拘束するわ!
解放されて傷ついたり、気絶してる子がいたら
UCのお手手にバケツリレーで安全なとこまで移動させてみるわ!

(アレンジ、アドリブ大歓迎)


アンナ・フランツウェイ
【PPP開発室】で参加。

撃破じゃなく無力化か。やり辛いな…。ともあれ子供達を救出する為にはやらなきゃいけないんだ。もう少しだけ耐えて、あなた達を必ず助けるから。

子供達が動き出す前に【断罪式・白詰花】を発動。高速移動で子供達へ接近。【先制攻撃】で叫ぼうとしている子供を優先的に狙い、ヘッドギアの脆い部分を【見切り】その部位へ【鎧砕き】で攻撃。子供達の無力化と戦闘力の増強を阻止し、開発室の皆が戦いやすい状況を作れるようにしたい。

他の子供達のヘッドギアも同様の手段で破壊していこう。味方に拘束された子供がいたらその子から先に狙っていくよ。

あと力加減には気を付けて、殺したり怪我をさせない様に気を付けるよ。




「また何ていうか、変わった帽子が流行ってるのね! ちゃんと前見えてるのかしら?」
 子供たちの頭部に貼り付いた機械、ジャガーノートを怪訝な目で観察しながらフィーナが首を傾げる。
 顔の前にかかる部分は半透明の素材で出来ているようだが、それにしたってでかでかと「なうろーでぃんぐ」など書かれていては前が見えにくかろう。
「ちがう。これは、よくないやつ。怖そう」
 UDCアースの文化はよくわからないわ、と肩を竦めたフィーナに、夜姫からのツッコミが入る。
 帽子ではなく、これが今回倒すべきオブリビオンだと二挺拳銃を構える夜姫。
「あ、こいつらが敵なのね? わかったわ! じゃあぶっ飛ばしてやるわよ!!」
 先陣はまかせろー! とばかりに杖を構え、爆発魔法を詠唱し始めた炎の魔女に、剣の魔女が同調する。
「フン、哀れなガキ共など鏖殺――」
 イデアールによって召喚された無数の魔剣の切っ先が子供たちを捉える。
「と言いたいところだが、パルたちはそれを望んでいないようだな。ならば私はこの極めた魔術ですべてのガキを救ってみせよう……! クク、フフフ、ハーッハッハ!!」
 正確に子供たちの心臓を狙っていた剣がヘッドギアと胸部のケーブル基部に狙いを移し、それにホッとしたようにアンナが吐息を吐いた。
「撃破じゃなく無力化、やり辛いけど……子供たちを助けるためにはやらなきゃいけないんだ」
 だからフィーナもあんまり激しい攻撃はやめて、と制すれば、発射寸前の魔法を大慌てでキャンセルしてさも今のは宣戦布告の「フリ」だったと言いたげなドヤ顔でフィーナが頷く。
「当然よ、一人だって欠けさせずに助けて見せるわ!! …………これ操られてるのね、危なかったわ。にしても胸糞悪い敵ね!」
 セーフセーフと額を拭うフィーナ。ともかく、戦闘準備は整った。
 開戦の号令を下すのは、もはやおなじみの破滅ロボ――
「見たり見たり見たり、汝らの破滅を見たり。未だ破滅を知らぬ者、数多の可能性持ちし無垢。無垢に取りつきかどわかし、それを眷属せし所業。破滅を知らぬ無垢の者、しばし苦痛を我慢せよ。無垢に付きし屑鉄よ、汝の破滅はここにあり」
 子供たちに取り付くジャガーノートに向けたビードットの破滅の聖句。
 それが結びの言葉を紡ぐと同時に、まずアンナが駆け出した。
「もう少しだけ耐えて、あなた達を必ず助けるから!」
『いぃぃぃ、いたいいたいいたい…………!!』
 迫る敵に対し、人質を取るように子供をケーブルで締め上げる機械。苦悶の絶叫は聞きたくない。聞く必要がない。上げさせない。
 ふわりとアンナの身に舞い降りるのは、子供たち――ジャガーノートによって命奪われたエージェントの無念の想い。
「――――すまない。助けてあげられなかった」
 大丈夫、あなたの無念は私達が果たすよ。
 確かに聞こえた死せる者の声に頷いて、アンナは子供を人質に取る卑劣な機械の胸部から伸びるケーブルを、流れ出る己の血を刃に変えて切り裂いた。
 拘束が緩みよろめいた少女のヘッドギアに、続けざまに放たれた切っ先が吸い込まれていく。
 機能停止し、バイザーに灯る文字列がノイズに変わって掻き消えたジャガーノートが砕けて落ちる。
 倒れ込む少女を抱きとめたアンナ、その左右から挟み込むように、新手の子供たちが迫っていた。
 少女を抱く手はふさがっている。相手を出来るとしてもどちらか一人、少女を庇いながらでは戦闘も難しいだろうか。――だが、アンナに心配する素振りはない。
「攻撃するなら吹っ飛ばすor焼き尽くすだけど!! 私だってちょっとくらいは皆のフォローも出来るのよ!」
 ぞぶり、と樹脂製の床を突き破って生えた青白い腕。それが子供たちの足を掴む。
 絵面だけ見ればホラー映画だが、つんのめって倒れ込んだ子供たちにはそれらが優しく包み込むように抱きとめ、怪我をしないように配慮していた。
「ないすふぉろー、フィーナ」
 骨折までならセーフだろうか、と飛びかかって白兵戦を挑もうとしていた夜姫が、動きを封じられながらもまだ立っている子供に狙いを移して拳銃からゴム弾を連射する。
 直撃すれば貫通しない硬質ゴムの弾丸とはいえ、骨が折れたり内臓にダメージがあるかもしれない。敵が動き回るならばそれも致し方なしと思っていたが、動きを止められるならばその必要もないだろう。
 夜姫の放った弾丸はヘッドギアを掠めるように飛び、ゴムの摩擦で装甲板や内部パーツを巻き込んで弾き飛ばす。
「狙い撃つ、からの。しーきゅーしー」
 駆け寄った夜姫が子供に組み付き、トドメの一撃をヘッドギアに放つ。
 完全に電源が落ちたのを見届け、ジャガーノート自身のケーブルで子供ごと縛り上げて床から生えた腕に託す。
「運ぶのは、任せた」
 一方でイデアールはまさに暴虐の魔女と言わんばかりの大暴れであった。
「小賢しい支配術など私が粉砕してくれるわ!」
 雷を纏ったナイフ大の魔剣を嵐のように周囲に漂わせ、拘束された子供たちの間を歩く。
 それだけで、無数の剣が正確にジャガーノートの重要部分に突き刺さって放電し、その機能をショートさせていった。
 だが、そんなイデアールに無理矢理拘束を解いて肉薄するものも居る。
 子供の命を削るほどの無茶な体捌き、力加減で強引に攻撃を仕掛けるジャガーノート。そのケーブルの乱舞を赤い大剣で一息に切り払い、魔女は嗤った。
「その程度で私に挑もうとはなぁ? 十年早い、十年経って立派な大人になったら改めて相手をしてやろう……!」
 その言葉はジャガーノートに向けられたものか、あるいは操られていた少年に向けられたものか。
 ケーブルを断たれてなお突進する少年を胸に抱きとめ、辺りを舞う魔剣を一振り掴んだイデアール。
 雷の刃が抱きしめられた少年の後頭部から、ジャガーノートを貫いた。
「戦闘は優位に進みけり。後は子供らを救うのみ」
 女性陣が獅子奮迅の活躍でジャガーノートを無力化していくさまを見守り、ビードットが自らもユーベルコードを発動する。
 彼らの連携は速度重視、ジャガーノートに対しても完全破壊ではなく機能停止を優先している。
 ともすれば、そのうち修復と再起動を済ませてしまうかもしれない。だからこそ、後詰めのビードットが作戦の肝となる。
「これなるはとある島にて民を救おうとし敗れた者なり。数多の命が失われ、今またも失われようとしておる。再度救う時来たれり、民をすくいて未来に繋げ」
 詠唱に応えるように無数の足音が地を踏みしめる。
 センターのあらゆる出入り口からUDC組織の包囲を無視して押し寄せるのは、エージェント達のようなスーツや近代的なボディアーマーではなく古めかしい黄土色の軍服に身を包み、軍刀を携えた兵士たち。
「我らが護りたかった未来を、今一度救うときぞ!」
「御国の明日を面妖な機械に奪わせてなるものか!」
 応、と鬨の声を上げて子供たちに駆け寄り、手足を優しく押さえつける兵士たち。
「工兵、こっちだ! 一等兵、工具をもってこい!」
「そこの、機械いじりが分かるなら手伝え!」
「こっちのはまだ動いているぞ、おうい、こっちだ! 手を貸してくれ!」
 工具を持った兵士が駆け回り、UDCメカニック達まで引き込んで、まだ機能停止していないものにはビードットが直々に対応しジャガーノートを解体していく。
「無垢を操り挑もうと、勝てる道理はなかろうて。いと哀れな存在なり」
 ハッキングによって邪悪なプログラムを抹消し、ジャガーノートの一体を文字通り滅ぼしたビードットがその解体を兵士に任せて次へと駆ける。
 PPP開発室の面々は、見事に多くの命を救ってみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カナタ・アマガ
まったく、『かみさま』っていうのも、ホント厄介なモノを作ってくれるわね。ただ、機械が相手なら、ウチの十八番よ!
【エレクトロレギオン】の機械兵器で撹乱しつつ、電脳空間を展開して、【ハッキング】!ヘッドセットのシステムを乗っ取って、取外しもしくは動きを止めるわ。
敵の防衛モードってのが危険ね。早めに対処ね。システムを乗っ取ったら、素早くヘッドセットを破壊するわ。【アタックコード・AWC】で、空間座標をロックオン、機械兵器の砲撃でピンポイントにヘッドセットを狙い撃つわ。

何かにすがりたいのも分かるし、自分のことを受け入れてくれるのは心地いいわよね。でも、現実はそんなに甘く無いわ。ちゃんと向き合って。


月守・咲凛
待っていてください、必ず助けます!
子供達の危機という事で、余裕はありませんけどやる気はマックスです。
子供達を護る、それが私のやるべき事なのです!
アジサイユニットとビームダガーを使って、機械部分のみを攻撃していきます。アジサイユニットは間違って子供にぶつかっても問題がないように、チェーンソーは起動させず物理的にぶつけましょう。子供の身体に当たりそうな攻撃を見たら身を呈してでも庇います。
あと、機械から伸びたコードの繋がっている先とかがあったりするでしょうか?
あればそれを、無ければコード自体を、ユーベルコードでロックオンして撃ち抜きます。誤射や敵の割り込みには全力で警戒、危なそうなら撃ちません。




「まったく、『かみさま』っていうのもホント厄介なものを作ってくれるわね!」
 猫型兵器の群れで子供たちを抑え込むカナタが、飛びかかる猫を引き剥がし投げ捨てるその姿に思わず声を漏らす。
 いくら小型の猫といえど、戦闘用の機械を易々と制圧してのける子供たち。おそらく頭上のジャガーノートが無理矢理に限界を越えた力を発揮させているのだろう。
 そういう無理は、得てして悲惨な末路を辿る。その遠からず訪れる破綻で代償を支払うのは、それを強制するジャガーノートではなく被害者たる子供たちだ。
 一刻も早く、魔性の機械から解放せねばならない。猫型兵器に前衛を任せ、電脳空間を展開してハッキングを試みるカナタに、ジャガーノートに操られた子供が迫る。

「させません!」
 その進路に割り込んだ小柄な影。囚われた子供たちよりも幼いその背中は、咲凛のものだ。
 四肢に纏うアジサイユニットがビームダガーを展開し、それを握った腕を振るって子供たちを縛るケーブルを切り裂く。
「待っていてください、必ず助けます!」
 自分より年下の幼い少女が頼もしく言い放つその姿に、咲凛を攻撃しながら少女が頷く。苦痛の叫びに枯れてしまった喉は、掠れた声しか出ない。ゲームセンター特有の、そして今は戦闘音やバックアップに回るUDC組織の面々の奮闘する声でかき消されてしまったが、その唇は確かに「わかった」と紡いでいた。
「ありがとうございます、子供を護る、それが私のやるべきことなのですから!」
 巨大なビームチェーンソーにダガーを収め、ぎゅんと一度回転させ――それから、回転を止めてビームの出力を最小に。
 一番装甲の薄い所にぶつけても、子供たちまで貫通しないように調節した出力に抑えて、少女を操るジャガーノートと斬り結ぶ。
 だが、子供たちを傷つけまいと細心の注意を払わねばならない咲凛と、肉体が壊れようとお構い無しで猛攻をかけるジャガーノートでは些か以上に大きなハンデがある。
 次第に圧されていく咲凛。その頬を嫌な汗が伝い始めた頃、カナタの歓声がその耳を打った。
「侵入成功! ハッキング開始……防衛モード? あまり時間は掛けていられないわね、ここは他の皆に倣って緊急停止コードを強制起動するのが限界みたいね。保って数秒、咲凛、頼むわよ!」
 侵入を検知し、防衛モードを起動されてしまえば子供たちへの負担は加速度的に増加してしまう。
 それまでの数秒、モードが切り替わる一瞬の隙を広げるコードを打ち込んだカナタ。
 それを受けて、咲凛と激突していた少女を操るジャガーノートが動きを止める。
「ありがとうございます……! これなら、狙える!」
 停止したチェーンソーでは数秒でジャガーノートを破壊する威力は出せない。
 今から回したのでは間に合わない。ならばどうするか。
 アジサイユニットに内蔵された砲が展開し、少女の体表を這うケーブルをロックオンする。
 身体に掠めるスレスレを、ケーブルだけを撃ち抜くように。
「これで、終わりです!」
 放たれた砲弾が少女を掠って、ゲームセンターの壁を穿った。コンクリートの壁に空いた穴から、砂状になったセメントが舞う。
 それを背に、解き放たれた少女は膝から倒れ込んだ。すぐさま駆けつけたエージェント達に彼女を任せ、咲凛は視線を他の子供たちに向ける。
 この数秒で、まだ助けられる命があるのなら――

「何かに縋りたい気持ちは分かるわ。自分のことを受け入れてくれるのは心地良いわよね」
 カナタも自らに迫るジャガーノートと対峙していた。
 ハッキングによって動きを封じられた機械。その檻に囚われた少年は、自らの浅慮を指摘されて表情を歪める。
 確かに彼らは間違いなく被害者だ。悪いのはかみさまなる存在であるし、少年たちを直接操っているのはジャガーノートである。
 だが、その状況を招き、UDCエージェントの命が失われる原因となったのは、彼らが居心地の良い方へ良い方へと流されてしまった心の弱さにあるのだと、カナタは指摘する。
「そんな人が居れば、誰だって夢中になってしまうだろうけど。でも、現実はそんなに甘くないわ。ちゃんと向き合って」
 甘い話には裏がある。もう二度と、彼らが甘言囁くUDC存在に騙されないように。
 突き放すような厳しい物言いも、きっといつか彼らに届くと信じたカナタの言葉は、しかし苦痛に苛まれ、最初に助けに来た大人を自分たちの手で追い返し、あまつさえ命を奪うことすらさせられてしまい疲弊した少年の心には冷たすぎた。
 枯れたと思っていた涙をボロボロと溢れさせ、力なく項垂れる少年。
 抵抗の意思が弱ったところをこれ幸いと防衛モードを起動しつつあるジャガーノートが最後の余力で支配しようとする中、カナタの猫型兵器が狙撃を放った。
 ――そして。
 一発目がヘッドギアを撃ち抜き、二発目が胸部のコアパーツを砕く。
 三発目が万が一にも再起動せぬよう、再びヘッドギアを狙い放たれたのと、ジャガーノートの最後の足掻きで少年が身を翻したのが同時。

「危ないっ……!」
 その弾道に、ジャガーノートが依代の少年の顔を滑り込ませる。
 金属の装甲に守られていない、薄いディスプレイパネルに覆われた顔面部は、撃たれればそのまま少年の頭蓋まで貫いてしまうだろう。
 ジャガーノートが回避の途中で力尽きたのか、最後まで悪意のままに子供を道連れにしようとしたのかはわからない。だが、このままでは彼が死ぬと一瞬で理解した咲凛が、アジサイユニットの最大加速で射線に滑り込んだ。
「くぅっ……!」
 身を挺して、射線に放り出された少年を狙撃から庇う咲凛。
「しまっ…………ごめん、大丈夫!?」
 慌てるカナタに咲凛は振り返り、少年からジャガーノートを引き剥がして投げ捨てながらこれくらいなんでもないと、それよりこの少年を早くエージェント達の所へ連れて行ってほしいと気丈に笑ってみせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
殲滅対象を視認。これよりミッションを開始する。

(ザザッ)
SPDを選択。
時間遡及空間"Undo"展開。

展開した空間を薙ぎ払う様に振るい対象に接触させ能力を発動。
(なぎ払い+範囲攻撃)
空間に触れた子供達を"UDCに寄生される前"の状態に復元、寄生状態を解除しUDCと子供達を分離する。
――分離できれば後は加減はいらない。熱線で悉く焼き払い右腕で粉砕するのみだ。

当UDCの生産者――"ドクター"の存在は視認できず。
外れか。
構わない、どうあれ発見した『ジャガーノート』シリーズは悉く殲滅する。

本機の行動方針は以上。
実行に移る。
オーヴァ。
(ザザッ)


葛乃葉・やすな
ぬおお。
これは許せぬ。
子供達を苦しめる神とやら許せぬよ。
子供達は1人でも多く助けたい。
子供達の命がわしの最優先じゃ。

【見切り】で子供達の間合いに入らぬように距離を取り、UC【奥義・傾国美女】を使用。
召喚した2人にはそれぞれ【早業】【破壊工作】で機械を壊して回る。

攻撃されても反撃はせぬ。
【見切り】で攻撃を躱すか、【オーラ防御】で攻撃を耐えるのじゃ。

なんとか無傷で子供達を救助せぬと。

※アドリブや絡み歓迎じゃ。




「これは許せぬ」
「子供たちを苦しめる神とやら、許せぬよ」
 多くの子供たちが猟兵の手でジャガーノートの拘束を逃れ、UDCエージェント達に保護された。
 それでも未だ助けを求める声が止むことはない。
 慎重にジャガーノートの攻撃範囲を見定め、間合いを取るやすなの背後から、その面影を宿したスレンダーな長身美女たる白いやすなと、豊満で女性的な魅力に満ちた黒いやすなが現れる。
 未来の理想の姿を呼び出す奥義、それにより召喚された二人のやすなは神への憤りを口にして、鉄扇と薙刀を構えてジャガーノートに操られた子供と対峙する。
「よいか、子供たちの命がわしの最優先じゃ」
「わかっておる、わしもわしじゃぞ」
「幼いわしはわしらに任せてどんと構えておれ!」
 白やすなと黒やすな、二人の連携は同一人物であるという強みを最大限に発揮した見事なものだ。
 ジャガーノートが牽制で放ったケーブルを白やすながリーチの長い薙刀で切り払う。引きちぎられた銅線がばらりと宙を舞う、その只中を駆け抜けた黒やすなの鉄扇が軽やかにこつりとジャガーノートの胸部パーツを叩けば、重量物が直撃した衝撃で子供の身体から外れかけるそれを、さらに白やすなが刺し貫いてトドメを刺した。
「ようし無事じゃな。幼いわしよ、この子を頼んだぞ」
「白いわし、次の子が来おるぞ。はよう準備するのじゃ」
 無傷で子供を助け出したやすなは、更に多くを救うべく気を引き締める。
「まっておれよ、今お姉ちゃんが助けてやるのじゃ……!」
 だが、子供たちを助け出すという彼女たちの並々ならぬ決意を感じ取ったジャガーノートは、次々と仲間たちが破壊されていく様に最悪の手段で自己の生存を図った。
 やすな達が新たに狙い定めたジャガーノートは、そのケーブルを自らが依代とする少女の首に巻き付け――
『あっ、ぁ゛、ぅぁは…………る、し…………!』
 締め付けるケーブルを引っ掻き、膝をついて苦悶の声を上げる少女。
「なんと卑劣なやつじゃ! 今すぐ叩き壊してくれる!」
「よせ、黒いわし! 近づいてみよ、あやつあの子の首を一層締め付けよるのじゃ。このままではわしらが距離を詰め切る前にあの子の息が止まってしまう!」
 完全に警戒されたやすなたちがわずかにでも身じろぎしようものなら、容赦なく自らが寄生し、人質に取った少女を危険に晒すジャガーノート。
 もしかすれば、脅しだけで殺すつもりはないのかもしれない。
 あの機械にとっても少女は大切な依代であろう。あの機械を配った「かみさま」にとっても、子供たちを殺してしまうのは不本意のはずだ。
 だが、それは猟兵達が思う最善の空想でしかない。その予想を確信する材料を持たないやすな達は、万に一つでも少女が殺されてしまう可能性がある限り動けない。
 ――だが、そこに割り込むものがある。
「――の生産者――"ドクター"の存在は――」
「――外れか。構わない、どうあれ――『ジャガーノート』――殲滅」
 ノイズ混じりの声を聞き取る事は難しい。だが、その機械は、その声の主が自らに近しいモノであり、自らを殺すことに長けた絶対的な天敵であると理解した。
 ずしり、歩み出る巨躯の黒豹。鋼のこすれる音、声に交じるノイズ。異様な異形の存在は、人質などお構いなしに前に出る。
「お、おいお主、あの子が死んでしまう!」
「そうじゃ、一旦止まって策を――」
 慌てたやすなが引き留めようとするが、彼女らを一瞥したそれ――ジャガーノート・ジャックはすぐにその視線を眼前の寄生機械に戻した。
「――時間遡及空間"Undo"展開。これより本機は対象の殲滅及び被害者の救出の実行に移る。オーヴァ」
 その巨腕の中で空間がゆらぐ。何か違うものが広がっていくのをやすな達は感じ取った。
「いったい、何をする気じゃ……」
「わからぬが、あやつはあの子を助けると言った。ならば信じてみるほか無かろう」
「ぬおお、手出しの出来ぬのが歯がゆいのじゃ……!」
 固唾を呑んで見守るやすな達の前で、ジャガーノートが後ずさる。ジャックの手から広がるその異様な空気が、自らを葬る致命的なものだと理解したのだ。
 脅しではないぞとばかりに少女の首を折る勢いで締め付けようとしたのと、ジャックが腕を振るったのが同時。
 そして少女は――少女は、ジャガーノートの戒めから解き放たれた。
『えっ……あれ……? 痛く、ない…………』
 確かめるように首と頭を触る少女。その足下にジャガーノートが転がっている。ジャックの展開した空間は、ジャガーノートと少女が結びつく前の状態へと時を巻き戻したのだ。
 そうして人質が解放されてしまえば、あとは猟兵の独壇場。
「今じゃ、ゆけい大きいわしら!」
「任せよ、あの子を連れ戻すぞ黒いわし!」
「せーので抱えるのじゃ、わしが右から、白いわしは左から!」
 駆け出した二人のやすなが少女の肩を抱き上げ、安全圏へと連れ戻す。
 それを追うように伸びたジャガーノートのケーブルを、ジャックの巨腕が纏めて掴み、引きちぎる。咆哮めいた銃声とともに放たれた熱線がその本体を焼き焦がし、僅かに焼け残った残骸がなおもしぶとくジャックにケーブルを伸ばそうとするも、それすら彼は一蹴して巨大な右拳を振り下ろす。
「――目的達成。本機は――オーヴァ」
 ノイズ混じりの声で、ジャックは狩るべき存在の完全撃破を誇った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月宮・ユイ
救出任務ですね
なんて悪趣味な…これ以上死ぬ方が出ないように…

”視力、暗視、聞き耳、第六感”
感覚強化、環境や敵を”見切り、情報収集。学習力にて知識”を蓄積更新
敵に操らている以上油断は禁物
基本は素手。予備に[星剣]鞭
”グラップル、ロープワーク”での組打ち、拘束
ただし抵抗で無茶をされかねない為回避優先
”高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、誘導弾、医術”【不死鳥】
幸い壊すべき機械は見えている。機械を滅し生身を癒す選別の炎で破壊を
操られた負担を癒す為にも名にちなんだ新生した様な健康体にしてあげる
”怪力、念動力、救助活動”
解放後は抱き止め抱き上げ、安全圏まで退避
仲間を信じ焦らず一人一人確実に…

協力歓迎アレンジ可


ユナ・アンダーソン
子ども達の生命力を奪って自身を強化してるのね
……奪うことしか出来ない私はこの子達を癒やしてあげることは出来ない
その事実に半泣きになりながらも頑張る

大鎌は精密攻撃できないので今回は封印
星骸の聖痕の輝きから発する優しい光で広範囲を照らし
照らしたジャガーノートを破魔10を用いて呪術解除みたいな感じで
ピンポイント攻撃
とにかく速攻
攻撃全振りで防御は考えない
攻撃されても激痛耐性8で耐えつつ攻撃続行
子ども達をこれ以上、好きにはさせない
さっさと解放しなさい!

戦闘が終ったら
これくらいしか出来なくてごめんね
あなたの傷を私にちょうだい?
傷奪う星痕で子ども達の傷を奪う




「なんて悪趣味な……」
 要救助者である子供を盾に蠢く寄生機械。その犠牲者が優しきエージェント一人で止まるように。
 ユイは五感を研ぎ澄ませ、第六感をすら冴え渡らせてその機械、ジャガーノートの出方を伺う。
 子供を助けたい気持ちはある。そのために武器を使わず、徒手で制圧するつもりでいる。だが完全に救出するまでは、子供たちすら敵の一部であるという認識をなくしてはいけない。
 油断なく身構えるユイに、同じく武器を封じて子供を救うべく挑むユナが並ぶ。
「子供たちの生命力を奪って自身を強化してるのね……」
 それは、奪うことしかできない者――ユナにとって、絶望的なまでに無力を突きつける在り方だった。
 たとえユナが彼らの肉体に刻まれた傷を奪ったとしても、それは傷口を塞ぐだけだ。
 ジャガーノートによって奪われた生命力をまでも再び満たすことは、今のユナにはできない。
 それが悔しくて、悲しくて、鼻の奥がツンと痛む。目頭から滲むものを袖で拭って、ユナはキッと前を向く。
 残るジャガーノートは一機。だが、その一機は今の今まで戦線に参加せず、静かに捕らえた少女を侵蝕し続けていた機体だ。
 ヘッドギアはフルフェイスヘルメットのように、身体を縛るケーブルは既により細い繊維へと解け、戦闘服めいて少女の身体を覆い尽くしつつある。
「もう時間は無いようですね」
 点滅するNow Loadingの文字に、ユイが僅かに焦りを滲ませる。
「みたいね。でも、まだ間に合うわ。……いいえ、私達が間に合わせるの」
 ユナの聖痕が暖かな光を放つ。苦痛に力尽きそうな少女を励ます、優しさの光。それが寄生を完了させつつあるジャガーノートに触れ、収束していく。
 少女を想う優しさは、悪しき機械を打ち破る破魔の光へと変わっていく。その閃光を浴びたジャガーノートの動きが僅かに鈍ったように見えたその一瞬、ユナとユイは同時に駆け出す。
 僅かな隙をこじ開けるべく、少女に組み付くユイ。手足を絡め、その動きを封じ込めようとする――が、ジャガーノートが再動するほうが僅かに早い。
 このまま力比べに持ち込まれてもすぐに負ける気はしないが、抵抗を試みるジャガーノートが少女の肉体に無茶をさせないとも思えない。
 ユイは少女の身の安全を優先してすぐさま拘束を解き、飛び退る。
「くっ、また動き出しましたが」
「だったらもう一度動きを封じるまでよ!」
 ユナの拳がジャガーノートのヘッドギアを打つ。金属を全力で殴りつけた反動で、指の骨がズキズキと痛む。 
「子供たちを!!」
 続けて振り下ろす拳を、ジャガーノートの掌が掴む。人外の握力で掴まれた拳が軋み、関節がみしみしと悲鳴を上げる。
「これ以上、好きにはさせない!!」
 ならば反対の拳だ。叩きつけた拳が、痛みと引き換えにヘッドギアにヒビを入れる。
「さっさと解放、しなさいッ!!」
 二撃目が損傷部を砕くのと、カウンターで放たれた拳がユナの胴体に打ち込まれるのが同時。
 腹の中身を押し出されそうな強烈な拳の一撃にユナはたまらずよろめくが、痛みには慣れた心がすんでのところで踏みとどまる。
「……っ、今よ、ユイ……!!」
「あまり無茶をしないでください、今回はうまく行ったから良いようなものを……!」
 ユナの連打でヘッドギアの装甲が割れ、守られた機械部分が剥き出しになったジャガーノート。ユイはその損傷部分を狙いすまし、高速で唱えた魔法を放つ。
『舞え……!』
 放たれた炎は不死鳥のように翼を広げ、羽ばたきながらジャガーノートの破孔へと飛び込みその禍々しい機構を焼き尽くす。
 そして流れ込んだ炎は、内側からジャガーノートの装甲服をも燃やし尽くした。それだけでなく、その炎は囚われていた少女の肉体の損傷をも癒やしていく。
 強制的にジャガーノートと接続されたその接続部を、無理な拳闘でひび割れ、潰れかけた拳を、侵蝕によって傷ついた体内を。
 けれど。
「損傷箇所が多すぎる……フェニックスの治癒より、この子の生命力が傷口から流れ出る方が早い……!?」
 もはや侵蝕が完了すれば、少女の肉体など芯材でしかないということだったのか。
 それともジャガーノートの最後の悪意が、猟兵たちの努力を嘲笑う為にそうしたのか。食い荒らされたように傷だらけの少女の体内は、ユイの治療だけでは到底間に合わないほどに傷つき、急速に少女の命の灯を消そうとしていた。
「大丈夫。ユイ、あなたの炎はこの子の命を満たせるのよね?」
 頷くユイに、傷だらけのユナは微笑み、少女の傍らにかがみ込む。優しくその手を包み込み、苦悶の表情を浮かべ眠る少女の顔を覗き込み、自嘲するような泣き笑いを浮かべて。
「これくらいしか出来なくてごめんね。あなたの傷を私にちょうだい?」
 少女の傷が、ユナにも刻まれていく。否、移し替えられていく。
 ユナは苦痛に小さく呻きながら、少女の頑張りをひたすらに褒めて讃えた。
 苦痛に慣れた自分ですら逃げ出したくなるような痛み。その只中にあってなお、この子は諦めていない。まだ生きたいと願っている。
「ユナさん……おかげで傷がふさがっていきます、これなら……!」
 ユイの不死鳥が、暖かく燃える炎の翼を広げて少女の胸に吸い込まれていく。
 消えかけた命の炎を再び燃やすために。流れ出す傷口をユナが塞ぎ、少女の命の器にユイが実を注いでいく。
 最後の少女は、どうにか踏みとどまって耐えた。
 ようやく表情から苦しみが消え、静かに眠る彼女をUDCエージェント達に託し、引き換えに疲弊したユナに肩を貸して立ち上がるユイ。
「あなたがいなければ、私一人では彼女を完全に癒せなかったでしょう。ありがとうございます」
「……こちらこそ、貴女がいなきゃ私一人じゃ……きっと、彼女を助けられなかったわ。ありがとう」
 二人は互いの健闘を称え合い、ゆっくりと安全圏に退いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『かみさま』

POW   :    ここにいようよ
全身を【対象にとって最も傷つけたくないものの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    やくそくしよう
【指切りげんまん。絡める小指】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ   :    きみがだいすきだ
【対象が望む『理想のかみさま』の姿と思想を】【己に投影する。対象が神に望むあらゆる感情】【を受信し、敵愾心を失わせる数多の言葉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メドラ・メメポルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ジャガーノートに寄生された少年少女を猟兵達がなんとか全員救出し、UDC組織の面々に保護を任せ一息をついたその時、一人がそれに気づいた。
 "それ"は若者だった。いや、"それ"は子供だった。違う、"それ"は中年で、"それ"は老人だ。
 "それ"は男であり、"それ"は女だった。"それ"は人間だったし、"それ"はもっと超越的な何かでもあった。あるいは"それ"は、もっと機械的な機構なのかもしれない。

 "それ"が、にっこりと人当たりのいい笑顔で猟兵達に語りかける。
『あのこたちをたすけてくれてありがとう』
『あのこたちがきずつくのは、いやだったんだ』
『あのきかいがあんなものだったなんて、しらなかったしね』
 猟兵たちの瞳に映る"それ"の形が滲んでいく。
 ある者には信じる神に見えた。ある者には敬愛する人に見えた。ある者にはかつて愛した者に見え、ある者にはかつて己を支配した者に見え、ある者には自らに無くてはならない誰かに見えた。
『でも、あのこたちをつれていくのはだめだよ』
『そうだ、きみたちもここにいよう。あのこたちといっしょに』
『ずっとここで、いっしょにいよう。ずっとずっと、ずっと』
『きっとたのしいよ、だから、ね?』
 見るものの信じるもの、愛するもの、依存するもの。本能的に刃を向けることを拒んでしまうような姿に変じる、それこそが今回の事件を引き起こした”かみさま”であると認識することは、猟兵たちにとって難しいことではない。
 けれど、そうであると理解していても、その姿は、声音は、振る舞いは。
 どうしようもなく、愛しく大切なあのヒトの姿なのだ。
アイ・リスパー
「あなたたちは研究所の崩壊とともに死んだはずでは……」

私の目に映るのは、私が生まれ育った施設の研究者たちの白衣姿。

私にとっては親のような存在であり……
同時に私に酷い人体実験を施してきた恐怖の象徴。
私と同じ実験体の子供たちを数多く死に至らしめた憎むべき仇。

けど、敵意が湧かないのはどうしてでしょう。

『籠の鳥』だったあの頃は何も考えなくて良くて。
子供たちを救うために身を投げ出そうなど思いもしなくて。
痛い目にあいながら邪神と戦う必要もなくて。

「また私を守って……くれるのですか?」

言うことを聞いていい子にします、と指切りをして約束してしまい。

そこで我に返ります。
戦闘態勢を取るも、すでに敵の術中でした。




『――だから、此処に居なさい』
 ぞっとするほど優しい声色の、その皮一枚下に忍ぶ冷たい意思。
 その声を、アイは知っていた。
「あなたは、あなたたちは……」
 手が震える。膝に力が入らない。ついさっきまでその心を奮い立たせていた"かみさま"への敵意が、その姿を見た時から、その声を聞いた時から揺らぎだす。
『どうしたんだ。おまえはあの子達を助けに来たんだろう?』
 だったら、もうそれは叶っただろう。おまえが戦う理由はもう無い、あの子達と一緒に此処にいればいい。そう告げる白衣の男は、アイを受け入れるように手を差し伸べる。
 その手を取ろうと一歩踏み出したアイは、そこで踏みとどまる。
「でも、あなたたちは研究所が崩壊したときに……」
 そうだ。彼らは死んだはずだ。もうこの世に居ない存在だ。それに、アイにとっては恐怖の象徴であり憎むべき仇だったはずだ。
 忘れるな、彼らによって強いられた、あの苦しかった実験の日々を。
 思い出せ、彼らが失敗作と無造作に捨ててきた、同じ実験体だったあの子達の顔を、声を。
 そう、そうだ。アイにとって彼らは叶うことならばその手で復讐したい、そんな存在だったはずだ。
 ――ならば、なぜ? "かみさま"は、苦しい日々を共に耐えたあの子たちではなく、今を共に生きる人々ではなく、彼らの姿を模倣したのだろう。
 疑問はけれど、アイの胸中深くに眠る感情が目覚めたことで押し流されてしまう。
『私達が生きているか死んでいるかなど、今目の前にいる私を見れば分かるだろう。何を言っているんだ、やはり猟兵などという役目はおまえには重すぎたんだ、疲れているからそんな訳のわからないことを言ってしまうのだろうね』
 だから、今日はもう休みなさい。それからあの子達と一緒に此処でずっと暮せばいい。
 研究所でそうだったように。もう何も疲れることはない、と。
「それは……でも…………」
 辛かった。猟兵としてオブリビオンと戦えば傷を負うこともある。すぐ側に迫る死を予感して恐怖を覚えたこともある。
 誰かを助けるために、敢えてその死地に自らの身を投じることもあった。理性がそうしろと、それが最善だと導き出した時、アイはその胸に芽生えた恐怖心を押し殺してそうした。そうしてきた。
 辛かったのだ。自分で考え、危険に身を投じ、万が一にも失敗すればその責任はすべて自分にのしかかって来るというプレッシャーが。
 だから、彼の言葉がアイの胸に染み込んでいく。
「また私を守って……くれるのですか?」
『勿論だ。おまえが私達の言うことを聞いていい子にするのならば、私達はおまえを守ってあげるとも。これまでだって私達が理由もなくおまえを傷つけたことはなかったろう?』
 そして、アイは――
「わかり、ました。言うことを聞くいい子になります。だから……」
 小指同士が触れ合う。きゅっと指を絡めあい、かつてそうしたように――
 否、否だ。違う。たとえ彼の在り方が、かつての彼らと同じであっても。その存在は、死者と全く同じであるはずがない。あるいは死者が蘇ったのならばそれはもはやオブリビオン、どちらにせよアイにとって討ち滅ぼすべき敵だ。
 指を絡めあったまま、アイは意思の光を取り戻した双眸で男を睨む。電脳魔術による発火現象が白衣の男を燃やすと同時、男の声がアイの脳裏に響いた。
『――約束を破る悪い子には、お仕置きだ』
 その身を、かつて研究所で受けた苦痛が再び襲う。だが、もうアイは惑わない。屈さない。
「もう、あなた達の籠の鳥でいることはやめたのです!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍宮・蒼夜
家族も友達もUDCに…邪神に殺された
今目の前に、その人たちの姿を模す『かみさま』がいる
「…その存在、この世から絶ち斬ってやる」

俺が望む理想の神様は、俺に殺される神だけだ
「理想を模すというのなら…黙って俺に殺されろ」

【呪装解放:神威絶】起動
神殺しの怪物に姿をやつして突っ込む

神衝鬼は納刀したまま[力溜め]しつつ
相手の攻撃は[見切り]で避けるか[オーラ防御][念動力]で敵の言葉ごと弾く

ついでにその辺のゲーム筐体を[ハッキング]して言葉が届かないよう大音量を響かせる

間合いに入ったら
[フェイント]交えて[クイックドロウ]で抜刀しつつ[力溜め]解放、[捨て身の一撃]でUCの神殺しの一閃を放つ
「失せろ、神」




 その身に纏った炎が霧散した時、そこに居たのは白衣の男ではなかった。
 懐かしい顔だ。見知った顔だ。もう二度と会うことは出来ないと思っていた顔だ。
『蒼夜……久しぶりだな、元気してたか?』
 燻る炎の残滓を顰め面で叩いて消しながら、蒼夜に気さくに手を挙げて挨拶をするその顔は、数年来の友人と同じだった。
『やばいよな、何ていうか、マジ燃えちまってさ、殺す気か、って』
 そういや今週の漫画読んだ? 今週号からお前の好きなあれ、連載再開だってよ。
 また今度マルチやろうぜ、あいつらも誘ってさ、皆で今度こそバトロワ完勝狙おうぜ。
 ――懐かしい話題、懐かしい声音。変わっていない、あの頃のままの友達。
 また一緒に遊ぼう。そう言って手を差し伸べる、もう二度と誕生日を迎えること無く年下になってしまったクラスメート。
「…………黙れ。その存在、俺がこの世から絶ち斬ってやる」
 友達の姿をした"それ"を睨みつけ、蒼夜は一度限りの呪いを解き放つ。
 その姿が異形の怪物へと変わっていく。神をも殺す刃の化身へと転じていく蒼夜に、"それ"は驚いたような、呆然としたような顔で僅かに後ずさる。
『なんだよそれ……蒼夜、おまえ……なんだよ、ばけものみたいになりやがって……』
 怯んだ"それ"目掛けて駆け出した蒼夜の刃が、"それ"の胸を切り裂いた。
「俺の理想を模すと言うなら、黙って俺に殺されろ」
 神に奪われた大切な友の死をも蒼夜から奪おうという"それ"への怒りを吐き捨てた蒼夜。
 その言葉に、友人の顔をした"それ"は悲しそうに傷口を見下ろし、それから蒼夜に顔を向ける。
 "それ"の顔はもはや友人のものではなかった。もっと懐かしい、大切な、親の顔。
 蒼夜の仕掛けたハッキングが、周囲の筐体のボリュームを引き上げる。
 けたたましい騒音の中で、亡くした親の顔をした"それ"が何事かを蒼夜に告げようと口を開く。
『……蒼夜、―――、――――――』
 ――それがしっかりとその耳に届いたのか、それともその前に大音量で掻き消されてしまったのか。それを知るのは蒼夜のみだ。
 けれど、蒼夜の刃は静かにもう一度"それ"を斬った。二度と大切な誰かの言葉を弄することがないように。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)

(目の前にいるのは、昔のまま。『本機』の中身たる、ただの子供の姿の『僕』と似た背格好の友人、"ハル"。癖っ毛の短髪に、赤縁の眼鏡を掛けたその姿。)

――ハル。
ハル。
ああ、そこに居たんだ。

うん。
約束は覚えてるよ。

君と僕
もう一度勝負をしようっていったもんね。



――馬鹿が。
(ザザッ)

特別にだ。
ハルと交わした約束が、どう言うものか教えてやる。

もう一度勝負をする。

『僕』と
"UDCと化して、骸の海に消えたハルと"でだ。
意味がわかるか?
殺し合いだ。

故に
似姿のお前も殺す。死ね。

(真の姿となり使える技能も全て使った全力を叩き込む。敵UCが発動しても激痛耐性で耐える。)

(この怒りは、激昂と呼ぶにも生温い。)




 刃を受けて膝をついたヒトガタが立ち上がった時、その姿は幼い少年のものだった。
 それを見て、ジャックはふらりと一歩前に出る。
 ああ。ああ、間違えようもない。君は、君の名前は――
「――ハル。ハル、ああ、そこに居たんだ」
 ふわふわしたくせっ毛の短髪、目を引く赤縁の眼鏡。忘れようはずもない、大切な、大切な友達。
『ジャック、会いたかったよ。ねえ、約束……覚えてる?』
 巨大な獣の機械鎧に身を包んでいても、ハルはジャックを違えない。きっと、絶対に。どんな姿になっても、ハルはジャックのことを分かってくれる。
 だからこそ、ジャックもハルのことを忘れたことはない。彼と交わした約束も。
「うん、覚えてる。当然だろ」
『よかった、もう忘れてしまったかとおもったんだ』
「そんなわけ無いだろ。君と"僕"」
『――もう一度勝負をしよう』
 にこりと笑うハルに、ジャックの持つありとあらゆる銃砲火器兵装が突きつけられる。
 黒豹はまるで針鼠のように、その身の至る処から武器を生やして親愛なる友人を見据えた。
「――特別――しえてやろう――ハルと"当機"の交――した約束――」
 ノイズ混じりの唸るような声が、ハルへとぶつけられる。
「勝負――UDCと化したハルと"僕"――」
 ガトリングが空転を開始する。銃砲が弾薬を薬室へ送り込み、砲やロケットランチャーが安全装置を静かに外す。
「――殺し合いだ。故に、似姿のお前も殺す。死ね」
 ノイズが晴れる。クリアな声音は、それ故にジャックの身を焦がすほどの怒りを静かに響かせた。
「全兵装展開――殲滅、開始――Gurrrrrrrrrrh――Gaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」
 機械仕掛けの獣が叫ぶ。その身の内から出現したピストルが短機関銃がカービンがアサルトライフルが軽機関銃がショットガンが対物狙撃銃が、グレネードランチャーがロケットランチャーがガトリングガンが迫撃砲が滑腔砲がミサイルランチャーが、一斉に"約束"を果たすべくその役割を存分に行使する。
 ジャックは"約束"を違えていない。違えていないからこそ、"それ"はその行いを咎めることができぬまま焔に包まれていく。
「――I'm Juggernaut. over」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
その姿で声で言葉を弄するのか…
かつての戦場でもお前のように仲間を、民を使う存在は居た
それでも彼は私を振るった。護ることの重さを知るが故に…
消えろ出来損ないのかみさま

”全力魔法、範囲攻撃、高速詠唱、2回攻撃、生命力吸収、吸血”
心は熱く思考は冷たく、想いは全て冷徹な戦意に
殺意を隠し”力溜め”しつつ接近、
指絡め【捕食者】結んだ方の腕から丸呑みするような咢型
ルール無視”耐性”と捕食治癒頼りに喰らい尽す

アドリブ可
姿:黒髪緑眼。30代半ばの男性。着崩した騎士服。初代の担い手:大剣型
心無き兵器状態の私を相棒として扱い、人を教えてくれた師
向けた感情:敬愛、親愛、或いは初恋
心を得た時にはもう亡く把握できていない




 砲火が床をえぐり取り粉塵が烟るなか、視界が晴れた時そこに居たのは少年ではなく一人の男だった。
『よぉ、ユイ。ひっでぇなぁ、ちょっとくらい助ける素振りを見せてくれたってバチは当たらないだろうに。相棒だろ?』
 朗らかに笑いながら、煤けた騎士服をぱんぱんと叩く黒髪の男はユイに手を伸ばす。
『ほら、戻ってきな相棒。またあの時みたいに一緒にやっていこうぜ。手始めにあの子達を此処でしっかり守ってやらないとな』
 その笑顔は記憶のままだ。心の芽生える前、ただの兵器、道具であったユイにただひとり人として向き合った男の、その顔。
 ユイが彼への感情を自覚した時、ユイは既に別の主を見出していた。それに何より、彼はその時にはもうこの世の人ではなかった。
 何度もう一度会いたいと思っただろう。
 何度その想いを伝えたいと願っただろう。
 その機会がやってきた。彼はかつてそうだったように、ユイに優しく手を差し伸べてくれる。
 だからこそ、ユイは。
「ふざけるな……その姿でその声でその顔で言葉を弄するな……っ!」
 全身の血液が沸騰するような激しい情動。
 脳髄が凍てつくような冷たい思考。
 会いたかったからこそ、こんなカタチは望まなかった。
 想いを告げたかったからこそ、こんな紛い物を許せなかった。
 何より、護ることの重さを知っている彼の声で、薄っぺらな言葉を繰る舌を、心を認められなかった。
『――いや、お前が怒るのも分かるよ、俺はたぶん偽物だし、今じゃオブリビオンだ。けど、俺の思考も感情も、ユイ。お前の記憶のまま、願いのままなんだぜ。足りないって言うなら言ってくれよ、直してみせるさ。だからよ、お前が望む限り俺は昔のままお前の相棒としてやっていける。だろ?』
 その怒りを察したのか、偽物だと認めながらもその有り様はユイの望む彼の姿だと語る"それ"が、一歩を歩み寄って再び手を差し出す。
 ユイの望む繰り手として、二人で再び守るべきものを守ろう、と。
「……確かに、表面だけならば許せないくらいにあなたはあの人を模倣しています。だったら約束してください――」
『おう、なんでも言ってみな』
 二人の手が交差する。指が絡み合い、しっかりと握り合うその手。
 そして、ユイの腕がぐにゃりと歪む。牙の生え並んだ顎が肩口から生え、その中に固く握りあった男の腕を引きずり込む。
「――私の前から消えろ、出来損ないの"かみさま"ッ!」
 ばつん、と音を立てて閉じられた顎が、男の腕をもぎ取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
過去の記憶が無くとも、傷つけたくない姿というものは存在します

騎士として救わねばならない、無力に泣く人々、脅威に虐げられる人々
そんな「救うべき人々の象徴」としてセンサーが認識する
ターゲットとして認識するのを騎士としての自分が拒む

そんなまやかしなど…!

自分自身を●ハッキング、センサーの認識を「敵」「味方」に単純化
「敵」を破壊することを最優先事項として設定

「敵」に向けて●怪力で剣を振り下ろし、盾で殴打し、倒れた「敵」を●踏みつけ、脚部パイルを起動、●串刺しに
その後、頭と両腕の格納銃器でさらに追い打ちをかけます

「敵」が発する悲鳴や懇願を無理矢理すべて無視
紛い物の機械らしい戦法で自分の誇りを犠牲に攻撃




 肩口から腕を失った男がよろめくように後ろへと退がる。
 その顔が、衣服が、体格が一瞬の内に別人のものへと変化していった。
 まだ若い女性の姿だ。誰、という因縁を持った相手ではない。ただ、その苦悶の表情と助けを求める声は、騎士にとって個人の情以上に突き刺さる。
『助けて……お願い、お願いします……!』
 痛みに耐えながら助けを求めるその姿に、トリテレイアのメモリーに刻まれた情景がフラッシュバックする。
 燃える船。炎の中で助けを求める人々。
 幾条ものビームが突き刺さり、天蓋を砕いて降り注ぐ中で、僅かな希望に縋って逃げ惑う人々。
 せめて我が子だけは、愛する人だけはと絶望の中でもほんの一欠片の可能性を信じる、あの人々。
 その姿が、"それ"に重なった時、トリテレイアは構えた剣を静かに降ろした。降ろさざるをえなかった。
 システムが、生まれ持った存在意義が、"それ"を狙うことを拒む。
 要人警護用として造られ、騎士道を行動規範とし、無力な人を護ることを存在理由として自らに刻んだウォーマシンにとって、無力な人の皮を被ったそれは庇護の対象だ。
「そんなまやかしなど……まやかしだと分かっているはずなのに……!」
 それでもトリテレイアの剣はそれに向けられることはない。それどころか、今すぐにでも飛び出して、"それ"を猟兵の攻撃から背に庇いたいとすらその思考のどこかで考えてしまう。
 だからこそ、トリテレイアは自らの誇りを捨てる。そうせざるをえないと、たとえ存在理由に矛盾した行為に己の思考が焼き切れようともやらねばならぬと、それもまた騎士としての己の責任なのだと。
 自らへのハッキングが、静かに理性を知性で上書きしていく。
 此処にあるのは「敵」と「味方」、それだけだ。
 では敵とは? ――オブリビオンだ。
 では味方とは? ――猟兵であり、UDCエージェントであり、彼らが護る子供たちだ。
 ならば、目の前のこの女性のカタチをしたこれは――

 剣が傷ついた女性に振り下ろされる。倒れる暇も与えず盾で殴りつけ、吹き飛ばされた"それ"が壁に叩きつけられる。
 スラスターを全開に、一瞬で距離を詰めたトリテレイアの蹴脚がさらにそれを壁へと押さえつけた。
 ぎりぎりと潰すように押し込まれる力に、"それ"は慈悲を乞い憐憫を誘うような声音で助けてと、悲鳴混じりの懇願を繰り返す。
「…………再優先事項に変更なし。敵は破壊するのみです」
 その声を断ち切るように放たれた脚部の杭が炸裂し、"それ"を壁に縫い付ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

イデアール・モラクス
【PPP開発室】
フン、戯言をほざきおって…自分も固定出来ぬような曖昧なヤツが何を言う!
貴様の意思を見せてみろ、欲望を吐き出せ!

・戦術
私には攻撃を躊躇う対象などいない、寵愛する者でさえ壊し、犯すのが私だ。
「永遠などない、何故なら私が焼き尽くせぬモノなどないからだ」
UC【ウィザード・ミサイル】を『全力魔法』と『属性攻撃』で威力を増した上で『高速詠唱』を用い連射。
「貴様を燃やし尽くしてやろう、アーハッハッハ!」
敵の攻撃は左手に持つドミナンスにて『武器受け』し斬り払って防ぎ、万が一UCを封じられたなら剣で『串刺し』にして刀身から『吸血』し魔力や魂ごと『生命力を奪い尽くして』搾り殺す。

※アドリブ歓迎


ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
アドリブアレンジ歓迎
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
神と名乗れどその実態、無様に命の存続望む
命の存続そのために無垢を集め配下にし
弱者の発想極まれり。その思惑を打ち砕こう
汝の破滅はここにあり

UCにて過去の戦艦の主砲と搭載機を縮小招来
これは世界最大を誇りけりども海に散る
されどその性能は確かなり。ここにて火力を奮え

指きりなぞ指を握らねば意味がなかろう
搭載機に指を撃たせり

命乞いの準備は完了せり?
これなるはUDCアース最大の主砲なり
主砲用意、目標かみさま。信じたところで救われぬ
神はしょせん人が作りし偶像なり。人がおらねば己を保てず
鎖につながれし囚人なり。いざ攻撃始め、吹き飛ばせ


アンナ・フランツウェイ
【PPP開発室】

大切な人を真似る相手か。偽りでも同居人の大切な少女や開発室の皆を傷つけたくはない。…さっさと終わらせてやる。

【先制攻撃】で先手を打って剣を突き刺し、【傷口をえぐる】【生命力吸収】で追撃。ユーべルコードを使われる前に終わらせる…!

(やくそくしようが命中したら【傀儡式・花一華】が発動。怨念がアンナの体を操る状態に)

ふふ…久しぶりに出られたわ。私は「アンナ」みたいに優しくはないわよ?

神がアンナの大切な人…同居人へ変わったり、約束を破りダメージを受ける事になっても、神を切り続けるのを辞めない。理想は所詮幻想。散るだけの物と教えてあげる!
「やめて…!こんな姿、皆に見られたくないのに…!」


響・夜姫
【PPP開発室で参加】
・POW
「むう。皆に見える……」
横を見る。皆いる。よし、あれはニセモノ。なら大丈夫。
「では、ふぁいやー」
ニセモノなので攻撃していいやつ。

んー、無敵モードっぽい。それなら。ダメージが通るまで攻撃すればいい。
倒せるまで攻撃すれば、そのうち倒せる。論理的。我々は賢いので。
【誘導弾/2回攻撃/生命力吸収】で少しずつ。時々華焔も混ぜてみる。
「かみはしんだ」
あとはフィーナお姉ちゃんやイデアール、ビードット、アンナへ【援護射撃】。
敵の攻撃は自分と言う拠点に対して【拠点防御/武器受け/オーラ防御】。

「本物を判別するタイプだったら。あぶなかった」
マイペース脳筋かもしれない。


フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
んん・・?あれ私じゃない?
(ダークセイヴァーにて散々ひどい目あってる彼女は
神の存在など最初から信じておらず
未来を切り開くものといえば、自分の行動だと思っている
故に神がいるとすれば、それは自分そのもの)
・・・うわー・・なんかこう自分を見るのって気持ち悪いわね・・・!
(録音した声を自分で聞いてる感覚)

当然仲間と連携して動き
技能「覚悟」「高速詠唱」「全力魔法」でUCを打ち込むわよ!
それにしてもこの世界(UDC)のオブリビオンはなんていうか
ほんとよくわかんないのが多いわね!

(アレンジ、アドリブ大歓迎)




「んん……?」
 先程強烈な一撃を受けて壁に縫い留められた女性が、またも一瞬の内にその姿を変える。
 三角帽子にふわりと広がる金髪、赤いドレスの若い女の姿。
 それは、PPP開発室の面々にとってはよく知る顔だった。
「あれ私じゃない?」
 と"それ"を指差すフィーナ。まさにその鏡写しと言えるほどに、新たな顔を得た"それ"と彼女は瓜二つだ。
「むう。確かにフィーナお姉ちゃんに見える……」
「それがどうした、たとえ相手がフィーナだろうと壊し、犯すのが私だ!!」
 困惑する夜姫が二人のフィーナの間に視線を行き来させ、傍らにいる本物を確かめる。
 イデアールは相手が仲間のカタチを真似ようともお構いなしだとばかりに剣を向けた。
「大丈夫よ夜姫、私はここに居るわ! あとイデアールは後でちょっと話し合いが必要なようね!?」
 杖を構えるフィーナが夜姫を安心させるように胸を張り、直後のイデアールの台詞に自身を抱くように身を縮めて一歩下がる。
 まさかとは思うが、識別が面倒になって「フィーナが二人いるなら二人まとめて倒せば本物を見定める手間はいらんな!!」とか言い出しかねない危ない気配を感じ取ったのだ。
「大切な人や信じる神様を真似る相手か……偽物でも仲間を傷つけたくはない。さっさと終わらせてあげる」
 それにしても、とアンナは思う。
 五人も居てそこからチョイスするのがフィーナの姿とは。誰の心を参考にしたのだろう、と。
『分かるわよ、なんで私の姿なんだろう、って思ってるでしょ。大切な人ってだけなら、それこそ妹のレティの姿で出てきてもおかしくないもの』
 なら、なぜ私……フィーナの姿で出てきたのか。それは――
『神なんて居ない、運命を紡いで未来を切り開くものは自分の行動! 故に神がいるとすればそれは行動した私自身! 私が神よ!!』
 ばーんと胸を張る偽フィーナ。唖然とする一同。したり顔で頷くフィーナ(本物)。
「紛れもなく私だわアレ!! 録音聞いてるみたいで自分じゃない自分が喋ってるの気持ち悪いわね……!」
 それでいいのか、と突っ込む仲間たち。
「でもおかしい……唯我独尊、自分が神です理論が通るなら真似するのはイデアールでもいいはず……」
 鋭い推理を見せる夜姫に、偽フィーナはずびしと人差し指を突きつける。
『確かにその通りよ。むしろ自分信仰っぷりは私よりイデアールのほうがよほど強かったわ!』
 ならばなぜ。
『――だってイデアールが二人並んだところ想像してみなさいよ! 絶対酷いことになるわよ!! 子供の教育に良くないわ!!』
「「「「確かに!!!!」」」」
 イデアールを除く四人の声が重なった。

「それはそれとして、ふぁいやー」
 直後に放たれた銃撃が偽フィーナを射抜く。
「フン、教育だなんだと戯言をほざきおって。自分も固定できぬような曖昧な奴が何を言う。貴様の意思を見せてみろ、子供たち云々と言うならば貴様自身の欲望でガキどもを導いてみせろ!」
 同時に放たれた炎の魔術が偽フィーナを燃やすように着弾する。
『仲間相手に容赦ないわねアンタ達!? あーもう!』
 炎に巻かれながらも、フィーナの得意魔法すら模倣しているらしい偽フィーナはそれを巻き込み自らの爆裂魔法的なやつを撃ち返す。
 イデアールの炎の魔術はフィーナの得意によって相殺され、夜姫の銃撃はやはりどこかで感情が殺意を抑えているのか致命傷には程遠い。
「んー、うまく当たらないっぽい。……それなら、当たるまで撃ち続ければいい。そうすればそのうち倒せる。論理的」
「論理的かはわからんが私に焼き尽くせぬものなど無い! 貴様を燃やし尽くしてやる、アーッハッハッハ!」
 猛攻で偽フィーナの反撃を封じ込める方向にシフトした――当人たちは殺る気満々の――イデアールと夜姫の横を駆け抜けるように、アンナが飛び出す。
「だったら新しいユーベルコードを使われる前にこのまま倒し切る!」
 イデアールへの反撃に夢中の偽フィーナへと突き刺さる剣。その柄をぐりと捻り、傷口を広げて追撃を加えるアンナ。
『いっっ……たいわね! アンナまでそんな容赦ないの!?』
「私は『アンナ』みたいに優しくはないわよ……?」
 久しぶりに出られたわ、と凶悪な笑顔で剣を引き抜き、再び突き立てる少女。
『アンナじゃない……!? 誰よアンタ、わかったわ中二病ね!? 三年遅いわ出直してきなさい!!』
「違う!!」
 魔力を蓄えた杖を突きつけられ、アンナの姿をした少女は黒い双翼で羽ばたき後退する。直後にそこを、薄く伸ばされた炎の刃が通り過ぎた。
『だったら自己紹介をしなさいよ! 何事もまずは名を名乗るところからでしょうが!』
 至極まっとうなことを言いながら怒りに震える偽フィーナへと、もはや耳によく馴染む聖句が向けられる。
「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。神と名乗れどその実態、無様に命の存続望む。命の存続そのために無垢を集め配下にし、弱者の発想極まれり。その思惑を打ち砕こう。汝の破滅はここにあり」
『ビードット!? やたら静かだと思ったら……なによそれ!!』
 ずし、と多脚を広げて砲撃姿勢を取るビードットの背中には、いつもの破滅コンテナと並んで巨大な三連装砲が積まれていた。
「これなるは世界最大を誇りけりども海に散りし戦艦の主砲。多分に縮小されどもその性能は確かなり」
『待って、待ちなさいビードット! そんなの此処で撃ったら建物が潰れちゃうでしょうが! もっとおとなしい攻撃にしなさいよ、ね!? 私もそうするから指切りで――』
 約束しよう、と伸ばされた小指を、破滅コンテナから飛び立ったミニ戦闘機が銃撃した。
『あ痛ぁ――!!』
 小指をぎゅっと握って蹲る偽フィーナ。
 そこへ魔力を蓄えた夜姫の二挺拳銃が、イデアールの魔剣が、アンナの剣が、そしてビードットの主砲が向けられる。
「かみはしんだ。ばーにんぐ、ちゃーじ。ふぁいやー」
「貴様の魔力も魂も、私が吸い尽くし奪い尽くして燃やし尽くしてやる! フフ、ククク、アーッハッハッハッハ!!」
「こんな姿、皆に見られたくないのに……あなたが悪いのよ。だから責任はとってもらうわ」
「主砲用意、目標かみさま。信じたところで救われぬ。神はしょせん人が作りし偶像なり。人がおらねば己を保てず、鎖につながれし囚人なり。いざ攻撃始め、吹き飛ばせ」
「この世界のオブリビオンはなんていうかちょっとよくわかんないのが多いわね……もう真似はおしまいよ!」
 杖に代わって炎の槍を握りしめた本物のフィーナがそれを投擲すると同時、五人がかりの全力攻撃が偽フィーナを襲った。

「……にしても偽物とはいえ自分が皆に容赦なく攻撃されるのって複雑な気分だわ!!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

宇迦野・兵十
懐かしい顔がいる
邪法で神となり終わりゆく国を救おうとした姫君
優しくて、美しかった人

思わずふらふらと歩み寄り話しかける

覚えてるかな、姫様
-我らが剣は人を斬るには非ず-

僕はあの時、貴方を斬ったんだ
-悪を斬る剣なり-

にっこりと笑みを返し、剣の間合いまで踏み込む

知ってるか、神様
-この剣-

三狐の狐は、俺はお前(神)の天敵だぞ?
-一人の悪を斬りて万人をいかす謀り事なれば-

どんなに愛しくて大切な人であろうと、それが世を害する悪であれば斬る
【武器受け・見切り】で防御、【鎧砕き・2回攻撃・破魔】で攻撃
隙を見つけ【剣刃一閃】

これにて仕舞い
…まやかしでも嘘でも、もう一度会えて嬉しかったよ

アレンジ・アドリブ・絡み歓迎




 猟兵たちの猛攻の衝撃で建物が揺れる。いくつかのゲーム筐体が吹き飛ばされ、向かってくるのを兵十はひらりと躱して身構える。
 邪な気配は消えてはいない。まだ、きっとこの煙の向こうにそれはいる。
 果たして、剣の柄に手を添えた兵十がそれを真っ先に捉えた。質のいい布で誂えた、それでいて派手ではない優しい印象の着物。
 しずしずと歩くその姿は、兵十にとっての信仰の対象であり、罪科の象徴でもあるようだった。
『お久しぶりですね、宇迦野兵十。壮健のようでなによりです』
 ころりと鈴を転がすように笑うその笑顔も、思い出の中にある優しい彼女のままだ。
 兵十は思わず、柄に添えた手をだらりと落としてふらふらと彼女に歩み寄る。
「あぁ……ああ、覚えてるかな、姫様」
『何をでしょう。貴方が覚えていることであれば、わたしも忘れはしませんよ』
 歩み寄る兵十を受け入れるように手を広げる姫は、兵十の中の敵意を少しずつ削いでいく。

「僕はあの時――」
 にこりと、昔を懐かしむように姫へと笑顔を返す兵十。
 ――我らが剣は人を斬るには非ず――
「貴女を斬ったんだ」
 ――悪を斬る剣なり――
 最後の一歩を踏み込み、神速で放たれた居合い一閃。
 ――この剣、一人の悪を斬りて万人を活かす謀り事なれば――

 振り抜かれた刃を鞘に収め、兵十はそっと"神様"に語りかける。
「知ってるか、神様。三狐の狐は、俺はお前の天敵だぞ? どんなに俺の愛しい大切な人を真似しようと、それが世を害する悪であれば斬る」
 一太刀を浴びせられ、冷たい視線をぶつけられてなお、姫はそれでも柔らかく笑っていた。
『言ったでしょう、兵十……わたしは、貴方の覚えていることであれば忘れはしていない、って』
 ――傷は浅い。兵十の僅かな、本当に僅かな心のうちのためらいと、かつて一度、信じた男に斬られたことをしっかりと知っていた姫の記憶がほんの少し後ろへと身を退かせたことが、致命傷を避ける結果となったのだ。
 護身用の短刀を抜いた姫が、笑顔のままに前に出る。
『これでおあいこ。過去のしがらみは水に流して、ここでもう一度やり直しましょう兵十。救えなかったわたしの国を、ここで再び――』
 兵十に短刀が突き刺さる。同時に、兵十は姫の進路に置くように、もう一本の刀――鈍らの眠狸の刃を立てていた。
 ぞぶり、姫が飛び込む勢いで刀がその身を貫いた。
「っぐ……これにて終い、まやかしでも嘘でも……もう一度会えて嬉しかったよ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

葛乃葉・やすな
あれが神か?
ふーむ。
昔に死別したあね様の姿に見えるのう。わしに向けるあの意地悪全開な嘲笑は懐かしいものがある。
なんとも戦い辛いのう。

各々違う姿に見えている様じゃしこれが神の力と言うわけか。
あね様の姿をしている以上傷つけたくないのう。まずは捕縛してあやつの本当の姿を拝ませてもらおうかのう。

【全力魔法】でUC【秘技・鬼門封じ】を使用。
成功して相手の姿が変わったら【生命力吸収】も合わせて使用することでダメージも与えてくれよう。

※見えている姿はわしと同じくらいの背丈の黒毛の妖狐。
※アドリブや絡み歓迎じゃ。




 兵十と相討った姫君は、猟兵たちやUDCエージェントが手傷を負った彼を下がらせるのをじっと慈しむように見送った。
 そうしてその姿が見えなくなると、またもその姿がどろりと変じて今度は狐の耳尾を生やした少女へと。
 受けた傷も表面上は消えるが、やはりダメージは蓄積しているのだろう。時折揺らぐように、黒い影がその背後に見え隠れする。
「あれが神の素顔か? ふーむ、しかしのう……」
 やすなは顎に手を当て、困ったように眉尻を下げてその少女の姿を確かめる。
「あね様の姿を写し取るとはのう、困ったものじゃ」
『なんじゃやすな、どうかしたかの?』
 じろじろと姉の姿を確かめるように見つめるやすなへと、自分の顔に何か付いているのか、と問う"それ"が向ける笑顔は、記憶の中にある意地悪な姉の笑顔そのもの。
「なんとも戦いづらいのう。姿だけとはいえあね様を真似ておる以上は傷つけとうないのじゃ」
 ならば、と右手に妖力を集める。あまり使いたくない術だが、やらねばなるまい。息を吸って吐いて、覚悟を決めたやすながその右手を姉の姿をした"それ"へと向けた。
「まずは捕縛してその本当の姿を見せてもらおうかのう! 受けよわしの奥の手、秘技・鬼門封じ!!」
 放たれた妖力が"それ"の身体に纏わりつき、動きを封じ込める。
『なんじゃ、やすなやめい、姉に対してなんと酷い行いじゃ!』
「よく言うのう! ころころころころ姿を変えてはもはや本物と思えるものか! その本当の姿を拝ませてもらうのじゃ!!」
 鬼門封じは術者の負担も大きい術だ。となれば後は我慢比べ。やすなが力尽きるのが先か、"それ"が力尽きるのが先か――もし本物の姉相手ならば勝てる気はしないが、相手は偽物、それも手負いであれば絶対に負けぬと嫌な汗を流しながらやすなは踏みとどまる。
 果たして――

『ああ、ひどい』
『ひどいなあ。うごけない。せっかくみんながだいすきなひととずっといっしょに』
『ずっとずっといっしょにいられるように、っておもったのに』
 姉の姿が掻き消え、代わりに奇妙なヒトガタが現れた。
 手足はない。ただ胴体と頭があるだけの、図形のような身体。その頭に並ぶニつの目が、やすなをじっと捉えていた。
「薄気味悪い本性じゃな……! あと僅かの拘束時間無駄にはせぬ、このまま生命力を吸い取ってくれる!」
 もう拘束が保たない。本当の姿を晒したかみさまの抵抗は、姉だった頃より強烈だった。
 動いていないように見えて、術を維持する負担が何倍にも重く感じる。だからやすなは、拘束を引き伸ばすよりも一瞬で解き放つ代わりにダメージを与えることを選んだ。
 かみさまを縛る妖術が解けるその直前、確かにかみさまの力のいくらかが削り取られ、自らに流れ込むのを感じ――そして、戒めを振りほどいたかみさまがまたも誰かの姿を模倣していくのを、やすなは疲労に滲む視界で見送る。
「あとは任せたのじゃ、もう一息じゃぞ皆……!」

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
●POW
誑かし上手のイカレた神が
ココで俺めに“アイツ”を見せるってコトは、そう読み取ったってコトっスか

(リダン作の防具へ袖を通し精神抵抗
為すべき事は「獲物を狩る」)
ま、手落ち甚だしいにも程がありますけどもな


視床下部ダイレクトリンク許可
ザミエルシステム、起動!
“エル”
俺めのザミエル
敵性反応と地形情報を解析しろ


コレこの通り
アイツなら今、俺めの頭ン中で喋ってるトコですでよ
本物はココに居る
ならテメエは偽物ですわ

・野生の勘は貫き易そうな位置の察知に傾注
・リダンから借用した毒針を鍵束に交え掌握、狩猟の魔眼(状態異常力強化)+鎧無視攻撃でブチ込む
・少しでも抜けたらL95式サイドアームの接射で【傷口をえぐる】


リダン・ムグルエギ
【ワイルドハント】
全員に好まれるデザインになれる、ね
デザイナー的に、存在そのものが侮辱的なヤツね

アタシは防具強化を施した
「皆の普段着ている服」を
上着だけでも作って渡していくわ

ぶっちー、ゆーなちゃん!エージェントの皆もパス!
思い出して「自分の為すべき事」を

アタシは染めるわ
かみさまの精神汚染を、普段の己の為すべきことを為すという流行(ミンナノオモイ)で染め直すの

アタシの信じる「流行の神」はね…敵なのよ
打倒して自分が次に神になるための、ね
敵愾心を無くすなんてふざけないで
アタシには
この場の皆には
覚悟があるの

皆、今よ!

ぶっちーに渡した「針」に仕込んだ「葉巻の毒」は良く効くでしょ?
その思考、鈍らせてあげる


夕凪・悠那
【ワイルドハント】
耳障りのいい言葉を並べ立ててまぁ。
んじゃあえて口にするけど――ボクがやることを邪魔するな。したいことを否定するな。
つまり、 口 を 開 く な 。

リダンさんから渡された服を羽織って意志を強固にし、【精神回線】を[早業]で服を渡された仲間に接続
かみさまに抗う意志を揺らがない状態で安定させる

【電脳冥土】で戦闘メイド(E:大剣)を召喚
忘れてなんていないさ
今為すべきことは、気に入らない"かみさま"をぶっ潰すこと
理想の存在は間に合ってるんだよ!

かみさまが何らかの攻撃を仕掛けてくるなら[第六感]を駆使して[見切り]
接近して[衝撃波]を伴う大剣で叩き潰す
ボクは、きみがだいきらいだ

アドリブ○




「全員に好まれるデザインに、ね。それってデザイナー的には存在そのものが侮辱的だわ」
 望む相手の望む姿になれる、ということは、それに近づくための一切合財を無視してしまえるということ。
 そこに至るための変化に全力を尽くすデザイナーであるリダンにとって、かみさまの在り方は許せない。
 だからこそ、リダンはデザイナーとして敢えて普段どおりの、変化のない衣装を拵える。

 本性を表したかみさまが、その黒いいびつなヒトガタを歪ませながらワイルドハントの面々に相対した時、悠那と物九郎はそれぞれ別の姿を見た。
 悠那は何を見たのか最後まで語らなかったが、物九郎にとってかみさまは、よく見知った人形の姿で現れた。
「誑かし上手のイカれた神が。此処で俺めに"アイツ"を見せるってコトは、そう読み取ったってコトっスか」
「随分耳障りのいい言葉を並べてまぁ。じゃあ敢えて口にするけど、ボクがやることを邪魔するな、したいことを否定するな。つまり――口を開くな」
 もはや視覚をごまかすので精一杯なのか、あるいは悠那の願いを律儀に聞き届けたのか、かみさまは声を発することも、模倣した彼らの攻撃手段をそのままコピーすることもない。ただ、各々の大切な人の姿で攻撃を止めようとするだけだ。
 ふたりはそれが偽物であると理解しながらも、やはりそこに全力も殺意を向けることに抵抗を覚えざるをえない。
 そこに、リダンの作品が投げ渡される。
「ぶっちー、ゆーなちゃん! エージェントの皆もパス! 思い出して、『自分の為すべき事』を!」
 甚平を受け取り袖を通す物九郎。着慣れたデザインの服に袖を通す悠那。
 エージェント達もスーツやボディアーマーを慌てて着替え、そして動きに精彩を取り戻していく。
「忘れちゃ居ないっスよ、リダンのねーさん。俺めの為すべき事は『得物を狩る』ってな」
「当然、猟団長に同じく。今為すべきことは気に入らないかみさまをぶっ潰すこと! もう意思が揺らがないように皆、ちょっとつなぐよ!」
 戦意を再び高める二人。悠那の指先から伸びた糸が猟兵たちを繋ぎ、エージェント達を繋いでかみさまの精神攻撃に立ち向かう強い心を固定する。
 リダンの紡いだデザインが、普段どおりというその形が、かみさまの精神汚染を上から染めていく。
 あらたな流行が、普段どおりに道を違えないだけというシンプルなそれが生まれ落ち、かみさまの願いを上回った。
「アタシの信じる『流行の神』はね、敵なのよ。打倒して自分が次の神になるための、ね」
 だから、その敵愾心を無くすなどふざけるな、皆の覚悟を塗りつぶすなどさせるものか。
 そう啖呵を切るリダンに、物九郎は静かに笑む。
「どうやら見た目だけはアイツめを真似したようっスけど。ま、手落ち甚だしいにも程がありますけどな」
 脳に直接リンクした"電脳魔術"が、物九郎の戦闘力を飛躍的に高めていく。
 眼の前で狼狽える"彼女"からのバックアップが、だ。
「エル! 俺めのザミエル、敵性反応と地形情報を解析しろ!」
 返ってきた返答は、敵性反応はともかく地形情報を解析する意味がわからないと、丁寧ながら辛辣なコメントが添付されたデータ。
「……コレこの通り、アイツなら今俺めの頭ン中で喋ってるトコですでよ、本物は此処に居る、てこたァテメェは偽物ですわ」
 しゃらりと鍵束に交えてリダンの託した毒針を握り込む物九郎。
「理想の存在は間に合ってるんだよ!」
 ずらりと並ぶメイド達。皆が見目麗しく、優しく真面目でそして強い。悠那の"理想"の一つのカタチが呼び出され、大剣を構えて優雅に微笑む。
 そして、エージェント達もリダンの手で職務を思い出し、自らの武器を手に立ち向かう意思を奮い立たせていた。
「皆、今よ!」
 リダンの掛け声で、エージェント達が一斉に発砲した。
 拳銃弾を使うピストルや短機関銃では、UDCたるかみさまには殆ど傷を与えることはできない。
 だが、牽制にはなる。ただの人間が抗い武器を向けることなど経験したことのないかみさまがうろたえたそこに、悠那の召喚したメイド達が斬り込んだ。
「そのまま叩き潰して! かみさま、ボクはきみがだいきらいだ……!」
 主の嫌う相手に、メイドたちの猛攻が叩きつけられる。
 確かにその強烈な斬撃を受けているはずなのに、かみさまは影や幻のように揺らがない。
 ただじっと猟兵たちを見守るその顔面に、物九郎の拳が突き刺さった。
 毒針が突き刺さり、かみさまがよろめく。そこに追い討ちのように撃ち込まれた拳銃弾、彼女から借り受けたそれが放った一撃が、確かにダメージを与え、たまらず退いたかみさまに完全に毒が回りきる。
『どうして? どうして、どうしてわかってくれないの……!?』
 思考を鈍らす毒が、かみさまをすら冒す。一同の前に立つかみさまの姿は、リダンの衣装に頼らずとも、もはや完全に誰かの擬態ではなく本来の黒く歪んだヒトガタもどきに戻っていた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリシア・マクリントック
ただ望む姿を見せるものなどと……気味が悪いとしか言いようがありませんね。
私の知る誰もが、ここで剣を収めることをよしとしないでしょう。何より私自身がそれを許しません。
神であろうとなんであろうと子供の純粋さに付け入り、支配しようとしたその罪を償ってもらいます。
――変身!

たとえ本当の神であったとしても……私は一人の人間として貴方に反逆しましょう。
そこに存在するのなら。何者であろうと斬ることができるはずです!

もしも私の剣が神に通じないというのであれば。
新たな可能性を見つけ出すしかありません。私にはそのための力があります……!
剣ではない、別の可能性……新たな扉よ、開け!




「もはや望む姿を見せることすら出来ませんか。気味の悪い力でしたが、ここはよかった、というべきでしょう」
 誰の姿で現れようと、その誰もがアリシアに剣を収めることをよしとしなかっただろう。
 アリシア自身、それを望まないし、自らにそのようなことを許しはしない。
 何より、神を名乗り子供の純粋さに付け入り――身勝手な愛情で支配しようとしたその罪、許しがたい。
 そんな存在を前に戦わぬなど、絶対にありえない選択肢。
 だから容赦なく戦える本来の姿を取り戻したかみさまに、アリシアは宣戦を布告する。
「その罪、償ってもらいます! 変身!」
 剣を帯びた白銀の鎧の乙女が、その刃をかみさまに突きつけて宣言する。
「たとえ本当にあなたが神であったとしても、私は一人の人間としてあなたに反逆しましょう。そこに存在するのなら、何者であろうと斬ることはできるはずです!!」
 駆け出したアリシアの剣がかみさまに喰らいつく。
 刃が柔らかいかみさまの黒い身体を引き裂き、ダメージを与える――が。
 かみさまは僅かにアリシアの胸に残る、"もし私の剣が通じなかったら"という恐れを読み取り、それを自らに写し込んだ。
『だめだよ、あぶないよ、そんなものをふりまわしちゃあ』
 剣によって受けた傷が癒え、剣のダメージも小さくなっていく。
『剣がつうじなかったらいやだよね、こわいよね。だから、さいしょからふらないでおこう』
『あぶなくないし、こわくない。ね? ぶきをおさめて、あのこたちとなかよくみんなで――』
「お断りします! 剣が通じないときは、別の可能性を見つけ出すまで! 私にはそのための力があると信じています!」
 剣ではない新たな力、その可能性。それを見つけ出すことができれば、"剣が通じないかもしれない"という不安は"けれどその武器ならば通じる"という確信に裏返る。
「私に眠る別の可能性……新たな扉よ、開け!」

 眩い光がアリシアを包み込む――
 斯くて、アリシアの鎧は新たな姿へと進化した。
 よりシャープな造形は攻撃的で、一部にあしらわれた毛皮はワイルドな印象を与える。
 何より、その手にあった剣は消え、刃は大きな鉤爪となって手甲から生えていた。
「これなら……! 行きます、嵐は誰にも止められません! フェンリルテンペストッ!!」
 流麗に滑るような、それでいて荒々しいクローのラッシュがかみさまを襲う。
『なんで……なんで、ずっといっしょにいようってねがいを、みんなは……!』
 苦痛の声を上げるかみさまを切り裂く鋼の爪。
 その乱舞が終わったとき、かみさまは既に黒いヒトガタをすら維持することが難しいほどに消耗していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユナ・アンダーソン
私は両親を知らない
物心ついたときには孤児院にいたから
でも、目の前にいるのは両親だって何となく分かる
ただ一言、愛していると言って欲しい
抱きしめて欲しい
そう思ってしまう

でも、空々しいよ
なんて虚しく響くんだろう
あなたの言葉は
最初から中身なんか無い
あなたは私に興味なんてさっぱり無いよね
ただ単純に私の見たいものを見せて心地のいい言葉を並び立ててるだけ

それにね
私は知ってる
あの人達が私を愛してくれることはないって
さようなら、空っぽの『かみさま』

目に涙をためてその姿を振り切るように
大鎌で断ち切ろうとします




 弱りきり、消えかけているかみさまは求めた。
 猟兵たちの攻撃で、"誰かの望む姿"で居られなくなった自分に、新たな姿を与えてくれる願いを。
 だが、複雑な想いを、弱い想いを拾えるほどの余力はない。大好きな子供たちと自分の楽園を護るための殻、誰かの望む自分を探すかみさまは、猟兵たちの中にそれを見出した。
『みつけた……!』

 彼女は親を知らなかった。
 物心がついたときには既に孤児院に居て、親といえば先生だった。それも本当の血のつながった家族ではなかったし、自分よりうんと手のかかる下の子たちのお世話で大変そうだった。
 甘えさせてほしいなんて言えなかった。
 本当の親なら、言わずとも甘えさせてくれるのかと夢想したことも一度や二度ではない。
 そんな彼女だから、会ったこともない眼の前の人が自分の親であると認識した時、愛されたいと、抱きしめられたいと願ってしまったことは誰が咎められるだろう。
『おいで、ユナ』
『頑張ったね、辛かったね。ひとりぼっちにしてごめんね』
『もうひとりにしないよ。お父さんとお母さんと、三人で幸せに暮らそう。愛してるよ、かわいいユナ』
 ぎゅっと抱きしめて、髪を撫でながらほしかった言葉を与えてくれるその人の腕の中で、ユナは静かに目を瞑る。
 けれど、ずっとずっと欲しかった言葉、欲しかった温もりが、ユナにとっては――
「空々しいよ。なんて虚しく響くんだろう」
 愛は、きっとあるのだろう。子供たちを手元に置き、殺すでもなにかに利用するでもなくただ楽しく居させようとしていたかみさま。
 その子供たちにジャガーノートを寄生させてしまったとはいえ、彼の言葉を信じるならばそれも故意ではなく不幸な事故だったと言えるかも知れない。
 彼は子供たちに、自分なりの愛を注いでいたのだろう。だが、それはあくまでかみさまの自分勝手な愛情だ。姿が代わっても、その注ぐ愛情の形まではそう変わるものではない。
 優しい言葉も、暖かな抱擁も、全てユナの欲するものとは形の違う、かみさまの与えたい愛情にすぎない。
「あなたの言葉は最初から中身なんて無い。あなたは私に興味なんてさっぱり持ってない」
『そんなことは――』
 遮ろうとした"それ"を更に遮って、ユナは決別の言葉を告げる。
「単純に私の見たいものを見せて、心地の良い言葉を並び立ててるだけなんだよね」
 それに――
「私は知ってるの。あの人達が私を愛してくれることはないって」
 抱きしめる"かみさま"をユナが突き飛ばす。
 偽物の暖かさに、望むものと違う愛情に別れを告げて、ユナは大鎌を振るった。

「さようなら、空っぽのかみさま」
 もしかしたら、彼もユナと同じように、愛情が欲しかったのかもしれない。
 与えることで与えられる見返り、愛情や信仰を求めてやまない存在。
 それは、愛望むユナとよく似た願いだったのかもしれない。
 そんな想いを、彼と自分は違うのだと振り切り、頬を伝う雫を仲間たちに見られないよう背を向けて、ユナは消えていくかみさまの躯に別れを告げた。 

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『ゲームセンター』

POW   :    パンチングマシンや格闘ゲームで遊ぶ

SPD   :    シューティングゲームやレースゲーム、音ゲーで遊ぶ

WIZ   :    パズルゲームやクイズゲーム

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 "かみさま"は居なくなった。子供たちを誘い閉じ込めた存在は消え、あとはUDC組織が適当なカバーストーリーと共に彼らを親許に返してくれる。
 事件は解決したのだと、片腕を三角巾で吊ったエージェントが猟兵達に感謝を述べる後ろで、装甲バンから降ろされた新品のゲーム筐体が次々とゲームセンターへ運び込まれていく。
 戦場となった場所の修復もUDC組織の重要な役割だ。既に壁や床、天井の破損は跡形もなく処理され、そして今ゲーム機が設置されたことでゲームセンターはもとあるべき姿を取り戻した。
 この戦いを知るものでなければ、ここで激しい戦闘があったなど言われてもわからないだろう。
「それでは子供たちのケアも含め、後の事は我々に任せて皆さんはお帰りください……と、普段ならそう言う所ですが」
 エージェントは、しゃらりと筐体のマスターキーを束ねた鍵束を揺らす。
「折角です、一般客を入れる前にタダで少し遊んでいっても罰は当たらないでしょう。あの子達も、ゲームで気が紛れれば記憶処理もしやすくなりますし」
 意識が事件に囚われているままでは、記憶処理にかかる時間も子供たちの負担も大きくなる。だから、気を紛らわせる何かが必要なのだと。
「我々エージェントやメカニック達が基本的に子供たちを引率しますが、よかったら猟兵の皆さんも一緒に遊んでやってください。きっとあの子達も、自分たちを助けてくれた皆さんが一緒に遊んでくれれば喜ぶでしょう」
アリシア・マクリントック
これがゲームセンター……!どんな遊びができるのでしょう?楽しみです!

うーん……見たところ、心得があるのはダンスとダーツくらいでしょうか。私の腕前を披露するのもいいですが、せっかくですから初めて触れるものを子供たちに教わるのもよさそうです。私一人ではこういったところに来る機会もまずないですからね。

気分転換ということであれば、ゲームにトラウマができてしまった子がいたら最初のうちはマリアに触れてもらうのもいいですね。アニマルセラピーというものもありますし。順番待ちの子がいたらマリアに相手をしてもらえば退屈はしないかもしれません。




「これがゲームセンター……!」
 未体験が山と待ち受ける遊技場に、アリシアは胸を高鳴らせる。
 あの機械はどうやって遊ぶのだろう。あれは何が出来るマシンなのだろう。画面やコンソールが付いていて、何をするのか想像出来るものもある。
 きらびやかに光る無数のボタンらしきものがついた筐体や、まるでスペースシップワールドのコックピットシミュレータのようなものなど、まるで遊び方が想像できないものもある。
 そんな中でアリシアは、慣れ親しんだダーツマシンを見つけた。
「あら、これなら私でも心得が……いえ、せっかくこういう所に来たのですし」
 ダーツを子供たちに教えるのも良い。が、一人ではまず来ることのないようなところで遊ぶのだから色々と挑戦するのもありだろう。
「ねぇ、私はこういう所に来るのが初めてなんです。色々とゲームの遊び方を教えてもらってもいいですか?」
 近くで何をしようか、遊んでも大丈夫かとまごついていた子供たちに屈んで視線を合わせ、優しく声を掛けるアリシア。その言葉に、子供たちは顔を見合わせてから頷く。
「いいよ、なにする?」
「ドラムのメイジンやろうぜ!」「えー、クレーンゲームしようよ!」「メダルマシン……」
 各々好きなゲームへとアリシアを引っ張ろうとする子供たち。順番に回りましょうとそれを宥めながら、アリシアは初めてのゲームに挑戦する。
 楽器型の筐体で音楽を奏でてみたり、フックを操作してぬいぐるみを――マリアが好きそうな、ふかふかで中々頑丈そうな作りのものだった――取ろうとして、結構な時間を熱中してしまったり。
 そうやってセンター内をあちらこちらと引っ張られていくうち、アリシアは気づく。
 どうもゲームに乗り気ではない……というより、怖がっている子供が居るようだ、と。
「あら……無理に遊びなさいというものではありませんけれど、気を紛らわしてあげたほうが記憶処理に都合がいいと言っていましたし……そうだわ、マリアお願いしてもいい?」
 わふ、と応えてマリアが駆け出す。
 その子供の前でちょこんと座り、舌を出してじっと目を合わせるマリア。大型犬よりやや大柄な狼の体躯に少しだけ怯えたように身を引く子供も、じっと大人しく座っているマリアに手をのばす。
「さわっても……いいのかな?」
 手を出しては引っ込め、撫でようかやめようか悩むその子に、次のゲームに引っ張られながらアリシアが声を掛ける。
「大丈夫ですよ、マリアは優しい子だから噛んだりしません。そっと頭を撫でてあげてください」
「…………うん、わかった」
 背中を押されて、恐る恐るでマリアの頭を撫でるその子。マリアが目を閉じて撫でられているのを見守る暇もなく次へ次へと引っ張られていったアリシアが解放されたのはそれから暫く後のこと。
 さてマリアとあの子はどうなったかな、と様子を見に行ったアリシアが見たのは、いつの間にか集まってきていた大勢の子供たちにもみくちゃにされ困ったような顔で伏せるマリアと、マリアのふかふかの身体にくっつくようにして床に座り込み、すやすやと寝息を立てる子供たち。
「……あれだけの出来事があったのですから、疲れも溜まっていたのでしょうね。ふふ、マリアごめんね、もう少しだけ我慢してちょうだい?」
 ばう、と困り顔で渋々吠えるマリアの傍でベンチに腰掛け、アリシアはエージェントが子供たちを迎えに来るまで暫し安らかな休息を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
ゲームはやったことも無いですし、こういう機会が無ければすることもなかったでしょうね…
ですがこれで子供達の気が紛れるというのなら喜んで参加しましょう

子供達に連れられてロボットアクションゲームに連れてこられ、遊んでみていますが……、このロボット達、反応速度が私と比べて凄く遅いですね!?
ああ、慣れない操作でへたっぴと笑われてしまいました。ええい、もう一回勝負です!

……笑顔で遊ぶ子供達を見て、「神様」との戦いで傷ついた騎士の誇りを思い出します。彼らの笑顔を守れたならば、自分の小さな拘りを守るよりも騎士の本分を貫けたのですから
これなら、逝ってしまったエージェントの墓前に胸を張って立てます

…また負けた!?




「反応速度が私についてこられないのですね……!」
 ロックオンアラートに咄嗟に振り向くトリテレイア。後方に回り込んだ敵機がビームライフルを放つのと、同時にトリテレイアがシールドを構えるが、操作から行動までのタイムラグに被弾してしまう。
 それを牽制に突っ込んできた敵機が脚部にフォースセイバーを展開し、蹴脚からの肩部ビームキャノンでゼロ距離砲撃。
 読めている、対応できる――トリテレイアが迎撃を試みる。突進中に被弾衝撃の強いレールガンを当てればこちらがイニシアチブを取れる――操縦レバーについている武装選択ボタンで選択武装をレールガンに。上から順番に切り替えねばならないうえ、一番下に配置されたレールガンまでビームライフルやらビームキャノンやら攻性ドローンやらやたらと豊富な武装が邪魔をする。
 ――切り替わった、撃てる。トリガーを引いたトリテレイア機が放ったの"ビームライフル"が敵機にダメージを与えるが阻止しきれない。見事な連続キックを受け姿勢を崩した所にビームの直撃を受けてトリテレイア機は爆発四散した。

「鎧のにーちゃんもしかして下手だな?」
 対面の筐体から出てきた少年がトリテレイアに声を掛ける。
「違います。この機体の反応速度が私に付いてこられないだけですし、操縦系統がブローディアとおなじだったらこうはなりません。ええい、もう一回筐体に戻りなさい、次は勝ちます!」
「うぇー、もう何回目だよ。大人気ねーの!」
 最初は自分から誘ったものの、何度目かのリベンジマッチに困ったような苦笑を浮かべる少年。
「じゃあ次は練習な、鎧のにーちゃんさっきから高コストの機体ばっか選んでるし低コストの量産機選べよー、墜ちても何回か再出撃できるし武装も少ないから慣れるのにいいぜ?」
「何を。次は勝つので問題ありません、私はこの機体で行きます」
 再び筐体に戻ったトリテレイアは、ゲーム開始までの暗転中に視覚を閉じて思う。
 かみさまを討つため、民を守る己の誇りを自ら傷つけたトリテレイア。けれど、そのおかげでいまこの子達が笑っていられる。それはきっと素晴らしいことだ。
 自分は騎士としてやるべきことをやれた。個人の感傷よりやるべきことを優先できた。
 殉職したエージェントにも胸を張ってそう言える。だから、これで良かったのだ、と。
 そう胸に抱いて視覚を開いたトリテレイアが見たのは、棒立ちの自機に突き刺さる敵機の超高威力の砲撃がHPバーをゴリゴリ削っていく有り様。
「――ちょっと待った……ああっ、また負けた!?」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
「ゲームですね、電脳魔術士としてゲームは負けませんよっ!」

子供たちのケアになるなら、ゲームの相手をしてあげましょう!

「どんなゲームでもいいですから、さあ、どんどんかかってきてくださいっ!」

【チューリングの神託機械】を発動。
情報処理能力を向上させつつ【ラプラスの悪魔】でゲーム内容をシミュレート。
ゲームのアルゴリズムを予測してプレイです。

え?
大人げない?
遊びでゲームやってるわけではないのです!(神託機械の代償に吐血しながら)

「よし、4フレーム後にコマンドを入れれば私の完勝です!」

子供を圧倒して勝とうとレバー入力しますが……
不器用な私には手入力でフレーム単位の操作はできずボロ負けするのでした。




「どんなゲームでも構いません! さあ、どんどんかかってきてください!」
 電脳魔術師に電子ゲームで挑む愚かしさを教えてあげましょう! とどこの大魔王だと言わんばかりに圧倒的なオーラを醸すアイ。
 彼女に挑むのは、このセンターに囚われていた子供たちの中でも腕っこきの三人。
 オールパーフェクトは朝飯前、音ゲーのタクヤ!
 見てからカウンター余裕でした、格ゲーのジュンイチ!
 そして地元の子供ダンスクラブで神童と謳われたダンスゲーのアヤカ!
「俺たちが!」
「お姉さんに!」
「挑むわ!!」
 名のしれたゲーマーである三人と、只者ではない強者の風格が漂うアイの決戦に、子供たちだけでなく、エージェントやメカニックまで固唾を呑んでその戦いを見守っている。
「まずは俺だ!」
 音ゲーのタクヤとの戦い。
 豊富な経験と並外れた反射神経で戦うタクヤに対し、アイは持ち前の演算処理能力を使ってゲームの挙動をシミュレート。それをなぞるように手を動かし、見事にパーフェクトフルコンボを叩き出す。
「馬鹿な……俺と引き分けるなんて……! 世界は広いぜ、やるなお姉さん」
「ふふん、世界には私達なんて足下にも及ばないゲーマーが居るのです。彼らにも負けないよう頑張ってくださいね」
 ドヤ顔で胸を張るアイ。
「いやアレ絶対演算ブーストしてましたよね」「大人げないな」
 ヒソヒソとその様を指差すメカニックたち。
「シャラップ! 遊びでやってるんじゃないので――コフッ!!」
 耳聡く聞きつけてメカニックたちを指差すアイが演算負荷で唐突に血を吐いた。
 慌ててそれを拭い、さも何事もなかったかのように格ゲーのジュンイチとの戦いに赴くアイ。
「保ってください、私の身体……せめてこのゲーセン三銃士を倒すまでは!」
 というわけで無駄に悲壮な覚悟を背負って筐体の前に着くアイ。
 このゲームもラプラスの悪魔で予測演算可能だ。ジュンイチ操る敵キャラの動きは手に取るようにわかる。
 ――わかるのだが。
「よし、4フレーム後にコマンド入力、勝っああっ!!」
「ならば2フレーム後にガードからの超必――違うなんでそこで弱パンチなんですか!!」
「ええい、ならここのタイミングで殺意の波動に抱かれて馬鹿なっ!?」
 わかったところでアイのコマンド入力がついてきていなかった。
 脳内の演算処理については無敵の能力を誇るアイだが、実際に手を動かすとなるとこれが。
「くっ……自分の力量で勝ったと思わないことです! そのキャラクターの性能だということを忘れないでください!」
 結果は惨敗。悔し涙を浮かべるアイ。
「いやキャラ性能っていうよりプレイヤー性能だったよな」「むしろアイさんのキャラのが強キャラだよなあのゲーム」
 ヒソヒソとその様を指差すエージェント達。
「シャラップ! 強いキャラ弱いキャラ、そんなのひとの勝手――カフッ!!!!」
 血を吐きながら次なる戦場に向かうアイ。だが最後に待ち受けるのは運動神経こそがものを言うダンスゲーム。
 結果は――言わずもがなであろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アンナ・フランツウェイ
【PPP開発室】で参加

そういえばゲームセンターって始めて来たんだよね。良い機会だし、さっきの戦闘の憂さ晴らしも兼ねて皆や子供達と遊んでみようかな…。

ゲームセンターに詳しい開発室のメンバーや子供達に教えてもらいながら、UFOキャッチャーで景品を狙ってみる。狙う景品は…ぬいぐるみとかの可愛いもので。あと技能は使わず、純粋に楽しむよ。
「ぬー…、取れない…」「あ、もうちょっとなのに…」「やった、取れた!」

遊び終わったら、一緒にUFOキャッチャーで遊んでくれた子供にありがとうと感謝の気持ちを伝えるよ。

・アドリブ、絡み歓迎


イデアール・モラクス
【PPP開発室】

クク…ガキ共とゲームに興じるのもたまには悪くないか。

・行動
子供を何人か誘って対戦ゲーム(ガン◯ムエクストリーム何ちゃら的なヤツ、4人くらいで対戦出来るゲーム)で遊ぶ。
「さぁガキ共!大人の怖さを教えてやろう!」
割と本気でやるが、まぁ私はダークセイヴァーの住人…ゲームはそれなりに遊ぶがそれほど経験はないからそれなりに負けるだろうな。
そこで我が魔術の出番だ、ゲーム筐体に魔法をかけて私のキャラを強くする、俗に言うチートだ。
「ズルイ?アーハッハッハ!大人はズルイ生き物なのだよ、お前達もあまり無条件に人を信じるなよ?」
と、ガキ共に教訓を与えつつ大人気なく遊んでやるのだ。

※アドリブ大歓迎


響・夜姫
【PPP開発室で参加】

・SPD
いろんなゲームで遊ぶ。
ただしパズルゲーム以外あまり強くない。
どっちかというと、弱……げふんげふん。
「……まぁ。接待プレイだし。悔しくは。……ちょっと悔しい。ぐぬぬ」
パズルゲームは普通。

一息ついたところでPPP開発室のメンバーを確認。
ビードットやフィーナお姉ちゃんを見て
「おー……。……大丈夫かな?」
イデアールを見て「おお……意外」とか。
正直、いけない遊びを。教えると思ってた。
アンナは……謎の安心感。大丈夫そう。むしろヘルプに来てほしい。
ボスケテ。

「猟兵に打ち勝つちびっこ達。将来有望なのでは?」

楽しく遊びました。……次は勝つ。




「よしガキ共ついてくるがいい、私が大人の怖さを教えてやろう……!」
 カプセル型の筐体に乗り込んでいくイデアール。このゲームセンター一番人気はやはりロボット対戦ゲームなのか、目立つ位置に設置されていた筐体だけあってプレイ経験のある子供も少なくはないらしい。
 先にプレイしていた猟兵が戦いを終え空いた所に次々と順番を待っていた子供たちがエントリーしていく。
「ククク、チーム戦で勝負だ、二対一で構わんぞ……!」
 かかってこい、と筐体同士の通話で相手を挑発すれば、血気盛んな子供たちはそれに乗ってイデアールに挑みかかった。
 試合開始のブザーが鳴り、イデアールの機体が躍り出る。剣型のドローンを操る白兵タイプの機体だ。うまくペースを握れば距離を問わず一方的に試合を展開できる強力な機体だがその分コンボがシビアだったりと扱いづらい部類に入る。
 一方でイデアールに挑んだ少年たちの機体は遠近汎用で可変能力を持つ高機動型と狙撃型、どちらも撹乱と長距離攻撃と役割がシンプルなぶん扱いやすく、連携でさらに強力になるタイプであった。
「負けないよ、おばさん!」
「二対二じゃなくて良かったのかな!」
 早速ドローンのエイムが高機動に吸い込まれ、さらに速度差で逃げる敵機を追い回すイデアール機に狙撃が突き刺さる。
 狙いを狙撃機に切り替えればその背中を攻撃され、徐々にピンチに追い込まれていく。
「なるほどな。ゲームはそこそこ遊ぶが、やはり生まれついてのゲーム文化出身には届かないか……ゲームの腕だけならなァ!!」
 突如イデアール機が揺らぐ。ブロックノイズが機体を覆い、スマートな機体が変貌していく。
「なん、だと……! 何が起こっているんだ!!」
「やばいよ……まさかあの機体、デーモン! ソロモードのラスボス機がなんで!?」
 狼狽する子供たちの前に、巨大な機体が立ち塞がった。禍々しい巨体からはフレキシブルに可動するアームが触手のようにのたうち、その先端の鉤爪が狙撃機を鷲掴みにして握りつぶす。
「ククク、フハハハ、アーッハッハッハッハ! 私をおばさん呼ばわりした罪、ここで償うがいい!」
「畜生、よくもたっくんの機体を……チートとかズルいぞ、畜生チーターなんかに絶対負けねえ!」
 僚機を失いながらも果敢に挑みかかる高機動機だが、火力が足りずイデアール機の自己再生能力を上回るダメージを単機では叩き出せない。ただでさえプレイアブルを圧倒する性能のラスボス機に、さらに原作設定だけでゲームには実装されていないはずの自己再生まで上乗せしたスペックをチートと糾弾する少年をイデアールは嗤った。
「ズルい? 大人はズルい生き物なのだよ、お前たちもあまり無防備に人を信じるなよ? ハーッハッハッハ!!」
 それはイデアールなりの教訓なのだろう。耳触りのよい言葉で、心地いい触れ方で子供たちを籠絡したかみさま。彼のような存在に二度と騙されないように、と。

「でもそれ、たぶん伝わらない気がする?」
「やり方がえげつなさ過ぎて教訓以前にただ大人げないだけだよね……」
 突如として始まったラスボスレイド戦を遠巻きに眺めながら、夜姫とアンナは苦笑する。
 少年漫画の主人公のように悪逆非道のラスボス魔女に挑む少年たちの連合軍に加わらなかった子供たちを連れて、二人はクレーンゲームに挑んでいた。
 狙うは巨大なぬいぐるみ。UDC組織の好意でフリープレイモードの設定になっているとはいえ、既にアンナは数プレイ分のチャレンジを終えた後の挑戦中だった。
 と、イデアールのほうに気を取られていた僅かな瞬間、いい感じにアームにぶら下がっていたぬいぐるみがぼとりと落ちる。
 子供たちの落胆の声に筐体に目を戻したアンナは、取り出し口ギリギリで落下して穴に引っかかるぬいぐるみの姿にふぅと溜息。
「もうちょっとなのに……ぬー、取れない」
 仮に有料プレイモードならば結構な額を費やしたチャレンジだが、そこまでしてうまくいかないのはそれなりに凹む。
「……どうしよう、諦める?」
 そこで子供たちに確認するようにボタンの前を離れたアンナに代わって夜姫が立つ。
「まかせて……ここまでくれば、押せば落ちる。持ち上げるんじゃなくて押し込むのがコツ」
 どやぁ、とクレーンゲーム攻略法を開示しながらボタンを軽やかに叩くこと数回――
「……まぁ、接待プレイだし。悔しくは……ちょっと悔しい。ぐぬぬ」
 ぬいぐるみはなぜか一方通行のはずのアームの動きに逆らって初期位置に戻っていた。
「うーん……難しいね」
 楽しいは楽しいけれど、景品が取れないのは悔しい。とはいえ今回は戦闘の憂さ晴らしや子供たちのカウンセリング目的での遊びだ。無理にこだわるものでも無いだろう、と諦めかけたところで、見守っていた子供たちがアンナを引き止める。
「アンナお姉ちゃん、諦めるのはまだ早いよ」
「皆でちょっとずつやればきっと取れるって」
 言うや、次々とボタンを押していく子供たち。そのたびにぬいぐるみは行ったり来たり、さらに悪戦苦闘の末にぬいぐるみがついに取り出し口に落ちる。
「…………やった! とれた!」
「おー……ついに」
 やったやったと喜び飛び跳ねるアンナと、感慨深く頷く夜姫、そして二人に負けず劣らず喜ぶ子供たち。
 思わず手に汗握っていた彼らの頑張りにアンナの喜びもひとしおだ。取り出し口からむぎゅると引っ張り出されたぬいぐるみを、子供たちが大事に抱えてアンナの前へと持ってくる。
「これ、お姉ちゃんにお礼」
「えっ……いいの?」
 もちろん、と子供たちは頷く。これは助けてくれたお礼だから、と。
 その言葉に、アンナの胸に温かいものがこみ上げてくる。
「ありがとう……! 一緒に遊んでくれて、こんなプレゼントまで!」
 受け取ったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ微笑むアンナの背中をぽんと叩いて、夜姫が頷く。
「よかった……うん、よかった。頑張った甲斐、あったね」

 それはそれとして――だ。
 対戦が終わったらしく、イデアールが筐体から出てくる。
 どうやら勝負は最終的に子供たちが勝利したらしい。観戦用の画面では撃破されたラスボス機をバックに勝利した子供たちの機体がポーズを決めている。
「意外……普通に遊んであげてるんだ……猟兵に打ち勝つちびっこたち、将来有望なのでは?」
 正直なところ、イデアールのことだからR18な遊びを教えるような暴挙に出ると思っていた。
 それが普通にゲームで遊んであげるなんて見直した、と夜姫は感心しながら筐体に向かっていく。
「次は……私。こっちはチートなんかしないで正々堂々いくよ」
 愛機の乱射系機体を使って一暴れしてやるか――ジャンル的に得意分野ではないけれど、と筐体のドアを開けた夜姫が直後に無言でドアを閉める。
「…………イデアール。これは、よくない」
 筐体いっぱいに詰まった触手が、ぬとぬとと蠢いていた。
 そりゃあそうですよね。ラスボス機、どう見ても人間の手足の数じゃ操作しきれない挙動していたし。
 そんな風に納得する夜姫の足に、ドアからはみ出た触手がぬとりと巻き付いて筐体に引きずり込もうとする。
 アンナ 決して走らず 急いで歩いてきて そして早く私を 助けて。
 そんな悲鳴がゲームセンターにこだまする――ことはなかった。叫ぶより早く伸びた触手が、次なるプレイヤーを捕らえる。
「アン……ケテ――!!」
 口元にも巻き付いた触手が夜姫の悲鳴を遮る。
 呼ばれた気がしたアンナが振り返ったときには、甦ったラスボス機in夜姫と子供たちの戦いが始まっていた――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛乃葉・やすな
げーむはあまりやった事がないでのう。わしは後ろから眺めているよ。

子供達が助かって本当に良かった。
子供達がゲームを楽しげに遊んでいる姿は眼福じゃ。

助かった子供達の様子を一通り見てまわったらこの場を去ろう。
先程の戦いで大分しんどい技を使ったからクタクタじゃ。

※アドリブや絡み歓迎じゃ


ユナ・アンダーソン
今回は色々な意味で疲れたわ……
疲れ切った感じで何をするでもなく椅子に腰掛けゲームで遊ぶ子ども達を見つめている

もし子ども達がやってきて心配してきたら
大丈夫だよと優しく笑って言いくるめて
ふと思う
今、私がやってることはかみさまと何が違うんだろう
そんな考えを追い払うように
子ども達に何して遊ぼうか?
と聞いて子ども達の輪に加わります

アドリブで他の方との絡み歓迎




「あら、あなたは遊びに行かないの?」
 そんな喧騒から離れ、休憩エリアで椅子に腰掛けるユナは、隣に座るやすなに話しかける。
 賑やかに遊んでいる彼らに混じる元気がない、それほどに疲れたユナは、それでもやすなもそうならば癒やさなければ、と強迫観念めいた想いを抱く。
「ん、いや疲れたとかそういうのじゃないんじゃよ。げーむはあまりやったことがないでのう。そんな婆ちゃんと遊んでも楽しくなかろう、わしは後ろから眺めているよ」
 見ているだけで微笑ましいしの、と対戦ゲーム周りの阿鼻叫喚から目をそらしながら笑うやすなに、そうだったのとユナは肩の力を抜いて長い息を吐く。
「子供たちが助かって本当によかった。あんな辛い目にあってもまだ楽しめるだけの心の強さが残っておるのは安心じゃし、そうやって楽しそうにしておる姿は眼福じゃの」
「そう、ね……でも、どうしてか素直に喜べないの」
 ユナが本心を思わず零してしまったのは、どうしてだろうか。やすなの雰囲気がそうさせたのか、それともかみさまの見せた幻が思った以上にユナの心を疲弊させたのか。
「子供たちが助かったことは喜ばしいことに違いないじゃろ? それが喜べぬとは相応の理由があるのじゃろう……話してみよ、聞いてやることしか出来ぬがの」
 アドバイスや説教臭いのは得意じゃなくてのう、と言いながらも静かに耳を傾けるやすなに、ユナはぽつりぽつりと語りかける。
 オブリビオンを倒すことは猟兵の役割だ。その上で、さらなる結果を求めて被害者の傷を奪ってきたユナ。
 その行いは、日常生活の不満を奪って子供たちを幸せな箱にずっとずっと閉じ込めておこうとしたかみさまの行いと変わらないのではないか。
 辛いことも痛いことも生きる上で一つも味わうことがないなど不自然だ。その不自然を強いた自分の行いは本当に正しいことだったのか?
 やすなはそれに助言をすることもなく、静かに頷き聞き届けるだけだ。
 けれど、ユナにはそれでよかった。一つ言葉を紡ぐたびに泣きそうになるのを必死で堪えて話しきった頃、ユナは心配そうに遠巻きに見守っていた子供たちに気づく。
「ほれ、おぬしが辛そうにしておるから子供たちも心配して見に来てくれおったぞ。行っておいで、あの子らはわしら……もちろんおぬしも含めたわしら全員で守ったんじゃ」
 ひょい、と椅子から立ち上がってユナの手を引くやすな。
「さあ、このお姉ちゃんと遊んでやっておくれ」
「ちょっと……あっ、ううん。私は大丈夫だよ。そうね、何して遊ぼうか?」
 輪に加わって、あれこれとゲーム筐体を引っ張り回されるユナ。子供たちにつられてその顔に僅かに笑顔が戻ったのを見届けて、一足先にやすなはゲームセンターを静かに抜け出していった。
「ふむ、もう大丈夫そうじゃの。さてわしもだいぶしんどい技を使ったしのう、クタクタじゃ。一足先に帰るとするか」
 歳は取りたくないものじゃのと苦笑して、小さな狐は姿を消す。
 楽しそうに笑う子供たちの声が、その背中に最後まで届いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

宇迦野・兵十
■SPD
待たせたな少年、さぁさきつねさんがお相手いたそうぞ
と、少年少女を引き連れてぞんび某に向かうよ

ふむ、鉄砲でぞんび?を撃つ訳だね
なるほどなるほど
ふふ、こう見えて僕は鉄砲は得意なのさ
主に撃たれる方が
きつねなだけに

ぞんびを撃つ
かわす(本人が避ける、ゲーム内では避けてない)
撃つ
かわす(同上)

…参ったな、全く進めない
こりゃきつねさんの負けだね

だが勝ったと思うなよ、少年
次はこの心優しきくぅるれでぇが相手だ!
と、パルちゃんを引きこんで代わりに対戦してもらおう

僕はその後ろで応援しつつ
他の子達に折紙呪法で折った鶴を飛ばしてみせようか

子供は泣き顔より笑顔の方が良い
そういうもんさ

アレンジ・アドリブ・絡み歓迎




「待たせたな少年、さぁさきつねさんがお相手いたそうぞ」
 芝居がかった口調で、剣客の風格を携えて助けた少年の前に現れた兵十。
 ぞんび某なるゲーム機で遊ぶという約束を、彼は忘れず違わず果たしに来た。
「おじさん、待ってたぜ! ほらこっちこっち!」
 箱型の筐体に引っ掛けるように設置された散弾銃を模したコントローラー。足下にはペダル。箱に埋め込まれた画面では、おどろおどろしい化生の者……ぞんび、なのだろう。餓鬼や怨霊のような人型の化け物がうめき声をあげて迫ってくる。
「ふむ、鉄砲でこの……ぞんび? を撃つわけだね。なるほどなるほど」
「そうそう。弾は六発、弾込めするときはここの取っ手を後ろに引っ張って戻すんだ。攻撃するときはペダルを踏むと狙えるようになって、ペダルから足を離すと物陰に隠れるから」
 操作法を説明する少年に、うんうんなるほどと頷く兵十。彼はいたずらっぽい笑みを浮かべて少年に渾身の冗談を放つ。
「ふふ、こう見えて僕は鉄砲は得意なのさ。――主に撃たれる方が」
 狐だけに、と笑う兵十。
「……おじさんごんかよ」
 ちょうど国語でやったとこじゃん、と苦笑する少年と二人並んで筐体の前に立ち、ペダルを踏んでゲームスタートの表示を撃つ。

 意外にも――そう、意外にも兵十の筋は悪くない。ショットガンの照準は正確にゾンビの額を捉えているし、たまに紛れているヘッドショット一撃では倒せない変異ゾンビにはすぐに対応して二連射を叩き込む。初心者がやらかしがちなリロードも忘れず、ウェーブの合間に弾を込め直して万全の体勢で迎え撃っている。
 だが、その。
 回避面が、壊滅的だった。なまじ優れた剣士であるからだろう。画面の中から向けられた殺気、そしてその攻撃の軌道を読めるが故に、兵十は"ペダルから足を離す"だけで全自動で回避してくれるゲームの特性を忘れ、自らの身を左右に振ったり屈んで筐体を盾にしたりしているのだ。
 もちろんペダルは踏みっぱなし。故にキャラクターは兵十の回避中は棒立ちでゾンビに殴られる。ある程度はHP制なのが幸いして耐えてくれるが、それがまた兵十に躱せていないことに気づかせるのを遅らせる。
 結局兵十は少し強い、画面奥から全力ダッシュで一気に距離を詰めてくる高速型ゾンビが出始めた辺りでHPが尽きてゲームオーバーとなってしまった。
 一方で傍らの少年はペダルを小刻みに踏んでは離し、器用にリロードを織り交ぜて見事にボスの巨漢ゾンビを打ち倒す。
「へぇ、躱すときはあの板っ切れを足でねぇ。げーむは中々難しいもんだ。参ったね、こりゃきつねさんの負けだ」
 最近の子はすごいねぇと頭を掻いて苦笑する兵十。その眼光がキッと鋭い侍のものに変わった。
 その視線に射竦められた少年が思わず硬直する。
「だが勝ったと思うなよ少年。次は――」
 ごくり。少年がつばを飲む音が、騒がしいゲームセンターの中で何故か大きく聞こえる。
「この心優しきくぅるれでぇが相手だ!」
「――えっ」
 UDC組織の面々と事後処理の話をしていたパルが引き込まれる。
「いやあの、兵十さん。僕が何の相手を、あの、えっ?」
 状況が掴めないパルにいいからいいからとショットガンを握らせて、その後ろに回り込んで応援モードに入る兵十。
 ようやく状況を飲み込めたパルが機械のような正確さでゾンビを制圧しつつ、やっぱりペダル操作を忘れて徐々に物量に押し込まれるのを眺めながら、兵十は折り紙で鶴を折る。
 呪法の力で本物さながらに羽ばたき舞い上がる鶴に歓声をあげる子供たち。その表情に、兵十は優しい笑顔を向ける。
「子供は泣き顔より笑顔のほうが良い。そういうもんさ。だろ、姫様」
 ――次は何を折ってほしい、いや折り方を教えてほしい。不思議な折り紙に殺到する子供たちをいなしながら、兵十は自分の守ったものが決して間違っていなかったのだと噛み締めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月宮・ユイ
やっかいな存在でしたね
命のやりとりを強制された子供達が気掛りです
とはいえ、きっと思う程弱いばかりではなく今回の件で自分なりに色々考えたのでは
けれど頭と別に心は納得いかない事も多いでしょう

【機能強化『学習、感覚、奉仕』】
”知識、コミュ力、学習力、情報収集、催眠術、誘惑”
遊びつつUCの力も借り心の壁を緩ませる様にお話
支える一助か委ねる依存か、形はどうあれ頼りとした相手を倒した以上、
弱さは見せにくいものですから或いは人目を避け
今回の事含め溜まっている思いも全部吐き出させ受け止めてあげる
ただし、かみさまと違い望むままに受け入れてはあげない
この後に自分の足で立てるような助けとなれば幸い

アドリブ絡み歓迎




「厄介な存在だったわね……」
 ユイはつぶやく。
 壁際に凭れ掛かり、喧騒を眺めながら回想するかみさまの、UDCならではの奇妙で不気味な搦手には本当に厄介という言葉がよく似合う。
 望む誰かの姿で現れ、望む言葉を与えて静かに己に縛り付ける。そんな存在に囚われ、望まぬ命のやり取りを強制された――かみさまの言を信じるのであれば、それはかみさま自身も望んでいなかったようだが――子供たち。
 その心が傷ついていないはずがない。これまで平和な、少なくとも表向きには戦いや生死の駆け引きからは縁遠い世界で生きてきた少年少女が、何も考えずに笑顔でいられる方が不自然だ。
 きっと彼らは自分たちなりに考えて、明るく振る舞うことで、日常を再現するようにゲームに興じることで経験した不自然を塗りつぶそうとしているのだろう。
 賢い子だ。けれど、頭でそうしていても、心が納得するとは限らない。
 心にわだかまりが残ったままではUDC組織の記憶処理の効きが甘いこともあるとエージェント達も言っていた。
 ならば、とユイは壁際を離れ、子供たちの方に歩み寄る。
 相手にするのは今ひとつ乗りきれていない、ゲームに参加せず、しかし塞ぎ込むことも出来ないで観戦に徹している子。
「大丈夫かしら? 少しあちらで遊びながらお話をしましょう」
 そういう子は頭で理解していることと心で感じていることがうまく噛み合っていないのだ。特にかみさまという拠り所を無くした今、弱さを吐き出せる相手が必要なのだ。
 ユイは自らのコミュニケーション能力を高めながら、極めて人当たりの良い優しい笑顔で一人の少女を誘う。
 ゲームセンターの隅にある、小さなメダルゲームの座席に二人で並んで腰掛け、誰の視界も二人を捉えていないことを確認して、ユイは静かに言葉をかける。それは心の壁を優しく溶かしていくような、暖かなコミュニケーション。
 今回のこと。信じていたかみさまが決していい存在ではなかったこと。それでも、信じた存在を猟兵達が倒してしまったこと。かみさまに与えられたゲーム機が、恐ろしいマシーンだったこと。それに操られて人殺しに手を染めるところだったこと。
 ――そんな子供たちを助けようとして、命を落とした人がいたこと。
 問えば、やはり無理に押し込められていた心の叫びが静かに溢れ出る。涙を伴って漏れ出た悲痛な助けを求める声は、次第になぜかみさまに傾倒していったのか、というところまで連鎖していく。
 学校の友達関係がうまくいかない。仲間はずれにされているような気がした。
 成績が良くならない。試験のたびに親と喧嘩をしてしまう。
 自分の容姿が好きじゃない。なぜもっと可愛らしく生まれつかなかったのか――
 それは本人の努力次第で改善できるのだとユイは思う。もちろん、彼女自身が望む高みにまで上り詰められるかは才能に依るところも大きいだろう。けれど、やるとやらないでは大違いだ。
 かみさまならばそんなことはないと言っただろうか。きみはもう十分出来ている、と。
 あるいは、それが嫌なら逃げておいでと言ったかもしれない。怪しげな道具を与えて、簡単だが間違った手段でその願いを叶えたのかもしれない。
 でも、だからこそユイは"かみさまの代わり"にはならない。
 少女の悩みを受け止めた上で、自力でなんとかするように、と。それでもきっと届かないこともあるかもしれないけれど、そのときは周りの大人に頼っても良いのだと。
 少女が納得するまで、自信を取り戻すまで、ユイは静かに寄り添って語り合う。
 きっとこの会話も記憶処理で消えてしまうのだろう。だが確かにここで話したことは、伝えた言葉は無駄にはならないと、ユイは確信している。
「少なくともあなたは今、私に相談することが出来たわ。かみさまみたいに心地いい肯定しか返さないモノじゃなくて、厳しい言葉も言う私に話して逃げないでいられた。それはあなたの強さよ、だからこれからも大丈夫」
 そっと頭を撫で、涙が止まるまでユイは少女に寄り添っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
んんーー!(伸び)無事終わったわね!
ってこの子達と遊ぶの?嫌よ!面倒臭いわ!
私はそのへんで寝てるから後は任せるわ!

んー・・(遊びの輪にうまく入れない子が目に入って)
もう仕方ないわね。ちょっとそこのあんた!ほら、ここ乗りなさいよ!
(杖の後ろをぽんぽん)
しっかり捕まってなさいよ!
(ルビーを杖に刺し込み、鳥の群れ相手にリアルレースゲームを行う
その後出来るかぎり高い位置までゆっくり飛んだ後)

見えるかしら?この景色は今、私とあんただけのものよ!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
アドリブアレンジ歓迎
我の体躯では構造上人と同じ目線になることは難しき
我を車代わりにしリアルレースゲームでもして楽しもう
車を複数台用意し楽しむことを望みけりども街中でそれは難しかろう

【ダッシュ】しドリフトし子供乗せる等して楽しませよう
ゲームセンターの周りを周回するだけでも素早く走れば迫力あろう

準備は良いか?安全確認よろしけり?
我のような存在を、見たことありしこと無かろう
一つの遊戯としてこの一時を楽しむがよい
これにて子供たちと遊びけり




「んーっ……! ふぅ、無事終わったわね!」
 囚われた子供たちは救出され、かみさまは倒された。これにて一件落着、今日も頑張った、とフィーナはベンチに仰向けに倒れ込む。
 子供たちはイデアールやアンナ、夜姫たちをはじめ猟兵達が相手をしてくれているならば、自分はゆったりしてもいいだろう、と。
 後は任せるわ、と目を閉じたフィーナだが、生来のお人好しは隠しきれないのだろう。ちら、と薄目を開けては子供たちの様子を伺っていた。
 自分から関わっていくつもりは無いにせよ、気になるものは気になるのだ。遊びの輪に加われていない子は居ないか。
 ゲームで遊べていない子は居ないか。そわそわと視線を彷徨わせるフィーナの目に、一人の姿が留まる。どうもうまくゲームで遊べないおかげで、一人どうすればいいかわからなくなっているようだ。仕方がない、とフィーナは上体を起こしてベンチから立ち上がり、溜息を一つ。服の埃を叩いて落としながら、あくまで気怠げを装って歩み寄る。
「あんた、あっちに混ざれないのね? もう、仕方ないわね……行くわよ」
 杖を担いでついてきなさい、と出口に向かうフィーナ。その後ろを――

「うむ。我の体躯では構造上人と同じ目線になることは難しき。なれば人が遊戯すべく造られしゲーム機で遊ぶは至難なり。かたじけない」
 ゲームで遊ぶ子供たちに混ざれなかったビードットが続く。
「…………いやビードットなら別にほっといてもいいじゃない!」
 自動ドアをくぐった所ではっと我に返るフィーナ。何が悲しくて見知った顔のいい大人……大人? さておき見知った破滅ロボと遊んでやらねばならんのだ、と戻ろうとした所で、彼女は誰かとぶつかった。
「ったいわね……何よもう、ちゃんと前見て歩きなさいよね!」
 びし、と指差し怒った相手は、子供たちの一人。何人かがやはりうまく雰囲気に乗り切れなかったようで、たまたま見かけたフィーナとビードットについてきてしまったらしい。
「ふむ。かような事もあろうかと我はゲームに依らざる娯楽を提案せり。これなるは我ら猟兵を乗り物代わりにせしリアルレースゲーム。本来ならば車を複数台用意し楽しむことを望みけりども、子供たちでは運転免許を取得できざり。公道を走る以上は道交法を遵守せねばならぬ故」
 ――道交法を守らねばならない以上、走るものは「車ではなく」「子供以外のドライバーも必須」となる。
 ビードットのカメラアイが、揃ってフィーナを見た。
「な、何よ。なんだか嫌な予感がするけど言ってみなさいよ」
 額に汗を浮かべて問うフィーナに、ビードットは冷酷に言い放つ。
「我とフィーナ殿で競争せり。その杖に子供を乗せるがよかろう。然らば速度あるレースになりけり」
 言うと思ったわ、とフィーナは大きな溜息。それから、きりりと表情を引き締めて。
「勝負って言うからには負けるつもりは無いわよ。そこのあんた、後ろに乗りなさいよ! 底じゃないわ、ここよここ! そう、それでいいわ」
「こちらも負けるつもりはあらざり。準備は良いか? 安全確認よろしけり? 我のような存在を見たことありしことなかろう。これもまた一つの遊戯として楽しむがよい」
 杖に跨がり、少女に後ろに乗るよう促して。一方のビードットは年少の少年を三人ほどその背中に乗せて、二人は同時にスタートする。
 UDC組織の封鎖線の内側だけ。狭いエリアでのレースだが、方や空高くを飛行し、方や無駄に気合の入ったドリフト走行を織り交ぜたフルスロットルで路面を駆け抜ける二人の猟兵。
 ――けれど、二人はなにも本気で速度を競ったわけではない。
「高速なる疾走にて感じし風こそ生の実感なり。落ちれば怪我では済まぬやもという恐怖こそ、汝が生きている証なり。それを忘れるなかれ、生きておれば何事をも為し、そして破滅を迎えること易き…………む?」
 背中の違和感にぐるりと頭部を旋回させたビードットは、その機上で安全のためにくくりつけておいたハーネスをしっかり握りしめて半ば気絶しかけている少年たちを見た。
「むぅ、速度を出しすぎたか。戻りは安全運転を心がけねば」

 一方のフィーナは、少女とともにどこまでも高く舞い上がる。
 小鳥を追い越し、大型の鳥をも越えて、どこまでも。
 高度が上がれば寒くなるが、そこは炎のエキスパートたる魔女、ぬかりない。
 魔法で出した炎で暖を取りながら、息が続く限界まで高く上がる。見渡すはどこまでも続く町並みと、それを囲うような緑の山々。
 目を凝らせばビルが見える。民家が見える。田畑が見え、川が見え、森林も見える。
 この街一帯が一望できる高みで、フィーナはにっと笑って振り返る。
「どう? この景色は今、私とあんただけのものよ!」
 こんな素敵な光景を、後ろの少女はこの後すぐに忘れさせられてしまうのだろう。
 でも、それまでのほんの僅かな時間だけでも、この感動を覚えていてほしい。
 高いところからすべてを見下ろせば、不安や悩みも少しだけ小さくなったように感じることができるのだから、と。


 そしてゲームセンターに戻った二人は、勝手に外に出て派手に動き回ったことをUDCエージェント達にこってり絞られるのだった。
 ――この苦い記憶も高く飛べば、あるいは疾走すれば忘れられるだろうか?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夕凪・悠那
【ワイルドハント】SPD
うーむ……
(悩む。唸る。実はこのゲー戦担当、肩書きに反してゲームセンター初体験であるからして)

格ゲの筐体に座り軽く触る
これ要するにコントローラーがレバーとボタンに変わっただけでしょ
ならいけるって(初体験でも下手ではない)
…そんなこんなで子供たちにテクなんかを教わりながら、コツを掴んで一気に腕を上げ、られたらいいなぁ(成功度次第的な)
猟団長もいるんだからさすがに負けっぱなしってのはダメだ、立つ瀬がない

割と自分が楽しんでる感あるけどこんな感じで気が紛れてるかな
ま、悪い夢だったのさ
夢は起きたら忘れるものだからね
これもありふれた夢の体験の一つだよ

ほらほら次、かかってきなよ

アド歓




「うー……む」
 うんうんと唸るのは悠那。
 自他ともに認めるゲームマニアである彼女が、その独壇場であるはずのゲームセンターで何を悩んでいるのか。
 それには単純明快な理由があった。
「パッドもキーボードも無いんじゃん、ボクの専門外だよなぁ……」
 悠那が得意なのは家庭用ゲーム、またはPCゲーム。いわゆるお家で遊ぶ系だ。
 対して眼前にあるのは、レバーやスティック、凝ったコントローラーで操るアーケードゲーム。
 ボタン配置から操作感までまるきり違うそれらは、悠那にとって未知なる領域。
 完全に初見ならまだいいものの、なまじそれで遊ぶゲームの移植版なんかは手持ちのゲーム機でそこそこ遊んだことがある辺りがその操作のギャップで混乱しそうで困る。
「まぁ、今からやるんならアレか――」
 視線を移したロボゲーは、シリーズ移植もたくさんされている人気作。キャラ性能も大体頭に叩き込まれている。
 が、どうもおかしなことになっているらしく、筐体から伸びた触手に猟兵が引きずり込まれて強制ラスボス戦モードが開始したのでこれは論外とする。何だアレ。
 となると次は格ゲーだ。これも移植は多いし、好んで使ったキャラなんかはある程度クセもわかる。
「よーし、誰かボクと対戦しようよ」
 呼びをかければすぐに集まる子供たち。椅子に座り、レバーを握って悠那は得意のキャラを選ぶ。
「これ要するにパッドからアケコンに替えたようなもんでしょ、ならいけるいける」
 気合十分、ゲームスタート。悠那のキャラクターは時折コンボミスこそするものの、さすが経験者らしい堅実な動きで善戦する。
「あー、このレバー使いにくくない? あ、握り方違うの? こう?」
「ボタン連打は擦っちゃ駄目、ね。了解、ボクの連打力が試されるわけだ」
 このゲームをやりこんでいた子供たちにアドバイスを受け、メキメキ上達していく悠那。姿は見えないが、どこかできっと見ている猟団長に、ゲー戦担当がゲーセンで不甲斐ない姿を見せては立つ瀬がない。その気合いが、悠那の技量をブーストしていた。

「あー、楽しかった!」
 ふー、と首を回して肩をほぐし、立ち上がる悠那。
 自分も楽しかったが、歓声を上げ時には声を荒げてぶつかりあった子供たちも十分に気が紛れたことだろう。
 非日常の恐怖は、少しだけ違う――猟兵たちという存在が居る――日常風景が塗りつぶす。
 大雑把に配置されたそのオブジェクトに、精緻なテクスチャを貼り付けていくのはUDC組織の担当だ。
 悠那はただ、かみさまが荒らしたそこに「変わった夢だった」で済ませられるような体験を置いていくだけ。

「さ、次のゲーム行こうよ、また勝負しよう」
 くいくい、と指で誘うような挑発に乗って、子供たちがわいわいと悠那に続く。
 これは少しだけ変わった日常。明日には思い出せなくなる風景だけれど、それでいいのだ。
 いい夢であっても悪い夢であっても、夢とはそういうものなのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

リダン・ムグルエギ
アドリブ歓迎

救助人数をカウント
その数の成果を誇り、黙祷するわ

さ、それじゃ皆遊びましょう
気を紛らわせたいのは子供だけじゃないでしょ?
メカニックもエージェントもカモンカモン
最初に提案するのはダンスゲーム
筐体が足りなくても皆で一緒に踊れば大人数で遊べるでしょ
「さ、次にしたいゲームはあるかしら?次のブームを生むのは皆よ!

アタシは流行を操作して子供達「全員」に「自発的に流行を作る」事を流行らせたいの
全員が行うことで複数の流行を生み
誰か一人や一つの流行に神様のように依存するのを防ぐ
賢しく、自分が楽しめる心地よい世界を作って行くための一手としてね

とはいえ、この先導が洗脳まがいになってもやーよね
コードは控えめ




「筐体が足りない?」
 なるほど、とリダンは頷いた。それはそうだ。ゲームセンターは沢山の種類のゲームがある。
 となれば、面積の都合一種あたりの数は良くて5、6台。場所を取る大型の筐体ならば2台もあればいいところだ。
 全員で気を紛らわそう、とUDC組織の面々も誘ったのはいいが、ゲームセンターというのはこうみえて団体客にはいまいち優しくないのだな、と思う。
 だが、何も筐体で遊ばなければゲームセンターでは楽しめない、ということはない。
「そういうことなら皆で踊りましょ。ただ踊るだけでも気分転換になるわよ」
 リダンが示すのはダンスゲームの筐体。お立ち台を模した台の上でタイミングよくステップを踏んで踊ることでクリアを目指す、体感型のリズムゲームだ。
 これならば人数が多くても、筐体に乗らなくても画面が見えていれば――否、画面が見えなくても踊ることで気は紛れるだろう。
「さ、踊るわよ! リズムにさえ乗ってれば振り付けなんて自由でいいわ、皆好きに踊っちゃいましょ!」
 言うや、ノリの良い音楽に合わせて独創的なダンスを始めるリダン。
 足先だけは小気味よく蹄を鳴らしてコンボを紡ぎ、その足音が一同を導いていく。
 タイミングを見計らって振り返れば、全員が全員、個性を感じる踊りを踊っていた。恥ずかしがりながら小さく踊るもの。ダンサーもかくやとばかりにダイナミックに踊るもの。画面のキャラクターと同じように、この曲に設定されたダンスを生真面目になぞるもの。あるいはふざけたような動きを織り交ぜるお調子者も。
 大人も子供も、皆がそれぞれの個性を発揮して、それが混ざっていく。
 混ざっては離れ、変化しては戻り、生まれていくのは"流行"だ。
 誰かの踊りを一人でもカッコイイ、真似したいと思えばそれはもう流行なのだ。
「かみさま一人の流行に乗せられてあんな事になったのだものね」
 ひとつに依存する脆さは見ての通りだった。
「これからはあなた達全員が流行の発信源になるのよ。誰かに依存してその人に任せてただ流されるんじゃなくて、あなた達が周りを押し流してやるくらいに、ね」
 そうすれば、誰かに依存しきって窮地に陥ることもない。自分の生んだ流行で、手の届く限りの世界を自分色に染めれば、それはかみさまの楽園より難しくも居心地のいい世界になる。
 ――そんな想いを胸に、ユーベルコードより言葉と踊りでそれを皆に発信しながらリダンは一極を踊り終えた。
 ふぅ、と一息、少し高い筐体の上から見渡すゲームセンター。
 そこでは少なくない数の子供たちが笑顔で遊んでいる。彼らこそ、猟兵とUDC組織の皆が守り抜いた成果だ。
「あなたが守りたかったもの、ちゃんと守ったわよ。……ううん、あなたが居たからこそ、アタシたちも守れたのね」
 ただ一人殉職してしまった彼に、ゆっくりとまぶたを閉じて祈る。
 彼が居なくては、仮にその命がけの志を遺していかなければ、子供たちが欠けていたかもしれない。
 だから、ありがとうと、やったぞ、と彼に伝えて、リダンは再び目を開く。
「さ、次にしたいゲームはあるかしら? なぁに、マイナーゲー? 全然構わないわ、次のブームを生むのは皆よ!」
 笑顔で子供たちにゲームセンター内を引っ張り回されるリダン。
 こんな時だが、こんな機会でもなければ集まらなかっただろう大人数で好きなゲームという流行を生み出していくこのひと時は、たまらなく楽しいものだった。



 斯くして事件は終息し、UDC組織によって事態は完全に隠蔽された。
 子供たちはSNSで家出ネットワークを作って集団家出したことにされたし、そう認識するよう記憶処理の後カバーストーリーを記憶させられている。
 その消えた記憶には、ジャガーノートに寄生されかけた苦しみも、エージェントを手にかけてしまった罪悪感も、かみさまへの消えない根深い好意も、そして猟兵たちとの短い思い出もある。それらがすべて溶けだしていく。
 けれど、彼らが伝えたかったこと、見せたかったもの、子供たちに願った思いは確かに受け継がれていく。
 いつの日か彼らがまた悩みに直面した時、今度こそ自力で乗り越えていけるように。
 きっと今なら大丈夫だと、猟兵達はそう信じている。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月12日
宿敵 『かみさま』 を撃破!


挿絵イラスト