folklore[あの子の声]
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「みんなは学校の七不思議って知ってる?」
集まった猟兵達の前で、グリモア猟兵のミーナ・ペンドルトン(小学生妖狐・f00297)は唐突にそう口にした。
――学校の七不思議。
様々な世界、様々な国から集まっている猟兵達にとって、その言葉に馴染み深いものはそう多くはないだろう。
それはUDCアースの日本と呼ばれる島国、それも学校という閉鎖空間において学生の間でのみ伝わる都市伝説だ。
「で、今回の依頼。 何年も前に廃校になった学校が舞台なんだけど……何故か最近になって七不思議のお化けが出るって近所で噂になってるんだよね。 私の予知では、この噂を広めているのがオブリビオンみたいなんだ」
ただ、どうすれば出てくるかはさっぱり不明なんだよね、と彼女は肩を竦めて苦笑した。
そこでまずは廃校で七不思議を調べてほしい。 噂を流布しているということは、学校に誘い込みたいという裏返しでもあるのだから。
現在、学校の近隣で噂になっている七不思議は以下の通りだ。
深夜に響くチャイム。
目が光る美術室の肖像画。
通学路に現れるおっさん顔の犬。
夜にひとりでに音楽を奏でる楽器。
夜に数えると段数が増える十三階段。
死んだ人から掛かってくる職員室の電話。
トイレのみならずちょくちょく出てくる花子さん。
夜に覗くと異世界に飲み込まれるという踊り場の大鏡。
一度入ると二度と出ることは叶わない体育館の開かずの扉。
そして最後に、知ると必ず災いが起こると言われる七つ目の怪談。
どう考えても七つ以上あるが、七不思議なんて得てしてそういうものである。
「他にもあるけど、そこは配布した資料をみてね。 あと言ってないことはー……あ、そだ、現地は夜だから光源の用意は忘れないようにね?」
多分大丈夫かな? と小首を傾げたミーナだったが、一つ頷いて気を取り直す。
それじゃあ、いってらっしゃい。
そう言って猟兵達を送り出すのだった。
神坂あずり
こんにちは、都市伝説大好きホラーは苦手な神坂あずりです。
9作目、またしても都市伝説依頼となりました。
今回、現地は夜ですので光源はあった方が楽かもしれません。
オープニングで言及した以外の七不思議もありますので、自由に探索して頂いて大丈夫です。
そんな感じでよろしくお願い致します。
第1章 冒険
『七不思議巡回ツアー』
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POW : 体育館やグラウンド、プールや倉庫等を探る
SPD : 教室やトイレ、廊下や階段等を探る
WIZ : 理科室や図書室、音楽室や美術室を探る
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真っ暗闇に飲み込まれた廊下に頼りない光が左右に揺れる。
歩く度に砂埃が舞うリノリウム張りの床が、明かりを反射しててらてらと微かな光を照り返していた。
夜の学校の廊下は非常に暗い。
それもそうだろう、校舎というものは大抵は日光を取り入れるために南側に教室があり、北側に廊下が配置されるものなのだから。
近年まで公立小学校として使われていたというこの校舎も、その例に漏れていない。
手元の明かりだけを頼りに、猟兵達は各々七不思議の噂を調査すべく散っていった。
畠・和彦
七不思議とか心が躍るけど、オブビリオンが関わる以上は慎重にしないとね
【SPD】
事前に【コミュ力】と【情報収集】で学校の地図の入手を試みる
あと懐中電灯も用意だ
屋上もまた怪談が語られるし、屋上から周囲を見渡すと新たな発見もあるだろう
よってボクは屋上と、その道中の教室、トイレ、廊下、階段と調査する
ただそれらに入る前にサイバー双眼鏡で事前の分析をするよ
鍵が閉まってるなら【鍵開け】も必要だしね
机や棚の中も含め、周囲を【失せ物探し】で調べる
念の為【呪詛耐性】を常にかけ、また光源が機能しない時を考え、サイバー双眼鏡の【暗視】も常に機能させる
猟兵以外の怪しい人影には『影の追跡者の召喚』で【追跡】させようか
■
足元を懐中電灯で照らしながら慎重に進んでいく男が一人。
彼の名は畠・和彦(元刑事の変わりモノ・f15729)。 元刑事で今は……記憶喪失の猟兵だ。
彼は現場に来る前に校内の案内図を入手しようとしたのだが、それは意外なほどあっさりと手に入った。
ネットで学校名+案内図で検索すると一発で出てきたのだ。 この国は不審者を警戒している割には、その辺りのセキュリティがガバガバである。
この学校は近年の少子化による統廃合によって廃校になったらしいが、学校案内によると築五十年ほどもある建築物だという。
元々は中学校として建てられたが、隣町の中学校と合併することになり、それからは小学校の校舎として使われるようになったのだそうだ。
玄関から入り、通り掛けに一階の教室を覗いてみるも特に変わった様子もなく通り過ぎ、和彦はどんどんと階段を上り……そして立ち止まる。
「……ここからが例の《十三階段》だね」
屋上へ向かう階段の前で一度懐中電灯を消し、暗視機能付きの双眼鏡で階段を見上げるが、リノリウム張りの至って普通の学校の階段だ。
外に出るドア以外には特に変わったものは見当たらない……意を決して足を踏み出す。
どんどんと歩みを進め、十一段、十二段と段差を踏みしめる。
そして十三段目を踏んだその時、和彦ははたと気付いてしまった。
――元の段数が分からない。
『段数が増える』というのが《十三階段》という七不思議なのだから、段数が増えるのだろう。
だが、元が十二段から増えるから《十三階段》なのか、元が十三段から増えるから《十三階段》なのかを判断する材料がない。
誰かに聞こうにも、何年も前に廃校になった学校の階段の段数を覚えている人などまずもっていないだろう。 望み薄であった。
和彦は仕方ないと首を振りながらも更に階段を上り、屋上のドアのノブに手をかける。
ギィ……と軋んだ音を立てながらドアを開くと、そこには微かな月明かりの下、寂寥とした広い屋上が視界に飛び込んでくる。
ふと一瞬だけ微かな違和感を覚えたが、特に異常は見当たらない。
念のため見て回るも、おかしな点もないようであった。
恐らくここはハズレなのだろうと和彦は次の場所へと向かうのだった。
なお、余談であるが階段を下る時にも段数を数えてたところ、やはり十三段あったことを記しておく。
大成功
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マリン・ラピス
今回は夜の学校の調査ですか。
学校なら非常用の懐中電灯がありそうですから拝借します。
なかったとしても月明かりで多少は見えるでしょう。
音楽室の楽器の七不思議なら音なので視界が多少悪くとも調べられるでしょうし音楽室を調べに行きますかね。
鳥さんも出して五感の感知範囲を広げ、より慎重に調べます。
そういえばこの前学校の潜入に使った学生服がありましたね。
せっかくなので何の意味もありませんけど着た状態で調査しますか。
さあ、一つずつ確実に調査していきますよ!
雨宮・いつき
既に廃止されているとはいえ神聖な学び舎
そこに怪異が現れるだなんて放っておけませんね
学校という場所にちょっと興味もありますし、早速調査に向かいましょう
調べるのはひとりでに音楽を奏でる楽器
音楽室という部屋を調べればいいのかな?
オブリビオン絡みですし、いつ襲われても対処できるよう、
管狐を何匹か呼び出して狐火で辺りを照らして貰いつつ、周辺の警戒をして貰いましょう
音楽室に到着したら、置いてある楽器や教室に飾ってる物などを一通り調べてみます
人為的な仕掛けが残っていれば手掛かりになるかもですし、
特に仕掛けも無いなら…対抗して僕も【天狐の横笛】で演奏してみましょうか
もしかしたら、怪異も驚いて尻尾を出すかもです
■
歩幅の小さい足音が二つ、リノリウム張りの廊下をとつとつと叩く。
音もなく先導する管狐の尻尾の先に灯る炎が、ふたり分の影をゆらゆらと揺らす。
羽織袴の少年とセーラー服を着た少女が、ドアの上に掲げられたプレートを見上げながら進んでゆく。
「学校ってこういう風になってるんですね」
「いつきさんは学校に来るのは初めてなんですか?」
「ええ、寺子屋だったら分かるんですけど……そういうラピスさんは学生さんですか?」
雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)の問いにマリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)は首を振って否を告げる。
このセーラー服は、以前とある男子校に潜入する際に手に入れた女子制服だ。
男子校で手に入れた女子制服だ。
おかしなことを書いているようにも見えるが、事実なのだから仕方がない。
――閑話休題。
校内を眺めながら見知らぬ学生生活に思いを馳せるふたりは、一つの教室の前で足を止めた。
狐火に照らされたプレートに書かれた文字は『音楽室』だ。
「音楽室……ありました、ここですね」
「ひとりでに音楽を奏でる楽器は、本当にあるんでしょうか」
「ないならないでもいいんですよ。 七不思議の調査は手段であって目的じゃないですから」
「オブリビオンを誘い出すのが目的ですね」
教室のドアに手をかけると、レールに砂埃でも入り込んだのか僅かな抵抗感を返しながらもガララと音を立てて開いた。
先んじてするりと一羽の瑠璃色の鳥が音楽室の中へと滑り込み、くるりと教室内を一周して戻ってきた。 どうやら教室内には目に見えるような脅威はなさそうだ。
教室に足を踏み入れると、カーテンの取り払われた窓から差し込む月明かりに照らされた物影が目に映る。 すかさず進み出た管狐の火によって姿がはっきりと見えてきた。
入って左手側、教室の後方にはガラス戸の付いた棚に無数の楽器が並べられており、右手側には黒板とグランドピアノが置かれていた。
ドアのすぐそばにあった照明のスイッチを試しにパチリと押してみるが、当然ながら電力が通っていないために蛍光灯はうんともすんともいわない。
ふたりは左右に分かれ、それぞれの使い魔と協力しながら周囲を探っていく。
ラピスはグランドピアノに近付きじっと観察する。 鍵盤蓋も屋根も閉じられており、表面には薄っすらと埃が積もっていた。
注意しながら屋根を押し上げ突上棒で支えるがおかしな点はなさそうだ。 次いで鍵盤蓋を開けるがやはりこちらも不審なところは見当たらない。
鍵盤を人差し指で順番に打鍵していくが、奇怪な音がするわけでもなくごく普通に綺麗な音階が奏でられる。
「うーん……いつきさん、そっちはなにかありました?」
「ふふ。 ああ、いえ、不審なものはありませんね。 落書きがあったくらいで」
思わず漏れた笑みを咳払いで誤魔化すいつきの様子に後ろから戸棚を覗き込むと、そこには『卒業してもずっと一緒』と小さく書かれていた。
なんだかいいなぁと羨望混じりにほっこりしつつも、さてこれからどうしたものかと首を傾げるラピス。
「演奏したら何か釣られて出てくるかもしれませんし、試しに一曲奏でてみましょうか」
銀色の横笛を取り出しそう提案するいつきに、彼女は同意を示しちょっとした演奏会が始まる。
もちろん何かが出てくるようなこともなく演奏会は終わり、ふたりは次の七不思議の調査へと向かうのだが……。
果たしてふたりは、根本的におかしな点に気付いていたのか、それとも気付いていなかったのか。
夜はまだ続く。
大成功
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宇冠・龍
“死んだ人から掛かってくる職員室の電話”……本当なのかしら?
死霊の術を以てしても蘇らなかった私の子。せめて声を、生まれる前に死んでしまったあの子の声だけでも聴くことができるのならば
半信半疑で職員室を調べます
光源は手持ちの「光る霊」で道を照らします
普段から夫の霊と一緒ですもの。幽霊とお話できるくらいなら怖くはありません ※ただし夫の霊は喋りません
電話を前にして胸を押さえます
もしも、電話が鳴ったのならば迷いなく出ましょう
その相手が、あの子なのかどうか確かめるためにも
鳴らなかったのなら、それはそれでも良いこと
残念ではありますが未練なく過ごしている。そう自分に言い聞かせます
(電話の内容はお任せします)
■
職員室のドアががらりと開かれ、淡く光る小さな霊が入ってきた。
それに続くのは人派ドラゴニアンの女性と竜派ドラゴニアンの男性の霊だ。
ドアのすぐそばにある照明のスイッチをパチリと押すと、ブーンと微かに通電する音を伴いチカチカと明滅し、カンカンと小さな音を立てて蛍光灯に光が灯った。
その時微かに上階から音が聞こえてくる。
恐らくは横笛の音色だろうか。 七不思議の一端に《ひとりでに音楽を奏でる楽器》というものがあったからそれだろうかと考えながら彼女は職員室の中を眺める。
古びたスチールデスクやキャスター付きの椅子、ガラス戸の付いた頑丈そうなスチール戸棚――統廃合の時に持ち出されたのか、中身は空っぽだ――。 学校に通ったことのある者ならありきたりで見慣れた職員室であった。
「本当にあるのかしら、"死んだ人から掛かってくる職員室の電話"なんて」
半信半疑ながらも問題の電話はどこだろうかと視線を巡らせる宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)だったが、目的の物は簡単に見つかった。
こんもりと埃の積もったデスクの上に、なぜかそこだけあまり埃を被っていない古めかしい黒電話があった。
他に電話機はなく、ありきたりで現代的な職員室ではその黒電話だけが異彩を放っている。
龍は黒電話に近付き前に立つ。 そこに躊躇などはありはしない。
死霊術士である彼女にとっては幽霊など馴染み深いものなのだから。
そして何よりも、死霊の術を以てしても蘇らなかった子の。 せめて声を、生まれる前に死んでしまったあの子の声だけでも聴くことができるのならばと。
胸を押えながら、じっとその時を待つ……――だが、待てど暮らせど黒電話は黙して語らない。
やはり眉唾だったかと、諦めて手を下ろしかけたその時。
――チリン。
一度だけ黒電話のベルが鳴り。 一瞬の間を置いてチリリリンッ、チリリリンッと静寂を追い払うようにがなり立てる。
龍は咄嗟に受話器を上げ耳元に押し当て、ちらりと隣に立つ夫の幽霊に視線を向けながら耳に意識を傾けた。
だが受話器からは何も聞こえてこない……いや、耳が沈黙に慣れてくると無音ではないことに気が付く。
受話器からは、微かに籠った砂嵐のようなノイズが聞こえてくる。
水に潜った時に聞くような、それでいてどこか懐かしさを感じるノイズだ。
彼女にも最初はそれが何か分からなかった。
だが、いつしか無意識に腹部の傷跡を撫でていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ライヴァルト・ナトゥア
【WIZ】を使います
(持ってきたキャンプ用のLEDランタンで周囲を照らしつつ)
さて、一番簡単そうなところから攻めていこうかな
(恐れも感じさせず【勇気】を持って悠々と進む)
目が光るんだったか。それじゃあこっちもたくさん光らせてやろうかね
(ユーベルコードを起動。灼眼を爛々と輝かせる狼達をコレでもかと召喚する)
さーて、悪い子はどこかなー?
(狼達に片っ端から絵を攻撃してもらいつつ、【第六感】【聞き耳】で異常を探る)
へぇ?コレは面白い
まさかこんなことになっていたとはね
さてさて、真実をご開帳といこうか
(楽しげに口元を緩めて、先へと進んで行く)
※アドリブ歓迎です!
■
チャイムが鳴り響く中、ガラリと美術室のドアが開かれた。
ドアの先に堂々と立つのは、青い装束を纏い、多数の狼を従えた青年ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)だ。
彼の掲げたLEDランタンによって凝り固まった闇を払い、周囲を明確に照らし出す。
そこにあったのは、統廃合による移転から取り残された無数の肖像画やデッサン用の石膏像だった。
辺りを見渡したライヴァルトは首を傾げた。
「……気のせいか?」
ドアを開けた時に一瞬だけではあったが、何かが動いた気がしたのだが……野生の勘が鋭い狼達も反応していない。
第六感がはずれたかと首を捻りながらも、いずれにせよこれからすぐに分かるかとライヴァルトは気持ちを切り替える。
そして彼は狼達に指示を出した。
――すべての肖像画と石膏像を破壊せよ、と。
彼の意に従い、複製された小型の天狼達が肖像画と石膏像へと群がっていく。
ある物はその鋭い爪で引き裂かれ、またある物はその凶悪な牙で喰い破られ、またある物は台座から落とされて砕け散った。
芸術性に価値など見出さない狼達には、躊躇などはありはしない。
蹂躙のさなか、五感と第六感を研ぎ澄ませ、異常を探る彼を邪魔をするかのように再びチャイムが鳴り響く。
少し煩わしく感じながらも、今は聞き流す。
そもそも廃校になって久しいのだ。 夜中だろうと昼間だろうと、チャイムが鳴ること自体がおかしいのだから気にしても仕方がない。
狼達による暴虐が終わろうかという頃、ライヴァルトはふと気が付いた。
こちらが僅かに動く度に、奥まった場所にひっそりと置かれた石膏像の目がちかりと光っている……いや、違う。 よくよく観察すれば、手に持ったLEDランタンの光を反射してるのだ。
「まさかこんなことになっていたとはね」
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
古典的な子供の悪戯だろう。 石膏像の目の部分には画鋲が刺さっていた。
気が抜けたように苦笑と共にため息を漏らし、彼は目を爛々と輝かせた狼達を引き連れ美術室を後にする。
先ほどからうるさいほどに頻繁に鳴るチャイムの音を調査すべく、放送室へと向かって。
人の気配が途絶え、美術室の中に静寂が満ちる。
いくらかの時間が過ぎただろうか。 それはなんの脈絡もなく起こった。
無惨に破壊された肖像画や石膏像の破片がふわりと浮かび上がり、時間を巻き戻すかのように元の場所に戻り復元されていくのだ。
まだ夜は長い。
平穏を取り戻した彼らは、再び囁き合いを始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
四季乃・瑠璃
【ダブル】で分身
緋瑪「随分あるねぇ、七不思議…」
瑠璃「もうこの時点で七以上知ってるし、災い起こりそうなんだけど…」
緋瑪「トイレ以外にちょくちょく出てくる花子さんってどんな風に出て来るんだろう?」
瑠璃「普通、ドア叩いて呼ぶと現れるのが多いよね」
花子「不思議だよね~」
瑠璃・緋瑪「だね~…あれ?」
LEDライトとLEDランタンを用意
とりあえず、資料に記載されている七不思議スポットの内、校内のモノを順番に確認。
花子さんとか特に異常性が高そうなところ重点に調べていったり。
で、調べながらポッキーとか持ってきたお菓子食べてると、ポッキー食べてる子が一人増えてたり会話に混じってたり…
※アドリブ、絡み等歓迎
■
調査を初めて幾ばくかの時間が過ぎた。
ランタンの明かりで照らされたこの廊下は実に静かだった。 精々が、先ほどまで上階から聞こえていた重たいものが落ちたり割れる音くらいだっただろうか。
恐らくは他の猟兵が何かをやっているのだろうと当たりを付けた四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)は手元の資料に視線を移す。
カラビナで腰から下げたLEDランタンのおかげで文字を読むのに苦労することはない。
スティック菓子を食べながら横から手元を覗き込んだ、自分と鏡写しのようにそっくりな少女、緋瑪が口を開く。
「結構回ったけどまだ随分あるねぇ、七不思議……」
「もうこの時点で七以上知ってるし、災い起こりそうなんだけど……あ、オブリビオンが出るのが災いかな?」
「この《トイレ以外でもちょくちょく出てくる花子さん》って、どんな風に出て来るんだろう?」
普通はドアを叩いて呼ぶと現れるのが多いよね、と瑠璃もスティック菓子を摘まみながらすぐそばにあった一般教室のドアをコンコンコンとノックする。
しかしなぜ、トイレの花子さんはトイレに出るのだろうか。 "トイレの"と言うからにはトイレに出るのは必然ではあるのだが、この怪談は『なぜトイレなのか』という理由がないことが多いのだ。
不思議だよね~、と口々に言い首を傾げる三人だった。
資料をパラパラと捲りながら、次の行き先について思考を巡らせる。
「次はどこを調べようか……ここから近いのだと、《踊り場の大鏡》と《体育館の開かずの扉》かな」
「あー、体育館は止めておいた方がいいよ。 アレはたちが悪いから……このお菓子美味しいね、もう一本貰うね」
「たちが悪いって。 じゃあ体育館は後回しがいいのかなぁ? あ、どうぞどうぞ……って、あれ?」
そこでようやく、瑠璃と緋瑪はおかしなことに気付くことが出来た。
ここは廊下のほぼ中央にあたる位置であり、一方は一般教室のドアで、もう一方は窓だ。
見通しもよく、近くには自分達以外には誰も居なかったはずだ。
では、自分達は先ほどから一体誰と話しているのか?
周囲を見渡す……だが誰も居ない。
緋瑪が逆手で持ったLEDライトを廊下の奥に向けるが、そこもまた無人であった。
違和感を認識できなかったことが少々不気味であったが、あの声の主には敵意はなかったように感じる。
こちらを害する気があったのであれば、いつでも奇襲することが出来たのだから。
奇妙なものを感じながらも調査を再開するのふたりだったが、それを追うようにどこからともなく声が響く。
――もうすぐよくない子が生まれるよ、ベルが鳴ったら後ろに気を付けて。 あれはいつもすぐ後ろにいるから。
大成功
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第2章 集団戦
『噂語り』
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POW : 自分ソックリの妖怪『ドッペルゲンガー』の噂
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使ってきた猟兵のコピーを生み出し、操り】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD : 学校の七不思議『動く模型』の噂
戦闘用の、自身と同じ強さの【動く骨格模型】と【動く人体模型】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : 予言をする妖怪『くだん』の噂
対象のユーベルコードに対し【使ってくるユーベルコードを言い当てる言葉】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
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夜は深まり、時刻は既に深夜を過ぎた頃だろうか。
様々な七不思議の調査を行った猟兵達だったが、決定的な物は何一つ見つかっていなかった。
だが同時に、この学校がどこかおかしいという確信も得ていた。
――悪意のない何者かが多数存在する。
しかし悪意も害意もないのであれば、なぜ人を呼び込むようなの噂が流れているのか。
その答えは……。
猟兵達のすぐ近くから電子音が鳴り響く。 電話のベルだ。
それは同時に一部の猟兵達が持つ携帯電話やスマートフォン、無線などの通信機も着信を告げだした。
だが猟兵達が着信を受けるよりも早く、近くにある暗がりから通話を始める電子音が聞こえた。
影の中から制服を着た人影が、スマートフォンに耳を傾けながら歩みでてくる。
その姿を見て猟兵達は直観的に確信する。
人の形をしていながら人間ではない。 さりとて悪意のない住人でもない。
それは悪意の塊、オブリビオンだと。
「こっちだよ、ここにいるよ」
噂を語り、噂を生み出す者。
通話をしながら出てきた彼/彼女はそう言うと、猟兵達を見てにんまりと笑うのだった。
四季乃・瑠璃
緋瑪「さっきの声…花子さんかな?教えてくれたのはコイツ等のコトかな?ベルもさっき鳴ったし」
瑠璃「かもしれないけど…もしかしたら、もっとよくないのが控えてるかも。…体育館も気になるし」
緋瑪「何にせよ、コレは排除するしかないよね。ゴメンね、花子さん、少し騒がしくするよ!」
【チェイン】に分身を切り替え
二人で連携して戦闘。
くだんは予言をされる前にK100【クイックドロウ、早業】で眉間や喉を撃ち抜いて潰す。
敵本体や模型達は【範囲攻撃、鎧無視、早業、2回攻撃】接触式ジェノサイドボムで纏めて吹き飛ばして攻撃。
接近された場合は大鎌による【力溜め、範囲攻撃、早業】攻撃で一気に仕留めるよ。
※アドリブ等歓迎
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「さっきの声……花子さんかな? 教えてくれたのはコイツ等のコトかな? ベルもさっき鳴ったし」
「かもしれないけど……もしかしたら、もっとよくないのが控えてるかも。 ……体育館も気になるし」
それは体育館へ行くための渡り廊下での出来事であった。
眼前の敵――詰襟の制服を纏った少年――に胡乱げな視線を送る緋瑪に、冷静な瑠璃の言葉が飛ぶ。
会話を交わしながらも、姿を現した明確な悪意を持つ敵に、瑠璃の思考が戦闘状態へと移行する。
その意思に引きずられ、緋瑪の身体が一瞬掻き消えるようにブレた。 それは緋瑪を構成するユーベルコードが切り替わった証だ。
「何にせよ、コレは排除するしかないよね。 ゴメンね、花子さん、少し騒がしくするよ!」
お構いなくーとどこからか聞こえてきたような気もするが、流石にこれは気のせいだろう。 なぜなら、既に戦闘は始まっているのだから。
接触式ジェノサイドボムが巻き起こした爆風が頬を打つ。
だが当然ながら敵もそう易々とはやられてくれない。
爆炎の中から飛び出した骨格模型が、ボムの投擲を妨害しようとを肉薄する!
振り下ろされた拳が瑠璃の身を打つ寸前、すかさず機巧大鎌に持ち替えた緋瑪がその腕を受け止める。
ガンッ、と骨格標本にあるまじき金属同士が打ち合ったような音を立て、緋瑪の身体が僅かに沈み込むが全身をばねのように使い無理やり押し戻す。
「堅ったいよ、コレ!」
「緋瑪、コレを使って一気に叩き斬って」
瑠璃が差し出した物。 それは先ほど投げた物と同じジェノサイドボムだった。
緋瑪は言葉で語るまでもなく、その意図を理解できる。
――だって私達は"2人で1人"なのだから。
今度はこちらが骨格標本に向かって肉薄する番だ。
機巧大鎌アダマスのチェンバー内に叩き込んだジェノサイドボムが炸裂する。
燃焼は加速へ、加速は斬撃力へと変換され、交差させて防ごうとした骨格標本の腕を両断する。
僅かに狙いが逸れ、身体を両断するには至らない。 だが問題はない。
僅かに緩めた手の中で刃をくるりと反転させ、再びの爆発により大鎌が斬り上げられる。
それで終わりだ。
上下に分かたれた骨格が砂のような粒子になり、周囲に散らばる。
「わっぷっ!」
「くっ、目潰し」
咄嗟に目元を覆いながら、敵がいたであろう場所に銃撃を加える。
だが既にその場所に人影はなく、駆けだした噂語りは校舎内へとその姿を消すところだった。
後を追う瑠璃と緋瑪の前には、校舎の連絡通路が黒々とした口を開いていた。
大成功
🔵🔵🔵
宇冠・龍
(噂語りが生み出しているのは、人を呼び込むような噂だけ? それとも、この学校の七不思議も含めて全部なの? ……どちらにしても、私はあの音を忘れない。あれはきっと)
たとえ悪意の産物だったとしても、心の内であの音を聞かせてくれたことに感謝します
さりとて見逃してこれ以上被害が拡大してもいけませんので、猟兵として対峙しましょう
私のことを見ていたなら、夫のことも知っているのでしょうね
ずっと校内で一緒でしたから
けれども、こちらはまだ見せてはおりません
【画竜点睛】で150以上の怨霊の腕を召喚し、噂語り達を同時に捕らえ、地面に伏せさせます
「さて、夜の学校に出現する数多の腕、と噂にならなければいいのだけれど」
■
職員室前の廊下で妙齢の女性とセーラー服姿の薄影のような少女が向かい合う。
猟兵の竜とオブリビオンである噂語りだ。
「あなたがいかなる理由で噂を広めたのかは分かりませんが、ここに呼び寄せてくれたことは感謝いたします」
そう、龍はこのオブリビオン『噂語り』の少女に感謝していた。
今、目の前にいる噂語りが生み出したのは、人を呼び込むための噂だけなのか。 それとも、この学校に存在する七不思議の全部なのか。
どちらが正解なのか、それは彼女には分からない。
だが、いずれにしてもこのオブリビオンは、聞きたくても聞けなかったものを聞く切っ掛けを与えてくれたのだから。
「私達は噂を広げるのが目的、感謝されるいわれはないわ。 でも感謝するなら見逃してくれない?」
「……ですが私は猟兵です。 貴女を見逃すわけにはいきません」
それはそれ、これはこれだ。
オブリビオンを野放しにしておくわけにはいかない。 見逃しては被害が拡大するのだから。
龍が一礼すると同時にざわりとリノリウム張りの床が騒めき、無数の青白い怨霊の腕が生え、噂語りを拘束しようと襲い掛かる!
一挙手一投足に意味を込め詠唱と為す。 それが、死霊術を学べど非才なる彼女の戦う術だ。
対する相手は、人に仇なすための存在だ。 即座にバックステップを踏みながら、こう囁いた。
――ドッペルゲンガーって知ってる?
その言葉を呼び水に、黒い人影が生み出され、同じように真っ黒な腕が床から生えてくる。
腕と腕が互いに掴み合い、抑え込み、腕の葦原が生み出された。
その中を槍を構えた竜派ドラゴニアンの霊が駆け、噂語りに肉薄する……だが。
「おっと、私はやることがあるからまだ捕まるわけにはいかないんだ」
噂語りが逃げ出すのと入れ替わりに、足止めするようにドッペルゲンガーの影が割り込み霊と影がぶつかり合う。
所詮は模倣されたものだ、その身体は脆く儚い。
だが、それだけの時間があれば噂語りが逃げ出すには十分だった。
「……追いましょう、あなた」
取り逃がしたことを苦々しく思いながらも夫の霊にそう語りかけた龍は、上階へと逃げていくオブリビオンの後を追うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
言葉・彩色
『噂を語って現実にする怪異…何処かで聞いた御話ですね』
「だとしたら、そんな怪異は一体だけでいいよね」
『語るも見せるも不可思議な色』
「現実染めるは妖しき言の葉」「『語り部騙る、黒弧面の怪異なり』」
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。今宵を彩るは対抗神話。噂を塗り潰す噂の御話。どうか、最期の時までお楽しみ頂けますよう」
くだんの対抗神話を語ろうか
「知ってるかい? くだんの予言の回避方法。くだんには雄と雌がいてね。破滅の予言は雌が、その回避方法を雄が語るのさ。君たちの語る『くだん』は、一体どっちだい?」
【妖しき言の葉】使用
その場を『敵の噂に対抗する噂』の舞台に塗り替えての[防御無視攻撃][範囲攻撃]
ライヴァルト・ナトゥア
っと、急に鳴り出すな。俺でもびっくりすることはあるんだぞ
はぁ、最初は何でもない噂話だと思ったんだけどなぁ
(驚きを【勇気】でねじ伏せ、先を急ぐ。噂語りを見て)
一見普通の学生のように見えるが、この気配は
面白い。こんなオブリビオンがいるとはな。世界は広い
ともあれ、害をなすものなら放っては置けない。きっちりと処理させて貰おう
(UCを起動。戦闘の邪魔にならない最大数を召喚する。敵のUCには)
相殺呪詛系のユーベルコードか?だが残念。俺のユーベルコードは音と意味の二重仕様だ。そう簡単に言い当てられるかな?
さぁ、喰らい尽くしてやれ
(狼をけしかけて押しつぶす)
血も出ないあたりやっぱり人間じゃないな
※アドリブ歓迎
■
校内を逃げ回る噂語りを追いながら戦いは続く。
階段へと飛び込んだ学生服姿の少年は、一足飛びで踊り場へと駆け上がる。
付かず離れずの距離で逃げるその身のこなしは、常人ではありえないものであった。
「噂を語って現実にする怪異……どこかで聞いた御話ですね」
「一見普通の学生のように見えるが……世界は広いものだな」
なんであれ、人に害を成すものを放っておくわけにはいかない。
踊り場で立ち止まりこちらを見下ろした噂語りに、猟兵達は即座に行動に移る。
ここは階段だ。 当然ながらあまり広さがあるわけではない。
そう考えたライヴァルトは、数を絞りながら左手に封印した天狼の複製した狼の霊体を放つ。
「相殺呪詛系のユーベルコードを使えるんだったか? だが残念。 俺のユーベルコードは音と意味の二重仕様だ。 そう簡単に言い当てられるかな?」
「おや、それは残念だ。 相殺はできないね。 でも、甘いよ」
襲い掛かる狼の霊を前に、噂語りは眼前に動く人体模型を召喚し、模型の片腕を犠牲にしながらも防ぐとにやりと笑う。
ざわりと空気が揺れ、片腕の破壊された人体模型と入れ替わるように別の模型が召喚される。
いや、それは模型などではない。 ライヴァルトを模した影――ドッペルゲンガーだ。
「そんなに使い勝手のいい技を、わざわざ打ち消すなんて勿体ないじゃないか。 有効活用させて貰うよ」
ドッペルゲンガーは猟兵達に左腕を向けると、影で形作られた狼を差し向けてた!
思わず漏れかけた驚愕の言葉を無理やりねじ伏せたライヴァルトが後ろに下がる。
それと入れ替わるように物語で語られる悪鬼羅刹を身に宿した言葉・彩色(妖シキ言ノ葉・f06309)が飛び出した。
薙刀の形をした獣奏器で影の狼を切り捨てながら、噂語りへと肉薄する。
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。 今宵を彩るは対抗神話。 噂を塗り潰す噂の御話。 どうか、最期の時までお楽しみ頂けますよう」
「ちっ、対抗か!」
「知ってるかい? くだんの予言の回避方法。 くだんには雄と雌がいてね、破滅の予言は雌が、その回避方法を雄が語るのさ。 君たちの語る『くだん』は、一体どっちだい?」
「半人半牛の怪物の話をしよう。 彼の怪物には性別の違いなど元はない。 そんなものは現代の創作の話だ。 本来の『くだん』は吉兆も凶兆も偽りなく語る。 故に『件の如し』」
彩色によって語られた言の葉は、くだんによって運命を外され、噂語りへ当たることはなかった……だが。
何らかの意図をもって語られた語り部を騙る者の言の葉は、外れたとしても意味はあるのだ。
――現実染めるは妖しき言の葉。
学校の階段は僅かな範囲ながら景色が物語の舞台へと塗り替えられる。
山道、牛舎、見世物小屋、てんでばらばらな風景が混じり合った奇妙な空間は、騙り部のための舞台だ。
「くそっ、打ち消しじゃなくて強化してきたのか!」
「俺がいることも忘れてもらっちゃ困るな。 さっきのお返しに喰らい尽くしてやれ」
咄嗟に片腕を失った人体模型を召喚することで彩色の攻勢を止めようとした噂語りだったが、ライヴァルトの嗾ける狼の群れに群がられた人体模型が引きずり倒される。
悪態を吐きながら更に上階へと逃げ出そうとした彼の背に刃が振り下ろされた。
超強化された膂力から繰り出されたその一撃は、容易く噂語りの身体を両断する。
ずるり、と左右にずれた身体は、倒れる前に煤のようにばらけて宙に消えていくのだった。
「ふぅ……噂を語って現実にする怪異なんてものは、一体だけでいいんだよ」
「血が出ないどころか死体も残らないとは。 やっぱり人間じゃないな」
噂語りが消えた辺りを眺めていた彩色とライヴァルトだったが、微かに届く音に耳をそばだてる。
それは戦闘音だ。
上階ではまだ戦闘が続いているようだと、ふたりは加勢するために階段を駆け上がっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
畠・和彦
これは厄介なのが出てきたなぁ
できれば戦いたくないけど、こうも数がいたら戦うしかないかな
・戦闘
UCの使いどころは考えないといけない
コピーされるのも相殺もされないように気をつけないとね
ちなみに、戦闘時は敵に位置を教える危険のある懐中電灯は使用せず、【暗視】を活かして戦うよ
基本は【ダッシュ】で敵の集団とは一定の距離を保ちつつ、ロケットペンシルを発射(【投擲】)して【マヒ攻撃】を仕掛けよう
マヒした敵にはすぐ距離をつめて『シーブズ・ギャンビット』でトドメを刺そう
また動く模型を召喚する者も見失わないよう気をつけ、召喚された時にはすぐに召喚者を拳銃の【クイックドロウ】で狙い撃つよ
マリン・ラピス
今まで感じていた違和感のようなものはあの者のせいですかね。
なんだか不気味で近寄りがたいので【咎力封じ】で敵を縛って動きを止めます。
それであっさり捕まってくれるような相手なら楽なんですが…。
もし相手が手強ければ後方へ下がって皆さんをサポートしつつ戦況を確認しながら戦います。
私自身はそこまで強いわけではないので。
なんとか弱点とかを見つけられればいいのですが。
雨宮・いつき
うーん…僕が調べた範囲では、特におかしな所は無かったような…
なんて思ってたら、現れましたね胡乱な存在達
噂を広める目的は分かりませんが…今は迎え撃つのが先決です
符を構え、管狐達を呼び出そうとしますが…
こちらの術を不発させる、呪言の類でしょうか
相殺されるなら戦い方を変えるまで
起爆符を次々に放ち、距離を取っての爆撃です
爆発の【衝撃波】で相手の体制を崩して、
再び符を構え管狐達を召喚すると見せかけ…相殺を狙った相手を、構えた雷撃符の稲妻で攻撃
【マヒ攻撃】で痺れれば、相殺の言葉も上手く紡げないでしょう
今度こそ管狐達を喚び出して決着をつけます
■
空気を読んだのかやたらと短く感じる階段を駆け上がり、開かれたままのドアを潜り抜けて屋上へと飛び出す。
先んじて駆け抜けた管狐達の、その尾の先に灯った炎が屋上の広い空間を照らし出した。
追い付いた猟兵達に気付いたセーラー服姿の少女、噂語りは耳からスマートフォンを下ろして振り向く。
「あら、意外と早かったわね。 さすがは猟兵と言ったところかしら」
「できれば戦いたくないけど……戦うしかないかな」
「私は別に戦わなくてもいいんだけど。 そうね、くだんの話をしましょ」
「くだん……今まで感じていた違和感のようなものはそれのせいですかね。 それとも他に何か」
「そんなみみっちぃこと私達はしないわよ。 くだんは言いました。 月欠ける時、人類の叡智は潰えるだろうと」
和彦の言葉に適当に答えた噂語りの少女は、続くラピスの発言に呆れながらパンッ、と手を叩いた。
それと同時に、管狐達の尾の先に灯っていた炎がふっと消え去り、欠けた月が落とす薄明かりが周囲を支配する。
明かりを潰された直後に、咄嗟に身を投げ出して転がったラピスのすぐ上を、風きり音が通り過ぎる。
即座に暗視に切り替えていた和彦の目には、グロテスクな人体――あくまで普通の模型だ――が腕を振るう姿が見えていた。
あれは術者が操るタイプの召喚物だと見切りをつけ、ロケットペンシルを取り出して噂語りの少女へと発射する。
だが、相手もそう甘くはない。 続いて召喚した骨格模型がロケットペンシルを払い落として和彦へと襲い掛かる!
「管狐達が使えないなら戦い方を変えるまで。 和彦さん、上手く避けてくださいね」
「ちょ、ちょっと、いきなり無茶言うねー!?」
襲い掛かってくる骨格模型の攻撃を避け、更には転がるように逃げ出すことでいつきの投げた護符を辛うじて避ける。
背後で起爆した護符から霊力が溢れ衝撃波を発生させ、文字通りの意味で和彦を転がした。
和彦の犠牲のおかげか、人体模型は上半身の半分を壊され奇妙なぎこちない動きになっている。
肩に瑠璃の鳥を乗せたラピスの刃が、すかさず人体模型の脚を切り落とす。
「暗くてちょっと見えにくいですけど、ないよりは大分マシですね」
ラピスラズリで構成された鳥と五感を共有することで、薄闇での視界を確保したラピスが噂語りの少女を見据え咎力封じを放つ。
しかし闇に慣れきってはいない視界では狙いが難しく、あっさりと避けられてお返しとばかりに骨格模型が腕を振りかぶり接近する。
なんなく骨格模型の腕をダガーで受け止めるラピスだったが、硬く重たい一撃にわずかに手が痺れる。
だが骨格模型が動いているということは、同時に噂語りが足を止めていると言うことでもある。
「それこそが付け入る隙というものです」
いつきによって放たれた、雷撃符による稲妻を咄嗟に飛びずさり躱す噂語りだったが、それは同時に骨格模型の操作が疎かになると言うことだ。
一瞬棒立ちになった骨格模型に、同時に駆けたラピスと和彦の素早いダガーの一撃が、その四肢を斬り分かちジャンクへと姿を変えさせた。
その時、突如として噂語りの少女のポケットから電子音が鳴り響く。
それはスマートフォンの着信音だ。
だが、それで止まる猟兵達ではなかった。
「拘束させて頂きます」
「さぁ、今度こそ御勤めの時間です。 皆さん、出ませい出ませい!」
ラピスが再度放った瑠璃の鎖が少女の足を絡め取り動きを制限し、呼び出された短刀を咥えた管狐の群れが襲い掛かる。
避けることも叶わずその身を刻まれた噂語りの少女が、身体を煤のように崩しながらさらさらと消え去っていく。
だが、その顔は笑っていた。
――カツンッ、カラカラ……。
乾いた音を立て、着信を告げるスマートフォンが地面に転がり、誤作動を起こしたのか通話状態になった。
僅かに話し声のようなものが微かに耳に届くが、それは数秒と経たずに途切れ再び沈黙が流れる。
そうこうしているうちに、他の場所で戦っていた猟兵達が遅れて屋上へと集まってくるのだった。
大成功
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第3章 ボス戦
『『都市伝説』メリーさんの電話』
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POW : キミの背後のメリーさん
【背後からの斬撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【致命的ダメージを与える素早い二撃目の斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 【フレーム間妨害UC】メリーさんの電話
【冒険・集団戦を含めて、自分に対して好奇心】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【電話機(この電話機は対象の周囲に現れる)】から、高命中力の【対象を追跡して、ナイフで攻撃する少女人形】を飛ばす。
WIZ : メリーさんは何処かな?
レベル×5体の、小型の戦闘用【ナイフを持った、自分と瓜二つの精巧な人形】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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噂語りの少女が残したスマートフォンの周りに猟兵達が集まったその時。
一斉に、そして多重に電子音が鳴り響く。
それは一部の猟兵達が持つ携帯電話やスマートフォン、無線機などの通信機の着信を告げる音だ。
もはや持ち主のいない噂語りの少女が所持していたスマートフォンだけが沈黙を保っていた。
恐る恐る通話ボタンを押し、耳に当てる。
そして……。
――わたし、メリーさん。 今あなたの後ろにいるの。
それは耳元と背後、そして方々から多重に聞こえてくる。
そして猟兵達は互いに向かい合っていたことでそれに気が付くことができた。
各々の背後に、今にもナイフを振り下ろさんとする可愛らしい人形の姿があることに。
ライヴァルト・ナトゥア
流石に二回目は学習した。そう簡単に驚いてはやらんぞ
(と言いつつ、他のメンツの背後のメリーさんを見やる)
君ら、背後に憑いてるよ
(自分のを指摘され)
なん、、だと。俺の【第六感】を潜って背後に回り込むだって?
面白い。そういった性質に特化した敵は初めてだ。後学のためのせいぜい勉強させてもらうとしよう
(好奇心を利用される?ナイフも人形ことごとくを弾いて潰して仕舞えば関係はない)
は、こんな程度で俺を傷つけられると本気で思っているのか?
(可能なら消えるような速度で動い逆にメリーさんの背後を取る)
やっぱり、背後を取るっていうのは特性であって速さじゃないんだな。それなら、俺の勝ちは確実だ
(ひたすら背後から攻撃)
宇冠・龍
これは困りました……どれが本物の彼女なのでしょう?
(電話が鳴るということは、彼女がかけている電話も中にはあるのでしょうか。そして鳴らなかった電話といえば――)
とりあえず……そうですね、全員を捕まえてからまずは考えましょうか
迷っている間に切られたら大変ですもの。【画竜点睛】で可能な限り多くのメリーさんを拘束。特に背後にいるのを優先し、私や他の方々が後ろを取られないように注意
そして動きが止まったなら、「噂語りの少女が所持していたスマートフォン」を手に取り調べて、メリーさんの本体ないし関係性の強いものであれば、そのまま握り潰して破壊します
メリーさんが現れたから噂になったのか、それともその逆なのか……
メリー・コールアフター
さて
本物のメリーさん
それとも、オブリビオンが模してるだけの噂話?
いずれにしても
「放ってはおけないわね」
【「今あなたの後ろにいるの」】使用
その辺りの電話を利用して、一言
「わたし、メリー。今あなたの後ろにいるの」
くすくすと笑いながら
背後から奇襲を仕掛けよう
「好奇心もなにも、今来たところだからよくわかってないの」
だから、今から一緒に遊びましょう?
同じ人形同士でしょう?
同じ『メリー』同士でしょう?
「わたし、メリー。今『メリー』<あなた>の後ろにいるの」
…逃がさないよ?
言葉・彩色
ところで
「なぜ君は、自分をさん付けで呼ぶんだい?」
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。今宵この場を彩るは、童話で吟われた怪物の御話。どうか、最期の時までお楽しみ頂けますよう」
【十人十色の物語】使用
『鏡の国のアリス』より、ジャバウォックを身に宿して自己強化
「ジャバウォックを侮るべからず
食らいつく顎に掴む爪
ジャブジャブ鳥にもご用心
燻り狂える
バンダースナッチには寄るべからず」
代償は[毒耐性][呪詛耐性][激痛耐性]でこらえ、相手の攻撃は[オーラ防御]しつつ
[鎧無視攻撃][範囲攻撃]で[呪詛]の[属性攻撃]+[恐怖を与える]
現実で語られた都市伝説と
童話内の詩で吟われた怪物
一体どっちが強いかな?
四季乃・瑠璃
UCの効果で分身
咄嗟にお互いの背後の人形をK100【ドロウ、早業】で銃撃。
素早く二人でダガーで自分の背後の人形を切り払い、背中合わせになり、背後からの斬撃を封じる。
後は互いをフォローしながら連携して戦闘。
【範囲攻撃、早業】接触式ボムで人形達を纏めて吹き飛ばしながら、本体をボムや銃撃で動きを封じ、ダガーや大鎌で近接攻撃。
ラストは二人の魔力を集中して【ジェノサイドブレイカー】で仕留めるよ。
緋瑪「相手はメリーさん」
瑠璃「殺人系の都市伝説の大御所だね」
緋瑪「そういえば、結局体育館のたちが悪いのって何だったんだろう?このメリーさん?」
瑠璃「どうだろう…場所に縛られる系じゃないしね」
※アドリブ等歓迎
マリン・ラピス
っ!
咄嗟に振り返りつつダガーを振るいながら後方に跳びのきます。
見た感じ相手はナイフが武器なようですね。
ならリーチの差を利用して戦います。
武器を瑠璃の鎖に持ち替えて相手の動きを制限するように攻撃します。
ナイフを持った人形達は【咎力封じ】で対処します。
私が極力サポートします。
みなさんは攻撃に専念を。
負傷者が出た場合は【武器受け】で【かばう】ことで下がるための【時間稼ぎ】をします。
おそらく噂を広めさせた黒幕はこの敵でしょう。
倒したあとは何か適当な噂を流しておきますか。
そうすれば自ずと今までの噂は流れることでしょうから。
雨宮・いつき
向かいの猟兵の背後の人形に雷撃を放ちながら、
自分の背後にもいるであろう人形の攻撃を避けるために横っ飛び
悪意の無い何者かは元々ここに居た霊で、彼女らの噂のダシにされた…?
邪神絡みを警戒していましたが、どうやらそうではない様子
なら祭具の考慮も不要、遠慮なく調伏させて頂きます
数に物を言わせてくるならこちらも管狐達と連携し、
雷撃符で人形達を撃ち落としていきます
そして本体は…どうやら背後を取るのが好みのようですね
ならば人形達と戦ってる最中に柵の方へ背を向け、管狐達を正面に移動
背後を開けるという【誘惑】に乗ってくれば、
戦いに紛れて帯電させておいた柵へ起爆符の【衝撃波】で叩きつけて痺れさせ、一気に仕留めます
畠・和彦
こ、これはさすがに逃げるなんて訳にはいかないな
覚悟を決めてやるとしますか
・戦闘
人形の召喚は厄介だな……
まず敵と一定の距離をあけ、ボクは【目立たない】よう【忍び足】も使ってこっそり立ち回るよ
背面攻撃に対しては【地形の利用】で周辺の障害物を背にして対策する
電話機が召喚されたら、人形が飛ばされる前に拳銃の【クイックドロウ】で電話機を吹き飛ばす
それで間に合わない時は、人形を杖の【武器落とし】で迎撃するか、これまた障害物を盾にしようか
さて、目立たないよう立ち回った理由は、敵の人形召喚する際の一瞬の隙を狙う為だ
このとき再び【クイックドロウ】で同時に三本の鋭利なシャーペンを投擲させる『投げペンシル』を放つよ
■
メリーさんを名乗る人形達が、今にもナイフを振り下ろさんとしたその時だった。
――君ら、背後に憑いてるよ。
あっけらかんとした、何気ない声と共に二発の銃声が響き渡る。
「あなたの後ろにもいますよ!」
「なん……だと……っ。 俺の第六感を潜り抜けただって!?」
素早く互いの背後に居た人形を銃撃で破壊した瑠璃とその分身体である緋瑪は、背中合わせになりながら仲間の援護を始める。
それに釣られたラピスが、背後を振り返りながら人形を切り払い、もう同じ手は食わんと平静を装っていたライヴァルトに鋭い指摘を言い放つ。
彼が回避行動を始めるのとほぼ同時に、雷撃がその頭上を掠め、背後の人形を焼き払う。
それは、横っ飛びに自身の背後にいた人形の攻撃を躱したいつきの雷撃符による一撃だった。
「悪い、助太刀ありがとう」
「いえ、びっくりしましたけど、御無事でなによりです」
「相手はメリーさんかぁ。 皆、背中に注意してね」
「殺人系の都市伝説の大御所だね」
この密集状態では爆発物は使い辛いと判断した瑠璃と緋瑪は鎌とダガーを手に、互いの背中を守りながら戦う。
くるりと鎌を回す度に人形の首が飛び、振るった刃が人型を二つに分断する。
ラピスの放つ鎖が蛇のようにのたうち、行動を制限された人形達に、いつきの召喚する管狐の狐火が浴びせかけられ炎上する。
この人形達は数こそ多く、その手に持つ刃は鋭いが、耐久力はほとんどないようで簡単に砕くことができていた。
人形達が掃討され、散らばった破片がさらさらと消えていく。
「数はいましたが……本体らしきものは見当たりませんね」
「メリーさんというからには、後ろにいるかと思ったのですが、出てきませんでしたね」
「電話が鳴ったということは、彼女がかけている電話も中にはあるのでしょうか?」
いつきとラピスがメリーさんの本体を探す中、龍の疑問の言葉に全員の視線が地面に転がった一つのスマートフォンに向く。
それは噂語りの少女が遺したものであり、その場で唯一鳴っていなかった電話だ。
……辺りに敵の気配はない。
先ほども突然襲ってきたのだから油断はできないが、注意しながらスマートフォンを拾い上げると、着信を告げる音と共に手の中で震え出した。
画面に表示された番号は――都市伝説なのだから非通知、というわけでもなくしっかりと番号が表示されていた。 だがそれは……見慣れた、自分の番号だ。
気味が悪いものを感じながらもスピーカーモードをオンにして通話ボタンを叩くと、僅かなノイズの後に可憐な声が漏れ出した。
それは少し前にも聞いた声だ。
『わたし、メリーさん。 あなた、その電話の持ち主じゃないわよね? だって、さっき出た人はもっとシツレイな人だったもの』
「持ち主って……噂語りのことか?」
『そうそう、その人! ホントにシツレイしちゃうわよね。 「こっちだよ、ここにいるよ」とか言っておきながら、いざ来てみたらいないんだもの!」』
ライヴァルトの呟きをマイクが拾い上げたのか、我が意を得たりとばかりにメリーさんが捲し立てた。
都市伝説を舐めてるわだの、不在着信だった時の悲しさがあなた達に分かる!? だの盛大に愚痴がスピーカーから溢れ出る。
この情報化社会に対応して、SNSとかも始めたのに騙りやフェイク情報が多くてうまく行かないしと不満たらたらな声だ。
こほんと咳払いが二重に聞こえ、そうしてこうのたまった。
「だからついカッとなって、近くに居たあなた達に凸っちゃった♪」
■
一つはスマートフォンのスピーカーから。 そしてもう一つは……。
塔屋の上に座っていた少女が気軽なしぐさで飛び降り、屋上へと降り立った。
その姿は、襲い掛かってきた人形によく似ていたが、大きさも人間らしさも遥かに上だ。
可憐な容姿ではあるが、その手に持つ刃があまりにも異彩を放っていた。 溝の刻まれたそれは、刺した相手を失血させることに特化した凶悪なナイフだ
緊張が高まる中、メリーさんの動きを警戒しながらも彩色が問いかける。
「ところで、なぜ君は、自分をさん付けで呼ぶんだい?」
「あら、だって、私は"メリーさん"っていう都市伝説だもの」
「それに、さんが付かないとわたしと被ってしまうわね」
問いに答えるメリーさんの後ろ。 開かれたままであった屋上のドアからひとりの人影が姿を現した。
それは金色の髪に青い瞳を持つビスクドールのような少女であった。
そしてその少女はくすくすと笑いながらこう言い放つのだ。
――わたし、メリー。 今あなたの後ろにいるの。
「うそっ、バックアタック!?」
「メリー・コールアフター、参戦致しますわ」
「増援かい? それはありがたいことだね」
「今来たところだからよくわかってないのだけれど、このメリーさんが敵でいいのかしら?」
「ええ、かの有名な都市伝説のメリーさんだそうですよ」
「そうよ、メリーさんよ! 人のこと無視しないでくれる!?」
念のためにと名乗るメリー・コールアフター(怪奇譚のビスクドール・f15358)に対して律儀に答えたのは、彩色とその仮面の下の狐狗狸だ。
放置して会話する猟兵達に憤慨したメリーさんがユーベルコードを放つ。 それは無数の人形の形をとって具現化し……その時、三本の鋭利なシャーペンがメリーさんに迫る!
不意打ちに対応しきれず腕に突き立つシャーペンに舌打ちしながらも、最後の一本だけは人形を割り込ませて相殺される。
目立たないようにこっそり立ち回っていた和彦の投げペンシルは、メリーさんのユーベルコードを封じるには至らなかったが、確実にその効力を落としていた。
再び呼び出された人形の数は、確実に先ほどより減っている。 これを機に猟兵達は攻勢に出る。
人形の召喚数が減ったとはいっても、その数は未だ多い。
「けれど、その攻撃は既に見通しています」
「あなた、沢山いるのね。 わたしも沢山いるの。 だから、今から一緒に遊びましょう?」
龍の死霊術によって呼び出された無数の青白い腕が床から伸び、亡者の如く縋りつき人形達の身体の自由を奪っていく。
しかし、それではまだ数が足りない。
だが問題はない。 メリーによって複製された彼女の本体たるビスクドールが、あぶれた人形を迎撃するように飛び出した。
人形とドールの戦いが拮抗するさなか、連続した発砲音と共に人形が弾け飛ぶ。
「さ、さすがに、いつまでも逃げ隠れしてる訳にはいかないからね」
素早い射撃によって次々と人形を落としていく和彦だったが、背後からの攻撃を警戒してエアコンの室外機を背にしている辺りが彼らしかった。
警戒するのは悪いことではない。
現に今もメリーさんは、がっちりと抑え込まれ人形達を横目に、苦々しい顔で猟兵達に攻撃を仕掛けようとしているのだから。
だが、それに対抗するように朗々とした語りの言葉が響き渡る。
「ジャバウォックを侮るべからず、食らいつく顎に掴む爪。 ジャブジャブ鳥にもご用心。 燻り狂えるバンダースナッチには寄るべからず」
「封印限定解除、此処に来るは大いなりし蒼き狼。 地を駆け、空駆け、獲物を屠れ。 疾くあれかし、《限定解放・天狼疾駆せし戦場幻景》」
「物語の怪物と封印された狼。 そして都市伝説。 とてもすごい御話ですね、彩色さん」
彩色に宿った物語が呪いと引き換えに、その身をより強靭なものへと上書きしていく。
時を同じくして、ライヴァルトの綻んだ封印から溢れ出した力が、その身を一時的に別種のものへと組み替えていく。
ふたりは周囲の人形を巻き込みながら駆け出し、数を減らした人形達に群がるように伸びた龍の死霊の腕が捕らえ、バラバラに引き裂く。
舌打ちをしながらもメリーさんは迫るふたりを冷静に迎え撃つ。
ライヴァルトの眼前に電話機を召喚することで僅かに攻撃のタイミングをずらし、一瞬早く到達した彩色の獣奏長柄太刀の刃を、ナイフの腹で滑らすことで受け流す。
続いて振るわれたライヴァルトの鎌を吹き飛ばされるように受けて間合いを取ることで、足元を絡め取ろうとする死霊の腕を回避しながら、連続して電話機を召喚した。
電話機から飛び出した人形達が猟兵達に刃を振るうも、最初からそれを見越して待機していた和彦によって素早く処理される。
放たれた斬撃にドレスの裾を斬り飛ばされようとも、掴みかかる腕に足をもがれかけようとも、彼女とて止まるわけにはいかないのだ。
これは都市伝説にとっても生存競争なのだから。
だが多勢に無勢。 そんな彼女、メリーさんの抵抗も長くは続くはずもなかった。
悪足掻きとばかりにこれでもかと無数に召喚された電話機のひとつひとつから人形達が飛び出す。
……いや、一台だけそうではないものがあった。
ある者によって掴まれたそれは、受話器を取り上げられ呼び出し音を発し始めた。
突然、メリーさんの隣に一台の電話機――メリーさんが召喚したものと同機種だ――が現れ、呼び出しを告げる。
それはひとりでに通話状態となり、雑音交じりにこう呟いた。
『わたし、メリー。 今『メリー』<あなた>の後ろにいるの』
――逃 が さ な い よ ?
■
遠くに見える山々の向こうから、白い光が溢れ出す。
怪談話の終わりを告げる時間、夜明けだ。
同じ名を持つ少女によって惨殺されスクラップになり果てた人形が、朝日に照らされもやのように消えていく。
結局一晩明かしてしまったと緋瑪が眠たげに背伸びをすると、釣られるように幾人かの猟兵達もあくびを噛み殺す。
「さて、これで事件は終わりかな? お腹空いたねぇ」
「邪神絡みを警戒していましたが、どうやらそうではないようでしたね」
「おそらく噂を広めた黒幕は噂語り……メリーさんを呼び寄せるためでしょうか?」
「彼女の口ぶりからしてそうでしょうね」
黒幕に関して話し合ういつきとラピスだったが、他にも気になることはあった。
結局、この学校の七不思議は一体なんだったのだろうか。
間違いなくこの学校では幾つものおかしなことが起こっているのだから、何かが関わっているのだろうが。
「そういえば、花子さん? が言ってた結局体育館のたちが悪いのって何だったんだろう? このメリーさん?」
「どうだろう……メリーさんは場所に縛られる系じゃないしね」
「元々ここに居た霊は悪意の無い何者かばかりですし、面倒くさいという意味でたちが悪いのではないでしょうか」
「ともあれ、何か適当な噂で七不思議を終息させましょう。 そうすれば自ずと今までの噂は忘れられるでしょうから」
こうして学校の七不思議事件は終わりを迎えることとなった。
とりあえず朝ご飯でも食べよっか、などと和やかに会話を交わしながら、猟兵達は学校から去っていく。
静かになった校内の教室の窓から見下ろす、悪意のない何者か達に見送られながら。
大成功
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