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キャバリアファイト ~波涛! 四次元殺法~

#クロムキャバリア #プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』 #ザ・スター #ファーストヒーロー #トリアイナ #プレイング受付中


●かつてのオブリビオンマシン・プラント跡は今
 トリアイナ領海の大部分を占めていて一年を通して温暖な気候のマレ・ノストルム海だが、冬の時期になるとギルガランド大陸の最高峰である大陸の屋根『アトラウス山脈』より吹き下ろされるトラモンタナと呼ばれる冷たく強い風の季節風によって、熟練の船乗りでも予測するのが困難な大時化に見舞われることがよくある。
 今日もそんな日であって他国との海上交易が主産業であるトリアイナ船籍の運搬船もまばらであるのだが、ここの海域に至っては立入禁止となっているので航行する船は存在しない。
 ここはかつて『エンデカ』と呼ばれていた洋上プラントで、オブリビオンマシン・プラントなってオブリビオンマシンに支配されていたのを、企業国家トリアイナの私兵部隊とであるトリアイナ海軍所属特殊治安維持部隊の『キュクロプス隊』及び独立傭兵の義勇兵として同作戦に参加した猟兵の手によって破壊された。
 非公式だが熱核兵器の使用がされたとも噂され、その形跡である焼け溶けた鉄骨部分からはまだ残留放射線が残っている。
 トリアイナの発表では老朽化を辿っていた同プラントが嵐により全壊したことになっているが、公然の秘密として今もエンデカ周辺海域は立ち入り禁止海域と指定されている。

『随分昔に破壊されていたとは、な』
 訪れるものが居なくなって久しい地に降り立つ者がひとり。
 真紅のマントを冷たい風にたなびかせながら赤錆びた甲板に降り立った者、その名は『ザ・スター』。
 山間部で隔てられていてトリアイナの隣国として広がる死せる地『ミド・バール』の地を襲った、ファースト・ヒーローと呼ばれる世界最初のスーパーヒーローチームの一員である。
 猟兵の手によって撃退されるも、骸の海を越える長き旅路の果てにオブリビオンと化したザ・スターは再び世界に染み出た。

 再びミド・バールの地下にあるオブリビオンマシン・プラント群を暴こうと飛行していた矢先、不倶戴天の宿敵である『戦神アシュラ』によく似た気配を感じて、この廃プラント跡にやってきたという訳である。
 元エンデカはその巨大さで全壊こそは免れていたが、主要生産ユニットがあった海中部分が尽く破壊されているためか海上部分の大半が水没しており、残された部分も海鳥の営巣地になっているのか鳥の糞で赤錆びた鉄がまばらに白く塗られている。

『この様子では戦神アシュラの複製体……アシュラレディの製造工場ではなさそうか』
 尋常でない悪の気配を感じ取って訪れたが気のせいだったか。
 そう結論付けて飛び立とうとした瞬間、特徴的で如何にも悪そうな笑い声が廃墟となったエンデカ内に響き渡り、海鳥たちが何かから逃げるかのように慌ただしく一斉に羽ばたいた。

『グロロロロ! 待っていたぞ、ザ・スター!!』
 その者は四肢の腕を持っていた。
 多腕のシルエットにもしや戦神アシュラかとザ・スターは身構えるが、声の主は海鳥から毟り取ったであろう羽根で作った衣装に身を包んでいる。
 もしや、鳥人か?
 いいえ、超人です。

「なんだ、またお前か……一瞬我が宿敵と見間違えて損したぞ」
 この怪人の正体はデスリング総統。
 アスリートアースのキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力によって、猟兵の強力な共闘者として多数異世界に送り込まれたひとりである。
 だが多世界を揺るがせた戦争の後も参戦した世界であるクロムキャバリアに留まっており……困ったことにキャンピーくん自身も今はどこかへ姿を消してしまったため、こうして挑み甲斐ある新たな強敵としてザ・スターを追いかけに追いかけ回していたのである!

『なんだ、とは悲しいぞ。ワガハイはこうして海を泳いで渡っていたところ、たまたま見つけた洋上プラント跡で英気を養っていたというのに……グロロロロ』
『イジケてもダメだ。我には崇高なる使命があるのであるから、貴様の戯れに付き合うのはもう懲り懲りなのだ』
『グロロロロ……つまり、またワガハイに負けるのが怖いのだと?』
 この言葉が決定的となったのか、ザ・スターがピクリと反応した。
 中々分かりやすい奴である。

『我が負けるのが恐れている、と?』
『その通り、グロロロロ! ファーストヒーローの名が聞いて呆れるわ!』
『……その喧嘩、買ったぞ。再びあの地へと行く前の準備運動代わりに、今度こそ貴様との因縁を断つべく海の底に沈めてやるわ!!』
 まさにプロレスの定番である売り言葉に買い言葉。
 かくして観客なき絶海の孤島にて超人プロレスが始まろうとしていた!!


●グリモアベースにて
「……という訳で、デスリング総統とザ・スターによる新たなキャバリアファイトが開かれようとしています」
 また変な予知を見てしまったと言わんばかりな様子で、秋月・信子(魔弾の射手フリーシューター・f00732)はため息混じりに猟兵への報告を終える。
 彼女が語ったキャバリアファイトだが、一部ではバトリングとも呼ばれるキャバロア同士で殴り合うまたコックピットを破壊しない程度の模擬戦を差す。
 ローカルルールで頭部を破壊されたら失格負けだの、一対一でない僚機を伴ったチーム戦もあるだのとあるが、戦火が絶えないこのクロムキャバリアにおいてはプロレスのような興行という面もあって、戦地でしか己の存在意義を見い出せないキャバリア乗りの食い扶持先としても機能しているだとか。

「場所はかつてオブリビオンマシン・プラントでしたが、皆様のご活躍によって機能停止した海上プラント『エンデカ』。資料でも提示しましたが、絶海の孤島さながらに港から遠く離れた場所にありますので、周辺への危害が特に心配されません」
 それなら放って置いても問題ないのだが、ザ・スターは再びミド・バールの地の底に眠るプラント群を暴こうとしている。
 それを許せば再びミドの町に危機が訪れることになるので、ここは介入しておくのが得策だと判断に至った次第である。

「問題は破壊し尽くされたエンデカは沈みかけた洋上プラントでありますので、足場が限られている上にキャバリア戦を繰り広げましたら今後とそ沈む脆さが懸念されます。ザ・スターは空を飛べますので問題ありませんが、空を飛べないデスリング総統にとっては大きなハンデとなります。そこで総統に声援を送るなり、飛び入り参加も含めた実力行使によって支援して頂ければです」
 空中戦となると殲禍炎剣ホーリー・グレイルの無差別砲撃が問題となるが、ザ・スターのユーベルコード『エナジー・ゲート』によって、その点は問題ない。
 超高高度に至る飛翔能力を持つザ・スターを追った空中戦を得意とする猟兵も遺憾なく実力を発揮する機会に恵まれているのであれば、それを利用するのも手である。

「なおデスリング総統は飛べませんので、キャバリアファイトへ夢中になるあまりに足場として機能しているエンデカを今度こそ破壊して沈まないようにご注意ください」
 そう念を押すと、信子は自らの影を広げてグリモアの輝きを放つ。
 かくして猟兵一行は新たなキャバリアファイトの会場に降り立つのであった。




第2章 ボス戦 『ファーストヒーロー『ザ・スター』』

POW   :    バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD   :    スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

 洋上プラント跡に激しい旋風が舞い上がり、錆び朽ちつつある鉄骨が激しく軋む。
 デスリング総統の四次元殺法『デスリングスイング』を受け、遥か上空に展開する『エナジー・ゲート』まで届かんとばかりに放り投げられるザ・スター。
 しかしデスリング総統の四次元殺法を受けても彼の身体は骸の海へと還ることはなく、身を翻しながら体勢を整えると怒りに満ちた怒声を浴びせかけた。

『貴様! 何故手加減をしたッ!?』
「グロロロロ! 痴れたことよ。おぬしはまだ全ての力を出し切っていない……言ったであろう? ワガハイはあらゆる全てを受け止める、と」
 バトル・オブ・オリンピアでデスリング総統と超人プロレスを繰り広げた猟兵は知っていよう。
 この男はまずこちらの攻撃を受け切るまでは手を出さず、仕留め損なえば四本の腕による異次元の怪力により「攻撃を喰らった者を骸の海に放り出す」恐るべきプロレス・フォーミュラであることを!
 故にデスリング総統はザ・スターを骸の海に放り出さなかった。
 自身を愉しませる一手があると、クロムキャバリア中で開催したザ・スターとのファイトに次ぐファイトを何度もやっていれば知っていて当然と言えば当然なのだが。

『フン! 相変わらずの酔狂者だな』
「よく言われるわ、グロロロロ!」
 ザ・スターもこのままでは埒が明かないのが明白であり、本来であれば不倶戴天の宿敵である『戦神アシュラ』およびクロムキャバリアの何処かにあると睨んでいるプラントで製造される複製体『アシュラレディ』への対抗手段として、確かにザ・スターは隠し玉を所有している。
 その名も──

『……出ろぉぉぉぉっ! レミニセェェンス……エニィィグマァァァッ!!』
 パチィンッ!!
 ザ・スターが叫びながら高らかに挙げた腕で指を鳴らせば、大気を揺るがす破裂音に呼応してエナジー・ゲートより巨大な金色に輝く甲冑とも形容できる物体が顕現し、緩やかに降下してくる。
 それは5メートルにも及ぶキャバリア……戦神アシュラに対抗するために造り出されしスーツはアシュラバスターの異名を持ち、ザ・スターの乗機たるオブリビオンマシンの名は『レミニセンス・エニグマ』!
 胴体部分に亀裂が走って装甲が展開されれば、直立した姿勢となったザ・スターの巨体が格納される。
 最後に頭部がザ・スターの頭を覆い隠し、ツインアイが光るとデスリング総統を見下ろしながら睨みつける。

『さぁ、とっておきを出したぞ。これで満足か?』
「グロロロロ! そう来なくてはだ!!」
 巨漢たるデスリング総統の倍はあるオブリビオンマシンが緩やかに降着すれば、プロレスリングとなっている洋上プラント残骸が叫び声を上げながら一層と軋む。
 猟兵のユーベルコードで補強されているとは言え、金色のオブリビオンマシンの自重と戦いに耐えれるか……それとも耐え切れず崩壊する前にデスリング総統が戦神殺しの巨人を骸の海に送り返すか……。
 第2ラウンドとなる戦いのゴングは、デスリング総統の巨拳とレミニセンス・エニグマの鉄拳が激しく打ち合った衝撃音となって高らかに鳴らされる──!
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより


迅瀬・ナクタ(サポート)
「ちっ、見て見ぬふりも、ばつが悪い。オレも参加してやるか」

人間の「トイロボバトル」アスリート×オブリビオンマシン使い
 
トイロボと言う小型ロボットを特殊なデバイスで操作するホビースポーツのアスリートです。

基本的には愛機である『OM-NATAKU』を使ってスポーツや戦闘をします。しかし、本人もアスリートなので身体を鍛えており、場合によってはトイロボを使わずスポーツ・戦闘を行います。また、巨大戦では別に所持するオブリビオンマシンを操作することもあります。

仲間や一般人にはぶっきらぼうな態度で接しますが、相手がピンチの時はなんだかんだと助けてしまうタイプです。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。

敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり。
敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。

キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。



 巨拳と鉄拳が激しく激突して生じた衝撃波が暴風となり、海面に白波を立たせながら洋上プラント跡地に残る残骸を大きく揺らした。
 オブリビオンマシンという強者を前にして滾るデスリング総統の闘魂、エナジー・ゲートから降り注ぐ光を纏ってより神々しく光り輝くレミニセンス・エニグマの表面を覆うオーラが反発しあったのだ。

「うう……実況するだけのお仕事だって聞いたはずなのに……!」
 まるで上陸した台風の勢力を体を張って実況するアナウンサーよろしく、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)は暴風を一身に浴びながら風に煽られて倒れないよう身を屈めた。
 鬱詐偽小屋の中に引き籠もりたいが、狼が吹いた息よりも強烈な暴風の前にはひとたまりもないだろう。

「海風は髪がベタつくから苦手なんですよね……」
 必死に耐える鬱詐偽とは対象的に、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は自らの念動力で作り出した擬似的なフラスコ空間を隔壁として悠々と紫煙を燻らせる。
 元々は喫煙の副流煙で他人の健康を害さない気遣いで獲得した物であるが、こういう時は念動力を強めれば被害を受けないので助かる。
 尤も、外から見れば阿片窟同然と煙草の煙で充満しているのがひと目で分かるので、見ているだけでも健康に悪そうなのであるのだが。

「一撃、また一撃ぶつかり合うだけで、この衝撃か。ちっ、迂闊に手出しできないのも苛立つものだ」
 迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)が歯がゆさを覚え、唇を噛んだ表情でデスリング総統とザ・スターの勝負を見守るのも理由がある。
 ここが陸地であればオブリビオンマシン『ラシャ』を持ってしての、飛び入りキャバリアファイトで介入できよう。
 しかし、ここは元オブリビオンマシン・プラントの跡地で、猟兵の手で破壊に破壊されてからだいぶ年月が経ったことで海水による腐食も進んでいる。
 猟兵の役割は現存するプラントを破壊するザ・スターの撃退もそうだが、デスリング総統を元の世界であるアスリートアースへと帰還させる手助けをすることである。
 ここで下手にキャバリア戦をやれば、デスリング総統の足場をも破壊することに繋がってしまう。
 故に、サイキックキャバリア『アレクサンドラ』を所有するエリーもまた、ヤニを吸いながら観戦しての応援に洒落込んでいたという訳でもあった。

「グロロロロ! ワガハイのデスリングナックルをまともに受けても、ヒビひとつ入らないとは気に入ったぞ!!」
『言ったはずだ。我がとっておき、とな』
 猟兵たちの狼狽を他所にデスリング総統は拳から腕に伝わる衝撃で骨を軋ませ、キャバリア相手に素手で激しく打ち付け合わせることで皮が裂けて鮮血を滴らせるが、圧倒的な強者を前にした悦びでより一層とワルく嗤う。

「本人はああ言ってるが、不利には違わない。何せ鳥人間みたいなリングコスチュームでも飛べないからな」
 事実、レミニセンス・エニグマはザ・スター同様に飛行能力を有しているが、デスリング総統は跳ぶことは出来るが飛行することは叶わない。
 しかもザ・スターが操縦桿を握って操作するのではなく彼の挙動や脳波を感知して動きを投影するパワードスーツの操縦系統であるのか、レミニセンス・エニグマは重厚な装甲の重量級キャバリアながらも機敏な動きと反応性で意外にも俊敏だ。
 言うなれば、ザ・スターそのものが装甲を纏って巨大化したと言っても過言ではない。

『お遊びはここまでだ! これで貴様との因縁を断たせて貰う!!』
 なんとかして掴もうとするデスリング総統の四腕から逃れる形でザ・スターが身に纏うレミニセンス・エニグマが垂直に飛び上がった。
 そのまま上空を滞空し、ザ・スターの身体を通して発現しようとするユーベルコードの名は『スーパー・ノヴァ』。
 金色のオブリビオンマシンが帯びていたエナジー・ゲートから降り注ぐ光が超新星の極光とへと変わり、ファーストヒーロー『ザ・スター』の所以がここに現れようとする。

「これは……受け止め甲斐があるではないか! グロロロロ!!」
「こんな時でもああ言ってるけど……私たちも巻き添えになるわね、絶対」
 持ち前のネガティブマインドで事あるごとにネガティブな思考である鬱詐偽だが、ここは彼女の言葉通りかも知れない。

「ああ、飛行すれば足場の崩壊を気にせずにキャバリア戦をやれましたか。と言っても、ユーベルコードが発動するまであと僅かだと時既に遅しですけども」
 呑気そうに新しい煙草に火を付けるエリーの言葉も、その通りだ。
 ここでキャバリアを召喚するにも時間は無く、何より猟兵自身でザ・スターを撃退して骸の海に還せば、不完全燃焼のデスリング総統がまたザ・スターを追い求めてアスリートアースへの帰還は遠のいてしまう。
 如何にしてデスリング総統を満足させ、ザ・スターも骸の海に送り還すか……。

「……デスリング総統は、バトル・オブ・オリンピアで新生フィールド・オブ・ナインのひとりとして私たち猟兵と闘い……ダーク王位決定戦に敗れた今は猟兵の協力者として先の戦争では助けられました。だからこそ、今がご恩をお返しする時なのかもしれません」
 自身も元はオブリビオンであって、バーチャルキャラクターのインターネットアイドルとして転生した経緯がある。
 故に激闘の果てに猟兵の配下となったデスリング総統に共感するところがあったのかもしれない。
 だからこそ普段のネガティブな考えを捨て、勇気を出して一歩踏み出して自身のユーベルコード『サウンド・オブ・パワー』を込めた応援の歌を歌い始める。

「……ああ、そうだな。おい、デスリング総統! オレも手を貸してやるから、ありがたく受け取れ!!」
 ナタクもまた偶然拾った謎のトイロボで狂気に陥り、同じトイロボ競技者の猟兵との勝負に敗れたことで正気に戻ると同時に猟兵へと覚醒した。
 同じ闇から光へと転じた仲間でもある鬱詐偽の姿を見てしまえば、普段はライバルムーブで気取っているが音は年相応の少年である彼も応援しよう。
 ナタクがデスリング総統に贈った声援ユーベルコードは、『応援の翼』。
 腹を括って勝利への意志を共有した今だからこそ、デスリング総統の背中に光の翼を授けたのだ。

「グロロロロ! これはありがたい。ワガハイの力のみで彼奴に挑むべきだろうが……ファンの声援を受けてれば、それに応えてこそのプロレス・フォーミュラである!!」
 コーナーに登ったデスリング総統が今も輝きを強めるレミニセンス・エニグマを見上げて、高らかに翔び上がる。

「フラーイング・ザ・スカーイ。高く飛び上がれ、大空のどこまでも」
「デスリング殺法! 燃える闘魂が、地の果て燃やし」
「……奇跡を呼ぶPOWER」
 3人の猟兵が送った即興の応援歌を背に、デスリング総統は風を切りながらザ・スターを見据える。

『自らやられに来るとは。良いだろう、海の藻屑と散れッ!!』
 一直線にこちらへと向かってくるデスリング総統を相手に、レミニセンス・エニグマも動いた。
 光り輝きながら急降下するそれは、まさしく一筋の流星ザ・スター
 このまま加速を強めれば、避けずに自身を受け止めたデスリング総統をそのまま海底深くまで沈めることが叶おう。
 だが……それを許さないの猟兵である。

「ぬおぉぉッ!?」
 刻々と近づくデスリング総統に狙いを付けた瞬間、ザ・スターの視界は青い炎で覆われたのだ。
 しかもそれは外部ではなく内部からの出火。

「らしくなく応援歌を送ってしましましたが、私としてはこっちの支援が性に合ってるのですよね。ま、発火能力パイロキネシスは専門外なんですけどね……」
 エリーのユーベルコード『|発火能力』。
 決して自身以外では消せないサイキックの炎が、ザ・スターのヘルメットのみを燃やしたのだ。
 当然ながらザ・スターに火傷を与えるのは困難だろうが、視界を奪うのみであれば十分である。

『グロロロロ! 翼を得たワガハイを前に臆したか!?』
 そして、それはデスリング総統も与り知らないこと。
 視界が奪われたことで失速ならびに軌道が反れたレミニセンス・エニグマを背後から羽交い締めしたデスリング総統は、そのまま互いの頭を下にして急降下!
 そのまま相手の頭部を杭打ち機で打たれる車止めよろしく地面に叩きつける空中殺法の名こそ……デスリング落とし!!
 デスリング総統の起死回生が見事に決まると、3人の猟兵はその勇姿に再び声援を送るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。