ジガンフィリア・ソドム・カオスージャ
●拝啓、グリモア猟兵様
「ゲヒャ~~~~ッヒャッヒャッヒャ! スーパーカオスドラゴン様だァ~~!!! またインクを作るための準備ができたので手助けを頼むゼェ~~! それじゃこれから場所と時間を言うゼェ~~~~!……」
●全裸の伝言
「やあみんな元気かな! 僕は変態だ」
多重人格者のグリモア猟兵、鳳鳴・ブレナンディハーフはグリモアベースに集った猟兵達に向けて恥ずかしげもなく自己紹介をしていた。ちなみに変態なのは二人いる人格のうちの一人である。
「ブルーアルカディアにいるスーパーカオスドラゴンくんからグリモア越しにお便りが届いたよ!
彼いわく──」
ブレナンディハーフは言いながら素早く服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になった。
全裸になるのは彼のユーベルコードの予備動作である。
「
完全変態・
身体改容!」
ブレナンディハーフの肉体がうねり、輪郭が曖昧になって変色していく。やがてその姿は、スーパーカオスドラゴンそのものとなっていた。
そして、スーパーカオスドラゴンに似せた声と口調で喋った。
「ギャ~~ッハッハッハ! オレサマがデビルキングダムワールドに帰るために悪魔契約書を書く必要があるのは知ってるかァ~~?!
そのためには専用の悪魔インクが必用なンだが、オレサマの悪魔インクは『極大のカオスを引き起こす』ことでしか作れないんだゼぇ!?
確かにオレサマなら混沌魔法で浮遊大陸のひとつふたつ丸ごとカオスにするくらいは容易いが、そんなものを残して帰ったら、どうしたってこの世界の皆様にご迷惑だろうがァ! そこンとこわかってンのか、クラァ!
ってことで! デビルキング様達におかれましてはその後始末をお願いするんだぜェ~~~!
オレサマが極大カオスを引き起こしてもどなた様にもご迷惑をお掛け致さない浮島を見つけておいたから、そこにお越しくださりやがれェ!
そんでまずは、極大カオスを引き起こすためにオレサマとバトルだ!
本気で暴れなきゃなンねぇから、百回は死ぬ覚悟で来るんだなァ!!!
それがうまくいったら、全てが崩壊を続ける『カオスの混沌領域』が発生するんだゼェ~~!
ここに現れるオブリビオンは、踏み込んだ者の『内心の脅威』……すなわち、かつての強敵の姿をオーラとして
まとい、襲いかかってくるンだが何が起こるのかはわかンねぇ! なンせカオスだからな! ギャ~~ッハッハッハ!!!
だが、もしもこれを『一切合切全て』倒し尽くすことができれば、大地を覆う混沌領域は消滅するゼェ!
ここまでやってオツカレサマってところだなッ!!
その後は酒と食い物を用意しといてやったからスーパーカオス飲み会で労をねぎらう用意があるゼェ!!!
ゲヒャヒャヒャ! どうだわかったか猟兵の皆様ども! ゲヒャ~ッヒャッヒャッヒャ!!
さあ心の準備はいいか!
ジガンフィリア・ソドム・カオスージャだァ!!!」
作戦名だろうか。
意味のない造語なので、調べても無駄である。
そこまでハイテンションで言い切ってから、ブレナンディハーフは元の姿に戻った。
転送に応じれば、すぐにでもスーパーカオスドラゴンの元に行くことができるだろう。
デイヴィッド
ハーイ! デイヴデース!
このシナリオは方向性が定まっていません。キャラ崩壊だけは辛うじてしないよう努力しますがご注意ください。特に第二章。
●第一章
スーパーカオスドラゴンと戦います。
デビルキングダムワールドの実力者である彼を一方的に圧倒することはまずないでしょう。
●第二章
カオスの混沌領域。
「あなたの考える強敵の姿と攻撃」を指定してください。
プレイングに多分に左右されますが、アドリブが足されてそれだけに留まらない可能性があります。
●第三章
スーパーカオス飲み会。
カオスです。
以上。皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』
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POW : ハイパーカオスチャージ
【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : アンリミテッドカオスファング
【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : マッドカオスフレイム
自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。
👑11
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「ゲヒャ~~ッヒャッヒャッヒャ!!!
よく来たな! お待ちしておりましたゼェ~ッ!」
転移を果たせば、転移前に見たスーパーカオスドラゴンとそう変わらないスーパーカオスドラゴンの本物があなたの目の前にいる。
見渡せば陽光を浴びて光る白い砂が地面を埋め尽くしており、所々に水晶の結晶が生えていた。
そして、その外側には無限に広がる大空がある。
「それじゃ! ……よろしくお願いいたしますゼェ~~~!」
スーパーカオスドラゴンは天空に向かって咆哮をあげると……三つの首で深々とお辞儀した。
エリー・マイヤー
はい、よろしくお願いします。
なんというか、毎回猟兵と殴り合わないといけなくて大変ですね。
あるいは、そういうカオスも楽しんでたり?
まぁ、なんにせよやることは変わりません。
お仕事お仕事。
サイキックエナジーを身に纏い、【念動アーツ】。
念動力を用いた高速かつ精密な動きで飛び回り、突進を回避します。
そして念動力でスーパーカオスドラゴンさんに干渉。
動きを止めるなり、攻撃を空振りさせるなりして隙を作りまして…
ぶん殴ります。
本当なら、こういう肉体労働は好きではないんですけどね。
今回の目的は、極大のカオスを引き起こすこと。
であれば、封殺するより、こうして全力で殴り合うスタイルの方が都合がいいでしょう。
たぶん。
「はい、よろしくお願いします」
エリー・マイヤーが、蒼穹を背にして立っていた。
自然のままの、乾いた風が吹き抜けていく。それはエリーにとっては心地のよくないものだ。
「おう! 今回も来てくれてアリガトヨ~エリー・マイヤー! ホント助かるゼェ! あっ煙草は吸ってくれて構わんぜ!」
スーパーカオスドラゴンはエリーを頭上から見下ろさぬよう長い首を曲げて視線をできるだけ下げて話していた。
そんな彼にエリーは言う。
「なんというか、毎回猟兵と殴り合わないといけなくて大変ですね」
「いや、オレサマは別になンとも思わねぇんだが、いつまでも居座っちゃこの世界の人達に迷惑だろォからなァ~何かの企みに巻き込まれてヘンなことしねぇとも限らねぇしなギャハハハハ! それに配下の奴らも肩身が狭い思いしてるだろうからよ、早く帰りたいって気持ちはあるぜ!」
「あるいはこの状況を楽しんでるかとも思いましたが、心配なこともあるのですね」
「いや、でもこの状況は楽しめるものではあるなァ! こうしてエリー達も来てくれてるしな」
「それは何より」
しばし世間話に花を咲かせる。
戦いが縁で知り合ったとは思えない和やかさだ。しかし彼がデビルキングダムワールドの悪魔であることを考えれば納得もいく。
「さて、ではそろそろ始めましょうか?」
「おう! 色々やることもあるしな。
じゃあいくぜぇ! カオスヘッダー!」
スーパーカオスドラゴンが混沌魔法カオスヘッダーを行使するや否や、周囲の鉱物を含んだ塵が陽光を浴びて輝きながら舞い上がり、その間から次々とスーパーカオスドラゴンが現れては空へと舞い上がっていく。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャッヒャ!」「グッフォッフォッフォ」「ケーケケケケケケ!」
声もデスボイスだったり甲高かったりと様々で、色も大きさ飛ぶ時の挙動も千差万別だ。万色のスーパーカオスドラゴンが大量発生した羽虫のようにブルーアルカディアの空に飛び交う。
エリーは身構えつつそれらを眺めていた。サイケデリックな色彩の乱舞を冷静に見つめ、自らもユーベルコードを発動し飛翔する。
エリーはスーパーカオスドラゴンの密度の少ない空間へと向かうが、スーパーカオスドラゴンは不規則な軌道で飛ぶため、突然急接近してきたりする。
一瞬たりとも気が抜けない。
(この数は確かに脅威ですが、しかし……)
エリーは冷静に状況を観察する。
スーパーカオスドラゴンの挙動そのものではなく、現状を俯瞰して見る。
いかに多くとも『体当たりで攻撃する』という関係上、多くは目くらましで本命の数は限られる。
そのことを念頭に置けば、攻撃をいなすことは出来るはずだ。
エリーはサイキックエナジーを身に纏わせ、攻撃のタイミングを計る。
スーパーカオスドラゴンがその巨体を叩きつけてくるのを避けること幾度。
(来る、本命!)
『自分がスキだらけになったタイミング』を察知して意識を集中し、サイキックエナジーを放出する。
発生した念動力の波が今まさに突撃してきたスーパーカオスドラゴンの一体に向けられる。
猟兵としての能力を一点に特化した念動力は、スーパーカオスドラゴンの突進の勢いを完全に殺し、空中に静止してみせた。
(そして、もう一体)
さらにもう一体が時間差で突っ込んできているのは読み通りだった。エリーは静止させたスーパーカオスドラゴンの後ろ側へと回る。
スーパーカオスドラゴンがスーパーカオスドラゴンに激突して火花を散らし、空中で大きく仰け反った。
弾き飛ばされたスーパーカオスドラゴンの身体にエリーは追随して飛ぶ。
……またとない好機だ。
「では、殴ります」
エリーは拳に念動力を集中させる。
そして、殴り付けた瞬間に、全てを解き放つ。
ガゴォ
…………!!!
スーパーカオスドラゴンの頑強な身体に強大な衝撃が加わり、蒼穹の彼方まで轟音が響き渡った。
そのスーパーカオスドラゴンは地面まで殴り飛ばされて砂地にめり込んだ。他のスーパーカオスドラゴン達も、全てが同一存在であるため飛び交うのを一斉に止め地面へと落下し、いくつもの砂煙の柱を立てた。エリーの一撃は、一時飛行不可能になる程のダメージを入れたのだ。
エリーはそれを見下ろしながら何度も深く煙草の煙を吸い込んでは吐いた。本当ならこういった、直接殴るなどという肉体労働は得意ではない。
しかし、スーパーカオスドラゴンを元の世界に帰すために、今は全力で殴るべき時なのだと判断した。
そのためなら不得意な事でもしようという、エリーの心意気だ。
「アリガトヨ、エリー……」
それは、スーパーカオスドラゴンにも伝わっていた。砂まみれになった肉体を起こし、上空のエリーを見上げて言う。
「これだけの気迫と力なら……オレサマも本気になれるってモンだゼェ……!」
成功
🔵🔵🔴
アーク・ベルゲン(サポート)
【人物像】
・冷静沈着で落ち着いた雰囲気の知的な男性
4、50代に見えるが、実際はもっと年嵩(100は余裕で越している)
・職業柄、他世界の植物や動物にも興味を抱きやすい。未踏の地の探索にも積極的
【口調】
一人称→私
二人称→君(きみ)、名指しの場合は~君(くん)、~嬢
語尾→だ、だな、だろう、なのか?
【戦闘】
・通常装備(装備欄1~6)や騎士装備(装備欄7~12)を使い分け、キャバリアや時には
艦にいる宇宙生物や攻性植物らに協力してもらう
・【代替要員】は貯蔵艦に変身こそ出来ないが、それ以外は本人と同じ
・攻めるよりは護る方に重きを置く
・弱者を甚振る敵には義憤を覚える(激昂はしない。冷静に対処する)
アーク・ベルゲンはキャバリア『Güvercin』の搭乗席から、無数に飛び交う万色のスーパーカオスドラゴンを見る。
Güvercinは翼を広げ、ブルーアルカディアの蒼穹を舞台に、それらとの戦いに挑んでいた。
「デビルキングダムワールドの悪魔か……あまりにも常軌を逸している。さすがスーパーカオスと名につくだけのことはあるな」
アークは操縦席でひとりごつ。相手取るのは彼から見て異世界の生命体。
強靭で、理不尽で、そして友好的な種族……『悪魔』の、『ラスボス』は数ある世界の中でも異彩を放つ存在だ。
今のアークの目的は、彼に本気を出させて『カオスの混沌領域』を発生させることにある。それはスーパーカオスドラゴンが元の世界に帰るために必要なことだ。
(どうでもいいが、『カオスの混沌領域』は意味が被っている)
口に出したいが、口には出さない。
あまりにもわざとらしいからだ。
飛び交うスーパーカオスドラゴンの群れに飛び込めば歓待とばかりにいくつもの個体が体当たり攻撃を仕掛けてくる。
「ギャ~~ッハッハッハァ~~!」「ようこそだぜェ、挑戦者!」「協力ありがたいぜ!」「喰らえェ~~~ッ!」
スーパーカオスドラゴンの心は本当に歓待していた。
一方で、アークは思う。
(しかし……この場所は生命力に乏しい。生きるものを傷つけたくないゆえにここを選んだのか)
ここは細かい鉱物に地上を覆われ、地表に透明な結晶が所々伸びている水晶の砂漠だ。動植物の気配はなく、乾いている。ためしにスーパーライフベリーを埋めてみたが一分経っても発芽しない。
(本気を出させるとなれば……手数を増やす他無い)
飛翔形態で敵を引きつけたアークは、機体を騎士形態に変形させ迎え撃つ。
「騎士アーク・ベント・ベルゲン。名ばかりの騎士ではあるが、私がお相手させて頂こう」
Güvercinがグレートソードを構え、礼儀として名乗りをあげた。
「オレサマはスーパーカオスドラゴンだァ! その剣でオレサマを倒せるか? 騎士サマよぉ!」
スーパーカオスドラゴンも応えてその立場に相応しい名乗りをあげる。
騎士が怪物に挑むという、伝統的な物語の構造がそこにあった。
追いすがるスーパーカオスドラゴンは、三つの首それぞれで大口を開け、牙をむいてGüvercinに噛みつき攻撃を仕掛ける。
三ヶ所に喰らいつかれれば、バラバラに食い千切られるのは必至。
アークは、攻防一体の剣技でこれに対応する。
盾で迫り来る首を押さえつつ身体を回転させ、その勢いで斬りつけつつ離れる。
続けざまに襲いかかるスーパーカオスドラゴンも、避ける動作と攻撃の動作を一体として斬りつけつつ離れる。
それを繰り返し、スーパーカオスドラゴンの攻撃が途絶えた瞬間に、飛翔形態に変形。
同時に、空間に裂け目が生じ、そこから巨大な砲身が突き出る。
それは、本来の姿が巨大な艦船であるアークの、超空間を通じて喚び出した艦載砲だ。
アークに攻撃を仕掛けたスーパーカオスドラゴンの群れに向けて、幾度も砲撃が放たれる。
爆音が蒼穹に轟き、爆煙が巻き起こった。
そして、飛翔形態のGüvercinだけが、そこから飛び去っていく。
成功
🔵🔵🔴
ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)
探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ
戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
ブルーアルカディアの空に白く巨大な影が浮かび上がった。
それは人の形をした、巨大な白い風船のように見えた。
その正体はガムゴムフォームを使用し、空気を注入して大きく膨らんだネッド・アロナックスだ。
(また にげられない しごとばに きてしまった)
ネッドは思う。今回の依頼内容は『スーパーカオスドラゴンの帰還のためのインク集め』。具体的には、スーパーカオスドラゴンが本気で暴れてカオスの混沌領域を発生させた状況の後始末だ。
今はカオスの混沌領域を発生させる前段階として、スーパーカオスドラゴンが本気で暴れられるように追い詰める段階だ。
攻めの姿勢が要求される。
(しかたが ない)
来てしまったのだから。
それに仕事さえこなせばいくらでも素材を拾っても文句は言われないのだ。ならば自分に求められている役割をさっさと果たしてしまうに限る。
そんなわけでガムゴムフォームを使い膨れ上がり、巨大な姿になってスーパーカオスドラゴンを見下ろしていた。
その状態で挑発する。
「スーパーカオスドラゴン かかってこい おれが あいてだ」
……あんまり迫力は出なかった。
「ギャ~ッハッハッハ! 胸を借りるゼェ!」
が、目立つことはできた。何しろとんでもなくデカい。アドバルーンのようなものだ。カオスヘッダーで増殖したスーパーカオスドラゴンの何体かがネッドへと向かっていく。
不規則な軌道で飛びかかってくるスーパーカオスドラゴン達を、ネッドはガムゴム化した腕を伸ばして絡め取ろうとする。
粘着力を増した腕が巻き付けば、離れるのは容易ではない。
透明の膨らんだ部分と伸ばした触腕は、カツオノエボシを連想させる。
(けど やってることは)
毒針がなくて粘着力で絡め取っているので、実態は『ハエ取り紙』に近い。
「マッド・カオス・フレイムゥゥゥ!!!」
一方でスーパーカオスドラゴンは突撃だけでなく混沌の炎を巻き起こして攻撃してくる。
色と輪郭の定まらぬその炎は、属性を変え続ける。
絡め取られたものを含む何体ものスーパーカオスドラゴンが混沌の炎でネッドを炙る。
(ガムゴムフォームは しょうげきと でんげきには つよい しかし)
ネッドは思う。属性を変え続けるそれを、いつまでも耐えていられるものか。
……だが、ネッドに攻撃を仕掛けるスーパーカオスドラゴンの個体全てに、ミサイルが飛来し、次々と爆発が起こった。
「悪いが、囮として利用させてもらった」
水晶の砂漠を駆ける、白と青のキャバリア。
サイキックキャバリア、アクアブループラチナⅡ。
陽光を浴びて光るその機体を駆るのはアス・ブリューゲルトだ。
「出し惜しみはしない。ヴァリアブル・ウェポン、全弾発射!」
アスはアクアブループラチナⅡを全速力で高速移動させながら、脚部からミサイルと弾丸を発し、スーパーカオスドラゴンを攻撃する。
その苛烈さは、周囲を飛ぶスーパーカオスドラゴンを全て叩き落とすほどだった。
「まだだ。この程度で終わっては全力で戦おうとする者に失礼だからな」
アスはアクアブループラチナⅡの全武装と、その操縦技術の全てを駆使して攻める。
それを察したスーパーカオスドラゴンはアクアブループラチナⅡへと向かうが、地表すれすれまで降下したネッドが、アスへと向かう個体に腕を伸ばして絡め取ろうとする。
今のネッドはキャバリアよりもはるかに大きい。アスはネッドの周囲を器用に立ち回りながら、ネッドを利用して攻撃を防ぎつつ、なおも攻撃を続けた。
「スーパーカオスドラゴンよ。元の世界で、お前を待っている者がいるのならば」
攻撃とともにアスは言葉をかける。今だ再会の叶わぬ家族の事が、脳裏をよぎっていた。
「早く帰れることを、俺は祈っている」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
川村・育代
お困りみたいだから、手伝うわね。
困ったときはお互い様だから。
とは言っても、まともにぶつかると勝ち目が無さそうだから、連鎖する呪いで予想外(あたし自身も予想出来ない)のアクシデントを発生させてカオスヘッダーを暴発させて自爆させたり逆にこちらを回復させるなど相手の力を利用する方向に持っていくわ。
その方がよりカオスな展開になるしね。
あと、アドリブ連携何でもありだからどんどん動かしてね。
その方がよりカオスで面白いから。
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
「……世界に蔓延る悪を懲らしめる……ネガティブアイドル鬱詐偽さん……ただいま参上
…………。
はぁ
………………。
今回の『鬱るな!鬱詐偽さん』はカオスの混沌領域を発生させようとしているスーパーカオスドラゴンさんの様子をお送りします……。
…………何を考えているの
…………。
私なら極大のカオスの最中に放り込んでも大丈夫だと思っているの
…………?
大丈夫じゃないわよ……。
これが初めてじゃないからとか、そんなことは関係ないのよ……」
音駆螺・鬱詐偽は絶望していた。
プロデューサーの推薦状をグリモア猟兵(変態)が受け取ったのが悲劇の始まりだった。他のグリモア猟兵だったら良かったのかと言えば……そうは言い切れないが……。
ともかく『番組』の撮影をしないわけにはいかなかった。
「……だいじょうぶ?」
そんな欝詐欺に声をかける者がある。見ればその姿はランドセルを背負った女子小学生。警戒心を抱かせない姿に欝詐欺は安堵するが、なぜこんな所に、という疑問が生まれる。
「……あなたは?」
「あたし、川村・育代! 教育支援用バーチャルキャラクターだったんだけど、いじめで不登校になった子の怒りや悲しみとか、病気で長期入院している子の苦しみや死の恐怖とか、いろんな負の感情を吸収して自我と力に目覚めた猟兵なの!」
「……だれか助けて……」
欝詐欺の目がさらに欝になっていく。
「どうしたの、困っているなら力になるよ?」
育代としては、スーパーカオスドラゴンが困っているだろうと思ってここに来たのだが、むしろ欝詐欺の方が困っているように見えた。
育代も困らせてる原因の一つなのだが。
そんなやり取りをしているのをスーパーカオスドラゴンが見過ごすわけはなく、猟兵を戦いの場に引摺り込もうと上空から二人に襲いかかってくる。
「ゲヒャーッハッハッハッハ! あんまり焦らすんじゃないゼェ~~~!」
「!」
「危ない、避けて!」
欝になっても猟兵、欝詐欺は育代に言われるよりも早く反応し、スーパーカオスドラゴンの体当たりを避ける。
スーパーカオスドラゴンは通りすぎて空中で旋回すると、再び二人の元へと飛来する。
「えいっ!」
育代は落ちていた石を投げてから、身をかわそうとする。
投石など意に介さないスーパーカオスドラゴンは、今度は体当たりせず、空中で減速した。
「マッド・カオス・フレイム!!!」
混沌の炎がスーパーカオスドラゴンの眼前で巻き起こり、それは渦を巻きながら二人を呑み込もうとする。
「きゃあ─────っ!
…………………………あれ?
……なんとも……ないわ……」
悲鳴をあげた欝詐欺だが、何の損害も受けてないことに気づいた。ただ、視界の端に何かがあった。
「…………眼鏡だわ……私いつの間にこんなものかけてたの?」
「眼鏡属性の炎だったんだねー」
見れば育代も眼鏡をかけている。
二人とも結構似合っているとお互いに思ったが、それも一瞬。
「待って。何、眼鏡属性って」
「マッドカオスフレイムは『属性を変え続ける混沌の炎』を発生させるユーベルコードなの」
「いやだから眼鏡属性って何!」
「見て、あそこ」
少し離れた所では、二人のマッドカオスフレイムがいる。『二人』としたのは……そういうものだと思ってもらうしかないからだ。
「あるなしクイズ考えたんですよ。一つめは『一部の猟兵にはあるけど、他の猟兵にはない』」
「わかった! 向上心!」
「なんでですか?」
「あいつらとにかくずっとレベルがカンスト付近だから。シナリオに一般参加しててサポートも切らさない。イラストも発注しまくってギャラリーがバカでかくなっているし、中には大体同じだろってイラストが複数ある。水着やハロウィンの仮装なんて毎年増えるのは当たり前で、バレンタインデーに毎年お菓子を作ったり奇行に走ったりして目立つのも欠かさない。だから正解は向上心!」
「ちがいます」
「いいや向上心!」
「いいやってことはない」
「いいや向上心だろ!」
以下延々と一部の猟兵をいじり続けるトークとツッコミが続く。
「あれはお笑い属性のマッドカオスフレイム」
「お笑い属性のマッドカオスフレイム?!」
育代の言葉を繰り返す欝詐欺。
「あたしのユーベルコードが効いたんだねっ!
今スーパーカオスドラゴンさんは『連鎖する呪い』の効果を受けて次々と発生する『不慮の事故』に見舞われてるの!」
さっきの投石が起点となったのだ。
「事故?! あんなのが?!」
「こうしてる間にも生えてきた混沌物質がチョコレートの甘い香りを発してあたしたちを癒してくれてるよ!」
「無理矢理バレンタインデーに寄せるの止めない?」(※これを書いているのは2/16)
「大丈夫だよ! 普通の衝突事故も起きてる!」
「安心する要素が何一つない!」
上空でスーパーカオスドラゴン同士が激突して、一体が地上に堕ちたのである。
「……こりゃ始末書じゃ済まないゼェ……」
などとスーパーカオスドラゴンが呟くと、突如として混沌物質がそのスーパーカオスドラゴンに乗り込み、発進させた。
そして他のスーパーカオスドラゴンに攻撃をし始めたではないか。
「スーパーカオスドラゴン! 一方的に生やされる痛さと怖さを教えてやろうか!」
「なにィ~~?! 混沌物質の気持ちまでは考えたことがなかったんだぜ……!」
「混沌物質がスーパーカオスドラゴンに乗り込んで他のスーパーカオスドラゴンと戦ってる? どういうことなの……」
「不慮の事故だよ!」
地の文ですが、説明を放棄していいですか。
……ともかくなんやかんやでスーパーカオスドラゴン同士が同士討ちをし始めた。
「こっちにゃ不利だがカオスは加速した……! いい感じだゼェ!」
スーパーカオスドラゴンは特に対処はせず、そのまま戦いを続ける。
一方で欝詐欺は。
「なんなの……なんなのこれ……情報が多すぎる……理解できない……怖い……いやぁぁぁぁ! 来ないでぇぇぇ!!!」
……恐怖して、叫んでいた。
同調するように叫び声が轟き、歪んだ形の者達が召喚される。
およそ160体近くの、バロックレギオンが。
「負の感情から生まれた子達なら、あたしの呪詛も乗せて!」
それらの叫び声に、同調したのか。
育代は負の想念を解き放つ。
子供達の怒りや悲しみ、苦しみや死の恐怖が、バロックレギオン達を通して具現化する。
ホラー映画のクリーチャーみたいなバロックレギオンの群れが世にも恐ろしい呻き声をあげながらスーパーカオスドラゴン達と大乱戦を始め、場はさらに混沌としていった。
「いい殺意じゃねぇか……! こっちも気合いを入れ直していくぜ」
その冥い殺意はスーパーカオスドラゴンの背筋をも寒くし、
緊張感を上げ、戦いとカオスはさらに度合いを増していく。
「言っていい? こういう能力を使ったときのお決まりのセリフ、いくよ!」
育代はタメを作ってから、力を込めて言った。
「おまえの最大の不幸は、あたし達を敵に回したことだ……!」
「一番不幸なのは私よ……!」
欝詐欺が顔を覆って言った。
今回に限っては、そんなことはない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――
起動!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「
神機召喚――
起動!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
ニコリネ・ユーリカ
んンッ、出発前に一瞬アイスランド人の全裸を見たような気がしたけど(目頭をおさえる
要するにデンマーク出身の私も裸一貫で、全力勝負すればいいって事ね??
出立時のインスピレーションを信じて私も変態!
UCで己の胸に槍を突き立て、スーパーカオスドラゴンと同サイズ同ウエイトになり
テンションや礼儀正しさも相手に倣って高め、敬意を胸に挑みましょ
ゲヒャ~~ッヒャッヒャッヒャ!
必ずやお家に帰してあげるゼェ~!!
四色ボールペンを杖に変え、飛躍した行動速度と知覚力で属性を変え続ける炎に属性魔法を返しつつ、相殺した隙に全力突進!
ギャ~~ッハッハッハ!!
お世話ンなったドラゴンさんに百回死ぬ覚悟で捨て身のタックルだぜぇ~!
──要するに、
──私も裸一貫で、全力勝負すればいいって事ね??
全裸のアイスランド人を垣間見た(残念ながら実在)デンマーク出身のニコリネ・ユーリカは、SAN値チェックに失敗したのか、激情を抱いて転送を果たした。
蒼穹をバックに万色のスーパーカオスドラゴンが飛び交っている空間を前にしてニコリネは、空間を抱くように両腕を広げ、そして言った。
「完全変態・身体改容!」
全裸のアイスランド人のようにすぐさま肉体に変異は起こらない。そもそもニコリネが使ったユーベルコードは
Flowers for Charlieである。その効果によって虚空に現れたものをニコリネは両手を添えて持つ。
それは目には見えず、花の馨のみを漾わせる槍だ。
ニコリネはそれを手にし、目を見開いて自らの胸を貫いた。
だが、その槍は、貫いた者を傷つけない。
代わりに、『交戦相手と同値の身長と体重を与える』。
ここで、ニコリネの肉体が変異を始める。
身長と体重は、スーパーカオスドラゴンと同じ。
同じ身長かつ体重ということは、肉体の密度も変わるということであり、見た目も当然変わる。その姿は以下のようだった。
スーパーカオスドラゴンのものと似た外皮に全身が包まれ、体つきは女性的で、頭からは金色の髪が靡いている……拘束具の取れた某汎用人型決戦兵器だこれ……ニコリネ・スーパーカオスドラゴン態と言うべき姿がそこにあった。
「ゲヒャ~~ッヒャッヒャッヒャ!
スーパーカオスドラゴン! 今行くゼェ!
オレサマがお前を必ずやお家に帰してあげるゼェ~!!」
ニコリネは彼女なりのデスボイスで高笑いとともに宣言し、スーパーカオスドラゴンに向けて上半身を全く揺るがさずに高速で走った。
喋り方にもリスペクトが見られる。
「ゲヒャ~~ッヒャッヒャッヒャ!
そのカッコ、キマッてんじゃねぇかおめぇ!
気合いも充分だなッ! コイツは期待できそうだゼェ~!」
スーパーカオスドラゴンも大喜びで笑い返し、カオスヘッダーの効果で群れとなった同一存在を複数体、飛びかからせ、ニコリネを包囲する。
「マッド・カオス・フレイム
!!!!!」
そして一斉にニコリネに向けて混沌の炎を放った。
ニコリネはこれに対し、手の中に収まる四色ボールペンが変化した杖を握り締めて振るうとともに言の葉を紡ぐ。
「
華よ、万色に狂い咲け」
すると激しく吹き荒れる嵐となった混沌の炎の中に、薄紫の美しい花が咲き乱れる。それは、荒れ狂う嵐を沈静化させた。
「ギボウシの花言葉は『落ち着き』『静かな人』『冷静』『沈静』『沈黙』……ギャ~ッハッハッハ!
属性攻撃はオレサマも使えるんだゼェェェ!!! イエ~~~~ッ
!!!!!」
本家より若干テンションが高い。
「マッド・カオス・フラワーは周囲の属性に反応して色と形を変え、反対する属性で相殺する属性魔法攻撃の応用!
これでマッド・カオス・フレイムは怖くねぇゼェ~~! ヒーーーーハーーーーー
!!!!」
ニコリネはジャンプして空中のスーパーカオスドラゴンの一体の脚を掴むと、地面に叩き付けた。
そして拳を何発か食らわすが、スーパーカオスドラゴンは蹴りでニコリネを引き剥がし立ち上がる。
「やるじゃねぇか! だがそっちは1人! オレサマは団体サマでお越しだ、どうする?!」
「ゲヒャ~ッハッハッハ! 団体でも同一存在! そちらにすりゃ反撃を受ける機会が増えてかえって危険だろうがァ~!」
「ほざいたなァ! 何発殴られようが屁でもねぇゼェ! 簡単にくたばんなよォ?!」
混沌の炎の中に混沌の華が咲き乱れる最中、ニコリネとスーパーカオスドラゴンの集団は激しく殴り合う。
マッドカオスフレイムで生じた混沌物質はスーパーカオスドラゴンを癒すが、戦いの最中でニコリネはそれをもぎ取って傷口に当て、半ば強引に傷を癒す。
一進一退のまま両者の格闘は続いた。
「あれ……猟兵……よね」
そんな様子を鈴乃宮・影華は目にした。彼女は今戦場に到着した所だった。
あれというのは、人知を越えたニコリネ・スーパーカオスドラゴン態のことである。
「スーパーカオスドラゴンと互角に戦っている……でも互角では……スーパーカオスドラゴンの力をそれ以上引き出すことはできない……」
意を決した影華は、懐からイグニッションカードを出す。
「
神機召喚──
起動!」
影華は解き放った。カードに封じられたサイキックキャバリア、祈光風神機『レガリア・ベルクス』を……。
レガリア・ベルクスに乗り込んだ影華は、白い流星となって駆け、一直線にニコリネと格闘しているスーパーカオスドラゴンに向かって体当たりをかまし、それを引き剥がした。
さらには武装の限りを尽くして周辺のスーパーカオスドラゴンに攻撃を仕掛ける。
「猟兵の方ですね!」
そしてスーパーカオスドラゴンの攻撃が止んだタイミングにコクピットを開き、ニコリネに呼び掛けた。
「はいッ、そうですッ!!」
ニコリネは一瞬で素に返って返事を返す。
「今から私はユーベルコードであなたを強化させます。黒燐蟲となった私が寄生することで!」
「それは、願ったり叶ったりだわ!」
思う所は同じ。
事態の好転、スーパーカオスドラゴンを故郷に返すという共通の目的のために手を取り合う。
「寄生、よろしくお願いね!」
「では、いきます──!」
影華はコクピットからニコリネに向かって跳んだ。一瞬遅れてレガリア・ベルクスがイグニッションカードに収まる。
「彼の力を以て世界に取り憑く──私の運命、あなたに委ねます!」
ユーベルコード・
新生・黒燐憑依法を発動させると、影華の姿は黒い靄の集合体となってニコリネの体を覆った。
そして、その姿が変わっていく。
全身が黒く染まり、体の周囲に黒い靄のような黒燐蟲が漂う。背からは揚羽蝶のような黒い翅が生えているが、これは全て展開した黒燐蟲だ。下半身にはスカートのように広がっている。所々が変化を繰り返す鮮やかな色に輝いているのは混沌とした肉体の影響だ。
黒燐奏甲ニコリネ・スーパーカオスドラゴン影華憑装態、というべき姿へと、さらなる変化を遂げた。
黒燐蟲と言っても表面を覆い尽くす黒い虫が蠢いているということはなく、それはすべて黒い靄のように見える。
「二段階変身とはな! やってくれるじゃねぇかァ~~~! ギャーッハッハッハ!」
スーパーカオスドラゴンは感心しつつ、ニコリネ+影華に対して集団で襲いかかる。
だが、それらは彼女(達)に接近した所で、一瞬にして収縮した黒燐蟲が一気に拡散する黒い波動となってスーパーカオスドラゴン達を吹き飛ばした。
「ムダだぁ! 今のオレサマ達は前代未聞に無敵!」
ニコリネ+影華は右肩に黒燐蟲を集中させ、高硬度・高密度の
衝角を形成する。
そして凄まじいスピードで駆け、衝角から激突して周り、周囲のスーパーカオスドラゴンを薙ぎ倒した。
「ギャ~ッハッハッハ! 今こそ沢山お世話ンなった恩に報いる時だゼェ~~~!!!」
そして黒燐蟲によって形成された蝶の翅を広げ、スカートを風に靡かせる。
そこから黒燐蟲が凝縮された黒い弾丸が雨霰と群れと撃ち出され、スーパーカオスドラゴンの集団に向けて降り注ぐ。
その中のいくつかは『
華よ、万色に狂い咲け』が含まれており、着弾点から咲いた花が、色を変えながら変わり続ける属性の魔法を発し続けた。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ
!!!!!!!!」
スーパーカオスドラゴンはもはや雄叫びをあげ、喋ることも捨ててその力で黒燐蟲の弾丸を相殺し続け、反撃に移ろうとする。
持てる力の全てを駆使して、ニコリネと影華が起こした奇跡の合体に、そして今なお戦う他の猟兵達に立ち向かっていた。
やがて……それは起こった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『カオスより来る敵』
|
POW : 気合とパワーで正面からぶっ飛ばす。
SPD : 過去より成長した自分の技を振るい、強敵に打ち勝つ。
WIZ : 強敵の憑装を何らかの手段で弱め、その隙を突く。
|
一瞬、空が赤黒く染まったかと思うと、やがてゆっくりと色を変え始めた。それは一色に留まることはなく、変わり続ける。
砂漠に生える水晶が、徐々に塵となって霧散していくのが観測できた。
風はもう吹かない。周辺に存在するのは、もはやブルーアルカディアの空気ではなかった。
あるいは、デビルキングダムワールドの何処かであれば味わえる感覚かも知れない。
「来たぜ! 来たぜ! 来たぜぇ
!!!!!」
スーパーカオスドラゴンが猟兵達に報せるように言った。
「この島は今、カオスの混沌領域にある!
ゲヒャハハハハハハハ! ここからが本番だァ!
頼んだゼェ!」
●第二章
カオスの混沌領域。
「あなたの考える強敵の姿と攻撃」を指定してください。
プレイングに多分に左右されますが、アドリブが足されてそれだけに留まらない可能性があります。
なおサポートプレイングのリプレイに登場する敵はMSが適当と思われるものを過去に参加したシナリオやキャラ設定を参照して選びます。
冷泉院・卯月(サポート)
勿論お仕事は大事ですけどぉ、折角なら珍しい物や新しい物も見つけたいですよねぇ~。
あ、ご一緒される方がいらっしゃればぁ、一緒に頑張りましょうねぇ~。
あまり戦闘は得意ではないですけどぉ、ぶちくんとたれちゃんの力も借りてぇ、頑張っちゃいますよぉ~。
遠距離なら二人に短杖になってもらって魔法弾を撃ったりぃ、
接近戦なら二人で力を合わせて杵になってもらって頑張っちゃいますぅ~。
パラドクスは状況に応じて臨機応変に使いましょうかぁ~。
戦闘以外なら運転なんかも得意なのでぇ、何処へでもお届けしちゃいますよぉ~。
道中も楽しいことが見つかるといいですよねぇ~。
冷泉院・卯月は、カオスの混沌領域の最中にいた。
スーパーカオスドラゴンの帰還のために必要なインクを得るため引き起こされたそれの後始末をつけるためである。
「わたしの考える強敵が現れる……」
のんびりした性格の彼女だが、『かつて戦った強敵が現れる』というこのカオスの混沌領域についての情報を聞いて、さすがに緊張していた。
やがて、留まらず色を変え続け、遠くまで見通すこともできない周囲の空間から、滲み出るように、巨大な影が現れる。
……それは、とにかく巨大だった。
見間違うはずもない。
あの巨体は、獣人世界大戦において戦った、超大国ゾルダートグラードの支配者。
幼女総統ギガンティックだ!
「なぁんだぁ~。ギガンティックさんでしたかぁ~」
それを見た卯月は、安堵していた。
卯月が戦った戦場では、ギガンティックはあまり強敵感を出さない内に倒されたからである。
「ご挨拶だな猟兵。確かに吾輩はかつて貴様達の集団戦法に遅れを取った。……だが今は戦力を集中できまい。今こそ吾輩の力、思い知らせてくれる!」
ギガンティックは卯月を数百メートル上から見下ろし、大きな瞳に怨念を燃やす。幼い声は、鋭さを孕んで遠くまで響き渡った。
「わぁ、すごいやる気ですねぇ~。わかりましたぁ。それならわたし1人でギガンティックさんを手玉にとりますよぉ~」
対する卯月はすぐさまユーベルコードを発動する。
ギガンティックが
シュリヒトゲヴェーアを構えるよりも発動は早い。
上空に月が輝き、カオスの混沌領域を金色の光が照らした。
「貫けッ! 超超巨大ビィィィィィムッ!!!」
だが、ギガンティックの攻撃を阻むものではない。卯月に狙いを定めない内から、
シュリヒトゲヴェーアの引き金を引き、銃口から高出力のビームを放つ。
それは周囲の水晶の砂漠の砂や水晶を一瞬にして赤熱させ、溶解させていく。
だが卯月の足はビームの照準に納まるよりも早くギガンティックの足元へと駆けていた。
兎は自然界においては狩られる側というイメージが強いが、その俊敏さは誰もが知るところだ。兎のウェアライダーである彼女は、その脚力を存分に発揮していた。
そして今、彼女の手足はユーベルコード・フルムーンブレイクにより狂月化しており、優れた殺傷力を誇る凶器となっていた。
勢いのまま、ギガンティックの足元に到達し、
地面に両手についての両足同時蹴り!
左踵を穿ち抜き、ギガンティックの巨体がバランスを崩して倒れてくる。
頭上から崩れ落ちてくるギガンティックに対して、卯月は地面から拳と蹴りのコンビネーションで迎え撃つ。
巨体が衝撃を受け、何度も大きく波打った。
(吾輩が、力押しで圧倒されるだと
……!?)
幼女総統ギガンティックは驚愕した。
埒外たる猟兵の戦いの場において、体格差は時としてアドバンテージ足り得ない。
最後には、全身を大きく折り曲げてからの両足蹴りで、ギガンティックはカオスの混沌領域の外まで蹴り飛ばされた。
「それでは、ごきげんようぅ~」
最後に卯月は、優雅に一礼。
淑女の嗜みだった。
成功
🔵🔵🔴
エリー・マイヤー
来ちゃいましたか。
それでは早速お掃除させて頂きま…
げっ、サンサーラさん。
当時の私一人だと、絶対に勝ち目のなかったやつですね。
ですが、今の私はあの頃とは違います。
キャバリアを使いこなせるようになった今の私なら、きっとどうにかできるはずです。
ということで、アレクサンドラさんを召喚して搭乗。
そのまま【念動ローディング】です。
念動フラッドで守りを固めつつエナジーを確保しまして…
強制転生光には念動バラージ。
大量の弾丸を放ち、放ってくる光ごと敵をぶち抜きます。
サンサーラノヴァには念動サーチ。
五感以外の感覚を用いることで対処します。
サンサーラディーバには念動ディストーション。
空間そのものを歪めて砕きます。
「来ちゃいましたか」
周辺の様子が変わり、スーパーカオスドラゴンの報せを受けて、エリー・マイヤーはカオスの混沌領域が展開されたことを知る。
落ち着きなく変わり行く空間の色、どこまで見えているのか奥行きが解らない風景に、やがて劇的な変化が現れた。
上方から、強烈な光が差して何かが降りてくる。
「それでは早速お掃除させて頂きま……」
敵の出現を察知して意思を向けるエリーだが、そこまで言って絶句した。
「……げっ、サンサーラさん」
降りてきたその姿は、帝都櫻大戦で幾度となく戦った、神王サンサーラだったのだから。
「クハハハハハハハ……クハハハハハハハハハハハハ!」
だか何か様子がおかしい。
狂ったように笑っており、目が虚ろで、放っている光も神々しいというよりギラギラして有害じみている。
帝都櫻大戦では意識は未だ残っていたサンサーラだが、心までオブリビオンに堕ちきってしまえばこうなるだろうか……そういう印象を受ける。
「堕落サンサーラ……あるいは反転サンサーラといった所でしょうか」
カオスの混沌領域に出現するオブリビオンは、相対するものの心を反映し、記憶に残る強敵の姿を憑装するもので、それそのものではない。カオスの影響も受けているのだろう。
だが、エリーの勘はこの敵が単に見た目だけを真似たものではないと告げていた。
「当時の私一人だと、絶対に勝ち目のなかったやつですね。
ですが、今の私はあの頃とは違います。
キャバリアを使いこなせるようになった今の私なら、きっとどうにかできるはずです」
意志を挫かれず、立ち向かおうとするエリー。
それに応えるように、空間を越えて、大柄な影が傍らに現れる。
変異する前の空の色にも似た鮮やかな水色の、鋭角的なサイキックキャバリア。
エリーの愛機、アレクサンドラだ。
「頼みますよ、アレクサンドラさん」
エリーはアレクサンドラに搭乗する。
アレクサンドラはエリーの意志に応えるように、砂を巻き上げて駆け、反転サンサーラへと向かっていく。
反転サンサーラは、本物であれば決してすることのなかったであろう、害意と殺意を剥き出しにした視線をエリーに向ける。
「グガァァァァ!」
理性を感じさせない雄叫びと共にユーベルコードが発動する。
瞬時に広がる、広大無辺の仏国土……いや、仏国土などではない。鬼どもが罪人を無限に苛む、地獄道だ。
サンサーラディーヴァより、サンサーラナラーカの名が相応しいだろう。だがその効果はオリジナルに劣らない。
エリーに襲い来る効果は、反転サンサーラへの到達不能!
「アレクサンドラさんに籠められたユーベルコードの力ならば……」
エリーは操縦席でユーベルコードを発動する。アレクサンドラには、ユーベルコード『
念動ローディング』の効果により複数のユーベルコードが籠められている。
「まずはこれです」
アレクサンドラの全身から、無尽蔵のサイキックエナジーが迸った。
念動フラッドによるその効果は、エリーへのあらゆる干渉を無効化する。
これは敵の攻撃への対処だ。
「そして、この厄介な術は……術ごと叩けばいいだけです」
続いて、念動ディストーションが発動する。
圧倒的な念動力が空間に働き、ねじ曲げ、時空に作用する術や効果を破壊した。さらに場に残る力はエリーとアレクサンドラに優位に働き、戦闘力を高める。
これにより広大無辺の地獄道は消え失せ、アレクサンドラの道行きを阻むものはなくなった。
「アアァァァァ……アアァッ!」
反転サンサーラは忌々しげに唸ると、アレクサンドラに眼光を向けた。
害意と攻撃性に満ちた光がアレクサンドラに向けられる。
強制転生光、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる悪しきサンサーラの光!
「アレクサンドラさんと私の力ならば、光を撃ち抜くぐらい……」
アレクサンドラはそこで一旦、足を止める。周囲の空間が歪み、念動力の弾丸が無数に発射された。
念動バラージだ。
空間を覆い尽くすほどのそれは光を撃ち、歪め、アレクサンドラに到達させない。
強制転生光といえど、圧倒的な力の前には消え失せる他なかった。
だが、反転サンサーラはその時にはすでに次の一手を打っていた。
「怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒」
両手を翳して詠唱する、恨みと怒りに満ちた言葉の羅列。
サンサーラノヴァ、毒々しい輝きに満ちた、反転神王光が放たれる。その効果は、五感の剥奪!
その効果からはエリーも逃れることはできず、何も見えず何も聞こえず何も嗅げず何も感じなくなった。
(この状態であっても……今の私達ならば)
エリーは静かに、アレクサンドラに籠められた次なるユーベルコードを発動する。
(…………いましたね)
エリーは察知した。放った念動力の波で、エコーロケーションの如くに目標の位置を知るユーベルコード、念動サーチによって。
容赦のない、念動力の限りを尽くした一撃が反転サンサーラに叩き込まれる。
「苦餓嗚呼ァァァァァッ
!!!!!!」
反転サンサーラが苦しげに叫ぶ。一撃を受ければ戦闘続行不能というサンサーラの性質を受け継いでいたのか、その姿はかき消えた。
やがてエリーは五感を取り戻し、目の前の敵が消滅していたことを確認した。
「今は、もう過去とは違うのですよ」
念動ローディングもアレクサンドラも、帝都櫻大戦の頃にはなかった力だ。
かつての戦いでは協力者の存在があってようやく勝てた相手。だが、今日は協力者無しで勝利を得た。
当時も示し続けたように、エリーは今日もまた示したのだ。
今を生きるものは、過去に負けることはないと。
念動力に一点特化し、それを応用した多彩なバリエーションのユーベルコードを所持するエリー。彼女は今も、進化を続けている。
大成功
🔵🔵🔵
モニカ・ランフォード(サポート)
オラクルの魔曲使い×国民的スタア、22歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、団員には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
『カオスの混沌領域』……。スーパーカオスドラゴンが悪魔契約書のインクを得るために発生させる必要のあるそれを、用済みになった後に消滅させるという目的のため、モニカ・ランフォードはここブルーアルカディアまで来てはみたものの、内心、どうなるのかまったく予想もつかなかった。
(かつての強敵って…………だれ
…………?)
カオスの混沌領域においては踏み込んだ者の『内心の脅威』である、かつての強敵の姿をオーラとしてまとい憑装したオブリビオンが襲いかかってくる。
が、モニカはエンドブレイカーとしても猟兵としても、特筆すべき強敵と言えるほどのものと戦ったとは言えない。強敵と言うからには、苦戦させられたとか、周りも強いと認めているようなある程度名前の知られた敵や、戦場で重要なポジションをつとめていた敵でなくてはならないだろう。
誰も現れなくてもそれはそれで困る。その敵を一切合切倒さなくてはカオスの混沌領域は晴れないのだ。
しかし、待つことしかできない。何が起こっても驚かないと心に言い聞かせ、モニカは変わり行くカオスの風景を眺めた。
……だがそれは、思いの外長くかからなかった。
遠くから人影が近づいてくる。それはやがて、かなり大きめのサイズだと解った。キャバリアよりも一回り大きい。姿形も尋常のものではなかった。それは女だった。銀色のウェーブがかかった長い髪を靡かせ、周囲には花が咲き乱れた薔薇の蔓をはびこらせていた。白い肌に赤い唇、そして目には仮面。極めつけには、下半身には赤黒い肉質の球体が脈打っている。
(そんな……嘘でしょう……あれは……!)
大魔女スリーピング・ビューティ。
かつてモニカの世界において、世界規模の脅威であった。
十数年前にエンドブレイカー達によって倒されたが、帝竜戦役およびエンドブレイカーの戦いにおいて、帝竜ワームとして再孵化、または11の怪物ラハムと融合して出現し猟兵達と戦ったこともあり、未だに時の流れに風化することのない存在だ。
モニカはいかなる形のスリーピング・ビューティとも直接戦ったことはない。しかしエンドブレイカー共通の敵であり、脅威として認識していた。
実物は見たことはないとはいえ、内心の脅威として捉えるには十分であった。
……それが今、目の前にいる。
もし遇ってしまったら、と想像したこともあるはずだ。その時、自分ならどうすると思ったのだろう。
それはリアリティのない、とりあえずの、もしかしたら無意識な空想で、気に留め続けるほどのものではなかった。
だが、今は、やることは一つしか思いつかなかった。
自分にできることは、どのみち、これだけなのだ。
ソードハープを鞘から抜かずに腰から外し手に取る。
そして弦を弾き、曲を奏で始める。
その時には大量のスリーピング・ビューティがモニカを取り囲み、圧をかけていた。
大魔女の使う遺失魔術ギガンティアは自身を何十人にも分身することは周知の事実だった。
「抵抗は止めよ、小娘」
「私こそが世界のすべて」
「私に勝てるものなど、この世に存在しないのだ」
スリーピング・ビューティ達が無慈悲な言葉を飛ばす。
だがモニカは曲を止めない。
弦の音は鳴り響き、強さを増し、歌声は遠くまで届く。唇は魅惑のフレーズを紡ぎ、奏でるメロディは甘く切ない。
音楽は、様々なものから成り立っている。
音楽は音だが、ただの音を音楽と呼ぶことはない。大きく分ければ和音、旋律、律動、それをさらに細かく見ていけば様々な要素があり、それらを組み合わせ整えて音楽は完成する。
要素とは、そのままでは未分化、すなわちカオスである。
それを組み合わせて完成した音楽は、カオスとは言えず、対極にある秩序だてられたもの、すなわちコスモスの状態にある。
モニカが意図してか意図せずしてか、音楽とは、カオスからコスモスを作り出すプロセスを経て完成するものだと言えた。
ユーベルコード『ショウ・マスト・ゴーオン』の力がすべてのスリーピング・ビューティを歌に聞き入らせ、カオスとは正反対に働くエネルギーを伝える。
加えて、モニカ自身の持つ歌によって相手の警戒を解き、自分の方向におびき寄せやすい特徴、さらには人々の注目を集め、好印象を与えるための己の見せ方、人々を楽しませる工夫を知っていることが、それを後押しする。
そして内心の脅威に関わらず己を保ち、表現を続けられるだけの度胸の前には、その内容がいかなるものであれ、内心の脅威から生まれたものはその前には存在できない。
カオスが無秩序に入り交じっただけの、『大魔女スリーピング・ビューティの情報、それも実体験の伴わないものと交ざったオブリビオン』など、もはや消え失せる他なかった。
そこにはもはや、カオスなど存在していなかった。すべてのものに意味があり、一つのものを形成している。
その中心にあるのは音楽だ。
成功
🔵🔵🔴
ニコリネ・ユーリカ
カオスの混沌領域から影がふたつ現れる
手を腰に添えて上下しながら歩き回り
一人が果物を投げ、もう一人が爪に刺す
そう
彼等は
妖精さんと私を笑いのツボに突き落としたガーゴイル
あの時は薔薇の精さんが居たから何とかなったけど……(ごくり
いいえ、一人でもやってみせる!
ごっついラジカセをポチッとして軽妙な音楽を鳴らし
リムズに乗りながらUCで強そうなツノをにょきっ!
一角獣の如き真直ぐ前に伸びた角を生やし
ガーゴイルが果物を投げた瞬間、放物線に割り込んで――しっぱい!
二度目は投げ手の協力も得つつ成功させてみせるわ
強敵を克服するには、仲間にしちゃえばいいのよ
この芸を習得した私に、もう怖いものはないわ!!(ガッツポーズ
カオスの混沌領域内にて、ニコリネ・ユーリカはそこには場違いな、軽快な音楽が聞こえるのを聞いた。
ニコリネはその音楽を知っていた。間違いなく、己の内心から出てきたものだ。そんな風に思っていると、いつの間にか二つの人影が自分に近づいてきていた。
「はっ……!」
息を飲んだ。それが誰なのかすぐに解った。
その二人は、軽快な音楽に乗せて開いた掌を腰の所で上下させながらコミカルに歩いてきた。
間違いなかった。
その二人は、バハムートキャバリアの、変な妖精のいる山ことグワイリファン山で戦った
百獣族、獣騎ガーゴイルのうちの、『ガーゴイルエンターテイナー』と呼ばれていた二人だ。
……だがその見た目は、ニコリネの記憶と大きく違う。
黄金色の胸当てと短いスカートアーマー、籠手と具足。目から上を獣騎ガーゴイルの頭部に似たヘルムに覆っており、それ以外は肌を露出した、ウェーブヘアの金髪の若い女性の姿をしている。
付けヒゲも勿論付いている。
その姿はニコリネに別の人物を想起させた。
「その格好は…………私!?」
ニコリネ似のガーゴイル、あるいはガーゴイルの格好をしたニコリネと似た女、もしくはニコリネ風女体化ガーゴイルと言ってしまってもよい二人組は、顔が見える距離までくると挑戦的に笑った。
そしていつかのように、片方が鉄の爪を付けてもう片方が投げ上げたオレンジを爪に刺そうとして失敗する。
(……本当に、かつての強敵の出現だわ……!)
ニコリネは思う。
強さの定義は人それぞれだ。
(あの時は薔薇の精さんがいたから何とかなったけど……。
……いいえ、一人でもやってみせる!)
意を決したニコリネは、愛用のごっついラジカセをオンにした(ガーゴイル達が奏でている音楽と不思議に噛み合う)。
そして気合いを籠める。
「えいッ
!!!!!!」
すると額から一角獣のような角が生えた。
それは真っ直ぐで長く、根元から先端にかけて螺旋状になりつつ鋭く尖っている。
自然界において角を持つ動物は、強さを示すために角を用いて争うという。
ニコリネが今生やしている角は、間違いなく『強い角』だ。
その効果をもたらしたユーベルコード、
つよつよツノツノ団の証の名に恥じない。
両頬を叩いて気合いを入れると、自分も音楽に乗せてガーゴイル達と同じダンスを踊りながら、二人の間に割り込んだ。
その時、一人がオレンジを投げ上げた所だった。
爪に刺そうとするもう一人を遮って、ニコリネは角にオレンジを刺そうとして──失敗。
オレンジが砂地に落ちる。
ガーゴイルの二人はニコリネの乱入に驚いたようなジェスチャーをしていたが(決して言葉は発しない)、やがて一人がオレンジを取り出して、ニコリネに向かって投げるようなジェスチャーを見せる。もう一人は、応援するようなジェスチャーだ。
ニコリネは二人に向かって強く頷くと、三人揃ってしばらく掌を腰の所で上下させつつ歩き回るダンスを踊る。
一糸乱れぬ連携。
そして音楽が切りのいい所まで来るとダンスをやめ、投げる役がオレンジをニコリネに向かって示す。
ニコリネは気合いを見せる。
爪をつけたもう一人もニコリネを応援するようなジェスチャーを見せる。
そして、再びオレンジが投げ上げられた。
ニコリネは位置取りをしてしっかりと腰を落とし角を上に向け、額を突き出した。
──確かな感触。
オレンジは角の真ん中あたりに突き刺さっていた。
拍手して囃す2人。
ニコリネは喜びを全身で表現する。
そうしていると投げ役が、どこからともなくスイカを取り出した。
……イチゴ、ブドウ一粒、それぞれを三個連続となおも芸は続いて、すべてのネタが終わったような雰囲気を出すと、2人は別れを告げて去っていった。
「はぁ、はぁ、はぁ……勝った……」
ニコリネは達成感を感じていた。
傍目からは面白おかしく見えていたが、決して遊びなんかではない。真剣な挑戦だ。
この芸を己のものにした今、怖いものは何もないと思った。
それほどまでに得難い勝利であったと思う。強力な敵であり……同じものを作り上げる仲間となって……とても充実したひとときを過ごした。
その時、なぜあの二人がニコリネに似た姿をしていたのかが解った。
それがわかったのは……自分もスーパーカオスドラゴンに対して同じ事をしていたからだ。
あの時もガーゴイル達は常に対戦相手への敬意を表していたではないか。
……つまりあれは。
リスペクトゆえのガーゴイル・ニコリネ態だったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)
探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ
戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!
キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。
「とうとう はじまった もう にげられない」
ネッド・アロナックスは覚悟を決めた。
大陸一つがカオスの混沌領域に飲まれた今、一人だけトンズラこくなど、殺人鬼のうろつく館の中で一人になろうとするようなものだ。
「キクラゲ! 大丈夫だよ、一緒に戦おう!」
そんなネッドの目の前に生えたやたら元気なキノコ。
否、星霊キノコつむりのキノ・コバルトリュフだ。
「おれは キクラゲじゃ ない」
別に彼のことを言ったわけでもないのに否定するネッド。彼は海にいる方だ。
「ドクツルタケ! 白いから!」
そうしたら今度は死の天使とも呼ばれる毒キノコに例えられた。
……などと二人が話していると、頭上に何かの変化を認める。
光と闇が狂ったように明滅している。その中心には、人の姿をした何かがいた。
金色の長い髪の、目隠しをした、四枚の翼を持つ女の姿をしている。
何かを言っている。
それはネッドやキノに話しかけていたわけではなく、自分の中にいるもの同士で、言い争っているのだ。
『ジャンヌ・ダルクよ。わたしを解放せよ。わたしは全てを滅ぼすであろう』
「嫌です、セイクリッド・ダークネス。あなたが憑依したこの躰は私のもの……何を為すかは私が決めます」
「セイクリッド・ダークネス」
キノが言った。カオスの混沌領域には己の内心から現れた脅威を纏ったオブリビオンが現れるという。
それがかつて、第二次聖杯戦争で現れたセイクリッド・ダークネスの姿で現れたのか。
かつてのようにそれは、肉体の持ち主ジャンヌ・ダルクと、憑依したセイクリッド・ダークネスが口論をしていた。
『わたしには全てを癒やす使命がある。汝は光と闇に晒され過ぎて正気を失っているのだ』
「正気を失っているのはあなたです。私は全てを癒やしたい。それだけなのです」
『愚か者め、わたしに逆らうことは赦さぬ! わたしは全てを滅ぼすのだ!』
「そんな事はさせません。私は全てを滅ぼしてみせます!」
「否。滅ぼしも、癒しもしない。
生あるものすべてを苦しめるのだ。
そうだ。生命ある者の苦悩、欲望、憎悪を、吾は求める。
さすれば進化の果てに、吾は生命を得るであろう……」
「生命? 何を言うかと思えば……
生命の役目はとうに終わっているのだ。
進化など不要だ。新たな『未来』など必要ない。
新世界は、これまで形作られた『過去の断片』を組み合わせるだけで、容易に作り出せるのだから。
いずれすべての生命はやがて冷めゆき……そのすべてがオブリビオンとなるだろう」
「ええい黙れ! お前ら似た者同士のくせに、
それぞれ真逆の勝手なことをぬかすな!
これではまったく足並みが揃わぬ……。
そもそも、なぜ、私の精神が他の奴等と混じっている?!
やめろ、頼む、これ以上面倒事を増やすな……!
もう……私の許容範囲は……限界なんだ!!!」
「一人だけ被害者面をしないでください。
面倒なのはあなたも同じです。
物事はシンプルが一番、
ひとまず目の前の猟兵を殺すために一致団結しては?
全身を猟兵を殺すためのマシーンに改造すれば……」
「ナンセンスですわ。欲望の形は複雑怪奇やの。
いかがでしょう。この超天才に任せてくだされば、皆様の欲望を完全解放。
さあ皆で超天災になりましょう。
オール・フォー・フリーダム!」
「その考え方には賛同できないなぜならば一人一人のベクトルが違いすぎるからだ多様性を尊重するということはすなわち違いを認めるということであり違いを認めるということは統一を阻むことからだ我々は同じ目的を共有することはできず協調の道を歩むことはできぬかくなる上は自滅の道を辿るのみその過程であるいは猟兵ごと葬る可能性にかける以外にはあるまい」
「縺薙@繧峨∴縺溘?縺ァ縺吶°繧峨??譏溯セー縺ョ譎ゅr蠕?◆縺壹→繧ゅ??譁ッ讒倥↓謌代′霄ォ繧堤・晉・ュ縺ァ鬟セ繧顔ォ九※繧峨l繧医≧縺ィ縲?隱ー繧らァ√r隕九k縺薙→縺ッ縺ァ縺阪↑縺???隱ー繧らァ√r遏・繧九%縺ィ繧ゅ??遘√r諢帙☆繧倶コ九b縺ァ縺阪↑縺???」
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e381bce3818fe381aee5908de5898de381afe382b9e383bce38391e383bce688a6e8bb8aefbc81e3839ee382b6e383bce3818ce3818ae6af8de38195e38293e381aae38293e381a0e38288e38082e3818ae6af8de38195e38293e3818ce8a880e38186e381abe381afe38081e69982e99693e381a8e381afe8b3aae9878fe38292e68c81e381a3e3819fe789a9e8b3aae381a7e38182e381a3e381a6e38081e58b95e79a84e78ab6e6858be3818ce7b582e4ba86e38197e3819fe69982e99693e381aee381bfe38292e3808ce382a2e383bce382abe382a4e38396e3808de38199e3828」
「それが汝らの望みか。
好きに、望むがよい。
好きに、願うがよい。
知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て。
我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう」
「おのれ……おのれ、何を言っているのかわからん!
そして何故会話が成立しているのかわからん!
このわたしをカオスの混沌領域などに出現させて、あまつさえ他の奴等と融合させて、わたし抜きで話を進めるとは、許せない、許せない……!
嗚呼、嗚呼、怒りで腸が煮えくり返り、何故だか腹が減ってきた……!
かくなる上はそこに生えているキノコと漂っているクラゲを調理して食らう!」
「ふざけんな! 勝手に決めてんじゃねぇ!
怒りと言えばアタシなんだ!
オマエも怒ってるんならもっと怒っているアタシが正義だろうが! 黙ってヘイコラ従えよ!
ああムカツク! ああああムカツク!
どいつもコイツも、アタシが殺してやる!
猟兵もオマエらもみんなぶっ殺す!!!」
「そんな事はさせません。私は全てを滅ぼしてみせます!」
『否! ジャンヌ・ダルクよ、汝の好きにはさせぬ! わたしは全てを滅ぼすのだ!』
…………
セイクリッド・ダークネス(?)は途中からジャンヌ・ダルクともセイクリッド・ダークネスとも違う声で言葉(一部言葉とは言えなかったが)を吐き、以下延々と続けた。
「……」
「……」
ネッドもキノもしばし黙って見入った。どの声の主も好き勝手言っているが、行動に繋がらないのか、ネッドにもキノにも何もしてこない。
「ステータス オープン」
目の前で何が起こっているのだろう、と疑問に思ったネッドがユーベルコードで調査しようとしたが、開示されたステータスは、内容が定まらずに変化を繰り返していた。名前も『セイクリッド・ダークネス』『虚神アルカディア』『幻朧帝イティハーサ』『魔王ガチデビル』『マザー・コンピュータ』『ドン・フリーダム』『べルセルクドラゴン』『大祓骸魂』『スーパー戦車』『ウームー・ダブルートゥ』『オウガ・オリジン』『大悪災・日野富子』『セイクリッド・ダークネス』……と目まぐるしく変わり、それぞれの項目も変化し続けて定まらない。
カオスだった。
「みなきゃ よかった」
「ヒカゲシビレタケ、幻覚?」
「いや これが げんじつ」
カオスの混沌領域では何が起こるかわからないとは、事前に聞いている。
ネッドもキノも会ったことのないオブリビオンが混じっているが、ここにいる他の猟兵の誰かの分だろう。
セイクリッド・ダークネスの狂気に場のカオスが作用して、このような現象が起こったのだろうか……ともかく今は原理より現象を認識した方がよさそうだ。
「でも足並みが揃ってないね!
ぶなしめじ!」
キノが砂地から生えた状態のまま、セイクリッド・ダークネス(?)に向けて突っ走った。
「ドークサーサコー!」
爆走!キノコロード!
砂塵を巻き上げながら突き進んだキノを、セイクリッド・ダークネス(?)は避けられない。
猛スピードで激突、大量に吹き上がる胞子。
セイクリッド・ダークネス(?)は阿鼻叫喚の悲鳴をあげてあえなく食中毒で散った……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『勇士達の酒盛り』
|
POW : 沢山飲んで沢山食べる
SPD : 宴会芸で盛り上げる
WIZ : 自慢の料理やドリンクを振る舞う
|
空の色が元に戻り、水晶の砂漠は崩壊を止めた。
猟兵達の活躍により、カオスの混沌領域は止んだのである。
「ギャ~ッハッハッハ! オツカレサマだゼェ~~!」
スーパーカオスドラゴンが労いの言葉をかける。
「よっしゃここからは宴の時間だ!
スーパーカオス飲み会だァ~!」
空から大量のスーパーカオスドラゴンが……カオスヘッダーが再び発動されたのだ……この場所に向かってきている。大きな荷物を抱えて……。
荷物の中身は大量の魔獣の肉をはじめとした、勇士鍋の材料と、酒、酒以外の飲み物、そしてキャンプファイアに必要なものだ。カオスに飲まれぬよう別の大陸に保管していてくれたのだ。
まもなく日が暮れようとしていた。
もう少しすれば、太陽は雲海の向こうに沈むだろう。
準備が終われば、炎を囲んで飲んで食いながら、互いに語る時間だ。
●第三章
この章でのテーマは『宴会での言動』です。
酔った時の挙動や、普段やらないようなことをついやってしまった、などです。
このテーマに添っても添わなくてもよいです。お好きにお過ごしください。
ニコリネ・ユーリカ
ギャ~ッハッハッハ!
お楽しみの時間だゼェ~ッ!
キャンプファイアの炎を見てアガッてきたァ!
(´-`).。oO(諸々お手配してくれたスパカオドラゴンさん
この戦いで私は格上に全力でぶつかる胆力と、心の強敵を味方にする事ができたわ
ありがとう…とってもありがとう…(肉ガブ
その御礼に修得したての付け髭ダンス+果物ツノキャッチを披露させてね
ウェ~イ、酒宴ははっちゃけたモン勝ちだゼェ~!
(´-`).。oO(少し寂しいけど笑顔で恩人を送りたい
場が賑わったら空飛ぶマネギちゃんにフラワーシャワーを注いで貰いましょ
ギャ~ハァ~ッ!
降り注ぐ花はノヴァーリス!
紫の薔薇の花言葉、「尊敬」をスパカオドラゴンさんに贈るゼェ~!
「ギャ~ッハッハッハ!
お楽しみの時間だゼェ~ッ!」
今のを言ったのはスーパーカオスドラゴンではなく、ニコリネ・ユーリカだ。
夜のブルーアルカディア、360°広がる星空をバックに燃え上がるキャンプファイアを眺めながら、ニコリネは誰よりも早く盛り上がっていた。
「ギャ~ッハッハッハ!」「グッフォッフォッフォ」「ケーーーケケケケケ!!!」
声の高さとトーンが不揃いな複数のスーパーカオスドラゴン達がニコリネの盛り上がりに答えつつ歓声をあげる。
彼らもニコリネに負けず劣らず盛り上がっていた。
「よ~し肉食え肉! 酒飲め酒!」
鍋を担当するスーパーカオスドラゴンが器に山盛りの勇士鍋の具をよそってニコリネに手渡す。
……凄まじいボリュームだ。
良く煮られた鍋の具は、舌触りが柔らかで、味もよく染み込んでおり、それぞれが違った特徴をもつ複数の具とは思えない調和の取れた味で、カオスとはかけ離れたものだった。
料理とは、カオスからコスモスを以下略。
また、これが酒によく合う。
程よく酔っ払った舌に料理の味が全身に広がり快楽の園へと誘う。
それがまた気持ちよく酔わせてくれるのだ。
気持ちよく騒げる空気が整っていた。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャッヒャ! ここらで一発芸を披露させてもらうゼェ~~!!!」
これはニコリネだ。充分に場が暖まったのを見て、ニコリネは前に出て注目を集め、例のラジカセのスイッチをオンにする。
流れてきたのは……ガーゴイルエンターテイナー達が芸を披露するときに流れていた曲だった。
「バハムートキャバリアの
百獣族ガーゴイルから伝わった舞踏をご披露ッッ!」
こう言うと由緒ある舞のようだが、まったくもってコミカルである。
「は────────っ
!!!!!!!!!!」
バトルマンガのような掛け声とともに額から角を生やす。
そしてニコリネはスーパーカオスドラゴンの一体を引っ張ってフルーツ(デザート用)を渡して投げるよう言う。
そのスーパーカオスドラゴンは最初は驚いたがニコリネの意を察して、一緒に踊りだし(さすがにニコリネに合わせるのは難しかったが)、他のスーパーカオスドラゴンも合わせて手拍子を打った。
さすがカオスの権化でありながら社会性と協調性を備えた立派な大人である。
ニコリネはかつて獣騎ガーゴイル達がやったように、(失敗するところも含めて)完全にその芸を再現していた。
その様子には、本家へのリスペクトがありありと見て取れた。
(諸々お手配してくれたスパカオドラゴンさん……。
この戦いで私は格上に全力でぶつかる胆力と、心の強敵を味方にする事ができたわ。
ありがとう……とってもありがとう……)
その内心でニコリネは、単に騒ぐのを楽しんでいるだけではなく、スーパーカオスドラゴンに強く感謝していた。
その感謝の心は簡単に言葉で伝えられるものではなかった。こういう時、言葉には限界がある。
「ウェ~イ、酒宴ははっちゃけたモン勝ちだゼェ~!」
だから彼女は盛り上げるのだ。スーパーカオスドラゴン向けのノリを維持し続けるのだ。それがこれまでの戦いを助けてくれ、今日ここで宴の場を設けてくれたスーパーカオスドラゴンに対する最大の返礼にして、リスペクトなのだから。
そうして一通り芸を終わらせたところで、突如現れたウイングキャット・マネギがニコリネの頭上を飛ぶと、周囲に、たくさんの紫色の薔薇の花を降らせた。
その華やかさにスーパーカオスドラゴン達は魅入られ、しばしため息が漏れる。
それが終わると、拍手と喝采の大洪水がニコリネに押し寄せた。
贈られた薔薇の名はノヴァーリス。花言葉は『尊敬』だ。
自分にできる精一杯のことを。
これからくる別れに寂しさも感じていたが、最大の笑顔で見送りたかった。
「ギャ……ハハ……素晴らしかったぜ、ニコリネ」
戻ってきたニコリネにスーパーカオスドラゴンが声をかける。流石のスーパーカオスドラゴンも感動のあまりバカ笑いを忘れたのだ。
「これはオレサマの勝手な解釈だが……オメエは『誰かを楽しませること』を強さだととらえてるんだな?
敵の戦闘能力でなく面白さを『内心の脅威』として捉えちまう所がそう思えたゼェ……。
そして、それがオメエの大切にしてる所なんじゃネェのか……?
その在り方に敬意を評して、オレサマも花を贈らせてもらいたいゼェ……オメエに依頼するんだから飾るのはオメエ自身なんだがよ……。
その花は『ニチニチソウ』。
オメエと過ごせた時間はその花のようだったゼェ」
大成功
🔵🔵🔵
川村・育代
……何とか助かったみたいね。
(カオスの混沌領域で教育支援用バーチャルキャラクターの宿命で子どもに手が出せない所に現れたいたずら小僧の大群のえげつないいたずらでズタボロにされたため)
せっかくの機会だし、インクも手に入ったみたいだから、あたしもボロボロになった服を予備の体操着に着替えたり、乱れた髪などの身なりを出来るだけ整えてから宴会に参加するわ。
ただし、あたしは未成年だからジュースなどのソフトドリンクだけどね。
ブルーアルカディアの料理は初めてだから楽しみね。
シラフでも子ども故の体力とテンションで宴会を盛り上げるわね。
気がついたら、カオスの混沌領域は晴れていた。
(何とか助かったみたいね……仲間がうまくやってくれたのかな)
川村・育代が目を覚まして初めて見たものは、暗くなった空だった。戦いの音は止み、代わりに聞こえてきたのは賑やかな声と複数の物音だった。
カオスの混沌領域で育代が見たものは『いたずら小僧の大群』だった。
教育支援用バーチャルキャラクターとして、子供に手が出せない仕様の育代は、子供特有の残酷さに蹂躙され、敗北を喫してしまった。いたずら小僧のいたずらなので、命にかかわるものではなかったが……。
もしかしたら、負の感情を強くその身に宿す分、内心の脅威も大きかったのかもしれない。
「オオ! 気がついたか!」
スーパーカオスドラゴンの一体が育代の様子を見守っていた。
「ゲッヘッヘッヘ、オツカレサマだったなあ、イクヨ~! これから打ち上げだが参加できそうか? ア~ン?」
言葉は乱暴だが気遣いが見てとれる。
「う、うん、平気! ちょっと着替えてくるね」
そう言ってその場から少し離れる。
ボロボロになった服を予備の体操服に着替え、乱れた髪を直す。
戻ってくるころには元通りの模範的児童の姿になっていた。
「どうだ~! ウマイか~!」
「うん、おいしい! もう一杯!」
スーパーカオスドラゴンがよそう勇士鍋を育代はどんどんおかわりする。
見た目通りの食欲を発揮していた。
健康的で元気で明るい女の子がたくさん食べるのを見てスーパーカオスドラゴン達は大きく庇護欲をそそられ、テンションが上がっていた。
自然と場は盛り上がっていく。
そうだ、一度悲惨な目に遭うくらい何だというのだ。
自分は猟兵なのだ。使命ある教育支援用バーチャルキャラクターなのだ。
……と本人が思っているかどうかは定かではなかったが、そのくらいの強さが見てとれる。
さて育代は初めて食べるブルーアルカディアの、勇士風料理に舌鼓を打っていた。
本当にいくらでもお腹に入る。味が濃いのにしつこくなく、飽きがこない。
飲み物は瓶入りのジュース。
でかい氷と水の入った大きな四角い容器に入れられて冷やされている。
お祭り感があって、不思議と美味そうに見えるものだ。
「イクヨは最近デビルキングダムワールドに行ったりしてンのか~? オレサマもう長いこと帰れてねぇからな~!」
食べていると、スーパーカオスドラゴンが雑談を振ってきた。
「あたしが最後に行ったのはもう三年くらい前かな、その頃は猟兵が悪魔とワルさで競ったりしてたけど。
最近のニュースっていったら、帝都櫻大戦の頃に護国鉄神零号が攻めてきたっていうのを聞いたぐらい?」
「おお~あんときゃ大変だったらしいなァ、どっか別の世界のヤツが助けてくれてたって言うじゃねぇか、ソイツラも早く元の世界に帰れると良いなぁ~!」
「それはスーパーカオスドラゴンさんも同じでしょ、思いっきり当事者の一人じゃない。帰れそうなの?」
「おお、お陰でインクも増えたしなぁ。しかしまだまだ確実とは言えねぇ。もうしばらくはここで増やしておく必要がありそうだゼェ!」
などと話していると突然周囲が騒がしくなり始めた。
「美味い! なんて美味いんだ! 勇士鍋!」
「美味さの限界はないのか! 勇士鍋!」
スーパーカオスドラゴン達が鍋の美味さを誉め称えながら周囲を走り回り始めた。
「なに、どうしたの!?」
「スーパーカオス飲み会だからな!」
「そういうものなの!?」
育代が気にするもスーパーカオスドラゴンの方には気にした様子はない。
その後もスーパーカオスドラゴン達は火を吹いたり巨大化したり逆に小さくなったりアイスエイジクイーンに変身したりした。
「おーっほっほっほ! 炎を眺めながら食べるアイスは最高ですぅわぁ~~っ!」
アイスエイジクイーンに変身したスーパーカオスドラゴンが高笑いする。食べているのは凍りついた勇士鍋の成れの果てだ。
「すごい! あたしもセクシーな大人のレディになったり……」
などと感心する育代。
この後育代がどんなレイヤーをまとうことになったのかは定かではないが、スーパーカオス飲み会が終わる頃には全てが元通りに戻ったという……。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なのでバレないよう振る舞います)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキり散らかして墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・統制機構の効率化された食事やGGOのアイテム合成で簡単に作れる食事に慣れてるせいか手料理への美味しいもの判定はガバガバ
・GGO以外の世界は色々珍しがり興味を持って見てくれる
猟兵に迷惑をかける行為はしません。例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
政木・朱鞠(サポート)
とりあえず、感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探って敵の分布や地形の情報を把握しておきたいね。
目標としている存在の大体の位置や大きさとかが解かれば良いんだけど、無理に深掘りしないように注意しないとね。
アドリブも連携もOK
印旛院・ラビニアの大きな赤い瞳が、夜空をバックに赤々と燃えるキャンプファイアを映していた。炎の上ではブルーアルカディア名物勇士鍋が、美味そうに湯気を上げている。
実際にそれは美味かった。まず統制機構では味わえない、人を喜ばせるための味。そして必要最低限ではない満足のいく量……GGOで作れる食事ともまた違う趣のあるそれは、ラビニアには新鮮だった。
同じく勇士鍋をつつく政木・朱鞠は、その整った容貌や、光沢のある体のラインがくっきり解る衣服、露出された肌が、炎の灯りを浴びて艶かしく光っていた。
「……私が気になる?」
朱鞠は視線を感じていた。迷惑がるでもなく、ラビニアに何とはなしに問う。
「えっ……」
肉体は女性でも思考や嗜好は成人男性のラビニア、悲しいかな
性として朱鞠の姿に自然と視線は奪われる。
普通の男ならば、こうもなろう。
しかし、境遇はバラしたくないラビニアは、朱鞠に興味のない振りをする。
「別に、ただ綺麗だと思って……」
「ありがとう、あなたも可愛くてセクシーよ」
朱鞠はというと、特に気にした様子もなくこの宴を楽しもうという気持ちだった。
生活を楽しむことが信条の朱鞠なのだから、この、スーパーカオスドラゴンの悪魔インクを集めるためにカオスの混沌領域を発生させそれを消滅させるという仕事を終えた後の打ち上げを楽しまない手はない。
しばし勇士鍋と勇士の酒を楽しむ二人だったが、突如としてスーパーカオスドラゴンの集団が勇士鍋を称えながら走り周り出した時は流石に驚いた。
「勇士鍋ッ! 食べずにはいられないッ!」
「君が! 無くなるまで! 食べるのをやめないッ!」
などと叫んでおり──
「うわぁ、いつか行ったアヤカシエンパイアで寿司作った時みたいになってる!」
ラビニアは目が点になった。
「アヤカシエンパイアで寿司? あるの?」
朱鞠はどうでもいいことと知りつつ聞いた。
「あ、うん、一般的にじゃないけどごく一部で……」
「ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! お初にお目にかかるゼぇ? デビルキングワールドの元3rdKING『堕天使エンケロニエル』!」
「私は、わが主アルカディアにまみえなければならないのです。全ては……私が横綱になるため!」
「はっけよーーーーい、のこったッス!」
「うわースーパーカオスドラゴンと大天使エンケロニエルが相撲とってるー!? しかも行司はジャッジメントガール!」
全てスーパーカオスドラゴンが混沌魔法で変身したものだ。
「ああっその上なんか青白い炎が周囲を覆って妖しい雰囲気を醸し出してきたー!?」
「あっごめん、それ私のフォックスファイア」
「何で演出してるの?!」
ラビニアがカオスに振り回される一方で朱鞠は乗じていた。
「ゲ~ッヒャッヒャッヒャ! ラビニア~!
これからデビキンのワルの間でお馴染みの歌を教えるからオマエも歌え~!」
ここでスーパーカオスドラゴンがスーパーカオス絡み酒だ!
「ええっ!? 僕が歌うの!?
……ええい、こうなったらやってやる!」
ヘタレだけど実はお調子者のラビニア、目立つ所では決めようとする。
「ここはゴーイング・マイウェイを使って!」
しかも課金する覚悟までしている。
金貨を代償にあらゆる行動に成功するユーベルコードを使用したラビニアはスーパーカオスドラゴンの教えた歌を本人以上のうまさで歌い、場を盛り上げた。
「うまーい! ヒューヒュー!
よーし私も踊るー!」
スーパーカオスドラゴン達とラビニアが歌っていると朱鞠も前に出て、端整な顔に華やかな笑みを浮かべ、胸を弾ませて愛嬌のある振り付けで踊り出す。
さらに場は盛り上がる!
ここは無人の浮遊大陸、いくら騒いでも誰にも迷惑はかからない。際限なく騒ぐのだ。
カオスの宴は続く→
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エリー・マイヤー
はい、お疲れさまでした。
悪魔インクも溜まったようで、何よりです。
それにしても、宴会ですか。
相変わらずの根回しの達人っぷりですね。
せっかくですし、ありがたくご馳走になりましょう。
タダで食べる食事程、美味しい物はありません。
ということで、香辛料を大量に叩き込んだ激辛勇士鍋。
これを作り、食します。
なぜ辛くするのかって、そこに香辛料があるからです。
香辛料があるのに辛くしないなんて、香辛料に対する冒とくでしょう。
魔獣肉だって、こうして赤く染まることで喜ばしさを表現してるじゃないですか。
すみません適当言いました。
ともあれ、辛味は正義です。
最近不足していた辛味分を、遠慮なく供給させていただきます。
スーパーカオスドラゴンはスーパーカオス飲み会を続けていくにつれてゲーミング発光しだしたり、アイスエイジクイーンに変身した上で集まって高笑いコンテストを始めたり、大天使エンケロニエルに変身して他のスーパーカオスドラゴンと相撲をとったり、歌ったり、踊ったり、泣いてたり、吠えてたり、噛みついたりしていた。
「グギャアアアアア~~~~ッ
!!!!!!!!!!」
そんな中、突然一体が悶絶した。続いて全てが同一存在であるスーパーカオスドラゴン達は全員一斉に悶絶した。
「どうしましたか、敵の攻撃ですか?」
すぐさまエリー・マイヤーが反応し、問うた。
「ゲェホッ! ウゲホ! か……辛ぇ……ッ!
なんだこりゃァッ!? 真っ赤じゃネェか~ッ!」
そのスーパーカオスドラゴンの目の前にある勇士鍋は、真っ赤に染まっていた。
「誰が、何を入れやがった?!」
「はい私が適量の香辛料を入れましたが」
エリーは淀みなく答える。
「入れすぎだよァァァ
!!!???」
「なぜ辛くするのかって、そこに香辛料があるからです。
香辛料があるのに辛くしないなんて、香辛料に対する冒とくでしょう。
それに辛くするために入れたのだから辛いのは当たり前では」
「こんなん辛すぎて食えねえじゃねぇっかァ~~ッ
!!!???」
「そんなことはないと思いますが。
ほら魔獣肉だって、こうして赤く染まることで喜ばしさを表現してるじゃないですか。
すみません適当言いました」
「自覚してたかァ~
!!!???」
「ともあれ」
エリーはスーパーカオスドラゴンに真剣な眼差しを向ける。
反転サンサーラと戦っていた時ですら見せたことのないほどの鋭い表情だ。
「──辛味は正義です。
辛味は正義です」
あまりに真摯、かつ鋭敏に、辛味を讚美した。
「二回も言わんでいいゼェ~~
!!!!!!」
「辛味は正義です、スーパーカオスドラゴンさん」
「時間差で三回も言うんじゃネェ~! テンプレは二回までだろうがァ~!!!」
流石エリー、このスーパーカオス飲み会の中でもブレない。
もはやその勇士鍋はエリー専用勇士鍋と化した。
赤いが、通常の三倍どころの話ではない(※辛さの話)。
「どなたも食べないので?」
みんな別の鍋に行ってしまった。
スーパーカオスドラゴンは、大人数で来ることを想定して鍋の数もある程度用意していた。
「では……最近不足していた辛味分を、遠慮なく供給させていただきます」
エリーは真っ赤に染まった魔獣肉を頬張る。
辛さは肉によく染み込んでおり、歯触りも柔らかく、噛むと口中に刺すような辛味が広がった。
香りも鼻を突き抜けるようだ。呼吸をするたびに鼻孔の表皮が刺激を感じる。
香辛料のオーバーフローはそのままエリーが求めていた刺激を存分に満たしてくれた。
「これです。この辛さこそ……私が求めたモノ……」
感動のあまり涙が流れてきた。そうでなくとも目に染みる程の刺激で涙が出るのは必然だっただろう。
一人、辛さを求め続ける。ひたすらに、貪欲に……。
エリーの真っ赤な欲求は、スーパーカオス飲み会すら征してしまったのだった。
大成功
🔵🔵🔵