続・バッドエンド~被虐と絶望の偽憶
「いらっしゃいませ、き、今日はよろしくお願いしま~す♪」
サイキックハーツ世界の、とある風俗店。
海藤・俊輔(
淫魔・f44469)はやって来た男性客に対して、その幼い少女の姿で、精一杯に媚びるような笑みを浮かべた。
かつて灼滅者として戦い、そして淫魔型のオブリビオンに捕食され、眷属として『産み直された』俊輔。それ以来彼はこうして、オブリビオンの経営する店で毎日のように客を取らされていた。
一日たりとも、一時たりとも休む暇などない。……寝ているか客を取っているかと言うような、そんな有り様。いや、時には寝ている時ですら襲われ、睡眠すら安息にはならない。幼い少女の姿だろうと一切の容赦をされる事はなく、欲望のはけ口とされていく。
……冷静になってみれば、こんな怪しい非合法店にそこまでひっきりなしに客が来る事など有り得ない。おそらく客の何割か、ともすれば半数以上は、オブリビオンが人に化けた姿か操られた被害者か……まあいわゆる『サクラ』だったのだろうが。
そんな『冷静な考え』をまとめる暇など、彼には僅かたりとも与えられない。 時間の感覚も怪しく、この生活を与えられてからどれほどの月日が経ったのかも思い出せない。
自分が男から産み直されたと言う認識は朧にあるものの、具体的な思い出は何もない。それゆえに最近ではその認識も疑うようになり、自分が最初から女だったのかもしれないと、そう思ってしまうほどだった。
「へぇ……本当に俊輔じゃん。淫魔になって娼館にいるって噂が流れてたけど」
「っ……お、オレを知ってるのかっ!?」
そんな状況であるから、突然現れた青年の客が自分を知っている素振りを見せると、何の疑いもなく飛びついてしまった。
そこまで都合の良い噂が流れているものかとか、そこまで噂になっていれば武蔵坂学園から助けが来ている筈とか、そんな当たり前の疑問にも思い至らない。
それを確かめた客はニヤリと笑うと、しがみついて尋ねる俊輔の身体を、乱暴にベッドへと突き飛ばして来た。
「うぁっ……な、何を……あっ
……!?」
「今の俺は客なんだけど? 言葉使いがなってねぇなぁ」
そのまま覆いかぶさられると、いきなり乱暴にモノをねじ込まれる。幼く小さな穴は数え切れないほどの男を受け入れ、すでにガバガバに緩んでいる。
加えていつでも濡れており、受け入れの準備は万端。前戯など必要なく、ソレをしっかりと咥え込んでしまう。
「んっ、おっ……良いね、昔と同じでいい具合だぜ?」
「おっ、ああっ……む、昔……? んああっ……!」
乱暴に突き上げられれば声を溢れさせ、じゅぷじゅぷと淫らな音を響かせてしまう。そんな状況でも彼、いや彼女は、客の言葉に食いつく。
忘れている自分の記憶を思い出したい。自分が何者であるか、それを確かめたい。その渇望を露わにする俊輔に、客はニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
それを見るとゾクリ、と背筋に怖気が走る。やっぱり聞きたくないと、慌てて制止しようとするが。
「いつだってお前はこうして使われてたんだぜ。まあ昔は当然、ケツでだったけどな」
「そ、そんなっ……ひぐぅっ……?」
その前にそんな言葉を突きつけられ、さらに奥を強く突き上げられる。衝撃と快感が否定の心を塗り潰し、口から漏れる言葉を喘ぎ声に変えていく。
「休み時間の度に廊下に立って、ケツ広げて無差別に媚びてさ。滑稽だったぜぇ?」
「やっ……あっ、あひっ……ひああっ!!」
否定したいのに、言葉にならない。ガンガンと突き上げられる度、衝撃が脳にまで響く感覚。
喘ぎを溢れさせ、舌を出し、そして身体は自然とソレを締め付けてしまう。意志とは無関係に、『いつものように』男のソレに全身で媚びてしまう。
「授業中には教師のモンをしゃぶってさ。休日にはエンコーもしてたって聞くぜ?」
そんな学校などある筈がないと言う当たり前の常識も、彼女にはない。この店でオブリビオンに『教育』された成果だけが、彼女の中に残る常識だ。
この姿になる前の男の時から、こんな淫らで、惨めな生活を送ってきた……そんな絶望的な事実を突きつけられ、必死に否定しようとするが。
「おっ、出るぜっ……ん、ぉ……おおおおっ……!」
「~~~~~~っ!」
それを遮るように彼女の中へと、たっぷりと男の欲望が注ぎ込まれる。大量の熱をその身に注ぎ込まれ、口から溢れるのは声にならない悲鳴。
何度注がれても慣れる事のない、焼け付くような快感の感覚。身体を大きく仰け反らせて硬直し、そして脱力してベッドに身体を預ける。
「はぁ、はぁ……気持ちよかったぜ。淫魔になっても変わらねぇなぁ、お前はさ」
「は、ひ……ひ……ちが……ぅ……」
ようやくモノがズルリと引き抜かれると、四肢を投げ出しながら必死に声を紡ぐ俊輔。教えられた事実を信じたくないと、弱々しく首を振る。
だがそれを見た客はニヤリと笑うと、持ってきた鞄から何枚もの写真を取り出し、ばらまいた。
「じゃあ、こいつを見てみろよ」
「え……あ、ああ……」
慌ててそちらに這い寄って覗き込めば、そこに映っているのは、俊輔の姿。と言っても今の俊輔ではなく、まだ男だった時の、『彼』の姿だ。
それが証拠にその股には、男の証がしっかりと垂れ下がっている。……それが写真で確認出来ると言う事はつまり、写真の中の彼は裸であると言う事だ。
「はっ、滑稽だろ? まあお前は昔からこんな奴だったよ」
「うぁ……あ……」
例えば、黒板の前で脚をガニ股に開いて立った写真。身体には使用済みだの一回100円だの正のマークだのと卑猥な落書きが書き込まれ、その上からたっぷりと欲望を浴びせられ、ドロドロに汚れている。そんな有り様なのに顔には媚び切った満面の笑みが浮かび、ダブルピースまでしてカメラにアピールしている。
例えば男子トイレの小便器に括り付けられ、尻を突き出している姿。その尻はユルユルに広がっており、そこから大量の欲望が逆流して垂れ流しになっている。もちろん汚されているのは尻だけではなく、背中も頭もたっぷりと白く穢されて。白目を剥き舌を出し、幸せそうに気を失っている。
「う、嘘……だ……こんな……ひぐっ……!」
「良く見ろよ。こいつがお前以外の誰だって言うんだ?」
四つん這いで写真を見下ろし愕然としている俊輔に、客のモノが再びねじ込まれた。写真の中の『彼』を思い起こさせるように、前ではなく後ろが抉じ開けられる。
「お前はいっつも……んっ、こうしてたんだぜっ!」
「ちがっ……うそっ、あっ……ひっ、あああっ
……!!」
否定しようにも目の前に写真を突きつけられれば、否定のしようがない。いや、実際には写真などいくらでも捏造しようがあるのだが、今の俊輔がそれに気づけるはずもない。
ガンガンとお尻を突き上げられ抉じ開けられる度、舌を出して喘ぎを溢れさせる。客はそんな彼女の眼前に、新たに一枚の写真を突きつけた。
「ほら、こんな事されて喜んでるんだぜ?」
「ぅ、ぁ
……!?」
そこに映るのは、サンドバッグに手足を括り付けられた姿。その髄所に痣が浮かび、口の端から血を零し、白目を剥いている。人間サンドバッグとしてたっぷりと殴られたのは明らかだが……それよりも彼女に衝撃を与えたのは、写真の中の俊輔の一部分。
これまで力なく垂れ下がっていたソレが、ギンギンに反り立っているその有り様だ。
「そうそう。お前は乱暴にされると興奮しちまうドマゾの変態だったよなぁ」
「そ、んなっ
……!?」
男のモノで蹂躙されれば、メスに堕とされ、ソレが立つ事もなく。だが殴られれば興奮し、ギンギンに立たせて快楽の証を噴き出すしている。
客の言う通りに、それをマゾヒストと、変態と言わずになんと言おうか。
「ち、ちが、ぅ……」
「違わねぇよ……今から教えてやるっ!」
否定したくとも写真の中の彼は明確に、快楽に蕩けきった表情をしている。弱々しく言葉を零して首を振る俊輔に対し、客は近くにあった照明用の電気コードを手に取った。
「な、にを……ぐえっ、えええええっ
……!?」
「今も、何されても気持ちいいんだろ。それを身体に思い出させてやるってんだよ!」
それが首に巻きつけられ、全力で絞め上げられる。細いコードがグイグイと柔肌にめり込み、息が出来ない。
舌をはみ出させて唾液を垂らし、涙を滲ませる俊輔。手加減のない締め付けに――彼女の大事な所から、とろりと濃い蜜が溢れ出す。
「な……ん、でぇ……っ!?」
「昔も今もお前は変わらねぇって事だよ、変態俊輔っ!」
罵られながらさらに絞め上げられ、尻を突き上げられる。実際、その快感は先程の比ではなく、脳が蕩けるかのように熱い。
こんな風に絞め殺されんばかりなのに、興奮が止まらない。それを惨めだと思う気持ちはあるのに、身体は熱くなる一方だ。
「オラッ、オラッ……いくぜっ……!」
「おっ、おおおおおっっ
……!!」
二発目を後ろにたっぷりと出されると共に、こちらも勢いよく飛沫を噴き出す。頭の中が真っ白になりそうな快楽と共に、ベッドに突っ伏していく俊輔。
いや、その快楽以上に、自分が快楽を感じてしまったと言うショックこそが大きい。呆然とした表情で、余韻に苛まれて。
「何休んでんだよ。まだ時間内だぜ?」
「あっ……へぶぅっ!?」
ずるりと尻からは引き抜かれるが、仰向けにされて改めて、前にソレをねじ込まれる。そして気付け代わりとばかりに、顔面に拳が突き刺さった。
衝撃に視界が揺れ、強い痛みと共に唾液を噴き出し、横を向かされる。その顔の向きを戻すように、逆方向から殴られて。
「お前は殴りながらヤるのが一番良かったよなぁ!」
「ぶぇっ……ぶっ、ぉっ、ぶぇぇっ
……!?」
さらには腹も殴り潰され、赤く濁った唾液を噴き出す。幼い少女の身体をしている今の彼女に対しても、一切の容赦のない暴行。
だがショックなのは、痛みではない。その痛みに快楽を覚え、客のモノを締め付けてしまっている自分の身体だ。
最初にされる時よりも強く激しく、その身体は快楽に蕩けてしまっている。痛いのは嫌だと言う心とは裏腹に、身体はもっと殴られたい、もっと虐げられたいと、そう訴えかけて来ているのだ。
……もちろんそれは実際には彼女自身の、あるいは彼自身の性癖ではなく、淫魔の眷属として与えられた身体ゆえの事なのだが。
、だがそんな事は、今の俊輔には分からない。むしろ、この性癖が『前からそうだった』と。すなわち淫魔に堕とされる前からそうだったのだと、その事実を信じ込んでしまう。
「どうだぁ、気持ちいいだろ。ヤッてくれてありがとうって言えよ、前みたいにさ」
「あ、ああ……あ……」
たっぷりと殴られた後にようやく拳が止まると、そう問いかけられる。ニヤニヤと嗜虐的にこちらを見下ろす客の顔を、呆然と見上げる俊輔。
頭の中に反響するのは、『前みたいにさ』と言うその声。今の自分が変態である事よりも、昔の自分も変態であった事の方が、ショックが大きい。
(「オレ、は……変態……」)
こんな身体に堕とされた彼女の唯一の拠り所であった、『前はまともな男だった』と言う希望。それを一瞬見せられた後に与えられた事実。
それが真実であると、今の彼女は心から信じてしまう。信じて、絶望してしまう。
「……ヤッてくれて……殴りながらヤッてくれて、ありがとうございます……ぅっ……」
「へっ、それで良いんだよっ!」
それを見て客はニヤリと笑うと、さらなる激しい責めで彼女を苛んでいく。狭い室内に響き渡る、淫らな水音と打擲の音。そして、快楽に蕩けきった俊輔の悲鳴。
時間いっぱいまでそうした行為を終えた後、シャワーを浴びて服を来た客は、ベッドの上に身体を投げ出した俊輔を、満足げに見下ろす。
「じゃあな、俊輔、昔みたいで楽しかったよ。気が向いたらまた買ってやるからさ」
「…………」
こちらを見下ろす視線を、虚ろな瞳で見返す俊輔。彼女は指一本動かすのにも億劫な疲弊した身体で、大きくなったお腹を抱えて上体を起こし。
「ありがとうございました……また来てくれよな……♪」
へらりと媚びた笑みを浮かべると、心からそう告げた。その瞳にはもはや光はなく、そして光が戻る事はもう、二度とない。
――それからしばらくの時が経った。まあ『しばらく』と言っても、時間の感覚は相変わらずないのだが。
「昔のイヤイヤな俊輔ちゃんも良かったけど、最近のノリノリな俊輔ちゃんもいいねぇ」
「ありがとうございまーす、オレもお客様とエッチするの、大好きだぜっ!」
あの日、瞳の光を失った俊輔は、僅かに残っていた反抗の心を全て失った。元の姿に戻りたい、助かりたいと言う思いは、すでに彼女の中にはない。
戻っても絶望だと知って――そう思い込まされてしまったからだ。
「奉仕も上手になってさぁ、積極的で……おっ、く、出る、出るぅっ……♪」
「んおっ、おっ……おおっ……お客様のが……オレの中にっ、おほぉっっ♪♪」
中年の男性客に跨がり、腰を振る。体内に欲望を注ぎ込まれると、蕩けきった顔で喜悦を露わにする。
完全に快楽に堕ちきった、娼婦として姿を憚る事なく晒す彼女に、かつて男だったと言う面影は欠片も残っていない。
「はぁ、はぁ、良かったよぉ……また次もヤりたいねぇ」
「オレの身体はフロントで予約できるけど、いっぱい待ってるって言ってたかなー」
卑猥な期待を向けられても、恥じらうどころか嬉しそうにへらりと笑う。大きくなったお腹を抱えながら、指でソコを広げて媚びていく。
「でもオレもさ、お客様の……ほら、産みたいし。予約してってくれれば頑張るぜー」
「あははは、商売上手になったもんだ」
そんな談笑と共に、深い深い口付けを交わしていく。舌を入れて絡め合い、唾液すらやり取りし合うほどのディープキスも、今の彼女にとっては別れの軽い挨拶でしかない。
「それじゃあね、俊輔くん。また」
「ああ、また来てくれよな♪」
部屋を出ていく中年客を、笑顔で見送る俊輔。ようやく終わって一息つく暇もなく、扉を開けて女性スタッフが顔を出した。
「はーい、次のお客様、行けるわよね?」
「ああ、もちろん♪ いつでも良いぜ♪」
すでにパンパンのお腹を抱え、媚び蕩けた顔でそう頷く俊輔。それを見てスタッフは満足げに、妖艶な笑みを浮かべて見せる。
「わざわざ過去を捏造して壊して上げた甲斐があったわね」
「……ん、何か言ったか? ……あっ、」
その呟きはこちらの耳には届かず、問い返せばなんでもないと首を横に振られる。俊輔自身も特に拘りはなく、次の客を迎える事ですぐにその事は忘れてしまった。
部屋から離れていくスタッフのお尻から伸びるのは、淫魔の尖った尻尾。俊輔は今日も1日中、彼女達のために客からエナジーを集め、そして捧げていくのだ――。
成功
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