未開の地を切り開こう②~クロベルの大冒険~
●奴隷少女の冒険
「確かこの岩を右だったはず……」
心細い気持ちを押しこらえて、記憶を絞り出す。
山賊に攫われた時、少しだけ見えた外の光景…その中にあったフワフワした白いお花…確かアレは…アレを手に入れれば、ご主人様達の役に立てるはず。
新しいご主人様達は凄く優しい、だけど、体が小さくて弱い私は、ご主人様達の役に立ててない、だからアレを見つけないと…。
「うん、確かこの景色は見たはずだよ…」
断片的にしか見えなかった外の風景の記憶、ソレを辿って、繋ぎ合わせて…やっと記憶の場所にたどり着いた。
「あった!」
あの、白いフワフワは間違いない!
「え…?」
だけど、その先の風景は知らなかった、予想外の光景が飛び込んでくる。
「ど、ど、どうしよう…これ」
薄くモヤが出始めた森の中、奴隷の少女は困惑のまま立ち尽くした。
●グリモアベースにて
「さて、集まってくれた猟兵のみなよ、例のモンスター多発地帯の開拓村でちょっとした事件が起きる予知を見たのじゃ」
話によると、開拓村に住む元奴隷の少女、クロベルが一人で村の外へ出ていってしまったらしい。
「あの村での仕事は肉体労働が中心じゃからか…体の弱いあの子は、どうも最近は思い悩む事もあったようじゃの…どうやら、わしらの役に立ちたくて、前に森の中で見た何かを探しに行ったようじゃの」
花子の予知ではそれが何かは曖昧で、ただ白くてフワフワした物と言う雰囲気だけは感じ取れたという。
「予知の感じじゃと、目的地には辿りついているようじゃが、その場ですごく困惑しているようじゃのぉ…、何か困った事でも起きているのかもしれん」
何とも漠然とした内容の予知だが、少女が一人で居るには、あの近辺は危険すぎる…早めに探し出して保護すべきであろう。
「現時点で既にクロベルは村を出て行ってしまっているのじゃが、予知では無事に目的地にたどり着いておるのじゃから、まだ無事な筈じゃ…小さい子供じゃし、そんなに遠くには行っていないはずじゃよ」
少し前までは衰弱していた少女だ、移動できる距離、場所は限られているだろう…如何に深い森の中とは言え、猟兵の能力をもってすれば探し出す事は出来るはずだ。
「あの子が危険を冒してまで、わしらに何を渡すつもりじゃったかは分からぬが、出来ればそれを受け取ってやってほしいのぉ…では、転送を開始するのじゃ」
マカロニ男爵
キャンペーン第二回目です、村に住む少女、クロベルちゃんが村の外に出て行っちゃったので探してあげましょう。
今回の流れは…。
1章:クロベルを探し出す。
2章:現地で困ってるようだ、助けてあげよう。+開拓パート。
3章:ボス戦。
と、なっております。
キャンペーンシナリオですが、参加キャラの固定などはございませんので、どなたでもお気軽にご参加ください。
開拓ルールはマスターページに記載しております。
(https://tw6.jp/scenario/master/show?master_id=msf0019617)
前回、完了後は追記できないのを忘れてて、最後の開拓の結果を記入できませんでしたごめんなさい。
【防衛】が6上がり、村スキル『弓兵』『物見櫓Lv2』『団結』を獲得しました。
それと『ヒューレイオンの角』の使い方も少しわかったのでLv2になりました、記入漏れです、すいません。
●①終了時点での村のステータス。
【防衛:20】。
【経済:14】。
【文化: 6】。
●村スキル。
製紙Lv1 ミニスラ浄化槽Lv1 衛生Lv1 土嚢Lv1 基本戦術Lv1 自警団Lv1 防壁Lv3 濠Lv2 逆境Lv1 農業Lv2 小麦Lv1 リンゴLv1 集会所Lv1 避難所Lv1 弓兵Lv1 物見櫓Lv2 団結Lv1。
●レアアイテム。
ヒューレイオンの角Lv2。
第1章 冒険
『少年少女を探せ!』
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POW : 大声を上げたり障害物をなぎ倒したりして捜索する
SPD : 身軽さを生かして広範囲や危険な場所を捜索する
WIZ : 魔力を追ったり子供の行動を予測したりして捜索する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「うおぉおおお!クロベル殿ーーー!なんで!一人で森の中なんで!」
でっかい声を上げて進む、届いたら、不安が消えるように
既に自分にはクロベル殿が「見えて」いる
【鷹の眼】の力なら距離も隠蔽もなく、視たい者が観える
「今行くっすよーーー!!」
【空中戦】全力全身
抜群の【パフォーマンス】を見せつけ飛ぶ
「……邪魔!」
立ちふさがるものは【高速詠唱】の【属性攻撃】で怯ませてすり抜ける
追い縋るようなら【範囲攻撃】
森という【地形を利用】して追跡を振り切る
「連れ戻したらお説教っす!自分だって怒るべき時は怒るっす!」
とは言うものの、見つけたら号泣する自信がある
決めた
モヤシのご主人が
知恵ってものをたっぷり叩き込んでやるっす
二天堂・たま
【SPD】
クロベルとかいう少女、会ったことは無いがずいぶんとお転婆さんなのだな。
危険であると正論で押さえつけるより、人の助けを借りる癖をつけてもらう方が良さそうに思えるな。
UC:フレンズコールによる人海戦術で少女が残した痕跡を探してみるか。
枝や草をかき分けた跡、泥の上を通れば足跡もハッキリと残るだろう。
動物がいればいつ頃通ったとか、どの方向に向かったとか聞いてみるとしよう。
高所からの観察も必要だな。スカイステッパーで見下ろしたり、相棒達に木登りしてもらったり。
一応、モンスターや危険動物を刺激しないよう注意が必要かな?
活用技能
情報収集、動物と話す、野性の勘、聞き耳、追跡、ジャンプ、忍び足、迷彩。
メタ・フレン
皆が力を合わせてようやく下地が出来上がってきたところなんです。
人死になんか、絶対に出させませんよ。
以下の方法を同時進行で行います。
①≪地縛鎖≫【情報収集】で森の情報を吸い上げ、クロベルの痕跡等を探す。
②【グッドナイス・ブレイヴァー】を【操縦】して、森中を【撮影】しながら探す。
③【エレクトロレギオン】115体を森中に放って虱潰しに探す。
④≪電脳ゴーグル≫【視力】を使い、【物見櫓】からクロベルの痕跡等を探す。
白いフワフワの花というのは、ひょっとして『綿花』のことでしょうか?
闇雲に探してばかりでなく、綿花の自生している場所があれば、そこを重点的に探索してみますね。
空雷・闘真
「全く…ガキの癖に余計な気を回しおって。だが村の役に立ちたいというその心根は認めてやらねばな」
闘真は【影の追跡者の召喚】を使い、影を森の中へと放った。
一方で自身も【宇宙バイク】に【騎乗】【操縦】し、≪バトルアックス≫で木々を【なぎ払い】ながら、闘真は猛然と森を【ダッシュ】する。
「なぎ倒した木は後で木材にしねぇとな」
その為にもまずは一刻も早くクロベルを見つけなければならない。
【野生の勘】【第六感】を頼りに、闘真はクロベルの行きそうな場所に見当を付けてみる。
「確かあいつは【製紙】を熱心にやっていた。紙屑でも落ちていれば手がかりになるかもしれん」
≪心眼≫【見切り】を使い、闘真は地面にも目を光らせた。
敷島・初瀬
「森を焼けば見晴らしがよくなって探しやすくなるであります、、、、、(ハァハア)」
この問題児はシリアスや重い空気だと禁断症状が出るであります。
【SPD】
「こうやってるとあの戦場を思い出すであります」
少女を探す為、森の中を駆けずり回っていると過酷な戦場経験が蘇り、動きが戦場の動きになり周囲を警戒しさらに匍匐前進を始め言動もおかしくなり(ベ〇コンが襲ってくる等)正気を疑われるかもしれないであります。
「戦場では気を抜いた奴から死ぬであります!」
(アドリブ、他の人との絡み大歓迎です)
ティエル・ティエリエル
「むーむー!探検に行くならボクも連れて行ってくれればよかったのに!!」
ちっちゃなご主人様(遊んだことがあれば本人は友達だと思ってるかも!?)、クロベル探しに出発するよ!
【妖精姫と子狼の鬼ごっこ】で呼び出したオオカミくんにクロベルの匂いを追ってもらうよ!
【動物と話す】や【コミュ力】を使って森の動物くん達にもクロベルを見なかったか確認しながら進むよ☆
あっ、『リンゴLv1』が好きそうな動物くんがいれば村で取れたリンゴを分けてあげるね♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
トリテレイア・ゼロナイン
クロベル様の無事が心配ですね。少女一人で森の中に出歩くなどとても危険なこと、そのことは現地に生きる彼女が一番理解しているはず。
……その危険を冒すだけの価値があるものを探しに出かけたのでしょうか
ともかく騎士として、クロベル様をお助けしなければ。
事前に村の「集会所」でここ最近のクロベル様の様子を聞き、向かいそうな場所の情報を集めます
機械馬に「騎乗」し森の中に突入。UCの妖精ロボの「暗視」「世界知識」を駆使し少女の痕跡(低い位置の新しい枝折れ、足跡)を「見切って」探し
「怪力」と馬の「踏みつけ」で障害物をなぎ倒しながら最短距離で追跡して確保しましょう。
アララギ・イチイ
ふーん、面白そうな依頼ねぇ
さて、依頼内容は行方不明の子の捜索ねぇ
とりあえず一般的な捜索方法で探せさせてもらおうかしらぁ
【召喚・機械人形ズ】で作業用の機械人形を召喚して手伝わせるわぁ
地面に残った足跡、人が移動した痕跡などを【情報収集】で集め、どの様に森を進んで行ったのか考えて、子供を捜索(【聞き耳】を使用して小さな物音も拾える様に)するわぁ
動物が居たら【動物と話す】技能で会話、子供の行方を尋ねてみるわぁ
機械人形はローラー作戦に動員ねぇ、一定間隔の距離を置いて痕跡集めよぉ
仲間との連絡は密に、捜索場所が被らない様に行動しつつ、情報共有は徹底する様にするわぁ(事前に連絡手段を確保
キキ・ニイミ
『てぶくろ』で連携するよ。
この村には初めて来たけど、行方不明の子がいるとなると放っておけない。
絶対見つけてあげるからね!
遥さんと連絡を取りながら手分けして探そう。
【野生の勘】【第六感】を使って【救助活動】を試みるよ。
磁場を感知して距離や方角を測るキタキツネの特徴を、ボクも受け継いでるから。
それと【バトルキャラクターズ】で『アニマルGO!(動物のデータを集めるゲーム)』からアフリカゾウを出して、その嗅覚を探索に使うよ。
ついでにアフリカゾウの超低周波音で、遥さんとも連絡を取り合うね。
アフリカゾウでも【バトルキャラクターズ】には違いないから、その思考を≪ゲームデバイス≫で読み取ることで確認するよ。
如月・遥
『てぶくろ』で連携するよ。
やれやれ、そのクロベルって娘も無茶するね。
キキを見てるようで、何だか放っておけないよ。
キキと連絡を取りながら手分けして探すよ。
【サモニング・ティアーズ】で、アフリカゾウのティアーズ(UDCオブジェクト『女神の涙』で人間の少女になった動物達のこと。元の動物の特徴を受け継いでいる)の花子を呼んで、その嗅覚でクロベルちゃんを探して貰うよ。
ゾウの嗅覚は世界一と言われているからね。
キキとの連絡手段だけど、これも花子に超低周波音を出してもらうことで、連絡を取り合うよ。
ゾウは超低周波音を使って、10キロ離れていてもコミュニケーションが取れるからね。
レイチェル・ケイトリン
わたしのスカイステッパーを得意な念動力で加速してかけまわり、情報収集でクロベルさんのてがかりをさがすよ。
あつめたことはほかの猟兵さんにもおしえてあげるの。
みつけたらすぐ魔法学園の医術と優しさでみてあげる。
わたしの魔法学園服は魔導機械の技術で、手術だってできる器材を用意してるから。
村の人、みんな大切だよ。
でもいまのクロベルさんにそれはとどかない気がするの。
クロベルさんはすごいの。
念動力で紙を上手につくるのはできるとおもう。
でも、そんなやり方、ひとにおしえてあげられない。
クロベルさんが練習しておぼえたやり方ならおしえてあげられる。
村の人にあったやり方にできるの。
むりなんかしなくていいんだから。
エルーゼ・フーシェン
私は空から探してみるわね。
翼で飛んでから【空中戦】で空を飛んで探してみるわ。
【野生の勘】で何とか居場所を見つけられるといいけど。
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
トリガー・シックス
「森とは手間だな」
【第六感】でいそうな場所を探ったりしてみるが、見つかるかどうかはなんとも。
『最後の願望』でリヴェンを呼び出し、探索を手伝ってもらおう。
早めに見つけられればいいのだが
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
「うおぉおおお!クロベル殿ーーー!なんで!一人で森の中なんで!」
「落ち着いてください、モルツクルス様」
「ふごっ!?」
転送されるや否や叫びながら窓から飛び出そうとした、モルツクルス・ゼーレヴェックスの襟首を掴んで制止するのはトリテレイア・ゼロナイン…モルツクルスは自分が面倒を見た少女の危機にテンションが妙な事になっていたようだ。
「いきなり飛び出すやつがあるか、向かう方向すら分からぬというのに」
「お気持ちは分かりますが、先ずは村の皆様から情報を集めましょう」
「それもそうっすね、先ずは製紙工房に向かって話を聞いてみるっすよ」
如何に猟兵と言えど、この広大な森を全方位探すと言うのは時間がかかりすぎるだろう、クロベルの目撃情報を集めるところから捜索は始まった。
●製紙工房での情報
「クロベルちゃんですか?、そう言えば最近はあの子思い悩んでいる様で…あの子自身の紙作りは上手くなっているのですが…情けない話、我々には彼女の言っている事が理解できず…」
「何か紙に模様を書きながら、ブツブツ言ってて…大丈夫なんですかね、あの子…紙作りの上達の為に悪魔と契約とかしてませんよね?」
「奴隷って身分を気にしてるのか、ちょっとでも『え?』って聞き返すと、ごめんなさいって平謝りになっちゃうし…」
話を聞くと、どうにも工房の作業員と彼女の間には距離があるようだ、それはクロベル自身の遠慮が生み出す心の距離であり…一人だけ高度な技術を身に付けてしまった故の技術的な距離もあるようだ。
「困るっすよそう言うの…ちゃんと技術は共有しないとっすよ!」
「す、すいません、でも…」
「どのみち、今は製紙作業が出来ないんですよ…解した繊維を濾しとる『布』がなくて…ザルでやるとどうしても穴を抜けてしまいますし、荒い繊維ばかり残ってしまって…」
「『布』だけは村で作れませんので、次に荷馬車が来て布が手に入るまでは…」
「そう言えば、あの子…濾過用の布がダメになった時、『アレ』を見つけないとってブツブツ呟いてたな」
「そうそう、呟きながら…何枚か絵を描いてたな」
猟兵達と村人で行った建設作業によって『住』を確保し、『ヒューレイオンの角』のおかげで食料関連にも目処が立ったこの村であるが、衣食住の内の『衣』は外から買うしか入手手段がない、まだ余りお金がない村だから、衣類関連は常にカツカツなのである。
そんな話を聞いたメタ・フレンは、予知の話を聞いた時の予測が当たっていそうだと感じる。
「となると、あの子が探しているのは、やっぱり『綿花』なのかな?、確かに白くてフワフワしたお花だし…役に立つ事は間違いないしね」
「むーむー!そういう事ならボクも連れて行ってくれればよかったのに!!」
「そうっすよね、そういう事なら自分達に任せて欲しいっすよ」
モルツクルスやティエル・ティエリエルが言う通り、そういう場所に向かうならば自分達が適任であろう…特に好奇心旺盛なティエルと素材大好きなモルツクルスなら誘われればホイホイついて行くだろう。
「ふーむ、予知を聞いた段階ではお転婆な子だと思っていたが、どうも違うようだ…クロベルと言う少女はおそらくだが、他者に頼る事を知らぬ、或いは悪い事だと勘違いしているようだ」
これまでの話を聞いて、二天堂・たまは、クロベルの内面をそう分析する…彼女の周囲への反応や行動を推測するに、自信の生まれからくるコンプレックスのよって生まれる『遠慮』が謙虚を通り越して悪癖になってしまっているのだと。
「危険であると正論で押さえつけるより、人の助けを借りる癖をつけてもらう方が良さそうに思えるな」
「そうだね…わたしには出来なくて、クロベルさんに出来る事もあるし、逆もあるよ…だから助け合えるんだって知ってもらいたいな」
二天堂の言葉にレイチェルも頷く、強大な念動力で色々な事をこなせるレイチェルであるが…念動力は先天的な素質によるものが大きい故に、他者にそのやり方を教える事は出来ない。
しかし、クロベルの製紙技術はこの世界の基準にあった物であり、実践や経験で後天的に得た物である為、遠慮の壁さえ取り払えれば、他の作業者達にも習得が可能であるはずだ。
「全く…ガキの癖に余計な気を回しおって。だが村の役に立ちたいというその心根は認めてやらねばな」
子供が下らぬ遠慮などするなと、空雷・闘真は言う、一方で村の為に動いた心根だけは認めなければとも。
「そうだね、そこを認めてあげて…少しでも自分に自信を持って貰った方がいい影響が出そうだよ」
「うんうん、おじさん、顔は怖いけど優しいこと言うね、ボク、感心しちゃったよ」
「こ、こら!キキ!、す、すいません空雷さん!」
「気にするな、よく言われる…」
そんな闘真の言葉に同意するのは如月・遥とキキ・ニイミの二人組、キキの正直な感想…もとい、暴言を謝罪する如月であったが、闘真はあっさりと流す。
「ところで、彼女の私物って残ってるかしら?、ゾウの花子に匂いを覚えさせたいのだけど」
「あ、ボクも【バトルキャラクターズ】でゾウのキャラクターを呼ぶから、その子にも覚えさせたい」
「なるほど、動物の嗅覚を使うんっすね…って、ゾウっすか!?」
「ゾウの嗅覚は世界一と言われているからね」
「こ、工房には入れないと思うっすから、外に持ってくるっすよ」
「「は~い」」
「花子、少しでも危ないと思ったら、すぐに引っ込むんだよ!」
「君もだぞ、えーと、名前はゾウタロウ?」
如月はユーベルコード【サモニング・ティアーズ】で呼び出したのは、ゾウの花子が『女神の涙』と呼ばれるUDCオブジェクトによって少女の姿になった存在を召喚する。
『アニマテリアル』で如月の二倍の身長にまで巨大化はしているが、本来の姿に比べればまだ小さいだろう。
キキも【バトルキャラクターズ】で『アニマルGO!(動物のデータを集めるゲーム)』からアフリカゾウのデーターを元にしたキャラクターを召喚する、取り敢えず仮に名前を『ゾウタロウ』とした…花子だけ名前有りだと可哀想だからだ。
「クロベル殿の匂いが付いたものを持ってきたっすよ~、肌着に靴下っす」
「ありがとう、モルツクルスさん。それじゃ花子、匂いを覚えてね」
「ゾウタロウも嗅ぐのだぞ~」
こうして、ゾウの花子とアフリカゾウのゾウタロウはクロベルの匂いを覚えるのであった。
●自警団での情報
「森を焼けば見晴らしがよくなって探しやすくなるであります、、、、、(ハァハア)」
「ちょ、軍曹がイキナリ怖いんですけど、助けてトリテレイア殿!」
「敷島様、物騒な事を言い出さないでください、クロベル様まで焼けたらどうするおつもりですか?」
一応情報集に来たはずだが、開幕から敷島が脱線した、彼女はどうもこういう話が苦手なようで、精神に異常をきたしたのだ……何時も通りな気もするが。
「何時も通りの敷島は置いておいてだ、警護しているものでクロベルを目撃したものは居ないか?」
「はい、トリガー殿…自警団の者から情報を集めたところ、クロベルちゃんは最近、『霧の森』について調べていたようで…狩人達にも絵を見せて話を来たりしていたそうです」
「『霧の森』ってどこかしら?」
「この村は森に囲まれていますが、西の方の森は何故か定期的に霧が立ち込めるので『霧の森』と呼ばれています」
何時も通りおかしくなった敷島は放置して、トリガーとエルーゼは、自警団隊長のウォールから話を聞く…どうも、クロベルは西の方に広がる『霧の森』に対して調べていたようだ。
「『霧の森』ねぇ、今は霧が出てないようだけど危険なの?」
「それが…あの森は獲物が取れないので狩人も滅多に行かないのですが…霧が出てない時は安全ですね、クマやイノシシなど、危険な動物に遭遇した話もありません」
「うん?、じゃあ霧が出ているときはどうなのかしらねぇ?」
「霧が出ている森に入る時点で危険ですので、我々はそもそも入った事がありません」
「それもそうねぇ」
アララギ・イチイもウォールから『霧の森』について聞いてみるが、どうやら晴れている時は安全なようだが…霧が出るとどうだかは不明、獲物が取れないのに霧が出ている森に入る馬鹿などそうはいないのである…が。
「いや、俺達の元仲間の間じゃ何人か入った奴は居たぞ…まぁ、誰一人帰ってこれなかったがよ」
「あらまぁ、生存者なしとは穏やかではないわねぇ」
「凄いニコヤカにいうわね、結構やばい情報だと思うんだけど」
元山賊達の話では、山賊の中には霧の中に入ったものも居るようだ、しかしながら生存者は無し…森の中には慣れていたあろうである山賊達ですらこれだ、敵の予感を感じてアララギの口元は笑みを浮かべる。
しかし、自分達ならまだしもクロベルにとっては危険すぎる情報だと、エルーゼは眉を顰めた。
●いざ、搜索へ
「わたしは物見樽から森全体を監視しつつ【グッドナイス・ブレイヴァー】で森全体を撮影します」
「そうですね、誰かしらが中央に残り、全体の敷と情報の収集管理を行うのが得策だと思います、メタ様よろしくお願いしますね」
メタ・フレン自身は村の物見樽に残り、『地縛鎖』からの地形情報と【グッドナイス・ヴレイヴァー】の撮影、そして『電脳ゴーグル』で強化した視覚による森の監視を行うことにした。
トリテレイアの言う通り中央としての役割を果たす他に…自警団からの情報にあった『霧』への警戒の為だ、霧の発声は物見樽など、高所から眺め全体を俯瞰したほうが察知しやすいであろう。
「それじゃ行くわよ花子!」
「ゾウタロウ達もいっくよ~」
ゾウのティアーズの花子と19体のアフリカゾウが森に向かう、如月の二倍の体格で済んでいる花子はまだしも、アフリカゾウ19体が突進する姿に森がちょっと心配になる。
「何が出るかなぁ、何が出るかなぁ~」
「御伽噺の騎士に導き手の妖精はつきものです……これは偽物なのですが」
「オオカミくん、ボクと一緒にクロベルを追跡だよ!」
「ぴよぴよっ?ぴぴよぴよっ!」
「こいつを使うか、行け【影の追跡者(シャドウチェイサー)】」
「『リヴェン』、今回は人探しだ…」
「あ、わたしの【エレクトロレギオン】も連れて行ってください」
アララギは【召喚・機械人形ズ(ショウカン・キカイニンギョウズ)】によって30体の多目的機械人形を召喚。
トリテレイアも【自律式妖精型ロボ 格納・コントロールユニット(スティールフェアリーズ・ネスト)】によって、偵察用の妖精型ロボを召喚。
ティエルが【妖精姫と子狼の鬼ごっこ(フェアリー・チェイサー)】で漆黒の大浪の子供を呼び出せば。
二天堂が【フレンズ・コール(チック・ワーカーズ)】によって、体長40cm近い謎の大型のヒヨコの群れを呼び出す。
闘真も【影の追跡者の召喚】でシャドウチェイサーを呼び出せば。
トドメと言わんばかりにメタ・フレンがエレクトロレギオンを115体も召喚する。
「よし、戦争じゃなかった…探索は数っすよ!、皆さん、クロベルちゃんの痕跡を見つけたら教えてください、自分のユーベルコード【鷹の眼(アート・オブ・ザ・ホークアイ)】なら、効果範囲内まで接近した時点でクロベル殿を見る事が出来るっすよ!」
モルツクルスも既にユーベルコード【鷹の目】を発動しているが、範囲内に居ないのかクロベルの姿を見る事が出来ない…それに――。
「妙っすね…鷹の目は眼球と脳に、死角なく看破、把握、見切る力を与えてくれるはずっすけど…モヤがかかって『見えない』所があるっすよ…」
モルツクルスのユーベルコードの効果を打ち消す存在…やはり、『霧』はモンスター、即ちオブリビオンによるものなのだろうか?
「なるほどな、急いだほうが良さそうだ」
「そうですね、霧に覆われる前にクロベル様を確保しなければ」
モルツクルスの気づきに応じ、急ぐために『宇宙バイク』に乗る闘真と、機械馬『ロシナンテ』に騎乗するトリテレイア。
「モルツクルス殿、そのユーベルコードを女湯に対して使ったりしちゃ、ダメでありますよ?」
「しないっすよ!?、自分は紳士っす!」
そして、シリアスな空気に馴染めない敷島はモルツクルスにあらぬ疑いをかけた後、匍匐前進で森に向かうのだった…。
「急いでいるので、真っ直ぐ進ませていただきます!」
「なぎ倒した木は後で木材にしねぇとな」
「ひゃっはー、邪魔な木はベトコンであります、邪魔じゃない木は訓練されたベトコンであります!」
「いや、その理屈はおかしいっす」
急ぐため、障害物はなぎ倒して進むトリテレイアと闘真。
そして、森での過酷な戦闘経験が蘇った敷島は、二人の破壊行動に触発されて、木々に対してあらぬ疑いをかける、一体どんな経験があったのか…そもそも年齢的にベトナム戦争には参加してないはずだが。
「パオーーーン」
「ゾウタロウ達、クロベルちゃんの匂いを探すのだ!」
「ちょっと可哀想だけど、闘真さん達のおかげでこの子達も通れて助かるわ」
そして森の中を闊歩する19体のアフリカゾウ…彼にとって、森は木々が障害となって動きにくい地形ではあったが、先行組がいい感じに道を作ってくれるので楽に行動が出来る…そして――。
「遥、あっちから匂うよ」
「わかったわ花子、闘真さん、トリテレイアさん、あっちの方らしいです」
「了解しました、如月様」
先ずはゾウの花子の嗅覚がクロベルの足取りを捉えた、流石の過剰すぎる探索網と言うべきか…その後も足取りは次々と見つかっていく。
「む、これは紙だな…この森を通る者で上質な紙を持ってる奴など、他には居まい」
「へー、これが工房の人が言ってた模様かぁ、何だろう?、絵みたいな?、文字みたいな?…読めない」
「これは…なんか象形文字っぽいっすね」
「うーん、物の形から漢字が出来るまでの中間にも見えるわね…国語の授業で見たアレよ」
恐らくはクロベルが落としたであろう紙切れが見つかる、象形文字のような模様が書いてあるが解読が出来ない…猟兵達はその世界の言語を理解する能力があるので、これはこの世界の文字ではないのであろう。
読めない文字?ではあるが、その種類は少なく、図や絵にも近いものなので、何となくの内容も分かる…これは――。
「火に水に木…これは砕いた木っすかね?…見た感じ製紙工程みたいっす…文字が書けないからこうやってノウハウを積み重ねて来たみたいっすね」
「わぁ、それじゃ自分で文字を作っちゃったんだ、何か暗号みたいだね!」
「興味深いのは理解しますが、今は先を急ぎましょう」
「そ、そうだったね!」
「そうっすね、これは後でじっくり見聞するっすよ!」
クロベルの残した謎の文字?に、つい興味を惹かれてしまったモルツクルスとティエル、しかし探索を止めるわけにも行かないとトリテレイアに嗜まれ、探索は再開される。
「レイチェル、あれ…」
「うん、丘の向こうにあって見えづらいけど『綿花』っぽいね…」
空を【スカイステッパー】で翔けるエルーゼとレイチェルも、恐らくはクロベルの目的であろう『綿花』らしき物を遠くに発見する。
「先回りは不味いわね、周辺を探しましょう」
「うん、クロベルさんは森を壊せないから見つけにくいけど、がんばろう」
木々をなぎ倒す猟兵達は上から見ればすぐに見つかるが、小さい少女を木々に覆われた森を上から眺めて探すのは難しいであろう。
順調にクロベルの足取りを捉え、それを追う猟兵達…そしてついに――。
「見えたっすよ!、うおおおおおーーー!、クロベル殿、うおおおおおお!」
「落ち着け、無事なんだな?」
「はい、無事っすよ、連れ戻したらお説教っす!自分だって怒るべき時は怒るっす!」
「そして、褒めても上げないとね~」
「何にせよ、無事で良かったよ!」
モルツクルスの【鷹の目】によって無事が確認されて猟兵達に安堵の空気が広がる。
「よし、ならばチームを分けるか」
「そうねぇ、この森はちょっとおかしいものねぇ」
トリガーとアララギがチーム分けを提案すると、一同も黙って頷く…皆、先ずはクロベルの無事を優先してはいたが、この森の異常さにも気がついていたからだ。
「そうだね、クロベルの痕跡は順調に見つかったが…それ以外の痕跡がなさすぎるね、足跡も少女らしき物しか見つからない、相棒たちに木を登らせても鳥の一羽すら見ないのは流石に問題だよ」
「獲物が取れないどころの話ではないな…この森には『動物がいない』」
「…っ!」
「遥さん…」
二天堂の見解と闘真の指摘を聞いて、飼育員である如月は肩を竦ませる、それに心配そうに付きそうキキ。
「動物は逃げ出しただけという可能性もあるが…」
「全ての動物が逃げ出すような奴が潜んでいるかもって事になるのよぉ」
「確かに、そちらの調査も必要ですね」
「俺とアララギはそちらの方を調べようと思う」
「じゃあ、私は引き続き空から霧に注意するわ、レイチェルさんはクロベルを空から見守っててあげてね」
「わかった、エルーゼさん気をつけて」
「メタの【エレクトロレギオン】もそっちの探索に回すが良い、クロベル周辺は俺のシャドウチェンサーと…」
「私のオオカミくんだけで十分だよね!」
「自分もベトコンの探索に行くでありますよ!、奴らを根絶やしにしてやるであります!」
「「「だから、ベトコンは居ない!」」」
こうして、クロベルの無事を確認し余裕が出来た猟兵達は二手に分かれ『霧の森』の探索も始めたのだ。
●『霧の森』の怪
「ない、なにも居ない…」
物見樽で情報を収集するメタ・フレンの表情は険しい…これだけ鬱蒼とした森に生きている動物が見当たらないのだから…
「見つかったのはトリガーさんが見つけた、大型の顎に噛み切られたヒグマの死骸、アララギさんが見つけた白骨死体、そして【エレクトロレギオン】が見つける虫の死骸が多数か…」
この情報は猟兵達に与えられ、探索は続くのだが…
「流石にこんな森は初めてだな…」
「そうねぇ、虫まで念入りに殺すなんて暇なモンスターも居たもんだわぁ」
「と言うより、これは毒ガスでも使ったんじゃないでありますかね?、例えば枯葉剤とか…」
「そんなの撒いたら森も枯れるだろう…、いい加減ベトナム戦争からは離れてくれ」
「でも、毒ガスって線はありえるわねぇ、植物には効かない奴ってだけで…これだけ生物を居ない環境を生み出すには一番現実的な手法よぉ」
「毒ガス…『霧』…そうだとしたらかなり厄介な奴だな…エルーゼ、森の様子は?、『霧』は出ているか?」
「大丈夫、空から見た感じ、まだ霧は出てないよ」
「【エレクトロレギオン】にも探させてもモンスターの痕跡はなし、これは『霧』が出るまではお預けみたいだわぁ」
「自分の術中でなければ出てこない相手か…やれやれ」
「ベトコン共は今度は霧の中でありますか、ホント戦場は地獄であります!」
「敷島、敵は恐らく大型の肉食の顎を持つモンスターだ…顎の形からドラゴンだと推測している、ベトコンではない、と言うよりこの世界にベトナムはない」
「ベトコンはドラゴンだった?…そう言えば文字数が似ているであります!」
「もう、この子の理解は諦めたほうが良さそうだねぇ」
頭フルメタルな敷島は置いておいて、これ以上の情報は実際に『霧』が出ないと獲られないだろうと判断し、猟兵達は『霧の森』の探索を切り上げた。
●『綿花』の向こう側の奇跡
「ク、クロベル殿、無事で良かった…うおおおおおおおおおおおおぉん」
「ご、ご主人様方!?、ど、どうして!?」
『綿花』が咲き誇る丘の上で、ついに猟兵達はクロベルに追いついた、実際に無事なのを肉眼で確認した瞬間、モルツクルスは号泣する。
「説教するのではなかったのか、まったく…おい、子供があまり無茶をするもんじゃないぞ、こういう時は大人を頼れ」
モルツクルスが説教を放棄したので、代わりにクロベルを嗜める闘真…自身の迫力は理解しているので、普段より若干優しめな声に変えるなど、意外と気を使っている。
「ご、ごめんなさい…でも、奴隷の私がご主人様達の手を煩わせるわけには」
「えー?、一緒に探検したほうが楽しいじゃん!、それにこんなお宝だったら喜んでついて行っちゃうよ!」
やはり『遠慮』が強いクロベルに対して、綿花を持ちながら『無遠慮』に頬をツンツンするティエルはニコっとクロベルに笑いかけてそう言う。
「お、お宝…わ、私は役立てなのでしょうか?」
「そうだね『綿花』は村の役に立つだろうね、お手柄だよクロベル…しかしだ、君は一つだけ間違いをおかしている」
「はい!…え?、間違い…ですか?、私、何か粗相を…」
二天堂の言葉に嬉しそうに返すものの、間違いをおかしたと言われ顔を青くするクロベル。
「うむ、子供と言うのはね大人に甘えるのも仕事なのよだ、その業務を怠っている」
「え?、甘えるのが仕事?」
二天堂の言葉にキョトンとするクロベル、理解ができない…そもそも、親もなく奴隷だったクロベルは誰かに甘える事など許されなかった話なのだ。
「そうよ、クロベル…一杯甘えて、色々頼って、大人のやり方を見て学ぶ事も立派な仕事、それに…大人として、親としての接し方を知らなければ、大人になった時に子供にどう接していいかわからないでしょう?」
そんなクロベルの頭を撫でながら如月は諭す、人間でも動物でも大人が子供を守るのは当然のこと…そして子供が大人になったら今度は自分が子どもを…こうして世代は引き継がれていくのだから。
「そうそう、ボクもいろいろ遥さんから教わってるよ!、まだまだ色々分からない事あるけど、一緒に頑張ろうよ!」
そんな如月が面倒を見ているティアーズの一人であるキキも笑顔でそう言う、嘗て『女神の涙』で動物から少女に変わったキキにとって、如月は人間としての親とも呼べる存在なのかもしれない。
「学ぶ事もお仕事?」
「そうだ、村の役に立ちたいと言う心根は買うが…故にお前はまだまだ学ばねばならん、その技術、その知識を村の者に伝える為の心をな」
「クロベルさんはすごいの、いっぱい練習しておぼえた紙作りを村のひとに教えられる、これはわたしにはできないことだよ…だから、こんなむりしないで、助けあって…いっしょにがんばろう?」
「私が…私なんかが…」
猟兵達の言葉にクロベルは涙ぐむ、奴隷としては体も弱く、小さく労力にはならず…女としての使用にも向かない年齢故に粗悪品として扱われてきた少女。
そんな少女を認めた上で、大事にし、導こうとしてくれる猟兵達の優しさは彼女にとっては未知の物であるが、子供として、本能として理解できる…『親の愛』の様な温かみを感じるのだ。
「決めた!モヤシのご主人が知恵ってものをたっぷり叩き込んでやるっす!、色々教えるっすから頑張るっすよクロベル殿!」
「は、はい、ご主人様!」
そんなクロベルを見て、決意を決めたモルツクルスは教育御主人様宣言をする、涙ぐみながらクロベルはその言葉に嬉しそうに返答したのだ。
(これで一件落着ですね…私も何かを教えてあげたいところですが、所詮は偽の騎士…ウォーマシンの私には…)
そんな情景を見ながら、トリテレイアはその様な事を考える…騎士を志し、目指すも、その騎士道を裏切るウォーマシンの本能。
そんな自分には子供を導く事が出来るのかなど悩みつつも…トリテレイアはふと、予知の続きを思い出す。
(予知では、クロベル様は綿花のある丘の向こうを見て困惑していたはず…一体何が…)
思い出したのはグリモア猟兵の予知の続き、そう、この丘の向こう側に困惑するような何かがあったはず…それを思い出してトリテレイアは丘の向こうを覗き込むと…
「……え?」
「モーー」
電子の瞳に飛び込んできたのは見事なホルスタイン、巨乳の女性という意味ではない本来の意味でのホルスタインだ、更に…
「ヒヒ~ン」
「ブヒ、ブヒッ」
「メェ~~」
「コケコッコー」
その向こうには、馬、豚、羊、鶏…他にも動物が居る、居るが…その大半が家畜だ、丘の向こうは窪地になっており、ここだけは木々もなく開けていて、まるで…
「こ、これは…牧場ですか!?」
「え?、何を言ってるの、トリテレイアさん…こんな所に牧場があるわけ…」
牧場という言葉に反応した如月も丘の向こうを覗き込むが…固まる、脳の理解が追いつかない…未開の森の中にある牧場、柵もなく人の気配も無いが、そこにいる動物は飼育員の目からしても家畜のそれら、紛う事なき牧場なのである。
「な、な、なにこれー!!?」
如月の叫びに他の猟兵達も集まり、牧場?の調査を行った結果、ある事実が見えてきた。
「恐らくは、昔にあった村の牧場っすね…そう言えば、昔は他の村とかもあったけど、全て滅びて港町のモジャーポートだけが残ったって話だったっすね」
「でも、どうやって家畜が家畜のまま森の中で…」
豚なら猪に先祖返りして森の住人になる事もあり得るが、豚のままであり森ではなく、未だに牧場に住み着いているのだ…他の動物もだが、どうやって生き残ってきたのか…。
「俺達が通ってきた『霧の森』の所為だろう、あの森が生物を寄せ付けず…この丘の反対側も見てきたら断崖絶壁だった、故に肉食獣もこの牧場には入ってこれなかったのだろう」
『霧の森』の異常性が偶然にもこの牧場の家畜達を守っていたらしい、そしてこういう環境であるが故にここから逃げ出せない、逃げても死ぬだけだったのであろう。
「餌は…冬には牧草が枯れてしまうのにどうやって?」
「それなんだけどねー、これを見つけたの…この異常に硬い毛、間違いないよ、これ、ヒューレイオンの体毛だよ!」
「となると、ここは…」
「あの、ヒューレイオンの寝床だったかもっすね、だから冬でも牧草が枯れることなく家畜も生き延びてきたって訳っすか…」
「え?、まって、じゃあ私達がヒューレイオンを倒しちゃってるから、この子達は…?」
「冬には飢え死にだな…このままここにいては」
「つ、連れて帰ろう!、可哀想だよ!」
様々な要素が重なって偶然生き残っていた滅びた村の家畜達、しかしその束の間の楽園もヒューレイオンの死によって崩壊した。
そんな家畜達を可哀想だから連れて帰ろうとキキは提案し、一同もそれに賛同した…霧はまだ晴れているが、霧が森を覆う前に家畜達を村に移動させよう。
大成功
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第2章 冒険
『家畜の運搬』
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POW : 襲いかかってくる野獣たちを追っ払います
SPD : 後ろから家畜たちを追いたてたり、前に出て先導したりします
WIZ : 動物と触れ合って移動に協力してもらう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
家畜を村に連れて帰ろう、このままではここに住む家畜達は冬には飢え死にしてしまうであろう。
また、『霧の森』は何時、霧に覆われるかも分からない…調査の結果、明らかに異常なこの森を村人達に通させるのは危険が伴うであろう、村人やクロベルなどは村に待機させ、何らかの作業をしてて貰おう。
●開拓パート
基本的な開拓ルールはマスターページを参照して下さい。
この章では欲しい家畜を連れ帰りつつ開拓の支持を出す事も出来ます、また連れ帰った家畜を居るものとして扱いプレイングに書いて構いません。
(例)
・『ワニ』を連れて帰り【防衛】で濠にワニを飼い、繁殖させる。
・『牛』を連れて帰り【経済】でチーズ工房を作る。
・『馬』を連れて帰り【文化】で競馬場を作る。
などなど…例にもあるように、1章で描写されなかった家畜も居るかもしれません。
また、敢えて家畜は無視して他の開拓に集中するのもOKです、あくまで『出来る』と言うだけの話なのです。
トリガー・シックス
「護衛なら俺がやろう」
野獣ならいいが、ヒグマすら食い殺す存在がいるなら警戒は怠らないほうがいいと判断。
『最後の願望』でリヴェンを呼び出し、サイキック能力で追い払ってもらう。
「……なんだ?」
森の奥から何か飛んでくるのを確認、警戒する。それが帽子だと知って驚くが。
帽子型魔具がまるで主を見つけたように頭に乗る。手に様々な銃器が現れる。
「まるでガンスミスだな」
付けられた名は『Gs.ジョーカー』、愛用していた銃と同じ名を持たせた。
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
エルーゼ・フーシェン
「動物と話せれば、移動してもらえるかも」
【動物と話す】ことで安全な場所があることを教え、移動してもらう。
(焼肉……)
ふと思ったことをトリガーに見抜かれ「怯えさせるな」と言われる。
他にも色々と聞いてみる。この森のことや、昔のことを。
気になるのは、霧が出た時の状況や他に動物がいないこと、そこも聞いてみる。
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
「護衛なら俺がやろう」
各々の猟兵が家畜を誘導する中、トリガーは護衛として周囲を警戒する役を買って出た、道中に野獣の姿は確認されていないが、霧が深まれば潜んでいる『何か』が現れるかも知れないし、警戒に越したことはない。
「リヴェン…反対側の警戒を頼む」
ユーベルコード【最後の願い】によって、今は亡き恋人『リヴェン』の霊を呼び出して周辺を警戒するも…生物の気配は感じられない。
(このまま出て来なければ良いのだがな…)
霧の中にいると思われるモンスターはいずれは討伐せねばならぬだろう、この様な不気味な存在が村のすぐ西に潜んでいるのは危険すぎる状態だ。
しかし、家畜を運んでいる今は遭遇したくはない相手でもある、推定であるが毒ガスのような物を使う相手となれば、そいつから家畜の命を守るのは難しい。
「トリガー、様子はどう?」
「今の所は問題なしだ、霧も少しモヤが出ているぐらいか…」
「そっか、この子達にこっちが安全だよって言っちゃたし、今は出てこない方がいいなぁ~」
「そうだな…ん?、牛を連れてきたのか」
「うん、他の子達とも話はしたけど、動物と話せる猟兵が他にも居たし、私はこの子達の担当なの…それに…」
エルーゼは思い出す、UDCアースでの依頼の時に食べた焼き肉…即ち牛肉の味を、ひと噛みすれば脂と共に口の中でとろけるお肉が甘辛いタレと絡んで…
「モ?モー!?」
「エルーゼ、あまり怯えさせるな、食欲がオーラになって漏れているぞ」
「え!?、うそ、そんなオーラ出てた!?、ゴメン、ゴメン!」
トリガーに指摘され、慌てて脳内の焼肉の情景を打ち消すエルーゼ、安全だよと言っておいてこれじゃ、牛たちに面目が立たない。
「それに、UDCアースで食べたような肉を、アックス&ウィザーズではあまり期待しないほうがいいぞ」
「あの牛はUDCアース特有のものなの?」
「UDCアースというか、日本の『和牛』の特徴であるが…それ以前にアックス&ウィザーズでは肉の為だけに牛を育てると言う文化があまりない、農耕の労力として使ったり、牛乳を搾ったりが主な用途で、それが出来なくなった牛を食べる事が多いが…その場合の肉質は、食肉の為に育てた物と比べると大きく劣るだろう」
牛という人間の数倍の力を持つ家畜は貴重な労働力であり、牛乳と言う大事な食料を生み出す存在である。
故に、牛を肉が柔らかい若い内に締めて食べるなどという事は一部の富裕層ぐらいしかやらず、一般人には経済的にも出来ない。
多くの場合は年老いるまで働かせてた後で食べる為、牛肉の評価は食肉の為に育てられている他の家畜の肉より低いのだ。
「そっかー…でもさ、そう言う牛が少ないなら、逆にそう言う牛を育てれば希少価値も出て良いんじゃないかな?」
「かもしれん…が、簡単な事ではないな…牛の品種改良、食肉用に牛を育てられるだけの労働力、経済力の余裕、この世界では低いことが多い牛肉に対する評価の改善…問題は山積みだ」
「うへぇ…美味しいお肉作るのも大変なんだね…キマイラ・フューチャーだとコンコンすれば出てくるのに…うーん、でも…」
「でも、どうした?」
「うん、なんだろう、楽しい…かな?、苦労する分、やり甲斐があると言うか、有り難みがあるというか…」
エルーゼの故郷であるキマイラ・フューチャーでは先ず起こりえない体験、大変で面倒くさい筈であるが…それを乗り越えて少しずつ良い環境になっていく。
それは、既に完成された環境とも言える世界で育ったエルーゼには新鮮な体験であった。
襲撃が無いため、そのような雑談の他にも色々と聞いてみた…トリガーは相変わらず昔の事などは話してはくれないが、森の事に関しては仕事に絡むからか、キッチリと答えてくれる。
「動物が居なかったみたいだけど、具体的にはどんな感じだったの?」
「ヒグマが一頭、ひと噛みで絶命していた死体を発見した…とは言え、時間は大分たっていたな…腐敗は進んでいたから、前に霧が発生した時の被害だったと考えられるな」
「霧はどうだった?」
「今と同じ、すこしモヤが出ているだけだな、物見樽からの情報だと周期的に2~3日は霧は晴れたままであると予測されるらしい」
「これぐらいのモヤは何時でも出てるって事なのかな?」
「そうだな…この程度のモヤは常に…」
モヤについて話しながら、それに目を向けた時、モヤの中に見知った…居るはずのない影が、一瞬浮かび上がり、そして消えていった。
「………なっ!?」
「…え?、リヴェンさん?」
「いや、今、リヴェンは反対側見張っているはずだ…」
「幻覚?…しかも、例のモヤの中から、ちょっと嫌な感じだね」
「ああ…」
もし、今のが霧に潜む何かの能力だったら…幻覚にせよ、複製にせよ厄介であり…よりにもよって彼女を模した事はトリガーにもエルーゼにとっても『嫌』な事であっただろう、二人の間に緊張感が戻る。
「…何か来るよ」
「判っている…」
しばらくして、モヤとは関係ない場所から何かが飛んできた。先ほどの事もあり、緊迫した面持ちで構えるトリガーとエルーゼであったが…
「……なんだ?」
「え?、えっと…帽子?」
「何故、こっちに飛んできた?」
「それは、私も聞きたい」
二人に向かって飛んできたのは帽子、中折れ帽だ…何故飛んできたのか、そもそもなぜ帽子が飛ぶのか…極めて不審な存在であるが、不思議とトリガーはそれに危険を感じない…そして――。
「まるでガンスミスだな」
「と、トリガー大丈夫なの!?」
トリガーが帽子を被った、と言うよりも帽子がそのままトリガーの頭に乗っかったのだが、普段のトリガーであれば、その前に警戒して切り捨ててもおかしくない。
そんなトリガーが無抵抗に帽子に被られた様を見て、エルーゼは慌てて問うが、トリガーは割と平然としている。
「これは…マジックアイテムの類か?」
帽子を被ると同時に赤いマフラーも形成され、トリガーが思うままに手から銃器が生成される。
「そうっぽいけど…どうして?」
「俺にも分からんが、何か主を見つけたと言わんばかりの感じでな、それに…」
「それに?」
「どういう訳だか、この帽子から『ジョーカー5s』と同じ雰囲気を感じてな…不思議と、警戒できなかった」
「ああ、トリガーが愛用してた…そんな雰囲気出されちゃ警戒は出来ないね」
これがモヤから出てきていたら、警戒もしただろうが…先程の『偽リヴェン』には邪悪な気配を感じたが、この帽子にはそれがなかった。
何故、この帽子がトリガーの手元に飛んできたのかは謎だが、その雰囲気からトリガーはこの魔帽に『Gs.ジョーカー』と名付けたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
・【経済】が2上がった
・『牛』を手に入れた
・モヤ(霧)から幻覚か、こちらを模した何かが出るという情報を入手、3章では全ての猟兵がそれを事前に知る事ができます。
二天堂・たま
『羊』を連れて帰り【文化】を開拓
UC:フレンズコールの相棒達の手を借りて、動物と話す能力を使おう。
移動させるにも、それ以外にも。
まずは乳搾りを覚えるのだ。
乳は実に有用だぞ。麦や野菜と煮るのもいいし、チーズがつくれれば冬の備蓄食にもなるのだ。
コミュ力も活かして、村の料理のレベルを高めるとしよう。
ついでに羊の毛を定期的に刈り取り、布や綿を作るのだ。
服に良し、寝具に良し、たくさん摂れれば交易で外貨も稼げる優れ物だぞ。
ワタシは羊たちを落ち着かせるから、刈り取りは村人達にやってもらおう。
技術は人の手に宿るものだからな。
おいしい食事と温かい寝床。これがあれば明日に希望が湧くというものだろう。
メタ・フレン
私は『アルパカ』を連れて帰り【経済】で毛皮を生産してみます。
この村では、衣が不足していますからね。
アルパカはその生涯に3~4回しか毛皮が取れませんが、その分高級ですし。
その前に、この霧の森から動物達を連れ帰らないといけませんね。
その方法ですが、
①【バトルキャラクターズ】でSTGの戦闘機を24機出す。
②【レプリカクラフト】で、『仕掛け罠』としての網と縄をありったけ出す。
③【ロープワーク】で、全ての戦闘機に網を括り付ける。
④網の上に動物達を乗せ、そのまま戦闘機を【操縦】して、動物達を村まで空輸する(可哀そうですが、暴れて網から落ちないように、予め動物達を縄と【ロープワーク】で縛っておきます)。
ティエル・ティエリエル
【経済】
「ヤギさん、ヤギさん!ボクと一緒に村まで行こうよ!」
【動物と話す】技能を使ってここにいたらご飯が無くなっちゃうよと説得して、ヤギさんを村まで案内するよ!
村ではヤギさん達の住処を用意してもらって、代わりにヤギさんのミルクを分けてもらうね!バターやチーズなんかに加工してもいいかも☆
暖かくなってきたら毛狩りをさせてもらってお洋服作りにも役立ってもらうね♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
『ヤギさん、ヤギさん!ボクと一緒に村まで行こうよ!』
『え?、でも…ここの生活に不満はないし…』
『でも、ここに居ると食べ物がその内なくなっちゃうんだよ?』
『な、なんだってー!?』
『そう言えば、最近、あの巨大な鹿が現れなくなって草が枯れはじめてるような…』
『マジかよ、やべーよ、やべーよ…俺、村に行く!』
『暖かくなったら毛皮を貰ったり、お乳分けて貰うけど良いかな?』
『世の中ギブアンドテイクです、分けるって程度ならどうぞ、どうぞ』
『暑い時に毛は邪魔だし、暖かい時期なら歓迎っすよ!』
『ただし、俺らの肉は臭いんで、そこんとこヨロシク!』
ティエルは動物会話でヤギ達を説得してみた結果、話のわかるヤギ達だった…食肉への恐れがあるのか、肉は不味いと念を押しては来たが、それ以外の家畜生活には不満はないらしい。
「おや、ティエルはヤギを選んだのだね、私は『羊』を連れて行く事にしたよ」
「『羊』と『ヤギ』ですか、良いですね、汎用性のある家畜です、因みに私は『アルパカ』を選びました」
「これで一気に衣類の問題が片付くね!」
二天堂は『羊』、メタ・フレンは『アルパカ』を選んだ、どれも村の布事情を思っての選択であろう。
アルパカは日本では珍しいが、どれも体毛を利用できる家畜達…彼らを連れて帰れば村の布事情は大幅に改善されるのだ。
『それじゃあ、ヤギさん達!、村にいっくよ~!』
『は~い』
ティエルは動物会話でヤギに呼びかけて、村へと先導するとヤギはそれに付いていく。
「ぴよぴよっ?ぴぴよぴよっ!」
『ぴよよっ、ぴよ!、ぴぴーよ!』
『ぴよ!』
((今、羊も『ぴよ』って言った!?))
二天堂のユーベルコード【フレンズ・コール】によって現れたヒヨコの群れが羊たちに呼びかけ、こちらもそれに付いてくる。
何故か羊まで『ぴよ』と言ったが、動物会話ならずピヨ語会話なのだろうか?、取り敢えず『ぴよ』で通じたようだ。
「あ、メタは動物会話できないよね?」
「ふむ、良かったら、私の相棒が話をつけようか?」
「大丈夫です、それに二天堂さんに任せると、アルパカまで『ぴよ』って言いそうですし」
そう答えるメタ・フレンは【バトルキャラクターズ】を発動、STGから戦闘機をキャラクターとして呼び出し、更に【レプリカクラフト】で『仕掛け罠』として網やロープを作成、そして【ロープワーク】でアルパカ達を縛り付ければ…
「ふぇぇぇぇー!!?」
「アルパカさん可哀想だよっ!?」
「く、空輸かい?、確かに霧の森を通るならそれが一番安全だが…」
「可愛そうですが、数も多いですしこれが一番です」
哀れ、そのまま24機の戦闘機に空へと持ち上げられ運ばれるアルパカ達、アルパカは滅多に鳴かず、鳴いても「ふぇー」気の抜けた感じの声の筈なのに、割と必死そうに聞こえるのを見上げる、羊とヤギたち。
(俺、あの人にスカウトされなくって良かった…)
そんな羊とヤギ、そして哀れなアルパカ達も無事に村へとたどり着いたのだった。
「よし、よく我慢したね、着いたよ」
「ぺっ!!」
「うわ、唾を吐かれた!?」
村に到着後、縄から解かれたアルパカが最初にとった行動は、アルパカの習性でもある『唾吐き』である。
とは言え、基本的に人懐っこいアルパカは滅多にこの威嚇を人にはやらないのだが、流石にこの空輸には文句があったようだ。
「残念だけど…」
「当然であるな」
メタも安全を第一に考えての事だとは理解できるが、動物と会話できる二天堂とティエルからしてみれば、アルパカの反応も当然というしかなかった。
「では、村の者達よ毛刈りを始めよう、我々が動物達を宥めてるから取り掛かってくれたまえ」
「はい!」
「やった、これで布が手に入るぞ!」
猟兵達の監修の元、村人達の毛刈り講習会が始まった…これで布が手に入ると大喜びの村人だが、経験がない者はやはり苦戦する。
「わわっ、暴れないで!?」
「ヤギさん痛がってるよ、もう少し優しくだよ」
慣れない者の毛刈りは痛がらせてしまうので、暴れてうまくいかない…こうなっては会話ができるティエルでも宥めるのはなかなか大変だ。
「あの、何でしょうか?…この毛の塊みたいな動物…」
「アルパカです、アルパカは毛を刈る為に品種改良された動物です、生涯に3~4回しか毛は刈れませんが、刈り取らない限り毛が伸び続けるので」
「うへぇ、初めて見ましたこんな動物…」
アックス&ウィザーズでもアルパカを見ない地方は結構あるためか…誰にも手入れをされず、毛が伸び放題になっているアルパカを見て驚く村人も多かった。
「ふぅ、刈った刈った」
「早く機織り機を買わないとな、これで布が作れるぞ」
「しかし、動物によって、随分と手触りが違うものなんですね」
「それぞれの良さがあるね、アルパカやヤギは高級品だが、羊は安価な分、安定供給が出来るからね、それにまだまだ」
「そうそう、乳も取れるから、チーズとかも作ろうよ」
「では、私もアルパカ…も出ないわけでは無いですが、他の方が連れて来た牛を使いましょうか、牛には乳槽があり、個体としても大きいですから絞れる量がとても多いですしね」
これらの家畜の利点はまだまだある、先ずは乳だ…羊もヤギも古来から人類が利用してきた良質の乳を出し…そしてミルク=牛乳と言うイメージすら牛は、乳を得るにも最も安定した家畜とも言えるのだ。
アルパカの乳に関しては、そういう製品もあるって話も見かけたが、体格的にも量には期待できないし、メタ・フレンは他の猟兵が連れて来た牛の乳を担当した。
「こうして、飲み比べてみると結構違うもんだな」
「ヤギさんのミルクは小さいお子さんが飲んでも安全だよ~、お腹壊しにくいんだよ!」
「へぇ、家内にそろそろ子供が生まれそうなんですよ、そいつは有難いや」
ヤギの乳に関して聞いた話をドヤ顔で語るティエル、無い胸を張って自分が連れてきたヤギさんのミルクも好評で嬉しいようだ。
「これで、ミルクもバターも作れるな!」
「料理に使うのも良いよ、羊のミルクで野菜を煮たりしても美味しいのだ」
「へぇ~、そういう料理もあるのか~、今度教えてくださいよ!」
「いいよ、美味しい料理が増えるのは良いことだからね」
二天堂は乳製品の作り方を教えるついでに、村人に色々な料理も教えていく…美味しいものが作れるようになるのも、村の発展には良いことなのだ…美味しいものを食べる時、人が幸福を感じる物なのだから。
「牛の乳、即ち牛乳…当たり前すぎるのには訳がある、やっぱり流石の量ですね」
「改めて見ると凄いんだな牛って…質が悪い訳でもないのに、量がダントツだ」
「それぞれの良さはあるけど、普段使いならやっぱり牛乳かなぁ?」
メタもアルパカではないが、牛の乳を絞りながら色々な加工品を村人に教えていく…流石に取れる量が一番多くて、安定性ならばNO1であろう。
「ありがとうございます、これでこの村も裕福になりますよ」
「野菜とパンだけの生活からおさらばです、食卓が豊かになりました!」
やはり、食が豊かになる事はいつの時代の、どんな世界の住人であれ嬉しい事なのであろう…布の問題も解決し、村人達は大いに活気づく。
猟兵達が持ち帰った家畜達と、それに連なる技術は、確かにこの村に幸せをもたらしたのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
・【経済】が4上がった
・【文化】が2上がった
・村スキル『羊Lv1』『ヤギLv1』『アルパカLv1』『布加工Lv3』『乳製品Lv3』『料理Lv1』を獲得
空雷・闘真
闘真は動物の群れを先導する役割を買って出た。
≪心眼≫【見切り】【第六感】【野生の勘】で注意深く警戒しつつ、敵『意』や殺『気』を瞬時に察知出来るよう【空雷流奥義・天】を展開する。
いわば意と気専門のレーダーだ。
警戒を続けながらも闘真は今後の事も考えていた。
(【防衛】に於いて、傷病者治療の知識や技術、即ち『医療』は必要不可欠。しかし現状、それは不十分だ)
自身の【戦闘知識】から、応急処置程度なら出来る。
戦場で衛生兵の真似事もした経験もある。
だが…それだけだ。
「元来空雷流は活殺自在の武術。しかし俺は殺法ばかりで活法はからきし…もう一度鍛え直さねばならんな」
嫌いだった活法の修行を思い出し、闘真は苦笑した。
敷島・初瀬
「まさかワニみたいな肉食獣までいるとは、まあ餌は周辺の鹿や山賊を狩ればいいのでありますが」
今回増えた様々な家畜を眺めながらさらりと人の道に外れることを呟くであります。
【経済】
村も発展し加工品の売買なども必要になってくると思われるので自警団の訓練も兼ねて街道周辺の山賊の積極的な消毒と街道の整備を行うであります。
道を広くしたり橋を修理するなど交通の便を良くし往来がしやすいようにし、自警団が定期的に巡回することで安全も確保するであります。
「ホント戦争は地獄であります!」(降伏しない山賊の洞窟にナパーム弾撃ち込みながら)
(アドリブ、他の人との絡み大歓迎です)
如月・遥
【幽体離脱】で生霊と一緒に周囲を警戒しつつ、動物達を後ろから誘導するよ。
もし野獣が襲い掛かってくるようなら、≪犬笛≫で大きな音を出して追っ払う。
それが効かないようなら≪記憶消去銃≫で動きを封じるよ。
村に帰ったら、私は『ゾウ』を使おうかな。
頭が良くて力持ちだから、運搬や土木工事のような【経済】にも使えるし、何より【防衛】にも役立つと思う。
有事の際には戦闘にも利用出来るし、何より危機察知能力に優れているから見張りに最適かなと。
何せ足の裏で40キロ先の振動を感じ取って、津波を予知したって話もある位だし。
欠点としては餌の量が凄まじい事と、繁殖期のオスが滅茶苦茶凶暴で人を殺しかねないって事だけど…
キキ・ニイミ
やっぱりボク、本当の自然の中に来て興奮してるのかな。
あんな怖そうな男の人にあんな事言うなんて、普段の内気なボクじゃ考えられないのに…
ま、それはいいや。
とにかく今は動物達を村まで連れてってあげないと!
今のボクなら何だって出来そうだ!
ノアの箱舟みたいに動物達を皆救っちゃおう!
ボクの住んでる『アーク・パーク』のアークは、箱舟って意味なんだから!
では早速!
狐の嫁入りみたいに【アニプラズマショット】を動物達の周囲に整列させて猛獣避けにしよう。
熊とか来ちゃったら、少し炎を当てて追っ払うよ!
村に帰ったらボクは【文化】に『鳩』を使おっと!
サーカス団てぶくろの手品とか。
村の識字率が上がれば伝書鳩にも使えるしね!
●予想外の家畜を連れて帰ろう。
「よし、家畜は確保したな、道中は俺が先導しよう」
闘真は家畜を確保した、キキ、如月、敷島に声を掛けた後、ユーベルコード【空雷流奥義・天】を発動させる。
闘真の研ぎ澄まされた直観が、周囲の『意』や『気』を探知するレーダーの様な役割を果たす…これにより敵意があるものが近づけば即座に探知できるであろう。
「では、私は周囲を警戒するわね」
如月もユーベルコード【幽体離脱】を発動させる、『魔王の心臓』と呼ばれるUDCオブジェクトの影響で幽体離脱をしやすくなってしまった如月だが、上手く使えばこれが役に立つ…自身の意識を保ったまま、感覚を共有する『自身の生霊』を生み出して、周囲を探る事ができるのだ。
「なら、ボクは獣よけを…」
キキはユーベルコード【アニプラズマショット】を発動する、『女神の涙』の影響で少女の姿になった動物達が内包する『アニプラズマ』と呼ばれる不思議なエネルギー、それを凝縮し生み出した炎を、狐の嫁入りみたいに動物達の周囲に整列させ、それを獣よけとした。
「まさかワニみたいな肉食獣までいるとは、まあ餌は周辺の鹿や山賊を狩ればいいのでありますが」
そんな中、敷島は特に警戒もせずに自身が選んだワニを運ぶ、そのまま運ぶと他の家畜を食いかねないので、一時的に催眠ガスで眠らせているから、警護は他の猟兵に任せる事にしたのだ。
「まさかか…まぁ、ワニも中々意外だったが…な」
チラリと、闘真が如月の方を見る。
「私もビックリしたわ、まさか……ゾウまで居たなんて」
「パオーーーン!」
如月の選んだ家畜はまさかのゾウである、先ほど呼び出した『アニマルGO!』の【バトルキャラクターズ】でもなく、紛う事なき生きているゾウだ、昔ここで牧場を経営したて人、幅広くやりすぎである。
「ゾウは頭が良くて力持ちだから、土木工事とか運搬にも使えるし、防衛にだって役に立つはずよ」
「確か…三国志とかで出てきてたでありますな、ゾウ騎兵って兵科が」
「実際に、人に使われていた事があるのは事実か、こいつも一応家畜なのだな」
「でも、ゾウって凄い餌を食べるんだよね?」
「そうよ、キキ…後、繁殖期のオスは凶暴になるから、人を殺しかねないわ」
「流石は地上最強と名高い草食動物でありますな」
「まぁ、こんな場所で開拓をしようと言うのだ、これぐらい強烈な家畜でも飼いならすぐらいの気概がないといかん…では、行くとするぞ」
こうして、ゾウとワニと言う…サバンナなのか、ジャングルなのか分からなくなってくる強烈な家畜と…キキが選んだ『鳩』を連れて一行は村へと向かうのだ。
「…キキ、炎でモヤを牽制してくれ」
「は、はいっ…」
「む?、どうかしたのか?」
闘真の【空雷流奥義・天】が生物ではなく、モヤから『悪意』を向けられているのを察知して、モヤが嫌がりそうな炎を操るキキに牽制を頼む。
そのキキは、どうも…少し元気がないと言うか、如月の脇に隠れて怖気づているといった様子なのだ。
「ああ…この子、大自然のど真ん中に来てはしゃいじゃってたけど、本来は内気で人見知りする子なのよ…慣れてきて、テンションが戻っちゃったのかしら?」
「…う、うん…」
今思えば、闘真のようなおっかない人にあんな事を言うなんてと…普段とは違う自分の行動を振り返り、気まずさと言うか気恥ずかしさと言うか…居心地の悪さを感じている。闘真も話してみれば、案外優しい所もある人だなと理解はしているのだが…。
「ごめんなさい、あの時、変なこと言っちゃって…」
「…ん?……ああ、あの事か、構わん、子狐に怖いと言われて怒る獅子などおるまい…しかし、そうだな」
闘真は自身の迫力のことは理解しているし、それは武闘家としての面構えが出来ている程度の認識でしかないのだから、謝られるいわれはない…が。
「勢い任せだったとは言え、普段出来ないような事が出来たのならば…それはチャンスだと思ったほうが良い」
「え?」
「そうでありますな、特に引っ込み思案な者は、そういう時ではないと出来ない経験と言うのもあるであります」
「そういう事だ、無論、己を律する事も重要だが…普段、踏み止まっている者が踏み出せた一歩は貴重だからな」
「うっ…な、なるほどだよ…」
指摘されたとおり、普段の自分だったらそもそも闘真と話すことすらしなかったであろうし、この様な話をされる事もなかったのだが…今はそれが出来ているのだ。
「そうね、ヘマしちゃったら私がフォローしてあげるから…今のキキは少し大胆になった方がいいかもね」
「うん!、遥さん…今のボクなら何だって出来そうだ!、ノアの箱舟みたいに動物達を皆救っちゃおう!、ボクの住んでる『アーク・パーク』のアークは、箱舟って意味なんだから!」
「その意気でありますよ~…で、闘真殿、モヤがやっぱりおかしいのでありますか?」
「ああ、出てくる『気』配は無いが悪『意』は感じる、他の猟兵もモヤから変な物を見たと言っていたが…」
「分かったよ、あのモヤは要注意だね!、えーい!」
少し大胆になったキキは、相手が動物でもないモヤであるから、容赦なくアニプラズマの炎を当ててモヤを散らしたのだ。
「む…嫌がったな、やはり炎は有効か」
「ほほう、炎が有効でありますかー、要するに消毒対象でありますな」
このモヤ…『霧』は炎を嫌がるようだ、これから霧が深まった後に行われるであろう戦闘に役立つ情報を手に入れた一行だった。
●自警団の強化
「良いかウジ虫ども!、これより汚物の消毒を開始するであります!」
「サーイエッサー!」
「そして、お前達ウジ虫共に新たな仲間が加わるであります!、これを見るであります!」
「サーイエ…ええええええええええっ!!?」
「パオーーーン」
「クルックー」
「……」
村に帰るや否や、敷島は自警団を集めて早速新たなる戦力、ゾウ、鳩、ワニを紹介した…ゾウを見て驚く自警団にサプライズが上手くいったと敷島もニッコリ…だが。
「言葉の最初と最後にサーを付けろといったであります!」
「ぐぼえらっ!?」
それでも、怒る所は怒る有能な教官である…本当に其処を怒らなければいけないのかと言う議論は脇に置いておくが。
「あ、あの…この新戦力を具体的にはどう使っていくのですか?」
敷島に顔面をグーで殴られて、鼻血を垂らしながらもウォールは尋ねる…敷島に殴られすぎて、多少の負傷では臆す事がなくなってきた。
「まず、鳩は訓練して『伝書鳩』にしようかなって…それと普段は芸を仕込んでサーカスの手品のタネになって貰うとか」
「なるほど、この村に娯楽はないですからね…サーカスは素晴らしい案だと思います、しかし『伝書鳩』は、お恥ずかしながら、この村では私しか読み書きが出来ず…」
「読み書きに関しては他の者が教えると言っていたな、まだ使えないかもしれんが、将来的には必要だろう、情報一つで戦況は大きく変わるからな」
「なるほど、ではその方向で訓練していきましょう…で、その…他のは、特にその巨大なモンスターは…」
鳩はまだ理解できる、しかしウォールにとってゾウは初めて見る動物であった、このアックス&ウィザーズの世界で初見でゾウ見たらモンスターだと勘違いしてもおかしくないであろう。
「この子は『ゾウ』よ、モンスターじゃないくて普通の動物、とても頭がいいから運搬や土木作業にも使えるし…戦わせることも出来るわ」
「な、なんと!、確かにこの巨大な動物が力を貸してくれるのならば心強い!…ですが、その…大丈夫ですよね?、ちゃんと懐いてくれますよね?」
ウォールを始めとする自警団の者にとって、未知の動物『ゾウ』…皆、ゾウに興味を持ってはいるが、おっかなびっくりといった様子である。
「大丈夫、ゾウはね頭が良いからあらゆる芸を覚えてくれるの…ちょっと、繁殖期のオスが滅茶苦茶凶暴で、多い時は1日に200kgの餌を食べ、100リットル水を飲み、調教が難しいからそれ専門の調教師が必要なのがネックだけど…頑張ってね!」
「え?…後半、いえ、大半の部分が大丈夫じゃないように聞こえたのですが…」
「大丈夫、出来た人間がいる以上、ウォールさんにも出来るわ!」
「え?、飼育員は私なのですか?」
「平気よ、ゾウの飼育員が死ぬなんて時々しかないから!」
「平気じゃないです、それ…」
とは言え、折角の戦力を捨てる事などできない、ウォールは如月によってゾウの飼育方法と調教方法を徹底的に叩き込まれる事となった。
「そして、『ワニ』はこの濠で飼うでありますよ」
「ひえっ、絶対に落ちたくねぇ!!」
敷島は濠にワニを放った、ワニは居心地良さそうに濠の中に佇む…。
「えっと、ワニの飼育は誰が…?」
「俺は嫌だぞ…怖い」
「どう考えてもコイツも死ぬだろ、飼育員…」
サンドバック…じゃなかった、隊長であるウォールはゾウ担当となった今、このワニを管理するのは誰か、自警団の隊員達に緊張が走る…が…
「あら?、ワニの飼育は楽よ?」
「え?、でも噛まれたら死にますよね!?」
「そうね、ワニに噛まれるとデスロールっていう動きで回転しながら水中に引きずり込まれるからまず助からないわ…けど、病気に強いし、餌も少なくていいし、ちゃんと懐くのよ?」
「ワニの噛み方怖っ!、なんか必殺技みたいっ!?…って、え?、懐くのですか?」
「ええ、それなりには…ただし、餌だと認識されたら食われちゃうけど」
「やっぱりダメじゃないっすかーー!?」
簡単なようでやっぱり怖いワニの飼育…だが、この生物もUDCアースでは養殖されている立派な家畜、肉も革も使える経済的にも優れた動物なのだ。
「まぁ、腹がいっぱいならワニも懐いてくれるはずでありますよ、そういう訳でエサ取りと訓練を兼ねて、汚物狩りに行くでありますよ~!」
「あ、あの…軍曹殿…汚物って山賊の事ですよね?」
「そうでありますよ?」
「その、餌って……」
「デスロール、見てみたいでありますね!」
(山賊辞めて良かった…)
ペカーっと輝かんばかりの霧島の笑顔を見て、元山賊達は心の底からそう思ったのだった。
「ヒャッハー、逃げる奴は汚物であります、逃げない奴は良く訓練された汚物でありますよ!」
「ホント、自警団は地獄だぜぇー!、オラオラオラオラ!!」
「クソ、何時の間に警備隊が組織されていたんだ!?」
「逃げろ、アイツ等なんか目がやべぇ!!」
敷島の指揮の元、街道に救う山賊達の掃討が始まった…家畜も増え、色々な製品を作れるようになったのならば、街道の整備は必須なのだ。
自警団に実戦訓練を積ませると同時に治安を良くし【経済】の発展を助ける…非常によく考えられた作戦なのではあるが――。
「ぐおっ、やりやがったな!?」
「がはっ!!」
訓練を積んで強くはなったとは言え、山賊相手に負傷する者も少なくはない…地力は高くても装備は貧弱である自警団では致し方がない事でもあるが…これも訓練である。
「ベストコンディションで戦い続けるとか無理でありますよ、疲労時、負傷時への慣れこそ生存率を上げるのであります!」
「とは言え、深手を負ったものは速やかに対比せよ、応急手当程度ならば、俺も教えてやれる」
【防衛】に於いて、傷病者治療の知識や技術、即ち『医療』は必要不可欠。しかし現状、それは不十分だ…と言う闘真の判断の下、実戦においての負傷との付き合い方と処置を覚えさせる為に、敢えて猟兵達は手伝わずに自警団に戦わせているのだ。
「この場合の止血はこうだ、自分でも出来るようになれ…止血の早さが生死を分けるぞ!」
「は、はい!」
「自分では出来ない箇所のやり方も覚えておけ、周りの誰かが処置できれば仲間の生存率が上がり、仲間の生存が自身の生存率を上げるぞ!」
「分かりました!(あ、この人、顔の割に軍曹より優しいや…)」
闘真の指導の下、自警団は負傷を処置し、傷の浅い者は戦線に戻る…その様な技術のない山賊達は次第に自警団に圧され、制圧されていく。
「く、くそ!、アジトに立て篭るぞ!」
「お、大体終わったでありますな…じゃあ、訓練終了であります」
形勢不利になった山賊が、未だに降伏せずにアジトに立て篭ったのを確認すると、敷島は訓練終了の号令と共にペカーっと笑い…
「ホント、戦争は地獄であります!」
「「「ぎゃああああああああああああああああっ!!」」」
山賊のアジトへナパーム弾を容赦なくぶち込んだ、燃え盛るアジトに響く、山賊達の阿鼻叫喚を聞きながら敷島は大きく伸びをして…。
「足りないでありますねぇ、自分も本番に向けて消毒の訓練をもっとしたいのでありますが…」
「本番…あの『霧』か」
「とは言え、仕方がないでありますね、この程度の手合いでは自分達猟兵の訓練相手には不足でありますし…」
「街道付近の山賊はこいつらで最後か」
「これにて消毒完了でありますね」
街道から山賊を完全に掃討し、これで村は安全に交易が出来るようになったのだ。
「いてててて…流石にキツかったな」
「生きてるだけマシだな、あの数相手によくやったよ俺たちも」
帰路に帰った自警団達は兵舎で休みながら、その傷を癒していたが…やはり、闘真が教えられたのは『応急手当』程度であり、『医療』と呼ぶにはまだ拙いものだ。
(衛生兵の真似事もした事があったが、今の俺にはこれが限度か…)
負傷した自警団達を眺めながら、闘真は物足りなさを覚える…これでは足りないと、【防衛】に置いて…特に長期間の拠点防衛戦ともなれば、医療の役割はもっと大きくなるのだから。
「…む?」
そんな物足りなさを胸に村の中を歩くと人集があり、そこに目をやると…
「この帽子にハンカチを被せて、1,2,3!」
「クルックー」
「おおー、鳩が出た、凄いぞお嬢ちゃん!」
パチパチパチパチと拍手が上がる中、キキが照れくさそうに笑っていた、実は内気だと言っていた子供が、堂々と手品を披露して村の者を楽しませているのだ。
(やれやれだ、自分であの様な事を言っておいてな…)
その姿を見て、闘真は昔の事を思い出す…別に内気だった訳ではないが、嘗ての闘真にはやらないでいた事、性に合わぬと遠ざけて経験を積まなかった事があるのだ。
「元来空雷流は活殺自在の武術。しかし俺は殺法ばかりで活法はからきし…もう一度鍛え直さねばならんな」
防衛戦での『医療』の大切さを理解しながらも、嫌いだった活法の修行を思い出し、闘真は苦笑いをした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
・【防衛】が3上がった
・【経済】が3上がった
・【文化】が2上がった
・村スキル『鳩Lv1』、『ワニLv1』、『ゾウLv1』、『サーカスLv1』、『医療Lv1』獲得、『自警団Lv3』にレベルアップした。
・情報:霧は火が苦手を獲得。
・記入漏れ『情報伝達Lv1』も獲得
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「集会所とは、良いものが出来たもんっす」
……初頭教育っすね!
「みなさん!暇な時に学校に来て授業聴いてくれれば甘い物っす!」
【超光霊糖】を餌に子供や奥様方を呼び込んで、文字と算数を教える
歴史と道徳に繋がる童話や物語の本を持ってきて読み聞かせ、読ませ、文字と並行して教える
「上手に文字が書けるようになったら、紙をあげるっす!」
物語を写しても、絵を描いても、もっと文字の練習をしてもいい
とにかく、【学習】は楽しいって事を教える
「いいっすか、文字を覚えて本を書けば、それと交換で新しい本を買えるっす!これぞ算数!」
特に出来のいい生徒
推定クロベル殿に先生役も任せる
「人に教える事は、特別でもなんでもないんすよ」
鳴猫・又三郎
「開拓、面白いにゃ。わしも一番、協力させて貰うかにゃ」
わしが眼を付けたのは『ガチョウ』にゃ
水場は有るしにゃ
【コミュ力】をもって【動物と話す】にゃん
「ガチョウのみんな、付いてくるにゃ。腹一杯食べれて、死ぬまで世話してくれるとこに案内するにゃ」
羽は毟られるけどにゃ
「羽毛」はいい資源にゃ
綿と合わされば寒さに震えることはにゃくにゃる
羽ペン作るのも良いにゃあ
原始的なインクは炭が有れば作れるにゃ
「肉上手いし、手間はかからにゃい……最高の経済動物にゃあ」
……水場は増やさにゃいといけにゃいかにゃ
村人さん達、頼むにゃ。工事は猫の手貸すにゃあ
他の人と、動物の橋渡しも、必要とあらば請け負うにゃあ
「猫を崇めるにゃ」
「ガチョウのみんな、付いてくるにゃ。腹一杯食べれて、死ぬまで世話してくれるとこに案内するにゃ」
「マジっすか、最近はここいらも餌が取れなくなってきてるんっすよ!」
「ワニの奴に何時食べられるか分からないしな…」
「ワニとは別の水場を用意するにゃ、安全安心に暮らせる所にゃ」
「よし、じゃあついて行きやすぜ!」
鳴猫・又三郎はガチョウとの交渉に成功し、村にガチョウを連れて来た。
濠には既にワニが居て、一緒に飼ったら大変な事になるので…新しい水場を用意しなければならない。
「村人さん達、頼むにゃ。工事は猫の手貸すにゃあ」
「お任せくだされ、と言うか水場なら直ぐ作れますよ!」
ヒューレイオンとの戦いで作られた底なし沼はまだ残っている、通常ならば徐々に地下へと浸透し地下水脈に戻るのだが、マングローブが生い茂ってるためか、土壌の保水性が向上しているようで、沼は当分は健在の様子だ。
鳴猫が頼むと、村人達はテキパキと水場を作り、ガチョウの飼育小屋が完成した…ここ最近の建設ラッシュで、村人の建築技術も上がったようだ。
「ガチョウは良いにゃ、肉上手いし、羽毛も取れるし、手間はかからにゃい……最高の経済動物にゃあ」
「そうっすね!、ガチョウ凄く良いっす!、ちょうどペンが欲しかったんすよ!」
そんなガチョウを自画自賛する鳴猫に、モルツクルスが相談を持ちかけてきた…どうやら、村人達に読み書きを教えたいから筆記用具を作りたいようだ。
「確かにガチョウの羽は羽ペンになるにゃ、後はインク…原始的なものであれば、炭さえあれば作れるにゃ」
「炭っすね、火を使ってる所に行けばありそうっすけど…」
こうして、鳴猫とモルツクルスは炭を探しに村を探索した、そして…
「炭ですか?、ああ…あそこに行けば一杯ありますね」
「マジっすか、ウォール殿!、それでその場所とは!?」
「案内します、ついて来てください」
炭が大量にある場所を知っているというウォールについて行くと…其処は街道沿いの嘗ては山賊のアジトだった場所、とある猟兵によって無慈悲にもナパーム弾を投げ込まれた建物であった。
「ようやく鎮火したのですが、ご覧のとおり炭なら唸るほどあります」
「確かにあるにゃ…炭も…炭になった山賊も…」
「人体製のインクは流石にNGっすよ!?」
「とにかく、普通の炭は頂いていくにゃ、これでインクが出来るのにゃ」
曰く付きのインクにならない様に、元は木材だと確信できる炭を集める、モルツクルスと鳴猫…これで、授業を始めるのに必要なインクも揃ったようだ。
「集会所とは、良いものが出来たもんっす、ここで初等教育を始めるっすよ!」
「調度いい広さだにゃ、建物が四角すぎるのが気になるのにゃけど」
村の中心にある集会所で、モルツクルスは読み書きの講習を始める事にした、ただ呼び掛けるだけではなく、ある餌を用意して…。
「みなさん!暇な時に学校に来て授業聴いてくれれば甘い物っす!、来たれ天使より甘く、悪魔よりも優しい幻霊よ!」
その言葉と共にモルツクルスのユーベルコード【超光霊糖(アート・オブ・ザ・チョコレート)】が発動、食べた者に活力を与えるチョコレートを召喚する。
一応幻霊らしいが、どうやら普通に食べる事が出来る不思議なチョコレート、甘いお菓子で子供や奥さんを誘うと試みたところ…
「凄い、こんな甘い菓子なんて初めて食べたぞ!」
「これ、砂糖を使ってるんじゃないかしら?、まるで貴族様みたい」
「うまっ、うまうま!」
女子供だけではなく、手が空いている村の若い衆も…老若男女問わず集会所に集まってきた…この辺りではサトウキビが栽培できず、砂糖は極めて貴重品…甘いお菓子の価値はモルツクルスが思っている以上の物だったのだ。
「よっし、予想以上に盛況っす!、では、皆さん…お手元の本を開けて欲しいっすよ」
モルツクルスは歴史と道徳に繋がる童話や物語の本を持ってきて読み聞かせ、読ませ、文字と並行して教える事で、文字と一緒に道徳などの教養を身に付かせようと丁寧に教えていく。
およそ、教育など受けた事がないであろう、村人達も熱心に聞き入る…教育を受けられる環境に居なかっただけで、読み書きなどの有用性はある程度理解はしているのであろう。
「上手に文字が書けるようになったら、紙をあげるっす!」
「へぇ、これが家の村で作ってる紙かい」
「羊皮紙より薄くて軽いんだな、それに書きやすい」
「その紙には絵を描いてもいいし、もっと文字の練習をしてもいいっすよ~」
そして、村で作ってる紙を渡して、先ずは自由に書かせる…絵でも、文字でも…『かく』と言う行為を楽しんでもらうためだ。
楽しく『学習』をさせる事で、村人達はより熱心に文字を覚えようとする、或いは絵を描くのが好きになった者も居るかもしれないが…それはそれでいい。
そして、その中でも特に熱心に学んでいるのは、やはりクロベルであり…その習得速度は異常と言って良いレベルであった。
「凄いにゃ、あの子…一日にして大体読み書きできる様になったにゃ」
「…と言うか、クロベル殿は独自の象形文字よって読み書きを既にほぼ習得してたんっすよね…独自の文字だからクロベル殿以外は読めないっすけど」
村に帰った後、クロベルが書いた象形文字もメモを調べたモルツクルスは、クロベルが既に製紙の事に関しては言語の文字化を完成しつつある事を確認していた。
故に、独自文字から正しい文字に切り替えるだけで、クロベルの読み書きの習得は完了してしまうのだ…末恐ろしい少女である。
「クロベル殿、クロベル殿!」
「ひゃ!?、あ、はい…なんでしょうか?ご主人様」
勉強の合間に…遠慮がちにチョコレートを舐めていたクロベルは、ビクッとした後にモルツクルスを見上げて、バツ悪そうにそうたずねた。
「いや、そのチョコはどんどん食べちゃって良いっすよ!、頭脳労働に糖分は必須っすから!」
「で、ですがこの様な高級品ですし…」
「違うにゃ、それはモルツクルスさんが作り出した安物にゃ」
「そうっすね、別に高い代物ではないし、ガンガンいっちゃって欲しいっすよ」
「そ、そうなんですか!?、このような物を安く作れるなんてご主人様凄いです!」
(安くって言うか、無料なんすけどね…)
ユーベルコードで作り出した、材料費0のチョコレートを其処まで有り難られても…と思うモルツクルスだったが…。
「ん、美味しい♪」
幸せそうにチョコを食べるクロベルを見てたら、そんな事もどうでも良くなった…思えば、ここまで屈託のない笑みを見せたのは初めてかも知れない…お菓子でこんなにも喜ぶあたり、やっぱりまだまだ子供なんだと実感する。
「それで、クロベル殿…お話があるんっすけど」
「ひゃ、ひゃい!、そうでした…ごめんなさい!」
「食べろと言ったのはモルツクルスさんにゃから、謝る必要はないにゃ」
「そうっすよ、食べたままで良いので聞いて欲しいっす…明日、クロベル殿も教師側になって貰うっすよ」
「は、はい!…ん?、え?…ええええーーーっ!?」
「正直、クロベルさんと他の人達のレベルが離れすぎてるにゃ、だから教える側に回って欲しいんにゃけど」
「それにクロベル殿は製紙技術を皆に伝えなきゃ行けない立場っす、教える練習だと思って気軽にやって欲しいっすよ」
「で、でも、私みたいな子供になんか…」
「人に教える事は、特別でもなんでもないんすよ…自分だって、分からない事があれば、相手が年下でも聞いて教えを請うっす」
「今日の講習を見て思ったにゃけど、皆、知識を得るのが楽しそうだったにゃ…子供だからとか気にするようにも見えなかったのにゃ」
「そうっすよ、皆、とっても熱心すよ…何かあったら自分もフォローするので、クロベル殿なりに頑張って欲しいっす」
「そ、そういう事でしたら…」
こうして、明日はクロベルも教壇に立ち、他の村人達に読み書きを教える事となったのだ…。
――翌日。
「す、すいません、それでは…えっと、私からも、文字の役立つ使い方を説明させて貰おうと思います!」
「落ち着いてクロベルちゃん、そんなに緊張しないでも大丈夫よ~」
ガッチガチに緊張しているクロベルに奥様方から声援が飛ぶ、クロベルが教師役をやる事に不平を言う者は現れない…と言うのも、学力の違いを昨日の段階で村人達も理解しているからだ。
「え、えっと…最近、羊のミルクで野菜を煮た料理が村で流行ってますが、そのレシピを文字にしてみたいと思います」
「ああ、アレね、家でもやったけど美味しいわよね~」
「野菜の種類を変えても美味しいわよ、あれ!」
クロベルは猟兵によって伝わった、村で最近流行っている料理レシピを文字に書いて村の人達に見せると…村人達も色々と試している様なので、レシピについての話題で盛り上がる。
「は、はい!、そこです、そこなのです!」
「え?」
「レシピ自体はご主人様のお仲間が教えてくださった物ですが、野菜の種類を変える、或いは他の材料を入れたり、分量を変えたりと、皆様工夫をしていると思います」
「そうねぇ、でも時々失敗しちゃうのよね…」
「はい、失敗したりする事はあると思います。そこで文字の出番です、このレシピの…例えば塩の量を減らして、チーズを足した場合…」
と、説明しながら、レシピに材料を増やしたり、減らしたりなどの変更を、文字で書き込んでいく…そして。
「で、こうすると美味しかったとか、こうするとダメだったとか…文字で残しておくと、これを読めば直ぐにその事を思い出せます」
「なるほど、便利ね…」
「更にです、このレシピを他の人に見せたり、逆に見せてもらったりすれば、一つの料理を美味しくする様々な工夫を皆で分かち合えるのです!」
「なるほどねぇ~、確かにそれは便利かも…」
「ちょっと覚えて、家でやってみようかしら?」
「あ、家でもやるわ、こんどレシピを交換しましょ!」
料理という日常の題材を使用する事によって、ご飯の支度をする奥様方には特に文字の利便性が伝わったのか…熱心にクロベルの話に聞き入る。
「うんうん、中々の教え上手じゃないっすか、クロベル殿!」
「あ、ありがとうございます…でも、これ…ご主人様が教えてくれた『ノウハウ』をそのまま話しただけですから…」
「それを別の話に応用出来るのは、ちゃんと理解できてる証拠にゃ、もう少し自信を持っていいと思うにゃ」
「そうっすよ、クロベル殿!、これなら製紙の方も上手に教えられるっすね!」
「は、はい!、そちらも頑張ります!…や、役に立って見せますよ、ご主人様!」
この一件で少し自信がついたクロベルは、製紙工房でもキチンと作業員に教えられる様になり…この村の紙は商品として通用するレベルまで品質が向上するのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
・【経済】が2上がった
・【文化】が2上がった
・村スキル『ガチョウLv1』、『識字率Lv1』、『教育Lv1』、『建設技術Lv1』を獲得。
・特殊ボーナス【クロベルの成長】:『製紙Lv1』→『製紙Lv4』にあがった。
アララギ・イチイ
これは【経済】になるのかしらぁ?
まぁ、折角段取りしたのだから実行してしまいましょうぉ♪
村の開拓に集中よぉ
【UC:召喚・汎用型ロードヘッダ】使用だわぁ
装備品のダウジングマシン、ロードヘッダの地中観測機器で村の周囲を調査
十分な量の地下水脈(深度1000m~2000m)が観測されたらそこを目標にロードヘッダの大深度掘削で井戸を掘るわぁ
水源に達したら温度確認、上記の深度では水は地熱で温められて温泉になる可能性があるけど、さてぇ、結果は如何にぃ?
温泉だった場合、手押しポンプ(動力ポンプは技術的に無理なので)、パイプ類、蓋などの最低限度の設備は【UC:ユーベルクラフト】で製造して設置しておきましょうぉ
トリテレイア・ゼロナイン
【経済】
家畜を連れて帰るのはよいのですが、この家畜達を養う為の食料も確保しなければなりませんね。
私のロシナンテⅡだって燃料やメンテナンス費用が掛かるのです。
連れてきた家畜や機械馬の「怪力」で村の畑を新たに開墾し、「農業」の向上を目指します。畑の面積さえ確保できればヒューレイオンの角で食料増産は難しくないはずです。
開墾作業には村人も動員、「団結」を強めていきましょう。
家畜が増えたことでその糞尿も増えるはず。糞尿の処理、保存を「衛生」環境を整えて整備し、「世界知識」で糞尿を堆肥化させて「農業」をさらに促進させましょう。
…村の皆様との開拓作業は楽しいのですが土と糞尿に塗れた騎士ってどうなんでしょう?
レイチェル・ケイトリン
・空からの写真を撮って【文化】で地図を作る。
「念動力」で「遥かなる想い」を発動して「デジタルカメラ」をたかくもちあげて、「視力」で確認しながら操作して、空から地上を「撮影」するの。
まず、森を撮って、木が倒されてるところをできるだけ利用してとおれるようにするね。
それで他の猟兵さんたちが動物を連れ帰りやすくするの。
それから宇宙バイク」に「騎乗」して村とそのまわりをまわって撮って歪みやズレを補整しながらつなぎあわせる「情報収集」してフルカラーでおっきくひきのばしてすりだして、村スキル『物見櫓』でウォールさんに説明しておぼえてもらうの。
そして『物見櫓』と『集会所』において、村の人にもつかってもらうね。
「さぁて、折角段取りしたのだから実行してしまいましょうぉ♪」
アララギが取り出したのは『Lロッド型ダウジングマシン(地中探査レーダー)』、これにより地中奥深くに眠る水脈を探っている、その深度実に1000~2000である。
「この辺りの深度ならば、地下水は温泉になっている可能性が高いのよねぇ…う~ん、中々見つからないわぁ」
アララギが探している者は温泉である、この村では、入浴と言うものは基本的に水浴びのみ、しかも水浴びをしている川に色々な廃棄物を垂れ流している状態である、それを改善しようと思ったし、温泉は観光資源にもなるのだ。
「見つけたわぁ♪…あ、う~ん、でもここって…」
目的の深度に水脈の反応を発見したが、村との距離に問題があるし…何より『霧の森』の真っ只中だったのだ。
「とは言え、一応掘って確認してみようかしらぁ」
だが、折角見つけたのだ…とりあえず温泉かどうかを確認する為に、アララギはユーベルコード【召喚・汎用型ロードヘッダ】を使用、操縦士の霊憑きの多脚戦車が召喚され、観測した地点を強力な掘削機で掘り進んでいく。
「震度は…1800ってところかしらぁ、流石に時間がかかりそうね…ん?」
多脚戦車が掘削を初めて数分後、アララギは妙な声を聞く。
「これ、ゾウの鳴き声よねぇ?、こんな所で何を…」
掘削は多脚戦車に任せ、アララギはゾウの鳴き声が聞こえる方に向かっていくと…
「こ、こら、そっちじゃない…こっちに運んでくれ!」
「パオーン」
「ウォール様も少しずつゾウを動かせる様になって来てますね」
ここは、探索時に木を切り倒して進んでいた地点だろうか、ゾウを必死に宥めながら木材を運ばせてるウォールと、それを見守るトリテレイアの姿があった。
「あらぁ、何して……くさっ!?」
何をしているのか聴きに行ったアララギだが、予想外の異臭…その根源はトリテレイアだった、白騎士のように真っ白な甲冑の様な装甲が茶色に汚れて、臭うのだ…強いて言えば肥溜めの様な匂いが……
「これは失礼しましたイチイ様、先程まで肥料の作り方を村人達に教えていたので…」
と言うより、思いっきり堆肥の匂いであった…よく見れば、奥の方に色々と汚れている村人達の姿と、堆肥作りの為の施設だと思わしき建造物も建っていた。
「なるほどねぇ、納得の匂いだったわぁ」
「家畜が増えましたから、どうしても糞尿を処理できるようになりませんとね…」
「そうねぇ、そのまま川に破棄したら大惨事だわぁ…」
家畜が増え糞尿の量もだいぶ増えた、それをそのまま川に流したら汚染が今までの比ではない、今まで以上に不衛生な環境になってしまうだろう
「それに餌の為の農地と、繁殖の為の牧場も必要です…もう、村の土地も足りないのですよ」
そう、家畜を育てるのには餌が必要、特にゾウは大食漢である…そして繁殖させるには広大な牧場も必要になってくる…と、考えたトリテレイアは、農地の開梱と土地の開拓、そして糞尿を肥料に変える方法を教え、家畜が増えても大丈夫な環境を用意しているのだ。
「も、申し訳ございません、騎士様にこのような作業をさせてしまって…」
「いえ、私が言いだした事ですから、気にする事はありませんよ…それに、私は本当の騎士では御座いませんから」
そう謙遜するトリテレイアだが、村人達は気が気でない…ウォーマシンの存在なんて知るはずもない村人達にとって、トリテレイアは、猟兵の能力も相まって、どう見ても騎士にしか見えない…その様な人物が自ら率先して汚れ仕事を教えてくれるのだ。
「騎士様がここまでしてくれているんだ、皆、もっと頑張るぞ!」
「オオッ!」
そんなトリテレイアの姿に心を打たれた、村人達の団結も高まり…開墾作業に精力的に取り込んでいくのだが、その中に、不審な笑みを浮かべる女性が一人…
(嗚呼!、きっとトリテレイア様は民の為に剣をとる優しき騎士だったのに、その人気を妬んだ悪徳貴族によって騎士の称号を剥奪されてしまった騎士様に違いない、それでも己の騎士道を曲げず、諸国を漫遊し苦しむ民に手を指し伸ばす…そんな、ああ!)
「…?、どうかなさいましたか?、コウリス様…」
「フヒ!?、何でもございませんわ、フヒヒヒ…」
「凄く怪しいんだけどぉ…」
そんなトリテレイアを見て、妄想に耽っているのは、親族に嫁ぎ遅れを心配されている村の女性、コウリス。
彼女はやがて読み書きを覚えたら、この様な妄想を書き綴りたいなどと言う野望を抱いているのだ。
なお、妄想中はこの様に気持ち悪い笑い声を発するので婚期はどんどん遠のいているらしい。
「ふむ、探索時に切り倒していった場所はほぼ開墾し終えましたね」
何かを確認しながらそう呟くトリテレイア…その手には一枚の写真、この森を上空から撮った『地図』が握られていた。
「ああ、それレイチェルが撮ってくれた奴ねぇ」
「はい、これのお陰でどう開拓すれば良いのかひと目で分かります」
レイチェルはユーベルコード【遥かなる想い】によって、上空に『高機能超小型デジタルカメラ』を念動力で飛ばし、この辺り周辺を上空から撮影していた。
これのお陰で、ゾウなどの大型の動物も通れる道を割り出し、効率的に村へ家畜を運ぶ事が出来た他に…何処を切り開いていけば効率的に土地を獲れるかも一目でわかるのだ。
「トリテレイアさん、新しい写真…ちゃんと、計画通り切り拓けてるよ」
噂をすれば、当のレイチェルが上空から戻ってくる、より正確な地図を作るために『念動力加速型宇宙バイク』で空を掛け撮影しに行っていたのだ。
「有難うございます、レイチェル様」
「ウォールさんも後で見てね、物見樽から、地図と見比べてこの辺りの地形を把握してもらいたいから」
「ははっ、有難うございますレイチェル殿…しかし、空を翔けるマジックアイテムまで所有なさっていたとは…」
「よろしくね、ウォールさん…それとアララギさん、穴を掘っていたみたいだけど、どうしたの?」
「ああ、そうだったわねぇ…深度1800の深さに地下水脈があったから、温泉が出るかもって掘ってみてるのよぉ」
「そう…だから湯気が出てたんだ…『霧』かと思ってビックリしちゃった」
「あらぁ、湯気が出たって事は当たりだったみたいねぇ…だけど…」
温泉を掘ることに成功したアララギだったが、その表情は複雑だ…折角の温泉、だが其処は『霧の森』のど真ん中なのだから。
「…と言うか、開拓ってこっちの方向で良いのかしらぁ?、『霧の森』の範囲内だけどぉ」
「うん、そう何だけど…でも、こっちに広げた方がいろいろ良さそうなの」
「他の方向ですと、岩山があったり、崖があったりで、村を広げるには適していない地形なのですよ…ほら」
「あら、本当ねぇ、空から見るとわかりやすいわぁ」
「それに、どのみち…『霧の森』は放っておけない?、村と近すぎるから…」
「そっかぁ、どうせ倒すならこっちに拡げても良いのよねぇ、じゃあ温泉も無駄にならないわぁ♪」
『霧の森』の方向に村を拡げるのであれば、あの位置でも温泉は無駄にならないと、アララギは掘削現場へと戻る。
「うんうん、結構な湯量があるわねぇ♪、じゃあ基本的な道具だけでも…」
多脚戦車が温泉を掘り当てたのを確認したアララギはユーベルコード【製造術・ユーベルクラフト】を使用し、この世界の技術水準に合わせた、手押しポンプ、パイプ類、蓋などの最低限度の設備を作り出し、『霧の森』のど真ん中に温泉施設が完成したのだ。
――それから暫くして…、レイチェルが完成させた『地図』を物見樽で見ながら、ウォールに周辺の地形を覚えてるもらう作業が始まったのだが…。
「ウォールさん、この地図のこっちがこうなっててね…」
「なるほど…っ!?、待ってくださいレイチェル殿、アレを!!」
「え?…あ、『霧』が…」
「『霧』が…迫ってきている?」
遂に『霧の森』が真っ白に見える程に『霧』で覆われてしまう、しかもその『霧』はウォールが呟いた通り、こっちの方へ迫るように広がっていってるのだった。
・【経済】が4上がった。
・【文化】が2上がった。
・村スキル『肥料Lv1』、『牧場Lv1』、『温泉Lv1』、『地図Lv1』を獲得。
・『農業Lv3』、『衛生Lv3』、『団結Lv2』にレベルアップした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『霧中の暴君『グラドラゴ』』
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POW : 死の竜霧
自身に【触れるだけで出血毒と麻痺毒に犯される霧】をまとい、高速移動と【毒霧と身体が裂けるような咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : ミストリフレクト
【相手の姿をしている霧製】の霊を召喚する。これは【霧の中で強化され、真似た相手の武器】や【同じユーベルコード】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 霧中に潜むもの
戦闘用の、自身と同じ強さの【霧で作られた自身と同じ姿の無数の竜】と【霧に隠れた本体を守る巨竜】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイツ・ディン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「グオオオオオォン!」
『霧』の中から竜の咆哮が響き渡る、視界を真っ白に塞ぐほどに濃い『霧』の中には恐るべき魔物が潜んでいるのだ。
『霧』は奴の『領土』にして『エサ場』、飽食の限りを尽くし、霧の森に動物が居なくなるまで貪った『グラドラゴ』は飢えている…そして見つけたのだ、新たな『エサ場』を…多くの家畜と人、それは『グラドラゴ』にとってはエサでしかない。
『霧』と共に奴は来る、また全ての命が尽きるまで暴食の限りを尽くそうと。
『霧』の中に奴は巣食う、久しぶりのご馳走に、新しい玩具に、愉悦の笑みを浮かべながら。
猟兵達よ、この暴君を討ち、見事に村を守ってみせるのだ!
…なお、今回はレアアイテムはありません、強いて言えば、コイツを倒した後に安全になった『霧の森』と言う土地が報酬です。
クリーク・クリークフリークス
必要のないエサまで取り尽くして生態系を焼き尽くし
飢えれば他所の地をまた侵食するなど獣にも劣る畜生である!
平穏のためこの期に滅ぼしてくれるである!
目立たない30、だまし討ち19、地形の利用12などを利用し
霧に紛れて目立たないようにしつつ
タケノコ・バタリオンで展開していたタケノコ大隊と共に奇襲、
2回攻撃14、空中戦2、先制攻撃3などでダメージの底上げを狙います。
中身はともかくせっかくのドラゴンであるし、
骨などが残れば加工するなりモニュメントにするなり
なにか再利用したいところであるな
レイチェル・ケイトリン
霧を武器にする敵……それならその霧をうばうね。
空気の熱運動を「念動力」で揃えることで熱エネルギーを運動エネルギーにそのまま転換するわたしのユーベルコード「ダイヤモンドダストストリーム」で生み出す秒速数百m以上の絶対零度の疾風。
敵がつかう霧をベルヌーイ効果で風に一気に吸い込ませる「範囲攻撃」にして、風の冷たさで「氷の粉」にかえて「吹き飛ばし」ていくよ。
他の猟兵さんが炎系の攻撃をつかっても大丈夫。
普通の氷系の攻撃ならあんまり相性よくないけど、熱エネルギーを疾風の運動エネルギーに転換するこの力なら、逆にその分つよくなるから。
霧をふっとばすこんな力、敵はまねさせられないしね。
さっさとやっつけないとね。
トリガー・シックス
『Gs.ジョーカー』でロケットランチャーを生成して援護を行う。
【野生の勘】と【第六感】で位置を読みながら適度に焼夷弾による火炎攻撃で霧を退かしつつグラドラゴを攻撃。
『アーバレスト』にグレネードランチャーを取り付け、翼や脚に攻撃を行う。
模倣による能力には【クイックドロウ】による射撃と火炎弾を撃ち込み、対処する。
無数の竜を出して来たら他と異なる個所を【野生の勘】で探し出す。
追い込んだら『最後の願望』でリヴェンを呼び出して、サイキック能力で火炎を操り、アークビームで叩く。
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
エルーゼ・フーシェン
『ゲンドゥル』を抜き、『トリニティ・エンハンス』で焔刃と風刃を形成する。
「ひょっとして前にあった村もこの竜が?」
となれば負けるわけにはいかない。
【野生の勘】や【第六感】で位置を探りつつ、焔刃と風刃を振るい斬りつける。
能力で現れた複製には鞭のようにしならせ、手放すと同時に【ダッシュ】で一気に間合いを詰めて『摩利支天』で貫く。
大量の竜が現れたら【野生の勘】で居場所を探り、味方に教える。
毒霧を纏ったら【ダッシュ、残像】を用いた回避に専念する。
※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
アララギ・イチイ
この霧は邪魔ねぇ
全部吹っ飛ばしてしまいましょうかぁ
【特殊武装・噴式高圧加熱ユニット】を使用するわぁ
シールドプラネットの電波測距儀のレーダー反射で霧の中の動態目標を観測、そこに向けて加熱ユニットの熱風を浴びせて、広範囲の霧の吹き飛ばし、及び温度上昇に伴う霧の消滅を試みるわぁ
上記の方法で霧を晴らしつつ、浮遊砲台システム2の垂直発射装置から【誘導弾】を【一斉発射】の【連続発射(2回攻撃)】、弾頭は対空用の爆風で【範囲攻撃】の【吹き飛ばし】効果のある物を使用しておくわぁ
それでも接近して来たら、上記の加熱ユニットの空間固定を外して、ユニット本体の【捨て身の一撃】で敵に体当たりよぉ
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「はっはっは!はーっはっはっは!!」
安心するっす皆の衆!自分の見立てではあのドラゴンはデカくて速くて強くて毒があって霧に隠れて増えておまけに残虐っすけど……落ち着くっす!!
え?なんでかって?
「それでもなんとかするっす。……レッスン1、『頑張れば大抵なんとかなる』っす」
「霧の天敵が、なんだか知ってるっすかドラゴンくん」
みんなに惹き付けてもらってる間に【高速詠唱】でじっくり魔力を練り【自在太陽】
「答えは……太陽っす!」
太陽28っ個分の熱を秘めた【範囲・属性攻撃】
全ての霧と見えてる竜は蒸発させる
無論、味方に悪影響は一切与えない
「予習不足っすねえドラゴンくん!がはは、勝ったな!」
などと【鼓舞】しており
敷島・初瀬
「さて消毒してくるであります(*´Д`)ハァハァ」
相手の弱点を突くという大義名分が出来たので延焼を気にせず火属性攻撃をばらまくであります。
今回は目の敵にされてないので風向きに注意して霧を森ごと消毒していこうと試みます、【破壊工作】【属性攻撃】、ロケラン、爆弾、火炎瓶、放火の技術と道具に不足は無いであります。
戦闘時には敵周囲の霧を燃やす、翼や足を狙うなど周囲が戦いやすいように支援していきます。
やり過ぎて標的にされたらそれを利用して敵を誘導する等、他の人と連携を試みます(擦り付けを狙ってはいないであります)
「今日は森を焼いても良い日であります」(にっこり)
(アドリブ、他の方との絡み大歓迎です)
二天堂・たま
真の姿(ひよこの着ぐるみ)を開放
UC:守護霊降臨で呼びだした相棒達と目立たないように、忍び足で霧に紛れて進んでいこう。
ワタシ達の攻撃ではあのバカでかいヤツを仕留めるのは難しいな…。
主にヤツが呼びだした分身を足止めするとしよう。
奴の霧は火を嫌うようだ。1か所に誘い込んでくれれば、相棒達の攻撃で動きを止められるのだがなぁ。
そういえばクロベルは霧の先にある丘へ綿花を探しに来ていたのだったな。
彼女以外も辿りつけるようにしたい。
道を舗装できれば最高だが、今回はボビンケースの色々な糸で目印を残していこうかと思うのだ。
トリテレイア・ゼロナイン
随分と大物が潜んでいたようですね。霧の森を貪りつくした怪物、絶対に開拓村に近づけさせるわけにはいきません。
霧対策として●防具改造で鎧に松明を装備、これで霧の影響を低下させ、かつ目立つことで竜の攻撃から味方を●かばうのが狙いです
本体や霧の竜や霊の攻撃から仲間を●武器受け●盾受けで●かばいつつ、全身のセンサーを動員し本体の竜を探します。霧の竜は実体が薄く赤外線も発していないはず。それがダメなら巨体が飛ぶ際の風切り音で把握。
UCのレーザーも用いて視界との差異から位置を●見切り散弾を叩き込みます
その後は咆哮を挙げた際の口内に●スナイパー技能で銃弾を叩き込みつつ●●怪力で大盾を投げ撃墜します
ティエル・ティエリエル
「ボク達の開拓村に近寄らせたりしないよ!」
霧は火に弱いんだよね?じゃあ、片手にたいまつを持っていくよ!
片手にたいまつを持って、背中の翅で霧の中の戦場を飛び回ってグラドラゴ本体を探すよ!
事前に【物見櫓】の上から霧の中心を見定めておくよ!きっと、拡がった霧の真ん中にいるよね♪
ミストリフレクトで作られた敵の攻撃は【見切り】で回避して、たいまつの火を押し付けたり【妖精の一刺し】で反撃だよ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
空雷・闘真
「待ってたぜぇ!お前のような強者が現れるのを!」
鬼と見紛う程の凶暴な笑みを浮かべ、闘真は【気合い】【力溜め】により【怪力】を全身に漲らせる。
「炎が苦手らしいが、弱点を付くなんてみみっちい真似はしねぇ。俺の奥義でまとめて吹き飛ばす!」
震脚の名の如く地を揺るがす【踏みつけ】、そしてその反動を推進力に変えての超神速の【ダッシュ】。
そこから生じる【衝撃波】と風圧で霧を【吹き飛ばし】、生身になった竜に【空雷流奥義・電】の拳を叩き込むつもりなのだ。
「俺はやはり…強者と死合わねば生きられんようだ」
そう独り言ちた闘真の顔は、この村で穏やかな日々を過ごしてきた闘真とは別人のような禍々しさに満ちていた。
メタ・フレン
成程、こいつが霧の森を作り出してたんですね。
弱点は火という情報は得てますが、それでも手強そうですね。
まずはこの霧
①≪電脳ゴーグル≫【視力】【暗視】で霧の中でも視界を保てるようにする。
②【エレクトロレギオン】115体を【武器改造】【メカニック】で炎【属性攻撃】が出せるように改造し(火炎放射器等)、炎の【範囲攻撃】で霧を払う。
③≪地縛鎖≫【情報収集】【失せ物探し】で『霧に隠れた本体』を探す。
『本体』を見つけたら
①【レプリカクラフト】で『仕掛け罠』としての縄を出す。
②縄を結んで投げ縄にし、【ロープワーク】で本体に向けて投げる。
③捕まえて動けなくしたら、【エレクトロレギオン】115体で【一斉発射】!
如月・遥
『てぶくろ』で連携。
何気に私達、これが初戦闘なんだ。
今までは裏方が多かったから。
でも頼もしい仲間が大勢居るし…
それに「敵の弱点は火」という情報もある。
何せキキが切っ掛けで、この弱点が分かったんだから。
絶対無駄にはしない。
キキが【アニプラズマショット】で敵のUCに善戦してるところを見届けたら、すかさず【魔王の呪縛】を発動して敵のUCを封じ、そこに【幽体離脱】で私の生霊を敵に憑依させる!
これで敵の行動を妨害して【時間稼ぎ】して、3分以上敵のUCを封じてみせるよ。
この間敵が攻撃されると、五感を共有してる私も痛いけど…
でもキキだってあれだけ頑張ったんだから!
【気合い】と自分を【鼓舞】して耐えてみせる!
キキ・ニイミ
『てぶくろ』で連携。
初めての戦い…怖い…
けど、ボクは一人じゃない。
一歩踏み出してみせる!
弱点が火なのは分かってるんだ。
【アニプラズマショット】で霧を蹴散らしていくよ!
敵は霧で色んな物を作って攻撃してくる。
多分その霧で出来た物には足音がない。
足音を出すとしたら、それは【霧に隠れた本体】だけ!
【聞き耳】で本体の足音を捉えて、そこを【アニプラズマショット】で狙い撃つよ!
ある程度戦って、遥さんの【魔王の呪縛】と【幽体離脱】が決まったら、【アニプラズマショット】20個を合体させて敵にぶつけるよ。
敵と五感を共有してる遥さんも痛いだろうけど…
でもボクはそれでも…いやだからこそ撃つよ!
遥さんを信じてるから!
●対決!、霧の中の幻影
「ボク達の開拓村に近寄らせたりしないよ!」
物見樽の上から『霧』の全体像を眺めながら、ティエルは松明を持ち『霧』の中心に向かって飛んでいく。
「皆、『霧』の中心はこっちだよ!、きっとそこに敵が居るはずだよ!」
この『霧』がモンスターによるものならば、その中心に発生源たるモンスターが居るはずだと推測したティエルは仲間達に呼びかけながら霧の中へと飛び込んだ。
「まさか、本物の妖精…フェアリーに導かれる日が来るとは思いませんでしたね」
自身のユーベルコードで偵察用の妖精ロボットを使うトリテレイアであるが、今回は本物の妖精(フェアリー)の、しかもお姫様であるティエルに導かれるシュチュエーションは少々感慨深いものだ。
「ひょっとして前にあった村もこの竜が?」
「あの牧場跡地は村の跡地からは離れていたから助かったのかもな…」
エルーゼとトリガーも、ティエルの後を追う…前にあの牧場を作ったであろう村を滅ぼしたのがコイツならば、この霧を村に侵入させるわけには行かない。
「弱点は火という情報は得てますが、それでも手強そうですね」
それに続くメタ・フレンの言葉に一同は頷く、弱点が分かった所で霧の広がりは広大であり、ちょっとやそっとの炎では除去しきれない…この霧の量から敵の力量が相当な物だと測る事が出来るのだ。
「取り敢えず、私が囮になりましょう」
トリテレイアは防具改造で、松明を持たずとも落とさぬ様に自身の装甲に固定する、霧除けと共に松明で目立つ事で敵の注目を集める狙いだ。
「了解だ、だが気をつけろ…幾らお前が頑丈でも一人で耐え切れそうな相手ではない」
「私も炎と…風もあったほうが便利よね!、【トリニティ・エンハンス】!!」
霧対策としてトリガーは『Gs.ジョーカー』でロケットランチャーを生成、エルーゼは『ゲンドゥル』を抜き、【トリニティ・エンハンス】で焔刃と風刃を形成して、敵に備える。
「霧の範囲からして、数を用意したほうが良さそうですね」
メタ・フレンは【エレクトロレギオン】を発動し、115体の火炎放射器を備えた機械兵器を召喚する、また自身も『電脳ゴーグル』を装着し、霧の中でも視界が通るように備えた。
この様に『霧』に対しての対策を備えてから突入する猟兵達が居る一方で…
「待ってたぜぇ!お前のような強者が現れるのを!」
鬼と見紛う程に凶悪な笑みを向けながら、闘真は霧の中に飛び込んだ…松明などの『炎』の類は一切身につけず、その身一つでの突撃である。
「炎が苦手らしいが、弱点を付くなんてみみっちい真似はしねぇ。俺の奥義でまとめて吹き飛ばす!」
空雷流はあらゆる敵とも戦う事が出来ると豪語する闘真は、弱点である『炎』などに頼らず、自身の奥義だけで戦うつもりだ。
「来る…ほう、そう来たかっ!!」
敵は『霧』の中からこちらを模倣した何かを出すとの情報だったが、実際の『それ』を目にした時、闘真の顔は禍々しいほどの笑みを浮かべ、筋肉は激戦の予感に歓喜し、巨大な闘真の体を更に膨張させるかの如く、全身に怪力を漲らせた。
「空と雷が合わさりしときっ!」
「疾ルモノ……ソレガ電ダッ!」
闘真と『それ』は同時に震脚を踏むと、その名の如く地が揺れ…その踏み込みから弾丸の如く駆けると同時に発する衝撃波と風圧で周囲の霧が吹っ飛ばされる。
霧が晴れた事で良く見える『それ』は闘真自信を模した霧の幻影…互が発したユーベルコード【空雷流奥義・電】の拳が互の頬を掠め交差する。
「己との戦いに打ち勝てとは良く言うが…まさか実行できる機会が来るとはな!」
一合、拳を交わしただけで理解できる幻影の力量は自身と同等か…まさに自分自身との戦いであっても、この先にいる強敵との前座に過ぎぬと言う修羅場、己の限界を超えねば勝てぬ戦いを前に闘真の心に浮かぶのは――。
「楽しくなってきたじゃねぇか!」
歓喜だった…村での開拓と言う闘真にとっては穏やかな日々が嫌いだったわけではないが、それ以上に、どうしようもない程に疼く闘争本能と克己心に闘真は禍々しいほどの笑みを浮かべた。
「あれは闘真さん!?、どうして『炎』を使わないの!?」
闘真と幻影の奥義の交差によって、周囲の霧が晴れた事により、近くに居た如月とキキの視界も晴れた。
突如開いた霧の向こうで繰り広げられる激戦に、如月は思わず声を上げる…一緒に事前に弱点を把握していた筈の闘真が何故、この様な無謀な戦いをしているのかと。
「遥さん、こっちにも来たみたいだよ」
「…っ!?」
そんな如月とキキの前にも、自身のコピーが現れる。
(初めての戦い…怖い…けど、ボクは一人じゃない)
「一歩踏み出してみせる!」
初戦の恐怖を振り払うかのように、キキはユーベルコード【アニプラズマショット】を発動、20個の火球を自身と如月のコピーに対して放った。
「ワタシヲ守レ、ハナコ!」
それに対して如月の幻影がゾウのティアーズの花子の幻影を出し、自分達の盾にする…幻影の花子は火への恐怖と苦痛に苦悶の表情を浮かべながら消滅していく…その光景に如月とキキの幻影は眉一つ動かさぬが……。
「なんて…事をっ!!」
「待って、遥さん!」
幻影とは言えティアーズをその様な風に扱う偽物に対して、如月は激情に駆られ【魔王の心臓】を発動させようとするが、それをキキが制止する。
「気持ちは分かるけど、それはボク達の『切り札』なんだから…」
「ごめんキキ…でも…」
「大丈夫…正直、幻影とは言え仲間を苦しめるのは嫌だけど…それ以上に、こんな真似を遥さんの姿にやらせた奴が許せない!、だからボクは我慢するから…」
「わかった、私も我慢する…一緒にやっつけよう、霧の中の親玉を!」
今、ここで切り札を切っても、倒せるのは尖兵である幻影のみ…弱点の『炎』と言うアドバンテージがある限り、普通に戦ってもこの幻影は退けられると判断した二人は、切り札を温存したまま、力を合わせて自身の幻影達を打倒した。
「確かに『炎』には弱い様だな」
「とは言え、流石にキリがないわね」
「敵も数できましたか、厄介ですね」
ティエルについて行った猟兵達も順調に幻影を倒してはいるが、倒しても、倒しても新たに幻影が出てくる為、足止めを食らってしまっている。
「『中心』に近づくほど、霧が濃くなって幻影の数が増えてくるよ~」
「『炎』に弱いとはいえ、皆様の力を持つ幻影を無尽蔵に出してくるとは…」
霧の幻影は炎が当たると消滅するし、『炎』を伴うユーベルコードは使用してこない…と言うより使用すると自滅をするのであろう…このアドバンテージ故に優位には立てるが、それでも強敵である事には変わりがない。
「強烈な力を確かに『中心』から感じるが…別働隊が『霧』を減少させるまでは、ここで耐久戦だな!」
トリガーは『アーバレスト』の焼夷弾を周辺に打ち込み、周囲を燃やし有利な戦場を維持しながら味方に呼びかける。恐らくはグラドラゴに最も近い位置に居る自分達が戦線を維持している限り、敵も別働隊の妨害に専念する事は出来ないであろう。
「そうだね、ここは仲間を信じて頑張ろう!」
『風鳴りのレイピア』を振るい、音色を上げながら周囲の仲間を激励するティエル、それに応える如く、トリテレイアは最前にて味方の盾になるように立ち、エルーゼもその背を守るように炎刃と風刃を構え、メタ・フレンは【エレクトロレギオン】の陣形を整える、力を合わせてこの戦線を維持する構えだ。
「別働隊の皆様なら、きっと上手くやってくれるでしょう…ですが……」
仲間を信じ、最前線に立つトリテレイアの心に一抹の不安が過る…その胸中にはペカーと笑みを浮かべた敷島の言葉が浮かび上がったからだ。
『今日は森を焼いても良い日であります』
「限度を、弁えて頂けると有難いのですが…」
「そこは期待出来ないな」
「やりすぎる…その一点に関しては今までの積み重ねっていう信頼があるわね」
開拓前の『ノレフィ山賊団』の一件から関わってる、トリテレイア、トリガー、エルーゼの三人は諦めにも似た確信があった。
●『霧』を打ち払え!
「はっはっは!はーっはっはっは!!」
別働隊の一人、モルツクルスは霧を前にして大声で笑ってみせる。
「安心するっす皆の衆!自分の見立てではあのドラゴンはデカくて速くて強くて毒があって霧に隠れて増えておまけに残虐っすけど……落ち着くっす!!」
「安心できる要素はないわねぇ」
それを聞いて、どう落ち着くのかと呆れたようにアララギは返すが、彼女自身はどうみたって落ち着いている…強敵なのは確かだがそれを愉しむ事はあっても、臆すことはあまりないのだ。
「それでもなんとかするっす……レッスン1、『頑張れば大抵なんとかなる』っすよ!」
「そうだね、霧を武器にしているのならば、その霧を奪うね…気温を吹雪の速さにかえて、わたしの心の想いのままに」
霧を除去し、戦況を有利にすべくレイチェルはユーベルコード【ダイヤモンドダストストリーム】を発動させた。
春先にも関わらず吹き荒れる絶対零度の吹雪は、霧を氷の粒…ダイヤモンドダストに変えて遥か彼方へと吹き飛ばし始める。
「ふ、吹雪っすか!?」
「それでも吹き飛ばせるけど…私は熱風を使うから別の場所でやったほうが良いかしらねぇ?」
弱点である『炎』、そして霧とは温度の低下に伴い空気中の水蒸気が水に戻る現象であるが故に温度を上げて霧を消そうと考えていた二人は慌てるが…レイチェルは首を横に振る。
「この吹雪は熱エネルギー…そのベクトルを念動力で一方向に揃える事によって放たれているから…熱エネルギーは吹雪を強めてくれる、だから問題ないよ」
単純な冷気ではなく、熱エネルギー…即ち、分子運動の方向を念動力で揃える事によって放たれるレイチェルの【ダイヤモンドダストストリーム】は加熱を受けても相殺せず、むしろその威力を増す為、味方の協力があったほうがより強力になるのだ。
「そういう事なら…あ、でも自分のユーベルコード…時間をかけて練り上げたほうが威力高いんっすよ、暫くはお二人で対応してもらえるっすか?」
「分かったわぁ、じゃあ、邪魔な霧を全部吹っ飛ばしてしまいましょうかぁ」
ぶつかり合っても問題ないのならばと、アララギもユーベルコード【特殊武装・噴式高圧加熱ユニット】を発動させる、召喚した、多数の大口径ジェットエンジから放たれる超高温の熱風は吹雪と交わり…より強烈な吹雪となって、霧の削るかの様にどんどんと除去していく。
(霧をふっとばすこんな力、敵はまねさせられないしね)
そうレイチェルは考えていた…確かに、向こうが同じユーベルコードを使用しても、自分達の力の源である『霧』を吹き飛ばしてしまったら意味がないのであるが、敵にも対抗手段が無かったわけじゃない。
「っ!?、吹雪が止められたわぁ…」
「これは…わたし?」
念動力でベクトルを揃えた吹雪なのならば、そのベクトルを念動力で逆転させれば良い…結果的にレイチェルと偽レイチェルの念動力が釣り合い、空気分子は停止、一時的に極低温の空間が形成されるがそこにアララギの【特殊武装・噴式高圧加熱ユニット】の熱風が当たり気温は一気に上昇した。
「んっ…わたしと完全に互角みたい…」
「でも、私のユーベルコードは模せないみたいねぇ、レイチェルはそのまま偽のレイチェルの念動力を抑えてて欲しいわぁ」
レイチェルの念動力は味方としては頼もしいが、敵にすれば恐ろしい存在…アララギの熱風であってもレイチェルの念動力を使えば防がれる可能性は高い、それを阻止するだけでも…と、アララギが考えていた矢先…。
「レイチェル殿!、ベクトルを敵にではなく敵上空に向けて欲しいっす、アララギ殿は敵付近の地面に対して熱風を向けて欲しいっすよ」
「え?、うん、わかった…」
モルツクルスの言葉ともに、レイチェルは【ダイヤモンドダストストリーム】のベクトルの向きを敵上空に切り替える、いきなりベクトルを変えられた偽レイチェルの念動力はスカされ、【ダイヤモンドダストストリーム】の吹雪は敵上空へと放たれた。
「何か思いついたのねぇ、それじゃあやって見ましょうかねぇ!」
「…ッ!?、サセナイッ!」
それと同時に、偽レイチェルの足元に向けてアララギの熱風が放たれる、地が赤く焼けるほどの熱に霧製の偽レイチェルは退き、その熱のベクトルを念動力で止めようとした矢先…
「…エ?」
偽レイチェルの体は宙へと浮かび上がり、そのまま上空へと吹き飛ばされ霧散した…それだけではない、まるで空に霧が吸い込まれる巻き上がっていくのだ、この現象は…
「たつまき?」
「そうっす、冷やされた上空の空気は下降し、熱された地表の空気は上昇する…その結果生まれる対流が竜巻の発生メカニズムの一つっすよ!」
レイチェルの生み出す上空の低温とアララギに熱された地表の高温の温度差は凄まじく、その差が巨大な竜巻を生み出し霧をどんどん上空へと巻き上げていく、更に…。
「よし、準備完了っすよ!、霧の天敵が、なんだか知ってるっすかドラゴンくん」
レイチェルとアララギが奮戦している間に、魔力を練り上げ、強大なユーベルコードの準備が完了したモルツクルスは見えぬ霧の中心に居るだろうドラゴンに問いかける。
「全ての始原、全ての終焉……其は炎、其は光……汝が力を此処に乞う!…答えは太陽っすよ!」
モルツクルスのユーベルコード【自在太陽】が発動し、28個分の擬似太陽を生成し超広範囲に渡って強烈な日光で照らし地表を温める。
霧と言う現象は前述の通り、温度低下によって空気中の水蒸気が極小の水滴となり空気中に漂っている状態である…故に気温を上げられると霧は消える、地表を温める太陽は正に霧の天敵なのだ…が。
「…そう来たっすか、マジで万能っすよね、レイチェル殿の念動力は!」
「…ごめんなさい」
「レイチェルが悪いわけじゃないわぁ、むしろ、役に立つからこそだしねぇ」
この窮地に対して敵がとった行動は偽レイチェルを増産し、念動力でモノを浮かし日光を遮ったり、地表の空気分子の熱運動を停止させる事で、冷やし直して気温上昇を抑えるという防御…レイチェルの念動力はかなり万能に近い故に敵もそれを利用する構えの様だ。
もっとも、アララギやモルツクルスのユーベルコードを模すなど自傷行為でしかないのだから、選択肢としてはそれしか残って居なかったと言う事情もある。
「とは言え、自分達のユーベルコードを防ぐのが精一杯みたいっすね…」
「うん、後は『助攻』にまかせるよ」
そう、レイチェルが述べた後に…別働隊の『主攻』であった3人は溜息を吐く…出来れば『助攻』には頼りたくはなかったからだ。
「温泉施設、焼けたらまた立て直さないとねぇ…」
『霧の森』のど真ん中にある、アララギが基礎だけ作った温泉施設の無事を半場諦めつつ、アララギは空を見上げた…そう、何故ならばその『助攻』こそが――。
「主攻だけでは足りなかったでありますね、さて消毒してくるであります(*´Д`)ハァハァ」
この開拓に来てる猟兵のヤベー奴代表、敷島であったからだ。
彼女は『弱点を突く』、『この森は開拓する予定』と言う大義名分によって、元々少ない自重心を放り投げている状態だった、流石に危うんだ仲間達に制止はされたが、火力が及ばず『霧』が晴れ切れなかった今、彼女を止める鎖はない。
「ロケラン♪、爆弾♪、火炎瓶♪、リア充と汚物は消毒だ~♪、であります♪」
物騒な鼻歌歌いながら、物騒な武装を身につける敷島は、先ずは木に登り周囲の風向きを確かめる。
「と言うか、あの竜巻に吸い込まれるような風向きでありますね、やったー、どう燃やしても他の森には延焼しないでありますよ!」
そんな風に嬉しそうに竜巻を眺めながら、敷島は爆破スイッチをポチッとなする…それと同時に『霧の森』を囲うように爆発が上がり、炎が上がる…早すぎる炎上、既に敷島によって『霧の森』の至る所に爆弾と可燃燃料が仕込まれているのだ。
「炎ガ、ドウシテ?」
「ダメ、持チ場ヲ離レタラ、霧ガ!!」
「デモ、コノママジャ…」
突然の炎上、余りにも早い延焼に偽レイチェル達は慌てふためくが、彼女達が念動力を止めれば『霧』はたちまち『主攻』によって消されてしまうだろう…彼女達に『助攻』に、敷島に…この放火魔に対抗する術は残されていないのだ。
「ふっふっふ、流石はレイチェル殿のコピー、偽物でも健気に持ち場を守っているでありますな!、では、その健気さに免じて3分間だけまってやるのであります」
この状況で時間を与えても苦しむ時間が増えるだけかも知れない…でも、そんな心配は必要ない…何故なら――。
「180、179…ヒャァ!、もう我慢できないであります!」
3分どころか、3秒すら待てなかった敷島は、必死に『主攻』と火災を食い止めている、偽レイチェル達に焼夷弾頭のロケットランチャーをぶっぱなし始めたのだ。
「キャアアアアッ!?」
「ヒャッハー、バッタもんも消毒でありますよ~~!!」
燃え盛る森と共に敷島のテンションも跳ね上がる、味方の姿をしてようが容赦などない。
「霧と共に消えるのが偽のレイチェル殿であります!、少し粘るやつは訓練された偽のレイチェルどのであります!、ホント、ミストリフレクションは地獄だぜでありますよぉ!!」
偽レイチェルが粘れるかどうかは、持ち場の環境次第であり…言うまでもないが、コピーごとに練度に差があるわけではない…しかし、参加してないはずのベトナム戦争の記憶に脳が茹だってる敷島は、そう叫びながら、バッカン、バッカンと偽レイチェルにロケットランチャーを叩き込むのだ。
「うわぁ…派手に焼かれてるっすね…そりゃ、ヒューレイオンも激オコぷんぷん丸だった訳っすよ」
「これじゃあ、もう『霧の森』と言うより…」
「『炎の森』になっちゃったわねぇ…ああ、これは温泉施設も立て直しだわぁ…」
敷島参戦の結果、霧は晴れ…森は真っ赤に燃え上がる…ここには既に生物はいないし、どうせ切り広げる予定の土地だったとは言え…静かな森は今や煉獄と同じ意味となり、その凄惨な光景に3人は立ち尽くすのだった。
●分身竜と巨龍を突破せよ!
とは言え、別働隊の活躍によって霧が晴れたことには変わりはない…そして、ターゲット付近に居るティエル達の状況にも変化が起きた…霧の幻霊を量産できなくなったグラドラゴは中央部の霧を全て、自身の分身と、自身を守護する巨龍へと変えたのだ。
「ええ!?、ドラゴンがこんなにたくさんっ!?」
「いや、こいつらも霧で作ったコピーだ、本体がどこかに紛れている…くぅっ!?」
「トリガー!?」
「大丈夫だ…が、油断するな、炎だけで簡単には消せんようだ!」
ドラゴンであるが故か、霧の幻霊よりかは幾分は炎に耐性があるのか、焼夷弾の炎の壁を抜けて来る分身も居る…こちらのユーベルコードを真似てこない分、個々の耐久力が上がっているようだ。
「本体はアレですか…ですがっ!?」
トリテレイアはセンサーを動員して赤外線を唯一発する個体を見つけ出すが…分身体が余りに多く、更にはその本体を常に守っている巨龍の存在によって、ユーベルコード【対暗殺者索敵装置ユニット・特殊散弾】の索敵用レーザーを本体に届かせる事が出来ないでいる。
「ひゃあっ、もう!、松明を無視して噛み付いてくるよっ!?」
ティエルも持ち前の機動力で回避しながら、【妖精の一刺し】のカウンターで上手く応戦しているが…その小柄の身体と機動力をもってしても、本体までの道が見えない…分身竜は松明でも退いてくれないのだ。
「『リヴェン』、炎を操り応戦しろ!」
トリガーは、もっと追い込んでからと温存しておいた【最後の願い】を発動させ、リヴェンのサイコキネシスで周囲で燃え盛る炎を操作し、分身竜に応戦する。
「ええーーい!」
リヴェンの操る炎やトリガーの援護射撃で牽制し、それによって生まれた隙をエルーゼが付き分身竜を焼き蹴散らす…と、上手くコンビネーションで戦えているのだが本体までは遠い。
「【エレクトロレギオン】応戦せよ!…何とか、分身竜達を突破しないと…」
メタ・フレンの【エレクトロレギオン】も相次ぐ連戦で半数ほど破壊されている、幻霊と違って焼かれても攻撃してくる分身竜は機械兵器に確実な被害を与えてくるのだ。
5人は善戦はしているものの、苦境といって差し支えない戦況…しかし、結果としてはこの頑張りが役に立った、グラドラゴの意識は5人に向いているが故に…今まで霧に煙にと姿を隠して、奇襲の機会を狙っていた二人の猟兵の『囮』として機能していたのだ。
「戦争である! 戦争である! さぁ歓びを! 戦争である!…背後を取ったぞ、かかるのであるっ!!」
「なっ!?…あ、あのタケノコは大隊はあの時の…また潜んでいたのかっ!?」
「助かる…けど、相変わらずすごい光景ね!?」
エルーゼとトリガーにとってはデジャブ、他の者にとっては唖然とする光景…タケノコ型ブラックタールのクリーク・クリークフリークスの号令と共に、グラドラゴ本体の背後からタケノコの大隊が迫り来るのだ!
「え?、ええー!?、なんでタケノコなのっ!?、おもしろーいっ!」
タケノコの群れが軍となって敵に襲い掛かる…などと言う正気を疑う様な光景を目の当たりにしても、好奇心が勝ち面白いと言ってのける辺り、ティエルは大物なのであろう…流石はお姫様である、いや、お姫様ってそんなタフだったっけ?
「グエエエエェェ!!」
「クェェ!?、クエェ!?」
しかし、クリークの登場により分身竜は挟撃されると言う形になり混乱が生じた…慌てて前5人とクリークに対応しようと本体を中心に円陣を組むように密集陣形を取るが、この行動が既に術中。
「集まってくれるのを待っていたよ、さあ、行こうか相棒たちよ…今こそワタシの秘められた力を見せよう!」
密集陣形に向かって現れたもう一人の奇襲者は二天堂・たまであるが…その姿はヒヨコの着ぐるみを着たもの…ケットシーとは一体…うごごごご。
しかし、そんな疑問も無視して二点堂はユーベルコード【守護霊降臨(アイドル・ユニット)】を発動、135体の二天堂と同サイズのヒヨコ達が現れる。
「グゴ!?」
「グオオン!?」
ヒヨコ達にも二点堂にも、分身竜を倒す攻撃力は無いが…その『もふもふぼでぃーあたっく』や『つぶらなひとみのめろめろうぃんく』によって分身竜の動きが止まる、分身竜の理解が追いつかない、明らかに困惑しているのだ。
「お見事である!、誠にお見事である!…ならば、我らも加わり、更なるラブリーさを発揮するのである!」
只でさえカオスな光景を、クリークと言うカオスの権化が更に混沌に突き落とす…あろう事か、タケノコ達まで『わさわさぼでぃーあたっく』や『つぶらなひとみうぃんく』をやり始めたのだ!
「ゴゲゲゲゲゲゲゲ!?」
「ヒトミ!?、タケノコニナンデ!?」
存在しないはずのタケノコの瞳に魅入られた分身竜は混乱の余り人語を喋るし、分身竜達は混沌の渦に巻き込まれ一時的発狂状態に陥った…物凄くカオスである、猟兵達もグラドラゴ本体も、それを守護する巨龍も混乱に陥った。
「あ!、今ですね!、機械の目には視えていますよ!!」
そんな混沌の中、嘗ては敷島に電脳に混沌を刷り込まれたトリテレイアがカオス慣れによって、真っ先に正気に戻る…クリークとも面識があったため、クリークに対して耐性もあるのだ。
トリテレイアはグラドルゴ達が混乱に陥っている隙を付き、ユーベルコード【対暗殺者索敵装置ユニット・特殊散弾】をグラドルゴ本体に叩き込む。
「!!?、ゴアッ!」
しかし、レーザー光で捉えた本体を庇う巨龍に邪魔をされ、続く散弾のダメージは本体には届かなかった…が、飛び散る蛍光塗料が、三段を防いだ巨龍の指の間をすり抜け、本体に蛍光塗料を添付する事に成功した。
「あれが本体ですか…よし!」
メタ・フレンは【レプリカクラフト】によって仕掛け罠のロープを作り出す、これによって本体を捉える為だ。
「あの本体を捉えるぞ、リヴェン!、エルーゼ!、俺達は道を作る!」
「了解!、てぇえええいっ!!」
トリガーとエルーゼ、そしてリヴェンは混乱する分身竜に襲い掛かり分身竜達の妨害を阻止する。混乱の中、炎とアークビーム、トリガーの【クイックドロウ】による射撃攻撃で崩れた分身竜の防陣をエルーゼの炎刃と風刃で切り崩す。
「グオオオオオオオオンッ!!」
「あの、おっきな竜をどうにかしないとっ!」
しかし、仕掛け罠のロープも巨龍がいる限りは届かない…トリテレイアの高命中の散弾すら防がれてしまったのだから…アレを抑えるのには、ティエルでは早さが足りてもパワーが足りない…怪力のトリテレイアも、正気に戻りつつある分身竜の群れを抑えるために身動きがとれない、そんな時…。
「なるほど、良いガタイだ、俺の偽物は霧の身体故に長くはもたなかったが――、貴様となら楽しめそうだっ!!」
自身の分身を炎に頼らずとも下した闘真が、震脚と共に巨龍へと神速の猛ダッシュで突撃していく…ハンデなしで偽闘真と相対した所為か、無傷とは程遠い姿であったが、しかし顔は笑う…次の強敵に、更なる難敵を求め、巨龍の体に肉迫し【空雷流奥義・電】を叩き込んだのだ!
「グゴガァッ!!?」
猛烈な一撃に巨龍の体が後退るが、この強大な竜を一撃で倒すのは如何に猟兵とは言え不可能だ…直ちに反撃してくる巨龍の爪を闘真は挟み受けで防ぐも、その威力で弾き飛ばされる。
「そうこなくっちゃなぁっ!!」
「グオオオオッ!!」
それでも…いや、それだからこそ闘真は笑う、敵が期待通りの強さだからだ…如何に闘真とは言え、正面からの殴り合いでこの龍に単独で勝つのは難しいだろう…しかし、あくなき闘争本能が巨龍の守りを本体から引き離したのだ!
「今だ!、いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
その瞬間を狙いティエルはその小柄の体と機動力で、分身竜の防陣の穴を、そして巨龍のガードの隙を掻い潜り、最速の【妖精の一刺し】で本体を穿つ。
「グギャアアアアアアアッ!!」
本体は避けない、否、分身竜と巨龍の形成に全力を使っていたので動けなかったのだ…ティエルの一撃により、遂に本体がダメージを負った瞬間、分身竜と巨竜は煙のように消えるのだった。
●グラドラゴを撃破せよ!
「ふん、巨龍も消えたか…だが、それを生み出すお前は残っているな…」
血まみれの体でも闘真はまだ笑う、しかし流石に満身創痍だ…他の猟兵が炎と言う弱点を突いてなお苦戦する相手に、真正面から己の身体と技のみ挑んだのだから仕方がない。
「闘真様、流石に無茶です…」
「ふん、要らん気遣いだ…これほどの強敵相手に休んで居られるかよ」
敵も最早本体のみ、しかしこの本体が霧の幻霊も、分身竜も、巨龍も操っていたのだ…それだけの力があるオブリビオン、油断をする事は出来ない。
「よし、ロープで捉え…消えた!?」
「早いっ!!、後ろだメタァっ!!」
巨体が消えるほどの高速移動でメタの背後を取ったグラドラゴ、それを阻止すべく、闘真が【空雷流奥義・電】でグラドラゴの体を弾き飛ばす。
「助かりました…って、闘真さん!?」
「ちぃ…これが『毒ガス』の正体か…踏み込みが足ら…なかった…ぜ…」
今まで死力を尽くし、自身のコピーと巨龍を相手をしてきた闘真の震脚は流石に疲労からか、グラドラゴが発する毒ガス全てを吹き飛ばす程の風圧が出せず、僅かながら麻痺毒が回ってしまったようだ。
「油断するな、来るぞ!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」
グラドラゴの咆吼と共に猛烈な毒霧のブレスが放たれる、その威力で地面が抉れ、土砂が舞うほどの風圧に加え、毒のを伴う霧のブレスは直撃すれば猟兵とて無事ではすまない。
「なんて威力ですか…しかも…」
「毒霧を纏う上にあのスピード、何とかして動きを止めねばなるまい」
この毒霧を纏い高速移動を可能とするユーベルコード【死の毒霧】はグラドラゴにとっての切り札、己の寿命を削る程に消耗する為、命の危機に瀕しなければ使わぬ技故に、その戦力は絶大である。
「ええーい!!」
そんなグラドラゴの【死の霧】に20個の火球が周りを囲むようにして迫り来る…キキの【アニプラズマ】だ。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
しかし、グラドラゴは火球をブレスで吹き消し、空いた包囲を高速移動で突き抜け逃れてしまう。
「遥さんっ!」
「残念だけど、キキの『炎』だけじゃ『証明』には足りないみたい…皆!、グラドラゴの弱点…『炎』を当てるために力を貸して!」
「構わんが、当てるだけでどうにかなるのか?」
「霧が『炎』に弱いのは変わってないみたい、現に当たる事を嫌がったから…あの纏っている霧を炎で消せる、それさえ『証明』出来れば…アイツのユーベルコードを封じてみせるわ」
その如月の言葉を聞いて、猟兵達は静かに頷く…弱点を証明する事でユーベルコードを封じるユーベルコードが幾つか存在している事を知っているからだ。
「そういう事なら…こっちよ!」
エルーゼがグラドラゴに石を投げ挑発する、近接戦を得意とするエルーゼには毒霧全てを吹き飛ばしながら斬りかかる術は無い以上、囮役を買って出たのだ。
(毒霧があるから、大きく回避しないと…)
野生の勘でグラドラゴの動きを先読みし、大きく回避する…この行為は大きな疲労を伴い、少しでも遅れて出血毒や麻痺毒に侵されればそのまま直撃を受ける危険が有る、極めて危険な行動だが…これで隙を作ればチャンスは生まれる。
「グオオ…」
「させませんっ!!」
「グギャアアっ!?」
エルーゼを吹き飛ばそうと、グラドラゴがブレスを吐く為に大口を開けた瞬間、トリテレイアがその大口に銃弾を叩き込む。その苦痛にグラドラゴがのたうち回った。
「今度こそ、当たれぇぇ!!」
「グアアアアッ!!」
その隙をキキが【アニプラズマ】で狙うが、グラドラゴは即座に回避しようと立ち上が――。
「今だ、リヴェン!」
「グオッ!?…グオオオオオオン!!」
立ち上がろうとして踏み込んだ足が地面を滑る、絶妙なタイミングでリヴェンのサイコキネシスがグラドラゴの足を文字通り引っ張ったのだ、それによって転んだグラドラゴに【アニプラズマ】は命中し…纏った霧を貫き、見事に火傷を追わせたのだ。
「『霧』は『炎』によって消された、これが弱点よ…『魔王の心臓』!!」
最初にキキが見つけた『炎』という弱点を見事に証明してみせた猟兵達の姿を見て、如月は自身に規制するUDCオブジェクト『魔王の心臓』にその弱点を『証明』してみせた…これにより如月のユーベるコード【魔王の呪縛】の発動条件が満たされたのだ。
「グ…ガ…!?」
巨体の筈のグラドラゴが『それ』を見上げる…如月の胸…心臓の辺りから溢れる黒い光、脈打つように点滅するその光は血管のような黒い管となり、触手となり伸びて行く、血管のような触手は絡み合い、人の様な形になった頃にはその背はビルよりも高く伸びていた。
「――しかと見届けた」
『それ』はそう、声を放つ…それだけで、グラドラゴが纏っていた【死毒の霧】は消え失せる、その言葉だけで『それ』…魔王の分霊にグラドラゴの魂は屈し、切り札である【死毒の霧】は180秒間の剥奪を受ける。
オブリビオンでるグラドラゴであっても、抵抗は疎か、逆らう気すらも起こさせない『魔王』と呼ばれる者の分霊はその言葉だけを残して、嘘のように消えていった。
「アレは…邪神の類ですか?」
正体不明の『魔王』たる存在の片鱗に触れ、トリテレイアには存在しないはずの『寒気』と言う感覚を感じていたが、あれが一体何ものなのかはユーベルコードの使用者本人である如月すら分からない。
それに、如月には知っていてもそれに答える余裕すらない、何故なら…効果発動と同時にもう一つのユーベルコード【幽体離脱】でグラドラゴの動きを封じる『覚悟』を決めていたからだ。
「グガァッ!!」
「よし、動きを止めました…メタさん!」
「グラドラゴが止まった!?、よし、捕まえますっ!」
如月の生霊に取り憑かれたグラドラゴは、金縛りによってその動きを止めてしまう…その隙を突いてメタの【レプリクラフト】により仕掛け罠のロープがグラドラゴの体を縛り付ける。
「グガオオオンッ!!」
「捕まえた、トリテレイアさん!」
「はい!」
ロープで縛り付けたら、トリテレイアの怪力によってそのロープを抑え、グラドラゴの動きを封じる…その隙を突いて…キキは【アニマプラズマ】を20個合体させ、巨大な火球を生み出し…一瞬、躊躇する。
「私は大丈夫よ、キキ…あいつを一緒に倒しましょう?」
「……うんっ!、分かったよ遥さん!」
キキは如月の覚悟を受け取り、大火球をグラドラゴの口の中に叩き込んだ、体内から焼かれ、のたうち回るグラドラゴ…そして…
「くぅっ…あああああああああああああっ!?」
「遥!?、どうしちゃったの!?」
それと同時に苦悶の表情を浮かべる如月、冷や汗を流しながらも立ち上がり、心配して駆けつけたティエルを片手で制す。
「まだ、あいつは死んでいない…だからトドメを…」
「その反応…まさか、感覚の共有をっ!?」
「私は大丈夫だから、早く止めを!…もう、時間が……え?」
そんな如月から、急に苦痛が消える…感覚を共有してしまう『生霊』は未だにグラドラゴの中に居るはずなのにだ。
「ふん、一つだけ思い出した…確か、こんな活法もあったな」
その理由は闘真の空雷流活法…奥義と呼べるほどの技ではないが、痛覚を一時的に取り除く秘孔を突いたのだ…殺法としても応用が効くかもと覚えていたが、中々使う機会がなかった活法の技であった。
「闘真さん…」
「これでやり易くはなっただろう、もうこの戦いは蹴りがついた、とっとと終わらせろ」
如何に強敵とは言え、闘真も皆でここまで追い詰めた敵と今更戦おうなどとはしない…このような強敵は、猟兵として戦う限りまた出会えるのだから、終わった戦いなど今更興味もないのだ。
「うん、そういう事なら遠慮なく…【トリニティ・エンハンス】全力全開っ!!」
毒霧でこれまで近寄れず、封印後も如月が心配で攻撃できなかったエルーゼが、そんな闘真にニコッと笑いかけてから『ゲンドゥル』に【トリニティ・エンハンス】の魔力を全開で流し、極大の炎刃と風刃を重ね合わせ、風によって強化された炎の刃をもってグラドラゴの首を切り落とした。
「我々の勝利である!、さて…中身はともかくせっかくのドラゴンであるし、骨などが残れば加工するなりモニュメントにするなり…なにか再利用したいところであるな」
グラドラゴの絶命を確認し、勝利を宣言したクリークは喜びに浸る間もなくグラドラゴの解体を始める…毒霧を出すだけあって、肉は毒を含み食用に向かぬが…これらの素材も何かの役に立つかも知れない。
「終わったようっすね…」
「うん、炎も消えてってるね」
「燃やすものがもう無くなったからねぇ…」
「開拓が捗ったと思えば儲け物でありますよ!」
別働隊の4人も焼けた森の後始末をしながらも、遠くから完全に消えゆく霧を見て仲間達の勝利を確信していた。
…後日。
「何ででありますかぁぁっ!!?」
「やりすぎたからねぇ、少なくとも温泉施設だけは治すの手伝ってもらうわぁ」
鎮火した森の中央で、温泉施設再建の為にアララギと敷島は働いている、敷島は不服そうだが…辺り一面が焼け野原になっているのだ、多少の罰は与えないといけないであろう。
「いやいや、心配だったけど『綿花』は無事だったようだね」
そんな二人に声をかけるのは二点堂、あの戦闘の中、何気に『綿花』の場所に皆がたどり着けるように目印を残しておいたのだ。
「そりゃ、自分だって物資が大事なのはしってるであります!、焼くのはあくまで汚物だけでありますよ!」
「私の温泉まで汚物扱いは頂けないわぁ」
「あ、アララギ殿の温泉施設は所謂コラテラルダメージと言う奴でありますよ」
「要するに、焼く時は焼くって事だねぇ…まぁ、復興を頑張ってくれたまえ」
こうして、クロベルが見つけた『綿花』も無事に村の物となり…焼畑ですっかり広がった村の耕作地で栽培されることとなった。
猟兵達の活躍によって衣食住の全てが揃い、開拓村の発展の土台がこうして完成したのであった。
・村スキル『綿花Lv2』を獲得
・アイテム『毒肉1』、『竜革1』、『竜骨1』を獲得、量は一頭分だけである。
大成功
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