ラビニアの異世界飯 中華世界で点心だぁ!
●ようこそ封神武侠界
「ラビニアさんは封神武侠界は初めてですか?」
「そうだね〜、前に1回行ったくらいだけど、その時はオブリビオンと戦ってすぐ戻った感じだったから、あまり世界を見て回ったりとかはないかな」
古代中国を思わせるような世界『封神武侠界』を闊歩するのは二人の猟兵、バーチャルキャラクターのアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)とゲームプレイヤーの印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)だ。
二人とも世界観に合わせてか、アスカは黒の、ラビニアは赤のチャイナドレスに身を包んでいる。抜群のプロポーションを飾るそれらは脇腹が見えるくらいに露出が高く、かなり危うい部類には入るのだが、大事な部分が見えそうで見えないのはバーチャル衣装の物理演算が為せる業だろうか。
「なら、良かった。本場中華料理の感動もひとしおですから」
「本場中華ね〜。と言っても、
統制機構にもラーメンや餃子とかはあったし、
GGOにも中華料理タイプの強化アイテムとかよくあったし……」
わざわざ世界を超えなくても……そう面倒そうにいうラビニアと共にアスカは『点心食べ放題』のノボリが立つ店へと足を踏みこむのだった。
●いただきます封神武侠界
「このエビ蒸し餃子、エビはプリップリだし皮はモッチモチだし、噛めば噛むほど旨みと食感でお口が幸せになる〜」
「こちらの翡翠ワンタンもつるりとした食感に、中のお肉のぎゅっとして、はふはふ、おいし〜」
「春巻きもパリパリした皮の中に餡が絡んだ野菜の食感がシャッキリぽんと踊るみたいだよ」
「この小籠包は肉汁が滝のようですねぇ。お口の中が熱々になっちゃいますが、この感じも面白いですねぇ」
そこには点心を思うがままに楽しむ二人の少女があった。中華に対して舐めた態度だったラビニアもすっかり虜になっている。
統制機構の最低限品質保証な料理に舌が慣れてしまっているラビニアはともかくとして、食事以外で活動エネルギーを産み出す方法を確立しているために食事を道楽として生きているアスカの舌を唸らせているのだから、ここの店主の腕はなかなかのものだろう。
「次は北京ダックをいただきましょうか」
「え、あれも点心なの?」
「点心の定義は諸説ありますが、要は飲茶を楽しむおやつであれば、おかずみたいなものも小吃と言って点心の一つとして成り立つみたいですよ。他にも酢豚やエビチリも用意してあるみたいですし」
「あ、本当だ」
「おや、スープも飲み放題があるようですね。フカヒレスープもあるようですが、ラビニアさんの分も取ってきましょうか」
「それじゃ、お願いしまーす。あ、このちまき、もちもちして美味しい」
ある程度食べたところで、今度はデザート系点心に手を伸ばす二人。
「このマーラーカオはふわふわもちもちで美味しいですね」
「こっちの杏仁豆腐はほんのりした甘味につるりとした舌触りがいいね。こっちのココナッツミルクも美味しいね。この粒々はタピオカだっけ?」
「おそらくそうですね。そしてこちらの桃まんじゅうはしっかりした餡子と皮のバランスがいいですね。つい何個でも食べてしまいますね」
「それじゃ、僕はこの胡麻団子を……あっつーい! 生身の時に食べてたら舌を火傷しちゃうところだったよ。でもこの熱々のあんこが美味しいし、胡麻の香ばしさともちもちの皮であんこの甘さがくどくなることもなくいけちゃうね」
そしてデザートを食べ進め、お茶を飲んでほっと一息つく二人。その表情はとても満足げだ。それからいくつか料理の感想を楽しげに言い合った後、店を後にするのだった。
「「ごちそうさま」」
成功
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