●俺たちの戦いはこれからだ
サムライエンパイアのフォーミュラ織田信長は倒れたが、いまだ世にオブリビオンは多い。そんなオブリビオンを征伐して回るのは徳川家光公より天下自在符を賜った猟兵の重大な役目であった。
そして此度、猟兵たちが相対すべき相手とは……。
「……よもや信綱殿とは!!」
それは生粋のサムライエンパイア武人である大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)にとってはなんとも身が引き締まるような名であった。そんな相手がオブリビオンになった事は、尊敬する宮本武蔵が剣を捨てて戦場をテニスに変えた事と同じくらいに麗刃にとってはショックだったのだろう。
剣豪で信綱とくれば、この名を思い浮かべるのはそれほど困難ではあるまい。
上泉信綱。
伊勢守として知られるが実際の所は武蔵守が正しいかもしれないとか苗字は大胡らしいとか、まあそのあたりは置いておいて。ともあれオブリビオンと化した信綱は近隣の村に押し入り殺戮を働こうとしている。かつての剣聖がなんでこんな風になってしまったのか。理由はともあれ、これは倒さなければなるまい。やる事はシンプルだ。信綱が凶行を働く前にまず手下を全員倒し、その後で信綱本人を倒せば良い。だが……実際の信綱の功績や実力等については改めてここでは書かないが、普段多少(?)おちゃらけている感のある麗刃がむちゃくちゃ深刻な顔をしているというだけで脅威についてはおそらく間違いのないところであろう。
「本来なら剣士としてわたし自らが相対したいのだが、今回はここから動けぬ身。どうかみんなよろしく頼むのだ!」
麗刃の一礼を受け、猟兵たちはサムライエンパイアへと向かうのであった。
らあめそまそ
らあめそまそです。サポート優先純戦シナリオをお送りいたします。
通常プレイングをかけてくださる奇特な方がいらっしゃるなら、純戦ですのでとにかく暴れれば良いかと。上泉信綱(敵としての表記は『剣聖・上泉武蔵守信綱』となります)に対して何か思う事がある方ならそのあたりを書いてみても良いかもしれません。反応があるかは運次第ではありますが。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『山賊』
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POW : 山賊斬り
【近接斬撃武器】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の笑い
【下卑た笑い声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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●
『ヒャッハー!カネと命の両方を置いていきな!』
サムライエンパイアに到着した猟兵たちを早速雑魚どもが出迎えてくれた。オブリビオンに堕ちたとはいえ剣聖と呼ばれた程の男の手下としてはちょっと品がない気もするが、まあオブリビオンだから仕方はないか。
山賊の能力は以下の3種類だ。
【山賊斬り】は文字通りの白兵戦技だ。単純だが数を頼みにされたら存外侮れない。また剣聖によって鍛えられている可能性も一応は否定できまい。
【つぶて投げ】は投石だ。伝統的な攻撃方法は思ったよりも強力であり弾切れもない。単純だが数を頼みにされたら存外侮れない(2回目)。
【下賤の笑い】は笑い声で味方を回復させるものだ。大軍がこれで消耗が少なくなるということで、単純だが数を頼みにされたら存外侮れない(3回目)。
以上、山賊ではあるが曲がりなりにも剣聖の部下だ。決して油断して良い相手ではないが、この後に剣聖が控えていると思えば苦戦して良い相手とも言えない。オードブルはきっちり平らげてメインに備えようではないか。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
確かに、放置は出来ませんねぇ。
『FAS』により飛行、『FGS』の重力波で跳躍を制限すれば、近接前提の【山賊斬り】は届きません。
更に『FLS』の空間歪曲障壁で投擲等の遠距離攻撃を逸らせば、攻め手は殆ど残らないでしょう。
そして【冩崐彈】を発動、触れた全てを消滅させる『渾沌波動弾』による[範囲攻撃]を行えば、【山賊斬り】を守りに使い『攻撃を切り落とす』使い方も『触れた刃物が消滅する』ことで、一撃は相殺出来たとしても、防ぎきることはまず不可能ですぅ。
後は『FRS』『FSS』の[砲撃]で[追撃]、一気に仕留めますねぇ。
此処で時間はかけられませんので、早目に片付けさせて頂きますぅ。
●本当に再現したのね
平和になりつつあると思われたサムライエンパイアで、かつての戦乱に比べれば小規模かもしれないが、罪なき村人たちがオブリビオンによる殺戮にあおうとしている。
「確かに、放置は出来ませんねぇ」
今回も一番乗りは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であった。そんなるこるを早速山賊どもが出迎えた。
『ヒャッハー!女だぁ!』
下卑た笑みを浮かべてさっそくるこるを取り囲まんとする山賊ども。おそらくはよからぬ考えに支配されているのは間違いのないところだ。るこるの言う通り、これは到底放置しておくわけにはいかない者たちであった。山賊どもはそれぞれ異なった形状の刀を手にしており、また統制も取れてはいないようで、このあたりは組織だった軍とは明らかに違うが、それでもナチュラルな力と数を頼みにした戦法、そして原始的な欲望に基づく戦意の高さはそれなりに脅威ではあろう。
「此処で時間はかけられませんので、早目に片付けさせて頂きますぅ」
とはいえるこるの言葉もまた事実。なるべく早くカタをつけねばならない相手だ。完全に囲まれる前にと早速るこるは祭器を発動させた。エネルギー翼で空を飛び、重力波を発動させれば近接戦主体の相手の攻撃はそう簡単には届くまい。飛び道具を使ったとしても空間歪曲障壁で完全防御の構えだ。
『ちいっ!肉団子のくせに!だがいつまでも浮かび続けられるとは思えねえ!下がってきたところを狙ってやる!』
山賊としても他に手がないので仕方のないところだが、読みが仮に当たっていたとしても、るこるとしてもそこまでずっと逃げ続けているわけではなかった。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、強者より乱妨せし力の再現を此処に」
発動したユーベルコードは【冩崐彈】といった。それはかつて獣人戦線で戦った有頂天道人の技であった。どうやら見事にコピーに成功したようで。冩=写、崐は……崐崙(崑崙)ぐらいにしか使わないような。読みの『チュウソウセシコントンノナミ』は『抽創せし渾沌の波』……いや抽創なんて単語はないけど。ともあれ、原典となった道人の渾沌波動弾は全てを消滅させるという恐るべき技であった。な、ものだから当然るこるが使ったそれも。
『な、なんだこれは……ちにゃ!!』
あるいは強者なら対抗する手段が思いついたかもしれないが、さすがにオブリビオンとはいえ一介の山賊にそれを期待するのは酷だったようで、次々に消滅していった。かくして戦いは初っ端から猟兵有利で進む事になったのであった。
大成功
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鹿村・トーゴ
剣聖でも人の子
人生に未練はあるだろしなー
でもヤバいな
強い敵は好きでもオレ剣てスットコだもん
けど山賊共は慣れた手合いだ
畑や女子供に面倒かけやがって
ま、オレの身なりも貧相な行商…カモに見えたかねェ?地の利、山慣れはお互い様か
金も命も盗らせねーよ
何ならお前ら首か手足か置いてきな
お役人に突き出してやるよ
【聞き耳、情報収集】で敵の人数や隠れた位置を見当付け
風上を取り
布の猫目雲霧に仕込んだ【目潰しの毒使い】敵UCの精度を落とす
反撃は敵UCの石+その辺の石、尖った木片を【念動力で投擲】
逃走許さず【追跡】敵中に割り込みUCの黒曜石の腕を薙ぎ払い【暗殺】
左手はクナイで刺し斬る
不殺なら手足だけにしとくよ
アドリブ可
●地の利
「剣聖でも人の子、人生に未練はあるだろしなー」
鹿村・トーゴ(鄙の伏鳥・f14519)はしみじみと言った。同じサムライエンパイアに住まう者として、同時代で剣聖と呼ばれた武人の名は当然聞き及んでいるだろうし、そんな大人物がオブリビオンとして現世に舞い戻って来た理由についてはいろいろ考えずにはいられなかった。しかしひとつ懸念もあった。
「でもヤバいな、強い敵は好きでもオレ剣てスットコだもん」
むろんトーゴとてもともと羅刹の化身忍者とあって強敵とだって渡り合える実力は十分あるつもりだ。しかし一応刀に分類される武器は使うが、それは一般的な武人が使うサムライブレイドとはかなり異なる忍刀であり、その中においてすらかなり変則的な部類に入るものだ。剣豪が使うような剣術とは一線を画す武術体系が、果たして剣聖にどこまで通用するか。それはともかく今気にすべきは眼前の敵だ。
「……けど、お前らは慣れた手合いだ」
現れた山賊どもに対し、トーゴはクナイを構えた。
「畑や女子供に面倒かけやがって。ま、オレの身なりも貧相な行商…カモに見えたかねェ?」
『何ほざいてやがる!ぶっ殺してやるぜ!』
相手は単独、しかも武器は小刀めいた刃物が一本のみ。これは数で押せば容易に勝てる相手と踏んだのか、山賊どもは小石を手にトーゴを取り囲もうとした。
「金も命も盗らせねーよ。何ならお前ら首か手足か置いてきな、お役人に突き出してやるよ」
まあオブリビオンなので役人に突き出さずここで斬るわけだが。軽口を叩きつつもトーゴは慎重に周囲をうかがい、敵が潜んでいる場所、風向き等、戦いに必要な情報を集めていた。
『役人がなんぼのもんじゃい!かかれ!』
トーゴの挑発に乗るように一斉に投石を行う山賊たち。だがその狙いは甘く、なかなかトーゴに届くものがない。実はこっそり風上をキープしていたトーゴが密かに毒を風に乗せて流し、山賊どもの視界を妨げていたのだ。
『おかしな真似しやがって、だが数撃ちゃ当たるってもんだぜ!』
「たしかに当たるかもしらないけどね」
だが飛んでくる石が少数ならトーゴにも対処は容易であった。飛んできた石つぶてを念動力でとらえて逆に投げ返し、ついでにそこらに落ちていた石やら尖った木片やらも加えて逆に石つぶて攻撃をやり返す。
『ちっ!相手が悪いな!今日の所は見逃しといてやらあ!』
「見逃してくれるんかい、まあーオレは見逃すつもりはないけどな」
相手が強いと見て逃走を図った山賊たちだったが、オブリビオンを逃がすわけにはいかない。忍者特有の高速移動でトーゴはあっという間に山賊に追いつくと、黒曜石化した右腕とクナイを握りしめた左腕で次々に倒していったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シン・ドレッドノート(サポート)
実年齢はアラフィフですが、外見は20代前後。
行動パターンは落ち着いた大人の振舞い。
口調は丁寧。時折、奇術師らしい芝居がかった言い回しをします。
「さぁ、ショウの始まりです!」等。
技能、ユーベルコードは状況に応じたものを使用。
身軽で素早い動き、器用さを活かした行動をとります。
主にビットを展開、ビームシールドで防御しつつ、銃器による攻撃を行います。
効果があるなら破魔の力を込めて。
依頼成功のために積極的に行動しますが、他の猟兵や住民の迷惑になるような行動は避けるようにします。
女性には年齢関係なく優しく。
但し、奥さんがいるので女性からの誘惑には動じません。
失礼のない程度に丁寧に辞退します。
●力があれば投石でも対抗はできたかもしれない
「見た所男ばかりですね」
サムライエンパイアの山の中で山賊どもに囲まれた状態であるにも関わらず、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)の所作はあくまで優雅でどこか芝居がかったものであった。
「ならば容赦は無用ですね」
『何言ってやがんだ優男風情が!俺らに勝てると思ってるのか!』
実年齢よりもはるかに若い外見のシンが自分たちに恐れる様子もないどころかナメたように見える口の利き方したものだから当然山賊どもは怒った。全員手に持てる限りの石を持ち、すぐにでも投石を行う構えだ。ちなみに若く見えてもシンの実年齢は48歳であり山賊どもの外見から鑑みるに彼らの設定年齢より上な感じもあるが、まあそれならそれでおっさんの分際で生意気だにセリフが変わるだけではあろう。ともあれ女性には優しくする主義のシンにとって、優しくすべき相手がいない事は僥倖であった。
「やれやれ、落ち着きのない事ですね」
大げさに顔に手をやりつつ首を振りながらシンは剣とライフル銃を象ったビットをそれぞれ4個ずつ、計8個を宙に舞わせた。さらに自らも背中から銀の翼を広げて宙に舞い上がる。まさにその姿は【銀翼の奇術師】の名に相応しいものであった。
『すかしやがって!ぶっ殺してやるぞ!』
山賊のひとりの叫び声を皮切りに、シンに向けて次々と石が投げられた。山賊とはいえさすがはオブリビオン、飛んでくる石の速度はなかなかのもので、相手が空を飛ぼうと関係ないという勢いではあった。
「なるほど力だけはあるようですね、ですが残念です」
シンは弾幕の如く飛び来る石礫を華麗に回避、ビームシールドを展開してかわしきれない分の石を的確に防いでいく。そして相手の攻勢が途切れたところで逆襲に転じた。
「これで決まりです。フルバースト開始」
手にした銃と、宙に浮かぶビットが総攻撃を開始した。今度は弾幕を受ける側となった山賊たちは投石で応じようとするも、さすがに強化されているとはいえ山賊の力では投石で銃に抵抗するほどの力は出せなかったようで、シンの攻撃は石礫をやすやすと貫き、山賊たちを的確に仕留めていった。
『ちいっ!こんなの反則だぜ!こういうのは親分に任せるっきゃねえや!』
さすがの山賊どもも戦意を喪失し、方々の体で引き上げていった。シンはそれを迎撃しても良かったが。
「……まあ、私の仕事はこのあたりでいいでしょう、他の方の出番を奪うのも悪いですからねえ」
青丸ふたつ分の仕事は果たしたと、ゆうゆうとその背を見送るのだった。
成功
🔵🔵🔴
シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。
◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。
◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している
◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。
◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
●よもやの偶然
山賊どもが次に遭遇したのはいかにも物腰柔らかという感じのメガネの青年であった。
『なんだぁ?学者さま風情がこんなところでひとり歩きかぁ!?』
「学者ですか」
その青年、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)……本当に本当に偶然だがつい先刻山賊どもを叩きのめした猟兵と同じ名だ……は取り囲まれた状況にありながら動じた様子を全く見せなかった。窮地にあっても動揺することなく冷静に状況を見極める事こそ事態打開に重要である事を熟知しているからだ。
「メガネだから学者というのもなかなか短絡的ですが」
『別になんだって同じだぜ!ヒャッハー!大人しく命とカネを置いてきな!』
『やかましい連中だな』
新たな言葉の主はシンの後方に控えていた闇色の狼であった。ツキという名の狼は実はUDCである。いろいろあって今やシンに付き従う存在である。おそらくは多くのUDCエージェントとUDCに関係と同様、頼もしいが油断ならない相棒といったところであろうか。
『なんなら俺がこいつら全部ぶっ殺してやろうか?』
「いえ、今回は私に任せてください」
殺気だって前に出ようとしたツキを、シンは止めた。
「シンはまた次の機会にお願いします」
『ちっ、忘れんなよその言葉』
『……おい、なめてんのか?』
狼が出てきた時はちょっと驚いた山賊たちだったが、シンがツキを後方に下げた事で安堵したのか、さらに怒りがふつふつと湧き上がってきたようであった。
『お前ごとき優男が俺らに勝てるわきゃあねえだろ!』
「さて、どうでしょうかね」
シンは銀色の拳銃を構えた。
審判の名を冠するそれはむろんただの銃ではない。対オブリビオン用に自動詠唱機構を備えたアサルトウェポンだ……そう。ちょうど目の前の連中を相手にするための。
『なんだそりゃ?そんな懐鉄砲一丁で俺らに盾突こうってか?こいつぁ傑作だぜ!』
山賊どもは大笑いした。だが繰り返すが対オブリビオン用の銃がただの銃のはずがない。シンは力ある言葉を唱えた。
「業火よ、我が命に従い、立ち塞がるモノを焼き尽くせ!」
言葉とともに銃口より幾つもの炎が山賊めがけて飛んでいった。ただの炎ではない。混沌の深淵から召喚した超高熱だ。山賊の笑いはただの笑いではなく耐久力上昇にダメージ回復の効果があったようだが、そんなヤヴァいものを叩きつけられては耐久力も関係ない。ダメージ回復する前に骸の海送りである。
『ぐわー!や、やってられるかこんなもんッッッ』
生き残った山賊どもはまたしても方々の体で逃げていった。
成功
🔵🔵🔴
シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)
●あくまで
過去の存在の価値観です
「美しくないわねえ」
眼前の山賊どもをシェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)はそう切って捨てた。確かに山賊どもは実に汚らしい身なりだったが、シェリーが言いたいのはそれだけではなく……
『なんだと!?この渡来人野郎が!』
そりゃあ山賊稼業やってるぐらいだから自分たちが美とは真逆の粗にして野な存在である事ぐらいは多少なりとも自覚ぐらいはあっただろう。にしてもこんな風にストレートに言われるのはやっぱり気に障ったようではあった。
『大体渡来人ごときにエンパイアの美がわかってたまるもんかい!ってお前そんな口調のくせにそも男じゃねえか!男のくせにそんな女みたいな恰好しやがって!そんな女の腐ったような奴に』
「……今なんつったてめぇ」
アース世界に比べればちょっと考え方が遅れがちなサムライエンパイアの中でも特に時代遅れな考え丸出しな山賊どもの言い分に、ちょっと地が出たシェリー。そもシェリーのジェンダーレスな感じのスタイルは彼なりの人生や生き方考え方を反映しているものであり、それを真っ向から否定するような山賊どものありかたは、やはり美しくない。そう、シェリーにとっての美しさとは見た目だけではない。精神、内面も含めてのものであった。そして山賊どもは当初のシェリーの見立て通り、見た目だけではなく中身も醜かったようだ。
『ひゃひゃひゃ!カマ野郎がイキったってこの数相手じゃ何もできねえだろ!大人しく命とカネを置いてきな!』
「それはどうかしらね?」
あまりに醜い相手に対する怒りがむしろシェリーを冷静にした。自分に対してのみならず、世界にとっても美しくない存在はすみやかに滅すべし。改めて腹を決めた後は方法だ。どうしてやろうか。
『ヒャッハー!覚悟しな!』
刀を構えて徐々にシェリーに迫る山賊ども。そしてシェリーは。
「……じゃ、アレで行こうかしら」
『突っ立ってるだけかぁ!?びびっちゃったかぁ!?それじゃあの世に送ってやるぜぇぇぇぇ』
だが山賊どもの動きは突然止まった。その顔は苦悶の表情を浮かべている。
「どう、ワタシの愛は?」
『……て、てめえ……何しやがった……』
「言ってもわかんないと思うわよ」
正体はナノマシンであった。シェリーの放った【瘡蓋鎧甲】は相手に侵入すると血液を凝固させる恐るべき作用を持つのだ。肺血管を詰まらせれば呼吸困難になるし、脳血管なら脳梗塞から脳出血に至るだろう。いずれにせよ致命傷だ。山賊どもはばたばたと倒れていった。その姿にシェリーは言った。
「今度はもっと美しいモノに生まれてくるといいわね」
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『剣聖・上泉武蔵守信綱』
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POW : ――斬られる覚悟は在り哉(神玅剱極・巌刀無双)
【攻撃をすり抜けて放つ、回避困難な反し刀】が命中した対象を切断する。
SPD : ――聴こえるか、衆生の聲が(厭離怨獄・干戈乱截)
【音速の納刀で発す"平衡感覚を崩す鍔鳴り"】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【「生者を蝕む屍山血河」を再現する結界の楔】で囲まれた内部に【無数の怨霊による大上段からの唐竹割り】を落とし、極大ダメージを与える。
WIZ : ――閃技の冴は刀を択ばぬ(改式無刀取・転威纏剱)
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【ユーベルコードの異能を纏う妖刀に変え、掌】から排出する。失敗すると被害は2倍。
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●シはしあわせよ
山賊どもをあらかた片づけた猟兵たちだったが、戦場の空気は全く弛緩を許さない。
『色不異空、空不異色、色即是空、空即是色』
猟兵たちはすぐにその正体を察した。剣聖が、来たのだ。
『一切衆生全て我が剣をもって涅槃の境地に至らせる事、これすなわち我が済度なり』
全ての人々に死を与える事によって救済する。それこそが剣聖・上泉武蔵守信綱の目的なのだ。それは生前からの思いだったのか、オブリビオンと化した事によってゆがめられた思いなのか……それはわからない。ただひとつ確実に言える事があった。そのような事を許してはならない!
上泉信綱の技は以下の3種類だ。
【神玅剱極・巌刀無双】は斬撃だ。シンプルな一撃ではあるが、極めた剣は相手の攻撃も防御もすり抜けて確実に相手を切断するという。まさに剣聖の名に相応しい技と言えよう。
【厭離怨獄・干戈乱截】はあいての平衡感覚を乱したところに『生者を蝕む屍山血河』の幻覚を見せ、そこに強烈な斬撃を加えるものだ。まさに剣聖の名に相応しい技と言えよう(2回目)。
【改式無刀取・転威纏剱】は相手のユーベルコードを無効化した上で、同じ技を使用できる妖刀として自らが使うというものだ。まさに剣聖の名に相応しい技と言えよう(3回目)。
いずれの技も強力無比、まさに剣聖の名に相応しい(4回目)相手ではあるが、それでもなんとしてもここで信綱を止めなければなるまい。その、なんだ。どうかよろしくお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
異名に違わぬ、凄まじい相手ですねぇ。
『FAS』の飛行で離脱、『FLS』で『FIS』を召喚後、空間歪曲障壁を展開し準備を整えまして。
【巌刀無双】に合わせ【掙綂】を発動、剣聖様の斬撃の対象を彼自身に変更しますねぇ。
彼程の方であれば『空間』自体を斬ることすら出来そうですが、『豊饒の波』で『空間』自体の[切断]を不可能に変化させた上、歪曲した空間で剣閃の位置を彼自身に繋げれば『近接攻撃の対象変更』も可能ですぅ。
此方からの攻撃は『FRS』の[砲撃]を『FIS』で転移、テレポートショットで体を直接狙うと共に『斬り払い』は『砲弾への攻撃』として【掙綂】で同様に彼自身を斬らせますねぇ。
●後の先
どんな強敵、どんなビッグネームを前にしても、夢ヶ枝・るこるの態度は基本的に変わる事はないようだ。
「異名に違わぬ、凄まじい相手ですねぇ」
その言葉自体には嘘はないのだろう。それでもあんまり変わらない口調と表情に、さらに生来生まれ持った雰囲気というか後天的に得た体格から来る雰囲気というかが、敵手に対して恐れや圧迫感やらといった感情を持っているように感じさせないのである。それがあくまで見た目だけなのか、本当に圧力を感じていないのかはなんともであるが。一方、るこるを見た上泉武蔵守信綱は。
『汝は慳貪の罪を負っておる』
「はい?」
るこるにはすぐに理解できなかった。慳貪とは欲深くむさぼることであり、仏教においては克服すべきもののひとつとされているようだ。要はるこるの豊かすぎる体型は、必要以上に食欲に取りつかれた結果であり、罪の象徴だというのである。事実はともかく信綱にはそう見えたらしい。外見からしたら邪婬にひっかかる言いそうではあったが、現時点ではるこるにはそっちの問題はなさそうではあった。
『汝の罪は我が剣によって済度されようぞ』
「そのような事で斬られたのではたまったものではありませんねぇ」
罪を負った人間を斬り殺す事で救済とする。そんな一方的な理由で斬られるはるこるでなくてもごめんこうむりたいところであろう。刀を抜いた信綱に対し、るこるはエネルギー翼を広げて宙に舞い、さらに空間歪曲障壁を張った。近接戦主体の相手に距離を取るのは確かにセオリーではある。相手に対してプレッシャーを覚えているかは別としても、るこるはそれを感情に出すのではなく十分な対策をとるという形で示す事を選んだようだ。
『凡そ軍は高きを好みて下きを悪むという、が、我が剣は兵法をも超える ――斬られる覚悟は在り哉』
孫子の一節を引いてるこるの動きが理にかなっている事は認めつつも、それでも信綱は自らの剣に対する信念と彼なりの救世の信念をもって剣を構えた。来る。【神玅剱極・巌刀無双】だ。おそらく剣聖ほどの者が豪語するからには、その剣は地の利も妨害も全て斬り伏せ、るこるに剣を届かせにくることだろう。ならばそれに対抗するためには。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その必然の指揮棒をここに」
るこるもまたユーベルコード【掙綂】を発動させる。掙は物事に力を入れて行う事様々に使うらしい。こじ開ける、もがく、奪い取る等。綂=統である。読みの『サンダツシャノトウサイ』は『簒奪者の統裁』……つまり掙は奪い取る方か。そして剣聖の刀が飛び、攻撃に対してカウンターで放たれるユーベルコードが効果を発揮した。
『なんと面妖な』
表情を変えぬままで信綱はつぶやいた。斬撃を放った次の瞬間、傷を負っていたのは信綱の方だったのである。むろんるこるは無事だ。おそらく何らかの手段を用いて攻撃を跳ね返し、それが信綱を傷つけたのだろう。そこまではわかった。その手段が分かれば反撃のやりようもあろう。問題はその手段が何なのかということだが……。
『ふむ、猶予はなし、か』
それを調べる事を許すまいとるこるの攻撃が飛んできたのだ。浮遊砲台からの砲撃を転移させて死角から攻撃を加えんとするなかなかの念の入れようである。砲弾を反射的に刀で切り払うが、やはり傷ついたのは信綱本人であった。これでは埒が明かない。
「今のところはうまくいっているようですねえ」
あくまで表情を変えないながらもるこるは戦況が有利に進んでいる事を自覚していた。タネを明かすなら【掙綂】は相手の『攻撃』そのものに『豊饒の波』なるものを作用させて変質させ、攻撃対象を攻撃者自身、すなわち信綱に変更させるというものであった。『攻撃』単位への作用などどう対処せよと言うのだ。あるいは時間をかければ打開策を見出す事もできたかもしれない。例えば純粋な剣の技術で相手の『豊饒の波』とやらすら斬ってのけるか、それとも……。
『……戦道勝たずんば、戦う無くして可なり、か』
対策を見出すだけの時間は与えられそうにない。余力があるうちにと、信綱は退却を選んだのだった。
大成功
🔵🔵🔵
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
●アイドルが剣聖と戦ってみた結果
「……なんでこんな所に来ちゃったのかしら……」
音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)……まさに名が体を表すと言った言葉を具現化したような根暗なウサギである。ちなみにバーチャルキャラクターらしい。で、謎のプロデューサーの命令で今回鬱詐偽が送り込まれたのは、よりによって剣聖と呼ばれた男の前。しかもその剣聖は今や悪鬼羅刹となり果てているという。はっきり言って鬱詐偽がこんな所にいるのは場違い感にもほどがあるというものだ。
「……え?セリフ?」
だが番組制作者の意向には逆らえないのがアイドルの辛いところである。しぶしぶ用意されたセリフを読み上げるのであった。
「……世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
『ふむ』
それに対しまったく表情を変えようともしない上泉信綱。いかなる相手であってもやる事は同じ、彼なりの救済を与える事……死をもって、である。
『ならば我は汝の綺語の罪を済度しようぞ』
「……え?どういうこと?」
綺語とは『飾り立てた言葉』、きれいごとやお世辞などを指す。でそれは仏教の『十悪』にしっかり入っているのだ。
「そんな……私はただ台本通りに読んだだけなのに……」
『覚悟せよ――閃技の冴は刀を択ばぬ』
信綱は刀を抜かない。それでもなおプレッシャーは半端なものではない。鬱詐偽としてはどうしたものか。攻撃しに行くか、それとも相手の攻撃に備えるか。できれば逃げたいのだけど何もしないで逃走すると撮れ高がどうとかプロデューサーに怒られるのは目に見えている。ではどうするか……
「……今あなたの声が……」
歌い出した。そう、アイドルは歌うのだ。戦場であっても歌えば戦況も変わる。それがアイドルだ。
『……??』
さすがに信綱も怪訝そうな顔をしたが、どうやら攻撃と判断し、それをもとに異形の妖刀を作り出した。それは鬱詐偽のユーベルコードをそのまま使えるというものだった、が。
『……これは我には用をなさぬものなり』
鬱詐偽の歌の効果は、歌に共感した対象の戦闘力を増強させるものであった。すなわちひとりで戦う信綱にはまったく意味のないものだったのだ。信綱は役に立たない妖刀を投げ捨てると、今度は自らの刀を抜いた。
「じゃ、じゃあそういうことで……」
もう撮れ高は十分だろう。そう判断した鬱詐偽は斬られる前にと退散していった。だが鬱詐偽の行為は全く海ではなく、その歌に共感したであろう、のちに続く猟兵の戦闘力をおおいに上げてくれた事だろう……たぶん。
成功
🔵🔵🔴
ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)
ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。
●歯車がかみ合った結果
ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)は称号が示す通りのヤドリガミだ。ヤドリガミはサムライエンパイアにルーツがあるとされる種族だが、ティモシーはその名前が横文字だし、自称水晶玉のヤドリガミであるが実際は占いカードのヤドリガミらしいということで、サムライエンパイアとは違う世界の出なのだろうか。
「うわぁ……」
なので上泉信綱を知っているかどうか。エンパイア住人でないとしてもアース世界な一般教養として知っていてもおかしくはないのだが、外国人だと知らなくても仕方ないか。いずれにせよ知っているいないに関わらず、眼前に立つサムライブレイドを構えた人物がむちゃくちゃ強い事ぐらいはすぐに理解できた。死ぬ死ぬこんなのに斬られたら絶対死ぬ。ヤドリガミなので斬られても本体でなければ大丈夫なのかもしれないが、いや剣聖に斬られたら死にかねないような気がしてきた。それくらいに強烈なプレッシャーだ。
『易者の類か』
そんな動揺しまくっているティモシーを一瞥し、信綱は。
『汝の妄語に邪見、我が剣にて浄化せしめよう』
「う、占いは嘘なんかじゃないですよ!」
占いを道理に合わない見識に基づく虚言だと言われ、普段ポンコツだと言われるティモシーもさすがにちょっとむっときたようだ。だが眼前の敵を果たしてどう対処したものやら。そうこうしているうちに信綱は抜いた刀を鞘に納めた。
『――聴こえるか、衆生の聲が』
「……うっ……」
納刀の音がした瞬間、ティモシーの周囲にそれはそれは恐るべき攻撃が広がった。それはまさに地獄絵図。生者を蝕む屍山血河の群れに、さすがのティモシーも恐怖して我を忘れた。
「うっわぁ!」
思わず後方に飛びのいたのが功を奏した。まさにほんの一瞬の差であった。つい先刻までティモシーがいた所に信綱の致命の一撃が振り下ろされたのである。
『我が初太刀を躱すとは、思いがけぬ達人か、それともただの偶然か』
「……こ、怖!当たったらどうするんですか!」
あまりの恐怖に逆に恐怖を忘れたのか、ティモシーはルーンソードを抜き空中ステップで信綱に接近した。だがその剣筋は信綱からしたら素人そのものであった。やはり先刻のは偶然だったか。判断した信綱は斬り落とそうとするが……平衡感覚が狂わされていたティモシーの体が空中でよろけ、思いもよらぬ形で信綱の剣をかわし、逆に4回命中すると相手を倒せるという一撃を剣聖に入れる事になった。
『……わからぬ、やはり達人だというのか』
「め、目が回る……今日の所はこのあたりで!」
ティモシーはそのまま撤退していき、信綱はその実力を測りかねたままとなってしまい、なんともモヤッとした物を残す結果となったのであった。
成功
🔵🔵🔴
柳・依月(サポート)
俺は柳依月、UDCアースの大学生だ。……だが、実は人間じゃない。妖怪だ。それでも俺は人間が好きで人間と共にある。彼らの日常を守る為、てのが俺の戦う理由になるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、中長距離や支援に回る時などは呪髪糸や禍魂による呪いなんかも使用する。
非戦闘なら情報収集が得意だ。主にネットだが、聞き込みとかもする。【化術】も得意だからな。
以下PL
ギャグ系の状況でもノリはいい方です。
UCは指定した物をどれでも使用し(詠唱ご自由に)、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
●さすがに妖怪退治の逸話はなかったはずだが
UDCアース出身の柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は上泉信綱の名ぐらいは聞いた事はあっただろう。その信綱が敵として眼前にいるというこの状況。しかもだ。
「おいおい、冗談になってないぞこいつは」
それは剣聖として歴史に名を残すほどの武人が敵に回ったというだけではない。よりにもよってその目的が、衆生救済のために死を与える事だというからシャレにならないのである。
「それはちょっと許しちゃあいけないよな」
実は妖怪な依月は人間の事が大好きであった。戦う理由も人々の日常を守るためというものであり、信綱の思想には真っ向から対立するものであった。ならば生前剣聖と呼ばれた程の武人であろうが今はただの邪悪なオブリビオンである。戦わなければならない。
『怪力乱神の類か』
一方、信綱も依月を認めると、サムライブレイドを抜いた。
『存在自体が妄語邪見の類なら只斬り捨てるのみ』
「おいおい、ひどい言われようだな」
先手必勝とばかりに依月は呪髪糸を飛ばした。剣聖様相手に近接戦など挑みたくはない。遠距離から攻撃を仕掛けるのは当然の選択だった。呪いの込められた糸で拘束した後、呪いを流し込む。いかな剣聖とてこれをまともに受ければただでは済まないだろう……と、思われたのだが。
『――斬られる覚悟は在り哉』
信綱は刀を一閃、呪いが込められ相当な強度を誇るはずの呪髪糸はあっさり切断された。そのままの勢いでさらにもう一振りすると、強烈極まりない斬撃が依月を襲う。回避は……できない。そして依月の体が真っ二つに……
「……おい、あの糸を斬るとか、冗談だろ?」
体を両断されながら依月は無事であった。すんでの所でユーベルコード【電子の杜より出でて憑り付くもの】を発動させ、自らの肉体を電子の身体に変換する事で斬撃を受けても無傷でいられたのだ。このあたりは新しい妖怪としの面目躍如といったところであった。
『面妖な技を使う』
驚愕すべき技に対しても剣聖はあくまで冷静であった。そして無表情のまま告げる。
『だが次は斬ってみせよう』
きっとこの剣聖なら風に舞う木の葉や羽毛を斬るのと同様、電子すらも斬る事ができるに違いない。依月にそれを確信させる程の言霊が、この剣聖にはあった。次の攻撃はかわせない。やられる……が。
「……斬れるかな?」
『ぬ?』
体の動きがわずかに重くなっているのを信綱は感じた。そしてすぐに悟った。目の前の妖怪の仕業だと。信綱の初撃から今までのどのタイミングでか、ほんのわずかの隙を突き、依月の呪いがかかっていたのだ。
『……我から一本を奪えた事、光栄に思うが良い』
信綱は退いていった。それを見て依月は深い息をついた。たしかに呪いは決まったがこのまま戦いを続けていたら……いずれにせよ剣聖から一本を取ったのは間違いない。いつか話のネタになるかな。そんな事を思ってみたりもしたのであった。
成功
🔵🔵🔴
鹿村・トーゴ
剣聖と呼ばれたお人だが
骸の海の洗礼か?
死が救いなんて悟りを突き抜け過ぎだねェ…
んーよし
相手は得意の剣で来る
オレも一番得意なヤツで行くが礼儀だな
UC全強化
代償は【激痛耐性】と殺戮衝動を戦意に転化して乗り切る
平衡感覚を乱されちゃ正直ツラいが【野生の勘】と敵の気配【追跡】して対応
地獄絵図の幻に負けちゃ化身忍は務まらねーと自己【催眠術】を仕掛け
迫る敵UC怨霊には自己頭上に【念動力】集約+分割七葉隠でも防壁作り弾き飛ばし直撃回避
【スライディング】ですり抜け
流血負傷に構わず右腕を黒曜石の鉤爪化
そのまま跳ぶように走り羅刹の気性か嬉々として突き裂く一撃挑む
武蔵守どの
この一手アンタに届くか?
いざ、参る
アドリブ可
●救済とは
上泉武蔵守信綱。サムライエンパイアに住む、多少なりとも武に関わっている以上、むろん鹿村・トーゴがその名を知らぬはずはない。その信綱が眼前にいる。しかし。
「剣聖と呼ばれたお人だが、骸の海の洗礼か?死が救いなんて悟りを突き抜け過ぎだねェ……」
少なくとも、その思想はそこらの辻斬りのごとくに人に逢うては人を殺し始めて解脱を得ん、などというものではなかったはずである……あくまで伝承の範囲では、であるが。そのような悪行を行う者を許すわけにはいかないのである。その信綱はトーゴを見て。
『羅刹よ、汝は殺生の罪を負っておるな』
「当たってる」
あっさりとトーゴはそれを認めた。それは肉や魚を食べる事などという生易しいものではない。トーゴの人生に深く影を降ろしているその出来事であった。さすがの信綱とてその詳細まで見極める事はできないだろう、が、少なくともトーゴがなんらかの業を負っている事と見抜いたのはさすが剣聖といったところであろう……だが。
『汝の罪、この刀で濯ぎ清めようぞ』
「……そんな事で救えるもんなんかねえ」
少なくとも、ここで斬られて死ぬ事が罪からの救済にはなるはずがない。トーゴにはその確信があった。罪を償う方法があるならば、それはもっと地道で長い道のりを経て到達する道のはずなのだ……少なくとも今すぐどうこうなる事ではない。それだけは確かな事であった。
『参る』
剣聖が剣を抜く。もっとも得意とする武器だ。ならばトーゴの方針も決まっている。
「オレも一番得意なヤツで行くが礼儀だな」
発動させたユーベルコードは化身忍者の代表的な技【降魔化身法】。我が身に妖怪悪鬼幽鬼を宿し戦闘能力を大幅に上昇させるものだ。だが人ならざる者の助けを借りるからにはトーゴも無事ではすまない。
「……くっ、いつもながらこいつぁきっついんだよな、まあこれも!」
普段からの鍛錬で鍛え上げた激痛への耐性で激烈な反動を耐え、さらに湧き上がる殺戮衝動を眼前の敵にぶつける事で昇華する。かくして剣聖に抗する武器は手に入れた。
『汝の魂、修羅道に堕する道を選ぶか、せめて我が剣を輪廻より解脱する道標とするのみ』
「大きなお世話だね」
次の瞬間、納刀の音とともにトーゴの眼前に地獄絵図の光景が広がった。地獄餓鬼畜生修羅。それらを蝕む屍山血河の光景。トーゴはそれに必死で抗う。
「……こんなのに負けちゃ化身忍は務まらねー」
言葉とともに恐怖を振り払うための自己暗示。さらに恐怖はトーゴの平衡感覚を狂わせにくるが、そんな中でも必死に神経を張り巡らせ、幻を見せる結界の向こう側で必殺の一撃を狙っているであろう信綱の動きの察知を試みていた。そして。
『征伐』
(……来る!)
トーゴの頭上から無数の怨霊が降って来る。信綱が大上段からの唐竹割りを繰り出したのだ。トーゴは愛用の巨大忍者刀【七葉隠】を分離させて防壁とし、さらに降魔化身法の力で強化された念動力を全力で行使して防壁をさらに強化する。これでも耐えきる事ができるか……防壁が怨霊にぶつかる。防いだ、と思った次の瞬間。
「今だ!」
トーゴはスライディングで一気に幻を抜けた。ほんの一瞬前までトーゴがいた所に唐竹割りが降って来る。
『……仕留め損ねたか』
「武蔵守どの、この一手アンタに届くか?」
初太刀を外した事に信綱がなんらかの反応をする前に背後から声。返し刀を繰り出した信綱が見たものは、右腕を黒曜石の鉤爪と化したトーゴであった。致命の攻撃こそ回避したが完全に防ぎきれなかった分のダメージにくわえ、ユーベルコードの副作用でその身は流血おびただしかったが、それでも戦闘民族羅刹の気性か、その顔は強敵と相対する喜びに満ちていた。
「いざ、参る」
『……』
トーゴの鉤爪と信綱の刀は同時に相手を貫いた……ように見えた。
「……悪りいな、万全の状態の武蔵守どのとやりたかったな」
だがトーゴは両の足で立っている。倒れたのは、信綱。
『……誇るが良い、戦場に立つ以上、我は常に万全ぞ』
(……だが我が済度は終わりではない、我は必ず戻って来る……)
「やれやれ」
骸の海に還っていった信綱を見送り、トーゴはつぶやいた。
「今度は万全のあんたとやる備えをしとかなきゃな」
大成功
🔵🔵🔵