●虹の先へ
「我らオウガは、夜明け前に酒を酌み交わす。やがて、昇る日が水平線の向こうから顔を覗かせ……大気に満ちた魔力と朝日が折り重なり、虹の光の橋を彼方へと結ぶのだ」
ことり、と地面に大きな盃を置いて、百獣族『オウガ』の男はその厳つい顔を綻ばせた。
「そうか……それが貴公らの信仰か……」
「がはははは! その虹の橋は海の彼方へと続き、我らの友誼と誓いが永遠であることを示す、というわけだ!」
「百獣族というのは……本当に……」
むぅ、とオウガが眉を顰めた。
崖の壁に背を預けて小さい呼吸を繰り返す目の前の人間は――もはや、延命は不可能だと一目で分かる。
騎士の男に、オウガは盃を差し出した。
「……何か、言い遺すことはあるか」
ぽりぽり、と額を掻いて。焦点の定まらない視線を送る人間の最期の言葉を、待っていた。
「……そう……だな」
ふ、と人間の騎士の口元が微かに緩んだ。
「―――」
小さく呟かれた言葉は、夜明けの微風に乗って掻き消えた。
「――心得た。お主に、虹霓の導きがあらんことを」
事切れた人間をしばしの間じっと見つめた後、オウガは立ち上がる。
夜明けを告げる朝日の光が、二人を照らしていた。
●聖なる決闘
「過去の人間の非道、蘇る百獣族……バハムートキャバリアは、とてつもない大罪を犯した人間たちの祖先が、騎士道を遵守しながらオブリビオンと対峙する世界だよ」
集った猟兵に、アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は新しい世界、バハムートキャバリアの歴史を伝えていく。
「百獣族の憎悪はもっともだけど、だからといって
過去の存在たちに世界を譲るわけにはいかないからね。今回は……」
ぱら、と魔導書をめくったアインは、垣間見た予知の内容を告げていく。
「人類拠点『キャメロット城』に、百獣族のオブリビオンである『オウガ』が突然現れたんだ。しかも、騎士の亡骸を伴ってね。城内の騎士たちは警戒したけど、その亡骸を丁寧に弔って欲しい、とお願いしたらしいんだ」
百獣族は、正々堂々を信念としている。なにかしらの理由があるのかもしれないが……更に、アインは口を開いた。
「それでね、オウガは騎士の一人である『シルヴァ』という人へ、いにしえより伝わる『
聖なる決闘』を求めてきたんだ」
必ずしも1対1の戦いという訳ではなく、互いに全力で正面から雌雄を決する事ができれば人数は問わぬという、正々堂々たる戦いだ。
「オウガは、軍勢で挑むことも否定してなくてね。決闘の場所だけ告げて、そのまま帰っていったんだ。残念だけど、僕の予知だけじゃ、決闘の場所がどこなのかも分からない。だからみんなには、その決闘の代理人として、決闘を申し込まれた騎士に会って説得して欲しいんだ」
聖なる決闘は、本人が出なくても代理を立てれば問題なく行われる。
なぜ、オウガが突然聖なる決闘を申し込んできたのか、決闘の場所はどこなのか、詳しく訊くことができるだろう。
「今、キャメロット城内は亡骸となって戻ってきた騎士である『アイオン』の追悼式を行ってるみたいだから、オウガが何を話していたのか、とかも周囲の騎士たちから訊くこともできると思うよ」
遺体はすでに棺桶に入れられており、騎士たちが黙祷を捧げている。
「最終的に、オウガとの聖なる決闘を制することができれば、この事件は解決だね」
百獣族の思惑を把握するためにも、情報収集は必要だろう。
アインが杖の柄で地面を叩けば、猟兵たちに転移の光が纏わりつく。
転移先は、キャメロット城内、追悼の間。
百獣族『オウガ』が突然決闘を申し込んできた理由、そして、騎士『アイオン』の死。その背景を紐解かなければならない。
「みんな、頼んだよ!」
夕陽
バハムートキャバリアの業が深いですね。
OPをご覧頂きましてありがとうございます。
以下、補足です。
●百獣族『オウガ』
突然キャメロット城に単身で乗り込んできた百獣族です。
キャメロット城の騎士『アイオン』の亡骸を伴い、丁重に弔って欲しいと嘆願してきました。
その後、キャメロット城の騎士『シルヴァ』との
聖なる決闘を要請し、決闘の場所を告げた後に帰っていきました。
●騎士『アイオン』
まだ年若い男性の騎士ですが、遠征中に亡くなったようです。彼の詳しい話は、キャメロット城の騎士たちから訊くことができるでしょう。
●騎士『シルヴァ』
様々な死線をくぐり抜けてきた四十代半ばの騎士です。騎士『アイオン』の死について何かしら思うことがありそうです。
第1章では、百獣族『オウガ』に関する情報を集めます。
グリモア猟兵の予知では聖なる決闘の場所を確認できなかったので、騎士『アイオン』の追悼式に参加している騎士や、聖なる決闘を申し込まれた騎士『シルヴァ』へ決闘の場所を確認する必要があります。
第2章で決闘の場所までの道を歩き、第3章で獣騎に変形した百獣族『オウガ』との戦闘になります。
以上、プレイングお待ちしております。
第1章 日常
『鎮魂の儀式』
|
POW : 舞踊や武芸を奉納する
SPD : 灯火や花を祭壇に捧げる
WIZ : 死者の魂の安寧を祈る
|
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調で話すよ
自分の手で倒したのか、瀕死のところをたまたま見つけたのか
どちらにしても、態々城まで亡骸を運んでくるなんてね
正々堂々を信念としているから…だけでは無い、何かがある様な気がするね
…さて。まずは、死者を弔うとしようか
まずは追悼式に死者を弔う為の【ダンス】を奉納するよ
その後は【コミュ力】を発揮して、騎士達から【情報収集】を行うよ
オウガが城に来た時の様子や亡くなった騎士『アイオン』の人柄等を聞いて回るね
UCは『クローネちゃんの愛用品★』
場の雰囲気に合ったダンス衣装を創造するね
【ダンス】技能を100レベルにするよ
儀水・芽亜
弔いの儀ですね。「礼儀作法」はきちんとしなければなりません。
私ですか? 遍歴の吟遊詩人です。ひとつの
勲しの終わりを見届けに参りました。
まずは一曲、竪琴で「楽器演奏」「歌唱」「祈り」で主に向かいて新しき歌をうたえを披露します。
『アイオン』卿の物語にはまだ続きがあるようですね。
『シルヴァ』卿、
百獣族であるオウガはなぜ彼の方の亡骸をキャメロット城まで運んできたのか、ご存じではありませんか?
そして、
聖なる決闘の舞台は『アイオン』卿の最期に関係するように思うのですが、どうでしょう?
吟遊詩人として、全ての決着を見届けないわけには参りません。お教え願えませんか?
木霊・ウタ
心情
正々堂々とした奴だから
ちょいとやりにくいけど
アインの言う通りだ
過去の化身に
今を生きる命と、それが生み出す未来を
奪わせるわけにはいかないぜ
行動
追悼式に出席
式の讃美歌とか、その後の宴での歌曲に参加
演奏や歌で故人を偲んでもらえると嬉しいぜ
俺もアイオンの、海で静かな眠りを祈らせてもらう
アイオンとシルヴァに因縁があるのは
間違いないよな
式の最中やその後
又は宴の時に
アイオンがどんな騎士だったのか
シルヴァとはどんな関係なのか
そしてオウガはどんな話をしていたのか
決闘の場所は何処か
等々
騎士たちや直接シルヴァ本人へ率直に尋ねる
OK、俺たちも手を貸すぜ
決闘場所へ向かおう
「自分の手で倒したのか、瀕死のところをたまたま見つけたのか。どちらにしても、態々城まで亡骸を運んでくるなんてね」
キャメロット城の通路を歩きながら、クローネ・マックローネ(
闇と
神を従える者・f05148)が呟いた。
陰鬱とした雰囲気が城内に広がっている。
通路を通る騎士の雰囲気からも、骸となって帰ってきた仲間へ複雑な気持ちを持っているようだ。
「正々堂々とした奴みたいだからちょいとやりにくいけど……」
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が頭を掻いて、それでもグリモア猟兵から言われたことはその通り、だ。
結局のところ、すでに百獣族は過去の存在。非道によって虐殺された者たちと言えど、オブリビオンをそのままにしておけば世界の破滅に繋がってしまう。
「過去の化身に今を生きる命と、それが生み出す未来を奪わせるわけにはいかないぜ」
「とはいえ……正々堂々を信念としているから…だけでは無い、何かがある様な気がするね」
「ええ、その通りですね。弔いの儀です、礼儀作法はきちんとしなければなりませんね」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『
夢可有郷』・f35644)はそう言うと、追悼式が行われている部屋へと辿り着き、扉を開ける。
目の前の棺桶は、アイオンの亡骸が。
そして、周囲の椅子には騎士たちが座っている。
突然現れた猟兵たちに、騎士たちは怪訝な表情を浮かべた。
「君たちは……?」
「私ですか? 遍歴の吟遊詩人です。ひとつの勲しの終わりを見届けに参りました」
「俺もアイオンの、海で静かな眠りを祈らせてもらう」
「では、ワタシは舞いを披露させてもらうよ」
竪琴が鳴り響く。清らかな聖歌はユーベルコードの超常を伴って、追悼の間へ響き渡る。
傍らでウタがギターを柔らかにかき鳴らす。
その音色に合わせて、クローネは純白のドレスを身に纏って死者へ舞いを送り始めた。
相反する楽器であるが、その音色と舞いは――その追悼は、間違いなく騎士たちの心に刻み込まれただろう。
しばらく経って。
追悼の間から離れていく騎士たちだが、猟兵たちが情報を収集するべく声をかける。
(アイオンとシルヴァに因縁があるのは間違いないよな)
ウタがそう思案していると、クローネが騎士たちへ口を開く。
「騎士アイオンが城に来た時はどうだったの?」
クローネがそう問えば、騎士たちが顔を見合わせた。
「全身傷だらけだったな。百獣族の『オウガ』が言うには、見つけた時にはすでに満身創痍だったようだ。……まあ、仕方あるまい。なにせ、『
風鳴峡谷』の巡回をしていたようだしな」
「どんな人だったか聞いても良い?」
「そうだな、努力家だったよ。とにかく時間ができたらすぐに訓練してるような、新米騎士さ。いずれシルヴァの力を抜くんじゃないかって期待されてたよ」
おや、と猟兵たちが顔を見合わせた。
「シルヴァとはどんな関係なんだ?」
「それは――」
「私の教え子だ」
後ろからそう声をかけられた。
振り向けば、壮年の騎士が落ち着いた眼差しでこちらを見据えている。
「あんたがシルヴァか?」
「そうだ。アイオンは私の教え子だった」
ふぅ、とシルヴァは悲哀に満ちたため息を一つ吐く。
「アイオン卿の物語にはまだ続きがあるようですね」
それでも、なぜこんなことになっているのかを確認しなければならない。
芽亜が、優しく諭すように声をかけた。
「シルヴァ卿、百獣族であるオウガはなぜ彼の方の亡骸をキャメロット城まで運んできたのか、ご存じではありませんか?」
「……」
もう一度ため息を一つ吐いて、シルヴァは口を開いた。
「……百獣族であるオウガが言うには、アイオンの遺言を聞いたらしい」
「遺言ですか?」
「ああ。『死ぬ前にシルヴァに勝ちたかった』と言ったらしいのだ」
――つまりオウガは、その願いに応えたのだろう。
「オウガは、アイオンの代理人として聖なる決闘を行いたいと言ってきた。……まったく、百獣族というのは本当に度し難い。度し難いが……その願いに応える度量、断るわけにはいかぬよ」
そう言って沈黙したシルヴァに、猟兵たちはさらに問う。
「
聖なる決闘の舞台は『アイオン』卿の最期に関係するように思うのですが、どうでしょう?」
「――
聖なる決闘の舞台は、『風鳴峡谷』だね?」
「……その通りだ。風の精霊たちが棲まうとされる暴風と鎌鼬吹き荒れる巨大な峡谷だ。あの峡谷自体、暴風によって地盤にも多大な影響が出る。おそらく、アイオンは暴風によって峡谷から足を踏み外してしまったのだろう」
百獣族は、そういった危険地帯を好む。強靭な肉体を持つ百獣族にとっては、それほど危険な場所ではないのかもしれないが。
「シルヴァ、俺たちも手を貸すぜ」
「吟遊詩人として、全ての決着を見届けないわけには参りません。アイオン卿の物語を、最後まで見届けさせて下さい」
驚いたように目を瞠ったシルヴァは、渋々ながらも了承した。
聖なる決闘の舞台は、強烈な暴風と身を切り裂く鎌鼬が吹き荒れる『風鳴峡谷』の深奥。
そこに、百獣族『オウガ』はいる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『険しい路を往く』
|
POW : 己の力を信じて突き進む。
SPD : 周囲を警戒しつつ慎重に進む。
WIZ : 気配を探りつつ安全を確保し進む。
|
●風鳴峡谷
猟兵たちが訪れたのは、棘のような崖が周囲にそそり立つ巨大な峡谷だった。
すでに日は暮れており、黄昏が物寂しく峡谷を包みこんでいる。
見渡せば植物はほとんど生えておらず、不毛とも言える大地が眼前に広がっていた。
刹那、峡谷の奥から凄まじい突風が吹き荒れる。
峡谷に沿って唸るように迫る暴風は、物理現象に伴った風か、もしくは風の精霊による洗礼か。
まるで誰かの叫び声のように響き渡る風の音。この峡谷の先で、百獣族『オウガ』が待っている。
猟兵たちは意を決して歩を進める。
峡谷内を吹き荒れる暴風と風の刃をくぐり抜けて、その深奥に辿り着かなければならない。
【追記】
騎士シルヴァも決闘を見届けるために同行していますが、歴戦の騎士のため基本的に猟兵が遭遇する困難に対して彼を補助する必要はありません。
ライオンキャバリアに搭乗し、猟兵の後ろをついていきますのでご安心下さい。
儀水・芽亜
これはすさまじい景色ですね。アイオン卿はこのようなところまで巡検を?
私はナイトメアに「騎乗」して先へ進みましょう。「地形耐性」「足場習熟」で、空隙があるところは「軽業」で跳躍して先へ進みます。
ええ、私はナイトメアを信じていますから。
風を切って進むのは、いつものことです。
衝撃波は「オーラ防御」で「受け流し」ましょう。
シルヴァ卿は
人造竜騎に乗って進まれますか?
オウガはどのような場所で私たちを待ち受けているのでしょう?
ここは完全に敵地。風を利用されたら、苦しい戦いになりますよ。ですが、それで勝利を掴んでこその円卓の騎士というものでしょう。シルヴァ卿の勝利、信じております。
「これはすさまじい景色ですね。アイオン卿はこのようなところまで巡検を?」
「百獣族の痕跡が多く残る場所だ。他の騎士たちも交代で監視しているのだ」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『
夢可有郷』・f35644)の言葉に、ライオンキャバリアに騎乗したシルヴァはそう口を開いた。
眼前は枯れ果てた荒廃の地。
吹き荒ぶ風塵がこちらの侵入を拒むかのように鳴り響いている。
ユーベルコード【ナイトメアライド】によって芽亜の眼前に白影が立ち昇り、実像を結ぶ。
ナイトメアの白馬に騎乗した芽亜に、シルヴァは驚いたように微かに目を見開いた。
「では、いきましょうか」
「……うむ」
襲い来る暴風も、鎌鼬の如き風の刃も全て、ナイトメアの力によって突破する。
強風に立ち向かう嵐のように、風によって抉れた大地をものともしない足取りで。
狼狽えることもなく突き進む芽亜へ、シルヴァが称賛の言葉を送った。
「ええ、私はナイトメアを信じていますから」
刹那、ひときわ強烈な風が迫ってくる。
意志持つような自然現象をしかし、芽亜は周囲に展開したオーラの壁によって遮断し、受け止めるわけでもなく受け流すように断った。
「――オウガはどのような場所で私たちを待ち受けているのでしょう?」
「そうだな……。このような風の中では、私達にとっては不利だろう」
「ここは完全に敵地。風を利用されたら、苦しい戦いになりますよ」
だが、それは百獣族も同じ。
そして、百獣族は正々堂々を信念としている以上、こちらが不利になるような決闘を行うとは思えない。
けれども、騎士と猟兵は
ここにいる。
「ですが、それで勝利を掴んでこその円卓の騎士というものでしょう。シルヴァ卿の勝利、信じております」
たおやかに微笑む芽亜の確信に似た激励に、シルヴァは微かに口元を綻ばせた。
「我らが騎士たる道を、示してみせよう」
ふ、と芽亜が優しく微笑んだ。
風の音は止まず――しかし少しも足取りを緩めることもなく猟兵たちは峡谷を突き進む。
大成功
🔵🔵🔵
ウィズ・ザー
(心地良い…何だ、精霊達が力付けてンな…
故郷じゃ魔力と呼称するが、こっちじゃ精霊力って呼ばれてンのかね。) 改めて周囲を見渡し、精霊力に自身を馴染ませる。喰らう事にも意味はあるが、この濃度は効率が良い。この
"器"を考えれば余計に
(ぁー…居着いてしまいそうになる、が…まァ、今は進まねェとな。今度、
アレを連れて来ても良いかも知れん)
風が泣いていると称しても良さそうな音にのんびりと鎌首もたげ、空へ鼻先向ける
「『安らかに』」
変化開始、空へ浮遊すると同時に形態変化。10m浮上する頃には豹海豹型になり、産み出したコラプサーへ風が呑み込まれていく。盾代わりに悠々と空を進んだ。
峡谷から吹き荒ぶ風を前に、じっ、と前を見つめていた猟兵がいた。
体を打つ風はしかし、ウィズ・ザー(闇蜥蜴・f11239)にとっては草原に吹く風のようだった。
(心地良い…何だ、精霊達が力付けてンな…
故郷じゃ魔力と呼称するが、こっちじゃ精霊力って呼ばれてンのかね)
峡谷には膨大な魔力が満ちている。それが、この風を引き起こしているに違いない。
首を動かして周囲を見渡し、全身に精霊力が満ちていく。
この濃度は、ウィズにとっては効率が良い。
器に満ちる魔力は、それだけでも自らを強くする。
(ぁー…居着いてしまいそうになる、が…まァ、今は進まねェとな。今度、
アレを連れて来ても良いかも知れん)
ぐい、とついてくる騎士の様子を見ながら、ウィズは行動を開始した。
目指すは、峡谷深奥。暴風の中心地、に違いない。
「安らかに」
ウィズのユーベルコードが励起する。ぶわり、と肥大化していく闇が中空に揺蕩い――そうして超常は此処に現出した。
【闇獰】によって、ウィズの姿が黒煙の如き触手を生やした豹海豹型に変化したのだ。
ぶわり、と舞い上がったウィズの周囲に閃くには、全てを飲み込む
闇。
地面よりも、空中の方が風の威力は強くなる。が、コラプサーの圧倒的な引力にとってあらゆる風がそこに引き込まれて消えていく。
「んじゃまァ、決闘の場所へいってみるかねェ」
ヒレを大きく動かして、ウィズは空を征く。
周囲に満ちる精霊力を糧として、闇を自在に変容させながら。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調で話すよ
…今回みたいな事が以後起きない様に手すりや足場等の対策を、と思っていたけど…ここまで風が酷いとはね
この上百獣族の襲撃の可能性も考えると…工事にキャバリアを使ったとしても、危険だろうね
…まあその辺はまた後日に
今回の用事を済ませようか
サイキックキャバリア『
黒御姉』に乗って峡谷を移動するよ
【風を操る】事で峡谷内の暴風の影響を減らすよ
足場の悪さは【操縦/地形耐性/悪路走破】で対応するね
風によるダメージは【硬化/鉄壁/オーラ防御】で対策するよ
UCは『クローネちゃんのキャバリア専用装備★』
【風を操る】技能を100レベルにするよ
暴風の音が鳴り響く峡谷の入口前で、クローネ・マックローネ(
闇と
神を従える者・f05148)が呟く。
「…今回みたいな事が以後起きない様に手すりや足場等の対策を、と思っていたけど…ここまで風が酷いとはね」
風の精霊が棲まう、とはよく言ったもので、増大した風はまるで巨大な防壁のように猟兵たちの動きを阻害してくる。
通常でも、このような危険な領域だ。なのに。
「この上百獣族の襲撃の可能性も考えると…工事にキャバリアを使ったとしても、危険だろうね」
百獣族もまた、この峡谷内を住処としているとなると、騎士たちへの危険度は計り知れないだろう。
ふぅ、と覚悟を決めたように息を吐いて。
「…まあその辺はまた後日に。今回の用事を済ませようか」
クローネが喚び出したのは、専用機――サイキックキャバリア『
黒御姉』だ。
峡谷に足を踏み入れば、反射した風が四方八方から襲いかかってくる。
だが、クローネにとってこの風は手の内にあった。
舞い上がった風が、指向性を伴って外側へと放出される。
風を操り始めたクローネの周囲に煌めく輝きは、ユーベルコード【
クローネちゃんのキャバリア専用装備★】の力だ。
キャバリアの各部位に顕現したのは、巨大なスラスターのような機構。
それが、周囲から吹き荒ぶ風を吸収し、掌握する――!
「風のせいで削れた足場も、ひどいことになっているね」
だが、風を操る力を増大させたクローネにとって、この程度の足場の悪さでは足枷にもならなかった。
足元に絡みついた風は指向性を伴ってその背を押す。
まるで月の重力のように軽やかに前進していくクローネの周囲には、風そのものを遮断する力場が発生していた。
「さあ、目的の場所へ向かおうか」
峡谷の先、そこで百獣族『オウガ』は待ち構えている――。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
百獣族ってのは
馬鹿正直っていうか
額面通りにしか受け取れないって
カンジだぜ
アイオンが自分の力で師匠に勝つことに
意味があるってのに
オウガとシルヴァが戦う事由なんてないけど
聖なる決闘になっちまったから
もう止めることは出来ないんだよな
なんかやるせないけど
まあオブリビオンだ
海へと還してやるぜ
行動
なんてことを思ったり
シルヴァと話しながら
折角だからキャバリアの肩とか掌に乗せてもらって
峡谷を行く
風は嫌いじゃない
ただ吹いているだけだ
それを祝福とするか呪詛とするか
受ける相手が決めるんだ
アイオンの鎮魂の時に弾いた曲や
シルヴァから教えてもらって
この地の民謡や
騎士たちを讃える歌曲
戦いの序曲とかを
ワイルドウィンドで奏で歌う
音は風に乗って広がる
普段よりもUCの効果が高まるかも
風の精霊の加護かもな
UCで更に強化された
ライオンキャバリアの防御力なら
暴風やカマイタチなんて屁でもないだろ
序でに音の反射で
地面の脆いところを感知したら伝えるぜ
さあいよいよ到着だ
アイオンに努力の積み重ね、鍛錬の賜物ってのを
見せてやらないとな
荒れ狂う風の峡谷。
その先で、百獣族は待っている。
百獣族は強者を好むため、こういった試練の如き道のりを要求してくるのは想定内、ではあるが。
「百獣族ってのは馬鹿正直っていうか、額面通りにしか受け取れないってカンジだぜ」
やれやれ、と肩を竦めた木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、少し離れてついてくる老練の騎士『シルヴァ』へ振り向く。
「アイオンが自分の力で師匠に勝つことに意味があるってのに」
シルヴァに勝ちたかった、という遺言によって立ち上がった百獣族『オウガ』の思考には驚かされるばかりだ。
本来ならば、オウガの決闘に挑む理由はない。
「オウガとシルヴァが戦う事由なんてないけど、聖なる決闘になっちまったからもう止めることは出来ないんだよな」
百獣族が申し込んできたのは聖なる決闘だ。逃れうる術はない。
「なんかやるせないけど、まあオブリビオンだ。海へと還してやるぜ」
「……すまないな」
「気にすんなって。んじゃあ、ちょっと失礼するぜ」
シルヴァのライオンキャバリアの肩に乗って、ウタは峡谷をゆく。
頬を撫でる風は、心地よい……などとは言えない。
その身を切り裂くだろう暴風は、いかに猟兵といえども危険なものだ。
ウタのユーベルコードが発動する。
かき鳴らされたメロディーは、【サウンド・オブ・パワー】となってシルヴァのとキャバリアの力を増大させる。
「普段よりも良い音色だ。風の精霊の加護かもな」
風の精霊の住処とはよく言ったものだ。
暴風に流されるかと思ったメロディーは、その力を増大させている。魔力による過反応が起きていることは確かだろう。
音の反射を聞き分けながら、足場の悪い場所をシルヴァへと伝達し、突き進む。
やがて、吹き飛ばされるほどの暴風が鎮静に向かっていることを、ウタは感じるだろう。
「さあいよいよ到着だな」
峡谷に吹いていた風が完全に沈静化した。大きく開いた峡谷の大地、人工的に切り開かれた荒廃の広場で、それは待っていた。
大きな酒坏を地面に置いて、それは立ち上がる。
「……うむ! どうやら来たようだな。結構結構!」
ガハハ、と豪快に笑うのは、百獣族『オウガ』。
「アイオンに努力の積み重ね、鍛錬の賜物ってのを見せてやらないとな」
老練の騎士が、深く頷いた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『獣騎オウガ』
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POW : 鬼神変
自身の【片腕】を【異形巨大】化して攻撃し、ダメージと【強化無効】の状態異常を与える。
SPD : 超速金棒打ち
【獣騎用大金棒】による超音速の【振り回し・振り下ろし・突き】で攻撃し、与えたダメージに応じて対象の装甲を破壊する。
WIZ : 鬼腕砲
【掌に空いた砲口】を向けた対象に、【魔力光弾】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●強者の試練
「まあなに、お主らには到底理解できぬであろう。あの騎士が戦わずして、なんの証明になろうかとな」
夕闇に満ちた広場にて、現れた騎士『シルヴァ』と猟兵たちに、百獣族『オウガ』はそう口を開いた。
うむ、と一つ区切って。
「まず先に言っておくが、我らオウガはお主らの過去の暴虐に対しての怒りはほぼ皆無よ。弱者が淘汰されるのは仕方なきこと。だが……」
『オウガ』の瞳に怒りが宿る。それは、人間たちが歩んだ道のりの中の、唯一の揺らぎを懸念する瞳だ。
「
偽りの神なる柱を立てたことだけは、許せなくてな。信仰なき人間に、拠り所を持たせるためとはいえ……それは我らの信仰を冒涜する愚かな行為」
しかし、と続けて口を開いた。
「あの騎士は最期に、信仰の建前なども口にせずに、自らの力を試したいとだけ言った。強者を尊ぶ我らにとって、それは最も崇高な精神だ」
百獣族『オウガ』の全身が変形する。
より硬く。より強く。四肢は強靭に、両腕は岩を破壊するほどに巨大。
舞い上がった長い髪が、魔力によって青い燐光を放つ。
「空に闇は迫り、やがて彼方より日は昇ろう。この場所は、朝の陽がよく見える」
遥か彼方、峡谷の合間に続く地平線を見通して、獣騎『オウガ』は荒廃の大地を踏みしめた。
「さあ――いざ尋常に勝負。強さを望んだ崇高なる騎士アイオンに、弔いの勝利を捧げてみせようぞ」
儀水・芽亜
恨み辛みはなかれども、紛い物の神を拵えたことには我慢ならぬ、ですか。また随分と潔い。
よいでしょう、“
夢可有郷”儀水芽亜、この
聖なる決闘に挑ませていただきます。朝の虹を見るために。
ナイトメアに「騎乗」し、壁面も使った三次元機動の「軽業」で攻撃を避けながら、アリスランスを叩き込む場所を見定めます。
狙うは、大金棒を持った腕の肘。アリスランスに「呪詛」の「武器に魔法を纏」わせて「部位破壊」「マヒ攻撃」。
これでその腕はもう使い物にはなりませんよ。
当然、反対の手に大金棒を持ち替えて追ってきますよね。
シルヴァ卿、今です! どうか必殺の一撃を!
あいにく私は、ただの前座でして。
「恨み辛みはなかれども、紛い物の神を拵えたことには我慢ならぬ、ですか。また随分と潔い」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『
夢可有郷』・f35644)の言葉を聞いて、オウガがまた豪快にがはは、と笑う。
「ここは
聖なる決闘の場、この言葉に嘘偽りはなしよ! さぁ、来るが良い!」
「よいでしょう、“
夢可有郷”儀水芽亜、この
聖なる決闘に挑ませていただきます。朝の虹を見るために」
瞬間、獣騎となったオウガが跳んだ。
芽亜がユーベルコード【ナイトメアライド】によって喚び寄せた白馬型来訪者『ナイトメア』に騎乗し、その一撃を回避するべく大地を蹴る。
オウガの大金棒が唸りを上げる。
超音速の連続攻撃が、芽亜をナイトメアごと叩き潰さんと凄まじい爆音を響かせた。
ナイトメアが翻る。振り回しを刹那の内に判断してバックステップで回避、続く振り下ろしを身をひねって回避してみせた。
「まだ終わらぬぞ!」
次いで、大金棒の突きが遅い来る。
その判断は、早かった。
身を捩ったその先は岩壁、神速の跳躍と共に壁蹴って回避して見せれば、大金棒による一撃によって崖の壁が一瞬で破砕した。
ぱらぱらと舞い散る砂塵と瓦礫の先、オウガはその瞳を煌々と輝かせている――!
「よもや、我の連撃を避けるとは! ――ムッ!?」
アリスランスを携えて、白馬の上から的確な一撃を叩き込む。
そこは、獣騎の腕――関節部。
呪詛のこもった一撃は、獣騎の一部位を麻痺させる姉弟な呪詛となる。
「これでその腕はもう使い物にはなりませんよ」
「がははははは! 面白い! だが我の腕は一本ではないぞ!」
舞い上がった金棒をもう片方の腕で掴み、再び強靭の一撃を叩き込もうとしたところで、オウガは目を瞠った。
「シルヴァ卿、今です! どうか必殺の一撃を!」
「感謝する!」
合間を縫って突撃してきたシルヴァのライオンキャバリアが、オウガに一撃を叩き込んでみせたのだ。
大きく後退りながら膝をついたオウガは、ちらり、と芽亜を見据えた。
「あいにく私は、ただの前座でして」
「がははははは! これは素晴らしい連携攻撃! 我も負けてはいられぬな!」
どうやら、関節部のマヒが回復したようだ。
その胴体に強烈な一撃をくらったオウガはしかし、その闘争心を緩めてはいない。
大成功
🔵🔵🔵
ウィズ・ザー
アド絡み◎/WIZ 移動して来た豹海豹型のまま対峙
「理解してないのは、お前の方だよ。」
腕と掌の角度から弾道を予測。今の姿とスピードに耐える反射神経で接近、宙を泳ぐ空中戦
「…弟子は師を越える事で師への感謝に代える。剣技であれば剣技で以て、貴方の教えで自分はここまで強くなったと体現し、証明することが出来るからだ。」
闇獰+刻爪刃の属性攻撃。纏った黒霧は、実は触手
体術は触手でいなし、避けきれない弾は切る
着弾や掠った場所は黒霧状に蒸発
「未練へ寄り添い慰める事を鎮魂とするなら、お前の主張は弔いには遠い。『師を越える存在に殺されるなら負けても仕方ない』なんざ、諦観でしか無ェンだよ。お前の自己満足には使わせない。」
シルヴァの邪魔はさせない
「力及ばず道半ばで倒れた子への其れが、俺の弔いだ。」
影そのものをコラプサーへ変換。呑み込む
戦後シルヴァへ
「アイオンの分まで、次の奴を導いてやってくれ。」
もう祈る事も無いだろうと思っていたけど祈らずにはいられなかった。
その命、糧と成れ。
木霊・ウタ
心情
確かに判んないぜ
これが百獣族の
オブリビオンの理屈なんだな
最期の時まで目標に近づきたいと願った
騎士の想いに応えるためにも
俺たちが勝つ
アイオンに勝利を捧げるのは俺たちだ
戦闘
炎を纏う鬼神の如き姿に変身
シルヴァと共闘
獄炎纏う焔摩天を振るう
斬撃の度に獣騎を炙る
例え大剣を防いでも熱と炎が機構に影響を与える
少しずつオーバーヒートさせて
最高出力や稼動限界時間を地味に削る
巨大腕は厄介だ
変身が解除されちまうかも?
大剣で受け流したり
爆炎の勢いで回避したり
ライオンに庇ってもらう
サンキュ、シルヴァ
ピンチの後にチャンスがある
歪な巨大腕を思い切り振るえば
そしてその攻撃をいなされればバランスを崩す
ほんの一瞬だろうけど
俺とシルヴァにはそれで十分だ
切り返した大剣で
シルヴァと呼吸を合わせて
オウガを十字に斬り裂く
その損傷から炎が内部を奔り爆発させる
事後
ギターでオウガへ鎮魂曲を捧げる
正々堂々として格好良かったぜ
海で安らかに
シルヴァ、アイオンの墓前でいい報告が出来るな
研鑽の積み重ねの勝利だってな
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ連携歓迎
加勢に来たぜ、騎士シルヴァ。
ジェラルディン・ホワイトストーンだ。
アイオンとの縁も、オウガの心情も知らずに駆け付けたばかりだが……。
尋常な勝負に力添えさせてもらうぜ!
俺は『メルセデス』に騎乗した状態で、空中から魔術行使で援護しよう。
ライトニングショットや、一般的魔法攻撃でオウガを攻める。
鬼腕砲は、命中率が高くて避け難いならスピリットアーマーで堪えよう。
そして、UCも発動だ。
協力してくれ、風鳴峡谷に在る妖精たち。
アイオンの想い、オウガの献身、シルヴァの覚悟!
それらに悔いが残らないように、全力を出せるように!
あいつらを応援をしてやってくれ!
やがて朝焼けに向かう峡谷の中に、遅れてきた影が立つ。
「加勢に来たぜ、騎士シルヴァ。ジェラルディン・ホワイトストーンだ」
騎士シルヴァの前に立って、タイタニアキャバリア『メルセデス』に搭乗したジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)が声をかける。
「アイオンとの縁も、オウガの心情も知らずに駆け付けたばかりだが……。尋常な勝負に力添えさせてもらうぜ!」
「……そうか。すまない」
短くきって、ライオンキャバリアに搭乗したシルヴァは獣騎『オウガ』の前へ立った。
「うむ、さらなる決闘の幕開けよな! 良い、この戦いは師と弟子の戦いよ!」
新たな決闘者の登場にしかし、オウガは豪快に笑った。
「確かに判んないぜ。これが百獣族のオブリビオンの理屈なんだな」
「そうだとも。なに、答えは簡単だ。勝つか負けるか、我らの言葉はそれだけで十分だろう?」
ぐっ、と木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が拳を握る。
「最期の時まで目標に近づきたいと願った。騎士の想いに応えるためにも、俺たちが勝つ。アイオンに勝利を捧げるのは俺たちだ」
「ほう、言うではないか!」
再び豪快に笑った後――ちらり、とそちらを見た。
「分かっておる。我の信仰に言いたいことがあるのだろう」
ゆらり、と中空を飛びながら、ウィズ・ザー(闇蜥蜴・f11239)は百獣族『オウガ』の意義を制した。
「理解してないのは、お前の方だよ。…弟子は師を越える事で師への感謝に代える。剣技であれば剣技で以て、貴方の教えで自分はここまで強くなったと体現し、証明することが出来るからだ」
それが、正しい追悼だと。百獣族にとっての弔いは、正しいものではないと。
「未練へ寄り添い慰める事を鎮魂とするなら、お前の主張は弔いには遠い。『師を越える存在に殺されるなら負けても仕方ない』なんざ、諦観でしか無ェンだよ。お前の自己満足には使わせない」
「ほう、言うではないか。……ふむ、そうだな。或いはそうかもしれぬ」
猟兵の言葉に、巨大な片腕で顎を擦った。
「だが、その勘違いだけは否定させてもらおう。――我は
師に負けるためにここにいるのではないぞ」
大金棒を構えて、迫り来るウィズの暗黒の双牙を受け止めた。
「あの騎士は、師に挑むための機会さえも得られなかったのだ。無論、我があの騎士そのものになることは不可能――しかし、この一度きりでも、かの騎士に場を譲っても良かろうて」
掲げた片腕から、魔力光弾が発射される。
【闇獰】によって黒煙の如き形となっているウィズに放たれた光弾が炸裂――だが、その光弾は虚無という闇に飲まれて掻き消える。
空へと飛び立っていたジェラルディンに向かって放たれる光弾は、極光の如き眩さだ。
その精度は言わずもがなであるが、オーラ装甲の『竜騎用スピリットアーマー』がその威力を減衰した。が、やはりユーベルコード、その威力はジェラルディンの飛行を妨害するには痛烈な一撃となったようだ。
ぐらり、と揺らいだジェラルディンは、その瞳をユーベルコードに煌めかせる。
「協力してくれ、妖精たち!」
ジェラルディンのユーベルコードが解き放たれた。
現れるのは、小さな妖精――この風鳴峡谷に棲まう風の精霊たちの群れだった。
「協力してくれ、風鳴峡谷に在る妖精たち。アイオンの想い、オウガの献身、シルヴァの覚悟! それらに悔いが残らないように、全力を出せるように! あいつらを応援をしてやってくれ!」
途端に周囲を廻った精霊たちは、その風の力を遺憾なく発揮した。
「むぅ……!」
オウガの動きが向かい風の暴風によって鈍くなる。
それを見逃さなかったウィズが、虚無を肥大化させた。
「力及ばず道半ばで倒れた子への其れが、俺の弔いだ」
コラプサーが収束、オウガの瞳が煌々と輝き、暴風をいなすように飛び退いたが、肩が虚無によって抉られた。
「ぐぬ……!」
「いくぜ、シルヴァ!」
小さく頷いたシルヴァのキャバリアが、ウタと共に広場を駆ける。
「否、このまま好き勝手にはさせぬよッ!」
異形化された片腕、その大金棒が唸りを上げた。激烈な一撃はウタとシルヴァを叩き飛ばすはず、だった。
風の精霊によって飛行を持ち直したジェラルディンから放たれた
一筋の光芒、そして続けて放たれたコラプサーが、オウガの一撃を遅延させた。
ウタの瞳に炎が満ちる。
ユーベルコード【焔摩天
P】によって地獄の炎に包まれる。焔摩天の化身と化したウタの一撃と、シルヴァのキャバリアの一撃が交錯する!
爆ぜた十字がオウガを灼き――やがて百獣族は全身を燻らせながら膝をついたのだった。
「むぅ……どうやら、我の敗北のようだ、な」
ぎちり、と頭を揺らして、オウガは猟兵とシルヴァへ視線を向ける。
「好い。少なくとも、かの騎士に決闘の場は与えられただろう」
装甲を崩しながら、オウガが霞となって消えていく。その後ろから、日の出が明るく照らした。
「騎士シルヴァ、よ……どうだ――」
躯の海となって還っていくオウガの縦に伸びる影が――まるで、騎士鎧かのように変質する。
「
あの騎士は……強かったであろう?」
まるで別の人物の投影かのように変質した影はすぐに形を取り戻し、オウガの消失を静寂の中映し出していた。
「シルヴァ、アイオンの墓前でいい報告が出来るな。研鑽の積み重ねの勝利だってな」
「アイオンの分まで、次の奴を導いてやってくれ」
アイオンの死が、無駄であってはならない。師が紡ぐべき責任は、まだ、ある。
もちろんだ、と小さく呟いた騎士は、彼方より続く日の輝きを――魔力と感応して眩く輝く虹の道を、じっと見つめていたのだった。
大成功
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