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櫻大戰のあとしまつ〜帰巣本能〜

#アルダワ魔法学園 #妖狐七星将『貪狼』


 帝都櫻大戰の折、山本五郎左衛門の要請を受けたキャンピーくんによって世界各地の有力者達が異世界に送り込まれ、猟兵達と共闘した。
 しかし五郎左衛門の言葉足らずが原因か、キャンピーくんの気まぐれか、戦争が終わった後に有力者達の元へ迎えがくる気配はなく……それぞれ送り込まれた世界に置き去りにされることになってしまっめいた。
「大魔王が封印されていたファーストダンジョン最深部の更に奥には未発見のダンジョン領域が複数あり、その奥地には『1回だけ世界移動を可能にする太古のガジェット』が隠されている、と聞いたのだけど」
 アルダワに送り込まれた、シルバーレイン・妖狐七星将「貪狼」は、近況を聞きに来たルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)へそう切り出した。
「他のところだとのんびり観光してから帰ろうとしている方もいらっしゃいますが……」
「何を悠長なことを言ってるの?」
 人手不足で手が回っていないことを遠回しに伝えると貪狼は身を乗り出して睨みつける。
「廉貞様も破軍も別の世界に出払ってしまっている今、巨門のブレーキをかけられる者は誰もいないのよ? このまま放置していれば貴方達も大変なことに巻き込まれるわよ」
 その主張をまたまた考えすぎですよ、と笑い飛ばせるほどの度胸と根拠は、ルウにはなかった。

「……というわけで、妖狐七星将屈指のトラブルメーカーの鬱憤が爆発して暴走する未来を防ぐため、太古のガジェットの探索をしていただきます」
 痕跡も残さずどこかへ姿を消してしまったキャンピーくんを世界中駆け巡って見つけ出して頼ることはあまり現実的ではないし、そもそも貪狼自身に異世界へ渡る力がない。
 今は噂の真偽は問わず、手当たり次第に当たるしかない……と貪狼は明らかに焦っている、とルウは語る。その要因は大陸妖狐の名誉のために伏せられた。
「いくら難攻不落の貪狼さんといえども、アルダワの地下迷宮にある罠を全て跳ね返せる保証はありません。そこら辺は我々がカバーする、といった感じで」
 万が一貪狼が聞きつけた噂がデマだったとしてもアルダワの地下に広がる迷宮のうちの1つを無力化することが出来るので、全くの無駄足ということにはならないだろう、とルウは高を括っていた。
「それでは皆様、久々にアルダワの迷宮攻略と洒落込みましょう!」


平岡祐樹
 大変お待たせしました。援軍護送部隊アルダワ班、始動。
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 第1章では貪狼と共にダンジョンを探索し、未発見領域に繋がる入口を探していただきます。
 入口は複雑な魔法術式や蒸気機械によって封印されており、これを解除・破壊することで先へ進むことができます。
 また明らかに奥にも空間がありそうな壁とか床とかを見つけ出して貪狼氏にドリルガントレットで掘り進んでもらう……という解決法も通用します。
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第1章 冒険 『蒸気通路』

POW   :    水蒸気の高熱に耐えながら進む

SPD   :    巧みに水蒸気を避けながら進む

WIZ   :    噴出の法則性を見つけ出す

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佐藤・和鏡子
先の戦争で協力して頂いたおかげで無事勝利できましたから、今度は私たちが元の世界に帰れるように協力する番ですから。
貪狼さんを救急車の助手席に乗せて迷宮に入ります。
生身なら開けるのに一苦労の迷宮の入り口も救急車で突っ込めば簡単に開きますから。
具体的には轢殺のユーベルコードに運転の技能でさらに加速、重量攻撃と吹き飛ばしの技能でさらに威力を高めます。
迷宮に入ったら運転技術を駆使してゴールまで救急車を飛ばします。
歩きだと時間がかかりますが車ならすぐですから。



 ファーストダンジョンの中腹、蒸気が至る所から噴き出している区画にサイレンの音がけたたましく響き渡る。
「すまないね、わざわざ車を出してもらえるなんて」
「いえいえ。先の戦争で協力して頂いたおかげで無事勝利できましたから、今度は私たちが元の世界に帰れるように協力する番ですから」
 助手席に座る貪狼から礼を言われた佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は柔かに答えながらワイパーを動かす。
 だがどれだけ拭いてもずっと吹き掛かってくる蒸気によってフロントガラスがすぐに曇ってしまった。またその熱気によって車体も多少の熱を帯び始めているが運転席にはエアコンによる冷房が常にかかり、熱中症予防のための水分や塩分を摂取するための食品が完備されていた。
「歩きだと時間がかかりますが車ならすぐですから」
 それに生身なら開けるのに一苦労な迷宮の入り口も救急車で突っ込めば簡単に開く。フロントパーツはちょっとだけ凹むだろうが、そんなことは今更である。
『救急車通過します!!』
 天井に吊り下げられたマイクに向かって声をかける。だが全速力の救急車を咄嗟に避けられるほどの俊敏さをここに住まう災魔全てが有しているわけがなく、逃げ遅れた者は容赦なく轢き飛ばされた。
「ちょっと、今、明らかに、何か轢いたわよ!?」
「大丈夫です、人ではありませんでしたから」
 医療従事者とは思えない言葉を吐きながら救急車は重い火傷と複雑骨折を負って痙攣するコボルトの横を何事もなかったかのように通過していく。
「それにエアバッグが飛び出てこない程度の障害物でしたから。避ける必要はありません」
 和鏡子の説明に貪狼は言葉を失い、深いため息と共に頭を抱えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亞東・霧亥
宙界は紫と黒のみ起動。
光源は不使用、暗闇の中で常に黒が音響弾を使用、反響で内部の構造を把握。
闇に紛れて災魔を解体。

周りが静かになれば熟達した罠使いとして罠を解体し・・・と思った矢先にアナウンスと甲高いエンジン音。

「うわぁ。。」

救急車の行先は落とし穴もあれば、平坦な道筋でも無い、恐らく分岐だって数知れずだ。

【UC】
天井付近の紫と視界を共有、落ち物パズルの如く、穴を塞ぎ段差を埋めるために天井を削る。

弾道計算しスナイパーと音響弾で探れる分の分岐に対し、床に正しい道を示す永遠に緑に光る矢印を残す。
これは、後々来る猟兵の助けになるはず。

「何アレ。馬鹿なの?死ぬの?」
爆走救急車に深い溜息。

*何でも◎



 黒色のドローンが暗闇の中を駆け、音響弾を小さな体から放つ。
 炸裂することで起きる反響によって探れる分の分岐に対し、亞東・霧亥(峻刻・f05789)は元の弾道から計算し床に正しい道を示す永遠に緑に光る矢印を残していった。これは、後々来る猟兵の助けになるはずだ。
 さらにその道中に蠢く災魔の位置を把握した霧亥は音もなく柄に手をかけると、空間ごと斬り捨てる居合術で解体した。
「機械人形か」
 倒れた時に生じた甲高い音で相手が生モノでないことを察した霧亥は切り捨てたばかりの災魔の体を拾い上げる。
 そして切断によって生じた断面を指で探り当てると削って尖らせ、近くにあった蒸気が噴き出す穴に突っ込んで塞いだ。ここで軽くて小さい石を詰めたら次の噴出の時にまるで弾丸のように飛び出してきてしまうが、これだけ長く重い物ならばそうそう抜けることはないだろう。
 さらに天井付近を飛ぶ紫と視界を共有することで落ち物パズルの如く、足元の段差を埋めるために天井にある土を削る。それによって蒸気を運ぶためのパイプが露わになるが、無闇に傷つけない限りは突然何百度もの高温の白煙を喰らうことはないだろう。
 蒸気の音も自分以外の足音もせず周りが完全に静かになったところで、霧亥が熟達した罠使いとして迷宮のあちこちにある罠を解体するか……と思った矢先にアナウンスと甲高いエンジン音が奥の方から聞こえてくる。振り返ってみれば2つのフロントライトが煌々とこちらを照らしていた。
「うわぁ……」
 この先にはまだ落とし穴に限らず様々な罠が残っているし、平坦な道筋でも無い。恐らく分岐だって数知れずだ。
 だが自分達が迷ったりクラッシュしたりする可能性を全く考えてないのか、その直線的な動きには一切の躊躇が感じ取れなかった。
「何アレ。馬鹿なの? 死ぬの?」
 自分の目の前を物凄い勢いで通過していった怖いもの知らずの爆走救急車を見送った霧亥は思わず深い溜め息を吐いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆SPD、アドリブ絡み歓迎

貪狼さんとは初対面ですね
銀雨世界も自勢力が学校だったと聞きますが
やはり聞く限り状況は大分違うようで…

ともあれ蒸気機械の迷宮だそうですので
それなり技能Lv100の錬金術士として助力しましょう
あ、勿論アルダワ系魔術/技術の学習も兼ねていますよ?

UC【双銀の輪転】にて〈錬金術〉系独自技能〈対歯車〉を活性化
短杖〔ALF〕を振るい、魔術式も蒸気機構も解析/掌握
原則智慧を取り込みつつ物理的に必要なら解体もしましょう

水蒸気を物理的に潰せそうなら貪狼さんの力もお借りします
〈通常攻撃無効〉なのは私だけですし…ですが凄い破壊力ですね

ドロップ品等は〈魔術知識/応用力〉で解析を試みます



「貪狼さんとは初対面ですね。銀雨世界シルバーレインも自勢力が学校だったと聞きますが、やはり聞く限り状況は大分違うようで……」
 玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)は銀誓館学園や大陸妖狐との関係などが記された書類を思い返しながら同行している猟兵と世間話を交わす。
「ともあれ蒸気機械の迷宮だそうですのでそれなり・・・・の錬金術士として助力しましょう。あ、勿論アルダワ系魔術・技術の学習も兼ねていますよ?」
 すると救急車から右腕にドリルガントレットを装着した貪狼が降りてきた。その視線の先には底が一切見えない水路が広がっていた。
 浅ければ無理矢理踏破出来るが、底無しなら救急車諸共沈んで溺死してしまう。とりあえず、周りの壁を壊して迂回路を作ろうかと考えていた貪狼をレンは制した。
「ちょっと私に見させてもらってもよろしいですか?」
「え、ええ……」
 レンは【双銀の輪転】を作動し、錬金術系独自技能〈対歯車〉を活性化させる。そして短杖〔ALF〕を振るい、迷宮内に蔓延る魔術式も蒸気機構もまとめて解析し、掌握していった。
「なるほど、冷却魔法の術式を道全体に記すことで噴きかけられる蒸気を全て水に変換して溜め込んでいるのですね……」
「どう? そっちを解体した方が速い?」
 アルダワの智慧を取り込み、感心するレンに貪狼が問いかける。
「……水を抜いても蒸気の噴出を止めて術式を解く必要があるので、壁を貫くより時間はかかります。ですが『急がば回れ』とも言いますから」
「何が出てくるか分からない壁を壊す方がリスキーということね。でも」
 貪狼は岩壁の前に立つと息を吐き、ドリルガントレットを起動させる。
「私にとっては、あいつを1人で放置している方がよっぽどリスキーなのよ」
 そして豪快にドリルを壁へ打ち込むと隙間から大量の蒸気が噴き出し、レンと貪狼を飲み込んだ。だが岩壁を削る音は絶えない。
 そして蒸気が薄れた頃には救急車一台が余裕で通り抜けられる大きさの穴が出来上がっていた。
「……凄い破壊力ですね」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
 通常攻撃を無効化する体質を持っているレンは当然だが、彼女よりも近くにいたはずの貪狼も火傷を一切負わずに平然と戻ってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

このダンジョンにはかつて大魔王さんがいたとかなんとか!
いかにもワルな雰囲気があってよろしゅうございますねー!

おっと!いけません!ワルさに感動するのはガジェットを見つけてからですね!
でもどうやって探すか…ひらめきました!
罠に詳しいプロの方をたくさん用意すればきっと道が拓けるはず!
というわけで…

穢れの澱より出でし憐れなる傀儡どもよ!冷たき意思に従いて現世を蹂躙せしめよ!
【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】!

さぁ私そっくりのミリタリーな皆さん!軍人さんなら罠にだって詳しいはず!
後はよろしくお願いしますね!



「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 いつも通り元気良く、ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は自己紹介から始める。
「このダンジョンにはかつて大魔王さんがいたとかなんとか! いかにもワルな雰囲気があってよろしゅうございますねー!」
 そしてその勢いのままマシンガントークを繰り広げ、貪狼が目を白黒させていることに気づくと自分の頭を軽く小突いた。
「……おっと! いけません! ワルさに感動するのはガジェットを見つけてからですね!」
 しかしここはダンジョンメーカーが安置されている場所よりも奥の地帯。当然地図も手がかりもない。
「でもどうやって探すか……ひらめきました! 罠に詳しいプロの方をたくさん用意すればきっと道が拓けるはず! というわけで……」
 悩んだというにはあまりにも短すぎる即決を経て、ダーティは魔法陣を展開する。
「『穢れの澱より出でし憐れなる傀儡どもよ! 冷たき意思に従いて現世を蹂躙せしめよ!』【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】!」
 口上を読み上げれば魔法陣が赤紫色に輝き出し、水蒸気とは別種の煙を吐き出す。するとそこからダーティに瓜二つな、迷彩服を着た悪魔達が現れた。
「さぁ私そっくりのミリタリーな皆さん! 軍人さんなら罠にだって詳しいはず! 後はよろしくお願いしますね!」
「ブービートラップには詳しいですけど! ダンジョンのトラップなんて知らないですよ!」
「大丈夫です! 私達悪魔は頑丈ですから! もしトラップに引っかかったとしてもサウナのロウリュを受けるのと同じです!」
「そこまでサウナ好きじゃないんですが……まあ、死ぬことないなら人海戦術で壊せばいいか」
「え、サウナいいじゃないですか! 外気浴で整った後キンキンに冷えたオロポは最高ですよ!」
 思い思いに言い合いながら悪魔達は迷宮の奥へ進んでいく。
「しばらくすれば蒸気でフロントガラスが曇ってクラッシュする可能性は皆無になるでしょう! それまでのんびり私に注目しててください!」
 そう言ってダーティは胸を張る。ひたすら置いてけぼりを喰らっていた貪狼はぎこちなく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『宝石騎士』

POW   :    剣術
【近接斬撃武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    召喚術
自身の身長の2倍の【宝石の巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
WIZ   :    射撃術
【指先】を向けた対象に、【宝石からの光】でダメージを与える。命中率が高い。
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 噂のガジェットを求めて進行する猟兵達の前に、宝石の体を持ったミレナリィドールや巨人が現れる。
 発声器官を持っていないにも関わらず、それらからは侵入者に対する殺意が溢れ出ていた。
「綺麗だけど見惚れている暇はないの。退く気がないなら粉々に砕かせてもらうわ」
 だがこちらも引くわけにはいかない。故郷への帰還を果たすため、貪狼はドリルガントレットを勢い良く回し始めた。
亞東・霧亥
おお!高純度の宝石!あんなの中々御目にかかれない!
是非持ち帰って魔術の媒体に・・・ドリル?粉々!?

「貪狼!掌大の宝石は無傷で手に入れたい。換金目的じゃない。兎に角、必要なんだ。粉微塵は勘弁してくれ!おい、俺の、俺の話を聞けー!」

【UC】
粉砕される前にキリトリするしかねぇ!
*撃破よりキリトリを優先します。数秒後に粉々になるだろうし。

多分、複数種類の掌大の宝石を手に入れた?
「表面の細かい傷は研磨で何とかなるか。なあ貪狼、アンタ、猪に改名する気は無いか?」



「おお! 高純度の宝石! あんなの中々御目にかかれない! 是非持ち帰って魔術の媒体に……」
 霧亥はミレナリィドールや巨人の体から溢れ出る魔力に目を輝かせていた。
 対照的に邪魔者だと断ずる貪狼にはそのエネルギーの奔流が見えていないらしい。
「綺麗だけど見惚れている暇はないの。退く気がないなら粉々に砕かせてもらうわ」
「ドリル? 粉々!?」
 ガントレットの先についたドリルが勢いよく回り出す音と発言に霧亥は顔色を変えた。
「貪狼! 掌大の宝石は無傷で手に入れたい」
「何? この期に及んでお金稼ぎでもする気なら」
「換金目的じゃない。兎に角、必要なんだ。粉微塵は勘弁してくれ!」
 もし宝石剣士達が肉薄していたら今頃粉々になっていただろう。しかしまだ互いに出方を伺っている段階かつ、鬼気迫る霧亥の様子に貧狼は怪訝な表情を浮かべながらも肩の力を抜いてくれた。
 だがだからといって呑気に一体一体狩っていればタイムアップで即座に攻撃に移ることだろう。
「粉砕される前にキリトリするしかねぇ!」
 霧亥は瞳を赤く煌めかせ、空間ごと斬り捨てる居合術によって剣士も巨人もまとめて分断する。
 バラバラになったことで災魔は受け身を取ることが出来ず、同時に落ちた他の部位や床にぶつかって次々と割れていき輝きを失っていく。
 だがそもそもの試行回数が多かった故に最小限の傷に留まった上に形を保ったまま落ちた掌大の宝石が複数個採取することが出来た。
 拾い上げて表面についた砂埃を払った霧亥は手の中で細かく揺れる宝石をまじまじと観察した後、何度か頷く。
「表面の細かい傷は研磨で何とかなるか。……なあ貪狼、アンタ、猪に改名する気は無いか?」
「はぁ?」
 こちらが譲歩したにも関わらず、不躾な物言いをする霧亥に貧狼の機嫌は急降下した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

え?知ってる?覚えてくださってありがとうございます!
これでもう貴女の記憶に私の顔と声が刻まれましたね!

それってつまり常時私に視線をくれているのと同義と思いませんか!?
貴女がいれば私は強くなれるってなんだかエモくないですか!?

それはそうとキラキラ輝く兵隊さんは私の目立つ機会を奪っているので
排除しましょう!彼らは私にとって極悪非道!つまり乗り越えるべき悪!

私より目立つワルは須く滅ぶべし!

一気に鏖殺です!

恐れ慄け!泣き叫べ!終焉告げる花よ咲け!
【酷悪!濁穢花蕾狂咲】



「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
「知ってるわよ……」
 耳元で叫んでいるのかと誤認してしまうほどの大音量の演説に不機嫌な貪狼が吐き捨てるように呟く。するとダーティは目を輝かせながら息継ぎ知らずのマシンガントークを開始した。
「え? 知ってる? 覚えてくださってありがとうございます! これでもう貴女の記憶に私の顔と声が刻まれましたね! それってつまり常時私に視線をくれているのと同義と思いませんか!? 貴女がいれば私は強くなれるってなんだかエモくないですか!?」
「そうね」
 変に否定すれば長くなりそうだと判断した貪狼が適当に相槌を打つとダーティはガッツポーズをした後、先程の不可視の斬撃を喰らわなかった剣士と巨人に視線を移した。
「それはそうとキラキラ輝く兵隊さんは私の目立つ機会を奪っているので排除しましょう! 彼らは私にとって極悪非道! つまり乗り越えるべき悪! 私より目立つワルは須く滅ぶべし! 一気に鏖殺です!」
 十分集め切ったのか、止めに入る声はもう聞こえない。
「『恐れ慄け!泣き叫べ!終焉告げる花よ咲け!』【酷悪!濁穢花蕾狂咲】!」
 この迷宮に入っている間、ダーティに向けられた視線に含まれたエネルギーを変換したオーラが赤紫色の矢印を模って顕現する。
 そしてそれらは勢いよく放たれると剣士にも巨人にも突き刺さって近くの壁や床に磔にした。
「貧狼さん! 溜め込んだ鬱憤、ここで晴らしちゃってください!」
 ハリネズミにして粉砕することも出来るが、自分を見る視線に棘を感じたダーティはトドメをさす権利を譲渡する。
 一瞬真顔になった貧狼は不敵な笑みを浮かべると、ダーティのお言葉に甘えて周囲の壁ごと災魔達を粉々に消し飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐藤・和鏡子
貪狼さんをはじめに接近戦タイプの方が多いようですし、敵も接近戦タイプなので、停止のユーベルコードを使って敵の動きを止めて他の方たちが攻撃しやすくなるように援護に回ります。
具体的には全速力の救急車(超加速した武器)で敵目掛けて突っ込んで跳ね飛ばします。
敵の斬撃は救急車の車体で防いでそのまま跳ね飛ばします。
救急車は攻防一体の武器。
防御から反撃までスムーズに繋げられるのが強みですから。
敵の集まっている所を狙ったり跳ね飛ばした相手をビリアードの玉のように他の敵にぶつけるなど出来るだけ多くの敵を巻き込むようにします。



「貪狼さんをはじめに接近戦タイプの方が多いようですし、敵も接近戦タイプなので、【停止ピットマニューバ】を使って敵の動きを止めて他の方たちが攻撃しやすくなるように援護に回りましょう」
 立ち回りの方針を固めた和鏡子は救急車のアクセルを踏み込むと、貪狼の方を向いていた剣士を後ろから次々と跳ね飛ばした。
 硬い金属のフレームにぶつかられた宝石製の体は粉々に砕け散って周囲の床や壁に礫となって叩きつけられる。
「救急車は攻防一体の武器。防御から反撃までスムーズに繋げられるのが強みですから」
 和鏡子は災魔が多く集まっている所を狙ったり、跳ね飛ばした相手が来ていた武具をビリアードの玉のように他の敵にぶつけたりなど、出来るだけ多くの敵を巻き込むようにハンドルを回す。
 堂々と敵陣に突っ込んでくる救急車に対し、剣士の何体かは軽やかにステップを踏むことで避けつつ剣で斬りかかろうとする。
 細身の剣はどれだけ硬かろうと触れた物を絶対に切断する切れ味を誇る魔法の刀身を持つ。正面からぶつかりさえしなければ、救急車のタイヤを切ってパンクさせるなりエンジンに穴を開けて爆発させるなりドライバーを貫くなりいくらでも逆転の一手を打つことが出来る。
 しかしその動きに気づいた和鏡子は意図的にリアタイヤを滑らせ、スピンをしないように曲がる方向とは逆方向にハンドルを切ることでドリフトし、上段から振り下ろそうとしていた剣士達を側面から薙ぎ払った。
 減速したことで威力が落ち、巻き込まれた剣士達の体は砕けない。だがぶつかった衝撃で動けなくなったところに貧狼が放った螺旋状の気の奔流が叩き込まれて潰された。
「流石は妖狐七星将、と言ったところでしょうか。お見事です」
 足止めから間髪入れずの一撃に思わず感嘆の声が漏れる。ただ金属のフレームに阻まれたことでその感想が貧狼の耳に届くことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆SPD、アドリブ絡み歓迎

数に物を言わせたところで無駄ですよ
儀式魔術系ユーベルコード【嵐神の軍勢】を起動


閉所たる迷宮ですが、この竜巻は賢い猟犬ですからね
貪狼さん/友軍猟兵をきっちり避けて吹き荒れながら
雑兵は強化〈斬撃波〉で粉々に引き裂いていきますよ

それらしきガジェット類についても『架空絶対域』に都度収容
『うっかり』はありませんので戦後に中身をチェックしましょう

巨人は〈魔術知識/魔力増強/戦闘演算/応用力〉を以て
挙動を調整した暴風で鈍重な身動きを阻害しつつ
数多の『翼騎狼』による突撃でコアを剥き出しにさせます

いいですね貪狼さん、今の内に撃ち抜いてしまいましょう!
後は目的のガジェットさえ見つかれば…



「数に物を言わせたところで無駄ですよ。『殺戮の悪魔Glasya-Labolasよ。望む惨禍を神風にて阻みます!』」
 レンがそう呟けばあちこちから噴き出す蒸気を巻き込みながら竜巻が発生する。
「閉所たる迷宮ですが、この竜巻は賢い猟犬ですからね。貪狼さんも友軍猟兵もきっちり避けて吹き荒れながら雑兵は強化斬撃波で粉々に引き裂いていきますよ」
 高速で動き出した竜巻が撒き散らす斬撃波が鎧ごと剣士達を不可視の刃で切り刻む。
 一方で同じ材質でも剣士より厚みのある体は斬撃波を食らっても表面に傷がつくだけで分断まで至らなかった。
 その堅牢な体躯を生かして巨人は竜巻の中に突っ込み、相殺を図ってくる。だが相手がこうしてくることはレンも予測済みだ。
 魔術への知識や戦闘演算を以て形成の維持に必要な魔力の量を導き出し、挙動を調整させた暴風は障害物を取り込んでもなお勢力を弱めず、むしろ元々鈍重な巨人の身動きを阻害する。
 さらに竜巻に紛れて控えていた大量の翼騎狼達が姿を現すと同時に一斉に突撃して巨人の肌を削っていった。
「分厚い鎧が剥がれてしまえばこのくらい簡単ね」
 そしてエネルギー源たるコアが剥き出しになれば、貪狼の放った超魔炎の嵐がそれを溶かし尽くして巨人を瓦解させた。
「いいですね貪狼さん、今の内に撃ち抜いてしまいましょう!」
 自分達を守ってきた壁を失った剣士達は転進しようとするが、その退路には超魔炎の壁が聳え立っていた。
 意を決して飛び込んだ者は抜け切る前に溶け落ち、立ち往生した者は背後から迫る竜巻に八つ裂きにされていった。
 後は目的のガジェットさえ見つけるだけ。この付近に転がっていたガジェット類は竜巻が飲み込む度に架空絶対域へ収容されていた。
「『うっかり』はありませんので戦後に中身をチェックしましょう」
 レンはそう言って自信ありげに眼鏡を押し上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エンシェントマジックドール』

POW   :    サキュバスエレメント
【魅了の魔眼】【疑似骸の海】【オブリビオン化の魔術】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    マインドスパイダー
攻撃が命中した対象に【蜘蛛の巣状の刺青】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自身の分身に変えて操る呪い】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    トランスオブオブリビオン
自身が装備する【魔導杖】から【骸の海】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【疑似オブリビオン化】の状態異常を与える。
👑11
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 道中に転がっていたガジェットはどれもこれも世界移動が出来そうな代物ではなく、奥に進むにつれて蒸気を噴き出すパイプも道行く災魔の数も減っていく。
 目につく障害物が無くなったことでさらに速度を増した救急車が我が物顔で突き進んでいると、車一台がギリギリ通れる程度の狭い通路が急に拓けた。
「ああ、やはり来たね」
 そこには先程まで対峙していた者達とは材質が違うミレナリィドールが足を組んで待ち構えていた。
「世界移動を可能にする太古のガジェット、君達はそれを求めて絶対に来ると思っていたよ」
 女性らしい見た目とは似ても似つかないほどしゃがれた男の声でミレナリィドールはにやけ顔を浮かべて笑う。その言葉に貧狼は目の色を変える。
「そう言うということは……あるのね、ここにそのガジェットが!」
「ああ、あるね。でも君達がそれを使うことはない」
 ミレナリィドールは右手に持っていた魔導杖を前に突き出し、高らかに叫んだ。
「君達は私の生み出した『骸の海を疑似的に生み出す魔術』で永久に私の僕になるのだからね!」
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪なうえに悪事の邪魔するワルにとってのワル!
超ワル魔王ダーティとは私のことです!

さっきとはちょっと違う名乗りにしてみました!
気付きましたか?

さて!可愛らしいのに声がお爺さんな敵さんが現れましたね!
って私たちを下僕にするですって!?

な、なんてワル!これは邪魔しなくては!
私はワルにとってのワル!超ワルのダーティですからね!

超本気で超派手にいきますよ!
今より此処、底に至る。汝ら魂、憐れなり!
【元悪!纏絡堕落醜穢終】

そして輝き貫け!{ブライトホーリーランス}!
(集めた{ゲイズ・パワー}を武器に注いで激しく発光させると敵に向かって投擲する)



「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪なうえに悪事の邪魔するワルにとってのワル! 超ワル魔王ダーティとは私のことです! ……さっきとはちょっと違う名乗りにしてみました! 気付きましたか?」
 くるりと反転した笑顔のダーティに覗き込まれた貧狼は溜息を返した。
「相手は初見なんだから名乗りを変えても違いに気づいてもらえないわよ」
「だが私の下僕になればいくらでも好きなだけ名乗らせてやれるぞ? 新作を出す度にリアクションもしてやろう」
「さて! 可愛らしいのに声がお爺さんな敵さんが現れましたね! って私たちを下僕にするですって!?」
 ミレナリィドールの勧誘文句を頭から無視してダーティは驚き震え出す。
「な、なんてワル! これは邪魔しなくては! 私はワルにとってのワル! 超ワルのダーティですからね! 超本気で超派手にいきますよ!『今より此処、底に至る。汝ら魂、憐れなり』!【元悪!纏絡堕落醜穢終】!」
 そして堂々と謳い上げれば強烈な存在感で精神を蝕む無数の視線が虚空から送られ始めた。
 背筋に凍るような感覚が走った貧狼は体に異様な重みを感じ始める。その一方でミレナリィドールは愉しげに笑い続けていた。
「そして輝き貫け! ブライトホーリーランス!」
 集めたゲイズ・パワーをブライトホーリーランスに注ぎ込めばより激しく発光し出す。そして思いっきり投擲すべく腕を振り上げたのとほぼ同時にミレナリィドールが放った蜘蛛の巣状の刺青が貧狼の顔に叩きつけられた。
「うぐっ!?」
「貪狼さん!?」
「さあ、私として私の代わりに働け」
 突然閃光が迸る。視界が戻ってくるとミレナリィドールが2体に増えて真隣に並び合っていた。
「「さぁ、君達の仲間はどっちだったかな?」」
 貧狼に当ててしまうかもしれないという恐怖を盾に優位に進めようとしているのだろう、2体のミレナリィドールは全く同じ調子で嗤う。しかしダーティはランスを躊躇なく投じた。
「ずっと見られてるということはずっと見ていると同義! そんなちゃちな入れ替わりではこの私! 超ワル魔王ダーティの目は誤魔化せませんよ!」
「ぐあっ!?」
 ランスを受けなかった方の輪郭が崩れ始め、貧狼の姿が露わになる。
「不覚を取ったわ……」
 苦々しい表情を浮かべて貧狼はへばりついた蜘蛛の巣の刺青を剥ぎ取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

亞東・霧亥
【UC】
分身たくさん放って後退。
分身は命中しても消えるだけの存在なので、操られる事はない。

まず、武器改造でたくさんのナイフを作り毒を塗る。
気を引くため、砂を噛む音を敵の死角から聞こえるように、なるべく耳元に向けて撃つ。
弾道計算とスナイパーで狙いを定め、毒ナイフを一斉発射する。

貪狼には好きなタイミングで攻撃してもらう。



「ちょっと見せろ」
 霧亥は貧狼の手に握られた刺青を潰される前に確認すると形を崩されても霧散しない濃密な魔力を感じた。
 これによって貧狼は一時的にミレナリィドールに変化させられたのだろう。
「よかったな、痕が残らなくて」
 こういう代物の中には発熱したり深く食い込んだりで体に大きな傷を刻む物も存在する。
 霧亥は純粋に励ましのつもりで言ったが、貧狼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「いやはや、盾にはならぬか。なら次は攻撃に振って止められる前に全員変える方向でいこうか」
 ミレナリィドールは自分に突き刺さっていたランスを抜き捨て、新たな刺青を練り始める。
「服と一緒の真っ白だから気づかなかったが、分かったからにはもう食らわんぞ」
 霧亥は大量の分身を放つと貧狼の肩を掴みながら後退する。
 ミレナリィドールが刺青を次々に放つ。だが分身は命中しても消えるだけの存在なので、ミレナリィドールに姿を変えることも操られる事もない。
「ちっ……ただの幻影なのだから引っかからずにすり抜ければいいものを……」
 ミレナリィドールが苛つく影で霧亥はまず、たくさんのナイフを作り、その刃1つ1つに毒を塗っていく。人形相手に効くかは不明だが、やらないで後で「実は効きました」となる方が嫌だからだ。
「貪狼には好きなタイミングで攻撃してもらう」
「分かったわ。でもあなたの邪魔をしないようにするわ」
「好きにしろ」
「好きにしてるじゃない」
 そんなへらず口を叩きながら霧亥はミレナリィドールの気を引くため、砂を噛む音が死角から聞こえるように、なるべくその耳元に向けて撃つ。
 そしてその音に誘われて明後日の方に目を向けた瞬間に弾道計算とスナイパー技術で定めていた狙い通りに毒付きのナイフを一斉に発射した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆WIZ、アドリブ絡み歓迎

何故私達を待ち構えていたのかは知りませんが
骸の海を喚ぶ『厄災級魔術』に屈する気はありません

対厄災用複合錬金術【浄想騎の陣】にてお相手しましょう!

149本の白き聖剣と149本の黒き影業が〈錬金術〉にて顕現
飛翔能力/戦闘能力を有する剣達は『厄災概念を直接殲滅する力』を以て
迫る骸の海を斬り裂き/飛び越え/撃ち貫き、元凶の魔導杖を寸断します

そうして貪狼さんが躯の海に飲まれる懸念を払拭したら
後は彼女や他猟兵に剣達を随伴させて攻め立てるのみです
聖剣の銃砲に依る一斉射撃と影業の非実体化に依る奇襲も併せ
彼のミレナリィドールは一欠片も遺しませんよ…!

戦後は件のガジェットを調査しましょう



「ちまちまと狡い真似をしおって……。抵抗されないよう意識を失わせてから展開したかったところだが仕方あるまい」
 ミレナリィドールは歯噛みしながら魔導杖で床を叩く。するとそこを起点としてジワジワと骸の海らしき液体が湧き出し広がり始めた。
「何故私達を待ち構えていたのかは知りませんが……」
 聞いたところでおそらくろくでもない理由が返ってくるのだろうと思いつつ、レンは短杖〔ALF〕を掲げる。
「骸の海を喚ぶ『厄災級魔術』に屈する気はありません。対厄災用複合錬金術【浄想騎の陣】にてお相手しましょう!」
 銃砲を内蔵した149本の白き聖剣と149本の黒き投擲剣の形をした影業が錬金術によって顕現される。
 そして手を触れずとも飛翔能力を有する剣達は『厄災概念を直接殲滅する力』を以てひとりでに、迫り来る骸の海を外周から斬り裂き、飛び越え、撃ち貫いていく。
「な、なぜ剣が汚染されぬ!?」
 骸の海に触れたはずの剣が猟兵や貧狼へ矛先を向き直すことなく、ずっとこちらを狙ってきていることにミレナリィドールは混乱する。
「言ったでしょう。『対厄災用』複合錬金術と」
 対照的にレンが澄まし顔で骸の海を扱う相手への対策はすでに考慮済みだと述べていると、骸の海を生み出す元凶たる魔導杖が寸断されてミレナリィドールの足元に散らばった。
 ———これで貪狼が躯の海に飲まれる懸念は払拭された。
「後は貪狼さんや他猟兵に剣達を随伴させて攻め立てるのみです」
 ミレナリィドールが慌てて跪いて骸の海に濡れた破片をかき集める中、貪狼はドリルガントレットを回して超魔炎を生成する。
「彼のミレナリィドールは一欠片も遺しませんよ……!」
 そしてそれが放たれるのに併せて聖剣の銃砲に依る一斉射撃と影業の非実体化に依る奇襲をかける。
 ミレナリィドールが我に返って顔を上げた時にはもうそれらは目前にまで迫っており、慌てて立ち上がる頃には全身を飲み込んでいた。
 骸の海が勢いよく蒸発していく。だがミレナリィドールが燃え尽きることはなく、炎の中でも断末魔を上げることなく形を保ち続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イングリット・イングラム
疑似的な骸の海を作り出す。
さらにはそれで人々をオブリビオン化し、自分の僕に仕立て上げる――。

此度の迷宮探索は貪狼さんの帰還が第一目的ですが、
貴方のような邪悪な災魔を見つけることができたのは不幸中の幸いと言えるかもしれません。

剣を構えて敵を見据え、UCにより法紋を強化します。
敵が魔術等を放ってきたなら、自分や貪狼さんを守るように《結界》を構築。
さらには《対抗》の力を込めた剣でその効果を斬り払いましょう。

法力の力を込めて疾駆。
敵の動きを見切って間合いを詰め、《還送》の力を込めた剣で攻撃。
疑似的などではない、本当の骸の海へと還しましょう。

貴方自身も、貴方の研究成果も、全てこの地から消し去ります。



「疑似的な骸の海を作り出す。さらにはそれで人々をオブリビオン化し、自分の僕に仕立て上げる――」
 ここまでじっと趨勢を眺めていたイングリット・イングラム(教団の使徒・f35779)はミレナリィドールが語っていた野望を復唱し、静かにゆっくりと剣を抜き、構える。
「此度の迷宮探索は貪狼さんの帰還が第一目的ですが、貴方のような邪悪な災魔を見つけることができたのは不幸中の幸いと言えるかもしれません」
「見つける? 否、私が君達を待っていたのさ」
 地面を転がることで体についた火を消している間にもう手の内に杖だった物は残されていない。しかしミレナリィドールは強気の姿勢を崩さないままチリチリになった髪をかき分け、大きな赤い瞳を露わにした。
「さぁ、この魔眼を見たまえ!」
 目として填められていた宝石が瞬き、魅了の魔術が展開される。イングリットはそれに飲み込まれる前に自分や貪狼を守るように《結界》を構築した。
「目を背けては確かに、貴方を討つことが出来ませんからね」
 ミレナリィドールを正面に見据えながら法紋を【強化】していたイングリットは息を吐き、《対抗》の力を込めた剣で本来不可視のはずの視線を斬り払う。
 すると魔力の線を強引に千切られたからか、ミレナリィドールは身を仰け反らせる。その隙をついてイングリットは脚に《法力》の力を込めて疾駆し、一気に間合いを詰めた。
 肉薄するほど近づけば極めて人間に近づけた作り物の顔のあちこちに蜘蛛の巣を模した刺青とは違うヒビが入り始めているのが見えた。
「疑似的などではない、本当の骸の海へと還しましょう。貴方自身も、貴方の研究成果も、全てこの地から消し去ります」
 そして一方的に言い放ち、《還送》の力を込めた刃で切り捨てた。
 血が通ってないはずの体から液体が溢れ出す。ミレナリィドールは自ら傷に手を突っ込んで湧き出る液体をイングリットへぶちまけたが、その身にかかる前に弾けて散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐藤・和鏡子
牽引のユーベルコードで敵の動きを封じながらダメージを与えられるかやってみます。
具体的にはフック付き牽引ロープで引っかけて救急車で引きずり回します。
単に引きずるだけでなく壁に叩き付けるなど更にダメージを与えられないかやってみます。
牽引ロープで動きを封じたところで貪狼さんや他の方達に攻撃してもらうなど他の方に積極的に協力するようにします。
サキュバスエレメントは攻撃が当たらなければ無効になるようなので運転技術を駆使して躱したり車体で防いで対抗します。



 反撃として振るわれた斬撃によってミレナリィドールが真っ二つになって床に転がる。しかし落ちた上半身は元気に暴れ続けており、爆散したり骸の海に沈んだりする兆候はみられない。
 そこへ骸の海にうっかり触れないようにゴム手袋を身につけた和鏡子は黙々とミレナリィドールの体に出来た傷口という名の取っ掛かりに牽引ロープの先についたフックを引っかけた。
「ねぇ貴方、一体何をしようとしてるの……?」
「【牽引】のユーベルコードで敵の動きを封じながらダメージを与えられるかやってみます」
 けんいん、という平仮名4文字が瞬きが増えた貧狼の耳を左から右に通り抜ける。
「【サキュバスエレメント】は攻撃が当たらなければ無効になるようなので運転技術を駆使して躱すなり車体で防ぐなりして対抗します」
「ちょっ、ちょっと待て!」
 貧狼の問いかけに平然と答えて和鏡子はそのまま運転席へと向かう。焦りの色を見せたミレナリィドールは棒立ちになっていた下半身を走らせて和鏡子の行く手を遮ろうとした。
 だが魅了の魔眼がなくオブリビオン化させる魔術も結べない存在はあまりにも無力で、貧狼の放った螺旋状の気の奔流によって軽々と吹き飛ばされた。
「貪狼さんも皆さんも攻撃の準備をしていてください、丁度いいタイミングで合図を出していただけたら行きますので」
「え、ええ……」
「待て! 私の話を聞け!」
 背中をいくら見つめても魅了することは出来ず、魔術を刻む手もロープでぐるぐる巻きにされて思うように動かせない。そんなミレナリィドールを尻目に救急車のエンジンが音を発し始めた。
「おっ……!」
 ロープが張り詰めるとミレナリィドールが引きずられ始めてまるで水切りの石のように床を跳ね出し、急カーブをすれば宙を舞った後に思いっきり壁に激突して紫色の破片が飛び散る。
 何かにぶつかるたびに意味を持たない声を発するミレナリィドールに運転席の和鏡子や遠巻きに眺める見物人を見る余裕などない。あるわけがない。
 ハンドルを回す度に宙を舞わされるミレナリィドールへ猟兵達の容赦のない集中砲火が注ぎ込まれる。
 そしてガラスが割れるような音がすると同時に拘束する物を失ったロープは解けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ミレナリィドールや猟書家を退けた先にあった小部屋に、一台のガジェットが鎮座していた。
 ミレナリィドールが言っていたことを信じるなら、これこそが目的の物なのだろう。
「これで金毛九尾様の下へ戻れるのね」
 おそるおそる手に取り、全体を見回しながら貪狼が呟く。レンも覗き見てみるがどの部品がどのような挙動をすることで効果を発動するかを判別することは残念ながら出来なかった。
 解体すればまた別の何かが分かるかもしれないが、それを提案しようとする無神経な者はいなかった。
 他の世界に転送出来るガジェットを作った者の正体も、製作の意図も全く分からない。だが一度しか使えないのなら、オブリビオンに下手に使われるよりも自分達で使った方が良いだろう。
「今回は助かったわ、ありがとう。……ではまた、銀の雨降る世界で」
 ガジェットが起動し、朱の衣纏う大陸妖狐の姿が蒸気の音を残して消える。
 見送り終えた猟兵達は帰還の連絡を聞くべく、グリモアベースへの帰路へ急いだ。

最終結果:成功

完成日:2024年11月12日


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#アルダワ魔法学園
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#妖狐七星将『貪狼』


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はタカシ・セイヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト