●十刻館
波静かな内海に数多くある島の一つに建てられた洋風造りの館。島に群生する建物と同じぐらいの高さがある木々の中にあってその独特のシルエットは紅葉に映えていた。
この島への往来は一日一便だけの渡し船のみ。空でも飛ばない限り人の出入りは皆無というほぼほぼ無人島と言っても差し当たり問題の無い場所である。
その十刻館を所有していた資産家シックス家の姿は今はもう無く、すでに人の手に渡り続け今現在は帝都に本拠を構えるホテルチェヰンの一つとして名を連ねてしまっている。
十刻館は普段はそんなにも客が多いホテルではない。一組程度の客が定期的に訪れるだけであり都会の喧騒に疲れた客達が静養しているぐらい……というのが普段の光景だ。
だがこの週末は違う。何組もの客がたまたま予定が重なりこの十刻館ホテルに部屋を予約してきた。
ある者はここの支配人に用があった。またある者はこの屋敷に隠されているという謎を探りにやってきていた。
さらにこの屋敷の金庫にあるという財産目当ての者もいるかもしれない。
この十刻館に訪れる者たちはそれぞれに目的があり全員が知人というわけではないのだ……。
●
「はぁ、まったく何なのだこれは」
支配人室の豪華な椅子に座った中年男が溜息をつきテーブルに置かれた封書を見下ろし首を振った。
そんな困り果て唇がカラカラになった男の目の前にいる褐色肌のメイドが黙って水を注いだグラスをテーブルに置く。
男はそれを手に取り一気に飲み干すとようやく一心地ついた様子で封書のほうを手に取った。
そこには新聞の切り抜きで作られた不吉な文章が書かれていた。
『新月の晩、欲に駆られて集まった宿泊客の命はない』と。
それはあきらかなる殺人予告。だがこんな辺境の島では警察を今から呼びに行っても間に合わない。
それに客達は何も知らずすでに渡し船などに乗りそれぞれこちらに向かっていることだろう。
間に合うとすれば超弩級戦力と噂される
彼らが駆けつけてくることを祈るしかない。
だがそんな都合よく彼らが来てくれるアテもなく途方にくれているわけだ。
そんな困り果てた支配人に褐色肌のメイドはニコリと微笑み懐から一枚のカードを取り出した。
「本当に殺人なんか起こったら怖いですし、ここはすぐに駆け付けてくれる
超弩級戦力を呼んじゃいましょう♪」
そう言ってカードに書かれた文字をチラチラと支配人に見せつけた。
「なになに、今宵十刻館のお宝をいただきに参ります……大怪盗? なんだこれは???」
「追加の犯行予告ですよ~支配人。予告状が二通も来たら猟兵が聞きつけすぐに駆け付けてくれると思いますよ~♪」
疑いの眼差しを向ける支配人を尻目に“予告状”を金庫に張り付けるメイド。
トランプにシンプルな文章が書かれているだけのカードなのだが、はたして本当に事件現場に猟兵たちは間に合うのだろうか?
●グリモアベース
「なんか猟兵をセコム扱いしているのが気になるけど、まあ殺人事件を阻止できるなら別にいいわ」
グリモアベースで肩をすくめグリモア猟兵の村雨・ベルは集まった猟兵達に改めて会釈をする。
どうやらサクラミラージュの孤島にある十刻館というホテルで殺人事件が起こるらしく、それをどうにか阻止しなければならないようだ。
どうやら館のメイドが用意した一枚のカードがグリモアの予知に引っ掛かり、その後に起こるであろう殺人事件にも気づけたようだ。
いわく、何処に潜んでいるかもわからず罠によって殺人を起こそうとしているのを全て防ぐのはとても困難。
犠牲者を出さないために今から出来ることは……すり替えてしまえばいいのだ。
ベルによると今から手配すれば渡し船に乗る前の客達を追い返し、猟兵が身代わりになり替わることは可能とのこと。
つまり本来館に訪れるはずだった犠牲者と入れ替われば、誰も死なずに済むということだ。
「今回の犯人は館中に罠を仕掛けていて殺人事件を起こします……ので、皆さん代わりにサクッと殺されてきてくださいな❤️」
手を合わせテヘペロ状態のベル。要は本来の犠牲者の代わりに罠にかかってきてくれと言っているわけだ。
だが本当に殺されろと言っているわけではない。猟兵らしくその危険な罠で死んだと見せかけそして騙しきってほしいのだ。
「犯人は殺人をヤリ終えた所で、支配人にその犯行の一部始終を説明しに現れると思うので……そこをやっつけてほしいわけですよ!」
つまりは犯人がノコノコ姿を現した所で、死んだはずの者達が一斉に取り囲めば一網打尽できるはずだとベルは言う。
猟兵たちが館に辿り着けるのは事件が起こる日の夕方近く。そのまま日が暮れ深夜近くまでに殺されれば一番逃げられる心配もない。
「そんなわけで、さっそく宿泊客に変装できた人から転送しちゃいまーす♪」
軽く殺されて、軽く犯人をやっつける。
そんなお気楽な雰囲気のまま十刻館へと転送されていく猟兵達。はたして孤島に立つ館でのこの難局を無事に解決できるのだろうか?
猟兵たちは色々と思うところがありつつも、事件解決に向けグリモアの輝きに身を包み込まれていくのだった。
轟天
サクラミラージュにあるとあるホテルで事件発生です。
まずは犯人に成功させたと思わせるのが第一条件となります。
メイドの正体は別シナリオで悪さしている大怪盗ですが、本筋には関係ないのでスルーしてもらって大丈夫です。
●1章
館で巻き起こる殺人事件の犠牲者になり替わりサクっと殺されてください。
夕方に館へと到着し、朝までには殺人事件が起こります。
如何に過ごすか。如何に殺されるか。 知恵を絞ってくださいね。
●2章
殺人を見届け現れた犯人をボコりましょう。
第1章 冒険
『犯人はお前だ!』
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POW : とりあえずぶん殴る! 犯人はお前だ!
SPD : 確たる証拠に基づいて、犯人はお前だ!
WIZ : 鮮やかな推理によれば、犯人はお前だ!
|
夢ヶ枝・るこる
△
■方針
・アド/絡◎
■行動
建物の名前も含め、如何にも何か起きそうなシチュエーションですからねぇ。
「この世界の上流階級風衣装」を着用、「成金のお嬢様」と入れ替わりますぅ。
予告状に「欲に駆られて~」と有りますので、「人里離れた立地を利用し、怪しい商取引に来た」としておきますねぇ。
表向き「ゆっくりしに来た客」として過ごし、お互いに正体を知る「褐色のメイドさん」に怪しげな目配せ等しておきますぅ。
そして「取引時刻」前に、【卻渝】を発動した状態で敢えて『部屋の水差しに仕込まれた毒』を口にし『置換』、防いだ上で死んだふりをしますねぇ。
『反動』の影響は「コルセットの破損」で「実は抑えていた」様に見せますので。
●
(なにか起こりそうな島ですよねぇ。これはあれですね……犠牲者は推理小説の作者のペンネームを名乗……ゴホンゴホン。やはりやめておきましょう~)
悪いことを考えるもやめておくほうがいいこともある……そう、こんな見え見えの事件ならば当然だ。
海鳥が鳴く桟橋に接岸した渡し船。ここにホテルが無ければ一生立ち入ることはなかったであろう孤島に降り立つ一人の
ふくよかな令嬢。
船長らしき男が旅行カバンを持ち案内する先に現れた今回の事件の舞台『十刻館』。
名もなき芸術家が設計したという風変わりな建物は何処か不気味さを漂わせ来客を出迎えていた。
「ここが十刻館ですかぁ~雰囲気の良さそうなホテルですねぇ」
鍔広の帽子をかぶり館を見上げながらおっとりとした口調でそう語る夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
本来ここに宿泊するはずだった令嬢と途中で入れ替わりこうして姿を現したのだがそれを怪しむ者はいない。
「お荷物お運びしますね~」
玄関先で褐色メイドがカバンを受け取りそして中へと案内し先導し歩き始めた。
るこるの正体を知る者が一人だけ目の前にいる。だが互いに知らないフリをしないとならないのはお互いに理解できている。
だから目配せだけして部屋に案内されると、るこるはカバンの中から貴金属アクセサリーをいくつもテーブルに並べわざとらしく笑みを作った。
どこから見られているかわからない以上はすり替わった成金お嬢様が怪しげな取引に来たと見せかけねばならないと思う。
(むむ? 先ほど部屋に来た時と水差しに入っている量が変わっていますねぇ?)
るこるはさっそく部屋に仕掛けられた罠に気付き、それがおそらくは毒であることを察するとベッドに座り祈りを捧げ始めた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『変相の加護』をお与え下さいませ……」
諸外国であればこうして祈りを捧げることに不自然さはないだろうとそれはもう堂々と。
この豊乳女神の加護・卻渝の加護によりるこるは毒を飲もうと
反動に変換し耐えきれるのだから唱えないなんてことはない。
祈りを終え喉が渇いたとばかり水差しからコップに注いだわかりやすいぐらい色のついた水。
もうちょっとわからないようにしろとツッコミ入れたくなるがここは我慢して一気に飲み干した。
(う……、こっこれは! 駄菓子によくある粉ジュースの素! 薄い薄すぎますよぅ~これ余計に喉が渇くやつなじゃ)
違う意味で苦しみつつ、るこるはその場に崩れ落ちビクビクと痙攣し……やがて息絶えた。
その直後、るこるの宿泊している部屋の扉に張られた一枚の板。
その板にはこう書かれていた……『第一の犠牲者』と。
大成功
🔵🔵🔵
フォス・アークライト
アンタ、極天の回転って知ってる…?次、人をセコム扱いしたら…分かるよね?
高速詠唱しつつ結界術で周りにバレないように展開して勝手に人をセコム扱いしたメイドに回転魔力球を首元に突きつけて忠告(脅し)をしておく(今回は殺意等は無いけど腹はたっている)
レントの言ってる事って意味不明だけど…この技術は凄いよな…
とりあえず部屋で魔力球の回転訓練をする
…ふう
そしてお風呂に入る
そろそろやられにいくか…
良いタイミングで部屋を出て心眼で周りを見て罠を探し罠にかかったふりをしながら結界術を展開して防御しつつ死んだふりをする
通常攻撃無効が適応されるなら罠の発動が速くて結界術の展開が間に合わない場合の保険でお願いします
●
「アンタ、極天の回転って知ってる…?」
「知りませんよぉ……って、痛い痛い痛いっ!?」
ホテルの部屋にフォス・アークライト(チーム『オーガペルソナ』の副リーダー・f44468)を案内し、会釈をしてから帰ろうとした褐色メイドの腕を掴むとその首筋に回転するエネルギーを肌一枚触れる程度に押し当て睨みつけた。
この褐色メイドには思うところがある。影朧が連続して出現するとなればグリモアの予知にかかりやすいのは当然なのだが、それにしても
自分たちを
セコム扱いしたのは少しばかり腹がたったのだからここで釘を刺しておこうと思ったわけだ。
部屋に入るなりこっそり結界を張り、この場で何が起ころうともバレることはないはずだ。
だからこそこうしてメイドになどに扮している大怪盗に説教の一つでもしてやるのだ……ちょっと痛いお灸も据えて。
「次、人をセコム扱いしたら……わかるよね?」
「ひぃぃぃん。 良かれと思ってやったんですよー悪気はないんですってば~」
半泣きで部屋から出ていったメイドを見送ると扉を閉めフォスはベッドに腰かけ結界を解いた。
ここからは罠にかかるまで日常を見せつけないといけない。日課の修行は欠かせないと魔力球を回転させ微妙な調整を加えながら鍛錬に励んでおく。
(レントの言ってる事って意味不明だけど…この技術は凄いよな……)
回転の生み出す力をまだ自分は引き出せていない、そう今日も思いながらの練習は熱が入り気付けばそれなりの時間になってしまっていた。
「
風呂にでも入るか……」
フォスはそのまま部屋備え付けのバスタブに湯を張ってあるのを確認し入ろうとして……。
つるん
そこに石鹸なんて落ちてたろうか?
気付けば視界が急速に回転し、そして後頭部を床に叩きつけ大きな音が部屋に響く。
ゴキリと首のあたりで鳴ったような気がした……、こうしてフォスは周囲から見れば後頭部を打ち付け死んでしまったのだ。
(死に方! もうちょっとマシな死因があるだろうっ!?)
ツッコミたいがこのまま死んだフリをせねばならないと浴室で倒れたままにしておく。
そして食事の準備が出来たと呼びに来たメイドに発見され、館に大声が響いた。
「きゃぁぁぁ……アークライト様が机の角に頭を打って死んでおられますぅぅぅ!」
またまた犠牲者が出てしまったのだ……悲しい事に。
そして気付けばフォスの宿泊する扉に板が張り付けてあった。
『第二の犠牲者』というプレートが……。
大成功
🔵🔵🔵
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎
今は雌伏の時だねー
まずはサクっと、殺されたふりしちゃおっかな!
顔なじみのメイドさんにお願いしちゃえば潜入は簡単だよねー
ついでに何を盗むつもりなのかの打ち合わせもしちゃったり……?
まぁ、ブラフなのかもしれないけど、その時は獲物を何にするかを散策してみるのもいいかな♪
んで、どうやって殺されるかだけど、シャワールームで長湯でもして待ってみようかなって思う
お色気を期待してる人にショッキングシーンを唐突に変化させてみせるのは、ある意味定番だよねー
もちろんそのまま殺される気はないし、【雌伏妖狐】で体を強化して耐える事とするよ
あたしをこんな目に合わせるなんて、高くつくんだから!
●
「ふんふんふん~♪」
シャワールームから可愛らしい鼻歌が漏れ出していた。ここ十刻館という建物には様々な種類の風呂が用意されていて、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)はその中の一つシャワールームを使える部屋を選び宿泊することにしたのだ。
(顔なじみがいると相談もしやすかったしね~♪)
湯がしたたるきめ細かい肌をぷるんと振るわせ思わず漏れてしまう笑み。
ほんの少し前に出会った
褐色メイドとこっそり打ち合わせをした時のことを思い出す。
それは島に着き、船からホテルに到着するまでの道中の事だった。
「お久しぶり大怪盗ちゃん。今度は何を盗む気かな~?」
「コホンコホン。お客様……ささ、お荷物お持ちしますね~」
人目を気にしてか咳払いした褐色メイドはサエの荷物を持ち上げると、こっそりウィンクして見せ歩き始めた。
渡し船から離れようやく小声で話す言葉がサエの耳に届く。どうやら何処に敵の目が光っているかわからないので警戒しているようだ。
(『口の中で声を出してくれたら聞こえてますから~。お久しぶりです帝都以来ですね~』)
(あぁ、なるほど……便利ねこれ。ふふ……お久しぶり♪)
周囲から見ているとただ荷物を運び十刻館へと歩いているだけの二人。だがその間にも様々な情報交換が行われサエは館の情報をいくつも仕入れることができ今後の計画を立てることにした。
どうやらこの館の持ち主であったエックス家の遺産と呼べるものが支配人室の金庫に入っており、それなりの値が付く品物であるという事も聞きだせたのは大きい。
(ってことは、ブラフじゃなしに……本当に盗んじゃう?)
(『サエさんも手伝ってくれるなら分け前は半々でいいですよ~』)
このように殺人事件に紛れ別の事件を画策する二人……計画は万全だ。
(さて……このシャワールームにも罠があるはずなのだけど。何が死因になるのかしら?)
そう考えながらシャワーを止めようとバルブを閉めるが湯が止まらない。
それどころか勝手に温度が熱湯に変化していき常人ならば死んでしまうような温度まで一気に上がっていった。
「熱い、なにこれ? なんで……鍵がかかって。いや……誰か助けっ」
先ほどまでのお色気シーンから一転泣き叫ぶパニックシーンへと急激に変わり果てた美女の断末魔。
しばらくして食事に降りてこないサエを呼びにやってきたメイドがそれを発見し、館中に響く大きな悲鳴。
「きゃぁぁぁぁぁぁ! キルフィバオム様がシャワールームで死んでおられますぅぅぅ!」
またまた犠牲者が出てしまった。
早く服を着せてよ!?というツッコミを入れたいけど死体役なので勝手に着ることもできずシャワールームで倒れこみ続けるサキ。
くしゃみしないように気を付けながら全裸の美女は悲しき死体と成り果てた。
そして誰も知らぬうちに『第三の犠牲者』というプレートがサエの部屋の扉に張られていたのは言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
隠家・めぐみ
無意識空間干渉となりきり衣装作成を使用
大怪盗ちゃんのお手伝いの為
ここ数日、支配人さんの椅子になって色々とスタンバってたんだけど……。殺害予告かぁ、怖い話だね。
仕掛けを準備するついでに少し様子を見てこようかな?
部屋を出る時に殺人トラップに引っかかる。
普通に引っかかりますがエスパーなのでユーベルコードじゃなければ死にません。
細かくは轟天MSにお任せします。
●
十刻館にある支配人室。そこでは支配人が大きな机の前で一日の雑務を行いそして何人もの宿泊客が止まる今日も夜遅くまでその業務は続いていた。
重厚な机とそれに見合った形状の豪華な椅子。数日前に新品と交換されたばかりで中々の座り心地と好評だった。
「ふむ。今日はこのぐらいでやめておくか」
「はい。それでは予告状のこともありますし支配人は先にお休みを。後は片づけておきますので」
手を止め席を立つ支配人と、ペコリと頭を下げ見送る褐色メイド。後片付けは任せておけと言わんばかりのやり取りを終え扉がバタンと閉る音がした。
「もう大丈夫ですよ?」
「……」
誰もいないはずの支配人のデスクに声をかける褐色メイド。
だが一呼吸置いてから突如として椅子がぐにゃりと変形し質感が木から人の肌へと変化を始めた。
見る見るうちにそれは全裸の隠家・めぐみ(隠れて居る・f44303)の姿になりニッコリいい笑顔。
「見張りお疲れさまです♪」
「いいのいいの♪ 好きでヤッてるんだから、一日モノ扱いでお尻にひかれてるのもっ最高っ❤️」
恍惚の表情で悦ぶめぐみに苦笑するメイド。だがさすがに全裸のままいるのもアレだろうからと怪盗の衣装を手渡し着るように促した。
別にいいのにとお気楽なめぐみはそれを着こみ盗みに入った怪盗姿になるが違和感を感じブカブカの胸元部分を手で摘まんでみる。
「これ服のサイズ合ってないよ?」
「あ……それ私の怪盗衣装なんですみません❤️」
二人の体形はかなり違うがため、これはこれで犯罪臭のする着こなしだ。
バニースーツの上に
手品師風の上着とシルクハットというまさに怪盗に相応しい姿。
ならばあと必要なのは戦利品だ。
「せっかくだしこの衣装貰っちゃうんだよ♪」
「それはいいんですけど、本命も忘れずに……はい、どうぞ」
支配人室の金庫はあっさりと開錠され中から取り出された大きな美術品。
これこそがエックス家の遺産と呼ばれるものなのだろうか?などと考えながらめぐみはそれを受け取り部屋から出ていく事にした。
「ではでは、このような感じで」
「じゃあ……サクっと殺されてくる♪」
部屋を出る前にハグし合った二人、決行の時だとばかり殴られたフリをして開け放たれた金庫の前で倒れるメイド。
めぐみもそれを確認したあと部屋を出ようと取っ手に触れると同時チクリと指先に走る痛み。
(え? こんなところに毒針? いつの間に???)
もうちょっとマシな場所で死ぬつもりだったが罠にかかった以上はしょうがない。
美術品を抱えたまま扉の前に倒れこみビクビクと痙攣したフリをしてそのまま息絶えて見せた。
こうして十刻館にまた新たな殺人が起こってしまった。
なんと財宝を狙い忍び込んだ
怪盗までもが殺されてしまうという急展開。
謎多きこの事件の顛末はどうなってしまうのだろうか……?
そして揃いも揃って待っているのが大変なポーズで死んでしまった犠牲者たち。
十刻館はそんな犠牲者たちの悲しみを背負うかのように夜の闇に溶け込んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『魔人シックス』
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POW : 破ッ!!
対象のユーベルコードに対し【戦場にレベル×5体の一撃で破壊可能な式神】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : 急急如律令
【レベル×1体の、道術で縛りつけられ、】【呪詛へと貶められ、激痛に泣き叫び、】【命乞いをし、生者を呪う老若男女の死霊】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 怪蟲招来
【自身が直接対象に接触している瞬間に限り】【レベル×1体の醜悪有害な異界の怪蟲を】【直接、対象の体内へと召喚する能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
👑11
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●
深夜になり雷鳴鳴り響く孤島の夜に浮かび上がる不気味な十刻館の威容。
そして何度も響き渡ったメイドの悲鳴が示しているのは、今夜幾人もの犠牲者が出てしまった惨劇の証。
次々と理不尽な死を迎えた犠牲者達を見れば、この地を不法に手に入れた今の所有者の名声もガタ落ちになること間違いない。
「ウワハハハハハハハハ!!」
そんな地獄の惨劇が巻き起こったホテルに響く歪さを感じさせる男の声。
それはまるで復讐に駆られたかのような狂気を孕んだ禍々しいものだった。
「警告をしたというのに宿泊客を招き入れるとは何と愚かな者どもよ!」
床に黒い染みが広がったかと思うとそこから湧き出るように浮かび上がった異形の姿。
黒き外套に身を包んだ恐るべき魔人は、死に包まれた館内を見渡しそして再び大声で笑い始めた。
彼の者の名は『魔人シックス』。
十刻館の本来の主にして凶悪なる影朧の一人。この館に不法占拠している現オーナーなど歯牙にもかけず訪れる者から殺していく凶悪な魔人だ。
「宿泊客とメイドは殺した……後は支配人を殺せば終わりだぞフハハハ」
余裕の仕草で正面エントランスから歩き始めた魔人シックス。
この館を包み込む悪意の塊が最後の〆を行うべく、2階の支配人室を目指し階段へと歩を進めるのだった。
夢ヶ枝・るこる
△
■方針
・アド/絡◎
■行動
(『FLS』で『FIS』を召喚、転移で現れつつ)
さて、そろそろ出番ですねぇ。
会話や交戦中にオーナーが殺害されない様、『FMS』のバリアでオーナーをガードしまして。
【搾薢】を発動、多数の『蔓』を形成しますねぇ。
『式神』の召喚に更に[カウンター]を仕掛け、て『FBS』の斬撃で一部を斬り排除、大部分が相殺されても、一部が魔人まで届けば問題有りません。
『相殺』された『蔓』も、拘束している間に『吸収』を終えられれば[追撃]が可能ですので、後は拘束したまま締め上げ『吸収』しますぅ。
まあ、多数の『式神』を『吸収』したことで、体型面にどのような影響が出るかは問題なのですが(遠い目)。
●
「させませんよぅ!」
十刻館に響く轟音。そして壁を突き破りながらエントランスへと姿を現した魔人シックスを追いかけ転移させてきた浮遊兵器と共に夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もまた出力全開で戦闘モード全開だ。
支配人達をガードすべくバリアを展開させている以上、残ったリソースは目の前の魔人シックス相手に全て振り分けると急ぎ祝詞を唱え気合をこめた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『魔樹の加護』をお与え下さいませ!」
数々の祭器に白い蔓が巻き付き大幅なパワーアップを施すと同時、魔人シックスが解き放った無数の式神がぶつかりあい互いにはじけ飛んでしまう。
「破っ!!」
恐るべきは破魔の術式、魔人によってせっかく与えられた白い蔓の加護が相殺され打ち消されてしまうがるこるは一向に慌てない。
さらに祝詞と唱え籠を与え、それを魔人シックスが打ち消すを何度が繰り返す。
「フハハハ、無駄だぞ娘ぇ!」
「その破魔の力を……吸収しますぅ!」
パンッと弾けた一部の式神。それはカウンターにカウンターを叩き込んだるこるの計算通りの展開。
ビリッと着ていた衣装が千切れはじめ“反動”がどんどんるこるに押し寄せるのは、祈りが上手くいっている証でもあるのだ。
「ここで押し切りますぅ!」
十刻館に次々と飛び込んでくるるこるの浮遊兵器群。出力を全開にし今このとき燃え尽きてもいいぐらいにして力を解き放ち突撃させた。
「なんのっ……破っ!」
「その数より多くを吸収しますぅ!」
両者の意地のぶつかり合い、だが先に吹っ飛び壁を破り外へと跳ね飛ばされたのは魔人シックスのほうだった。
概念と概念がはじけ合い影朧としての力を吸い込まれ一度離れるしかないといったところだろう。
「ま、まさか……この程度の力に押されると!?」
「術の相性も考えず無効化ばかり狙うからですよぉ」
驚愕する魔人を白い蔓が包み込んでいきそして……るこるの服が先にはじけ飛び白い肢体がホテル内に輝いて見える。
「くっ……反動が大きすぎ、ますぅ」
肥大化していくるこる、恐るべき力を相殺しあうにはこれほどのリスクが必要だったということだ。
戦いの一番槍……るこるは己の責務を果たすべく祭器に再びの命令を与えると、肉塊のようにブクブクと変化し戦いは泥沼の如き激戦へと突入していく。
大成功
🔵🔵🔵
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
んもー、こっちはずっと裸だったんだからタダじゃ済まさないよ!
どこからか呼び出したスーツを纏って、怪人に対峙しようか!
触れている相手の体内に怪蟲を送り込む能力ね
なるほどそれはやっかいだねー
うわー、触られちゃったから蟲が送られてきてお腹が膨らんじゃったー
なーんて、その能力は直接接触が条件なのよね?
今直接触ってるの、あたしのスーツになってるUDCなんだ
うちのUDCは大食いだから、蟲だろうとなんだろうと美味しく頂いちゃったってわけ
さて……、後はフルパワーで暴れさせてもらおっかな♪
あっ、たまたま金庫とかに攻撃が当たっても事故だよね!
それに、中身がたまたま懐に入っちゃっても事故ってことで!
●
盗賊はこの程度死ぬはずがない。戦いが始まり魔人エックスが吹き飛ばされてきたその場所に、突然シャワールームから飛び出してきた死んだはずの美女が一人。
「んもー! こっちはずっと裸だったんだからタダじゃすまさないよ!」
全裸のサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)の身体に無数の蟲が纏わりつきボディラインを強調したスーツとなり両者は対峙する。
大怪盗と同じくして別の狙いを胸に秘め軽快な動きで壁を蹴りながら魔人エックスへと蹴りを叩き込んだ。
「き、貴様は死んだはず……なぜだっ! 急急如律令っ! 」
咄嗟に印を結び呼び出した泣け叫ぶ無数の死霊達。魔人エックスによって殺されこうして死後も操られてしまう悲しい者たちを盾にしてそのままサエを襲わせた。
無数の伸びた手がサエを捕まえようと伸び、それを軽々と避け続けながらも追い詰められていく。
ヒュンと振れた手がサエの尻に触れその部分だけスーツが消えてしまう。
無効化能力によってスーツを形作っているユーベルコードの一部に干渉されたようだがサエは慌てない。
スーツごしにもわかる可憐なボディラインを見せつけながら仰け反った空間を魔人エックスの手刀が通過し空を切った。
「その技は触れないと……蟲は送り付けれないよっ!」
不敵な笑みを浮かべるサエ、だがそんな避けたはずの攻撃だったが豊満すぎる膨らみは逃げきれず鷲掴みにされふにゃりと弾むと同時に送り込まれた無数の蟲達。
絶体絶命と思いきやサエは不敵な笑いを隠そうともせず余裕の表情を浮かべペロリと怪しく唇を舐めた。
「触られちゃったぁ❤️ でもね? あたしのスーツは大食い……よ?」
「何だと!?」
サエと一体化しているスーツの正体は変化したUDC。そしてその食欲は魔人エックスの想像以上。
喰らうはずの蟲達が逆に餌として食べ尽くされていく異様な光景に驚きを隠せない。
あまりの食欲にスーツ化が解け全裸のサエから飛び出す勢いの暴食ぶりはまさに化け物そのもの。
周囲の壁なども同時に喰らってしまい中から金庫の床部分飛び出しそれすら喰らってしまう見境の無さに場は混乱に包まれた。
「あーあー、金庫の中身が零れてきちゃってるけど……事故だよね♪」
「貴様……まさか最初からそれが狙いでっ!」
金庫の中に入っていた美術品がまるで吸い込まれるようにサエの胸の谷間に落ちてきて包み込むと一目散に逃げだすサエ。
撤退と見せかけてただたんに盗みを終え立ち去ったにすぎない手癖の悪さ。
大怪盗が盗もうと狙っていたお宝はこうして
悪い妖狐が先に持ち出してしまったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フォス・アークライト
さあ、お仕置きの時間だぜ…ベイビー
指定UCを発動しつつ高速詠唱しながら結界術を展開しながら敵の前に現れる
うえ、最悪だ…この野郎…許さないぞ
敵のUCによって敵のUC対策は敵を心眼で見ながら推力移動で移動しながら概念干渉消滅撃の光線を放ち幽霊達を消しつつ敵に素早くエネルギー弾を放ち攻撃する
メア!あいつを裁け!
『うん!あいつ許せない!』
指定UCの同時使用効果でUC終焉の輪廻を発動しメアがインフェルノに変身し敵を蹴り飛ばす
『消えて…外道さん!』
行くぞ!メア…じゃなかったインフェルノ!
インフェルノはUC終焉と輪廻を発動して36の世界の化身が一斉に光線を放ち攻撃したのと同時に僕も概念干渉消滅撃の光線を放つ
●
十刻館に響く轟音と共に壁を突き破り落下してきた魔人シックス。殺人を成功させたとばかり思っていた所に停滞反撃を喰らいダメージの蓄積はかなりのものとなってしまっていた。
「クソッ、ありえぬ……我が殺人計画は完璧であったというのに」
「なにが完璧だ。お仕置きの時間だぜ……ベイビー!」
死んだはずのフォス・アークライト(チーム『オーガペルソナ』の副リーダー・f44468)が扉を蹴破り飛び込みながら周囲に結界を張ってしまう。
別の部屋へと飛び込み体勢を立て直したかった魔人シックスにとっては大誤算であり技の発動が遅れたのをいいことにフォスは畳みかけ詠唱を続けた。
「急急如律令……かぁっ!!」
魔人はそれでも瞬時に印を結び術式を完成させ呪詛を纏った泣き叫ぶ死霊を呼び出し両者の間へと割り込ませたのだからさすがと言うものだ。
一斉にフォスに群がりそのユーベルコードを封じてしまう魔性の手、だがしかしそれが届く前に複数並列起動した力が開放された。
「なんだこいつ最悪だ……許さないぞっ!」
概念そのものに干渉する光線の乱れ撃ち、弾けるエネルギーの余波が幽霊達を消滅させると同時にフォスの周囲を舞っていた蝶が神々しい輝きを放った。
「メア!あいつを裁け!」
『うん、あいつ……許せないっ!!』
次元鬼龍ヴァニティ・フォース・ディザスターからの終焉の輪廻に繋がる恐るべきコンボ。
終焉帝インフェルノと化した36世界の化身が一斉に放つ光線は魔人シックスといえども回避できず炸裂する力と力。
「バカ、な……死霊達が消し飛んだ、だと!?」
あまりに常識外れの力が炸裂し張ったばかりの結界が砕け外部へと吹き飛ぶしかできない魔人シックスもタダで済むはずもない。
半身が消し飛んだ状態でその場を急速に離れるしか彼にはもはや出来なかったのだ。
揺り戻しが起こりフォスの目の前の空間が爆縮したかのように震え時空の歪が収まるまで動くわけにいかなかった。
魔人を取り逃がすもフォスは確信している。今の手ごたえは致命傷であったと……そしてもはやこの館から出るまで保つまいと知っていた。
歴史を感じさせる館の一角が完全に消し飛んだがこれもまた必要経費と思ってもらいたい。
……そうフォスは思いながら、緊張を解きゆっくりと息を吐き出すのだった。
大成功
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隠家・めぐみ
死体のフリをして頑張って待機していますが、正直なところ戦闘能力がないんだなぁ。我ながら何故猟兵になったのか分からない。
まぁ、頑張ればなるようになるんだよ♪ 多分。
とりあえず奇襲。死体だと思って近づいたところに足を掴んで接触テレパスを使用、共有された相手のユーベルコードから怪蟲招来を使って怪人シックスの体内に蟲を召喚するよ。代償は流血。
うん、これ逆に使われたらヤバいやつだ。すぐに手を離して逃げよう。
怪盗らしく華麗に空を舞う……ことは出来ないけどとりあえず窓からダーイブッ!
●
(はぁぁ……正直なところ戦闘能力ないんだよなぁ。 どーしよ?)
支配人室の床で倒れたまま隠家・めぐみ(隠れて居る・f44303)は少し自信がないようでモゾモゾ動きたくて仕方がなかった。
無機物として動かないのは断然慣れているのだが、今日は命がけの騙し合いとあってさすがに緊張してきてしまう。
(まっ、頑張ればどうにかなるんだよ♪)
すぐ傍で倒れ同じく死んだフリをしているメイドにちょっとカッコいいとこ見せようと気合はどうやら十分のようだ。
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「ば、バカな……この我が」
十刻館に響き渡る轟音と共に壁が破壊され支配人室に転がり込んできた黒衣の男。
この事件の首謀者である魔人シックスは思いもよらぬ襲撃を受けもはや満身創痍。
それもそのはず今回の事件で死亡したはずの被害者達が実は生きていたのだから油断もするはずだ。
あまりに連続で敵の猛攻を受けたせいでさすがに消耗しすぎたようだ。もはやあのような者達に関わることなくシックス家の財宝だけを持ち去るのが一番だと目的の金庫へと視線を動かしそして固まった。
そこには一枚のカードが刺さっており『お宝はいただきました❤️』などと書き残されていたからだ。
「なんだと! 誰だ……この我の宝を盗もうなどと思った者は!」
怒りに身を震わせ魔人シックスはここで判断を誤った。この場から逃走し回復すればまだ勝機は残されていたというのに……。
「こいつか盗人は! 我が宝を許さんっ!」
腹立ちが勝り魔人シックスは警戒が甘かったに違いいない。
めぐみを踏みつけようと近づいたその足首を突然ガッチリと掴んだのだから。
「はーい♪ 残念だったね~わたしまだ死んでないよ!!」
「は、離せ!」
それはほんの1秒ほどの身近な時間でしかなかった。だがしかし
接触テレパスを使うにはそれで十分……めぐみの思念が魔人シックスに繋がりその秘めたる力を勝手にめぐみが使えてしまうのもわずか一撃分。
だが呪詛と共に激痛で泣き叫ぶ死霊を呼び出してしまえば後は勝手にヤってくれるに違いない。
『あぁぁぁぁぁぁ! 苦しい苦しいぐるじぃぃぃっ!!』
「クソッ、寄るな触るなっ、グオッオオオオオオオオオオオオ!?」
魔人に死霊が纏わりつくのを見て即座に手を離し財宝を抱えたまま窓際へと走るめぐみ。
はっきりいって逆に使われたらこれは終わりだ。一刻も早くこの場から逃げるならば窓から飛び出すしかない。
目を閉じ窓ガラスを突き破りながら外へと飛び出しためぐみは、そのまま地面へと叩きつけられると思ったがいつまでたってもそれは訪れず逆に不可思議な浮遊感で満たされ閉じていた目を開けた。
「逃げるときは怪盗らしく空を舞わないとね♪」
「あったりまえだよっ♪」
部屋で倒れていたはずのメイド、いや大怪盗が変装を解いたコスチュームでめぐみを背後から抱きしめ大量の風船で宙を舞っていた。
上手く敵を騙せたからには二人を待つのは無事に安全圏まで離れる逃避行。
「お、おのれ……盗人共め……無念っ」
もはや追い付けぬその姿を室内から怨嗟の目で見届けながら魔人シックスはその場に膝をつきそして死霊達に飲み込まれ消滅していった。
こうして十刻館に訪れるはずだった悲劇は猟兵たちによって回避され無事に事件は解決した。
……影朧によって呪われるはずだった館は再び静寂を取り戻したのだ!
大成功
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