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帝都櫻大戰㉕〜無限地獄に映る過去

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #神王サンサーラ


「帝都櫻大戰への参戦に感謝します。リムは状況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は現在の状況を語り始めた。
「3体のエンシェント・レヰスによる異世界侵略は全て阻止されましたが、ついに幻朧桜に封じられていた『幻朧帝イティハーサ』本人が降臨しました」
 サクラミラージュにおいて「不死の帝」と呼ばれてきた存在の正体は、過去を組み合わせて新世界を創造する能力を持つ、オブリビオンを超越した「骸の海そのもの」と呼べる存在。彼はこの戦争で散っていったオブリビオンたちを復活させ、彼らの「意志」を元に5つの「侵略新世界」を創造、他世界の侵略に乗り出そうとしている。

「皆様にお願いしたいのは、『神王サンサーラ』と融合することでイティハーサが創造した侵略新世界『サンサーラナラーカ』の破壊です」
 それはサンサーラの圧倒的な威光により広がり続ける、広大無辺の無限地獄。ただでさえ幻朧帝イティハーサは強大な存在であるにも関わらず、具現化した骸の海ともいえるこの世界では戦うことすらままならない。地の利は完全に向こう側にあると言っていいだろう。
「グリモアの予知によれば、幻朧体はサンサーラナラーカを完全に満たした『骸の海』の中から、皆様ひとりひとりに合わせた強力なオブリビオンを引きずり出します……それは相対するあなた自身の『過去の姿』です」
 外見や思考こそ完全に猟兵の知る「過去の自分」そのものだが、その戦闘能力は現在の猟兵本人にも引けを取らない。各々の「過去」次第では現在以上の力を持っているケースもあり得るだろう。この「過去の自分」をどうにかして倒すなり消滅させるなりしない限り、イティハーサに攻撃が届くことはない。

「過去の自分の事は、ご自身が一番理解しておられるでしょう。これに打ち勝つには過去の自分の性格や思考の裏をかくのが有効と思われますが……『過去の自分』も当然、こちらの思考を読んでくることは想定してください」
 加えて敵は『過去の自分』だけでなく、幻朧帝イティハーサ本人も攻撃を仕掛けてくる。神王サンサーラと融合したその力は強大という言葉では生温く、サンサーラナラーカにおいて彼に比肩しうる者は存在しない。果たして勝機はあるのか、リミティアにも予想はつかなかった。
「それでも、やるしかありません。ここで『イティハーサ・サンサーラ』を撃破できなければ、サンサーラナラーカは無限の骸の海を内包したまま、他世界の侵略を開始します」
 おそらくは第二戦線のサイバーザナドゥ、アスリートアース、キマイラフューチャー、アヤカシエンパイアで神王サンサーラが発生させた危機と同じか、それ以上の大惨事になる。36の世界が骸の海に呑み込まれる前に、ここで絶対に止めなければならないのだ。

「状況は厳しいですが、絶望するにはまだ早いです。リムは皆様の可能性を信じています」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、新世界サンサーラナラーカへと猟兵を送り出す。
 既存世界を侵略するために創造された新世界に、君臨するのはオブリビオンすら凌駕する超越者。具現化された骸の海そのものと『過去の自分』が待つ戦場へ、いざ――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオは『神王サンサーラ』と融合した『幻朧帝イティハーサ』と、侵略新世界『サンサーラナラーカ』で決戦です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……自身の「過去の姿」を描写し、これに打ち勝つ/過去の自分の性格や思考の裏をかく。

 猟兵がサンサーラナラーカに突入すると、イティハーサは骸の海からその猟兵の「過去の自分」をオブリビオンとして骸の海から引きずり出し、戦わせます。
 外見や思考は完全に「過去の自分」そのものですが、戦闘能力で「現在の自分」に劣ることはありません。これに打ち勝って消滅させない限り、イティハーサにダメージを与えることはできません。
 イティハーサ本人も猟兵の「過去の自分」と一緒に戦闘に参加するので、極めて難易度の高い戦いになるでしょう。皆様も全力で挑んでいただければ幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『イティハーサ・サンサーラ』

POW   :    天矢『サンサーラナラーカ』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【大焦熱地獄の炎を纏った天羽々矢】で包囲攻撃する。
SPD   :    神鷹『サンサーラナラーカ』
レベルm半径内を【神鷹の羽ばたきと共に八寒地獄の冷気】で覆い、[神鷹の羽ばたきと共に八寒地獄の冷気]に触れた敵から【生命力や意志の熱】を吸収する。
WIZ   :    骸眼『サンサーラナラーカ』
【神王サンサーラの力を再現した姿】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【完全性】に比例し、[完全性]が損なわれると急速に弱体化する。
👑11
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森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

現れる過去の自分とやらは、アレしかねぇ
暗殺者“null”…無感情で冷酷非道、任務とあらば誰でも殺す暗殺者だ
(※nullの容姿は陽太真の姿イラスト参照)

奴は暗殺者だ
常に俺の背後を、死角を取ろうと動く
ならば俺自身も「オーラ防御」で護りを固めて大やけど覚悟で挑む
「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでアスモデウス召喚
nullが俺の背後を取った瞬間、俺とnull、そして幻朧帝を巻き込むように「属性攻撃(炎)、範囲攻撃」の獄炎を吐くよう命じる
少しでも傷を負えば完全性とやらは損なわれるはず
その隙を狙って二槍伸長「ランスチャージ、暗殺」でnullと幻朧帝、双方の喉元を貫いてやらあ!



「現れる過去の自分とやらは、アレしかねぇ」
 侵略新世界『サンサーラナラーカ』に突入する時点で、森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は予想と覚悟を決めていた。神王サンサーラの意志を奪い、創造された広大無辺の無限地獄では、古代日本の装束を纏った白骨の如き老人が待ち受けていた。
「来たか『六番目の猟兵』よ。ここで汝等も過去となるがよい」
 世界を満たし、今なお拡がり続ける骸の海から、『幻朧帝イティハーサ』はおもむろに1体のオブリビオンを引きずり出す。それは現在の陽太に似ていたが、タイトな黒装束で全身を覆い、仮面で素顔を隠している。その姿に、陽太ははっきりと見覚えがあった。

(暗殺者"null"……無感情で冷酷非道、任務とあらば誰でも殺す暗殺者だ)
 それこそが陽太の『過去の姿』。過去から世界を創造するほどの力を持つならば、猟兵の過去をオブリビオンとして具現化するのも容易ということか。呼び出された"null"は『未来の自分』を前にしても黙して語らず、血に濡れた得物を構え――音もなく姿を消した。
(奴は暗殺者だ。常に俺の背後を、死角を取ろうと動く)
 他ならぬ自分の事だからこそ知っている、暗殺のセオリー――あるいは習性。効率よく標的の命を奪うための手順。
 だが把握していても阻止するのは難しいだろう。現在よりも純粋に暗殺者として研ぎ澄まされていた過去の自分は、確実にこちらの死角を突くだけの技術を持っている。

(ならば俺自身も護りを固めて大やけど覚悟で挑む)
 陽太はオーラで全身防御を固めると、拘束詠唱でユーベルコードを発動。改造型ダイモンデバイスから【悪魔召喚「アスモデウス」】を実行する。本来この悪魔の契約者は暗殺者"null"だが、これからやるような危険な使役方法が、果たして過去の自分に覚えがあるだろうか。
「俺ごとやれ、アスモデウス」
 契約に従い、悪魔は忠実に命令を実行する。"null"が陽太の背後を取った瞬間、アスモデウスは獄炎の息を吐いた。
 どんなに警戒心の強い暗殺者でも、仕留める瞬間だけは接近せざるを得ない。そのタイミングで放たれた炎は、現在と過去を諸共に焼いた。

「我が身を顧みず、過去の己を……!」
 アスモデウスの獄炎が巻き込んだのは陽太と"null"だけではなかった。荒れ狂う炎はイティハーサの元まで広がり、その身に若干の火傷を負わせる。ダメージは些細なものではあるが、陽太の目的はサンサーラの力を再現した【骸眼『サンサーラナラーカ』】を弱体化させることだった。
(少しでも傷を負えば完全性とやらは損なわれるはず)
 "元"が付くとはいえ彼も暗殺者だ。標的の力が弱まった隙を見逃すはずがない。オーラで減衰してなお強烈な獄炎の熱と痛みに耐え「濃紺のアリスランス」と「淡紅のアリスグレイヴ」に意思を込める。奴らの喉元目掛けて、どこまでも伸びろと。

「貫いてやらあ!」
 伸長した二槍の矛先は稲妻の如きスピードを以て、過たず"null"と幻朧帝の双方を捉える。からんと仮面が剥がれ落ちる音と共に、過去の姿は骸の海へと還り――そしてイティハーサの喉を抉り、その身の完全性をさらに損なわせた。
「抗うというのか……」
 かつて自身を封印に追い込んだエンシェント・レヰスを配下に従え、侵略新世界の創造を果たしてなお、立ちはだかる新たな障害。第六猟兵の覚悟と力を我が身で味わったイティハーサは、瞳の奥に剣呑な光を宿し、彼らを見据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワタリ・イブキ
ほう、過去の妾が相手とな。
眠りの間に失いしカラテを有す全盛期の妾。
正直な処、今の妾より強かろうて。

だが気付いておるか、妾よ。
今のお主は、幻朧帝などという胡乱な輩の支配下にある事に。
己の道を決めるのは己のカラテに他ならぬ、其がお主の矜持であろうに。
未来など不要、斯様な戯言を抜かす愚昧の狗と堕したお主は、ニンジャとしてはそこらのサンシタにも劣るわ!

と喝破し動揺した処を轟然たる一撃にて打ち倒す。
幻朧帝に対しては、飛来する矢を叶う限りフォームド・シュリケンにて撃ち落としつつ、【ダッシュ】にて迅速に肉薄し轟然たる一撃を撃ち込む。

妾はまだ見ぬ未来を待つが楽しみじゃでな、過去の焼き直し等は望まぬよ。



「ほう、過去の妾が相手とな」
 広大無辺の無限地獄サンサーラナラーカに降り立ったワタリ・イブキ(黒羽忍者/ブラックフェザー・f36634)が相対したのは、古風な忍装束に身を包んだ己自身だった。容姿に現在との差異はほとんど見られないが、おそらくはは数百年以上前の『過去の自分』だろう。
「眠りの間に失いしカラテを有す全盛期の妾。正直な処、今の妾より強かろうて」
『かく言うお主は随分と衰えたようであるな。未来の妾よ』
 悠久の時を経て目覚めた現在のワタリは、過去の記憶と技量のほとんどを失い、有り体に言うなら「鈍っている」。
 己自身であるが故に手の内も割れている以上、一対一の勝負は分が悪いと認めざるを得なかった。ましてやその背後に『幻朧帝イティハーサ』本人が控えているとなれば尚更だ。

『未来など不要。己の汚点は妾自身で始末するとしよう』
 その瞳から線香めいた光を発しながら、過去のワタリはシュリケンを放つ。闘気から武器を生成する速さも、投擲の精度も、どれを取っても練度の差は明らか。現在のワタリでは躱すだけでもやっとだが、それでも一手一手ごとに追い詰められていくのが分かる。
「だが気付いておるか、妾よ。今のお主は、幻朧帝などという胡乱な輩の支配下にある事に」
『……なに?』
 豪雨のようなシュリケン投擲を躱しながら、ワタリは過去の己に問う。自我を持っているように見えても、この世界で呼び出されたオブリビオンはイティハーサの手駒に過ぎない。その圧倒的なカラテの業前も、目障りな六番目の猟兵を始末するために有用だったからだ。

「己の道を決めるのは己のカラテに他ならぬ、其がお主の矜持であろうに。未来など不要、斯様な戯言を抜かす愚昧の狗と堕したお主は、ニンジャとしてはそこらのサンシタにも劣るわ!」
『なんだと……っ!』
 無自覚に図星を突かれたか、喝破された過去の己が動揺したところをワタリは見逃さなかった。赤黒い疾風と化して間合いを詰め、超至近距離から【轟然たる一撃】を放つ。たとえ衰えたとてその拳を突き出す先は、自らの意志で決めたものだ。
「去ぬがよい!」
『ッ……――!!!』
 一撃必殺のポン・ナックルを叩き込まれた過去のワタリは、かっと目を見開いて消滅する。最後に彼女が抜き放った太刀は、現在のワタリの首筋に添えられていた。意志の差が分けた紙一重の勝利――その余韻に浸る間もなく、黒羽のニンジャは次の標的に向かう。

「まだ認めぬというのか。世界にもはや『未来』など必要ないのだ」
 過去と現在の対決を見届けたイティハーサは、大焦熱地獄の炎を纏った【天矢『サンサーラナラーカ』】を放つ。
 しかしワタリは飛来する矢を「フォームド・シュリケン」にて撃ち落としつつ、ダッシュで迅速に肉薄を図る。対処しきれなかった矢が突き刺さり、地獄の炎に身を灼かれても、立ち止まることは決してない。
「妾はまだ見ぬ未来を待つが楽しみじゃでな、過去の焼き直し等は望まぬよ」
 過去からしか何も生み出さぬ不死の帝に、迷いなき拒絶と共に放つ【轟然たる一撃】。過去の己を打ち倒した拳が、今度はイティハーサの身に叩き込まれる。白骨めいた体躯が軋み、罅割れる微かな音を、ワタリは確かに聞いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
過去の自分は、唯の使い捨て兵士だ!
そして!あの自分できる事は!只管に進む事だけだ!!

夜剣大蛇【操縦】『神殺蛇行』神威破り神殺しの猛毒液を纏い蛇行!

神王も、幻朧帝も、過去の自分も、この世界も!全てが神とその神威そのものだ!!引き裂け!夜剣大蛇ぃぃいいいい!!!

【呪詛】蛇行突撃をバカ正直に受け止めようとした、キャバリアに乗る自分を、神の僕と化した自分を神威破りの力と頭部長身ドリルで突き破り!
また天羽々矢を呪詛毒液と頭部長身ドリルと内蔵回転刃で【武器受け】
その神威を引き裂き包囲攻撃を突破する!

イティハーサぁああああアアアアアア!!!!

【毒使い】長身ドリルでイティハーサを穿ち、神殺の毒液を抉り込む!!



「過去の自分は、唯の使い捨て兵士だ!」
 サンサーラナラーカに参戦した朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵ジカクナキアクリョウ・f29924)は、骸の海から引きずり出された『過去の自分』を見てそう言った。まだ自分を造った小国家が健在だった頃の、一介のクローン兵士だった自分。ただ命令のままに戦うしかできなかった自分がそこにいる。
「そして! あの自分にできる事は! 只管に進む事だけだ!!」
『うおおおおオオオオオオッ!!!』
 彼女の言う通り、過去の小枝子は「敵」を見るなりキャバリアに乗ってまっすぐに突っ込んできた。低コストゆえの単純思考は疑問を挟む余地もなく、後退も知らない。まるで鉄砲玉の如しだが、戦闘力に関しては現在の小枝子と同等以上。ここで相打ちになるわけにはいかない。

「まつろわぬ」
 直進する過去の自分に対して、小枝子は対神大蛇型キャバリア『夜剣大蛇』に乗って【神殺蛇行】を発動。神威破りと神殺しの猛毒液を纏い、目にも止まらぬ速度で蛇行する。世界を満たす骸の海でさえ、彼女を止めることはできぬ。
「神王も、幻朧帝も、過去の自分も、この世界も! 全てが神とその神威そのものだ!!」
 全ては幻朧帝イティハーサという神を殺すべく、まずは神の僕と化した過去の自分を潰す。おどろおどろしい呪詛を帯びたキャバリアの蛇行突撃を、過去の小枝子はバカ正直に受け止めようとする。それしかやり方を知らぬからだが、簡単に止められると思ったら大間違いだ。

「引き裂け! 夜剣大蛇ぃぃいいいい!!!」
 神威破りの力と頭部長身ドリル「螺旋刳殺剣」が、過去の小枝子を乗せた機体を突き破る。戦闘力が同格であれば、勝敗を分けたのは相性の差だ。自分が負けた理由もわからない使い捨ての兵士は、バラバラに引き裂かれて骸の海に還っていく。
「愚かな……」
 その有様を見て『幻朧帝イティハーサ』は静かな悪態を吐き、今度は自ら【天矢『サンサーラナラーカ』】を放つ。
 幾何学的な軌跡を描いて飛翔する、無数の天羽々矢による包囲攻撃。一本一本が焦熱地獄の炎を纏ったそれも、彼奴の神威を象徴するものだ。

「邪魔だぁぁぁああ!!」
 だが小枝子は止まらない。機体から流れる呪詛毒液で地獄の炎を鎮火し、螺旋刳殺剣及び内蔵回転刃「刳殺鱗刃」で天羽々矢を受け止め。決して無傷ではないながらもその神威を引き裂き、包囲攻撃を突破――幻朧帝の元まで突っ込んでいく。
「イティハーサぁああああアアアアアア!!!!」
「ぬぅ……!!」
 怨嗟に満ちた悪霊の咆哮と共に、大蛇のドリルがイティハーサを穿ち、神殺の毒液が抉り込まれる。過去の自分にも負けない執念と不退転の覚悟が、圧倒的に格上のはずの存在に一矢報いた。その傷は決して癒えることはなく、猛毒はじわじわと神を蝕み続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロア・ルースフェル
どうも過去のわたし。相変わらず美しいようですが……
枝毛がありますね? ほらソコ
わたしはヘアケアを抜本的に見直し、枝毛を根絶したわたし
その醜い髪で美形とは片腹痛うございますね!
まぁ、わたしなら醜さを指摘されたら動けないでしょうね

ですが、今日は、トクベツに!
チカラを貸してくれたら、枝毛根絶トリートメントをお教えしましょう

二本の塔が伸び、中心にわたしたち二人が輝く、まるでタロットの「月」
ごん太の雷二本で、ちっちゃい矢なんて幻朧帝ごとぶち抜きましょう
生命は海より上がり、地を駆け山を超え、天へと昇りて未だ止まらず。其は進化導く女王、18番「月」
止まれば衰退あるのみ。チカラある未来には進化が必要なのですよ



「どうも過去のわたし」
『こんにちは未来のわたし』
 骸の海で満たされた侵略新世界『サンサーラナラーカ』にて、クロア・ルースフェル(十字路の愚者・f10865)は過去の自分に挨拶する。美形だがやや残念な性格をしているナルシストの彼は、昔においても人となりは大きく変わらないようだ。
「相変わらず美しいようですが……枝毛がありますね? ほらソコ」
『えっ? あらいやだ』
 そんな自分だからこそ効くであろう欠点を指摘すれば、相手は目を丸くして毛先を確認する。普段はひょうひょうとしているが顔と髪には人一倍こだわりがあるのだ。どのくらいかと言えば、もし傷つけられたらガチでキレるくらい。

「わたしはヘアケアを抜本的に見直し、枝毛を根絶したわたし。その醜い髪で美形とは片腹痛うございますね!」
『なんてこと……!!』
 まあ自分なら、こんなふうに醜さを指摘されたら動けなくなるだろう。いっちばん言われたくないことを言われた過去のクロアは、だが言い返すこともできずに奥歯を噛みしめて悔しがる。現在の彼のヘアケアは、過去の彼から見ても完璧であったのだ。
「ですが、今日は、トクベツに! チカラを貸してくれたら、枝毛根絶トリートメントをお教えしましょう」
『…………嘘ではありませんね?』
 そんな現在のクロアからの提案に、過去のクロアが断る術はあるだろうか。オブリビオンと猟兵、決して相容れない過去と現在だとしても、クロアにとって一番重要なのは己の「美」だ。全ての枝毛を消し去れるのなら、彼は悪魔にも魂を売るかもしれない。

「『此処に神の怒りが再来しましょう。其は破滅もたらす神鳴り、16番「塔」』」
 かくして合意に至った二人のクロアは、同時に【塔】のユーベルコードを発動。広大無辺の無限地獄に二本の塔が伸び、中心に二人が輝く、その様はまるでタロットの「月」。まさかの配下の裏切りに『幻朧帝イティハーサ』も驚きを隠せまい。
「まさか、そんな理由で生命に与する者が現れようとは……」
「そんな理由? 大事なことですよ」
 幻朧帝は即座に造反者と猟兵を始末すべく【天矢『サンサーラナラーカ』】を放ってくるが、その言い草にカチンときたクロアは、過去の自分と一緒に極太の雷撃を二本放ち、ちゃちい矢ごと幻朧帝をぶち抜かんとする。この術は一度使えば魔力切れで行動不能になるが、それだけ威力は極大。ましてや二人分ともなれば相乗効果は倍以上だ。

「『生命は海より上がり、地を駆け山を超え、天へと昇りて未だ止まらず。其は進化導く女王、18番「月」』」
 二人のクロアのタロットカードから放たれた雷は、燦然たる光で世界を照らし、地獄の炎と天羽々矢を吹き飛ばし、二条の矢となってイティハーサを貫く。過去と現在の協力により生まれた新たなユーベルコードの力は、不死の帝にも痛手を与えた。
「止まれば衰退あるのみ。チカラある未来には進化が必要なのですよ」
「否……もはや進化は不要。世界は十分な歴史を刻んだ……」
 昨日よりも今日、今日よりも明日の自分が一段と美しいと信じる、自信に満ち溢れたクロアの宣言を、イティハーサは受け容れない。すでに生命に見切りをつけた彼奴にとって、未来とは不要の概念――過去の断片さえあれば如何なる世界をも創り出せるという、その傲慢さに変わりはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎!

歌と演奏で味方を鼓舞し、立ちはだかる者を討ち払うトップアイドル。
さすがわたし、国民的スタアは伊達じゃありません。
…あ、自画自賛してる場合ではありませんね。
立ちはだかるなら、それに挑むのは現在のわたしも同じです。

「今日のわたしは、昨日のわたしには絶対負けません!」
これが帝を永遠に封じるために編み出したばかりの技、過去のわたしが知らない力です!
【断罪の櫻花剣】を発動。
「人々に仇為す悪しき者よ!永劫の闇へと還りなさい!」
破魔の力を込めた歌によって召喚した、桜色に輝く光の聖剣を構え、過去のわたしごと神王の姿をした幻朧帝を一刀両断します。
「さようなら、過去のわたし、そして古の悪しき者!」



「歌と演奏で味方を鼓舞し、立ちはだかる者を討ち払うトップアイドル」
 幻朧帝イティハーサの手で骸の海から引きずり出された過去の猟兵の中に、ひとり違う動きをするオブリビオンがいるのにフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は気付いていた。自らのパフォーマンスによって仲間全体の力を引き上げる、その者こそ紛れもない『過去の自分』だった。
「さすがわたし、国民的スタアは伊達じゃありません」
 幼い頃から様々な楽器に親しみ、楽器演奏と歌唱について天性の才を発揮してきた。サクラミラージュの各国首脳にもファンがいるという噂の、押しも押されぬ大スタア。そのカリスマ性は過去のオブリビオンでも陰りはないようだ。

「……あ、自画自賛してる場合ではありませんね。立ちはだかるなら、それに挑むのは現在のわたしも同じです」
 此度の舞台は広大無辺の無限地獄。しかし、どこであろうともスタアが立つなら最高のステージになる。マイクを握ったフィーナは自信に満ちあふれた表情で過去の自分――最強のライバルと対峙し、真っ向から挑戦状を叩きつけた。
「今日のわたしは、昨日のわたしには絶対負けません!」
『さてどうでしょう。そんな道理を打ち破ってこそのスタアです!』
 過去のフィーナとて負ける気は欠片もなく、歌声をユーベルコードにして攻撃を仕掛けてくる。その威力は現在と比較しても遜色ないだろう。ただ歌い返したところで結果はよくて互角、相打ち以上にはなるまい。背後にイティハーサも控えているとなれば現在側の不利は否めないが――。

「これが帝を永遠に封じるために編み出したばかりの技、過去のわたしが知らない力です!」
 ここでフィーナは【断罪の櫻花剣】を発動。破魔の力を込めた歌唱によって、桜色に輝く光の聖剣が召喚される。
 過去の自分が『それは一体……?!』と目を丸くした通り、これが現在のフィーナの奥の手。長きに渡って幻朧帝を封じ続けてきた幻朧桜と同色の光を放つ、それを見ればイティハーサも警戒を強める。
「あの剣からは忌まわしき力を感じる。止めよ」
『言われなくても……!』
 神王サンサーラと融合した幻朧帝と、過去のオブリビオンによるユーベルコードの同時攻撃が迫る。だが、その前にフィーナは聖剣を構えると、邪悪を断罪する宣告と共に、立ちはだかる両名に向かって渾身の一太刀を振り下ろした。

「人々に仇為す悪しき者よ! 永劫の闇へと還りなさい!」
 断罪の櫻花剣エンペラー・スレイヤーから放たれる、花吹雪の如き桜色の極光。それは巨大な斬撃波と化して、過去のフィーナごとイティハーサを斬り伏せる。その一撃は神王の力を再現した【骸眼『サンサーラナラーカ』】の完全性を損なわせるのに十分な威力があった。
「さようなら、過去のわたし、そして古の悪しき者!」
「『――……!!!』」
 再び骸の海へと還りゆく過去と、膝を突いた幻朧帝に別れの言葉を告げて、サクラミラージュのスタアは凛と立つ。
 かの世界が夢幻の如きかりそめの世だったとしても、そこで育まれた生命の力は本物だ。輝き続ける彼女の歌こそ、それを証明するひとつと言えるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・夕凪
骸の海より浮かんだ己自身を斬るというのは、またなんとも難しき問答です
まさに悟りに至る為の御仏の問い

私の答えはひとつ
この瞬間とて、今の私は成長し、過去の私はそのまま
故に、より『さいわい』へと近付く者が勝つのみ

過去の私と幻朧帝ともども正面に捉え、UC『陰転・凪』にて構えましょう
自ら攻撃出来ずとも、反撃に特化したこの技を前には互いに待ちの構えとなるばかり
ですが、イティハーサは知らずに攻める筈

迫る八寒地獄の冷気を風を操る『涙切』で弾き返し、その力を乗せた返し刃の一閃を過去の私へ
限界突破のその先、この刹那に私は未来を掴むのだと一念の刃と化しての早業で

斬り棄てれば、そのまま早業で幻朧皇へと迫り破邪の一刀を



「骸の海より浮かんだ己自身を斬るというのは、またなんとも難しき問答です」
 幻朧帝に引きずり出された『過去の自分』と対峙しながら、そう呟くのは山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)。何時頃の自分かは定かではないが、容姿も剣を構える所作もまるで鏡写しのよう。力量においてもおそらく差はあるまい。
「まさに悟りに至る為の御仏の問い」
 相打ちであってはならない。過去の自分に勝利した上で『幻朧帝イティハーサ』を討たねば、広大無辺の無限地獄サンサーラナラーカは他世界への侵略を始める。帝都櫻大戰も最終盤を迎えたこの局面において、彼女はいかなる攻略法を編み出すのか。

「私の答えはひとつ。この瞬間とて、今の私は成長し、過去の私はそのまま。故に、より『さいわい』へと近付く者が勝つのみ」
 過去の自分と幻朧帝ともども正面に捉え、夕凪は【陰転・凪】の構えを取る。黒刀『涙切』を手に、無念無想の境地にて相手の一挙一動を注視する。先に仕掛けさせたうえで反撃する後の先の型。過去の自分も当然それは知っている。
『人は成長もすれば衰えもします。あなたが本当に「さいわい」に近付けているのか、見極めさせて頂きましょう』
 過去の夕凪もまた、未来の自分と同じ型で応じる。自ら攻撃できず、後の先に特化したこの技を前にしては、互いに待ちの構えとなるばかりは必然。じっと立ち止まったまま敵の隙を窺う、息詰まるような達人同士の読み合いになる。

「なにを見合っているか」
 しかし、イティハーサは知らずに攻める。骸の海から過去の夕凪を呼び出しても、能力の全容を把握している訳ではなかったか。分かっていれば迂闊に動かなかっただろうが、傍目には奇妙な膠着状態に痺れを切らして【神鷹『サンサーラナラーカ』】を放ってしまった。
「あらゆる流れを、この刃に」
 神鷹の羽ばたきから迫る八寒地獄の冷気を、風を操る『涙切』の力で弾き返す夕凪。【陰転・凪】の真髄は、弾いた攻撃の威力と効果を刃に乗せることにある。幻朧帝という外的要素の力が加わることで、過去と現在の均衡が崩れた。

「この刹那に、私は未来を掴みます」
 八寒地獄の力を乗せた返し刃の一閃。限界突破のその先へ、ただ一念の刃と化しての早業は、神速の域に到達する。
 過去の夕凪もまた【陰転・凪】を以て、その一撃をさらに弾き返さんとするが――極限まで研ぎ澄まされた執念が、僅かに勝った。
『……見事、です』
 斬り棄てられた過去は最期に言葉を遺し、骸の海に還っていく。そのまま未来の夕凪は雪風の如く幻朧帝へと迫る。
 反撃の暇は与えない。雪女のように涼やかな容姿の内に秘められた生命と意志の熱は、地獄の冷気を以てしても消せはしない。

「これが私の答えです」
「馬鹿な、事を……」
 振り下ろされた破邪の一刀が、イティハーサの身体を深々と抉る。証明はここに成され、未来は過去に打ち勝った。
 世界には未来も生命も不要と断じる幻朧帝からすれば、その行為は愚かとしか言えぬだろう。何故まだ抗おうとするのかと、彼の裡には苛立ちが募り始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水澤・怜
現れる過去の自分『影朧斬り』
血濡れの下士官服に身を包み癒しなく影朧を斬り続けた復讐鬼

十中八九予想できたとはいえ…やはり目の前にすると胸が痛む
だが…お前は俺が一生かけて償わなければならぬ罪
足を止めるわけには…いかない!

医学も癒しの力も否定し武力に溺れた過去の俺に純然な力比べは不利
ならば…!

UCを発動し相手にダメージ、自身には回復を与え続けた状態で青藍を投擲しつつ撹乱
第六感で攻撃を受け流しつつ月白で斬り込むタイミングを伺う
かつての俺ならばこのような戦い方は卑怯だと罵っただろう
だがお前と今の俺は戦う理由が違う

そしてこのUCの元ではお前も完全な状態ではいられまい…!
弱体化したイティハーサに月白の一撃を



「やはり現れるのはお前か……『影朧斬り』」
 骸の海から引きずり出された『過去の自分』を、水澤・怜(春宵花影・f27330)はそう呼んだ。血濡れの下士官服に身を包み、妖気纏う軍刀を携えた、その姿は見間違いようがない。故郷を影朧に滅ぼされた怒りから、復讐鬼と化していた頃の自分だ。
「十中八九予想できたとはいえ……やはり目の前にすると胸が痛む」
『そう感じるのは、お前が過去から目を背けた臆病者だからだ』
 癒しではなく復讐のために影朧を斬り続けてきた修羅は、違う道に進んだ未来の自分を糾弾する。あの喪失を、怒りを忘れてしまったのかと。怨敵どもに救済など不要だと。自らも憎むべき影朧オブリビオンと化したが故に、彼の憎悪は尽きることも消えることもない。

「だが……お前は俺が一生かけて償わなければならぬ罪。足を止めるわけには……いかない!」
『腑抜けたか。ならばそこを退け、俺がお前に成り代わってやる』
 決意を礎に立つ現在の怜に、過去の怜が斬り掛かる。医学も癒しの力も否定し武力に溺れた『影朧斬り』は、純然な力比べにおいては秀でている。救うことを放棄し、ただ命を奪うために研ぎ澄まされた刃――自分で体感してみると、これほど脅威だったのかと思わずにはいられない。
「ならば……!」
 怜は淡白く光輝く桜の花弁を散布し、骸の海上に浄化の力を宿した【桜花神紋】を描く。この結桜紋の中にいる味方は癒やしを、敵はダメージを受け続ける。これで自身を回復しながら攻撃する算段だ。癒しを棄てた『影朧斬り』には真似できぬ技であろう。

『チッ……』
 肌にびりびりと痛みを感じ、『影朧斬り』は舌打ちしながら紋を構成する花弁を切り払おうとする。そうはさせじと怜は医療メス「青藍」を投擲して撹乱。攻撃の矛先がこちらに向けば、第六感による予測と軍刀「月白」で受け流し、逆に斬り込むタイミングを窺う。
「かつての俺ならばこのような戦い方は卑怯だと罵っただろう。だがお前と今の俺は戦う理由が違う」
『なぜだ! なぜお前は……お前は俺のはずだ! あの日の事を忘れたのか!』
 毅然たる態度で戦う怜に、激昂して問いかける『影朧斬り』。いまだ復讐の念に囚われ続けたままの彼からすれば、現在の怜の思考は理解不能だろう。胸を抉られたような空虚さも、身を焦がすような熱も、全て過去にしてしまったのかと問う自分に、男は静かに刀を振るった。

「忘れてなどいない」
 邪心、病、世のあらゆる闇を斬ると誓った、蒼白き月白の刃が過去を断つ。無念の表情のまま骸の海に還っていく己を見て、されど怜は立ち止まらず前に進む。償うべき罪も果たすべき使命も全て背負い、彼は己が為すべき事を為す。
「そしてこのユーベルコードの元ではお前も完全な状態ではいられまい……!」
「忌々しい桜め……未だ儂の邪魔をするか……!」
 【桜花神紋】の霊力で【骸眼『サンサーラナラーカ』】の完全性を損ない、弱体化したイティハーサに月白の一撃が叩き込まれる。桜の下に封じられし「諸悪の根源」にして「不死の帝」は、桜の精より受けた傷をなぞり、怒りに震えながら後退した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
常に第六感と瞬間思考力と怪力を発動

…過去の私ですか
過去の自分を見て戦闘態勢をとる

真っ向勝負を仕掛けてくるでしょう…逃げてばかりの父様への反抗と自分の存在意義を証明する為に必死ですからね

敵のUCに対しては心眼と気配感知で見ながら推力移動で回避

足元がお留守ですよ?
過去の自分は肩にいるフラウディが適用足元に結界術を展開してバランスを崩したら殴り飛ばす

無限絢爛天理陰陽術式…無限昇華!
指定UCの効果でUC無限昇華を発動

逃げるのは恥ではありません…父様の話を聞いてあげてください
指定UCで敵の攻撃を地面に潜って回避して超神越速の一撃を過去の自分にくらわせた

貴方もくらいなさい…
敵には次元干渉の衝撃波を放ち攻撃



「……過去の私ですか」
 幻朧帝イティハーサが骸の海から引きずり出した『過去の自分』を見て、西恩寺・久恩(妖怪陰陽師(物理)ここに見参!・f42881)は戦闘態勢をとる。見たところあれはまだ荒んでいた頃の自分のようだ。妖怪でありながら妖力を持たず、養父ともきちんと向き合えていなかった頃の。
(真っ向勝負を仕掛けてくるでしょう……逃げてばかりの父様への反抗と自分の存在意義を証明する為に必死ですからね)
 なにも持たない当時の自分にできる存在証明といえば、強さを見せつけることくらい。自衛のために続けた筋トレの成果である、常人離れした怪力と【超越者の肉体】は持っていると考えるべきだろう。加えて『幻朧帝イティハーサ』の存在も無視できない。

「生命よ、失せよ……もはや汝等は不要である」
「あなたに決めつけられる事ではありません」
 イティハーサが【神鷹『サンサーラナラーカ』】を発動すると、久恩は心眼で八寒地獄の気配を察知し、推力移動で冷気を回避する。彼女の鋭敏な第六感と瞬間思考力は、同時にこちらに向かってくる過去の自分の様子を捉えていた。幻朧帝と連携して未来の自分を殴り飛ばすつもりのようだが――。
「足元がお留守ですよ?」
『え……きゃっ!?』
 久恩の肩にいる式神「フラウディ」が、地面に結界術を展開する。それに足元をすくわれた過去の久恩は、勢い余ってバランスを崩し、逆に未来の自分に殴り飛ばされる羽目になった。ただ我武者羅に突っ込んでくるだけの駄々っ子の動きなんて、容易に予想できるのだ。

「無限絢爛天理陰陽術式……無限昇華!」
 さらに久恩は【無限絢爛天理陰陽術式『無限昇華』】を発動。紅い霊力を纏った狐神に変身すると、同時に発動した【無限天理陰陽術式『神出鬼没』】の効果で地面に潜る。骸の海は不快だが、八寒地獄の冷気もここまでは届くまい。
「逃げるのは恥ではありません……父様の話を聞いてあげてください」
「っ……父……様……」
 その状態から全身を脱力させ、瞬時に筋力を引き締めることで放つ超越神速の一撃。妖怪の視力を以てしても追えぬ速さで飛び出してきた久恩は、過去の自分に拳をくらわせた。父と、そして自分と向き合うことで得た精神の成熟――それが彼我の勝敗を決める要因となり、過去は骸の海へと還る。

「貴方もくらいなさい……」
「ぬうっ……小癪な……!」
 すかさず久恩はイティハーサにも衝撃波を放って攻撃する。狐神の霊力を込めたその一撃は次元に干渉し、骸の海そのものとも言える幻朧帝にもダメージを与える。白骨めいた老爺の表情が苦痛に歪むところを、彼女はしかと捉えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
よし、来いよ!イティハーサ!
敵と対峙する

イティハーサ!邪魔するな!
敵のUCに対しては心眼で見ながら推力移動で回避しつつオーラ防御を展開して防御する

https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=54494の自分を見て分かった事は勘違いと独善で周りが見えなくなる筈なのでデビルキング法は間違っていなかったぞ!って言えば冷静さは失う筈

…どうしてその法律が出来たのかちゃんと考えようぜ、私
過去の自分の攻撃をブラッドムーンでシャドウパリィして態勢を崩したら指定UCを発動して過去の自分が倒れるまで殴る

次はお前だ!
超次元能力で敵の懐に入り込み虹神炎を纏った拳で敵を殴り飛ばした



「よし、来いよ! イティハーサ!」
 世界全土が骸の海に満たされた『サンサーラナラーカ』にて、エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)は『幻朧帝イティハーサ』と対峙する。奴こそがサクラミラージュにおける諸悪の根源、新世界を創造し既存世界を侵略せんとする者だ。
「汝の相手は汝の過去が務めよう」
 イティハーサは己の足元で湧き出す骸の海から、また一人新たなオブリビオンを――エリンの過去を引きずり出す。
 そして自らは【天矢『サンサーラナラーカ』】を発動し、大焦熱地獄の炎を纏った天羽々矢で包囲攻撃を仕掛けてくる。世界すら創り出すほどの超存在からすれば、これでもまだ児戯に等しかろう。

「イティハーサ! 邪魔するな!」
 エリンは過去の自分の姿を見るなり、先程の言動をひっくり返して標的を変えた。迫りくる炎の矢は心眼で見極め、推力移動による回避とオーラ防御で凌ぎつつ、同時に迫る自分からの攻撃に備える。過去とはいえ戦闘力や能力は同等なら油断はできない。
『てめぇも敵だな! 覚悟しろ!』
 と叫びながら拳に虹色の炎を宿し、殴りかかってくる過去の自分がどんな心理で行動しているかをエリンは考える。
 過去の依頼であった出来事を振り返りながら昔の自分を見て分かったのは、勘違いと独善で周りが見えなくなりやすいこと。一旦こうと思い込むと歯止めが効きづらいことだ。

「デビルキング法は間違っていなかったぞ!」
『ええっ?!!』
 そこでエリンは過去の自分がまだ勘違いしているだろう誤りを指摘する。バトル・オブ・オリンピアの頃までデビルキング法は意味わかんねえ悪法だと決めつけて、ガチデビルに怒りを燃やしていた彼女にとって、これは衝撃的な事実だった。
「……どうしてその法律が出来たのかちゃんと考えようぜ、私」
 冷静さを失った過去の自分の攻撃を「崩壊邪神王龍ブラッドムーン」をシャドウパリィし、体勢を崩したところで【虹炎の神エリン・エーテリオン・ライオット】に変身。超越の自由を象徴する虹色の炎を纏って、拳を叩きつける。

『そんな……私はてっきり……』
 倒れるまで殴られ続けた過去のエリンは、困惑と驚愕の表情のまま骸の海に溶けていく。もう二度とあんな勘違いはしないように考えよう――過去からの教訓を改めて心に刻んだ現在のエリンは、変身を解かぬまま幻朧帝イティハーサに向き直る。
「次はお前だ!」
「この愚か者めが……ッ?!」
 相手が新たな矢を番えるよりも速く、超次元能力で懐に入り込んだエリンは、虹神炎を纏った拳をもう一度振るう。
 殴り飛ばされたイティハーサは動揺を表情から隠しきれぬまま、骸の海に這いつくばる。エンシェント・レヰスたちの封印を破ってなお、これほどの危機に見舞われるとは、彼もまた重大な勘違いを犯していたようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカシオン・カーネーション
お前を倒す…イティハーサ
『虹炎の神としてやってやるのだわ〜!』
敵が大物な為、シエルもかなりやる気だ
そして敵と過去の自分と対峙する

よし、お前後で殴る
敵のUCは心眼で見ながら推力移動で加速しながら回避する
避けきれないならオーラ防御を展開して防御する

過去の自分は一人で戦おうとする思考があるのでそれを利用する

…一人で戦うのか?
過去の自分の攻撃は心眼で攻撃を見切りアズリエルの斬撃波で切り裂く

消えな…過去の私
『なのだわー!』
UCを発動し槍で過去の自分を分解した


くらいな!反魂輪廻の槍!
『これで終わりなのだわ〜!イティハーサ!』
次元能力で瞬間移動してから敵の背後虹炎の槍を出現させてそのまま敵に突き刺した



「お前を倒す……イティハーサ」
『虹炎の神としてやってやるのだわ〜!』
 侵略新世界『サンサーラナラーカ』にて、神王サンサーラと融合した『幻朧帝イティハーサ』に啖呵を切るリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)。敵が最終決戦に相応しい大物な為、相方のシエルこと「虹炎神アルカンシエル」もかなりやる気だ。
「まだ諦めぬのか、六番目の猟兵よ。返り討ちにしてくれよう」
『おう……問題ない、ウチひとりで十分だ』
 二人と対峙するのはイティハーサ本人と、彼に呼び出された『過去のリュカシオン』。虹色の髪をなびかせた女性が虹色の炎を燃え上がらせると同時に、幻朧帝の弓より【天矢『サンサーラナラーカ』】が放たれる。性質は異なれど、両名の技は奇しくも炎である。

「よし、お前後で殴る」
 リュカシオンはイティハーサにそう言って、飛来する焦熱地獄の矢を心眼で捉えつつ回避する。推力移動による加速でも避けきれない矢は「虹神炎覇気」のオーラを展開して防御だ。将を射んと欲すれば先ず馬を――という訳ではないが、まずは過去の自分から倒すべきと判断している。
「……一人で戦うのか?」
『ああ。そっちも好都合だろ、未来の私』
 過去の自分は一人で戦おうとする思考があるので、それを利用しようと考えていたリュカシオン。その思考は過去の自分も読んでいたようで、その上であえて勝負を仕掛けてくる。虹炎を操る両者の戦闘力は互角であり、容易に決着はつかぬだろう。

「やるな」
『当然だろ』
 過去の自分の攻撃を心眼で見切り「天災邪神鎌龍アズリエル」の斬撃波で切り裂かんとするリュカシオン。しかし、過去のリュカシオンもまったく同じように攻撃を見切って反撃してくる。まるで鏡写しのような戦いが繰り広げられるが、ここは骸の海に満たされたサンサーラナラーカ。戦闘が長引けば不利になるのは猟兵のリュカシオンだろう。
「消えな……過去の私」
『なのだわー!』
 そこでリュカシオンは【虹炎の神・レーヴ・アルカンシエル“反魂輪廻の槍”】を発動。アルカンシエルの力を借りて虹炎神の権能を解放し、虹炎で造られた槍を過去の自分に突き立てる。自分以外の者と協力しなければ発動できないユーベルコード――あくまでも「自分一人」にこだわった過去のリュカシオンは、これに対抗できなかった。

『やられたか……流石私だ』
 槍の力によって魂と肉体を分解された過去のリュカシオンは、塵ひとつ残さず消滅する。その満足げな表情を見届けたらすぐに、現在のリュカシオンはアルカンシエルと共にイティハーサに迫る。オブリビオンすら超える超越者が相手でも、こいつを受けて無事では済まないはず。
「くらいな! 反魂輪廻の槍!」
『これで終わりなのだわ〜! イティハーサ!』
「っ……なんだ、この力は……おぉぉぉッ!!!」
 次元能力による瞬間移動で背後に出現した虹炎の槍が、そのまま幻朧帝に突き刺さる。焦熱地獄の炎で焼かれるよりも熱く、魂まで灼き焦がされる痛みに、たまらず彼は咆哮し――白骨の如きその躰が、現界を維持できなくなりつつあるのを、しかとリュカシオンたちは見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
これが…過去の僕?!
『…』
オブリビオンの自身を見て驚く
エスパスさんは俯いていた

敵のUCは敵の神鷹の羽ばたきは心眼で見て推力移動で回避して八寒地獄の冷気は高速詠唱で念動力を纏った結界術を展開して防御する

過去の僕はタタリと戦う前だから甘ったれな筈

過去の僕に素早く電撃属性攻撃の弾幕を放った後水属性の迷彩で隠れる

僕は僕自身を乗り越える!
『…ソラウ、ええ!』
指定UCを発動し破滅の歌姫に変身して滅殺の歌で過去の僕に攻撃しエスパスさんも過去の僕に時空属性攻撃の斬撃波を放ち攻撃する

行くよエスパスさん!
『ええ…!行くわよ!』
過去の自分を倒したら指定UCの効果でUC時空武神・ウール・エスパスの超連撃で敵に攻撃する



「これが……過去の僕?!」
『……』
 骸の海から現れたオブリビオンの自身を見て、ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)は驚き、その契約者である「時空神エスパス」は俯いていた。誰しも普通に生きていれば『過去の自分』と相対する機会などなく、そこには現在との意外な差異があるものだ。
「自らの過去に敗れるがいい」
「……!」
 ソラウの過去を引きずり出した『幻朧帝イティハーサ』はそう言って【神鷹『サンサーラナラーカ』】から八寒地獄の冷気を浴びせる。彼の持つ弓にとまった神鷹が羽ばたく瞬間を心眼で見たソラウは、咄嗟に推力移動で距離を取る。

「危ない!」
 高速詠唱で念動力を纏った結界術を展開し、冷気に生命力と意志の熱を奪われるのを防ぐ。此度の戦争の元凶だけあって、ちょっと触れただけでも凍えそうな凄まじい力だ。さらに間髪入れず過去のソラウも槍を構え、現在のソラウに襲い掛かってくる。
(過去の僕はタタリと戦う前だから甘ったれな筈)
 彼女の種族であるクロノドラグマ星人は、時間と空間を操る能力で宇宙の秩序を保ってきたという強大な宇宙人だ。
 それがオブリビオンとなって秩序を乱す側になれば、恐るべき脅威に違いない。だが過去と現在の経験の違いから、ソラウは勝機を見出していた。

「えいっ!」
『こんなもの……あれっ、どこに行ったの?』
 ソラウは過去の自分に素早く電撃の弾幕を放つ。それ自体は簡単に防がれてしまうが、稲光が目眩ましになっている隙に、水属性の迷彩で身を隠す。こうした搦め手にまだ慣れていない過去のソラウは、未来の自分を見失って目をぱちくりさせた。
「僕は僕自身を乗り越える!」
『……ソラウ、ええ!』
 この間にソラウは【ソラウの歌『愚者』】を発動し、破滅の歌姫に変身。概念を無効化する滅殺の歌を奏でて、過去の自分に反撃する。彼女の覚悟を見て取ったエスパスも、時空の力を斬撃波に乗せて放ち、過去のソラウを追撃する。

『きゃぁぁぁぁぁっ!!?』
 二人がかりで全力の不意打ち――現在でも耐え切れないだろう攻撃を食らった過去のソラウは、甲高い悲鳴を上げて骸の海に還る。仲間と一緒に過去の自分を乗り越えたソラウは、その勢いのまま次は幻朧帝イティハーサに仕掛ける。
「行くよエスパスさん!」
『ええ……! 行くわよ!』
 発動するのは【時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】。修行を経て時空神の力を高めたエスパスと、心をひとつにして放つ連続攻撃だ。次元を断つ斬撃の嵐が骸の海に満ちた広大無辺の無限地獄サンサーラナラーカを切り裂き、その切っ先を幻朧帝に届かせる。

「かくも生命とは往生際が悪いものか……!」
 またひとつ傷を負わされたイティハーサが、不快極まりない様子で猟兵たちを睨む。エンシェント・レヰスを従え、万全の侵略新世界で迎え撃ってもこの有り様。六番目の猟兵が――生命が持つ底知れぬ可能性を彼も感じ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラーウム・ティラメイト
おやおや…興味深いですね…
『ケー』
私は過去の自分を見て興味津々だった
オベイも過去の私を見てとっても興味津々な様子

まずは回避しましょう…
敵のUCは心眼で神鷹の動き見て素早く呪殺弾を放ち攻撃しながら推力移動で攻撃範囲から逃げつつ結界術で防御する

過去の自分はオベイが復活していないしまだ柔軟な思考が出来ていない筈です

過去の私は随分思考が硬いですね…変身!
指定UCを発動して心眼で過去の自分の動きを見て生命力吸収と魔力吸収の斬撃波を放ち攻撃する
分身達は必中の剣で過去の自分に攻撃する

必殺オベイディストピアです…
指定UCの効果でUC因果獣神皇オベイ・ディストピアを発動して敵に不可視の防御貫通の鳥を放ち攻撃する



「おやおや……興味深いですね……」
『ケー』
 好奇心旺盛なフラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は、オブリビオンになった『過去の自分』を見ても興味津々だった。一緒にいる「ディストーション・オベイ」も、過去の彼女がとっても気になる様子。
『未来の私ですか……とても興味深いです』
 そして、それは過去のフラーウムも同じだったようで、彼女からすれば『未来の自分』をじっと見つめ返してくる。
 外見も思考も能力もほぼ同じ。違いといえば彼女の傍らにはオベイがいない事くらいか。だが、変わりに向こうには彼女をオブリビオンとして引きずり出した張本人、『幻朧帝イティハーサ』が控えている。

「まずは回避しましょう……」
 イティハーサの【神鷹『サンサーラナラーカ』】が羽ばたくのを心眼で捉えたフラーウムは、素早く呪殺弾を放つ。
 これは間に割り込んだ過去のフラーウムに阻まれてしまうが、敵の攻撃範囲から逃げる隙ができれば十分。推力全開で距離を取りつつ、結界術で八寒地獄の冷気を防御する。
(過去の自分はオベイが復活していないし、まだ柔軟な思考が出来ていない筈です)
 自分の好奇心を優先するあまり、極端に走りがちだった記憶を鑑みて、フラーウムは過去の自分の攻略法を考える。
 オベイの存在は彼女にとって頼れる相方であり視野を広げてくれる存在でもある。それがいるといないとでは、行動に大きな差が出るはずだ。

『未来の私が何をするのかもっとよく見せてください』
「過去の私は随分思考が硬いですね……変身!」
 自分には八寒地獄が効かないのを良いことに、遮二無二突っ込んでくる過去のフラーウム。対する現在のフラーウムは過去の自分の動きを心眼で見つめながら【因果獣神皇・チェイス・オベイ・ディストーション】を発動。死霊のマフラーにチェーンソーの翼、腕から4本の剣を生やした因果獣神皇に変身する。
「追撃ですよ……オベイ」
『まあ……!』
 この形態の能力は増殖による分身召喚。未来の自分にばかり気を取られている隙を突いて、分身が過去のフラーウムを急襲する。四方八方から必中の剣を突き立てられ、斬撃波を浴びせられ、生命力と魔力を吸収された過去は、目を丸くしながら骸の海に還っていった。

「必殺オベイディストピアです……」
「なんだ、その技は……ぬうッ!!」
 すかさずフラーウムは【因果獣神皇オベイ・ディストピア】を発動して、イティハーサのもとに不可視の鳥を放つ。
 因果獣の力を具現化したその鳥は、自尊心喪失による希死念慮、全身の激痛、消えない罵倒で心身両方を攻撃する。それは不死の帝であるイティハーサでさえ顔をしかめるほどで、無視できないダメージが蓄積されつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
わあ…過去の私か…
『ちょうどいい、乗り越えてみろ…エル』
過去の自分を見て驚いているとミナルアさんが私に声をかけてきた

敵のUCは熱属性のオーラ防御で防御しつつ心眼で神鷹を見ながら素早く神滅属性の矢弾の雨を放ち攻撃しつつ冷気が発生している範囲から逃げる


過去の自分は意外と考え無しな性格なので有利な状況になってるとリスクを考えず攻めようとする筈


敵もガンナイフを使ってくる筈なので飛び道具はオーラ防御で防いで殴る為に接近してきたら神剣で敵を切り裂いた(怪力で強化)
指定UCの効果でUC逆行奥義・星屑の天流を発動し止めを刺す

『イティハーサ、貴様を切り捨ててやろう!』
ミナルアさんが敵に指定UCを発動して攻撃した



「わあ……過去の私か……」
 幻朧帝イティハーサの力で骸の海から引きずり出された『過去の自分』。それは現在のエリュファシオン・アルティウス("やんきー"を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)と瓜二つな姿と、遜色ない力を秘めていた。考えなしにぶつかれば負けずとも勝てない、よくて相打ちだろうと直感的にわかる。
『ちょうどいい、乗り越えてみろ……エル』
 エリュファシオンが過去の自分を見て驚いていると、星霊「ミナルア」が声をかけてきた。たとえ戦闘力が同等でも過去からまったく成長していない訳ではない。その証をここで示せと彼女は言っているのだ。それが未来に向けたさらなる成長の切っ掛けにもなる。

「乗り越える事などできない。過去は無限なのだから」
 すでに未来も生命も不要と見做している『幻朧帝イティハーサ』は、猟兵たちの向上心をあざ笑うかのように【神鷹『サンサーラナラーカ』】を発動。神鷹の羽ばたきが八寒地獄の冷気を呼び寄せ、全ての生命から意志の熱を奪い去っていく。
「こんな所で凍ってる場合じゃないな」
『だったら私が撃ち抜いてあげようか』
 エリュファシオンは熱属性のオーラで冷気を防ぎつつ、心眼で神鷹の羽ばたきを見ながら「シャドウ・ガンナイフ」より神滅属性の銃弾の雨を放つ。それを同じく銃弾の雨で弾き落とすのは過去のエリュファシオンだ。同等の戦闘力を持つ彼女を先に倒さなければ、イティハーサに攻撃は届かない。

(過去の自分は意外と考え無しな性格なので有利な状況になってるとリスクを考えず攻めようとする筈)
 冷気が発生している範囲から逃げつつ、エリュファシオンは過去の自分の行動パターンを想像する。イティハーサの敵にのみ効果を及ぼす【神鷹『サンサーラナラーカ』】は、オブリビオンである過去のエリュファシオンには影響がない。冷気が戦場を渦巻いている間に決着をつけに来るはずだと。
『お互い二対一だ、卑怯なんて言うなよ』
「言わないさ」
 過去のエリュファシオンが使う武器も、現在と同じガンナイフ。今と遜色ないクイックドロウから放たれる銃撃は、しかし逆に言えばクセが分かっているということ。オーラで弾丸を防ぎ止めれば、次は殴るために接近してくる――。

「踏み込みすぎたね」
『?! しまった!』
 相手が間合いに踏み込んできた瞬間、エリュファシオンはすかさず武器を持ち替える。未来の自分に誘われていたとは予測できなかったか、驚愕する過去のエリュファシオンを神剣「THE・ANOTHER・ONE」が切り裂く。たとえ掠めただけでも、超高速で振動する刃は傷口を大きく抉る。
「これで終わりだよ」
 さらにエリュファシオンは【逆行奥義・星屑の天流】を発動。拳と蹴りとガンナイフを組み合わせた四連撃を繰り出し、過去の自分に止めを刺す。与えられた課題を見事に乗り越え、骸の海に還っていく自分を見つめる彼女の表情は、また一回り成長したように見えた。

『イティハーサ、貴様を切り捨ててやろう!』
 過去のエリュファシオンが消えた直後、孤立したイティハーサに攻撃を仕掛けるのはミナルアだ。彼女の発動する【精霊魔導・ヴァイオレンス・パラドックス】は、無限大の強化を伴う魔法と斬撃の連続攻撃。いかなる存在だろうと防ぎきれはしない。
「手古摺らせてくれる……不要な生命めが」
 ラッシュの勢いに押された後退したイティハーサの躰から、混沌の一部と骨片が飛び散る。エンシェント・レヰスでさえ封印という手段に頼らざるをえなかった超存在に、誰も成し遂げられなかった"本当の死"が迫りつつあることを、この場にいる誰もが予感していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

本当に過去の妾が…
過去の自分を見て少し動揺していたが敵は待ってくれない

ええい!邪魔するな!
敵のUCは熱属性の結界術で防御しつつ迷彩で姿を消しながら推力移動で移動して攻撃範囲から逃げる


かかってこい!
過去の自分の攻撃は心眼で見ながら推力移動で回避する
自分はよくも悪くも正直な性格で真っ向勝負を仕掛けて来る筈なのでタイミングを見計らってクイックドロウの要領で凍結攻撃のエネルギー弾を放ち凍らせて電撃属性攻撃の斬撃波を放つ

次は貴様だ!
指定UCの効果でUC吸血鬼の女王を発動し変身して敵に時空破壊の波動を過去の自分に放つ

行くぞ!イティハーサ!蓮華の舞!
指定UCを発動して心眼で敵を見ながら敵を切り裂いた


黎明・天牙
夢幻戦線

お〜これが過去の俺か。おい、敵は待ってくれねぇぞ
過去の自分を見て感心していたがティニが動揺していたので声をかける


自分が相手とはやりづらいな、いや待てよ…
過去の自分の思考を読もうとすると裏をかかれそうなのでいっそ予想外を作ってみようと思った

ちゅんちゅ〜ん!
指定UCを発動して幻想を現実にする能力で地面をトランポリンにして過去の自分を跳ね飛ばす
ちゅん!
過去の自分が対応策を思いつく前に超越次元移動で敵の背後に回り込み蹴り飛ばす

ちゅちゅん!
敵のUCは視力と神眼と気配感知でで矢を見ながら推力移動で敵の距離を詰めつつ接近する

ちゅっちゅ〜ん!
奇跡を起こす力で敵に電撃を放ちその後、敵を蹴り飛ばした



「本当に過去の妾が……」
 レティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)の前に現れた『過去の自分』は、まだ叛逆により王座を奪われる前の自分――とある世界で吸血鬼の女王として君臨していた時代のレティシアだった。喪われた過去をまざまざと見せつけられ、少々動揺が隠せない。
「お〜これが過去の俺か。おい、敵は待ってくれねぇぞ」
「わ、わかっておる!」
 一方の黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)は過去の自分を見て感心していたが、動揺するレティシアを見て声をかける。どんなに衝撃的な過去を見せつけられても敵は待っていてくれない。ここは骸の海に支配された侵略新世界『サンサーラナラーカ』なのだから。

「自らの過去に敗れるか、地獄の業火に焼かれるか、好きな方を選ぶがよい」
「ええい! 邪魔するな!」
 敵は過去の自分のみにあらず、彼らを骸の海から引きずり出した『幻朧帝イティハーサ』も【神鷹『サンサーラナラーカ』】で攻撃を仕掛けてくる。神鷹の羽ばたきから放たれる八寒地獄の冷気を、レティシアは熱属性の結界術で防御しつつ迷彩で姿を消し、推力移動で攻撃範囲から逃げる。まずは過去の自分を倒すほうが先決だ。
「かかってこい!」
『威勢だけは良い事だな、未来の妾よ!』
 女王の威厳を帯びた過去のレティシアは、現在の自分が隠れている場所をピンポイントに攻めてくる。迷彩に意味はないと悟ったレティシアは、心眼で過去の自分の動きを見ながら推力で回避。猟兵として数々の経験を重ねて成長してきたが、今回の相手は言わば全盛期の自分――一筋縄ではいかないが、だからこそ負けられない。

『未来の自分と戦うのは流石に初めてだな』
「自分が相手とはやりづらいな、いや待てよ……」
 そして天牙も、過去の自分と一進一退の攻防を繰り広げていた。戦闘力に優劣がないのは当然だが、考えることも同じなので下手に思考を読もうとすると裏をかかれかねない。このまま攻めきれずに膠着状態に陥るくらいなら、いっそ予想外を作ってみようと思いつく。
「ちゅんちゅ〜ん!」
『おい、お前それは……うおっ!』
 発動するのは【『楽園』奥義・OVER THE PARADISE】。巨大な白雀に変身した彼は空想を現実にする能力を使い、骸の海で覆われた地面をトランポリンにする。突然足場が変化すれば過去の自分も予想はできず、宙に跳ね飛ばされて驚きの声を上げた。

「ちゅん!」
 天牙はすかさず超次元移動で猛追。過去の自分が対応策を思いつく前に、背後に回り込んで渾身の力で蹴り飛ばす。
 神速を超越するスピード、無限の弾力、神眼、そして奇跡を起こす力。夜明けの刻を告げる『楽園』の力が、骸の海に染まった過去を粉砕する。
『やられたか……まあ仕方ないな……』
 悔しそうに顔をしかめつつ、未来の自分に負けたのならまだ納得がいくのか、過去の天牙は潔く骸の海へと還った。
 思考の読み合いを超えた予想外の想像。まさしく過去にはない「未来」の可能性を魅せつけたが如き勝利であった。

(自分はよくも悪くも正直な性格、真っ向勝負を仕掛けて来る筈)
 一方のレティシアの過去・現在の戦いも、決着の時が近付いていた。やや押され気味なのは現在のレティシアだが、過去の自分の行動パターンを想定したうえでの行動である。地位も名誉も力も失い、一度はどん底から這い上がってきたからこそ培われた狡猾さ――それは過去の自分にはない武器になる。
『これで終わりに……なにっ?!』
「そこだ!」
 タイミングを見計らって、クイックドロウの要領でエネルギー弾を放てば、突っ込んできた過去のレティシアは避けられない。相手を凍りつかせたところで現在のレティシアは闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』を振るい、電撃を帯びた斬撃波で切り裂く。

「次は貴様だ!」
 その勢いのままレティシアは【吸血鬼の女王】を発動。眼前の自分と同じ黒いドレス姿に変身して、時空破壊の波動を放つ。不屈の精神と信念に裏打ちされたその一撃は、驚愕する過去のレティシアを木っ端微塵に打ち砕き、骸の海に送り返した。
「行くぞ! イティハーサ! 蓮華の舞!」
「ぬうッ……!!」
 即座にレティシアは追撃のユーベルコードを発動。標的をイティハーサに変えて、舞踊の如き連続攻撃を繰り出す。
 概念による防御も貫き、神速を超越した速度を誇る【蓮華の舞】は、幻朧帝とて避けられまい。斬撃が骨身を削り、白骨が軋む音が聞こえてきた。

「ちゅちゅん!」
「おのれ……!」
 さらなる追撃を仕掛けるのは変身中の天牙。怒れるイティハーサの【天矢『サンサーラナラーカ』】を神眼と肉眼で見極め、迫りくる焦熱地獄の気配を感知して包囲攻撃をかい潜りながら、次元を超越した推進力で距離を詰めていく。
「ちゅっちゅ〜ん!」
「このような事が……がはぁッ!」
 二の矢を放つ間を与えず、奇跡を起こす力が電撃を発生させ、イティハーサを痺れさせた直後に天牙が蹴り飛ばす。
 可能性を閉ざす不死の帝に対して、空想と可能性の力は意趣返しにふさわしかろう。憎々しげに睨み返しながらも、幻朧帝の力は着実に弱まっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
【カビパン】
サンサーラララナーナ(噛んだ)とか言う世界に浄化されつつあるんじゃないかしら悪霊的な意味でー!
だめだよ!正気保って!こうなったらもっとお姉ちゃんを増やそう!

ポーラと過去のポーラと
セフィリカお姉さんと過去のセフィリカお姉さんが召喚したカビパンお姉ちゃん
それに加えて本人と過去のカビパンお姉ちゃんで……6カビパン!

更にそれぞれのお姉ちゃんが製作総指揮の幻影カビパンを繰り出すなら……倍カビパンで12カビパン!
(過去と出会わないそうなので6カビパンに収まるかしら)
過去のポーラは大丈夫かしら。お姉ちゃんにけっこう振り回されたような振り回したような

この中で一人カビパンじゃないのがいまーす!イティハサおじさん!
とりあえず囲もう囲もう。そして踊ろう。何とは言わないけど3倍算に増えたし。
シュークリームとトマトとカレーをぶっこんだ料理と悪霊と駄洒落の鳴き声が自生する世界丸ごと学園インドの世界を作り出すわ!
徐々に追い詰めてこの世界全部をおじさんに流し込むわ!

たらふく……めしあがれ……!


セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃん、ポーラちゃんと

常に研鑽はしてるし自分に負ける余地はないな
『なら、剣に落ち着く前の私とやる?』

その時のシェル姉、マジで災害だったらしいし
流石に好き好んで挑みたくは……

私の分も何でカビィちゃんが出てくるわけ?
ポーラちゃん待って増やさないで!?

『アレに苦しめられた記憶が他のアレに引き寄せられたんじゃない。知らんけど』
……おい本人、何か弁明は……って何?
珍しくマジで体調が悪そうな
ああもう、しょうがないな……!

『不条理の塊が相手なのに楽しそうね』

ポーラちゃん、わかってるじゃん
カビィちゃんを相手にする最適解の一つはね、より強い理不尽をぶち込む事
正気の削れそうなカビダンス光景だけどそれもよし!
有効!これは有効です!

そして私の解。
カビィちゃんが怖い理由は、味方だからと、その存在感。
味方だから連携するべき相手なの。
故に戯言に耳を貸さざるを得なくて引きずり込まれる
敵にもあの無視できない存在感を突き付けていくのがいつものやり口
私の経験則からの最適解はね、耳を貸さずに全て吹っ飛ばす!はい解決!


カビパン・カピパン
カビパンは物凄く体調が悪そうにフラフラと力ない足取りでセフィリカとポーラと歩いている。
悪い事をした訳じゃないのに、何だろうか?この、思わず生まれてきてスミマセンと言って自殺したくなるような罪悪感は。
とても戦える状況ではない彼女は流石に戦場から離脱した。

その後はもうカオスだった。イティハーサから引きずり出された旧カビとセフィリア、ポーラに召喚された旧カビ×2と製作総指揮。イティハーサ本人も後悔するくらいカオスだったという。多分この背後はプレイングでテラカオスさを執筆するのができなかったのだろう。

(新カビと旧カビはあるタイミングまで顔合わせできない呪いみたいなのにかかっている設定)



「うぅ……気分悪い……」
 骸の海に満ちた広大無辺の無限地獄サンサーラナラーカを、フラフラと力ない足取りで歩くカビパン・カピパン(倫理規定に反している女・f24111)。まだ戦う前だと言うのに物凄く体調が悪そうだ。特に悪いものでも食べたとか、風邪を引いたとかそういうのでもないのに。
「サンサーラララナーナとか言う世界に浄化されつつあるんじゃないかしら悪霊的な意味でー!」
「ネタじゃなくてほんとに具合悪そうね。あとポーラちゃん、噛んだね」
 一緒にいるポーラリア・ベル(冬告精・f06947)とセフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)は、長い付き合いからいつもの悪ふざけをまず疑ったが、そういう事でもなさそうだ。こんな状態で果たして戦えるのだろうか――これから相手をする敵は『幻朧帝イティハーサ』のみならず、過去の自分まで立ちはだかるというのに。

「常に研鑽はしてるし自分に負ける余地はないな」
『なら、剣に落ち着く前の私とやる?』
 自信満々にそう語るセフィリカに、相棒兼姉貴分である意志持つ魔剣「シェルファ」が言う。今は落ち着いた様子でセフィリカを見守り、時に助言し、時にたしなめる彼女であるが、昔はやんちゃだった時期もあるのだろうか。少なくともそれを聞いたセフィリカの顔色は変わった。
「その時のシェル姉、マジで災害だったらしいし、流石に好き好んで挑みたくは……」
「お姉ちゃんたち、誰かいるよー!」
 そんなことを話しているうちに、ポーラリアから声がかかる。改めて前を向けばそこには記紀神話的な装束に身を包んだ、白骨の如き容貌の老人が佇んでいる。彼奴こそが神王サンサーラと融合し、この侵略新世界を創造した幻朧帝に他ならない。

「次は三人か。いや何人であろうと関係はない。皆すべからく自らの過去に敗れるがいい」
 厳かな態度で告げるや否や、イティハーサは骸の海から猟兵の『過去』を引きずり出す。セフィリカ、ポーラリア、そしてカビパン。三者三様の過去が姿を現す――と思いきや、なぜか人数が多い。具体的に言えば、カビパンが多い。
「あれはポーラたちが昔召喚したカビパンお姉ちゃん……!」
「私の分も何でカビィちゃんが出てくるわけ?」
「知らぬ。勝手に出てきた」
 縁の深い仲間を召喚して力を貸してもらうユーベルコードは、猟兵の中ではさほど珍しいものではない。自分の分身を作り出すユーベルコードも同様だ。なので戦場に複数人のカビパンがいることは実のところ過去にもあった。だが、これはイティハーサも予想外の事態である。

『アレに苦しめられた記憶が他のアレに引き寄せられたんじゃない。知らんけど』
「……おい本人、何か弁明は……って何?」
 一番ありそうな説をシェルファが唱えると、セフィリカはカビパン(現在)を藪睨みする。が、その彼女は返事もできないほど弱り果ててうずくまり、過去の自分の顔を見ようとすらしていない。珍しくマジで体調が悪そうな感じだ。
(悪い事をした訳じゃないのに、何だろうか? この、思わず生まれてきてスミマセンと言って自殺したくなるような罪悪感は)
 まるで「今はまだ過去と向き合う時ではない」と、肉体と魂が拒絶反応を起こしているような気分。知らないうちに呪いにでもかかっていたのだろうか、カビパン自身にも理由はわからない。厳密に言うなら「現在」と「過去」のカビパンの間には人格的な違いがあり、それが影響している可能性はある。

「だめだよ! 正気保って! こうなったらもっとお姉ちゃんを増やそう!」
「ポーラちゃん待って増やさないで!?」
 具合悪そうなカビパン(現在)をポーラリアは本気で心配しているが、それがなぜ「こうなったら」に繋がるのかは分からない。セフィリカの制止も間に合わず、【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】によって雪女姿の新たなカビパンが姿を現した。
「ポーラと過去のポーラと、セフィリカお姉さんと過去のセフィリカお姉さんが召喚したカビパンお姉ちゃん、それに加えて本人と過去のカビパンお姉ちゃんで……6カビパン!」
 そこから全カビパンが【こんな時、製作総指揮様がいてくれれば…!!】で製作総指揮の幻影カビパンを繰り出すなら、さらに倍カビパンで12カビパン。およそ前例のないだろうカオスが無限地獄に顕現するはずだったが――実際はそこまでいかなかった。

「あれっ、カビパンお姉ちゃんがいない!」
 とても戦える状況ではなかったカビパン(現在)は、流石に戦場から離脱したようだ。結局彼女が過去の自分――旧カビパンと顔合わせする機会はお預けとなり、それに伴って戦場のカビパン数も減少する。それでもまだ6カビパンほどいるが。
「過去のポーラは大丈夫かしら。お姉ちゃんにけっこう振り回されたような振り回したような」
「ああもう、しょうがないな……!」
『不条理の塊が相手なのに楽しそうね』
 ここにいる全員、旧カビパンの起こしたカオスは嫌というほど味わっている。故に心配するにせよ開き直るにせよ、侮る者は誰一人としていない。これから始まるのがマトモな戦闘ではないことを覚悟した上で、どうすれば自分よりも敵に被害を与えられるか。そんな立ち回りを考える。

「この中で一人カビパンじゃないのがいまーす! イティハサおじさん!」
「なんだと?」
 開戦(?)の号令となったのはポーラリアの一言だった。この世界の創造主にして支配者のはずが、いつの間にやらマイノリティになっていたイティハーサのもとに、カビパンたちがわらわらと集いだす。同じ顔にばっかり囲まれるのはシュールな光景だ。
「とりあえず囲もう囲もう。そして踊ろう。何とは言わないけど3倍算に増えたし」
 さながらキャンプファイヤーや学園祭などでやるフォークダンスのように、独特のリズムで踊りだすカビパンとポーラリア。こんな場所でやることでは絶対にないが、それでもやるからこそ理不尽であり、カオスの坩堝が生じるのだ。

「なんなのだこれは……?」
「『ナンですって?』」
 もはや世界に生命も未来も不要だと、達観した振る舞いを取っていた幻朧帝が、眼の前の光景をまるで理解できずに困惑している。彼の言葉の揚げ足を取って、ポーラリアとカビパンはどこからともなく鍋を取り出し、シュークリームとトマトとカレーをぶっこんでいく。
「ナンといえばカレーよね! サンサーラってインドっぽいし!」
 ぐつぐつと煮えたぎる料理からスパイスの香りが溢れ、悪霊カビパンの駄洒落の鳴き声が新世界を作り上げていく。
 ここは広大無辺の無限地獄ではなく学園インドの世界。広がり続ける骸の海にも負けないカオスの濁流が、幻朧帝の支配力に逆らう。

「ポーラちゃん、わかってるじゃん」
 巻き添えを喰らわないようにしっかり距離を取りつつ、セフィリカはポーラリアの行動を賞賛する。カビパンを相手にする最適解の一つは、より強い理不尽をぶち込む事。つまるところ自分自身もカオスを起こしてしまうことで相対的に被害を軽減するのだ。
「正気の削れそうなカビダンス光景だけどそれもよし! 有効! これは有効です!」
 どんな強者だろうとペースを乱されれば本調子を出せなくなる。今のイティハーサはカビパンを引きずり出したことを後悔しているだろう。まさか猟兵の中にこんな意味のわからんヤツがいるなんて想像できなかっただろうし、戦いもしないで敵であるはずの猟兵と踊っているし。セフィリカも気持はよく分かるが、同情はしない。

「そして私の解。カビィちゃんが怖い理由は、味方だからと、その存在感」
 ふいに真剣な表情でシリアスな雰囲気をかもし出しながら、セフィリカは次元格納庫の穴を開く。その向こう側で眠っているのは、無数の火砲を備えた超巨大要塞型ゴーレム【紫砲の将軍】。彼女が造ったゴーレムの中でも最大火力を誇る一体だ。
「味方だから連携するべき相手なの。故に戯言に耳を貸さざるを得なくて引きずり込まれる。敵にもあの無視できない存在感を突き付けていくのがいつものやり口」
 彼女が語ることはまさに現状、イティハーサが追い詰められつつある理由そのものだ。無視できずについ構ってしまうから、カビパンも調子に乗って余計に理不尽を振りまくのだ。まともに相手した時点で負けている、人間トラップのような存在である。

「私の経験則からの最適解はね、耳を貸さずに全て吹っ飛ばす! はい解決!」
「それで、いいのか……――ッ!!?!」
 号令一下、次元の穴越しに解き放たれる【紫砲の将軍】の一斉砲撃。その標的はポーラリアを除いた視界内の全て。
 イティハーサを囲んで踊っていたカビパンの群れは、双方にとって攻撃を阻むカオスの障壁だった。有無を言わさぬ大火力がそれを一掃することによって、敵は無防備な有り様を晒す。
「ならば……うごぉッ?!」
 火砲の圧に押されつつも反撃しようとするイティハーサだが、ふいに眼前に飛び込んできた誰かの手で、得体の知れない"何か"を口に流し込まれる。それは直前までカビパンと一緒に踊っていた雪の妖精ポーラリア。そして"何か"とは作りたてのカレー料理である。

「たらふく……めしあがれ……!」
 6人のカビパンとポーラリアの手で生まれたカオスな世界観をギュッと凝縮したような一皿が、イティハーサの腹をいっぱいに満たす。ある意味では骸の海よりも得体の知れない物体を食わされて、平然としてられる者などいるものか。
「オゴアアァァァァーーーッ!!!!」
 まさか、こんな巫山戯たものに自分が敗れるのかと、理不尽を嘆き叫ぶイティハーサ。彼の敗因はひとえにカビパンを"味方"にしてしまったこと、ポーラリアやセフィリカのように傾向と対策を知らなかったことに尽きる。カオスの波が引いていっても、彼が受けた肉体と精神のダメージは、すぐに立ち直れるものではなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
アドリブ歓迎

自分の世界を地獄にされて、神王サンサーラもやるせないっすね
「どーも、衣更着参上っす!異世界侵略なんてさせないっすよ!」

結界術で骸の海や冷気から身を守りつつ、忍者ゴーグルの熱源視で迷彩や幻影無効化しつつ幻朧帝に手裏剣投擲っす
自分の性格から、本来ならまず隠れて化かして奇襲って手の内が互いに分かるから長期戦…なんすが
まず、人を助けたいと猟兵になったおいらは護衛すべき対象がいる時は護衛優先、裏をかく場合でも結界術など保護は絶対っす
次に、こっちは最近作った忍者バリアバングルの環境耐性や霊的防護で八寒地獄の冷気や骸の海に耐えて時間稼ぎできるっす

よって幻朧帝に攻撃し続ける限り過去の自分は幻朧帝を守り続け、幻朧帝のUCで先に参る前に護衛にも冷気防護にも使えるあやかしメダルUCを過去の自分は使うことになるっす

そしてサンサーラと融合した以上、幻朧帝も『神』
UC『魔剣憑依・神斬りの一閃』で過去の自分を全てを切り裂く力で結界ごと斬り、幻朧帝に神属性特攻で攻撃っす

ミラーマッチ+強敵とか勘弁してっす!



「自分の世界を地獄にされて、神王サンサーラもやるせないっすね」
 原型となったサンサーラディーヴァとは似ても似つかない広大無辺の無限地獄サンサーラナラーカを目の当たりにして、家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)は眉をひそめる。かつて幻朧帝封印に尽力したエンシェント・レヰスたちにとって、これ以上の冒涜もないだろう。静かな怒りが胸の奥から込み上げてくる。
「どーも、衣更着参上っす! 異世界侵略なんてさせないっすよ!」
「飽くまで邪魔をするというのか……愚かだな、六番目の猟兵よ」
 この地獄を作り上げた諸悪の元凶『イティハーサ・サンサーラ』に、衣更着は堂々と名乗りを上げる。生命の息づく世界を護らんとする彼の意志を、かの幻朧帝は愚昧と断じる。過去の断片から世界を創造できる彼奴にとって、もはや生命の存在に価値などなかった。

「ならば汝等が守らんとする世界の前に、ここで力尽きるが良い」
 そう言ってイティハーサは骸の海から『過去の衣更着』を引きずり出し、同時に【神鷹『サンサーラナラーカ』】を発動。神鷹の羽ばたきが八寒地獄の冷気を呼び起こす中、妖怪忍者がどろんと分身して襲い掛かってくる。迷彩や幻術で相手を化かし翻弄するのは、今も昔も衣更着の十八番だ。
(自分の性格から、本来ならまず隠れて化かして奇襲って手の内が互いに分かるから長期戦……なんすが)
 衣更着は結界術で骸の海や冷気から身を守りつつ、忍者ゴーグルの熱源視で迷彩や幻影を無効化する。案の定、視界に入った分身は全て幻であり本体はいない。過去の自分がどのように考え行動するかを予想しつつ、ひとまず幻朧帝に手裏剣を投擲してみるが――。

(まず、人を助けたいと猟兵になったおいらは護衛すべき対象がいる時は護衛優先、裏をかく場合でも結界術など保護は絶対っす)
 これまた案の定、衣更着の放った手裏剣はイティハーサに届く前にカキンと音を立てて弾かれる。攻撃を仕掛ける前に結界を張っておくとは流石に周到なことだ。先に過去の自分を退けなければ本命は倒せない、それを再確認できただけでも良しとする。
(次に、こっちは最近作った忍者バリアバングルの環境耐性や霊的防護で、八寒地獄の冷気や骸の海に耐えて時間稼ぎできるっす)
 衣更着も過去から成長しないはずがなく、忍法も装備も日々更新されている。彼が今身に付けている腕輪はその一つで、使用者を保護する透明なバリアを発生させる代物だ。いわば見えない宇宙服を着ているようなもので、滞在するだけでも過酷なサンサーラナラーカ内部でも、しばらくは生存が保証される。

(よって幻朧帝に攻撃し続ける限り過去の自分は幻朧帝を守り続け、幻朧帝のユーベルコードで先に参る前に護衛にも冷気防護にも使えるあやかしメダルを過去の自分は使うことになるっす)
 仮にオブリビオンである過去の自分が幻朧帝に敵と認識されず、【神鷹『サンサーラナラーカ』】の対象にならない場合でも、やはり護衛の観点から【あやかしメダル「打綿狸の衣更着」】の使用がマストだろうと衣更着は予想を立てた。敵の攻撃を躱しながらじっと目を凝らせば、イティハーサの衣服の端っこに見覚えのあるメダルが貼ってある。
(そしてサンサーラと融合した以上、幻朧帝も『神』)
 衣更着の持ち札にはひとつ、神に対して特攻となるユーベルコードがある。悪友から貰った魔剣『空亡・蒼』を鞘から抜き、その妖力をまとって移動速度を上げる――この時点で過去の衣更着も現在の自分の狙いに気付いただろう。幻の挙動に変化がある。

「ミラーマッチ+強敵とか勘弁してっす!」
 どろんと立ち上る煙に衣更着自身や幻朧帝の幻影、それに死角から迫りくる殺気。あの手この手でこちらを惑わそうとしてくる過去の自分は厄介だが、その手口はどれも現在の自分が知っているものだ。どんなにキツかろうと昔の自分に化かされるわけにはいかないと、思考をフル回転させて幻惑を看破し、極寒の風と骸の海を乗り越える。
「劒さん、その力借り受けるっす!」
 そして、これが本物だと確信できる標的の間合いに入れば、乾坤一擲の覚悟で【魔剣憑依・神斬りの一閃】を放つ。
 それは全てを切り裂く斬撃。過去の自分もメダルの結界ごと斬り、神王と融合した幻朧帝を断つ、蒼き妖力の刃だ。

「なん、と……!!!」
『――……!!』
 衣更着渾身の一閃は骸の海に満たされた大地と空を裂き、立ちはだかる過去を真っ二つにし、遂に幻朧帝を捉えた。
 意志を利用するために神王サンサーラと融合したことが、よもや仇になろうとは。すでに完全性を喪失した彼奴に、これを耐えるだけの余力は残っていない。
「儂が……敗れるというのか……エンシェント・レヰスさえ従えた儂が……第六猟兵とは……かくも……」
 骸の海そのものとさえ言える超越者にすら、予測のできなかった結末。イティハーサの声と肉体はそのまま骸の海と同化するように消えていく。絶望的な無限地獄と過去の自分を乗り越え、ついに猟兵は幻朧帝討伐を成し遂げたのだ。



 かくしてサンサーラナラーカにおける『イティハーサ・サンサーラ』討伐は成り、新世界による侵略は阻止される。
 この決着からほどなくして、帝都櫻大戰そのものの終結も迫る。その結末は、すでに数多の猟兵たちが思い描いた通りだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年10月01日


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#サクラミラージュ
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30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト