帝都櫻大戰⑰〜それいけ、キャンピーくんと閑話休題
「ねえねえ、ぼくとキャンプしようよ~」
キャンピーくんが言った。
とてもラフな誘いだが、テントもバーベキューも本格的に準備万端だった。炭火も入れたし、沢から冷たい水も汲んである。
「もうキャンプするだけなんだ~。すぐにお肉も焼けるし、渓谷の探検もできるよ。自然の中で戦いの疲れを癒すのも大事じゃないかって思うんだよね~」
「彼の言い分にも一理ある……のかな?」
アスリートアースのあらゆる競技場が幻朧桜に覆われていく中で、エンシェント・レヰス『神王サンサーラ』の侵略が始まっている。
サンサーラはあまりの強大さゆえに『完全に無傷の状態』でない限り、この世界への顕現を維持することができないらしい。
広がり続ける骸の海を乗り越え、何とかして彼に一撃でも与えられたら撤退させることができるだろうという話をしている最中に、このキャンピーくんからの誘いである。
「行っちゃえば?」
そんなことをしている場合ではないが、キャンピーくんは第二戦線の功労者である。
なにしろ多数の異世界を渡り歩き、エンシェント・レヰスに対抗可能な強者達を送り込んでくれたのだ。
「それを可能にしたのは紛れもなくこのテントだからね。皆が彼と一緒にキャンプを楽しむことが恩返しになるのなら、それもいいんじゃないかな」
ああそうだ、と付け加える。
「テントの周囲には幻朧桜が咲き乱れていてとても綺麗だよ。季節外れのお花見を楽しむのもいいかもしれないね。それにキャンピーくんは皆の話を聞いてみたいようだからキャンプの合間にでも戦争でどんなことがあったのかとか、皆がどういう風に戦ってきたのかを教えてあげると喜んでもらえるんじゃないかな」
ツヅキ
プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。
キャンピーくんからのお誘いに乗って幻朧桜が咲き乱れるキャンプ場でひと休憩しましょう。キャンピーくんは皆の話を聞きたくてわくわくしていますので、よかったら話し相手になってあげてください。
プレイングボーナスは『キャンピーくんとキャンプを楽しむ』です。
第1章 日常
『桜の下でキャンプしようよ~』
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POW : アウトドアでのアクティビティを楽しむ。
SPD : 美味しいキャンプ飯を作って食べる。
WIZ : キャンピーくんの中で昼寝して英気を養う。
👑5
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バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
ハーイ、キャンピーくん! お疲れ様デース!
OK、レッツエンジョイ! キャンピング!
第二戦線の功労者であるキャンピーくんに感謝を捧げ、そしてあちこちで戦っているワタシたち猟兵を慰労するため!
バルタン・クッキング!
バーベキュー、マシュマロ、わたあめ(材料:アルカディア・エフェクトの雲海)、チョコレート(材料:オブリビオンをUCにて食材にしたもの)!
皆様にいろいろなメニューを提供しマース!
HAHAHA!
ワタシももちろん、作っては食べて楽しみマース!
キャンピーくんもコーヒーをどうぞ!
ブルーアルカディアでスーパーカオスドラゴンとのカオスな戦いを話題のつまみに、ゆっくり一時を楽しみマース!

栗花落・澪
折角だからお気に入りの桜紅茶と
紅茶用の桜ジャムを持ち込み
キャンピー君も飲んでみない?
ミルクと砂糖もお好みで
食事はお手軽にフォンデュを
チーズとカレー、チョコレートの三種類用意して
食材も野菜から果物まで色々と準備
そのまま、或いは火を通しながら
好きな味を付けて楽しめれば
戦争、色々やってるよ
キャンプは勿論、儀式も色々参加してるし
災魔から学生達を守ったり…
あとは、僕とある親方さんにちょっとした恩があってね
彼が強くなるまで、守るための戦い
僕、強敵相手に真っ向から挑めるほどまだ強くないけど
守る事なら出来るかも、って
へへ、またかっこいいって言ってもらっちゃった
実は結構外見コンプレックスでねぇ…だから嬉しいんだ
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
陰海月、キャンプブーム再熱してますけど…。
なるほど、此度はお話ですかー。
コーヒー貰いつつ…そうですねー、本当に色んな所行きますよねー。
ええ、霹靂と出会ったのも、まさに守るために戦いに行った先ですしー。
霹靂、元々から戦闘用訓練受けてましてね。そこで組んだのがきっかけなんですよー。
※
陰海月「ぷっきゅ!」
珈琲にはミルク!
お話!ぼくはね、おじーちゃんたちと、いろーんなところに出かけて守ったりするんだよ!
霹靂「クエ」
友やおじーちゃんと出会ったのも、色んなところきっかけだったなぁ。自分のいた牧場が屍人帝国に狙われて…。クエクエ。
弓落・高寿
きゃんぴーくん…!!
気になっていた謎の存在が今目の前に…で、まぁ。こいつはなんなのだ??
遭遇しても疑問は何一つ解決せぬまま、とりあえずきゃんぴーくんの横に腰掛けて焚き木と、舞い散る桜の花びらを並んで眺めよう。爆ぜる火の粉に桜の花びら、遠くには川のせせらぎ…なんともゆったりとした贅沢な時間の、ふと視界に入る黄色い三角。なんだこいつ。見れば見るほど面妖。
だがこの面妖な奴のおかげで我が
故郷にも救援が参ったのだと思い出し、例の言葉を述べ、いい機会故に故郷の飯を振舞おうか。他世界の者には薄い味付けだろうがこの自然の中で食えばなんでも旨かろう…こいつが飯を食うのかはさておき。
八秦・頼典
へぇ、なるほど
これが噂に聞くキャンピーくんか
キミが初めて姿を見せた際は、ボクはまだアヤカシエンパイアに居たからね
キャンピーくんもアヤカシエンパイアに足を運んだのであればそう多く語らなくても良いだろうけど、ここはひとつ…『恋多き君』であるボクの身の上話でも焚き火を囲みながら語ろうか
家格は然程高くない八秦家だけど、ボクは生まれ持った霊力が高くてね
そのお陰で一族の命運を託される形で幼き頃に地方から京の都に移り住んだのさ
持ち前の顔の良さで宮中の女房達と仲良くなっていく内に…色んな怪しい噂話も聞くようになってね
それで始めたのが誰も顔を知らぬ陰陽師探偵「ライデン」
その正体がボクだとは誰も信じやしないさ
天光慈・暁凪
きゃんぷという物も初めてですが、それが恩返しになるならばゆきましょう。
ここが…アスリートアース。わたくしの故郷と全く違うのですね。
そなたが、キャンピー殿?ふふ、お初にお目にかかります。
わたくしは猟兵になったばかりの新参者。
初戦がまさか…神王サンサーラなどというあのような強大な存在と相見えるとは思ってもいませんでした。
もしキャンピー殿たちの助力がなければどうなっていたでしょう。
ですから、わたくしから礼を。キャンピー殿が国見殿と廉貞殿二人の心強い援軍を送ってくださったお陰で我がアヤカシエンパイアは戦えております。
…余は余にできる事を。例え、恐ろしくとも立ち止まってはいられないのだ。
アドリブ○
「ハーイ、キャンピーくん! お疲れ様デース!」
アスリートアースの山の中にあるキャンプ場からは美味しそうな匂いがしてくる。第二戦線の功労者であるキャンピーくんのためにバルタンと澪は持ち込んだ素材でバーベキューやフォンデュの準備をしておいたのだ。
皆でキャンプするのを願ったキャンピーくんにバルタンが親指を立てる。OKという意味で。それにキャンプは大勢で楽しんでこそ。
「レッツエンジョイ! キャンピング!」
「わーい! うれしいなー」
ぴょんぴょんと跳ねるキャンピーくん。
「こちらこそ、ワタシたち猟兵の慰労も捗りマース!」
「うん! ゆっくりしていってね! すごーい、これ皆が用意してくれたの?」
とろとろに溶けたマシュマロを頬張りながら、こっちはなんだろうと首を傾げた。ふわふわのわたあめみたいだが……?」
「それはアルカディア・エフェクトの雲海デース!」
「まっ……」
澪はもう少しで紅茶を噴くところだった。
「なんでそんなヤバいもの!? キャンピーくんてば普通に食べてるし!」
「おいしー」
「大丈夫なのかな……キャンピー君も桜紅茶飲んでみる? ミルクと砂糖もあるから好きに使ってね」
少し甘い香りの桜紅茶は澪のお気に入り。
紅茶用の桜ジャムをひと匙入れてあげると、キャンピーくんはおいしそうに飲んだ。
「あまいねー」
「ふふ。フォンデュはどれにする? チーズとカレー、それにチョコレートを用意してみたんだ」
食材はね、と一通り説明する。
ふんふんと興味深く聞いていたキャンピーくんが色々な野菜や果物の中から選んだのはポテトだった。
「じゃあ、チーズからいくよー」
炭火でとろけたチーズを串に刺したアツアツのポテトにくぐらせて、はふはふ。美味。何をおいても美味である。
「ぷっきゅ!」
さて、キャンプブームが再燃している陰海月のテンションがいつにも増して高いようだ。義透は陰海月とふたつ、コーヒーをもらって一緒に腰を下ろした。
「陰海月の分のミルクを一つ貰えますかー?」
「こちらデスネー」
バルタンの奉仕はこういう時でも完璧だ。キャンピーくんや参加者の分のコーヒーを手早く淹れてくれる。さすが戦えるメイド、家事ならなんでもござれといったところで。
「おいしーなー」
貰ったコーヒーを飲みながらオブリビオン産のチョコレートフォンデュをバナナにつけて食べてるキャンピーくんをじっと見つめる高寿がいた。
「食ってる……黄色い三角が口を開けて……。あれが、きゃんぴーくん
……!!」
「へぇ、なるほど。噂には聞いているよ」
頼典は雅やかに腕を組み、「ふむ」と彼を物色する。
なにせ謎の存在である。
それが今、目の前で楽しそうにご飯を食べているこの面妖さを何にたとえよう。こいつはいったいなんなのだ? 思い返すが、他に同様の存在を思いつかない。実物と遭遇しても疑問は何一つ解決してはくれなかった。
とりあえず、高寿は彼の隣に腰を下ろした。
遠くから川のせせらぎが聞こえる山奥で、薪の炎黄色い三角と幻朧桜を照らす幻想的で贅沢な光景は実際のところ、わりとシュールだった。
「見れば見るほど面妖だな」
「だねぇ」
頼典が頷いた。
「間近で見るのは初めてだ。ほら、キミが初登場した時、ボクはまだアヤカシエンパイアに居たからね」
「貴族さまなんだねー」
「そうだよ。君も知っての通り、あそこは色々あってね……」
自分の故郷でもある世界の話に暁凪も耳を傾ける。
それにしても、ここはあの世界とは全く違う景色が広がっている場所だ。同じ山でも雰囲気が全く違う。アヤカシエンパイアの山は妖の根城であることが多く、さまざまな呪法の施された魔窟であったりするのだった。
食後のコーヒーや紅茶を飲みながら、猟兵はキャンピーくんと色々な話をした。義透は彼の隣で行儀よくお座りしている霹靂との出会いを、そして頼典は『恋多き君』と謳われる彼自身の身の上話を。
「本当に色々な場所へ行きましたねえ」
しみじみと、義透は振り返る。
蒼穹の広がるあの世界で、霹靂は自分のいた牧場を屍人帝国に狙われていたのだ。戦闘用の訓練を受けていた際に組むことになったという出会いが今に繋がっている。
「実家の八秦家はそれほど家格は高くなくてね、京の都に移り住んだのはボクの生まれ持った霊力が高かったことに起因する。一族の命運を託された……って言えば聞こえはいいかもしれないがね」
宮中では頼典の美貌が目当ての女房たちから色々な噂話を聞くことができた。そこに入り混じる怪しげな話の真相を解き明かすため、生まれたのが陰陽師探偵『ライデン』である。
「その正体がボクだとは誰も信じやしないだろうね」
「まぁ……陰陽師探偵ですか」
暁凪はほう、とため息をついた。
「わたくしも生まれこそ別ですが今は都に暮らす身、宮中にはびこる噂話にはいろいろと不思議なものがありますものね。もっとも、新参者とはいえ、猟兵となった今はそれ以上にいろいろな体験をさせていただいておりますけれど」
あらためて、キャンピーくんに挨拶を。
「お初にお目にかかります、天光慈暁凪と申します。そなたがキャンピー殿ですね? ふふ、ひと目でわかりましたよ」
「よろしくねー」
「はい、よろしくお願いいたします。猟兵というのは面白いですね。キャンピー殿に、神王サンサーラ……」
あれが、暁凪の猟兵としての初戦だったというのは今考えても少し震える。もしもキャンピーくんと彼が連れて来てくれた助っ人たちの協力がなければ、今頃はどうなっていたかもわからない。
「本当にありがとうございます。国見殿と廉貞殿という二人の心強い援軍を送ってくださったお陰で、我らがアヤカシエンパイアは戦えております」
「ああ、キャンピーくんには礼を言わねばと思っていたのだ。さ、故郷の飯を食え。薄味に感じれるかもしれんが自然の中で食えばなんでも旨かろうさ」
高寿の振る舞うアヤカシエンパイアの食事をキャンピーくんも気に入ったようだ。暁凪は降りしきる幻朧を見上げ、心に強く思う。
(……余は余にできる事を。例え、恐ろしくとも決して歩みを止めることまかりならぬ……)
焼いては配り、焼いては食べ、キャンプを満喫するバルタンと食べるのが好きな陰海月が意気投合している。
「武勇伝を語るのなら、スーパーカオスドラゴン殿との共闘は外せマセーン! 混沌魔法の真髄はまだまだ奥が深いのデース!」
「僕も色々やってるよ。戦い以外にもキャンプに儀式に……あと災魔から学生たちを守ったりもね」
そして何より、とある親方さんへのちょっとした恩返しができたこと。温かな紅茶のカップを両手に包み込み、また言ってもらえた言葉を思い返す。かっこいい、って。
「実は結構外見コンプレックスでねぇ……でも、うん。もっと強くなりたいな。そう思ったんだ」
皆の話を聞いたキャンピーくんはずっと嬉しそうだった。もっと、とねだられるままに話しているうちに夜が明ける。
キャンピーくんは猟兵を元の世界へ見送って、何度も手を振った。
「そろそろお別れだねー。でも、また会えるよね? これからの戦争も応援してるよー」
大成功
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雨野・雲珠
菱川さんと!(f12195)
煌めきを失わぬ瞳と笑顔。ほがらかな佇まい
至れり尽くせりのおもてなし精神…
なるほど…これが強者なんですね、菱川さん!
同じくおもてなしが好きな者として、
ここは思いきり楽しませて頂くのがよいと判断しました
俺ちょっと沢のほう探検にいってきます!
菱川さーん!
カニ!カニいました!小さいの!(見せにきた)
あ、いい匂い…
じゃあ俺は隣でましゅまろを焼きます
外側はお焦げが、中身がとろけるくらいに…
へへ、キャンピーくんもどうですか?
俺もお話します!
空に浮かべた無数の天燈、ランプが彩る大きな冬桜
次は野球選手(?)をお手伝いに行くんです
…故郷の戦を、お助けくださってありがとうございます
菱川・彌三八
雲の字/f22865
なんだか休んでばかり居る気が…
マ、次に備える…ってェ事にしておくか
つ、強者…なのか?
然しお前ェ…こういうのは支度も楽しいってもんじゃねェのかい
布を張って縄を結んでってなぁ俺ァ好きだぜ
ってェ訳で、一丁俺にも建てさしつくんな
ご教示願うぜ
俺にとっちゃ此れが持て成しよ
雲の字はあまり遠くに行くなよ
さて、風の通りも桜の眺めも申し分なし
此処で珈琲を淹れる
外で飲むなァ一等旨いんだとよ
旅で食う飯が旨いのとおんなしだな
甘味もあるなんざ云う事ねぇや
さて、戦の話だったか
そうさなァ…猫又の宴、こどもの影朧、色々あったが…本、かね
好きなもんをしこたま描いてやったのさ
あれが如何なるか、今から楽しみだ
「いい山じゃねェか、なァ」
「はい、菱川さん!」
なんだか休んでばかり居る気がするようなしないような……最も、戦い詰めではバテる。ので、次に備えるということにしておこう、そうしよう。
「あの、菱川さん」
「どうした、雲の字。そんなに興奮して」
「俺、感動しました」
「いってェ何に……」
雲珠に袖を引かれ、顔を向けた菱川の目に飛び込んでくる黄色い三角野郎がいた。
……煌めきを失わぬつぶらな瞳と微笑み。
佇まいは常にほがらかで、至れり尽くせりのおもてなし精神……。
なるほど、と雲珠。
目から鱗が落ちたみたいな顔で。
「これが強者なんですね、菱川さん!」
「つ、強者……なのか?」
さっそくテントの支度をしていた彌三八が軽く目を剥いた。こういう、ちょいちょいと縄を結んだり布を張ったりという作業は嫌いでない。否、むしろ好きな方で。
「ぼくって強者だったんだねー?」
彌三八に請われ、テントの建て方を教示していたキャンピーくんは「てへ」と照れる。黄色い頬に少しだけ赤みを差した。
「はい! せっかくの御心映えにお応えするためにも、俺ちょっと沢のほう探検にいってきます」
「あまり遠くに行くなよ」
「はーい!」
さて、相棒が帰ってくる前に、と彌三八はステンレスのカップを直接火にかけて珈琲を淹れる準備に取り掛かる。しばらくすると、火加減がちょうどいい頃合いで雲珠が戻ってきた。息せきかけながら、雲珠は嬉しそうに両手を開いた。小さなカニが脚を蠢かせている。
「かわいいですよね」
「食べるのー?」
「えっ、いえ!!」
キャンピーくんから思わずさっと背後に隠す雲珠。
彌三八はくすくすと笑い、淹れたての珈琲を皆に配る。いい風が吹いてきた。幻朧桜もここでは風流な花でしかない。飯と同じで、外で飲むのが一等旨いのだと云うのは間違いあるまい。
「で、甘味もあるんだって?」
「ましゅまろですよ。へへ、キャンピーくんもどうですか?」
「わーい!」
真っ白でふわふわしていたマシュマロが甘い匂いとともに表面を焦がしてとろりと中身をとろけさせるのがまず楽しく、それを差し出されたキャンピーくんが熱さをまったく感じさせずにぺろりと平らげるのがまた雲珠のツボに入った。
「全然熱くないんですね……!」
「大丈夫だよー」
「てか食えるのかよ……」
何者なのだ、此奴は。
日が暮れる頃、雲珠は空に無数の天燈を浮かべた。大きな冬桜の根本にてランプが彩る景色の中にぽつりぽつりと語られる戦の話。
「次は野球選手……で合ってます? その方をお手伝いしに行くんです」
「ぼく知ってるよ! ベースボール・フォーミュラの人だよね!」
「そうです!」
順応性が高いらしく、雲珠はすぐさまキャンピーくんと打ち解けた。
「……キャンピーくん、あらためてありがとうございます。俺の故郷の戦をお助けくださって。菱川さんも戦争では色々あったんですよね?」
「そうさなァ……」
指折り話す。
猫又の宴にこどもの影朧、其れに――。
「本、かね」
にやりと笑う。
「あ、悪い顔だ。何をやらかしたんです?」
「さァてな。
好きなもんをしこたま描いてやったのさ。あれが如何なるか、今から楽しみだねェ」
「何を書いたんですか?」
雲珠が目をきらきらさせて身を乗り出すが、悪戯っぽく片目を閉じて彌三八はこう云った。
「大人の秘密って奴サ」
大成功
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御簾森・藍夜
【朱雨】
まず、俺の作った食い物が心音の体を作っている快か—…幸せをもらってるんだ
俺は、“この喜びはマニアックだ”と言われたが、いいと思わんか良いだろう?俺の狐は今日も毛艶がいい
…心音、栗はこうして頭頂のとがりをナイフで切り込み、外へとように剝がすように固い皮ごと剝くように——……
あぁ、油は跳ねるからエプロンはこっちの方が——あぁっ!急いで冷やして……いいか、油に食材を糖投下するならこうして一つずつ高いところからではなく——
ついつい手取り足取り世話を焼く
嬉石反面、心配で心配で仕方がなくてソワソワ
見守りつつ適時手を出す
—心音、一緒に作らないか。
“いつも”みたいに
一緒に楽しんでこそ、キャンプだろう?
楊・暁
【朱雨】
な、今日はちょっと俺に任せてくれねぇか?
いつもキャンプ飯は藍夜担当だったから
今日は俺がご馳走してぇんだ
料理本も読み込んで来たし…美味いもん食わせてやるな
折角の秋だし食材は秋の味覚尽くし
拾ってきた栗で栗ご飯
まず皮を剥…ん、んっ…硬っ…(ぐぬぬ
手ぇ痛ぇ…
え?こうか…?あ、本当だすげぇ剥けた!
里芋はフライドポテトに
くし切りにして油の中に…熱っ!(びくっ
油すげぇ跳ねる…
手ぇ冷やして貰いながらエプロンも変えて貰って
ん。やってみる
そろっと…やった!跳ねずにできた!
茸と鮭のホイル蒸し…あっ、ホイル短かったか…
やり直してた矢先の提案に胸熱くなって
―うん…一緒にやりてぇ
いつだってお前となら
上手くいくから
……藍夜の胸を満たす歓びは心音という存在しか与えることができない唯一のもの。自分が素材を選び、切り分け、料理し、盛り合わせたものが彼の体を作っている快か――……幸せは何物にも代えがたい。
そこ、マニアックだとか言わない。
わかってないなぁ、いいと思わんか良いだろう? ほら、俺の狐の毛並みは今日も艶々だ。見るだけだぞ触るなよ絶対。
「な、今日はちょっと俺に任せてくれねぇか?」
「心音に?」
「いつもキャンプ飯は藍夜担当だったからさ、今回は俺が御馳走してぇんだ。ちゃんと勉強もしてきたし、な?」
美味いものを食わせたいんだ、なんて上目遣いでお願いされた藍夜は、「うん」なんて子どもみたいに頷いていた。
「わかった。心音、つくる。俺、食べる」
「よし、期待して待ってろよ! 秋の味覚尽くしに挑戦だ」
さっそくアスリートアースの山で拾ってきた栗で栗ご飯を作るために皮を剥こうと奮闘するが、あまりの硬さに四苦八苦する。
「ん、んっ……硬っ……手ぇ痛ぇ……」
「……心音、栗はこうして頭頂のとがりをナイフで切り込み、外へとように剝がすように固い皮ごと剝くように——……」
「え? こうか……? あ、本当だすげぇ剥けた!」
すっ、と横から手を出した藍夜がプロフェッショナルな技であっという間に栗の皮を剥き去った。アドバイスはそれに終わらず、揚げ物で跳ねた油に驚く暁をすぐさま庇い、そそくさと別のエプロンを着せるなど甲斐甲斐しい。
「熱っ」
「――あぁっ! すぐに冷やさなければ、水、水っ」
「こんなに油って跳ねるんだな……ちょっと赤くなってる」
水で冷やした指を眺め、意外と難しいんだな、なんて呟く暁だ。
「普段、藍夜があっさり作ってるところ見てるからなぁ。なんかコツとかあるのか?」
「食材を油に投下するならこうして一つずつ高いところからではなく、そっと入れるといい」
「ん。やってみるな。そろっと……やった! 跳ねずにできた!」
くし切りにした里芋を無事に油へ入れた暁の隣で、藍夜はそわそわと落ち着かない顔だ。ついつい手取り足取り世話を焼いてしまう。
自分のために作ってくれるという心遣いは嬉しい。だが、心配で心配であああああああ――…………取り合えず、ホイルは余裕をもって包むといいぞ、心音。
「あっ、そうだな。うん、今度は足りた」
茸と一緒に鮭をホイルで包み、ほっとした矢先に藍夜が言った。
「心音、一緒に作らないか。“いつも”みたいに」
「藍夜?」
「一緒に楽しんでこそ、キャンプだろう?」
思わず胸が熱くなって、暁は頷いた。
「――うん……一緒にやりてぇ」
「じゃあ、手伝うぞ?」
「頼む」
そこからは、何も失敗しなかった。当たり前だ。いつだって藍夜となら上手くいくから。だから――……好きだ、なんてあらためて自覚する。
「いくらでも惚気ていいんだよー」
「きゃ、キャンピーくん!」
あの顔でずい、と割って入ったキャンピーくんに暁は真っ赤になってのけぞった。
「し、心配しなくてもちゃんとキャンプしてるから! アスリートアースっていいところだよな、な、藍夜!!」
「う、うむ! のどかな山だなぁ~心音ばっかり見てたから今気づいたが、桜も満開だなぁ~」
栗ご飯に季節外れの桜が舞い降りる。戦争の合間の一休み、楽しいキャンプはまだこれからが本番だった。
大成功
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