帝都櫻大戦⑪~ヒーロー・イズ・カミング
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デビルキングワールドに存在する魔王国のひとつ、
血刃王国。遊園地と複合した魔王城がそびえる、愉快な国である。
季節外れの桜の花弁が、風に舞っている。瘴気と炎で満ちた悪魔の世界に、突如として大量の幻朧桜が出現したのだ。そして時を同じくして大地に降り立ったのは、見上げるほどの巨大人型機械。サクラミラージュに縁深い『
超古代種族』四大指導者の1体、『
護国鉄神零號』である。
『我が名は零號。護国鉄神零號……鋼鉄共栄圏滅びし時に、喪われた全ての魂を搭載して『敵』を倒す者……』
「な、なんじゃアリャア!?」
「あんな悪魔、見たことねーゾ!」
喪われた世界『鋼鉄共栄圏』八億の民の魂を宿すという機械神の威容に、悪魔達が集まってきて大騒ぎしている。本来ならば一触即発の事態となるところなのだが……。
「なあ、アイツなんか超かっこよくね?」
「あー、わかるわ。厳ついし、背中から蛇生えてるし」
「なんならデビルキングより強そうじゃね?」
あろうことか地元の悪魔達は、零號に対して憧れの眼差しを向け始めたのだ。悪魔の価値観とはなかなか理解しがたいものである。
『むう、汝らは我を恐れぬのか? まあいい……我が体内に搭載された八億の魂は、オブリビオン化によって邪悪に歪められ始めている……我は、それを止めることができない……! もはや時間は残されていない。心ある者達よ、命ある者達よ、我を倒し、八億の魂に平穏を与えてくれ……』
「何言ってんだアイツ」
「さぁ? もしかして戦いたいんじゃね?」
そこに血相を変えて飛んできたのは、5thKINGである伝説の勇者リリリリであった。
「あれは! 勇者リリリリ!」
「マジか! マジだ! うっわー5thKINGだマジやべえ!」
「ハァハァ……なんとか間に合いましたね。オブリビオンに気安く近づくなんて、アホですか貴方達は! すぐにここから離れてください!」
リリリリは悪魔の群れを飛び越えると、愛用の剣と盾を構えて鉄神零號の前に立ちはだかった。
「やあ、お疲れ。帝都櫻大戦の戦火が、どうやら他の世界にも飛び火しそうなんだ。ぜひ君達の力を借りたい」
ある日のグリモアベースにて。集まってきた猟兵たちに向かって、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が語り始めた。
「戦況は既に第二戦線に突入している。今回の相手は、
超古代種族の指導者だった『護国鉄神零號』だよ」
かつては善なる種族『エンシェント・レヰス』の代表として『幻朧帝』と戦った零號だったが、オブリビオン化したことによって体内に封じた『鋼鉄共栄圏』の民八億の魂を制御できなくなっている。
さらに骸の海を航行する力をも得た彼は、このままではサクラミラージュのみならず、遍く世界を
破壊してしまうだろう。
「戦闘の舞台はデビルキングワールド。幸い、現場には5thKINGの『勇者リリリリ』が駆け付けてくれる。この戦いでは、私達猟兵に協力してくれる筈だ」
キャンピーくんの力を借りて戦場にやって来たリリリリは、「盾のオーラを任意の仲間に付与するユーベルコード」を操ることができる。この力を借りれば、零號の驚異的攻撃力にもある程度耐えることができるだろう。また、彼女自身も異常なほどタフな魔界の勇者である。
「いっそディフェンスをリリリリに任せて、君達が攻撃に全力集中するというのもアリだ。どうやって戦うかはお任せするよ」
ガーネットのグリモアに導かれ、猟兵たちはデビルキングワールドを目指す。一つの世界を内包するに等しいと云われる強敵といかに戦うのか? 今こそ、 猟兵の力が問われる。
弥句
こんにちは、弥句です。今回もよろしくお願いします。
このシナリオは戦争シナリオで、「ボス戦」1章のみの構成となっております。
また、下記の条件を満たすことで、判定に有利な「プレイングボーナス」を得ることが出来ます。
プレイングボーナス……隙や反動を顧みず、全力の攻撃を叩き込む/勇者リリリリに守ってもらいながら戦う。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『護国鉄神零號』
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POW : 零式噴進飛翔拳
かつて喰らった「【鋼鉄共栄圏の人々】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【ロケットパンチ】を装備する。
SPD : 八岐大蛇機関砲
【自在に射角調整が可能な蛇型四連機関砲】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ : 護国熱血破壊砲
装備武器から【護国英霊波導砲】を発射する。自身の【放熱装置】削減量に応じ、威力・速度・発射数が増加する。
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朱鷺透・小枝子
リリリリ殿!加勢致します!!防御をお願いできますか!!
リリリリ殿に盾のオーラ付与と防御を任せ、
夜剣大蛇【操縦】『破壊撃装』発動!メガスラスター【推力移動】
『護国鉄神零號』目掛けて突撃します!!
貫け、夜剣大蛇!!
鉄の器を壊し、魂を開放させろ!!!
神殺兵装たる頭部長身ドリルへ己が【闘争心】を、
神たる敵への【呪詛】を注ぎ込み、大回転!『護国鉄神零號』の硬く厚い部位装甲へと叩きつけ穿孔させる!
もっとだ、もっと穿ち込み壊し切れ!!!
神の名を冠するモノを殺す呪詛毒液を躯体から放出!
装甲を溶かしぶち抜く!装甲を破った後もメガスラスターで更にドリルを内部へ押し込み、穴を広げ、深く穿ち込み壊す!!
初雪崎・識
デビルキングワールド、初めての世界だけれど、観光している場合じゃないね。
そもそも、鉄神さんの巨体で景色もほとんど隠れてる……。
全力を叩き込めばいいというのなら、経験不足な僕にも力になれるはず。
勇者リリリリさん、よろしくお願いします。
まずはロケットパンチを、リリリリさんの盾のオーラを借りて防御するよ。
ロケットパンチに着地して、そのまま反撃できれば最高だけれど。
とにかくパンチをしのぐことができたなら、焔式・黒刀と【レーヴァテイン】の炎剣の二刀流で攻撃。
技能『武器巨大化』も合わせて、鉄神さんに刃を届かせる。
そんな悲しそうな顔をしないで、鉄神さん。今、僕達が止めてみせる。
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『――もはや時間は残されていない。心ある者達よ、命ある者達よ、我を倒し、八億の魂に平穏を与えてくれ……』
護国鉄神零號は、強靭な意志の力で荒れ狂う『鋼鉄共栄圏の八億の魂』を制御していたが、それも既に限界に達していた。そんな彼と真っ向から対峙しているのは、5thKINGでもある伝説の勇者リリリリ。
「……貴方が何者だろうと、デビルキングワールドを
破壊させるわけにはいきません!」
両者が睨みあう緊迫した空気の中、悪魔たちの後方からそろそろと制服姿の少女が現れた。そのデザインからして、武蔵坂学園中等部の生徒のようだ。
「……わあ、本当に悪魔だらけだ。デビルキングワールド、初めての世界だけれど、この状況じゃ観光している場合じゃないね。そもそも、鉄神さんの巨体で景色もほとんど隠れてる……」
大柄な悪魔達の陰に隠れがちなその少女、初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)は、最近猟兵に目覚めたばかりのエスパーである。凶悪な外見の悪魔達が人間のように振舞うデビルキングワールドの様子に、識はやや戸惑いながら様子を窺っていた。すると、
「ちょっと! 通らせてください!! 緊急事態であります!!」
悪魔達を押しのけ強引に前進してきたのは、幽鬼のごとく白い肌をした娘だった。彼女の名は朱鷺透・小枝子(
亡国の戦塵・f29924)。戦乱の世界クロムキャバリアからやって来た、キャバリア乗りの猟兵である。
「勇者リリリリさん、よろしくお願いします」
「リリリリ殿! 加勢致します!! 防御をお願いできますか!!」
二人の少女猟兵は、顔を見合わせたのち共にリリリリに共闘を呼びかけた。無論、その申し入れを断るような勇者ではない。
「分かりました。あなた達の覚悟に応えましょう!」
かくして、5thKINGと猟兵の共闘が成立した。小枝子は自身の愛機『
夜剣大蛇』に乗り込むと、鉄神零號に向かって猛然と突進していく。識もその背中に相乗りだ。
『……悪いが手加減できん。なんとか耐えてくれ……!』
零號が両手を真っ直ぐ前へ突き出すと、巨大な拳がロケット加速によって勢いよく射出された。鋼鉄共栄圏の人々の魂を纏った、渾身の必殺拳だ。
「くれぐれも気をつけて!」
リリリリがかざした盾が眩い光を放つと、強力な守りの力を持つオーラが猟兵に降り注いだ。
「貫け、夜剣大蛇!! 鉄の器神を壊し、魂を開放させろ!!!」
コクピットの中で、小枝子が吼えた。彼女の闘争心に呼応するように、蛇型キャバリアは頭部長身ドリルを激しく回転させた。神の名を冠するモノを殺す、神殺兵装の本領発揮だ。
『おおおおおっ……!』
一帯に閃光が迸り、光のフィールドと機神の鉄拳がぶつかり合う。並のキャバリアなら跡形もなく粉砕されている筈のロケットパンチをじりじり押し戻し、遂にドリルの先端が零號の胸元に突き刺さった。無論そこで終わりではない。目の前の敵を撃滅することのみを考える小枝子の闘争心が、機体の限界を突破させる。
「もっとだ、もっと穿ち込み壊し切れ!!!」
長身ドリルの狂おしい駆動音と連動するように、メガスラスターが火を噴く。夜剣大蛇が神殺しの呪詛毒を体内から放出し、零號の外装を徐々に侵蝕していく。深々と抉られていく装甲の損傷箇所からは、弱々しい光を放つ粒子が少しずつ漏れ始めた。それは、天へ昇っていく死者の魂なのか。
『この……光は……』
「そんな悲しそうな顔をしないで、鉄神さん。今、僕達が止めてみせる――レーヴァテイン!!」
激しく揺れ動く夜剣大蛇の背の上から、識が零號に向けて手を伸ばす。するとドリルで穿たれた彼の傷口から、燃え盛る炎の剣が出現したのだ。右手には焔式・黒刀を。そして左手にはレーヴァテインを携え、識はゆっくりと立ち上がる。
「てやああああっ!」
叫びながら大きく跳躍し、識は全霊を込めた二刀斬撃を繰り出した。鋭く放たれた双刃の剣閃は、機神の胸に真紅のX字を深々と刻みつけたのだった。
大成功
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アルテミシア・アガメムノン
「ほほほ、女帝アルテミシア見参!
今日は血刃王国を征服しに参りました!
というのはワルジョークで護国鉄神零號さんを倒しに来ましたわよ!」
「あら、リリリリさん、お早いお着きですわね。
それでは共闘と参りましょうか。
貴女はディフェンス。わたくしはアタック。よろしいわね?」
という事で防御を完全にリリリリに任せて自身は攻撃に専念。
【焔神の乱舞】を発動。
幾つもの大焔球を束ねて超巨大大焔球に!
「さあ、お受けなさい!」
護国鉄神零號さんの現状には同情いたしますがデビルキングワールドに害があるとあっては滅んでもらうしかありませんわね!という心情。
エリー・マイヤー
リリリリさんと会うのは、オリンピアぶりですね。
お元気そうで何よりです。
今回はこちらを手伝って頂けるそうで、大変ありがたく…
え?挨拶してる場合じゃない?
それはごもっとも。
では、お仕事を始めましょうか。
とりあえず、守りはリリリリさんに丸投げして、私は攻撃の準備です。
まずはサイキックエナジーを手元に集めます。
で、なんかいい感じに
圧縮しつつ回転させます。
そのまま出力を高めつつ、圧力と回転数を上げていきます。
そうして自分に制御可能な限界まで、サイキックエナジーを溜め込みましたら…
最大限威力の高まった【念動ヴォーテックス】の完成って寸法です。
果たしてどれだけの破壊力になるのか。
楽しみですね。
血刃王国の悪魔達が固唾を飲んで見守る中、護国鉄神零號と伝説の勇者リリリリ、そして猟兵の激しい攻防が続いている。
「リリリリさんと会うのは、オリンピアぶりですね。お元気そうで何よりです」
「おや。貴女は……」
全身寒色系で統一された姿の女がふらりと戦場に現れ、リリリリに声をかけた。アポカリプスヘルの荒野をさすらうサイキッカー、エリー・マイヤー(被造物・f29376)である。
「今回はこちらを手伝って頂けるそうで、大変ありがたく……え? 挨拶してる場合じゃない? それはごもっとも」
エリーは以前、『バトルオブオリンピア』においてガチデビルに洗脳されていたリリリリと対峙したことがある。あれこれ苦労の末に、彼女の窮地を救ったことがあるのだ。
「はい、その節はお世話になりました。ガチデビルに洗脳されるなど、見苦しいところをお見せしました……ですが今日の私は違いますよ!」
そう言って勇者リリリリは、自身の愛用する剣と盾を構えて笑ってみせた。どうやら今日は万全の状態で戦うことができそうだ。
「ほほほ、女帝アルテミシア見参! 今日は
血刃王国を征服しに参りました!」
クールでダウナーなエリーとは対照的に、よく通る高笑いが辺りに響いた。戦場に降り立ったのは、眩く光る黄金のオーラを纏った魔王、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)。『黄金の女帝』の異名をもつアルテミシアは、そのゴージャスに巻かれた豊かな髪も金。魅惑的な瞳の色もまた金。
「――というのはワルジョークで、護国鉄神零號さんを倒しに来ましたわよ!」
『来たか、第六の猟兵……我を倒し、八億の魂に平穏を与えてくれ……』
その身に『鋼鉄共栄圏』の八億の民の魂を封じてある零號。だがその封印も、オブリビオン化の影響によって破綻の時を迎えていた。
「あら、リリリリさん、お早いお着きですわね。それでは共闘と参りましょうか。貴女はディフェンス。わたくしはアタック。よろしいわね?」
勇者リリリリの姿に気づいたアルテミシアが、早速彼女に声をかけた。出会うなり即座に指示を飛ばすあたり、流石は女帝である。
「お任せください。私も、ちょっとやそっとの攻撃で沈むつもりはありませんよ!」
二人の猟兵の頭上から、勇者リリリリの守りのオーラが燦々と降り注いだ。それに反応する形で、零號の胴体に格納されていた砲塔がオープンし、膨大なエネルギーが充填されていく。
『勇者リリリリ、そして猟兵よ。どうにかこの護国英霊波導砲に耐えてくれ……。もはやこの力、我にも制御しきれぬ……!』
自らの意志に反し世界を破滅に導こうとする零號の苦悩は、計り知れないものがある。そこには同情の余地こそあるものの、二人の猟兵に一切の妥協はない。
『うおおおおおっ
……!!』
赤熱する零號の機体から放熱板が剥がれ落ち、砲塔から膨大なエネルギーの破壊光線が放たれた。すかさずリリリリが猟兵のカバーに入り、盾をかざして正面から光線を受け止める。
「ぐっ……! さあ、今のうちに全力攻撃をたたき込んでください!!」
「では、お仕事を始めましょうか」
エリーは守備をリリリリに委ね、ユーベルコード発動の準備に取り掛かった。まずは、手元にサイキックエナジーを集約しはじめる。ぼんやりした光の渦が、彼女の掌中にゆっくり満ちていく。
「ほほほほ! さあ炎よ、もっと荒れ狂いなさい!」
一方アルテミシアのほうは、彼女らしい派手な魔術儀式を始めた。彼女の頭上で、魔力で召喚した幾つもの焔球が高速で旋回している。それらの焔球は回転スピードを上げるごとに、徐々に膨張していく。
「ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる……」
サイキックエナジーを手元に集め、一心不乱に掻き回すエリー。圧縮と回転の繰り返し。少しずつ出力を上げながら、慎重にエネルギーを高めているのだ。自身の制御可能な限界点に至るまで。
「さあ、お受けなさい!」
「ぐるぐるぐるぐるぐるぐる……ズドーン」
英霊波導砲の光が激しく瞬き、リリリリの展開した結界のオーラが壊されていく中、発射の時は来た。【
焔神の乱舞】の合体超巨大大焔球と、最大限まで高められた【念動ヴォーテックス】の破壊の奔流が、二人の猟兵から同時に発射された。
「きゃっ!」
リリリリが思わずたじろぐ程の二つの巨大な破壊エネルギーは一直線に零號へと叩き込まれ、大地を揺るがす轟音と共に鋼鉄の機体へと直撃した。
『見事だ……なんと凄まじい破壊の力……!』
極限まで練り上げられたエリーの念動力は鉄神零號の装甲を抉り取るのみならず、内部にまでもダメージを与え、アルテミシアの魔力を結集した巨大焔球は機体をオーバーヒートさせ、一部を溶解させるほどの損傷を彼に与えた。
砲塔から放たれていた護国英霊波導砲がぴたりと止んだ。そして次の瞬間、護国鉄神零號は遂にその片膝を大地に落としたのだった。
大成功
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凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
あの巨体と機械神の力
本物の難敵だけど
此処で止めてやらないとな
「あぁ、往くぞ」
「本当に心強いよ。今回は頼むな」
何時もなら俺達が護る立場だけど
今回は護られる側で、なんだか
それも少し面白いくて笑みが零れる
だけど油断はしないで、敵を見据える
今は相棒とこの世界を護る為に
「全力で行かないとな、時人」
「勇者リリリリ、護りは頼んだ」
【戦文字「死龍葬弾」】を使用
空中に文字を書き、何時もよりも力を籠めるように
この一撃で終わらせるようにと想いを込めて
「準備完了!合わせてくれ、時人!」
相棒の攻撃と同時に弾丸を放つ
あの巨体を止める為
八億の魂に平穏を与える為に
「これで終わりだ、護国鉄神零號!」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
存在だけで破壊を招くのか
護る者だったのにどれ程無念だろう
「辛いけど…往こう」
降り立ってリリリリに挨拶
「加勢、ホントにありがとうだよ」
先の戦争でも強さは見せて貰ったしだ
技の説明をして守護を頼む
発動までは攻撃に晒されるから
鉄壁の防御があるの有難いんだ
「うん、ちょっと面映ゆいけどね」
OKくれたら礼を言い
護国鉄神零號に向く
「…悪いけど」
真っ直ぐ錫杖で指し示し
UC天より来る百億の光使を詠唱
光使が舞い降りるまで攻撃を避け
また四龍を装填の間は無防備な
陸井を俺からも護る
多重詠唱で二撃目も用意しつつ
「今だ!」
陸井と同時に叩きこむ!
これ以上苦しまずに済むよう
8億の魂の為にも終わらせよう
●
大気が震え、戦場に熱気が満ちていく。常軌を逸した、
力と力のぶつかり合い。デビルキングワールドの悪魔ですら腰を抜かすような激闘が、依然続いていた。
『猟兵の力、これ程とは……だが、我が体内に眠る八億の魂を鎮めるには、まだ足らぬ……』
護国鉄神零號の鋼鉄の躯の中では、未だ『鋼鉄共栄圏』の民の霊魂が荒れ狂っているのだ。
「あの巨体と機械神の力、本物の難敵だけど此処で止めてやらないとな」
その時戦場に現れたのは、二人の青年であった。まだ若者のようにも見えるし、見た目以上の人生経験を積んだ大人にも見える。そんな不思議な雰囲気を醸し出す二人であった。
「存在だけで破壊を招くのか、護る者だったのにどれ程無念だろう」
この二人組、葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は、銀誓館学園の能力者として幾つもの死線を潜り抜けてきた強者である。世界の安寧の為に戦ってきた二人がこの機神にシンパシーを感じたのも、不思議なことではなかった。
「辛いけど……往こう」
「あぁ、往くぞ」
詠唱兵器を
起動させながら、二人は勇者リリリリの元へと向かった。
「勇者リリリリ。加勢、ホントにありがとうだよ」
「本当に心強いよ。今回は頼むな」
二人の挨拶に、勇者リリリリははっきり頷いて応えた。
「敵のダメージは順調に蓄積しています。私も、まだまだ戦えますよ」
そう言ってリリリリは、時人と陸井に守りの盾のオーラを施していく。
「勇者リリリリ、護りは頼んだ」
「うん、ちょっと面映ゆいけどね」
二人のユーベルコードが完成するまで、リリリリには少し頑張ってもらうことになる。普段は護る立場にある自分達が、今日は護られる側にある。その事実に、陸井は自然と笑みがこぼれた。こういう時もあるか、と。
『耐えてみせてくれ
……!!』
「気をつけて、来ますよ!」
開戦の合図は『八岐大蛇機関砲』の一斉掃射であった。素早く反応したリリリリが飛翔しながら矢面に立ち、機神の攻撃を一身に引き受ける。
「全力で行かないとな、時人」
「ああ」
世界の護り手たちが、同時に動いた。陸井が筆で空に描くは、【戦文字「死龍葬弾」】。四つの「龍の字」を組み合わせた戦文字である。画数の多さに比例して威力が増す技ゆえ、書き上げるまでにかなりの時間がかかりそうだ。
「……悪いけど」
時人の目つきが、鋭さを増した。そうして手にした錫杖で、機神の姿を指し示す。
「光使となりて来い! ククルカン!」
厳かに唱えられる、【天より来る百億の光使】。空の彼方から、白く輝く存在がゆっくりと舞い降りてきた。時人が使役する白燐蟲『ククルカン』が、ヒトの姿を象ったものだ。それは実に、神々しい光景であった。
『くっ……気をつけろ。当たれば只では済まんぞ……!』
零號の両腕、その肘から先が分離して、推進力を持つロケットパンチとして射出された。鉄腕は空中を猛スピードで疾走すると、リリリリと猟兵に襲いかかった。
「……ぐっ、なんて威力なの!」
剣と盾で『零式噴進飛翔拳』を捌くリリリリだったが、勢いを完全に殺すことはできなかった。リリリリが地面に叩きつけられた隙に、再び八岐大蛇機関砲が火を噴いた。標的は無防備な状態の陸井だ。
「今は俺が、陸井を護る」
コートを翻し、時人は陸井の前に立って錫杖を構え、防御態勢を取った。銃撃が激しく浴びせられたが、歯を食いしばり猛攻に耐える。「護」の一字を背負った友への信頼が、時人を奮い立たせた。
「準備完了!合わせてくれ、時人!」
「……今だ!」
陸井の「死龍葬弾」が完成し、それに合わせる形で時人の光使が零號へと殺到していく。すべては世界の
破壊を止めるために。そして機神の中に囚われた、八億の魂に安息をもたらすために。
「これで終わりだ、護国鉄神零號!」
四龍の戦文字の力を込めた術式の弾丸が鋼の身体に撃ち込まれ。光使の輝く刃が突き出されると、零號の胸元へと真っ直ぐに吸い込まれていった。
『……見事だ、猟兵』
全身全霊を込めた二人のユーベルコードが命中した瞬間、遂にその時は訪れた。
『ありがとう。これで、我が民の魂は浄化されるだろう……』
力尽き、細かい光の粒へと分解されながら零號の巨体は消滅していく。その声色は満たされたような、安堵したような、とても穏やかなものであった。
「やりましたね……お疲れ様でした」
肩を組んで支え合う時人と陸井のもとに、リリリリがゆっくりと歩み寄ってきた。伝説の勇者との共闘により、猟兵は見事強敵の撃破を完遂したのである。
大成功
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