帝都櫻大戰②〜美しき桜の下で
ふふ、アハハハ、
よし!丁だ!いや、半だ!!
わあああ!!いいぞ!やっちまえ!!
狂乱の声が響く。人の欲の集まる場所、華やかな街の裏側に潜む、仄暗い欲望。
「そいつを否定するつもりはねぇが、だからといってアイツらに好きかってさせるわけにもいかねぇな」
ふうとタバコの煙を吐き出し、紅筆・古金(巫女の血を継ぐ人・f43521)は集まった猟兵たちを見渡した。
「ここらは昔からの歓楽街でな。といっても、もちろん表にゃ出せない場所だ。表向き高級料亭や寄席や劇場やらの娯楽が集まってたが、その裏じゃ遊郭、賭場、闘場なんかの後暗い店の集うとこでもあった」
まあ、人間の欲望の行き着く先、お綺麗なものばかりでは無い。むしろ、そういう方が盛り上がることもある。とはいえ、表は表、裏は裏で引っ込んでれば問題はなかった。
仮に裏で身を崩したとしても、そいつは自業自得、仕方の無いこと。裏での出来事は裏で葬り去る、表に出さない。そんな最低限のマナーあるいはルールみたいなもんがある。
「が、そのひとつが影朧達に乗っ取られたとなると話は別だ。奴さんたち、生前の未練の影響なのか、従業員みてぇに振舞って表も裏も関係なく、人を呼び寄せ、更なる影朧の大量発生を目論んでる。なにせ、そういう場ってのは人の情念が集まりやすい……奴らにとっちゃ、格好の餌場だろうからな」
が、これを止めるのに施設を壊されちゃマズイのだ。欲望のはけ口というのはどこにでも必要であるし、一般人もいる。古金流に言うとすれば「カタギさんを巻き込むわけにはいかない 」ということだ。
なら、どうすればいいか、
「ここらは表も裏も人が多い……そういうとこにゃ、更に商売人が集まる。近くに屋台が出ててな。そこでめいいっぱい楽しんで、奴らの情念を上回ってやれ」
そう、遊べばいいのだ。なんとも今回は平和なお話、それでも放っておく訳には行かない。まあ、夏も終わりであるが……、
「楽しみゃいい。とはいえ、表の楽しみ方にしといてくれ。屋台で遊ぶなり、夜桜を楽しむなり、度をこさない程度に宴会をするなり……お前さんらなら出来んだろ?」
まあ、遊び方は任すが、くれぐれも『裏』の遊びをするなよ?と釘を刺す。今回はそちらではない。
楽しく祭りを楽しんでくれと締めくくり、古金はひらりと手を振った。
白藤
というわけで、こちらも少し落ち着いたので久しぶりにシナリオです。
今回は戦争ですね……が、こちらではお祭りシナリオを出させていただきました。
どうか、皆様心ゆくまで好きにお祭りをお楽しみください。
第1章 日常
『夜桜ライトアップ』
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POW : 屋台フードを制覇する。
SPD : ライトアップされた桜を見ながら宴会を楽しむ。
WIZ : のんびり歩きながら桜見物。
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栗花落・澪
※夜桜主体
料理も食べたいけど桜も見たい…
甘味を二つくらい買って
夜桜の傍でゆっくり食べようかな
この世界の雰囲気はなんだか懐かしく温かい感じがして好き
勿論、光だけじゃない事も理解はしてるけど
何より…花が好きだから
昔、狭い檻の中に囚われていた頃
外に出れるのは仕事の時くらいで
その後に起こる悲劇を考えれば…景色なんて見てる余裕も無くて
でも、孤独で眠れない夜に
よく小さな格子窓から入って来て話しかけてくれたのが
花の精霊さんだった
本体を見つける事は叶わなかったけど
そして助けられた後
木に咲く花として初めて見たのが、桜だった
小さな種と違う
華やかで、鮮やかで、儚くて…印象深い花
傍にいるだけで安心できるんだ
賑やかな声が聞こえる。あちらこちらで屋台を楽しむ人の声、提灯が飾られた様々な嗜好がこらされた屋台、夜桜もライトアップをされてほんのりと美しく、そして少しだけどこか妖しく光る。
そんな場所をのんびりと歩きながら栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は桜餅と草餅、そしてお茶を買うと夜桜の方へ。
そこには会場側が用意してくれたベンチや、地面にも座れるよう茣蓙が敷かれていて、祭りの喧騒からはほんの少し離れている。
人は全く居ない訳では無いが、ぽつん、ぽつんといる人々は騒ぐ訳でも無くのんびりと夜桜を見上げながら、談笑をし、穏やかに過ごしている。
栗花落はこの世界の雰囲気が好きだった。なんだか温かくて、優しい気がするから。
思い起こされるのは、孤独な夜……狭い檻の中、外に出れるのは仕事の時ばかり、それも、決していいものではない。
眠れぬ夜も多かった栗花落に、優しく話しかけてくれたのが花の精霊だった。
よいしょ、とベンチに腰かけ、夜桜を見上げながら思いにふける。
花の精霊は、たくさんの話をして、眠れぬ夜の孤独を癒してくれた。それがどれほどの救いとなったのか……それは栗花落自身しか分からぬことであるが、それでも、それはたしかに救いだった。
はむり、と桜餅を1口食べてみる。桜の香りがするもちもちっとした餅に、優しい餡の甘さ……それに目を細めて、自然と口元が緩む。
「……綺麗」
夜桜はほのかにライトアップをされて、優しい風に揺れている。
栗花落にとって、桜は特別な花だった。あの檻の中から助けられた後、初めて見た木に咲く花が、桜……。
華やかで、鮮やかで……けれども儚くて……傍に居るだけで安心できる花。
それは夜桜としても変わりは無い。むしろ昼間とは違う華やかさや鮮やかさ……そして儚さがある。
風に流されてきた花弁をそっと手のひらで受け止めて、栗花落は静かに目を閉じる。
もう少し、この空間を堪能しよう……そう思いながら。
大成功
🔵🔵🔵
響納・リズ
ふふふ、お祭りなんていつ振りでしょう。
最近は忙しかったので、気持ちを切り替えるためにも、ちょっと楽しんでみましょう。予算はありますので(お金持ち)。
屋台でいちご飴を買った後に、射的やくじびき、型抜きなど、屋台にあるアクテビティは、制覇する勢いで、何でもトライしていきますわ。
でも、どれもイマイチな結果に終わりそうですが……それでも楽しめばよいですわよね?
最後に祭りの華である花火を眺めながら、焼きそばを頂きましょう。
……今日はちょっと食べすぎ買いすぎましたわね。
今日買った髪留めバレッタを付けて、今日の思い出に。
これで影朧達が浄化されるのであれば、安いもの。
きっちり楽しく過ごさせていただきますわ♪
明るい提灯に照らされて、あちらこちらで楽しげな声がする。
「射的!射的はどうだい!」
「いちご飴だよー!おまけするよ!」
「ほら!そこの嬢ちゃん坊ちゃん!型抜きはどうだい?」
活気に満ちた屋台の人々の呼び込み、楽しげに笑う人々。この裏で仄暗い欲望を満たす店があるなんて思いもよらぬ風景だが、今回はそちら絡みであれどメインでは無い。
「ひとつ頂けますか?」
「毎度!別嬪さんには大きめのあげような!」
「まあ、ありがとうございます」
串に5個ほど刺さったイチゴに飴が纏った、最近よく見るようになったいちご飴を手に、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)はふふ、とにこやかに微笑んだ。
「お祭りなんて、いつ振りでしょう」
買ったいちご飴を手に、あちらへ、こちらへと目をやる。最近は酷く忙しかったのだ。ましてや、今回の仕事は【楽しむこと】。ならば遠慮なく祭りを楽しまなければ損というもの。
「そこのお姉さん!射的はどうだい?」
いちご飴をたべながら、はて、どれから遊ぼうか?それともなにか小物でも買おうか?と屋台を見ていれば、人の良さそうな店主が笑いながら声をかけてくる。
「まあ、是非」
「はいよ!」
近寄って笑いながらお金を払えば、渡されるコルク銃。おもちゃのそれを手に、コルクを詰めて構える。
ぱぁん!と軽い音、発射されたコルクは、壁にぽこっと当たって下に落ちる。
「残念!こいつは残念賞だよ」
「ありがとうございます」
渡されたのは小さなラムネ……外れてしまったが、こういうのも楽しい。店主にぺこりと頭を下げて、さあ、次の店へ
型抜き、くじびき、おもちゃ吊りにヨーヨー釣り、通り過ぎる遊べる店は全制覇する勢いでやりながら、時折、飲食系の屋台へも。
最近はこういうのも凝ってるものが多い。じゃがバタ、たい焼きパフェ、チョコバナナ……そして最後に焼きそばを買って、広場に設置してあるベンチに座ってふうと一息つく。
「今日はちょっと食べすぎたし、買いすぎましたね……」
ましてや、途中で怪我してる子供を見つけて自身のUCを使って癒したものだから、その疲れもある。だが、その疲労感はどこか心地よい。
どぉーん……大きな音に顔を上げれば、空に咲く美しい花火……。
「綺麗」
途中の店で、気に入って買ってしまった金魚の飾りが愛らしいバレッタを髪につけて、さあ、もう少し遊びに行こう。
これで影朧達が浄化されるのであれば、安いもの。
「きっちり楽しく過ごさせていただきますわ♪」
上機嫌にそう笑って、響納は歩き出したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
【調和の絆】で参加
このサクラミラージュが体現しているのは大正の世だ。激動の明治から文明開化に浮かれ、燻る戦火に目を逸らすように娯楽を楽しんだ。若い子供達には覗いて欲しくない闇の情念が澱んでいる。
なら、こういう件はアタシと律が受け持つのがいいだろうね。まあ、律は傭兵時代に賭けもやったらしいが、いい店で酒でも飲むかい?
財布は大丈夫だ。夫婦で高級料亭、いいんじゃないかい?マナーとかはお互いわきまえているからね。存分に宴しようか。
律と酒を酌み交わしながら思う。光も闇も人々が自分らしく生きているからこそアタシたちは気に入った。だから、守り抜きたいと思うんだよ。そうだろ、律?
真宮・律
【調和の絆】で参加
俺たちのホームグランドであるダークセイヴァーも闇深い場所だったが、激動の時代の真ん中の大正の世を体現したサクラミラージュも闇が深い。だからこそ俺たちは家をここに置いた。放っておけなくてな。
まあ、傭兵時代は賭けもやったぞ?でも今は家族との時間が大事だ。若い子供達の変わりにこうして闇の部分を受け持つのも親の役目だな。
高級料亭?いいな。おいしい酒、飲めそうだ。ああ、マナーは大丈夫だ。存分に食べようか。
そうだな、響に比べてこの世界に詳しい訳ではないが、ここは色んな人々の活き活きとした姿が好ましい。だから、世界の仕組みがどうあろうと、守りたいと思う。
このサクラミラージュが体現してるのは大正の世だ。激動の明治から文明開化に浮かれ、燻る戦火に目を逸らすように娯楽を楽しんだ。
そこには若い子供たちには覗いて欲しくない闇の情念が渦巻いている。真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)と真宮・響(赫灼の炎・f00434)のホームグラウンドであるダークセイヴァーも闇深い場所であったが、このサクラミラージュもまた闇深い……華やかな人々の営みの裏に、仄暗い情念が渦巻き、それは時に表に現れ、人々を食いものにすることもある。
故に、彼らはここに家を置いたのだ。どうしても、放っておけなくて。
そして今回は直接関わらないとはいえ、裏の世界が顔をのぞかせる。なら、自分たちが受け持つのが良いだろうと律と響は足を伸ばしてきたのだ。
「律は傭兵時代に賭けもやったんだって?」
2人仲睦まじく桜の下を歩く。裏では情念が渦巻く場所であるが、今はそんなことを覗かせず、人々の楽しげな声が聞こえる。大半が何も知らず、ただ祭りを楽しむ人々だ。
「ああ、傭兵時代にな」
響の問いかけに律が頷き、周囲を見やる。何も知らず、祭りを楽しむ人々の中には子供たちの姿も多く見えた。キャラキャラと笑い、りんご飴を頬張り、射的で一喜一憂をして……それは2人の家族を思い起こさせ目を細める。
若い子供達……彼らの代わりに闇を受け持つのも親の役目だな、なんて思いっていれば、響が笑いかけてくる。
「さて、私らは高級料亭にでも行こうか」
マナーは揃って問題は無い。ここらにある高級料亭も表向き……裏では仄暗いナニカの元締めかもしれないが、今はそこを取り締まるのが仕事では無い。めいいっぱい楽しんで、それにより影朧達の情念を上回ることが目的なのだ。
ふたりが入った高級料亭は、その看板の通り、洗礼されたサービスが行き届いていた。
満開の夜桜と、空に光る満月が美しい庭が見える個室に通されたふたりは、そっとグラスに注がれた酒を見やる。グラスであるが、用意されたものは日本酒……とはいえ少し変わっていて、薄桃色のにごり酒はまるで桜を思わせた。キラキラと金箔でも入っているのか、酒の中で光が時折反射する。
カチン、と涼やかな音を鳴らして2人でグラスを交わす。
1口飲めば鼻をすり抜けていく桜の香りに目を細めて、揃って笑いあう。
光も闇も人々が自分らしく生きているからこそアタシたちは気に入った。だから、守り抜きたいと思うんだよ。そうだろ、律?
そうだな、響に比べてこの世界に詳しい訳ではないが、ここは色んな人々の活き活きとした姿が好ましい。だから、世界の仕組みがどうあろうと、守りたいと思う。
そんなことを語りながら、柔らかに笑いあって、酒を交わしあって……運ばれてきた料理にも舌鼓を。
柔らかく愛おしい夜はそうして穏やかに過ぎ去るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
いわゆる貧民街だとかこの手の番外地っていうのは何かと問題になる事は多いけれど
こういう場所がある事で救われる人っていうのも確かにいるんだよな
いやまあ、別に今回の件とは関係ない話だけどな。純粋に楽しむ事にしよう
という事で、今回は食べ歩きでもしようか
まずは客引きしてくる影朧と軽く話をしながら、どんな屋台があるかを一通り確認してみる
一通り確認したなら、興味があるものを幾つか買いにいこう
なんとなく値引き交渉をしてみたり……本気で値引いて欲しい訳じゃないけども。こういうのも楽しみの一つだろう
買うべきものを買ったら、なにやら出し物が見えるところに移動してから食べる事にする……うむ、美味いな
いわゆる貧民街だとかこの手の番外地っていうのは何かと問題になる事は多いけれど、こういう場所がある事で救われる人っていうのも確かにいるんだよな。
そんなことを思いながら夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は、賑やかな声があちらこちらで上がる屋台を歩いていく。
番外地、暗い欲望を受け止める場所、そういう場所は誰かの救いになり、誰かの受け皿になる。が、まあ今回の件とは関係の無い話、今は純粋に楽しむことにして、食べ歩きでもしようかときょろりと見渡しながら歩き出す。
「いらっしゃい、お兄さん!どうだい?うちの牛串は美味いよ!!」
「ならそれを一本……他には、どんな店があるんだ?」
客引きをしてくる声に素直に近寄って、少し大きめの肉が串に刺さり、タレで焼かれた牛串を買いながら問いかける。
「そうだなぁ……お決まりの射的やくじびき、型抜きなんかもあれば、食い物は甘いもんが良けりゃクレープにわたがし、チョコバナナにフルーツの飴……そういや、飴細工なんてもん作ってるとこもあったなぁ。甘いもんが苦手なら、焼き鳥に焼きそば、お好み焼きなんかもあるぜ」
「ありがとう」
代金を支払い、毎度!という威勢のいい声を聞きながらゆっくりと歩き出す。射的やくじびきなどは子供たちが楽しげに声を上げて行い、食べ物の屋台からは食欲をそそるいい匂いがする。
「あと1時間ほどで、神輿が出るらしい」
「そいつは見ないと」
ふと、そんな言葉が通りすがりから耳に入るのに少し考えて、今度はお好み焼き屋の方へ
「店主、ひとつ」
「はい!ひとつ500円だよ!」
「……もう一声、貰えないか?」
「おっと!勘弁してくれよ兄さん。うーん、450円!これ以上は無理だぜ!」
「ならばそれで」
「毎度!」
そんなふうに値引き交渉なんてものもしてみる。成功しても失敗しても構わないのだ。要は、雰囲気を楽しんでるだけなので。
他にも焼き鳥や焼きそば、飲み物、甘味もいくつか買って、設置されたベンチで一息。
「わっしょいわっしょい!!」
賑やかな声と共に人々が歓声をあげる。そちらを見遣れば、なかなかに立派な神輿が見えて、夜刀神は目を細めながら牛串を頬張る。
「うむ、美味いな」
まだ祭りは始まったばかり。さて、今度はどう楽しもうかと思いながら、ひと時の平和を楽しむのだった。
大成功
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花牟礼・桜深
※アドリブ歓迎
屋台から離れゆったり歩きながら桜を見上げ、足元にはわらび(猫)
気まぐれに道端の草むらに顔を寄せたり、桜の木の根元でしばらく佇んだりするのを微笑ましい
風に舞う花びらが、わらびの背中にふわりと降り積もってそれに気づくと軽く身を震わせて払いのけたりしているのが可愛くて
「…さて、ここでいいかな」
静かな桜の下、敷物に座り先程の屋台で買ったものを置く
湯飲みを手にしながら夜桜を眺めていると、膝の上に乗ってくる
温かな体温が心地よくてその柔らかな毛並みを撫でながらお茶を一口
すでに居心地良さそうに丸くなり、眠たげに桜の花びらが舞う空を眺めている
静かな時間を共有することで、心が穏やかに満たされる
屋台でお茶菓子を買い、桜を見上げながらのんびりと歩く。その足元には、ととと……と歩く猫のわらび。
気まぐれに道端の草に顔を寄せ、ふんふんと匂いを嗅いだり、桜の木の根元で佇んで、ふありと欠伸をする姿は微笑ましくて、花牟礼・桜深(桜の樹の下・f35453)はゆるりとその口元に笑みを浮かべた。
白猫のわらびの背に、風に待った桜の花弁がふわりと降り積もる。まるで雪の上に桜が散ったようだと思えば、雪ではなく猫であるわらびはぶるぶると体を震わせてその花弁を払った。
ふわっと身震いして払われた花弁がひらひらと散って地面に落ちる。それが可愛らしくて笑みを深めると、
「…さて、ここでいいかな」
静かな桜の下、敷物に腰を下ろして、屋台で買った茶菓子を置き、持ってきた湯のみに、これまた持参したお茶を注ぎ、ゆっくりと口をつける。
暖かなお茶が、日も沈み冷え始めた体を心地よく温めて、ほうと息をつけば、その膝にとん、と重みと温もり……。
先程まで気ままに桜と戯れていたわらびが、くありと欠伸を零して、桜深の膝の上で丸くなっているその背を、優しく撫でながらもう一口お茶をすする。
ひらり、ひらりと舞う桜の花弁、一人といっぴき、それをのんびりと眺める穏やかな時間は心を落ち着かせ癒してくれる。これもまた、グリモア猟兵が言っていた楽しみの一つだ。
心が満たされてほわりと笑みを浮かべ、桜深はもう暫し、この愛おしい時間を過ごすこととしたのだった。
大成功
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