帝都櫻大戰④〜大怪盗は盗みたい
●帝都刑務所
「釈放だ。 もう二度と悪さするなよ」
「うう、お世話になりましたぁ……」
刑務所の門の前で守衛にたっぷりと怒られペコペコと頭を下げる銀髪褐色の一人のハイカラさん衣装の女性。
どうやら逮捕されこの刑務所に入れられていたのだが、罪状があまりにもアレすぎて一晩で解放されることになったらしい。
守衛のおじさんに説教の限りを尽くされた後何度もお辞儀しながらその場を離れていく。
トボトボと歩きながら曲がり角を曲がるや否や、着ていた衣装の脱ぎ捨て一瞬にして
手品師風のシルクハットを被った姿に変身した。
「
お勤め終えて、帝都を騒がす大怪盗……
大復活!」
大袈裟にポーズを決め予告状を近くにいた子供に飴玉と一緒に渡して予告成立。
まだ何を盗むか決めてないけどそんな事は些細なことにすぎない。
ヒソヒソヒソヒソ、近くにいた親御さんに後ろ指刺されたけど気にしない。大怪盗はそんなことではメゲないのだ。
そんな大怪盗が次はド派手に何を盗もうかと考えながら歩いていて次の辻を曲がろうとした瞬間、溢れ出した力のようなものに包み込まれていく。
「ぴぇっ!?」
信じれないような力の奔流。
足を踏み入れたその場所が、暴走した逢魔が辻であったことがこの(アレすぎる)事件の始まりとなったのだった。
●黄金変異の行きつく先は
この街がおかしくなっていると住民たちが気付いたのは全てが終わってからのことだった。
開戦と共に帝都各所にあった逢魔が辻が暴走するという事件がいくつも発生していたのだと当時は知りえなかったわけだ。
そう……本来ならば帝都櫻大戰の混乱のためいるはずのない者が大量にこの街にいたことに違和感を抱くことはなかった。
銀行や美術館からド派手にお宝を盗み逃げ回る大怪盗と、それを捕まえようと追いかける警官たちの存在そのものが当たり前の光景だとそう思い込んでしまっていたのだ。
「待てー大怪盗! 今日という今日こそは逮捕してやるー!」
「あははは♪ お宝はいただいていきますよー警部さーん!」
街中を駆け回る大捕り物。
どこかしこで見られるもその警官隊が全て逢魔が辻によって出現した影朧なのだと一見しただけでは気付かなかった。
よくよく見れば死者たちの住まう黄泉比良坂から湧き出たような外観をしているはずなのだが誰もそれに気づかない。
今日も『帝都美術館で展示されている数々のお宝を盗みに参上します』と予告状を出し、今まさに美術館へと向かっている最中なのだ。
まだ美術館に到着してもいないのにゾンビ警官達に発見されている点は気にしなくてもいい、この大怪盗にとっていつものことなのだから。
ここに出現した逢魔が辻の最奥は美術館にある特別展示室だ。
ガラスケースに入れられ飾られた王冠や巨匠の描いた絵画が置かれてある厳重な警備で囲まれた絶対に盗みなどできないであろう特別な場所。
そのお宝を狙いこの大怪盗はここに現れる。 本来ならば逢魔が辻の「主」としてここにいいるはずなのだが何故か外からやってくる。
この逢魔が辻……きっと一筋縄ではいかないのかもしれない。
●グリモアベース
「えーっと刑期(一晩)を終えて出所してきた大怪盗がまた悪さしてるみたいですねぇ……」
頭痛いとでも言わんばかりにグリモア猟兵の村雨・ベルは帝都美術館とその周辺の街の写真を集まった猟兵たちに見せた。
「逢魔が辻によって軽犯罪都市と化してしまった可哀そうすぎる街です。ここに大怪盗が現れ騒ぎを起こすつもりのようなんですが……」
眼鏡の位置を直しベルは話を続ける。
「逢魔が辻の最奥にいるはずの元凶がこうしてウロウロしてるわ……ゾンビ警官達に追いかけられて最奥である美術館の展示室に今から向かってる最中だわと、イレギュラーばかりですがどうにか捕まえとっちめてやってくださいな」
もはや説明を半分諦めているかのような様子でベルは肩をすくめる。
たぶんギャグ方面に強化されていて
無駄に丈夫なので逮捕したほうが早いのだろう。
無事に事件を解決できれば逢魔が辻は消滅するので心配はいらないらしい。
「あっ、溢れ出したゾンビ警官達は街の人達無視して大怪盗追いかけてるので、よっぽどのことが無い限り対処しなくて大丈夫ですよ~」
遠い目をしながら置いてあった推理小説のページを閉じベルはぺこりと皆に頭を下げた。
これから始まるトラブル満載の事件へと猟兵たちを送り出すことにいろいろな意味でごめんなさいな気分なのに違いない。
こうして事件の幕が上がる……ポンコツすぎる『逢魔が辻』の残念すぎる事件が。
轟天
これは帝都櫻大戰の1章完結の戦争シナリオです。
逢魔が辻によって米花町レベルで事件が起こる街と成り果てた帝都の一角が舞台です。
ギャグ補正全開の大怪盗が逢魔が辻でまたまた無駄にパワーアップ。
思いきりとっちめてやってください。
ここだけの話、豪華なお宝を盗むより大騒ぎを起こすほうに執着している気がしますが秘密です。
……おっと、これから捕まえにくる猟兵さんに話すのはご法度デシタネ。
●プレイングボーナス
「主」の執着の正体に気付き、弱めてやる。
第1章 ボス戦
『帝都を騒がす大怪盗』
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POW : 私は人を殺さない! …そのシリアスさだけを殺す!
【怪盗としてありったけの浪漫と非殺の決意】を籠めた【愛用のステッキ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【シリアスな空気と戦う意思】のみを攻撃する。
SPD : 毎回ピンチに陥って見せるのも怪盗の醍醐味ですよ!
【あえてピンチな状況に追い込まれた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ : 怪盗といえばやっぱり予告状ですね!
【辺り一面に舞い散る予告状】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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エルフリート・クランベルク
えーと、あの怪盗さんを捕まえればいいんだね?
なんだか妙な状況っぽいけど、頑張るよ!
特別展示室へ向かう途中の道で怪盗さんを待ち構えて勝負を挑むよ。
でも倒すというよりは足止めがメイン。牽制攻撃を仕掛けたり立ち位置を調整したりで時間を稼いで、警官さん達が追い付いてくるまで何とか粘れればと。
ステッキでの攻撃を受けると無力化されちゃうから、ハルバードで受けるなり避けるなりで受けないよう頑張る。
警官さん達が追い付いてきたところでUC発動、上がった能力と凶器攻撃を交えて抑え込みにいくよ。
神妙にしてお縄につけ~っ!
夢ヶ枝・るこる
△
■方針
・アド/絡◎
■行動
相変わらずと申しますか、酷い状況ですねぇ。
『FAS』により飛行、彼女の逃走経路を『FPS』で確認、先回りしまして。
【搾薢】を発動して『蔓』を形成、待ち構えますねぇ。
ドジっ子さんの様ですし、生やした『蔓』をスネアトラップに使えばそのまま転んでくれそうですぅ。
上手くそのまま捕縛して、屋根から逆さ吊りに出来れば最良でしょうかぁ。
後はそのまま『蔓』による吸収を行いつつ、ぐるぐる巻きにしてぷらーんとさせた上で、お仕置きに『蔓』で吸収を行いつつ、全身をくすぐりますねぇ。
尤も、『吸収』の関係で私の胸元があやしくなったり、彼女の衣装を『吸収』して辱めたりする可能性も有りますが、まあ?
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎
この怪盗さん全然懲りてない~!
ま、それならそれで、別の方向から懐柔しちゃおっかな~
ね~、あたしを助手として雇わない~?
前にあたしの盗みの腕を見せたでしょ?
【ミラード・クローゼット】で、お揃いの衣装も用意できるしさ!
それで、警官を上手くあしらいながら、特に欲しいお宝があるのかを聞いてみよっかな
何に執着してるのかが分かれば、それが彼女を理解する手立てにはなるよね
……まぁ、一緒にピンチに陥っちゃったらそれどころじゃないかもしれないけど!
隠家・めぐみ
大怪盗ちゃん、もう出所したんだ。
先日みたいに服として着てくれないかな。
んー、どうか分からないけど手伝ってあげようかな。
詳しくないけど影朧って情念を解決してあげるのいいんでしょ。そっち方面で対処したってにしたら猟兵としても大丈夫じゃないかな? たぶん。
というわけで無意識空間干渉で会いに行こう。黒い服で黒子になれば近づけると思う。
主役は大怪盗ちゃん。私は脇役、モノとして怪盗ちゃんが好きに使っていいよ。
まぁ、自分の好みよりも大怪盗ちゃんがカッコよく決める事が今回のメインだね。
接触テレパス同時使用で能力共有
私の能力は変装の違和感を消す物が多いから派手に現れる前振りになるかも。
最悪一緒に捕まるつもりで
●美術館特別展示室
「うーん。 怪盗さんまだ来ないんだよ~時間間違えちゃったかな?」
美術館の警備に当たったエルフリート・クランベルク(月を孕む・f44146)は展示されている美術品を眺めながら大怪盗がやってくるのを今か今かと待ち構えていた。
静寂に包まれた美術館内には警官もまだ誰もいない。ここで待っていれば向こうからやってくるはずと待つが予告時刻はとうに過ぎている。
ハルバートを横に置きとりあえず出発前にもらった茶菓子とお茶をいただくことにした。
こんな物を渡すあたり、もしかすると元から時間はかかると予知で見ていたのかもしれないあのエルフ。
結構待ったけど誰も来ない……まさか真面目に警備しているのは自分だけかなとちょっと不安になる。
大丈夫、マジで警備にあたってるのエルフリートちゃんだけだから。
●怪盗団結成!
刑務所近くの路地でクルリといつものコスチュームに戻った大怪盗。子供達にも盗みに入る予告状も出したことだしまずは甘味でも食べていこうかなとチラリと見た喫茶店から手を振る見知った顔。
テーブルに置かれた山積みのパンケエキと紅茶を指差し大怪盗にこっちおいでと呼びかけるピンク髪の蠱惑的な妖狐娘。
サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は前回の事件で大怪盗の性格がどんなものか把握し、今日は別方面から懐柔してみようと友好的に接してみることにしたのだ。
「もう~この怪盗さん全然懲りてな~い!」
「ちょっとそっとじゃメゲないのです♪」
美味しそうな甘味に釣られ席についた大怪盗にケエキを取り分け食べ始めた所でサエは話を切り出した。
「さっそくであれなんだけどさ。あたしを助手として雇わない~?」
「助手です?」
突然の申し出にキョトンとする大怪盗。なんだか照れくさそうにクネクネしてから何度も頷きにっこり笑顔。
「助かります~。3人になったらきっと何でも盗めちゃいますよ~」
「前にあたしの腕見せたでしょ……って返事早っ! ってか3人ってどういうこと?」
決断の早い大怪盗、そのあまりの反応の速さに驚くサエ。だがそれは二人とは別の声が割り込んできたことで理由が判明する。
「3人のわけ! それはもちろんわたしが大怪盗ちゃんとすでにいるからだよ~♪」
明るい声が響きサエが驚く前で大怪盗の着ている服がぐにゃりと歪んだかと思うと元気よく笑い大怪盗にしがみついている隠家・めぐみ(隠れて居る・f44303)の姿に変化した。
実は前回の事件で大怪盗が逮捕されていった後も着衣に化けたまま刑務所まで一緒に行っていたらしい。
刑務所に一晩入れられてる間も夜通し女子会してたのだから、そりゃあ反省なんかしてるわけがない。
(影朧って情念を解決してあげるのも解決策の一つだよねきっと!)
めぐみはそう考え行動を共にしてきたというわけ。
悪びれた様子の無い二人に色々な意味でツッコミ入れたいが今はやめておこうとサエは思う。
なんだろう……このままツッコミ入れたら収集つかない気がするのだ。
「じゃあ、作戦はこれこれこれで~」
「あー、その作戦でいくなら途中ピンチになってもわたし動かないようにしてるよ」
「じゃあこっちは先に仕掛けしてきてあげるから美術館前で合流するんだよ☆」
大げさにウィンクして見せサエは席を立つと荷物を取りに何処かへと先に店を出ていく。
一方のめぐみは服に化けてしばらくは黙ってるよと了解がとれたわけなのだが。
「あっ!」
「え!? なになに大怪盗ちゃん」
突然大きな声を出す大怪盗。ビクリと驚いためぐみのほうを見ておもむろに口を開いた。
「サエさん、ここのお会計忘れてる!」
「えぇぇ??? さっき出所したばかりでわたし達お財布持ってな……ぅゎぁ」
目の前には山積みのスイーツを食べ終わった空のお皿。
覚悟を決めた二人。
大怪盗とそのコンビらしく店主のほうへとツカツカと進み、そして……全力で土下座した。
結果的に予告時間に大遅刻した大怪盗。
……二人は
待ち合わせの時間に大幅に遅刻したのだ!
●
「待てー!」
逢魔が辻から溢れる悪意は通常ならば死者の国からの入り口が開いてしまったようなもので危険極まりない状況になってしまうのだが、大怪盗が“逢魔が辻の主”であるこの場だけは、何故か警官姿のゾンビ達も大怪盗を追いかけるドタバタ要員として機能していて町ゆく人々に危害を加えないのだけが幸いといったところ。
警棒を持ち集団で追いかけるその警官のさらに前を華麗に跳ぶ大怪盗はそれはそれはもう楽しそうだった。
「待てと言われて捕まる大怪盗ではありませーん♪」
調子よくピョンと家の屋根を跳び越えてた大怪盗、だがその着地地点の異様な光景に驚くももう落下中なのだから止まらない。
道も建物も緑に覆われたありえない光景、着地するも大量の蔓に足をとられ前向きに勢いよく地面へと倒れこんだ。
「わぷちっ!?」
「……いやぁ、本当にかかっちゃいましたねぇ」
蔓に転んだ大怪盗をふわふわと空中に浮く魔乳……じゃなかった夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が見下ろし困った顔を覗かせていた。
事前に女神様からの加護である『搾薢』によって作り出した蔓でここら一帯を覆いつくしておいたというわけだ。
起き上がり逃げようとするたび蔓に絡まれ転び倒れそして終いには宙吊りにされプラーンと持ち上げられてしまった大怪盗。
まさにピンチ、開幕からいきなり捕まりそうである。
ちなみに追いかけてきた警官隊も次々と蔓に絡まり周囲はまさに捕獲された
人々でいっぱい。
「反省していないようですし、少しお仕置きですよぅ」
「やっやめ……あはっあはははは♪」
るこるがちょっと指を動かせばそれに合わせ蔓が大怪盗をくすぐり悶え笑いが止まらない。
敵意無いくすぐり攻撃はよりにもよって大怪盗のステッキによるシリアスな空気の破壊が役にたたないコミカルなもの。
まるで反撃できず顔を真っ赤にして笑い続けてしまっている。
「ごめ、ごめんって……あは、くすぐったーい」
「ついでに生気も吸っておいてあげますよぅ!」
巻き付いた蔓でさらなる追撃を試みたるこる。だが逢魔が辻によって強化されている大怪盗の生気はそれはそれはもう膨大で、吸収した反動が一気に肉体変化を及ぼし自慢の胸が服を押し広げ衆目に晒された。
ポヨンポヨン
「うわぁ……大き~い」
「わ、私だけずるいですよぅ……こうなったらお仕置きですぅ!」
ヤケになったるこる。
生気ではなく大怪盗の衣装を吸収してしまい残されたのは蔓に絡まり半裸と全裸で対峙する二人だけ。
……っと、制服を吸収され全裸のゾンビ警官達。
「って、なんか怖い怖いこわーい!?」
「吸いすぎましたぁ!?」
二人して全裸のゾンビ警官達から逃げ出して向かう先は美術館の前だ。
「もうそろそろいいよね!」
いくらなんでもあの集団に捕まるのは嫌だと慌てていたが、どこからか別の声がして全裸だった大怪盗に黒い影が巻き付きそしていつものコスチュームに戻った。
無論これは変身しためぐみなのだがそうと知らないるこるからすれば一人だけ服を着て卑怯だーっと思ってしまう。
「一人だけ服を着てずるいですよぅ~」
「チッチッチ。服じゃなくてわたしなんだよねー♪」
るこるの瞳に一瞬だけ全裸の大怪盗に抱き着くめぐみの姿が見えた。そういえば以前の事件で見かけたような気がしないでもない。
そんな3人が
ゾンビ警官達に追いかけられ美術館前に辿り着くころ入り口前で手を振るサエの姿。
大怪盗と同じコスチュームを着ていて遠目には見分けがつかないミラード・クローゼット製の一品だ。
「あぁもう、警官たちは私が引き付けておくから先に行って!」
サエは大怪盗の姿のまま警官達を挑発しそして明後日の方向へと駆け出していく。
こうして美術館へと飛び込んでいった3人。
ようやく逢魔が辻の中心地に近づきトクンと世界が波打った気がする。それはきっと主である大怪盗がこの場に戻ってきたせいなのだろうか。
そんな3人が特別展示室で見たものは、お菓子やジュースを思いきり食べ散らかしぷぅと頬を膨らませたエルフリートの姿だった。
なんかもう怒ってる。 予告時間から大幅に大遅刻でこうして時間つぶししてるしかないのだから当たり前だ。
「もー! 時間を守るないの大怪盗さん的にどーなんだよっ!!」
プンスカ起こりながらゴウンと振るうハルバートの一閃。重量級の武器である
斧槍であるその一撃は重くそして鋭い。
「こ、これには事情が~!」
「ちょっと皿洗い時間かかっちゃって、ごめーん」
慌てる大怪盗と、もう一人分聞こえてくる謎の言い訳。
(皿洗い? え? 警官に追われたとかじゃなくて???)
なんだか知らない理由で遅刻したらしいがやることは変わらない。
「てぇーい!」
大怪盗のヘロヘロのステッキの大振りをあえてハルバードで受け、返す刃でわき腹を狙い一撃を加えるも決定打には至らない。
真横から伸びてきた茨の剣がハルバードに巻き付きその勢いを殺したからだ。
「えっ!?」
「はぁはぁ、その一撃は大怪盗の助手やってるこのあたしがやらせないよ☆」
戻ってきたサエが割り込みエルフリートの邪魔をする。それはつまり彼女もまた懲罰せねばならない対象だとキュっと唇を嚙み締めた。
だが時間稼ぎの効果はあったようだ、警官隊がようやく到着……。
「って、なんでみんな裸なんだよぉ!?」
助っ人がきたと思い気が緩みかけたエルフリートは半泣きで全裸の警官隊が雪崩れ込んでくるのを呆然と見つめた。
せ、正義を為すためにぃっ、みんな、ボクに力をかしてー本当急いでっやだやだやだーーーー!」
心に燃えた絶対典範の炎が点火されエルフリートの叫びと共に何処からか降り注ぐ大量の杭。
ザクザクザクと次々に突き刺さりあっという間に美術館内は大惨事。
「あぁ……逢魔が辻の化け物なんでしょうが、警官隊がぁ……」
服をちゃんと着直したるこるがそれを遠い目で見ていた。
「みんな……神妙にお縄につけー!」
そんなるこるが見ている目の前で号泣しながら懲罰執行中のエルフリートの杭、杭、杭。
「ひぇぇぇぇ
???????」
「痛っ、痛いってー!?」
「ちょっ、ちょっとは手加減してよっ!?」
大怪盗とめぐみとサエ、わるーい怪盗団の3人組はあっという間にコテンパン。
ギャグ補正無かったら3人とも死んでるよ?
「……じゃあ逮捕しちゃいますかぁ」
「……うう、よろしくなんだよ」
メソメソとまだ泣いてるエルフリートは、るこるに後を任したおかげで無事に大怪盗含む怪盗団は全員逮捕されていった。
今夜は3人とも警察署でこってり絞られるに違いない。
……たぶん、全然懲りないけど。
「一件落着ですぅ」
るこるは見ないことにした。 全裸の警官隊の無残な姿はぜーんぶ何もありませんでした。
そこの倒れているゾンビ警官にかかった青色のモザイクも修正です修正。
大成功
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