帝都櫻大戰② かんてらてら
「ソウマコジロウが眠りましたか」
お疲れ様――東・よるはの労いはたった四文字にて終わったのであった。時間が無いとはいえこの簡潔さ、この世の一種の無情さに余程参っていたらしく……間髪入れず紡がれる言葉。
「どうかよく眠れているといいのですが――」
願う傍ら、彼女の持った
紫の筐、次の予知を捉えたのだ。しゃん、鈴の音の聴こえるような。
「次は場所を変えましょう。浅草六区番外地です」
努めて笑顔だ――何だ何だ祭りでも始まるのか。
「庶民にとって非常に需要に溢れた場所である浅草ですが、至る所で影朧が溢れ出しては“番外地”に突入。様々な店を乗っ取ることで帝都の仄暗い欲を、莫大な情念を集めているのです」
――非常に危険な発生群です。
では訊いてみよう。How do we stop?
「もちろん、賭場などに限らず、その範囲にある健全なお店も対象です……これから参る所では、夜に小さな祭りをやるそうですから、猟兵くんたちはただただ、その祭りを、立ち並ぶ屋台の数々を楽しめばいい。ただ通り過ぎても構いません」
重要なのは、祭りそのものを“程々に”楽しむことだそうで。
「楽しめば影朧たちはあなたがたの情念に当てられ眠りますから、派手なことをしなくても、ユーベルコヲドを使わなくても宜しいのです」
楽しみといふ圧倒的な情念、生み出せるかどうか。
「さあ、行って。着いたら必ず、かんてらを持って」
――今宵は楽しいお祭り騒ぎ。
川内主将
取り急ぎプレイングボーナスだけ。
『とにかく楽しむ/楽しむふりはするが一線は越えない』ことでプレイングボーナスを獲得することができます。
夜がてらてら、明るくしましょ。
よろしくお願い致します。
第1章 日常
『灯桜浪漫譚』
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POW : 狭い裏路地へ
SPD : 川にかかる橋へ
WIZ : 桜咲く公園へ
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誰が話したか――浅草はいい所だよ。
賭けに遊郭に、人間の楽しみがたぁくさんあるんだ。
Is this true?
「やあ、こんにちは」
「どうもどうも」
「あなたもここに?」
やけに気軽に声をかけてくる客が多いもんだ、夜の浅草とはこんなにも鮮やかで賑やかだったか。もう少し桜の降るのが騒がしくない筈だが。街角、屋台がたぁくさん並んでいて愉快愉快。
まるで昏い欲望の集まりとは思えない!
「ここはね、色々な屋台があるんだ」
「たこ焼きに鯛焼きに、パンケヱキ! パーラーメイドさんたちもいっぱい、屋台を手伝ってくれる人を募集してるんだって!」
老若男女が教えてくれるんだ、確かに遠目で見たならメイドさんたちが虚ろな目と生き生きした笑顔――ミスマッチなのに自然が過ぎて。
浅草の夜、やはり些か昏いらしい。
「ねえ、どんな風に騒ごうか?」
「かんてらを持って、どんな風に回るのかな?」
「僕らと一緒に、ほら!」
とおっても、たのしいよ――って無邪気に客たちが笑ってる。
Again, is this true?

栗花落・澪
【双華】
んー、メイドさん達の様子は気にはなるけど…
部外者があまり深入りしない方がいいんだろうね
お子様って…僕もう二十歳になるんだけどな
わっ、わかったよ…!行くから引っ張らないでっ
いつも通り少し強引な姉さんに手を引かれながら
色んな屋台を見て回る
どれもこれも美味しそうで気になるけど…
えっ、うん!
パンケーキ食べたい!
えへへ、ありがとう姉さん
姉さんと半分こ
僕から言わなくても半分こしてくれる
気遣いがわかるからちょっと嬉しい
絶対調子に乗るから言わないけど
たい焼きかぁ
UDCだと餡以外にクリームやチーズなんかもあるけど…
この世界はどうなんだろ
種類があるなら違う味を頼んで半分こ
なんてのもいいかもだよね
栗花落・深香
【双華】
女には色々と秘密があるもの
お子様は気にしなくていいのよぉ
何歳になっても私には可愛い弟だもの
さ、それよりお祭り行くわよぉ♪
カンテラを持たない方の手で澪の手を引き屋台巡り
長年…とまでは、生憎誘拐事件のせいで言えないけれど
再会して5年になるかしら
ずっと見て来て好き嫌いも把握しているから
澪、パンケーキ食べたくない?
一緒に食べましょう
小食な澪の為に好きそうな甘味を半分こ
そうしたら色んなもの食べれるわね
たい焼きもいいわねぇ
どんな味があるか見てみましょうかぁ
私の方が少し食べるのが早いから
手が空いたら澪のカンテラも持っていてあげるわ
その方が食べやすいでしょうから
※心情や真剣な話以外は語尾伸ばす癖有り
この時期に立ち並ぶ屋台の数々を見ていた――どこもかしこも大賑わい、世が今危ないというのに何も変わらないか、それか寧ろ情念が籠っていくかの様な――、
「んー……」
どの屋台が気になりますか――否、パーラーメイドさんたちが思い切り動いて居るクレヱプ屋さんを見ていたのか。ともするならば何か勘が働いているのだよ泡沫の花、大行列を捌くその
深淵が
猟兵を覗いているのだ。
――君もちょっと、お手伝いしてみない?
――大丈夫、クレープを食べたり創ったりするのは楽しいよぉ。
誘惑じみて見えるな、華のようだ。
(部外者があまり深入りしない方がいいんだろうね)
それもまた一つの手であると――色々な華を咲かせてみよう。知らぬが華言わぬが華、
「女には色々と秘密があるもの」
隣にも咲いていることよ、美しい
生命。義理の姉にして暴走おねーちゃん、今宵はlow speedでお祭りですか。
「お子様は気にしなくていいのよぉ」
すいっとからかいましょ大事な
従姉妹を。
「お子様って…僕もう二十歳になるんだけどな」
初めて出会った時でさえ女と勘違いしなかったっけ――嗚呼今は置いといて。
「何歳になっても私には可愛い弟だもの」
さ、それよりお祭り行くわよぉ♪――どうぞお楽しみあれ宵の祭り。
ゆら、ゆら 二つ揺れる月の如き
灯。
空いた手は繋いでおいて、離れぬ様に。
どれが良さそうかしら――なんて手を引いて。
もう、姉さんったら――少しの
暴走に導かれ。
たこ焼き屋さんに射的屋、チョコバナナだとか、ベッコウ飴にくじ……数多ある“楽しみ”の列を見ていくのだよ。どれも綺麗で美味しそうで。これまた危ない誘惑だ、一度に選びすぎたら体重なんぞ――
cough、兎も角二人、一緒に食べようを叶えてみせて。
(再会して5年になるかしら)
それだけの時間を重ね見てきたのだ澪を、誘拐事件のせいで長年とは言えないが、好きと嫌いをたくさん知っているのだよ深香。
ほら、パンケーキ屋さんがそれじゃないか。
「澪、パンケーキ食べたくない?」
「えっ、うん! パンケーキ食べたい!」
「一緒に食べましょう」
「えへへ、ありがとう姉さん」
すみません、パンケーキをください――一つにしておいた。たくさん食べる方では無いのだ澪、しかしそれも半分こが叶うならどうってことない、胃の許す限る色んなものいっぱい食べられるだろうさ――
ささ、甘味を半分こしましょうか。気遣いは姉からだ、言葉なんぞ態々必要でもあるまい、ただ気遣いが伝わってきて澪、嬉しいの気持ちがちょっと生まれて。
ふわふわで、とっても甘い食感の良さ――ん、とっても美味しい。そう澪が呟いて聞き逃さなかった姉、これまた嬉しいが伝染してく。
澪より少しだけ食べるのが早いので――気遣いさらにトッピング。
「澪」
「あ――ありがとう」
ちょうど空いた手で澪のカンテラを持ってあげて。そうすればさらに食べやすくなる――美しくも確実な支えなのだそれが、まことに素晴らしい絆であることよ。
甘さを
記憶にたくさん詰め込んで、次は何を食べようか。澪がパンケーキをもうすぐで食べ終える頃、ふと近くにまた気になるものが、
「たい焼きもいいわねぇ」
「たい焼きかぁ」
ええ鯛焼きなんです――ごくん、最後の一口を、ご馳走様。鯛焼き、世界に依って色々な形を見せてくれるのだよ。
「UDCだと餡以外にクリームやチーズなんかもあるけど…この世界はどうなんだろ」
興味があれば参りましょ、思い立ったが吉日とも言うのでしょ。
「たい焼きもいいわねぇ。どんな味があるか見てみましょうかぁ」
さあ見てみましょ品揃え、生地が桜の如く淡いピンクの色合いなたい焼きがまず目を引いたんだ、甘酸っぱい桜たい焼き――他にもカスタアドクリーム、漉し餡、粒あんだとか、嗚呼実に彩りがいっぱいだな。
さて、澪が桜たい焼きを、深香がカスタアド味をそれぞれ頼んで。
そうしてそうして歩きましょ。今度は違う味を半分ずつ、なんて、桜たい焼きを半分こ。
ほんのり、甘酸っぱくて――それがとても美味しくて。ほら、食べてしまったらカスタアドも同じ様に半分こ――まろやかクリームの口当たりの良さ、たいやきと実に抜群な相性なのだよ。
「美味しいね」
「そうねぇ」
そうしてそうして歩きましょ、また澪の手が空くまでは、少し早めに食べ終えた深香がまたカンテラを持ってくれるから――気遣いさりげなく。
それも食べちゃたら、また、繋ぐ手。はぐれずに楽しむことそのものが、影朧たちの心を温めたのであったか――不可思議な深淵、ちょいと和らいできた。楽しみの形。
大成功
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シウム・ジョイグルミット
わーい、屋台がいっぱい!
美味しそうなのが色々あるねー、全部制覇したくなっちゃう!
(カンテラを手に、目移りしながらふわふわっと移動)
へぇ、ぱんけぇきも屋台で売ってるんだー
この甘い匂い、抗えないねぇ……メイドさーん、くーださいなー♪
重ねられるだけ重ねてもらっちゃおうかなー
クリームやジャム、あとメイドさんの愛情もあるのかな?
あれば、たっぷりかけてもらっちゃおー
受け取ったら落とさないように【念動力】で浮かせて、自前の銀食器で美味しくいただいちゃうよー
んー、ふわふわあまあま〜♪
もう口いっぱいに頬張っちゃおうかな、口元についちゃっても気にしない!
せっかくのお祭り、少し羽目を外すくらいがちょうどいいんだよ〜
君も思い切り声に出して楽しみ給へ。
「わーい、屋台がいっぱい!」
シウム・ジョイグルミット、風の如き緑髪揺らしてはあちこち気になる屋台に目がうろうろり。まだ知らない美味しいものと出会い、善くお前を変えていくのだよ。
「美味しそうなのが色々あるねー、全部制覇したくなっちゃう!」
弾む声が客の数々を、店員さんたちの心まで躍らせて。カンテラを持てば大丈夫。ほんのり宵照らす灯が道案内さ――楽しく征こうか。
「へぇ、ぱんけぇきも屋台で売ってるんだー」
やはり気になりますかパンケヱキ、誘惑が大変すごいんだ。ふわふわ食感に、出来立ての甘い匂いが鼻腔を擽って……この甘い匂い、抗えないねぇ……♪
ならば本能に従うまでよ。
「メイドさーん、くーださいなー♪」
「はぁい、かしこまりましたぁ」
これこれこうしてくださいな――三段重ねの“映え”の魅力もあることよ、たくさん載せ織り込んだクリームにジャムも手伝って、たっぷりと甘いのを望み給へ。
「あとメイドさんの愛情もあるのかな?」
そう聞いてみたらさらににこやか笑顔のメイドさん、
猟兵の望みを
実現えては現代じみた可愛い儀式、
――もえもえきゅん♡
「わーい!」
深淵より来たるファンサ、実に楽しく味わい尽くして。パンケヱキを受け取っては落とさぬ様に浮かせたものだ、安定の念動、銀食器も自前で準備を整える気合いの入りっぷり――派手すぎなければよろしいことで、早速とびきりをいただきます。
一口を口に運んだ瞬間まあ素敵、出来立てのふんわり食感と、たっぷりのクリームジャムのコンビネーションが味の宝石箱なんぞを一瞬で作り上げて。
「んー、ふわふわあまあま〜♪」
一口が嬉しくて次を口いっぱいに頬張った、おやクリームが溢れてほっぺたについちゃいましたよ、ジャムもか、器用に食べてこのようになりましたが案ずるな、このくらいの羽目の外れ方ならお天道様も笑ってお許しになる。
「せっかくのお祭り、少し羽目を外すくらいがちょうどいいんだよ〜」
そう、今宵は素敵で不思議なお祭り騒ぎ。風の吹くまま気の向くまま、この空気の中を漂うように歩き回るのが宜しい。自然に風吹くような食べ歩き、ゆらゆら揺れる
猟兵の灯り、情念飛び越して気分はハレルヤ、これならば爽快に夜が明けても不思議はないな。いつしか眠りゆく影朧たちの声。
――またのお越しを。
大成功
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