帝都櫻大戰⑦〜大怪盗は大変なモノを盗んでいきました
●帝城の危機
「ふっふっふ、さあ皆様お立合い! 今日はこの帝城を見事盗んで見せちゃいますよ~♪」
幻朧桜の花弁が舞いスポットライトまで当たった城壁に現れた大怪盗が予告状を周りにばらまきポーズを決めた。
「不死の帝」が御座し、幻朧桜に祈りを捧げ続けていると伝えられていた帝城、その実態は幻朧帝イティハーサを封じ込める為の巨大な封印碑だということが知れ渡り帝都はまさに大パニックの真っ最中。
そこに帝城を盗んでしまうなどと大きな声で宣言したこのシルクハットを被った女性こそが帝都を騒がす大怪盗。
人の一人も殺せないうえにまともに何も盗めた試しのないへっぽこ怪盗ではあるが、今回は幻朧桜の花弁のおかげで無駄に強化され封印の要である帝城を盗んでしまうとさっそく現れたのだ。
どうやら他の影朧達と違いいきなり破壊活動するわけでなく何やら秘策があるらしい。
そういえば『マジシャンが建物消しちゃいました』とかそんな大魔術があったりするがその延長なのだろうか?
それとも幻朧桜によって強化されたその力ならそれも可能だとでもいうのだろうか?
「ちょっと今から仕込みしますんで、ちょっと待ってくださいね!」
フフンと鼻高々にドヤ顔をするこの大怪盗……どうやらまだ準備できていないらしい。
何やら大掛かりなマジックでも用いて盗む気マンマンではあるのだが……猟兵たちはすでに目の前に転送されてきてしまっていた。
嗚呼……果たしてこの大怪盗の驚愕の盗みを猟兵たちは止めることができるのか?
轟天
これは帝都櫻大戰の1章完結戦争シナリオです。
幻朧桜の花弁により(意味なく)強化されてしまったへっぽこ大怪盗が帝城の建物そのものを消してしまおうと暗躍しています。
戦闘力そのものはへっぽこなのですが無駄にギャグ補正が強化されとてもとてもタフになってしまっています。
……どうにかしてください。
●プレイングボーナス
幻朧桜の花弁に対処する。
第1章 ボス戦
『帝都を騒がす大怪盗』
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POW : 私は人を殺さない! …そのシリアスさだけを殺す!
【怪盗としてありったけの浪漫と非殺の決意】を籠めた【愛用のステッキ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【シリアスな空気と戦う意思】のみを攻撃する。
SPD : 毎回ピンチに陥って見せるのも怪盗の醍醐味ですよ!
【あえてピンチな状況に追い込まれた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ : 怪盗といえばやっぱり予告状ですね!
【辺り一面に舞い散る予告状】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
つまり、強化されたギャグ補正でこんなことに…。
いえまあ、帝城盗ませるわけにはいきませんのでー。
強化した天候操作による風で吹き飛ばしまして。
ついでに、結界術で囲んで内部を生命力吸収呪詛空間にしますね。タフなら、余計にキツイ空間ですよ。身体がだるくなって、しんどいという意味で。
そこへ、漆黒風も投擲していきますねー。これ盗まれても、まあただの棒手裏剣なので特殊効果とかないですしー。
なので、ひたすらに投げますね。
●
凄惨で恐ろしい怨嗟の声が響き封印されていた影朧達がさらに飛び出そうというこの状況で流れるこの弛緩した空気。
下手をするとカッコウの鳴き声が聞こえてぐらいには戦いの気配がまるでない城壁の上で何やらゴソゴソとロープなどを仕掛けている大怪盗がこっちなど水に作業に没頭していた。
「え……ええと。強化されたギャグ補正でこんなことに……っ」
遠い目をしながらその近くまで普通にたどり着けてしまった馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はちょっと頭を抱えたくなってしまった。
(完璧にまだ準備中だと思って油断しているというか何というか……戦う気0ですねこの大怪盗殿)
「えっ……あ、まだ準備中ですのでちょーっと待ってくださいね! サクサク進めて見事帝城盗んで見せますので」
「いえまぁ、帝城盗ませるわけにいきませんのでー邪魔しますねー」
こっちにお尻向けたまま作業していた大怪盗に向け手をかざすと物静かに天候への干渉を始めた。
ゴウッと強風が吹き荒れ作業していた大怪盗と大きな布切れやロープに逃走用の気球までもが吹き飛ばされ天高く消えていく。
ピカーン
「うわぁ……まさかこんな古典的な表現を今見ることになるなんて」
空の星のように輝くまで吹き飛んでいった大怪盗、しばらくしてヒュウウウという音がしてその場に落ちてくると人型の大穴を開けて地面にめり込んでしまった。
残念女子に相応しいガニ股ポーズの大穴へと義透は近づいていく。
「な、なにするんですかぁ……まだ何もしてないのにぃ」
「準備シテましたよね? ほい…ここは悪霊あるところ」
もはや会話のオマケレベルで発動してしまう義透のユーベルコード四悪霊『界』。穴の中から這い上がってきた大怪盗をこれでもかと生命力吸ったり呪詛を侵食させたりとそれはそれはもう生きているだけで辛い空間にご招待。
常人なら死んでしまうようなその環境でも今の強化された大怪盗は死んだりしないし何なら疲弊しているようにも見えないのが恐ろしい。
が、しかし……そこはそこ使いどころが大事というやつだ。
「なんですかぁこれ……なんだか身体がダルイんですけどぉ」
「タフですと余計につらいですよ? ずーっとだるくてしんどいですから」
「そんなぁ」
穴から出てきたのにやる気0のダメダメな表情で寝そべったところに黒い棒手裏剣を次々投げサクサク刺さっている姿は普通に見たらすでに詰んでいるのにまだ元気。
幻朧桜の強化はやはり計り知れないものなのだとこれだけでわかるというもの。
「手裏剣いただきまぁす」
「……いいですけど、それごく普通の手裏剣ですよ?」
自分に刺さったモノを懐に直し始めたところに額にサクっと突き刺さるトドメの一撃。
これは痛い、見た目が痛い。
「ひぃ……刺さってますよー!?」
「当ててますから」
義透は遠い目をしながら思った。
とりあえずこうしてれば作業が止まってますよね、と。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
△
■方針
・アド/絡◎
■行動
何やら見覚えのある方が?
とは言え、何とかしましょうかぁ。
結局のところ、『幻朧桜』のものとはいえ花弁は花弁、重量等は変わらないわけで。
【崇卓】を発動、『つむじ風』の『現象』を発現させ花弁を吹き飛ばしますねぇ。
更に『FMS』のバリアを斜めに形成し怪盗さんの上に展開、以降降ってくる花弁をバリアを屋根にして防ぎましょう。
『愛用のステッキ』は『FSS』で防御すれば『戦意』への攻撃は防げますので、後は『FRS』の[砲撃]と『FAS』の羽弾、『FBS』の斬撃を重ねて叩きますねぇ。
尤も『ステッキ』による『シリアスな空気の破壊』は防げない分、妙なとらぶるに巻込まれる可能性は有りますが。
●
「何やら見覚えのある方がー?」
「エ? ナンノコトデス? ワカラナイナー」
以前どこかの事件で見かけた大怪盗が目の前にいるのだからさすがに夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もツッコミを入れたくもなる。
しょうがないね、へっぽこ大怪盗だしね。
「ほら……あの何ていいましたかお金持ちのお屋敷で」
「ゴホンゴホン。なにもわからないーわたしー初対面ですよー ええ、ええ」
るこるがそれでも攻めをやめないとタジタジとしながら壁を背に否定する大怪盗。
以前の事件では住み込みのメイドに化けていたが今はどこに潜伏していたのやら。
「では……知り合いでもないですし、遠慮しないですよぅ?」
「い、痛いのは無しでお願いしまーす!」
にっこり笑顔で浮遊兵器を展開させ始めたガチの空気にビクリと青ざめ大怪盗は見るからにオロオロとし始めた。
いくらパワーアップしようとも本人がへっぽこではなんというか限りなくHPが大きくなっただけというか何というか。
幻朧桜の花弁が舞うほどにその力は増しているものの、るこるには一つの革新がある。
それはこの花弁が魔法的なものでもなんでもなく本物の花弁であるという事だ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
祈りを捧げるとともに巻き起こったつむじ風が花弁を吹き飛ばしこの場に振らないように幕を作ってしまったのだ。
突然花弁が降らなくなりあきらかに弱弱しくなったような気がするが、よく考えたら戦闘力が上がっていたわけではないので見分けがつきにくいのがアレなところ。
「ちょっ! 勝手に花弁を盗らないでくださーい!」
「大怪盗に何か言われてますぅ~」
慌ててステッキを振り回す大怪盗と、それを見て上手く釣れたと内心ほくそ笑むるこる。
こうやって相手しているだけでも作業は停滞し謎の仕掛けは一向に完成の日の目を見ないのだ。
「てぇい!」
腰の入っていないへっぽこな殴り方だというのにバリアに当たるなり何故か世界中の国旗が飛び散ったり鳩が飛んだりととにかくわけがわからない。
「やりますが、お仕置きですぅ」
「え?え? なんかいっぱい……きゃああああ」
周囲に展開した砲台や羽弾が次々と大怪盗に命中し本来なら爆死していてもおかしくない集中砲火が襲うも、煙が晴れてみればそこには吹き飛ばされ人型に空いた大きな壁の穴が。
「……えぇぇ。あれでまさかノーダメですかぁ」
遠い目をしつつもるこるは確実に時間を稼いでいた。大怪盗の何かの仕掛けはこうしている間に他の猟兵により細工され始めていたのだから。
大成功
🔵🔵🔵
隠家・めぐみ
うーん、怪盗なら目の前に猟兵が現れた状況だといったん隠れて体制を立て直すよね。
じゃあ隠れる場所になろう!
(というわけで私は机、なんか隠れられそうな机なんだ……。)
無意識空間干渉となりきりかくれんぼの二重発動で、私は完全に机になる。
怪盗が隠れたら捕まる。
あとは、キャットファイトですねー。戦闘能力あんまりないし。
できるならそのまま怪盗の服になって隠れ方を習いたいー(?)
なりきりかくれんぼ
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
へーぇ、怪盗ねぇ
あたしとどっちが腕いいのか、確かめてみよっか♪
【狐の罠糸】で攻撃を仕掛けるよ!
一回ピンチになるのが怪盗の醍醐味なんだよね
じゃあ、この糸の攻撃も通るよね~
……今の糸、実は攻撃じゃなくてあなたの服を引っ掛けてたんだ~
これ、あなたの服だよね、盗ませてもらったよ!
取り戻さないとまずいんじゃない~♪
で、あたしの奪った服を取り戻すのに「次の行動」を使っちゃったね!
この後はもう、その補正は得られないよ!
で、こっちのなんかマジックに使いそうなスイッチは何に使うのかな~?
派手な仕込みで本命を見落とすなんて、怪盗としてまだまだだね!
●
「へーぇ、怪盗ねぇ。あたしとどっちが腕いいのか、確かめてみよっか♪」
「怪盗違う、大・怪・盗ですよー間違えないでくださーい!」
自慢のプロポーションを見せつけつつポーズをとるサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)に対して謎のこだわりがあるのか大声で反論する大怪盗。
一応本人の中では大事なことなのだろうと思うが、今はそのこだわりを利用することが一番とサエは内心悪い笑みを浮かべた。
後ろ手で指先をコソコソ動かしていることを気付かれないようさらに刺激するような口をきき。
「そうそう。怪盗ちゃんは一回ピンチになるのが醍醐味なんだよね?」
「大怪盗ですってばー! ピンチになんかなりたくないですよーだ、ベー!」
子供のようにあっかんべーをした大怪盗。だが次の瞬間グイっと何かに引っ張られ上着がいきなり脱げてサエの手元へと飛んで行ってしまう。
「な、なんでー???」
「あはは♪ 大怪盗から服を盗ませてもらっちゃった☆」
驚きとショックでうるうると半泣きの大怪盗。シルクハットを脱ぎステッキでコツンと叩けば盗まれサエの手に握っていたはずの上着が何故かそこから飛び出してきた。
「大怪盗から盗むなんてひっどーい! 見損ないました!実家に帰らせていただきますー!」
なんかもう明らかに泣きながら逃げていく大怪盗。それを追いかけサエも駆け出していく。
だが先ほどまで大怪盗が仕込みをしていた場所まで来るとニヤリと笑いその場にしゃがみこんだのだった。
●
「なんなんですかの人は! いきなり服を盗むなんてひどいですよ本当!」
プリプリしながら角を曲がって逃げてきた大怪盗はそこに隠れやすそうな机を発見しその下へと隠れ息をひそめた。
幸いにもあの怖そうな狐娘は追いかけてきていないようでほっと安心をする。
「はぁ……ここなら誰もいないですよね?」
「
こーこだよ♪」
大怪盗の呟きに答えるかのように隠れていた机が突然能天気に笑い美少女へと姿を変えた。
先ほどまで確かに机だったはずのそこにいるのはニヒヒと無邪気に笑う隠家・めぐみ(隠れて居る・f44303)なのだからさすがの大怪盗も驚きだ。
「つーかまえたー」
「えええ? どこにいたんですかー???」
どちらも戦闘とか格闘術に関して素人レベルのつかみ合い……というか怪我しそうにない
キャットファイトの始まりだ。
下手すると修学旅行に来ている学生以下の攻防が続きそして二人とも……あっさりバテてしまい大の字に寝転がってしまう。
幻朧桜で強化されようとスタミナ面まで強化されていないという不具合……というかギャグ補正が強くなっただけで別段強くなっていないだけなのだが。
「はぁはぁ……なんで帝城なんて盗みたいんだよ?」
「ぜぇぜぇ、だって成功したらかっこいいじゃないですか~」
めぐみは察した。 この子……残念な子だと。でもそこがいい。
「じゃあさ、手伝ってあげるから仲直りだよ」
「本当!? さっきからなんか邪魔が入って今も服盗られそうになってシクシクなんですよー」
さきほどのサエとの経緯を聞き何か閃いたとばかりにめぐみはポンと手を打ち何かを大怪盗の耳に囁き始めた。
「ゴニョゴニョ、これをこうしてここをこう」
「フムフム。な、なんて頭が切れる子なんですかー!? 大怪盗になれる才能ありますよー!」
なんだか知らないがこの二人テンションがものすごく近いのかもしれない。
まるで相棒でも見つけたかのような表情で二人は手を取り合い立ち上がると、がっちり握手し次の瞬間めぐみの姿がかき消えた……。
まるで最初からそこにはいなかったかのように忽然と。
●
「さっきのようにはいきませんよ服泥棒の狐さん!」
「おー、おっかえりー。仕込みが未完成だったから続きはちゃんと仕掛けておいたよっ☆」
大怪盗が戻ってくるとそこには色々やり遂げた顔のサエがいて立ち上がると手にした何かをチラチラと見せつけていた。
「って、あーっそれは!」
「こっちの何かマジックに使いそうなスイッチ☆ 何に使うのかなー?」
サエの手には玩具のようなデザインのリモコンスイッチが握られていた。それはこの後使うつもりだった仕掛けの起動スイッチでありそれを今押されたら色々と台無しになってしまう。
「ほーら。スイッチに気がとられて服がお留守だよ……っと、って……あれぇ?」
先ほどのように狐糸でこっそり大怪盗の服を盗んだはずなのに何かが変だ。まるでこの感触は何も着ていないような手ごたえの無さで。
「大怪盗さんの服を盗もうとしてもわたしがいるから無駄なんだよー♪」
「ですよー!」
サエは目を疑った。突然大怪盗以外の声がしたと同時に目に入ったのは全裸の大怪盗に自分が服であるとでも言いたげにしがみついためぐみの姿。
次の瞬間にはいつもの大怪盗の服に見えたのだから今のは見間違いだろうか?
「……え? 私もしかして疲れてる???」
ちょっと動転してしまったサエ。大丈夫、君が見たのは紛れもない現実の光景だ……ちょっとばかり服の代わりに化けためぐみがしがみついているだけで。
これどう収拾つけるんだろうと一同が思いつつ、帝城をめぐる攻防はまだまだ続いていくのだ!
大成功
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フィーナ・シェフィールド
シン(f05130)さんと一緒に。
大怪盗?あんまり聞いたこと無かったですけど…。
世界が壊されるかも、というこの一大事に、今度は帝城を盗むだなんて。
でも、市民のみなさんは大騒ぎです。早く捕まえて安心させましょう!
「わたしが囮になって、敵を惹きつける、ですか?」
えぇ、アイドルでスタアのわたし。十分お宝の価値はあるかもしれませんけど。ともかく、やってみますね。
「きゃー!たすけてぇー!」
かよわい女性の演技で、大怪盗に接近。
うまく接近できたら【戦場に描くは彼岸の桜】を発動、大怪盗に力を与える周囲の花弁を、わたしの彼岸桜の花びらから響く破魔の歌声で打ち消します。
あとはシンさん、よろしくお願いしますね!
シン・ドレッドノート
フィーナ・シェフィールド(f22932)さんと参加。
大怪盗…この私、怪盗・紅の影を差し置いて、それを名乗るとは。
あ、ここはSSWじゃない?失礼しました。
ともかく怪盗対怪盗、この勝負、負けられません!
「フィーナさん、どうやらあの桜の花びらがパワーアップの元らしいです。
何とかなりませんか?」
フィーナさんが囮となって怪盗に接近、花弁を無効化できたら、【月光の魔術師】を使ってテレポート。クイックドロウで両手に銃を抜き、ビットも含めた一斉発射で破魔の力を込めた弾丸で怪盗を仕留めます。
「さて、最後に、言い残すことはありませんか?」
これも慈悲です。消える前に辞世の句でも聞いてあげましょう。
●
「ふんふんふーん♪」
帝都を騒がす事にかけてはタイミング次第で有名になれてしまうなどと胸をときめかせ大怪盗は先ほど台無しにされてしまった仕掛けをまた作り直していた。
ちょっと手癖の悪い狐娘に勝手に発動させられさあ大変。また膨らんだ風船を縮ませ折り畳みゴソゴソと城壁に仕掛けているようだ。
ちなみにこの事件の最中に大怪盗の服が
別物になっているけど大筋には関係ないのでここでは割愛しちゃいます。
そんな大怪盗の元に桜吹雪舞う中颯爽とあらわれた二人組。可憐な歌姫とそれに付き従うかのようにフッと笑って見せる金髪の男。
この二人こそ事件を解決しようと現れたフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)とシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)であり、放置しておいても害が無さそうにも思えるけど幻朧桜で強化され厄介な相手をこらしめるには手が足りないと集った二人なのだ。
「フィーナさん、アレですか?」
「あんまり聞いたことない名前なんですが、一応“大怪盗”を名乗ってますし……」
シンはフィーナに懇願されここに姿を現したわけだが相手が大怪盗を名乗るとあっては一言モノ申さないと気が済まないのも事実。
なのでさっそく作戦をゴニョゴニョと相談しこの不安を解決しようと思うのだ。
「世界が壊されるかもというときに帝城を盗むだなんて…早く捕まえちゃうましょう」
「あの桜の花弁がパワーアップの元、おっといい手を思いつきました。少しお願いできますか?」
シンが何か思いつきフィーナに耳打ちすると二人は頷きあいそして大怪盗のいる城壁へと近づいて行った。
「大怪盗! この私、
SSWきっての怪盗“紅の影”を差し置いてそれを名乗るとは!」
「えっ? ここサクラミラージュなんですけど……わわ、私間違ってませんよね? ね?」
そこでチラチラとフィーナのほうを見てくるあたりもうちょっと自信を持ってほしいがこれはしょうがない。
あまりにもシンが自信たっぷりなのだから。
すると突然フィーナが怯えるような仕草でシンの元から駆け出し悲鳴をあげる。
「きゃー、たすけてぇー!」
「へっ?」
助けを求めるような視線を送った相手が突然悲鳴をあげて自分のほうに近づいてくるものだからついつい自分の後ろに匿うように受け入れてしまう。
大怪盗の後ろに見事近づけたフォーナはシンに
ウィンクしこっそりと彼岸桜の花弁を周囲に撒き始めた。
それは周囲の幻朧桜の花弁に溶け込んでしまい大怪盗もすぐには気付かない。それと共に突然歌い始めてもそれ自体に害があるとは普通は考えないものだ。
それが
幻朧桜の花弁を無効化ことに繋がるなど想像できるはずもない。
そしてどこからともなく差し込む月の光。桜吹雪の中にそれはまさに幻想的に映り目を奪われるには十分だ。
そして瞬き一つした所で至近距離に突然現れた
月光の魔術師。
「お待たせしました、お嬢さん」
「うん♪」
シンは味方の元へと一瞬で移動できるまさに魔術師の名にふさわしい力の持ち主。
それが敵の背中にいるフィーナの傍なのだから突然の不意打ちに大怪盗はまるで反応できるはずもなく。
「さて、最後に言い残すことは?」
容赦なく手にした真紅銃と連動するソードビットのありったけの弾丸を大怪盗に撃ち込み背中中に大穴が開いた大怪盗が吹き飛んでいく。
残酷なようだがこれもまた仕事だとさらにトドメの一発を撃ち込むシン。その凶弾が頭を貫いた瞬間突然大怪盗の身体が大量の予告状になってその場に散らばってしまう。
「毎回ピンチに陥って見せるのも怪盗の醍醐味なんですからぁ……熱っ」
ピンチに陥ってからの大脱出、まさに醍醐味なのだがシンの弾幕はそれらをすべて防ぐには数が多すぎたらしい。
お尻のあたりを抑えながら半泣きで、その場に仕掛けやスイッチ類を全て置き忘れたまま逃げだしていく逃げ足はまさに奇跡がかっていたかもしれない。
「逃げちゃいましたね?」
「ギャグ補正が無ければトドメさせてたんですけどねぇ」
やれやれと肩をすくめシンは足元に残された仕掛けを見てぷっと噴出した。
そこに残されていた大掛かりな仕掛けとは……。
「これたぶん、巨大な帝都の街並みと空が描かれた布で……これで帝城を消えたように見せようとしたんじゃ……」
「あぁ……盗むって、ようは手品師の“消える魔術”を大規模にやろうとしてたってことですか」
……もしかすると放置していても害が無かったもしれないレベルの大怪盗の盗みの真実。
だがしかし幻朧桜でパワーアップしていればそれでも何らかの被害は出たかもしれないし出なかったかもしれない。
「とにかくこの仕掛けは片づけておきますか」
「はぁ……国民的スタアに何やらせるんですか」
二人は肩をすくめ笑いあうと城壁に仕掛けられた手品のタネを一つ一つ片づけに向かったのだった。
大成功
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雪華・風月
…はい、と大人しく待てと言われたので待つ姿勢
以前見た劇団キングブレイン座長さんの劇も大変楽しいものでした
此方の劇団の座長さんはどのような楽しい喜劇を見せてくださるのでしょう…と目を輝かせて……
あまり時間がかかるようですので少しお手伝いをさせて頂きましょう…
ふむ、此方の仕掛けはどういったもので?
此方はどういうものでしょう?とマジックのネタを聞きながら
仕込みのお手伝い…
此方の縄は一体どういうとその辺りの縄を持ち上げ…
なんやかんやで大怪盗さんがお縄に…
なるほど、こう自然な感じで縛られるとは見事な芸…
是非とも後でサインを!
●
「はぁ……この桜餅美味しいです♪」
「お、おまたせしましたぁ……けほっ」
騒がしい城壁の上に布を敷き大人しく座って持参してきたお茶と茶菓子をモグモグと食べる雪華・風月(若輩侍少女・f22820)は頬を緩ませていた。
そんなこんなでのんびりと甘味を堪能していると、ようやく“仕込みの最中だから待っててね”と言い残していた
張本人がボロボロになりながら帰ってきたようだ。
風月にとって別に待つのは問題が無かった。以前見た劇団キングブレインの座長が見せてくれたものの中々のものであったし今回もついそのワクワクには勝てずこうして大人しく待っていたというわけだ。
「なんだか酷い目にあいましたぁ……いたぁい」
『痛いってば!』
なんだか二人分声が聞こえたようだが気にしない。大怪盗ともなると色々秘密があるに違いないのだ。
だがこれではいつまでたっても仕掛けが終わらずどのような公演を見せてくれるのかわからない。
だいたいにして一人で作業しているようで進みが遅そうなのでここは手伝ったほうが早いのではと思い始めているあたりこの戦場はのんびりしたものだ。
まるでそんな空気に支配されているかのように今日は剣を抜く気にはならない。
「お手伝い、しましょうか? その前にお茶でもどうぞ」
「だずがりまず~ぐびぐび、おいしーい!」
茶菓子とお茶で回復したのか大怪盗はみるみる元気になると、やる気を取り戻したのか風月の提案を受け入れさっそく再開する大掛かりな仕掛けの数々。
聞けばどうやら巨大な景色を描いた囲いで帝城を覆い隠し『盗んだ』と高らかに宣言するつもりだったらしい。
なので今仕掛けているのは大漁の気球で巨大な幕を吊り上げるために縄で縛っているということらしい。
「ということはこっちの縄はこうですか?」
「え? あ……ちょっ勝手に」
「あわわ!? すぐおろしますから!」
「そこは触っちゃ……ひゃあああ!?」
風月がロープを弄れば弄るほど雁字搦めというか亀甲縛りになっていく大怪盗の起こす奇跡。
どこをどうやったらそうなるのかわからない綺麗すぎる流れに思わず拍手したくなってしまう。
「なるほど……こう自然な感じで縛られお縄につくまでが大怪盗の芸ってわけですね!」
「
モガモガモガー!?」
こうして世間を騒がせた大怪盗は御用となったのだ。
あまりにもあっけない最期……幻朧桜の強化があってもこれなのだからそりゃ普段からまともに盗みができるわけがない。
一つの事件が終わりを告げ、調書という名の風月の色紙にサインするはめになる大怪盗。
その公正の時はきっとこない……たぶんきっとまた何処かでポンコツな事件を起こすに決まっているのだから。
こうして帝城の危機は猟兵たちの活躍によりひとまず窮地を脱したのだった。
大成功
🔵🔵🔵