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鯨の世界に降る星よ

#スペースシップワールド #スペースオペラワールド


●宇宙鯨とテレパス
 宇宙鯨、と言う生き物がいる。銀河をゆったりと旅する彼らの気性は穏やかで、今日ものんびりとエーテルの波に歌を乗せている。
 わたしの住んでいる街はそんな宇宙鯨の『背』にある。何せ宇宙鯨はひたすらに大きいのだ。人が少しくらい乗っても気にはしない。それに、宇宙鯨の背に落ちてくる隕石や取り付く宇宙寄生虫や何やは、回収すればそれなりの金になる。鯨も鯨で、人が背に乗っていれば色々と得がある。いわゆる相利共生と言うやつだ。
 わたし達はコバンザメ宜しく、鯨にくっついて銀河を巡る。行商めいたことをしながら、様々な港を巡って。
 宇宙鯨の行く先は、街のテレパスが彼女(そう、わたし達の宇宙鯨は、女の子なのだ)に聞くことで、あらかじめ分かる。ちなみに、街のテレパスというのは、わたしのことだ。責任重大だが、幸い鯨との相性は良い。気の合う女の子と話しているだけで生計が成りたつのだから、楽な人生とも言える。

 ――イーディシー、イーディシー、星が来るよ。
 わたしは突然の声にはっと起きる。宇宙鯨が呼びかけるときは、いつも突然だ。
「星? 次の宇宙港の到着まではまだ標準時間で大分あるはず――」
 ――イーディシー、降る星。一面の星。
 ある種の危険地帯であろうか、と思う。しかし、航宙士の話では、しばらくは平穏なルートが続くはずだった……。
 ――イーディシー様っ、宇宙鯨周辺に無数の隕石を確認。飛来してきます。
 刹那、別の念話が入る。わたしは空を見上げる。
 見れば一面に赤い星々が咲くように輝いていた。先ほどまでは何もなかったはずなのに。
「迎撃機構は。障壁は」
 ――だめです、物理的、魔術的攻撃、障壁共に全く効果を及ぼしません。もう、おしまいです。
 これでおしまいだ、と言われ、わたしは笑うしかなかった。
 人生はあっけないものだ。あたりまえの明日が来ないのは、妙に悔しかった。
 わたし達の宇宙鯨は逃れられない運命に、一声悲しく鳴くだけだった。

●星と宇宙鯨
「事件発生だ。舞台は輝く星々の世界、スペースオペラワールド。一匹の宇宙鯨に危機が迫っている」
 フラム・エテーネ(消えることなき愛の炎・f36381)は芝居がかった様子で指を鳴らし、状況を空中に投影した。ホログラムのように現れたのは、星を泳ぐ一体の巨大な鯨が巨大隕石に貫かれて死ぬ様であった。
 彼女は宇宙鯨についての説明を軽く行う。曰く、希少な生物であること。曰く、鯨に住み着いて宇宙を巡る人々がいること――。
「無論、宇宙鯨が死ねば、住み着いている者達も命を落とす。そして、最悪なことにだ。この鯨は魔術的触媒としても強い力を持つのだ……生贄として、な」
 フラムはため息を吐き、話を続ける。
「つまりは、はぐれ魔術師――オブリビオンが己の力を増すために、宇宙鯨を狙っているのだ。隕石墜落に見せかけて皆殺しにする、という手段でな。全く宇宙的な者達は、派手なことがお好きなようで」
 ご丁寧にも隕石は防護フィールドで守られていて、地上からの破壊は不可能だ、とフラムは付け加える。
「幸い、周囲の小さな隕石は目くらましだ。首魁が動かしているコアを破壊すれば、全て消え去るだろう。と言うわけで、直接隕石に乗り込んで、オブリビオンを撃破し、隕石を破壊してきて欲しい」
 さらっと無茶を言うフラム。彼女がひらりと手を動かせば、投影された画像が変わる。
「何、珍しい場所だ。鯨一匹救ったあとに、彼女との交流を楽しむのも悪くないだろうよ」


蔭沢 菫
 お久しぶりです、マスターの蔭沢菫です。
 隕石を破壊し、宙行く鯨と、そこに住む人たちの命を守りましょう。

 第一章は隕石を守るオブリビオン軍団に、隕石上で戦いを挑みます。隕石は地上に墜落している最中のため、速攻を仕掛ける必要があるでしょう。
 第二章では隕石を墜落させようとしている首魁の魔術師と、戦います。勝利することで隕石の防護フィールドは消滅し、隕石の破壊が可能となるでしょう。
 第三章では皆さんに宇宙鯨が話しかけてきます。奇妙な、宙を行く生き物との交流を楽しみましょう。

 それでは、プレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『カース・メイジ』

POW   :    カース・エンド
【レベル×10mまで届く呪詛】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ユーベルコードを封じる力】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    アブソーブ・エンジン
自身の装備武器に【レベルm半径内の敵から吸収した力】を搭載し、破壊力を増加する。
WIZ   :    モンスター・ショータイム
いま戦っている対象に有効な【呪詛を撒き散らす怪物】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
東天・三千六
宇宙鯨、ですか
いち瑞獣としては背中に"誰か"を乗せて漂う姿に親近感を覚えてしまいますね
まあサイズ感が段違いではありますが

宙を進めるよう龍へ身を変え……参りましょう
鯨さんに纏わりつく寄生虫共の駆除です

ふふ、ただの魔術師……小さなオブリビオン風情が、身の芯まで呪詛でできている僕の呪いに敵うとでも?
受けてたちましょう
魔術師へ向けて雷を何度も、何度も叩きつけます
隕石が落ちるより早く疾く……
僕の呪いからは逃げられませんよお、ふふふ
なんなら噛みついたり尻尾で叩いて宙にぽいぽいと捨ててしまうのも択ですね



 東天・三千六(霹靂霊・f33681)はふわりと飛び上がり、龍へと姿を変えた。
(宇宙鯨、ですか。いち瑞獣としては背中に"誰か"を乗せて漂う姿に親近感を覚えてしまいますね……)
 とはいえ、三千六に比べ、宇宙鯨はいかにもな巨体であったのだが。
 足下に見える宇宙鯨は、ほんのりと光を帯びている。背に築かれた街は、お伽噺のように愛らしく、まるでオブリビオンに襲われているのが嘘のよう。しかしそこから放たれている緊急信号と悲痛な『歌』は紛れもなく本物であった。
 三千六は観覧緑の瞳をゆっくりと隕石へ向ける。
(鯨さんに纏わりつく寄生虫共の駆除です)

(おかしい)
 魔術師は、ふつり、と切れた魔力のリンクについて疑問を浮かべる。
(各々隕石の上で儀式を行っているはずであったが……まさか、宇宙鯨の反撃が我々に届く? そのようなことはあるまい)
 再び、リンクが切れる。今度は、恐怖のこもった断末魔と共に。
 そこには、呪詛の気配があった。純粋な呪い、そして、暴力。
(そんな、まさか)
 不意に、エーテルが震え、魔術師の横を薙ぐように雷が閃く。
(敵襲――猟兵かっ)
 そこにいたのは、力を纏った緑の龍であった。二本の角に、長い髭に、胴に、爪に雷を纏わせていた。ただの雷ではない、と魔術師は対抗の呪文を紡ぎながら冷や汗をかく。
 ――瑞獣? 否。これは……全て、呪詛だ。
 冷や汗をかく。魔術師とて呪いの扱いには長けていた。故に、分かる。目の前の存在は、存在自体が桁違いの呪いだ、と。
 呪文によって生み出された災厄の豹を襲わせども、その呪詛の龍は橄欖石色の瞳でこちらを見つめるばかり。雷は何本も魔術師のもとへ落ちる。凌げども凌げども止まないそれは、まるで子どもの駄々にも似た理不尽さであった。
「僕の呪いからは逃げられませんよお、ふふふ」
 おっとりとした声は、それ自体が破滅を意味するようであった。
 退去の呪文を完成させることのないまま、魔術師は宙へと吹き飛ぶ。
 
 ぽい、と。善き邪龍の尾によって、魔術師であったものは吹き飛ばされる。
 はてなき暗闇の彼方へ、赤いローブが消えていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
なるほど、話はわかったよ
オブリビオンを殺せばいいんだね

時間が無いならこのユーベルコードを全力で使う
伴星・強欲の両鎌槍
普段は自分の体の一部を両鎌槍に変えて使う程度なんだけど
周りに同業者が居るほど狭い場所じゃないし
時間は無いし
きっと、できるだけたくさんのオブリビオンを殺して糧にしてやりたいという強欲な気持ちを思う存分解放していい状況だ
全身を変化させる大変身
大量の両鎌槍と化して多くのオブリビオンを包囲、殲滅する
こんな奴らに温情なんてかける必要性がまるで感じないから
殺したらその魂を奪って喰らってしまおうかな

なぁに、その怪物
子供の姿をしていたって俺の敵には変わりない
容赦なく一緒に潰してあげるよ



 サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は暗い宇宙の中で、口角を上げて隕石を観察していた。
(なるほど、話はわかったよ。オブリビオンを殺せばいいんだね)
 それはいつも通りの猟兵仕事。腰の剣は黒く、夜空よりも暗い色に朱が映える。
 しかし、今日はその武器を使うわけではなかった。
 サンディの口元に笑みが浮かぶ。穏やかに見えるそれには、確かな悪意がこもっており、普段の穏やかな雰囲気とは違和感を感じる者もいただろう。
 もっとも、この宇宙空間で現在、サンディの僅かな笑みを確認できるものはいないのだが。
「同業者が居るほど狭い場所じゃないし――」
 伴星・強欲の両鎌槍。普段は体の一部を両鎌槍に変えるだけの、サンディの切り札。しかし、この宇宙空間に彼を邪魔する者はいない。
(なにせ、時間も無いし)
 笑みに昏いものがやどる。サンディの心に宿るのは、たくさんのオブリビオンを殺して糧にしたい、という強欲な意志だ。普段は静かな物腰に隠れているそれは、暗い星の海のなかで、殺戮の花となって広がる。

 隕石上の魔術師は、次々に念話のリンクが途切れるのを感じていた。その声はどれも絶叫で終わっており、ろくでもない死に方をしたことだけは理解できた。
(ええい、面倒な猟兵め)
 残ったリンクで魔力を増幅させ、呪詛を紡ぎ上げる。そもそも大人数の儀式魔術で能力をかさ増しするのが自分たちのやり方だ。数に加えて、出力の差もある。不意を取られなければどういうこともない――。
 それが慢心だと、気付いたのは直後であった。
 それは大量の漆黒。両鎌槍の黒嵐。一キロ先に配置されていた魔術師ともども己が無慈悲に切り刻まれ、喰われていくのを感じる。それは殲滅であり,強欲な捕食であった。
 痛みよりも冷たい感覚が身を突き刺すのは、魂を捕食されているからだと気付く間もなく、魔術師達は塵と化す。
(こんな奴らに温情をかける必要性は、全く感じないな)
 大量の武器と化したサンディは、次の獲物を求めて宙を行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

梶浦・陽臣
「なるほど、隕石を使って生贄な……随分とスケールがでかいこった。逆に関心というか、そのスケールのでかさに脱帽するくらいだ。」

だが、とその言葉に続くように、二振りの魔剣を生み出し……

「わざわざオブリビオンを強化させるって言われれば話は別だ。」

生み出した二振りの魔剣は互いに組み合わさり変形し、一つの二輪車へと変わる。そしてそれに【騎乗】し……

「アクセル全開だ!一瞬で吹っ飛ばす!」

スロットルを思い切り引き絞り、急発進。
隕石の上だろうが【悪路走破】で走りぬき、その自慢のスピードで魔術師目掛けて走り抜く。

「隕石を落とそうが何しようが、猛スピードで衝突すればただじゃあ済まないだろ?」

魔術師がどんな攻撃をしようが、その全てを振り切る速度で進み続け……

「食らいやがれ!!」

速度の乗った【騎乗突撃】で、魔術師達に対しひき逃げアタックを仕掛けた。



 巨大な宇宙鯨に、巨大な隕石が迫る。現実離れした風景は、これが彼のいた世界とは違うことを雄弁に語っていた。
 梶浦・陽臣(地球人の魔剣士・f44426)は隕石を見ながら、快活な笑みを浮かべた。
「なるほど、隕石を使って生贄な……随分とスケールがでかいこった。逆に感心というか、そのスケールのでかさに脱帽するくらいだ」
 しかし、その笑みはすぐに真剣な闘志を秘めた真面目なものになる。
「だが、わざわざオブリビオンを強化させるっていわれれば話は別だ」
 意識を集中させれば、暗闇に二つの光が浮かび上がる。光は剣の形を取り――。
 そして、互いに組み合わさり変形した。そこに現れたのは、流線型のスマートな二輪車――オートバイだ。星の輝きを集めたようなそれは、しかし、確かに魔剣であった。
 陽臣はそれに騎乗する。エンジンが小気味よい音を立て、グリップを握る。
 排気ガスの代わりに吹き出されるのは、流星の尾めいた光だ。
「アクセル全開だ! 一瞬で吹っ飛ばす!」
 スロットルを引き絞り、急発進した二輪車は、隕石に素早く着地。
 衝撃を堪えながら陽臣は隕石の上を走行する。ごつごつと行く手を邪魔するように現れる岩。舗装などされていない純粋な悪路。それらを走り抜き――。目指すは赤いローブをまとった魔術師達。

「愚かな猟兵め。その力を利用してやろうではないか」
 猛スピードで突撃してくる光をまとった『何か』に向かって、魔術師はほくそ笑む。
 己の杖を取り出し呪文を唱えれば、陽臣の二輪車から速度と威力が徐々に奪われていく。
「物理には物理よ――魔術師とて、力学の何たるやは知っているものだ」
 さて、どう一撃を喰らわしてやろうか。
 そう思った瞬間、魔術師は驚愕することになる。
「なっ、早すぎる――」
 吸い取ったはずのスピードであった。相手は速度低下に怯んで隙を見せるはずだった。だが、全くもって遠方の何かは速度を落とすことがなかった。それどころか、増している風にすら見える。
「隕石を落とそうが何しようが、猛スピードで衝突すればただじゃあ済まないだろう?」
 全てを振り切る無双の速度であった。
「力を奪われたなら、奪われた以上に速くなればいい! 俺とこいつには、追い風がついているようなものだ!」
 な、なっ、といい終わる間もなく、魔術師は――
「喰らいやがれ!」
 吹き飛ばされ、絶命する。
「アクセル全開、次を狙うぞ!」
 仲間の危機を知った魔術師達が我先にと瞬間転移で集まってくる。陽臣はそれらににやりと笑いかけ、さらに速度を増す。限界を知らぬほどの加速が陽臣を襲うがそれに怯むことはない。突撃は無慈悲に魔術師達を散らしていく。
 シンプルな攻撃こそ強い、とは誰かの言葉。古の騎士が行うチャージにも似た猛攻は、フィジカルに劣る魔術師達に恐ろしいほどの打撃を与える。
 しばらくの後――派手な音を立ててターンをしながら二輪車を止めた陽臣の後ろには、動くものは何も残っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

所城・スーパー布団子
おうおう、派手だねぇー
派手なのはきらいじゃないけど、鯨をいじめるのははんたーい
生き物を殺すなんて許せない、ぶっ殺してやろ

〈空中機動〉を活用して隕石上での活動を補佐
※鳩時計から召喚した霊光の鳩たちに乗ったり捕まったりする

予知で聞いた相手の能力は、近付いた者から力を吸収する攻撃だったかな
そんなら近寄らなきゃいいよね

「行け、行け、行っといで――エンブリオリブオンオブリジェ」

互いに視認できないほど程十分遠くで、100羽の鳩を召喚
先頭を往く鳩の視界を共有し、オブリビオンに突っ込ませる

「見つけた」

こんなに沢山の隕石ぶちまけてさぁ。そんなに数の暴力が好きかい
なら喰らえ、いざ征け、ボクの鳩たち
もう止めて、と泣き叫んでも止めやしないさ
安全圏から一方的に殺す。それがボクのやり方
別に泣き叫ぶ声なんか聞きたくもないしね。そんなに趣味悪くないよ



 所城・スーパー布団子(スーパーふとんこちゃん・f43851)は霊光の鳩に腰掛け、隕石を眺めていた。
「おうおう、派手だねぇー」
 ここからは見えないが、おそらく他の猟兵たちの戦闘が繰り広げられ、赤いローブの集団が順調に数を減らしているのだろう。エーテルを伝って聞こえるのは巨大な宇宙鯨の叫びであり、それは避けられない破滅への恐怖を歌っているかのようであった。
「派手なのはきらいじゃないけど、鯨をいじめるのははんたーい」
 スーパー布団子の口元に、皮肉げな笑みが仄かに浮かぶ。
「生き物を殺すなんて許せない、ぶっ殺してやろ」
 赤衣の魔術師たちが聞いたら自分の立場を棚に上げて『理不尽な』といいそうな台詞と共に、スーパー布団子は霊光の鳩を召喚する。
「行け、行け、行っといで――エンブリオリブオンオブリジェ」
 盾のように掲げたのは、鳩時計。クックー、というのどかな鳴き声や翼のざわめきと共に、一気に鳩が飛び出る。
「そんなに数の暴力が好きかい」
 その数およそ、百羽。
 確かに、スーパー布団子には隕石上の魔術師たちは見えない。
 しかし、鳩たちには見えるのだ。今や、百羽の鳩はスーパー布団子の目であり、優秀な武器であった。
(なら喰らえ、いざ征け、ボクの鳩たち)
 輝く翼を羽ばたかせ、エーテルの大海を鳩は行く。

 魔術師は、不意に空を見上げる。全てを焼き尽くすような光が、己に向かって急降下してくるのだ。咄嗟のところで身を躱し、それを見る。
 光は、百羽の鳩であった。
 クックー、クックーと場違いな鳴き声と共に、一斉に散らばり、魔術師を包囲する。
(本体がいれば、このようなもの、魔術で力の元を吸い上げるものの――)
 魔術師は霊光の元を探る。呪詛を主に操る彼にとって、目の前の鳩の群れは、あまりにも厄介な存在であった。
 援護を頼もうにも、もはや魔力によるリンクも、念話もズタズタに切れている。
(ええい、分が悪い――)
 魔術師が転移の呪文を唱えようとしても、鳩たちはその隙を与えない。
 まるで一匹の、意志を持つ何かのように彼らは動いているのだ。
(どこに、どこに術者はいる――)
 自分を見ているはずの存在が分からず、味方も分からず。
 呪文を唱えようとするならば、腹立たしいことに鳩が目や手を狙う。杖をふるって追い払えども、たたき落とす数より襲い来る数の方が多い。
 クックー、クックー。鳩たちは減った仲間の数にも怯まずに、襲い続ける。
 クックー、クックー、クックー、クックー。
 嘲うような鳩の鳴き声に、止めてくれ、と思わず魔術師は叫ぶ。もはや、命以外ならば何をさしだしてもよい――そんな思いであった。

 さて、スーパー布団子はといえば、鳩たちの視界で魔術師の惨状を見ていた。助けを求めるような魔術師の仕草は、あえて無視している。
(安全圏から一方的に殺す。それがボクのやり方)
 彼女は殺しを止めやしない。
「別に泣き叫ぶ声なんか聞きたくもないしね。そんなに趣味悪くないよ」
 ゆったりと、皮肉げに。そういった彼女の『視界』の先では、抵抗むなしく魔術師が絶命していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『コズミック・ウィザード』

POW   :    フリーダム🌕サテライト
【膨大な質量】を宿した【小衛星『月』】を射出する。[小衛星『月』]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
SPD   :    マクロコスモス🌌ミクロコスモス
【銀河の加護】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。
WIZ   :    セルフ🌟ビッグバン
レベル秒間、全身から【暗黒物質のゆらぎ】を放出して全能力を倍増し、【星を産む爆発】で攻撃できる。月が出ていれば時間制限無し。
👑11
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 その宇宙魔術師は、クレーターの深部で部下とのリンクが次々と切れていくのを特に感情無く認識していた。
(所詮、この程度。まあ、いい。彼らが死ねば死ぬほど都合が良いというもの。最終的に私がこの『宇宙鯨』の力を総取りするということだし)
 そして、彼女は眉をしかめる。
(面倒なのは猟兵達。いずれも数は少ないが、手練れ……さて、どうやって始末するべきか)
 女はしばし考え、にやりと笑む。
 クレーターの奥からは、近隣天体の月が、煌々と輝いているのが見えた――。
サンディ・ノックス
こんにちは
殺しに来たよ

親玉へ挨拶してから
右手で暗夜の剣を抜いて斬りかかる
得物は剣と思わせておいてある程度近付いたら左手でフック付きワイヤーの朔を投擲し敵を拘束
逃げられないようにしてから剣で刻む
傷をつけたら何度も同じ場所を攻撃、抉って痛みを与えてやるよ
普通に生活している生物に酷いことをしようとしたんだからね
しっかり罰を受けてもらわなきゃ

ユーベルコードも使わず、武器を駆使して痛めつけるわけだけど
その間に小惑星の突撃を受け続けるわけだ
消耗しきって気絶する前に解放・赤夜を使用しておく
限界が来たら別の俺と入れ替われるようにね

もう一人の俺が出てきてもやることは同じ
武器の形を変えては傷を増やしてあげるだろう



「こんにちは」
 サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)はふわりとクレーターの上に着地する。その様子は一見好青年にしか見えない。
 だが、青い瞳には嗜虐の色が浮かび、言葉には悪意の棘があった。
「殺しに来たよ」
 礼儀正しい挨拶と共に、剣が抜かれる。夜より暗い漆黒の刀身に、朱の輝き。
 息をつく間も与えず、間合いは詰められようとしている。

(厄介な魔剣だ――おそらくは)
 女魔術師は思う。剣の正体は分からないが、若者がまとう悪意よりも、さらに昏い何かの存在を感じる。
(近寄る前に、消耗させねば)
 詠唱は短く、攻撃は正確に。形成され射出されるのは、小惑星――月。一見小型の球体に見えるそれは、隕石、いや天体並みの質量を凝縮したもの。様々な天体と魔術の光を浴びながら、その満月は正確にサンディに襲いかかる。
「そちらが月のつもりならば――」
 女魔術師のところに、剣の一撃はこなかった。代わりに襲いかかったのは、肉に食い込む鉤爪の痛み。フック付きワイヤーの名は朔。女が操る満月に対して皮肉な名であるが、彼女はそれを知ることはない。拘束され、ワイヤーが女の身に食い込む。
「普通に生活している生物に酷いことをしようとしたんだからね。しっかり罰を受けてもらわなきゃ」
 嗜虐の声と共に、動けぬ女へ剣の連撃が襲いかかる。
(やられたか! しかし、ワイヤーを維持する以上、向こうも逃げられないのと同然)
 執拗に攻撃されるのを呪文で凌ぎ、女魔術師は天体を操る。いかに生き延びるかの根比べだ。女は腹部を切り刻まれ、抉られ、痛みに身もだえる。しかし、サンディも月の突撃を受け続ける。
「いかな剣士とて、この連撃には絶えられまい」
 そうだね、とサンディは嗤う。血を吐く。もはや、肉体は持たない。しかし、既に手を打っていた。
「ここまで「俺」を追い詰めたことは褒めてあげる」
 そして、夜よりも黒い刃に、朱の光が踊った。

 女が状況の変化に適応する前に、サンディの刃が鋭く襲いかかる。武器の姿は変幻自在、前よりも攻撃の執拗さはましているようにさえ思える。その笑みはひたすらに昏く、生ける闇そのもの。
「おかげで俺が好きに動ける。ありがとう」
 なぶるように変幻自在の切っ先が何度も女魔術師へと襲いかかる。
 目の前にいる青年を動かしているのが、剣に宿った魂だと、知らせる余地もないままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東天・三千六
そろそろ、敵首魁のお出ましですね
このまま奴を潰して隕石の追突を阻止しましょう
魔術師のもとへ急ぎます

なるほど、宇宙魔法……随分と規模の大きな……
ですが、僕の御主人様に捌けぬものなど存在しません

召喚した霊を背に乗せて戦場を翔けます
青龍偃月刀を振るい敵の魔法をズバンと斬り消し飛ばします
暗黒物質のゆらぎだって刀を振った際に起こる風圧……風圧?でどこかに飛ばしてしまいます
無力になった隙をついて一刀両断、バッサリです

僕は御主人様を最強だと信じているので、御主人様もきっとそれに応えてくれるでしょう
僕の御主人様なんですから



 東天・三千六(霹靂霊かみなりおばけ・f33681)は、橄欖緑の瞳でクレーターを見る。女魔術師と、視線が合う。
(なるほど、宇宙魔法……随分と規模の大きな……)
 三千六が思った刹那、女魔術師は不可思議な仕草で呪文を構築する。エーテルが揺れ、周囲の空間がきしむ。
「その気配、瑞獣にしては禍々しい。呪われているのか、なり損ないか――」
 女魔術師はあざわらうかのように片手を上げる。そこに生まれるのは、開闢の膨張。ビッグバンの小規模な再現。
「今や天体は揃い、我が力を止められる者はなく」
 禍々しく、近隣天体の月が輝く。光が女魔術師に力を与えている――と見て取った三千六は即座に回避行動を取った。新たに星を生むがごとき爆発が何度も、先ほどまで三千六が居た場所を、灼く。

「なんだか好き勝手言われた気がします――が。ですが、僕の御主人様に捌けぬものなど存在しません」
 回避に忌々しげな表情を浮かべる女魔術師。気付けば、三千六の背には古風な武人がまたがっていた。
「――最強なので!」
 そこにあるのは召喚した霊への、『御主人様』への圧倒的信頼。寡黙な武人はそれに応えるがごとく、手綱を器用に操る。
「動きが素早くなった、だと」
 女魔術師は変化した三千六の動きに、急いで何度も暗黒物質の揺らぎから、爆発を生み出そうとする。しかし、三千六の『御主人様』は甘いとばかりに、その爆発を、発生する前に青龍偃月刀で一刀両断に切り払う。
「宇宙空間だって、僕の御主人様には関係ありません――たとえ、エーテルの波が支配しようとも、です」
 エーテルの圧で雲散霧消した爆発の余韻をかいくぐり、龍が駆ける。
 突撃するその姿に溢れるのは三千六のひたすらな喜び。『最強の御主人様』への重いが、更に彼らを強くする。
 
 女魔術師は己の背に冷や汗が走るのを感じる。自身を守っていた障壁への集中が、一瞬途切れた。その隙を逃さないのが、偃月刀を構える召喚霊と、騎龍である三千六だ。
「僕は御主人様を最強だと信じているので、御主人様もそれに応えてくれるんです――僕の御主人様ですからね」
 あまりの加速に、障壁の再構築は間に合わない。咄嗟に引き起こした爆発すら、召喚霊は切り払い、強引に隙を作り出してくる。
「はい、行きましょう、御主人様!」
 雄叫びがエーテルを震わす。
 女魔術師は、己の体が深々と偃月刀に切りつけられるのを感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

梶浦・陽臣
●POW対応
●絡みあり
「宇宙にも魔術とかそういうもんがあるのか。サイエンスファンタジーってやつか。」

腕を組んで宇宙魔術師を見据える。何をしてくるかは分からないが、間違いなく先ほど轢き倒した魔術師達よりも強いのは間違いないだろう。

そして相手のユーベルコード……膨大な質量を持った月が射出されると

「でけぇな……あんなもんぶつけられたら一巻の終わりだな。」

あっけらかんと言いながらも、1本の魔剣を生み出す。
不可思議な装飾を施された魔剣……空魔錬剣は段々と力が上がっていき……
最高潮に達すると同時に、代償として鋼刃魔剣へと取り込まれる。

「さぁ、そのデカ物返してやるよ!」

空魔錬剣を代償にした一撃は空間に穴を開け、相手のユーベルコードを吸い込み……

「自分のユーベルコードでやられるこったな。」

宇宙魔術師の目の前に開いた穴から、勢いそのままに飛び出し、魔術師の方へぶつかっていく。



 梶浦・陽臣(地球人の魔剣士・f44426)の周囲で、エーテルが渦巻く。
「宇宙にも魔術とかそういうもんがあるのか。サイエンスファンタジーってやつか」
 バイクと化した双輪魔剣でクレーターに降りる。その車輪は沢山の魔術師達を轢いてきたばかりである。陽臣は腕を組み、親玉らしき遠方の女魔術師を見た。青いドレスを着た女の周囲では、規則的に天体が現れては消え、消えては現れる。その様子は一見幻想的ではあるが、明らかな悪意とともにあった。
(先ほど引き倒した魔術師達より、強いのは間違いない……)
「おや、剣士。たかが刃で私を打ち破れると思ったか」
 酷薄な笑みを、女魔術師は浮かべる。素早く手を動かし、呪文を詠唱する女魔術師。
「いかなる剣を使おうとも、近寄れなければ意味はない」
 女の指先から浮かび上がった光は、小さな月に姿を変える。小型の球体でありながら、天体並の質量を凝縮したそれは、無慈悲な正確さで陽臣に襲いかかる。ランダムな速度、そして軌道。全てを慈悲なく照らし痛めつける月の光。
 それらは近づこうとする陽臣を器用に牽制するがごとく、戦場を飛び回る。
「でけぇな……あんなもんぶつけられたら一巻の終わりだな」
 バイクから飛び降り、回避行動を行う。陽臣の髪の毛を光が焦がす。
 それでも陽臣の表情はあっけらかんとしたものであった。危地といえば危地である。しかし、その刺激的な生活を、陽臣は心から謳歌していたのだ。
「来い、空の刃」
 無から魔剣を生み出し、それを操るのが陽臣の能力だ。手元に浮かび上がった魔剣は空の力を宿すもの。施された奇妙な装飾は剣自身の物語を語るがごとく。陽臣が意思を込めるごとに、その力は増していく。
(もっと――限界まで――!)
 逆手に持った鋼刃魔剣が、鈍く輝く。臨界状態の空魔錬剣は不意に砕け――供物のように、陽臣の鋼刃魔剣に取り込まれる。
「エーテルの均衡が崩れているだと――!?」
 魔術師は魔剣を弾き飛ばそうと、月を操る。
 しかし、その月は、陽臣の周囲で消えた。

 空。無。うつろ。零。その力は、「ない」ものである。
「さぁ、そのデカ物返してやるよ!」
 陽臣の刃は代償となることで、内包していた『空』の力を周囲に解放した。故に――空間は切り取られ、孔となる。月は無に飲み込まれ、何処かに消え、そして――。
「コントロールを喪った――!?」
 現れるのは、女魔術師の眼前。
 皓々と光る月は、あまりにも理不尽で、無慈悲で。
 女魔術師の組み上げた障壁すらも貫き、ただ慣性に従って、押し潰しに来る。
 減速の呪すら意味を持たない。目の前で起こっているのは、自然の現象であり、逃れることの出来ない宿命であった。
「自分の月に潰される気分はどうだ」
 吹き飛ぶ女魔術師。最期の一撃を喰らわせようと、駆け寄る陽臣。
 女魔術師は、素早く上方に退き、撤退の準備をする――。
「なに、鯨など他にもいる……目を付けられすぎたか。損害も多い……」
 そう、告げて。忌々しげに陽臣を睨んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪白・咲
すっかり出遅れかたと思いましたが、
こうして逃げようとする貴方に出会えたのですから、
ちょうど良かったのかもしれませんね。

ここで貴方を見逃せば、コアを破壊できるようになるのでしょう。
しかし、貴方は何処か別の場所でまた宇宙鯨を狙い始める筈。
そのようなことを認めるわけには行きません。
ここで骸の海へと還します。

打刀を構え、敵の動きを見据えながら近付きます。
月を放ってきたなら、その軌道を見切り、一刀のもとに斬り捨てましょう。(UC)

続けて、動揺している敵に幾つもの指弾を放ち、四肢を攻撃。
敵が対処している隙に仙術の縮地で一気に接近。
隕石で宇宙鯨を貫こうとしていたように、その心臓を貫きましょう。



「すっかり出遅れたかと思いましたが」
 ましろの桜もあでやかな、花雪白・咲(飛花仙・f42310)。彼女は女魔術師の姿を見て、やわらかに呟く。
「逃げようとする貴方に出会えたのですから、丁度良かったのかも知れませんね」
 女魔術師の紡いでいた撤退の術が、止まる。新たな存在に逃亡すべきか、戦うべきか一瞬、躊躇し――咲の方を見た。
「ここで貴方を見逃しても、またどこか別の場所で、宇宙鯨を狙い始めるはず。認めるわけにはいきません」
「何か、問題でも?」
 魔術師は、冷たく言い放つ。その口で呪文を組み上げ、指先で紋様を描けば、天体並の質量を持った小さな月が現れる。
「所詮剣士などには、魔道の秘奥に至ることの意味など――わからぬか」
 女魔術師は、月を咲に向けて放つ。幾度も軌道を変えるそれは、咲が魔術師に近づくのを阻止するように動き続ける。
(足止めですね)
 静かに咲は目を閉じる。女魔術師が再び撤退の術を唱え始めたのを耳で捉える。
(数拍――いや、三拍あれば、十分です)
「ここで骸の海へと還します」
 静かな声が女魔術師の耳に届いたときにはもう遅かった。
 一歩、咲が前に足を出す、構えた打刀が閃いた瞬間、月が一刀のもとに、切り捨てられる。
 驚いた女魔術師。声も出ぬ間に、苦痛が四肢を襲う。
 咲から指弾が幾つも放たれたのだ。急いで魔力で盾を構築するが、その懐に、咲は刀を構え、難なく入り込んでいた。
(縮地を使うだと――)
「御覚悟を」
 その刃の残像はは鋭い流星のように。もしくは、宇宙鯨を貫こうとしていた隕石の切っ先にも似ていた。
 三拍目で、咲は正確に、女魔術師の心臓とコアを貫いていた。

 絶叫と共にオブリビオンは消える。
 コアの消滅と共に、周囲に浮いていた隕石の軌道はずれていき――そして、数え切れないほどの流星となって、宇宙鯨の周囲に降り注ぐ。
 やがて塵となり、消えゆくそれらは、美しいだけの無害な存在。
 
 咲は、ごれが最後の仕事とばかりに――流星の中、足下の大隕石を一刀両断にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『生体惑星との交流』

POW   :    触れ合い、感じる。

SPD   :    もしもーし。話し掛ける。

WIZ   :    デコレーション!何か作る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

 警報が解除される。
 宇宙鯨は悠々、エーテルの海を渡る。
 砕けた大隕石は流れ星となり、嘘のように夜空を彩っている。
 その中で、猟兵達のもとへと、慌てるようにかけてきた一人の娘がいる。
 年は十五、六。エプロンドレスを身につけており、一本お下げに編んだ赤毛は燃えるよう。エプロンの下に身につけているライラック色のワンピースこそ愛らしいが、やんちゃそうな性質を内にかくしていることが見て取れる。
「テレパスのイーディシーです。この度はわたし達を助けてくれてありがとうございます……。宇宙鯨は、ずっと怯えて、皆を心配してました。臆病で優しいんです、彼女」
 囁くようなエーテルの震えが、大気を揺らす。鯨が笑っている、とイーディシーは悪戯っぽく笑んだ。
「こんな騒動の後なんでで、あまりご馳走とかは出せませんが……お話ししたり、白いふかふかのパンとソーセージのシチューくらいは、食べていってくれますよね?」

 宇宙鯨の思念が、そっと猟兵の心に触れる。
 それは純粋な歓待と愛情で出来ていた。
サンディ・ノックス
そう、この鯨さんは臆病で優しい性格なんだね
…怖がらせちゃったかな

鯨に触れていいかイーディシーさんに聞く
すでに乗っている気がするけど、居住地の一角として接するのと
気持ちを伝えるために手で触れ合うのとでは違うように思うから

鯨の気持ちを直に受け取ることはできないけれど
手で触れる許可をもらえたら右手で触れ、そうっと大事に撫でて
力のぶつかりあいの中に身を置いて
怖かっただろうに頑張って居続けてくれたこと
人々の心配をしてくれたことにありがとうを伝える
俺が悪辣を働いたから怖かったんじゃない、ごめんねと謝るのも忘れずに

鯨と触れあいたくてこの依頼に来たまであるからね
それからおもてなしを受けて穏やかな時間を過ごそう



 怖がらせてしまっただろうか。サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は足下にに広がる大地を見る。シロツメクサ咲き乱れる花園は、どこからどう見てもただの平和な大地だ。
 だが、ここは宇宙鯨の上なのだ。
「触れてもいいかな」
 イーディシーはサンディの意図を察して朗らかに頷いた。
「ええ! 大丈夫。あの子は触られるのが好きなんです。人や牛、猫や犬が歩く感触を味わったり、誰かの生を感じるのが大好きななんです」
 サンディは成る程、と呟きシロツメクサの花園、その奥へと手を伸ばした。柔らかな大地は温かく、サンディの戦で振るわれた手を、優しく受け止める。
(居住地の一角ではなく、気持ちを伝えるために――)
 控えめに笑む少女のイメージが、サンディに振れた気がした。
 そっと右手で触れて、撫でた大地――宇宙鯨の表面は、サンディを拒絶することはない。
「怖かったかい」
 歌声のような思念が愛らしくトリルを奏でる。答えなのだろうか。
「よく、頑張り続けていたね。みんなの心配をしてくれて、ありがとう」
 ぶつかろうとする星の恐怖は、行き来する殺意の恐怖は、感応力の高い宇宙鯨にとってどれほどのものであったろうか?
「それと――俺のこと、怖かったんじゃないかな? ごめんね」
 悪辣なサンディの側面、それを、直に感じていたとすれば――宇宙鯨は、怯えていてもしょうが無い。
 トリルは止まない。そこに案ずるような装飾音が数個混じる。小さな、星々のチャイムのように。
「あなたは、あなた。それは、素晴らしいこと」
 イーディシーが目を閉じて、巫女のように告げる。
「その戦いと心遣いに感謝を、剣を持つあなた……ですって」  

 イーディシーがふかふかのパンと木の器に入れたシチューを運んでくる。
 シロツメクサの中で、サンディと宇宙鯨は、言葉を必要としないイメージの交流を続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルゲイ・アダモヴィチ(サポート)
「是非に、手合わせを願います。」

【戦闘】
・UC、魔力の"エネルギー弾"、脇差を用いて戦います
・アイテム「魔衣の胡蝶」による目眩まし、「展宙札」による防御と空中歩行を併せて行うこともあります
・UC「瑠沙竜禍」は、自身の血液を付着させた「魔衣の胡蝶」を用いて軌道を調整します
・UC「耄主老刃転若」の発動時は、若返った後に笠を外す描写を入れて下さい

【人格】
・温厚柔和、物腰穏やか、戦闘中は好戦的
・様々な人と出会い、あらゆる風土に触れるべく旅をしています
訪れた地の人々と話をすることを好みます
・よく食べよく飲みよく歩きます
特産品や絶景スポットに目がありません
・行楽と同程度に、強者との戦いを好みます

協力歓迎



セルゲイ・アダモヴィチ(貪老・f44644)は無心に、布へ糸を刺していた。円が重なった模様が延々と続くそれの名を知る者は、この宇宙鯨の上にはいなかった。
 シロツメクサの花園はどこまでも優しい風に吹かれ、とんがり笠の下で、セルゲイは目を細める。
 ふと、意識に何かが触れる感覚があった。たおやかな衣擦れにもにたその感覚に、セルゲイは心を開く。その感覚は言語とは違う、純粋な意識の投射。それを言語に変えるならば、こうなるだろう。
『ごきげんよう、旅の方、なにをしてらっしゃるの――』
 セルゲイは手元の刺し子を見る。そして、優しく『大地』へと声をかけた。声の主である、宇宙鯨がいる場所へ。
「おお、ご機嫌麗しゅう、宇宙鯨殿。拙者はちょっとした縫い物をしてございました」
 興味深そうな気配は、くすぐるような波となってセルゲイの思念を撫でる。
「柄の意味でございますか。七宝つなぎ――幸せを祈る古い古い模様で――丸が幾つも連なって――」
 優しい風は、老武人と宇宙鯨の『会話』をずっと見守っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年01月08日


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#スペースシップワールド
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#スペースオペラワールド


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フルム・サーブルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト