7
平安の春を告げし血桜

#アヤカシエンパイア #幻朧桜 #皇族


「はて……ここは、一体どこでしょう……」

 天は暗雲に覆われ、地には雑草すらなく、見渡す限りに生命の気配を感じられぬ、滅びの大地。
 そんな土地には似つかわしくない、雅な装束をまとった姫君が、一人ふらふらと歩いている。

 どうしてこんな所に来てしまったのか、姫自身にもわからない。
 ただ、なにかが自分を呼んでいるような、誘われているような感覚のままに、道なき道を進む。

「……わたくしを呼んでいたのは、あなた……?」

 やがて姫君が辿り着いた場所には、一本の美しい桜の木が生えていた。
 季節外れであることを差し引いても、この場には不釣り合いなもの。その点では姫君も同じと言えるかもしれない。

 姫は、その桜の正体を知らぬまま、無意識にそっと手を触れてみる。
 すると――。

「きゃっ……?! 血が、熱い……!」

 まるで紅い花弁が舞い散るように、姫の体から妖滅の血があふれ出す。
 同時に、桜と姫を中心として、周囲の風景が変わっていく。荒れ果てた滅びの大地から、穏やかなる平安の世に。

 一体何が起こったのか、説明できる者は誰もいない。
 姫自身の困惑をよそに、暴走する皇族の血はさらなる異変を引き寄せようとしていた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アヤカシエンパイアの東国の地にて、とある皇族の方が『平安結界』の外に出ていってしまう光景を予知しました」
 アヤカシエンパイアの皇族は、妖を滅する特別な血を継ぐ一族。現在は公務から退き隠遁しているが、それも妖の襲撃や暗殺を避けるためであり、庶民貴族を問わず最大級の敬意を払われる存在だ。そんなやんごとなきお方が護衛も付けずに「平安結界」の外側に――荒れ果てた「滅びの大地」に向かわれたと言うのだから一大事だ。

「その皇族の方……『北小路の姫』が向かわれた先には、一本の『幻朧桜』が生えています」
 なぜサクラミラージュのものと同じ幻朧桜が、アヤカシエンパイアの滅びの大地に生えているのかはわからない。
 予知によると北小路の姫はここまで誘われたようにも見えたそうだが――その木に触れた瞬間、彼女の体に流れる皇族の血が、突如として暴走を始めてしまう。
「同時に、北小路の姫の周囲には新たな『平安結界』が発生し、『平安時代の風景』が滅びの大地を覆っていく……以上がリムの予知です」
 まったくもって不可思議な現象ながら、平安結界が広がるのはアヤカシエンパイアの人類にとっては良きことと言える。されど喜んでばかりはいられない。つい先刻まで滅びの大地であったそこには当然妖の群れが跳梁跋扈しており、妖滅の血の暴走により前後不覚に陥った、無防備な皇族に襲い掛かろうとしているのだ。

「このまま北小路の姫が妖の餌食になるのを見過ごすわけにはいけません。至急救出に向かってください」
 襲ってくる敵の種別は『坂東ゾンビ武者』。東国の地にて妖と戦い、戦死した坂東武者の屍に妖が憑依したものだ。
 平安の世を守るために戦った志と魂はすでに失われていながら、生前の如き行動力と戦闘術を発揮し、容赦なく襲い掛かる死者の戦闘集団である。
「ただ、脅威となるのは妖だけではありません。暴走中の北小路の姫の周囲には『微細な皇族の血の飛沫』が舞い飛んでおり、近付く者を無差別に【妖滅の血】の効果に巻き込んで、戦闘力を激減させます」
 妖はもちろん、猟兵も彼女の血の影響を免れることはできないため、知覚を埋め尽くす「大量の神仏の幻影」に耐えながら、北小路の姫を襲おうとしている妖どもを駆逐しなければならない。敵も弱体化しているとはいえ油断禁物だ。

「ゾンビ武者を倒した後も、まだ気は抜けません」
 東国の地はかつて「禍津妖大戦」最大の激戦地となった場所。皇族の血と戦いの喧騒に誘われて、より強大な妖のボスが出てきてもおかしくない。そいつも【妖滅の血】の効果を受けるため、敵味方とも引き続き神仏の幻影にまみれながら、皇族の身柄を守り抜く戦いになるだろう。
「全ての妖を倒し、皇族の血の暴走も収まれば、ひとまず一件落着です」
 謎の現象を引き起こした北小路の姫は、しばらくは疲労困憊で動けないだろうが、少し休めば元気になるだろう。猟兵も一緒に休息を取った後、人のいる所まで彼女を送り届けるといい。新たに拡大した「平安時代」の扱いについては、報告を受けた貴族達が考えるだろう。

「なぜこのような事が起こったのか謎の多い事件ですが、今はとにかく皇族の方を救出することだけを考えてください」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、事件が起きようとしている滅びの大地へ猟兵を送り出す。
 滅びの大地に咲く幻朧桜と、皇族の血の共鳴がもたらした不思議な現象。それが意味するものは今は分からずとも、失われてはならぬ生命を救うために。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはアヤカシエンパイアにて、滅びの大地に迷い込んだ皇族を救出する依頼です。

 皇族『北小路の姫』と幻朧桜の接触によって、周囲の大地は新たな「平安結界」に覆われつつあります。
 異変を察知した滅びの大地の妖どもから、姫君を護りながら戦ってください。

 1章は『坂東ゾンビ武者』との集団戦。
 2章は彼らを率いる妖のボスとの戦闘です。

 1章2章の戦闘で共通して、戦場には暴走した皇族の血がユーベルコード【妖滅の血】の効果を無差別に与えます。
 敵も味方も「大量の神仏の幻影」に知覚を埋め尽くされながら戦うことになるので、このままでは戦闘力は激減です。うまく対処法を編み出すことができればプレイングボーナスが入ります。

 無事に妖どもを駆逐できれば、この地は新たな「平安の世」となります。
 3章では疲労困憊の姫君を休息させつつ、猟兵も戦いの疲れを癒やすシーンとなります。
 なお、何故こんな現象が起こったのかについては、姫君自身もなにも分からないようです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
282




第1章 集団戦 『坂東ゾンビ武者』

POW   :    妖馬一体
【ゾンビ軍馬】を召喚する。騎乗すると【上級ゾンビ武将】状態となり、【妖】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD   :    ゾンビ武者揃へ
レベル×1体の【下級ゾンビ武者】を召喚する。[下級ゾンビ武者]は【妖】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ   :    生を喰らう妖の矢
レベル×5本の【妖】属性の【破聖矢】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
武富・昇永
皇族の方が平安結界の外にお出になられて幻朧桜なる他世界の桜に触れられたがために・・・?
あぁもう訳が分からん!これもセイメイみたいな輩の仕業か!?
いずれにせよ皇族の方をお守りしなくては!

さて神仏の幻影に惑わされぬようにどうやって妖どもを殲滅するか
ここは{座敷式神・出世魚モジャコ}の探知能力で対応するとしよう!
妖どもと皇族の方の居場所を見つけたなら皇族の方をお守りしつつ
【出世道・首取り千手】で近づく妖どもを切り伏せていくとしよう!

状況がわからぬからこそ手柄の稼ぎ時ともいえる!
要はモジャコ!よろしく頼むぞ!
(『欲望解放』して溢れた出世欲をモジャコに注いで強化する)



「皇族の方が平安結界の外にお出になられて幻朧桜なる他世界の桜に触れられたがために……? あぁもう訳が分からん! これもセイメイみたいな輩の仕業か!?」
 謎が謎を呼ぶ展開をいきなり脳内に叩き込まれて、武富・昇永(昇鯉・f42970)はたまらず叫ぶ。これも何者かの陰謀なのか、それとも偶然に起こった事故なのか、それさえ分からぬまま事態は風雲急を告げている。突如拡大した「平安結界」、暴走する皇族、集まってくる妖の群れ――。
「いずれにせよ皇族の方をお守りしなくては!」
 なにを置いても優先すべきはそれだと判断した昇永は、それ以上の考察を止めて走りだした。こんな状況でも何処へ向かえばいいのかだけは直ぐに分かる。季節外れに咲き誇る幻朧桜と、その周囲を花吹雪の如く舞う血飛沫が、異変の中心地を示していた。

「さて神仏の幻影に惑わされぬようにどうやって妖どもを殲滅するか」
 現場に踏み込めば、昇永の視界は無数の神仏の幻影で埋め尽くされ、耳には念仏が響き渡る。暴走した皇族の【妖滅の血】が無差別に影響を及ぼしているのだ。おそらく皇族本人や妖どもも近くにいるのだろうが、これでは姿を探すことも難しい。
「ここは『座敷式神・出世魚モジャコ』の探知能力で対応するとしよう!」
 陰陽師として彼が使役する式神のひとつは、主の欲望が増すごとに探知能力を増す。ここで皇族を救出し、妖を討伐すれば大手柄は間違いなし――向上心と出世欲を行動原理とする彼ならば、このシチュエーションで欲をかかないわけが無かった。

「状況がわからぬからこそ手柄の稼ぎ時ともいえる! 要はモジャコ! よろしく頼むぞ!」
 溢れんばかりの出世欲を解放して注げば、式神モジャコは艷やかな鱗を輝かせながら幻影の中を泳いでいき、探すべき相手のもとへ昇永を導く。果たしてその先には、桜の幹のもとにもたれかかった、楚々とした雰囲気の姫君がいた。
「見つけました! 間に合ってなにより!」
「あ、貴方は……陰陽師の方ですか?」
 皇族の姫君――北小路の姫は苦しそうに眉をひそめて、血の暴走に耐えている。幻朧桜との接触から始まった異変は止まっておらず、まだ移動させるのは困難だろう。そうこうしている間にも『坂東ゾンビ武者』の群れはこちらに近付いている。

「申し訳ありません、止められないのです……わたくしの血が勝手に……」
「ご安心を。御身は必ず御守りしますゆえ!」
 うなだれる姫君を守るように妖どもとの間に立ちはだかりながら、昇永は【出世道・首取り千手】を発動。自身が持つ「妖切太刀・御首級頂戴丸」の複製を大量に作り、念力で全てばらばらに操ることで、近づく輩を切り伏せていく。
「首級に一手届かず、なんてことが無いように手を増やしておくとしようか!」
「「グオワァァァァァァ……ッ!?!!」」
 ゾンビ武者もまた【妖滅の血】の影響を受けて戦闘力は激減した状態。神仏の幻影に紛れて飛んでくる刀を見切ることはできず、ばたばたと倒れていく。その凄惨な光景を皇族の方に見せずに済んだのは良かったかもしれない――式神の知覚を頼りに昇永は念力を込め続け、姫君のもとに敵を寄せ付けなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神臣・薙人
何故この地に幻朧桜が…
気にはなりますが
今は姫君を救出する事に集中しましょう

敵数が多い上に
知覚を奪われるのは厄介ですね
影響が出た段階で
白燐桜花合奏を使用
全ての知覚が神仏に覆われるのならば
攻撃を受けた時の痛みや感覚も
神仏の声や姿となる筈
その幻影を目印にして桜の花吹雪に巻き込みます
痛みは白燐蟲達が消し去ってくれるでしょう
多少の負傷は気にせず
より神仏の幻影が多い場所へ移動して
少しでも攻撃を与える敵の数を増やします

破聖矢が放たれた時も
幻影が現れる方角等に注意し
回避出来そうな場合は
立ち位置を変更して対処します

…罰当たりな事をしている気がしますが
神仏は慈悲深いと聞きます
人を助けためならばお赦し下さるでしょう



「何故この地に幻朧桜が……」
 サクラミラージュとは別の世界に、それも生命の絶えた「滅びの大地」に幻朧桜が咲いていたとの報せは、桜の精である神臣・薙人(落花幻夢・f35429)も無視できなかった。まだ猟兵達の知らない世界の秘密が、そこには隠されているのかもしれない。
「気にはなりますが、今は姫君を救出する事に集中しましょう」
 疑問はあれど、優先すべき事項は間違えない。幻朧桜との接触により暴走した皇族「北小路の姫」の血は、新たな平安結界を創造する一方で妖の群れまで引き寄せている。【妖滅の血】が舞い散るなか、押し寄せる『坂東ゾンビ武者』から彼女を守らねば。

「敵数が多い上に、知覚を奪われるのは厄介ですね」
 幻影の影響が出た段階で、薙人は【白燐桜花合奏】を使用。蟲笛の演奏によって桜吹雪と白燐蟲を操り、周辺一帯に攻撃を仕掛ける。【妖滅の血】の飛沫に合わせて淡紅色の花弁が舞い散るさまは美しいが、邪悪な妖にとっては脅威となる。
(全ての知覚が神仏に覆われるのならば、攻撃を受けた時の痛みや感覚も神仏の声や姿となる筈)
 違和感に気付けば、その幻影を目印にして桜の花吹雪に敵を巻き込む。はっきりとした手応えはないが、おそらくは効いているはずだ。彼はより神仏の幻影が多い場所へ移動して、少しでも攻撃を与える妖どもの数を増やそうとする。

「ウォぉぉぉぉ……!!」
 神仏の念仏に紛れて、微かに化け物のうめき声が聞こえてきたかと思った直後、妖気の宿った破聖矢が飛んでくる。
 坂東ゾンビ武者が放った【生を喰らう妖の矢】だ。幻影が現れる方角に注意していた薙人は、咄嗟に立ち位置を変えて矢を躱すが、本数の多さゆえに何発かは食らってしまう。
(この程度なら、まだ大丈夫です)
 蟲笛の演奏を止めぬ限り、痛みは白燐蟲達が消し去ってくれる。そして攻撃が来た方角を逆算すれば、敵のいる場所をより正確に割り出すことができる。多少の負傷は気にせずに大胆な戦法を取れるのは、このユーベルコードが攻撃と治癒を兼ね備える術だからだ。

「途切れぬ音色を奏でましょう」
 神仏の声に合わせるように、妙なる調べを奏でる薙人。桜の花吹雪に巻き込まれた神仏の幻影――そう視えているだけのゾンビ武者が、ひとり、またひとりと消えていく。飛んでくる妖気や矢が少なくなっているのは、着実に敵の数を減らせている証拠だろう。
「……罰当たりな事をしている気がしますが、神仏は慈悲深いと聞きます。人を助けためならばお赦し下さるでしょう」
 見かけ上は有り難い神仏を攻撃している様なので、少しばかり複雑な気分にもなるが、そこは割り切ることにする。
 皇族の血の暴走が収まるまで、いま暫くの辛抱。それまで姫君に危害は加えさせまいと、彼は蟲笛の演奏を継続するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…幻朧桜?
…幽世の世界でも見かけたが…まさか平安の世界でも見かけるとは…
ともかく…皇族の姫を護る為に…さぁ行くぞ!私は処刑人だッ…!

…!?
幻影が…!?目を瞑っても見たことのない神…神仏と呼ぶ神々の群れが見える!
耳からも呪文…経文と呼ぶ呪文が聞こえる…!忌々しい…!だが今は敵を屠らねばならぬ!

敵の匂い…悪を嗅ぎつけこちらに迫る敵群の存在と場所を心眼で把握…
申し訳ないが神仏と敵諸共…吹き飛ばす!

懐から重機関銃取り出し【銃殺刑】を発動
引き金を引き弾幕をばらまき乱れ撃ち神仏の幻影諸共迫る武者共を
範囲攻撃と鎧無視攻撃で引き裂き吹き飛ばしてゆき殲滅してやろう…!

罰当たりかな…今さらだがな…!



「……幻朧桜? ……幽世の世界でも見かけたが……まさか平安の世界でも見かけるとは……」
 影朧の癒しと転生を司るかの桜をサクラミラージュ以外の世界で見るのは、仇死原・アンナ(処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978)にとってこれが初めての経験ではなかった。この世界の壁を超える関連性が何を意味するのか、まだ分からずとも気に留めておくべき事柄ではあるのだろう。
「ともかく……皇族の姫を護る為に……さぁ行くぞ! 私は処刑人だッ……!」
 為すべき事はいつも通り。処刑人の証たる拷問器具で武装し、烈火の如き闘志を滾らせ、いざ幻朧桜の元へ向かう。
 そこには護るべき姫君と処すべき敵がいる――だが、舞い散る血飛沫の中に足を踏み入れた途端、彼女の視界は違うものに埋め尽くされた。

「……!? 幻影が……!? 見たことのない神の群れが見える!」
 目を瞑っても瞼の裏に浮かぶそれは、平安時代の人々が神仏と呼ぶ神々。耳からも呪文――経文が聞こえてきては、アンナの知覚を妨害する。幻朧桜との接触により、皇族に流れる【妖滅の血】が暴走し、近づく者を人妖区別なく巻き込んでしまっているのだ。
「忌々しい……! だが今は敵を屠らねばならぬ!」
 近くに妖がいるのは確かなのだ。姿は視えず、声も聴こえずとも、奴らの発する匂いだけは間違えない。腐りきった悪を嗅ぎつけたアンナは、こちらに迫る『坂東ゾンビ武者』の群れの存在と場所を、五感でなく心眼により把握した。

「申し訳ないが神仏と敵諸共……吹き飛ばす!」
 そう言ってアンナが懐から取り出したのは「ゾルダートMG43機関銃」。敵が来る方向に銃口を向けて、発動するのは【銃殺刑】だ。「電動丸鋸」の異名の由来となった独特の発砲音と共に、無数の弾丸がゾンビ武者どもに降りかかる。
「「ウガアアアァァァッ!!?!」」
 神仏の幻影と経文の向こうから、悍ましい悲鳴が聞こえてきた。手応えありとみたアンナはその場で足を止めると、引き金を引き絞り続ける。弾丸の供給が途切れることはなく、凄まじい連射速度でばらまかれる弾幕は、武者共の鎧を引き裂き、腐肉と骨を吹き飛ばしていく。

「鉄の雨が貴様等の身を粉々に切り刻む……! 殲滅してやろう…!」
「「ウギャァァァァ……!!」」
 民のために戦った武人の尊厳を貶め、死体を冒涜する妖にかける情けはなし。向こうもまたアンナ同様【妖滅の血】の影響下にあるのだろう、幻影に惑わされ反撃はほとんどない。下級の【ゾンビ武者揃へ】を何体呼び出そうが、全て神仏諸共に一掃する。
「罰当たりかな……今さらだがな……!」
 あくまでこれはユーベルコードが見せる幻影であり、本物の神仏という訳でもない。とうに呪われし身の上で、神罰を恐れるまでもなし。ゆえに処刑人は己の務めを第一とする。終わらぬ銃殺刑の嵐に阻まれ、桜と姫君にちょっかいをかける妖は、まだ一匹もいなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

建依・莉々
「ほんとだ。化けてられないや」

 血煙舞っているのは逆にウェルカム! 化け喰らいを使えば、一呼吸する度に血煙は吸収除去・戦闘力アップという算段♪ 量は微量だけど、そこは量より質。どんどんパワーアップしちゃおうと期待してます♪

 ただ、これ使うと身体沸き立っちゃうから、化けてられない。だから本体(液体)のままで武者ゾンビを迎え撃とう♪ 基本は足下に拡がり、絡みついて絞り潰す、かな? オプションで触手アッパーカット。混乱しているから各個撃破いける? 勿論、ゾンビさんもどんどん喰べて、パワー付けるよ♪ ん? 皇族の血だけで十分かも? テンションあがる! ゾンビ馬の突進でも喰らい込んでみせるよ♪



「ほんとだ。化けてられないや」
 やんごとない身分のお姫様が幻朧桜に導かれ、能力が暴走した上に妖の群れまでやって来て大ピンチ。この一大事の現場にやって来た建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)は、目を丸くしつつも救援のために駆け出した。
「たすけ……て……」
 そう囁く北小路の姫と幻朧桜の傍に近寄れば、微細に飛散した【妖滅の血】が莉々を包み込む。途端に視界は神仏の幻影で埋め尽くされ、うるさい経文が助けを求める声までかき消してしまう。これでは普通に戦うだけでも一苦労だが――。

「血煙舞っているのは逆にウェルカム!」
 莉々には血肉を食らって戦闘力を増加する【化け喰らい】のユーベルコードがある。これを使えば、一呼吸する度に血煙を吸い込んで幻影を除去しつつ戦闘力アップという算段だ。量は微量ながら、そこは量より質。皇族に流れる【妖滅の血】ならば不足はあるまい。
(ただ、これ使うと身体沸き立っちゃうから、化けてられない♪)
 期待通りに自分がどんどんパワーアップするのを感じながら、莉々は変化を解き本体である黒い液体ブラックタールのまま敵を迎え撃つ。周囲の血煙を吸収して視界がクリアになれば、『坂東ゾンビ武者』の群れがこちらに近付いてくるのが見えた。

「混乱しているから各個撃破いける?」
 【妖滅の血】の影響を受けるのはあちらも同じらしく、ゾンビ武者のほとんどはまだ此方を認識していないばかりか連携も取れていない。この隙に莉々は液状の身体を活かして地面に拡がり、足下から絡みついてギリギリと絞り潰す。
「簡単だね♪」
「ウォォォォ……アアァァアァ……!?」
 オプションで触手アッパーカットも食らわせてやれば、敵は断末魔を残して動かなくなった。ただの屍に戻った武者の亡骸は、もちろん彼女の糧となる。腐肉でも特に消化の不都合はないらしく、どんどん食べてパワーを付けていく。

「ん? 皇族の血だけで十分かも? テンションあがる!」
 ノリノリになった莉々は不定形の身体をぐねぐねと伸ばし、周囲の敵を手当たり次第に捕まえては取り込んでいく。
 ここまで戦闘力が高まると、もはやこの場に彼女の相手になる妖はいまい。破れかぶれでゾンビ馬を召喚し、【妖馬一体】となって突進してくるゾンビ武者もいるが――。
「ひゅ~ぺろん♪」
「――……?!!?」
 大きな口を開くように全身を広げ、騎馬もろとも喰らい込んでみせる。闇よりも真っ黒な体内が妖どもの逝く先だ。
 己が本性を存分に振るい、沸き立つままに身体を躍動させる。宇宙よりも遠い処より来たりし怪異は、まだまだ暴れ止まぬ様子だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弓落・高寿
皇族の失踪、血の暴走に命の危機…これ、護衛の偉いさんの首が飛ぶんじゃねえか?
まぁ殿上人が問題は木っ葉貴族の我には無関係故、常の調子で行かせてもらうが……処遇すっげえ気になる……(小声)

さて御仏のまぼろしに、闇雲に動けば味方は元より姫にも危害が及び、だが敵も同じ状況であればそれを活路として、理想は己は動かずに敵のみを攻撃する─。
ひとつ、その手がある。あまり使いたくねえが……虚空の狭間から化け物異次元から触手を呼ぶ。弱いが数だけは多い。ないよりはいいだろう。
攻撃はそれらに任せて、我は姫の元まで馳せ参じて護ろうか。いと尊き姫なれば、御仏の中であれども変わらぬ御姿が見えるだろうから。



「皇族の失踪、血の暴走に命の危機……これ、護衛の偉いさんの首が飛ぶんじゃねえか?」
 公の場を退かれたとはいえやんごとない血筋の者を、斯様な危機に晒したとなれば宮中の一大事である。責任の所在で後々大変なことになりそうだなと考えるのは弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)、思春期真っ盛りの若き陰陽師である。
「まぁ殿上人が問題は木っ葉貴族の我には無関係故、常の調子で行かせてもらうが……処遇すっげえ気になる……」
 小声でぽつりと呟くのは、日頃抱えたやり場のない苛立ちゆえか。慌てふためくお偉方の様子を見られるのは楽しそうではあるが、それはそれとして皇族のピンチを見捨てるつもりは流石にない。

「さて御仏のまぼろしに、闇雲に動けば味方は元より姫にも危害が及び――」
 現状を整理し、作戦を立てる高寿。暴走する【妖滅の血】は敵味方無差別に影響を及ぼし、今も彼女の五感を幻影で埋め尽くしている。だが敵も同じ状況であればそれを活路として、理想は己は動かずに敵のみを攻撃することだろう。
「ひとつ、その手がある。あまり使いたくねえが……」
 イヤそうに顔をしかめながらも、他にもっとよい手段を思いつかなかった高寿は、しぶしぶユーベルコードを発動。
 ほとんどの者は知らぬことだが、彼女はもともと平安時代の住人ではない。母星滅亡の際、最後の希望として異世界に転送された亡星の宇宙プリンセス。その身には生まれながらのコズミック・パワーが宿っているのだ。

「「オォォォォォォ―――!!!」」
 【姫さまの命令】に応えて異次元の狭間より召喚されたのは、歓喜に咽ぶ悍ましき元国民たち。触手をうねらせ主君を讃えるその様は、地球人が直視すると正気を削られそうである。げに恐ろしきは、生死をも超越した国への執念か。
「……じゃあ、あとはよろしく。いや……帰ってこなくていいから……うん……」
 うんざりした様子で高寿が命令すると、触手たちはうねうねしながら『坂東ゾンビ武者』軍団に襲いかかる。正直弱いが数だけは多く、一度標的を指定してやれば破壊されるまで勝手に追尾と攻撃を行うので、ないよりはいいだろう。

「「オアアァァ――!!!」」
「「グオオォォォーーーッ!?!」」
 神仏の幻影が飛び交うなか、激突する宇宙触手とゾンビ武者。絵巻物にしても荒唐無稽なバトルが繰り広げられる。
 戦況はひとまず互角といった様子だ。高寿本人は元国民らに攻撃を任せて、自らは姫の元まで馳せ参じて護衛する。
「ご安心を、姫。御身には傷一つ付けさせませぬ故」
「まあ……感謝致します。わたくしのせいで、ご迷惑を……」
 いと尊き姫なれば、御仏の中であれども変わらぬ御姿が見えるだろう。桜のたもとにて苦しげに寄り掛かる北小路の姫に、高寿は恭しく一礼した。これでも平安貴族の娘として一応は宮仕えの身、流石に皇族相手では猫を被るようだ。そんな彼女に姫君も弱々しく微笑み、奉公に感謝を伝える。

(さて、このまま終わってくれりゃいいんだけど……)
 家宝の神器『夕月夜暁闇剣』を構え、油断なく姫の警護に徹しながら、高寿は戦況を再確認する。生命惜しまぬ触手の猛攻はゾンビ武者を押し留め、他の猟兵の活躍もあって優勢を保っている。しかしまだ安心はできない――先刻まで滅びの大地だったこの地域には、まだまだ多くの妖が蔓延っているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
常に第六感と瞬間思考力と怪力を使用

無意識にUC超越者の身体を発動

北小路の姫様を助けに行きましょうか…
『防御は私達に任せてください!』『カモカモ!』
フラウディとカモカモもやる気十分だ

さて敵は何処でしょうか…
【妖滅の血】対策はフラウディの結界術を展開する(念の為)
心眼と気配感知で敵を感知して幻影に惑わされずに攻撃

…おっと
敵のUCに対しては心眼で刀を見てお払い棒でシャドウパリィする
『フラウディ・スパーク!』
『カモ〜!』
死角の攻撃へは結界術で防御して心眼で見ているフラウディとカモカモが光線を放つ

無限天理陰陽術式…至大至剛!
指定UCを発動して周りの敵を吹き飛ばした

むっ…この幻影何とかならないのでしょうか



「北小路の姫様を助けに行きましょうか……」
 皇族の姫君が危機に陥っていると聞き、陰陽師の一人として救出に向かうは西恩寺・久恩(妖怪陰陽師(物理)ここに見参!・f42881)。幻朧桜が咲き誇る新たな平安結界にて、花吹雪と【妖滅の血】の飛沫が舞い散る戦場へと赴く。
『防御は私達に任せてください!』『カモカモ!』
 お付きの式神「フラウディ」と「カモカモ」もやる気十分。結界術を展開して血飛沫を遮り、ユーベルコードの影響を遠ざけてくれている。それでも微細な血によるものか神仏の幻影は見えるが、完全に知覚を埋め尽くしてしまうほどではない。

「さて敵は何処でしょうか……」
 久恩は五感ではなく第六感や心眼を頼りにすることで、幻影に惑わされず敵の気配を感知する。『坂東ゾンビ武者』たちも【妖滅の血】の巻き添えを食らって弱体化しているのは同じであり、先にこちらが捕捉できれば優位に立てる。
「えい」
「ぐぎゃッ?!」
 鉄製のお祓い棒でひと叩きすれば、ゾンビ武者の頭蓋が陥没する。無意識に発動している【超越者の肉体】により、彼女は無双の怪力を発揮するのだ。優れた坂東武者の屍を操っているとはいえ、そこらの下級妖の敵う相手ではない。

「オォォォッ!」
「……おっと」
 敵が我武者羅に斬り掛かってきても、久恩は冷静に心眼で太刀を見極め、お払い棒でシャドウパリィする。動体視力や身体能力だけではなく、瞬間思考力にも優れているのが分かる動きだ。【ゾンビ武者揃へ】が束になろうが、まるで崩せる気配もない。
『フラウディ・スパーク!』
『カモ~!』
 死角からの攻撃にはフラウディとカモカモが目を光らせ、結界術による防御と反撃を担当する。高らかに技名を叫びつつ光線を放てば、愚かなゾンビは次々に消滅していく。主に背中を任されたという大役をきっちりと果たしていた。

「無限天理陰陽術式……至大至剛!」
「「グギャァァーーーッ!!?!」」
 頃合いを見計らって久恩はユーベルコードを発動。全身に力を込めて拳を突き出せば、次元すら震わすほどの衝撃波が放たれ、周囲の敵を吹き飛ばしていく。シンプルイズベストを体現したような彼女独自の陰陽術により、ゾンビ武者は一網打尽となった。
「むっ……この幻影何とかならないのでしょうか」
「申し訳ありません……力が抑えられなくて……」
 それでもまだ消えない神仏の幻影に眉をひそめれば、北小路の姫が申し訳なさそうに謝罪する。本人もどうにかしようと必死なようだが、今のところ暴走が止まる気配はない。もう暫くは付き合う必要がありそうだと、久恩はお祓い棒を握り直した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐藤・紫詠
血族が関与しているのですね……
なら、赴きますか

虚像と認識を操作するのは余も同じです
UCで影の詩から認識変容により『観測結果』を改竄する幻影を放ちます
まずは全員にそれを放ち、余も姫君も含めて動きを止めればイニシアチブは同じです
それで余と姫君のみ『知覚が大量の神仏の幻影で埋め尽くされる』という『観測結果』を改竄
正常な知覚に改竄して妖を討滅するべく再びUCを発動
認識・知覚を操作する幻覚による精神操作を用い、妖に『この知覚を埋め尽くす幻影を祓うには、一度自害する必要がある』と誤認させ、自ら命を絶つように仕向けていきます

まずは、血族を守らねば……
そう言って、姫君の近くへと赴きます



「血族が関与しているのですね……なら、赴きますか」
 平安結界の維持に携わる皇族の一人として、同族の危機を捨て置けないと、話を聞いた桐藤・紫詠(黄泉詩の皇族・f42817)は直ちに現場へと向かう。幻朧桜を中心として発生した新たな「平安結界」では、【妖滅の血】が微細な飛沫となって吹き荒れ、まるで季節外れの桜吹雪のようだ。
「虚像と認識を操作するのは余も同じです」
 神仏の幻影に知覚を埋め尽くされる中、彼女は【平安詩浄土変・阿頼耶識を惑わす虚影】を発動。影の詩から幻影を放ち、認識変容により周囲にいる者たちの『観測結果』を改竄する。まぼろしで現実を書き換える平安歌人としての、ある意味真骨頂と言えるだろう。

「余は謡う、この世界を浄土とする為に。あらゆる識の果てである観測の結果を改竄する影よ。観測者の認識と知覚を掌握せよ」
 まずは全員に幻影を放って、自分も姫君も含めて動きを止めればイニシアチブは同じだ。戦場が一時的な膠着状態に陥ると、紫詠はその間に自分と姫君のみ『知覚が大量の神仏の幻影で埋め尽くされる』という観測結果を正常な知覚に改竄する。
「これで視えますね」
「ウ、ウガァ……??」
 ノイズのかかっていた視界や聴覚がクリアになると、まだ幻影に囚われたままの『坂東ゾンビ武者』の姿や困惑の声がはっきりと分かる。前後不覚で戦闘力が激減している彼らを討滅するべく、紫詠は再びユーベルコードを発動した。

『この知覚を埋め尽くす幻影を祓うには、一度自害する必要がある』
 幻影による認識・知覚の操作を用いて、紫詠が妖に誤認させる内容はこうだ。五感から受け取れる情報全てを弄ってしまえば、このような洗脳じみた精神操作も可能になる。自ら命を絶つように仕向けられたゾンビ武者たちは、次々と自刃を始めた。
「グガァッ!」「ガハッ……!」
 無論、実際に自害したところで幻影が消えることはなく、彼らを待っているのは常世の闇だ。なにをやっているのか正常な判断を取り戻した頃には、すでに手遅れとなっている。幻朧桜の周囲は、たちまち数多のゾンビの屍で溢れた。

「まずは、血族を守らねば……」
 周辺の妖を粗方一掃すると、紫詠はそう言って姫君の近くへと赴く。ここが先刻まで滅びの大地――敵地の真っ只中だと考えれば、より強大な妖が出てきてもおかしくない。その時に北小路の姫を守り抜くため、彼女は【妖滅の血】に惑わされぬようユーベルコードを紡ぎ続ける。
「助かりました……」
 北小路の姫にも紫詠の詩は届き、血の暴走による負担も多少は軽くなったようで、同族からの救援に感謝を伝える。
 皇族という血縁同士、背負うべきものも同じ。謎多き事件なれど、まずは揃ってこの窮地を切り抜けることだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

出撃要請承認!
平安結界は大事デスガ、姫殿の安全も重要デース!
北小路の姫殿を救出しに向かいマース!

妖滅の血の影響で大量の神仏の幻影が近くを埋め尽くすのなら、範囲攻撃で諸共薙ぎ払うのであります!
「骸式兵装展開、朱の番!」
ヒャッハー!

対象の肉体を傷つけず、積極性のみを攻撃する木阿弥大津波!
これなら死してなお戦おうとするゾンビ武者の方々を、大人しくさせることができると思いマース!
憑依してる妖も飛沫を浴びて無気力化したなら転がり出てくるかもしれマセーン。
その時はファルシオンで叩き切って周りマショー!

……。坂東武者のエブリワン、生前はご苦労様デシタ!
安心しておやすみくだサーイ!



「出撃要請承認! 平安結界は大事デスガ、姫殿の安全も重要デース!」
 グリモアベースにて依頼を受けた後、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は直ちに完全武装で戦場に急行する。民が安全に暮らせる土地が広がるのは朗報だが、そのために失われる命があってはならない。
「北小路の姫殿を救出しに向かいマース!」
 僻地にぽつんと立つ季節外れの桜と、たもとにもたれかかる清楚な姫君。そのふたつを視界に捉えた直後、バルタンの知覚は大量の神仏の幻影に埋め尽くされた。ここはすでに【妖滅の血】の効果範囲、視聴覚は勿論機械的なセンサーを用いても敵味方の識別は困難だ。

「なら、範囲攻撃で諸共薙ぎ払うのであります! 骸式兵装展開、朱の番!」
 バルタンが【模倣様式・木阿弥大津波】を発動すると、着ていたメイド服は海賊風の衣装とマントと帽子に変わる。
 グリードオーシャンで交戦した海賊オブリビオン『メリー・バーミリオン』のデータを骸の海から抽出した彼女は、気合いをこめてファルシオンを掲げ、高らかに叫んだ。
「ヒャッハー!」
 その瞬間、剣から発生するのは朱き津波。内陸部では聞くはずのない潮騒の音色と共に、濁流が神仏の幻影もろとも全てを呑み込んでいく。これなら個々の目標を認識できずとも敵を攻撃できるだろうが――北小路の姫が範囲内にいた場合は大丈夫なのか。

「「ウオオォォォァァ……ァ、ぁ……」」
 朱き津波に呑まれた『坂東ゾンビ武者』は、軍馬と一緒にバタバタともがいていたが、次第に大人しくなっていく。
 この木阿弥大津波は対象の肉体を傷つけず、積極性のみを攻撃する。荒れ狂う朱き波はやる気や欲望まで押し流してしまうのだ。
「これなら死してなお戦おうとするゾンビ武者の方々を、大人しくさせることができると思いマース!」
 ついでに万が一味方や非戦闘員を巻き込んでしまっても、物理的ダメージはないので安全だ。バルタンの思惑通りにゾンビ武者は戦意喪失して動かなくなり、屍に憑依していた妖どもも飛沫を浴びて無気力化しながら転がり出てくる。

「逃がしまセーン!」
「ギエーーッ!?」
 こここそと逃亡を図ろうとする妖どもを、バルタンはファルシオンで叩き切って周る。勇猛果敢なサムライたちの屍を操り、生前とは真逆の行いのために弄んだことには、彼女も思うところがあったのか。元凶が同じ所業を繰り返さぬように、きっちりとトドメは刺しておく。
「……。坂東武者のエブリワン、生前はご苦労様デシタ! 安心しておやすみくだサーイ!」
 朱い津波が引いていき、物言わぬ骸に戻った武者たちに、弔いの言葉を送るバルタン。東国の地を護るために戦い、散っていった彼らの役割は、自分たち猟兵が確かに引き継いだ。兵士として真摯に依頼を遂行する彼女の振る舞いは、ハイテンションな言動に隠されていても、紛れもないプロフェッショナルのそれだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

ふぅむ、何故にクラミラージュにあるはずの幻朧桜がアヤカシエンパイアに出現したか
おそらく骸の海を経由してなのだろうけど、止事無き御方たる『北小路の姫』がどのように滅びの大地へと辿り着いたか
そして、姫に流れる妖滅の血が何故暴走を?
正一位となろうとも皇族をお守りする平安貴族の務めは元より、事態の解明と究明に繋がる物を陰陽師探偵ライデンたるボク自身の目で確かめないとだ
まぁ、北小路の姫はどのような姫かの興味もあるけどね?

屍となろうとも武辺者に代わりなし
定石通りの雨矢で歓迎させたが、阿近と吽近の臘月陰陽符で矢そのものを捕縛する
そこにボクの術で破生矢を破魔矢に変え、黄金護符嵐と共にお返し致そう



「ふぅむ、何故にクラミラージュにあるはずの幻朧桜がアヤカシエンパイアに出現したか。おそらく骸の海を経由してなのだろうけど、止事無き御方たる『北小路の姫』がどのように滅びの大地へと辿り着いたか。そして、姫に流れる妖滅の血が何故暴走を?」
 謎に謎が重なる不可解な今回の事件について、八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は思慮を巡らせる。
 現時点で謎を解き明かすには、推理に必要となる情報が足りない。であれば現地へ証拠集めに向かうしかあるまい。
「正一位となろうとも皇族をお守りする平安貴族の務めは元より、事態の解明と究明に繋がる物を陰陽師探偵ライデンたるボク自身の目で確かめないとだ」
 数々の怪事件を解決し破格のスピード昇級を果たした歴戦の平安貴族は、いざや新たな「平安結界」の領域に赴く。
 夏場に咲き誇る季節外れの幻朧桜、迷い込んだ皇族の姫君、襲い来る妖の群れ。此度も難事件が陰陽師探偵を待つ。

(まぁ、北小路の姫はどのような姫かの興味もあるけどね?)
 頼典の女好きな性格と女癖の悪さは常日頃の事だが、それで北小路の姫に色目を使って隙を晒すほど愚かではない。
 暴走する【妖滅の血】が神仏の幻影を見せるなか、彼はこちらに近付いてくる『坂東ゾンビ武者』の大群を捉えた。
「「ウオオォォォォォ……!!!!」」
 彼らもまた知覚を埋め尽くす幻影に悩まされながらも、弓に破聖矢を番えて【生を喰らう妖の矢】を射掛けてくる。
 生前は妖を討つために鍛え上げた武芸も、妖に憑かれた今は人類の脅威に。その様は恐ろしくも、悍ましくもある。

「屍となろうとも武辺者に代わりなし。定石通りの雨矢で歓迎か」
 対する頼典は式神「阿近」と「吽近」に【臘月陰陽符】を付与し、飛翔能力と五感共有、そして捕縛能力を与える。
 燃え盛る炎と激流の渦の如き毛並みを持つ一対の霊獣は、黄金護符嵐を巻き起こして、降りかかる妖の矢そのものを捕縛した。
「ではボクの術もご覧に入れよう」
 そこに頼典が印を組めば、生を喰らう破聖矢は妖を討つ破魔矢に変わる。陰と陽は表裏一体なれば、その両極を制御するのは陰陽道の基本にして真髄。この程度は彼にかかれば造作もないことだ。あるいは坂東武者をゾンビ化して寝返らせた妖に対する、意趣返しも含まれているのやもしれない。

「お返し致そう」
「オ、オァァァァ……ッ!?」「グガァ!!」「ギェェッ!!」
 破聖矢改め破魔矢の雨を、黄金護符嵐と共に敵群へと向かわせる頼典。自身の技を跳ね返されたゾンビ武者たちは、困惑と驚愕のなかで射抜かれ、浄化されていく。神仏の幻影が唱える念仏に紛れて、妖どもの断末魔が聞こえてきた。
「姫に手出しはさせないよ」
 そのまま式神と術を操りながら、桜のたもとにうずくまる北小路の姫をちらと見やる。その容貌は可憐にして清楚、皇族らしい気品と穏やかな心根を感じさせるもので――後ほど話もしてみたいが、今はその身を守り抜くことが大事。より一層気を引き締めて、頼典は護衛の任にあたるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
幻朧桜……か。元々そこに生えていたのか、或いは突如生えてきたのか?
そして、何故この世界の皇族がアレに反応しているのか……わからない事ばかりだが
今はとにかく、この事態を解決しないとな

知覚の大半は視覚が占める……という訳でひとまず目を閉じて聴覚や嗅覚、触覚に意識を集中させる
知覚を埋め尽くされていたとしても、それはあくまで幻影
実在するゾンビが放つ殺気の全てを覆い隠す事はできない。気配を辿って戦う……相手も錯乱しているし、そこまで無茶でもない

大刀【冷光霽月】を抜いて待ち構え、騎乗からの突撃にあわせて剛式・肆の型【鎧断】で大刀を振り回して
馬だけでも斬れば体勢を崩せるだろうし、そこで追撃を食らわせて止めだ



「幻朧桜……か。元々そこに生えていたのか、或いは突如生えてきたのか?」
 サクラミラージュ出身の夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)としては、故郷では見慣れた桜が異世界の、それも滅びの大地に生えていたのは気になるだろう。大正と平安、時代としては大きく離れたふたつの世界に、共通する繋がりがあるのだろうか。
「そして、何故この世界の皇族がアレに反応しているのか……わからない事ばかりだが。今はとにかく、この事態を解決しないとな」
 生命の危機に晒されている人間がいる以上、考察よりも救出が優先だ。いざ幻朧桜咲く平安結界に足を踏み入れた彼を待ち受けていたのは、数え切れぬほど夥しい神仏たち。暴走する皇族の【妖滅の血】が、近づく者に無差別に幻影を見せているのだ。

(知覚の大半は視覚が占める……という訳で、だ)
 鏡介はひとまず目を閉じて聴覚や嗅覚、触覚に意識を集中させる。知覚を埋め尽くされていたとしても、それはあくまで幻影。実在する妖が放つ殺気の全てを覆い隠す事はできない。剣豪たるもの相手の気を読むのは基礎中の基礎だ。
(気配を辿って戦う……相手も錯乱しているし、そこまで無茶でもない)
 下手に動き回るよりは迎え撃つほうが良いだろうと、大刀【冷光霽月】を抜いて待ち構える。ほどなく念仏に紛れ、微かに聞こえてきたのは蹄の音――ゾンビ軍馬に跨った『坂東ゾンビ武者』が、【妖馬一体】となって突撃してきた。

「ウオォォォォーーーッ!!!」
 ゾンビ武者も【妖滅の血】の幻影に囚われている以上、はっきりと猟兵や姫君の位置を捕捉しているわけではない。
 だが、ゾンビ馬と具足の重量を乗せた突進は暴走する大型車両のようなものであり、運悪く衝突すれば大ダメージを負う。
「斬り壊す――剛式・肆の型【鎧断】」
 されど鏡介はゾンビの殺気からタイミングを完璧に読み、突撃に合わせて大刀を振り回す。全身を大きく使った動きで加速した斬撃は、豪快に剣風を巻き起こしながら敵を捉えた。突っ込んできた勢いそのままに、ゾンビ馬の胴体が真っ二つになる。

「オァァッ?!」
 乗騎を斬り伏せられたゾンビ武者は落馬し、無様な悲鳴を上げて地べたを転げる。馬上の武者にまでは大太刀の刃も届かなかったものの、体勢を崩せたならば問題はなし。ここからの追撃こそ【剛式・肆の型【鎧断】】の本領発揮だ。
「止めだ」
「グギャァーーッ!!」
 馬一頭を両断してなお加速する【冷光霽月】は、勢いを殺さずに地を這う敵へ。其は毒を払い闇を断つ光であれと、祈りを込められた巨人の大刀。死者を冒涜する不浄な妖にかける情などあるはずもなく――刎ね飛ばされた首が断末魔を叫んだ。

「次だ」
 なおも収まらぬ幻影の中、鏡介は瞼を閉じたまま感覚を研ぎ澄ませる。残るゾンビが何体いようとも、この調子なら問題はない。いかに不利な環境であれ鍛えた技と経験は裏切らず、戦場に立つ剣豪の佇まいは落ち着いたものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヘイ・ショーモン』

POW   :    藤六左近の歌詠み
自身に刻まれた【こめかみの傷跡 】を引き裂き、【七人の影武者】を召喚する。[七人の影武者]は死ぬまで敵を追跡し、【『ヘイ・ショーモン』と同じユーベルコード】で攻撃し続ける。
SPD   :    頭躰継いでもう一戦
自身が戦闘で瀕死になると【新たな『ヘイ・ショーモン』】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    死してなお戦は続く
1日8時間以上【戦闘】を行うと、次の日の[戦闘]の成功率・効率・芸術性が3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 幻朧桜と姫君の元に駆けつけた猟兵たちの活躍によって、『坂東ゾンビ武者』の大群はほぼ駆逐された。
 だが安堵の息を吐く間もなく、一同はより強大な妖気が近付いているのに気付く。いよいよゾンビ武者を従えていた妖のボスがお出ましのようだ。

「ウオオオオ……目障リナ結界ニ、憎キ皇族メ……」

 現れたのはまさに「鬼」と形容するのが相応しい、異形の巨躯。
 桜のたもとにて血の暴走に苦しんでいた「北小路の姫」が、その妖を見て目を丸くする。

「あ、あれはもしや……ヘイ・ショーモン……!」

 それは、かつて名もなき勇士によって首を落とされたという、とある大妖の名であった。
 一度は討たれたはずのそれは、されど恐るべき執念によって首から新たな手足と身体を生やし、活動を再開した。
 だが全盛期に比べれば力も知性も遥かに劣り、今は衝動のままに短絡的に行動する化け物に過ぎない。

「ブチ殺ス……ウオオォォォォォーーーッ!!!!」

 かつて敗れた人間への怨み、忌々しき「平安の世」に対する破壊衝動のままに、ヘイ・ショーモンは吠え猛る。
 いまだ【妖滅の血】は微細な飛沫となって周囲を舞っており、奴も神仏の幻影に襲われているだろう。こちらも条件は同じだが、蛮勇のままに暴れ狂うヘイ・ショーモンに対しては、付け入る隙がより大きくなるかもしれない。

 この辺りの妖のボス格であるヘイ・ショーモンを討てば、その他の有象無象も襲ってこなくなるだろう。
 北小路の姫を守り抜くため、猟兵たちは再び戦闘態勢を取った。
神臣・薙人
残念ですが貴方に明日を与える訳には行きません
今ここで倒れて下さい

姫君にはなるべく幻朧桜の陰にいて頂くようお願い
貴方を戦いに巻き込みたくはないのです
どうか、敵影の見えない位置へ

神仏の幻影が見えた時点で周囲へ注意を払います
相手が暴れ狂う存在であれば
幻影の与える音の大きさや姿も
他の場所とは異なっている筈
違和感のある所へ白燐蟲を放って攻撃
傷を与える事に成功すれば桜花燐光撃使用
その後は幻影が攻撃範囲から出ないよう
立ち位置を調整します

敵の攻撃にも注意し
幻影が動く等した時点で回避行動を取りますが
敵が攻撃範囲から出ない事を優先して位置取りをします
後に続いて下さる方々のために
少しでも体力を削り取っておきましょう



「残念ですが貴方に明日を与える訳には行きません」
 幻朧桜と皇族の血に誘われ、現れた伝説の妖『ヘイ・ショーモン』。荒々しい気迫を発するそれから目を逸らさず、薙人はきっぱりとそう告げた。あれをこのまま生き長らえさせれば、北小路の姫だけでなく平安の民たちに危害が及ぶには必定である。
「今ここで倒れて下さい」
「ヤカマシイッ! ウオォォォーーーッ!!!」
 薙人よりもよっぽど煩い声量で怒鳴り散らしながら、ヘイ・ショーモンは猛然と襲い掛かってくる。【妖滅の血】の効果は受けているはずだが、よもや幻影もろとも全てを殺し尽くすつもりか。【死してなお戦は続く】とばかりに毎日毎夜、戦闘に明け暮れたヤツの凶暴性は底知れない。

「貴方を戦いに巻き込みたくはないのです。どうか、敵影の見えない位置へ」
「はっ……はい。承知いたしました」
 薙人は北小路の姫に、なるべく幻朧桜の陰にいて頂くようお願いする。今ここで優先すべきは彼女の安全が第一だ。
 北小路の姫も、暴走が収まらないまま意地を張っても、猟兵の足を引っ張るだけだと分かっている。彼の言う通り素直に身を隠した。
(さて。相手が暴れ狂う存在であれば、幻影の与える音の大きさや姿も他の場所とは異なっている筈)
 改めて戦場に向き直った薙人は、神仏の幻影が見えた時点で周囲へ注意を払う。視覚も聴覚も正常に機能しないが、真実を捉えるためのヒントはある。思考を研ぎ澄ませて違和感のある場所を見つけると、彼はそこに白燐蟲を放った。

「そこですね」
「グオァッ!!?」
 笛の音に合わせて飛び掛かった蟲の群れは、ヘイ・ショーモンに小さな傷を与えた。ダメージとしてはささやかだが本番はここから。【桜花燐光撃】が命中した対象には桜花の刻印が付与され、蟲たちが追撃を行うための目印となる。
「その傷は、もう消えない」
「グガァッ! オノレ、虫ケラガァ!!」
 いかに神仏の幻影に紛れようが、一度刻印された標的を白燐蟲はいつまでも追い続ける。怒ったヘイ・ショーモンが叩き落とそうとしても、小さな体でひらりと身をかわし、腕に、足に、頭に齧り付く。一撃一撃は軽傷でも、積もれば無視できないだろう。

「そこに居るのはもう分かっています」
 薙人はヘイ・ショーモンらしき幻影が【桜花燐光撃】の攻撃範囲から出ないよう、適宜立ち位置を調整しながら蟲たちを指揮する。この状況下では自分の五感よりも刻印を認識する白燐蟲の感覚のほうが頼りになる。彼らが群れる所に敵はいるのだから、あとは逃さないように努めるだけだ。
「ウガァッ!!」
「おっと」
 もちろん敵の攻撃にも注意し、幻影が動いた時点で回避行動を取る。向こうも幻影で狙いは定まっておらず、闇雲に拳を振り回したり、岩を蹴り飛ばしているだけだ。それでも当たれば脅威になるが、冷静に対処できれば問題はない。

(後に続いて下さる方々のために、少しでも体力を削り取っておきましょう)
 幻影の中から前兆を捉え損ねぬように気を張りつつ、決して敵をこちらの攻撃範囲から出さない。次々と食らいつく白燐蟲の牙は、ヘイ・ショーモンにじりじりと消耗を強いていた。暴れ狂う敵の苛立ちが幻影越しでも伝わってくるが――その熱にあてられず、薙人は落ち着き払ったまま、最終的な勝利のために行動するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
常に怪力と瞬間思考力と第六感と気配感知と忍び足を発動


『今度も私達が守りますよ!』『カモ!』
ええ、私では結界術は使えませんからね…
フラウディとカモカモが結界術を展開してUC妖滅の血を出来る限り守って貰う

危ないですね
敵の攻撃を心眼で見て推力移動で回避する
無限天理陰陽術式…仙才鬼才!
指定UCの効果でUC無限天理陰陽術式『繊細鬼才』を発動して鬼の手で殴り飛ばした

復活した?油断してはいけませんね…
『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
敵のUCによって再び敵が現れて殴りかかって来たがフラウディとカモカモが敵に光線を放つ

二人共ありがとう…。さあ、反撃開始です
指定UCを発動して認知不可の速さの拳で殴り飛ばした



『今度も私達が守りますよ!』『カモ!』
「ええ、私では結界術は使えませんからね……」
 新たな妖の気配を察知すると、フラウディとカモカモは再び結界を展開し、できる限り【妖滅の血】から主を守る。
 幻影が遮断されクリアになった視界で久恩が見たのは、こちらに迫る異形の大妖『ヘイ・ショーモン』の姿だった。
「ウオォォォッ、死ネェェェッ!!!」
 不完全な再生により知性は衰え、憎き人間どもへの復讐の念のままに行動するだけの化け物だが、依然として妖力は強大だ。【妖滅の血】を結界で阻んだことで、向こうからも久恩たちを認識できたらしく、まっすぐこちらに向かって襲い掛かってくる。

「危ないですね」
 蛮性に任せた敵の攻撃を、久恩は心眼で捉えて回避する。まだ幻影の影響で五感が少しクラクラするが、第六感による気配察知能力はそれを補って余りあった。その身に宿す霊力を推進力にかえて、音もなく忍び足で側面に回り込む。
「無限天理陰陽術式……仙才鬼才!」
「グゴォッ?!」
 そして今度は両手に霊力を纏ってユーベルコードを発動。巨大な鬼の手に変化した拳で、思いきり敵を殴り飛ばす。
 体格では遥かに小柄だが、彼女の怪力は大妖にも負けてはいない。土手っ腹に打撃を叩き込まれたヘイ・ショーモンはたまらず膝を折った。

「グゴアァァァーーーーーッ!!!!」
 念仏もかき消すような絶叫を上げて、どうと倒れ伏すヘイ・ショーモン。思ったよりもあっけない――と思いきや、胴体から首がごろりと切り離され、そこから新たなヘイ・ショーモンの身体が再生される。【頭躰継いでもう一戦】と言ったところか。
「復活した? 油断してはいけませんね……」
『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
 再び現れた敵に殴りかかられ、あわや窮地に陥る久恩。だが、そこですかさずフラウディとカモカモが光線を放つ。
 主人に不意打ちなんて許さないと、忠誠心に燃える式神たちの迎撃を受けて、ヘイ・ショーモンは「グオァッ?!」と仰け反った。

「二人共ありがとう……。さあ、反撃開始です」
 もう二度と油断はしないと、久恩は拳を握り直してユーベルコードを発動。ぐっと体全体を捻りながら全身のバネを活かし、踏み込みながら放つ打撃は認知不可能の速度に到達し――あまりの速さに切り裂かれた大気が、真空の領域を発生させる。
「バ、バカナ、吸イ込マレ……ウオォァァァーーーーッ!!!?」
「無限天理陰陽術式……鬼瞰之禍!」
 気圧差によって引き寄せられた敵に、一撃目の遠心力を乗せた必殺の二撃目を叩き込む。これが久恩の『鬼瞰之禍』だ。隙を生じぬ二段構えの奥義を食らったヘイ・ショーモンは、先ほどよりも大きな絶叫を上げて吹っ飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

武富・昇永
なんと強大な力よ…戦うだけでも苦戦は必定、守りながらなど困難極まる…というところだったが
これも妖滅の血の成せる奇跡か、神仏の幻影によって完勝の兆しが見えている
まさに天は我に味方せり!立身出世の好機到来ぞ!

{座敷式神・出世魚モジャコ}よ!続けて敵の居場所を俺に伝えよ!
俺は神仏の幻影に加えて『欲望解放』で溢れた出世欲を注ぎ『存在感』を強化した[転身式神・多忙冠者}を使って敵の攻撃を誘い
攻撃直後の一瞬のすきを狙って【出世道・功名一番槍】で奴を討ち取る!

さぁ!ここからが青天井の昇り鯉!武富・昇永の大一番!天上天下ご照覧あれ!



「なんと強大な力よ……戦うだけでも苦戦は必定、守りながらなど困難極まる……というところだったが」
 成り上がりの精神は強くとも、昇永は身の程知らずの愚者ではない。ゾンビ武者を率いる大妖『ヘイ・ショーモン』の実力を侮ってはおらず、最大級に警戒していたのだが――これも【妖滅の血】の成せる奇跡か、神仏の幻影によって完勝の兆しが見えている。
「まさに天は我に味方せり! 立身出世の好機到来ぞ!」
 皇族の姫君を守り抜き、伝説の妖をこの手で討ったとなれば、英傑の栄誉は間違いない。輝かしき未来図を心に思い描きながら、彼は「妖切太刀・御首級頂戴丸」を振りかざす。出世欲が高まるほどに力を増すかの銘刀は、間違いなく本日最高の切れ味を発揮してくれるだろう。

「『座敷式神・出世魚モジャコ』よ! 続けて敵の居場所を俺に伝えよ!」
 相変わらず【妖滅の血】の影響下にある戦場において、昇永が頼みとするのは式神の探知能力だ。ヘイ・ショーモンほどの大妖の気配であれば、こちらの知覚に引っかからないはずがない。向こうが殺気立って妖気をばら撒いていれば尚更だ。
「そこか! 行け『転身式神・多忙冠者』よ!」
 敵の居所が掴めれば、昇永は即座にもう一体の式神を放つ。それは使役者そっくりの姿をしており、欲望が増すほど存在感と本物感が増す特性を備える。神仏の幻影に埋め尽くされた戦場においては、格好の囮となってくれるだろう。

「グルルル……何処ダ、皇族ドモ……ソコカァッ!!」
 怨敵を求めて幻影の中を暴れまわっていたヘイ・ショーモンは、ふいに近寄ってきた『多忙冠者』を本物と間違い、全力で攻撃する。【藤六左近の歌詠み】で引き裂いたこめかみの傷跡から、七人の影武者が姿を現し、本体と共に一斉に襲い掛かった。
「「ウオオォォォォォーーーッ!!!」」
 怒れる大妖、特に影武者たちの殺意は執拗であり、標的がバラバラになるまで攻撃を止めない。もしこれが本物であればゾッとするが、まんまと囮に釣られてくれたおかげで好機が生まれた。解き放った欲望を注ぎ込んだ甲斐はあったということか。

「さぁ! ここからが青天井の昇り鯉! 武富・昇永の大一番! 天上天下ご照覧あれ!」
 攻撃直後の一瞬の隙を狙って、昇永は【出世道・功名一番槍】を宣言。溢れる出世欲を推進力に変換して、一目散に戦場を飛翔する。その身を覆う銀色のオーラは、前方に向かうにつれて穂先のように鋭くなっており――己自身を一本の槍として、敵に突撃を仕掛けるつもりか。
「ヘイ・ショーモン、その首貰い受ける!」
「ナン、ダトッ……グオァァァァーーーッ!!!?!」
 避ける間もなく突き刺さったオーラの銀槍、そして「御首級頂戴丸」の切っ先が、ヘイ・ショーモンを絶叫させる。
 此度は首だけでも逃げる隙があるとは思わぬことだ。勲功を前にした昇永の眼はさながら飢えた野獣の如しであり、地の果てまで追い詰めんばかりの気迫に満ちていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
先の軍団はともかく、この鬼相手に目を瞑ったままで戦うのは少々厳しいな
だが、目を開けて幻影に襲われてはどうしようもない

神刀の封印を解除して黎の型【纏耀】を発動
神気を纏って真の姿に変身して戦闘力を強化
この幻影も一種の状態異常だ。無効化か、影響を弱める事くらいはできるだろう

此方はほぼ万全だが、敵は影武者も出てきて数が多い。錯乱しているとはいえ決して侮れない
とにかく囲まれないよう注意して動き、本体に攻撃を集中させていく。鬼とは言え人形
影武者がひたすら追跡してくるのは面倒だが、とはいえ奴らを倒しても仕方ない
そちらへの対処は最低限。時折攻撃を仕掛けて、皇族に注意が向かないようにする程度で良いだろう



「先の軍団はともかく、この鬼相手に目を瞑ったままで戦うのは少々厳しいな」
 その姿を確認するまでもなく、大妖『ヘイ・ショーモン』の発する荒々しき妖気は、鏡介もはっきりと感じ取れた。
 屍に取り憑いた下級妖など束になっても敵うまい。五感を封じたままで勝利を確信できるほどの余裕は彼にもない。
「だが、目を開けて幻影に襲われてはどうしようもない」
 依然として【妖滅の血】の暴走が収まっていない以上、どうしたところで視覚や聴覚は当てにならぬままだ。ならばどうするか――ここで彼は神刀【無仭】の封印を解除する決断をした。敵の大将が出てきたとあらば、こちらも切り札の抜き所だろう。

「幽冥を越えて暁へと至る。黎の型【纏耀】」
 鞘から抜き放たれた刀身から、清浄なる神気が溢れ出す。それを身に纏うことで神器一体の境地に到達した鏡介は、真の姿に変身を遂げた。このユーベルコードは彼の戦闘力を爆発的に引き上げるほか、全ての状態異常を無効化する。
(この幻影も一種の状態異常だ。無効化か、影響を弱める事くらいはできるだろう)
 神気が全身を巡るのを待って、ゆっくり瞼を開くと――神仏の幻影はまだ視界に入るが、ぼやけて薄くなっており、実体と幻の区別が付くようになる。耳に入る念仏や経文の声も小さくなっており、これなら戦闘に支障はなさそうだ。

「ブチ殺シテヤル、人間ドモッ!!!」
 一方、いまだ【妖滅の血】に囚われたままのヘイ・ショーモンは、激情のままに【藤六左近の歌詠み】を発動する。
 こめかみの傷より現れたのは、本物のヘイ・ショーモンと寸分違わぬ姿の影武者達。見掛け倒しではなく、能力まで同じものを使用できる強敵だ。
(此方はほぼ万全だが、敵は数が多い。錯乱しているとはいえ決して侮れない)
 七人の影武者と本体を含め、計八体から攻撃の標的にされた鏡介は、とにかく囲まれないように注意して行動する。
 神仏の幻影がある限り、相手も完璧な連携や包囲を行うのは難しいはず。不揃いに襲ってくる影武者の攻撃を捌き、彼自身は本体に攻撃を集中させていく。

「鬼とは言え人形」
「グガッ!? オノレェ!!」
 幾多の魑魅魍魎を斬り伏せてきた鏡介の刀は、迷いなき太刀筋で鬼の腕を断つ。森羅万象の悉くを斬ると謳われた、神刀の名に恥じぬ切れ味だ。しかしながらヘイ・ショーモンもその程度では怯まず、切れた腕を咥えて猛然と殴り返してくる。
「「ウオォォォーーーッ!!」」
 俺達を無視するなとばかりに、ヘイ・ショーモンの影武者も牙を剥く。その殺意は標的が死ぬまで消える事はなく、どこまでも追跡を続けるだろう。神仏の幻影さえも凌駕しうる執念の猛攻から、鏡介は咄嗟に半歩身を引いて躱した。

(面倒だが、とはいえ奴らを倒しても仕方ない)
 あくまで影武者は影武者でしかない以上、そちらへの対処は最低限。時折攻撃を仕掛けて、皇族に注意が向かないようにする程度にしつつも、鏡介の目標はあくまでヘイ・ショーモン本体のみだった。神器一体の境地から繰り出される斬撃は、一太刀一太刀が致命の威力を誇り、決して敵を逃さない。
「グオォォォッ! オノレッ、オノレェェェーーッ!!」
 全身切り刻まれ血塗れになりながら、怒りの咆哮を上げるヘイ・ショーモン。これだけやられても力尽きる様子がないのは流石だが、伝説の大妖とて不死身ではない。一度は首だけでも復活したという無尽蔵の生命力にも、徐々に底が見え始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…いる!
今だ神仏の幻と経文は晴れぬが…
その悪しき臭気と存在感…目で見えずとも分かる!
ここで屠らねばなるまいぞ!さぁ行くぞ…私は処刑人…!!!

己の周囲に飛び舞う七本の慈悲の剣を展開し敵を追尾しホーミングで敵を攻撃
そのうち一振りの剣に鎖の鞭を振るい投げつけ絡ませて飛び交う剣と共に飛翔し敵へと一気に近づこう

妖め…!目に見えずともそのその邪気と悪意は心の眼で分かる!
その首…刎ね落してやる!私が…処刑人だッ!!!

鞭の鞭から手を放し軽業で空高く飛びて妖刀を素早く抜き振るい
己が処刑人であると叫び…敵には聞こえまいが…【処刑人の一撃】を浴びせて
その首を鎧無視攻撃と首狩りで切断し吹き飛ばしてやろう!



「……いる! 今だ神仏の幻と経文は晴れぬが……その悪しき臭気と存在感……目で見えずとも分かる!」
 誰よりも悪の匂いに敏感なアンナは、たとえ【妖滅の血】を受けたままでも、即座に『ヘイ・ショーモン』の存在に気付いた。一体どれほどの殺戮と破壊を繰り返せば、ここまで血腥い悪臭を放つのか。あれを野放しにすればアヤカシエンパイアの民草に危害が及ぶことは必定。
「ここで屠らねばなるまいぞ! さぁ行くぞ……私は処刑人……!!!」
 今一度決意を言の葉に乗せれば、彼女の周囲に飛び舞う七本の「慈悲の剣」が、討つべき悪鬼のもとへ射出される。
 たとえ視えずとも匂いで所在がわかっていれば、剣は自動的に目標を追尾しホーミング攻撃を行う。向こうも【妖滅の血】の影響下ならば条件は同じなのだ、逃がす道理はない。
 
「グオォォッ!!?」
 七本の慈悲の剣は狙い過たず、ヘイ・ショーモンの腕に、脚に、胴体に突き刺さる。そのうちの一振りには棘鉄球を結ぶ「鎖の鞭」が絡まっており、反対側の端はアンナが握っている。これを放さずにいれば飛び交う剣に引っ張られ、自分も一気に敵に近付けるという寸法だ。
「妖め……! 目に見えずともそのその邪気と悪意は心の眼で分かる!」
「ウオオッ!! ナンダ、貴様ッ!?」
 勢いよく飛翔してきたアンナに対し、ヘイ・ショーモンは咆哮と怒号で応じる。間近に迫るほどはっきり感じられる禍々しい妖気、それを発する者の輪郭さえ瞼の裏に浮かび上がるようだ。標的を間合いに捉えたのを確信して、彼女は妖刀「アサエモン・サーベル」に手をかけた。

「舐メルナ、人間風情ガァァッ!!」
 怒れる悪鬼に掴みかかられる前に、アンナは鞭の鞭から手を放し、軽業の身のこなしでひらりと空高く飛び上がり、妖刀を素早く抜き振るう。伝説にある首斬り処刑人の名を冠したその妖刀は、あまりに「切れ過ぎる」がゆえに、人を身震いさせるほどの業物だ。
「その首……刎ね落してやる! 私が……処刑人だッ!!!」
 この経文の中だと敵には聞こえまいが、それでも己が処刑人であると叫び。アンナが浴びせた【処刑人の一撃】は、恐るべき精度をもってヘイ・ショーモンの首を捉えた。人間の首よりも遥かに太く、鋼の如き強度を誇る代物であれ、処刑人に落とせぬ首はない――。

「落ちろッ!!!」
「グオアァァァーーーッ!!!!」
 呪われし処刑人の手にかかり、見事切断された鬼の首は、絶叫を上げながら吹き飛んでいく。驚愕すべきはアンナの技か、或いはそれでも死を拒み続ける大妖の生命力か。ぎろりと此方を睨みつける紅蓮の目は、まだ死んではおらぬ。
「オノレ……オノレェェ……!」
 【死してなお戦は続く】とばかりに、首から下を再生させ戦闘に復帰せんとするヘイ・ショーモン。だが処刑人たるアンナには分かる、匂いからして奴の存在感が弱まっているのが。切られるたびに力を失うのであれば、真の死を迎えるまで何度でも切り落としてやろうと、処刑人は再び刀を構えた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐藤・紫詠
では、これを謳いましょうか

夏草の 見渡す限り 仏無し

任意指定可能な状態で自分の言葉に『否定属性』を付与し、指定した事象を『否定』する事象を起こす詩……それで神仏を埋め尽くす幻覚を消去

終わりある 兵どもの 蝉時雨

敵のUCの効果を『否定』し、強化を解除
そのまま神仏で埋め尽くされた知覚とのイニシアチブを活かし、詩を謳って攻撃を

兵の 露に消えるは 処暑かな

妖の熱を『否定』する事で奪い、全身を凍結させる
こうすれば、血族を傷付ける事は出来ないでしょう

遠くから、詩を謳い妖を追い詰めていく――



「では、これを謳いましょうか」
 かつて名もなき勇士の手で討たれながらも、首から復活を果たした大妖『ヘイ・ショーモン』。その暴威が幻朧桜と北小路の姫に向かわんとした時、紫詠は一首の詩をそらんじた。詠みあげた和歌のまぼろしで現実を塗り替える、平安歌人の業を。
「夏草の 見渡す限り 仏無し」
 【平安詩浄土変・否定を否定する詩】。自分の言葉に『否定属性』を付与することで、指定した事象を『否定』するユーベルコードだ。彼女が詠んだ通りに【妖滅の血】の効果が相殺され、五感を埋め尽くす神仏の幻覚は消去された。

「煩イッ! ナンダ、コノ詩ハ!!」
 神仏どもの経文の代わりに聞こえてきた歌人の和歌は、どちらにせよヘイ・ショーモンには耳障りでしかなかった。
 首を切られようと【死してなお戦は続く】と、その生涯の大半を戦闘に捧げてきた悪鬼は、猛然と歌い手に襲いかかるが――。
「終わりある 兵どもの 蝉時雨」
「ッ?! チカラガ、抜ケル……!」
 紫詠は続けて敵のユーベルコードの効果を『否定』する詩を紡ぎ、強化を解除する。誰を対象にしたどの事象を否定するかは、歌い手が任意に指定できる。非道な妖による破壊と殺戮――平安の世を否定する所業を『否定』し、安寧をもたらすのが彼女の詩だ。

「兵の 露に消えるは 処暑かな」
 そのまま神仏で埋め尽くされた知覚とのイニシアチブを活かし、詩を謳って攻撃を仕掛ける紫詠。妖の熱を『否定』すれば、体温を急激に奪われたヘイ・ショーモンの全身はたちまち凍結する。本人の発想力と詩吟の才能が及ぶ限り、その可能性は自由自在だ。
「こうすれば、血族を傷付ける事は出来ないでしょう」
「オガァァ……ヨクモ……!」
 氷漬けになってもまだ息があるのは、首だけでも生き延びただけのことはある。だが【死してなお戦は続く】の強化は失われた一方で【妖滅の血】による弱体化だけは残され、肉体もこの有り様では、逆襲に転じるのは難しいだろう。幻朧桜のたもとにいる北小路の姫のもとに近付くのは、尚のこと不可能だ。

「余は謡う、この世界を浄土とする為に。否定する。民に死が、勇士に絶望が、世界に終焉が迫る生命の否定を。否定の否定を以て、肯定しよう」
 手にした優位を手放さぬまま、紫詠は遠くから詩を謳い、妖を追い詰めていく。次々と紡がれる『否定』の言葉は、ヘイ・ショーモンの力をひとつひとつ奪い、滅びに追いやっていく。忌々しき皇族に一矢報いることもできず、悪鬼は苦悶の形相を浮かべていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

建依・莉々
「頭から手足生やしたって・・・でんでん虫さん?」違)

アドリブOK 連携OKです。

てっきりニ○ちゃん○王みたいなの、って思ってた。全然違った!
今回も化け喰らいで血煙対策するよ。時間経過で強くなるから長期戦向け。なんだけど・・・必殺技がないからSPD使われるとキリがないや。一撃必殺は誰かに任せて、拘束とPOW封じに特化しよう。

基本は武者さんと同じ。足下に拡がって、そして触腕で絡みつく! そして怪力全開で手足頭を押さえ込む! 傷跡、引き裂けないでしょ? あとはみんなの必殺技をぶつけて、一撃で屠っちゃって♪

あ、氷はやめてね、巻き込まれたら凍っちゃうから。でも姫様の血をもらったら治るかな?


バルタン・ノーヴェ
POW 諸々歓迎

これが平将……いえ、ヘイ・ショーモン!
首だけになっても再稼働するとは強敵デスナ!
デスガ、それで引き下がるワタシではありマセーン!
北小路の姫殿を殺させはしマセーン! 参りマース!

知覚を埋め尽くす神仏の幻影に、強大なヘイ・ショーモンの妖気。
これらをうまく利用して立ち回りマショー!
滑走靴による空中機動で高度を取りつつ、幻影の中に紛れる暴力的な気配を辿りマース!
敵の位置を見切ったらこめかみに狙いを定めて、UC発動!
「六式武装展開、炎の番!」

ヒャッハー!
粘着性を持つ炎はワタシが消去するまで燃え続けマース!
こめかみを引き裂けばその手にも炎が付着するデショー!
しっかり火葬して差し上げマース!



「頭から手足生やしたって……でんでん虫さん?」
 話に聞いた段階では、てっきりコミックのキャラクターみたいなものを想像していた莉々だが、実物は全然違った。
 首から下の部位を丸ごと再生し、少なくとも暴力性においては往時のそれを取り戻した大妖『ヘイ・ショーモン』。ただただ残忍に暴れまわる姿にコミカルな印象はまるでない。
「ウオォォォォォーーーーッ!!」
「うわぁ、うるさっ」
 莉々は引き続き【化け喰らい】で【妖滅の血】を吸収し、幻影対策と自己強化を行っている。おかげで敵の戦う姿もはっきり視えたが、さっきのゾンビ武者のように一筋縄で倒せる相手ではなさそうだ。単純な腕力の強さだけでなく、厄介なユーベルコードを幾つも持っているのが確認できる。

「これが平将……いえ、ヘイ・ショーモン! 首だけになっても再稼働するとは強敵デスナ!」
 一方で【妖滅の血】の影響を受けたままのバルタンの元にも、強大なヘイ・ショーモンの妖気は伝わってきていた。
 名前の響きが彼女の知っている坂東の伝説的武者に似ているのは偶然か、それとも関連性があるのか。いずれにせよ尋常の手段では殺せない手合いなのは確かだ。
「デスガ、それで引き下がるワタシではありマセーン! 北小路の姫殿を殺させはしマセーン! 参りマース!」
 曇らぬ笑顔で高らかに宣言し、バトルサイボーグメイドは戦場を翔ける。「陸海空対応型滑走靴」の靴底や踵に組み込まれた推進機構により、そびえ立つ幻朧桜よりも高度を取って、周辺を見下ろせる位置に。立ち込める血霧と幻影で視界は最悪だが、ここなら索敵に集中できる。

(知覚を埋め尽くす神仏の幻影に、強大なヘイ・ショーモンの妖気。これらをうまく利用して立ち回りマショー!)
 五感やセンサーが当てにならなくても、妖気という超自然的なオーラは伝わる。バルタンはそこに着目して、幻影の中に紛れる暴力的な気配を辿る。非科学的なバケモノとも散々戦ってきたのだ、この辺の勘所はしっかり心得ている。
「ウオオォッ!! 何処ヘ行ッタァ!!」
 ヘイ・ショーモンの方も猟兵や北小路の姫を探しているようだ。神仏の幻影を拳でなぎ倒しながら暴れまわるため、迂闊には近寄れない一方、復活の際に知性が低下した影響か、上空に敵がいる可能性にまでは頭が回らないらしい――そして逆に、足下から敵が這い寄ってくる可能性にも。

(化け喰らいは時間経過で強くなるから長期戦向け。なんだけど……必殺技がないから復活使われるとキリがないや。一撃必殺は誰かに任せて、拘束と影武者封じに特化しよう)
 莉々の基本戦法はゾンビ武者の時と同じ。液状の身体を活かして足下に拡がって、そして触腕で絡みつく。見た目によらぬ怪力で締め上げれば、ヘイ・ショーモンは「ウガァッ?!」と喚き、こちらも鬼の怪力で振り払おうとするが。
「傷跡、引き裂けないでしょ?」
 これまで皇族の血を喰らって蓄えたパワーを全開にして、莉々はヘイ・ショーモンの手足頭を押さえ込む。こめかみの傷跡から強力な影武者を召喚する【藤六左近の歌詠み】は、こいつのユーベルコードでも警戒すべき能力のひとつ。面倒なのをこれ以上喚ばせはしないと、がっちり拘束する。

「あとはみんなの必殺技をぶつけて、一撃で屠っちゃって♪」
「ご協力、感謝するでありマース!」
 莉々にまとわり付かれてヘイ・ショーモンの動きが止まるのとほぼ同時に、バルタンも目標の位置を見切っていた。
 空中でホバリングしながら内蔵している武装を起動し、照準をロックオン。敵のこめかみにピタリと狙いを定める。
「あ、氷はやめてね、巻き込まれたら凍っちゃうから。でも姫様の血をもらったら治るかな?」
「では炎上にしマショー! 六式武装展開、炎の番!」
 展開された【火炎放射器】から放たれたのは、粘着性を持った炎の塊。本来の用途は塹壕戦や障害物排除に使う物だが、生き物に使うのは本人曰く「マジヤベェデースよ?」とのこと。だが邪悪な妖が相手ならなんの遠慮もいらない。

「ヒャッハー!」
「グワアァァァァッ!!?!」
 心底楽しそうなバルタンの笑い声と、ヘイ・ショーモンの絶叫が重なる。こめかみに付着した炎はバルタンが消去するまで燃え続け、継続的なダメージを与える。逆に言えば延焼分も含めて任意に消去可能なので、味方ごと焼き殺してしまう危険性は低い。
「あちち。よく燃えるね♪」
 攻撃のヒットを確認した時点で、莉々は拘束を解いてするりと地面に戻っていく。凍らされるほどではなくても燃えるのも嫌だし、これ以上は押さえつけなくても影武者を出される心配はないだろう。こめかみを引き裂こうとすれば、その手にも炎が付着して延焼を広げることになるのだから。

「しっかり火葬して差し上げマース!」
「グギャァァァァッッ!!! オノレェェェッ!!!!」
 火達磨になりながら怒りの咆哮を上げるヘイ・ショーモンに、バルタンは容赦なく火炎放射器の炎を浴びせ続ける。
 首だけになっても再起動する相手だ、肉体を完全に灰にするまで油断は禁物。神仏の幻影と念仏に囲まれながら燃え上がるそれは、さながら護摩壇の火のようでもあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

弓落・高寿
かつての強者がああもなるとは盛者必衰─。
しかし敵大将が出てきたはいいが問題はいまだ眩むこの視界─先と同じ手も雑魚にはともかく、あれには効く気がしねえ。となれば、ここはいっそ正々堂々勝負を申し込むか?
坂東武者の作法に則って?面白え。

なぁ!その台詞そっくりそのまま返してやるよ!大将!
強者なら売られた喧嘩は逃げねえよな?逃げたら御の字、乗ってくれば─きっとこの視界の中でも漆黒のオーラとなって姿を捉えられるだろう。そうしたら後は手加減無用、正々堂々いざ尋常に勝負神器でボコる



「かつての強者がああもなるとは盛者必衰─―」
 かつて数多の陰陽師や武者を葬り、民を震え上がらせた大妖『ヘイ・ショーモン』。されど不完全な復活を果たした彼奴は力も知性も衰え、短絡的に暴力を振るうだけの愚者に成り下がった。そこに恐怖すべき要素はあっても畏怖の念を抱かせはせず、高寿も敵ながら無情なものを感じずにはいられない。
(しかし敵大将が出てきたはいいが問題はいまだ眩むこの視界─―先と同じ手も雑魚にはともかく、あれには効く気がしねえ)
 暴走する【妖滅の血】の悪影響は続いており、彼女の状態は万全からほど遠い。異次元からの触手連中もアレが相手では一蹴されるだけだろう。敵を捕捉しつつ、自分が直接殴り合えるようなシチュエーションを用意する必要がある。

「となれば、ここはいっそ正々堂々勝負を申し込むか? 坂東武者の作法に則って? 面白え」
 闘志に満ちた笑みを浮かべて、高寿は敵の妖気がする方向に一歩踏み出した。神仏の幻影のせいで姿はよく見えないし、念仏が邪魔で声が届くかも怪しいが、それでもアレにまだ武人としてのプライドが欠片でも残っているのならば、響くはずだ。
「なぁ! その台詞そっくりそのまま返してやるよ! 大将!」
「オオッ!? ナンダトッ!!」
 居丈高な挑発とともに放たれた純粋な闘争心。弱者なら怯えて逃げ出すほどの【天上天下唯我独尊】の覇気に、ヘイ・ショーモンは即座に反応した。これを受けても逃げないということは、全盛期には及ばずとも彼が強者である証だ。

「強者なら売られた喧嘩は逃げねえよな?」
 もしも逃げたら御の字だが、この挑戦に乗ってくるような強者であれば、この視界の中でも姿を捉えられる。漆黒のオーラとなって浮かび上がる敵の輪郭に、高寿は神器『夕月夜暁闇剣』を突きつけた。もはや神仏の幻影は彼女の戦いを妨げない。
「いざ尋常に勝負」
「オ相手致ス!!」
 そして此方もあれだけの闘気を放ったのだ、ヘイ・ショーモンにも位置は捕捉されている。こうなれば後は手加減無用、正々堂々殴り合うだけだ。生まれた星の違いだとか身分だとかをさて置き、この瞬間に高寿は思春期のエネルギーを爆発させる。

「ぶった切る!」
「ウォォッ!!」
 血風と桜が吹きすさぶなか、平安の異邦人と大妖が激しく切り結ぶ。溢れんばかりの闘争心は両者一歩も譲らない。
 だが優勢なのはより正確に相手の動きを捉え、邪を祓う神器を持つ高寿だ。力押しにも技量を感じさせる太刀筋が、黒き影ごとヘイ・ショーモンを断ち切る――ぱっと舞う返り血をその身に浴びながら、彼女は剣戟を緩めなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

流石に姫君の元へと近づけば近づくほど、妖滅の血のお力が強くなって大量の神仏の幻影が邪魔となってくるね
幻影と言え神仏には変わりなく、蛮勇なるヘイ・ショーモンも惑わせているのが不幸中の幸いとしておこう
さ、姫…ボクの後ろにお隠れください
阿近、吽近…姫の護衛を頼んだよ

神仏の幻影で姿を隠しつつまず一枚の形代を飛ばしてみるが、どうやらユーベルコードの力により破魔の霊力を込めた形代も効果が薄いようだ
しかし、苦痛に満ちた唸り声を上げているところを見れば…微細な飛沫となって周囲を舞っている妖滅の血によるものかな?
なら『形代招来』で呼び寄せた形代らを飛ばして妖滅の血を吸わせ、一気呵成に妖を祓ってみせようか



「流石に姫君の元へと近づけば近づくほど、妖滅の血のお力が強くなって大量の神仏の幻影が邪魔となってくるね」
 知覚を埋め尽くした幻影を見渡しながら、優雅な足取りで幻朧桜のたもとに向かう頼典。猟兵にもこれだけの影響を及ぼすとは、流石は皇族の御力と言うべきか。幻影と言え神仏には変わりなく、蛮勇なる『ヘイ・ショーモン』も惑わせているのが不幸中の幸いとしておこう。
「さ、姫……ボクの後ろにお隠れください」
「は……はいっ」
 姫君の元まで辿り着いた頼典は、貴公子の微笑を浮かべ。北小路の姫は頬を赤らめつつ、言われた通りに身を隠す。
 此度の依頼内容は皇族の救出。だが仮に依頼がなかったとしても、麗しき姫を彼が見捨てるなどありえぬ話である。

「阿近、吽近……姫の護衛を頼んだよ」
 二体の式神を北小路の姫の傍に置き、頼典は単身にてヘイ・ショーモン討伐に向かう。神仏の幻影で姿を隠しつつ、まずは一枚の形代を飛ばしてみるが、暴れ狂う悪鬼の拳にはたかれただけで、あっけなくそれは消し飛んでしまった。
「ウオォォォォォーーーーッ!!!!」
 【死してなお戦は続く】。常在戦場を体現するが如く戦いに明け暮れるヘイ・ショーモンは、ユーベルコードの力で常に強化されている。その所為で破魔の霊力を込めた形代も効果が薄いようだ。全盛期よりは衰えたとはいえ、流石に大妖と呼ばれるだけはある。

「しかし、苦痛に満ちた唸り声を上げているところを見れば……微細な飛沫となって周囲を舞っている妖滅の血によるものかな?」
 念仏に紛れて聞き取りづらいが、ヘイ・ショーモンの咆哮からは苦しみや苛立ちをはっきりと感じる。今だ暴走状態にある皇族の血が、彼奴にとって不快な存在であるのは想像に難くない。それが妖の脅威であるからこそ、一刻も早く消し去りたいと憎むのだ。
「なら策はある」
 頼典は【形代招来】にて数百の形代を一斉に呼び寄せ、それらに大気中の【妖滅の血】を吸わせる。飛沫が染み込んだそれらの紙面は仄かに赤く染まり、まるで桜の花弁のよう。さて、これらをもう一度敵に放ってみればどうなるか。

「一気呵成に妖を祓ってみせようか」
 事ここに至れば出し惜しみはなし。妖滅の血を吸った形代たちは、頼典の号令一下でヘイ・ショーモンに殺到する。
 ひとつひとつは弱くとも、戦いの基本は数。加えて実質的に皇族の御力を賜ったようなものだ。妖どもが最も恐れるその力を。
「ナッ、何ダト……グワァァァァーーーッ!!!?!」
 神仏の幻影を纏いし形代の襲来を受け、驚愕するヘイ・ショーモン。必死に反撃しても途切れることのない物量が、彼の肉体に直接妖滅の血を塗っていく。耐え難いほどの苦痛、魂まで滅する破魔の力が、伝説の大妖を絶叫させ――。

「オノレ……平安ノ民……マタシテモ……コノ我ガ……」

 かつて首だけから蘇ったという無尽の生命力も、ついに限界が訪れたか。悪鬼の巨躯がボロボロと崩れ去っていく。
 崩壊は胴体から四肢、そして遂には頭部まで。最期まで「平安の世」に対する怨嗟を唱えながら、ヘイ・ショーモンは骸の海に還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『歌を詠もう』

POW   :    生気に満ちた自然の風景を詠む

SPD   :    都や村を行き交う人々の様子を詠む

WIZ   :    誰かへの熱く焦がれる想いを詠む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 ――大妖『ヘイ・ショーモン』が猟兵に討伐されてから程なくして、北小路の姫の【妖滅の血】の暴走も収まった。
 周辺を埋め尽くしていた神仏の幻影が消え去れば、あとには幻朧桜を中心とした穏やかな風景が広がる。ここはもう滅びの大地ではなく「平安結界」の内側だ。

「此の度は大変、ご迷惑をおかけ致しました……」

 窮地を救われた北小路の姫は、猟兵たちに深々と頭を下げ、感謝を伝える。
 血の暴走による消耗が大きく、まだ動くことはできないようだが、しばらく休めば元気になるだろう。
 誰もが予想できなかった事態で、怪我ひとつなく彼女を助けられたのは、間違いなく大きな功績である。

「この御恩、いったいどうやってお返しすれば良い事か……せめて皆様の活躍を、歌に詠ませていただけませんか?」

 そう言って北小路の姫は、着物の中から筆と紙を取り出す。どうやら彼女には平安歌人としての才もあるようだ。
 新しく拡大したばかりの平安結界はまだ不安定な状態にあり、ここで和歌を詠むのは結界の維持に必要でもある。

「よければ皆様も、ともに歌合などいかがでしょう?」

 猟兵たちは姫君の誘いに乗ってともに歌を詠んでもいいし、他の話をしたり、遊戯や食事等に誘ってもいい。
 妖との戦いを終えて訪れた、しばしの休息の時間。広がった「平安の世」を眺めながら、彼らはどう過ごすのか。
西恩寺・久恩
姫様、私は歌を詠んだ事が無いのです…
姫様が手本を見せてもらった
『可愛いな、カモカモ可愛い、マジプリティ、I LOVEカモカモ、超マジプリティ』『カモ?』
フラウディが歌を詠んだのがカモカモしか聞いてない

…詠んで見ましょうか

投げ出して しまいたくなる 我が境遇 父居なければ 此処に居らず
(昔、妖である自身の境遇を投げ出してしまいそうになったが父が居なければ此処には居なかっただろうと思って詠った歌)

『主さん…』『カモ…』
まあ、私にも色々あったのですよ…でも今は幸せですから大丈夫です、心配してくれてありがとうございます
姫様やフラウディとカモカモが悲しそうな顔をしたから大丈夫と言ってその後皆で歌を詠んだ



「姫様、私は歌を詠んだ事が無いのです……」
「まあ、そうでしたの? 大丈夫、難しいことはありませんよ」
 陰陽師の一員ながらも修行に明け暮れていたためか、一般的な平安貴族がたしなむ芸事には疎かった久恩。ちょっと申し訳なさそうに耳を伏せる彼女に、北小路の姫は優しくほほえみ、「まずは手本を見せましょうか」と筆を取った。
『あやかしの 黄泉路の導は 西園寺 久遠に轟く 弔いの鐘』
 それは先程の久恩の戦いぶりから着想を得た歌だった。和歌といっても「こうでなければならない」という決まりはなく、自分が見たものや感じたことを思うさまに詠うのが雅とされているようだ。技術やセンスはもちろん大事だが、大切なのは気持ちを込めることである。

『可愛いな、カモカモ可愛い、マジプリティ、I LOVEカモカモ、超マジプリティ』
『カモ?』
 それを聞いて式神フラウディも歌を詠んでみたが、カモカモしか聞いてない。北小路の姫が聞いていれば、外来語を使ってストレートに相方への愛を全力で詠いあげたハイセンスな歌として、ある意味では評価されていたかもしれないだけに残念だ。
「……詠んで見ましょうか」
 ともあれ難しく考える必要はないと分かったことで、久恩もやる気になったようで。筆と紙を渡され、しばし悩んでからさらさらと字を綴る。何回か頭の中で読み直して納得いけば、彼女は初めての作となる和歌をそっと詠み上げた。

『投げ出して しまいたくなる 我が境遇 父居なければ 此処に居らず』
 昔、妖である自身の境遇を投げ出してしまいそうになったが、父が居なければ此処には居なかっただろう――そう思ったことを素直に詠った歌だ。生まれながらにヒトではなく、妖としても妖力がまったく無い、どちらつかずであった自分を育ててくれた養父への感謝が、そこには込められていた。
『主さん……』『カモ……』
「……西園寺様も、ご苦労されていたのですね」
 フラウディとカモカモはもちろん、久恩の境遇をよく知らない北小路の姫も、その歌を聞いて悲しそうな顔をする。
 それは久恩の歌に誰かの心を打つだけの情感が、確かにこもっていた証だろう。優れた和歌とは往々にして、聞き手の共感を呼ぶものだ。

「まあ、私にも色々あったのですよ……でも今は幸せですから大丈夫です、心配してくれてありがとうございます」
「いえ……でしたら、次は楽しい歌を詠いましょう」
『賛成です!』『カモ!』
 少々場が暗くなってしまったが、本来和歌とは楽しいもの。安心するように久恩は言って、その後は皆で歌を詠む。
 一度歌を披露しあうことで打ち解けることもできたか、それぞれの個性とセンスが輝く歌合わせは和気藹々として、「平安の世」を彩るのにまこと相応しいものになった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐藤・紫詠
貴方も平安歌人として平安結界を維持する皇族なのですね……
余も、手伝いましょう

文月の 色華舞うは 熱名残り

未だ夏の暑さが照らす大地にて、桜が舞うこの結界を謳う詩を披露
それを以て、平安結界が確立していく

まだまだ作れそうですね……

輪廻舞う 秋の蛍の 転生記
この桜は、あらゆる『過去』の存在の無念と怒りを受け入れ、それを以てあらゆる『過去』の存在を転生させて未来に送り出す……らしいです

そんな風に語らいながら、平安歌人の皇族として詩を詠みながら平安結界を維持していく

さて、サクラミラージュでは……いえ、あの世界は恐らくこの世界と同じ……
そんな風に、己の考察を脳内で巡らせながら



「貴方も平安歌人として平安結界を維持する皇族なのですね……余も、手伝いましょう」
 北小路の姫から歌合の誘いを受けた紫詠は、迷わずに応じた。皇族にして歌人という立場は彼女も同じであり、断る理由はない。自分の和歌は妖を討つためだけにあるのではないところを見せようと、持参の筆を手にまずは一首綴る。
『文月の 色華舞うは 熱名残り』
 未だ夏の暑さが照らす大地にて、桜が舞うこの結界を謳う詩を披露すれば、それを以て平安結界が確立されていく。
 このように「平安時代らしい」雅な行為を積み重ねていくことが、まぼろしに実在性を持たせ、この世界をより強固にするのだ。

「まだまだ作れそうですね……」
 ひとつ歌を詠んでも、紫詠のインスピレーションはまだ尽きない。頭に浮かんだ言葉を組み合わせ、紙に綴っていく行程はどこか楽しげで、口元に自然な笑みが浮かぶ。必ずしもという訳ではないが、やはり芸の道はそれを楽しむことが一番の才なのだろう。
『輪廻舞う 秋の蛍の 転生記』
 今度は目前にて咲き誇る、幻朧桜から着想した歌。本来であれば異世界サクラミラージュにあるはずのこれが、何故滅びの大地に生えているのか結局分からずじまいだが、季節を問わぬ満開の花の美しさに異論を挟む余地はなかった。

「この桜は、あらゆる『過去』の存在の無念と怒りを受け入れ、それを以てあらゆる『過去』の存在を転生させて未来に送り出す……らしいです」
「まあ、そうでしたの。桐藤様はお詳しいのですね」
 他の猟兵を通じて学んだ知識を紫詠が披露すると、北小路の姫は感心と尊敬のまなざしを返す。そんな風に語らいながら、二人は平安歌人の皇族として歌を詠みながら平安結界を維持していく。まだ生まれたばかりのこの結界には、他所にも負けない豊かな自然と美しい風景があり、いくら詠んでも題材に事欠くことはなかった。
(さて、サクラミラージュでは……いえ、あの世界は恐らくこの世界と同じ……)
 かの異世界の桜がこちらの世界で見られたということは、双方の世界には共通する成り立ちを持つ可能性もあるだろう。そんな風に己の考察を脳内で巡らせながら歌合に興じる紫詠の瞳は、どこか遠くを見通しているようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神臣・薙人
姫君の血の暴走が治まったのでしたら安心ですね
ゆっくりお休みになって
体力を回復させて頂きたいです

歌合…
平安結界維持のために必要であればと
暫く考えてみましたが
どうやら私にそちらの素養は無いようです
せめて姫君や歌合に参加する方々が快適に過ごせるよう
力を尽くさせて頂きます

歌を詠むのでしたら
喉が渇かない方が良いですよね
厨に行って
皆さんにお茶や食事を配膳するお手伝いを
場の様子に気を配りつつ
邪魔にならないタイミングを測り
配膳して行きます
粗相が無いようにも十分注意
穏やかになった場を乱したくはありませんから

歌を詠む声が聞こえたら耳を傾けます
やはり皆さんお見事ですね
私は私に出来る事で
平安結界の維持に尽力しましょう



「姫君の血の暴走が治まったのでしたら安心ですね」
 神仏の幻影に埋め尽くされていた視界が晴れ、北小路の姫の無事な姿を確認すると、薙人はほっと安堵の息を吐く。
 多少の消耗はあるようだが暴走の後遺症などはなく、ただ純粋に疲労しているだけのようだ。妖との戦いで傷を負わなかったのは幸いだ。
「ゆっくりお休みになって、体力を回復させて頂きたいです」
「はい……ありがとうございます。もし宜しければ、貴方様もごゆるりと……」
 薙人の気遣いに姫は感謝を述べ、幻朧桜のたもとで落ち着きつつも手には筆と紙を持つ。平安歌人のひとりとして、今回の出来事を受けて和歌の着想が沸いてくるのだろう。誰かと歌を詠み交わすことは「平安結界」を維持する儀式であり、彼女にとって心身を休まるひとときのようだ。

「歌合……平安結界維持のために必要であればと暫く考えてみましたが、どうやら私にそちらの素養は無いようです」
 薙人もまったく芸術を嗜まないわけではないが、自分の見たものや風景、思い出から即興で歌を考えるというのは、なかなか難しいものだった。失礼にならないよう丁重に参加を辞退すると、かわりに近くにある建物のほうへ向かう。
「せめて姫君や歌合に参加する方々が快適に過ごせるよう、力を尽くさせて頂きます」
 幻を具現化する結界とは実に不可思議なもので、ついさっきまで滅びの大地だった場所に、豊かな自然や新鮮な水、そして食材までも忽然と現れる。もちろん無尽蔵とはいかないが、歌合に参加する者たちに何か提供するには十分だ。

「歌を詠むのでしたら、喉が渇かない方が良いですよね」
「まあ、助かりますわ」
 厨に行った薙人は、皆にお茶や食事を配膳するお手伝いをする。場の様子に気を配りつつ邪魔にならないタイミングを測って、そっと湯呑みや膳を差し出していく、細やかな配慮が光る仕事ぶりだ。粗相が無いように十分注意するのは言うまでもない。
(穏やかになった場を乱したくはありませんから)
 戦いの喧騒も妖どもの声も消え去り、今やここは平安そのもの。姫や猟兵らの歌を詠む声が聞こえたら、彼はそっと耳を傾ける。紡がれる内容は様々だが、歌の中に込められているのはどれも、この幻が末永く続くようにとの祈りだ。

「やはり皆さんお見事ですね。私は私に出来る事で、平安結界の維持に尽力しましょう」
 たとえ歌を詠まずとも、雅で平安なひとときを演出する一助となれれば、それも平安結界を保つための貢献になる。
 皆が気持ちよく歌合できるように骨を折る、黒子や裏方のような薙人の仕事は注目こそされないものの、欠くべからざる大事な役目だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

建依・莉々
「ん? ご馳走? ・・・けど、いいや。もうお腹いっぱい♪」

血煙が止んで。やっと化けられるよ、とばかりに水溜まりから黒猫に変身♪ んーっと伸びをして、ふわ〜とあくびをひとつ。
終わったらご馳走!と思ってたんだけどね、皇族の血(と武者ゾンビ)でもうお腹一杯。いい日和だし、桜咲いてるし、お昼寝するね〜と、姫様のお膝に登って丸くなります。ん、お歌詠む声、綺麗でいいね・・・Zzz

「そういえば、お姫様のお名前なぁに? 北小路の姫? じゃなくて、お名前。わたしは莉々。よろしくね〜Zzz」



「ん? ご馳走? ……けど、いいや。もうお腹いっぱい♪」
 妖との戦闘中ずっと【化け喰らい】で皇族の血を吸い続けてきた莉々。血煙が止んで神仏の幻影も消えれば、やっと化けられるよとばかりに黒い水溜まりから黒猫に変身を遂げる。時には人間の少女だったり、時には恐ろしい怪物だったり、どろんバケラーの姿は変幻自在だ。
「まあ、おかわいらしいですわ……!」
 目を輝かせる北小路の姫の前で、黒猫莉々はんーっと伸びをして、ふわ〜とあくびをひとつ。元からマイペースで猫っぽい気質もあったが、変化でそれが強調されているような。運ばれてくる食事にも歌合わせの儀式にも、今の彼女は興味がなさそうだ。

「終わったらご馳走! と思ってたんだけどね、皇族の血でもうお腹一杯」
 やんごとない血をたらふく吸って、つまみに武者ゾンビまで頂いたのだから満腹にもなろう。食欲を満たせば次は睡眠欲がやって来るのはどの種族でも同じなのか、ぽかぽか陽気の下で莉々はくしくしと目をこする。その仕草は完全に猫だ。
「いい日和だし、桜咲いてるし、お昼寝するね〜」
「はい。ゆっくりお休みくださいませ」
 姫君の膝に登って丸くなると、北小路の姫も特に嫌がる様子はない。ほのかにそよぐ夏の風に、幻朧桜の花びらがはらはらと舞い、ふたりの頭上に降りかかる。そんな平穏を絵に描いた情景に包まれながら、筆と紙を手に和歌を綴る。

『夏の空 妖しき桜 さきわひて 微睡む黒に 花弁ひとつ』
「ん、お歌詠む声、綺麗でいいね……Zzz」
 北小路の姫が詠む歌を子守唄代わりに聞きながら、夢うつつの境にいる莉々。皇族の膝枕でこんな風に微睡めるのもご褒美と言えるかもしれない。ご厚意に甘えてこのまま就寝――と、その前に彼女はひとつ気になったことを尋ねる。
「そういえば、お姫様のお名前なぁに? 北小路の姫? じゃなくて、お名前」
「え? それは……」
 アヤカシエンパイアでは重視されていないようだが、女性貴族は公に本名を明かさない風習が平安時代にはあった。
 彼女の家にはそうした風習がまだ残っているのか、北小路の姫というのはあくまで通り名。せっかくだし本当の名前を教えてほしいという莉々に、姫は恥ずかしそうに頬を赤らめ、猫の耳にそっと口を寄せた。

「わたくしの名前は……です」
「わたしは莉々。よろしくね〜Zzz」
 ないしょですよと伝えられた姫の本名を、ねぼけた頭に刻んで。名乗り返してすぐに莉々は眠りに落ちてしまった。
 見た目通りのマイペースさに、北小路の姫はくすりと微笑み。起こさないようにそうっと毛並みを撫でながら、次の和歌を考えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

武富・昇永
皇族の御方から歌合のお誘いをいただけるとは身に余る光栄!
この武富・昇永!是非とも歌合に参加させていただきたく存じます!

しまったな…武辺一等だから歌とか全く作れる気がせんぞ…
しかしここで辞退するなどという選択肢は立身出世の道を自ら捨てるというようなもの
そんな真似は絶対にできん!

…とはいえこのままでは恥をかくだけ…ヘイ・ショーモンよりも困難な壁にぶち当たってしまった
どうする!?武富・昇永!

ここはひとつ、運を天に任せてみよう
(【昇鯉吉祥の導き】発動)
ひらめけ!俺の雅を解する心よ!皇族の方を満足させるような素晴らしき歌をひねり出すのだ!



「皇族の御方から歌合のお誘いをいただけるとは身に余る光栄! この武富・昇永! 是非とも歌合に参加させていただきたく存じます!」
 これまでの昇永の言動を振り返れば分かるだろうが、この状況で彼に断るという選択肢はなかった。皇族直々の誘いを受けたとなれば、皇族救出と妖討伐の功績に加えて大きな自慢話がひとつ増えることになる。宮中の貴族も羨むであろうチャンスを、手放す理由はなかった――のだが。
(しまったな……武辺一等だから歌とか全く作れる気がせんぞ……)
 自己研磨のための鍛錬は怠らない昇永だが、平安貴族らしい芸事や教養についてはいささか不勉強であった。妖との戦いが続くこの世界においては、戦場で功を挙げるのが出世の近道だったのだが、まさかこんな所で問題になるとは。

(しかしここで辞退するなどという選択肢は立身出世の道を自ら捨てるというようなもの。そんな真似は絶対にできん!)
 威勢よく参加を表明した後、自分の順番が回ってくるまで昇永は悶々と考える。これを逃せば二度目があるかどうかも分からないチャンスが転がってきたのだ。やらないという選択肢は絶対に、決して、断じてない。今後も皇族の方に名を覚えていただけるよう、全力でアピールしなければ。
(……とはいえこのままでは恥をかくだけ……ヘイ・ショーモンよりも困難な壁にぶち当たってしまった。どうする!? 武富・昇永!)
 どんなに強大な妖との戦いでも、勝機を掴むための手段はあった。なくても最悪全力でぶち当たれば道は開かれた。
 だが今回は腕っぷしや勢いでなんとかなる問題ではない。まるで丸腰で戦場に来てしまったような頼りなさに、焦りがつのる。

「では次は、武富様の歌を聞かせていただけますか?」
 とうとう昇永が詠う番がきた。北小路の姫から柔らかな期待の眼差しを向けられても、彼の頭にはまだ最初の一文字も浮かばない状況。いよいよもって万事休すかに思われたが――ここで諦めることだけは、彼にとってありえぬ話だ。
(ここはひとつ、運を天に任せてみよう)
 万策尽きた彼が万にひとつの可能性に賭けて発動したのは【昇鯉吉祥の導き】。成功率がゼロでさえなければ一定確率の成功を保障するという、まさに運否天賦のユーベルコードだった。超えられぬ困難など存在しないという"青天井の昇り龍"の矜持は、時として奇跡的なひらめきをもたらす。

(ひらめけ! 俺の雅を解する心よ! 皇族の方を満足させるような素晴らしき歌をひねり出すのだ!)
 過去にも一、二を爭うレベルで脳細胞をフル回転させ、ただ直感と心のおもむくままに歌を詠む。正直に言えば必死過ぎて、この時自分がなにを口走ったか昇永はよく覚えていない。ただ、詠み終えた直後の沈黙が痛いほどに長く感じられて――。
「素晴らしいです。武富様はお強いだけでなく、雅な風流も解されるのですね」
 果たして北小路の姫から発せられたのは、世辞ではなく本心の賛辞だった。どうやら上手くいったらしいと、昇永はほっと胸を撫で下ろしたくなる気持ちをぐっと堪え「光栄にございます!」と頭を下げる。またひとつ大きな滝を昇りきり、彼の出世街道は燦々と輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弓落・高寿
姫ら尊き方々を守護するのは我ら平安貴族が責務故、礼は不要と。しかし歌合…あー……今は頭が回らず、姫の歌はともかく我はまたの機会に…はは…。

雅な誘いを誤魔化しつつ、頭が回らないのは事実。幻朧桜に持たれる様に座り込むとようやく一息ついて。
あぁしかし姫も我らも帰還したら仔細を報告しなければ………あ。いい事思い付いた。そんな内心の企み顔を抑えて姫に言うは

「この異変、通常の妖が仕業とは思えぬ事態。つきましては対処に当たった手前、後の仔細をお教え頂ければと─えぇとほら、対策や…警護責任者の処遇など」

いかにもな理由を忠臣顔で放ち、しかし今はただゆっくりと平安を過ごそうか。



「姫ら尊き方々を守護するのは我ら平安貴族が責務故、礼は不要と」
 北小路の姫から感謝の意を伝えられた高寿は、謙虚な態度でそのように応える。戦闘中のイケイケっぷりとは別人のような落ち着きよう、なんだかんだで貴族としてきちんとした教養を備えている証だろう――得意かどうかで言えば、全然そんなことは無いようだが。
「しかし歌合……あー……今は頭が回らず、姫の歌はともかく我はまたの機会に……はは……」
「まあ……残念ですが、弓落様もお疲れのことでしょう。どうかごゆるりとお休みくださいませ」
 愛想笑いで雅な誘いを誤魔化しつつ、頭が回らないのは事実。ここまで妖との連戦で気の休まる暇がなかったのだ。
 幻朧桜にもたれるように座り込むと、彼女はようやく一息ついて。辺りを眺めれば先ほどまでの混沌ぶりが嘘のように、長閑な「平安の世」が広がっていた。

「あぁしかし姫も我らも帰還したら仔細を報告しなければ……」
 事件は解決したがアヤカシエンパイアの貴族である高寿には、まだ宮中での事後処理が残っている。戦って敵倒してハイ終わりとするには、この世界でのしがらみがあるのだ。特に今回の件はまだ謎が多いうえ、皇族の身が直接危険に晒されたのだ。
(……あ。いい事思い付いた)
 そこでふと何かをひらめいた高寿。内心の企み顔を抑えつつ、姫に恭しく「少々宜しいでしょうか」と話しかける。
 他の猟兵たちと歌合に興じていた北小路の姫は「どうなさいました?」と首を傾げつつ、彼女のほうを振り返った。

「この異変、通常の妖が仕業とは思えぬ事態。つきましては対処に当たった手前、後の仔細をお教え頂ければと」
 なにゆえ皇族の方が平安結界の外に出て、そこで幻朧桜と遭遇し、妖に襲われたのか。今回は救出が間に合ったものの、一歩間違えば手遅れになることも十分にあり得る事件だった。再発の可能性を少しでも減らすためには、事情聴取の必要がある。
「――えぇとほら、対策や……警護責任者の処遇など」
「なるほど……申し訳ありませんが今回の件については、わたくしもよく覚えていない事が多いのです。まるでこの桜に呼ばれていたような感覚で……」
 いかにもな理由を忠臣顔で放つ高寿に、北小路の姫は覚えている限りでここまでの経緯と、主観による印象を語る。
 高寿としては、この報告が切っ掛けで彼女の護衛を任されていた偉いさんの首が飛んだり、てんやわんやになったら愉快だなという魂胆である。下級貴族の自分は、報告を聞いた殿上人たちの慌てふためく様を楽しませてもらおう。

(しかし今は、まぁいいか)
 姫から話を聞き終えると、高寿は再び幻朧桜の幹に背中を預ける。都に帰還した後のことは後で考えるとして、今はただゆっくりと平安を過ごすのも良い。新たな結界の中はまだ人気もなく、穏やかな時間を味わうにはうってつけだ。
 風に揺れる桜の梢の音と、歌を詠う姫君の声を聞きながら、平安京の異邦人はゆっくりと目を閉じるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…終わったか…幻も消え去った
姫も無事でよかった…
……歌?歌を詠む?

…歌…歌うのとは違うの…?詠む?
困ったな…詠んだことがないからな…ごーしちごーしちしち?
歌…えーと…幻朧桜が綺麗で…妖滅の血に…鬼が集いて…え~と…

桜立つ つどアヤカシ 首を断つ の血固まり の地平安

…なんだか物騒になったな…恥ずかしいな…
私の歌よりもあなたの歌を聞かせてほしいな…

桜を見ながら、姫の歌を聞くとしよう…

しかし幻朧桜と皇族か…彼の地サクラミラージュと何か関係あるのだろうか…?



「……終わったか……幻も消え去った。姫も無事でよかった……」
 妖との戦いを終えたアンナは、ぼんやりとした様子で景色を眺めていた。敵を前にした時の苛烈な振る舞いとは別人のようだが、普段はいつもこんな感じだ。此度も処刑人としての任を果たした彼女は、達成感を静かに噛み締めていたのだが――。
「……歌? 歌を詠む?」
「はい。処刑人様も、よろしければ是非」
 北小路の姫にそのように誘われて、アンナはきょとんと目を丸くする。呪われし処刑人の一族として育てられ、獄炎と共に邪悪を狩り続けてきた彼女に、平安時代のように雅で風流な芸事を嗜む余裕があったかと言えば、否であろう。

「……歌……歌うのとは違うの……? 詠む?」
 そもそも「和歌」という文化に詳しくないアンナは、困惑しつつもそれが何なのか姫より教えてもらうことになる。
 断固たる姿勢で妖を処していた時とは違う、人間味のある戸惑いっぷりは、先程までとのギャップでかわいらしい。
「困ったな……詠んだことがないからな……ごーしちごーしちしち?」
「字余り、字足らずでも気にしなくて大丈夫です。難しく考えることはありませんよ」
 初心者に和歌の手ほどきをするのは、歌人である北小路の姫としても楽しいらしい。格式高い場であれば作法も色々とあろうが、ここはあくまで休憩がてらの私的な歌合である。肩肘張って考えることはないのだと、ふわりと微笑む。

「歌……えーと……幻朧桜が綺麗で……妖滅の血に……鬼が集いて……え~と……」
 姫から和歌の基本を習ったアンナは、今回あった出来事から印象的なものを思い起こし、ひとつひとつ言葉を探す。
 【昼行燈】のようにぼんやりしていたのが、やがて思わぬひらめきを呼んだのか。ふと頭に浮かんだ音の連なりを、彼女は口にした。

『桜立つ つどアヤカシ 首を断つ の血固まり の地平安』

 討ち取った妖の血、舞い散った皇族の血、それらが積み重なった上にある「平安結界」。此度の事件を三十一文字で簡潔に表現しきった歌である。まさにその歌を表現するように穏やかな風が吹き、桜の花弁が詠い手へと舞い降りた。
「……なんだか物騒になったな……恥ずかしいな……私の歌よりもあなたの歌を聞かせてほしいな……」
「いえいえ。初めてとは思えないくらいお上手でしたよ」
 気恥ずかしそうにうつむくアンナに、北小路の姫はほがらかに賛辞を送り。ではわたくしも、と言って新しい紙と筆を取り出した。神仏の幻影の中で垣間見た、かの猟兵たちの戦いぶりを今一度振り返り――紡ぐは彼女らを称えし歌。

『妖の 宵を晴らすは つわものよ 咲くは桜に 栄ゆる剣よ』

 可憐な声で詠われる歌を聞きながら、アンナは桜を見ていた。まさに平安を絵に描いたような風景は、当初より鮮明に感じられる。歌合による結界の安定化が上手くいっている証だろう。こういった雅な行事を通じて、この世界は保たれてきたのだと実感する。
(しかし幻朧桜と皇族か……彼の地サクラミラージュと何か関係あるのだろうか……?)
 ふと気になるのは、此度の事件の発端となった二つの関連性。やはりあの世界との繋がりを考えずにはいられない。
 彼の地のほうでもなにか事件があれば、真相が明らかになることはあるのだろうか。ひとまずの休息を取りつつも、疑問は残り続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
結局、何がどうしてこんな事になったのかはわからないけれど、ともあれ無事に済んで良かった
それに、この結界があれば人々は安全に暮らせる訳で……まあ、終わり良ければ全て良し、と言っても良いのかな?

さておき、和歌……か。俺は芸術方面はさっぱりなので詠むのはちょっと難しいかな
とはいえ誘いを断ってこれでさようなら、というのもなんだし。少しくらい話をしようか

今回の件は色々と気になるが。彼女にも何が起きたのかは分かっていないだろうから、その辺を深く追求するのはやめておいて
普段はどういう暮らしをしているのかとか、そういった皇族に関する話を聞かせてもらおうかな
関係あるかはさておき、知って無駄にはならないさ



「結局、何がどうしてこんな事になったのかはわからないけれど、ともあれ無事に済んで良かった」
 妖は討たれ、滅びの大地は「平安の世」となり、あとには桜と謎と姫が残った。事の真相は明かされずじまいでも、救うべき者を助けられた鏡介には、確かな達成感があった。目の前に広がる平和な風景は、まぼろしなれども現実だ。
「それに、この結界があれば人々は安全に暮らせる訳で……まあ、終わり良ければ全て良し、と言っても良いのかな?」
「ええ。全て皆様のお陰です」
 今はまだ無人の土地でも、ここが安全だと分かればじきに庶民が移住してきて、守護役の貴族も配属されるだろう。
 妖どもから領土を奪還したと考えれば、これは大きな功績である。北小路の姫も彼らの活躍ぶりを手放しに称える。

「さておき、和歌……か。俺は芸術方面はさっぱりなので詠むのはちょっと難しいかな」
 鏡介も姫から歌合に誘われてはいたが、彼はあくまで武辺者。剣術修行に励む一方でこうした芸事を学ぶ機会は少なかったようで、あまり自信がないように語る。戦場においては無双の達人にも、平時においては苦手な事もあるのだ。
「とはいえ誘いを断ってこれでさようなら、というのもなんだし。少しくらい話をしようか」
「まあ、嬉しいです。わたくしも猟兵の方とはお話してみたいと思っておりました」
 昨今になって宮中でも噂になり始めた、異世界からやって来た強者の話は、北小路の姫も大いに興味があるようで。
 一方の鏡介も、アヤカシエンパイアの皇族が普段どのような暮らしをしているかなどには興味がある。皇族といえばサクラミラージュにもいるが、やはりそちらとは色々と生活様式も違うものなのだろうか。

(今回の件は色々と気になるが。彼女にも何が起きたのかは分かっていないだろうから、その辺を深く追求するのはやめておいて)
 手がかりの足りない謎に頭を悩ませるのはやめて、今はただ楽しい話題を。鏡介と北小路の姫はお互いの普段の生活や体験談などを語りあい、和気藹々とした時間を過ごす。燦々と眩しい夏の日差しと、故郷を思わせる幻朧桜の下で。
「わたくしたち皇族はすでに政務から外れた身ですので……いつもは平安の世を巡り、地方ごとの風景を歌に詠みながら過ごしておりました」
 北小路の姫は気ままな暮らしを送りつつも、平安歌人としての力で結界の補強や維持に日頃から努めていたようだ。
 天皇制を廃止された皇族に公的な地位も責任もないが、生まれ持った「格」の違いは自然ににじみ出ており、彼女を慕う貴族や庶民の助けもあって生活には困っていないようだ。

(関係あるかはさておき、知って無駄にはならないさ)
 実際に聞くことで知れる皇族の生活は、鏡介にとって意外なこともあり、各地の風物の話も含めてなかなか面白い。
 返礼として鏡介もサクラミラージュや他世界の話を――なるべく重苦しい話や血腥い話は抜きにして、こちらの世界にない文物や文化について語る。
「かふぇー、列車、學園……まあ、まあ。平安の世の外にはいろいろなものがあるのですね」
 初めて聞かされた話に北小路の姫はきらきらと目を輝かせ、そこからインスピレーションを得てまた筆と紙を取り、歌を詠う。先程までの戦いがまるで遠い前の事だったように、平穏で、平和で、平安そのものの時が流れていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎

どういたしマシテ、北小路の姫君殿!
大事に至らず幸いデスネー! お疲れ様デース!
ふむ、歌詠み、でありますか……。
せっかくのお誘いデスシ、ありがたくお受けいたしマショー!

平安結界の内側は、まだまだ不安定とのこと。
他の方々との歌詠みで安定はしてきておりマスガ、さて。
ひとまず急ごしらえに、休める場所をバルタンズに建築してもらいマショー!
カモン、バルタンズ!
少々の時間をいただければ、座ったり横になったりできるスペースが用意できマース!
食事がご入用ならば、格納型キッチンを展開して振る舞いマスヨー!

……ここで一句!
グッジョブ! 桜ふる春、大団円!
ごゆるりと花見をしながら、くつろぎマショー!



「どういたしマシテ、北小路の姫君殿! 大事に至らず幸いデスネー! お疲れ様デース!」
 皇族救出の依頼を無事達成したバルタンは、姫からの謝礼にあっけらかんと答えた。戦闘中から変わらぬノリだが、表情にはどこか満足げな雰囲気もある。プロの兵士として雇用者の要望を完璧に果たせたのは、気持ちの良いものだ。
「はい……此の度は本当にありがとうございます。お礼になるかは分かりませんが、もし宜しければ……」
「ふむ、歌詠み、でありますか……。せっかくのお誘いデスシ、ありがたくお受けいたしマショー!」
 どのみち暫くここで休憩になるし、あまり固辞するのも非礼だろう、というわけでバルタンも歌合の参加を決める。
 辺りを見れば、妖はびこる戦場だった先ほどまでとは打って変わって、美しく豊かな自然の風景――「平安の世」が広がっている。だが、どこかそれに現実味がないように感じてしまうのは、結界が出来たばかりだからだろう。

「平安結界の内側は、まだまだ不安定とのこと。他の方々との歌詠みで安定はしてきておりマスガ、さて」
 平安歌人である北小路の姫を中心に、多くの者が雅な歌合を行えば、それがある種の儀式となり結界を強固にする。
 この世界を保ち続けてきた営みを実際に目の当たりにしつつ、バルタンはこの場を盛り上げるために自分にできることを考えた。
「ひとまず急ごしらえに、休める場所をバルタンズに建築してもらいマショー! カモン、バルタンズ!」
 パチンと指を鳴らすと、どこからともなく出てきたのは【秘密のバルタンズ】。バルタンを2~3頭身くらいにデフォルメした見た目のミニキャラ集団が、『バルバルバルバル♪』と鳴き声(?)を上げながらせっせと建築を始めた。

「少々の時間をいただければ、座ったり横になったりできるスペースが用意できマース!」
「まあ、凄いですわ……! 猟兵とはこのような事もできるのですね」
 戦場においては一騎当千の力をふるう猟兵だが、そのユーベルコードは戦闘のみに限定されているわけではない。
 バルタン率いるミニ・バルタンズは、十分な時間さえあれば城だって築く。なお戦闘以外の奉仕活動はお駄賃百円となっており、大変リーズナブルな労働力である。
「食事がご入用ならば、振る舞いマスヨー!」
「至れり尽くせりでございますね。楽しみです」
 バルタン自身も「格納型メイド用キッチン」を展開して、メイドのたしなみとして料理の腕をふるう。平安時代らしい和風の料理から、ラーメンにたい焼きに中華まんといった異世界の料理まで、作れるメニューの幅も広い。どんな物が出てくるのかと、北小路の姫は目を輝かせていた。

「……ここで一句! グッジョブ! 桜ふる春、大団円!」
 キッチンで作った料理を完成したての休憩スペースに並べながら、バルタンは此度の結末と今の気持ちを歌にする。
 犠牲になった者は誰もおらず、悪しき妖は討たれ、平安の世は広がった。満開に咲き誇る桜の花吹雪が、猟兵の勝利を讃えている。
「ごゆるりと花見をしながら、くつろぎマショー!」
「はい。まさかこんな素敵な歌詠みになるなんて、思いもしませんでした……♪」
 美しき桜を眺め、美味しい料理を食べ、雅な歌を詠む。これぞまさに平安時代といえるひと時を過ごすうちに、結界の安定化も進んでいるようだ。よりはっきりと鮮明に感じられる風景を見て、バルタンはまた楽しげに微笑んだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
これで一件落着…と行きたい所だけど、謎の幾つかはまだ解明されていない
しかし、何も覚えていない北小路の姫に問うても雲を掴むような話しか出ないだろう

何時ものボクの素振りでじっと見つめていた答えに、まず姫の美しさがボクの心を震わせた
第二に姫の好きなタイプが気にかかる…
事件の真相はその次かなっとはぐらかしておこうか

さて、気を取り直して歌会だ
しかし、だ
ボクには姫ほどの歌の才はないからね
ここはひとつ、温故知新で先達の歌人が詠んだ歌を贈ろう

わが姫は
物な思ひそ
事しあれば
火にも水にも
わがあらなくに

どうも姫の声色に不安を感じ得たので、この歌をね?
また何が起きても大丈夫
このボク、頼典が駆けつけますのでご安心ください



(これで一件落着……と行きたい所だけど、謎の幾つかはまだ解明されていない)
 妖どもの親玉は討伐され、皇族の血の暴走は収まった。されど何故このような事件が起きたのか、北小路の姫をこの地にいざなった幻朧桜は、どうして滅びの大地にあったのか。探偵としても陰陽師としても無視できない疑問は多い。
(しかし、何も覚えていない北小路の姫に問うても雲を掴むような話しか出ないだろう)
 おそらくは姫君自身が誰よりも今回の件について不思議に思っており、また不安を感じているだろう。なら、無理に問い詰めて心痛を増やすような行為は紳士的とは言えない。今は見守るのが良いだろうと、頼典はいつもの素振りで姫君をじっと見つめていた。

「……もし? どうかなさいましたか? なにか、わたくしに聞きたいことでも?」
 一方で北小路の姫も先ほどから視線が気になっていたようで、ふと自分から声を掛ける。自分に出来ることであれば協力は惜しまないという彼女の態度は、猟兵への信頼と皇族としての責任感から来るものだろう。敬意に値する心根の清さに、頼典は微笑を返す。
「まず姫の美しさがボクの心を震わせた。第二に姫の好きなタイプが気にかかる……事件の真相はその次かな」
「ま、まあ、そんな……!」
 いかにも遊び人らしい台詞回しでしれっとはぐらかしておくと、北小路の姫はぽっと頬を赤らめた。彼女ほど血筋も家柄も容姿も申し分のない女性だと、逆に恐れ多くて寄り付く男性は少ないのか。どうもこういった事には耐性のないご様子である。

「さて、気を取り直して歌会だ」
 照れる姫君の可愛らしさに目を細めつつ、頼典はおもむろに筆と紙を取る。平安結界の防衛と維持は陰陽師の重要な務めのひとつであり、皇族の方ばかりに任せるわけにはいかない。むろん純粋に、この雅なひと時を楽しむ心もある。
「しかし、だ。ボクには姫ほどの歌の才はないからね。ここはひとつ、温故知新で先達の歌人が詠んだ歌を贈ろう」
 したためるのは、さる有名な和歌集に収められた歌。もとは女性が男性に向けて詠んだ歌とも言われるが、いと尊き姫君に捧げるにはこれが相応しいと感じた。幻楼桜のたもとに座る彼女を見つめ、頼典はその歌をそっと詠み上げる。

『わが姫は 物な思ひそ 事しあれば 火にも水にも わがあらなくに』

「その歌は……」
「どうも姫の声色に不安を感じ得たので、この歌をね?」
 北小路の姫も聞き覚えがあったらしい。いざ事があれば火の中水の中でも付いていくという、献身の心を綴った歌。
 皇族としての気丈な振る舞いの裏にある、年相応の少女の繊細さを見抜いた頼典は、微笑とともに恭しく礼をする。
「また何が起きても大丈夫。このボク、頼典が駆けつけますのでご安心ください」
「……ありがとうございます、頼典様。わたくし、とても嬉しいです」
 軽薄そうな態度の裏にある、忠義と真摯な心意気を感じ取った北小路の姫もまた、花がほころぶように微笑を返す。
 悩みが完全に払拭されることはなくても、もはや彼女が不安に思うことはないだろう。どんな妖や厄災にも負けぬ、頼もしい猟兵たちがここに居るのだから。



 ――こうして、歌合の儀式は平穏無事のままに終わり、結界の安定を確認した猟兵は北小路の姫を連れて帰還する。
 多くの謎を残したまま、ひとまずの終息を迎えることとなった今回の事件。その答えを黙して語らぬまま、幻朧桜は「平安の世」にて咲き誇るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月25日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アヤカシエンパイア
🔒
#幻朧桜
🔒
#皇族


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠武者小路・式部です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト