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トロピカルシーワールド!

#キマイラフューチャー #戦後 #【Q】


●トロピカルシーワールド!
 その海は青く澄んでいて、極彩色の魚達が泳いでいる。
 空から射しこむ光によって、海中でも視界は良好。うつくしい世界が広がっていた。
 こぷりとこぼれる泡がもれても、呼吸が苦しいこともない。

 ――上手にできたにせものの海は、こんなにも楽しいのだから。

 そんな楽しいヴァーチャルリアリティの海に、異様な肉体美が現れるのはもう暫く先のこと。
 きっと彼らを巻き込んで、遊んでしまえばいいのだ。

●うそっぱちスプラッシュ!
「皆さん、夏休みですね。水着は用意できていますか?」
 ででん。恐竜めいたゆるい浮き輪を身に着けて、おニューの水着を見せびらかすのは鎹・たから(雪氣硝・f01148)だ。ここまだグリモアベースなんだよな。
 気が早すぎる羅刹の娘は、集まった面々を見て頷き説明を始める。
「キマイラフューチャーにあるヴァーチャルリアリティの施設で、南国の海中を再現した企画があるのです。そこでは本物の海のように泳いだりすることができるのですが、ヴァーチャルリアリティですから、呼吸が苦しくなることもありません」
 愛らしい魚達、揺れるサンゴ礁、不思議な宝物。泳げない者でも、うつくしい海中を堪能することができるという。
「せっかくの夏休みですからね、お友達やご家族、恋人同士で楽しむのもよいでしょう。あまりお客が入らないのもあって、猟兵の皆さんが楽しめば楽しむほど、施設の宣伝にもなることをスタッフも喜んでくれるでしょう」
 それならまぁ行くか、とリラックスした様子で夏の予定を入れようとした猟兵達に、ただし、とたからは続ける。
「この楽しい穴場スポットを狙う怪人が現れます」
 そんなこったろうと思った。
「その名も怪人アルパカスプラッシュ。アルパカの頭に引き締まった肉体を持つ怪人です。彼は自慢の筋肉を見せびらかしにやってきます、強力な敵であることは間違いありませんね」
 そうかな? ただの筋肉見せびらかし変態アルパカじゃないかな? なんか大丈夫そうだな、と猟兵達はキマイラフューチャーらしいオブリビオンの姿を思い浮かべる。
「ですが、海中を存分に使った戦法で戦うことができれば、きっと皆さんが有利になるはずです。イルカと泳ぎながら連携したり、とても威力のある水鉄砲で足元を狙ったり。ユーベルコードをどんな風に生かしても問題ありません」
 ヴァーチャルリアリティですからね。そう続ける羅刹は真剣そのもの、内容はキマイラフューチャーだが。
 なんだか全然大丈夫な気がしてきた面々が、水着を用意し名乗り上げる。

 転移の準備を終えたたからが、雪降るグリモアを煌めかせる。遊ぶ気満々の彼女はさておき、いざ、南国の海へ。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●成功条件
 ヴァーチャルリアリティの海中を楽しんで、遊びながら怪人をいい感じに倒しておく。

 合わせで参加は3名様まで。
 めちゃくちゃにゆるふわです。
 怪人はなんか適当にユーベルコードで倒せるため、2章でも遊んで頂いて構いません。
 水着の描写を入れさせて頂きますが、お任せでお仕立ても可能です。

 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『うみあそび!』

POW   :    ぼうけんだー!素敵なものを探すぞー!

SPD   :    おあそびだー!魚と泳ぐよ!

WIZ   :    のーんびり。きれいなところでお喋り!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
燮樹・メルト
❤️‍🩹やわらぎ🧬ちゃんねる!
(ライブストリーミング配信!)

やふー、今回も夏だぞー。
今日はキマイラフューチャーのVR施設に来てるよー。
キマイラのみんなはメルのちゃんねる、やわらぎ🧬ちゃんねるをお気に入りに登録してメル友になってねー。

VRという事だけど、雰囲気大事!ということで水着姿で来てるよー、スクショタイムもあるからその時によろしくー!

わあお!VRすごいって聞いてたけど、本当に泳げるし、息もできるー。
ちょいちょい、皆の衆!
これ良くない?詳細にここの住所載せてくから遊びにおいでよ!
すごー!珊瑚礁に魚🐟もいっぱい泳いでるー!

キマフュー、ホントに未来じゃん!オブリビオン退治は任せて!



「❤️‍🩹やわらぎ🧬ちゃんねる!」
 ポップなイントロと共に始まったライブストリーミング配信。タイトルコールは勿論この人、やむ系ライブストリーマーの燮樹・メルト。
「やふー、今回も夏だぞー」
 ダウナーな挨拶と共に、ピンクの水着で現れた彼女へと早速挨拶のコメントが飛ぶ。
『やふー』
『その水着やっぱかわいい』
『ここどこ?』
『初やふ』
「今日はキマイラフューチャーのVR施設に来てるよー。キマイラのみんなはメルのちゃんねる、やわらぎちゃんねるをお気に入りに登録してメル友になってねー」
 うんうん、とコメントに頷きながら、少女はご新規さんにもちゃっかり登録ボタンをご案内。メル友の皆が新しい友達を歓迎しているのを確かめ、本題に入る。
「VRということだけど、雰囲気大事! ということで、水着姿で来てるよー。スクショタイムもあるからその時によろしくー!」
 いえいいえいと盛り上がり始めたライブ配信は、いざヴァーチャルの海へ。とぷんと全身が沈む感覚から目を開けば、そこはカラフルな南国の海。
「わあお! VRすごいって聞いてたけど、本当に泳げるし、息もできるー」
 脚は軽やかに水を蹴るし、呼吸はひとつも苦しくない。それでいて水を纏う独特の感覚もあって、メルトはキマフューの超技術に驚かされる。
「ちょいちょい、皆の衆! これよくない? 詳細にここの住所載せてくから遊びにおいでよ!」
 こんなに素敵な場所を共有しないなんてもったいない。楽しいことがだいすきなキマイラだけでなく、いいなぁと異世界のメル友からのコメントが溢れていく。
 そんな友達のためにも、メルトはこの配信を続けているのだ。
「すごー! ほらほら、珊瑚礁に🐟魚もいっぱい泳いでるー!」
 指さした先の景色を皆にも見せてあげる。それがメルトのやりたいこと。
「キマフュー、ホントに未来じゃん! オブリビオン退治は任せて!」
 彼女の楽しいが遠いメル友の皆へと共有される度、いいねもどんどこあふれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
ああ、苦みも渋みもなく、命の危機も何もなく、楽に息ができる…
普通の人間は、こういう感覚で何も気にせず呼吸するわけですね。
なんとも、羨ましい話です。
ほんの少しだけ、製作者生みの親に文句を言いたくなりますね。
言えたところで、何が変わるわけでもないのでしょうけども。

まぁ、どうでもいい話ですね。
そんなくだらないことより、海中遊泳です。
ぼんやり浮かんで漂いながら、この綺麗な景色を楽しみましょう。
海藻が揺らめく様や、魚が群泳して渦まく様子等々。
眺めているだけで、何となく癒されますね。
故郷でも、こんな景色が楽しめる日が来ればいいのですが…



 とぷりと水のなかに浸かった感触は、不思議なくらい心穏やかなものだった。エリー・マイヤーがすぅっと息を吸ってみても、呼吸が苦しいこともない。
 苦みも渋みもなく、命の危機も何もなく、楽に息ができる。大多数の“普通の人間”は、こういった感覚で当たり前のように呼吸していることを、フラスコチャイルドは体感する。
「なんとも、羨ましい話です」
 限界の荒野を生まれとする女は、ほんのすこしだけ製作者生みの親に文句を言いたくもなる。とはいえ、それは今はどうでもいい話。
 そんなくだらないことよりも、この疑似体験空間の海中遊泳を楽しむ方が何万倍も彼女にとって興味があった。
 そっと水を蹴って全身の力を抜けば、エリーの身体はぼんやりと海中に浮かぶ。横になって漂っていれば、視界に広がるカラフルな色彩。
 ふわりふわりと揺らめく海藻、鮮やかなピンク色の珊瑚礁! 色とりどりの魚達は、群れを成して彼女の眼前を横切っていく。
「……なるほど」
 エリーは南国の海というものを、現実で見たことはない。それにあくまでこの世界も、仮想現実が創りあげた産物。けれど、美しい景色は眺めているだけで癒されるような気がした。
 くるり、仰向けにしていた身体をうつぶせにすれば、空から射しこむ陽光が海の奥底へと届いてくのを見下ろせる。
 オーロラめいた光のカーテンがやんわりぽかぽか揺らめいて、あたたかな海はどこまでも広がっているような心地がする。
「故郷でも、こんな景色が楽しめる日が来ればいいのですが……」
 塵ばかりで汚れてしまった空気、草すら生えない荒野の彼方。アポカリプスヘルの海の色も、きっとこんなに綺麗なものではないのだろう。
 それでも願ってしまうのは、優しかった父や、世話焼きだった双子の姉が確かに生きていた大地を、嫌いになんてなれないからかもしれない。
 なんとなく眠たくなって、しばし眸を閉じても、水の触れる全身が心地が良いな、なんて思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アキカ・シュテルア
アドリブ・連携歓迎 WIZ
水着:2021年水着コンテストのものを着用

(別な世界で、海の中へ行ったことはありましたが。こちらでも似たようなことが出来るとは)
ゆったり興味の向くままに周辺を散歩。
傍を通る魚達にちょっかいを掛けようと試みる。
もしくは次の作品に繋がりそうなヒントを探して、足もとの珊瑚をじっと観察してみる。
(鮮やかさ、配色、エフェクトetc.)

(この魚達はどんな名前なのでしょう?あ、こちらは知ってます!)
(いっそのこと、この光景を絵にしましょうか)



 ヴァーチャルリアリティの海とは一体どのような感覚なのか、アキカ・シュテルアはそわそわとした気持ちを抱いている。
「別の世界で海のなかへ行ったことはありましたが、こちらでも似たようなことが出来るとは」
 にせものの水に満たされた世界は、はっきりと水が膚に触れているのに、こぷりとこぼれる呼吸の泡に息苦しさはまったくない。
 シンプルなデザインにパレオスカートの水着は、彼女の髪色よりも鮮やかな紫。プルメリアの髪飾りもお供に、興味の赴くままに辺りを歩いてみる。海の底を歩いている訳でもなく、けれど脚はしっかりと普段の散歩と似たように動いていて、相変わらずキマイラフューチャーの不可思議技術には驚かされてしまう。
 ふと、そばを通り過ぎる魚の群れに惹かれたアキカは、指先をそっと伸ばしてみる。
 驚いたのか威嚇のつもりか、ぷくっと膨らんだ一匹はなんともおかしくかわいいもので、別の一匹はというとこちらへ近づいてきたりと、種類によって反応は様々。
「この魚達はどんな名前なのでしょう? あ、こちらは知ってます!」
 岩場の陰からひょこっと顔を出すちいさなタコ、ふよふよ周囲を漂うクラゲ、他にも名前の知らない海の生き物が、いたるところからこんにちは。
 これが本当の海のなかなら、決して生身の人間では楽しめない光景が彼女の前に広がっている。
「どこを見ても興味が尽きないですね……そうだ」
 いっそのこと、この光景を絵にしましょうか。
 思いついたなら即実行、次の作品に繋がりそうなヒントを探して、足元に咲く珊瑚礁をじっと見つめる。
 魔法を描きだす画家の眼は、その鮮やかさや配色、エフェクトまでもしっかりきっちり映し出す。
「……は、いけない」
 あまりにも集中しすぎていると、時間はあっという間に過ぎるもの。十二分にインプットを終えたら、休憩ついでにふんわりとした遊泳などを楽しむ。
 疲れることのない適度な水圧は、アキカに特別な夏の思い出を増やしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
※灯華:カクリヨの妖怪の子。言葉は話せず「ぴぃ」「ぴっ」としか言えないが人の言葉はわかる。

灯華さんと一緒に遊びに行きます
そんなにしがみつかなくても大丈夫ですよ、これは ばー……ちゃ……とにかく本物の水ではないので溺れたりはしませんよ。
怪人がでるまではここで水に慣れる練習をしましょう。

念のため「念糸」で軽く灯華さんの体をつなぎつつ、その手をとって
海を探索します。
宝探しもできるらしいので、遊びながら行きましょう
どっちが先に見つけるか競争です

あれ……?あそこに、なにか気になるものが?(そう言って宝物らしきものを探すふりをする)
ぴぃぃーー!

すごい灯華さん、宝物までひとりで泳げましたね
いっぱい誉めます



「ぴぃ……」
「そんなにしがみつかなくても大丈夫ですよ、灯華さん」
 桜雨・カイにくっついているのは、ふんわりぽやぽやちいさな妖怪の子。深くてどこまでも続いていそうな海の中がこわいのは仕方ないけれど、なんたってここはにせもの!
「これはばー……ちゃ……とにかく、本物の水ではないので溺れたりはしませんよ」
 実はカイもどう説明するべきなのかよくわかっていないので、一番シンプルなキーワードを告げておく。けれど、灯華はやっぱりまだまだ怖いようで、怪人が出るまでは水に慣れる練習が始まった。
 念のためにカイの操る鋼糸で、互いの身体を軽くつないでおく。ほら、と安心させるようにしながら、その手をとって、海中探検に興じてみる。
「ぴっ」
「ええ、あの魚とっても綺麗ですね」
 もちもちよちよちと泳ぎ歩く灯華には、海のなかなど全てが興味津々。だいすきなカイが一緒に居るから、見たことのない生き物をちょっとだけ遠巻きに眺めつつも指さしたりして。
「そうだ、宝探しもできるそうですよ」
「ぴぃ?」
「はい、どっちが先に見つけるか競争です」
 なんだか楽しそう! 赤いおめめがぱちくり瞬いて、きょろきょろ周囲を見て回る。そんなかわいいバディの隣、カイも宝物を探すような素振りを見せて――おや?
「あれ……? あそこに、なにか気になるものが?」
「ぴっ」
 きらと光るものが岩と岩の間に見えた灯華は、わぁわぁとちいさなおててとあんよで泳ぎだす。
「ぴぃぃー!」
 うんしょうんしょと光る場所へたどり着いたら、そこにはきらきらのおおきなビィ玉!
「すごい、灯華さん。宝物までひとりで泳げましたね」
「ぴぃ!」
 後ろからそっと追いついたカイに褒められて、ちいさなバディは自分がここまでひとりで泳げたことに気づく。
「ぴ、ぴ!」
「そうです、灯華さんがひとりで頑張って見つけて手に入れた宝物です。とってもえらいですよ!」
 これでもか、と言わんばかりに褒めて伸ばすのがカイの方針スタイル。ふわふわとうれしそうに笑う灯華も、これなら怪人が来てもばっちりに違いない。
 まぁアルパカ怪人の肉体美を見せつけてくる様は、教育的にどうなのかは置いといて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【狐兎】
※今年の水着を素の自分で着用
(足の花、翼の一対、長い金髪、オッドアイは真の姿要素のため無し/真の姿時の記憶無し)

ふふ、ありがと
嬉しいよ
木常野さんはいつもストレートでちょっと、恥ずかしいけど
木常野さんの水着も可愛さとアクティブさ両立してていいね

折角だし2人で泳ごう
バーチャル、だからリアルな映像みたいなものかな
木常野さんが精霊さんの気配を感じられるくらいの再現性って事だろうね
僕も精霊さんとお話は出来るけど、感覚強くはないから

珊瑚礁も熱帯魚も、色鮮やかで綺麗だよね
周囲が殆ど青一色だからより映えるというか

え、マンボウいるの?
わぁおっきいねぇ
あ、マンボウって衝撃に少し弱いらしいから気をつけてね


木常野・都月
【狐兎】
※水着は2024年の水着着用

先輩!今年も水着可愛いですね!
白と青で空にいる女神様みたいです!

可愛さとアクティブ……えへへ、ありがとうございます!

よし、先輩に続け〜!(ざぶーん)
ん、ちゃんと息できる!
それに……この水は?
先輩、凄い!みて下さい!水なのに、水の精霊様じゃないような……水の精霊様っぽいような……
これが、ばーちゃる……リアルな映像……凄いです!

先輩、これサンゴです!
海の花みたいだ。
海が華やかになります!

こっちには小魚が!
これは……マンボウだっけ?
図鑑で見るより大きいな……
お前はゆっくり泳ぐんだなぁ。

衝撃に弱い……
だからゆっくり泳ぐんだな……
(邪魔しないように少し遠めに見守ろう)



「先輩! 今年も水着可愛いですね! 白と青で空にいる女神様みたいです!」
「ふふ、ありがと。嬉しいよ」
 先輩の水着姿を褒めちぎる木常野・都月に、栗花落・澪もなんだかてれてれ。白を基調として青のリボンや花飾りがよく映えるドレス風の水着は、彼のかわいらしさを見事に引き立てている。
 都月はいつだって素直にストレートな言葉を向けてくれるのが恥ずかしいけれど、嘘のないそれがやっぱりうれしい。
「木常野さんの水着も、可愛さとアクティブさが両立してていいね」
「えへへ、ありがとうございます」
 今度は澪の言葉に都月がふにゃりと笑う番。アースカラーで纏めたコーディネートに、オレンジの差し色が、妖狐の性格をしっかり表している。
 さてさて、にへへ、とふたりで笑いあってここからが本番。
「せっかくだし、二人で泳ごう」
「はい!」
 ざぶーん。澪が海に満たされたのち、先輩に続けとばかりに都月もれっつごー。グリモア猟兵からの説明通り、当たり前のように呼吸ができることに妖狐は目をぱちくり。
「木常野さん、大丈夫?」
 キマフュの超絶ヴァーチャルリアリティを体感する都月を気にかけて、澪が尋ねる。すると彼は目をぱぁっと輝かせていて。
「先輩、すごい! みて下さい! 水なのに、水の精霊様じゃないような……水の精霊様っぽいような……」
 一体これはどういうことでしょう、と首をかしげる精霊術士に、そっか、と澪が笑う。
「バーチャル、だから……リアルな映像みたいなものかな。木常野さんが精霊さんの気配を感じられるくらいの再現性ってことだろうね」
 澪も精霊と会話することはできるものの、都月ほど感覚が強くわけでもない。本職が実物の精霊に似た何かを感じられるほどの再現性に、澪もキマフュの謎技術に感心してしまう。
「これが、ばーちゃる……リアルな映像……すごいです!」
 ふたりの視界には鮮やかな魚達、軽やかに揺れる海藻、どこまでも広がる澄んだ青。さて、これを楽しまずしてどうするというのか!
 ゆるり、水を切るように泳ぐ脚の感覚は本物の水中と遜色なく、触覚がより鋭敏になったような気すらする。ふと目に留まったピンク色に、都月が澪を呼ぶ。
「先輩、これサンゴです! 海の花みたいだ」
 彼が指さす先にある珊瑚礁に澪も視線を向けて、ほんとだ、と口を開く。珊瑚の合間から現れたのはオレンジ色の小魚達で、しゅうっと素早く泳いでいる。
「珊瑚礁も熱帯魚も、色鮮やかで綺麗だよね。周囲が殆ど青一色だから、より映えるというか」
「はい、海が華やかになります!」
 極彩色、というよりはやわらかな色彩に見えるのは、海の青さがふんわりと生き物達の彩を馴染ませているからなのか。自分達もその世界の一員になれたようで、もっともっとこの世界を楽しみたくなる。
「あ、こっちの小魚も……あれ?」
 ふいに都月の言葉が途切れて、どうしたの、と澪が尋ねた。再び都月が指さす先、平らで巨大な虚無虚無しい瞳のそいつ。
「これは……マンボウだっけ?」
 ご名答、図鑑で見るより大きなマンボウは、泳いでいるのか止まっているのかわからない速度で海中を漂っている。
「お前はゆっくり泳ぐんだなぁ」
「わぁ、おっきぃねぇ」
 初めて見る生のマンボウは、これも映像とはいえとってもリアル。すると、あ、と澪が思い出したように豆知識を都月に授ける。
「マンボウって衝撃にすこし弱いらしいから、気をつけてね」
 そう、いまだ解明されていないことの多いこの魚はとても繊細で、わずかな衝撃でも身体に重大なダメージを受ける。水族館でも滅多にお目見えできないものの、運のよい水族館に行けば、これでもかというほど頑丈にガードされた壁のなかでじっと過ごしている姿を見ることもワンチャン可能なレベルである。
「衝撃に弱い……だからゆっくり泳ぐんだな……」
 邪魔をしないように、すこし遠くから見守ることにした都月のやさしさに、澪もほんわり。他の海の生き物達の生態も、覚えている限りの説明をしてやると、なるほど、と知識を吸収していく都月。
 あたたかな海のなかで過ごす生き物は本物と瓜二つ、ふたりの思い出につよく残るのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
●水着:バストクロスワンピース。

映像とはいえ海は久々です♪酷暑なので丁度いいですね。
のんびりと泳いでいると魚達が並走してくれて…楽しいです♪
ロベルタさんの姿を確認しながらになりますが本当に楽しい♪
自分が魚になったような気分になって心地がいいですね。
それなりに泳げますが息の問題で長く潜水はできません。
なのでこういう体験は何度経験してもとても良いです♪
…この綺麗な暖色系の魚の名前はなんでしょう…。

…あ。アルパカスプラッシュさんのことを忘れていました。
出現したらロベルタさんと合流してその場に急行します。
身体を見せて来るのはいいのですが…今一よくわかりません。
その『戦うための肉体』と『見せる肉体』は違うようなので。
「締まった身体はとても綺麗なのですが…私は興味がなくて…」
なので正直に言ってしまいます。…ごめんなさい…。
…ぁぅ…
素晴らしい身体の解説をしようと集まって来られて困りました。
…あ。そうそう倒さないと…。
鎧無視攻撃を付与した【剣気】でパカさんを気絶させてみます。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
●ワンピース水着。
墨ねーが気持ちよさそうに泳いでるのを見ながらのんびり。
潮の流れるままにゆらゆら回遊してよーかな。僕は。
僕と同じように回遊してる魚の群れの中にいてもいいよね。
興味持たれて突かれても…くすぐったいで終わるだろーし♪
「う~♪ 気持ちがいい~♪」

…。
アルパカのにーちゃんと三度くらい目が合ってもそのまま。
そのままパカにーちゃん達の目を見ながら回遊してるよー♪
僕の行動に対するパカにーちゃん達の質問には答えるよ。
「えー…。…今、ヴぁかんすだしー…気持ちいいじぇぇ~…」
墨ねーが来たら仕方がないから戦うじぇ。…戦うのかぁ…。

「よく来たな! アルパカ…えっと…なんちゃら達よ!!
我が懐に抱かれ、骸の海へ再び還るがいい!」
高笑いしてなんかいい感じのポーズとセリフを言ってみるじぇ。
パカにーちゃん達がノッてくれてもそーじゃなくてもやるじょ!
「還れ! …領域展開『無条件返還法(くーりんぐ・おふ)』」
墨ねーが倒しちゃうだろーからただポーズ決め手漂ってるだけだよ。
うぇ~い♪



 桜色の生地に紅の縁取りがされたバストクロスワンピース水着が、普段の浅間・墨とは違った雰囲気にしてくれている。そんな彼女も海は久しぶり、どこの世界に行っても酷暑の夏。ひんやりした水の感触がちょうどよくて、思わずほんのりにっこり。
「……あ、魚……♪」
 のんびり泳いでいる彼女の隣、ロベルタ・ヴェルディアナもゆらゆら回遊中。潮の流れにただただ流されて、青に白い花の咲くワンピース水着もひらひら。
「う~♪ 気持ちがいい~♪」
 同じように回遊している魚の群れにまぎれていると、小魚達は不思議そうに興味を持って突かれる。ちょっとだけくすぐったいけれど、楽しい気持ちが上回る。
 ロベルタがうっかりはるか遠くまで流されないよう、年上として彼女を見守りつつ、墨も魚達と並走するように泳いでみる。
「楽し……♪」
 自分が魚になったような気分になって、心地がいい。元々それなりに泳げるけれど、長く潜水するのは苦手。こういう特別な体験は、何度経験してもとっても良いものだ、とひとり頷く。
「……?」
 綺麗な暖色の魚が一緒に泳ぎ始めて、この子の名前はなにかしら、と首をかしげる。あとで図鑑で調べるか、ロベルタに聞いてみるか。
 一方その頃のロベルタはというと、ふよふよ楽しく愉快に回遊旅行を続けていた。
「……」
 アルパカの頭を持ったむきむきのマッスルボディを持った怪人と三回くらい目が合いながら。
「うぇ~いきもち~♪」
 多分気のせいだと思うんだよね、と自分の視界に嘘をつく。だってこれバトルするのたしか二章だしね。この間は無視していいのではないだろうか。
「あの」
「おっ新しい魚ちゃんの登場だじぇ」
「ちょっと」
「この子の名前は確か~」
「見えてますよね」
 話しかけられてしまった以上、流石にスルーし続けるのは難しそうだった。ちゃぷちゃぷのんびり流されつつ、えぇ、とめんどくさそうに告げる。
「えー……今ヴァカンスだしー……にーちゃんたちも気持ちいいじぇ~……」
 その時だった。うつくしい泳ぎで颯爽とやってきてくれた墨が、きりっと戦闘態勢に入っている。実は今の今まですっかり怪人の存在を忘れていたけれど、彼女は立派な戦巫女なので思い出したら自分の使命に一途である。
「あ、墨ねー」
 急行してくれたからには、ロベルタも頑張るしかない。墨の真面目さを裏切ることは出来ないので、これは仕方ない。
「……戦うのかぁ……」
「ロベ……さん?」
 不思議そうに小首をかしげた墨の前、だらけた姿勢を縦に戻す。
「よく来たな! アルパカ……えっと……なんちゃら達よ!! 我が懐に抱かれ、骸の海へ再び還るがいい!!」
 アーッハッハッハ。高笑いと共になんかいい感じのずぎゃ~んなポーズを決めれば、怪人アルパカスプラッシュもポーズを決め返す。ヴァーチャルリアリティといえど海の中なのに、なんだかてかてかしているね。
 そんなアルパカマッスル野郎共がみちみちの肉体を見せつけてくるのを見ながら、墨はやっぱり首をかしげた。
 身体を見せてくるのはいいけれど、いまいちよくわからない。“戦うための肉体”と“魅せる肉体”は違うジャンルらしいということは耳にしているが。
「締まっ……身体……とても、綺麗……ですが……私……興味……なくて……」
「えぇっ!? この肉体美にご興味がない!?」
「……ごめんなさい……」
「それはもったいない、お嬢さん、人生の半分を損していますよ」
「ええそうですとも、我々がこの身を尽くしてお嬢さんに魅力をお伝えしなくては!」
 丁寧にお断りしたのに、話をきかない怪人。実にキマフュらしい。アルパカスプラッシュ達は解説のためにわらわらと集まってきた。
「……ぁぅ……」
「おーい、墨ねーを困らせるな~」
 なおロベルタちゃんはまた横になっている。助けを求める墨の表情に、よっこいしょっと縦になった。
「還れ! ……領域展開、『無条件返還法くーりんぐ・おふ』!!」
 現代日本の異世界でなんかかっこいいアニメを見たらしい。オリジナル必殺技のポーズをキメれば、アルパカ達は眩しそうにばたばたと倒れていった。正確には、墨の剣気が全部やってくれたのだが。
「よし、無事お仕事完了! 遊ぶじぇ~」
「え……」
 墨が困っている。そう、これまだ一章なんだよな。でも二章も遊んでていいよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『怪人アルパカスプラッシュ』

POW   :    シンクロナイズドポージング
【量産怪人アルパカマッスルブラザーズ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    水も滴るいい体
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    アルパカウォータースライダー
戦場全体に、【ウォータースライダー】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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 猟兵達が思い思いにヴァーチャルリアリティの海中を楽しんでいた時のこと、それは突然現れた。
 輝かしい肉体をウェットスーツに隠しつつ、魅せるべきシーンではいつでも上半身を脱ぎ散らかそうとたくらむアルパカスプラッシュが!

「さぁ皆さん、このウォータースライダーで楽しみつつ私の肉体美をご覧ください!」

 なんか無視して遊んでても大丈夫そう。
 とはいえ、様々な遊び道具を使って撃退するのも面白いかもしれない。
 これは猟兵達の夏休みにおける最後の宿題、いっそ丸投げしたっていいのだ。
エリー・マイヤー
私はクラゲ…
クラゲのように海を漂う、ちっぽけな存在…
ああ、ただ力を抜いて水に流されるこの感覚…
なんと穏やかで癒されることか…
海最高…
ヴァーチャルリアリティ最高…

などとぼんやり楽しんでいるうちに、完了が宣言されてしまいましたね。
働く前にお仕事が終わってしまうとは、由々しき事態です。
何か見た感じまだ元気そうですが…
お仕事が完了したってことは、きっとアレはただの亡霊でしょう。
別に私が頑張らなくてもどうとでもなりそうな筋肉でしたしね。
今となっては、もはやどうでもいいことです。
折角ですし、彼の遺したこのスライダーに流されてみるのもいいでしょうか。
…水中でウォータースライダーってどういう挙動するんです?



 ぷか……ぷか……。うつくしい南国の海を模したヴァーチャルリアリティは、燦々と照る陽射しが海底まで射しこんでいる。
「私はクラゲ……クラゲのように海を漂う、ちっぽけな存在……」
 エリー・マイヤーは文字通り、ぷかぷかと海のなかで揺られていた。本来の海など、入ってしまえばフラスコチャイルドの彼女はあっという間に空気汚染にやられてしまうに違いない。けれど今はそんな心配もなく、全身の力を抜いて水に流されるこの感覚、ああ、なんと穏やかで癒されることか……。
「海最高……ヴァーチャルリアリティ最高……」
 などとぼんやり楽しんでいる間に、はりきっていた他の猟兵達によってお仕事完了宣言が済んでいた。まさか日常フラグメントの一章でボスが倒されてしまうとはね。
「働く前にお仕事が終わってしまうとは、由々しき事態です」
 とはいえ、なんとなくちら、と視線を向けてみれば、アルパカスプラッシュはむくりと起き上がりポーズをキメている。つぶらな瞳でこっちをじっと見つめてすらいる。
「なんか見た感じまだ元気そうですが……」
 お仕事完了宣言がなされているのだ、きっとアレはただの亡霊。エリーが頑張らなくたって、どうとでもなりそうな筋肉だったし。
 そう、どれだけポーズをキメられまくろうと、今となってももはやどうでもいいこと。折角だし、彼が遺していったウォータースライダーに流されてみるのも乙なもの。
「……水中でウォータースライダーってどういう挙動するんです?」
 ゴォオオオ。そう言い残したエリーはすさまじい勢いでスライダーによって流されていく。ちょっと予想外に速いぞこれ。
「なんですかこれ、物理的法則は完全無視ですか?」
 先ほどまでクラゲと化していた彼女のほそい身体が、あっというまに流れていった。まぁでもこういうこともあるかもしれない、だってヴァーチャルリアリティだもの。
「アトラクションも楽しんでおくのは、まぁ夏休みとしては合格点でしょうか」
 烈しいスピードに身を任せ、エリーは極彩色の魚達の残像を見上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
この海は制作者さんは限界の疲れの中で作ったのでしょうか。
それとも何かの抗議のために作った海なのでしょうか…?
この世界の仕事はそんなに負担のあるお仕事なんでしょうか。
なんだかそんな気がしてきました。製作者さんの身が心配です。
…。
滑り落ちる遊具のようなので利用しながら戦うのは難しいですね。
ならアルパカさんを眠らせてしまうのはどうでしょう。
眠りの効果が効くか解りませんが解消を試みてみましょうか。
【香呪『白梅香』】を範囲攻撃と全力魔法で使用してみます。
ぷろぐらむさんが休めるとよいのですが…どうでしょう?
うおーたーすらいだーという遊具施設を利用する前に実行を。
「ゆっ…り休ん…ください…ね」
気持よく寝ている頭の隣に水差しを…え?水分補給しないので?


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
「うーん。ストレスの集合体なのかもしれないねぃ…?」
パカさん達の分析を僕なりにして墨ねーに答えるよ。
組み上げた人達の負の感情が溜まった存在じゃないかって。
「だから、解消させるのは十分効果的なんじゃないかな?」
相手はプログラムだろーからどこまで効くかわからないけど!
でも試してみる価値は十二分にあると思うじぇ。
「じゃあ、僕は滑り方の研究をしないとだから戻るじぇ!」
片手挙げてから墨ねーとは別行動するじょ!
重要な任務についてるからウオータースライダーの方へ。
ウオータースライダーに何度も乗って楽しむよ。

やり切ったところで墨ねーのところに帰るじぇ。
お?パカさんが寝てる。成功したみたいだねぃ~。
やっぱり墨ねーは電脳空間を良く解ってないみたい。
でも仕方がない部分ではあるんだろーけどね。
「プログラムは水分補給できないじぇ。墨ねー」



 この海は作者の限界の疲れのなかで作ったのだろうか。それとも、何かの抗議のためにつくった海?
 ぷかぷかと海中に浮かびながら、浅間・墨は考える。もしそうだとしたら、この世界のお仕事は、そんなに負担のあるお仕事なのだろうか。
「うーん、ストレスの集合体かもしれないねぃ……?」
 アルパカスプラッシュと共に現れたマッスルブラザーズを分析解析しているなか、ロベルタはそんな風に応えてやる。組み上げた人達の負の感情が溜まった存在という見方だってできる。
 ふたりとも、知らないのだ……この“すこしふしぎすぎる”キマフュには仕事というものがそもそも存在しないことを……!
 そこら辺のものをコンコンコンっとすればなんでも出てくる世界において、実のところ仕事におけるストレスはあんまりない。なんかわーっと怪人達が出てきたら猟兵達がわーって倒して、怪人が爆発四散するのをキマイラフューチャーの住民達はとっても楽しみにしている。
 この施設もある日なんとなくできた代物であって、担当者ものんびりと名ばかりの監視員をやっていて、お、出たかアルパカスプラッシュ、と猟兵達と怪人の対決を遠くからうきうきと眺めている始末。
 どちらかといえば、そうした彼らの期待がアルパカマッスル野郎共に背負わされているのが問題かもしれない。かわいそうな怪人である。
「……あ」
 解析を終えたロベルタは思った、これ本当に単純に筋肉を見せつけたいだけだ。真剣に製作者のことを思っている心優しい墨ねーになんて声をかけようか考えて……
「まぁストレスを解消させるのは、結構効果的なんじゃないかな?」
「なる、ほど……」
 試してみる可能性は十二分にあるじぇ、と適当に告げておいて、しゅっと片手を挙げる。
「じゃ、僕は滑りかたの研究をしないとだから戻るじぇ!」
 素早い泳ぎでその場から去っていくロベルタ。取り残される墨とアルパカスプラッシュ。そっと視線がかわされる。
「……」
 製作者さんの身を心配する墨は、遊具を利用しながら戦うのは難しいと判断。それならば、このポーズをキメつづけている。アルパカさんを眠らせてみるのはどうだろう、と考える。
 そっと香りだす白梅が、辺りにふわふわと広がっていく。次第にうと、うと、としはじめるスプラッシュ。なんなら周囲のお魚達も影響されたように、ゆらゆらと眠りたそう。
「ゆっ……り、休ん……ください……ね」
 すやぁと海中で寝こけているスプラッシュのふわっふわの頭部の隣にペットボトルの水を浮かばせようとしてから、あれ、と気づく。
「水分補給……」
 いまだ怪人もプログラムのひとつだと思っている墨は、飲み物が飲めないのでは、と可哀想に思った。
 一方その頃のロベルタちゃんはというと。
「きゃっほー!!」
 馬鹿みたいに激流の死ぬほど長いウォータースライダーに何度も身を任せていた。なにせこの滑りかた研究は、彼女に課せられた今回最も重要な任務といってもいい。
 はじめは普通に仰向けで、次はちょっと横向きに、まっすぐに寝転がるとどれほどの威力が出るのか。延々と滑りまくる彼女を止められる者はどこにも居ない。これが天下!
「楽しすぎるじぇ……これがウォータースライダーの魔力……」
 まだまだ幼い十三歳、ちょっとハードなアトラクションに心躍るお年頃である。激流と共に眺める極彩色の世界も、頭上から射し込む陽のひかりも心地よい。
「墨ねーも呼んであげようかな~」
 ひとしきりやりきった達成感と共に墨のところへと帰ってみれば、すやすや健やかにお昼寝しているアルパカスプラッシュが居た。
「お? 成功したみたいだねぃ~」
「ロベ……さん、これ……」
「あ、こいつはプログラムじゃなくてちゃんとオブリビオンだったじぇ。でも水分補給とかいらないんだじぇ」
「えっ」
 衝撃の表情を見せる墨に、そんなことよりもうちょっと遊ぼう、とロベルタは彼女を引っ張って泳ぎだす。
「ウォータースライダーで最高速度を出せる滑りかたが判明したんだ♪ 行こ行こ~」
「あぁぁ……」
 そしてこのあと、墨も仲良く激流に飛ばされるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【狐兎】

木常野さん、いい事教えてあげるね
ヘンタイを気にしちゃいけない

とは言ったけど
ハァハァしながら変な動きで迫って来ないだけまだマシなタイプ?

過去色んな自信家マッチョに目に優しくない体験をさせられて辛辣になりつつ
腹筋を見る木常野さんの言葉には
わかる…欲しいよね、筋肉…
と切実に賛同

あ、いいね水鉄砲!
なら…イルカさん、手伝って!

一緒にイルカの背に乗せてもらい海中へ
飛び上がっては凍結魔法を付与した水鉄砲で撃ち命中箇所を凍結
イルカさんにもヒレで頭から水かけてもらおうかな
バーチャルの海でもまぁいけるでしょ

もしカチカチになったらこちらも彩音発動
動けないならわっと叫んで、文字の物量で弾き飛ばそうかと


木常野・都月
【狐兎】

アルパカは狐時代に食べた事ないけど、羊と似てるから食べられるはず。
アルパカ……。
……。
先輩、あの、あの人は、アルパカですか?

ヘンタイ……まだマシ……(遠い目)。


(ちらりと自分の腹筋を見て)
大人の男として、筋肉は少しだけ見習いたいなと思うけれど……
敵ならば容赦しないぞ。

遊び道具……この水鉄砲を借りようか。
ここは大勢の海の精霊様みたいな精霊様がいるから。

先輩のイルカ!一緒に乗せて貰おう。
よろしくお願いします、イルカさん!

先輩が応戦している間、沢山魔力貯めて、属性攻撃も乗せて。

先輩とイルカさんが足止めしてる所を、UC【精霊砲】で、アルパカ筋肉の人を狙っていこう。
海っぽい精霊様、お願いします!



 木常野・都月はきょとんとしながらアルパカスプラッシュを見つめていた。アルパカは狐だった頃に食べたことはないけれど、羊と似ているから食べられるはずではないか。
「アルパカ……」
 ふっわふわの頭部をじっと見つめてから、そっと視線を落とす。そこにはふっかふかの毛並みではなく、ウェットスーツを身に纏ったむちむちむきむきのヒトの肉体。
「……」
 都月はこれまでアルパカを見たことがなかったので、これが本当にアルパカかどうか判別がつかない。なので先輩に尋ねた。
「先輩、あの、あの人は、アルパカですか?」
「木常野さん、いいこと教えてあげるね」
 栗花落・澪は笑顔でかわいい後輩に答えてあげる。
「ヘンタイを気にしちゃいけない」
 ずば。それが耳に入ったらしいアルパカスプラッシュがショックを受けた顔をしている。
「とは言ったけど、ハァハァしながら変な動きで迫ってこないだけ、まだマシなタイプ?」
 歴戦の猟兵として数々の難事件を解決してきた澪は、過去様々な自信家マッチョから目に優しくない体験を強要されているのだ。そりゃあ辛辣にもなるというもの。
「ヘンタイ……まだマシ……」
 遠い目をして宇宙狐顔になった都月だったけれど、澪の辛辣な言葉にもめげずにポーズをキメ続けるアルパカマッチョの腹筋から、ちら、と自分の腹筋へと視線を移した。
「大人の男として、筋肉はすこしだけ見習いたいですけど……」
「あ、わかる……欲しいよね、筋肉……」
 ふあふあのふにふにな細身のふたり。ちょっと羨ましい気持ちがないこともなかった。でも君達はそのままでいいと思うよ。
「筋肉がつくエクササイズを伝授しましょうか!?」
「結構です」
 耳聡いアルパカスプラッシュの勧誘をきっちり断る澪。同じく、敵ならば容赦はしないと頷く都月。その場で借りた水鉄砲を手に、きゅっと真剣な表情をしてみせた。
「あ、いいね水鉄砲!」
 それを見た澪も、それなら、と周囲を見渡して。こっちこっち、と手招きすれば、イルカがきゅうんとひと鳴きしながらやってくる。
「イルカさん、手伝って!」
「わ、すごい! よろしくお願いします、イルカさん!」
 きゅきゅん。イルカは二人を背に乗せて、アルパカスプラッシュめがけてれっつご~!凍結魔法が付与された水鉄砲を撃ちまくれば、スプラッシュの筋肉が見る間に氷漬け。
 イルカもえいやっと水を敵にぶちまけて、さらにかちこち。先輩とイルカさんが応戦している間、都月はじっと魔力をため込んでいく。
「先輩、行けます!」
 魔力が満タンになったところで、精霊砲発射。
「海っぽい精霊様、お願いします!」
「僕もやっちゃうよ!」
 しゃららん、とバーチャルリアリティーの海の精霊に似たプログラムが反応したと同時、澪がわっと大声を出す。実体化した文字の流れと砲撃によって、アルパカスプラッシュは吹き飛ばされていく。
「バーチャルってすごいですね、先輩!」
「キマフュってよくわかんないところ、相変わらずすごいんだよね……」
 二人の会話に対してバーチャルなイルカが、そうでしょうそうでしょうと言わんばかりに鳴いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

燮樹・メルト
❤️‍🩹やわらぎ🧬ちゃんねる💉

メル友のみんな、いよいよだけど、ウォータースライダーを降って辿り着けば、ミッションクリアっぽいね!

早速ウォータースライダーにチャレンジ!
いくぞー!
(数分後)

これ無限ループしてる!!!
途中まで楽しくて気づかなかったけど、どこか分岐する系だ!
こういう時はふわふわクッションでルートを総当たりだ!
まぁいつか辿り着けるでしょ!
(ふわふわのクッションをたくさん出してぽよんぽよん跳ねながらいつしか正規ルートに!)

うわー!とりあえずゴールにいたからくらえー!
(ドシーンとアルパカスプラッシュにぶつかって、クッションで着地してぷかぷか)

みんな、一矢報いてやったよー!



「やわらぎちゃんねる!」
 テテーン。キュートなアイキャッチが流れたライブ配信は、再び燮樹・メルトの夏休みがお送りされている。
「メル友のみんな、いよいよだけど、ウォータースライダーを降って辿り着けば、ミッションクリアっぽいね!」
『そうなん?』
『初耳』
『猟兵っていろんな仕事あるんだ』
『今回遊んでるだけじゃなかったのか』
「ちがうし、ちゃんとこれもお仕事の一環だから!」
 流れるコメントに都度反応しつつ、メルトはちゃぷちゃぷと南国の海中を泳ぎ始める。やがて見えるのは、どでかいウォータースライダー。
「じゃ、早速チャレンジするよ! いくぞー!」
 ざぶーん。結構勢いが凄まじい。想像以上にスピードが出るスライダーは何処までも続いていて――。
 数分後のことである。
「これ無限ループしてる!!!」
『だよね』
『ずっとゴール見えてこないもんね~』
『斬新すぎる耐久動画?』
 途中まで楽しくて気づかなかったものの、どうやら何処かで分岐しているらしい。それならば、と少女はふわふわのクッションを呼び出す。
「まぁいつか辿り着けるでしょ!」
 ぽよんぽよんと跳ねるクッションが、様々な分岐点を埋めていく。一度通った場所をクッションで塞いでいけば、いつのまにやらひとつのルートが見えてきた。
「あっこれで正規ルートまで行けるっぽい!」
 ドリンク片手に無限耐久スライダーを眺めていたメル友達も、ざわざわと再びコメントを賑やかし始める。しかし、見えてきたゴールの先には先ほど別の猟兵達によって吹き飛ばされたアルパカスプラッシュが!
「うわー! とりあえずゴールにいたからくらえー!」
 皆の期待する通り、怪人に激突するメルト。クッションのおかげでふんわりと着地をキメる。ヴァーチャルリアリティな海の底に沈んでいくアルパカを見下ろしながら、うん、と頷く。
「みんな、一矢報いてやったよー!」
『今ので怪人倒れた?』
『これこのあと水中爆破ある奴だ!』
『8888』

 ちゅどーん。キマフュの怪人が敗北した際のお決まりの爆破シーンが入る。なんとなく雰囲気で骸の海へ還されたアルパカスプラッシュは、ほとんど自分の肉体美をご披露できないままに消えていく。
 爽やかな疲労感はおそらく敵を倒したことと、ヴァーチャルリアリティの海を存分に楽しんだ結果に違いない。
 季節はいよいよ秋へと移る、がんばれイェーガー! 次は秋祭りだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月07日


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#キマイラフューチャー
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#戦後
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#【Q】


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト