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はじまりの遺跡の呪金竜

#アックス&ウィザーズ #戦後 #遺跡都市ヴェルニス #酒場フレイル


 アックス&ウィザーズの遺跡都市『ヴェルニス』。
 そこは、地下に巨大な古代遺跡群が幾つも存在し、その周辺で街が発展してきた場所。
 当然、国を挙げて遺跡探索が奨励されているため、冒険者が集まる都市である。いやむしろ、遺跡探索に集まった者達の宿場が街の起源であり、建国王もまた冒険者の1人なのだから、冒険者のためにできた都市であるとも言えるだろう。
 そんなヴェルニスで一番最初に見つかった古代遺跡群が『はじまりの遺跡』。
 そして、今もまだ未探索地域が多いその遺跡の入り口周辺に発達し、都市の南東部に遺された雑多な街並みこそが――『迷宮街』である。

「はじまりの遺跡に、また行ってもらいたくてね」
 九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、胸元に揺れるペンダントの金のコインにそっと触れながら、猟兵達へとにやりと笑った。
 はじまりの遺跡のとあるドラゴンを猟兵達が討伐したのは数ヶ月前のこと。駆け出し冒険者の経験値稼ぎに丁度いい踏破済地域に居座っていた強敵だったから、討伐はとても喜ばれたのだが。黄金竜と呼称されたそのドラゴンと同時に現れていた金銀財宝がその場所に残っていて、さらに喜ばれているのだという。
「あの時行ってくれた猟兵の中には、お宝を持ち帰った者もいただろうし。
 その後も、冒険者達が回収に訪れているから、量は大分減っているようなんだが。
 それでもまだいくらかあるようでね」
 だから、残る金銀財宝を持ち出して。そして。
「あの酒場に分けてあげちゃくれないかい?」
 個人的な頼みで申し訳ないが、と夏梅は苦笑を見せた。
 迷宮街にある酒場『フレイル』は、黄金竜討伐の際に情報収集した場所だ。その時のお礼として、それと、夏梅にとって縁のある酒場だからという私情も込めて、行って欲しいのだと語る。
 でもそれならば、夏梅自身で行けばと思うところなのだが。
「ただ、お宝がある場所に、またオブリビオンが現れるようでね」
 あえて猟兵達に頼むのは、再びドラゴン討伐をお願いしたいから、だと言う。
「今度の相手は『呪金竜・ファフナー』。
 黄金を狙って現れるから、他の冒険者達に被害が出ないうちにどうにかしておくれ」
 重ねての頼み事を伝えてから、夏梅は改めて猟兵達を見回して。
「もちろん、お宝は運びの対価はとっていいからね」
 金銀財宝ゲットしてきなよ、と笑いかけた。


佐和
 こんにちは。サワです。
 お宝争奪戦、でしょうかね。

 このシナリオは『はじまりの遺跡の黄金竜』の続編となりますが、前作に参加されていなくても、むしろ未読でも大丈夫です。
 気になる方だけご確認ください。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=55496 )

 第1章は金銀財宝の運び出しです。
 はじまりの遺跡のとある場所にお宝がありますのでお好きにどうぞ。
 一応、酒場『フレイル』に一部を持って行ってあげる、という体になります。
 なので、描写可能なシーンとしては。
 【1】遺跡内で金銀財宝をゲットする。
 【2】金銀財宝を持って、酒場の人達と交流する。
 このどちらかになるかなと思います。
 金銀財宝がある場所までの道は判明しています。
 ですが、【3】遺跡内で迷ってみる、というのもアリです。もうご自由に。

 尚、酒場『フレイル』は、2階が宿屋になっている典型的な冒険者酒場です。
 陽気で剛毅なおかみが出迎えてくれます。
 ジャガイモのガレットと牛肉の赤ワイン煮込みが看板料理。
 厨房にはおかみの息子が立ち、昼間はアルバイトの少女が給仕をしています。

 第2章は『呪金竜・ファフナー』とのボス戦となります。
 酒場に行っていた人は再び遺跡に戻ってきて、迷っていた人は辿り着いて、お宝を懐に入れていた人はバッタリ会って……みたいに、何かそれぞれいい感じで、金銀財宝のある場所で会敵することになります。

 お宝は持ち帰れますが、アイテム発行とかはされません。
 アイテム作成は各個人でお願いします。

 それでは、黄金の戦いを、どうぞ。
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第1章 日常 『魅惑の宝物庫』

POW   :    大きな財宝を選ぶ

SPD   :    煌めく財宝を選ぶ

WIZ   :    魔力を感じる財宝を選ぶ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
イネス・オルティス
【2】
SPD
これ運んできたの
金貨の詰まった大袋をカウンターにドサリと置く
別に、私は依頼を受けただけだから、後の処分は任せるわ

ただ運んできただけだし、私の取り分はこれで十分よ
袋から金貨を一掴みする

私は身軽さが身上のビキニアーマーの女戦士だもの
あまり重いもの持ってたら動きが鈍っちゃうわ

まあ私の取り分が少ないって思うなら、今日の宿は2番目に良い部屋にして
一見さんだから1番いい部屋は遠慮しとくわ(ウィンク)

恥ずかしさ耐性のあるイネスは、周りの視線を気にしません
そのため無意識に周りを誘惑してしまう事がありますが
イネスにそのつもりはありません



 冒険者『酒場』とはいえ、昼間から酒を飲む者は少ない。もちろん注文すれば出てくるけれども、まだまだ陽の高い活動時間帯に酒で行動力を落とす者は稀だ。この後に一仕事あるとなれば尚の事。
 酒場『フレイル』もその例に漏れず、料理の注文ばかりが飛び交って。質の悪い絡み客もいないから、元気に機敏に働く赤毛の少女がフロアを行き来していた。
「いらっしゃいませー」
 だから、イネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)が入口の扉を潜ったところで飛んできたのは、少女の明朗快活な若い声。そして汗をかきながらも楽しそうな瑞々しい笑顔だったから。
 イネスは口を笑みの形にして少女の声に応えてから。
 藍色の瞳を店内に走らせ、カウンターの傍に立っていたおかみへと近づいていく。
 振り向き、疑問符を顔に浮かべたおかみにも笑みを向けると。
「これ運んできたの」
 イネスは持っていた大袋をカウンターにどさりと置いた。
 手を離す時に袋の口をちょっと緩めてやれば、中身が金貨だと見えて。大袋の膨らみ具合でその量は伝わったと思う。
「これは……どこから持ってきたんだい?」
 驚きながらもイネスの言葉をちゃんと聞いていて、何かという漠然とした問いではなく運搬元を確かめてくるのは、おかみが場慣れているからか。咄嗟に金貨に手を伸ばさないのも好印象。
(「いい酒場ね」)
 その一瞬だけでイネスは判断して。
 周囲の視線が集まっているのを感じながら、気にせずカウンター席に腰掛けた。
「はじまりの遺跡からよ。
 私は依頼を受けただけだから。後の処分は任せるわ」
 そこには黄金竜がいたという。今はもう他の猟兵に倒されていなかったけれども、黄金竜がどうにかして集めたらしい金銀財宝が、聞いていた通りの場所に遺されていて。
 イネスは、そこから金貨を運んできた。
 黄金竜退治の時に猟兵が情報を貰った酒場だから、とか、グリモア猟兵の老婆に頼まれたから、とか、補足理由を説明することもできたし。このお宝をどうするのか、とか、グリモア猟兵との関係とか、色々おかみさんに質問することもできたけれども。
 イネスは最低限の説明だけでスパッと終わらせて。
 そしておかみも、イネスに説明する気がないのを察してか、無理に聞き出そうとせずに様々な疑問をスルーしたようだった。
 でも、ただ1つだけ。これだけはというように聞いてきたのは。
「アンタの取り分は?」
 イネスが損をしていないか、それだけだったから。
(「本当、いい酒場」)
 イネスは口の端の笑みを少しだけ深くして。
 大袋に無造作に片手を突っ込んだ。
「ただ運んできただけだし、これで十分よ」
 引き抜いた掌が握りしめていたのは数枚の金貨。袋の中に入っている数からすると、わずかな取り分ではあるけれども。
「あまり重いもの持ってたら動きが鈍っちゃうわ」
 イネスはビキニアーマーを纏った自身の姿を指し示した。
 鎧で覆いきれない程大きな胸が揺れ、最低限の防具がそのスタイルの良さを強調し、むしろ隠すことなく魅せている。身軽さをウリにした女戦士と見ただけで分かるだろう。
 酒場にいる男の冒険者達には、露出過多な鎧ゆえに、魅惑の身体で誘惑するような格好になってしまったけれども。それは一族伝統の一人前と認められた証である鎧であり、イネスにとってはいつもの装備。ゆえに集まる視線を全く気にせずに、イネスはおかみさんだけを見て微笑んだ。
「まあ私の取り分が少ないって思うなら……今日の宿は2番目に良い部屋にして」
「1番じゃなくていいのかい?」
「一見さんだから、1番いい部屋は遠慮しとくわ」
 そんなやり取りを交わせば、おかみさんはどこか面白がるように笑みを深くして。
「それで、今は何を飲む? もちろん宿代には食事代や酒代込みだよ」
「そうねえ……」
 金貨よりもこの交流の方が価値があると言わんばかりに、イネスは酒場での一時を堪能していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

そうだった
「酒場にお礼出来てないじゃん!」
戦闘して帰還は転移だったから
報告出来てないし
「お世話になったのに失礼じゃんね」

って訳で
事実上無限って噂の詠唱兵器庫にこれでもか
詰め込んで酒場に帰れば良い
「これもこっちも!あ、金貨の方が沢山入る!」
二人分だからすっご山盛り!

「九瀬の分はこっち、んで別でちょびっと貰って豪遊しよ!」
だってあそこのお薦めすっごい美味しかったもん
「俺、あれもう一回と他のも食べたいし…あとデザートも」

着いて扉を開けたら九瀬からの伝言を伝えて
酒場の取り分を陸井とがさーっ
「おかみさんまたお薦め頂戴!あと何があるー?」

討伐がまたあるとしても今は此処を満喫だよ


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

相棒が慌てた様子で話す内容にも納得だ
あの時は黄金竜の討伐だけだった
世話になった人達にはお礼もしたい
「そうだな。酒場と冒険者達と…九瀬さんにも」

早速相棒と取りに来たが
確かに山も大分減ってるな
「よし、とにかく詰め込むか」
時人と同じく詠唱兵器庫へ金貨を詰め込んで
代わりとばかりに酒壺を一個
竜の弔いで封を切って部屋に置いていくよ
「代わりに、お宝は貰ってくな」

酒盛りの前にまずは分配を済ませないとな
特に持ち帰って渡す九瀬さんの分も確保して
「じゃあ俺からはこれと、後はこの間の冒険者達へ情報料と」
渡すのが済んだらまた冒険譚を肴に酒盛りだな
「おかみさん、俺もお勧めと、あとワインを頼む」



 多くの冒険者達が通ってきた、はじまりの遺跡の中でも全然浅いエリア。踏破し尽くされていて、駆け出し冒険者の経験値稼ぎに丁度いいくらいの難易度となった辺りに、その広い空間はある。入口は1つ、出口となるより深部へと進む道は3つの、部屋というよりジャンクションのような広場。
 葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)はそこに再び足を踏み入れて。
「本当だ。結構残ってるんだね」
「確かに大分減ってるが、まだ山だな」
 その広場を満たす金銀財宝を見回した。
 2人が最初にここへ来たのは、黄金竜討伐のため。初心者エリアに突然現れ居座ったダンジョンボスな敵を、他の猟兵達と共にしっかり倒したけれども。黄金竜は、もうお宝も取り尽くされて何もないはずの広場を宝物庫にしていて。倒した後も黄金の輝きが辺りに満ちていたのを覚えている。
 あの後、元の難易度に戻ったこの辺りに、冒険者達が来てはいるのだろう。ひしめいていた黄金の量が目減りしているのがすぐに分かった。ここにお宝があると確実に分かっている踏破済みの場所なんてボーナスステージ、冒険者が来ない方がおかしいだろう。
 逆に、まだ金銀財宝が残っていることに驚いたわけだが。もしかしたら、また黄金竜のような強敵が突然現れるのではと警戒されているのかもしれない。まあ、その警戒心というか勘というかは、間違ってはいなかったわけだが……
 とにかく。まだまだフロアは黄金色だったから。
「よし、とにかく詰め込むか」
 陸井の言葉を合図にしたかのように、2人は動き出す。
「これもこっちも! あ、金貨の方が沢山入る!」
 運びやすさから金貨をメインに詰め込んで。はしゃぐように楽しげに集めていく時人。
 陸井も同じように、手際よく集めていけば。
「2人分だからすっご山盛り!」
 満足そうに時人が笑うのもすぐのこと。
「これで酒場にお礼が出来るね」
「そうだな。酒場と冒険者達と……九瀬さんにも」
 相棒の笑顔に、陸井は苦笑して思い出す。
 黄金龍の討伐はしたけれど、世話になった人達に報告どころか挨拶すらもせずにグリモアで転移して帰還してしまっていたことに、そのグリモア猟兵から今回の依頼が来るまで気付いていなかったから。
「お世話になったのに失礼じゃんね」
 時人も陸井も、やり残したことをきちんとやるべく、またヴェルニスへ――迷宮街の酒場『フレイル』へ向かうことにしたのだ。
「九瀬の分はこっち。んで別でちょびっと貰って豪遊しよ!」
 ちゃんと自分達の分も確保して。でもその使い道は、時人には決まっていて。
「豪遊、か」
「だってあそこのお薦めすっごい美味しかったもん。
 俺、あれもう1回と、他のも食べたいし……あとデザートも」
「確かに豪遊だな」
 わくわくと計画を話す時人に、陸井の顔にも笑みが浮かぶ。
 楽しみだと弾む足取りで遺跡を後にしようとして。
 陸井は、持ち込んでいたそれを、まだ金銀財宝が残る部屋にそっと置いた。
 それは酒壺。黄金竜への弔い酒。
 封は切って、いつでも飲めるようにして。
「代わりに、お宝は貰ってくな」
 もうそこに居ないドラゴンへ、ぽつりと声をかければ。
 時人も、少し黙祷するかのように目を伏せて。
「……さあ、行こうか」
「うん」
 2人はまた、はじまりの遺跡を後にした。
 向かうのはもちろん、冒険者酒場『フレイル』。
「いらっしゃいませー」
 前回は合わなかった少女の元気な声に少し驚きながら。でもすぐに、その向こうのカウンター近くに見知ったおかみさんの姿を見つけて。2人は近づくと
「はい、おかみさんこれ!」
 時人は、がざーっと持ってきた金貨メインの山をカウンターの上に積み上げて。
「九瀬から、ここに分けてあげてほしい、ってさ」
 グリモア猟兵の言葉を繰り返せば。
 続いて陸井も、持ってきた財宝を適当に分配して置く。
「じゃあ俺からはこれと、後はこの間の冒険者達へ情報料と」
 カウンターにできた幾つもの宝の山と、手に持っていたずっしり重そうな大袋とを、おかみさんは驚いた顔で順に見回して。
「……なるほど。ナツメの仕業か」
 嬉しそうに苦笑すると。
「ほら皆! 遺跡の黄金竜を倒した猟兵だよ!」
 酒場に集っていた冒険者達にそんな声を張り上げた。
 時人と陸井が驚くと同時に、ざわっと酒場にどよめきが走る。
「あの迷惑なドラゴンを倒したのがこいつらだって!?」
「いやマジ助かったわー。あのままだったら転職してたって俺ら」
「話を聞かせてくれよ。ドラゴンスレイヤー!」
 気付けば食事をしていた冒険者達に囲まれて、2人はテーブル席に引っ張り込まれ、椅子に座らされていた。
「しかも大層な手土産付きだからね。
 今日は皆、猟兵の奢りだよ! 好きに食べて飲みな!
 ああ、でもルミアがいる時間だから、酒は程々にね」
「いっぱい頼んだら水で薄めちゃいますからねー」
「うっわ。ひでぇよルミアちゃん」
「酔っ払いに絡まれたくないですもん」
 おかみさんの剛毅な声かけに冒険者達はさらに盛り上がり。先ほど元気に出迎えてくれた赤毛の少女――おそらく、昼間の酒が少ない時間帯だけ働いているバイトか何かなのだろう――彼女とも冗談を言い合いながら。合間に注文の声を飛ばし、既に出ていた料理や飲み物を手に時人と陸井を囲む。
 期待の空気の中で、時人は陸井と顔を見合わせてから、破顔して。
「おかみさんまたお薦め頂戴! あと何があるー?」
「おかみさん、俺もお薦めと、あとワインを頼む」
 注文を済ませてから、黄金竜討伐の話を始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふえ?そういえばこの間の勇者アヒルさんの武勇伝を酒場の人達にしてなかったって、結局私が翻訳するんですか?

ふえ、敵のドラゴンさんが強敵で苦戦していた勇者アヒルさんは黄金の真の姿に変身して、悪のドラゴンさんを倒しました。
……あのアヒルさん、黄金の姿に変身したのは確かにそうですけど、アヒルさんがあの時攻撃してきたのって私にでしたよね。
嘘は良くないと思うんですけど。
ふえ?酒の席で求められるのは勇ましくカッコイイ美談だからこれでいいのですか?
それに私が敵に洗脳されて恥ずかしい恰好の魔術師に変身したことにしてもいいんだぞって、それはやめてください。
……あれ?アヒルさんの武勇伝を翻訳するの、私でしたよね?



 話に盛り上がる酒場『フレイル』をそっと覗き込む大きな帽子があった。
 正確には、つばの広い大きな帽子を被ったフリル・インレアン(大きな帽子の物語👒 🦆 はまだ終わらない・f19557)が、酒場の入り口から中をこっそり見つめていた。
「ふええ……何だか賑やかです」
 極度の人見知りでいつもおどおどビクビクしているフリルだが、一応、この酒場に来るのは2度目。おかみさんとも面識はあるのだけれども……顔見知り程度の相手に気軽に話しかけられる度胸は、ない。
 ゆえに入り口をくぐるのに躊躇い、おろおろしていると。
 両手の上に乗せていたアヒルちゃん型ガジェットが急かすように鳴いた。
「早く入れ、って、ちょっと待ってくださいアヒルさん」
 ガアとしか聞こえない鳴き声を、唯一正確に理解したフリルは、だが、帽子のつばを引き寄せるようにして顔を隠し、身を縮ませる。
「入って何をするんですか」
 ガア。
「この間の勇者アヒルさんの武勇伝を酒場の人達にしてなかった、って……
 ふえ? 結局私が翻訳するんですか?」
 困惑するフリルに、だがガジェットは当然のように頷く。
 武勇伝を話したいのはいい。でも、ガジェットの言葉は、フリル以外の人にはアヒルの鳴き声にしか聞こえないから。ガジェットが語るにはフリルという通訳が必要不可欠。
 となると、言葉を繰り返せばいいとはいえ、フリルが冒険者達の前で話さなければならないわけで。初対面か1度見かけただけの人達相手に、しかもそこそこの大人数に話をするというのは、フリルにはかなりハードルが高いこと。
 当然のようにしり込みしていれば、またガジェットが鳴いて急かして。
「あら、あなたも猟兵?」
「ふええ!?」
 不意にかけられた声に、フリルは飛び上がらんばかりに驚いた。
 おずおずと顔を向ければ、酒場の中から、店員らしき赤毛の少女がこちらを見て、フリルの上げた大声にびっくりと栗色の瞳を見開いていたから。
 あわあわしながら、フリルは、こくこくと頷いていた。
「それなら遠慮しないで、いらっしゃいよ」
 同い年ぐらいの少女は、年の近さに親しみを覚えたのか、フリルの手を引いて酒場の中に招き入れてくれて。
 入れました、と少し安堵したのも束の間。
 そのまま冒険者達の話の輪の中に連れていかれてしまう。
「この子も猟兵ですって」
「へー。嬢ちゃんもか」
「話聞かせてくれよ」
 好意的だけれども多数の視線が集まって、話をせがまれれば。フリルはもうどうしたらいいのやらとおろおろビクビク挙動不審。
 でもその中で、ガジェットは気を良くしたようで。フリルのブラウスと同じ意匠を施した前掛けの揺れる胸を、ふんっと張って、堂々と話し始める。
 ガアガアガア。
 ……冒険者達が首を傾げるのも当然ですね。
 なのでフリルがその言葉を翻訳する流れになる。俯き気味で小さな声でですが。
「ふえ、敵のドラゴンさんが強敵で苦戦していた勇者アヒルさんは、黄金の真の姿に変身して、悪のドラゴンさんを倒しました……」
 自慢げに語るガジェットの言葉を、フリルは通訳して。
 口にしてから、ふと、首を傾げた。
「……あのアヒルさん、黄金の姿に変身したのは確かにそうですけど……
 アヒルさんがあの時攻撃してきたのって私にでしたよね。
 嘘は良くないと思うんですけど」
 今は白い身体のガジェットが黄金になったのは、黄金竜のユーベルコードによる。さらにそれは操られて敵対してしまうものだったから、ガジェットのくちばしはフリルに向いて放たれていたのだけれども。
 ガア。
「ふえ? 酒の席で求められるのは勇ましくカッコイイ美談だからこれでいい?」
 なんか都合よく脚色しているようです。
 ガアガア。
「私が敵に洗脳されて恥ずかしい恰好の魔術師に変身したことにしてもいいんだぞ……
 って、それはやめてください」
 さらになかったことまで付け足されようとしているようです。
 慌てたフリルは、ガジェットの話を訂正させようと、あわあわするけれども。
(「……あれ? アヒルさんの武勇伝を翻訳するの、私でしたよね?」)
 ふと気付く。
 ええ、翻訳したくないことは翻訳しなければ、冒険者達には伝わらないんですよ。

 ガア。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 猟兵達の語る冒険譚に盛り上がる酒場『フレイル』。合間に注文も挟まるから、バイトな赤毛の少女・ルミアは、話に聞き耳を立てたり給仕に動いたりと忙しそうだ。
 そんな賑やかな店内を、おかみさんは笑顔で見守って。
「さて、こいつはどうしたもんかねぇ」
 嬉しそうに、そしてどこか懐かしそうに、届けられた金銀財宝を見やる。お宝そのものではなく依頼主を見ているかのようだ。
 高価な財宝が手に入ったことより、気にかけてもらえていたことが嬉しい。そんな雰囲気でおかみさんは微笑み。
 カウンターに山となったそれを、袋越しにぽんっと叩いてみたりもして、この先を考えて苦笑する。
 酒場の経営に足すには多すぎる。備品の幾つかを新調して、バイトにボーナスを弾んだりしても、まだまだ全然使いきれない。かといってこれで豪遊する気はないし、一気に酒場を改装とかいうのも違う気がする。
「どうしようかね、セルバンテス」
 店の奥のカウンター席、一番端を空けたいつもの位置に座る男に振り向くと。
 セルバンテスは振り返ることなく、黙々と料理を口に運び、ジョッキを傾けて。
「……遺跡にまた手に負えないのが出た時の、討伐依頼に使おう」
「ああ、なるほど。それはいいね」
 ぽつり、と零された案に、おかみさんもぽんっと手を叩いた。
「そしたらまた猟兵達が来てくれるだろうから」
 そしておかみさんは、冒険者達の輪の中で語り続ける猟兵達を見つめる。
 お宝を届けさせてくれた懐かしい顔を思い出し。
 そこから新しい縁が紡がれたことを感じながら。
 


第2章 ボス戦 『呪金竜・ファフナー』

POW   :    邪竜覚醒・ファフナー
【本来の姿である呪いの黄金を操る巨大な邪竜】に変身し、武器「【黄金剣ティルフィング】」の威力増強と、【触れたもの全てを黄金に変える呪金竜の翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    欲深き者は黄金に呑まれる
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【背中から生えた呪金竜の翼】から【黄金で出来た武器の雨】を放つ。
WIZ   :    空を覆い尽くす死告の竜軍
召喚したレベル×1体の【煮えたぎる黄金から作り出した竜の軍勢】に【高熱を発する黄金で出来た翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
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 そのフロアを満たしていた金銀財宝は、かなりその量を減じていた。
 幾人かの冒険者達が訪れ、そして、猟兵達が酒場『フレイル』へと運び出したから。
 それでもまだ、遺跡探索の釣果としては充分すぎる程のお宝が残っていて。
 ――そこに、黄金色の人影が現れた。
「ふむ……いい黄金だ。いいエサだ」
 手近な金細工を無造作に拾い上げ、そして適当に放り投げると。
 黄金の甲冑に身を包んだ人影は、黄金の剣を振り上げる。
「さあ、この財宝を求めて来るがいい! 竜殺しの勇者よ!
 この俺が討ち倒し、その悲鳴を聞いてやろう!」
 かつて自身を倒した勇者の姿に擬態した『呪金竜・ファフナー』は、にいっと傲慢な笑みを浮かべて叫んだ。

 酒場での一時を過ごした猟兵達は、再びはじまりの遺跡へと向かう。
 また金銀財宝を運ぶため、ではなく。
 そこに現れると予知された脅威を、冒険者達に被害が及ぶ前に討ち倒すために。
 猟兵達は、黄金の満ちるフロアへとまた足を踏み入れた。
 
フリル・インレアン
ふええ、また勇者アヒルさんで行くんですか?
悪のドラゴン退治は任せろって、また私を襲ってきたりしませんよね。
今度は大丈夫って……いっぱいいますよ。
本体はアヒルさんが叩くからあとは任せたって、どうしましょう?
すごく熱そうなので恋?物語で雨を降らしましょう。
熱しられた金属は急激に冷やすとよくないそうですしね。
私は雨宿りというか避難しておきますね。
アヒルさんは大丈夫でしょうか?



 金銀財宝に輝くフロアへ再び足を踏み入れたフリル・インレアン(f19557)は、そこに佇む『呪金竜・ファフナー』の姿にすぐに気付いて、大きな帽子のつばを引き寄せるようにしながら身を縮ませる。
「ふええ、また何かいます」
 会敵に、というよりも、どちらかというと初対面の相手に人見知りしているかのように怯えるフリルは、アヒルちゃん型ガジェットの鳴き声に振り向いて。
「呪金竜がいるのは聞いていただろう、ってそれはそうなんですけど……」
 ガジェットが、赤いマントを首に巻き付け、小さな翼で剣と盾を器用に持った、勇者な格好になっているのに気が付いた。
「ふええ、また勇者アヒルさんで行くんですか?」
 ガア。
「悪のドラゴン退治は任せろ、って……また私を襲ってきたりしませんよね」
 胸を張って自信満々なガジェットに、フリルは不安気に赤い瞳を揺らす。何しろ前回、この場所で黄金竜と戦った時、ガジェットのくちばしが狙っていたのは、敵ではなくフリルだったから。心配するのも当然でしょう。
「今度は大丈夫、って……」
 指摘しても、フリルには根拠がないように見えるガジェットの自信は変わらず。
 フリルは不安気にまた呪金竜を見やれば。
「でもいっぱいいますよ」
 煮えたぎる黄金から作り出された竜の軍勢が召喚され、呪金竜を囲んでいた。
 こんな大群をどうしたらいいのかとフリルが戸惑っていると。
 ガア。
「本体はアヒルさんが叩くからあとは任せた、って……」
 あっさりとフリルを置いて飛び出して行くガジェット。
 そして取り残されたフリルに、黄金の竜の軍勢が迫る。
「ど、どうしましょう?」
 すぐに竜の軍勢はその背に高温を発する黄金の翼を生やし。フリルが対応に迷う間に、ふわりとその身を宙に浮かべる。群れの向こうで呪金竜も同じように黄金の翼で宙に舞っていたけれど、フリルには迫り来る軍勢の方が喫緊の問題だったから気にする暇はない。
「黄金の翼はすごく熱そうですよね。
 確か、熱せられた金属は急激に冷やすとよくないって聞いたような……」
 あわあわとフリルは考えて。
「それじゃ、雨を降らしましょう」
 ぽんっと手を打ち発動させたのは『突然の大雨と雨宿りが齎す恋?物語ウォーターハザード』。
 急な雨に慌てて雨宿りをした先でちょっといいことが起きる、そんな展開を再現するユーベルコードは。
「ふえええ、雨、強すぎませんか」
 大雨というか、戦闘すら一時中断せざるを得ない豪雨となって。慌てて避難したフリルはともかく、竜の軍勢を一気にずぶ濡れにした。
 冷えた黄金が熱疲労でいきなり壊れる、なんてところまではいかなかったけれども、格段に軍勢の動きは鈍くなり、攻撃力の低下を招いていたから。
 フリルは、都合よくあった雨宿りできる場所から、竜の軍勢を見つめる。
「……アヒルさんは大丈夫でしょうか?」
 雨の向こうに消えたガジェットの姿は、フリルには見えなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イネス・オルティス
ふうん、なかなか似合ってる鎧だけど私の趣味ではないわね

敵が早く飛んで動くなら、こちらも早く動くまでよ【薄衣甲冑覚醒 弐】
高速移動と衝撃波で敵の飛翔と武器の雨に対処するわ

高速移動で動きながら、自分に当たりそうな攻撃は武器で受け流したり衝撃波でなぎ払う
そして敵の攻撃の呼吸を読んで衝撃波で翼を攻撃、地面に叩き落すわ

ビキニアーマーは攻撃の鎧よ、恐れず勇気をもって一歩踏み込むことが重要なのよ
当たらなければ、どうという事は無いというのはビキニアーマー使いにとって真理なのだから



「ふうん。なかなか似合ってる鎧だけど私の趣味ではないわね」
 見覚えのある黄金が置かれたフロアに、見覚えのない黄金が佇んでいるのを見て、イネス・オルティス(f06902)はまずそんなことを思った。
 しっかりした体格の、だが特段大柄ではないその男の身体を守るのは、黄金の鎧。高価で豪奢な輝きを見せながらも、ちゃんと急所を覆い、各関節部が動きやすいように作られた、観賞用では終わらないもの。
 傲慢な笑みを見せる男――『呪金竜・ファフナー』には、確かに似合いの装備だが。黄金ばかりの姿は、美しいというよりどこか悪趣味に感じられる。
 それに、対峙するイネスの纏う装備はビキニアーマー。必要最低限の装甲しかないその鎧は、鎧の美しさよりもイネスの身体そのものを、イネス自身を魅せるかのような美しさを持つものだったから。
 対極に位置する呪金竜の鎧は確かに『趣味に合わない』ものだろう。
 そんなイネスの声が聞こえたのか。
 呪金竜は、蔑むような視線を向けると。
「……貧相な勇者が来たものだな」
 価値観の違う鎧に対して嘲り笑い。
「まあ、いい。俺の黄金の輝きを見せつけてやろう」
 その背中から、竜の翼を生やし、広げた。
 翼ももちろん黄金色。黄金の鎧の一部のようなそれで、宙に浮いた呪金竜は、そのまま一気に飛翔してイネスに迫り、同時に黄金で出来た武器の雨を降らせる。
 迫り来る鋭い黄金の群れに、だがイネスは慌てず構え。
「今、伝統の鎧を依り代に伝説再誕」
 ユーベルコード発動と共にビキニアーマーの神のオーラを纏うと、呪金竜に劣らぬ高速移動を見せた。
 降り注ぐ武器を、素早く避け、自身の武器で受け流し、衝撃波で薙ぎ払う。
 1つでも当たれば装甲の薄いイネスには致命的に思えるけれど。
「ビキニアーマーは攻撃の鎧よ」
 イネスは臆することなく呪金竜の動きを追う。
「恐れず勇気をもって一歩踏み込むことが重要なのよ」
 武器の雨の中、宙を舞う黄金の翼をしっかりと追い続け、見切っていき。
「当たらなければ、どうという事は無い。
 これはビキニアーマー使いにとって真理なのだから」
 全ての攻撃を高速で、武器で、衝撃波で、対応しきっていく。
 何故か本当の雨も降ってきたけれど、それくらいでイネスの動きは乱れず。
 タイミングを狙って。
「今ね」
 その瞬間、イネスは衝撃波を放ち。
 黄金の翼をへし折って呪金竜を地面に叩き落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

流石の気配、竜は竜だな
「ドラゴンスレイヤーの武勇伝か、いいよな」
相棒と軽口をたたきながら
だけどしっかりと警戒はしたままで
「やろうか、相棒」

相棒なら動きは合わせてくれる
【水遁「水刃手裏剣」】を使用し
両手に水を掴みながら敵へ突っ込む
「一人なら無茶かもだけどな」
俺には信頼する相棒が居るからな
軍勢は全て薙ぎ払ってくれる

「さぁ、終わりにするぞ」
敵も相棒の攻撃を受けて怯んでるからな
蟲達に紛れ、敵の集団をかいくぐり
敵を縛った上で最大の水刃を叩き込む

一撃で止まらなくてもいい
何度でも、敵が止まるまで
両手に水を握って放ち続けるよ
「悪いな。また酒でも持ってくるよ」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

人の姿はしてるけど
「これ倒せたら二匹目だ!」
既にドラゴンスレイヤーだけど
「武勇伝増えたら嬉しいじゃん」
でも気は抜かないよ超強敵だしね

「勿論!往くよ相棒!」
陸井が手に水を湧き立たせる
一目瞭然の戦法
なら俺はアークヘリオン!

軍勢が殺到するけど
俺が全力の高速・多重詠唱で
各方向に放ち続ける光の刻印は
俺達に敵が近づく限り見ずにはいられない
黄金にも乱反射して攪乱にもなる

蟲笛から風の動きで湧き出す蟲たちにも
攻撃指示
入り込まれたら通常攻撃でも叩き伏せ
一歩も引かないよ

光とハレーションで目が眩んだとこで
煌めきと同化した水刃手裏剣で貫かれたら…
仮に元の姿に戻っても後はない!
「終わりだよ!」



「人の姿はしてるけど……」
「流石の気配だな」
 三度はじまりの遺跡を訪れた葛城・時人(f35294)と凶月・陸井(f35296)は、金銀財宝の中に立つ黄金鎧の人影に、その小さな器から溢れ出るような強大な何かを感じて、互いの感覚を確かめ合う。
 ここにいるのは『呪金竜・ファフナー』だとグリモア猟兵から聞いている。でも、その前情報がなくても、人間に非ざる気配はヒリヒリと伝わってきたから。
 2人は気を引き締め、頷き合った。
 どうして呪金竜が人の姿をとっているのかは分からないけれど、それで強さを減じているとは思えないし、狭くないとはいえ閉鎖的な遺跡内部では竜の巨体よりは有利だとも考えられる。
 ゆえに、時人も陸井も油断なく、竜魔人とでも呼べそうな強敵の姿を見据え。
「これ倒せたら2匹目だ!」
「もう既に俺達はドラゴンスレイヤーだけれど?」
「称号もらえたのは嬉しいけど……武勇伝増えたらもっと嬉しいじゃん」
「ドラゴンスレイヤーの武勇伝か。いいよな」
 でも気を張りすぎず、適度な余裕をもって、軽口を交わしていく。
 その間に、呪金竜は背中から黄金色の翼を生やし、周囲に煮えたぎる黄金から作り出した竜の軍勢を召喚。翼持つ黄金の竜軍は、竜の巨体ともまた違った脅威となり、圧巻の黄金色を作り上げたけれども。
「やろうか、相棒」
「勿論!」
 陸井の声に時人は迷わず応えた。
 呼応するように陸井の手の中に水が湧き立つ。それが水の刃となり、2つの手裏剣を形作ると。陸井は両手でそれぞれの水刃手裏剣を掴んで床を蹴る。
 呪金竜を狙っての突撃。
 しかし、呪金竜は翼を広げ宙に舞い、またその周囲には竜の軍勢が立ちはだかる。
「1人なら無茶かもだけどな」
 でも陸井は1人で戦っているわけではないから。
「往くよ相棒!」
 時人の声が響くと、辺りに創世の光が満ちた。
 振り向かなくても時人が輝く『始まりの刻印』を召喚したのが分かる。視認した全ての敵にダメージを与えるその光が、陸井を援護してくれるのが。
 進む先にいた死告の竜軍が、光に目を奪われ、そして倒れ消えていく。
 相棒が殺到する軍勢を全て薙ぎ払ってくれると信じて、何も言わずとも時人なら動きを合わせてくれると感じて、陸井は迷わず呪金竜へ向かった。
 そこに何故か突然大雨が降ってきて。竜の軍勢の動きが鈍くなり。黄金に、雨粒に、乱反射した時人の光がまた軍勢の数を着実に減らしていく。
 陸井も咄嗟に水遁の術を繰り、雨水も水刃手裏剣に加えさらに威力を上げて。迫った先で、黄金の翼をへし折られた呪金竜が、地面に叩き付けられるように落ちてきたから。
「終わりだよ!」
 時人は白羽蟲笛を風で鳴らし、純白の羽毛と翼持つ蛇の形をした蟲たちを呼び出す。白き群れは舞うように陸井を囲み包み、呪金竜から一瞬その姿を見失わせる。
「くっ……奇妙な手を使って、小賢しい!」
 竜軍を失い翼を折られた呪金竜は、すぐにまた立ち上がり。蟲の群れをうっとおしそうに振り払いながら、自身の状況を把握しようと辺りを見回したけれども。
 呪金竜が迫る陸井に気付くより先に。
「さぁ、終わりにするぞ」
 陸井の放った『重鎖』『縛鎖』の戦文字が黄金鎧の上から縛り付ける。
 動きを封じられた呪金竜は、ようやく、白い蟲の群れを切り開くように現れた陸井の姿を認め。迫り来る敵影に顔を顰めた。
 しかし、陸井の手にある水刃手裏剣が、時人の光の煌めきに同化し、呪金竜には視認できなかったから。
「こんな鎖、竜の姿となれば……!」
 間合いに入られる前に本来の姿である巨大な邪竜に変身してしまえば、縛り付ける鎖を弾き外して反撃できると、獰猛な笑みを浮かべる。
 だが、竜魔人が邪竜覚醒するより早く。
 陸井の水刃手裏剣が、最大の威力を込められて、放たれて。
 叩き込まれた二連刃が、人の姿のままの呪金竜を、見事に捉えた。
「がぁ……っ!?」
 頽れ倒れ伏した呪金竜に、もはや動く力はなく。
 それでも油断なくまた両手に水を握った陸井は、戦文字の鎖すら解かぬまま、止み始めた雨の中で白燐蟲に囲まれて呪金竜を見下ろす。
「ぐ……おのれ……ゆ、うしゃめ……また、おれを……」
 辛うじて少しだけ顔を上げ、陸井を睨み付ける呪金竜だが。
 途切れ途切れの言葉以上のものは放たれず。
 駆け寄ってくる時人の足音を背中で感じながら、陸井はぽつりと告げた。
「悪いな。また酒でも持ってくるよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月06日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はジーク・エヴァンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト