不死王の再臨
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイキックハーツの東京・阿佐ヶ谷の地下から巨大な『水晶の城』が出現。一般市民をオブリビオンの大軍が襲っています」
人類の魂に宿る邪悪な別人格『ダークネス』との戦いの末、全ての人類が新人類「エスパー」へと進化を遂げた地球。寿命以外の死を克服し、戦争や犯罪なども消滅しつつある世界で、復活したかつての強敵たちが再び人類に牙を剥く。これもオブリビオンである以上、立ち向かうのは猟兵の使命だ。
「グリモアの予知及び現地関係者からの情報によると、この『水晶城』の城主はノーライフキングの『コルベイン』。かつては『蒼の王』とも呼ばれ、大きな勢力を有していたダークネスです」
ダークネスの中でも絶大な力を誇った『蒼の王』は、他のダークネスによって力を簒奪され、弱体化したところを当時の人類――
灼滅者の組織『武蔵坂学園』に討伐された。今回、阿佐ヶ谷に出現した水晶城は、かつてのコルベインの居城に酷似しているという。
「水晶城から出撃したオブリビオンの大軍は、阿佐ヶ谷周辺にいる一般市民を無差別に襲っています。ノーライフキングには死者をアンデッドとして眷属化する能力があるので、目的はさらなる戦力増強とみて良いでしょう」
災害や病気や飢餓に至るまで、あらゆる「通常攻撃」を無効化できるようになったエスパーも、サイキックやユーベルコードではダメージを受けるし、死に至る。このままでは遠からず阿佐ヶ谷はコルベイン率いる死者の巣窟と化すだろう。
「皆様には至急、市街地に出てきた敵軍の迎撃をお願いします」
コルベインの軍勢を構成するのは、彼と同じくオブリビオンとして復活したノーライフキングだ。一般エスパー虐殺のために城外に出てくる連中は力の弱い者ばかりだが、それでもアンデッド製造能力は持つため、早急に蹴散らさなければ市民への被害はどんどん増えていくだろう。
「城外の敵を殲滅した後は『水晶城』内部の制圧及び、蒼の王コルベインの討伐を依頼します」
城内はコルベイン本人は勿論のこと、より強力かつ多数のノーライフキングが守りを固めているだろう。しかし奴を倒して水晶城を陥落させない限り、阿佐ヶ谷は不死者たちの襲撃を受け続けることになる。ダークネスの中でも戦略級に相当する脅威を、野放しにしておくことはできない。
「オブリビオンとして復活したダークネス……たとえこの世界の人間ではなくても、猟兵として戦うべき存在に違いはありません。どうか、皆様の力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、サイキックハーツの阿佐ヶ谷へ猟兵たちを送り出す。
骸の海から蘇った『蒼の王』。かつて人類を支配していた大いなるダークネスの不死王が、今ここに再臨する。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオは新世界サイキックハーツにて、阿佐ヶ谷に出現した『水晶城』の主、『蒼の王コルベイン』を撃破する依頼です。
1章はコルベイン配下の『未完成段階ノーライフキング・女』との集団戦です。
ノーライフキングの中でも力の弱い彼女たちは、水晶城周辺の市街地にいる一般エスパーを殺害し、アンデッド化して眷属に加えるのが目的です。放置すれば被害が拡大するので、まずはこれを蹴散らしてください。
2章は敵の本拠地である水晶城にて、コルベインを守護するノーライフキングとの集団戦。
3章は『蒼の王コルベイン』本人との決戦になります。
コルベインを討伐すれば水晶城は崩壊し、阿佐ヶ谷が死者の巣窟と化す危機は去ります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『未完成段階ノーライフキング・女』
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POW : 死光弾
【胸】から、レベル×5mの直線上に【アンデッド化光線】を放出する。【サイキックエナジー】を消費し続ければ、放出を持続可能。
SPD : クリスタルフェザー
【翼】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【自在水晶】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
WIZ : 死命操作呪法
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【アンデッド】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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七草・聖理
ノーライフキングのコルベイン……!
大物の中の大物が復活しましたね
武装を整え、阿佐ヶ谷に到着
即座にUCを発動……この世界の文明は石油やコンクリートに至るまで、全てがノーライフキングによって生み出された『苦しみの為の産物』
だからこそ、私はそれを否定する――眷属よ、罪無きエスパーを守り抜きなさい
特大の弱点を付与するも、ノーライフキングを相手取るなら依然として問題のない条件
そこから莫大な戦闘能力を持った眷属の群れは、民間人を庇う様に陣形を組みながらノーライフキングの群れを連携して各個撃破していく
そこに、私も攻撃しますよ!
屍の王を殲滅する千弾を構え、未完全なノーライフキングを一掃する――
「ノーライフキングのコルベイン……! 大物の中の大物が復活しましたね」
かつて世界を救った灼滅者の組織、武蔵坂学園の生徒である七草・聖理(光の弓矢は闇無き世界で始まる・f43834)は、もちろんその名前を知っていた。直接対峙したことはないが、ヤツはダークネスの中でも伝説的存在。それがオブリビオンとして蘇ったなら、無視できる相手ではない。
「来ましたね、灼滅者」「今度はかつてのようにはいきません」
武装を整え、阿佐ヶ谷に到着した彼女を待っていたのは、一般市民を襲う「未完成段階ノーライフキング」の軍団だった。戦う術のないエスパーを殺害し、アンデッドとして眷属化し、戦力を増強するつもりか。『蒼の王』の指揮下で士気も高い彼女たちは、灼滅者も屍の仲間入りさせてやろうと襲ってくる。
「我が光よ。この世界に根付く文明全ては苦しみの為に生まれてきた。その理と宿命を否定した者として、私は汝に正義を行わせよう」
聖理は即座に【屍王は文明全てを従える。故に主なき世で義を成せ】を発動。周囲の建物やアスファルトの道路――人類社会を構築する文明の産物を眷属化し、ノーライフキングの軍団を迎え撃つ。
配下を生み出せるのが今やダークネスだけの特権だとは思わないことだ。
「この世界の文明は石油やコンクリートに至るまで、全てがノーライフキングによって生み出された『苦しみの為の産物』。だからこそ、私はそれを否定する――眷属よ、罪無きエスパーを守り抜きなさい」
人類を闇堕ちに導くため、文明の発達を後押ししながら人類を管理してきたノーライフキング。だがそれはもう過去の話だ。支配の道具としてダークネスが人類に与えてきた物たちは人類を守護する眷属として、力強く立ち塞がった。
「ッ、こいつら!?」「邪魔をしないで!」
聖理が眷属化した対象には「罪無き人類やエスパーに危害を加えられない」という弱点を付与されているが、ノーライフキングを相手取るなら依然として問題のない条件だ。弱点に比例した戦闘能力を持った眷属の群れは、民間人を庇う様に陣形を組みながら、敵を連携して各個撃破していく。
「そこに、私も攻撃しますよ!」
聖理が携えるのはガトリングガン「屍の王を殲滅する千弾」。ノーライフキング上位個体を単独で対処する状況を想定して作られた殲術兵器だが、彼女はサイキックハーツ大戦終結の翌年に入学した生徒のため、大きな戦いに参加する機会はなかった。だがダークネスがオブリビオンとして復活したことで、奇しくも実力を発揮する戦場を得たわけだ。
「一掃します!」
「「ッ、きゃぁぁぁぁっ
!!?!」」
御大層な肩書きに違わず、聖理のガトリングから放たれる弾幕は未完成なノーライフキングを討つには十分だった。
光を帯びた銃弾に撃ち抜かれ、蒼の王の配下は悲鳴を上げて骸の海は還っていく。現代を生きるほぼ最後の世代の灼滅者として、使命を果たさんとする少女はまっすぐな瞳で『水晶城』を目指す――。
大成功
🔵🔵🔵
タシュラフェル・メーベルナッハ
まさに阿佐ヶ谷地獄の再現ね…
でも、今度もきっちり守りきらせて貰うわよ。
他の猟兵と手分けして、敵の殲滅と襲われてる人達の救出に向かうわ。
Hexenbesenで【箒飛行】して空中から地上の様子を見て敵を探す。
襲われてる一般人がいれば其方へ最優先で向かうわ。
Die Schwarzを大盾の形にして一般人と敵を分断する形で射出、敵を足止めしつつ一般人が身を守れるよう計るわ。
加えて敵の意識を引きつけた処に、魔法の矢を撃ち込んで攻撃。
敵が水晶で身を守るなら立て続けに撃ち込んで削り倒しにかかりましょう。
助けた一般人には、既に安全確保されたエリアへの道を案内。
まだ敵は多いようだけど。
思い通りにはさせないわよ?
「まさに阿佐ヶ谷地獄の再現ね……」
2013年の「不死王戦争」にも参戦経験のあるタシュラフェル・メーベルナッハ(夜闇の万華鏡・f43850)には、眼前にそびえ立つ「水晶城」も、市街地を襲うノーライフキングとアンデッドの大軍も見覚えがあった。武蔵坂学園が経験した初の戦争――あの戦いが学園と灼滅者の未来に及ぼした影響は大きい。
「でも、今度もきっちり守りきらせて貰うわよ」
掴み取った勝利と未来を覆させはしないと、あの頃のままの初等部制服に袖を通し、タシュラフェルは不死王の軍勢に挑む。当時は同じ学園の生徒がいたが、今は猟兵という新しい仲間がいる。彼らと手分けすれば敵の殲滅も一般人の救出も叶うだろう。
「そこにいるわね、ノーライフキング」
魔女の箒「Hexenbesen」に乗って、空中から地上の様子を観察し、襲われている市民を見つければ最優先で急行するタシュラフェル。「通常攻撃無効」で病死や事故死は防げても、オブリビオンのユーベルコードにエスパーは無力だ。なにを置いても護らなければならない。
「一般人に手出しはさせないわ」
「なっ!」「あなた……灼滅者!?」
今まさにエスパーを貫くはずだった水晶の翼を、大盾の形状をした闇色の魔力が受け止める。タシュラフェルが射出した「Die Schwarz」はそのまま一般人と『未完成段階ノーライフキング』を分断し、敵を足止めしつつ一般人を保護する状況を作りだした。
「あなた達の相手は私よ」
「ふん、ならお前からアンデッドにしてやる!」
敵の意識を引きつけたところで、タシュラフェルは上空から【魔法の矢】を撃ち込む。ノーライフキング達も即座に【クリスタルフェザー】を盾にして身を守った。未完成でも流石はダークネスの中でも高い個体戦闘力を誇る種族だ。一兵卒とて弱卒ではない、が。
「脆いわね。撃ち抜いちゃうわよ?」
「なっ
……!」「きゃぁぁっ?!」
タシュラフェルの指先から立て続けに撃ち込まれる魔力弾は、水晶の盾を削りきり、驚愕する敵本体を貫く。数多くの強豪との戦いを経験し、さらに猟兵に覚醒したことで、彼女の実力は大きく伸びているのだ。不死王戦争当時の彼女と思わぬほうがいい――その点を見誤った過去の亡霊どもは、悲鳴と共に骸の海へ還っていった。
「こっちに行けば、あの連中はもう襲ってこないわ」
「あ、ありがとうございます!」「助かりました!」
付近の敵を一掃したところで、タシュラフェルは助けた一般人を安全確保されたエリアへの道に案内する。バベルの鎖があった昔とは違い、現代では一般社会にも灼滅者の存在は認知され、世界の真実も常識となっている。ESP等で強制せずとも、人々は素直に彼女の言に従い、感謝と尊敬を向けてくれた。
「まだ敵は多いようだけど。思い通りにはさせないわよ?」
なおも「水晶城」から押し寄せる敵軍を見て、永遠の初等部四年生は不敵に微笑む。今さらになって蘇り、歴史の針を巻き戻すような暴挙、武蔵坂学園の灼滅者が見過ごすと思ったら大間違いだ。扱う力や在り方は変われども、少女は今もなお気ままに戦いの舞台で踊る――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・銀静
………ああ
僕はお前らを歓迎しますよオブビリオン
この世界は…既に
詰んでいた。あれだ…ユニバース25…だったな
僕からすればお前らこそこの世界を救いに来た存在に見えますよ
故に…お前らはこの世界の存続の為の礎になればいい
ノーライフキング…最強のダークネス
【リミットブレイク】
己の限界を超えて光線を回避
【薙ぎ払い】
UC発動
そのまま襲いかかり野太刀で突いて粉砕し反撃は返し刀で反撃して迎撃する
敵が絶命するまで丁寧に切り刻むか拳を叩き込み殲滅する
…ノーライフキング…死を超越した存在…だが…もうこの世界の皆が死を超えた…だが…資源は減り続けている…
まぁいい…存分に楽しませてくれ(きひひひひひひ
「………ああ。僕はお前らを歓迎しますよオブビリオン」
武蔵坂学園に所属する灼滅者として、現在の世界のあり方に関わった皇・銀静(陰月・f43999)は、復活したかつての敵たちにそう言った。ダークネスという脅威が再び人類を脅かそうとしている現状は本来喜ばしいことでは無いはずだが、これには彼なりの理由がある。
「この世界は……既に
詰んでいた。あれだ……ユニバース25……だったな。僕からすればお前らこそこの世界を救いに来た存在に見えますよ」
寿命以外に死の危険が存在しない、衣食住の保障された安全な社会では、生命は緩やかに衰退していくという実験と仮説がある。この説を支持するならば、エスパーとなった人類を脅かしうる「外敵」がいない世界は袋小路の理想郷であり、オブリビオンという「新種の外敵」がその状況を打破するというわけだ。
「故に……お前らはこの世界の存続の為の礎になればいい」
「礎ですって? なにをバカな」「あなた達のほうこそ、私達ノーライフキング再興の礎になりなさい!」
言うまでもないがオブリビオンも世界存続のために復活したのではなく、本気で世界を滅ぼす気でいる。だからこそ銀静の理屈では彼女らが救世主足りうるのだが――何れにせよ同意の成り立つ相手ではない。滅ぼすか滅ぼされるか、両者の関係性は以前のままだ。
「ノーライフキング……最強のダークネス」
水晶城から出てきたのは、まだ非肉化した部位の少ない『未完成段階ノーライフキング』とはいえ、銀静は油断せずリミットブレイク。己の限界を超えた身体能力や反応速度をもって、アンデッド化効果のある【死光弾】を回避する。死者を眷属に変える屍王たちの代表的な能力は、幾度となく見覚えのあるものだ。
「お返しだ」
「ッ?!」
銀静はそのままノーライフキングの軍勢に襲い掛かると、野太刀による【天地無双剣】の構えから神速の突きを繰り出す。水晶化した少女の胸を粉砕した一撃は、そのまま返し刀での追撃に派生し、周囲にいる敵をまとめて薙ぎ払う。
「ひっ……きゃぁぁぁ?!」「こ、こいつッ!」
ノーライフキングたちは慌てて反撃するが、銀静は返し刀でそれを受け止め、神速突きで逆襲する。その戦いぶりには一切容赦がなく、陰鬱な態度に秘められた狂暴な性質が垣間見える。ひとたび敵と見なしたからには、完膚なきまでに叩き潰すつもりだ。
「……ノーライフキング……死を超越した存在……だが……もうこの世界の皆が死を超えた……だが……資源は減り続けている……」
ダークネスが人類支配の安定と「管理された発展」のために創造した資源も、彼らの滅亡とともに増えなくなった。
鬱々とこの世界と人類の将来を危惧しながら、銀静は敵が絶命するまで丁寧に切り刻み、水晶が細かい破片になるまで拳を叩き込み、徹底的に殲滅する。
「まぁいい……存分に楽しませてくれ」
「ひぃっ?!」「す、
灼滅者め……!」
武門の一族に生まれ修行を重ね、ダークネスとの実践経験を経て武芸を磨き抜いたストリートファイターにとって、久方ぶりとなる死闘が甘露であることもまた間違いなく。きひひひひひひ、と笑いながら自分達を灼滅する男の姿は、ノーライフキング達にとっては恐怖そのものであった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
結局のところ、猟兵に覚醒した者も居るので
復活ダークネスは嘗てのそれとは似て非なる別の存在になったというところでしょうかね
人類は闇を退け、寿命を要因としない全ての死を駆逐した。
サイキックハーツの危機は去り、
新たな灼滅者やラグナロク、そしてダークネスが生まれる事も最早ない
それでも全てが決したこの世界で、再び種族の繁栄と支配を望むのもまたあなた方の本質に違いないだろう
故に猟兵は、|助け《m'aider
》を求める声に応じるのです
◆罪深き刃
アンデッド化耐性で光線を武器受け
切り込み+ジャストガードでサイキックエナジーを振り払い、怪力+グラップルで押し通る
「結局のところ、猟兵に覚醒した者も居るので
復活ダークネスは嘗てのそれとは似て非なる別の存在になったというところでしょうかね」
オブリビオンはあくまで骸の海から具現化した『過去』であり、生前の本人とは相違点があるケースを戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は知っている。シルバーレインのゴーストがそうだったように、サイキックハーツのダークネスにも様々な変化があるようだ。
「人類は闇を退け、寿命を要因としない全ての死を駆逐した。
サイキックハーツの危機は去り、新たな灼滅者やラグナロク、そしてダークネスが生まれる事も最早ない」
世界の変革は不可逆であり、おそらく元に戻ることはない。この先の人類史を作っていくのはダークネスではなく、新人類エスパーと、救世の英雄たる灼滅者だ。わずかに生き延びた穏健派のダークネスにも、もはや世界情勢を動かすほどの力はない。
「それでも全てが決したこの世界で、再び種族の繁栄と支配を望むのもまたあなた方の本質に違いないだろう」
もはやサイキックハーツへの到達が不可能だとしても、復活したダークネスはかつてのように事件を起こす。蔵乃祐の目の前にある『水晶城』も、過去の事例に類似したひとつだ。奴らが依然として一般人の脅威であることに変わりはなく、放置すれば世界はまた別の滅びへと向かう。
「故に猟兵は、
助けを求める声に応じるのです」
己が来た理由を明確にし、戦場と化した阿佐ヶ谷に足を踏み入れる蔵乃祐。対峙するのは不死王に仕える『未完成段階ノーライフキング』の軍勢。かつては大勢力を築き、強固な支配体制を敷いていた彼女らの現在の目的は、この都市をアンデッドの巣窟に変えることだ。
「猟兵だかなんだか知りませんが……」「私達の邪魔をするなら、貴方からまずはアンデッドにしてあげます」
水晶化したノーライフキングの胸から、生命をアンデッド化する【死光弾】が放たれる。エスパーには実質即死攻撃に等しいユーベルコードだが、【罪深き刃】により死亡耐性を得ていた蔵乃祐は、「一番目の猟兵」の武器に変化した装備で光線を弾き返した。
「効きません」
「なッ?!」「こ、このっ!」
ノーライフキングは驚きながら光線の放出を続けるが、それでも蔵乃祐を退かせることはできない。完璧なガードでサイキックエナジーの閃光を振り払い、敵陣に切り込んでいく。彼が力尽きるのが早いか、敵のエナジーが尽きるのが早いか、答えは予想するまでもあるまい。
「押し通らせて貰います」
「ば、バカな……きゃぁっ!!?」
絶望に抗う強固な意志の元、繰り出された剛腕が未熟な屍王をなぎ倒す。常人離れした怪力とグラップルの技術は、多勢を覆す突破力があった。あえなく骸の海に還っていった敵をよそに、蔵乃祐は水晶城めざして進撃を続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
メイティナ・ヴァーンフォルカ
【殲滅戦と行きましょう】
OK…メイティナさん!
裕士も戦闘態勢をとる
【シャドウパリィです】
危ねえな…!
敵のUCに対しては自在水晶の斬撃は心眼で見て回避する
投擲は心眼で見ながら回避か剣でシャドウパリィする
【残念ですが破壊させて貰います!】
盾受けされる場合は指定UCを発動して
水晶の起源を破壊してそのまま攻撃する
天誅ぅぅぅぅぅぅ!
裕士もUCクレセント・スラッシャー・天誅を発動して音速蹴りで水晶を破壊した後追撃のアッパーをお見舞いしていた
【裕士、使わせて貰います!】
推力移動しながら三日月型の衝撃波に乗りジャンプしてから凍結攻撃の矢弾の雨を敵に放つ
ウォーミングアップにはなったなメイティナさんよ!
【ええ…】
【殲滅戦と行きましょう】
「OK……メイティナさん!」
水晶城から現れた『未完成段階ノーライフキング』の軍勢を見て、看板で意思表明をするメイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)。それを見た相方の「裕士」も戦闘態勢を取り、二人で迎え撃つ構えだ。
「灼滅者……いえ、猟兵とやらですか」「どちらにしても同じ事」
邪魔をするなら容赦はしないと、敵は二人を見るなり【クリスタルフェザー】で攻撃を仕掛けてくる。非肉化した翼から具現化する自在水晶は、盾にも武器にもなる彼女たちのメイン武装だ。種族の中では力の弱い個体とはいえ、ノーライフキングの戦闘力は侮れない。
【シャドウパリィです】
「危ねえな……!」
翼より射出された水晶を、メイティナは覇王神剣「エア」で受け流し、裕士は近付いてきたノーライフキングの斬撃をひらりと躱す。余裕のあるなしの言動は対照的だが、二人とも優れた心眼を備えているため、この程度の攻撃を見切るのは造作もない。
【全員倒しますよ】
「調子に乗らないで!」
間髪入れず反撃に転じるメイティナを、ノーライフキングたちは翼を広げて迎え撃つ。強固な水晶と刀身がぶつかり合い、澄んだ音を奏でる――一太刀で切断できないとは、かなりの強度があるようだ。誰とも知らぬ人間(?)に遅れを取るなど、彼女たちもプライドが許すまい。
【残念ですが破壊させて貰います!】
「なッ……きゃぁぁっ!!?」
だが、そこでメイティナは【覇王神剣『エア』・開眼】を発動。覇王の権能に目醒めた彼女の剣は紅蓮の炎を纏い、水晶の起源を破壊して敵を斬る。翼ごと真っ二つにされたノーライフキングは悲鳴を上げて、骸の海に還っていった。
「天誅ぅぅぅぅぅぅ!」
「がはッ!!!」
裕士も遅れは取らずに【クレセント・スラッシャー・天誅】を発動。極音速の蹴りで水晶の盾を破壊した後、追撃のアッパーをノーライフキングにお見舞いする。顎を打ち抜かれた相手は綺麗な放物線を描いて宙を舞い、地に落ちる前に消滅した。
【裕士、使わせて貰います!】
裕士がユーベルコードを放った後には、三日月型の衝撃波が残る。すかさずメイティナは推力を発して加速すると、それを足場にしてジャンプ。敵軍を見下ろせる高度から「月光神銃」と「神刃銃」を構えると、矢弾の雨を撃ち放つ。
「きゃぁぁッ?!」「か、体が凍って……いやぁっ!?」
凍結効果のある矢弾の雨を浴びたノーライフキングたちは、衝撃から覚めやらぬまま物言わぬ氷像と化す。何十もの屍王が微動だにせず立ち並ぶさまは、ある種壮観と言っても良いだろう。これだけの戦果をたった二人で挙げるとは。
「ウォーミングアップにはなったなメイティナさんよ!」
【ええ……】
異世界の猟兵の実力をサイキックハーツのダークネスに見せつけた二人は、まだまだ余裕のある様子で先を急いだ。
目指すは蒼の王コルベインが座する『水晶城』。都市を死者の巣窟に変えんとする不死王の野望を、必ずや阻止するために――。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
――人を助くるは我が喜びであり、主もまたお喜びになることであろう
というわけで、蹴散らしに来たぜ
まずは意識を一般の方々ではなく、こっちに注意を向けさせる
リンスラ投げて、お前らの邪魔をしに来た存在が居ると認識させる
暫くの間はリンスラだけで攻撃を繰り返す
武器をあまり持ってないって思われたなら好都合
数が集まって来た時点でUC使って、地から昇る光で攻撃する
…あー、その水晶は盾になるんだったな
じゃあ切り替えて、天から降る一極集中の光で攻撃する
上下どちらから来るか分からぬ光の攻撃だ
…全て遮ろうとすれば盾は必然として脆くなる
それじゃあ後は、オレが勝つまで耐久勝負な!
【連携・アドリブ、ご自由に!】
「――人を助くるは我が喜びであり、主もまたお喜びになることであろう」
いかにも聖職者らしい物言いに、聖職者らしからぬサングラスとファッションで、阿佐ヶ谷にやって来たのはエクソシストのギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)。かつての宿敵であるノーライフキングの『水晶城』が、再び現れたと聞いて黙っている訳にはいかない。
「というわけで、蹴散らしに来たぜ」
歴戦の灼滅者らしい不敵な態度と荒々しい語気。まずは敵の意識を一般人ではなくこちらに注意を向けさせようと、挨拶代わりにリングスラッシャー「HYMNE」を投げつける。生命の讃歌を掲げて燦然と輝く光輪は、お前らの邪魔をしに来た存在がここに居ると、オブリビオンどもに認識させるに十分だった。
「出たな、
灼滅者!」「覚悟しろ!」
かつてのリベンジをここで果たすとばかりに、不死王の軍勢が襲い掛かる。まだ非肉化した部位の少ない『未完成段階ノーライフキング』だが、数が数だけに侮ることはできない。翼から具現化する【クリスタルフェザー】の弾幕は、十分に脅威となる威力だ。
「相手してやるよ、来な」
ギュスターヴは水晶の投擲を躱しつつ、暫くの間はリングスラッシャーだけで攻撃を繰り返す。こちらが武器をあまり持っていないと相手に思わせたいようだ。もちろん、それ一つだけでも光輪は聖なる輝きで不浄なる屍王を灼くが、手数の不利は否めない。
「畳み掛けます!」「ええ!」
ノーライフキングたちはここぞとばかりに戦力を集中させ、一気に灼滅者を倒し切ろうとする。だが数が集まってくれるならギュスターヴにとっても好都合。まとめて薙ぎ払ってやろうと【そして世界は光に満ちる】の聖句を唱える。
「夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝と共に喜びが来る」
「「――……ッ
!!!?」」
地から昇る奇跡の光が、ノーライフキングの集団を一瞬にして呑み込む。あまりの眩さに常人では目も開けていられないほどだ。ギュスターヴ自身、自分のユーベルコードで目が潰れないためにサングラスを着用しているくらいである――その威力は推して知るべしだ。
「はっ、はぁっ、はぁっ
……!!」
「……あー、その水晶は盾になるんだったな」
光が収まった時、そこに残っていたのは数体のノーライフキング。咄嗟に【クリスタルフェザー】の防御が間に合ったようで、肩で息をしつつも生きている。今の一撃で全員倒しきれたら楽だったのだが、流石に簡単にはいかないか。
「じゃあ切り替えて、こっちだ」
「ッ?!」
だがギュスターヴも体勢を立て直す暇は与えない。地から昇る光の次は、天から降る光がノーライフキングを襲う。
広範囲に拡散するタイプの攻撃ではなく、一極集中した光には水晶の盾も集中させなければ防げない。だが、そればかりを意識すれば今度は地から昇る光を防げなくなる。
「上下どちらから来るか分からぬ光の攻撃だ……全て遮ろうとすれば盾は必然として脆くなる」
凶悪な二択を敵に押し付け、防御のリソースを分散させるのがギュスターヴの作戦だった。光撃を受け続けるノーライフキングたちの表情に余裕はまるでなく、二種の攻撃は一瞬で切り替わるため反撃に転じる隙もない。実力の差は歴然だ。
「それじゃあ後は、オレが勝つまで耐久勝負な!」
「お、おのれッ……きゃぁぁっ!!!」
耐えきれなくなった未熟な屍王が、次々と浄化され消滅していく。退魔士の眼前から敵の姿が消えるまで、さほどの時間はかからないだろう。市街地に出てきた連中を一掃した後は、次の目標は「水晶城」だ――阿佐ヶ谷の人々を守るため、男は粛々と戦い続ける。
大成功
🔵🔵🔵
宮比神・うずめ
◯アドリブおまかせ
ひぇっ!コルベインまで蘇っちゃったんだ?!それならもう一回ぶっ倒すだけなんよぉ!
わっ?!アンデッドになっちゃった?!うまくアンデットを避けながら戦いたいけど無理そうかな?
とにかくユーベルコードを発動させて本来の敵をメインに攻撃していくんよぉ!
アンデッドからの、攻撃を敵でガードできれば良いんどけど、難しそう?
とっとと敵を減らせば問題ないかな?
これ以上犠牲者が増えると厄介だから蹴散らしていくぞぉ!
近づいて確実に天地開闢光を当てるんよぉ!
孤立はしないように気をつけよね、うん。
「ひぇっ! コルベインまで蘇っちゃったんだ?!」
かつての時代、一度はサイキックハーツに到達する寸前まで辿り着いていた『蒼の王コルベイン』。不死王戦争にて武蔵坂学園に灼滅されたはずの彼がオブリビオンとして復活したという情報は、同学園の灼滅者である宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)に驚きをもたらした。
「それならもう一回ぶっ倒すだけなんよぉ!」
あれは断じて野放しにして良い存在ではないと、不死王戦争にも参戦していたうずめには分かる。同時に、決して滅ぼせない存在ではないことも知っている。サイキックハーツ大戦にてコルベイン以外のサイキックハーツをも灼滅し、新時代を切り開いた自分たちならば。
「灼滅者……二度と不覚は取らない!」「立ち上がりなさい、同胞よ!」
今や宿敵にして仇敵である武蔵坂学園の灼滅者を前にして、コルベイン配下の『未完成段階ノーライフキング』たちはいきり立つ。彼女らが【死命操作呪法】を唱えると、これまでの戦いで斃れていったオブリビオンたちが起き上がる――ただし、それは厳密には蘇生した訳では無い。
「わっ?! アンデッドになっちゃった?!」
同族の死体すらアンデッドに変えて操る、ノーライフキングの本領発揮。生前よりも戦闘力は落ちているようだが、単純な物量は脅威となる。うずめは上手くアンデッドを避けながら戦おうとするが、全て無視するのは難しいだろう。
「そんじゃーカミ様の御力、お借りします!」
ここは神薙使いの本領発揮だと、うずめは【神薙の神子(うちばーじょん)】を発動。超自然の意志「カミ」を自らに降臨させ、魔神「アベノウズメ」に変身を遂げる。血の代償を伴うものの、その験力は強大――ただ佇むだけで溢れ出る天地開闢の光が、アンデッドの群れを焦がしていく。
「とにかく本来の敵をメインに攻撃していくんよぉ!」
「く、来るなっ!」
【死命操作呪法】をかけたノーライフキングを倒せば、使役するアンデッドも一緒に動かなくなるはず。そう考えた彼女は目標を定めて走り出す。相手もさせじとアンデッドを壁にして接近を阻もうとするが、そう安々と止められるものではない。
「とっとと敵を減らせば問題ないかな? これ以上犠牲者が増えると厄介だから蹴散らしていくぞぉ!」
ひとたび乱戦状態に入れば、敵の多さはうずめにとってもメリットに働く。アンデッドからの攻撃を別のアンデッドを盾にしてガードし、もろともに天地開闢光で消し飛ばし、道を開く。この手の大規模戦闘は初めてではないぶん、経験の活きた動きだ。
「これで終いなんよぉ!」
「「ッ……きゃぁぁぁぁぁッ
!!!?!」」
屍体を使役するヤツらの元に迫ると、至近距離から確実に攻撃を当てる。強烈な天地開闢の輝きを浴びたノーライフキングは肉も魂も灼き尽くされ、断末魔の悲鳴と共に消滅し――その配下にいたアンデッドの群れも、後を追うように塵と化した。
「孤立はしないように気をつけよね、うん」
ひとつ戦果を挙げたところで、うずめは落ち着いて周囲を見回し、味方と足並みを揃える。ここ阿佐ヶ谷で戦っている灼滅者や猟兵は彼女だけではなく、他の仲間も各所で戦闘中だ。見たところ戦況はどこも優勢で、市街地に出てきたオブリビオンは一掃されつつある――となれば次はいよいよ「水晶城」突入だと、彼女は気合いを入れ直すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ガルガンチュア』
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POW : 蹂躙突撃
【形態変化したガルガンチュア式装甲】に乗り、レベル×5km/hで飛翔する。飛翔突撃も可能。
SPD : 連装魔導衝撃砲
【魔導衝撃砲】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 呪式魔法弾
【ガルガンチュア式装甲】から無限に供給される【呪式魔法弾】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
👑11
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阿佐ヶ谷の市街地に侵攻したノーライフキングの軍勢は、救援に駆けつけた猟兵の尽力により掃討、撃退された。
市民の無事を確認すると、一同は防衛から追撃へ――すなわち阿佐ヶ谷地下から出現した「水晶城」へと突撃する。
「
灼滅者……イヤ、今ハ
猟兵ト言ウノカ」
城内にて猟兵を待ち構えていたのは、まるで巨大なロボットのような姿をしたオブリビオンの集団だった。
優れたアンデッドの開発と戦闘能力を求めて、肉体改造を繰り返したノーライフキング『ガルガンチュア』。その肉体は非肉化を進めた末、頭部を除く全てが戦闘用機械に置換されている。言うなればダークネスのサイボーグだ。
「何方デモ良イ。コルベイン様ノ元ニハ行カセヌ」
ここまで戦闘力に特化したオブリビオンが配置されている理由は、言うまでもなく城主の護衛だろう。
水晶城の近衛として任を果たすべく、ガルガンチュア部隊は戦闘態勢に入る。市街地で交戦した未完成段階のノーライフキングとは格の違う相手だ。
しかし猟兵たちも、ここで立ち止まっている訳にはいかない。
水晶城の主『蒼の王コルベイン』に挑むには、ここを突破する以外に道はないのだ――。
メイティナ・ヴァーンフォルカ
【戦闘開始です、行きますよ裕士】
お…おう!やるしかねぇ!
と戦闘態勢をとる
【どんなユーベルコードでも発動する為の段階があります】
おっと…!
敵のUCは魔導衝撃砲台を心眼と気配感知で感じとりながら私と裕士は推力移動で回避する
【歌え!私の名の元に!】
指定UCを発動して二人共星導覚醒させて敵のUCを回避していく
【氷の壁となりなさい】
私は素早く凍結攻撃の弾幕を敵に放ち凍らせた後、氷の壁に隠れてから迷彩を発動する
それじゃあ…本日二度目の天誅ぅぅぅぅぅぅ!
裕士はUCクレセント・スラッシャー・天誅を発動して敵を蹴り飛ばす
【では、私も続きましょうか】
私も敵に電撃の斬撃波を放ち裕士をサポートしたのだった
【戦闘開始です、行きますよ裕士】
「お……おう! やるしかねぇ!」
敵の巨大さと異形ぶりに気圧されかけた裕士だが、いつもと変わらぬメイティナの言葉――看板での発言を見れば、気を取り直してと戦闘態勢をとる。水晶城の主である『蒼の王コルベイン』の玉座に向かう道がここしかない以上、交戦は不可避であった。
「此処ハ通サヌ」「死ネ!」
水晶城の守衛たる『ガルガンチュア』部隊は、機械化した身体を駆動させ、【連装魔導衝撃砲】の発射体勢に入る。
非肉化を進めた果てに到達したその姿はまさに全身武器庫であり、火力・制圧力で言えば下級ノーライフキングなど及びもつかない。
【どんなユーベルコードでも発動する為の段階があります】
「おっと……!」
メイティナと裕士は敵のユーベルコードが発動する前に、その前兆を心眼と気配感知で感じとりながら城内を走る。
推力を発生させる彼女らの移動速度は俊敏で、照準を固定するのは難しい。ガルガンチュアの砲塔が狙いを定められずにゆらゆら揺らめいているのが見える。
【歌え! 私の名の元に!】
この間にメイティナは【星導覚醒・破滅の歌劇場】を発動し、星光の導きによって自分と裕士を覚醒させる。これによりさらなる力とスピードを得た二人は、流星の如き疾さで敵部隊に向かっていく。こんな所で足止めを喰らっている暇はないとばかりに。
「速イ……ッ?!」「我ラガ捉エラレヌ、ダト……!」
迎え撃つように【連装魔導衝撃砲】の高速連続射撃を開始したガルガンチュア達だが、ばら撒かれる砲弾はひとつとしてメイティナや裕士を掠めることはない。途中で攻撃中断することも出来ないせいで、逆に致命的な隙を晒すはめになる。
【氷の壁となりなさい】
「グオォォッ!!」
メイティナは素早く「月光神銃」から凍結弾の弾幕を放ち、敵を凍らせる。巨大さはそのままにそびえ立つ氷の壁となったガルガンチュアの影に隠れ、他の敵からの砲撃をやり過ごしながら迷彩を発動するなど、攻撃後の動きも含めて無駄がない。
「それじゃあ……本日二度目の天誅ぅぅぅぅぅぅ!」
「ガオァァァッ!!」
相方に遅れは取るまいと、裕士も【クレセント・スラッシャー・天誅】を発動。市街地の戦闘でも披露した極超音速のキックが、鉄の城が如きガルガンチュアの巨躯を蹴り飛ばす。追撃のアッパーと三日月の衝撃波も決まれば、敵はたまらず倒れ伏した。
【では、私も続きましょうか】
「イ、行カセヌ……グガァァッ!!?」
攻め手を休めず、メイティナも氷の壁ごしに電撃の斬撃波を放って裕士をサポート。水晶城に轟く雷鳴は機械化した屍王を痺れさせ、道を開けさせる。止まるところを知らない二人の勢いは、ガルガンチュアにも抑えることはできないようだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
空中戦仕掛けられたら空中戦で返すしかねえだろ、これ
敵の攻撃を浴びるだけの的になるのはごめんだからな
ちょっと見た目がライドキャリバーっぽくなった元魔導書のバイクに乗って攻撃を避けることを意識する
敵から距離が取れたら良いんだが、いかんせんこの手の…チキンレースみたいなことは一切やったことがなくってさぁ?
割と品行方正なんだ、オレ
UC発動…この強い光の一つ一つに神聖攻撃と浄化の力を込めて放つ
このUCの特性上、敵味方の区別無く攻撃対象になっちまうが出来る限り当たらねえように魔力制御はしとく!
まぁ当たったら当たったで、そいつは神敵なので甘んじて受け入れてくれ!
…うん、やっぱりこれすげえ眩しいな
「コルベイン様ノ城ヲ荒ラス不届キ者ヨ」「此処ガ貴様等ノ墓場ダ」
水晶城内部で猟兵達を迎え撃った『ガルガンチュア』部隊は、その身を構成する機械装甲を変形させ、飛行形態へと移行する。ダークネスやオブリビオンに物理法則を問うだけバカらしいが、あの鈍重そうな巨体でよく飛べるものだ。
「空中戦仕掛けられたら空中戦で返すしかねえだろ、これ」
敵の攻撃を浴びるだけの的になるのはごめんだからなと呟いて、ギュスターヴはバイク「Galgalim」に飛び乗る。
見た目はライドキャリバーに似ているが、これはサーヴァントではない。内燃機関として搭載された魔導書のほうが本体であり、車体は本を保護するための「走るブックカバー」だ。もちろん走行・飛行性能も保障付きである。
「死ネ!!」
「嫌だね」
巨躯と速度を活かした【蹂躙突撃】を仕掛けてくるガルガンチュアに対し、ギュスターヴはひとまずそれを避けることを意識する。スピードで引けは取らなくてもあの図体に引っ掛けられたら此方のほうがダメージを受けるのは確実。どうにか敵から距離が取れたら良いのだが――。
「いかんせんこの手の……チキンレースみたいなことは一切やったことがなくってさぁ? 割と品行方正なんだ、オレ」
いかにもガラの悪いヤンキーのような格好だが、エクソシストとして神様とお天道様に顔向けできないことには手を染めていない彼。とはいえ「安全運転」でこの場を乗り切れるような相手でもなさそうだ。振り切れそうにないなら、轢かれる前に迎え撃つ。
「――十字架の血に清めぬれば来こよとの御声を、我は聞けり」
片手でバイクのハンドルを握りながら片手で十字を切り、ギュスターヴが発動するのは【十字架の血に】。天上より降り注ぐ金色の光芒が、水晶に反射してキラキラと城内を照らす。この輝きは敵味方の区別なく「主が庇護する者に苦痛を与える」者を優先して攻撃対象にするが、できる限り他の猟兵には当たらないように魔力制御はしている。
「まぁ当たったら当たったで、そいつは神敵なので甘んじて受け入れてくれ!」
「「ナッ、コノ光ハ……グオアァァァッ
!!?!!」」
この場において第一の「神敵」と見做されるのは、一般人を苦しめ、死体を冒涜するノーライフキングに違いない。
殺到した光芒はガルガンチュアの装甲を貫き、機械化した巨躯を融かし、唯一置換されていない水晶の頭部を砕く。神敵必滅の威に晒された屍王どもは、無様な絶叫と共に崩れ落ちていった。
「……うん、やっぱりこれすげえ眩しいな」
ガシャンゴトンと騒音を立てて倒れていく敵をよそに、光に目を灼かれぬようサングラスをかけ直すギュスターヴ。
品行方正な彼が神敵認定されることなどあり得ない(たぶん)が、それはそれとして眩しいものは眩しいのである。逆に言えばまだ力を使い慣れていない現状でも、この程度のオブリビオンは歯牙にかけず。彼はバイクの速度を上げて水晶城の最深部を目指す――。
大成功
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戒道・蔵乃祐
嘗てのノーライフキングは迷宮を構築し、
アンデッドを量産し、強固な陣地を以て配下を差配する軍勢の統率力で数々の敵対ダークネスを下してきた列強種族
故に未完成段階の同族を保護・育成することもあるし、あなた方の様な成熟した屍王を多数擁する
強大な盟主に仕える、戦闘力だけを主目的とした特化型ノーライフキングの精鋭部隊
実に
合理的です。だからこそ、灼滅者に続く
我々がお前達の野望を砕く義務を果たそう
◆相転移イフリート
焼却+念動力の武器受け
呪式魔法弾を炎の鎚ボガーダンで焼き尽くし、浄化+破魔で呪詛を祓う
ダッシュ+切り込みで距離を詰め、限界突破の重量攻撃を乱れ撃ち、叩き潰します
「嘗てのノーライフキングは迷宮を構築し、
アンデッドを量産し、強固な陣地を以て配下を差配する軍勢の統率力で数々の敵対ダークネスを下してきた列強種族」
個体戦闘力でも組織力でも多くのダークネスを凌駕し、過去の世界支配においても中心的立場にあったかの種族を、蔵乃祐は大いに評価し、警戒していた。基本的に協調性がなく信頼関係を築くことが難しく、同族同士で殺し合うことも珍しくないダークネスの中で、その統率の高さは特に驚異的だ。
「故に未完成段階の同族を保護・育成することもあるし、あなた方の様な成熟した屍王を多数擁する」
立ちはだかる『ガルガンチュア』部隊――非肉化を進める果てに機械化に到達した彼らの姿は「個人戦闘力」という側面における一つの解答と言えるだろう。『蒼の王』の称号には、まだこれ程の配下を従える力があるということか。
「強大な盟主に仕える、戦闘力だけを主目的とした特化型ノーライフキングの精鋭部隊」
敵側から見れば、ここが城主を護る最終防衛ラインなのだろう。ダークネスの秩序統制が力で成り立っている以上、トップが倒れれば組織は瓦解し、再編を図るのは至難だ。故にここで『蒼の王』本人を除いた最大戦力を全て投入してきたか。
「実に
合理的です。だからこそ、灼滅者に続く我々猟兵がお前達の野望を砕く義務を果たそう」
「憎キ
灼滅者……貴様等ガソノ後継者ダト言ウナラ」「此処デ始末セネバナラナイ。絶対ニ!」
堂々と真っ向から打ち破る意思を示した蔵乃祐に、ガルガンチュア部隊の敵意が増す。たかがダークネスのなり損ない、人の魂を捨てられぬ定命の者――そう侮っていた灼滅者に敗北を喫した屈辱は、オブリビオンとなった今でも覚えているのだろう。その名を口にしたからには、もう二度と油断はすまい。
「滅殺セヨ!」「オオオォォーーーッ!!!」
機械の四つ足で水晶の地面を踏みしめ、装甲から無限に供給される【呪式魔法弾】を放つガルガンチュア部隊。移動を捨てて射撃に集中することで、その連射速度は通常の3倍まで向上する。ネズミ一匹逃げ場のない超密度の弾幕だ。
「侵掠すること火の如く!」
これに対して蔵乃祐は【相転移イフリート】を発動。炎魔イフリート精霊体に変身し、炎の槌ボガーダンを構える。
彼が槌をひと振りすれば、吹き荒れる熱波と炎によって魔法弾は焼き尽くされる。浄化と破魔の性質を帯びた精霊の火が、屍王の呪詛を祓ったのだ。
「コレヲ凌グダト?!」「オノレッ……!」
ガルガンチュア部隊は攻撃の手を緩めないが、砲弾の嵐はほとんど標的に届かない。まるで蔵乃祐の周りに見えないバリアが張られているかのようだ。炎槌で捌ききれなかった砲弾も精霊体となった彼に大きなダメージは与えられず、大半が無駄弾に終わる。
「足を止めたのは失敗でしたね」
蔵乃祐は槌を振るい続けながらダッシュで敵陣に切り込み、弾幕を弾き返しながら距離を詰める。間近で相対すればはっきりと分かる彼我のサイズ差。まるでそびえ立つ鉄の城か戦車の如しだ――が、それがどうしたとばかりに彼は筋肉を隆起させ。
「叩き潰します」
限界を超えた膂力による、重量攻撃の乱れ撃ち。ガツンと音を立てて叩きつけられる炎槌が、ガルガンチュアの装甲を歪める。これまでにも数々の規格外の相手と戦ってきた猟兵のパワーは、ノーライフキング達の想像を超えていた。
「オッ、オノレ……グオオァァァァ―――ッ!!」
最後に残った頭部も砕かれ、完全破壊されたガルガンチュアの断末魔が水晶城に響き渡る。灼滅者に続くという本人の言に違わず、燃え盛る炎はダークネスの存在を塵ひとつ残さない。合理性によって紡がれた屍王の組織力は、まさに今瓦解しつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・銀静
やれやれ…なんとも懐かしい気持ちですね
まるで嘗ての不死王戦争のようだ
尤も…あの時より規模は小さいが…それでも恐ろしい力…だが…恐ろしいな
全盛期だったあの時よりも遥かに強い力の高まりを感じる
此れが猟兵とやらか
御前達もまた本来は一人一人を複数の灼滅者で倒さねばならなかったのに…
…僕一人でどうにかできそうだな?(きひっ)
【リミットブレイク・オーラ防御・切断】
オーラを纏いジャンプ
UC発動
魔剣による突きで貫き
返し刀で切り裂き
反撃も受け止め突きで反撃
中々攻防にすぐれた技だな
エンドブレイカーとやらの世界の技らしいが…中々に馴染む
そして嬉々として己の限界を超え他のノーライフキングに襲いかかり切り刻んでいく
「やれやれ……なんとも懐かしい気持ちですね。まるで嘗ての不死王戦争のようだ」
過去に見覚えのある敵と遭遇し、皮肉交じりに肩をすくめるは銀静。非肉化を進めた果てに全身を戦闘機械に置換したノーライフキング『ガルガンチュア』。それがコレほどの大軍とならば脅威になるだろうに、心は落ち着いている。
「尤も……あの時より規模は小さいが……それでも恐ろしい力……だが……恐ろしいな」
自分の中に、全盛期だったあの時よりも遥かに強い力の高まりを感じる。此れが猟兵とやらか――と、彼は我が身に起きた覚醒を改めて実感していた。基礎能力の変化からサイキックとは異なる進化を遂げたユーベルコードなどなど、かつてとは様々な面が違う。
「御前達もまた本来は一人一人を複数の灼滅者で倒さねばならなかったのに……僕一人でどうにかできそうだな?」
「思イ上ガルナ
……!!」
挑発混じりにきひっと笑えば、ガルガンチュア部隊は一斉に【蹂躙突撃】を仕掛けてくる。肉体を機械化しても感情までは捨てされないのか、怒りに駆られる様子はかつての傲慢なダークネスそのものだ。もっとも、その巨体と重量が空を飛べばシンプルに脅威になるのは間違いない。
「轢キ潰ス!」
「さて、できるかな?」
当たらなければ良いのだろうと、銀静はオーラを纏ってジャンプ。身体のリミッターを外した脚力は、ひと蹴りで敵の頭上を軽々と飛び越える。そのまま魔剣「Durandal MardyLord」を抜くと、流れるような所作で【天地無双剣】の構えを取る。
「試してみるか」
禍々しい覇気を放つ魔剣の突きが、神速の早業でガルガンチュアを貫く。全身を鎧う分厚い装甲が障子紙のようだ。
すかさず銀静は返し刀による追撃を加え、敵の胴体を真っ二つに切り裂く。鉄と機械が擦れる耳障りな音とともに、敵の悲鳴が上がった。
「グオオォォッ
!!?!」「オ、オノレッ!!」
仲間を討たれた動揺と怒りから、他のガルガンチュアはがむしゃらに突っ掛かってくるが――銀静は返し刀でそれも受け止め、神速突きで反撃する。ともすれば押し潰されそうなサイズの差を、装備と技量の差がひっくり返していた。
「中々攻防にすぐれた技だな。エンドブレイカーとやらの世界の技らしいが……中々に馴染む」
つい最近まで存在すら知らなかった異世界の剣技を、こうして使いこなせるのは猟兵に覚醒した影響、或いは彼自身の才能か。いずれにせよ銀静は嬉々として己の限界を超え、残りのノーライフキングに襲い掛かり、切り刻んでいく。
「どうやら僕の見立ては正しかったらしい」
「バッ、馬鹿ナ
……!」「コンナ事ガ……!」
ガルガンチュア部隊も灼滅者に敗北して以来、定命の人間の力を侮ってはいなかったはず。だが、ここまで一方的な展開になるのは予想外だ。ご自慢の戦闘機械ボディをバラバラのスクラップにされた、屍王どもの無様な悲鳴が水晶城に反響する――。
大成功
🔵🔵🔵
宮比神・うずめ
◎WIZ/アドリブとかおまかせ
あー、そう言えばこんな奴も居たなぁ
懐かしいんよぉ…
(見上げながら、素通りしてお城へ行こうと)
あ、やっぱり通してくれないかぁ
悪いんだけど、コルベインをブチのめしたいからサッサと掃除するんよぉ
図体デカいと動くのも大変そう
あ、でも機械化でそれなりに速くなってるかも?
通常で殴っても痛そうだしなぁ…
もう1回、ユーベルコードでカミ様の力を借りてっと
踊るように避けて避けて…
動くといりょく落ちるようだし
やーい!ウドの大木!
(おしりぺんぺんあっかんべー/挑発)
お城の方へ逃げながら
「天地開闢光」をバシバシ撃ち込んでやるんよぉ♪
上手く行けばね
駄目なら距離を、取りながら攻撃なんよぉ
「あー、そう言えばこんな奴も居たなぁ。懐かしいんよぉ……」
「待テ。何処ヘ行ク」
水晶城にて見覚えのある顔ぶれと遭遇したうずめは、しみじみと見上げながら素通りして先に行こうとする。もちろん『ガルガンチュア』部隊がそんな事を許すはずもなく、即座に巨体で道を塞がれた。玉座におわす『蒼の王』の護衛こそ彼らの使命である。
「此処ハ通サン」
「あ、やっぱり通してくれないかぁ。悪いんだけど、コルベインをブチのめしたいからサッサと掃除するんよぉ」
本命前になるべく体力等を温存したかったが、避けられない戦闘であれば仕方ない。逆に言えば、彼女はここにいるオブリビオンに時間や体力を消耗させる敵という以上の脅威を感じていなかった。もう「勝つ」ことを前提とした物言いで、自然体のまま戦闘態勢に入る。
(図体デカいと動くのも大変そう。あ、でも機械化でそれなりに速くなってるかも? 通常で殴っても痛そうだしなぁ……)
戦闘能力を高めるため、全身を戦闘機械に換装したノーライフキング。いかにもな重装甲重武装の見立てに違わず、敵は【呪式魔法弾】による一斉射撃を仕掛けてきた。一般人なら跡形も残らないほどの弾幕だが、うずめは慌てない。
「もう1回、カミ様の力を借りてっと」
【神薙の神子(うちばーじょん)】にて再度魔神の姿に変身した彼女は、ひらりひらりと優雅な身のこなしで砲撃を躱す。それはまるで「カミ」に捧げる神楽の踊りのように。機械という物理的な力に依存した敵とはまさに対極的な、霊的な威光が巫女を煌めかせる。
「やーい! ウドの大木!」
「グッ、貴様
……!!」
砲手が動くと【呪式魔法弾】の威力が落ちるのを察したうずめは、回避の合間にお尻ペンペンとあっかんべーで敵を挑発。子供みたいな態度で小馬鹿にされてはノーライフキングのプライドが黙っていられず、火力を集中させてきた。
「貴様ハ必ズ殺ス!」
「やれるもんなら、やってみればいいんよぉ!」
非肉化していなければ顔を真っ赤にしていたであろうガルガンチュア達から、逃げるようにうずめは城の奥の方へ。
挑発と回避に徹しているように見せかけて、きっちりと進路を確保していたのは流石と言うべきか。相手の冷静さを奪ったのも全ては作戦のうち――だったのかもしれない。
「動けないんなら避けられないってことだし、バシバシ撃ち込んでやるんよぉ♪」
十分に距離を取ったところで、うずめは天地開闢光を解放する。表にいたアンデッドや未完成段階ノーライフキングに比べれば、より完成形に近いガルガンチュアは耐久性でも勝っているが、「カミ」の威光の前では些細な差異に過ぎなかった。
「グアアァァァァーーーッ
!?!」「ム、無念……」
「上手く行ったんよぉ」
断末魔の絶叫と共に屍王どもが浄化されていくのを見届けて、うずめは作戦の成功を確認し、また次の邪魔者が出てくる前にと急ぎ足で先に進む。これで残すところ有力な敵はあと1体、懐かしき水晶城の主こと『蒼の王コルベイン』のみだ――。
大成功
🔵🔵🔵
七草・聖理
さて、次はこのUCでも使いますかね……
瞬間、仮想式の進化の概念を司る胎蔵界が展開
オブリビオンダークネスを致死に至らせる毒となる『サイキック万能薬』をガルガンチュアに注入する
グリーン・セイヴァーの『進化』……サイキック毒を用いて生命体を進化させるUCを改造して再現したUC
仮想式の胎蔵界で進化の概念をガルガンチュアに叩きこみ、追撃としてサイキック万能薬を毒にして注入するとしましょう
呪式魔法弾は仮想式胎蔵界の展開に巻き込んで弾き返し、そのまま『進化』させて掌握
弾丸をガルガンチュアに叩き込みながら反撃しましょう
「さて、次はこのユーベルコードでも使いますかね……」
新たに目覚めた力をひとつひとつ確かめるように、聖理は市街地での戦いに続いて『ガルガンチュア』との戦いでは別のユーベルコードを発動する。その瞬間、進化の概念を司る仮想式「胎蔵界」が展開され、城内の様子が変化する。
「此レハ?!」「イヤ、此処ハマサカ……!」
胎蔵界と言えばかつて異空間に建造された、水晶城にも並ぶノーライフキングの一大拠点の名である。仮想空間とはいえ灼滅者がそれを模した空間を創り出したことに、ガルガンチュア部隊は驚きを隠せない。冒涜だと怒りを感じる者もいるだろう。
「我が光よ。進化を司る超常の毒にして薬。其れを闇を浄滅し人を救う救世主となるべく、進化の胎蔵たる結界を展開しよう」
しかし聖理が発動した【緑の救世主よ、万能薬を世界に示せ】はここからが本番だ。かつて胎蔵界にて行われていた研究のひとつには、毒を以て人類の進化を促すものがあった。より効率的に人類の闇堕ちを促進するために生命を弄ぶ悍ましい所業を、彼女はあえて利用する。
「これはグリーン・セイヴァーの『進化』……サイキック毒を用いて生命体を進化させるユーベルコードを改造して再現したユーベルコード」
聖理の手で改変された『サイキック万能薬』は、オブリビオンとして復活したダークネスには致死に至る毒となる。
生体部位が存在しないノーライフキングでも問題はない。仮想式胎蔵界の展開時に巻き込んだガルガンチュアには、すでに対象だけに特化した薬を精製済みだ。
「ワ、我ラノボディニ、異常ガ……グ、グオオォォォ
……!!」
仮想空間に込められた「進化」の概念を叩きつけられたガルガンチュア部隊はよろめき、追撃のサイキック万能薬が注入される。オブリビオンダークネスを蝕む致死毒と化したそれは、あっという間に彼らのボディを内部から崩壊させていく。
「薬効は確かなようですね」
「フ、巫山戯ルナ……」「我ラガ元老ノ研究ヲ、何故灼滅者如キガ!」
新たなユーベルコードの成果に満足する聖理だが、相手からすれば堪ったものではない。元々は自分達ノーライフキングが研究していた理論を利用されたのだ、怒りを感じるのも自然だ。此の報いは万倍にして返さんと【呪式魔法弾】の発射体勢に入る――。
「滅セヨ!」「汝ニ死ヲ!」
「いいえ、それはあなた達です」
放たれた無数の【呪式魔法弾】を、聖理は【緑の救世主よ、万能薬を世界に示せ】の再展開に巻き込んで弾き返し、そのまま『進化』させて掌握する。グリーン・セイヴァーのみならずガルガンチュアの力まで一時的に我が物とした彼女は、そのまま弾丸を相手に叩き込んだ。
「これで終わりです」
「グオォォォ……オ、オノレェェェ……」
跳ね返された自身のユーベルコードと追撃のサイキック万能薬によって、屍王達は無念を抱えたまま息絶えていく。
巨大な鉄塊として機能停止した彼らの屍を跨ぎ、聖理は水晶城のさらに奥、『蒼の王』の玉座へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
タシュラフェル・メーベルナッハ
前から思ってたけど、ノーライフキングって言うよりロボよね貴方達。
まあ、機械も命の無いモノだから、貴方達とは相性良いのかしら。
何にせよ、此処は通して貰うわよ?
白の炎域発動、周りに白炎の迷宮を構築。
敵の魔法弾を炎の壁で凌ぎつつ、火炎弾を放って攻撃するわ。
安直な肉体改造に走るような輩が私より賢いとも思えないけど、まあ仮に壊せるとしても、壊されるまでに相応のダメージは与えられるでしょう。
勿論、私自身も攻撃するわ。
迷宮の構造を利用した遮蔽越しの攻撃や側面背面からの攻撃を仕掛け、LichtKugelから撃つ【エネルギー弾】を撃ち込んでいくわね。
大きいだけじゃ勝てないって、改めて分からせてあげるわ。
「前から思ってたけど、ノーライフキングって言うよりロボよね貴方達」
全身を骨や水晶ではなく、巨大な戦闘機械に置換した『ガルガンチュア』。一般的なノーライフキングとかけ離れた異形を見上げ、タシュラフェルは所感を口にする。戦闘能力を求めた結果とはいえ、これは極端なタイプではないか。
「まあ、機械も命の無いモノだから、貴方達とは相性良いのかしら。何にせよ、此処は通して貰うわよ?」
「否。通ス訳ニハイカヌ」
過去にも見覚えがあるのなら、その脅威度も把握していよう。オブリビオンとして復活した彼らは主君コルベインの為、機械仕掛けの身命を捧げる覚悟でいる。正真正銘ここが水晶城の最終防衛ラインとなれば、互いに遠慮は不要だ。
「滅ビ去レ、灼滅者!」
恩讐の念を込めて放たれる、ガルガンチュアの【呪式魔法弾】。足を止めて射撃に専念することで、その連射速度は三倍になる。圧倒的な火力と弾幕密度で目前の標的を殲滅するための戦法――これに対し、タシュラフェルは【白の炎域】を発動した。
「また滅ぶのはあなた達よ」
白い炎の迷宮が周囲に構築され、立ち上る炎の壁が魔法弾を阻む。並行世界の己自身と情報をやり取りし、スサノオの力を得たタシュラフェルは小規模なブレイズゲートの創造さえ可能にするのだ。かつて灼滅者の鍛錬場としても利用されていたかの領域では様々な怪異現象が起こるが、最もよく知られるのはダークネスの脱出を阻害する性質だろう。
「ヨモヤ城内ニブレイズゲートヲ
……!」「フン、所詮ハ紛イ物ダ!」
タシュラフェルの迷宮の虜囚となったガルガンチュア部隊は、物量と火力に物を言わせて炎の壁を破壊せんとする。
だが迷宮の防御性能は想像以上に堅固で、【呪式魔法弾】の猛射を受けても綻びすら見られない。無闇に弾薬を浪費する連中を冷笑しながら、迷宮の主は火炎弾を放った。
(安直な肉体改造に走るような輩が私より賢いとも思えないけど、まあ仮に壊せるとしても、壊されるまでに相応のダメージは与えられるでしょう)
彼女の肉体は機械兵器に比べれば非力かもしれないが、頭脳で負ける気はしない。術者より知恵で劣る者には決して破壊できないユーベルコードの迷宮は、その堅牢さを十全に発揮したうえで、じりじりと敵部隊を焼き焦がしていた。
「この領域から逃げられると思わないことね?」
もちろん、白炎が炙るに任せるだけでなくタシュラフェル自身も攻撃を行う。自分の構築した迷宮なら、構造は当然頭に入っている。それを利用して敵の側面や背後に回り込むと、エネルギー弾「LichtKugel」を遮蔽越しに撃ち込む。
「ガハッ!!」「イツノ間にッ?!」
しなやかな少女の腕から放たれる光の弾丸は、ガルガンチュアの装甲を撃ち抜ける威力があった。複雑に入り組んだ迷宮内部において、鈍重な機械の巨体はデメリットのほうが多く、身を隠すことも移動するのもままならない。小柄で俊敏に迷宮を駆け巡るタシュラフェルに、翻弄される一方だ。
「大きいだけじゃ勝てないって、改めて分からせてあげるわ」
「オ、オノレ……」「申シ訳アリマセン、コルベイン様……」
迷宮からの脱出も迷宮の主の撃破も叶わず、折角の機械化した身体を持て余したまま、ガルガンチュア部隊はタシュラフェルの手で討ち取られていく。白炎の灰と化しながら彼らが遺す言葉は、主君に対する謝罪と無念。水晶城を守護する敵は一掃され、玉座への道は開かれた――。
大成功
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第3章 ボス戦
『蒼の王コルベイン』
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POW : 蒼い光
着弾点からレベルm半径内を爆破する【蒼色に燃え盛るサイキックエナジー】を放つ。着弾後、範囲内に【蒼色の炎】が現れ継続ダメージを与える。
SPD : 暴走する蒼の残滓
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【漏出するサイキックエナジー】を放つ。発動後は中止不能。
WIZ : 蒼の王軍
レベル×1体の【アンデッド】を召喚する。[アンデッド]は【不死】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
👑11
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城内の護衛オブリビオン部隊を撃破した猟兵達は、ついに水晶城の最奥にある、王の玄室へと辿り着く。
分厚い扉が音もなく開くと、中から濃密なサイキックエナジーが溢れ出し、一体のノーライフキングが姿を現した。
「余は蒼の王コルベインである。灼滅者、あるいは猟兵よ、こうして言葉を交わすのは初めてになるか」
まさしく不死者の王にふさわしい威厳ある姿、彼こそが紛れもなく『蒼の王コルベイン』だ。
かつて武蔵坂学園の灼滅者と交戦した時、彼は「王」の力を簒奪され、すでに死に体であった。
だがオブリビオンとして復活した彼は失われた頭部も取り戻し、万全の状態でここに立っている。
「世界は悪に満ちているか。闇は生命を育んでいるか。余の他に誰か『サイキックハーツ』に到達したか。簒奪者達は裁かれたのか……それが死せる余の気掛かりであったが、よもや世界がこれほどの変革を遂げるとはな」
『サイキックハーツに到達したもの』と呼ばれたコルベインが生きた時代は、ダークネスによる人類支配の全盛期。
だが灼滅者の活躍と選択によって次なるサイキックハーツの誕生は阻止され、全人類はエスパーへと進化し、闇堕ちによるダークネス化も起こらなくなった。彼の遺言はことごとく望み通りにならなかった訳だ。
「忌々しくはあるが、かつて誰も成し得なかった偉業には賞賛を送らねばなるまい。されど、こうして余も復活を遂げたからには、世界をこのままにしておくつもりは無い」
生殖能力を持たないダークネスは今や滅びゆく種であり、ノーライフキングのようにすでに絶滅した種族もいる。
オブリビオンなれどダークネスの「王」として、コルベインが現状を看過できぬのは当然。再び世界を悪で満たし、闇で生命を育み、数多の屍の上に君臨せんとする。
「この時代を統べる者、或いは護る者が汝らであるのならば。余にその力を示してみせよ」
蒼の王コルベインはそう告げて、膨大なサイキックエナジーを解き放つ。
ここが水晶城における最終決戦――再臨の不死王を討ち取らんと、猟兵達は戦闘に突入する。
ユーフィ・バウム
《蒼翼の闘魂》を発動
真の姿:蒼き鷹として勝負!
「不死王戦争」では
貴方が既に骸だったことを世の多くは知らなかった
故に私達の勝利は驚きを以て伝わりましたね
ならば今日の結果は、必然と言われるでしょう!
勇気を胸に、臆することなく間合いを詰め、
功夫を生かしたの力強いプロレス風打撃をお見舞い
相手の魔力、特に蒼い光は何度も私に悲鳴を上げさせ
ダウンを奪われるでしょうが、その度立ち上がります
世界を繋いだ私達です
今更過去に屈することはありませんわ
己を鼓舞して立ち向かい続けます
相手の最大の一撃を己の肉体とこれまで信じ受け切り
限界突破してラスト5秒の逆転!
怪力を生かした鎧無視攻撃の投げ技を叩き込み、
勝利を掴みますッ!
「『不死王戦争』では、貴方が既に骸だったことを世の多くは知らなかった。故に私達の勝利は驚きを以て伝わりましたね」
燃えるような青髪のショートヘアを揺らし、不死王の玄室に足を踏み入れる一人の女性レスラー。【蒼翼の闘魂】を発動したユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は、真の姿「蒼き鷹」として、伝説のダークネスとの戦いに挑む。まだ弱小勢力だった過去の武蔵坂学園が、その命運を繋ぐ一因ともなった戦いの事を、彼女はよく知っていた。
「ならば今日の結果は、必然と言われるでしょう!」
「そうであれば良い。さもなくば滅びよ」
僥倖は二度も起こらぬと、静かな威圧を以って『蒼の王コルベイン』は応える。オブリビオンとして万全の状態で復活を遂げた彼は、不死王戦争当時の蒼の王より間違いなく強い。だが現代の灼滅者、そして猟兵も、当時とは比べ物にならないほど強くなったはずだ。
「お相手いたしますわ。この『蒼き鷹』が!」
「来るがいい、我が力を恐れぬのならば」
勇気を胸に、臆することなく間合いを詰める「蒼き鷹」。まずは得意のスタイルで功夫を生かした力強いプロレス風打撃をお見舞いするが、骨と水晶で構成されたコルベインの身体はビクともしない。逆に、彼から放たれる【蒼い光】のサイキックエナジーが彼女に襲い掛かる。
「きゃっ! ……まだです!」
不死王の絶大なサイキックが具現化した蒼色の炎に、たまらず「蒼き鷹」に悲鳴を上げ、ダウンを奪われる。だが、即座に彼女は立ち上がって再び拳を握る。簡単に倒せるような相手ではないことは知っている、だから倒れるまで何度でも挑むのだ。
「この程度か」
「くうっ……まだまだ!」
何度ダウンさせられても、テンカウント前に立ち上がるのがレスラーの流儀。悪しき攻撃の全てを受け切り、人々を守り抜くという誓いが胸に燃えている限り、「蒼き鷹」が真の意味で膝を折ることはない。立ちはだかる壁がどんなに分厚く高い、かつての大敵でも。
「世界を繋いだ私達です。今更過去に屈することはありませんわ」
「志は買おう。だが、それだけでは足りぬ」
己を鼓舞して立ち向かい続ける彼女に、コルベインは凝縮したサイキックエナジーの塊を放つ。間違いなくこれまでで最大の一撃――避けるという選択肢は、最初から頭の中になかった。ただ己の肉体とこれまでの積み重ねを信じて、真っ向から受け止める。
「……耐えたか」
「言ったはずです、屈することはないとッ!」
燃え盛る蒼炎の爆発が収まった時、そこには全身に大火傷を負いながらも、今だ倒れぬ「蒼き鷹」がいた。己の限界を突破して、全ての攻撃を耐えきった後は、ラスト5秒の逆転のターン。怪力を活かして敵に掴みかかり、必殺の投げ技の体勢に移行する。
「この一撃で、勝利を掴みますッ!」
いかに頑丈なボディであっても関係のない、心技体に敵の自重まで利用した一投。したたかに地面に叩きつけられたコルベインの身体に、ぴしりと音を立ててヒビが入る。その髑髏の口から微かに「……見事」という声が漏れたのを、「蒼き鷹」は確かに聞いた――。
大成功
🔵🔵🔵
宮比神・うずめ
◎WIZ
「復活を遂げたからには、世界をこのままにしておくつもりは無い」だって?ウチ的には永遠に眠っていて欲しいんだけどなぁ
お望み通りウチの力を見せちゃうからね!王様ッ!
そんじゃー、早速お掃除するんよぉ
バリエーションがないけど引き続き、カミ様にお力お借りして!
浄化射撃の天地開闢光をアンデッドを掃除しながら、コルベインに近づいていくんよぉ
ダンスを踊るように近づきたいけど、余裕ないだろうし素直に、顔面とかボコボコにしに近づくんよぉ!
接近できたらぐーぱんの要領で殴るついでに天地開闢光を打ち込みながら、天地開闢光を打ち込みながら、殴る蹴るを続けるんよぉ
あ、浄化射撃も忘れずに!
「『復活を遂げたからには、世界をこのままにしておくつもりは無い』だって? ウチ的には永遠に眠っていて欲しいんだけどなぁ」
一度は死んだはずの敵が復活するなんて、オブリビオンとはつくづく面倒な存在だとうずめは思う。それも『蒼の王コルベイン』ほどの大物となれば、直に対峙したプレッシャーは凄まじかった。とはいえ彼女も昔よりしっかりと実力を付けてきており、この程度では怯みもしない。
「お望み通りウチの力を見せちゃうからね! 王様ッ!」
「期待外れで無ければいいがな」
意気込む彼女の力量がどれほどのものか、コルベインは探っているように見えた。死に体だったとはいえ過去の自分に引導を渡し、サイキックハーツとダークネスの支配に終止符を打った灼滅者の力には、警戒とある種の期待があるのだろう。
「そんじゃー、早速お掃除するんよぉ」
バリエーションがないけどと思いながらも引き続き【神薙の神子(うちばーじょん)】でカミ様の御力お借りして、魔神「アベノウズメ」に変身するうずめ。まず最初の標的に見据えるのは、コルベインの周囲から湧いてきた【蒼の王軍】だ。
「よもやこの程度の雑兵に苦戦はすまい?」
「もちろんよぉ」
王のサイキックエナジーから際限なく召喚されるアンデッドを、うずめは浄化作用のある天地開闢光で掃除しながら進む。城の守衛を務めていたガルガンチュアは勿論、未完成段階のノーライフキングにも個体戦闘力では劣る連中だ。もっとも数の多さだけは相応に脅威だが。
(長期戦はちょっとまずいんよぉ)
本当ならダンスを踊るように近づきたいが、そこまでの余裕はうずめにもない。ここまで使い続けたユーベルコードの代償で、彼女は相当量の血液を失っているのだ。だから素直に最短経路上のアンデッドを消し去りながら進み、愚直にでもコルベインとの距離を詰める。
「顔面とかボコボコにさせてもらうんよぉ!」
「粗暴だな。だが、それもまた力か」
その接近にコルベインはサイキックエナジーの放出で応じるが、うずめはお構いなしに拳を握り、ぐーぱんの要領でぶん殴る。ついでに天地開闢光も打ち込んでやれば、水晶髑髏の顔面にまたひとつヒビが入った。表情に変化こそ見られないが、ダメージは間違いなく通っている。
「まだまだいくんよぉ!」
うずめはさらなる天地開闢光を放ちながら、殴る蹴るの連打を続ける。カミと己の膂力にものを言わせたシンプルな戦法ながら、それが通用することが実力の証明。もちろんアンデッドや不死者系に有効な浄化の光撃も忘れていない。
「……成程。我が識る時代とは別物だ」
世界の変化と猟兵の覚醒に伴い、大きな進化を遂げた神薙使いの力を味わって、コルベインは時代の変化を認める。
されど、蒼の王は膝を屈さず。再臨を誇示するが如く燃え盛るサイキックエナジーは、依然として収まる気配を見せなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
七草・聖理
ホワイト・ビヘイビアを中心に、サイキックエナジーとエネルギー関係の人類文明を対応する元老を設け、そこから強化を自身に施す
始めまして
私はエクソシストの灼滅者
発現したUCはサイキックを射出する、ともう一つ
ーー統合元老院クリスタル・ミラビリスを『正しく運用する』UC
5人の元老のUCを再現し、また六人目以降の人類文明を体現する新たな元老を生み出し私自身が掌握する…
ホワイト・ビヘイビアでサイキックエナジーに干渉し、漏出したサイキックエナジーを逆に弾丸として再構築
機械文明の元老を作り出しそれを射出する機械を作り出し、アッシュ・ランチャーの戦争運用UCでコルベインに打ち込んでいきます
「始めまして。私はエクソシストの灼滅者」
サイキックハーツ大戦後、旧時代最後の世代の灼滅者となる聖理は、記録でのみ知っていた『蒼の王コルベイン』と初めて対峙した。かつてサイキックハーツに至った強大なノーライフキングを前にしても臆さず、自己紹介を続ける。
「発現したユーベルコードはサイキックを射出する、ともう一つ――統合元老院クリスタル・ミラビリスを『正しく運用する』ユーベルコード」
発動するのは【新世代型人類発展組織・統合元老院】。ホワイト・ビヘイビアを中心に、サイキックエナジーとエネルギー関係の人類文明を対応する元老を設け、そこから強化を自身に施すという、かつてのノーライフキングの組織を模倣・発展させた能力だった。
「5人の元老のユーベルコードを再現し、また六人目以降の人類文明を体現する新たな元老を生み出し私自身が掌握する……」
「成程、悪くない。汝が闇堕ちしていれば、不滅の兜を授けるに足るノーライフキングになっていたかもしれんな」
統合元老院クリスタル・ミラビリスとは、蒼の王コルベインがかつて組織したものだ。彼の没後は元老を頂点としたノーライフキングの最上位機構として、人類の支配体制を築いていた。進化、石油、戦争、経済――現代の文明を支える様々な要素も全て彼らが与えたもの。それを利用せんとする灼滅者が現れた事に、王として驚きはないようだ。
「何より『正しく運用する』と来たか。灼滅者にしておくのが惜しいほど、邪悪で傲慢だ」
その言葉は皮肉ではなく、ダークネスとして本心からの賛辞だったのだろう。褒美としてコルベインが発動したのは【暴走する蒼の残滓】。漏出するサイキックエナジーによって触れるもの全てを消し去る、凶悪な無差別攻撃だった。
「我が光よ。水晶の屍を統べ頂点に立つ元老」
対する聖理は「ホワイト・ビヘイビア」の力で蒼の王のサイキックエナジーに干渉し、漏出したサイキックエナジーを逆に弾丸として再構築。新たに設立した「機械文明」の元老から、それを射出する機械を作り出す。実際の運用に用いるのは、戦争を司る「アッシュ・ランチャー」のユーベルコードだ。
「その全ての役割を私は個人で担い、人類を管理するのではなく共に発展する事を望もう」
「ほう
……!!」
撃ち込まれたサイキックエナジー弾は、コルベイン自身にさえ害をなし、肉体の一部を消滅させる。抉れるように消えた部位をなぞりながら、彼は正面の敵を見やる――かつて己が創始した元老院の威を借りて、自身を滅ぼさんとする灼滅者に、蒼の王は何を思ったか。
「敗者の屍を弄び、力を奪い、己が種族を発展させる……世界が変革されても汝のような者はいるのだな」
やはり我は正しかったと、コルベインは嗤っていた。駆逐されたかに見えた悪は灼滅者の中に生き残り、闇は生命を育んでいる。であれば統合元老院を復活させるのは、オブリビオンとして再臨した自分でも良いわけだ――手負いとなった姿とは逆に、王の内から溢れるサイキックエナジーは、より勢いを増しつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
メイティナ・ヴァーンフォルカ
【これが不死の王ですか…】
これはやるしかねえよな、メイティナさんよ…
裕士と私は戦闘態勢をとる
【私が囮になります】
OK!
敵のUCは心眼と気配感知でサイキックエナジーが着弾する前に推力移動で1メートル以内から離れて回避する
裕士は迷彩を使用して姿を消す
『そろそろ反撃と行きましょうか!』
私は看板と被り物は外して指定UCを発動して敵の懐に入り星導拳を叩き込む
とりあえず燃えとけよ、王様
背後から現れた裕士は焼却の弾幕を放ち敵を燃やす
『もう一つの終断!』
私は指定UCの効果でUCもう一つの終断を発動してアナザーベインで敵の起源を書き換えながら切り裂いた
さて俺も追撃しますか!
追撃に裕士も凍結攻撃の矢弾の雨を放った
【これが不死の王ですか……】
「これはやるしかねえよな、メイティナさんよ……」
対峙するだけでも直感的に分かる、圧倒的な存在感とサイキックエナジー。不死王の名にふさわしい強敵であることを認め、メイティナと裕士は戦闘態勢を取る。この『蒼の王コルベイン』は必ずここで倒さなければならぬ相手だと、二人とも確信したのだ。
「来るがいい。我も王として全力で応じよう」
コルベインの体内から漏出する【暴走する蒼の残滓】は、1秒ごとに触れたもの全てを消し去っていく。死者も生者も無機物さえも関係ない完全な消滅だ。いかに猟兵であっても、あれを潜り抜けて王に肉薄するのは至難の業である。
【私が囮になります】
「OK!」
メイティナは心眼と気配感知能力をフル回転させて、敵のサイキックエナジーが着弾する前に推力移動で回避する。
着弾地点から1メートル以上離れていれば消滅は免れるはず。敵の注意を引き付けるためにも、ギリギリのところで攻撃を避け続ける。
「……もう一人は姿を消したか。良いだろう」
この隙に裕士が迷彩を使ったことには、コルベインも気付いていた。その上で彼は索敵よりもメイティナへの攻撃を優先した。どんな策を弄されても正面から打ち破るという王としての矜持だろう。それを油断とは呼ばせないだけの力が彼にはあった。
『そろそろ反撃と行きましょうか!』
しかしメイティナも負けてはいない。数十秒に渡って【暴走する蒼の残滓】を凌ぎ続けた彼女は、看板と鳥の被り物を放り捨てて【星導覚醒・星龍アステール】を発動。黄金のオーラを身に纏うと、背中から翼を生やして急加速する。
『星導拳!』
「ぐッ……!」
超越した速度によって敵の懐に入りこんだ彼女は、ガードの暇も与えず拳を叩き込む。別世界では『英雄』あるいは『扇動者』と呼ばれた女神の本気は、不死王の水晶体に一撃でヒビを入れる威力があった。コルベインの口から微かにうめき声が漏れる。
「とりあえず燃えとけよ、王様」
「貴様ッ……オォぉぉ
……!!」
その直後、迷彩を解いた裕士がコルベインの背後に現れる。彼が放った焼却の弾幕は、不死王の外套に火を点けた。
火達磨となって苦悶する王に猶予は与えられず、次はまたメイティナが正面から切り込む。抜き放たれた終断神剣「アナザー・ベイン」の刀身が、蒼のエナジーと紅の炎に照らされた。
『もう一つの終断!』
対象の起源を書き換える神の斬撃は、コルベインの存在そのものを深々と切り裂いた。魂まで貫かれたような衝撃にさしもの蒼の王もよろめき、膝を付きかける。それでも屈しなかったのは、やはり王の矜持のなせる業だろうが――。
「さて俺も追撃しますか!」
追撃に裕士も矢弾の雨を放てば、先程焼かれたコルベインの身体はたちまち凍結していく。蒼氷に包まれた骨と水晶の怪人は、美術館の芸術品のようでもあり。されど、その内にある魂とサイキックエナジーの鼓動は、まだ止まってはいなかった。
「ダークネスに非ざる者が、これほどの力を……世界とは広いものだな」
現代のサイキックハーツを守るのは灼滅者だけではない。異世界から訪れたメイティナたち猟兵も、オブリビオンを滅するために力を振るう。不死の王なにするものぞと言わんばかりの猛攻が、一つまた一つと傷を増やしていく――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
僕の知る限りですと
裏切り者の人類管理者、原初の母、戦闘存在、伯爵級ヴァンパイア等の共謀によって蒼の王は討たれた
生前のコルベインは全知的生命体を一挙に闇堕ちさせる手段を確立し
自らと同化する
魂を増やすために人類を守護する現人神
文明の発展に寄与し
貧富の格差や人種問題を促し
戦争を管理していた
その功罪は計り知れず、今の貴方に全盛期の力は無い
それは世界から排出された過去の化身故か
◆僕らは死を踏み生きている
火炎耐性+破魔の念動力を限界突破
サイキックの炎をダッシュ+切り込みで踏み越え
怪力+重量攻撃のグラップルで殴り抜く
王よ。サイキックハーツはダークネスでも灼滅者でもなくエスパーを選んだ
それが全てです
「僕の知る限りですと、裏切り者の人類管理者、原初の母、戦闘存在、伯爵級ヴァンパイア等の共謀によって蒼の王は討たれた」
当事者である『蒼の王・コルベイン』の前で蔵乃祐が語るのは、この世界の歴史だった。全ての知的生命体の統合、ダークネスの極点たるサイキックハーツへの到達を目前にした王の失墜。この事件がなければ武蔵坂学園が誕生するはるか以前に、人類は滅亡していただろう。
「生前のコルベインは全知的生命体を一挙に闇堕ちさせる手段を確立し、自らと同化する
魂を増やすために人類を守護する現人神。文明の発展に寄与し、貧富の格差や人種問題を促し、戦争を管理していた」
「随分と詳しいようだな」
全人類エスパー化による新時代の到来と共に、ダークネスに秘匿されてきた世界の真実も一般公開された。異世界の猟兵である蔵乃祐がこのように詳細を知っているのもそれ故だ。自らの生前の行状を他者の口から聞かされることを、コルベインはどう思っているのか、表情からは窺い知れない。
「その功罪は計り知れず、今の貴方に全盛期の力は無い。それは世界から排出された過去の化身故か」
少なくともオブリビオンとして復活したコルベインに、サイキックハーツ到達寸前の『蒼の王』の力は無いだろうと蔵乃祐は推察していた。破壊された頭部を取り戻して自我と知性は回復したようだが、純粋な力ではまだ猟兵や灼滅者が太刀打ちできるレベルだ。
「左様。だが今の我でも汝らに遅れを取りはせぬ」
最盛期でなかったとしても、依然として強大なノーライフキングであるコルベイン。その身から放たれる【蒼い光】は、体内から漏れ出したサイキックエナジーそのものだ。彼がひと睨みするだけで戦場は蒼色に燃え盛り、破壊と死が齎される――。
「この身が壊れど歌う……」
対して蔵乃祐は【僕らは死を踏み生きている】を発動。己の限界を超え闇の真の姿に変身すると、サイキックの炎に猛ダッシュで切り込んでいく。破魔の念動力を身に帯びることで火炎耐性を高め、真っ向から蒼の王に迫るつもりだ。
「屈せよ! この『蒼の王』の威光に!」
爆発的に【蒼い光】を放ち、己の力と威厳を誇示するコルベイン。かつての彼はその言葉通りに数多のダークネスを従え、大勢力を率いた絶対的君主であった。しかし今や、その威光に怯える者はいない――時代の変化を示すように、蔵乃祐は炎を踏み越えた。
「王よ。サイキックハーツはダークネスでも灼滅者でもなくエスパーを選んだ。それが全てです」
怪力と重量を乗せた剛拳の一打が、コルベインの頭部を殴り抜く。水晶の髑髏にまた一つ、ぴしりと亀裂が走った。
全人類を統合していたソウルボードも分割され、世界は脈々と繰り返されてきたサイクルを脱し、新たな時代に突入した。過去の亡霊がなにをしようとも、これは覆し難い事実だ。
「……だとしても。我が為すべき事はひとつ」
たとえ猟兵の言ったことが真理だとしても、それはコルベインが道を曲げる理由になりはすまい。我が身が再び朽ちるまで徹底抗戦の構えを取る『蒼の王』を前に、蔵乃祐もそれ以上の事は語らなかった。過去の化身を骸の海に還す、それが猟兵の「為すべき事」である以上、最後は拳を交えるほか無いのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
かつての大戦は終われども…それでもなお悪の道は栄え、不死の者が整えた文明はあらゆるところに残っている
…言ってしまえば、世界は未だ痛みの上に存続している
それでも、これからオレらはそういった物事にケリつけるために生きてくんだ
…お呼びじゃねえんだ、すっこんでろよ蒼の王!
バイクで空飛びながら下を見てみれば蒼の王軍がうじゃうじゃしてるな
不死なるモノには、光と神聖攻撃と浄化マシマシの神の御業をぶつけるっきゃねえ、王軍ごと蒼の王もまとめて攻撃する
…その前に、聖句を唱え祈りを捧ぐ
――光は闇の中に輝いている。そして、闇はこれに勝たなかった
UC発動、お前らが
よくご存知のヤツ喰らっとけ!
「かつての大戦は終われども……それでもなお悪の道は栄え、不死の者が整えた文明はあらゆるところに残っている……言ってしまえば、世界は未だ痛みの上に存続している」
ヒトという知的生命体が文明を築き始めた頃から、ダークネスは人類を陰から支配し、闇堕ちを促進させるべく悪の芽を撒いてきた。奴らの「見えざる圧政」がなければ人類文明が現在の発展を遂げることは無かったであろうことを、ギュスターヴはかつての戦いで知った。いきなり全てを捨て去り、文明を後退させることは現実的に不可能だ。
「それでも、これからオレらはそういった物事にケリつけるために生きてくんだ」
もはやダークネスに世界を統べる力はない。人類が自らの力と、自らの責任をもって未来を切り拓いていく、それが現在の世界のカタチだ。サイキックハーツ大戦に勝利し、新時代の旗手となった灼滅者の一人として、ギュスターヴも責任から逃げるつもりはない。
「……お呼びじゃねえんだ、すっこんでろよ蒼の王!」
魔導書バイクで空を飛び、敵を見下ろしながら啖呵を切る。視界には『蒼の王コルベイン』のサイキックエナジーが呼び出した【蒼の王軍】がうじゃうじゃしているが、ビビることは全く無い。どいつもこいつも所詮は過去の亡霊だ。
「灼滅者風情が不遜な事だ。これも時代の変化というものか」
面と向かってこのように言い捨てられる経験など、生前のコルベインにあっただろうか。どこか面白がるような鷹揚な態度で、彼はアンデッドの大軍を指揮する。一体一体の力は大したことはないが、王が倒れぬ限り幾らでも復活する不死の軍勢は、定命の者にとって大きな脅威となる。
(不死なるモノには、光と神聖と浄化マシマシの神の御業をぶつけるっきゃねえ)
軍勢ごと蒼の王もまとめて浄化する算段で、気合を入れるギュスターヴ。攻撃を放つ前に聖句を唱え、祈りを捧ぐのはエクソシストとしての心得か。首から下げたロザリオが、不死王の邪悪なサイキックエナジーとは違う「浄化の光」を放ちだす。
「――光は闇の中に輝いている。そして、闇はこれに勝たなかった」
人は生を賛歌する。我が揮うは、その賛歌を守るため――いつの日か茨の冠に捧げた誓いは、今もまだ変わりなく。
聖なる、聖なる、聖なるかなと唱えるたび、敬虔なる意志は神の祝福を具現化し、悪しきものを滅ぼし善なるものを救う、裁きの光条を顕現させる。
「お前らが
よくご存知のヤツ喰らっとけ!」
かつてはエクソシストのサイキックであり、ユーベルコードへと進化を遂げたそれは、目も眩むほどの極光となって戦場を灼く。あまりにも強大な浄化の力を受けたアンデッドどもは「グオアアァァァァァ
……!!!」と悲鳴を上げ、たちまち溶けて崩れ去るか、塵となって消滅する。
「これが、現代の灼滅者の力か……! 言うほどの事は、あるようだ
……!!」
大ダメージを受けたのは【蒼の王軍】だけでなく、コルベイン本人もそうだ。名前は同じでも、もはや別物と言っていい規模と威力になった【ジャッジメントレイ】を目の当たりにして驚嘆を禁じ得ない様子。痛みの上に成り立つ世界にケリを付けるというギュスターヴの言葉も、決して冗談ではないと分かる、それは信念の光でもあった――。
大成功
🔵🔵🔵
タシュラフェル・メーベルナッハ
そうね、かつて
灼滅者が会った貴方は、自我らしきものをまるで持たなかった存在。
実質はじめまして、で合ってるわね。
あの時の問いの答えは…言わなくても把握しているかしら。
闇が生命を育むことだけは認めてもいいけど、後は看過するわけにはいかないから。
此処で、改めて倒させて貰うわ。
それにしてもとんでもないサイキックエナジーの量ね。
まともに受けたら無事じゃ済まないわ。
なら…二人がかりで攻めましょう。
闇の自我を発動、
私と其々別方向からLichtKugelの【エネルギー弾】で攻撃するわ。
『
私ったら、こんなこわいのと、たしぇをたたかわせよう、なんて…』
私も一緒だから大丈夫。さ、やるわよ。
『むう。それなら、がんばる』
敵の攻撃は毎秒飛んでくるけど、私達が互いに2m以上離れていれば両方同時には攻撃できない筈。
だから、二人のうち攻撃が来た方は回避に専念し、来なかった方が反撃する、って形で戦い、着実にダメージを重ねていくわ。
この戦い方も、闇との新たな共存の形…なんてね。
「そうね、かつて
灼滅者が会った貴方は、自我らしきものをまるで持たなかった存在。実質はじめまして、で合ってるわね」
不死王戦争で武蔵坂学園の灼滅者が水晶城に攻め込んだ時のことを、タシュラフェルは思い出す。他のダークネスに力を簒奪された『蒼の王コルベイン』はアンデッドの如き状態で辛うじて存在を繋ぎ止められ、部下の手で秘匿されていた。頭部を失った痛々しい有り様と、うわ言の如く垂れ流さされる残留思念の呟きは、今でも思い出せる。
「あの時の問いの答えは……言わなくても把握しているかしら」
「無論」
そして現在、オブリビオンとなったコルベインは自身が灼滅者に敗北した事も、その後の世界の変遷も知っている様子だった。世界は悪に満ちているか、闇は生命を育んでいるか、彼の他に誰か『サイキックハーツ』に到達したか――その問いの答えは否である。
「闇が生命を育むことだけは認めてもいいけど、後は看過するわけにはいかないから」
人類の闇堕ちを促進するため、ダークネスが意図的にばら撒いた悪は否定され、知的生命体が次のサイキックハーツに到達する未来はなくなった。全ては武蔵坂学園の灼滅者が戦いの果てに掴み取った結果であり、コルベインのような「王」が君臨する時代は去ったのだ。
「此処で、改めて倒させて貰うわ」
「すでに変革が成った以上、汝の言う事は道理であろう。だが我も、淘汰されるために蘇った訳ではない」
不死王にもう一度――あるいは今度こそ、自分達の手で引導を渡すと宣言するタシュラフェル。コルベインは彼女の言葉を否定しない一方で、全力を以って道理を覆さんとする。それはオブリビオンとしてダークネストして、揺るがぬ性と言うべき物なのだろう。
「それにしてもとんでもないサイキックエナジーの量ね。まともに受けたら無事じゃ済まないわ」
コルベインから漏出する【暴走する蒼の残滓】は触れただけで全てを消滅させる、極めて破壊的なユーベルコード。
猟兵になった今のタシュラフェルでも、直撃すれば命が危うい。こちらの攻撃などもサイキックエナジーに当たれば相殺されてしまうため、攻め込むのも至難の業だ。
「なら……二人がかりで攻めましょう」
そこでタシュラフェルは【闇の自我】を発動。自身の魂に眠るダークネス人格『妖艶なタシェ』を切り離し、分身として召喚する。幼くも浮世離れした雰囲気を放つヴァンパイアの娘が、鮮血の香りを伴って彼女の傍らに姿を現した。
『
私ったら、こんなこわいのと、たしぇをたたかわせよう、なんて……』
「私も一緒だから大丈夫。さ、やるわよ」
『むう。それなら、がんばる』
意思疎通を交わした二人の「タシェ」は、それぞれ別方向に散りつつ「LichtKugel」のエネルギー弾を発射する。
攻撃を受けたコルベインは膨大なサイキックエナジーの一部を防御に回しつつ【暴走する蒼の残滓】で反撃。それは毎秒一発のペースで間断無く飛んできては、着弾点から半径1mをえぐり取るように消し去っていく。
(けど、私達が互いに2m以上離れていれば両方同時には攻撃できない筈)
いかに攻撃頻度が高くても「同時に2発」がないことを見抜いていたタシュラフェルは、
自分と
自分の二人のうち攻撃が来た方は回避に専念し、来なかった方が反撃する、という戦法を取った。これなら被弾のリスクを減らした上で、着実にダメージを重ねていける。
「敵のエナジーの気配に注意するのよ」『わかってるよぉ』
「ぬぅ……!」
付け焼き刃の連携であれば攻撃と回避の切り替えが上手くいかず、蒼の残滓の餌食になっていただろう。だが彼女達は同じ魂に宿った表裏一体の人格。肉体が別々になっても完璧に息の合った動きで、コルベインをきりきり舞いさせていた。
「この戦い方も、闇との新たな共存の形……なんてね」
「……確かに、かつては絶対にあり得ぬ事であろうな」
人間(灼滅者)とダークネス、二つの人格は決して共存できないのが過去の常識だった。それがまさか手を取り合って共通の敵に立ち向かうなど、想像すらできなかった事が目の前で起きている。ユーベルコードによる現象とは言え、新時代の到来をコルベインも認めざるを得まい。
「終わりにするわ、
私」『いいよぉ、
私』
攻撃と回避を目まぐるしく入れ替える、じりじりと拮抗した戦いの末、遂に【暴走する蒼の残滓】の漏出が止まる。
決着を付けるなら今だと、二人のタシェは残された全てのエネルギーを光の弾丸に変えて、蒼の王へと撃ち放った。
「――
……!!!」
星がまたたくほどの刹那に、二つの閃光が突き抜けていき――コルベインの胴体には、大きな風穴が穿たれていた。
出血の変わりに溢れ出すサイキックエナジーの量は、見るからに致命傷。本人もそれで死期を悟ったか、動揺する事もなく頭を上げる。
「我の敗北か。見事だ、新しき時代を守護する者達よ……」
その言葉を最期に、蒼の王コルベインの骨と水晶はバラバラとなり、すぐに塵一つ残さず消滅し、骸の海へと還る。
そして水晶城もまた主の滅びと共に崩壊する。急ぎ脱出を果たした猟兵達が見たものは、かつて栄華を誇った屍王の城が、再び歴史の闇に埋もれていく光景だった――。
かくして、猟兵達は阿佐ヶ谷に襲来したノーライフキングの軍勢を退け、『蒼の王コルベイン』討伐を成し遂げた。
不死王の再臨は阻まれ、歴史の針は正常に時を刻む。この世界がまだ一度も経験したことのない、新しい時代へと。
大成功
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