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九衛村の長き一日、再び明日を迎える為に

#UDCアース #戦争モノ


 時刻は早朝、まだ日も上がらぬ刻限。山間の盆地にある村は、周囲の山々に遮られるせいもあって、日の出は平地よりもさらに遅い。未だ家々に明かりはなく、野良仕事をする老人の姿を見るにもまだ早かった。
 そんな眠りにつく村を見下ろす集団がある。ツナギ、スーツ、私服。服装も年齢もバラバラではあるが、みな一様に怪しい光を目に宿している点が共通していた。
「準備はどうだ?」
 リーダー格と思しき瘦せぎすの男が、周りの面々に問いかける。それに応じ、それぞれツナギとスーツ姿の男が声を潜めながら、囁くように答えた。
「教団員は既に村の各所へと移動を終えています……合図さえあれば直ぐにでも」
「生贄とする少女の目星もつけています……工事業者の制服もそれらしいものが人数分取り寄せられました」
 話される内容は不穏さと剣呑さに満ちている。たが、その場にいる誰もがそれに疑問を持つことも、異議を挟むこともない。彼らはこの計画のために、時間をかけてきたのだから。
「村人に不信感や警戒感を抱かれたりはしてないな?」
「ここ数日、工事業者や観光客の振りをして歩き回っていましたので……住人も、もう見慣れた頃合いかと」
 教団員の報告に、リーダー格の男は満足げに頷く。
「よし……出来る限りの手は打った。技術や装備は無くとも、我々の信仰心に曇りはない」
 成功させるぞ。そう狂信に染まった笑みを浮かべるリーダーにつられ、信者たちも顔を歪ませ不気味な弧を形作る。
「村一つ生贄になろうと、邪神さえ蘇れば全ての死者が生き返るのだ……何も躊躇うことはない。さあ、計画を実行に移そう!」
 そう宣言する男の声が、未だ夜の帳に包まれる盆地へと木霊し……。


「いや、猟兵の予知なら包み隠さず分かってしまうんだけれどもね? という訳で、その計画とやらを潰してしまおうか」
 集まった猟兵たちへ、一通りの情景を語ったユエイン・リュンコイスはそう首を傾げた。手にした情報端末をぽちぽちと叩いて進めていた推理ノベルゲームを中断して、本格的な説明へと入る。
「今回の舞台はUDCアース。ある邪教団が村一つを生贄に捧げて、死者蘇生能力を持つ邪神を蘇らせようとしているらしい」
 狙われるのは九衛村という、山に囲まれた小村だ。邪教団は時間を掛けてここへと溶け込み、陰謀を張り巡らせている。九衛渓流という知る人ぞ知る名渓を擁するこの村が狙われたのには、二つの理由があった。
「まず、この村は名前の由来にもなった九つの山に囲まれた盆地だ。必然、外への移動手段も限られていて、山間にあるただ一本の道路が唯一村外へと続く道だ」
 邪教団は工事という名目でここを封鎖、住民に気取られる事無く外部との接触を断つ狙いである。そこを抑えられたら事実上、九衛村は孤立してしまう。
「その後、彼らは邪神復活の生贄として、住民より選定していた十代前後の少女たちを強引に拉致。その後、九衛渓流から程なく上った場所にあるダムを破壊するつもりだ」
 そうなれば、必然村は水底へ沈む。村人は一人残らず濁流へと飲まれ、命を落とすだろう。邪教団はその光景を生贄に見せつけ、極限まで絶望を高めた上で贄とし、邪神を復活させるつもりなのだ。
「彼らは既に事前準備を終えている。今から住民全員を避難させるのは現実的じゃない……さて、前置きが長くなってしまったね」
 状況の説明を終えたユエインは、一区切りつける様にこほんと小さく咳払いする。
「長々と説明したけれど、みんなにやってもらいたいことは単純だ……彼らの横っ面を思い切りぶん殴って貰いたい。徹底的に、ぐうの音も出せないほどにね」
 邪教団の計画は綿密に手順が定められているが、彼らはそもそも専門家ではないのだ。その計画は危ういバランスの上で成り立っており、一つが狂えば一気全体が瓦解する。
「さて、具体的な選択肢は大まかに分けて三つ。全て阻止されるのが最良だけど、どれか一つだけでも問題は無いよ」
 第一は、工事業者になりすまし、道路を封鎖している信者たちの排除。
 第二、生贄として信者に誘拐されそうになっている少女たちの救出、ないしは防止。
 第三、ダムへ侵入し破壊しようとする信者たちの鎮圧。
 以上の三つのうち、どれか一つでも成功すれば邪教団の計画は崩れる。狙いを潰した分だけ相手も慌てふためき、次の行動を有利に進められるかもしれない。相手はオブリビオン、情けは無用だ。
「手段は村人の命に関わる様なものでなければ内容を問わない。寧ろ、相手は隠密と隠蔽を重視しているようだからね? いっそ突きぬけるほど派手にやってしまって構わないし、妨害さえできれば暴力的な手段でなくとも問題ないだろうね」
 もしそれで不都合な事象があったとしても、後処理はUDC組織が記憶処置やカバーストーリーで取り繕ってくれる。計画を防げなかった場合を考えれば、微々たる労力だろう。
「それに、だ。他人を踏み台にした御大層な理念やら、犠牲を前提とした壮大な計画……それを蹴り飛ばしてやるのは、中々愉快だとは思わないかい?」
 珍しく、不敵で嗜虐的な笑みを浮かべるユエイン。彼女の言いたいのはとどのつまり、節度を守って好きにやれと言うことだ。
「その後、泡を食って飛び出して来る戦闘担当の信者や邪神ごと、徹底的に打倒してほしい……頼んだよ?」
 そう言って、彼女は猟兵をおくりだすのであった。


月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 今回は山間の小村を舞台に、一日使って邪教団の計画を阻止していただきます。

 時間軸としては、第一章は早朝から午前中、第二章は午後から夕方、第三章は日の沈んだ夜の想定です。

 まず第一章では、村内部で活動している教団員たちを片っ端から叩きのめしていただきます。
 彼らは道路の封鎖や生贄となる少女の拉致、ダムの破壊を担当しています。行動している場所や内容はOPの通りです。一般人の振りをしていますが、予知で顔は割れています。見つけ次第片っ端から無力化してください。
 方法は村人に被害が出ない限り自由です。突拍子が無かったり、大規模な行動であっても、UDC組織が後で何とかしてくれます。

 第二章では泡を食って飛び出してきた戦闘担当の信者と集団戦、第三章では不完全に復活した邪神との戦闘です。

 それではどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『生贄救出』

POW   :    力ずくで扉、壁などを破壊する。敵をねじ伏せ突破する。

SPD   :    思いもよらない侵入経路等を見つけ、身のこなしで突破する。

WIZ   :    構造上の不備を突いて侵入する。敵を騙して生贄を解放させる。

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 朝日がゆっくりと登り始め、徐々に空が白み始めた時分。ようやく村が目覚め始めたという刻限だが、邪教団の信徒たちは行動を開始しているだろう。
 村唯一の道路を封鎖し、登下校を始める少女たちの身を攫い、ダムの破壊を目指して動き始める。
 だが、動き出すのは彼らだけではない。転送された猟兵たちもそれを打ち砕くべく、村の各所へと散ってゆく。
 九衛村の長き一日は、まだ始まったばかりである……。

※マスターより
 執筆に着手出来るのが明日17日夕方よりなので、可能であればプレイングは17日の8:30以降にお送り頂けますと幸いです。
 どうぞよろしくお願い致します。
エメラ・アーヴェスピア
ダムの破壊…止めなくては相当被害が出るわね
まぁ、それ以外も止める事には変わりはないわ

…三か所をほぼ同時に攻略、結構大変ね…決めたわ
村のはずれ、一目がつかないような所がいいわね
そこに陣取って空間投影で色々と展開
そこから『ここに始まるは我が戦場』
主に三か所にばらけて展開すればいいのだから楽なモノね
敵の位置や状況、少女達やダムの方の職員などの救出対象等
兎に角【情報収集】よ

そして後は散らばる同僚さん達への連絡や情報提供を行う
所謂作戦本部代わりを私がやらせてもらうわ

もし誰も同僚さんが向かわない場所があるなら『出撃の時だ我が精兵達よ』で兵を派遣するわね

…仕事の時間よ、作戦を始めましょう

※アドリブ・絡み歓迎


メタ・フレン
成程。
確かに中々痛快で小気味良い依頼ですね。
力づくでもいいんですけど、ここは敢えてスマートにいきましょうか。

まず【グッドナイス・ブレイヴァー】を【操縦】して村中を飛び回らせ、教団員達の顔を【撮影】します。
次に【ハッキング】で適当な朝の情報番組を電波ジャックして、【撮影】した教団員の顔と一緒に、教団の陰謀を日本中のお茶の間に暴露します。
自分達の企みが晒されれば、計画どころじゃなくなる筈。
後処理が大変でしょうけど、そこはUDC組織にお任せします。
奴らがヤケを起こした時に備えて、【エレクトロレギオン】115体を予め村中に配置しておきますね。

え?全然スマートじゃない?
でもこれが私のやり方ですから。



●払暁:情報制す者こそ勝利を得る
 重い夜の帳が、旭光によって徐々に晴れてゆく。もうそろそろ、寝起きの早い住民は目を覚まし始める頃合いだろう。だが、邪教団の信徒たちは既に動き始めている。そして猟兵たちも、わざわざ彼らの後塵を拝す謂れもない
「ダムの破壊……止めなくては相当被害が出るわね。まぁ、それ以外も止める事には変わりはないわ」
 村と言っても山に囲まれた盆地、身を隠す場所には事欠かない。山間の斜面、木々が伐採されぽっかりと出来た空白に陣取り、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は村全体を見下ろしていた。
「三か所をほぼ同時に攻略……どれか一つ成功すればいいとしても、結構大変ね。戦力が偏ってすべて失敗、なんて目も当てられないもの」
「であれば、やることは一つですね。力づくでもいいんですけど、ここは敢えてスマートにいきましょうか」
 その横に並び立つ、メタ・フレン(面白いこと探索者・f03345)がエメラの言葉にうなずきを返す。相手はやたらと事前準備だの計画手順だのに執心していたが、それらは極論一つの単語に置き換えることが可能だ。
「戦いは始まる前から……とはよく言ったものね。『ここに始まるは我が戦場』! 救出対象の少女達や、ダム職員の現在位置から把握を進めましょうか」
「では、こちらは上空より教団員の所在と面相を把握してしまいましょう……試したいこともありますしね」
 とどのつまり、それは情報。計画の成否は八割方それにかかっていると言って過言ではない。その点において、彼女らは邪教団よりも長けていた。エメラの周囲に缶状のサーチドローンが召喚されるや、斜面を転がって加速しながら村中へと散らばってゆく。また一方では、メタが動画撮影機能を持つ飛行ドローンを呼び出すと、滑る様に音もなく飛翔していった。
「さて、と……来たわね」
 エメラが虚空へと操作パネルを投影し情報を待っていると、程なくして文字列や画像が画面に踊り始めた。極めて高いステルス性を持ったドローン群は邪教団や当の村人に気付かれる事無く、生贄と目される少女達の所在やそれとなく動き回る邪教団の配置をリアルタイムで報告してくる。
「道路側は既に封鎖が始まっているわね……ダムについても先行して侵入した信者に加え、増援が移動中、と。少女達にはまだ接触していないようね。時間帯的にまだ家の中でしょうし、こちらは未然に防げるかしら?」
 次々と上がってくる情報を場所別に精査し、分かりやすいように取り纏めて各所に向かっている猟兵たちへと共有してゆく。三か所に万遍なく戦力が向かっている為、こちらは作戦本部として情報収集に専念できそうである。
「十分な顔写真と、制服やつなぎから名前も可能な限り割り出せましたね。出来れば、電波ジャックでもかましてやりたいところですが……自然豊かというのも善し悪しです」
 一方でメタとしては意趣返しも兼ねて、邪教団の計画を全国テレビ放送で暴露してやろうと考えていたのだが、九衛村の地形がそれを阻んだ。盆地状で外との電波状態が良くない上、ネットの回線だって速度が遅い。無論やってやれないことも無いが、時間がかかりすぎて目途が立つ頃には全てが終わってしまっているだろう。
「ですが、どんな物事にだってやりようはありますから」
 だが逆説、この小村内部であれば彼女一人の手に収めることも可能だ。ドローンと並行して村内へ散らせていた小型の機械兵器たちがメタの命令を受け、町内放送や有線テレビのケーブルに取りついてゆく。電子戦とて戦闘の一種、得手とはいかないがこの程度ならやれないこともない。
「そろそろ、朝食を取りつつ朝のニュース番組でも見ている時間帯。村内の有線放送も拝借できましたし、暴露としては十二分でしょう」
 大変でしょうけど、後始末はUDC組織にお願いしましょうか。そう一人ごちると、メタは躊躇なく情報を電子の海へと投入した。
 ――こちらは、九衛村、防災放送です……。
 その瞬間、村内各所のスピーカーからエコーと共に合成音声が流れ、邪教団員の氏名が垂れ流され始める。各家庭のお茶の間では、彼らの顔写真もテレビ画面に映っていることだろう。
「今頃、UDC組織の人間が頭を抱えてそうね……」
「でも、これが私のやり方ですから。それに効果もあったようですし」
 苦笑するエメラにしれっと返すメタ。彼女たちは、俄かにざわつき始める村の様子を手に取る様に知ることが出来ていた。表に出てご近所と顔を見合わせる老人に、放送所へと慌てて向う青年団員、テレビに噛り付く農家のおじさん。そして……血相を変えて慌てふためく教団員たち。
「確かに、奇襲効果は上々。さて、ここからが本番ね……仕事の時間よ、作戦を始めましょう」
 激変し始めた状況を素早く分析し、エメラは仲間へと共有してゆく。情報戦は猟兵側の勝利と言ってよいが、相手の動き次第ではまだまだ巻き返される可能性もあるだろう。
 九衛村の長き一日は、まだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
たのしいかどうかはわかんないけど、とめなきゃいけないんだよね。

うん、ユエインさんのいうとおりけっとばしてやっつけるよ。

ダムをこわそうとしてるやつらをとめるね。

スカイステッパーを念動力で加速してとびこんでその勢いのまま、吹き飛ばしの技能もつかって敵をどんどん蹴っ飛ばすよ。

ダム壊されないようにいそいでやっつけるね。

人をいきかえらせられる力……オブリビオンにするか、ゴースト・リボーンみたいなことするか、召喚系ユーベルコードをつかうか……そんなとこだろうしね。


セルマ・エンフィールド
死者蘇生能力を持つ邪神を復活させて全て元通り……そんな都合のいいことがあるとでも? まぁ、あると信じているからこそ村一つを生贄にしようとしているのでしょうが。
そんなものに付き合うつもりはありませんよ。

【第三】

道路を封鎖している信者の排除も考えましたが、日没後ということであれば暗視機能のあるスコープが役立つでしょうし、こちらを担当しましょう。

ダムを破壊するというのであれば必ず何かしらを仕掛けに来るはずですし、待ち伏せから狙撃をします。
【氷の狙撃手】の射程は700m強、これだけあればいい狙撃ポイントは見つかるでしょう。
全員を倒せずとも、計画が不可能だと思わせられればそれでよし、ということで。


四季乃・瑠璃
緋瑪「派手にやって構わないだって、瑠璃♪」
瑠璃「お隅つきも出たし…派手にやろうか、緋瑪」

【ダブル】で分身
ダム破壊班の殲滅へ
二人で連携して戦闘。【範囲攻撃】火力調節した接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で先制爆撃。爆破による混乱と爆風で視界が封じられてる間に再度放り込み、K100で【クイックドロウ】で銃撃しながら接近。一人ずつ胸や頭部を的確に撃ち抜き、残る相手はダガーで切り裂いて始末。

殲滅後はダム破壊の仕掛けを【罠使い、ハッキング】で解除。
ボムで爆破して始末するよ

緋瑪「はい、お~わり♪手加減したけど、大分あっけなかったねぇ」
瑠璃「戦闘員じゃないみたいだし、こんなものじゃないかな」

※アドリブ等歓迎



●早朝:妄執の群れは隘路を駆ける
「ダムだって、いつかは取り壊す。そうした解体時の為に『ここを壊せば崩れる』というポイントが存在する……そこさえ分かってしまえば、素人の我々でも破壊は可能だ」
 ざっざっざ、と。碌々整備されていない道を数十もの人影が突き進んでいる。九衛村からダムへと続く道を歩むのは、ダム破壊を担当する教団員たちだ。彼らは人目を憚ることもせず、足早に先を急いでいる。
 どうやら村から離れていた為に、先ほど起こったダイナミック情報暴露について彼らはまだ何も知らないようであった。
「既に先発した同胞らが、管理所を抑えたとのこと。我らの役目は解体工具の運搬と実作業だ、もたもたしてはおれん。さぁ、先を…」
「それはだめだよ。ダムがこわれちゃったら、みんな死んじゃうから……ここで止まってもらうからね」
 先頭を行く男が後ろを振り向いた、その時。隊列の中心に一つの人影が飛び込み、同じく一つの人影が吹き飛んだ。それが空を蹴って吶喊してきたレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)と、文字通りの飛び蹴りによって気絶した教団員であると男が気づいた時には、更にもう数名がレイチェルによって薙ぎ払われていた。
「な、なに……敵だと!? 情報はどこから漏れたんだ……ええい、相手は女一人だ、取り囲んで叩き殺せ!」
 そこで咄嗟に反撃を命じられるだけ、男は優秀だろう。金属製の工具を手にレイチェルへと襲い掛かる者も決して反応は悪くない。だが悲しいかな、彼らは荒事には慣れておらず……他にも敵が居るという可能性にまで気が回らなかった。
「派手にやって構わないだって、瑠璃♪」
「お隅つきも出たし……派手にやろうか、緋瑪」
 声は二つに人影二つ、容姿とても瓜二つ。落ち着いた雰囲気の四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と、明るい別人格である緋瑪。姿を見せた彼女らがまるでキャッチボールの様な気軽さで放り投げてきたものを見て、男は目を剥く。
「手榴弾……おい、まてやめろ! こっちには爆破用の火薬がっ!?」
「一応、火力の調整はしましたけど……ま、そちらに関しては自業自得ですね」
 教団員の懇願をにべもなく切り捨てる瑠璃。元より、作業用の工具を抱え込んでいた連中だ。瞬時に駆け出したり、その場に伏せたりなど出来るはずもない。咄嗟に己の後方へ爆薬を詰めたケースを放り出しただけでも上出来だろう。
 無論、それに手一杯で手榴弾への対処など間に合うはずもなく……炸裂した火薬による爆風と破片群が教団員へと襲い掛かった。それらは彼らを纏めて薙ぎ払うと同時に、濛々とした土煙で視界を奪い去る。
「げほ、がはっ! オイ、何人やられた!?」
「分からん! だが、工具が盾になって助かった奴も多いはずだ!」
 煙中より上がる声から、無力化できた数が規模に比して少ないことが分かる。威力を抑えたというのもあるが、頑丈な工具によって体が守られたのも大きな要因だろう。教団員たちは各々視界の効かない煙の中から逃げ出そうとする、が。
「うーん、ちょっと残念。花火みたいに派手に爆発するかと思ったんだけどな~」
「でも、そうなったら私達も巻き込まれていただろうね」
「あ、それはちょっと困るかも!」
 そんな動きなど、猟兵にとっては無防備同然である。風切り音と共に振るわれる諸刃の短剣、立て続けに響き渡る大口径拳銃の発砲音。緋瑪と瑠璃は互いに軽口を叩き合いながら、一方で正確無比な手際で教団員を無力化していった。
「そ、それなら……これがありゃあ、手を出せないだろうがよ!」
 だが、相手も数だけは多い。煙中から脱出することに成功する者もちらほらと出始めており、そのうちの一人が放り投げられた爆薬ケースを拾い上げ、盾代わりに掲げた。もしそれが炸裂すれば、威力は先ほどの比ではない。
「もし我々が死んだとしても、神さえ復活すれば蘇ることが出来る。だが、貴様らが死ねばそれで終わり……さぁ、どけ! 我らを通すのだ!」
 ライターを手に猟兵たちを威圧する教団員。しっかりとケースを抱えながら、着火機の炎を振りかざす教団員の腕を……。
「死者蘇生能力を持つ邪神を復活させて全て元通り……そんな都合のいいことがあるとでも? まぁ、あると信じているからこそ村一つを生贄にしようとしているのでしょうが」
 一発の弾丸が撃ちぬいた。着弾から二秒遅れて、銃声が山間に響き渡る。それが教団員たちよりも遥か遠く、森の中に身を潜めていたセルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)による超長距離狙撃だと、はたして彼らは気づけたのか。
 撃ちぬかれた手は血を流すことなく、握ったライターごと氷漬けにされていた。これで炸薬へ着火することは不可能となる。
「あ、が、畜生っ!? なら!」
「私のスコープは暗視機能付き……煙の中に逃げ込もうが無駄ですよ」
 身を隠そうと再び煙の中へと飛び込む教団員だが、その程度で氷の狙撃手からは逃れられない。煙幕を切り裂いて飛翔する弾丸に追い立てられ、たまらず教団員は一分足らずで外へと転がり出た。
「おい、アイツを守れ! 我らは死しても蘇れるが、それも神が復活すればの話だ!」
「今ここで全滅するわけにはいかん! 撤退しろ!」
 ここに来て、生き残った教団員たちが手に手に工具を構え、爆薬ケースを持った団員を殿に撤退の構えを見せた。この場で無理をして全滅するよりも、一度撤退して作戦遂行の目を残すことを選んだのだ。じりじりと後ずさってゆく教団員たちだが、みすみす見逃す手などない。
「人をいきかえらせられる力……オブリビオンにするか、ゴースト・リボーンみたいなことするか、召喚系ユーベルコードをつかうか……どのみち、それで幸せになれるなんて思えないよ」
 くん、と姿勢を低くしてレイチェルが敵陣へと肉薄する。突き出される工具を初撃で打ち払い、続く二撃目で相手の抱えた爆薬ケースを真上へと蹴り上げた。
「いま失敗しても次がある……そんな考えはこの場で打ち砕く。何度試そうが計画を成功させることは不可能だと、この一射で思い知らせてあげましょう」
 中空へと舞い上がった爆薬ケースへ、セルマの狙撃が連続して命中する。弾丸に撃ちぬかれる度に氷に包まれていったケースは、地面へ落ちると同時に衝撃で粉々に砕け散った。
「あ、ああ、そんな……!」
「これで、あなたたちの計画もおしまい……じゃあね?」
 そうして空手となった教団員へ、レイチェルの三撃目が叩き込まれた。その勢いは背後に居た教団員の意識も纏めて刈り取り……立っている者は猟兵だけとなった。
「はい、お~わり♪ 手加減したけど、大分あっけなかったねぇ」
「戦闘員じゃないみたいだし、こんなものじゃないかな」
 一先ず、この場でやるべきことは成し遂げたと、緋瑪と瑠璃は互いを労いあう。彼女らの言う通り、若干手間取るところはあったものの、概ね速やかに鎮圧できたと言えるだろう。
「さて、先行してダムへと侵入した教団員も居るようですが……直接ダムへ向かっている仲間もいるようですし、そちらは任せましょうか」
 スコープから視線を外しつつ、一人でほっと息をつくセルマ。かくして、まだ予断は許さぬものの、猟兵たちはダムへの増援を断つことに成功するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鹿忍・由紀
俺は道路封鎖の阻止に行こうかな。
一本しかない道ならわざわざ教団員を探し回らなくても散歩ついでに見つかりそうだし。
わかりやすくて助かるよ。

教団員らしきグループを見つけたら、
あれ、今から工事なんだ。この道しか通れないから困ったなぁ。いつ頃終わる予定なのかな?
なんて聞きつつ「フェイント」で足払い。
びっくりしてるやつらには「気絶攻撃」しにいこうか。
向こうも丸腰ではないだろうから「見切り」で避けつつ鋼糸に切り替え、複数人まとめて縛り上げてしまおう。
あんまり暴れないほうが良いよ。
痛いのが好きならまあ、止めないけど。

アドリブ、絡みはご自由に。


波狼・拓哉
さーてそれじゃあ、企み粉砕と行きますか。・・・慌てふためく顔が目に浮かぶぜ。
さて、それじゃ封鎖してる奴潰すか!工場業者に変装して、バレないように接触。ほかの猟兵が動くより前に破壊工作を施し、タイミングよく瓦解させよう。
そして中から出てくるミミック(龍)。恐怖を与えて信者の行動を止めよう。
後はその瞬間を狙ってロープで縛り上げたり、モデルガンで足狙ったりして無力化しよう。
(アドリブ絡み歓迎)


ジノ・シュナイダー
【POW】
村ひとつ潰してでも復活させたい邪神、ねぇ。
相当身勝手なこと考えてやがるなぁコイツら。
ま、だったら遠慮なく叩き潰すだけだな。

道路封鎖を食い止めてみるぜ。

「ちーっす。セイギノミカタ兼解体業者、やりにきたぜ」

なんてテキトーに名乗りつつ、バリケードの破壊工作開始っと。
【怪力】と【グラップル】を駆使した〈シュナイダーボディβ〉で、道路を封鎖してる瓦礫だの土嚢だのを掴んで投げ飛ばし、撤去していくぜ。
邪魔する奴らがいたらそれも一緒に投げ飛ばす。

「朝飯前の準備運動だ。派手に吹き飛ばすぜ!!」

あらかた片付いたら、のした敵を締め上げて復活させようとしてる邪神について尋問してみるかね。
(アドリブ歓迎)



●朝:退路を塞ぐ者、血路を開く者
 時間はダムへの増援と猟兵が戦闘を終えたころ、場所は九衛村と外部を繋ぐ唯一の道路。そこはごくごく普通の道路であり、交通量とて決して多くは無い。その為、邪教団側も封鎖自体は容易だと判断していた……のだが。
「おい、村の中にいる仲間から連絡が入った……我々の名前や顔写真が放送やテレビを通じて村内に流れたらしい!」
 早々にその想定が崩れ始めていた。ダムへの増援と違い、彼らは情報暴露の影響をもろに受けていたのである。
「はぁ!? どこの誰がどうやってそんなことを! いや、そんな事よりも、不味いぞ……もし村人に不審がられてみろ、道路封鎖が維持出来なくなる!」
「ああ。だから、もしそれについて聞かれたとしても、誰かの悪戯だと答えておけ。こっちも巻き込まれた被害者、そのせいで困っていると同情を惹くんだ」
 交通量が多くないと言っても、朝方は出荷や通勤などでそれなりに人通りがある。道が封鎖されていると知れば、事情を聴きに来るに村人だって当然出てくるだろう。その際、もし不信感を抱かれてしまえば、計画に綻びが生まれかねない。
(おーおー、自分は被害者だなんてよく言えたもんだね。ま、もうすぐ本当の被害者になるんだけどな)
 頭を突き合わせて善後策を思案している教団員をしり目に、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は工事業者に変装して現場内への侵入に成功していた。
(よくもまあ、これだけの道具を取りそろえたもんだ。混乱していたってのもあるけど、おかげで侵入に手間取らなかったのは幸運だったぜ)
 邪教団も道路工事という建前に説得力を持たせるため、コーンやフェンスと言った見慣れたものから、何に使うのだかよく分からない重機まで手広く取り揃えていた。その一方でそれらは雑多に置かれているだけで死角も多く、こうして拓哉の侵入を許す隙にもなっていた。
(さーてそれじゃあ、企み粉砕と行きますか……慌てふためく顔が目に浮かぶぜ)
 ともあれ、それらを利用しない手はない。彼は重機を操作する振りをしながら、現場のあちこちへと手を加え始めるのであった。

 そうして、拓哉が一通りの下準備を終えたころ。邪教団の恐れていた通行人がとうとう現れてしまった。いや、寧ろただの村人であった方がまだマシだったかもしれない。何故なら……。
「あれ……この道路、今から工事なんだ?」
 気だるげな雰囲気を纏いつつ、そう問いかける青年……鹿忍・由紀(余計者・f05760)こそ、邪教団の天敵である猟兵に他ならないのだから。彼は近所を散歩がてらという風を装い、敢えて何も気づいていない振りをしながら話を振っていた。
「え、ええ、ご迷惑おかけしますぅ。ここ最近、雨が多かったでしょう? ここらの山は地盤が緩くって、崩れやすいんですわ。ですんで、問題ないかの確認をね」
(尤もらしい言い訳だね。外見だけは本職顔負けだし、知らなければ騙されていたかもしれないけど……事前に分かってしまえば、寧ろわかりやすくて助かるよ)
 愚直に役目を遂行したというべきか、変更するだけの時間が無かったか。どちらにせよ、猟兵にとっては都合がよかった。お互いに建前のみで交わす応酬は滑稽だったが、由紀はそうした感情をおくびにも出さないまま、会話を続ける。
「そうなのか。うーん、この道しか通れないから困ったなぁ。いつ頃終わる予定なのかな?」
「そうですねぇ。何事もなければ、お昼ごろまでには終わるかと……」
 そう話しながら、ちらりと腕時計へ視線を落とす教団員扮する工事業者。相手の注意が自分から逸れた一瞬を、由紀は見逃さなかった。
「そんなには待てないから……いますぐ通してもらおうか」
「あ、何をって、うおっ!?」
 気を逸らしての足払いが綺麗に決まり、応対していた教団員がすっ転ぶ。立ち上がろうとする相手の首筋に素早く手刀を叩き込むや、一瞬にして意識を刈り取った。
「おい、アンタ。いきなり何をしてやがる!」
「いや、待てよ。村人や観光客にこんな奴は居なかったはず……まさかっ」
 途端に裏方で待機していた教団員たちが、つるはしやスコップ片手にぞろぞろと姿を見せ始めた。また、そのうちの数人は何かに感づいたかのように声を上げる。事ここに至りては、建前を取り繕う必要もないだろう。
「村ひとつ潰してでも復活させたい邪神、ねぇ。相当身勝手なこと考えてやがるなぁ、アンタら。ま、だったら遠慮なく叩き潰すだけだ」
 相手の数が増えたのであればこちらもと、近くで待機していたジノ・シュナイダー(お調子者系強化人間・f14166)も姿を見せた。彼は殺気立つ教団員の前へと身を晒すと、拳を構える。
「セイギノミカタ兼解体業者、やりにきたぜ。つーわけで、一つよろしく」
「こ、こいつ等だ。我々の計画を邪魔しているのは! 相手はたった二人、他の村人が来る前にさっさと片付けるぞ!」
「はっ、このくらい朝飯前の準備運動だ。派手に吹き飛ばすぜ!」
 わっと襲い掛かってくる教団員を相手に、ジノは真正面から応じた。彼の金属製義体は見た目以上の膂力と硬度を誇り、周囲に積んである土嚢やフェンスを引っ掴むや、当たるを幸いに投げ飛ばしてゆく。また、由紀も鋼糸を取り出すと、ジノの攻撃の合間を縫って相手へ接近。複数人纏めて縛り上げ、鎮圧していった。
「あんまり暴れないほうが良いよ。痛いのが好きならまあ、止めないけど……にしても、邪教団というだけあって数が多いね」
「複数相手でも負けはしねぇけど、確かにこれはちっとばかし面倒だな」
 少し前に発生したダム増援との戦闘時、劣勢になった相手が逃げるそぶりを見せたと、彼らは情報担当の仲間経由で耳にしていた。もし道路封鎖の教団員たちもそれを選んでしまうと、二人だけでは取り零す可能性も大いにある。
「……お困りの様だな。だったら俺たちに任せてくれ!」
 とそんな時、二人の言葉に反応したのは工事業者の制服を脱ぎ捨てた拓哉。彼が合図すると同時に重機や積まれた資材が崩れ落ち、教団員をその下敷きにして押し潰してゆく。更には崩壊した瓦礫の中から、巨大な竜が姿を現した。
「さあ、化け咆えなミミック……! 真の狂気を知らしめてやろうぜ!」
 箱怪の変じた竜の咆哮が、教団員の魂を狂気で縛り上げその威容へと釘付けにする。こうなってしまえば話は早い。教団員たちはそれほどの間を置かず、一人残らず三人に捕縛されていた。
「瓦礫や重機の撤去はすぐに出来ないまでも、片側の車線くらいは開けられそうだね。これで万が一の際、最低限の避難経路は確保できたかな」
「それじゃあせめて、一車線減っているって看板を立てておこうぜ。連中、雑多な看板を揃えているからな。使える内容もあったはずだ」
 由紀がフェンスや瓦礫をどかして車線を確保しつつ、拓哉が注意喚起の看板を引っ張り出して立てかけていた。これにて道路封鎖は瓦解した事となる。
「……で、復活させようって邪神はどんな奴なんだ?」
「ちゅ、忠誠と生贄を捧げる事で死者を蘇らせてくれる御方だ……邪神そのものの復活に人間の生贄が必要なだけで、死者蘇生は犬猫で済むという話だ」
 一方ではジノが意識のある教団員を締め上げ、情報を吐きださせていた。教団員はこの期に及んで勧誘でも狙っているのか、邪神についてぺらぺらと囀っている。
「初めに犠牲こそあれ、邪神が復活さえすればみんな蘇るんだ。しかも代償は犬や猫で済むんだぞ……実にリーズナブルだとは思わグホッ!?」
 尤も、話の途中で殴り飛ばされて気絶したことにより、強制的に沈黙させられたが。
「……命に高いも安いもあるかよ。はき違えんな」
 そう吐き捨てながら、意識を失った教団員を放るジノ。ともかくとして、彼らの活躍により邪教団の計画のうち一つを、完全に打ち砕いたのは確かな事実であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

庚・鞠緒
POW

死者蘇生、ね
ンなもんが出来りゃァ誰も苦労しねェんだよ
どーせ蘇ったところでロクなモンになりゃしねェんだ
ぶち壊してやるよ、全部

「Bloodbrunk」を使って気合い入れて攻撃力を上げる
そこらいじゅう駆けずり回って少女を拉致しようとしてる狂信者を殴り飛ばす
顔は割れてんだし見つけ次第だな、ああ少女の場所がわかんねェなら
何発か殴って【恫喝】して聞きだす
「どーせ邪神とやらが生き返ったらお前も死ぬんだ。今死ぬか、後で死ぬかだ。選べよ」
屋内にいたって【怪力】で扉なんざ蹴り破るし、【先制攻撃】だって躊躇しねェ

逃げる奴がいたって【ダッシュ】で【追跡】してぶっ飛ばす
派手にヤっていいんだろ、せいぜいやってやるさ


シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎
味方と連携希望


少女達は私達が必ず守ります


UDC組織に警察手帳、発信機を用意してもらう
発信機の受信機は味方へ

狙われている少女も分かればその子に<変装>
一番私と容姿が似ている子を訪ね
警察手帳と<コミュ力、礼儀作法、優しさ>で誘拐事件の囮捜査を協力要請
少女には隠れていてもらう

分からなくても味方に誘拐を妨害され
焦っているでしょうから
誘拐されそうな姿に<変装し誘惑しておびき寄せ>浚われる

私の背格好で警察を名乗るのが難しければ
仲間かUDC組織の人にお願いし
私は警察の協力者

仲間は【救園】に潜んでもらう

監禁場所に着き頃合いを見て仲間を呼び
少女達は【救園】へ<コミュ力、礼儀作法、優しさ>で説得し保護


ペイン・フィン
【ヤド箱】で参加

さてと……。
生け贄とか、腹立たしいし、
まずは、そこから防止しようか……。

コードを使用して、瞬間移動を駆使しつつ、誘拐を狙っている信者を探すよ。
見つけ次第、まずは語に連絡。スマホでワンコール入れるよ。
その後に、信者の後ろに回って……。指を潰す。

……ねえ。
1つ聴いておきたいんだけど……。
死んでも、『邪神さえ蘇れば全ての死者が生き返る』……だって?
なら……、お前達も、どんなに苦しんでも、蘇るんだから……。
どんなに苦しめても、良いよね?

……ある程度痛めつけて、動けなくしたら、後はUDCエージェントに任せて次を探そう。
……正直、苛立ってるし、今回は……、あんまり押さえられそうに無いね。


落浜・語
【ヤド箱】の面々と参加。

生贄とか村一つ沈めるとかまぁ、規模が大きいことで。
馬鹿じゃないか。

直接的なのは任せて村の防災無線を拝借。事前に話を通してもらえればいいが、無理ならば【礼儀作法】と【コミュ力】使って交渉。
誘拐犯の自棄が怖いので合図があるまでは熊の出没情報を流す。
熊の出没情報は山間部ではあり得る事だろうし村人の警戒が抑止と援護になればいいが
「熊の出没が確認されました。子供の登下校、外出には注意してください」

フィンさんかティンタンさんからのワンコールを受けたら『誰が為の活劇譚』を防災無線を通して使う。

「語りまするは、人を人と思わぬ、悪辣な所業を阻止するために、駆ける方々の活劇譚にございます」


勘解由小路・津雲
【ヤド箱】で参加。他の猟兵との共闘・アドリブ歓迎

ダムを破壊して絶望、ね。いざとなれば、霊力尽きるまでダムの水を凍らせ、決壊を食い止めてみせよう。……ま、そうなる前に手を打ちたいがね。

■行動 ダムの破壊、爆発物か、故意に水圧をあげるとか? それによって対策はかわるだろう。敵の姿が見えればしめたもの、UC【エレメンタル・ファンタジア】で「麻痺」属性の「霧」を発生させて捉え、「催眠術」で口を割らせよう。

来なければしかたない、まずダムの管理所あたりを調べ、異常がなければ「第六感」「失せ物探し」「情報収集」でも使って爆発物など異変がないか調べよう。爆弾なら凍らせて止めたいが、どうなることか。


弁柄堂・平吉
【ヤド箱】のみなさんとご一緒、アドリブ絡み可です。

へぇ 死者蘇生ですか。それはまぁなんとも甘美で 魅力的で――嫌いですねぇ。

■行動
誘拐犯をこらしめますね。
探すのは苦手なので ぺいんの力を借りさせてください。
【暗殺、追跡、地形の利用、忍び足】…こっそり近づくお手伝いならいくらでも。
騒がれる前に《咎力封じ》畳み掛けるように締め上げますね。
暴力的なことは 出来る限り女性に見せないよう、その後は少女達の安全を確保しておきます。

熊に変質者と、怖い思いが多い日ですね。今日はもうお家にお帰り。優しい夢でも見ていてください。

元凶達には とびきりの悪夢でも見せてやるとします。……ヒトはね。死ぬんですよ って。


ファン・ティンタン
【SPD】まさかのここにイェーガー
【ヤド箱】で参加

邪教徒の生贄作戦、ねぇ…
グリモア猟兵の予知が優秀なのもあるんだろうけど、こんな大それた計画、素人が頑張ったって上手く行くわけないんだよ
じゃ、仕事、さっさとやろうか

予め村の中で誘拐対象になりうる女生徒と接触
来訪者を装い、場所案内を頼むなどを理由に触れ【異心転身】の条件を満たす
その後、別所にてUCを発動・変身、囮として信者との接触の機会を待つ

信者による誘拐実行や他猟兵による信者掃討開始を確認したら、【ヤド箱】メンバーにスマホでワンコール
自身も混乱に乗じて、グリモア猟兵から確認している信者をぶちのめし始める

ヤドリガミの伸びーるパンチをくらえー(真顔)



●午前:拳で知らしめ、言葉を紡ぎ、企みは潰える
「おかしい……もう増援が着いてもおかしくない時間だが」
 九衛渓流の上流にある貯水ダム。そこには数名の教団員が増援を今か今かと待ちわびていた。彼らはダムへと先行して管理所を制圧、ダムの設計図面などを手に入れる役割を負っていた。既に管理職員は簀巻きにされ、図面も教団員の手の中だ。
「まさか、道に迷ったのか?」
「確かに、霧も出てきたな……山だから天気も変わりやすいのだろう」
 教団員の言葉通り、ダムの周辺には濛々と霧が立ち込めはじめていた。元となる水分がすぐ傍にあるのだ、別に不審な事ではない。だからこそ、彼らはそれが攻撃であると気づけなかった。
「ダムを破壊して絶望、ね。いざとなれば、霊力尽きるまでダムの水を凍らせ、決壊を食い止めるつもりだったが……ま、そうなる前に終わらせられそうだな」
「っ、何者だ!」
 自分たち以外の声に、咄嗟に身構える教団員たち。だが、激しく体を動かしたのがいけなかった。彼らはぐらりと体を傾がせると、その場にバタバタと崩れ落ちてゆく。
「な、何だ……からだ、が」
「麻痺毒を混ぜた霧だ。流石にガスマスクまでは持っていないようで助かったぜ」
 しゃん、しゃんと錫杖を鳴らしながら、霧の奥より姿を見せるのは勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)。彼は増援を食い止めた仲間達と別方向からダムへと侵入、対処可能な人数と見るや単独での鎮圧を試みていたのだ。
「さて、先にやるべきことを済ませますか」
 彼は教団員の手足を凍結させることによって物理的に拘束。簀巻きにされていた職員も解放するが気絶しており、目覚めるにはまだ時間がかかりそうだ。彼はそっと職員を横たえると、教団員へ歩み寄る。
「ダムを爆破するつもりだったようだな。もう作業は着手しているのか?」
「はっ、馬鹿正直に話すとでも?」
「思わんな。だからこうするんだよ」
 懐から札を取出し、数言の呪句と共に教団員へ張り付ける。敢えて体の自由のみを奪ったのは、こうして催眠術によって口を割らせる為であった。
「あ、う……手で持てるだけの、火薬で……幾つか仕掛けを。後続への、見本代わりに」
 ぽつぽつと漏らす言葉に従ってダムの壁面を見下ろしてみれば確かに数か所、楕円形の物体が張り付けられているのが見えた。あれがそうだろう。津雲は錫杖から冷気を飛ばすと、それらを次々と凍らせてゆく。氷の分だけ重みが増えたのか、仕掛けはぽろぽろと壁面から剥がれ、下へと落ちてゆくのであった。
「凍らせただけで良いのか不安だったが、どうやら正解のようだな」
 道路封鎖に引き続き、津雲を始めとする猟兵によってダムの安全も確保された。後の懸念事項は、村内での生贄誘拐だけだ。
「さて、そっちは任せた。無事に成し遂げてくれると信じているからな?」
 ダムの上より、遠くに見える九衛村へと視線を向ける津雲。己が友らを信頼するがゆえに、彼は村側の対処を任せてダムへと単身赴いたのだ。
 ――その想いが決して裏切られなかったことを、彼は後程耳にすることとなる。
 

「いったい何がどうなっているんだ……!? 道路封鎖担当の連中とは連絡がつかないし、ダムの増援だって消息不明……こんなの、計画にはっ!」
「だからこそ、落ち着け。生贄対象は誘拐さえしてしまえばそれで終わりだ。さっさと終わらせて、他のカバーに回るんだ」
 村の一角、点々と距離を置いて住宅が続く田舎道。晴れ渡った空とは対照的に、顔を隠すように帽子を目深に被った私服姿の二人組が、人目を気にするように歩いている。彼らは生贄誘拐を担当する教団員だ。
 本来であれば堂々と村内部を歩き回り、口八丁手八丁で少女たちを誘拐。そのまま他の教団員の動きを待つ予定だったのだが、早々にそんな目論見は吹き飛んでいた。勿論、早朝に行われた情報暴露のせいである。
「その為に、多少強引な手を使ってでも迅速に……」
「へェ、強引な手ってのはどんな内容なんだ? 例えば……こんな感じかよッ!」
 とその時、教団員の肩が背後から掴まれ、強引に振り返させられる。そうしてこちらを向いた相手の顔面を、庚・鞠緒(喰らい尽くす供物・f12172)は全力を込めて殴りぬいた。血量を増大させることによって強化された筋力は、容赦なく相手の意識を刈り取る。
「死者蘇生、ね。ンなもんが出来りゃァ誰も苦労しねェんだよ……どーせ蘇ったところでロクなモンになりゃしねェんだ」
 ぶち壊してやるよ、全部。骨の砕ける音と共に崩れ落ちる相方を目の当たりにし、もう一人は到底敵わぬ相手だと思い知らされる。
「ひっ、ひぃいっ! こんなの、武器もなしで戦えるかよぉ!?」
 相方を見捨て逃げの一手を打つ教団員の背を、逃がすものかと鞠緒が追いかける。その距離は瞬く間に縮まるが、教団員は路肩に止められたハイエースを見つけるや、これ幸いにとそこへ飛び込んだ。
「助けてくれ! 出せ、さっさと発進させろ!」
「馬鹿野郎、追われている状況でこっちに来るんじゃ……ええいっ!」
 どうやら車は拉致した生贄を運ぶためのもののようだ。抗議の声を上げつつも中にいた仲間が扉を閉め、エンジンを吹かして逃げ出そうとする、が。
「仲間からの情報で車の車種もナンバーも割れてんだ。逃げられないし、逃がすつもりもねェよ」
 だが追いついた鞠緒の蹴りが運転席のドアを突き破り、運転担当を車外へと叩き出す。ロックされた後部ドアも膂力に任せて強引にこじ開けるや、逃げた教団員を引きずり出した。
「どーせ邪神とやらが生き返ったら、お前も死ぬんだ。今死ぬか、後で死ぬか……選べよ」
「あ、ああ……あぁ……っ!」
 その後に行われた最も原始的な『説得』により、彼女は生贄対象の少女について聞き出すことに成功する。だが、全てをカバーしきれるかは微妙なところだ。無論、ある程度妨害すれば相手の目論見は崩れるが……全て防げるに越したことはない。
「相手の動きも分かっちゃいるけど、このままだと漏れも出かねないが……」
 得た情報を全体へと共有しつつ鞠緒は懸念を伝えるが、続く返答によってそれは解決する。
「なるほど、もう動いてるお仲間がいんのか……それじゃあ、こっちは引き続き教団員を殴り飛ばしちまおう」
 彼女は通話を切ると、次の相手を目指して再び駆け出すのであった。


「なんと……この村に女児誘拐犯が、それも複数? となると朝の放送も、もしや?」
「ええ。どうやら、性質の悪い与太郎どもがうろついているようで……事件解決のためにも、ご協力を願おうとこうして参上仕った次第でして」
 村の一角、防災無線の放送所。朝の放送を受けて集まった青年団員や顔役の老人を前に、落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は要所要所をぼかしながら、放送設備を借り受けるべく事情を説明していた。
「そんな連中が居るって分かっているなら、話は早い。俺たち総出でとっ捕まえてやろうや!」
「いや、それは控えていただければ……感づかれてしまいますと、逃げられるだけならまだ可愛く、下手をすれば自棄を起こして暴れるなんてこともありえます。ここは我々に任せて頂けませんか?」
 いまの語はUDC組織からの協力により、警察関係者という立場で村人と接触している。それも相まって、語の言葉により素人がでしゃばって事態を悪化させるよりかは……と、血気にはやる青年団員もひとまず矛を収めてくれた。
「できる限り、相手に悟られたくはありません。ひとまずは防災無線で熊が出た、とでも流して集団登校を促しましょう。人目があればそれだけ相手も手を出しづらいはずですからね。その隙に、こちらも準備を進めます」
「なるほど。ではその情報については、この場にいる我々と該当する各家の大人だけに留めておきましょう」
 語の話に納得すると、村人たちはそれを伝える為、電話を掛けたり直接向かうなどして散らばってゆく。それを横目で見ながら、彼は放送機器を操作してマイクの電源を入れた。
(生贄とか村一つ沈めるとかまぁ、規模が大きいことで。馬鹿は馬鹿でも、放っておけば人が死ぬ与太話……ここらでいよいよ詰めといこうかね)
 道路封鎖は解除され、ダム爆破も阻止済み。村内部の誘拐担当も浮足立ってまともな行動なぞ出来てはいまい。であるならば、後は一網打尽にするだけ。
「九衛村役場よりお知らせします。本日未明、山の麓にて熊の出没が確認されました。住民の皆様は十分に警戒し、また子供の登下校、外出にも注意してください……」
 村中に向けて、注意喚起の放送が流される。それは普通の住民に対しては警戒を呼びかけ、仲間たちにとっては事態を動かす狼煙となる。
(さぁて、フィンさんかペインさんか、はたまた他の誰かか……連絡、期待してるぜ?)
 そうして語は放送を続けながら、スマホの画面へとそっと視線を移すのであった。


「語が上手く取り持ってくれたようだね……」
「ええ、そのようですね。では、こちらも急ぎませんと」
 スピーカーから聞こえてくる仲間の声に、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)と弁柄堂・平吉(歪なヒト・f13885)は作戦が順調に推移していることを確信していた。であれば自分達も役割を果たさねばならないと、道を歩む速度を心なしかあげてゆく。
「しかし、目的が死者蘇生ですか。それはまぁ、なんとも甘美で魅力的で――嫌いですねぇ」
「同感だね……生け贄とか、腹立たしいし、さっさと見つけて終わらせようか……」
 彼らのいま進んでいる道は、狙われている少女の一人が学校への通学路として使っている。しかも運の悪い事に年の近い子が近所におらず、一人だけで通学していたのだ。相手からしたら格好の狙い目。故に彼らは真っ先にその少女の元へと向かっていたのである。
「っ、不味いですね。教団員が既に接触しているようです。語が話をつけ終わるより先に家を出ていましたか」
 そうして進むうちに平吉の視線が赤いランドセルを背負った少女と、声を掛けているスーツ姿の男を捉えた。どうやら、何事か話を振って気を引いているらしい。暴力的な手段に訴えてはいないが、後ろ手で手巾や小瓶を弄んでおり、その意図は明白だ。
「気づかれてあの子を盾に取られたら、余計な被害が出てしまうね……やるなら、一瞬でないと。と、その前に……」
 逸る気持ちを抑えつつ、ペインはそっとスマホの画面に指を走らせ、放送を続ける友へと連絡を入れる。ワンコールだけだが、合図としてはこれで十分。二人は視線を交わして頷き合うと、一気に速度を上げて距離を詰めてゆく。
「おじさん、朝テレビに映ってたでしょー! もしかして有名人?」
「そうそう、私は熊退治の名人なんだ。おっきな熊だって、指一本で倒せちゃうんだぞ?」
 距離が縮まると、彼らの会話が耳に飛び込んでくる。情報暴露や熊出没の話を逆に利用するとは、中々に悪知恵の効く手合いだ。話の内容は荒唐無稽だが、寧ろそういう方が子供の受けは良い。
「ええ、ほんとうなの!」
「勿論さ。丁度いい、いま近くに熊がいるそうだからね。君にだけ特別に、熊退治を見せて……」
 あげよう、と教団員が言い切ることはなかった。平吉が拷問具を放ち相手を拘束するのと、ペインが瞬間移動しながら近くの茂みへ引きずり込んだのがほぼ同時。少女からしてみれば、瞬きする程の間で教団員が居なくなったように見えただろう。
「あれぇ、おじさーん? どこいっちゃったのー?」
「どうしたんですか、御嬢さん?」
 きょろきょろと周りを見渡す少女に平吉は声を掛けつつ、ペインの消えた茂みを視界から遮る様に立つ。暴力的な光景など、見せないに越したことはない。
「あのね、おじさんが消えちゃったの。熊退治を見せてくれるって言ったのに」
「なるほど。でも、知らない人に着いていったら危ないですよ。熊に変質者と、今日は怖いものが多い日ですからね。それに、寄り道していたら学校に遅れてしまうよ?」
「いけない、そうだった!」
 平吉の言葉に少女はあっと声を上げると、お礼を言ってから道を駆けてゆく。来る途中で先の教団員以外は姿を見ていないので、無事に学校まで辿りつくだろう。平吉は少女を見送ると、背後の茂みへと向き直る。
「指一本で熊も倒せるんだよね……? だったら、これくらい耐えきってほしいな……」
「ッ……ゥッ……!」
 茂みの奥では、ペインによって教団員の指先がぎりぎりと押し潰されている最中であった。猿轡で声も出せず、手枷足枷で身動きもままならない。
「……ねえ。1つ聴いておきたいんだけど……死んでも、『邪神さえ蘇れば全ての死者が生き返る』……だって? なら……お前達も、どんなに苦しんでも、蘇るんだから……」
 どんなに苦しめても、良いよね? ペインの言葉に目を剥き、ふうふうと荒い息を漏らす教団員。平吉も拷問具を展開しにじり寄りながら、そっと耳元で囁く。
「生き返ろうが何をしようが、結局のところ……ヒトはね。死ぬんですよ」
 声なき絶叫が響き渡ったのは、時間にして僅かに数分。されどその数分間における責め苦は、教団員の心を砕くには十分な密度であった。
「……少し、抑えが利かなかったかな」
「いえ、至極真っ当な反応でしょう。ともあれこれでまた一組潰せた、と。先の放送も相まって村人の警戒も高まっている現状……苛立ちは相当でしょうねぇ?」
 意識を失った教団員を転がしながら、歩き出すペインと平吉。地道な作業ではあるが、コップに注がれた水の様なもの。一度決壊してしまえば後は脆く……そして、その瞬間はもうすぐそこまで迫っていた。


 時はやや巻戻り、語が放送を始めた時分。先のペインや平吉とは対照的な、女性の二人組が別方面へと向かっていた。
「邪教徒の生贄作戦、ねぇ……グリモア猟兵の予知が優秀なのもあるんだろうけど、こんな大それた計画、素人が頑張ったって上手く行くわけないんだよ」
 ファン・ティンタン(天津華・f07547)は逐次入ってくる情報に耳を傾けながら、そう切り捨てる。現に邪教団の計画は既に半壊状態、終わっていないのは掛けた時間を惜しんで彼らがしがみついている故である。
「ええ、その通りです。それに散々邪魔をされて、相手もかなり焦っているはずです。暴力的な手段に訴え始めている者も現れているそうですが……冷静さを欠くからこそ、つけいる隙があります」
 ファンの言葉に、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)も頷きを返す。彼女は接触をスムーズにするため、警察官の制服に身を包んでいた。語によって情報も広まっている現状、協力を申し出ればスムーズに同意を得られるはずだ。
 一方で、ファンは普段通りの白を基調とした衣服のまま。だが、それも考えあってのことである。
「この付近で対象となっている少女は二人ですか。片方はお任せしても?」
「勿論。相手を虱潰しにするのも手間だったからね……そろそろ、一網打尽にしてやろう」
 シホの問いかけに不敵な笑みを浮かべるファン。丁度その時、タイミングよくそれぞれの家から少女達が出てくる姿が見えた。制服姿で、どちらも高校生くらいであろうか。片方はストレートヘアの大人しそうな少女、もう一人は剣道でもやってるようで、細長い布袋を肩にかけていた。
「じゃ、仕事、さっさとやろうか」
「では、またすぐに」
 ファンはペインと同じようにワンコールだけ語を呼び出し、シホは静かに深呼吸して気持ちを整える。二人は手短に別れの言葉を交わし合うと、それぞれ二手に分かれて少女へと声を掛けた。
「ねぇ、きみ。もし急いでいないようなら、少し道を教えてほしいんだけど……」
「すみません、ちょっとお話いいですか。実は、私はこういう者でして……」


「予想はしていたが、こうまで集まりが悪いとは……想定の五分の一以下じゃないか!」
 九衛村の外れ、朽ちるに任されている古びた土蔵。その中には焦燥感に満ちた教団員たちと、不運にも猟兵の手が回る前に誘拐されてしまった少女達の姿があった。
「用意していた車も何台か破壊されたらしい。ま、想定よりも生贄の数が少ないせいで、運ぶのに苦労はなさそうだが」
「皮肉を言っている場合か! 各所からの連絡も途絶えている……このままではじり貧だぞ!」
 苛立たしげに歩き回る教団員とは対照的に、蔵の奥に転がされた少女達は眠らされているのか、縛られたまま身じろぎひとつしていない。と、そこへ扉を開いて新たな人影が現れた。
「なら、いまの手持ちで計画を進めるしかないだろ……よっと、追加だ」
 それは新たな生贄と共に戻ってきた教団員たちである。彼らは脇に抱えた大人しげな風貌の少女と、細長い布袋を掴んだまま気絶する少女を他の生贄と共に寝かせると、仲間へと向き直る。
「多分、誘拐担当は俺たち以外全滅だろうな。ただ、最低限の数は生贄も集まってる。後はダムさえ破壊できれば、最善は無理だが次善は狙えるだろう」
 元々、机上の空論のような計画。それが瓦解してもなお残った残骸をかき集めて、彼らは成算度外視で目的へと進み続ける。狂った思考は現実ではなく、己が道のみを信じるがゆえに。
「そう、か……よし。じきにここも気取られる、生贄を九衛神社へと運ぶぞ。慎重を期して、神体のあるあそこには敢えて近づかなかったからな。奴らとてまだ感づいていないはずだ」
「一先ずそこへ生贄を隠してから、ダムへ向かおう。最悪の場合、ここまで温存していた戦闘要員も動かす必要があるな……」
 方針が決まれば、後は動くのみ。教団員たちは集めた生贄を運び出そうと、少女達の方へと向き直り。
「九衛神社……なるほど、そこが企みの要となる場所みたいだね。ありがとう、知りたいことは十分聞けたし、お礼にのびーるパンチをくらえー」
 少女達と最も近かった教団員が、反対側へと勢いよく吹き飛んでゆく。何事かと目を見開く教団員の前では、握りしめた拳を構えつつ、布袋に隠していた得物を取り出すファンの姿があった。
「貴様、一体どこから入って……!」
「慌てるな! 貴様、正義感は結構だがそこは袋の鼠。たった一人でその人数を守りながら戦うのは、不可能……ふか、のう……?」
 壁際へ追い込む様にファンを取り囲みながら、少女達を狙うことを匂わせる教団員。しかしそちらへ視線を向けるや、呆気にとられる。それもそのはず、あれだけ居た生贄が一人を残して消えていたのだ。否、その一人とて……。
「彼女たちは既にこちらで保護しました。もう、貴方達が害することは叶いません」
 小さな十字架を握りしめながら立ち上がるのは、先程とは打って変わって学生服に身を包んだシホの姿だった。
 種明かしをしてしまえば、所謂替え玉である。ファンは触れた相手の姿を模倣できる異能にて、シホは雰囲気の似通った少女の協力により変装して。そうして生贄に成りすましわざと誘拐されることにより、相手の中枢へと入り込んだのである。生贄の少女達も、ファンが気を引いている隙にシホが異界へと保護していた。
「イメージから生まれるヤドリガミの肉体、その人化技術の応用だよ。まんまと騙されてくれてなによりだ」
「ここで貴方がたを倒せば、もう誘拐を恐れる必要はありません……覚悟を」
「な、何が覚悟だ。丁度いい、お前たちも生贄に加えてやる!」
 じりっと、彼女らの威圧感に押され後ずさる信者達。しかし、有利なのはこちらだと自らを奮い立たせ、前へと出た……その時。

「さて。本日一席語りまするは、人を人と思わぬ、悪辣な所業を阻止するために、駆ける方々の活劇譚にございます……」

 スピーカー越しに声が響いた。朗々とした声で語られるは、猟兵たちの活躍を物語仕立てにしたもの。逐次もたらされる仲間の成果を即興で形にしている語の姿を想像し、ファンはふっと笑みをこぼす。
「何だか、ちょっとこそばゆいね」
「でも、嫌いじゃないですよ。こういうのも」
 仲間の鼓舞を受けたシホも、負けるつもりは毛頭ない。全身に満ちてゆく活力を思えば、この程度の差など物の数ではなかった。
 かくして、数分の後。生贄の誘拐を担当していた教団員もついには一人残らず鎮圧され、その報せが猟兵の間を駆け巡る。だが、それは邪教団側も同じこと。
 そして――状況は次の段階へと移行を始める。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『歩兵』

POW   :    武器使用
【装備している武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    制圧射撃
【合図をして】から【機関銃による連続射撃】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    援軍要請
自身が戦闘で瀕死になると【追加の兵士】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●正午:終わりの始まり
 ダムは守りきられ、道路封鎖は排除され、少女達は全員救出された。これにて一件落着……とはならぬからこそ、彼らはオブリビオンであり邪教団の狂信者なのだ。
 陽も中天に差し掛かった時分。空き家から、車の中から、林や森から、ダムの水面から。人目も憚らず、ぞろぞろと新たな教団員が姿を現す。先ほどの連中と違うのは、彼らがみな一様に武装している点だ。彼らこそ、邪教団虎の子の戦闘要員たちである。
 武力鎮圧による儀式の遂行。露見するリスクが大きいため、あくまでも最終手段として温存されていたが、ここに至ればリスクもデメリットもない。隠蔽や外聞をかなぐり捨ててでも、計画を遂行する。更に、彼らには出ざるを得ない事情もあった。
「やつらを九衛神社に近づけるな!」
「神体だけは取り返しがつかんぞ! 絶対に守り抜け!」
 山の中腹にある、九衛神社。そこに祀られているものこそ、邪神復活の要となる神体なのだ。他の手段は代替できても、それだけは換えがきかない。その事実を知られてしまった以上、彼らは猟兵を近づけまいと必死の抵抗を試みる。それは即ち、神社に辿りつけさえすれば猟兵側の勝利であることも示していた。
 さぁ……行く手を阻む教団員を打ち倒し、妨害を突破し、この小村を駆け抜けろ。
 目指すは山の中腹にある九衛神社、その本殿だ。

 ※マスターより
 執筆機関確保の都合上、プレイングは21日朝8:30以降にてお願いいたします。
エメラ・アーヴェスピア
…以上が現時点の情報よ。各自、障害を排除しつつ速やかに向かってちょうだい
…さて、とりあえずはこんなものかしら

サポートを継続、向かうのは最後でもいいわ
相手の位置を先程から放っていた『戦場』で一方的に把握
同僚さん達へ連絡する事で戦場を有利にしましょう

私の方は…一緒にいた人が派手な事をしたせいで、私自身は多分相手側にはバレていないわよね…
『出撃の時だ我が精兵達よ』
派手に動き回るであろう同僚さんの裏で森に潜んで小規模の敵を奇襲、数を減らしていきましょう
裏方になるけれど、大事な仕事よ。しっかりとこなしていきましょう

※アドリブ・絡み歓迎


メタ・フレン
なりふり構わず実力行使に出てきましたか。
でも私はあくまでスマートにいきますよ。

【ハッキング】で奴らの無線を乗っ取り、デマ情報を流して混乱させます。
「お前らの計画は既に日本中に知られている」「九衛神社は既に敵に占領された」etc…

極めつけは「お前らの中に裏切者がいる」ですね。
何せ必死で隠してた情報がバレていたわけです。
「誰かが自分の身可愛さに、計画のことを密告した…」という『疑問の感情』も抱いてもおかしくない筈。
これでお互いを疑心暗鬼に陥らせて、同士討ちを狙います。
ついでに疑心暗鬼という名の『疑問の感情』を抱いた者達を、【謎を喰らう触手の群れ】で攻撃しますね。

え?やっぱり全然スマートじゃない?


庚・鞠緒
最初っからそうしてりゃァちったァマシな結果になったかもな
けどもう遅ェンだよ、それをわからせてやる

相手は銃持ちなのが面倒くせェが、ウチだって遠距離攻撃もなくもねェ
「Reign in Blood」を使って血の刃を飛ばす

ウチの戦法は血の刃を飛ばす、当たればそれでOK
外したらしょうがねェから接近して【2回攻撃】で攻撃しつつ血に染まった【地形を利用】する
そこに立ちゃァ刻印がどういうわけか元気になンだよな…不愉快だけどよ
上がった戦闘力で今度は突撃して攻撃って感じだな
多少のダメージは【激痛耐性】で耐える

戦闘が終わったら血液パック飲むぜ
多分血めっちゃ使うからな…あァまっず
「やめときゃ良かったわこの戦法……」



●正午:何を見せて、何を隠すか
「九衛神社は丁度真向かいの山。敵の戦力分布は神社が最も厚く、そこを中心として放射状に展開中。加えてダム近辺にも点在。敵の目を掻い潜れそうな経路をピックアップ……っと、以上が現時点の情報よ。各自、障害を排除しつつ速やかに向かってちょうだい」
 さて、こんなものかしら。村を見下ろす山間、ぽっかりと開けた場所……から若干外れた森の中。エメラは相手の動きを逐次把握しながら、引き続き情報を仲間達へと送っていた。
彼女は自らの能力を鑑み、急いで神社へ向かうよりも、ギリギリまで情報管制に徹した方が良いと判断。用心して森へ身を隠しながら、エメラは支援にも手を付け始める。
「情報収集は先に展開したドローンで十分。なら……さぁ出番よ、私たちの勝利の為に出撃なさい。『出撃の時だ我が精兵達よ』!」
 ブシュウと、蒸気を噴き上げながら三十体ほどの魔導蒸気兵が周囲へと展開される。戦闘要員と言っても、これならば単体状態でも十分に渡り合えるだろう。
「なにも相手は千単位の軍勢というわけじゃない……おおよそ十人一部隊で動き回っているわね。その程度であれば、奇襲で十分に対処できるでしょう」
 呼び出した蒸気兵を幾つかの部隊に分けつつ、森の中へと散らせてゆく。後は見つけた敵を確固撃破していけばよいのだが、一点だけ懸念事項が存在していた。
「私自身は多分相手側にはバレていないでしょうけど、一緒にいた同僚さんは派手なことをしていたから……」
 まず、相手が一番に敵意を向けるとすれば、あの情報暴露だろう。派手ということは、それだけ見つかりやすいということでもある訳で。
「……こちらに向かってくる相手の動きは、特に注意しておくべきかしらね」
 彼女はドローンより送られてくる情報を、念入りに目で追い始めるのであった。

「なりふり構わず実力行使に出てきましたか。でも、私はあくまでスマートにいきますよ」
 一方で、メタは未だ開けた場所に留まっていた。彼女の試したいことを行うには、電波状態の良い場所でないといけないからだ。電脳ゴーグルを指先で叩きながら、メタは相手の使用している無線の周波数を割り出してゆく。
 装備などのハード面は一通り揃えているだろうが、その本質は素人。複雑な暗号や符牒など使えるはずもなく、周波数の特定にそこまで時間はかからなかった。
『半数は神社の守りに回れ。もう半数で村内を狩り出すぞ』
『住民に見られても構わん! まずは邪魔した連中を消さねば、手が付けられん!』
『我らの手で血祭りにあげてやる!』
 憤怒、怨嗟、焦燥、そして殺意。明確に牙を剥いた悪意の嵐を、さりとて特に感慨も抱かず受け流し、メタは口を開いた。
「……どうして、先の情報暴露が村の中だけだと無邪気に思えるのでしょう? この情報社会です、貴方達の計画などとっくに日本中に知れ渡っていますよ」
『この声、女……なんだ、ガキ!?』
 通信先の相手は割って入った声に戸惑いの声を上げる。相手が事態を理解する前に、メタは滔々と欺瞞情報を流してゆく。
「そもそもなぜ、こうして通信が出来ていると思いますか。貴方達の装備を手に入れたから、つまり九衛神社を既に制圧したからです。簡単でしたよ? 裏切り者が居てくれたおかげで、スムーズに事が運びました」
『っ、ああそうか、テメェが今朝の……! 耳を貸すな、相手はこちらを攪乱しようとしているぞ! 二の轍を踏むんじゃない!』
 相手は狂しているが馬鹿ではない。こと信じるという点において、彼らは極めて強固だ。実際問題、指令を出している者や教団員の大半は神社の護衛に回っている。既に猟兵という敵対者の存在が割れている以上、奇襲効果は半減してしまっていた。
『アンタ、無線を聞くだけならまだしも、発信したのは悪手だったな?』
 がさり、と周囲から音が響く。メタがさっとそちらへ視線を向けると、小銃を構えた一団がじりじりとにじり寄ってきていた。無線電波を逆探知したのだろう。
「顔だ名前だ裏切り者だと、好き勝手に垂れ流してくれたな。ネチケットだの、ネットマナーだのを学ばなかったのか?」
「村一つを鎮めようとした人間に道理を説かれるは驚きですね。それに、本当に居ないと断言できます? 情報の幾つかを貴方達に教えて貰ったのは事実ですよ」
 銃口を向けられてもなお、メタはペースを崩さない。それはある種の威圧感となり、ほんの微かではあるものの『もしかしたら』という疑念を思い起こさせる。
「ペテン師がっ、耳を貸すんじゃない!」
「もう遅いですよ」
 戦闘員が引き金を引くも、呼び出されたメタのユーベルコードが反応するのが先だ。射出された触手が纏わりつき、狙いを外されてしまう。
「どこまでもこちらをおちょっくて……そっちこそ、見えている相手が全てと思うな!」
 拘束された一団とは別方向、あらかじめ潜ませておいた別働隊が飛び出すや、周囲を薙ぎ払うように銃弾を浴びせかけてくる。
「戦闘機械達を呼び戻す時間はないようですね……!」
 これには堪らずメタも転がって避けるも、掠めた銃弾により肌に血が滲む。
「はははっ、どうやら情報専門らしいな。我々が本気を出せば造作もない!」
「ああ、最初っからそうしてりゃァちったァマシな結果になったかもな。けどもう遅ェンだよ。分かってねェようだからな、分からせてやるよ」
 嘲笑が響く緑の森に、紅の軌跡が走る。鞠緒の体内へ直接埋め込まれた二振りの鉤爪。そこから放たれた血の刃だ。それは兵士の首を刎ね落とし、吹き出す鮮血が森を染め上げていった。
「こいつ、車を破壊した女だ! 何でここに!?」
「ぞろぞろと山ン中に入ッてく連中が見えたからな……後を追っかけて正解だったぜ」
 ごきりと首を鳴らしつつ、鞠緒はついでに思い出したとばかりに午前中の事について告げる。
「裏切りといえば、あの連中も裏切り者って言えンだろうな。しっかり『お話し合い』して、洗いざらい喋って貰ったぜ?」
「畜生が! 接近戦は不利だ、距離を取って応戦しろ!」
 バラバラと弾幕を張る相手に対し、鞠緒は姿勢を低くしながら地を駆ける。地面は凹凸があり走りやすいとは言えぬはずだが、先に倒した兵士の血が周囲に飛び散っているのが上手く働いた。
「血の上に立ちゃァ、刻印がどういうわけか元気になンだよな……不愉快だけどよ」
「そうかよ、だったら手前の血反吐にでも溺れてろ!」
 それでも銃弾、完全に避けるのは不可能だ。急所は外しているが、肩口や脇腹を弾丸が穿ち、じわりとジャケットを紅で汚してゆく。焼けつくような痛みを抑え込みながら、彼女は近き者は鉤爪で切り裂き、遠き者は血刃で断ち切ってゆく。
 春先となり緑の萌えつつあった山中は、瞬く間に血潮へと染め上げられていった。その中で動き回る鞠緒は一種の美しさすら感じさせるも、しかしてそうそう長くは続かない。
「チッ、視界が霞む……血が足りなくなッてきやがッた」
「当たり前だ! そんな戦法なぞ、こちらを倒し切る前に失血死するのが落ちよ!」
 ぞろぞろと湧いて出てくる敵の数に、鞠緒の血量が不足し始めたのだ。動きの鈍った彼女を取り囲み、銃口を突きつける教団員たち。
「さっきのガキはともかくとして、お前は放置しておくと危険だ。先に片づけさせてもらおう」
 彼らは頭や胸などに狙いを定め……次の瞬間、銃声が響き渡った。
「間に合ったわね! 無事とは言い難いけれど、最悪の事態は避けられたみたいでなによりよ」
 だがそれは教団員のものではない。鋼鉄の兵士たちによる、蒸気銃の一斉射。相手の動きを逐次観察していたエメラによる援軍だ。急行してきた彼らが周囲へ展開、逆に相手を包囲するや、猛烈な攻撃を叩き込んでいた。
「な、何なんだ、こいつらは!」
「おっと、それも疑問ですね?」
 優位をひっくり返された教団員へ、機を伺っていたメタも触手による妨害を再開。鞠緒も残る力で相手へと襲い掛かり……そう時間もかからず、敵の全滅に成功する。
「ふむ、後半は若干スマートではありませんでしたね」
 そうため息をつくメタの一方では、エメラが鞠緒の体調を気遣っていた。
「傷の具合はどう? 動けるかしら」
「大丈夫、血が足りねェだけだ。補給すればまだいける」
 携行していた輸血パックを開けると、彼女はそのまま直に口をつけた。中身を一息で嚥下すると、眉を潜めて嘆息する。
「やめときゃ良かったわ、この戦法……あァ、まっず」
 ともかくとして、敵戦力を撃退した三人は小休息の後、九衛神社を目指し山を下りるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

波狼・拓哉
ボロボロなのにまだやる気があるのか…再起できると思ってるのか自分たちが犠牲になろうとしてるのか…まあ、再び何て考えられないくらいボキボキに折ってあげるよ?
目立たない様に地形を利用してロープ使って駆け抜けていく。敵が居たらミミックを召喚して投擲。さあ、化け焦がしな?高威力の生ける炎の無差別で一気に撃破を狙おう。唐突に化けるミミックに合図が間に合うかな?
自分は衝撃波込めた弾で相手の武器落としを狙ったりして周りのサポートに。まあ、ミミックが蹴散らしてくれるだろしね。
(アドリブ絡み歓迎)


ジノ・シュナイダー
安いだの高いだのって、命を値踏みしてるあたりがいかにも狂信者って感じだな。
まったく……ブッ飛ばす理由に事欠かないぜ。

で、奴さんが本腰入れてきた、と。
オーケー。相手してやるよ。

【ダッシュ】で間合い詰めて、〈シュナイダーボディβ〉で殴り飛ばす。
【グラップル】を発揮して、豪快に投げ飛ばしてもいいな。
敵の攻撃は〈SyG防壁〉を展開した【オーラ防御】で防ぐ。

「おいおいどうした、こんなもんかよ!」

って煽ってやれば、敵が【おびき寄せ】られて周囲を囲んでくるよな。
――そこで《ジノ・スパーク》発動っと。
一網打尽を狙うぜ。

「命の説教をしてやる義理はねぇ。消えな」

さて、神社の御神体ってのはどんなモンかね……。



●昼下がり:熱き双炎、昇華されるは狂った祈り
「ボロボロなのにまだやる気があるのか……再起できると思ってるのか、自分たちが犠牲になろうとしてるのか……」
「安いだの高いだのって、命を値踏みしてるあたりがいかにも狂信者って感じだな。
まったく……ブッ飛ばす理由に事欠かないぜ」
「違いない。再び、何て考えられないくらいボキボキに折ってあげようか?」
 事態が動いたと知った拓哉とジノは道路から離れ、神社目指して一路村の中を突き進んでいた。村中に展開しているだろう相手に悟られぬよう、拓哉はロープを駆使し、ジノは機械化された身体能力に任せて、木々や点在する家を足場に駆け抜けてゆく。
「っと、奴さんも本腰を入れてきたようだな……」
 その最中、ジノの視界が村のあぜ道を突き進む敵集団を発見する。幸いにも、相手はまだこちらに気付いてはいない。そのまま素通りしても良かったが、これは絶好の奇襲チャンスでもある。それにもそもそも、彼らに教団員を見逃す気など更々なかった。
「オーケー、相手をしてやるよ! こっちが前に出る、後ろは任せた!」
「了解。都合よく固まってくれているようだし……この手が一番かな?」
 拓哉が召喚したミミックを勢いよく投擲し、それから一拍遅れてジノが屋根を蹴って敵中へと飛びこんでゆく。放物線を描き、丁度相手集団の頭上へとミミックが至ると、さしもの教団員たちも異変に気付く。
「あぁ、なんだ。いきなり影が……箱?」
「爆弾とかにしちゃデカいな。風に飛ばされた段ボール……?」
 眉根を顰めて頭上を見やる教団員たち。それが攻撃であると気付かれぬまま、彼らの中心へとミミックはそのまま墜ちてゆき。
「さあ、化け焦がしなミミック……! 陽炎が全てを焼き尽くす時だ!」
 刹那、箱を突き破るが如き業炎が周囲へと溢れだした。北落師門が地に顕現したと思えるほどの焔が、無差別に巻き散らかされる。
「があああああっ!? 熱い、熱いぃぃいいいい!」
「こいつは攻撃だ、撃て! 撃てぇっ!」
 中心にいた面々は火だるまとなって転げまわるも、外側に居た者たちは辛うじて攻撃範囲から逃れる事に成功していた。悶え苦しむ仲間をしり目に、まずは炎の源であるミミックを黙らせるべく弾幕射撃を浴びせかけてゆく。尤も、それは外側に向けて無防備な背後を晒すということも意味していた。
「お仲間を助けようって気はないのかよ。それともまだ、どうせ生き返るだろうなんて考えてんのか?」
「な、おい、やめっ!?」
 一人が背後よりジノに殴り飛ばされ、炎の中へ呑まれていった。はっと振り返った二人目も胸ぐらを掴まれ、仲間と同じ末路を辿る。そこに至ってようやくミミックを相手にしている場合ではないと気付き、教団員たちは銃口を彼へと向け直す。明確な殺意を向けられても、彼は怯むどころか挑発の言葉を口走る。
「おいおいどうした、こんなもんかよ! 死ぬのが怖くないってんなら、もっと戦えんだろ?」
「だったらお望みどおりにしてやる! 炎に焼かれているのは相手も同じ、その分動ける範囲も限られている! 狙いは甘くてもいい、火力を集中させろ!」
 数人がフルオートで集中砲火を叩き込みながら、残りの者が手榴弾を複数纏めてピンを抜き、これでもかと投げ入れてゆく。ジノも漆黒の重力バリアを展開し耐えるも、このまま攻撃を受け続ければそれも破られかねない。
「あの炎は敵味方の識別が出来ないからな……一旦解除すべきか?」
 威力は抜群なれど味方も焼く恒星の焔。威力を弱めるべきかと一瞬思案する拓哉だったが、こちらにさっと視線を走らせてくるジノの瞳が、それは不要であると告げていた。寧ろ彼は進んで不利を演じてるようにも見える。
「よっし、それじゃあここはサポートに回りますか」
 拓哉はカラフルな色彩のモデルガンを取り出すと、衝撃波を籠めた弾丸を装填。相手の得物や足元に当てて狙いを逸らすことにより、気取られる事無くジノへ向けられる火力を調整してゆく。
「ほらほらほら、どうした! もうほとんど炎の中ではないか。そのまま燃え尽きろ!」
 一方ジノは相手の弾幕に圧され、その身を炎の中へと押し込まれてしまっていた。最早袋の鼠だと教団員はジノを取り囲んで嘲るが、故にそれこそが彼の狙いであると気付けない。流れ弾が黒い炭と化した教団員を撃ち崩す光景に、彼は静かに歯噛みをする。
「敵は愚か、仲間の命もどうでも良いってか……命の説教をしてやる義理はねぇ。消えな」
 ジノがそう切り捨てた瞬間、宣言通り教団員たちが消し飛んだ。彼の体内で急速生成された熱エネルギーは、周囲に満ちるミミックの炎を取り込み更に威力を高め、教団員たちを文字通り骨すら残さず消し炭にしたのである。
 ミミックが炎を解除すると、後に残ったのは焼け焦げた地面と溶解した銃ばかり。戦闘が終わったことを確かめると、拓哉が駆け寄ってくる。
「いやー、中々に無茶をしたね?」
「体の丈夫さには自信があるからな……にしても」
 こうまでして命を張る神体ってのは、どんなモンなのかね。ここまでの人員と装備を投入するだけの存在とは一体どのような代物なのか。二人は真実をその目で確かめるべく、神社へ向けて再び進み始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎
味方と連携希望

皆さんお見事です♪
敵の計画を全て破綻させた上
人々へ注意喚起までするとは

これで私が少女達を送り届ければ
後は敵を骸の海へ帰すだけですね

住宅地に敵がいないのを確認後
役場へ少女達を送り届けてから仲間と合流し神社へ

一般人の目が無い所は【翔銃】で移動

【祝音】で味方の癒しを優先

余裕があれば【鈴蘭の嵐】を<援護射撃、フェイント、誘導弾、2回攻撃>で
味方が攻撃を当て易いよう
敵の視界を遮る感じで放つ

敵にオブリビオンでない人がいたら不殺を心がける
邪神に人の生贄が必要なら
死者が少ないと弱まるかも

それにしても…犬さん猫さんを犠牲にして人を蘇生するのは手頃ですか…
邪神と同じ考え方ですね

静かに怒る


セルマ・エンフィールド
第一段階は成功したようですね。では、私も動きましょう。

狙撃地点を離れて神社へ向かう他の猟兵の援護に向かいます。
今度はこちらが攻め手、待機しての狙撃は有効ではないでしょうし、私も前に出ます。

合図をしての弾幕による制圧射撃で足止めを狙ってくるようですが、色々とやりようはあります。

ドローン【ペレグリーネ】を飛ばし、こちらも搭載した機銃で他の猟兵の援護射撃を。敵の気が空中のペレグリーネへ向かえば私のマスケットによる射撃で確実に1人ずつ仕留めます。

無理やりに抜けて神社へ向かうのも手ですが、不完全に復活した邪神との戦闘中に出てこられても面倒です。1人も逃がさず、制圧するとしましょうか。



●昼過ぎ:救い、助け、討つ。
(皆さんお見事です♪ 敵の計画を全て破綻させた上、人々へ注意喚起までするとは)
 埃くさい土蔵から飛び出すや、シホは村の地図を確認しながら舗装されていない田舎道を駆けていた。目指すは邪教団の本丸、九衛神社……ではない。
(これで私が少女達を送り届ければ、後は敵を骸の海へ帰すだけですね)
 彼女はまだ、生贄とされていた少女達を自らの異界に保護したままだ。もしシホが相手に捕らえられでもしたら、誘拐を阻止した努力がそのまま水の泡となってしまう。
(出来る限り、教団員との接触は避けたいですが……)
 こんな状況でもそれなりに人目があれば、相手も手出しはできないはず。そう踏んで彼女は家々の密集する区画を選び、敵がいないか警戒しつつ進んでゆく。このまま彼女らを任せられそうな村役場まで辿りつけば、後は神社へ向かうだけだ……が。
(……少し、おかしいですね)
 住民の姿が見えないのはまだ良い。警告を流した上、今も遠くから銃声が木霊している。だが、それにしても。
(昼間の住宅街……長閑とはいえ、幾らなんでも)
 静かすぎる。そう疑念を抱いた時、ヒュンっという風切り音が聞こえたと思うや彼女の翼に焼けるような痛みが走った。
「っ!? これは、狙撃ですかっ!」
 痛みを堪えつつ咄嗟に近くの塀へ身を隠し、そっと様子を伺うシホ。ここは住宅地、身を隠す場所には事欠かない。そして最悪な事に、相手も一人ではないだろう。互いに死角を補うよう布陣しているはずだ。
 誘い込まれた形だが、このまま足を止めている訳にもいかない。
「狙撃と言っても、見えなければ意味がありませんよね……一気に行きます!」
 ぶわりと鈴蘭の花弁が舞い踊った。花の嵐は潜む狙撃手へ襲い掛かると同時に、自身の姿を隠してくれる。シホは翼をはためかせるや、地面すれすれの低空飛行で道を飛翔してゆく。
「目標は住宅地を西に移動している……出てくるぞ、撃て!」
「くっ、う!」
 おかげで銃撃を避けられたものの、それも一時のこと。花吹雪から一歩出ると、四方八方から銃弾が襲い掛かり、彼女の全身へ銃創を穿ってゆく。このままではいずれ撃ち落されると覚悟した、その時。
「撃った後に碌々移動もしない……所詮は付け焼刃、やはり専門でなく素人ですね」
 別方向からの狙撃が、身を隠していた教団員を射抜いた。見事なまでのカウンタースナイプを成し遂げたのは、村へと急行してきたセルマである。
「神社に向かう仲間を援護するつもりでしたが、こちらも見捨ててはおけませんし……何より、狙撃戦とあれば引けません」
 相手も応射してくるが、破れかぶれの射撃など自らの位置を晒すのと同義だ。セルマは位置を逐次変更しながら、機銃で武装したドローンを上空へと解き放つ。
「<ペレグリーネ>起動。さぁ、頼みましたよ。スポッターの居ない狙撃がどれだけ不完全か、教育してあげましょう」
 音も無く静かに飛翔するドローンは、上空より隠れ潜む教団員たちの姿を捉える。スコープを使用した狙撃は確かに命中精度を上げるが、代わりに視野を狭める。そんな状態の彼らが忍び寄るドローンに気づける筈もなかった。
「ちぃっ、最初の目標が市街地を抜ける! ドローンが邪魔で追い切れん!」
 頭上から雨あられと掃射される機銃弾に、次々と狙撃手たちは潰されてゆく。こうなればシホへ構っている余裕などなく、援護という目的は十分以上に果たすことが出来た。
「ありがとうございます! 私はこのまま少女達を預けてきます!」
 シホは翼をはためかせながら離脱してゆく。それを見送りながら、セルマは一瞬だけ撤退するかどうか思考を巡らせた。
「このまますり抜けて神社へ向かうのも手ですが、邪神との戦闘中に出てこられても面倒です……一人も逃がさず、制圧するとしましょうか」
 だが彼女は、この場にいる相手を逃す気は毛頭なかった。邪神の能力も分からぬ今、不確定要素を野放しにしておく必要もない。
 位置を変え、高度を変え、角度を変え。一人ずつ確実に狙撃手を無力化してゆく。チェスや将棋の様に、時間を掛けて着実に詰めへと手を進める。
「流石に、無暗矢鱈に撃っては来なくなりましたか……ですがもう、相手の数も僅かでしょうね」
 居るとすれば、残り一人。ジリジリとした緊張感が張り詰める中、セルマが通り過ぎた空き家の曇りガラスに、ふっと人影が写る。その手には細長いものが見えた。
「っ、待ち伏せですか」
 応射した銃声が響くと同時に、窓ガラスが割れる。だが曇りガラス越しであることが災いし、銃弾は相手の左肩を穿つに留まる。痛打ではあるが、相手は無理やり銃を構えて引き金を引かんとし。
「させませんっ!」
 少女を村役場へ預けるや、とんぼ返りしてきたシホが割って入り、二挺の聖銃から弾丸を叩き込んだ。最後の狙撃手はそれをもろに受け、その場へと崩れ落ちる。
「すみません、助かりました」
「いえ、先に助けて貰ったのはこちらですから!」
 互いに礼を述べつつ、シホは斃れた教団員へ怒りと悲哀の入り混じった視線を向ける。
「それにしても、犬さん猫さんを犠牲にして人を蘇生するのは手頃ですか……」
「願う相手は邪神。それだけで済まないと、普通であれば考えそうなものですがね」
 神社へと近づいてゆけば、より戦闘は激化してゆくだろう。二人は簡単な治療を行うと、警戒しつつ神社のある山を目指し突き進むのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
【チェイン】で分身&能力強化

二人で連携戦闘。
遮蔽物と【見切り、残像】で敵の攻撃を回避しながら接近し【範囲攻撃、早業、鎧無視、2回攻撃】で大量の接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で敵集団を飽和爆撃。
爆破と同時に【ダッシュ】で斬り込み、片方がボムとK100による銃撃で援護し、もう片方が銃撃しながら接近して【毒使い、早業】猛毒ダガーで首うを切り裂いたり顔面に突き立てる様にして始末していく。

敵の大集団や神体に対しては、切り札のジェノサイドノヴァを使用。瑠璃と緋瑪で魔力を【力溜め】し、超火力で殲滅する

緋瑪「わたし達は二人で一人の殺人姫♪」
瑠璃「殺しに遠慮も容赦もしないよ」

※アドリブ等歓迎


レイチェル・ケイトリン
いっぱい敵がいる……なら「念動力」と「早業」で「パイロキネシス」をつかって自由にあやつれる32の炎を急いで出して「クィックドロウ」でたたきつけるよ。

たたきつける瞬間に爆発させて「範囲攻撃」、「武器落とし」、「目潰し」、「吹き飛ばし」の効果も持たせるの。

まとまってうごけないように「フェイント」もかけるね。

敵からの攻撃も爆発する炎でふっとばしてふせぐよ。
他の敵をふっとばして敵の攻撃につっこませて「敵を盾にする」効果もつかうよ。
ほかの猟兵さんや一般人さんへの攻撃もおんなじようにふせぐよ。
「かばう」技能もつかえるから。

増援呼ばれてもいい。虎の子とかいうなら全部の数はかぎられてるものね。



●夕刻:紅蓮に消えるは邪なる妄念
 日が傾き、徐々に茜色へと染まる時刻。続々と神社目指して突き進む猟兵たちと、それをさせまいとする邪教団。必然的に、時間が経つにつれ双方の戦力は神社付近へと集結してゆく。それはこれまでは散発的だった遭遇戦から、本格的な全面戦闘へと移行することを意味していた。
「緋瑪、そっちに五人回り込んできている。気を付けて」
「はいはい、それじゃあ纏めて吹き飛ばしちゃうよ。そーれドッカーン♪」
 中腹に神社を抱える山、その麓。相手の根拠地とあって、敵の抵抗は極めて激しい。瑠奈は別人格の緋瑪と共に、連携を駆使して敵集団と渡り合っていた。瑠璃が毒を装填した短剣で一人ずつ敵を刈り取っている一方で、緋瑪は側面をカバーするように大量の爆弾を精製、そこらじゅうへとばら撒き爆炎を振りまいている。
「落ち着け、慌てるんじゃない! これまでとは違い、数は圧倒的にこちらが上だ! 個々では敵わずともその利を生かせ! 撃ぇっ!」
 だが相手もここを抜かれては後がないと、兵力を集中させている。合図とともに猛烈な弾幕射撃を行い、瑠璃と緋瑪をその場へと釘付けにし、その隙に意趣返しとばかりに手榴弾を投擲しようと振りかぶる。
「これはわたしの心の炎……はやさだけなら、負けないよ?」
 だが彼らの手に握った手榴弾へ次々と炎が着弾。握りしめたまま火薬へ引火、暴発して相手の陣形をかき乱してゆく。それを放ったのは、瑠璃らと共に村へと舞い戻ったレイチェルだ。熱と衝撃で視界を潰し、火球によって敵中で暴れる仲間を支援する。
「ここより後に退路は無い! 出し惜しみはするな!」
(うん、それでいい。虎の子とかいうなら全部の数はかぎられてるものね?)
 業を煮やした教団員は次々と戦力を投入してゆくが、それもレイチェルの目論見通りだ。もしここを突破し、神社で邪神と戦闘する際に支援へ回られても厄介な上、戦闘後に残敵が居ればまたぞろ他の場所で同じようなことを企てかねない。故に今この場で全てを出させんと、彼女は増えゆく敵へ手を休めることなく攻撃し続けてゆく。
「いい感じに数が集まってきたね~。ねぇ、瑠璃。そろそろあれ使っちゃう?」
「……ううん、もう少し集まってからの方が良いかな。でも準備だけはしておこうか」
 自動拳銃で正確に相手の心臓を撃ちぬきながら、緋瑪がちらりともう一人の自分に視線を向ける。瑠璃は相手の顔面へ深々と突き立てた毒短剣を引き抜きながら首を振る。威力は抜群だが、事前準備に時間を要する彼女らの『切り札』。使いどころはギリギリまで見極めるつもりだった。
「もう少ししたら、相手も息ぎれすると思うよ……それまでは私が攻撃をひきつけるね?」
「ええ、お願いします。出来れば相手を一纏めにして貰えると嬉しいかな」
「うん、わかった」
 会話は一瞬。示された提案に瑠璃が同意を示すと、レイチェルはすぐさま攻撃を再開する。狙いは相手の攻撃を引き受けながら、出来る限り意識を己へと集中させること。
「あいての動きを誘導するには……あしもと、かな?」
 レイチェルはこれまでの武器狙いから、相手の足元へと目標をシフトする。次々と湧いて出る教団員の足元へ炎を放つや地面ごと吹っ飛ばし、教団員同士を衝突させる。なまじ数が集中させた事が災いし、将棋倒しとなって身動きの取れない者まで出始めた。
「ぐおっ、おい! さっさとどけ!」
「ぐぅう、足が焼けて、身動きがっ!?」
 足が炎により焼け爛れている為、激痛で立ち上がる事さえままならない。戦場においてそれは余りにも無防備すぎた。
「よし、これなら良い?」
「うん、やろうか」
 これこそまさに絶好の好機。手をつないだ緋瑪と瑠璃は掌の中に魔力を集中させ、一発の爆弾を生み出す。それに秘められた威力は、先ほど使用していたモノの比ではない。
「わたし達は二人で一人の殺人姫♪」
「殺しに遠慮も容赦もしないよ」
「おい、やめろ! 動け、はやく立てといっている!?」
 教団員も不穏な空気を悟り逃げ出そうとするが、もう遅い。放物線を描き投じられた爆弾はもみくちゃになっている教団員の上へと転がり落ち。
 刹那、驚異的な火力が解放された。大気が炸裂し、爆轟すらも生じさせるほどの燃焼。凄まじい熱と光が視界を焼き、思わず猟兵たちは目を覆う。それらが収まった後には、浅く半球状に抉られた地面だけが存在していた。
「自分でやっておいた手前、見事な威力ね」
「これで全滅させられたかな?」
「流石にそれはないだろうけど……それでも、かなりの数をへらせたね」
 三人の耳には、他の猟兵が戦っているであろう戦闘音が響いてくる。ただ、銃声が散発的なのをみるに、そちらも優勢に進めているのだろう。彼女達は仲間がすぐに来てくれることを確信しながら、神社へと続く石段に足を掛けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

弁柄堂・平吉
【ヤド箱】で参加。アドリブ絡み可

目指すべき場所はわかりました。そこへ至る道を作るとしましょう。

■足止め
一人でも多く敵を刈って時間稼ぎです。足の早さよりも、こういう方が得意でして。
山の中腹、木々があれば《咎力封じ》の出番です。
木々を支柱に行く手を阻むよう拘束ロープを広げます。ある程度進みやすい道は用意して そこに敵を集めるように。戦いが不得手な方からは遠ざけるように。
当然罠ですが、後手に回っている敵達なら急ぐあまりそういった考えまで至らないでしょう。
その間俺は【追跡、忍び足】の応用で隠れつつ、【地形の利用】をして戦いやすいところへ敵を誘導です。その後は――崖から落とす、なんてのも ありですかね。


ペイン・フィン
【ヤド箱】で参加

さて……。
思ってたよりも、数、居るね。
でも、場所も分かったし……。
なら、自分は支援しようか。

コードを使用。
装備している拷問具8種を複製。
200を超えるそれを操り、兵士の足止めと制圧を行うよ。
村の人に、被害が出ないように、1対1体確実に。
潰して、砕いて、斬って、押しつぶして、
鞭で、電気で、炎で、毒湯で、
目につく兵士を、片っ端から、相手するよ。

……さあ、道は、作るから、
行ける人から、先に行って、ね。


勘解由小路・津雲
【ヤド箱】で参加。他の猟兵との共闘・アドリブ歓迎

神社か、ここからどれくらい離れているのだろう? それに、ただでは通してくれなさそうだ。相手の練度かわからんが、重火器で武装されていたらなかなか手ごわいだろう。

■行動 式神(道具)を先行させ、様子をうかがいながら進む。敵がいたら、陰に隠れ、千里鏡で監視しつつ【符術・鳥葬】を使用。本来は嘴などで切り裂くところだが、体当たりで吹き飛ばすことにしよう。それでも気絶させるぐらいはできるはず。上空から敵陣に突っ込めば、同士討ちをおそれて銃は十分に使えまい。倒れた敵の武器は破壊し、無力化しておく。援軍要請はむしろ望むところ。その分敵を引きつけられるのだから。


落浜・語
【ヤド箱】の面々と参加。
まだ、いるってのが本当にまぁ……バカは死ななきゃ治らない、と。
しかも神社って。もともと奉られてたなら知らぬが仏とはこういうことかね?

再度『誰が為の活劇譚』を使用。後方からもり立てようか。
「ダムの破壊に道路閉鎖。挙げ句の果てには人身誘拐。悪辣、悪趣味の限りをなそうとした馬鹿どもは、悪が栄えた試しはあらぬと、全ては叩きのめされまして。此度集まるは九衛神社。もちろんそれも見逃せぬと駆けて行きます、猟兵たち」

出来る限り歩兵と遭遇したくはないが、そのときは奏剣で対応。【フェイント】かけつつ倒して逃げる。
厳しくなったら、近くの人に泣きつくか…


ファン・ティンタン
【SPD】二度あることは、
【ヤド箱】で参加
アドリブ可

さて、九衛神社に何かあるって話だったね
好条件が揃ってることだし、もう一芝居打とうか

先程殴り飛ばした教団員に【異心転身】で変装
仲間にはスマホ等を介しその事実を予め通告、目印を設けることで誤射被害を避ける
その上で、先の道案内での【情報収集】結果を元に九衛神社へ
遭遇する歩兵集団へ、【コミュ力】を行使しつつ、知られても被害のない猟兵情報をそれっぽく話し一団に溶け込む
神社付近に仲間が来る気配があれば、歩兵共に偽の猟兵情報を捏造流布して戦況撹乱

や、奴らは何故か銃火器が効かないっ、無理にでも近付いて接近戦をしなけりゃジリ貧だ!

適宜、のびーるぱんちで戦闘乱入


鹿忍・由紀
数だけ多いっていうのも面倒だなぁ。
まあオブリビオンと戦う前のウォーミングアップとでも思おうか。
不確かなものにあれだけ熱心に信仰出来るなんて、ある意味純粋なのかな。

さて、引っ掻き回してやろうか。
ユーベルコード『暁』を使い、敵の攻撃が飛び交う中を気にせず進んでダガーによる斬撃で落としていこう。
「恐怖を与える」も兼用すれば、必死で攻撃してるのに目の前のやつに当たらないっていう精神的プレッシャーも与えられるかな。
俺に攻撃が向けば他の猟兵も動きやすくなるだろうしね。

アドリブ、絡みはご自由に。



●日暮れ:神の社に集うは戦
「さて、九衛神社に何かあるって話だったね。どうやら、其処此処でドンパチやっているようだ」
 遠くから響く凄まじい爆発音を耳にしながら、ファンは神社のある方向へと視線を向ける。彼女は土蔵から出た後、少女達を預けに行った仲間と別れて一人神社へと向かっていた。幾度か発生した遭遇戦を危なげなく打ち倒しながらも、ここに来て一旦足を止める。
「ふむ……あの数を一人で相手にするのは、中々骨が折れそうだね?」
 視線の先にはぞろぞろと群れを成す教団員の姿があった。仲間が居ればともかくとして、単身で挑むには些か数の差が大きい。どうするべきかと思案するも、ファンはすぐさま一手思いつく。
「数も多く、急な動員で情報も錯綜している……ここまで好条件が揃ってることだし、もう一芝居打としようか」
 彼女はそっとスマホを取り出すと、文字を打ち込み仲間達へとメッセージを飛ばす。内容を了解した旨の返信が来たのを確認すると、それを仕舞って物陰へと身を隠す。
「事前連絡はした事だしね、くれぐれも誤射には気を付けておくれよ?」
 ファンはそう小さく笑みを漏らすと、自らの異能を発動させるのであった。

 また、別の場所。ゆっくりと日が暮れ、影が徐々にその長さを増してゆく中、神社付近の山中でも熾烈な戦闘が繰り広げられていた。
「さて……思ってたよりも、数、居るね」
 ざっざっざっと、周囲に響く足音から、かなりの数が付近へ集まっていることを悟るペイン。周囲には鬱蒼と木々が生えている為、大戦力と真っ向からぶつかり合う心配はないが、視界の悪さによる不意打ちの危険性はかなり高い。現に彼の足元にも、出くわした教団員が数名拘束され倒れている。
「どうやら他の場所でも戦っている方がいらっしゃる様子。目指すべき場所はわかりましたし、まずはそこへ至る道を作るとしましょう」
 聳え立つ木々の位置や間隔を測りながら、平吉はこの状況を利用した戦法を思いつく。身動きが取りづらいのは相手も同じこと、であればこちらはよりそれを強調させればよい。
「一人でも多く敵を狩って時間稼ぎです。足の早さよりも、こういう方が得意でしてね」
 平吉は虚空から次々と拘束ロープを呼び出すと、それらを木々同士を結ぶように巻きつけてゆく。ほんの二、三本のロープを木々の間に通しただけだが、これだけでも移動は大幅に阻害されるだろう。さながら即席の迷路だ。
「こいつぁ良い。余り正面から切った張ったってのは得意じゃないんでね」
「敢えて進みやすい道を幾つか作っておいたので、こちらが有利な場所へ誘導できるはずです。語は支援をお願いしますよ?」
 武装した敵が現れたと聞き、すぐさま放送所を飛び出し合流した語が平吉の手際に舌を巻く。相手は銃を使う故、完全に安全だとは言えないが、それでもいきなり敵が目の前に現れるということも無いはずだ。
「何だこれは……小細工を弄しおって!」
「これこそ、正面からでは我々に勝てぬという事の証左。突破して血祭りに上げよ!」
 と、そこで森の中に怒声が響く。周囲を索敵していた敵集団が三人の姿を認めたのだ。教団員たちは一部が小銃を構えて一斉射撃を加えつつ、残りがロープによって作られた迷路へと突入してゆく。
「彼らの相手は、自分がする、ね……」
「ではお任せしましょう。俺は注意の逸れた相手を狩っていくとしましょうか」
 平吉が周囲の風景に紛れて動きだす一方で、ペインは周囲へと二百近い拷問具を展開。彼の意思に従い、無数の凶器が虚空を駆けてゆく。
「敵の攻撃だ、撃ち落とせ!」
 教団員も合図と共に一斉射撃を行い、迫りくる拷問具を撃ち落とす。だが、一つ一つの大きさは人間よりも遥かに小さい上、それが四方上下より襲い掛かってくるのだ。
「くそっ、離せ、はなっ、がああああっ!」
「ひ、膝が動かない! 助けてくれ、外に、外にっ!」
 狭い迷路内で射角の取れぬ場所も多いとあって、一人、また一人と指を潰され、膝を砕かれ、電流で、高熱で、毒湯で責めたてられ、苦悶の叫びと共に崩れ落ちてゆく。
「……一人も、逃がすつもりはないよ」
「こ、こんなものさえなければ!」
 そうなれば当然、周囲のロープを外そうとする者も出てくる。銃を放り出した教団員が大ぶりなナイフを手に、ぎりぎりと刃を立てて断ち切ろうと試みる、が。
「おっと、折角作ったのですから、もう少し楽しんでくれると嬉しいのですがねぇ?」
 その手を掴まれたと思うや、ねじり上げられる。気配を消して忍び寄っていた平吉によりナイフを取り上げられると、教団員は拘束具で雁字搦めにされ、そのまま山の斜面を転げ落ちて行った。
「さって、現状は迷路込みでこっちのやや有利みたいだな……お?」
 後方で戦況を見守っていた語だが、そこである教団員に目が留まる。だがよく見ようと目を凝らしたところで、教団員たちはぞろぞろと迷路の出口側へと移動を始めてしまった。
「このままじゃ埒が明かん! 総員、距離を取って射撃に徹しろ! これだけの数だ、多少阻まれても損耗は与えられる!」
「いいや、駄目だ! 奴らに銃弾は通じない。無理にでも近付いて接近戦をしなけりゃジリ貧だ!」
「何を言っている、銃弾が効かないのではない、射線が通らないのが問題なのだろう!」
 迷路からの後退を命じ、距離を取るよう指示する隊長格へ反論の声が上がる。何を馬鹿なことをと隊長は切り捨てるが、なおも反対の声は止まらない。他の教団員は突如として発生した内輪揉めに動揺、その間にも次々と拷問具の餌食となってゆく。
「このっ、その口を閉じなければ、無理やりにでも黙らせる!」
 もたついている暇などない。問答の時間も惜しいと、隊長格は反駁し続ける教団員へ銃を突きつけ……。
「ああ、それは流石に頂けないな。という訳で、のびーるぱんちだ」
 まるでゴムの如く伸びた教団員の拳が、隊長格の顔面へクリーンヒット。一撃でノックダウンする。人間離れした動きに周囲が呆気にとられる中、その教団員……否、ファンは『異心転身』を解除し、普段通りの姿へと戻る。
「ああ、やはりファンさんが居ましたか。目印を付けた教団員が見えたんで」
「このまま混乱させられればと思ったのだけれど、そうそう上手くはいかないようだね」
 語の呼びかけに嘆息するファン。彼女は人質救出の際と同様、教団員に変じて潜り込み、機を見て相手を混乱させるべく動いていたのだ。それは一定程度の効果は挙げたものの、今度は一転して教団員取り囲まれる状態となってしまう。
「隊長がやられたぞ! こいつを蜂の巣にしろ、絶対に逃がすな!」
 周囲全てが敵、数秒後には向けられた銃口全てが火を噴くだろう。敵陣の中であるが故にすぐさま援護に向かえない状況下で……事態を動かしたのは空からの援軍であった。
「バン・ウン・タラク・キリク・アク! 高つ鳥の災を此処に!」
 朗々たる声と共に、一陣の風が枝葉をすり抜け吹きすさぶ。それは護符を幾重にも織り込んだ鳥の群れだ。それらは次々と教団員へ体当たりを敢行すると、手にした武器を弾き飛ばし、撃ち壊してゆく。瞬く間に、相手の陣形を千々に乱れていった。
「やれやれ、ダムからこの神社まで中々に距離があったからな……先行して式神を飛ばしておいてよかった。下手をしたら出遅れていたぞ」
 中空に五芒星を描き、剣指を維持したまま津雲が戦場へ姿を現す。事態を受けてダムから神社へと急行しようとしたものの、途中が山道とあって徒歩での移動はそれなりに時間が掛かる。故に津雲はより移動速度の速い鳥状の式神を先行させ、村内の状況把握や援護に努めていた。
「返信があったから大丈夫だろうとは思っていたけれど、今のは少しばかり危なかったね」
「これでも急いできたんぜ? ただ道中で見た限り、相手もそれなりに武装を整えていていたしな。単独ではより時間が掛かったかもしれんが……途中で合流できたのは運が良かった」
 敵の包囲を脱したファンの軽口に、肩を竦める津雲。鳥式神による奇襲攻撃は相応の混乱を招いてはいるが、元がやはり紙である。速度は在れど耐久力に乏しく、相手の応射によって徐々にその数を減じている。だが、津雲に焦りはない。共にこの場へと辿りついていた仲間が、式神の奇襲に乗じて既に敵中へと突入していたからだ。
「数だけ多いっていうのも面倒だなぁ。途中でそれなりに数は減らしたと思うんだけど、まだこれだけ残っているのか……まあ邪神と戦う前のウォーミングアップとでも思おう」
「いい度胸だ、わざわざ袋の鼠へなりに来たか!」
 先程までのファンのように敵陣の中で一人佇む由紀。その意図はわからずとも、こうも無防備に姿を晒しているのだ。教団員は目の前に現れた敵へ意気揚々と攻撃を仕掛ける。相手の数が数である、一斉射撃はまるで壁の如く由紀へと襲い掛かり、銃弾が全身を貫くと思われた……が。
「さて、少し引っ掻き回してやろうか。射撃なら通用するって考えているようだけれど……見込みが甘かったみたいだね」
 銃弾は由紀に命中するどころか、一発たりとも掠ることすら無かった。相手の細かな癖や引き金を引くタイミング、銃口のブレや角度。それらを一瞬で見分けるや、最小限の体裁きで避け、どうしても命中するものは手にした短剣で斬り落としたのである。
「な、そんな……馬鹿な!」
「不確かなものにあれだけ熱心に信仰出来るだけあって、ある意味純粋なのかな。でも、目の前の現実くらいはしっかり見た方が良いよ?」
 硝煙の立ち昇る小銃を構えたまま、呆然とする教団員。決まったと思った攻撃が外れてしまい、さしもの彼らも理解が追い付かない。そして理解できぬまま、その命を再び骸の海へと落とすこととなる。棒立ちしている相手の懐へ音もなく踏み込むや、由紀は次々とその首を掻き切って絶命させてゆく。
「しっかし、現実の見えてない連中がこんだけいるってのが、本当にまぁ……バカは死ななきゃ治らない、と。しかも神社って。もともと奉られてたなら、知らぬが仏とはこういうことかね?」
 仲間達の攻撃によって、混乱の坩堝へと叩き込まれゆく教団員たち。その様子に呆れながらも、語は喉の調子を確かめる様に深呼吸を一回。ぐるりと回りを見渡す。
「仲間も大分合流できたことだし、俺もそろそろ一席始めるとしますか。相手はともかく、聞かせる人数としちゃ十二分だ」
 今も尚、戦場には銃声が響き渡り、怒号や叫び声が飛び交っている。喧騒という点では静謐さと無縁の状況だ。しかしだからと言って臆することなどあり得ない。仲間が前線で戦っているように、語もまた自らの役目を果たさんとしていた。
「……ダムの破壊に道路閉鎖。挙げ句の果てには人身誘拐。悪辣、悪趣味の限りをなそうとした馬鹿どもは、悪が栄えた試しはあらぬと、全ては叩きのめされまして」
 決して怒鳴るような声量でもなければ、拡声器を使った訳でもない。だがその声は、不思議と戦場へと響き渡り、一語一句を正確にその場にいる全員の耳へと届けてゆく。
「此度集まるは九衛神社。邪なる神を目覚めさせんと悪足掻くは邪教の徒。もちろんそれも見逃せぬと駆けて行きます、猟兵たち。一日がかりの大舞台、幕引きの時はもう間もなくと相成りましょう」
 味方には鼓舞として、敵には己が運命を突きつける宣告として。紡がれる活劇譚は隅々まで広がってゆく。戦場の空気とは即ち士気と言い換えても良い。それは多勢でも心折れれば烏合の衆と化し、天を突かんばかりの気力があれば寡勢でも数の差をひっくり返す。
 であれば畢竟、この場の空気が傾いてしまえば……後は一方的な殲滅戦であった。
「撃ち漏らしは……ないようだね。人数が人数だから、少し不安だけど」
「流石に辺りも暗くなってきたからね。逃げられていたら、探すだけでも一苦労だ」
 戦闘を終えた由紀が一息つき、ファンがさっと辺りに視線を走らせている。周囲を染めていた緋色もすっかり藍色へと景色を変え、仲間同士の顔も若干視認しにくくなっていた。一方、スマホで他の猟兵とやり取りしていた語がその心配はなさそうだと顔を上げる。
「相手の監視に徹していたお仲間が、神社以外にもう敵影はないとさ。あちらさんも、もうこっちに来るらしい」
「途中、この近くで戦闘音がしていたからね……もしかしたら、他の猟兵も一足早く神社に向かっている、かも」
 となると、ペインの聞いた派手な爆発音をさせていたのは別の組だろう。音が途絶えて時間も経っている為、無事であればもう突入している可能性が高い。
「であれば、俺たちも急いで後を追いましょうか」
「だな……神体とやら、この目で拝んでやろう」
 平吉と津雲の言葉を受け、すぐさま行動を開始する猟兵たち。林の中に隠れた石段を駆け上がり、中腹に設けられた神社へと突入した彼らが見たモノは――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『九渓之永久姫』

POW   :    契約者共戦うが良い、大事な者と再び会いたかろう?
戦闘用の、自身と同じ強さの【嘗て契約をし死者の蘇りを願った者達】と【其の血を引く者達で構成された軍勢】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    捕えよ死者共、終わらぬ死より開放してほしかろう?
【嘗て蘇らせてきた死者や弐の約定を守らず人】【すら殺め其れですら止まらず嘗ての友や親、】【子に喰らわれた契約者の成れの果ての群れ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    亦紅よ我が尤も信頼せし友よ、そなたの出番ぞ?
自身の身長の2倍の【永久姫と生前から共にあった狼の変化、亦紅】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
👑11
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●宵闇:永久の姫神、死せる軍勢引き連れて
「おのれ、おのれおのれおのれおのれぇぇえええええっ!」
 古びた神社に、凄絶な叫びが響き渡る。煌々と篝火で照らされた中、此度の計画を指揮していたと思しき邪教徒が憤怒の形相で待ち受けていた。その周囲には教団員が何人も、頭から血をまき散らして斃れている。戦闘によるものではない、自決したのだ。
「計画は崩れ去った。ああ、認めよう。我らの完敗だ……だがな、このままおめおめと黄泉路へ還れるものか……!」
 男は小脇に抱えていたモノを自らの頭上へと掲げる。それは古ぼけた篠笛を咥えた、狼と思しき動物の頭蓋骨。恐らくそれこそが神体なのだろう。
「成功するかも分からぬ。よしんばしたとしても、不完全極まりない。だが僅かでも可能性があれば……我らが信仰は不可能を打ち破るのだっ!」
 片手で銃口を咥えるや、邪教徒は躊躇うことなく引き金を引く。凄惨な光景に目を覆いたくなるも、それは一瞬。教団員の躯が独りでに浮かび上がると、神体を中心に渦を巻き、そして――。
「永代の忠誠を。それさえ果たせば、望みし者を黄泉路より連れ戻そう。親、子、夫、妻、恋人、親友……ただし、約定を守る限りであるが」
 現れるは白衣緋袴の上より千早、つまるは巫女装束を纏った少女。彼女がひゅうと篠笛を吹かば、その傍らに巨大な狼の骨身が現れ傅く。
「一つ、死者へ日毎に犬猫を贄に捧げよ。二つ、死者は一月の内に、また死者へと還すべし……さもなくば、人すら贄とせねばならぬ」
 淡々と告げるは、蘇生神として課す約定。望まれるまま、望まれた結果をもたらし続けた神性。その外見は神々しさを感じさせるものの。
「約を破り、定めに逆らい。どうしても離れたくない。別れたくないと願うのならば、それでも良かろう……すべて、我が胎に還すまで」
 だが、そう言って口元を歪める姿は邪なるもので、清廉さとは程遠い。ぞるりと、邪神の周囲の空間が歪む。かつて死者の復活を願った者、願いにより蘇った者、それらの血族全て……その成れの果て。死より逃れたがゆえに、永遠に死に囚われた犠牲者の群れだ。
「さぁ、そなたらは誰を蘇らせる? もし願いの無くばそれでも良い……些か、贄が足りぬ故な」
 こやつらも、同輩を欲しがっておるしの。その言葉を切っ掛けに、死者の奔流が神社を埋め尽くす。このままでは、この小村を飲み込み地獄へと変えかねない。だが相手は不完全な状態での復活、勝算は十二分に存在する。
 さぁ、武器を取れ。九衛村の長き一日に、終止符を打つのだ。

※マスターより
 第三章となります。プレイングは25日8:30以降に頂けますと幸いです。
 ただ、プレイングにつきましては期限内でのリプレイ執筆に尽力いたしますが、時期柄、月見月の執筆予定が若干不鮮明なため、もしかしたら一部流れてしまう可能性がございます。
 その際には成功度達成前で停止致しますので、お手数でなければ再送頂けますと助かります。ご迷惑おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
四季乃・瑠璃
緋瑪「わたし達は二人で一人の殺人姫」
瑠璃「私達は死を生むだけ…蘇生なんて願わない」
緋瑪「どちらにせよ、不完全な蘇生と詐欺みたいな契約を結ぶような神様はゴメンだしね」
瑠璃「神様さえ殺してみせる…それが私達だよ」

UCの効果で分身
【見切り、残像】で敵の攻撃を回避し、【範囲攻撃、早業、鎧無視、2回攻撃】で大量の接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で契約者等、敵の軍勢を飽和爆撃で殲滅。
本体と亦紅は片方が【早業】K100の銃撃とボムで動きを制限しながら、もう片方が【ダッシュ】で接近し【早業】『死姫』大鎌形態で首を狙う。

ラストは二人の魔力を集中して【ジェノサイドブレイカー】発射で仕留めるよ!

※アドリブ等歓迎


エメラ・アーヴェスピア
…さて、そろそろ決戦のようね
猟犬に乗って急いではいるけど…
ギリギリまで情報管制していたせいで私が間に合うかは微妙かしら
ただ、ドローン越しに見るに、やれる事はありそうね

『この場は既に我が陣地』、神社を包囲するように広範囲配置
基本的にはオブリビオンと戦う同僚さんの助けになるように砲撃支援…【援護射撃】よ
でも一番の目的は、大量の死者が神社から溢れ出ない様に外に向かおうとする者を撃滅、骸の海へと送り還す事
憂いは私に任せて存分に戦ってきなさい、同僚さん

…遠すぎる場所に配置するのは正直疲れるのだけどね…

※アドリブ・絡み歓迎


メタ・フレン
そろそろ力で相手をねじ伏せる頃合いですね。

死者の群れは、【エレクトロレギオン】125体の【一斉発射】による【範囲攻撃】で対処するとして。
あの狼?に騎乗している邪神は素早そうだし、単純な攻撃は中々当たらないでしょうね。

と言うわけで、
①【レプリカクラフト】で『仕掛け罠』としての小型爆弾(衝撃を受けると爆発)を作る。
②爆弾を【ロープワーク】で【グッドナイス・ブレイヴァー】に括り付け、更に【迷彩】【物を隠す】【地形の利用】で、暗闇に溶け込ませる。
③【視力】【暗視】【見切り】【情報収集】で邪神の動きを補足しつつ、爆弾付きドローンを【操縦】し、それを邪神に当てる。

もし決まったら…今度こそスマートですよね?



●宵の口:砲火と機群と爆弾と。
「なるほど。そろそろ力で相手をねじ伏せる頃合いということですね」
 夕闇の中、蠢く死者の群れを前にしつつもメタの態度はこれまでと変わりない。彼女にとって、教団員も邪神も等しく自らの興味を試せる対象に過ぎない。
 いや、態度が変わらぬというのであれば、瓜二つの姿をした少女達もそうだ。
「わたし達は二人で一人の殺人姫」
「私達は死を生むだけ……蘇生なんて願わない」
 自動拳銃、短剣と大鎌、それにたくさんの爆弾を。数多の凶器を手にしながら、瑠璃と緋瑪は姫神の誘いを切って捨てる。
「どちらにせよ、不完全な蘇生と詐欺みたいな契約を結ぶような神様はゴメンだしね」
「神様さえ殺してみせる……それが私達だよ」
 人だろうと死者だろうと、それが神であろうとも。殺しの一点において劣るつもりはない。その宣戦布告を皮切りに、二人の殺人姫は死者の群れへと飛び込むや辺りへ爆弾をばら撒いてゆく。
「さて……とは言え相手の数が数、こちらも手数を増やしましょう。しかし、不完全でこれだけ居るとは。本調子では一体どれだけの量が出てきたのやら」
 次々と咲き誇る爆炎の華を眺めながら、メタは周囲へと戦闘機械群を展開。味方を巻き込まぬよう射線を調整しながら、都合百二十五機による一斉射撃にて死者の軍勢を押し戻してゆく。だが相手は契約者は愚か、その血族さえも飲み込んだ邪神。損害を物量で塗り潰すか如く、途切れることなく押し寄せてくる。
「この波を突破するのは流石に骨が折れるでしょうね。なら……」
 自身では突破することが困難であると早々に悟ると、彼女は数個の即席爆弾を作り上げ、それをドローンに括りつけて飛ばしてゆく。接近してくる死者の相手を戦闘機械に任せながら、彼女は戦況の観察へと徹し始めるのであった。
「こいつら、戦闘力自体はどってことないよ! ただ……」
「殺しても殺しても、まるで数が減っている気がしないね」
 敵中へと飛び込み、緋瑪と瑠璃は手当たり次第に死者を打ち倒していた。先の教団員と違い、武装していない分戦闘力はこちらの方が低い。だが、問題はやはりその数。
「こやつらは我が身よりこぼれ落ちた雫の様なもの。我が権能の余技に過ぎぬが、それ故に我が身のある限り消えはせん……者ども既に死したる身。死者がどうしてまた死のうか?」
 二人の動きを愉快気に眺める姫神。つまり、死者らは邪神を倒さない限り数が減らないということを意味している。だがそれは同時に相手がまだ本気を出しておらず、本来の戦闘力を備えていないということでもあった。それはつけ入る隙に他ならない。
「なら、狙うは一つ」
「だね。行こう、瑠璃!」
 ひょうと投げた爆弾をさく裂させ死者を散らすと、瑠璃と緋瑪は姫神目掛けて敵陣を駆け抜ける。緋瑪が自動拳銃による連射で相手の動きをけん制する隙に、一気に距離を詰めた瑠璃が姫神の首へと鎌刃を叩き込む。
「貰った……!」
 爆弾の衝撃すらも利用した電光石火の一閃が、首筋に迫る……が。
「鉛玉に怯えるほど、我が亦紅は怯懦でないぞ?」
「っぅ!?」
 がっちりと、骨狼の顎が刃を咥えこんでいた。がっちりと鎌を咥えたまま、骨狼は瑠璃の体を石畳へと叩きつける。既に姫神は骨狼の背の上で、その様子を見下ろしていた。
「瑠璃っ!」
「ほれ、死者ども。新たな生贄だ」
 緋瑪が助けに入るよりも先に死者が雪崩の如く瑠璃へと殺到、その姿を覆い隠す。メタの機械群は相手を押し留めるだけで精一杯、救援に向かうには手が足りないと思われた、その時。
「ここは既に、私の砲撃陣地よ。同僚さんを襲う不埒な輩は、纏めて吹き飛ばしてあげるわ! 『この場は既に我が陣地』!」
 甲高い風切り音が響いたと思うや、神社一帯を砲撃が襲った。立ち昇る噴煙に混じって、直撃を受けた死者たちが宙を舞う。その中を駆け抜けるは、姫神と同じように獣に跨った金髪の機械化人。魔導蒸気の猟犬に跨ったエメラである。彼女は敵陣を縫って突き進み瑠璃の身を抱えるや、死者の群れより離脱を試みる。
「ほうほう、これはまた面妖な狗だのう。亦紅も対抗心を燃やしておるぞ」
 巨体に似合わぬ敏捷さで追ってきた骨狼の牙が、猟犬の無機質な肌へと突き立てられる。エメラは猟犬を犠牲に攻撃を凌ぐや、瑠璃を抱えたまま飛び降りて難を逃れた。
「ありがとうございます、助かりました」
「こちらこそ、遅れてしまって申し訳ないわ。ぎりぎりまで情報管制をしていたから、出遅れてしまったみたいね」
「大丈夫、瑠璃! 怪我してないよね!?」
 息を整えながら礼を述べる瑠璃の元へ、緋瑪が駆け寄って無事を確かめる。彼女らを守る様に、エメラは砲撃指示を出して念入りに死者を吹き飛ばしていた。
(相手の話では、これらは邪神が健在である限りは消えない……なら、私のするべきことは死者の軍勢を削り続け、同僚さん達が戦闘に集中できるようにすること)
 片手間で戦える相手ではないと、エメラは邪神へ視線を向ける。彼女達の眼前では、骨狼がバキリゴキリと金属製の猟犬を噛み砕いているところだった。
「ふむ……面白い見世物であったが、これは生きてはおらなんだか。命無きモノ、血の流れぬモノは好かぬな。やはり犬猫は生きておらねば」
「ほう、つまり無機物はお嫌いと? 残念ですね、まだお披露目するモノがあったのですが。モノは試しです、こちらもぜひ楽しんでください」
 不満げにそう漏らす姫神へ、メタはぱちりと指を鳴らす。すると、戦闘の喧騒を切り裂いて甲高い駆動音が響き渡る。闇に紛れて夜空を疾駆するのは、一機のドローン。
「ああ、あれか。なに、単なる羽虫かと思って気に留めていなかっただけのこと……遊べ、亦紅」
 相手はその存在に気づいていた。骨狼は空高く跳躍すると先ほどの猟犬同様、ドローンをその牙で噛み貫く。ぼろぼろと零れる部品の中に、メタの仕掛けた爆弾は……無かった。
「ギリギリまで情報管制をしていたと言ったでしょう? 仲間の動きくらい把握しているわ。それは私のドローンよ、残念だったわね」
「という訳で、こちらが本命です。どうです、今度こそスマートでしょう?」
 それはエメラが情報取集に使用していたドローン、つまりは囮だ。飛び上がったままの骨狼の横をすり抜け、本命の爆弾付きドローンが姫神へと直撃。至近距離で火薬を炸裂させた。
「小癪な真似を……所詮子供だましではないか」
 尤も、ドローンに搭載できる爆弾の量はそう多くない。多少の火傷と数瞬の目くらましが精々だろう。
「ええ、そうね。でも、一瞬でも騙せればそれで十分。行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃! さっきのお礼がてらに、思いっきりやっちゃおう!」
 だが、彼女らにとってはそれで事足りた。瑠璃と緋瑪は一丁の拳銃を二人で構え、その銃口を姫神へと差し向ける。銃身より漏れ出るは収束された魔力の光。
「「これが(私/わたし)達の全力全壊! ジェノサイドブレイカー!!」」
 刹那、引き金を引くと同時に収束された魔力砲撃が放たれた。光の柱と化した一撃は宵闇を白く塗り潰し、姫神を飲み込んでゆく。籠められた魔力が尽き、輝きが消え去った後には。
「……成程、神すら殺すというのは伊達ではないらしい」
 巫女装束を汚しながらも、未だ健在の姫神の姿があった。だが決して無傷ではない。呼び戻した骨狼と死者達をかき集めて盾とし、何とか防ぎ切ったのである。ただそのせいで、軍勢の密度は先ほどよりも著しく落ちていた。
 だが一方で、邪神の表情からは遊びの色が薄れてゆき、奥に眠っていた冷酷さが顔を見せ始めている。それは永久の姫たる神性が、ようやく猟兵を倒すべき敵だと認識し始めた証拠であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鹿忍・由紀
あーあ、嫌になるくらい熱心だね。
また面倒くさそうなのが出てきちゃったなぁ。
贄の用意なんかないからさっさと帰ってもらえないかな。

敵と他の猟兵の動向を観察しつつ隙とチャンスを窺う。
UC『磔』で亦紅もまとめて一時停止させてやる。
その間に鋼糸を亦紅の四肢に巻き付け、切り落とすことが出来れば。
全て落ちなくもバランスくらいは崩せるでしょ。転倒させられれば一番なんだけど。
隙を作る際に他の猟兵に合図もしとこう。
姫神がもたつく隙に自分でもダガーにより「二回攻撃」で「傷口をえぐる」ように斬りつけてダメージを稼ぐ。
折角チャンスを作ったんだからキツい一撃をキメてもらいたいね。

アドリブ、絡みご自由に。


レイチェル・ケイトリン
召喚ユーベルコード、まあ、そんなところだよね。

人を想う気持ちがあったんだろうね。
そしてこんなのとは知らなかったんじゃないかともおもうよ。
でも、敵ならわたしはたたかうよ。

「念動力」をつかった「パイロキネシス」で出した33の炎を「クィックドロウ」で即座にたたきつけて爆発させて「吹き飛ばし」と「目潰し」、「」武器落とし」を重ねた「範囲攻撃」を「早業」で放ってすべての敵を焼きつくしてくの。
邪神に命中させるために必要なら「フェイント」もかけるしね。

敵からの攻撃も爆発する炎の「吹き飛ばし」でふせぐよ。
ほかの猟兵さんへの攻撃もおなじようにね。
「かばう」技能もつかえるもの。



●夜半:姫と狼、篝火の如く燃え上がれ。
「あーあ、嫌になるくらい熱心だったね、邪教団の連中も。それに、また面倒くさそうなのが出てきた上、本気になっちゃったようだなぁ」
 贄の用意なんかないから、さっさと帰ってもらえないかな。由紀は気だるげな口調で軽口を叩きつつも、体は油断なく得物を構えて相手を見据えていた。利き手に短剣を、もう片方の手には鋼糸を巻きつけ、ジリジリと距離を測っている。
「でも。方法や結果は別としても、きっと人を想う気持ちがあったんだろうね。生き返らせたい誰かが居て……そして、こんなのとは知らなかったんじゃないかともおもうよ」
 レイチェルは僅かな寂寥を混じらせながら、そう言葉を漏らす。歪み、捻じれたとはいえ、始まりは純粋なものだったのかもしれない。だが、教団員は既に骸の海へと還った、話を聞くことはもう出来ない。
「でも、敵なら……わたしはたたかうよ」
「それがいい。夜も更けてきたし、そろそろ終わらせないとね……来るよ!」
 こちらの感傷なぞ知ったことではないと、姫神は死者達をけしかけてくる。半永久的に現れるとはいえ、増える速度自体は一定だ。軍勢が整うまでの時間稼ぎにでもするつもりなのだろうが、中途半端な戦力では逆に損耗が増えるというもの。
「爆弾がつうじるのなら、これだって」
 レイチェルは三十余りの炎を生み出すや、死者たち目掛けて投擲する。手榴弾で散らされる相手だ、念動力による炎に耐えきれるはずもない。煌々とした炎が膨れ上がり。
「まぁ、そうするだろうとも思うていたぞ?」
「っ、わたしの炎を利用した……!」
 炎を突き破り、骨狼が突撃を敢行してきた。目を眩ませ注意を逸らすのは体験済み。燃え盛る炎を囮として、今度は相手がそれを行ってきた形となる。瞬く間に邪神は距離を詰めると、骨狼が大きく顎を開いてレイチェルをその口腔へ呑み込まんとし。
「残念だけど、視力に自信があるんだ……止まれ」
 がちりと、まるで停止ボタンを押したようにその動きが静止した。小刻みに全身が震えていることから力を籠めていると分かるものの、それ以上に動くことは無い。その隙にレイチェルは速やかに距離を取る。
「おのれ……魔眼、邪視の類か」
「さて、どうだろうね?」
 妖しく輝く瞳で相手を凝視しながら、由紀は首を傾げる。正確には圧縮した魔力による空間固定術だが、教えてやる義理は無い。彼は骨狼へと近づくと、手にした鋼糸で四肢を縛り上げてゆく。
「本当は切り落とせれば一番なんだけど、これは中々に硬いな」
 全てを断つには時間が足りない。ぎりりと糸を強く引き一本でも寸断しようとする由紀へ、身動きの取れぬ姫神が声を掛ける。
「何やら、我の事を悪し様に言うがの。そこまで言われるほどの事か? 対価は忠誠と犬猫の生贄のみ、それで一月だけとはいえ死んだ者と会える。それを超えれば人の贄が必要となるが、我はその前に元の死者へ還すようにきちんと言い含めていた」
「永代の忠誠ってだけで性質が悪いけどね……で、何が言いたいんだい?」
 それが相手の時間稼ぎだと分からぬ由紀ではない。言葉を交わしながらも、決して糸を手繰る手だけは止めていなかった。もう少しで、左後ろ脚に切れ込みを入れられそうである。これなら糸よりも刃が良いだろうと短剣を手に取って、それを剥き出しの骨へと差し当て。
「とどのつまり……人間なぞ所詮愚かであったと。そういう話よ」
「これは、予想よりも早かったかっ!?」
 凝固した空間の砕かれる音無き音が響くとともに、彼の全身を衝撃が襲った。手足は動かせずとも身じろぎぐらいは出来る。骨狼はその巨体を生かして由紀を弾き飛ばしたのだ。ごろごろと地面を転がる由紀をしり目に、姫神は数の戻りつつあった死者へ鋼糸を外すように命じる
「律儀に話につきあうとは、欲を掻くからこうなる」
 由紀に視線を向けながら、嘲る様にそう吐き捨てる邪神。しかし、その言葉に対しレイチェルはそれは違うと声を張り上げる。
「私を信用してくれたことを、そんな風には言わせないよ!」
 彼女は単に距離を取ったのではない。自分が隙を作るから、手痛い一撃をキメて貰いたい。そうした由紀の意図を汲んだ結果だ。それは稼がれた時間を使い、ありったけの念動力を籠めた焔となって期待通りの結果を顕現させる。
 鋼糸を取ろうと纏わりついていた死者ごと、姫神と骨狼を炎が飲み込む。それは天高く聳え立つ篝火の如く、神社を緋色に染め上げて行った。
「小癪なことを……幾ら否定したところで、こうして約定を破った者ら、それでも我が権能を求める者らがいるではないか」
 ぶるりと骨狼が体を振るい、炎を振り払う。見た目は多少焼け焦げた程度だが、しゅうしゅうと煙を上げているところを見るに、見た目以上にダメージは負っているのだろう。
「それはそれとして、そんなの必要ないって人も居ただろうに。ほんの数分前のことも忘れたのかい?」
 なればこそ、今度こそは切る。素早く体勢を建て直し復帰してきた由紀が、左後ろ脚へと素早くナイフを振るってゆく。傷口を正確に抉る斬撃は、ぱきりと足を構成する骨を斬り飛ばした。完全に切り落としたわけではないが、それでも機動力は相応に減じたはず。
「おのれ……!」
 幾ら死者が消えようが、この骨身の狼だけは別格らしい。怒りに顔を歪める姫神の姿に、猟兵たちは戦いの激化を直感するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
家族か、あるいは友人かはたまた……大事な人を失ったという人はこの場にもいるでしょう。私もそうです。(育ての親の顔を思い浮かべ)

えぇ、ですから……猶更、死者を冒涜する邪神など、このままにしておけるはずがない。蘇ったばかりで恐縮ですが、骸の海へと送り返してさしあげます。

死者の群れに捕まれば攻撃を阻害されることになりますし、遠距離から他の猟兵を援護を。死者の群れを【オートマチック・シューター】で削っていきます。全ての死者を倒せずとも、他の猟兵が邪神まで到達する道を作ることができればそれで構いません。

死者の群れの壁が薄くなれば【凍風一陣】を。死者の群れを貫き、邪神を絶対零度の弾丸で狙います。


ジノ・シュナイダー
蘇生、ね。
自然の摂理を淀ませてるだけじゃねえか。
やれやれ……とことんムナクソ悪いぜ。

で、契約者どもをゾロゾロ従えてると。
しかもコイツら、さっきよりも手強いじゃねぇか!?
さすがにこれを個々に相手にはしてられねぇ……。

だったら手っ取り早く本丸に【捨て身の一撃】を仕掛けるぜ。
【ダッシュ】で一気にボスの懐に飛び込む。
さっきまでの俺の戦い方を見てりゃ、雑魚どもは迂闊に近づいてこないはず……そこを突く。
〈SyG防壁〉で敵の攻撃を防ぎつつ、足りない分は【気合い】でカバー。

ボスの懐に飛び込んだら《ジノ・S・コンバット》発動。攻撃力重視。
【破魔】の気を込めた正拳突きを叩き込む!

「骸の海まで……吹き飛べぇ!!」


庚・鞠緒
強引に出してきやがったか
贄なんざあるかよ、テメェでテメェ自身でも捧げてやがれ

「ブラッド・ガイスト」で攻撃力を強化
攻撃しながら血を吸い上げて【生命力吸収】する形態だ
「テメェも贄を捧げろよ。ウチに、テメェの血をだ!」
色々呼びだすみてェだが最優先は当然九渓之永久姫
【先制攻撃】で【2回攻撃】を叩き込みつつ
傷つけたンなら【串刺し】て【傷口をえぐる】


他の召喚されたヤツらの攻撃は【カウンター】で迎撃するなり
よっぽど致命的じゃねェなら【激痛耐性】で耐えて殴り返す
イチイチ構ってたンじゃキリがねェからな
第一、雑魚の相手はもうたくさんだ



●深更:死せる群れ、生ける者が打ち砕き
「蘇生、ね。自然の摂理を淀ませているだけじゃねぇか……とことんムナクソ悪いぜ」
「強引に出てきたところで、贄なんざあるかよ。テメェでテメェ自身でも捧げてやがれ」
 傍らに骨狼を侍らせながら、猟兵たちを睨みつける姫神。だがジノと鞠緒は相手の怒気に怯むどころか、ザっと真正面へと立ちはだかり啖呵を切る。その後方では、油断なくマスケット銃の照準へ相手を捉え続けるセルマの姿もあった。
「家族か、あるいは友人か、はたまた……大事な人を失ったという方はこの場にもいるでしょう。私も、そうですから」
 脳裏に過ぎるは血は繋がらずとも自らを育ててくれた親の顔。愛銃一挺で世間を渡り歩く身となっても、それを忘れたことはない。しかし、だからこそ。
「……猶更、死者を冒涜する邪神など、このままにしておけるはずがない。蘇ったばかりで恐縮ですが、骸の海へと送り返して差し上げます」
「は、これは痴れ事を……この有様こそ、まさに骸の海と言えるであろう? なれば、どうして帰る必要などあろうか」
 そう嘲りながら、姫神は自らの裡より数多の死者を溢れ出させ、再び神社の境内を埋め尽くしてゆく。これまでの死者たちは、邪神より零れ落ちた言わば余力のようなもの。個々の戦闘力はたかが知れていた。だがこれらは違う。姫神が自らの意志によって生み出した、邪神の力そのものである。
「捕らえよ死者共、終わらぬ死より解放してほしかろう?」
「別世界の技術ですが、使いこなしてみせましょう……出し惜しみは無しです、全弾発射」
 文字通り雪崩をうって殺到する死者たちへ浴びせかけられるは、マスケット銃の連射という矛盾。後付けで備え付けられた自動装填・発射の機能は本来であれば細かな照準を行いにくい。だが此度の相手は自ら弾に当たりに来ているようなものだ。超高速の連続射撃が横一線に相手を薙ぎ払ってゆく。
「予想はしていたが、やっぱコイツらさっきよりも手強いじゃねぇか!?」
 だが、鎧袖一触で蹴散らせた先ほどの死者と違い、やはり本腰を入れてきた軍勢は耐久力もこれまでの比ではない。銃弾に崩れ行く個体も多いが、じりじりと圧力を掛けながら戦線を押し上げてくる。ジノはその光景に思わず思案せざるを得ない。
「さすがにこれは個別に相手してられねぇな……だったら、狙うは本丸か」
「はなっからウチはアイツ狙いだ。生贄だの何だのと、嫌な記憶を思い出させてくれやがって……覚悟は出来てんだろうなッ!」
 無謀だろうとなんだろうと、やれる事は限られるし、彼らはそれを成し遂げる気であった。鞠緒は両腕と融合した鉤爪へ自らの血液を注ぎ込むと、骨を思わせたそれらが赤々と染め上げられる。殺戮と捕食に特化した形態へと変じた鉤爪を振るい、進行の邪魔となる死者を片っ端から切り飛ばしてゆく。
「テメェも贄を捧げろよ。ウチに、テメェの血をだッ!」
「良かろう。これまでの如く、望むのならば応えてやろうではないか。ゆけい、契約者よ、その血族どもよ!」
 ぶわりと再び死者の波が蠢くと、より濃い呪力が籠められた戦闘特化の死者たちが姿を現す。夥しい数となる軍勢に対し、鞠緒は望み通りだと攻勢を強めてゆく。倒したところでまた復活するのであれば、奪い取ってしまえばよい。受けたダメージを補うように、死者の穢血や腐肉を貪り食らいながら突き進む。
「ちっ……これじゃあ、一気に駆け寄ることも出来ない。何よりも警戒も怯みもしないぜ、こいつら!?」
 常人であれば既に全身を拘束され、五体をバラバラにされてもおかしくない状況。それでもジノが敵と渡り合えているのは、ひとえに機械化された身体能力と巧みな格闘技術によるものだ。拳打蹴撃で寄り付く敵を叩きのめし、どうにもならないときには重力障壁を発生させ弾き飛ばす。終わりの見えない状況に対し気合で己を奮い立たせるも、徐々に肉体、精神共に疲弊してゆく。
(付け入る隙があるとすれば、相手は軍勢の操作に注力しているってとこか)
 強力な戦闘力を持った死者だが、姫神もその分そちらへ集中しなければならないようだ。現に先ほどまで縦横無尽に動き回っていた骨狼も共々、相手はその場から動く様子がない。
(一瞬でもいい……相手の意識を乱せれば)
 現状、ジノや鞠緒が敵に阻まれている中、それを実行できるのはただ一人。だが、それには姫神へと射線を通す必要がある。
「……だったら、やるっきゃねぇよな!」
「こっちも雑魚の相手はもうたくさんだ。一気に行くぞ!」
 ジノの意図を瞬時に察した鞠緒もより得物を振るう速度を速めてゆく。後のことは考えぬ、捨て身の攻勢。どれだけ傷つこうが構わない、最後の一撃を叩き込む体力さえ残っていればそれでよい。
「ふ、ふふ……足掻くものよの。ただ、もう見飽きたな。そろそろ去ね」
 死者の群れが前線で戦う二人を掴み、締め上げ、殴打する。だがそれで良い、ジノと鞠緒に意識が集中すればするほど、姫神の防御が手薄となる。相手は身動きが取れないのだ、なれば後は僅かでも射線が通れば良いのであり……。
「一陣の風にとって、僅かな間隙があれば十二分。寒さを感じる間など与えません……そこです」
 氷の如き狙撃手ならば、それを命中させることが出来ると、彼らは知っていた。絶対零度の凍気と共に放たれた弾丸は、衝撃によるセルマの流血という代償と引き換えに、寸分違わず姫神の胸元を撃ちぬいた。
「ぎ、が、あああっ! 馬鹿な、この距離で当ててくるなど……」
 それだけで斃れるほど敵も甘くはないが、それでも痛打は確かに与えた。そして、痛みによって集中が切れたとたん、まるで糸の切れた人形の如き死者たちが沈黙する。
 となれば、もはや猟兵を阻むものは何もない。相手は死者の軍勢を強制的に解除され、まだ立ち直れていない。二人は相手の懐まで一気に飛び込むや、残った体力全てを使い、体制を立て直される前に一撃でも多くの攻撃を叩き込んでゆく。
「よくもさんざん嬲ってくれたな。さぁ、今度はテメェの番だぜ?」
 鞠緒の二つの鉤爪は、相手の纏った巫女装束ごと皮膚を、肉を引き裂き血肉を飲み干してゆく。傷口を抉る斬撃の数々により、見る間に白い布地が地に染められていった。
「くっ、亦紅よ、我をまも……」
「シュナイダー機構、マッシブアクティベート。モード:ストライク……“approved”」
 咄嗟に自らを守らせんと、姫神は骨狼を自らの前に出そうとする。だが遅い、この一撃に乾坤を一擲する猟兵の前では、その動きは余りにも鈍すぎた。ジノの全身が、限界を超えて稼働する。疾風怒濤の猛連撃が相手の防御を撃ち崩し。
「骸の海まで……吹き飛べぇえええっ!」
 破魔の一撃を籠めた拳が、邪神の顔面を撃ちぬいた。勢いの余り吹き飛ぶ姫神から、速やかに距離を取るジノと鞠緒。追撃を行おうにも既に余力は無く、何より骨狼が両者の間に立ちはだかっている。
「ふ、ふふ……ふふふふっ」
 ゆらりと、立ち上がる姫神。漏れるは笑い、浮かぶは笑顔。されど、その瞳には確かな赫怒を宿している。
「殺してなどやるものか、死などくれてやるものか……我が胎の中で、永劫飼い殺してくれる」
 吹き荒れる風となって、殺意は戦場に広がってゆく。だが猟兵たちとて抱く感情は同じモノ。余裕を失うという事は、言い換えれば追い詰められているとも言える。度重なる攻撃で、邪神の体力も着実に削れているだろう。決着の瞬間は近い、そう確信した猟兵たちは更なる攻撃を試みるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

勘解由小路・津雲
【ヤド箱】これまでの5人で参加。他の猟兵との共闘・アドリブ歓迎

ふむ、犬、猫ね……。それならひとつ、生贄は狼でどうだい。もっともそいつは、すでに死んでいるようだがな(姫につき従う狼を顎でさし、せせら笑う)。あんたの大切なはずの友人が、そんな骨の姿をしている時点で、お里が知れるというものだ。そんなやつに叶えてもらいたい願いなど、持ち合わせていないね。

■戦闘 【歳刑神招来】を使用、魔を滅する無数の槍や鉾を永久姫と亦紅に放つ。あんたが新たな約定を結ぶ神であるならば、歳刑神はこの世の理に従って刑罰を下す神。神は言っている、そんな約束は無効だと。死の定めに逆らいし者よ、大人しく骸の海へ帰るがよい!


弁柄堂・平吉
【ヤド箱】で参加。アドリブ絡み可。

■SPD
狙うは御神体。あるいは篠笛――どちらか"攻めにくい方"をあえて狙うとしましょう。
ひとつは 守りが厚ければ それほどに重要である可能性にかけて。ひとつは――

【地形の利用、忍び足、暗殺】、もてる技術をもってギリギリまで潜伏といたしましょう。
乱戦の隙を見て一撃に全てを込めます。
《錬成カミヤドリ》の傘で【鎧無視攻撃】で【串刺し】。それだけじゃありません。全ての傘で、【傷口をえぐる】ように、隙を与えぬ【一斉発射】を。
傘は潜伏中に仲間のUCに紛れるように 一本ずつ出しておきましょう。

――見つかりはしません。奢り高ぶるソレを 確実に殺すために。
お前は神様ではないよ。


波狼・拓哉
ちょっと出遅れたかな。・・・しかし、あれだね?予想通りというかなんというか・・・自己犠牲はあんまりなー何処から知ったかとか聞き取りたかったんだけどな。
さて、それじゃあ化け咆えなミミック。狂気を狂気で塗り潰し沈み返してやろうか。何か召喚されても気にせずに。というか巻き込む感じで行こうか。
自分は衝撃波込めた弾でサポートに回ろう。召喚されたものの足止めで時間を稼いだり、本体を狙って集中を切らしたりする感じかな。
(アドリブ絡み歓迎)


落浜・語
【ヤド箱】で

会いたい人はいるが、その手段はお断りだし、そもそも蘇らせたいとは思わないな。むしろ…
ま、今は関係ない。さっさとおかえり願おうか。そして二度と出てくるな

さて、最後もきっちりやらせてもらいますか。
『誰が為の活劇譚』を使用。
「ついに蘇った邪な神。従えるは、すでにこの世の理から落ちたモノ。どちらも此岸にあるべきものではなしと、あるべき彼岸へ返すべく、武器を取る」

「…さっきはああ言ったが、気が変わった」
興味持ったと近づく。

まぁ、一応嘘だ。神様相手に騙れたら楽しいだろうな(ヘラり)
奏剣で【捨て身の一撃】
狙いは本人か狼
当たらずとも他の人が攻撃しやすくなれば。
あくまでついでだが。

アドリブ、連携歓迎


ファン・ティンタン
【SPD】神をも欺け
【ヤド箱】で参戦
アドリブ可

あの顔をもう一度見たいとは思うけれど、ソレは叶ってはいけない願いだよ
私の主たる彼女の死が、私の誕生そのものなのだから、ね

…さて、敵に正々堂々相対する必要も無い
私は私のやり方で、あなたに倒れてもらうことにするよ

【天羽々斬】で【天華】を複製、白刃の群を以って迫る亡者共を【なぎ払い】、戦力を印象付ける
その後、不自然にならぬよう劣勢を演出しつつ、仲間の奇襲のために【地形の利用】を考慮して敵を【おびき寄せる】

落浜の寝返り演出には仕草一つで応じる【コミュ力】
劣勢(演技)の私が動揺すれば、良い【パフォーマンス】になるかな?

…ッ、語、そんな奴の言葉に耳を貸すの?!


ペイン・フィン
【ヤド箱】で参加

ああ、やっぱり、ね。
自分の、一番嫌なのが、現れたよ。
……これだから、死者の蘇生なんて、嫌いなんだよ、ね。

真の姿を解放。
何歳程度か幼い姿になり、血霧のようなモノを纏う。
同時に、コードを使用。
200超えの拷問具を、継続使用。
最も、さっきまでよりも、精度は上がっているけど、ね……。

自分は、死者の軍勢の相手をするよ。
対多数なら、それなりに得意な方だし、ね。
それに……。
彼らは、死から遠ざかってしまった。
摂理から、離れてしまった。
だから、天国の門は閉じられようとも、
せめて、地獄には、送ってあげないと、ね。


シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎
味方と連携希望


危なかったです
市街地に敵が留まっていたなんて…油断大敵ね
改めて気を引き締めます!

孤立しないように注意しつつ【祝音】で味方の癒しを優先

余裕があれば【鈴蘭の嵐】を<援護射撃、フェイント、誘導弾、2回攻撃>で
味方が攻撃を当て易いよう
敵の視界を遮る様に放つ

敵が減ってきたら【弾葬】を<楽器演奏、誘導弾、フェイント、2回攻撃>で
各個撃破

敵の攻撃は<第六感、見切り>で避け
<オーラ防御、武器受け、激痛耐性>で防御

私は蘇らせたい人の事を思い出せていないの

それに多くの犠牲を払わせて
結局還せなんて
貴女の眷属が増えるだけね


戦後
神社を<世界知識、礼儀作法、掃除、祈り、優しさ>で清めて
死者を弔う



●真夜中:永久なる姫よ、彼岸へと消えよ
「先ほどの市街地と良い、死者の群れと良い、相手はこちらの予想外をついてきますね。油断大敵、改めて気を引き締めなければ!」
「とは言っても、しかしあれだね? 教団員の行動は予想通りというかなんというか、自己犠牲はあんまりなー。何処から知ったかとか聞き取りたかったんだけど……ま、出遅れた分は働きで返上しますか」
 後方で機を伺っていた拓哉やシホが、攻撃を終えた仲間達と入れ替わる様に前へ出る。これまで戦闘を仕掛けた猟兵たちや、旅団の仲間同士で肩を並べる面々を合わせれば、これで駆けつけてきた猟兵は全員揃い踏みした形となる。
 幾度も重ねられた戦闘から、相手の手の内はほぼ割れている。と同時に、邪神の在り方について誰しもが少なからず思うところがあるようだった。
「ああ、やっぱり、ね。自分の、一番嫌なのが、現れたよ。……これだから、死者の蘇生なんて、嫌いなんだよ、ね」
 今までの戦闘で垣間見た姫神の本性、言動、行為。それらをしかと見届けた上で、ペインは最大限の嫌悪と共に吐き捨てる。あれらは拷問具としての前生で見せつけられた、苦痛と死そのもの。到底受け入れられるものではない。
「あの顔をもう一度見たいとは思うけれど……ソレは叶ってはいけない願いだよ。私の主たる彼女の死が、私の誕生そのものなのだから、ね」
「会いたい人はいるが、その手段はお断りだし、そもそも蘇らせたいとは思わないな。むしろ……」
 二度と会えぬ者と会いたい、言葉を交わしたい、触れ合いたい。それは誰しもが想い抱く願いだ。それが実現可能と知って縋ることを、どうして責められよう。ファンや語とて、再会を夢想することが無いとは口が裂けても言えない。
 しかし、彼らは知っている。器物としての年月、人としての生を得たがゆえに。取り返しがつかないからこそ、それは正しく架け替えのない存在なのだ。それを軽々しく乗り越えるなど、命そのものに対する冒涜に他ならない。
「ま、今は関係ない。さっさとおかえり願おうか。そして二度と出てくるな」
 だからこそ、語を始めとする面々はその誘惑を切って捨てる。頭を振り、儚い幻想から過酷な現実へと目を向ける。
「守りが厚ければ、それだけ重要なもののはず。御神体、あるいは篠笛。どちらか"攻めにくい方"をあえて狙うつもりです。なので俺は……」
「相分かった。正面切ってのやりとりはこちらに任せろ」
 素早く言葉を交わすと、平吉は闇の中へと姿を消した。一方で津雲は姫神の前へと歩み出ると、挑発の言葉を放つ。
「ふむ、蘇生の対価は忠誠、生贄は犬、猫ね……。それならひとつ、狼でもどうだい。もっともそいつは、既に死んでいるようだがな」
 姫神に突き従う骨狼を指し示し、せせら笑う津雲。それが相手の大切にしている存在と知ったうえで、侮蔑の言葉を浴びせてゆく。
「あんたの大切なはずの友人が、そんな骨の姿をしている時点で、お里が知れるというものだ。そんなやつに叶えてもらいたい願いなど、この場にいる誰一人として持ち合わせていないね」
「安い挑発だ、実に下らぬ。だが……その報いは高くつくと知るがいい。ゆくぞ、亦紅!」
 相手の思惑を知りながらも、敢えて姫神はその挑発に乗る。如何な理由であれ、信頼する存在への侮辱を許すことなどない。巨大な骨狼の背に跨るや、一直線に津雲へと突撃してくる。それは極めて恐ろしい光景ではある。
「ついに蘇った邪な神。従えるは肉無き獣に、すでにこの世の理から落ちたモノ。どちらも此岸にあるべきものではなしと、あるべき彼岸へ返すべく、我らが猟兵、武器を取る」
 だが軽妙に、かつ熱を籠めた語り声が津雲の背中を押す。今日一日仲間を鼓舞し続けた語の活劇譚が、死と絶望に塗れた空気を押し返さんと響き渡る。
「八将神が一柱、刑罰を司る歳刑神の名において、汝を裁かん。急急如律令!」
 声援を背に感じながら、津雲は素早く印を結ぶ。裁きを下す者、罰を与える神。歳刑神の加護を纏った槍や鉾、その数百三十。血肉のない骨身相手に刺突は効果が薄いものだが、それも場合によりけりだ、槍衾と化したそれらが骨狼の全身を縫い止め、ジリジリと陰気を祓ってゆく。
「それで動きを封じたつもりか。なればとも、如何様にもやりようはあろう」
 この状態であれば身動きの取れぬ点が不利にはならぬと、姫神は死者の軍勢を再度召喚する。骨狼に突撃してからの展開、先ほどよりも近い距離から出現した集団は残りの距離を瞬く間に詰めてゆく……が。
「悪いけど、こっちの叫びはそこまでお上品じゃないんでね。聞き心地は保証しないぜ?さぁ、化け咆えな、ミミック。狂気を狂気で塗り潰し、沈み返してやろうか」
 拓哉の足元に控えていた箱怪。それら身を震わせたかと思うや、ぬっとその身を膨張させる。身の丈は骨狼を優に超え、夜空にその巨体を聳えさせしは強壮なる龍。群れる死者を睥睨するや、巨龍は顎より極大の咆哮を放った。ビリビリと大気を震わせる大音声はその振動で死者を自壊させ、命無き者らに恐怖を植え付ける。
 身動きの取れなくなった相手の眼前へ、ペインがゆっくりと歩み寄ってゆく。
「……全てと引き換えにしても良いと望み、その果てに道連れとされ、死してなお利用され続ける。そんな煉獄なんて、認めないよ」
 一歩進むたびにその姿は幼くなり、周囲に血を思わせる霧が漂い始める。そしてその内部より、紅に塗れた木や鉄が姿を現す。砕き、焼き、爛れ、圧し、引き裂き、そして潰す。それはありとあらゆる苦痛を与える道具たちだ。
「彼らは、死から遠ざかってしまった。摂理から、離れてしまった。だから、天国の門は閉じられようとも、せめて……」
 地獄には、送ってあげないと、ね。一斉に解き放たれた拷問具の数々は、猟犬の如く死者へと食らいつく。それは一見して凄惨な光景だが、彼なりの慈悲でもあった。死しても死せぬ袋小路を破る為に禊ぎ。
「地獄へ送る? なんだ貴様、こやつらを救う聖者にでもなったつもりか! こやつらにとっては生そのものが地獄よ。別離に苦しみ、喪失を嘆き、慟哭に沈み切っていた。一時でもそれを紛らわせてやった我が行いに、何の非があろう! 恨むのであれば約定を破った自らの愚を恨むがいい!」
 だがそれら拷問具を以てしても、死者全てを無力化するには手が足りない。悶えのたうつ同胞らを踏み越え、更なる死者がペインへと迫る。その指先が、彼に触れようとした、瞬間。
「約定を守ったところで、結局は死者の群れへ仲間入りすることは確定だろう? そもそも、当事者以外の血族は? そんなもの、薬物やら似非宗教を振りまく連中の言い分だ……いや、似たようなものだったね」
 縦一閃、骨のみの腕が断ち切られ、返す刀で死者の頸椎が斬り飛ばされた。夜闇に浮かぶは白刃白影真白き姿。三十振りの白刀を携えて、ファンがペインと並び立つ。一人で足りぬのならば、二人で。それでも足りなければより多くを。数多を引き連れようと結局孤独な姫神とは違い、猟兵たちには然りとした仲間がいる。それだけは決して邪神が彼らに及ぶことは無いだろう。
「話を聞く価値も、正々堂々相対する必要も無い。私は私のやり方で、あなたに倒れてもらうことにするよ」
「出来もしないことをよく囀る……もう良い、死者ども。邪魔だ!」
 次々と刈り取られてゆく己が軍勢に、姫神は苦虫を噛み潰したように苛立ちを露わにする。死者の軍勢は確かに強い。だが、それは群としての強さだ。個々の戦闘力だけに注目すれば、猟兵には劣る。この状況では悪戯に消耗するだけだと、彼らを自らの内へと引き戻す。
「やはり、あれらは駄目だのう。真に頼れる者はお主のみよ、亦紅や」
 姫神の呼びかけに、骨狼は多少の損傷も気にせず身動ぎし、強引に槍や鉾をへし折り砕く。ぶるりと身動ぎし破片を振り払うや、石畳を蹴ってファンへと牙を剥く。剣戟によって紙一重でそれを凌ぐも、爪が尾が手脚が獣の荒々しさそのままに振るわれ、徐々にファンを追い詰めてゆく。
「己は己、他者は他者。例え血の繋がっていようが、そんなものに如何ほどの強さがある? 人は所詮己のみ、他者の行く末より自らの幸福を追求した方が、余程有意義だろう!」
「私は蘇らせたい人の事を思い出せていないから、その人たちの気持ちを完全には理解できないかもしれない」
 そんな仲間の窮地を救うべく、シホが二挺の聖銃を手に横合いから挑みかかる。引き金を引いたまま、次々と発射される無数の弾丸。
「でもそれだけの犠牲を払わせながら、結局還せだなんて意味がないじゃない。そんなの、また別れる悲しみを味あわせるだけ。貴女は眷属が増えて良いでしょうけどねっ!」
 怒りと共に響く銃声は一発一発が音階を帯び、戦闘のの喧騒も相まって、一種勇壮な戦場交響曲を爪弾いてゆく。リズムを刻むごとに骨狼の全身より骨っ端が撒き散らされ、罅が走りゆく。だが、骨狼は強引にシホへと肉薄すると、彼女の羽へと思い切り噛みつき振り回した。
「それも含めての約定であろう。末路は説いた、代償も明示した。それで詐欺だ悪辣などと! 世の理に望んで逆らった者らを、よくもそう擁護できるな!」
「あんたが新たな約定を結ぶ神であるならば、歳刑神はこの世の理に従って刑罰を下す神。神は言っている、そんな約束は無効だと。そちらこそが人を闇路へと誘い、死の定めに逆らいし者。大人しく骸の海へ帰るがよい!」
 それを座視するはずもなく、すかさず津雲がカバーへと走る。射出された槍が口腔へと滑り込むや梃子の原理を利用し、強引にその大顎を開かせた。
「おっと、大丈夫かい。怪我の具合は?」
「大丈夫、です。羽を少し痛めただけですから、まだ戦えます!」
 衝撃弾による射撃で牽制しつつ、拓哉がシホを後方へと退かせる。返答には多少の強がりも交じってはいるが、それでも決して致命打ではない。彼女は聖銃を構えながら、共に銃弾を浴びせかけてゆく。
 そうして、そんな中。
「個人の幸福。他人は他人。成程な……さっきはああ言ったが、気が変わった。それもありかもな」
「…………ほぉう?」
 ぽつりと、語がそんな呟きを漏らした。それは零れるような声量だったにも関わらず、まるで水を打ったかのように一瞬で戦場へと静寂をもたらす。あの姫神でさえ動きを止めているのだから、もし意表を突くという狙いであれば満点の成果だろう。だが彼は絶句する仲間をよそに、そのまま相手へと歩み寄り始めてしまう。
「…ッ、語、そんな奴の言葉に耳を貸すの?!」
「相手の話は、聞いていたんだよね……?」
「勿論。こちとら噺家だ、話すと同時に相手の話を聞くなんざ朝飯前よ」
 言葉を絞り出すファンやペインに飄々と答えながら邪神の前まで辿りつくと、語は理由を述べ始める。
「俺たちヤドリガミはそもそもが物、元々血縁なんざありゃしない。だとすりゃ、後は飽く迄も俺個人の問題……であればそれも一手かな、なんてね。約定を守りさえすれば、強引に殺されることもないんだろ?」
「無論、それが守れればな。良いぞ、嘘も偽りもなく、交わした契約を果たしてやろう。さぁ、蘇らせたい者を申すがよい」
 ジッと、邪神と語の視線が混じり合う。少女の姿をした神の瞳には興味、嗜虐、好奇、嘲笑の色が代わる代わる浮かんでは消えてゆく。それらをじっと見据えながら、へらりと気の抜けた笑みと共に語が口を開いた。
「いやま、ここまでの語りは全部嘘八百の騙りなんだがね?」
「ああ、知っていたわ。見え透いた世辞だったが楽しめたぞ、噺家」
 互いの本音など、視線が合った時点でとうにバレていた。語が隠し持っていた奏剣を引き抜くのと、骨狼が顎を開くのはほぼ同時。そも元より直接戦闘は不得手の語が単独で抗しきれる訳もなく、あっさりとその身を牙に切り裂かれる。
「ええ、事前に打ち合わせていたが無茶をするっ!」
「なんだハッタリかよ!? 二重の意味で肝が冷えたぜ!」
 慌てて津雲や拓哉が攻撃を叩き込んで語の体を引きずり出すや、一目散に後方へと引きずってゆく。彼が一芝居打つことは旅団の面々も承知の上だったが、こうもなると思わず慌てざるを得ない。
「何でこんな無茶を、正気ですか! 一歩間違えれば死んでいましたよっ!」
「いやぁ、理由はいろいろあるな。騙せればいいな、なんて思ったのが一つ。隙を作れればと考えたので二つ。あとはま、俺も一矢報いてやりたいと思ったので三つ」
 左肩口から右脇腹へかけてざっくりと肉が引き裂かれ、噛まれたせいか大穴も空いている。滂沱と血が溢れ出す傷口を慈愛の光で急速に修復しながら、シホが心配と怒りの入り混じった叫びを上げる。
「ま、一つ目はバレバレだったし、三つ目だって掠りもしなかった……」
 弱々しげながらも、治療の甲斐あってか容体が安定してゆく。自らの狙いが外れたと知りながらも、彼はことさら悔しがる様子もない。
「たが、時間は稼げた。だから俺の代わりに頼んだぜ……なぁ、平吉?」
 ――自らの猿芝居が、決着の一手へと繋がったことを確信したがゆえに。
「……見つかる訳にはいかなかった。この一撃を確実に叩き込むためには」
 戦場に声が響くと同時に、一斉に弁柄色の花が咲く。ぱっぱっぱっ、と蛇の目の傘が彼岸に咲き誇る花の如く、紅の真円を形作る。くるりくるりと、姫神と骨狼の周囲を回るそれらの数は、都合数えて二十一。戦闘開始から一張り一張り、全霊を注ぎ込んで作り上げた、己の分身。
 それらを操りながら、これまで姿を隠し続けた平吉がこの局面にて動く。仲間が戦う中、傷つく中、思わず救援に飛び出たい気持ちを押し殺してまで狙い続けた好機が来た故に。
「守りの厚いモノ、傷つけたくないモノ……つまりは、失いたくないモノ。全てを見下していたお前が、唯一価値を見出し信頼していた狼こそがまさにそれ」
 事此処に至れば、傘の存在も否が応でも邪神の視界に入る。だが、傘は所詮傘だ。拷問器具、刀剣、金属鏡に箱怪、銃弾。それらと比べてれば、一体どれほどの脅威となろうか。
 姫神の判断は常ならば正解であっただろう。だが、眼前に居るのは何者か。過去を打ち破る猟兵なのだ、侮って良い者など誰一つとして存在しないことを彼女は失念していた。
「永久を名乗るだけあって、その存在は不死なのでしょう。ですが幾ら肉体が朽ちぬとて……心まではどうでしょうね?」
 ぱちり、ぱちりとそれらが傘を閉じるや、石突を槍の如く姫神と骨狼へと差し向ける。
「っつ、死者ども! 我に構わずともよい、亦紅を、我が友をまもっ……」
 そこに来て、ようやく不味いと判断した姫神が死者に防御を命ずるも、全ては遅きに失した。降り注ぐ二十張の傘が骨狼を串刺しにしてゆく。それだけならば槍や鉾と結果は同じだろう。しかしこれらは傘であり……つまり開くのだ。咲き誇らんとする傘は骨同士の隙間を押し広げ、内部よりその結合を断裂させ、遂には骨狼を千々に引き裂いた。
「亦……紅……?」
「お前は断じて神様ではないよ。大切な者に固執する……人間と同じだ」
 骨の山と化す朋友を、ただただ呆然と眺めるだけの姫神。その胸元を最後に一張残った傘が深々と刺し貫く。ばさりと咲き、相手の姿を覆い隠す弁柄色の蛇の目傘。それが再び閉じた時……姫神の姿は跡形もなく此岸より消え果てているのであった。

●夜明け:迎えられしは新たな一日
 ――かくして。
 九衛村の最も長き一日はこれにて幕を閉じた。無論、散々に暴れ回った邪教団による被害や、猟兵に関する多大な影響。UDC組織はその後始末と隠蔽に奔走することとなるだろう。だがこの小さな村は、猟兵たちの活躍によって確かに明日を迎えることが出来たのだ。
 シホたっての願いで、猟兵たちは疲労した体に鞭打って神社を清め、これまで犠牲となってきた死者達へと祈りを捧げる。きっと彼らもこれで、在るべき世の理に戻ることが出来ただろう。
 全てを終え、神社の石段を降りる猟兵たち。白々と明け始めた空の向こうから上った太陽が、彼らを祝福するように眩く照らし出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月28日
宿敵 『九渓之永久姫』 を撃破!


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#戦争モノ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠水貝・雁之助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト