獣人世界大戦⑳〜ファースト・プレイヤー
笑顔は仮面に隠されて見えない。
祈りが通じたことを喜ぶ子供みたいに、少女はうっとりと両手を組み合わせてこちらを振り返る。
「本当は、今すぐ皆さんに全てを伝えたいけれど……」
それはできない。
少女は既に
世界の敵。
その身を倒され、今わの際にだけ真実を告げる機会がめぐってくることに賭ける以外にできることはなかった。
「『だから、わたしと戦ってほしい』。それがはじまりの猟兵からの提案だ。容易には復活できないくらい叩きとめされたらその末期に少しだけ、真実を語ることができると言っている」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)はシベリアの奥地の深き森に隠されたはじまりの場所を示した。
オブリビオンと化したはじまりの猟兵は、完膚なきまでに倒された時のみしか真実を語ることができない。
「そして彼女も真実を語ることを望んでいる。なら乗らない手はないね。もっとも、言うほど簡単なことではないけれど……」
はじまりの猟兵を包んでいた膨大なる闇、彼女の意思とは関わりなく『怪物』を生み出すそれが今回の敵だ。
戦場にいる猟兵の『真の姿』をさらに歪めたような、とても禍々しい形状をしている『怪物』。
「はじまりの猟兵にとっても予期しない展開だったらしい。だから彼女は皆に共闘を申し入れる。最初に言ったように、彼女は皆を待っていた。そして真実を伝えたいと心から思っている。そういう意味では敵であり味方であるともいえる」
真の姿を禍々しく模した闇が全て消えた時、共闘を終えたはじまりの猟兵も共に消滅するだろう。
「それも彼女の願いなのかな。いずれにせよ、戦争の決着も近い。どうぞ、悔いの残らないように」
ツヅキ
OP公開直後よりプレイング募集しています。
こちらに届いたものから順次リプレイをお返しする予定です。
●第1章
はじまりの場所、はじまりの猟兵。
既にオブリビオンとなった少女から真実を聞くためには、彼女を倒す必要があります。猟兵の真の姿を禍々しく歪めた闇をはじまりの猟兵と共闘して倒すことができれば、エネルギー源である闇を失った少女も消滅します。戦争終了時にこの戦場が制圧されている場合、二番目から五番目の猟兵についての情報が得られます。
●プレイングボーナス
「はじまりの猟兵」と共闘する/自身の「闇の真の姿」を描写し、それに打ち勝つ。
詳細はOPをご参照ください。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
👑11
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ヘルガ・リープフラウ
※アドリブ歓迎
『闇の真の姿』
それは言うなれば白き闇、聖なる侵蝕、愛の呪縛
わたくしと同じ顔で、偽りの救世主は悪びれもせず笑み嘯く
「さあ、わたくしと共に『幸福な楽園』を築きましょう
辛い過去を忘れ、考えることを止めれば苦しみなど無くなるでしょう?
抵抗して傷つくなど馬鹿なこと
おとなしく服従すれば何不自由ない人生を送れるの」
何という悍ましき欺瞞
人の尊厳を踏み躙り家畜に変える所業
わたくしはたとえ苦難が待ち受けていても
自らの意志で自分の人生を選び取ることを望む
貴女もそうでしょう?『はじまりの猟兵』よ
己の命を懸けて『真実』を伝えようとしたその覚悟に全力で応えましょう
祈りの聖歌に乗せ、闇を裂く真実の光を解き放つ
この世にこれほどおぞましいものが存在できるのだろうか――ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は眩暈さえ覚えた。
現在、ヘルガははじまりの場所にて交戦中の身である。
六番目の猟兵、と少女はヘルガたちのことを呼んだ。真実を伝えたいのはやぶさかではないが、今の自分には無理な相談だから、戦って欲しいのだと。ヘルガは彼女の意を汲み、こうして戦場に立った。その結果が
あれの出現に繋がった。
「うふふ」
あれが笑う……なんて清純な笑い方をするのだろう。
自分は間違っていないと心底から思っている。
だって、私って凄く綺麗な心をしているでしょう? 確かに美しい。白き闇、聖なる侵蝕、そして愛の呪縛……そう、紛うことなきそれは呪縛であった。
ヘルガの真の姿を借りて降臨した偽りの救世主は、かくも美しく微笑みながら嘯いた。
「さあ、わたくしと共に『幸福な楽園』を築きましょう。辛い過去を忘れ、考えることを止めれば苦しみなど無くなるでしょう?」
両腕を広げ、人々を救いたいのだという身振りで。
「抵抗して傷つくなど馬鹿なこと。おとなしく服従すれば何不自由ない人生を送れるの。さあ、わたくしを信じて。わたくしの言うことだけを聞くのです」
「――洗脳はおよしなさい」
ヘルガは自分の姿を失礼にも引用した闇に向かい、毅然と告げた。
「それは人の尊厳を奪い、踏み躙る行為です。家畜に変える所業です」
人が人であるためには自らの意思で自分の人生を選び取らねばならないのだ。ヘルガはそうして来たし、これからもそうするつもりだ。
たとえ苦難が待ち受けようとも、責任に押しつぶされそうになろうとも。
「貴女もそうでしょう? 『はじまりの猟兵』よ」
「はい!」
少女は嬉しそうに頷いた。
「おっしゃる通りです。私は私の意思であなた方と戦うことを決めました! オブリビオンとしての命を失くすとしてもそれと引き換えに『真実』をお伝えしたいと思いました! 共に戦いましょう、六番目の猟兵!」
「ええ、その覚悟に全力で応えてみせるわ……!」
少女が闇に抱き着くような恰好で抑え込む。
ヘルガは歌った。
祈りの聖歌を。
善を気取る邪悪の欺瞞を暴き、報いを与える裁きの光で。
「消えなさいッ!」
闇を裂く真実の光が闇を祓う。
光、光、光――。
欺瞞などいらない。
欲しいのは、齎すのは、真実だけでいい。
大成功
🔵🔵🔵
高峰・勇人
闇の中から響く高笑い、やたら派手なスーツを着崩したその姿
これは…また現れたのか、反社に堕ちた俺!
やめろドスとかチャカとか出してくるな、イキるんじゃない死にたくなるだろ…!
やつだけは生かしておけない!
手を借りるぞはじまりの猟兵!!
詠唱銃の弾をばら撒くようにして牽制、負傷は厭わず敵の攻撃を引き付ける
銃撃で埒が明かないなら愛用のスパナを手に距離を詰めるぞ
力比べならば…ん
この匂い、お前まさか…昼間から酒を!?
羨ましいがなおさら負けるわけにはいかない
UCの曲射で足を撃ち抜き、力ずくで押さえつけ、味方へと合図を送ろう
かつては「ヘルメットがなければ即死だった」なんて冗談を言ったものだが
確かめる日が来るとはな
さっきからばくばくと音がしているのは、どうやら高峰・勇人(再発性頭痛・f37719)の心臓らしい。冷汗が背中を伝う。無意識のうちに帽子で顔を隠す。くすんだ銀色のフリッツヘルメット。湿った手のひらで触れるひんやりとした金属の冷たさが勇人を現実に引き戻した。
「ハーッ、ハハハ! また会ったな昔の俺よ!」
闇に閉ざされたはじまりの場所にたどり着いた猟兵たちは、自らを『はじまりの猟兵』と名乗る少女に出会った。
彼女は言う。
「私と戦ってください!」
なぜ?
「私がオブリビオンだからです。皆さんに真実を伝えるためには、それしかありません!」
嫌だという選択肢はなかった。
少女が真実と引き換えに自分を犠牲にするつもりなのはわかっている。それでも彼女がそれを望んだから、勇人は納得した上でこの地を訪れたのだ。
それはそれでいい。
そっちは問題ない。
問題があるとすれば
こっちだ。
カメレオンみたいにド派手なスーツを着崩した、いかにも夜の繁華街と親和性の高そうな男。だがサングラスはこの間とデザインが違うような……もしかしてバリエーションがあるのか? 反社に堕ちた俺の分際で!?
「ま、また遭遇してしまった……」
「懐かしいぜ、昔の俺。相変わらずくそダセェ見た目してんじゃねぇか。んー……なァ、今日はどっちでヤられてぇ? 同一人物のよしみだ、お前に選ばせてやんよ」
「やめろドスとかチャカとか当たり前のように出してくるな」
「あーん?」
「頼むからイ・キ・る・な……ッ、俺が死にたくなる……!」
「ははーん」
彼はこちらを煽るみたいに、くるくると指先で拳銃を回す。
「イカしてる俺を前にすると自分のダサさが際立つもんなぁ、あッ」
――すっぽ抜けた拳銃を拾いに行っている隙に勇人ははじまりの猟兵に協力を求めた。
「やつだけは生かしておけない! 手を借してくれるか!!」
「お任せください!」
頼りにされたことが嬉しかった少女は、目を輝かせて勇人の頼みを受け入れた。
「一緒に闇を倒しましょう!」
「助かる!!」
まずは牽制だ。
勇人は問答無用で詠唱銃をぶっ放す。
今回は相手が相手なので負傷など構っていられない。
レーザーサイトを照射する眼差しは真剣そのもの。もはや仇敵に対するそれだ。絶対にここで
殺る。勇人の気迫を笑い飛ばした男も同じく銃撃で応戦する。
「ちッ、撃ち合いじゃ埒が明かないか!」
勇人は愛用のスパナに持ち替え、相手の
再装填に合わせて突っ込んだ。力比べならお任せあれだ。だが、懐に飛び込んでスパナを振るおうとした途端、ぴたりと手が止まる。わなわなと震えた。
「――この匂い、お前まさかとは思うが、酒を!? まだ昼間なのに!!」
「よくわかりましたぁ♪」
心底から馬鹿にした顔で、真の姿が認める。
「くッ、正直うらやましい」
「堕落しちまえよ。楽だぜ?」
「だが不承知ッ!!」
「ぬお?」
間抜けな声を上げる相手の足をどこからか飛んできた弾丸が貫いた。
「油断したな」
さっき撃った弾丸の軌道をあらかじめユーべルコードで曲げておいたのだ。勇人は捨て身で飛び掛かった。素手で銃を掴み、強引に相手の体を組み伏せる。
「はじまりの猟兵!」
「はい! 俺ごとこいつを殺れ! というアレですね!!」
少女がライフルの銃口をこちらに向けた。
「ちょ……」
「いきます!!」
銃声が響き渡る。
無数の弾丸が踊り、真の姿が闇へと還る。
「私の援護射撃はいかがでしたか!?」
胸を張って尋ねる少女に勇人は言った。
「かつては『ヘルメットがなければ即死だった』なんて冗談があってな……」
ぼろぼろの格好で立ち上がり、咳払いする。
位置のずれたヘルメットを両手で直した。おかげで頭部は無事だった。体はあの男を盾にしたおかげでこちらも大事は無い。
ぼそり、と呟いた。
「まさか、本当に確かめる日が来るとはな」
大成功
🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【翳】
(不穏、不吉――それは元からの性質ではあるものの、噫)
歪みに歪んで、随分とまぁ――
(否、俺としちゃ好都合
――何より、誰にも本当の
真の姿なんざ晒さず済むなら助かる)
(靄がかって最早正体すら朧げな、ただ呪詛にまみれた様な闇影に、いっそ笑いが込み上げ)
いやそれよりも、だ!
はじまりのお嬢サン!
この戦いが終わったら、是非のんびりお茶やら紙芝居を――
って割り込むな!心配無用だっての!
きっちり格好良いトコお見せして、ご安心頂こうとも
(振り撒く呪詛が彼女に及ばぬようUC用いて相殺し)
――コッチも全部いなして隙作るんで、一緒に一撃叩き込んでくれると有り難い!
その願いや想いを、必ず未来に繋げよう
千家・菊里
【翳】
(連れのそれには特段触れず
己は己の滅すべきものを一瞥し)
やれやれ、折角の毛並みが台無しですねぇ
それではまるで俺が妖みたいじゃないですか
いやだなぁ
(何処となく禍々しい獣の様な
されど陽炎の如く揺らめき正体を晦ます様な――
奇妙な態に肩竦め)
はいはい、その調子なら大丈夫、ですね?
では先達に恥じぬよう、しっかり務めあげましょう
(のらりくらりと受け流す――成程、その辺りは俺の様で)
はじまりの方、俺は援護や守護の方が得手でして
あれの動きを封じますので、是非その銃で獣狩りを
(UCの炎で檻の様に囲い、闇の攻撃や回避封じ)
ふふ、紙芝居、楽しみにしていますね
――その時には戦ではなく、美味しいお菓子をきっと共に
(「不穏、不吉――それは元からの性質ではあるものの、噫」)
呉羽・伊織(翳・f03578)はひたと見つめた。
あまりにも歪み過ぎて、あまりにも禍々し過ぎて。
思わず苦笑してしまうくらいだ。
もっとも、好都合でもある。
よかったとさえ思う。
誰にも本当の真の姿なんて晒したくないだろう。
嫌な面など隠し通しておきたい。見て見ぬふりをしてほしい。闇のような靄が隠してくれているのがむしろありがたくもあった。
朧の向こう側で、伊織に似た姿が笑ったように見えたが、あれはもしかして堪えきれずに笑ってしまったこちらの真似でもしたのだろうか。呪詛にまみれたみたいな闇の影……。
改めて、ここは戦場である。
はじまりの猟兵が囚われていた闇の中。
真の姿を模した闇と対峙した千家・菊里(隠逸花・f02716)は苦笑を禁じえなかった。わざわざ出迎えてくれたそれが折角の毛並みが台無しな見映えであったので、思わずの所業である。
「それではまるで俺が妖みたいじゃないですか、いやだなぁ」
肩を竦め、見つめる先には獣。
禍々しくて、されど陽炎の如く揺らめいて正体を掴ませない奇妙な態で。菊里は隣の伊織に顔を向ける。それ以外はわざと気づかない振りをして、はじまりの猟兵との会話に耳を傾ける。
「約束だぜ、はじまりのお嬢サン! この戦いが終わったら、是非のんびりお茶やら紙芝居を――」
「ふふ、それは楽しみですね」
「って割り込むな!」
「はいはい、その調子なら大丈夫、ですね」
「言われるまでもない。心配無用だっての!」
「では先達に恥じぬよう、しっかり務めあげましょう」
「ああ、きっちり格好良いトコお見せして、ご安心頂こうとも」
伊織は鬼道を用い、少女をまき散らされる呪詛から庇った。するとどうやら、相殺されたのが気にくわないらしい。相手が本気を出してくるのに伊織は乗ってやる。
せっかくだ、心置きなく暴れてやるさ。
「――コッチも全部いなして隙作るんで、一緒に一撃叩き込んでくれると有り難い!」
「はい!」
伊織の要請に、はじまりの猟兵は素直に頷いた。
では、ご照覧あれ。
願い、想い、未来へ繋げるために。
ふたりは息を合わせて攻撃を叩き込む。
歪みきった真の姿がひどく呻いた。やれやれ、随分とひねくれてしまったものだと伊織は思う。同情するどころかざまぁないね、なんて思ったりして。
ひとまずはきっちりと格好良いトコをはじまりの猟兵にお見せできたのでよきかな。
今度は菊里が少女に尋ねる番だった。
「その銃があなたの得物ですね」
「その通りです」
「では、ひとつお願いがあるのですが……」
さっきからのらりくらりと攻撃を受け流され、埒が明かなかったので考えた作戦である。さすが俺、などと自画自賛しても始まらないので。
「はじまりの方、実は俺は援護や守護の方が得手なのです。今からあれの動きを封じますので、あとは是非それで獣狩りを」
「わかりました!」
「頼もしいです」
菊里の狐火が丸い檻のように闇が模した真の姿を閉じ込める。少女は標的を外さなかった。全弾を撃ち込み、回避を封じられたそれを倒した。
「ところで、さっきの話。紙芝居ですけどね」
ふっ、と菊里が柔らかい笑みを浮かべる。
「――その時には戦ではなく、美味しいお菓子を共に希望いたしましょう。ね?」
「いいな、それ」
伊織が賛成した。
「いいだろ?」
「もちろんです!」
少女の返事を受け、菊里が言った。
「楽しみにしていますね、本当に」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
宙音・ナナシ
真の姿を禍々しく模した闇かぁ…。
もし私が少し違う未来に行ったらどうなるんだろうって考えたことがあるんだ。
きっと今の私みたいに格闘戦が得意なんだけど、今とは違って回復阻害や傷ついた部位を弱体化させる黒い電撃とか嫌がらせみたいな技使うイメージ何だけどそういうのかな。
勿論そんなのが出てきたらはじまりの猟兵ちゃんと共闘して退散させることにするよ。
むしろ闇落ちした自分とか私は絶対に負けたくないタイプだから、倒すのを諦めないよ。
はじまりの猟兵ちゃんの話を聞くためにも、自分の闇に勝つためにも、私は負けないよ。回復能力が機能しなくても全身が弱っていってもそれでもみんな守りきってみせるから。
たとえば、こんなことを考えたことがある。
もしも私が少し違う未来に行ったとしたらどうなるんだろう。何が起こるんだろう。きっと今の私みたいに格闘戦が得意なのは間違いないと思う。
でも、今とは違って……そうだな、例えば――。
それは宙音・ナナシ(異能改造体少女1st・f42852)の真の姿を禍々しく模した闇である。立ちはだかるそれを見た時、ナナシはなるほどと思ったものだ。
「まさしく闇落ちした自分って感じ? 正直いって絶対に負けたくないよね」
攻撃を受けた後の傷跡はどす黒い雷撃に灼かれ、一向に再生の兆しを見せない。それどころか刻印のように焼き付いたそこからどんどんと力が抜けていくかのようだ。
「はじまりの猟兵ちゃん、力を貸してくれる?」
「もちろんです!」
「よし、じゃあ諦めないで頑張ろう。キミの話を聞きたいし、なによりも自分の闇に負けないためにも、ね」
「活路はありますか?」
「うん。戦いが長引くほど私が有利だよ」
まさに死中活性が如く、残りの体力が僅かになった時こそがナナシにとっての好機であった。少女と共闘し、ユーべルコードの効果によって上昇した全ての能力を出し切って戦いの結果を覆す。回復できなかろうが、全身が弱っていようが、それでもみんなを守り切りたいから。
「覚悟が違うんだよ、キミとはね」
消えゆく姿に告げる。
「さよなら。私じゃない私……」
大成功
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大町・詩乃
はじまりさん、お願いです。
どうかクールビューティ系の敵を出して下さい。
それが無理なら、せめてシリアスにマガマガなモンスター系で。
もうイロモノは嫌なんです!
要望に応じようと頑張ってくれる、はじめてさん。
一筋の希望を信じる中で現れたのは。
『私はクールでビューティな邪神なのです♪』とイタ●ァ着ぐるみを着込んだいつものアレが…。
(更に背後には、分かつ者や腐敗の王など応援団っぽい幻影?まで)
『あれは癒し系のお笑いオブリビオンさん。私、ファンなんです♪』と喜ぶ、はじめてさん。
「はじめてさん…後で話があります💢」
『クールですから』と冷却系の攻撃をしてくるアレ。
結界術・高速詠唱の防御壁や武器巨大化した天耀鏡の盾受けやオーラ防御で対応。
はじめてさんの援護射撃を受けつつ、《宇宙開闢》発動💢
「クールという以上、熱いのには弱いのでしょう。」
と応援団もろとも焼き尽くします。
「私、言いましたよね。イロモノはもう嫌だと!」
はじめてさんは何か言いたそうにしているけど、ついグチっぽいお説教をしてしまう詩乃なのでした。
戦場ではじまりの猟兵と出会った途端、大町・詩乃(阿斯訶備媛アシカビヒメ・f17458)は神妙な顔で少女に頼んだ。
「どうかクールビューティ系の敵を出してください」
「くーるびゅーてぃ?」
「そうです。それが無理ならそめてシリアスにマガマガなモンスター系で」
「まがまが……」
「私は! もう! イロモノ系は! 嫌なんです!」
詩乃があまりにも必死に頼むので、はじまりの猟兵は一応頑張った。
「よくわかりませんが、わかりました! 真面目なやつってことですよね、善処してみます!」
うーんうーん、唸りながら念を込める少女を詩乃は祈るような気持ちで見守る。ああ、どうかお願いします。私に一筋の希望をくださいませ。
「で、出ました! これでどうですか?!」
「こ、これは……」
闇の中から現れたちょっと邪悪な真の姿はいかにもな着ぐるみを纏い、無邪気に名乗った。
『私はクールでビューティな邪神なのです♪』
よく見ると背後に例の幻影まで見えた。分かつ者はうんうんと意味不明に頷き、腐敗の王は『頑張れ』と書かれた旗を振っている。
「あっ、あっ、凄いです! 癒し系のお笑いオブリビオンさんじゃないですか? ああいうのっていいですよね~♪」
詩乃は青筋を浮かべ、浮かれている少女に言った。
「はじめてさん……後で話があります💢」
「えっ?」
何が悪いのか絶対にわかっていない少女である。
一方、臨戦態勢のアレは問答無用。『クールですから』と言わんばかりに戦場をキンキンに冷やしてくる。あっという間に息が白くなり、肌を突き刺すような寒さを感じた。
少しでも暖を取るため、詩乃は急いで結界の防御壁を構築する。霊的なかまくらみたいなものだ。冷気を遮ってしまえば多少はマシなはず。
天耀鏡を盾代わりにはじまりの猟兵を庇いつつ、彼女に援護射撃を要請。ライフルによる制圧射撃でアレが怯んだ隙に宇宙開闢のユーべルコードを紡ぎだす。
「クールという以上、熱いのには弱いのでしょう。きっと、たぶん、おそらくは」
まるで太極図みたいに光と炎が渦巻いて、一緒についてきた応援団ごと戦場全体を焼き尽くす。なんて眩い光景だろうか。だがしかし、詩乃は激おこなのである。
「私、言いましたよね。イロモノはもう嫌だと!」
「あ、あのその……」
「言い訳は聞きません💢」
おろおろしている少女、ぷんぷんしている詩乃。そろそろ燃え尽きようとしている闇を後目に愚痴っぽい詩乃のお説教はまだもう少しの時間続きそうなのだった。
大成功
🔵🔵🔵

カタリナ・エスペランサ
●闇の真の姿
外見:剣持つ真の姿が部分的に【失楽の呪姫】等で使う終焉の劫火と融合した状態
能力:剣技+体術+自在に荒れ狂う紅き劫火
行動:無言無感情、本能のまま世界を無差別に焼滅させる災厄
~~
そうね。未来はあらゆる可能性を許容する……最悪の破滅さえも
けれど終焉は停滞を打破し、新たな始まりの礎とする為のもの
未来を謳う者として、全てを閉ざす自滅因子程度は制してみせないとね
気を付けて御先達
あの劫火は全てを終焉に塗り潰す概念の具象、これに通じる護りは無い
莫大な質量やエネルギー、或いは同じ概念干渉をぶつけて時間を稼ぐのが精々よ
つまり六番目らしい力業の出番ね
《リミッター解除+限界突破》【叛逆の黒紅】でオーバーロード、《封印を解く》数は3つ
【失楽の呪姫】で強化を重ね【空覇絶閃】
概念を断つ秒間153の斬撃で劫火を斬り払い押し留めて味方の射線を作る
暴走する終末機構との純粋に桁違いな出力差は【第一神権】で《瞬間強化》、強引に相殺・拮抗させるわ
さて。御膳立ては充分でしょう
巫山戯た絶望への叛逆は私たちの本懐だものね?
一言で表すなら、災厄。
それ以外に何と例える? 終焉の劫火を体の一部に纏い、剣を携えたその姿は真の姿であるのと同時に闇の支配によって歪められたカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)の偽物でもあった。
「そうね。未来はあらゆる可能性を許容する……それが最悪の破滅であってさえ、例外ではない。けれど終焉は停滞を打破することで新たな始まりの礎とする為のものよ。ゆえに未来を謳う者ならば、全てを閉ざす自滅因子程度は制してみせよう」
来る、とカタリナは少女に警告を発した。
「あの劫火には気を付けて、ご先達。一度触れたらどうなることか、保証は出来かねるから」
あれから護る方法などない。
意思の見えない瞳、本能のままに劫火を解き放ち、恐るべき剣技で襲いかかる。我ながら厄介な相手だと舌を打つ。
なにしろ、あの劫火は全てを終焉に塗り潰すほどの威力を誇る。概念の具象と言えばちょっとはわかってもらえるだろうか。
物理法則を超えた形而上的な分野における事実。
対抗するにはそれこそ莫大な質量、そしてエネルギーをぶつけるか、あるいは同じ概念干渉をぶつけて時間を稼ぐか……いずれにせよ、カタリナをもってしてもこの場を耐え凌ぐので精々といったところ。
「どうしたらいいのですか?」
少女の問いにカタリナはしかし、勝気な微笑みで応えた。
「つまり
六番目らしい力業の出番よ」
カタリナの手に黒紅の大剣が顕現した時、反逆の色彩は持ちうる全ての力を引き出してオーバーロードする。
「解放する封印の数は
3つよ」
一瞬にしてカタリナの周囲に劫火が宿った。それに桁違いの斬撃であった。放たれたと思った時にはもう斬られている。それでも意思なき災厄は止まらない。まだだ、秒間153の斬撃が襲いかかる。劫火を斬り払い、押し止め、味方の射線を通すために乱舞する。
「第一権現!」
暴走する終末機構の純粋に桁違いな出力差を埋め合わせるため、カタリナは手段を選ばない。強引に相殺し、拮抗せよ。
「で、どう?」
細かいことは言わなかった。
だって、お膳立ては整ったのだから。
視線ひとつを流すだけでいい。
少女も察してくれるだろう。
理由はひとつ。
「巫山戯た絶望への叛逆は私たちの本懐だものね?」
「――はい!」
狙い澄ますライフルの弾丸が災厄の眉間を撃ち抜いた。それで終わりだった。
はじまりの場所を包み込む闇は消えた。少女もまた残り少ない時間を有意義に使うため、六番目の猟兵たちのために真実を告げることだろう。
大成功
🔵🔵🔵