獣人世界大戦⑳〜それでも空に手を伸ばす
●弱き者の刃
「御機嫌よう。獣人世界大戦もクライマックスを迎える中、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
獣人戦線の世界に割拠するオブリビオンの超大国が各々の思惑を胸に動き出し、戦乱の渦は「
世界の滅亡」さえ呼び起こす。
無辜の獣人たちを戦禍から守る為、そして世界を脅かす超大国を叩く為、猟兵はこの戦争に介入する事になる。
いよいよ戦いも最終局面。
完全な勝利を得るべく、各地で激しい戦いが続いている。
「今回の予知は遂に見つかった“はじまりの猟兵”との戦いだ」
はじまりの猟兵は寿命が尽き、
世界の敵と化している。
真実を伝えようとしても、当人の意思に反して歪められた偽りを告げてしまうリスクがあるというのだ。
彼女の望みは猟兵と戦い、復活も難しい程に打ち倒される事。
その末期であれば彼女は『二番目から五番目の猟兵について』真実を語れるらしい。
「彼女は最も古き者……言ってしまえば旧式の猟兵だ。彼女自身が語るように、能力そのものは弱いと言っていい」
けれど、と続けるカタリナの表情は予知に何を見たのか神妙に。
「オブリビオンが先に辿り着いた場合に備えてたのかな……戦場は完全に狩場と化しててね」
例えばワイヤーの刃や毒ガス、埋伏地雷。猟兵を狙う攻撃に宿る毒や呪詛はいずれも致死性だ。
場合によっては地形を崩壊させて生き埋めや竜脈を暴走させる荒業も狙ってくる可能性がある。
高水準の戦闘技術と形振り構わない戦い方こそ、オブリビオンと戦い抜いた先達の最大の武器。
「同じ竜殺しの類でも名高い聖剣で一刀両断するのとナイフ一本で仕留めるの、どちらが恐ろしいかって話さ」
勿論そこに優劣は無い、と有翼の人狼は尾を揺らす。
当代の猟兵が振るう最新の能力や戦術は、はじまりの猟兵に対して大きなアドバンテージとなるだろう。
「戦争の勝敗に直結する戦いではないけれど、大先輩の望みだ。叶える為に力を貸してほしい」
気を付けてと見送る言葉と共にグリモアが輝き、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
第三戦線も白熱する獣人世界大戦、今回は『はじまりの猟兵』とのボス戦になります。
プレイングボーナス:「戦場の戦い方」に対抗する/圧倒的な力や最新戦術で叩き潰す。
はじまりの猟兵は戦闘に関する技能を一通り高レベルで習得しており、ユーベルコードと組み合わせ姑息で卑怯な……己に取れる手段全てを使い尽くす「戦場の戦い方」で挑んできます。
例えば罠使いや禁呪、フェイントなど、実際に使ってくる技能や戦法についてもプレイングで指定可能。
特に指定無い場合はMS側で都度良い感じに描写します。
また、試験的に難易度オプションも実施しています。
興味のある方はMSページをご覧ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
👑11
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●原初に立ち上がりし者
「……六番目の猟兵!! 待っていました。ずっと、待っていました!」
「はじまりの場所」の結界が消え、溢れ出す闇より現れた仮面の少女が
猟兵を迎える。
かつて
助けを求める声に応え超大国の侵略に抗った者。
はじまりの猟兵の声には、長い祈りが届いたかのような希望があった。
「恐らく事情は御存じかと思います。すみませんがわたしと戦い、コテンパンにやっつけてください!」
むん、と気合いを入れる仕草一つ。
猟兵によっては如何にも人畜無害な様子と裏腹、彼女に一部の隙も無い事に気付くだろう。
「言っておきますが、わたしは最も古き者……。正直言って弱いですよ!」
気に入っているのだろうか、決め台詞のような宣言で戦いの火蓋は切られて。
アレクサンドラ・バジル
うーん、ひょっとしてはじまりちゃんは【】の中を弄れないのかな?
うん? 何言ってるか分からない?
にゃはは、気にしなーい。
それじゃ、はじまりちゃんの望みを叶える為に戦おうか?
無形の位、構えなきをもって構えとして『無銘の刀』を引っさげて戦闘開始。
【神陰流真伝・神武】
はじまりちゃんが取るユーベルコード、罠、禁呪、フェイント、あらゆる『攻撃』を光速の斬撃で受け止めて、全てを叩き斬る!
「正直言って弱いですよって正直オブリビオンの言う事だし信用できないなあ」
「わお、千変万化、多彩な攻撃手段だね。流石ははじまりの猟兵。
でも、ぜーんぶ斬っちゃう。ふふ、望み通りにね」
●絶技、激甚なる暴威を以て
「うーん、ひょっとしてはじまりちゃんは【】の中を弄れないのかな?」
「えっ、なんて発音したんですか今?」
「にゃはは、気にしなーい」
はじまりの猟兵とアレクサンドラ・バジル(バジル神陰流・f36886)、向き合う姿は共に自然体。
構えなきをもって構えとする無形の位。そこに隙は存在せず、自ずと崩れる事も有り得ない。
「それじゃ、はじまりちゃんの望みを叶える為に戦おうか?」
「あなたの力を見せてもらいましょうか、六番目の猟兵!」
無銘の刀を引っ提げたアレクサンドラに対し、はじまりの猟兵は指先を僅かに動かしたのみ。
音もなく背後より銃弾が迫り――完全な死角から後頭部を撃ち抜かんとしたそれは、硬質な音を立てて寸断される。
最小限の動きもこの奇襲の為のパフォーマンスだったのだろう。
はじまりの猟兵がアレクサンドラの間合いから離れるように飛び退ると同時、矢弾の雨が全方位から降り注いだ。
「神武」
呟きは短く、返し刀の斬撃が幾重にも閃いた。
無造作に踏み出した足元でカチリという音。
ヒト一人消し飛ばすには十分な威力の埋伏地雷が炸裂し、その爆破も一閃の下に断ち斬る。
【神陰流真伝・神武】――あらゆる攻撃を受け止める絶対の防御。
「正直言って弱いですよーって、正直オブリビオンの言う事だし信用できないなあ」
「御尤も。まったく、我が事ながら儘ならない身の上です」
(……測られてるね、これ)
死角から、正面から。同時に、或いは時間差を付けて。
手を変え品を変え変幻自在に、一つとして同じもののない無数の攻撃手段は協力無比なユーベルコードの攻略法へと着実に迫りつつある。
逃がすまいと踏み込む瞬間、アレクサンドラを囲うように煙幕が弾けた。
拘束を目的としたワイヤーなら自前の技量で斬り払えばいい。
残留する毒ガスには
魔力で耐える間に決着を付ければいい。
塞がる視界に乗じて身を隠そうとするはじまりの猟兵の居場所は心眼で捉えれば済む。
超常の異能に比すればどうしても、ワンテンポ遅れるが故の空隙。
「わお、千変万化、多彩な攻撃手段だね。流石ははじまりの猟兵」
「それはどうも。ここまで椀飯振舞するような場面、生前でもそうそうありませんでしたけどね!」
響く声にさえ己の居場所を掴ませない為の小細工が仕掛けられている。
剣士の歩みを押し止めるように苛烈さを増したのは【ストライク・イェーガー】。
「成程ねぇ。元から遠隔操作のライフルで発動して装備部位の縛りを誤魔化してる訳だ」
此処が正念場。
理外の護りに抗い得るユーベルコードを此処で切ったのは、それ以上に確実な決定打を狙っているからだ。
「でも、ぜーんぶ斬っちゃう。ふふ、望み通りにね」
そして――アレクサンドラもまた、勝負どころを読み違えはしない。
斬れる限りを斬り捨て、魔力の障壁と肉体の頑健にものを言わせて強引に距離を詰める。
「ッ……!」
「へぇ、これも想定済みって感じ。だけどざーんねん♪」
禁呪の胎動が分かる。接近された場合に備えて自らを囮にした策もあったのだろう。
だが、それよりも速く。何よりも速く。
間合いに標的を捉えたが最後、光速の斬撃がはじまりの猟兵を叩き斬った。
大成功
🔵🔵🔵
天宮・紫苑
アドリブ・連携:可
始まりの猟兵ですか。
何を聞かせていただけるのでしょうか。
「色々と教えて下さいね」
隠れ潜んで不意を打つのが私の得意とするところですが、
今回は【覚悟】を決めて突っ込みましょう。
UCを展開したら正面突破です。
「負けるつもりはありません」
UC展開後は【闇に紛れる】様にしつつも、【ダッシュ】で正面から一気に接近します。
もちろん、罠や不意打ちには特に注意をしますが……。
UCで【生命力吸収】を行いつつ、【2回攻撃】や【怪力】を活かした一撃。
剣術だけでなく格闘術も使って、全力で叩きのめします。
「一気に行きます」
●黒き覚悟を研ぎ澄まして
オブリビオンの侵略に晒された獣人たちの
助けを求める声に応え戦ったというはじまりの猟兵。
六番目の猟兵と呼ばれる天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)たちとの間、二番目から五番目の猟兵について知るという仮面の少女。
彼女自身もオブリビオンと化しているが故に、徹底的に打ち破らなければ真実は語れないとの事だが……。
「色々と教えて下さいね」
「が、頑張って情報詰め込みますっ!」
相対した少女の立ち姿は無防備なようでいて、その実まるで隙が無い。
周囲に意識を巡らせれば仕掛けられた膨大な罠の存在が分かる。見えていないものも含めればもっと多いだろう。
(隠れ潜んで不意を打つのが私の得意とするところですが……)
その罠のどこまでがブラフで、どこに本命を潜ませているのか。
なまじ迂回する事は泥沼の化かし合いに自ら足を踏み入れるに等しいと紫苑は悟った。
手札の優位は保証されているのだ。
手段を選ばない戦いが戦場の倣いなら、自分の強みを押し付ける事もまた最善手。
「闇よ……」
生命力を奪う【黒影の領域】を展開し、真っ直ぐに踏み込む。
「容赦ないですね、正面突破ですか!」
「負けるつもりはありません」
磨き上げた暗殺の業は敵の振るう暗殺術に対する盾でもある。
闇に身を紛れさせ狙いを散らし、不意を突く仕掛け罠の攻撃にも見当をつけて掻い潜る。
「っ、と……!」
「逃がしませんよ」
回避の余地を与えない【ストライク・イェーガー】の弾幕が紫苑を襲う。
宿す毒と呪詛の効果は即効性の麻痺、激痛、思考の混濁……
その程度では揺らがないと、覚悟は既に決めている。
物理的な身体機能の低下は闇を通じ奪い取った生命力で補い、逆に後退し距離を取ろうとするはじまりの猟兵は足元をふらつかせた。
古典的なトラバサミが閉じるより速く駆け抜け、大太刀の間合いに標的を捉える。
一閃は紙一重に空を切った。
即座に手首を捻り、身体全体でベクトルを制御するように追撃を繰り出す。
袈裟懸けの傷から鮮血が散り、しかしはじまりの猟兵はライフルを手放さない。
違和感。
既に弾幕の有効な射程の内側に潜り込み、猶も射撃を続ける意図は。
「それが狙いですか……!」
「バレちゃいました、ね……っ!」
誘導弾。
わざわざ背後を振り向く暇など無くとも、巡らせた知覚は通り抜けた弾幕が軌道を変え再び襲い掛かろうとしている事に気付く。
放たれた膨大な弾丸の強引な操作、着弾までの数秒を長いと見るか短いと見るか。
最後の時間を稼ぐため、はじまりの猟兵は大太刀の間合いの内側へと肉薄して。
「ならば――こうです……!」
「くぅ、っ……!」
躊躇なく大太刀を手放し叩き込むは拳打の一撃。
足元を払って体勢を崩し、人間離れした怪力を込めて一呼吸で格闘術の連撃を浴びせる。
「ああ、まったく……奥の手が一つ、足りませんでしたね……!」
「一気に行きます……!」
勝敗を分かつ最後の一秒。
揺るぎない覚悟で限界を超え、全力のラッシュがはじまりの猟兵を叩きのめした。
大成功
🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
戦場の戦い方を駆使するはじまりの猟兵こと『はじまりちゃん』と、まともに戦うのは得策ではありません。なので仕掛けましょう、圧倒的な理不尽を押し付ける盤外戦を
具体的には心を抉る!
死角に隠れ、ライフルで攻撃してくるはじまりちゃんの位置を【弾道計算】で測定。はじまりちゃんのいる位置にUCを使用します
そして本人すらも忘れている黒歴史(お任せします)を暴き、ショックで動けなくなっている間にサメ子の【高速泳法】で一気に接敵
獣人特攻を有した神秘殺しのフライパンによる【暴力】ではじまりちゃんをフルボッコにします
正攻法以外のやり方で勝利をもぎ取る
それが令和最新版の猟兵の戦い方(※個人の感想です)だー!
●>>まさに外道<<
「戦場の戦い方を駆使するはじまりの猟兵こと『はじまりちゃん』と、まともに戦うのは得策ではありませんね」
なんとエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は真っ当な判断力を発揮していた。
襲い掛かるのは仕掛け罠やライフルの跳弾を利用した全方位からの包囲射撃。
妙に効果時間の長い煙幕で自らの居場所を隠し、はじまりの猟兵は何処からか一方的な蹂躙弾幕を展開している。
これも戦場の倣いとはいえ、あまりに一方的。弱さを自認する彼女とまともな戦いを成立させる事が先ず至難。
圧倒的な理不尽を押し付ける盤外戦を仕掛ける他あるまい、とエミリィは決意した。
「具体的には心を抉る!」
「いやな予感ッ!」
はじまりの猟兵自身のライフルと仕掛け罠では弾丸の効果にも細かな違いがある。
手札の幅広さという意味では厄介さを加速させるが、区別が付く事は弾道計算に於いて好都合。
膨大に撃ち込まれる弾丸の量を手掛かりの多さとして、移動し続ける射手の座標を把握してしまえば運の尽き。
「へぇ……こんなことしてたんですか。ほー」
「いったい何を――ハッッ
!?!?!?」
それは世にも恐ろしき【黒歴史を暴くメイドの術】。
そう、暴かれた記憶より放たれるは本人も忘れていた黒歴史。
今振り返ると盛大に滑り倒していた替え歌や何故あんなに自信満々だったのか分からない微妙に似合っていないコスプレ、付き合わされた仲間たちの何とも言えない表情――
「チッ」
「なんですかその舌打ち!?」
「微妙にパンチが足りませんね良い子ちゃんめ。お酒の大失敗とかもっとえげつないの無いんですか」
「ちょ、やめっ……やめろォーーーー!!」
凄まじいダメージ。はじまりちゃんは咄嗟に反応できない。
動きの止まった獲物の元へサメ子に騎乗したかじできないさんが急行する。
その手には獣人特攻を有した神秘殺しの
わからせ棒。
「「人の嫌がることは進んでやりなさい」――ジゼル家の家訓です」
「邪悪なのは歪んだ解釈なのかド悪党を生み出したお家なのかどっちなんでしょうね!」
「でもわたくし少し安心したんですよ」
「はい?」
「生前ネタにできるような微笑ましい黒歴史もちゃんとあったんだなって」
「こちとら笑えない致命傷ですよこんちくしょうッ!!」
ライフルを構え直そうとするはじまりちゃんだが身体がもうまともに動かない。重症だ。
足は生まれたての小鹿のように震え、濡れた瞳は仮面越しにも分かる。
もし今【キューソネコカミ】が命中すれば間違いなく
即死だろう。撃てないのだが。
「ふっ……正攻法以外のやり方で勝利をもぎ取る。それが令和最新版の猟兵の戦い方だー!」(※個人の感想です)
「おのれおのれおのれぇ! いつか地獄の釜に落ちながら、このはじまりちゃんの怒りを思い出せェェェ!!」
幕引きは無慈悲で、原始的で、徹底的な。
暴力であった――。
大成功
🔵🔵🔵

フラーウム・ティラメイト
おや、伝説の猟兵と手合わせ出来るとは光栄ですね
『ケー』
とオベイは私の言葉に返事してくれたのでそのまま戦闘開始
どんな状況にも対応出来るようにしましょう
私は結界術を展開し何が起きても対処出来るように心眼で相手を見ながら推力移動で移動する
敵は禁呪、罠使い、フェイントやシャドウパリィなど駆使してくる(獣人戦線という事もある)
成る程、結構なお手前ですね
敵のUCは罠使いで動きを封じながら使用させる可能性があるので結界術で時間を稼ぎこちらもUCを発動して次元能力で敵のUC範囲から逃げ因果断絶の斬撃波を放ち攻撃(敵の反撃に備えて蟲使いで衝撃波を放つ蟲を召喚しておきます)
大変興味深いですね…はじまりの猟兵さん…
●挑むは千の業、破るは万の策
「おや、伝説の猟兵と手合わせ出来るとは光栄ですね」
『ケー』
鳥形の封印石オベイに話しかけたフラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)の視線の先には“はじまりの猟兵”が――居ない。
代わりに周囲から押し寄せる毒ガスはフラーウムの即時展開した結界に阻まれるも、濃く立ち込めて視界を遮る。
「それも視えていますが」
「ユーベルコード使ってもないのに既にお見通しって訳ですね! 手強いなぁ!」
異能の域にあるフラーウムの心眼の前では光を閉ざしたところで死角など存在しない。
飛来した数発の弾丸は結界の強度のみで弾き……次いで時間差を付けて全方位から襲い掛かるワイヤーを全て躱しきる事は物理的に不可能。
咄嗟に半分を躱し、不完全な束縛も含めれば残る半分が
結界ごと彼女を絡め取る。
「浮いてるのは地上のトラップ対策ですかね? 技術も大概とんでもない上に使い方も適切と」
「随分と分析が早いのですね」
「おまけに油断なく確実なユーベルコード発動を狙ってくる! 正直すっっごく敵にしたくないタイプです!」
足場の無い空中なら拘束が有用、というのは一般論だ。
強化の施されたワイヤーであろうとフラーウムの移動出力であれば一秒で振り切れる。
「成る程、結構なお手前ですね」
「生前でもこれだけ万全の準備で戦えた事って、そう無いんですけどね!」
「では。未来を見通す新たな力……見せましょう」
両腕から牙の様な剣を生やし、背中にはチェーンソーの翼。
白鎧を纏い死霊のマフラーをたなびかせる異形が此度フラーウムの選んだユーベルコード。
毒ガスの向こうからはじまりの猟兵が迫り――刹那、フラーウムは全ての拘束をすり抜ける。
【
因果獣神皇・パラレル・オベイ・ディストーション】による高次元移動。
未来改変と絶対回避を宿す因果眼がはじまりの猟兵の攻撃範囲を完全に見切り、
「まだユーベルコードを使っていない……?」
「あなたがわたしを視たのをわたしは視ましたよ!!」
「っ!?」
閃光。否、ごく限定的な
目潰しの類か。
「概念的なカウンターハック……!」
「元は対邪神用、とっておきの破壊工作です! いえ邪神呼ばわりとかそういう意図ではないんですが!」
“眼”に由来する知覚の不全も状態異常を無効とする今のフラーウムにとっては一瞬の隙に過ぎない。
その隙が相手にとって最大の好機である事もまた明白。
「それなら……!」
「いきますよっ!」
咄嗟に鳴らした蟲笛に応えた蟲たちの一斉に放つ衝撃波とはじまりの猟兵のクイックドロウはほぼ同時。
眼を封じられていても今のフラーウムが振るう剣に宿る必中と因果断絶は健在。
斬撃波ははじまりの猟兵が放つ【ストライク・イェーガー】と拮抗――
しない。
ユーベルコード同士の激突にしては手応えが無さ過ぎる。
透かされたのだと察したところで既に相手は至近距離、次元移動無しで振り切るには時間が足りない。
とん、と後頭部に銃口の押し当てられる軽い感覚。
その信号が脳に伝達された時には既に、零距離からの弾幕が異形化した少女を周囲の蟲諸共に蜂の巣にしている。
「ところで……タイミングは他にもあったでしょう。よく最後の最後までユーベルコードを温存したものですね?」
「……細かい理由なら色々ありますが、ざっくり纏めちゃうと勘ですかね」
特に死んだフリをする程でも無い。
ユーベルコードの効力は途切れず、不老不死の体は無限強化復活の作用を遺憾なく発揮した。
「大変興味深いですね……はじまりの猟兵さん……」
「あぁもう、思った以上に圧巻で頼もしいですね六番目の猟兵さん!」
回復した因果眼は今度こそ標的を逃しはしない。
必中にして因果断絶たる剣の放つ斬撃は、あらゆる護りごとはじまりの猟兵を斬り裂いて。
大成功
🔵🔵🔵
ソラウ・エクステリア
嘘だ〜隙無いじゃん
相手は明らかに嘘ついているのは分かるので戦闘態勢をとる
『はじまりの猟兵だからね…』
エスパスさんも猟兵のヤバさを感じた
絶対に油断しない!
戦場の戦い方は高速詠唱で念動力を纏った結界術を展開する
念動力で宙に浮きながら迷彩も発動して姿を消し推力移動で加速して敵に迫る
心眼で敵の動きを見て攻撃や動きを躱す
敵の使用技能は索敵、罠使い、スナイパー、心眼など強力な技能を使用
危ない!
敵のUCは超高速連続攻撃は心眼で見ながら推力移動で回避(罠を警戒しながら音響弾で罠を破壊しながら回避する)
行くよエスパスさん!
『ええ!ソラウ!』
次元能力で瞬間移動して敵に連続攻撃する
指定UCの効果でUC天賦の才を発動
●運命の微笑みしは
「嘘だ〜隙無いじゃん」
「隙なんて一瞬でも見せたら生き残れないくらい弱いんですよ!」
「それで寿命ぶん全うしてるのを弱いは無理があるって」
『なにせはじまりの猟兵だからね……』
力説するはじまりの猟兵へと、杖の変身した時空武神エスパスと共にソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)は戦闘態勢を取る。
「絶対に油断しない!」
「良い心構えです。さて、気負い過ぎてくれるならそれはそれで利用できるんですけど」
ふわりと浮かび上がったソラウの姿が消える。
消失した訳ではない。
周囲に仕掛けられていた固定砲台から雨霰と降り注ぐ弾幕が、それら全てを弾く結界を纏って宙を駆けるソラウの姿を浮かび上がらせる。
「うわ、硬ったいですね……! なら、これはどうです?」
「甘いっ!」
姿を視認し、声を捉えている――光と音は結界を超えると踏んだか、炸裂弾の閃光と轟音が戦場を白く染めた。
衝撃は結界を貫く事能わず、物理的な干渉も心眼を欺くには不足。
はじまりの猟兵が一手浪費した隙を逃さず、設置済みトラップの破壊を狙い音響弾を撃ち放つ。
「ああっ、便利だから使い回してたお気に入りの罠まで!」
「次元抉り飛ばしてるじゃん怖っ!」
「念入りに粉砕されたー!?」
……そこまでが言わば下拵え。
推力移動の速度さえ遥かに超え、【
時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】により瞬時に転移したソラウの眼前ではじまりの猟兵が瞠目する。
「行くよ! エスパスさん!」
『分かったわ! ソラウ!』
「ッ……!」
その連続攻撃は先制と防御無視の効果を宿す。
はじまりの猟兵はワイヤーの拘束や武器持つ手を狙った迎撃で対応するも、凌ぎきれなかった二人掛かりの連撃はオーラの護りを貫いて紅い鮮血を飛沫かせる。
時間を極限まで加速させ、抵抗も許さず畳み掛けようとして――
「参っちゃいますね、わたしとした事が二つも三つも読みを外すなんて」
『っ、ソラウ!』
一瞬先にエスパスが気付いた。
誘い込まれている。
「先輩らしいところも、見せないとですからね!」
【プログラムド・ジェノサイド】のトリガーを引いたはじまりの猟兵が加速する。
果たして単純な超高速さえ研ぎ澄ませば時間操作にも迫るというのか。
「次元を超えてくる
……!?」
「さっきの手応えからプログラム補正済みです! お代は高く付きましたが、これで……!」
立ち位置までもが計算尽く。
先の音響弾で薙ぎ払われた範囲の外から狙い撃つ仕掛け罠の狙撃、はじまりの猟兵を縛めるような不吉な闇の鎖……その一撃ごとに封印の禁呪が込められている。
深く刻まれた傷口から血が溢れるも、その連続攻撃は止まらない。
かつて時空の狭間に堕とされたように、不老不死を発揮していようと能力の剥奪・封殺は天敵の一つになり得る。
『ソラウ……! 今度こそ、絶対に……!」
「エスパスさん……!」
「容赦はしませんよ! これが、最後の賭けですっ!」
利用したのは先の音響弾で抉られた地面、その奥に隠していた文字通りの奥の手の一つ。
【天賦の才】――この戦闘ではじまりの猟兵の計算を乱し続けているその力に勘付けど、此度用意できた盤面はこれが限界。
幾重と重ねた封印もソラウの可能性を奪い尽くす事は叶わず、エスパスの守護は彼女に60%の生存率を保証する。
果たして。
地中から竜の襲い掛かるように、暴走する竜脈の奔流がソラウたちを呑み込んで……彼女らの姿は猶も健在。
「『これで……どうだっ!』」
「流石に手詰まりですね……お見事……!」
――凌ぎきった。
残る力を振り絞り、ソラウとエスパスの連携攻撃がはじまりの猟兵を斬り刻む。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
成る程、猟兵のはじまりである大先輩だけあって、古いなら古いなりの戦い方の幅と工夫が感じられますね、予知を聞くと。
●Pow
わたしも技能を組み合わせて工夫するタイプですし、なめろうのご当地パワーを使うのも含め、戦術としては新しい方でしょうか?
『早業』で【なめろうディメンション・ブレイカー改】のなめろう光学ミサイル(『誘導弾』)に『属性攻撃(重力)&オーラ防御&結界術&毒耐性&呪詛耐性』込めた『弾幕&範囲攻撃&一斉発射』で『盾受け』壁を作り『念動力』操作しつつ『ジャストガード&受け流し』
『早業』UC発動
なめろう『料理』への情熱と意志の力により強化した『空中戦&推力移動』で撹乱し弾幕の壁も生かし『第六感』で『見切り&瞬間思考力&残像』回避し
【なめろうフォースセイバー】で『怪力&鎧無視攻撃&2回攻撃』で『切り込み』伏せ【ディメンション・チョップスティック(サイコレールガンモード)】から『念動力&エネルギー弾』の『スナイパー&零距離射撃』の『連続コンボ』に繋ぎ決め抜きますっ!
●力と技の全てを尽くし
「成る程……」
ユーベルコードを含めても豊富とは言い難い勝ち筋を、膨大な手札と策を尽くして掴み取る。
予知からビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が感じ取ったのは古いなら古いなりの戦い方の幅と工夫……弱いと自認するはじまりの猟兵が、寿命を迎えるまで生き抜いてきた所以だった。
「だからこそ後手には回れませんね。ディメイション・なめろうブレイカー改っ!」
早業で展開した全身鎧装より放つミサイルはその実、守りに重点を於いた複合兵装。
はじまりの猟兵の任意に起動するトラップ、全方位より押し寄せる無数の攻撃を一斉射撃が迎え撃つ。
「わたしも技能を組み合わせて工夫するタイプですし、なめろうのご当地パワーを使うのも含め、戦術としては新しい方でしょうか?」
「力の源がブラックボックスという意味では邪神やundefinedに似ているかもしれませんね。それがなめろうというのは初めて見ましたが!」
「理解不能じゃないですよ!」
「そうなんですねごめんなさい!」
一体この戦いの為にどれ程の備えをしてきたのか、はじまりの猟兵の猛攻は留まるところを知らない。
今にも守りの隙を見抜き、或いは作り出そうとする波状攻撃に対し発射後もミサイルを制御誘導。
相手より僅かにでも先んじて
切り札を繰り出すべく、前哨戦と呼ぶには熾烈な飽和火力を受け流し、凌ぎきる。
『『Namerou Hearts tuna! banana! Avocado!』
生成! ナメローズマバア!』
「果物と魚……?」
「美味しいんですよハワイアンなめろうっ!」
設置罠はかなり消費させられた筈だ。
弾幕の壁を【ストライク・イェーガー】への防護に回し、強化された機動力で攻撃を掻い潜りはじまりの猟兵へと肉薄する。15000km/hにも達するその速度は如何に獣人の機敏を以てしても振り切らせはしない。
「やっぱり、お強いですね……!」
「これが! なめろうパワーっ!」
「でも、まだです! ユーベルコードの差が勝敗を分かつ絶対条件では無いという事を!」
フェイントを残像で透かし、迷彩は直感で見極め二手、三手先を読み合う。
単なる武装と攻防の応酬には留まらない。
欺き、誘導し、一方で敵の策は見抜いて躱す。
磨き抜いた技術のぶつけ合いは即ち手札の潰し合いに等しく、有形無形の激突は終幕へと際限なく加速していく。
トロピカルに輝くフォースセイバーの斬撃がはじまりの猟兵を捉え、手応え無く通り抜ける。
幻影――催眠に惑わされたのは一瞬、結界が暗示を振り払うと同時に間断なく二の太刀で切り込む。
猶も弾幕を維持する代償にはじまりの猟兵の手は塞がっている。
体捌きによる回避も想定内。相手の取り得る選択肢を狭め、その上で先を読みきる。
動きの一つ一つに無駄がないからこそ――
「――最善のタイミングで、そこを崩す!」
「くぅ……っ!」
鎧装の推進力に物を言わせた強引な体当たり。
本来それのみでは有効打にはなり得ない。
だが、立て続けの斬撃で追い込んだ今なら……防いだ彼女の体勢が流れる。
「ディメンション・チョップスティック! サイコレールガンモード!」
「まだまだ……!」
「これで、決め抜きますっ!」
外しはしない。
砲身を打ち上げようとする迎撃を掻い潜り精密に照準を合わせ……至近より放たれた念動力のエネルギー弾が、遂にはじまりの猟兵を打ち砕いた。
―― はじまりの猟兵、撃破 ――
大成功
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