●グリモアベース
ダークセイヴァーの真なる支配者、
五卿六眼の一柱にして、ワルシャワ条約機構を大呪術「
五卿六眼」で監視・支配していた張本人のお出ましだ――そう言って、自らの指先に息を吹きかけたのは、和井・時親(紫の呪言士・f36319)だった。
紫の風蝶の群れが乱れ飛ぶ。
紫瞳は静かに猟兵を見つめていた。
「始祖人狼とは伊達ではなくて、すべての人狼の祖……即ち、人狼病の根源であり、すべての動植物は当たり前――大気や水すらも【人狼化】させる恐ろしい力を持っている。始祖人狼の放つ【人狼病】は、もれなくキミたちをも侵食し、生命を直接刈り取ろうとしてくる。そのときの激しい苦痛と抗いがたい凶暴化の発作を誘発する――さすがのキミたちでも、この苦痛の中にあり続けていたら心身が保たないからね」
ヒットアンドアウェイ――いま持てる最大最強の一撃を加え、素早く戦線を離脱するほかない。
時親は続ける。
「【人狼病】の苦痛と狂気は、キミたちの姿を変貌させる――いままで何度も真の姿を引きずり出された戦いがあったように、今回もそれだ。だた、違う点があるんだ。ただの真の姿じゃあない」
全身から無秩序に『狼の頭』が生えた状態の、真の姿だということ。途方もない力を得るかわりに、計り知れない苦痛に襲われるという。
「幸いにも、数の優位はこちらにある……と言えば、元も子もないけれど、それでも一人の負担は最小限におさえよう。とはいえ、相手は五卿六眼。凄まじい敵であることは間違いない。絶対ないと思うけど、気は抜かないようにね」
ひらひらとその数を増やし続けた風蝶は、いよいよ転移の鱗粉を散らす。
「キミたちの今の最大限の力を叩き込んできて――で、斃してきて」
時親の軽い口調は、猟兵への信頼の証。不安を伝播させないための精一杯の強がりだった。
●始祖人狼
ワルシャワ条約機構、バイカル湖を抜けた先――あるいはウラル山脈を越えた先――その獣はいた。
「すべては
祈りより始まった。弱き吾々は
罪深き刃に縋り、絶望の海に餮まれていった」
異口同音の宣下――強く低く、おどろおどろしく。祖であるが故に厳然と。
全てを識った所で、変わるはずがない。その
衝動こそが、猟兵の根源なのだから――宣う言葉には毒が纏わりつく。
「故に吾々は排除する。はじまりの猟兵を。それを求むる者共を――疾く蔓延れ、吾が『人狼病』。
五卿六眼が照らす大地のあらゆるものを、吾が走狗と化してくれよう」
巨躯は黄金の隆々たる毛皮と鎧で覆われて、その虚無と力を映す赤の隻眼は、いまに攻め入ってくるだろう猟兵を睨めつける。
藤野キワミ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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プレイングボーナス:苦痛と狂気に耐えて戦う/「狼頭にまみれた真の姿」に変身し、最大最強の一撃を放つ。
=============================
藤野キワミです。よろしくお願いします。
▼プレイング受付
・5/22(水)8:30~成功度に達するまで。
・オーバーロードはいつでもお好きにどうぞ。
・採用は先着順ではありません。
・全員採用はお約束していません。
・【第三戦線】の締め切りがあるため、完結優先で運営予定です。
▼お願い
・真の姿の指定がない場合、現在の姿に狼頭が生え超パワーアップした描写になります(必ず外見描写をするとは限りません)
・技能の使い方は明確に記載してください。
・同行プレイングなどの仔細はマスターページにて確認ください。
▼最後に
みなさまのカッコいいプレイングをお待ちしています!
第1章 ボス戦
『始祖人狼』
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POW : 天蓋鮮血斬
【巨大化した大剣の一撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 血脈樹の脈動
戦場内に、見えない【「人狼病」感染】の流れを作り出す。下流にいる者は【凶暴なる衝動】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : 唱和
【3つの頭部】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【人狼化】の状態異常を与える【人狼化の強制共鳴】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎
…確かに、この痛みは耐えがたいな
苦痛に耐えたとしても、先に精神がやられてしまいそうだ
ましてや無数の狼頭や凶暴化の発作までついてくるとなると
…気が狂ってもおかしくないか
真の姿解放し、「ダッシュ、地形の利用」で始祖人狼に肉薄
天蓋鮮血斬は大剣が巨大化している分「見切り」やすくなるはずだから
「視力」で大剣の軌道を見極め、身を屈めて大剣の下を潜り抜けるようにして回避
大剣を振り切った一瞬が攻撃チャンスだ
あえて凶暴化の発作を受け入れ、始祖人狼に密着し
黒剣を大きく振りかぶって、力まかせに「怪力、鎧砕き」+指定UCの一撃を叩き込んでやる!
どうだ!? 至近距離から殴られた今の気分は!!
始祖人狼の前に降り立った瞬間に、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、狂おしいほどの苦痛に襲われた。
あらゆる命を貪欲に餮り尽くさんと敬輔に牙を突き立てる。
吸った空気すら人狼病に冒されて、容赦なく蝕まれていく。名状しがたい激痛に、よろけそうになる――それを踏ん張って耐えた。
「っ、……確かに、この痛みは耐えがたいな」
敬輔の真なる姿を引き摺り出される。
この痛みに耐えたとして、肉体もさることながら、精神の方が先に音を上げてしまいそうだ。
(「まして……これだ……」)
無秩序に生える狼頭――襲い来る危機感は、敬輔の精神を摩耗させる。抗い難い破壊情動を、いくばくかの胆力で抑え込む――この発作は、断続的に敬輔を苦しめる。
小さく舌打ち、《黒剣》を抜き放つ。
(「気が狂ってもおかしくない、か……」)
さりとて狂ってやるつもりはさらさらない。気が遠くなるような不快感にマスクの下の顔をしかめ――むやみに抗うことを考えず、病の苦しみを受け入れ委ねる。
抜き身の《黒剣》をそのままに、驀地に奔る――足元の凹凸をものともせず、始祖人狼の懐へと疾く駆ける。体中に生える狼頭の薄気味悪さに耐えながらも、その目は始祖人狼の振り上げた大剣の軌道を予測――【天蓋鮮血斬】の間合いの内ではあるが、あまりに巨大化した剣の軌跡を見切ることは、おそらく今の敬輔にならばできること。
気の遠くなるような痛みの中、体を引き裂かれそうな苦しみの中、始祖人狼の繰り出す斬撃を見極め、身を屈める――身の上を奔った刀身の凄絶な風切り音、そして生まれる猛烈な衝撃波に沈められないよう、一歩を踏み出した。
強靭な一撃であるからこそ、振り抜いた後に生まれた隙に付け入る。
「貴様を両断する……!」
無理やりに底上げされた膂力でもって、【憤怒の解放】に至る――右目は激しく輝き、振り上げた《黒剣》を渾身の力で叩きつける!
始祖人狼を確実に斬ったという確信めいた衝撃が、手に伝わり肩を貫く。密着していたといって過言でない位置から素早く退き、唸る始祖人狼へ、
「どうだ!? 至近距離から殴られた今の気分は!!」
啖呵を切った――始祖人狼の唸り声が、蔓延る人狼病と共に戦場に在り続ける。
大成功
🔵🔵🔵
サーシャ・エーレンベルク
人狼病の根源……このまま戦い続ければ、身体も心もボロボロになっていくということね。
でも、屈するわけにはいかない。
この世界に闘争を持ち込んだ張本人を、許すわけにはいかないわ!
この苦痛、そして頭の中を駆け巡るような狂乱……確かに、長時間の戦闘は厳しそうね。
――けれど、私たち獣人が経験してきた苦痛と絶望に比べれば生ぬるいッ!
真の姿へ変身、ユーベルコードを発動し、刹那の内に始祖人狼に斬り込みましょう。
そこに躊躇いはない。大剣、爪牙、いくらでも反撃しなさい!
その攻撃、行動さえも強化された動体視力と反射神経で掻い潜って、この竜騎兵サーベルを叩き込む!
体内といわず、肌に触れる大気からですら、強力な病毒に侵されそうだ。身を引き絞られるような、引き千切られそうな苦痛が襲ってくる。
「これが、人狼病の根源……」
このまま戦い続ければ、身も心も消耗しぼろぼろと崩れ落ち、滅ぶことだろう。
サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)は、眉をひそめながらも、決意を固める――万物を人狼へと変えてしまう瘴気はすでに蔓延っているのだ。これに屈するわけにはいかない。
「この世界に闘争を持ち込んだ張本人を、許すわけにはいかないわ!」
《ヴァイス・シュヴェルト》を掲げ、始祖人狼に宣戦布告。
想像を絶する苦痛激痛――サーシャの正気を奪い焼き切らんと駆け巡るような狂乱の様相を呈して、病に侵されていく――だが。
「こんなの……――私たち獣人が経験してきた苦痛と絶望に比べれば生ぬるいッ!」
長時間の戦闘は厳しくはあるだろう――それはもとより承知の上。だからこそ、最大の一撃を叩き込みに来たのだ。
否応なく真の姿が引き摺り出される。尖った狼の耳が現れ、身体能力のリミッターが無理やりに外される感覚――心臓は早鐘のようで、血が沸騰しそうなくらいに興奮しているのは、蔓延る人狼病のせいか。
血脈樹の脈動拍動鼓動――滞ることなく一気呵成に流脈を作り上げる。あらゆるものを人狼病に感染させる病毒はサーシャに手を伸ばす。凶悪で凶暴な衝動が湧き上がる。心の深部まで囚われるわけにはいかない。体のいたるところから狼頭が現れる不快感を振り払うように、サーシャは月の魔力を纏った。
もはや躊躇も逡巡もない。
「大剣、爪牙、いくらでもかかってきなさい!」
見えない病魔の本流を肌で感じ取って、その流れに逆らうように疾走する。
「――――――」
始祖人狼の声を言葉と理解する前に、繰り出された剣閃を擦り上げ火花が散る。衝撃音は耳を劈く金切り音、研ぎ澄まされた反射と動体視力で、始祖人狼の次の一撃を予測し、サーベルを巧みに繰って、病に餮られた死んだ地を蹴った。
鉛のように体は重く、少しでも動こうものなら四肢を引き裂かれそうな痛みが襲う。苦悶に呻きそうになるが、サーシャの意識は白熱している。
サーベルの刀身は月光を纏繞し燦然と輝いて。
奔る光は音速の壁を越え、凄まじい衝撃と共に始祖人狼の鎧に《ヴァイス・シュヴェルト》を突き立てた。
烈しい叫び声が谺した。
大成功
🔵🔵🔵
イドクレス・ルプス
真の姿:左眼だけ蒼く燃える緑目の灰大狼
人狼病とは故郷であるダークセイヴァーで
蔓延るものだと思っていたが
こんな別の世界で元凶と相見えるとはな
世界を渡れるというのも、何とまぁ…
……猟兵の務めを果たそうか
彼女の玩具であった過去から
齎される苦痛と狂気に慣れてはいるが
長時間も晒されれば身が保たないのもよくわかる
一撃放てば疾く離れたい……こんな所からは
自傷によって鉄塊剣を殺戮捕食態に変え、
狼頭が増えるなら丁度いい
咥えたまま獣の四肢で駆け
根源の元へと痛打の一撃を
忌々しい経験が役立ってしまうのも
思い出させられるハメになるのも
未だ生きているという証明
彼女の元へ帰り着いて今度こそ
此の手で葬りさると決めているんだ
「……俺も、猟兵の務めを果たそうか」
左眼だけが蒼く燃える。
ヒトの形から否応なく変じていく――灰色の大狼の緑の双眸は、少しよろけた始祖人狼を見つめていた。
常闇の世界でのみ蔓延るものだと思っていた人狼病を、まさか
別の世界で、しかもその元凶と相まみえることになろうとは、境遇を思えば如何ともしがたい因縁じみた思いを抱く。
イドクレス・ルプス(月蝕・f27133)の運命を決めつけた元凶でもある――始祖を斃せばどうなる――判然としないが、放置することもできまい。
彼女の玩具であった過去と、万物を人狼へと変えてしまう病毒が蔓延り命を喰らい餮る今。そのどちらがより苦しく痛ましいか。なんて。比べるまでもないけれど。
齎される狂気も狂おしいほどの苦痛にも、不本意ながら慣れていた。そのイドクレスをもってしても、人狼病に侵されたこの場に長く留まれば、身が保ちそうもないことも理解した。
穴の開いた鎧からは、血が溢れて巨躯を汚しているが、始祖人狼からは絶望の
香は感じられない。
生える牙は狼のそれ――舌の先を噛んで傷をつける――口に広がる鉄は、《鉄塊剣》の封を破るトリガーとなって。
「――――」
イドクレスの耳には、始祖人狼の言葉は届かない。耐え難い苦痛に脈動が聴覚を攪乱させてしまっているようにも思える――殺戮捕食態へと変じた剣を咥えたまま、イドクレスの脚は強く地を蹴る。駆ける駆ける。疾く強く。体中に生える狼頭は怨嗟を吐くように唸り続けている。
始祖人狼の振り上げた大剣は、見る間に巨大になっていくのを見続けた。
早く離れたい。
いくら耐性があろうとも。
ここはあまりにも、空気が悪いから。
こんな胸が悪くなるようなところからは、一刻も早く。
奔る足は止めない。振り下ろされた大剣は大地を叩き割るように打ち据えられる――瞬間、無差別に広がる衝撃波がイドクレスの肢体を錐揉みに裂く。
意識が激痛に支配されたのは、一瞬だけ。
忌々しい経験が役に立ってしまう――そのせいで思い出してしまう過去の傷――痛み、悲しみ、苦しみ。
大剣を持ち上げようとしている始祖人狼へ、イドクレスは躊躇いなく剣を突き立てた。根源たる始祖人狼は苦悶に唸り声を嚙み殺す。病毒の根源を喰らい尽くすように血を啜る剣の柄を嚙み締める――この苦しみは、イドクレスが未だ生きているという証拠だ。
確かな感触を得る痛打を見舞って、イドクレスは剣を引き抜き素早く退く。
彼女の元へ帰りつき、今度こそ――この手で葬り去ると決めているのだ。その信念のもと、引き際を見誤ることはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
『
人狼病』、嘗ての祈り
その宿痾とはじまりが、如何程の後悔と決意から生じた願いであったかは知る由もないけれど
根源たる始祖人狼を討つことで、病に蝕まれた多くの人々を癒すことが出来るかもしれない
例えそれが、贖うことの叶わない罪過を背負うことになろうとも
◆灰燼煉獄衝
金丹仙薬を服用してドーピング
身体を内側から食い破る病に対して激痛耐性で意識を保ち、暴れる狼の頭を怪力で抑え込む
天蓋鮮血斬は見切りとジャストガードで直撃を避け、武器受け+グラップルで大剣を白刃取り
命在るもの全ての宿敵たる抗体兵器
その呪いを以て、大地のあらゆるものを冒す病巣を灼滅する
限界突破+焼却の赤手から重量攻撃を打ち抜く
唱和。
異口同音の唱和の宣下――とはいえ、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)には、推しはかることしかできなかった。
『
人狼病』、嘗ての祈り。
(「その宿痾とはじまりが、如何程の後悔と決意から生じた願いであったかは知る由もない……」)
根源たる始祖人狼をここで討てば、この病に蝕まれ餮られた人々を癒すことが出来るかもしれない――病理が消え失せるとも、恨みが晴れるとも、判然としない。
「たとえそれが、贖うことの叶わない罪過を背負うことになろうとも」
病を撒き散らし、命を喰らい餮り尽くす凶行に終止符を。
それほどの病毒を撒いたと、自覚するがいい。救うことは甚だ難しく――蔵乃祐の赤く鋭い眼光は始祖人狼へと容赦なく突き刺さる。
「終わりにしましょう。終わらせてしまうべきです」
口の中で小さく呟き、《金丹仙薬》を飲み込む。身体を内側から食い破ってくるような狂おしい痛みを耐え意識を保つ。引き摺り出された真なる姿に、不気味な狼頭が生え始め、その牙は容赦なく四肢に食い込む――その痛みにも耐え、蔵乃祐の膂力でもって頭を抑え込む。流れ出した血の匂いに興奮するように、狼頭は激しく暴れた。
しかし、そればかりに構っていることもできない。始祖人狼の振り上げる大剣が見る間に巨大化していくのだ。その一撃の衝動は計り知れない威力となるだろう――それを易々と喰らってやる蔵乃祐ではない。見え透いた剣閃を受け止めることは容易い。威力をうまく殺し、弾き返せばいいのだ。狼頭から手を離し、【天蓋鮮血斬】の斬撃を見切る。
絶妙なタイミングで分厚い刀身を、掌底を打ち鳴らすように挟み叩き、受け止めた。
突如として衝撃の重圧が落ち、蔵乃祐を押さえつけるも、死した大地を足裏で掴み踏ん張り耐える。
喉奥で唸って、呼気をゆっくりと一度。白刃取りした大剣を投げ捨て、拳を握る――みしりと骨が軋んだ。赤手《轟虎焔爪》による一撃を瞬時に繰り出す。始祖人狼の鼻っ面へと叩き込まれた拳に次いで、「吽!」の発奮と共に、生命を焼き尽くす凄まじい魔炎を纏った拳打を撃ち込む!
「命在るもの全ての宿敵たる抗体兵器……その呪いを以て、大地のあらゆるものを冒す病巣を灼滅する!」
蔵乃祐の限界はとうに超えているが、それでも越えなければならない壁があった。だから、それをも突破し破壊して、重く鈍く剛い【灰燼拳】を叩き込んだ。
鎧のひしゃげる音と共に、始祖人狼の苦痛に満ちた喘鳴があがった。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
連携×
ぼくの運命を変えた存在
数多の悲劇を生み出した始祖
これから先の悲劇を止めるために、そして自分の運命のために、抗うの
共鳴も狂気も苦痛も受け入れてUC発動
魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で自らを拘束された竜胆色の毛並みの狼に変身して、封神武侠界の桃の精さんの加護と香りで理性を保つよ
侵食の苦痛とは何年も戦ってきたから慣れてるし、まだ動けるの
一吠えして人狼魔術発動してダッシュ
満月の魔力を集めた月光のオーラで体を包んで突進
ぼくは人狼だけど孤独じゃない
守りたい人たちが、その絆が、ぼくの生きる力
その強さ、受けてみるの!
全ての力を振り絞って、月光の弾丸と化して始祖人狼に体当たり
これがぼく
人狼の魔術師、ロランなの
眼前の始祖人狼こそ、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の運命を決定づけて、そして変えた存在。
数多の悲劇を生み出した始祖人狼――数えきれないほどの涙が流れたことだろう。非業の運命にどれほどの悲鳴が上がったことだろう――いまここで、根源を絶つことが叶うならば。
「……これから先の悲劇をきっと止められるの。そして……ぼくの運命のために、抗うの」
この身を蝕んでいるのは、人狼病。
巣食う病魔が、新たな病毒を喚んでいるようで、薄気味悪い共鳴が起こる。狼の遠吠えのようで、胸が悪い。気が狂うほどの苦痛を受け入れ、その身を真なる姿に変じさせていく。
魔法陣の首輪と、魔術回路の鎖は、自らを拘束するためのもの。竜胆色の毛並みの美しい狼へと形を変えた。
別の世界で出会った桃の精の加護を得、甘く清々しい香りで理性を保ち続けることができる。
侵食の苦痛は、今に始まったことではない。何年も戦ってきたロランにとって、多少の苦痛ならば耐えることができる。
(「まだ、動けるの」)
満月の魔力を集めた月光のオーラが、桃の精の加護ごと包んで、防御を高める――その瞬間、ロランは大きく吠えた。
「ほぉぉぉぉ……ん」
共鳴の遠吠えは返ってこない。その決意は背を押されることなく、ロランの腹にきまる。
「ぼくは人狼だけど、孤独じゃない」
多くの友人に囲まれ、多くの仲間に支えられ、守りたい人たちがたくさんいる。
「その絆が、ぼくの生きる力……この強さ、受けてみるの!」
守るべきものがある人生の、なんと力強いことか。
戦場には一人で立っているというのに、なんと心強いことか。
【静寂を慈しむ音狼の加護】は、遠吠えを媒介とする人狼魔術だ。類稀な魔術を発動させ、ロランは決意を固めて。
いま持てる全ての力を振り絞って、月光の弾丸となる。神々しくも冴え冴えと輝く月光は、ロランへとさらに加護を与える――あらゆる祝福を受けながら、ロランは奔り出す。速く疾く走り、強く大地を蹴って、渾身の力で体当たり。手ごたえはあった。
大きくバランスを崩して、呻く始祖人狼はもんどりうって倒れていく。
「これがぼく――人狼の魔術師、ロランなの」
病の根源は大きく咳き込んで、空の眼窩と、色彩の落ちた赤色の瞳が、厳然とした名乗りを上げたロランを睨めつけていた。
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
絶望を越えるのも今を生きて抗うからこそ
俺にできるのは倒して守るだけだ
「貫き穿つは我が願い」
異形化の苦痛は激痛耐性と狂気耐性で耐えながら戦う
大剣の一撃は無理に受け止めずに白銀双尾で受けながしながら回避
紅月の焔鳳と緑月の誘導弾を召喚次第発射し弾幕をはって
自身に注目を集めているうちに氷牙と吹雪を上空に飛ばしておく
「頼むぜ相棒」
俺達はどんな絶望にも歩みを止めない
希望は足元にはないから、顔を上げて立ち向かうんだろ!
投槍に変化した相棒たちにUC発動し、人狼目掛け上空から射出、回数全てを加速に使って瞬間強化だ
自身も突撃し怪力で殴る鎧砕き、同時に相棒による雷の属性貫通攻撃だ
これが俺と相棒の一撃、いや三撃だ
彼岸花・司狼
「これが人狼病の源泉、と考えると忌々しいものがあるな。」
普段よりも【目立たない】ように息を殺した状態から
【迷彩】で【闇に紛れた】まま【忍び足】で接近し、
意識外からの【不意打ち・暗殺】を狙いに行く。
攻撃時には【集中力】を高めて、真の姿の激痛を意識の外へ追い出しつつ、
【第六感・見切り】による弱所を狙った【解体・鎧無視攻撃】を【瞬間強化】と組み合わせて
【居合】による【首狩り】【死角攻撃】を叩込む。
一撃離脱のため、バレたところでそのまま押し通すように、全力で刀を叩き付けるように。
「いつも通り、首を狙って落とすまで。
高尚な説法も、強い感情も、全てをこの一太刀に込めるだけ」
絶望を超えるのも、今を生きている証拠だ。抗うからこその、輝きに他ならない。
その輝きを病毒で塗りつぶし、悲しみで塗りかため、絶望で追い打ちをかける。
「……俺にできるのは、斃して守るだけだ」
護堂・結城(
雪見九尾・f00944)の言葉は静かだ。長い赤髪が飾る端正な面立ちに、
赤緑の瞳が不気味に光る。
大気すらも人狼へと変えてしまうとは――そこまでして命を喰らいたいか。
むしろ感服する。
(「これが人狼病の源泉、と考えると忌々しいものがあるな……」)
真正面から派手に立ち回る結城とは違い、物事の裏側から真に敵を討とうとする彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)は、そっと口の中でごちて、さっさと闇へと紛れていった。
そうなると残るのは、結城とお供竜の吹雪と氷牙だけになった。
いつもよりも、念入りに目立たぬように息を殺して、闇に紛れ、死角に入り続ける。始祖人狼の意識が、結城らに向いたままになったときが、司狼のチャンスだ。強制的に真なる姿に変じさせられた状態である上に、肢体のあらゆるところから狼頭が生えてくる。なんと薄気味悪い状態か――司狼はいつものポーカーフェイスを少しだけ崩して、暴れる頭を無視しようとした。
「貫き穿つは我が願い」
異形化に伴う苦痛は、今まで受けてきた苦痛の比ではなかったが、結城に耐えられないものではなかった。そこここに生える狼頭の薄気味悪いこと。その偉業が我が身に起こっていることに嫌悪感を抱く。
鋭い牙が腕に突き立てられたが、それ程度で騒ぎはしない。
満身創痍の始祖人狼が、振り抜いた巨大な大剣の一撃は、斬撃だけではなく、あとから襲い来る衝撃にも注意が必要だ――だから、無理に相殺することはせずに、《白銀双尾》で受け流し、最小限のダメージで済むように回避に専念する。
始祖人狼に追ってこられても困るというもの――焔鳳と誘導弾で弾幕を張り、結城に注目を集めているうちに氷牙と吹雪を上空に待機させた。
彼らに人狼病の脅威が迫る前に、次の一手を。
「俺達はどんな絶望にも歩みを止めない!」
吠える。不敵に笑んで、オッドアイは勝気に光る。
「希望は足元にはないから、顔を上げて立ち向かうんだろ!」
その叫びに、闇に紛れる司狼もまた笑む。苦痛は止まない。異形となった体も辛い。これを耐えて耐えて、大きく息をついた。静かに気取られないように。
幸いなことに、始祖人狼は結城に注目したまま。
「頼むぜ、相棒!」
刹那、投槍に変化したお供竜たちが滑空――天から深く穿つ強い想いで強化した牙となって、蒼い雷花を迸らせた槍を射出した――速く疾くなによりも疾く、始祖人狼に届き穿つように辛苦も絶望も憤怒も全部の蟠る思いを背負って、雷鳴を轟かせる。
無論彼らだけに任せておくことはない。結城の固めた拳が槍に貫かれた始祖人狼の鎧を打ち砕いた。
「これが俺と相棒の一撃、いや三撃だ」
ぐうぅっと唸る始祖人狼の首に迫るのは、【
終の幸福】――灰色の外套を翻し、驀地に奔る。すべての力を込めて、結城の作り出した機会を逃すことのないように、潰すことのないように。
「いつも通り、首を狙って落とすまで――高尚な説法も、強い感情も、全てをこの一太刀に込めるだけ」
死角からの渾身の一撃は、復讐に取り憑かれた死神の刃。激しい抵抗は、まだ残っていた鎧のせい――しかし司狼の膂力は、いつもよりも底上げされている。異形となっている――それを知らない始祖人狼ではなかろう。
それでも、すでに槍で穿ち貫かれ地に縫い留められ、凄絶なダメージを負い、頸は刃で斬られる寸前。断末魔を上げる大狼の醜悪さを司狼は冷ややかに見降ろした。
「……死もまた、幸福と知れ」
手にした刃は、いよいよ首を刎ねた。
●
終に得たのは幸福か闘争か。
大成功
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