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獣人世界大戦⑳〜卑怯上等、戦場の掟

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第三戦線 #はじまりの場所 #はじまりの猟兵


●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、いつものように鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「キミ達の活躍で、『獣人世界大戦』はついに最終局面――第三戦線に進んだ。そして同時に、隠された『はじまりの場所』に到達する事ができたよ!」
 シベリアの奥地の深き森――はじまりの場所。そこには、かつてこの世界に現れて超大国と戦い、獣人達にユーベルコードを授けたと言う『はじまりの猟兵』が待っていた。
 だが、はじまりの猟兵はすでにオブリビオン化し、膨大な闇に包まれている。猟兵達の前に、敵として立ちはだかってくるのだ。

「……まあ、とはいえ、はじまりの猟兵は、自分の事を『正直言って、弱い』と自称している。普通の真っ向勝負なら、キミ達なら負ける事はないと思うよ」
 最古にしてはじまりの猟兵と言えば上等に聞こえるが、結局の所、人類は技術の発展と共に生きてきた。ならば、古い武装に身を包み、古い技術で戦う『はじまりの猟兵』が弱いと言うのも、道理であろう。
 まあちょっと残念ではあるが。
「とはいえ、それはあくまで『真っ向勝負なら』の話。相手はかつて超大国と熾烈な戦いを繰り広げて来た、百戦錬磨の存在だ。こと『戦術』面においては、非常に厄介な相手となるだろう」
 負ければ守れぬ数多の戦いを繰り広げて来た彼女に、卑怯だの姑息だのへの躊躇いはない。己の取り得るありとあらゆる手段を用いて、こちらを倒そうとして来るだろう。
 その戦術の上を行く事は、容易な事ではない。
「ただまあ逆に言えば、『どんなに優れた戦術の相手だろうと、真っ向勝負なら勝てる』と言う事でもある」
 圧倒的な力をもって、あるいは最新の技術をもって、相手の戦術を無慈悲に叩き潰す。それが、この戦いにおける必勝の策となるだろう。
 もちろんその上で圧倒的な力に隙があれば、はじまりの猟兵に当然のようにそこを突いて来る訳だが――隙を突かれてすら負けなければ、それで問題ない。

「さて、はじまりの猟兵は確かに敵として立ちはだかるけど……どうやら、こちらに情報を伝えようともしているらしい」
 といっても姑息の極みである彼女は、戦場で会話しても適当なデタラメを口にしてくるだろう。そのため、まずはこの戦場を制圧して完全に屈服させる必要がある。
 この戦争に勝利した時、改めて彼女は――『二番目から五番目の猟兵について』を語ってくれるだろう。
「彼女が一体どんな情報を持っているのか、それはまだ分からない。けど、きっとこの情報は、オブリビオンとの戦いを進める大きな鍵になる……そんな予感がする。だからそれを手に入れるために。ばっちり勝ってきてよね。良い知らせを待ってるよ!」」


一二三四五六
 はじまりの猟兵は割と残念ちゃん。

 ごきげんよう。トミーウォーカーってそういうとこあるよね。一二三四五六です。

 と言う訳で残念な子との戦闘です。彼女は弱いですが、その分戦術に長けています。ありとあらゆる手段で、最適な戦闘手段を取るでしょう。
 『敵はこうしてくるだろうから、それに対応してこう』とか考えていると、上手くいかない可能性も高いです。それよりも、こちらの強みを押しつけるような戦い方をしましょう。

 ただし、どんなにユーベルコードやアイテムの説明文がすごくとも、猟兵一人の強さは猟兵一人分です。いやレモンのネットミームじゃなくて。
 今回に限った話ではありませんが、過度にチート過ぎると感じた場合は、他の猟兵とのバランスも考慮して設定を丸めますのでご注意を。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『はじまりの猟兵』

POW   :    ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
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大丸・満月
アドリブ連携可
つまり何もかも搦め手にしてくる修羅場を潜りまくった奴って訳か、
じゃあシンプルに行くか。

という訳で出会ってすぐさま【黯ノ悪魔】を発動、
金髪軍服に変わって141体の悪魔部隊を指揮して蹂躙していく。

同士討ち以外は気を付けなくていい、
何を仕掛けてきても敵周囲を上空から撃ちまくって攻め立てろ。
多数を仕留める場合は頭を狙うのが定石だからな、

死角減らしに10体くらい俺の周りに居て壁になれ。
まあ俺を狙ってUCを仕掛けて来ても悪魔を間に飛びこませてその間に離れる。そしてプログラム通りにしか動けないのを的にするだけだ。

相手を食べずに戦うのはほぼ初めてなんでな、
弱いなら練習相手になってくれやと煽る。


シャムロック・ダンタリオン
お会いできて光栄だよ、「はじまりの猟兵」くん(【威厳・存在感・悪のカリスマ】)。
だが残念なのは、貴様がオブリビオンに変貌したことだな。ならばお望み通り、骸の海に叩き落とすまでよ。

とはいえ、ああいう「自分は弱い」と自称する輩はいかなる卑怯な手を使うかわからぬ(【世界知識・戦闘知識】)。ならば「対オブリビオン」の「災害級の異常気象」で【蹂躙】してやろうか(【属性攻撃・全力魔法・なぎ払い】)――ああ、念のためアスモダイXを引っ張り出して【操縦】し、奇襲を仕掛けてきたところを鉄塊剣で叩き斬ってやろうか(【重量攻撃・切断】)

※アドリブ・連携歓迎


東・御星
「はじまりの猟兵」がオブリビオンとなるとはね。
既に彼女は死していて、本来であれば消え去る定め。
けど、せっかくだからその運命に抗ってみようかな?
そも、彼女とまともに戦闘する気はそもそもない。せいぜい
GRANDビットによる【オーラ防御】防護の【結界術】【空中機動】
で高速化された攻撃を全力で避けるくらい。
「貴女のその運命、私が覆してみせる!」
縁死とは、元来滅ぼすための力だった。破壊するための、
否定するための力だった。
だからこれはその歴史を塗り替える第一歩!
「はじまりの猟兵」を「敵にして味方」と認識する。
そしてそこに【UC】を放つ!皆!力を貸して!
用意された結論に、私は抗う!


ユキト・エルクード
SPD判定
(アドリブ・連携歓迎)

プリシラ? まさかそんなはずはないと思うが…
兎も角、向かってくるならやることは一つ
何処の世界であっても、これだけは昔と変わらんだろう

一方的に強みを押し付けていいのなら忍者のやり方ってやつを教えてやる
和やかな対話のタイミングで不意に【爆破】や【電撃】属性を付与したナイフを投げ、機動系技能を駆使して一気に踏み込み、暗殺での早期決着を狙う

万一攻撃されたら【受け流し】【見切り】【カウンター】で捌きつつ、不意に併用可能UC【刻影蝕】を使って対応

他にねじ込む隙があっても遠慮なく【刻影蝕】を使って動きを縛る

隙があったら遠慮なくUC【奉魂忍殺】で〆だ
俺とアンタどっちが卑劣かね?


夜刀神・鏡介
多くのオブリビオンが、そして俺達猟兵も探し求めていた「はじまりの猟兵」……
色々と気になる所はあるが、まずは彼女の望み通りに戦い、打ち破るのみだろう

神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化しつつ、捌の型【水鏡:流】の構えで斬り込んでいく

最適解を取ってくる相手に対して、それを上回るのは確かに困難
だが、最適解を取ると分かっているなら相手の動きを読む事は不可能じゃないし、此方の動きによって相手の動きを幾らか誘導する事も可能な筈
敢えて敵の攻撃を全て捌くような動きはせず、致命傷にならない形で何発かを受ける事で敵の思考に隙を作り

ある程度の距離からダッシュで一気に距離を詰め、斬撃波で追い詰めて直接斬る


チェスカー・アーマライト
卑怯も姑息も結構な事だが
最終的には最大火力を叩きつける方がお手軽ってモンだ(挑発)
来いよ大先輩
あたしらをブチ抜けるってなら試してみな!

発煙弾で目眩まし
ガトリングとミサイルで弾幕張って退き撃ち
相棒は装甲と火力重視の重量機で小回りが利かない
ちょこまか近づかれて関節部分とかをやられたら終わりってのは直ぐにバレるだろ
その上で有効打UCを誘う
乗ってこないならこのまま削り切る
踏ん張れよ相棒

因みにあたしは煙に紛れて機体から降りたのさ
避けねー相手から、攻撃先を変えるのは更に大変だろーよ
弱点を突くなら立ち位置は決まってくる
そこを狙ってステープラーを掃射

弱みを強みに
これがあたしらの隠し球だ
たっぷり味わいな!


オリヴィア・ローゼンタール
戦闘技巧において並ぶ者なし、ということですか
ならば力でゴリ押し、罷り通る!!
猟兵の秘密、洗い浚い吐いてもらう!

身に纏うのはいつものシスター服
ひとつ違うのは、聖槍がかつてないほど光り輝いている事
遣い手を護るための封印、【霊的防護】が解かれ、無窮の神威(神聖攻撃・神罰・全力魔法)が煌めく黄金の光となって溢れ出す
【聖槍覚醒】――その力を36世界に、そしてはじまりの猟兵に知らしめよ!

身を灼く反動を【気合い】と【根性】で捻じ伏せる
【限界突破】した【怪力】で聖槍を振るい、真っ向から打ち合う!(負けん気)
全身全霊を【振り絞り】、超絶技巧の護りを【こじ開け】、【串刺し】!
ぉおおおおおッ!!


万・梦猫
猟兵のオブリビオン、同類か。

……なぁ、何かアンタに伝えたいことがあった気がするんだが何か知らないか?
そうか、じゃあ人違いか。

素体の記憶に引っかかる物があるが、自分が猟兵として今受けている依頼ははじまりの猟兵を倒すだからな。
余計な事は考えずに倒せばいいか。

戦闘時は指定UCでトラックからお店を展開。
お店に気を取られた瞬間に闇に隠れる
そこから遠隔で公司の監視用ドローン群を使用。選択技能は『暗殺』。
情報アドバンテージを取って暗殺。そこまで上手くいかなくても一撃は入れてやろう。

素体にとって猟兵とはどんな存在だったんだろうな。


ビスマス・テルマール
話に聞いていた始まりの猟兵さんが、こうしてある種の試練として、ならばわたしも、胸を借りるつもりで

●Pow
貴女の戦場の戦いに対して
わたしの戦術も、パワープレイ気味かも
知れませんが、真似できますか?行きますよっ!

初手『早業』で『属性攻撃(重力)&オーラ防御&結界術』込めた『誘導弾&レーザー射撃&エネルギー弾』の『弾幕&範囲攻撃&一斉発射』で『盾受け』壁を作り『ジャストガード&受け流し』時間を稼ぎつつ『早業』UC発動

なめろう『料理』への情熱と意志の力により強化した『空中戦&推力移動』で撹乱し弾幕の壁も生かし『第六感』で『見切り』回避し

【なめろうフォースセイバー】で『怪力&鎧無視攻撃&2回攻撃』です



「やっと来てくれましたね、六番目の猟兵。あなたがたをずっと待っていました」
 やって来た猟兵達を、喜色に溢れた声で迎え入れる『はじまりの猟兵』。万・梦猫(龍爪公司の『ネコ』・f41478)はその呼び名に、記憶の底でひっかかりを感じる。
「……なぁ、何かアンタに伝えたいことがあった気がするんだが何か知らないか?」
「? うーん、どうでしょうねぇ。」
 だが対するはじまりの猟兵は、不思議そうに首を傾げる。記憶違いか記憶にないのか、あるいは彼女以外にも『はじまりの猟兵』がいるのか。
「そうか、じゃあ人違いか、ならいい」
「いやぁ、すみませんねぇ、お役に立てずぇっ!」
 申し訳なさそうに頭を下げたはじまりの猟兵は、突然這いつくばるように地面に突っ伏した。直後、彼女の顔があった場所を顔のあった場所をナイフが通り過ぎ……後方で地面に落ちて、爆発を起こした。
「いやぁ、いきなりご挨拶ですね。結構結構!」
「……ちっ」
 額の汗を拭う素振りを見せながら――当然、仮面なので拭えない――立ち上がる彼女に対し、小さく舌打ちするのはユキト・エルクード(亡霊夜警・f38900)。会話の隙にナイフを投げて不意打ちを狙ったのだが、読まれていた……と言うよりはライフルの銃口を見る限り、あちらも同じ事をしようとしていたのだろう。
「戦場では姑息も卑怯も使いよう。ですがええ、わたしもその手のは得意でして」
「らしいな……俺とアンタ、どっちが卑劣かね?」
 それに牽制されながらも、間合いを詰めるユキト。だが、相手は巧みにライフルの銃口を合わせ、こちらに確実に弾丸を当てて来る。
「一応、こっちも『技能』には自信がありまして?」
「ぐっ、そうらしい……!」
 技能を用いるのは、猟兵だけではない。頼り過ぎればより高い技能にねじ伏せられるのは、当然の帰結だ。
 旧式の弾丸は致命傷にこそならないが、痛みに苦悶し、膝をつき。
「ふふん、どうですか……うぎゃー!?」
「……悪いな、だが暗殺の腕はこっちが上だ」
 そしてユーベルコードによって得た超技能がその上を行くのも、また当然。得意げに胸を張るはじまりの猟兵に対して暗殺の技術を用いて含み針を撃ち込めば、悲鳴を上げてゴロゴロと転がっていく。
「痛い痛い痛いっ、もう、やってくれますねぇ!」
 生憎致命傷は避けられたようで、傷口を抑えながら立ち上がるはじまりの猟兵。そんな彼女の戦いを見ていた大丸・満月(人間のグールドライバー・f42686)はふむ、と顎に手を当て、ユーベルコードを発動する。
「修羅場を潜りまくった奴って訳か……じゃあシンプルに行くか」
 黒髪が金髪に染まり、着崩したスーツは軍服に。かの黯党首魁を模した姿を取る事で、喰らい取り込んだ力を解放する。
 すなわち不世出と謳われた、悪魔召喚士の力を。
「こういう時は、数で押し潰すのが一番手っ取り早いだろう?」
「そういうの一番困るやつー!」
 召喚されたのは、統率された悪魔達。翼を広げて上空に舞い上がる数多の姿を見て、焦りの声を漏らすはじまりの猟兵。
 対する悪魔達は満月の指示を受け、次々と魔弾を降り注がせていく
「上空から撃ちまくって攻め立てろ。多数を仕留める場合は頭を狙うのが定石だからな」
「心得てますねー! いやはや、かつての戦いを思い出します……痛い痛い!」
 ちょこまかと逃げ回りつつも、被弾しては声を漏らすはじまりの猟兵。ライフルで反撃して来るが、こちらは数が多い。
 指揮官狙いに対しても、一部を壁にする事で阻んでいく。こうなると大規模な破壊力を持たないはじまりの猟兵には、手の出しようがない。
「相手を食べずに戦うのはほぼ初めてなんでな。弱いなら練習相手になってくれや」
「まあそう言われたら……張り切っちゃいますかね!」
 だが黙ってやられてはいないぞと、彼女は満月の煽りに応えて自らの懐に手を突っ込んだ。取り出したるは煙幕弾、投じられればその姿が、煙の中に覆い隠される。
「さあ、わたしは逃げも隠れもしますよ! あ痛い痛い」
 まあ隠れた所で魔弾の雨霰は振り続けるのだが、当然命中率は下がる。それを良い事に姿を晦まそうとする相手に対し、さらに巨大なガトリングの弾丸が追い打ちをかけようとする。
『卑怯も姑息も結構な事だが、最終的には最大火力を叩きつける方がお手軽ってモンだ』
「キャバリア! 困るんですよねぇほんと、そう言うの!」
 それを撃つのは量産型キャバリア・ビッグタイガー、駆るのはチェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)。
 言葉通りに火力を叩きつけていけば、煙幕の向こうで悲鳴が上がる。さらにミサイルをぶちこめば、爆炎と土煙でさらに視界が悪くなる。
 だがそんな煙の中から飛び出すのは、突然の砲撃。相手のミサイルがビッグタイガーに直撃し、その機体を揺らがす。
『っと、なんだいこりゃあ?』
「かったっ! なんですその装甲! 硬すぎないですかね!」
 とはいえ古い時代のミサイルは、無骨で分厚い装甲を貫くには至らない。ぎゃあぎゃあと文句を言うはじまりの猟兵と共に煙の向こう側に見えるのは、地面に据え付けられた対戦車砲台だ。どうやら、辺りを満たす闇の中に隠していたらしい。
「わたしは弱いですからして、当然準備の一つや二つはしてると言う訳で!」
「やはりああいう『自分は弱い』と自称する輩はいかなる卑怯な手を使うかわからんね」
 煙の向こうで自慢げに声を響かせるはじまりの猟兵に対し、なるほどと思案するシャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)。
 手にした魔法の書を広げると、魔力によって気象を変化させ、異常気象を呼び起こす。
「ならばこれで蹂躙してやるとしようか」
「ぎゃー!?」
 暴風が吹き荒れて煙を撒き散らし、横殴りの雨が、オブリビオンの身体を蝕む。突如として生じる災害級の気象に、ぎゃいぎゃいと悲鳴を上げるはじまりの猟兵。
「さて、お会いできて光栄だよ、『はじまりの猟兵』くん」
「いえいえこちらこそー! ついでにこの雨止めてくれるとありがたいんですがー!」
 再び姿を現した彼女に対し、慇懃に頭を下げるシャムロック。向こうはそんな事を宣うが、当然聞き入れてやる理由はない。
「オブリビオンに変貌したなら仕方がない。お望み通り、骸の海に叩き落とすまでよ」
「ですよねー! ……あー、もう仕方ないですねー!」
 するとはじまりの猟兵は突然、ライフルを構え、こちらをまっすぐに見据えて。そして即死の弾丸を放ち、こちらを撃ち抜こうとしてくる。
「む……アスモダイX!」
「こっちもキャバリアですか、もー!」
 咄嗟にオブリビオンマシンを召喚し、その銃撃を阻むシャムロック。だが、相手も離れた位置から射撃を続け、こちらの間合いには入って来ず――さらに高速移動を開始し、こちらに雨霰と弾丸を降らせて来る。
 はじまりの猟兵の使用するユーベルコード『プログラムド・ジェノサイド』は、予め脳にプログラムされた動きを中止出来ないのが弱点だ。だがそのプログラムが『不規則な高速移動からの射撃弾幕』ならば、その弱点を突くのは容易ではない。
「わたしは弱いですけどね、戦場での工夫ならちょっとは一家言もってますよ!」
「……だったら、こいつはどうだいっ!」
 手数を持って、こちらを打ち破ろうとするはじまりの猟兵。それに対して、チェスカーは生身のガトリング砲をぶっ放した。
 キャバリアから降りての不意打ちで、横合いからの攻撃――高速移動中の相手には狙いほど上手く不意は打てなかったが、それでも範囲で薙ぎ払い、相手の動きを阻害する。
「ぎゃふーん!?」
 ユーベルコードを強制中断され、ゴロゴロと地面を転がるはじまりの猟兵。そこに突然突っ込んでくるのは、小型のトラックだ。
「っ、何ですかっ!?」
 警戒の表情を浮かべたはじまりの猟兵の前で、トラックの荷台が開き――そしてそこには、日用品から兵器まで、様々な商品が展示されていた。つまり店だ。
「何故に店っ……ぎゃふぅっ!」
 流石に意表を突かれたのは思わずツッコミを入れた相手の背後に、ドローンの射撃が直撃した。ちなみにどちらも、梦猫の呼び出した龍爪公司製のものである。
「素体にとって猟兵とは、どんな存在だったんだろうな……」
「いたたっ……痛いんですがー!」
 はじまりの猟兵に視線を向けて物思いに耽る彼女だが、とうの相手はと言えば、ドローンを撃ち落としつつ涙目で背中を抑えている。
 それに対して一気に間合いを詰めようとするのは、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)だ。
 鎧装からレーザーを放ってはじまりの猟兵に追撃しながら、空中からの接近を図る。
「話に聞いていたはじまりの猟兵さんが、ならばわたしも、胸を借りるつもりで!」
「ええええ、胸をお貸ししますよ。……ぽちっとー!」
 そしてそんなビスマスを遮るのは、突然地面から飛び出す無数の弾丸。遠隔操作の対人地雷が足下で爆ぜると、その肌に強烈に突き刺さる。
「くっ、これはっ……!?」
「近づかれたくないので、きっちり仕込んでおきました!」
 ビシッと左手の親指を立てつつ、右のライフルでこちらに追撃を図るはじまりの猟兵。咄嗟に高度を上げる事で回避するが、詰めようとした間合いは開いてしまう。
「もちろんこれだけではないですよ。それでも近づきたければどうぞ!」
「むぅ、厄介ですね……!」
 鎧装の守りもあって地雷も耐えられはしたものの、これはなかなか近づきがたい。警戒を強め、空中で間合いを図るビスマス。
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)もまた、硬い守りの陣地を前に、小さく唸り声を漏らす。
「なるほど、この戦術を上回るのは確かに困難だな……」
 最適解を取ると分かっているなら行動を読める――と思ったが、なかなかそう甘くはないようだ。相手は戦場においては臨機応変も必要としっかり弁えており、そう簡単には動きを読ませてくれない。
 だが、だからと言っていつまでも、手をこまねいて見ているつもりはない。
「ならばこれで……どうだ?」
「ほ、本当に来るんですか!? 地雷とかいろいろありますよ!?」
 敢えてその陣地に踏み込んで相手の迎撃を誘うと、炸裂の瞬間、素早く後ろに飛びずさる。全てを避けきるのは難しく、傷を受けはするものの、致命傷には至らない。
「ええ……そのようですね」
「むむぅっ……!」
 さらに接近と後退を繰り返す事で、相手に対応を強いていく。地雷やら毒ガスやらが撒き散らされるが、当然その罠も無限ではない。鏡介の傷と共に、徐々に守りが剥がれていく。
 そしてそんな様子をじっと見据えるのは、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だ。
「戦闘技巧において並ぶ者なし……と言う事ですか」
「え? いやぁ、それほどでも」
 これまでの戦闘を見ての賞賛の言葉に、照れたように頭をかくはじまりの猟兵。だがもちろんオリヴィアも、ただ褒めるだけのつもりはない。
 いつものシスター服を身に纏い、聖槍をかつてないほどに光り輝かせ――。
「ならば力でゴリ押し、罷り通る!! 猟兵の秘密、洗い浚い吐いてもらう!」
「え?」
 そして彼女が選んだのは、真っ向からの突撃。聖槍の封印を解く事で全て力を解放し、ただはじまりの猟兵へと突き進む。
「その力を36世界に、そしてはじまりの猟兵に知らしめよ!」
「ちょ、ちょちょっ……!?」
 地雷も毒ガスもその他の罠も、知った事ではない。張り巡らされた旧式の罠のダメージより、身を灼く反動の方が身体が痛むほど。
「ぉおおおおおッ!!」
「きゃああああっ!?」
 それを見たはじまりの猟兵は最初から防御する気などさらさらないとばかりに、全力で回避を図る。
 だが、その切っ先が相手から僅かに逸れようとも、その余波だけで容易く、はじまりの猟兵の身体が木の葉のように吹き飛んでいく。
「ぐふぅっ……威力やっばい……げほっ!」
 何度か地面をバウンドした後、ふらつきながらも立ち上がるはじまりの猟兵。が、当然その隙をこちらも逃すはずはなく……仕掛け時を探っていた鏡介が、一気に距離を詰めていく。
 さきほどまでの牽制とオリヴィアの突撃で、すでに罠の多くは剥ぎ取られ、こちらを阻む者はない。
「そこですっ……!」
「っ……ぎゃふぅっ!?」
 相手は咄嗟に迎撃の銃弾を放とうとしてくるが、その先を取る斬撃で、相手の身体を斬り裂いた。
 さらにはそれでよろめいた所へ、空中からビスマスも一気に迫る。
「こっちも! 今度こそいきますよっ! なめろうの力、とくと受けなさい!」
「日本の魚料理になんの関係が……ぎゃー!?」
 ご当地料理への愛ユーベルコードで強化された斬撃が、はじまりの猟兵を深く斬り裂いた。味噌と魚の入り混じった匂いと共に、相手の身体から赤い血が噴き出す。
 さらに、返す刀に合わせて、もう一度……と、だがこちらは、咄嗟にライフルで迎撃されて、狙いが逸れた隙に避けられる。
「さっきも言いましたけどねー、『技能』には結構自信があるんでー!」
 とはいえ、はじまりの猟兵はすでに満身創痍。立ち上がるものの、全身から血を流してふらついている。
 そんな相手の消耗を見て取り、これまで戦闘を見守っていた東・御星(紅塵の魔女//人生、その継続と終焉・f41665)がビットを展開する。
「既にあなたは死していて、消え去る定め――ならその運命に抗ってみせる!」
 そこから放つのは、世界法則を覆す炎雪。それがはじまりの猟兵を包み込み、因果を書き換えようとする。
「貴女のその運命、私が覆してみせる! 用意された結論に、私は抗う!」
「おぉぉ?」
 彼女の狙いは、はじまりの猟兵を『六番目の猟兵』へと覚醒させる事だ。滅ぼす為の、破壊するための縁死の力で、オブリビオンとしてのはじまりの猟兵を断ち切ろうとする。
 死を否定し、新生を齎すその力。それが、はじまりの猟兵を包み込み――。
「いやぁ、流石に無茶ってものでしょうね!」
「くっ……!」
 だが、肩を竦めたはじまりの猟兵の弾丸に撃ち抜かれ、そのユーベルコードは中断させられる。
 いや、そもそもその願いは、猟兵一人の――いや、あらゆる猟兵達の力を束ねてなお、手に余る望みだ。仮に中断させられていなくとも、届く事はなかっただろう。
「くっ、そんな……」
「いやまあ、でもその強欲は嫌いじゃないですよ? わたしを救おうとしたんですね」
 膝をついて悔しげな表情を浮かべる御星に対し、はじまりの猟兵は優しく微笑む――いや、仮面の下なので表情は分からないが、声音は柔らかく。
「まあそれはともかく今のわたしはオブリビオンなので、一切容赦はしないぎゃー!?」
 そしておもむろに、御星に対して銃口を向け――そして空中からの砲撃によって、吹き飛んで。
 腹からぐしゃっと地面に落ち、何度かもがいた後、立ち上がれずに力尽きた。
「……結局まあ、戦いは数だな」
 それを撃ち込んだのは、ずっと攻撃を続けていた満月の悪魔部隊だ。やはり数による力押しが、一番効果があったようである。
「この私を倒すとは、見事……あなた方の勝利です!」
 うつ伏せに倒れたままなので全然決まらないが、とりあえずビシッと親指を立てるはじまりの猟兵。その身体が徐々に消え、骸の海へと戻っていく。
「このまま私を他の戦場でも、復活出来ないくらい倒してくださいねー」
 そこに、悲壮感など一切感じさせないまま。
 最後まで微妙に残念なまま、彼女はひらひらと手を振り、消えていったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月24日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト