獣人世界大戦⑬〜道人的中華三昧
●今回予告
――だが、俺の『師父』は既に、『はじまりの場所』の目星をつけている。
――故に、俺は王の想像よりも疾く、はじまりの猟兵を見つけ出すだろう。
――師父ははじまりの猟兵をご所望なのだ。悪いが土壇場では裏切らせてもらうぞ、カルロス王よ……!
「サイバー化」と「渾沌化」で己の肉体を強化し尽くし、圧倒的な暴力と智謀によって人民租界のサイバーマフィアを統率する、百戦錬磨のコンキスタドール。
それが、有頂天道人だ。
『師父』と彼が呼ぶ何者かの命により、彼はワルシャワ条約機構や幻朧帝国を出し抜いて「はじまりの猟兵」に至ろうとしている。
今、有頂天道人と猟兵の決戦を察知し、人民租界の各都市を支配していたオブリビオンマフィアの|幇大人《パンターレン》達が集結する……!
獣人世界大戦・戦場⑬――。
●有頂天道人
「『有頂天道人、死す!』 なーんて。戦況的にも持ち込みたいところだよね。向こうも猟兵を迎え撃つつもりでいるから、そう簡単にはいかないけど」
レニー・リー(f43295)が仲間達に語ったところによると。
有頂天道人の元には、オブリビオンマフィア・|幇大人《パンターレン》達が集っており、猟兵達が近付こうものなら攻撃を仕掛けてくるという。
「|幇大人《パンターレン》も皆、|機械化義体《サイバーザナドゥ》で武装してるんだ。有頂天道人に一撃を叩き込むには、奴らの波状攻撃への対策が必要になるよ」
|幇大人《パンターレン》の数は膨大。どう対策したものかは、猟兵各々の判断次第になる。
「でも、きっと皆なら|冇問題《モーマンタイ》。アクション映画みたいに格好よく決めてくれるって、おれ信じてるよ!」
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
プレイングボーナス……|幇大人《パンターレン》達の波状攻撃をかわし、有頂天道人に攻撃する。
●|幇大人《パンターレン》達について
|機械化義体《サイバーザナドゥ》で武装したオブリビオンマフィア達です。
機械化部分以外は獣人達と変わらぬ姿をしています。
有頂天道人への道を阻むかのように、めっちゃ大量に立ち塞がっています。
●プレイングについて
OP公開と同時に受付開始します(今回、断章はありません)。
完結重視で執筆予定です。参加人数が極端に多くなった場合、不採用が出る可能性もございます。ご了承ください(可能な限りは採用したいです。頑張ります)。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
第1章 ボス戦
『有頂天道人』
|
POW : サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD : サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ : 渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:松宗ヨウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜刀神・鏡介
これは戦争だからな。配下を呼び出すのも好きにすればいいとは思うけど
とはいえ、流石にこれはどこから出てきたんだと言いたくもなる
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
幇大人の元へとダッシュで切り込むかのように見せかけて、寸前で大きくジャンプ。ついでに神脚【無依】による二段ジャンプで敵の頭上を飛び越えて
落下地点周辺の敵へ向けて斬撃波で体勢を崩し、それを踏み付けもう一度ジャンプ。一気に道人の元へ接近
最後に空中で廻・陸の秘剣【緋洸閃】を発動
緋色の刀を叩き込み攻撃すると共に檻を生み出す事で、幇大人の介入を防ぎ有頂天道人と戦闘に集中
斬撃波による牽制でカンフーの構えを僅かに妨害、隙をつくって斬り込もう
●
戦争とは、勝つ為ならば何事も罷り通ってしまうものである。
それはそれとして、だ。
(「流石にこれは……どこから出てきたんだ」)
夜刀神・鏡介(f28122)の前に立ち塞がるは、一目見ただけでは人数の目算も難しい程の|幇大人《パンターレン》達。
『猟兵サマのお出ましだ! テメェら! アニキんとこに通すんじゃねえぞ!』
『『『おうよ!』』』
じりじり、じりじり。
鏡介に迫る幇大人。
一体ずつ相手取るか――否。
(「封印、解除!」)
神刀の封印を解除した刹那、神気によって鏡介の身体能力が飛躍的に上昇する。
青年の変化を感じ取ったのか、幇大人達が僅かに後退った。
好機。
「そこを退けっ!」
地を蹴って、疾走し、勢いを乗せて切り込むようにみせて。
『させる……かっ!?』
接触ぎりぎりのところで跳躍。さらに神脚【無依】――脚に纏った神気で二段ジャンプを決め、敵の集団を軽く飛び越えて。
「退けと言っただろう?」
落下地点周辺に向けて飛ばした斬撃波で敵群の体勢を崩し、そいつらを踏み付け、再び高く跳躍し。
あれよあれよという間に、有頂天道人はすぐそこだ。
『ほう? こうでなくては面白くない!』
青年から強者の風格を感じ取ってか、何処か嬉し気に道人は笑う。
拳法の構えを取るオブリビオン。まず、鏡介が叩き込むは。
「神刀解放。爆ぜて囲え」
廻・陸の秘剣【緋洸閃】。
其は、神気によって形成した緋色の大太刀。
攻撃の着弾点が爆ぜ、さらには大太刀が分裂した無数の緋い刀による檻を生み出し、幇大人の介入をも防ぐ。
檻の中。ようやく一対一だ。
『やりおるな! 猟兵よ!』
「っ!」
一瞬で間合いを詰めた道人が、鏡介に放つは機械化義体による掌底の一撃。
其をぎりぎりのところで躱し、斬り付ければ、道人は機械化した腕で刃を防ぐ。
されど、完全には受けきれない。鏡介の刃は斬撃波をも生み出す程に磨き抜かれていたからだ。
衝撃波をぱっと後ろに跳んで避ける道人。
僅か、敵の構えが崩れた瞬間を鏡介は見逃さなかった。
「そこだっ!」
すかさず懐に飛び込み、一閃。
この戦場において初めて、有頂天道人が傷を負った。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「それでは幇大人を踏み潰して進みましょう。鏖殺せよ、真黄巾力士火行軍」
追加UC
式神(騒霊)の召喚
・金磚と砲頭から制圧射撃で敵の行動阻害5体
・砲頭から徹甲炸裂焼夷弾で鎧無視・無差別攻撃して敵を蹂躙5体
・上記2班をオーラ防御で庇う5体
上記15体を1隊として計150体黄巾力士召喚
空中から進軍し各黄巾力士がそれぞれ765体騒霊式神召喚
幇大人や有頂天道人の武装やサイバー化部分に取り憑かせ破壊し使用不能に
幇大人ごと波状攻撃を封殺したら黄巾力士各隊を四方から有頂天道人に攻撃させる
自分は上空から戦場俯瞰
竜脈使い全黄巾力士の能力底上げと損耗時の部隊再編行いながら雷公鞭で雷撃
敵の注意が逸れた瞬間縮地で接敵し寸勁
●
「それでは幇大人を踏み潰して進みましょう」
慇懃無礼とも取れる鳴上・冬季(f32734)の言葉に、一帯から怒号が浴びせられた。
『おい、兄ちゃん。随分とナメてくれたもんだなァ!?』
『その舌、捻じ切ってやんぞオラァ!!』
されど、冬季は意に介した様子もなく。
「鏖殺せよ、真黄巾力士火行軍」
真黄巾力士五行軍・仙界大戦。
静かな声で、自作宝貝を装備した仙術使用強化型黄巾力士の軍勢を招来する。
その数、百五十体。
大群には大群を。
冬季の悠々とした在り方は、勝算あってのものであった。
――事実、黄巾力士を相手に、幇大人では勝負にならなかった。
冬季の策は徹底していた。
金磚と砲頭から制圧射撃での敵の行動阻害役を五体。
砲頭から徹甲炸裂焼夷弾で鎧無視・無差別攻撃での敵の蹂躙役を五体。
前述の二班をオーラ防御で庇う盾役を五体。
十五体を一班とし、空中から進撃させ。さらには。
「式鬼神招来急急如律令」
各黄巾力士に冬季自身のユーベルコードである|式神《騒霊》召喚の発動を命ずる。
騒霊の数、なんと七百六十五体。
『な、誤作動か』
『クソッ、動け! 動けよ!』
数多の騒霊を敵のサイバー化部分に取り憑かせ、使用不能となったことを確認し。
(「各隊、四方より突撃」)
有頂天道人を囲むように黄巾力士達に攻撃をさせる。
――その細かな指令の数々を、冬季自身は空から戦場を俯瞰しつつ行っていた。
全黄巾力士の能力を底上げし、損耗した部隊の再編を行いながら、冬季自身も雷公鞭を手放さない。
王を追い詰めるように駒を動かしながらも、待って、待って。
遂に、その時が訪れた。
『見つけたぞ、軍師よ』
有頂天道人が空に在りし冬季の姿を捉えた。
混沌化した腕を白きおぞましき触手へと変え、冬季を捕獲せんと高く高くまで伸ばしてくる。
逃れるべきか? 否。
「稲妻は天より地に落つるもの」
雷公鞭を地に、迫る触手に向けて。
「自然の道理です」
高き場所から、雷撃を放つ。
閃光。
刹那、雷に打たれて動きを止めた道人に縮地で肉薄した冬季は。
「そして、仙とは」
寸勁を一切の容赦なく叩き込んだのだった。
「破天荒で敵を鏖殺するものです」
大成功
🔵🔵🔵
溟・哀上
わたしは香港租界にもあんまり行ったことないんですけど……。
い、いくらなんでも封神武侠界とは違いませんかっ!?
ううっ、悪漢のひとたちがたくさん……どうしようぶーちゃん……!
早速取り囲まれちゃいましたし、いくらなんでも多勢に無勢です……。
こ、こうなったらあれをやるしか! たぶん今回は暴走しない……ですよね。
というわけでユーベルコードを使用します。
幇のみなさんをまとめて20m前方に吹っ飛ばし、強引に道をつくりますっ!
なんなら有頂天道人さんにぶつけて、体勢を崩した勢いで追撃を……あ、あれ?
……やっぱり止まらない!? それだともう、くるくる回ったままつっこむしか……!?
し……しつれいしまーすっっ!
●
溟・哀上(f35080)はこれまで香港――人民租界に足を運ぶ機会が少なかった。
それにしたって、此処も中国の一部には違いない。
ゆえに、多少は馴染みのある雰囲気なのでは。
そう思っていたのだが。
『おう、嬢ちゃん。嬢ちゃんも猟兵か?』
『帰るなら今やで?』
(「い、いくらなんでも封神武侠界とは違いませんかっ!?」)
武侠達と幇大人達とではアウトローとしての質があまりにも違い過ぎた。
武侠が英雄的気質も持つ者である一方で、此処に集った幇大人は生粋のやくざ者である。
「どうしようぶーちゃん……!」
黒い大蛇に小声で囁く頃には、哀上はすっかり悪漢どもに囲まれてしまっていた。
多勢に無勢。これではどうすることも――。
(「こ、こうなったらあれをやるしか!」)
できる。厳密には、できなくもない。
"あれ"には一つ、懸念があったが。
(「たぶん今回は暴走しない……ですよね」)
それでも、やるしかない。
現状を変える為。オブリビオンを倒す為。
哀上は、覚悟を決めた。
「え、ええい!!」
瑞獣の力を解放せし其の技を、|回旋衝戯《コマツブリ》といった。
高圧水流の勢いで超加速させるは、常に携えし玄武大盾。
回転しながら幇大人達を纏めて吹っ飛ばし、強引に道を作り出して。
「わ、やっぱり……ど、どいてくださあああああい!!」
そのままの勢いで有頂天道人に突っ込んで行く!
『ほう? 力押しか!』
拳法の構えを取り、哀上を真正面から受け止めんとする有頂天道人。
間合いがどんどん狭まって。
遂に二人が激突――しなかった。
『……は?』
水流が曲がり、哀上があらぬ方向に飛んで行き、道人の攻撃を空かしたのだ。
そう、懸念していた通り。|やっぱり《・・・・》こうなった。
実は哀上、高圧水流を制御しきれないのである。
だが、此度はそれが好機を生み出す方向に働いた。
あちらこちらにドリフトしながらも、哀上が道人を目掛けて戻ってくる!
「ああもう! このまま、し……しつれいしまーすっっ!」
『くっ!』
今度こそ、正面衝突だ。
持ち前の功夫の技で、有頂天道人はどうにか哀上の突撃の軌道を読み、受け止めることに成功した。
されど、構えまでを正す暇は無く。
水流の勢いも手伝って道人は押し負け、哀上と盾ごと壁にめり込む羽目になったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
東天・三千六
おや、随分と沢山の獣人達
ここは一騎当千の刃の出番でしょうか
参りましょう、御主人様
御主人様を背に幇大人達の群れに突っ込み多数を轢き潰し、御主人様は青竜刀で薙ぎ倒しつつ有頂天道人の元へと向かいます
ふふ、天下無双の御主人様の剛力にかかれば、オブリビオンマフィアなど塵も同然……
まあ僕も雷を落として援護はしますけれどね
有頂天道人の波動弾は円を描くよう距離を詰めながら躱し消滅を避けます
そして御主人様の一太刀!
避けられても僕の牙や爪で追撃を行います
その羽、むしり取って差し上げますね
ふふ、対多数の戦は僕たちの得意とするところ
どーんと蹴散らして参りましょう
●
「おや、これはこれは。随分と沢山」
ふわりといつもの笑みを浮かべる東天・三千六(f33681)を見下すように。
『なんだァ? 此処はガキの来るとこじゃねえぞ』
『とっとと帰ってねんねしな!』
幇大人達は首をこきりと鳴らしてみせる。
安い挑発だ。彼らは三千六が何者であるかを知らぬのだ。
瑞獣の少年は笑みを崩さない。
如何なる敵であれど、既に自分の為すべきことはわかっているから。
「参りましょう、御主人様」
|来来《オイデマセ》、|来来《オイデマセ》。
獣の本性を表して、其の背に乗せるは|一騎当千の刃たる猛将《召喚霊》。
主を背に、三千六は幇大人達の群れに突っ込んだ。
其の健脚を以て数多を轢き潰し、主は青竜刀を振るって幾人もの首を刎ね。
それでも近付かんとする幇大人は、雷を放って寄せ付けぬ。
彼らはようやく、三千六が何者であるかを知った。
――安易に手を出してはならぬ存在であったのだと。
ゆえに、戦場に立ち続けるはひとり。
有頂天道人、ただひとり。
『はは、はははは! 武将よ、獣よ! これならどうだ!』
undefined.
(「……これは」)
道人の放った定義なき気弾。触れてはまずいと獣の直感が告げる。
ゆえに、ぐるりと円を描くよう距離を詰め。
(「ご主人様!」)
背の主が一太刀浴びせんと、得物を振るう。
長柄の武器であったのが功を奏し、道人に刃が届き、ぱっと血が飛んだ。
赤。オブリビオンといえども、血の色はヒトと同じであった。
もっとも、それを確かめて終わりにする三千六達ではない。
(「その羽、むしり取って差し上げますね」)
間合いを取らんとする道人を追い、獣は其の爪牙を振るう。
一重に、二重に。
地に赤い色が重なってゆく。
大成功
🔵🔵🔵
エリー・マイヤー
とりあえず、【念動ルーム】で敵の動きを全部減速します。
その義体がどれほどの威力を出せるのかはわかりませんが…
スローモーションなら、大した脅威にはならないでしょう。
思うように動けない雑魚はスルーして、ボスの元へ直行です。
で、有頂天道人も、攻撃は格闘技が基点になるという話でしたか。
それなら、減速に手間取っている間がチャンスですね。
念動力で打ったり捻ったり潰したりして、できる限り攻撃を加えましょう。
それにしても、はじまりの猟兵でしたっけ。
敵にも味方にもモテモテすぎて、ちょっとかわいそうですよね。
まぁ、そういう私も、一目見てみたいと思っているうちの一人ではあるのですが。
●
息苦しい。というか、むさくるしい。
それが、エリー・マイヤー(f29376)が戦場に降り立った感想であった。
何しろ。
『おう、姉ちゃん。なかなかの上玉やなあ』
『どや? 今からでも俺らの方に来ぃひんか?』
がちゃりがちゃりと機械化義体を鳴らして迫り来る幇大人達は、絵に描いたようなやくざ者――屈強な男ばかりだったのだから。
ついでに全身もっふもふ。たぶん囲まれたら暑苦しい。
溜息ひとつ、吐き出して。
「私の手の上で終わらせましょう」
|念動ルーム《サイ・ルーム》、発動。
戦場をサイキックエナジーで覆い、蔓延る敵全てを原則させる。
わっと群がる幇大人。されど、どいつもこいつもスローモーション。
雑魚は華麗にスルーして、エリーは有頂天道人の元へ歩を進める。
もっとも、道人もまたエリーの掌の上。念動ルームの餌食と化していた。
流石に幇大人よりはだいぶ速いが、繰り出す技も目で見て躱せる程度だ。
「では、失礼して」
念動力、おかわり。
打ったり、捻ったり、潰したり。
有頂天道人はなかなかに頑丈ではあるが、確かにダメージは蓄積できている。
攻撃を加える最中、ふとエリーは思う。
(「それにしても、はじまりの猟兵でしたっけ」)
有頂天道人は、其を求めている。
のみならず、この世界の猟兵達には特別視されていると言っても過言ではない存在。
さらには、他世界の猟兵も――。
(「モテモテすぎて、ちょっとかわいそうですよね。まぁ、そういう私も、一目見てみたいと思っているうちの一人ではあるのですが」)
ぐい、と空を掴んで引っ張るエリー。
彼女の動きに従うように、有頂天道人の頭がぐっと後ろに反った。
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
元々混沌としている世界だとは思っていたけど、いろんな奴らがいるもんだ
でもその分、世界の謎って奴に迫る機会もありそうだ
【戦闘】
UCの「天候操作」で幇大人たちを薙ぎ払いながら有頂天道人を目指す
「本日の天気予報は命に係わる雷雨だぜ。死にたい奴だけかかってきな!」
機械化した肉体と超常の拳法
こいつは強敵だな
ま、存分にやらせてもらうさ
「何か裏でこそこそ楽しいことやってるみたいじゃねえか。俺も混ぜてくれよ」
サイバー渾沌拳を「心眼」「見切り」で回避
受けた攻撃はUCで回復
「リミッター解除」した「斬撃波」と「天候操作」の「電撃」の合わせ技で攻撃
嵐の中にいるストームブリンガーに勝てると思うなよ?
●
元々混沌としている世界だとは思っていた。
それにしても、だ。
(「まったく、いろんな奴らがいるもんだ」)
暗都・魎夜(f35256)は幇大人達を前に改めて感じる。
虎、豹、狐に貂、猿、牛。
顔ぶれは十人十色。共通点は機械化義体のみ。
いや、もうひとつ。
『此処は通さねえぞ、猟兵。テメェら、わかってんな!?』
『『『応ッ』』』
有頂天道人への忠誠もまた然り。
もっとも、其れらを目の当たりにしても魎夜はまるで臆さない。
むしろ血が湧き立つ感覚に、思わずにっと笑みを浮かべた。
此処でなら、もしかしたら。
(「世界の謎って奴に迫る機会もありそうだ」)
彼の在り様を、挑発とでも捉えたか。
『舐めやがって……行くぞ、掛かれ!』
幇大人が一斉に襲い来る――其の行動が愚策と気付かずに。
「ところで、本日の天気予報だ。命に係わる雷雨だぜ。死にたい奴だけ……いや、もう遅いか!」
天候操作、完了。
――銀色の雨が降り、万色の稲妻が唸り声を上げた。
稲妻に撃たれ、黒焦げになった幇大人らを背景に。
『雷を操るとはな。ふむ、貴様も仙か?』
「さあ、どうだかな?」
有頂天道人と魎夜が一対一で向かい合っていた。
(「ま、存分にやらせてもらうさ」)
邪魔が入ることはない。真っ向勝負だ。
「何か裏でこそこそ楽しいことやってるみたいじゃねえか。俺も混ぜてくれよ」
『生憎だな。俺のものは俺のものだ』
敵が身構えて、刹那。
『猟兵になど、何一つ渡すものか!』
混沌化した道人の肉体は、白き殺戮する刃へと変化して。
『居ね!』
瞬時に肉薄し、魎夜を襲う。
「っ!」
掠める程度で済んだのは、魎夜の技量と幸運の賜物だろう。
反撃の態勢には、移れない。
続けて、道人から機械化義体の一撃が繰り出されたからだ。
生身での速度は、敵が上。
見切って、躱し。見切って、躱し。
幾度かの応酬を経て、ようやく魎夜に好機が訪れた。
有頂天道人が、ふと表情を変えたのだ。
『貴様……何故、傷付かぬ!?』
「おっと、バレちまったか!」
ヘヴンリィ・シルバー・ストーム。
降り注ぐ銀色の雨は、稲妻を呼ぶのみならず、魎夜に回復の加護も与えていた。
ゆえに、掠り傷すら残さずに彼は継戦できていたのだ。
疑問から敵の動きが止まったのはほんの一瞬。されど、充分すぎる時間だった。
「俺は仙とやらじゃない。が、この天候では無敵でな!」
リミッター解除。一撃に、全てを込めて。
「嵐の中にいるストームブリンガーに勝てると思うなよ?」
雷撃を乗せた斬撃波を、放つ。
機械化義体に伝わるように、其の一撃は真っ直ぐに飛んでいき。
『ガ、ァ――』
道人に直撃し、遂に膝を付かせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー!
超強敵な道人さんに加えて援軍のマフィアさん達でっすかー!
それはなんとも……都合がいいのでっす!
膨大な数、大歓迎なのでっす!
それだけ藍ちゃんくんのファンが増えるということでっすから!
藍ちゃんくんでっすよー!
倒す?
振り切る?
掻い潜る?
いいえ!
皆さんが藍ちゃんくんの|おっかけ《ファン》になるのでっす!
歌いながら幇大人さん達を連れてく様はハーメルンの笛吹きさんでっしょうかー?
おびき寄せた幇大人さん達の攻撃は道人さんに飛んでいったり、道人さんの波動弾から藍ちゃんくんの盾になって護ってくださったりと大混戦なのでっす!
道人さんからすれば誰が藍ちゃんくんのファンか分からず味方諸共となるでしょうしねー!
●
藍ドルは何処にでも現れる。
たとえそれが、アウトロー集う戦場であっても。
「あやー!」
紫・藍(f01052)が上げたのは、歓喜の声であった。
「超強敵な道人さんに加えて援軍のマフィアさん達でっすかー!」
声色はうきうき、瞳はきらきら。
これには幇大人達も大困惑である。
『え……コイツ、猟兵でいいんだよな?』
『油断すんな! 罠かもしれねえぞ!』
わいわいがやがや、てんやわんや。
そんな幇大人をよそに、いつもの調子でくるくる踊っていた藍はぴたりと止まってみせて。
「それはなんとも……都合がいいのでっす!」
完璧で究極のオリジナルスマイル。
――|星の瞳《アイクルスイート》が全てを引き寄せる。
『『『うおおおおお!!』』』
「はーい! ではでは皆々様、ご一緒にー!」
『『『 藍ちゃんくーん!!!』』』
なんということでしょう。
幇大人達が皆揃って、猟兵ひとりのファンになってしまうなどと、流石の有頂天道人も想定外だったのです。
『な……テメェら! クソッ、聴こえちゃいねえ!』
大勢の敵が立ち塞がる戦場では、さてどうすれば良いでしょう?
倒す? 振り切る? 掻い潜る?
いいえ。
敵全員を自身の|おっかけ《ファン》にしてしまえば良いのです。
「ではでは、次の曲! 行っきまっすよー!」
『『『いえええええええい!!』』』
さながら、ハーメルンの笛吹きの如く。
藍は幇大人を引き連れて、有頂天道人の元へまっしぐら。
『チッ、仕方ねえ。こうなったら幇大人どもごと……』
ただひとり、藍のファンサへの抵抗に成功し、渾沌波動弾の構えを取る道人。
されど、其の一撃を放つことは許されない。
「あやー! ライブ中の攻撃はご法度なのでっす!」
誰が許さない?
『藍ちゃんくんの!』
『歌を!!』
『聴けえええええ!!!』
他ならぬ|幇大人《ファン》達である!
藍を守るように、一部の者が壁となり。
その後ろから別の者達が、機械化義体で有頂天道人を狙って弾幕を張る。
『グゥ、貴様、ら……』
個々の戦闘能力は低くとも、統率が取れた攻撃は脅威以外の何物でもなく。
『俺が……裏切られる側、とは……』
既に数多の傷を負っていた有頂天道人に、波状攻撃を耐えきれるはずもなく。
弾幕が消えた後に残されたのは。
「ではでは、アンコールなのでっす!」
『『『藍ちゃんくーん!!!』』』
藍の歌声と新たなファン達の歓声のみであった。
* * *
カルロス王を裏切らんと目論んでいた有頂天道人は、自らが裏切られる形で散った。
しかし、謎は未だ残されている。
師父とは?
そして、はじまりの猟兵とは?
次回、獣人世界大戦――。
大成功
🔵🔵🔵