獣人世界大戦⑮〜Accept for Decept
清廉潔白と知られた指導者は、己の利権の為に多くの人々を食い物としていた。
慈善事業に取り組む名士は、其を隠れ蓑に多くの子供達を売買していた。
清楚可憐な銀幕のスタアは、悪意ある噂で多くの競争相手を蹴落としていた。
いずれ劣らぬ罪深き者達、なれどその罪は裁かれることも、知られることすらもなく。愚かな大衆の支持のもと、栄耀栄華の極みに至る。
正しき者達は無価値なものかの如く虐げられ、悪しき者達ばかりが賞賛され持て囃される。これを欺瞞と言わずして何と言おうか。
大正の世に至り七百年。かの世界は最早、根底に至るまでが腐りきっている。
目を閉じれば響いてくる、虐げられし者達の慟哭、憤懣、悲嘆。
何故己らがこんな目に遭わねばならぬのか。
何故己らを貶めた者達ばかりが持て囃されるのか。
こんな理不尽が許される世界を、我らは決して赦さない――。
「嗚呼、その通りだとも」
なればこそ我らは戦うのだ。
この欺瞞に満ちた世界を破壊し、誰もが真に安らげる世界を創る為。
我ら『
黯党』は戦うのだ――。
●
「――彼の語る言葉は、あながちその全てが嘘とは言い切れません」
予知を語り終えたグリモア猟兵、蓮見・津奈子(真世エムブリヲ・f29141)の表情は、硬かった。
「ワルシャワ条約機構領、スタノヴォイ山脈。この地に陣を張る幻朧帝国軍を率いるのが、彼――『
黯党』の首魁『本田・英和』です」
其はサクラミラージュにおいて帝都転覆を企みテロルを繰り返してきた組織であると共に、獣人戦線においては幻朧帝直属の軍令暗殺部隊でもある組織。その首魁たる男の存在が、この山脈地帯に捉えられたのだと津奈子は言う。
「今回、皆さんにお願いするのは、本田・英和の撃破となりますが――」
一度言葉を切り、一呼吸。改めて津奈子が語り出すところによれば。
「彼の周囲からは、無数の影朧が立ち昇って彼の姿を隠すと共に、各々が生前襲われた悲劇を語りだします」
其はいずれもが、予知に語られたような内容。己は何の罪も無いにも関わらず大切なものを、或いは全てを奪われ、且つ加害者は何ら罪を問われることもなく広く人々の賞賛を受けて幸福裏に生涯を全うした――といった、極めて理不尽な代物ばかり。影朧の数と併せれば、斯様な悲劇が如何にサクラミラージュにおいてありふれていたか分かろう程のもの。
集い溢れる怨嗟と悲嘆の量は凄まじく、集積の末に一つの呪いと化し、相対する者を悲劇の幻影の中へ取り込んでしまう。其は猟兵達とて例外ではない。
「幻影は、かの世界の理不尽なる悲劇の数々――最早覆すことも叶わない悲劇を幾つも見せ、其を以て世界への絶望と憎悪を駆り立ててきます」
そしてこの幻影は、同時に本田に対する絶対的な護りを齎す。これに囚われている限り、本田には一切の攻撃が通ることが無い。
「幻影を振り切る方法は只一つ。かの世界がそうした悲劇と、其を肯定する欺瞞に満ちた世界であることを認めた上で、それでも世界を守ろうとする意志を示すことです」
幻影に囚われた猟兵達に、本田はこう問うてくる。『何故、欺瞞に満ちた世界を守る?』と。これに対する明確な答えを示せない限り、彼とはそもそも勝負が成立しない。
そして単純な戦闘においても、本田は強力なオブリビオンだ。不世出の悪魔召喚士として、
悪魔を駆使した多様な戦法を駆使してくることだろう。
「――確かに、一見華やかなサクラミラージュも、その陰に深く暗い闇のあることは事実ですが」
語る津奈子の声音は昏く、何より実感が滲む。己もまた、かの世界の理不尽の一端を知る身ゆえに。
「それでも、滅ぼされることなど、見過ごすわけにはいきませんから」
だから、皆さん。どうか、お願いします――と。
祈るような願いと共に、津奈子はグリモアを展開する。
以て開くは、深き絶望と憎悪の坩堝へ向かう道。理不尽なる悲劇に満ち満ちた、昏き幻影の只中――。
五条新一郎
それでも守りたい世界があるんだ。
五条です。
獣人世界大戦、第二戦線の戦い。
次なる敵は、世界の欺瞞を正さんとする悪魔召喚士。
悪徳に満ちた世界を、それでも守る理由。其を、彼へ示してくださいませ。
●目的
『黯党首魁・本田英和』の撃破。
●戦場
獣人戦線、スタノヴォイ山脈の一角。
戦場となる一帯は概ね平坦です。
●プレイングについて
OP公開と同時にプレイングを受け付けます。
「悲劇の幻がもたらす「世界への憎しみ」に打ち勝つ」ことでプレイングボーナスがつきます。
数多の理不尽かつ覆し得ない悲劇を前に何を思い、そして、そんな悲劇に満ちた世界を何故守ろうとするのか。
皆様なりの答えを示してくださいませ。
それでは、皆様の闇に光を灯すプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『黯党首魁・本田英和』
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POW : 汝の業は無力なり
対象のユーベルコードに対し【それらを喰らい破裂する使い捨ての悪魔 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : 『何故、欺瞞に満ちた世界を守る?』
対象への質問と共に、【邪悪なる混沌の光 】から【盟約の妖獣】を召喚する。満足な答えを得るまで、盟約の妖獣は対象を【呪術、爪牙】で攻撃する。
WIZ : 世を憎む者共よ
いま戦っている対象に有効な【悪魔化した影朧 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
まず『幻術』ですが、『FLS』で『FQS』『FXS』を召喚展開、此方の『意思』を複数面で補佐しまして。
『人の世=世界』では無く、人も獣も天地の虫。
『世界』と比すれば小さき『人』の有り様等些事に過ぎず、女神様より賜った『守護の役割』の対象は『世界』ですので。
故郷の様に『人が滅び先へ進んだ世界』もある以上、『人の事情』に『世界』を巻込むのは拒絶させて頂きますぅ。
交戦と共に残る
全『祭器』展開、【紘器】を発動しましょう。
【悪魔】で可能なのは『相殺』、『爆破』に備え『FLS』の障壁を重ね、『相殺』が間に合わない程の『物量』による包囲攻撃で叩きますねぇ。
転移を果たせば、其処は既に尋常の風景になく。闇の中、幾つもの理不尽なる悲劇の光景が浮かんでは消えてゆく、世界の悪意の坩堝というべき様相。
なれど、其処に降り立てし夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の心は揺らがぬ。祭器の力でその精神を支えているのもあるが、何よりも。
「――人の世、即ち世界。その考え方が、まず間違っているのです」
人も獣も天地の虫。世界と比すれば小さき人の有り様など些事に過ぎぬ。豊饒の女神の使徒たるるこるはそう考える。何故なら己が女神より賜った役割は『世界の守護』。人類の守護ではないのだ。
「例え人類が滅びようと、世界は変わらず在り続け。先へ進み続けるのです」
己の故郷たるキマイラフューチャーがそうであるように。人類の命運は世界の命運と必ずしも同期しない。故に。
「『人の事情』に『世界』を巻き込むことは、拒絶させて頂きますぅ」
決然と告げる。それが、るこるの問いに対する答えであった。
其を受けて薄れゆく幻影。その合間から、怨嗟や憎悪に満ち満ちた悲鳴が聞こえた気がした。
そして風景は山岳の荒野へ。対峙するは軍服姿の青年。あれが『本田・英和』、
黯党の首魁だ。
「――彼らの悲嘆や絶望など所詮塵芥。それが貴殿の答えか」
その本田の表情は、苦々しげに歪んでいた。伝わって来る感情は只々、怒り。るこるの答えを、人々の悲劇を世界の前では些事と切り捨てたと解釈したらしい。
「そう思われるのならば、そう思って頂いて結構ですぅ」
なれどるこるには議論の意志は無し。只々、世界の敵として討つのみ。周囲へと幾つもの祭器群を展開、本田へと狙いを定める。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に――」
更に奉ずる女神へ祈りを捧げれば、発現せし
女神の奇跡が、祭器の数は更に増やす。その数、実に本来の765倍。最早天をも埋め尽くさんばかりの祭器群が、本田を睥睨する。
「民の嘆き悲しみを見過ごすを良しとする女神など!」
なれど本田も退かぬ。其をユーベルコードの産物と見れば、周囲に術式を展開。其処から飛び出るは、無数の小型の
悪魔の群れ。増殖せし祭器を破壊相殺せんと、一斉に飛翔せしめる。
「世界をないがしろにする方が、人類を救えるなどと――」
其を待つ義理など無し。るこるが殲滅の意志を示すが早いか、祭器群が一斉に砲撃を開始。熱線、炸裂弾、爆撃、重力弾、光線――数多の砲撃の嵐が、革命の烈士を呑み込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵

カタリナ・エスペランサ
世界への絶望と憎悪。理不尽を決して赦さないという怒り
ええ、その通りね
だからこそ、無辜の命を新たな犠牲にしようとする貴方たちという理不尽を赦さない
謀や社会構造の責までも押し付け憎む事、罪無き者の悲劇を容認する事
いずれも愚の骨頂と知りなさい
【失楽の呪姫】の《封印を解く》事で剣持つ六翼の姿にオーバーロード
希望を以て絶望を殺す。それが私の復讐、私の誓い
憎むべきは世界に非ず
見縊らない事ね。悲劇をこそ憎む怒りは全て、疾うに力に変えている
絶望如き、堕ちた悪党如き。《
負けん気》に懸けて後れを取りはしないわ
《義侠心・闘争心》制御して《落ち着き》維持
《戦闘知識・第六感》併用した《見切り》は欠かさず必要に応じ《破魔》も用いて回避および《受け流し》
悼むべき悲劇である事は認めましょう
《焼却+ハッキング+属性攻撃》、一切を終焉の概念に塗り潰す劫火は貴方たちの怨嗟と苦痛も終わらせる
携えた大剣に宿すは《神罰+貫通攻撃+属性攻撃》の黒き雷霆
英和へ斬撃と共に叩き込み、体内から《爆破》して消し飛ばすわ
儀水・芽亜
ここが『悲劇の幻影』の世界。
悲嘆の声が耳を聾さんばかりですね。――不協和音でしかありませんが。
強き者が弱き者を虐げ、虐げられた者は怨嗟を更に弱き者へ向ける。確かにそれも『この世の本当のこと』ではあるのでしょう。
ですが、世界には同じくらい、温かな光に満ちた楽土があるのです。それを糾すのは、人自身の心であって、あなた方の『運動』ではない!
『悲劇の幻影』を振り払って現世へ戻ります。
つまらない三文芝居でした。あなたが理想の世を作ろうと、それもやがて腐敗に塗れます。必要なのは腐敗に対応出来る社会作り。
「全力魔法」睡眠の「属性攻撃」でサイコフィールド展開。妖獣も本田も裁断鋏の錆にしてくれましょう。
栄達の未来を裏切りに奪われた男がいた。その男に未来を惨たらしく散らされた娘がいた。
空間を満たすは絶望の叫び、悲嘆の呻き。此処が悲劇の幻影の世界か。
「――感じるわ。世界への絶望と憎悪」
響く怨嗟の訴えを、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は感じ取る。こんな理不尽が赦されてなるものか、決して赦しなどしない――そんな怒りを。
「ええ、ええ。その通りね」
その怒りを、カタリナは容認する。斯様な悲劇に晒されたならば、憎悪も怒りも必然である、と。
「――確かに、それもまた『この世の本当のこと』ではあるのでしょう」
共に幻影の世界へ突入を果たした儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『
夢可有郷』・f35644)もまた、世界のそんな構造を否定しない。だが、その上で。
「だからこそ。アタシは、貴方達という理不尽を赦さない」
カタリナは断ずる。如何にその怒りが正しいとて、無辜の命を新たな犠牲にせんとする所業を、決して容認はせぬと。
「謀や社会構造の責までも押し付け憎む事、罪無き者の悲劇を容認する事。いずれも、愚の骨頂と知りなさい!」
以て、幻影の向こうに在るのだろう術者へ吼える。己は、決してその者を赦しはせぬという意思と共に。
「世界には同じくらい、温かな光に満ちた楽土があるのです」
欺瞞と共に、そんな温かみもまた、この世界には存在するのだと。確信を以て芽亜は告げる。
「それを糾すのは、人自身の心であって、あなた方の『運動』ではない!
理不尽撒き散らすテロルで世は変えられぬ。芽亜もまた、意志を確かに声を張る。幻齎せし術者の理想を、拒まんとばかりに。
二人の意志が、広がる幻へと罅を走らせ――やがて砕け落ちたその向こう。軍服姿の青年の姿を其処へ見出す。
「――それら全ての悲劇は、閉塞し腐敗した大正の世に起因するもの」
カタリナと芽亜の視線を受けて尚、青年――本田・英和は泰然と構え。二人へと交互に鋭い視線を向けて告げる。
「力なき人々の叫びは理不尽に握り潰されるばかり。なれば、力ある者が立たねばならぬ。そう、我ら
黯党が!」
堂々と宣言すると共に、背後に後光めいて溢れ出す光。悪しき輝き帯びた混沌の光から、二匹の狐が現れ出る。四尾を持つその狐は、禍々しき呪炎を纏って其々が芽亜とカタリナへ迫る。
「絶望如き、堕ちた悪党如き――」
其を真っ直ぐに見据えるカタリナ、その身に変異が生ずる。背に負う翼は三対六枚へと増え、頭上と足元に金と蒼の光環。
魂の力による真の力の発露である。
更に、その身は黒き雷電と猛然たる劫火とに纏われる。重ね発動せしユーベルコードの力。伴っての呪縛は、
魂の力が弾き砕いた。
「後れなど取らぬと知りなさい!」
「!」
以て、その手に生じたる大剣を振り抜けば、鋭き刃が迫る妖獣を斬りつける。深く裂かれて悶える狐をよそに、カタリナは地を蹴り召喚士の男へと迫る。
「あなた方が理想の世を作ろうと、それもやがて腐敗に塗れます」
身の丈ほどもある大きな裁断鋏を構え、芽亜は言い放つ。有史以来、国家というものは始まりこそ理想の形を有せども、時を経れば相応の腐敗が蔓延るもの。
「国家とは、社会とは。腐敗を前提に築かれるべきものです」
迫る狐を前に、芽亜は片手を掲げる。その手に広がった鴇色の光が、戦場一帯へと拡散し、空にも同じ鴇色を纏わせる。其は、芽亜に宿りしナイトメア適合者としての力。夢と現とを繋ぎ、悪夢の力を現実に齎すもの。
以て生ずる結果は、狐妖獣の大幅な減速。如何にも眠気に負けようとしているかのようによろめく其へと、芽亜は祭壇鋏を繰り出す。その一撃が、迫る狐妖獣を力強く斬り裂き、深い傷を齎す。
「これは――」
疾走するカタリナは感じる。己の身に纏わる鴇色の光が、肉体の護りと癒しを齎さんとしていることに。
数瞬、視線を背後へ。芽亜が頷き、促す。かの悪魔召喚士を打倒せよ、と。
頷き、芽亜が前を見ると同時。身構えた本田が腕を振るい、蒼黒の炎を繰り出してくる。
「欺瞞を認め、悲劇を嗤う奴輩! 貴様らなどに私は負けん……!」
表情には憤怒と共に確かな意志を感じる。この男の世を変えんとする意志は本物。なれど。
「見縊らないことね」
カタリナは冷たく、或いは力強く言い放つ。迫る蒼炎を前に、其の薄い一帯を見切り、その身焼かれるを厭わず前進。携えた大剣を力強く掲げる。
「悼むべき悲劇である事は認めましょう――」
迸る劫火が、尚もカタリナへ縋らんとする影朧の思念を焼き払う。その怨嗟と苦痛とを、諸共に終わらせんとばかり。
「けれど、憎むべきは世界に非ず」
掲げた大剣、その刃に黒雷が纏われる。其を前とした本田、飛び退き距離を取らんとしたようだが、此処までの肉薄を許したカタリナを振り切るには不足。
「其を利用する、貴方達よ!!」
悲劇を齎し其処に喜悦を見出す者達と、虐げられし者達の声を聞こうとさえせぬ神。彼らへの怒りもまた、とうの昔に力へと換えた。それ故に、己は此処に在る。
今、眼前の男と彼の率いるテロル集団への怒りを上乗せし、カタリナは刃を振り下ろす。
「が……ぁぁぁっ!?」
斬り裂かれた本田、伴ってその身に注がれた力が、急速に膨張拡大し。猛烈な爆発を巻き起こして、本田の身を呑み込み吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シズホ・トヒソズマ
※アドリブ歓迎
ソロ希望
周りからも見えない程の呪詛!
なんという悲劇の数々
それが全て私が体感してるように!
なんて
なんて
なんてキモチいい!
堪りません嗚呼滾ります
そして救いたい
被害者は私が束縛してキモチよくさせてあげたい
加害者も私が束縛してキモチよくさせてあげたい
もう悲劇の元になる欲望など抱かないよう全員快楽だけ欲させて与えてあげたい!
それこそ私の原初の欲望
だからこそ私は世界を守る
だって全員私が救ってあげたいのですから!
そしてそれはこの嘆きたちも同じです
UCを発動し呪詛の魔王セレブラム・オルクスの力を使用
左腕を呪詛の塊に変え
周りの呪詛を腕に吸い込みます
どんな不変の過去も可変の未来の為の力となる
さあ共に行きましょう
貴方たちの嘆きと悲しみ
私がずっと抱えてそしていつか全て悦びへ変えてあげましょう
ではまずはこの地の嘆きを防ぐ為!
大きな呪詛塊と貸した腕で本田を思い切り殴り飛ばします
さてこの呪詛は一旦イズンに移して持ち帰りますか
人形に閉じ込めて疑似人格を持たせキモチよくさせてあげましょうかね
フフ、フフフフ♪
幻影の空間を満たすは、数多の怨嗟、数多の悲嘆、数多の絶望。そしてそれらが齎す、溢れんばかりの呪詛。
「ああ……なんて、なんて……」
己の内へ入り込まんとするそれらを拒もうとすることなく受け入れ、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は身を震わせる。凄まじいまでの悲劇の数々、その全てを追体験するかのような感覚に、悲しみか怒りを覚えているのかと思えば、そうではない。
「……なんてキモチいい!!」
恍惚と叫ぶ。何しろこの猟兵、極まったドMである。流れ込む悲嘆も呪詛も、彼女にとっては堪らなく滾る代物でしかない。とはいえ。
「嗚呼、これは全てをお救いして差し上げなければ!」
彼らを救わんとする意志もまた、シズホは持ち合わせているのだ。例え、その手段が――
「被害者は私が束縛してキモチよくさせてあげたい! 加害者も私が束縛してキモチよくさせてあげたい!」
悲劇の元になる欲望など抱かないよう、全員快楽だけ欲させて与えてあげたい、という己の性癖――否、原初の欲望に基づくものであっても。
「私は、全てを救ってあげたい! だからこそ!」
世界を守る、その意志こそは紛いなく確かなものであるのだから。
「さあ、貴方達も――」
そして、渦巻く怨嗟の主達へと語りかけると共に、ユーベルコードを起動。悍ましき肉塊の如き姿は、アルダワの大魔王が第三形態『セレブラム・オルクス』のもの。呪詛を扱うとあらば、これ以上ない人選と言える。
大魔王の幻影が黒き靄となってシズホの左腕へと纏われば、ドス黒く染まった其処は呪詛の塊と化し。其処に、周囲からも黒き靄が吸い込まれるように集っていき。シズホの左腕は、本来より二回り以上太く大きく肥大化した異形の代物と化す。
「どんな不変の過去も、可変の未来の為の力となるのです」
己が過去に対峙せしオブリビオンの力を振るうように。幻影の空間の呪詛もまた、そんな己の力となるように。
「さあ――共に行きましょう!」
その嘆きも悲しみも、いつしか全て悦びへ換える為。影朧達へ告げるが早いか、シズホは走りだし――幻影の空間を突っ切ってゆく。
「下劣な欲望で民の嘆きを弄ぶか! 度し難いな貴殿は!」
幻影空間の只中に在る本田・英和は、そんなシズホの有様を指弾すると共に手を振るう。その動きに応えるが如く、矢の如く走りだすのは四尾の狐型妖獣。ユーベルコードにて呼び寄せられし呪詛纏う獣だ。
「何の!」
だが、その力が呪詛とあらば今のシズホには恐れるに足りぬ。噛みつかんとする動きに対し、掲げた左腕で牙を防げば。其処へ噛みつかせたまま、更に走り出した!
「な
……!?」
「まずは、この地の嘆きを防ぐ為――」
本田に驚愕する暇こそあれど。肉薄するシズホを止める術は無く。振りかぶった左腕を前に、蒼黒き炎を浴びせかけての食い止めを狙うが。
「あなたには! 退場して頂きましょう!」
だがそれもまたシズホを止める力とはなり得ず。炎を突破した異形の左腕によって殴り飛ばされ、吹き飛んでいった。
「――さて」
其を見届けたシズホは、その右手に一体の竜人型人形を取り出す。異形の左腕を形作っていた呪詛が、靄となって其処へ吸い込まれてゆく。
(
人形に閉じ込めて、疑似人格を持たせて。たっぷりと、キモチよくさせてあげましょうかね……♪)
などといった考えを巡らせながら、ほくそ笑むシズホ。何処までも、己の欲望に正直な猟兵である。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんもダクセ生まれですのでー。
共感できるところもあるのでっすがー。
ここ、獣人戦線なのでっすよー?
矛先、間違ってませんかー?
サクラミラージュへの絶望からサクラミラージュを壊しにかかるのは道理なのでっすが!
獣人戦線を巻き込み壊すのはそれこそ理不尽なのです!
大義名分を掲げながらもやってることは八つ当たり。
それを欺瞞と言わずに何と言うのでっしょうかー?
藍ちゃんくんは憎しみさえも大事にしたいのでっす。
我を忘れた怒りが皆様の憎む欺瞞に成り果てる。
それを悲しく思ったからこそ止めにきたのでっす!
ご満足はいただけないやもでっすがー。
これだけお話している時点で即興詩は呪術よりも爪牙よりも速いのでっす!
オリヴィア・ローゼンタール
非業、理不尽、屈辱…………幻影を真っ向から受け止め、しかし揺るがぬ
逆だ、黯党
なぜ世界を護ってはならぬ
確かに、理不尽が罷り通り、失意の果てに没した者もいる
だが、それがすべてではない
欺瞞に満ちた世界? そうかもしれないな、「貴様の周り」は
憎しみに曇った
眼は、視野狭窄に過ぎる
そも、世界の全てを識るなど、全能の主をおいて他になし
貴様も所詮は衆生に過ぎん!
貴様たちの事件に巻き込まれた者に、日々の糧に感謝し、子の成長を言祝ぐ、そんな悪徳と無縁の善良な者が、ただの1人もいなかったと断言できるのか!
なぜ世界を護るのかと問うたな、黯党
私が! そうするのだと! 決めたからだ!
【聖槍覚醒】! 闇を穿つ!
幻影の空間を満たす、非業の死、理不尽なる運命、屈辱の顛末。いずれもが、其を齎した者達の罪すら知られることなく、被害者達は只々嘆きながら闇に消えるより他になかった事例。
それら数多の悲劇を再現せし幻影を、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は目を逸らすことなく真っ向より見据える。その向こう側に在るだろう、
黯党の党首をも射抜かんばかりに。
「――逆だ、黯党。何故、世界を守ってはならぬ」
かの党首からの問い。繰り返される悲劇を前にしても揺るがぬオリヴィアの応える声音は、鋭く、力強い。
「確かに、理不尽が罷り通り、失意の果てに没した者もいる」
オリヴィアとて、そうした事例は幾つも知っている。だが、同時に理解もする。
「欺瞞に満ちた世界。そうかもしれないな――『貴様の周り』は」
そう強調するは、其が全てではないと断ずる意志。彼の知るものが世界の全てではないという指弾。
「そもそもでっすねー。矛先、間違ってませんかー?」
続いて口を開くは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。かの党首の心得違いを指摘せんとばかりに声を上げる。
「その絶望や憎悪には、共感できるところもあるのでっすがー……」
藍とオリヴィアは、共にダークセイヴァーの出身である。加害者が概ねオブリビオンであるという違いはあれど、理不尽に対する絶望はよく理解できるものではある。だが、それ故にこそ。
「サクラミラージュへの絶望に、獣人戦線を巻き込み壊すのはそれこそ理不尽なのでっす!」
全く無関係の世界を巻き込むことに大儀など無い。藍が指摘するのはその一点。無論、此処がサクラミラージュであったとて、彼の行いを見過ごす理由などは無いが。
「大義名分を掲げながらもやってることは八つ当たり。それを欺瞞と言わずして何というのでっしょうかー?」
「憎しみに曇った
眼は、視野狭窄に過ぎる」
藍の語るを引き継ぐように、オリヴィアが断ずる。目的の為に真実を歪め、手段を選ばぬかの者達の企みを。
「そも、世界の全てを識る者など、全能の主をおいて他に無し――貴様も所詮は衆生に過ぎん!」
以て糾弾するは、その企みが齎す更なる理不尽、そして悲劇。かの者達が仕組んだテロルが、果たして何を引き起こしたか。
「貴様たちの事件に巻き込まれた者に、日々の糧に感謝し、子の成長を言祝ぐ、そんな悪徳と無縁の善良な者が、ただの一人もいなかったと断言できるのか!」
その糾弾を受けてか。幻影の中に、軍装の青年の姿が現れる。黯党党首、本田・英和。
「断言できるとも。我らの掲げる大義に共感せぬ時点で、その者達は欺瞞に浴せし悪だ」
オリヴィアの問いに答える物言いは、正しくテロリストの思考。己らの大義に与せぬ者の命を無価値と断ずる狂信とも言える代物。
なれど、その瞳に燃えるは憎悪。理不尽なる世界を憎み、変革せんとする怒りに根差したもの。故にこそ。
「――藍ちゃんくんは。そんな憎しみさえも大事にしたいのでっす」
その憎悪は肯定する。藍はそんな答えを示す。なれども。
「我を忘れた怒りが、皆様の憎む欺瞞に成り果てる。それを悲しく思ったからこそ、止めに来たのでっす!」
欺瞞を糾さんとする意志は正しくも、その手段を間違っているが故にそれこそが欺瞞となる。其を捨て置くわけにはいかぬと。
「我らの在り方に欺瞞など無し! 我らは紛いなく、正しき世界をこそ望む!」
そんな藍の言葉にも納得を示せぬとばかり、本田はステッキを突き出す。応えるように周囲へ術式が展開され――
「―――♪」
「がっ!?」
突然の衝撃。思わずステッキを取り落とす本田。今聞こえた歌は、一体。
「藍ちゃんくんの
即興詩は、その術式よりも速いのでっす!」
無論、藍である。此処までの会話によって、その即興詩を形作るユーベルコードの速度は大きく加速していた。本田の
召喚術式へと割り込み、その妨害を為す程に。
「――何故、世界を護るのか、と問うたな、黯党」
再度の召喚術式起動を試みる本田、だが更なる声が其処へ被さる。オリヴィアだ。
「月並みだが、答えてやろう――」
構えたるは破邪の聖槍。展開されたる術式は、その封印の解除術式。あまりの威力ゆえに使い手自身をも滅ぼしかねぬ封印を解き、己が身を顧みぬ必殺の一撃を実現する。
「私が!」
本田のもとへと踏み込み、大きく腕を引く。驚愕する本田、飛び退き逃れんとするが、もう遅い。
「そうするのだと!」
高まった力を、穂先へと集束し。狙う先は、無論のこと。
「決めたからだ!!」
渾身の力を持って繰り出した聖槍が、闇を斬り裂かんばかりの光を伴って、本田の身へと叩き込まれ。衝撃と共に、その身を穿ち、引き裂いてゆく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィーナ・シェフィールド
サクラミラージュに生きるものとして、他の世界に御迷惑をおかけしているのが心苦しく。
ここで喰い止めるのが、国民的スタアのお仕事ですよね。
スタアとして世界を巡るうち、裏にある闇や妬み、憎しみ、理不尽な出来事があることは見てきています。
でも同じくらい…それ以上に日々のささやかな出来事に幸せを感じる人々がいることを知っています。
だからわたしは戦います。平穏に暮らす人々の幸せを守るために!
UCを発動し、本田英和と召喚された影朧に向け、リーラ・リヒトを彼岸桜の花びらに変えて放ちます。
「これ以上誰も傷つけさせません!」
花びらが触れたところから、直接その存在に向けて破魔の歌声を響かせ、魂を浄化していきます。
オクト・パスフォルド
因果なものだな
彼の怒りを正しき物と感じる
私もそうした理不尽に対する怒りを飲み込めず、体制側から無頼の身に成り下がった身だ
「残念だな。オブリビオン等に成り果てる前の君と、言葉をかわしたかった」
目の前に浮かび上がる悲劇の数々
確かにこれを見たら世界を守るなど馬鹿らしかろう
だが、違うのだ
「天を見据え、広く世界を見渡すのは良い。だが、足元に咲く小さな花に気付かないのは悲しい事だな」
彼には大義もある、理想もある、身を削る献身もある
だが、ほんの少しの優しさが欠けている
「守るべき理由は、何時だってこの手の中にある小さな物だ」
遠き日に行き過ぎた思い出の残滓が過る
「君の手の中には何がある?」
後は、拳で問いかけよう
黯党党首、本田・英和。サクラミラージュの帝都転覆を企てるテロル組織の党首は、今、己が目的の為に獣人戦線へ戦火を広げている。
「サクラミラージュに生きるものとして、彼らの策動はここで食い止めなければ……」
そんな彼らの行動に、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は申し訳なさを感じていた。元々此方の世界の組織とはいえ、己の生きるサクラミラージュのテロル組織が別の世界の人々にも禍を齎す状況を、心苦しいと感じている様子。
「君の責ではない。しかし、彼らを止めねばならぬというのは同感だ」
傍らよりかけられるは、深みのある壮年男性の声。かつてUDCアースの小説家が思い描いたという火星人を思わせる姿をしたその声の主の名はオクト・パスフォルド(銀河提督・f43245)、マルス星人の宇宙海賊である。
そんなオクトの言に頷き、フィーナは前を向く。広がるは、影朧達が生み出せし幻影の空間。数多の悲劇を映し、世界への憎しみを喚起する闇。
「だが――」
オクトもまた、前方へと視線を向ける。浮かび上がるは正しき者が全てを失い、大切なものを失ってゆく数々の悲劇。
「――因果なものだな」
其を前として、オクトは暫し瞑目する。彼自身、かつてこうした理不尽に対する怒りを呑み込めなかったが故に、体制の側から無頼の身へと成り下がった身の上である。そんな彼には、本田の怒りは至極正しいものであると思えた。
「このようなものを見れば、世界を守るなど馬鹿馬鹿しい――そう考えるのも、無理は無い」
「ええ――このような理不尽が世界に満ちていることは、紛れもなき事実」
オクトの見解を肯定するようにフィーナも語る。サクラミラージュ各地を巡る世界的スタアである彼女は、同時に、その華やかな世界の裏をも知っている。深い闇、妬み、憎しみ、理不尽なる出来事の数々は、話に聞くばかりではない、己が目で見届けたものも少なくない。
「――ですが」
「ああ、そうだ」
それでも、と。フィーナが口を開くのを、皆まで聞く前にオクトは肯定する。己も同じ見解であるとばかりに。
「それと同じくらい……いいえ、それ以上に。日々のささやかな出来事に幸せを感じる人々がいることも、知っています」
フィーナの語るその意志に、オクトは頷き、改めて闇を見据える。
「天を見据え、広く世界を見渡すのは良い。だが――」
再び瞑目。彼の脳裏を過ぎるは、遠き日に行き過ぎた思い出の残滓。或いは、かつての己が過ちを思い返していたのだろうか。なれども。オクトは目を開く。
「――足元に咲く小さな花に気付かないのは、悲しいことだな」
彼には大義もある、理想もある、身を削る献身もある――だが、ほんの少しの優しさが欠けている。本田・英和という男を、オクトはそう見ていた。
「世界を守るべき理由。それは何時だって、この手の中にある小さな物だ」
拳を握り、落ち着いた――なれど、確かな意志を感じさせる声音でオクトは告げる。先に投げかけられた問いへの答えを。
「わたしの戦いは、平穏に暮らす人々の幸せを守るために……!」
フィーナもまた、決然たる声音で闇へ告げる。其へ応えるかのように、闇の中から軍装の青年――本田・英和の姿が浮かび上がる。
「――貴殿らのその想いは、尊いものだ」
本田もまた、二人のそんな意志を肯定する。なれど、その上で。
「だが、人々を救い得るものではない」
故にこそ、彼らの想いをも否定する。その意志を示すが如く、本田の周囲へと幾つもの召喚術式が展開。青銅じみた肉体を持つ巨人型の
悪魔が、何体もその場に現れる。
「この場は、退いてもらうぞ――!」
本田が手を掲げると共に、悪魔群が二人を目掛けて進撃開始。其に応ずるはフィーナだ。
「いいえ! あなたに、これ以上誰も傷つけさせません……!」
抗するように声を上げながら、捧げるように掲げるは身に纏っていたストール。其は光を帯びて輝くと共に形を失い、無数の彼岸桜の花弁へと変化する。
「この想いを込めて、歌います――!」
そしてフィーナが歌い始めれば、花弁は渦巻くようにフィーナの周囲を飛び回りだし、やがて本田達を目掛けて浴びせかけられる。吹き荒ぶ花弁が悪魔達へと付着すると、その巨躯が見る間に挙動を鈍らせ、やがてはほぼ停止へと至る。フィーナの歌声に宿る破魔の力が、彼岸桜を介して悪魔達に注ぎ込まれたのだ。
「良い歌だ。まさに心が洗われるようだな」
見る間に無力化されてゆく悪魔達の間をすり抜けて、オクトが駆けてゆく。向かう先は無論、本田だ。
「残念だな。オブリビオン等に成り果てる前の君と、言葉を交わしたかった」
「同感だ。生きているうちに貴殿と会えれば、また違う未来が見られたかもしれない」
叶わぬ過去を惜しむ両者、なれど互い、その攻め手に躊躇いなどは無い。確実に対手を仕留める、確たる意志が其処には宿る。
召喚術の応用にて蒼黒の炎を放つ本田、其を掻い潜って拳を叩き込まんとするオクト。なれど、均衡は長くは続かない。
「させん!」
オクトが踏み込み勝負をかけてきたのを見た本田、召喚術式を彼の前へ展開。自爆能力を有する悪魔をぶつけてのカウンター。
「……っ!」
果たして悪魔は盛大に自爆、オクトをその爆風の中に呑み込む。その威力の程、並の存在なれば四肢が吹き飛んでもおかしくない程のものであったが。
「まだだ!」
だが、爆風を突っ切ってオクトが肉薄を果たす。その身は随所が引き裂け、漏れ出る血の量も少ないものではない。だが、彼は未だ動ける。戦える。
以て、本田の懐へと飛び込む。せめてもの抵抗をと飛び退こうとする本田だが、オクトの動く方が早い。
繰り出された拳が、本田の腹を強かに捉え。その身に凄まじいまでの衝撃を叩き込み、吹き飛ばしてみせた。
「――君の手の中には、何がある?」
同時に零されたその問いに、返って来た答えは、果たして。
大成功
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国栖ヶ谷・鈴鹿
◎SPD
【厭穢欣浄】
ユーベルコヲド、厭穢欣浄パラダヰムシフト。
領域内を幻朧桜の舞い散る鎮魂と癒し、ぼくの声が魂を響かせる伽藍へ。
事実、ここにいる影朧たちの悲劇はたしかなこと。
だからこそ、癒しが必要だ。
【喝破】
それを枯らすことは、救済の否定だ。欺瞞と言いながら、全ての破滅を望む、本田英和、この清濁併呑する世界を顧みない姿、それこそ欺瞞だと何故わからない。
一部を取り出してそれが全ての世界だなんて愚の骨頂!
紅路夢、きこやん、機動力と結界術であいつを追い詰める。
阿穹羅は遠隔からのレーザー砲撃!
あいつが釘付けになったところに浄化と聖なるかな、貫通力を高めたスナイピングの一撃で終焉にさせてもらうよ。
幻の闇の中、呻き声が聞こえる。本田・英和、この場に在る
黯党党首のものだ。此処までの猟兵達との交戦で、相当に消耗していることが感じ取れる声音。
なれば、この場に於いて終わりとする。幻影の空間へと降り立った国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ
乙女・f23254)、かの党首の孫娘は、そんな決意を胸とする。
(でも、まずはこの影朧達だ)
見渡せば、サクラミラージュに在って数多起こってきた理不尽なる悲劇の光景。響き渡るは、この空間を形作る影朧達の怨嗟、悲哀、絶望の嘆き。世界を恨み、呪うが如き声の数々。
その光景、その悲嘆。それら全ては確かな事実。其を否定する意志は鈴鹿にも無い。故にこそ、彼らにも癒しを。其が本田へと迫る手段である以上に、彼らへ救い齎さんとする意志のために。
「ここはぼくの領域、さぁ、君の魂をあるべき姿へ――」
ユーベルコヲドの励起に伴い、鈴鹿の背負いたる後光がより強き輝きを帯びて広がる。伴って辺りに舞い散るは幻朧桜の花弁。鈴鹿の声が力を帯び、魂を響かせる伽藍。それらを以て、影朧達に鎮魂と癒しを。
徐々に浄められ、消えてゆく影朧達。それらとは異なる気配を漂わす一角から、憎々しげな、恨めしげな声が聞こえる。
『忌々しき桜め……』
それは本田の声。垣間見た予兆によれば、彼の目的はどうやら幻朧桜を枯らすことらしいと鈴鹿は見ていた。だが、故にこそ。
「それを枯らすことは、救済の否定だ」
その意志を鈴鹿は否定する。かの桜花があればこそ、
影朧は救われ癒され、再び人として今を生きる道が示される。其を否定するは、救済を認めぬという意志に他ならぬ。
「欺瞞と言いながら、全ての破滅を望むのか、本田英和」
喝破するは、彼の在り方の否定。その在り方は一見正義と見えて、その実、独善とすら言えぬ――そう。
「この清濁併呑する世界を顧みない姿、それこそ欺瞞だと何故分からない」
『虐げられし民を捨て置き、強者と権力に阿るが貴様の正義か。それこそ欺瞞である』
そんな彼こそが欺瞞そのものである、鈴鹿はそう断ずる。なれども本田もまた退かず、正義は己にこそ有りと主張する。
「一部を取り出してそれが全ての世界だなんて――愚の骨頂!」
なれども鈴鹿はそんな主張をも一蹴する。浄化によって薄れゆく幻影がその喝破によって吹き飛び、傷ついた本田の姿を露とせしめる。
「全てでないならば切り捨てても構わぬというか! やはり欺瞞たるは貴様の方よ!」
反論と共に本田は召喚術式を行使、四尾の狐型妖獣を呼び寄せ、これを鈴鹿目掛けて嗾けてゆく。
「全部纏めて燃やしてしまおうなんて輩に言われたくはないな!」
対する鈴鹿、愛車たる赤銅のフロヲトバイに跨り疾走開始。伴いその身から飛び出した稲荷狐が、迫り来た妖獣へと結界を展開しその動きを抑え込む。
「ちぃっ!」
迫り来る鈴鹿を前に、本田は逃走を決意。その場を駆け出さんとして、目の前を過ぎった光条に足を止めるを余儀なくされる。
「良くやった、亜穹羅!」
其を為した自律キャバリアを労うと共に、鈴鹿は銃を構える。普段は二丁での運用が前提の
機関銃だが、今回は一丁、それも用途は連射ではなく。
「この一撃で――終焉にさせてもらうよ!」
撃ち放つは、狙撃用のライフル弾。浄化の力を帯びたその弾丸が、本田の胸を撃ち抜いて――止めと成した。
「が……はっ。おの、れ……。私は、此処まで……だと、いう、のか……」
崩れ落ち、地に伏す本田。死ぬことには悔いはない、だが、何も為せず死ぬなど認めたくはない。声音にはそんな無念と未練が滲み出る。
「だが……私が死すとも……黯党は……。世に、欺瞞の満ちる限り……不滅……也……」
なれども、末期に残したその言葉は。己の為してきたことに間違いは無い――その確信には尚、揺るぎの無い様子であった。
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以て、猟兵達は黯党党首『本田・英和』を撃破。幻朧帝国に対し、確かな打撃を加えることに成功した。
なれども、戦は未だ尚続く。超大国軍が齎す禍を祓うべく、猟兵達は次なる戦いへと向かってゆくのであった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2024年05月15日
宿敵
『黯党首魁・本田英和』
を撃破!
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