獣人世界大戦⑨〜EviL・ソング
●黯党
ウラジオストクは幻朧帝国より出兵してきた『黯党』が上陸し、占領した。
それは躍進と言ってもいいだろう。
全ては『黯党』が用いた奇妙奇天烈な術式があってこそである。
「よいですか。一つとて魔法陣を途切れさせてはなりません」
一人の女将校が作業を進めている『黯党』党員たちに指示を出す。
ここ、ウラジオストクを占領した目的は、前線基地を作り上げるためだけではない。
そう、彼女の示す魔法陣。
そして呪術仕掛け。
これらを用いて彼女たちは『異世界より『悪魔の王』と称される超強大な
悪魔を呼び寄せるための大規模儀式魔術』を行おうとしているのだ。
「これが完成すれば、この前線基地を突破できる者などいません。さあ、急ぎ儀式を遂行するのです。『黯党』の躍進のみならず幻朧帝国へと勝利をもたらすための戦いなのです、これは」
急ぐようにと彼女は言う。
彼女は焦っているようにも思えた。
なぜなら、このような土壇場において必ず横槍が入ることを知っていたからだ。
確かにこの『悪魔の王』を召喚する儀式が完遂できれば、『黯党』に勝利できる者はいないだろう。
故に、これだけの大掛かりな魔法陣や複雑な手順を踏む呪術仕掛けを行っているのだ。
「時間は僅かでも惜しい、けれど、仕損じてはなりません」
むちゃを言っている自覚はあるのだろう。
だが、急がねばならない。
もうすぐそこまで脅威が迫っているかもしれない。
そう急かされるように彼女は魔法陣と呪術仕掛けを行う党員たちに発破をかけるように言葉を投げかけるのだった――。
●獣人世界大戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。獣人戦線にて獣人世界大戦が勃発いたしました。第一戦線も直に押し上げられ、第二戦線へと移行することでしょう。そして、今回はウラジオストクにて幻朧帝国より出兵してきた『黯党』が異世界より『悪魔の王』と称される超強大な悪魔を呼び寄せるための大規模儀式魔術を行おうとしています」
これを止めねばならないのだとナイアルテは言う。
だが、一つ阻止しなければならないと言っても、敵の前線基地へと殴り込めばよい、というわけではない。
『黯党』とて愚かではない。
大規模儀式魔術を構成する数多の魔法陣や呪術仕掛けには防衛戦力を配置している。
一つの仕掛けが破壊されても、彼らは即座に直してしまうだろう。
そうなれば、儀式が完遂し、『悪魔の王』を召喚した『黯党』に勝利する目はなくなってしまう。
故に、これらの魔法陣や仕掛けを尽く破壊しなければならないのだ。
「とは言え、簡単なことではないでしょう」
ナイアルテも難しい顔をしている。
敵の戦力は十分。
真正面からぶつかっても、これを破壊することは難しい。
ならばこそ、作戦が必要だ。
「決死の囮作戦を行う必要があるかもしれません。つまり、敵の目を惹きつける、ということです。敵の前線基地に強襲をかけ目立ち、目を引き付けること。機動力で敵戦力を引き付ること。奇策を弄して敵戦力を誘き寄せること」
いくつかのプランが浮かぶだろう。
これらのいずれか、もしくは猟兵の閃きによって得た策を実行し、彼らが守護する魔法陣や仕掛けから引き離したうえで、これを破壊する必要があるのだ。
難しいことだ。
だが、やらなければ勝利は得られないだろう。
「ですが、私は皆さんならば、と思っています。どうかお願い致します」
世界の脅威。
『悪魔の王』が獣人世界大戦へと介入を果たせば、さらに世界に混乱が満ちることだろう。
それは絶対に阻止しなければならないのだ。
猟兵たちはナイアルテに見送られ、ウラジオストク、『黯党』の前線基地へと向かうのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。
獣人世界大戦勃発後、ウラジオストクを占領した幻朧帝国より出兵した『黯党』。
彼らは占領した大地に前線基地を敷設するだけではなく、『悪魔の王』と呼ばれる存在を召喚するための大規模儀式魔術を行おうとしています。
これを完遂させてしまえば、『黯党』に対しての勝利の目はなくなるでしょう。
それをさせぬために多数の魔法陣や儀式魔術を守るように配備された敵戦力を誘き寄せるための囮作戦を実行し、敵が配置から離れた隙に、これらを破壊しましょう。
敵戦力は少なくはないです。
いくつも前線基地に魔法陣や呪術仕掛けが存在しているため、敵戦力を叩くより如何にして誘き寄せるかを考えた方がいいでしょう。
※プレイングボーナス……街中に設置された儀式魔術の仕掛けを見つけ出し、破壊する。
それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『決死の囮作戦!』
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POW : 最前線で大暴れして目立つ!
SPD : 機動力で注意を惹き付ける!
WIZ : 奇策を弄して誘き寄せる!
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朱酉・逢真
心情)なるほど囮。いいじゃァないか、そういうのンなら俺は得意だよ。もともと大規模破壊のほうが楽な性分さ。病ってなァそういうモンだろう。
行動)おいで
青白き馬。おいで俺の
仔ら。<獣>ども、<鳥>ども、<虫>ども、<
植>どもよ。地を満たせ、パレードだ。俺の病毒を乗せて走り回り、狩られれば病んだ血肉を広げて辺り一帯腐らせろ。俺は俺で、馬に乗って街を走り回ろう。ウラジオストクの住民には悪いが、道も建物も病み腐れ溶かさせてもらおう。どこに仕掛けがあるかわからないなら、ぜんぶ腐食して溶かしてしまえばいい。そして、こんなコトして目立たないわけもない。囮としちゃ十分だ。
ウラジオストクの前線基地は『黯党』にとって必要な場所だった。
強大なる『悪魔の王』を召喚するための大規模儀式。
魔術を用いて召喚を為すために必要なのは、多くの魔法陣と呪術仕掛けであった。これを持ってようやく『悪魔の王』の召喚が相成る。
しかし、魔法陣の一つとて欠けてはならない。
例え、一つ欠けても、その魔法陣を組み直すのはできないことではないのだ。
つまり、時間さえあるのならば、どんなに妨害されても儀式魔術を完遂することができる。
「なるほどな。だから、囮か」
朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)はウラジオストクの前線基地を前にして笑む。
魔法陣は無防備ではない。
警備の者たちだっているだろう。だからこそ、己たちは姿を現し、警備の者たちを引き付け、そして魔法陣を破壊しなければならない。
それは難しいことであったし、危険な行為であった。
だが、むしろ、逢真にとってそれは好ましいものだったのだ。
「そういうンなら、俺は得意だよ」
彼は笑む。
このような状況にあってさえ、笑む。
そう、己は病。
オブリビオンのもたらす滅びを病む原因そのものである。
「病ってなァ、そういうモンだろう。おいで、青白き馬、蒼昏の権威(ペイルライダー)」
彼の瞳がユーベルコードに輝き、呼び寄せた蒼い馬にまたがる。
そして、それに追従するように己が眷属を呼び寄せる。
それは病の媒介者たちであった。
即ち、獣。
即ち、鳥。
即ち、虫。
即ち、植。
そう、人の歴史を紐解く上で病とは切っても切れぬ関係である。故に、人は病を遠ざけようとする。忌避する。だが、止めようがない。
なにせ、病は人の目には認識できない。
「おいで、俺の
仔ら。地を満たせ、パレードだ」
呼び寄せた媒介者たちと共に逢真はウラジオストクの大地を疾駆する。
蹄が一度大地に触れれば、その一体は病み、腐れ、溶け落ちる。
一気に病毒を撒き散らし走り回る逢真に魔法陣の警備にあたっていた幻朧帝国の『黯党』党員たちはざわめく。
「な、なんだあれは? け、獣の群れ!?」
「大地が腐っている。これはただ事ではないのではないか!?」
「し、至急、確認を……!」
彼らは動揺していた。
それもそうだろう。大地が腐れ、溶け落ちるなど尋常なことではない。何かただ事ではないことが起こっていると思ってもしようがない。
そして、迫るは逢真。
彼が駆る蒼い馬こそが病魔の根源。
病が迫るとなれば、人は逃げ出すだろう。
「これじゃァ、囮にならないじゃあないか。だが、まァ、いい。どこに仕掛けがあるかわからないから、全部腐食させてしまえばいいと思っていたところだ。そして」
逢真は見ただろう。
己が災厄の根源であると知れば、それを排除しようとするのが人間だ。
目立つ、ということはこういうことだ。
「此処の魔法陣は溶かし崩した。なら……後は」
「あ、ああ、あいつだ! あいつが、この状況を生み出した根源に違いあるまい!」
「ハッ――」
この混乱の中を駆け抜ける。
そうすれば、この前線基地はさらなる混乱に見舞われるだろう。
囮としては十分過ぎるほどの働きであると言えた。
故に彼は薄く笑む。
その瞳に宿した輝きと共に、病の根源として、その権威を振るうように周囲を蝕む病を振りまくように疾駆するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POWアドリブ歓迎
アングラーな党の儀式は成功させマセーン!
囮はやはり我輩が行く。全力前進デース!
「骸式兵装展開、狂の番!」
ヒャッハー!『ヒャハハハハ!』「ヒィアウィゴー!」
前線基地に飛翔して殺到するは、分身し増殖する現象と化したバルタンデース!
兀突骨の頑丈な装甲にポーシュボスの狂気をブレンドしてスーパーカオスドラゴン殿のカオスで増殖するのがナウな我輩であります!
街の中、空の中、地上の中、建物の中、黯党の集団の中、大変デスガ群れを成して殺到して縦横無尽の走り回りマース!
道中で魔法陣とか呪術的仕掛けとかを発見したら大声で我輩が囮になり、その隙に我輩が数の暴力で破壊するのであります!
これが猟兵の姿!
強大なる『悪魔の王』がなんであれ、幻朧帝国の尖兵たる『黯党』の目論見を果たさせるわけにはいかない。
『悪魔の王』の召喚が相成れば『黯党』の勝利が確実に近づく。
ならばこそ、猟兵たちはこれを阻まねばならない。
「アングラーな党の儀式は成功させマセーン!」
ウラジオストクに響き渡るはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の声だった。
彼女は一気に『黯党』の前線基地へと迫る。
これは囮作戦である。
「囮はやはり我輩が行く。全力前進デース!」
すでに先行した猟兵の活躍に寄って『黯党』は混乱に陥っていた。
それをさらにかき回すようにバルタンは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「骸式兵装展開、狂の番! ヒャッハー!」
模倣様式・兀突骨軍勢現象(ポーシュボス・レギオン・ゴツトツコツ)たるユーベルコードを発露し、己の狂気の総和を持って攻撃力……即ち、この場合は突進力に変換してバルタンは一気に飛び出す。
まるで鉄砲玉である。
彼女の疾駆にウラジオストクの大地に衝撃が走る。
「単騎……!? 突進してくるだと!?」
「舐めた真似を!」
「ヒャハハハハ! そんなわけあるか、デース!」
次の瞬間、バルタンの体躯が分裂する。
「分裂!?」
「残像ということか!?」
「違います、あれは増殖してるんですよ!?」
『黯党』の防衛戦力たる党員たちは、目の前でバルタンが増殖した現象を目の当たりにして動揺する。
単騎突撃たる様を見せていた敵が、いきなり増殖しようものならば当然の反応であった。
「な、な……ッ!?」
「ヒィアウィゴー!!」
飛翔するバルタンの群れ。
まるで飛蝗である。
しかし、『黯党』党員たちも動揺するばかりではない。放つ銃弾。それがバルタンを襲う。
だが、彼女の装甲、外骨格を撃ち抜くことはできない。
何れのバルタンも動揺だった。
どんな弾丸も彼女の装甲を貫けない。それどころか、彼女は前線基地の中、空、地中、建物、あらゆる場所に姿を現し始めたのだ。
「どうなっている!? 敵は単騎じゃなかったのか!?」
「増えたんですよ!」
「ソウデース!」
にょき、と雨後の筍みたいにバルタンが現れ、党員たちを打ち倒していく。
「おっと、これが噂の大規模儀式魔術の要デスネー! あ、それ!」
バルタンは見つけた魔法陣に、さらに大声を張り上げる。
「ココデース! ココにアリマスヨー!」
「敵襲! 敵はこっちだ!」
その言葉に党員たちが殺到する。
だが、バルタンはニヤリと笑う。
そう、大声を張り上げたのは敵戦力を此方に釘付けにするためだ。そして、発見した魔法陣を圧倒的な増殖するバルタンたちで持って破壊するのだ。
「これは、罠か……此方の戦力を分散させるための……!」
「そうデース! これが猟兵の姿! 圧倒的物量をピンポイントでぶち抜くのデース! さあ、まだまだ破壊していきマスヨ!」
そう言ってバルタンは高らかに笑いながら魔法陣を破壊し続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵

印旛院・ラビニア
「陽動作戦か。できるだけ騒ぎを起こさせるのであれば、僕の部下達の出番だね」
【召喚術】で戦乙女モンスターを召喚。まずは彼女達で気を引く。
「今のうちに、コインくん達も散らばって」
そしてクリーピングコインくん達をその隙に前線基地の色々な場所に潜んでもらうように指示。そして、ある程度時間が経ったらUC発動
「さあ、好きに暴れて!」
コインくん達をUCでサイバーなニンジャやヤクザに変え、戦乙女達に対応でしている敵達に奇襲を仕掛ける
「それじゃ僕はお邪魔しますよ……っと」
その隙にラビニア本人は【忍び足】で基地内を移動して魔法陣を探し、解除する
「これで一つ。この調子でどんどん行こう」
ウラジオストクの幻朧帝国、その尖兵たる『黯党』が作り上げた前線基地。
蠢くは策動。
即ち、大規模儀式魔術による『悪魔の王』の召喚である。
この混迷極める獣人世界大戦において、幻朧帝国が新たなる力を得ることは猟兵たちにとって好ましいものではなかっただろう。
故に、これを阻止しなければならない。
言葉にすれば簡単なことである。
「つまり、陽動作戦か」
印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は猟兵たちがなさねばならないことを聞き頷く。
できる限り騒ぎを起こして、大規模儀式魔術の要である魔法陣や呪術仕掛けを守る『黯党』の党員たちを引き剥がさなければならない。
「で、あれば。僕の部下たちの出番だね」
ラビニアはカードから戦乙女たちをを呼び寄せる。
「さあ、行って連中の気を引いておいで」
戦場に降り立った彼女らはラビニアの言葉に頷く。
集団で現れた敵性存在を見れば『黯党』の党員たちはすぐさま警戒するだろう。
「敵戦力か!」
「ええい、先程から何度もこう襲撃があっては!」
党員たちは毒づく。
そう、今まさに猟兵たちが前線基地に対して襲撃をかけているのだ。
この混乱に乗じてラビニアは更に召喚した『クリーピングコイン』たちに指示を出す。
今の混乱の内に散らばって、前線基地のあちこちに忍び込ませるのだ。
「なんだあの連中は! どこから現れた!」
党員たちは戦乙女たちへの対応に追われ、さらにラビニアのユーベルコードによって『クリーピングコイン』たちがザナドゥシティの部下達(ストラテジーケイソシャゲノブカタチ)へと変貌し、基地のあちこちから湧出するのだ。
これはたまったものではない。
「次から次に!」
「基地内部に……ヤクザ者らしき存在が……!」
「対処しろ! 魔法陣や呪術仕掛けは死守するのだ!」
党員たちの慌てふためく姿をよそにラビニアはこっそりと基地内部へと入り込む。
この騒動で己に気をかけることのできる党員は多くはないだろう。
自分の部下たちに寄る陽動作戦は上手くいっているようだった。
加えて、他の猟兵たちも一斉に囮を使ったり、襲撃したりと大忙しだ。できるだけ早く、この基地内の儀式魔術を構成している魔法陣を破壊しなければならない。
「おっと、これかな? 魔法陣をこんなに沢山使うなんて、『悪魔の王』っていうのは余程の大物なんだろうね」
ラビニアは魔法陣を見つけ、これを解除する。
『悪魔の王』がどれほどのものかはわからないが、しかし猟兵にとって厄介な存在であることは言うまでもないだろう。
「これで一つ。この調子でどんどん行こう」
でも、関係ない。
さらに此処から魔法陣を解除していく。そうすれば、『黯党』の党員たちも召喚儀式を諦めざるを得ないだろう。
今頃、基地のあちこちで他の猟兵達だって対処しているに違いない。
一つでも多く。
それだけを目的にラビニアは前線基地のあちこちで上がる戸惑いの声を聞き、忍び足で迅速に次なる魔法陣の元へと急ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、何やら連日の無茶振りで党員さん達お疲れのようでっしてー!
寝る間も惜しんで作業してきたでっしょうからねー。
でしたらぐっすり眠れるよう、穏やかで安らげる歌をお贈りするのでっす!
藍ちゃんくんのレパートリー、賑やかなのや元気なのだけではないのでしてー。
催眠術なのです!
藍ちゃんくんのヒーリングライブなのでっすよー!
まあ囮なのでっすけどねー。
目立つ藍ちゃんくんが注目を集めつつも眠らせることで党員さん達の作業を妨害し!
その裏では黒衣の皆さんが魔法陣や仕掛けを破壊して回ってるのです!
藍ちゃんくんの妨害もあり、魔法陣などが増えることも復旧することも無い以上、いずれ壊し切れるかと!
「藍ちゃんくんでっすよー!」
その声に幻朧帝国の尖兵、『黯党』の党員たちは視線を向ける。
彼らは猟兵たちの陽動作戦と襲撃、そして魔法陣の破壊といった多くの妨害を前に動揺し、疲弊していた。
連日の作業の疲れもあるのかもしれない。
彼らにとってウラジオストクを占領したことは喜ばしいことであった。
けれど、それで終いではない。
此処から大規模儀式魔術によって彼らは、支配盤石とするために『悪魔の王』を召喚しなければならない。
その作業に追われていたのだ。
「なんだ、あいつは……」
「奇っ怪な……だが、疑わしきは敵!」
彼らはすぐさまに中を構え、突如として現れた紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)を撃ち抜こうとする。
だが、それより早く藍の歌声が響く。
バラードのような、静かな立ち上がりから広がる声。
『黯党』党員たちは、瞼が重たくなる感覚を覚える。
「なんだ……眠気が……クッ、これは!」
「はいなのでっす! 皆々様は連日の無茶ぶりで大変おつかれのようでっすねー! 寝る間も惜しんで作業しておつかれさまでっす! ですから、ぐっすり眠れるよう、穏やかで安らげる歌をお送りしているのでっす!」
藍は自信満々に歌声を響かせる。
それは眠りに誘う催眠歌。
いや、ヒーリングソング。疲れた心身を癒やすための歌であった。
「さあ、いつもの藍ちゃんくんとは一味違うヒーリングライブをご堪能くださいでっすよー!」
藍の歌声が響く裏で、藍ちゃんくんの舞台を支えるすっごい方々!(ファントム・ミスディレクション)が動き出す。
このウラジオストクの環境に応じた迷彩装束を纏った黒衣たちが一斉に走り出し、藍の歌に眠りこけた党員たちの間を抜けていく。
彼らが目指すのは大規模儀式魔術を構成している魔法陣や呪術仕掛けである。
これだけ大規模であれば、数も一つや二つではないだろう。
「しーっ、でっすよー……」
藍は口元に指を当てて、黒衣たちにできるだけ静かに党員たちを起こさぬように魔法陣を破壊するように頼む。
五感を共有している黒衣たちはすぐさまに魔法陣を見つけ、その構成される文様を消し去っていく。
「大助かりなのでっす! 党員の皆さんはぐっすり。黒衣の皆さんはしっかりお仕事をこなしてくれてまっす! これで魔法陣は復旧する目処は立てられないでしょう」
藍の目的は党員たちを眠らせたのは無力化する以上に、破壊された魔法陣を復旧するための時間を奪うためにあったのだ。
彼らを拘束する手だってあっただろう。
だが、自分がしたいのはそういうことではないのだ。
歌はいつだって情熱や生きる活力を与えてくれる。
なら、藍が今歌のは疲れ果てた党員たちに癒やしを与えること。決して傷つけることなく、藍は己の目的だけを遂行し、眠りこけた彼らに満足気に頷くのだ。
「それでは、良い夢をー……」
目を覚ました時、それは党員たちの悪夢の始まりかもしれないが、それでも目覚めスッキリであろう――。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
必中秘術の召喚には緻密で大掛かりな術式が必要だろうしなー
横槍襲来を予測しての儀式遂行
大将の責任も心痛も重そ
【忍び足で情報収集】敵の守りの堅そうな要所の目星付け
警戒してる奴等は敏感だ
【念動力の投擲】で瓦礫を崩し建物の屋根を落と警戒誘う
敵の伝令等【聞き耳】で拾い要所警護に出る奴等を【追跡】
さて
こそこそしてたけどこっから暴れよ
【不意打ち】で連中の背後から繋げた七葉隠を地に撃ち込み
一瞬でも気を引けば目立つ所を走り術式の要所から追手を隙を見せ誘い【おびき寄せ】反転し【だまし討ち】
UC行使
空嘴の威力を七分割した七葉隠へ乗せ要所と周囲へ
術式が地面か建物かはオレには不確定だ
だから周囲地形を打ち壊すよ
アドリブ可
『悪魔の王』を召喚せしめる大規模儀式魔術。
これを為すために必要なのは多数の魔法陣と呪術仕掛けである。
一つとて欠けてはならないし、一つとて不備があってはならない。
このような秘術のたぐいはいつだって緻密で大掛かりな術式が必要となるものだ。
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は少なくともそう理解していた。
「そんでもって、横槍が来るっていうのを見越した上での儀式遂行ってのは、『黯党』の大将の責任も心痛も重そ」
自分では無理かもしれない、とトーゴは懐をさする。
責任感の強い人物であれば、この状況にさぞや胃を痛めていることだろう。
とは言え、トーゴたち猟兵は、その心痛をさらに重くすることである。
「あっちも始めたみたいだな」
トーゴは周囲で巻き起こる陽動作戦……猟兵自身が囮となって敵の戦力を前線基地から引っ張り出す行動に出たことを知る。
なんというか、ものすごい騒動である。
他の猟兵達に惹きつけられて防衛の層は薄くなってはいるものの、それでも警戒を解いていない者たちもいる。
「なら、もうひとかき回しするか」
トーゴは念動力でもって瓦礫を崩し、前線基地の屋根へと落とす。
すると盛大な音に党員のひとりが外に飛び出し、状況を確認する。
「今の音はなんだ?!」
「わからない。屋根に何かがぶつかったように思えたんだが……」
「敵の襲撃があるのだろう。その余波かもしれない。此方の作業を完了させるぞ!」
その言葉にトーゴは聞き耳を立て、一つ頷く。
やはり、あの建物の中で儀式魔術の一つ、魔法陣が構築されているのだ。
「こっからひと暴れするとしよう」
トーゴは一気に駆け出し、建物の中に入ろうとする党員を背後から巨大忍刀を投げ放ち、大地へと打ち込む。
その衝撃に党員が振り返った瞬間、トーゴの一撃が炸裂する。
火花散らすような衝撃に党員はもんどり打つようにして倒れ込み、さらにトーゴはユーベルコードを輝かせる。
「作業していたところに申し訳ないんだけど、これ、壊させてもらうな!」
トーゴは超圧縮した空気を手のひらに集め、その一撃を室内にて構築されていた魔法陣へと叩き込む。
それは凄まじ衝撃を持って室内の天井、壁、床のすべてを打ち据え吹き飛ばす。
「うおおおっ!?」
党員たちの悲鳴を聞きながら、トーゴは己が空嘴(カラバシ)たる一撃が魔法陣を破壊したことを知る。
砕けた地面。
ひしゃげた建物。
何より、魔法陣がずたずたに引き裂かれているのだ。
「悪いね。オレには魔法陣というものがどういうものかわかっていないんだ。地面に根ざすのものなのか、建物に由来しているのかわからなかった」
だから、全てふっとばした、とトーゴは気絶した党員たちに告げる。
とは言え、気絶した者たちから答えが返ってくるわけもない。
「そっか。でも、まあいっか。魔法陣は確実に壊せたんだし」
うん、とトーゴは一つ頷いて納得する。
だが、これだけではまた時間をかければ復旧しようとするかもしれない。
トーゴが見つけたのは一つの魔法陣だ。
なら、容易く復旧できないように念入りに破壊するか、と再びユーベルコードの一撃を叩き込み、『黯党』の目論見の一つ完全に粉砕するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
厳しい戦場かも知れないね
でも
昔から運命の糸が繋がった戦場へ往くのが
命題だった
それに特に黯党にはモノ申したい事もあるし
『絶対に出番だ』と分るのか
何時もの可愛い声を上げて背中から顔を出した
白燐蟲を撫で
UC白燐武空翔詠唱
同時に高速・多重詠唱でもう一匹
一匹に騎乗しもう一匹に指示
「暴れまくって出来るだけ戦力を引き付けて!」
直接戦闘が嬉しいのか猛々しい声を上げ
全速で一匹が突進と戦闘を始めるのを
一時的に隠れて様子を窺おう
案の定彼らにとって得体が知れず騎乗者も見えない
飛行生物は良く目立ち
魔法陣に近寄せまいと掛かり切りになった
…よし、今だ!
騎乗したククルカンの首を叩くと
此方も全速で空を走る!
同時に蟲笛から湧き出す蟲達でも攪乱しつつ
急降下!
少なくとも此処は本物だ!
こんなになってもまだ守護が残ってるからね!
飛び降りて敵兵を大鎌でなで斬りしてから陣を破壊!
「良い音だ!」
勿論即時飛び退り再度騎乗して次を目指す
仮に気取られても一匹目が消えても
「何度でも詠唱してやる!」
悪魔王なんて召喚させないよ絶対!
ウラジオストクに構築された幻朧帝国の前線基地。
彼らの目的は『悪魔の王』を召喚することである。
強大な力を誇る『悪魔の王』が幻朧帝国、『黯党』が手にすれば、それが如何様な惨劇を罪なき獣人たちにもたらすかなど想像に難くないものであった。
故に、この戦場が厳しいものであると葛城・時人(光望護花・f35294)は思った。
「でも、昔から運命の糸がつながった戦場へ往くのが命題だった」
いつだってそうだったのだ。
これまでだってそうだったのだ。
なら、これからもそうなのだと時人は決意に満ちた瞳を前線基地に向ける。
すでに他の猟兵たちが囮となって陽動作戦を派手に行っている。
多くの『黯党』党員たちが防衛に出撃している。
彼らの多くは魔法陣や呪術仕掛けを守るために専念している。囮で引き剥がせたとて、十分ではないだろう。
「『黯党』か……彼らには物申したいこともある」
時人の背中からいつもの鳴き声を響かせて白燐蟲の『ククルカン』が顔を出す。
一つ撫でて時人は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「絶対に出番だって、わかっているんだね。そうだよ。頼めるかな?」
その言葉に鳴き声を高く響かせる。
士気は上々。
なら、迷わず進むだけだ。
「じゃあ、行くよ。輝けるその白き翼もて征けククルカン!」
時人の体内から荒ぶる巨大な白燐蟲が出現し、一気に宙を駆け抜ける。その背に時人は乗り、さらにもう一匹の白燐蟲を召喚し、指示を出す。
簡単な指示だった。
「暴れまくってできるだけ戦力を惹きつけて!」
猛々しい声が聞こえる。
直接戦う事ができるのが嬉しいのだろう。雄叫びめいた声が背後で聞こえ、時人はもう一匹の白燐蟲と共に飛ぶ。
「な、なんだアレは!?」
「白い、光る
……!?」
「あれは白燐蟲と言うんだ。勉強になったかい!」
一気に時人は白燐蟲と共に陽動作戦が行われていても、配置から離れない『黯党』党員たちがいる箇所へと飛び込む。
凄まじじ粉塵を巻き上げ、突入した時人は己の狙いが間違っていないことを知る。
これだけの騒動にあって、配置を離れないということは、此処こそが儀式魔術の要である魔法陣や呪術仕掛けがある場所なのだ。
「くっ、敵か! 迎撃しろ!」
「させないよ!」
蟲笛から湧き出す蟲達を持って、時人は党員たちを撹乱する。更に手にした大鎌で党員たちを撫で斬りにし、魔法陣を破壊する。
「ぐおっ!?」
魔法陣が明滅し、党員たちは、その一閃で魔法陣が使い物にならなくなったことを知るだろう。
「くそっ……魔法陣が破壊される……! だが、これだけだと思うなよ。我等が存在する限り、いくらでも魔法陣は再構築できるのだ……!」
「だろうね。けれど、お前達が何度でも魔法陣を構築するっていうのなら」
時人は大鎌の切っ先を党員たちに向ける。
「何度でも壊してやる。悪魔王の召喚なんてさせないよ、絶対!」
振るい上げた一撃が魔法陣ごと党員を切り裂く。
再び白燐蟲に飛び乗った時人は宙を駆ける。
党員たちの言葉が真ならば、まだ魔法陣は残っている。
そして、破壊した魔法陣を再構築する余力だってある、ということだ。
ならばこそ、ここで徹底的に潰さねばならない。
そうしなければ、敵は必ず『悪魔の王』の召喚を再び試みるだろう。
「行くよ、『ククルカン』! 次の魔法陣を破壊しに!」
そう告げ、再びユーベルコードを発動し、荒ぶる巨大な白燐蟲と共に時人は魔法陣へと突入するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ベルゼ・アール
【うちのボス(f36415)と】
「悪魔の王」ねぇ。私達デビルキングワールドの悪魔がそれを聞いた場合、該当するのはガチデビルなんだけど。
さて、私達向きの依頼ね。ボス、久しぶりに付き合ってくれない?
はい、言われていた例のもの。
(UCで用意した遠隔起爆のプラスチック爆弾を手渡す)
基地に潜入後、2人で手分けしてプラスチック爆弾をセット。
本命の魔法陣ではなく、別の目標、例えば武器庫や前線の対空砲なんかにセットしておきましょう。
そして予告状を投げ込むわ。
「この基地の武器をいただきます」、とね。
こうすると敵は武器庫の方を警戒する。ダメ押しで起爆。
後は警備が薄くなった魔法陣を破壊するわよ。
アレクセイ・マキシモフ
【弟子のベルゼ(f32590)と】
前線基地への潜入、陽動、そして魔法陣の破壊。
俺達向きの依頼というわけだ。
5年前のイラク以来か、お前とこの手の仕事をするのは。
爆弾を受け取り基地に潜入する。
もちろんダンボールを被ってな。戦士の必需品だ。
(静岡みかんと書かれたダンボールを被る)
作戦通り、敵兵を見つけ次第CQCで拘束、武器庫や食料貯蔵庫、魔法陣の場所を聞き出す。情報を洗いざらい吐いてもらったらそのまま気絶させる。
目的地をベルゼに無線で共有だ。
爆弾を仕掛け終わったらベルゼと合流、一斉に起爆。
後は魔法陣だな。サプレッサー付きのカービンで銃撃して壊す。
奴等が事態に気づく前にホットゾーンを脱出しよう。
「『悪魔の王』ねぇ」
ベルゼ・アール(怪盗"R"/Infected Lucifer・f32590)はウラジオストクに建設された幻朧帝国の尖兵『黯党』の前線基地を見やり呟く。
そう、彼らの目的はウラジオストクの占領だけではない。
この前線基地にて『悪魔の王』を召喚するための大規模儀式魔術を行おうとしているのだ。
未だ『悪魔の王』が召喚されていないのは、それが強大な存在であるからだろう。
加えて、他の猟兵達による陽動作戦と魔法陣の破壊がジリジリと彼らを消耗させている証明だ。
「私達デビルキングワールドの悪魔が、それを聞いた場合思い浮かべるのは『ガチデビル』なんだけど」
果たして、そうなのかはまだわからない。
『黯党』が使役するのは悪魔……ダイモンと呼ばれる存在である。
デビルキングワールドの悪魔と同じ存在なのかは判明していないが、しかし、これを捨て置くことはできない。
「前線基地への潜入、揺動、そして魔法陣の破壊。まさしく」
「ええ、ボス。私達向きってこと。久しぶりに付き合ってくれるわよね?」
ベルゼの言葉に白い毛玉……否、モーラットのアレクセイ・マキシモフ(歴戦のもふもふ傭兵・f36415)は頷く。
「無論。五年前の戦場以来か。お前とこの手のしごとをするのは」
「そうだったかしら? 久しぶりってことしか覚えていないわ」
「ふっ」
それより、とアレクセイが手を差し出す。
ベルゼは心得たりと、怪盗/探偵八百万ツ道具(クリミナルマルチプルツール)よりブラスチック爆弾を彼に手渡した。
それは遠隔起爆用のブラスチック爆弾である。
ベルゼは他世界であってもユーベルコードによって今回のミッションに最適なガジェットやスパイツールを用意することができる。
アレクセイが求めたプラスチック爆弾を用意することなど造作もなかったのだ。
「ならば行くか」
アレクセイは隠密行動の基本(カードボード・ボックス)たる段ボール箱にすっぽり身を収めて、前線基地へと潜入を開始する。
「やはり、これに限る。人間かく在るべしという安らぎを感じるな」
「それはボスだけじゃないかしら?」
静岡みかん、と書かれた段ボールには違和感しかない。
だが、それこそが彼のユーベルコードである。
自身を覆う段ボール箱。
あまりにも不審物であるが、視聴嗅覚では彼を捉えることはできない。そういうユーベルコードなのだ。
「手筈通りに」
「オーケー」
ベルゼと共に前線基地に潜入せしめたアレクセイは、党員を見つけるや否や、神速の如き踏み込みでもって彼らを無力化していく。
「むぐっ!? むぐぐっ!?」
「騒ぐな。武器庫、食料貯蔵庫、後はそうだな魔法陣の場所も吐いてもらおうか」
「むぐー!?」
どのような手段で情報を吐き出させたのかは割愛させて頂く。
これも昔取った杵柄というやつである。
速やかに情報を吐き出させ、気絶させたアレクセイはベルゼに無線を走らせる。
「ベルゼ、目的の場所が判明した。できるか」
「任せておいて」
そこからは早かった。二人はプラスチック爆弾を武器庫や食料貯蔵庫にセットし、基地から離れる。
無論、魔法陣にも、だ。
「起爆するぞ」
「ええ、後そうだわ。これも」
そう言ってベルゼは基地内部へと予告状を詰め所へと投げ込む。
そこに記されていたのは『この基地の武器をいただきます』という文言であった。
これを党員たちがみたのならば武器庫を警戒するだろう。
そして、ダメ押しの起爆である。
炸裂するプラスチック爆弾。それは次々と武器庫、食料貯蔵庫へと連鎖していき、その爆発が火災を発生させる。
混乱に陥った党員たちが慌てふためく様を見やり、二人は速やかに魔法陣の破壊が成ったのかを確認する。
「爆発程度ではダメね」
「ならば、こうするまでさ」
そう言ってアレクセイは小銃でもって魔法陣へと弾丸を打ち込む。
硝煙が立ち上る先にあったのは、魔法陣が崩れた光景だった。
「これでいい。奴らが事態に気づく前にホットゾーンの脱出と行こうか」
「怪盗としては魔法陣を盗んであげたかったけれど、及第点といったところよね」
そう言って二人は前線基地を後にし、そして、背に時限式で爆発するプラスチック爆弾の炸裂する音が聞こえ、衝撃が背を押すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
陰海月がね、『囮ならぼく!』って感じで…。まあ今回、陰海月は満足に光れてないので…。
その踊りは楽しみましてー。私と霹靂は、こっそり魔法陣を壊していきますかー。
人間の目は、光につられますからねー。陰海月を無視できないでしょうし。
※
陰海月「ぷきゅ!」
ぼくが光って目立てばいいんだ!
だって、敵は楽しまないでしょ?なら、遅いしね!
海色結界貼りつつも、悠々と避けられるよ!
霹靂「クエ…」
友、そんなに光りたかったのか…。魔法陣見つけたら、ひっかく!
「きゅ!」
一つ大きな鳴き声が響いた。
それは巨大なクラゲ『陰海月』の鳴き声であった。
それを前にしてほとほと困り果てた様な顔をしているのが、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)である。
四人で一人の複合型悪霊。
その一柱『疾き者』は困っていた。
今回の戦いは囮作戦である。
敵の前線基地の守りは硬い。特に幻朧帝国の尖兵『黯党』が行っている『悪魔の王』を召喚するための魔法陣を防衛する戦力は多いのだ。
如何に猟兵と言えど、簡単に事が運ぶものではない。
魔法陣を破壊しても、すぐに彼らは再構築するだろう。だからこそ、できるだけ多くを破壊し、彼らを疲弊させなければならないのだ
そのために囮が必要というところまではよかったのだが、『陰海月』が自分が率先して、というのは予想できたが、なんとも言い難いものであった。
『囮ならぼく!』と言わんばかりである。
「そんなに光りたいんですかー……」
「ぷきゅ!」
その鳴き声と共に『陰海月』が飛び出す。
1680万色に輝く陰海月のゆらゆらダンスと共に空に浮かぶ巨大なクラゲ。
その姿に『黯党』の党員たちは目を奪われるだろう。
なぜ、こんなところにクラゲが?
その疑問も尤もであるが、さらには、このまばゆい輝きである。
はっきり言って目に悪い気がする。
「この輝きはなんだ!? ええい、色が変わっている!? 万華鏡のように我等を惑わすものか!」
「体が、動かない
……!?」
党員たちの動揺をよそに『疾き者』は前線基地へと飛び込む。
囮と言っても、それは『陰海月』のゆらゆらダンス。
この状況下で楽しめるのは『疾き者』たちだけであったことだろう。
「まあ、無視できないですよね。光るものは見てしまうし、なにせ光るクラゲが飛んでいるのですから」
謂わば、未確認飛行物体である。
人は理解できぬものを見た時、硬直するだろう。
脳がフリーズするし、さらにはこれはユーベルコードである。
楽しめない者は、全て行動速度を五分の一にまで減ぜられるのだ。
「クエ……」
そんなに光りたかったのかな、と『霹靂』は思う。
でもまあ、危なくはないみたいだしいいか、と『疾き者』と共に『霹靂』は基地内部の魔法陣を見つけ出し、爪でひっかく。
たしかにこれで魔法陣は機能しないだろう。
だが、念には念を入れておかねばならない。
「もう少し壊しておきましょう。簡単に復元されては元も子もないですから」
そう言って『疾き者』は見つけた魔法陣をずたずたに引き裂く。
これならば、例え復旧しようとしても即座に、ということはないだろう。
「さあ、次に行きましょう。『陰海月』が『黯党』の皆さんを惹きつけている間に」
「クエッ!」
基地の外では未だにまばゆく輝く『陰海月』が踊り続けている。
まあ、楽しそうだからいいか、と『霹靂』は思い、基地内部の魔法陣を壊して回るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
さすがに『黯党』も馬鹿じゃないか。儀式の場に防衛戦力をね。
とはいえ、こちらも戦力には事欠かないわ。
幽世千代紙から足の速い禽獣型の式神を多数作成。
「召喚術」でお呼びした式神十二天将に指揮権を渡して、「式神使い」で「陽動」してもらう。
さあ、天将方、愚昧な兵をしっかり惹きつけてちょうだい。道々、敵の防衛戦力を攻撃して、追ってこさせたらしめたもの。
あとはがら空きになった魔法陣を「全力魔法」炎の「属性攻撃」で破壊して回るだけだわ。
居残りの敵だけなら、排除は容易い。敵が戻ってくる前に、魔法陣は破壊する。
式神たちは上手くやってくれてるようだし、こっちも自分の仕事を果たさなきゃね。さあ、次の目標を叩くわよ。
幻朧帝国は超大国の一つである。
未だ猟兵たちが遭遇したことのなかった超大国でああったが、しかし尖兵たる『黯党』は違う。
他の世界、サクラミラージュにて影朧や動力甲冑を用いた事件を引き起こしていた黒幕を猟兵たちは知っている。
それこそが『黯党』なのだ。
彼らがなぜ、この獣人世界大戦に現れたのかは定かではない。
だが、彼らが『悪魔の王』を召喚し、この大戦を制しようしていることはうかがえる。
「流石に『黯党』も馬鹿じゃないか」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)はウラジオストクを占領して作り上げられた前線基地を見やる。
猟兵たちの囮作戦はうまく行っているようだった。
だが、それでもまだ完全ではない。
敵の目的である『悪魔の王』召喚の大規模儀式魔術は多くの魔法陣と呪術仕掛けを必要とする。
それ故に多くの人員を此処に配置しているのだ。
「防衛戦力と儀式を遂行する人員にわけているとはね。とは言え、こちらも戦力には事欠かないわ」
ゆかりは幽世千代紙を手に、多数の猛禽型の式神を生み出す。
さらに呪符を手にし、その瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「急急如律令! 六壬式盤の導きによりお招き申す! 天の十二方位を支配する十二天将よ、我が言葉に応え顕現せよ!」
その言葉と共に現れるは、式神十二天将。
ゆかりの式神十二天将召喚儀(シキガミジュウニテンショウショウカンギ)によって現れた十二天将は、彼女から受け取った式神の指揮権を持って前線基地へと飛び出すd。
そう、彼らが囮となって敵の防衛戦力を惹きつけるのだ。
「お願いね。できるだけ、敵の戦力を前線基地から引き離しておきたいの」
ゆかりの言葉に十二天将は頷く。
猛禽型の式神と共に数をかさ増しした戦力でもって十二天将たちは前線基地の正面から突撃する。
それは真っ向きっての突破戦にも思えたことだろう。
「敵戦力がまだ来るのか!」
「逐次戦力投入とは……! 敵の戦力は底なしなのか!?」
度重なる猟兵たちの襲撃。
それによって『黯党』の党員たちは疲弊しはじめていた。
彼らにとって、此処はなんとしても守らなければならない場所である。しかし、前線基地内部から魔法陣が破壊されているという報告を受けて、魔法陣の再構築に人手が奪われ始めているのだ。
「うまくやってくれたみたいね。っと、やっぱり魔法陣を壊しても、再構築しようとしている……なら」
ゆかりの手にした呪符より炎が迸る。
魔法陣は崩せば、その精緻な術式が仇となって機能しなくなる。
けれど、復元も容易なのだ。
ならば、再構築が難しくなるように炎でもってもやし、焦がす。
破壊された魔法陣を見やり、ゆかりは頷く。
「これで一つ。後は……」
「いたぞ! 敵だ!」
「まったく、一息つく暇もないのね。でもまあ!」
ゆかりは迫る敵を薙刀でなぎ倒しながら前線基地を駆け抜ける
式神たちはうまくやってくれているようだ。
なら、とゆかりは次なる目標に向かってひた走る。
「さあ、次の目標を叩くわよ!」
ゆかりは敵党員たちを踏み越えて、さらに躍進するように前線基地の魔法陣を破壊して回るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
綾倉・吉野
あ、黯党は異世界からの侵略者(?)だった…!?しょ、衝撃の事実であります……
いやそれよりも!これだけの防衛戦線、そうやすやすと突破するのは……
マ(吉野。緻密で強固に計算された計画ほど、予想外の要素には弱いもの、という訳でUCです。さあ、始めますよ吉野)
て、敵味方問わず突然次々ハプニングが発生しはじめたであります!
ですがここは戦場、いつ何が起きるかは判らぬもの!
不肖綾倉吉野、必ずこの試練に打ち勝って見せるであります!!!
(ハプニングは試練だと前向きに解釈、退魔刀・軽機関銃で交戦しながら、ハプニングへ対応しようとする敵兵の動きから逆に「重要な場所」を推測します。無理そうならひたすら囮を務めます)
『黯党』――それは他世界を知る猟兵であれば、一度は耳にした名であろう。
そして、それは獣人世界大戦勃発せし獣人戦線ではなく、サクラミラージュにて暗躍する者たちの名であった。
故に綾倉・吉野(桜の精の學徒兵・f28002)は驚愕する。
「あ、『黯党』は異世界からの侵略者だった……!? しょ、衝撃の事実であります……」
彼女にとって、この世界に存在するオブリビオンの超大国の一つ、幻朧帝国もまた寝耳に水であったことだろう。
己が出身世界サクラミラージュに関連するものが、他の世界にある。
それも『黯党』と呼ばれるテロル集団が此処にも存在し、あまつさえは『悪魔の王』を召喚しようとしているのだ。
「た、確かに衝撃の事実でありますが! いやそれよりも! これだけの防衛戦線、そうやすやすと突破するのは……」
そう、敵は『悪魔の王』を召喚するための大規模儀式魔術を行おうとしている。
召喚しようとする存在があまりにも強大なために時間と手間がかかるのだ。
それ故にウラジオストクを占領した『黯党』がまず最初にしたのは前線基地の建設であった。
そして、『悪魔の王』召喚のための儀式。
いくつもの魔法陣、呪術仕掛け。
そうした手順を経てようやく召喚できるのだ。だが、その魔法陣の構築を阻むべく猟兵たちは囮作戦でもって、これらの魔法陣を破壊し続けている。
『吉野。緻密で強固に計算された計画ほど、予想外の要素に弱いものですよ』
己に協力してくれる悪魔『マステマ』の言葉に吉野は頷く。
確かにそういうものなのだろう。
だが、その言葉の裏にある真意を吉野は図りあぐねていた。
「え、それは一体どういう……?」
『こうするのです』
その言葉と共にユーベルコードが発露する。
それは、召喚術番外『マステマの試し』(マステマノキマグレソノニ)である。
本来は『マステマ』が吉野に与える予想外のハプニング。
これによって試練を与え、未来を掴むに値するかどうかを試すための力。
しかし、それは『マステマ』が与えるハプニングとも言うべき想定外の出来事を楽しんでいなければ、全ての行動速度が減ぜられてしまうのだ。
「な、なんでありますか、これは!? 急に雪原が生まれて、すってんころりん!?」
吉野を始め、猟兵たちを迎え撃とうと前線基地から出張ってきていた『黯党』の党員たちが次々とすっ転ぶのだ。
足元の雪が彼らの足を取り続けている。
「な、なぜこんなにも雪が凍りついている!?」
「雪上装備を用意しろ!」
彼らもまた『マステマ』の与える数々のハプニングに対応しようとする。だが、それは楽しんでいない。
故に彼等はもたもたともたつくばかりなのだ。
逆に吉野にとって、この程度のハプニングというものは試練としてカウントされている。
「不肖、綾倉・吉野、必ずこの試練に打ち勝って見せるであります!!!」
気合十分に吉野は退魔刀を構え、軽機関銃を構えて滑りやすい雪原を踏みしめて進む。
彼女の動きは『黯党』の党員たちよりも疾い。
このハプニングの全てを試練として乗り越えんとする気概があるからこそ、彼女は『マステマ』の力の範囲から外れているのだ。
「なぜ、あいつだけが……! ぐわっ!?」
「なるほどであります。防衛戦力が集中しているところにこそ守るべき魔法陣がある、と」
吉野は頷き、すぐさま党員たちを追い抜いて彼らが向かおうとしていた場所に踏み込む。
そこに在ったのは魔法陣。
それも組み上げている途中のものだ。
「やめろ! それは……!」
「いいえ、壊すであります!」
吉野は軽機関銃の引き金を引き、魔法陣を破壊する。弾丸を打ち込みながら吉野はさらなる魔法陣を目指す。
足元は未だに悪い。
滑りやすいし、転びやすい。でも、それでも吉野は前向きにこの試練に立ち向かうべく、走り出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヌグエン・トラングタン
これだと、人海戦術が向いてるんだよな。
俺様ができる人海戦術っていうと…2つあるが、まだこっちなんだよな。
そういや、少し前に連絡が来てたな…。
てことで、UC使ってから…俺様が囮になるってな!
凍炎不死鳥のやつ、基本俺様から離れねぇから、こっちのほうがいいんだよ。
「目立つもんね。わかった」
はは!俺様はここにいるってな!
凍炎不死鳥は凍らせながら燃やしてるし、俺様は俺様自身の拳で殴ってたりするからな。
あと、金翅蝶が切り裂いて回ってる。
その間に、妻たちが魔法陣見つけて壊してるだろうよ。魚欲鉄望も同伴させたから、多少の呪術も浄化するだろう。
俺様の伴侶たちだぞ?その辺は抜かりねぇって。
ウラジオストクに建設された幻朧帝国の前線基地。
その内部では今、『悪魔の王』を召喚せしめる大規模儀式魔術が執り行われている。
しかし、猟兵たちの妨害によって多くの魔法陣が破壊され、また囮という名の陽動作戦によって防衛戦力が混乱に陥っていた。
だが、いずれ彼らは立て直すだろう。
彼らには信念がある。
『黯党』は目的のためならば命すら厭わぬテロル集団。
しかし、幻朧帝国の尖兵たる彼らがなぜ此処までして『悪魔の王』にこだわるのかはようとして知れず。
「とは言っても囮はせにゃならんと来ている。これだと人海戦術が適切か」
ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は前線基地の混乱を見やる。
敵の目論見である大規模儀式魔術を妨害するためには、とにかく防衛戦力を引き離す必要がある。
「こういうときに呼ぶのが筋ってもんだよな」
妻たちからの連絡を受けて呼び出す、というのならば、これがハーレムの使い方・一(ツマタチダッテキョウリョクシタイ)なのだろう。
「いつでも喚んでって言ったしね」
「さあ、囮でも何でもやるよ!」
「いや、俺様が囮だ!」
そういって召喚した妻たちに魔法陣の破壊を頼み、ヌグエンは走り出す。
妻たちを危険な目に合わせられないという思いも在ったのだろうが、それ以上に己につきまとうようにして飛ぶフェニックス『凍炎不死鳥』が目立ってしようがないのだ。
「目立つもんね。じゃあ、思いっきり暴れてよ」
「その方が仕事がしやすいからね」
ヌグエンは妻たちに拳を掲げて見せる。
自分に危険が及ぶことなど心配しなくていいのだ。
目立つものは、目立つ。
どうしたって己という存在が敵の注目を集めるというのならば、敵襲に気がついた『黯党』党員たちを拳で黙らせるまでだ。
「くっ、こいつ……!」
「一人だというのに!」
「いいや、一人じゃあないさ」
『金翅蝶』が飛び、その金属の体でもって切り裂く一撃は、党員たちの武装を破壊する。
そこにヌグエンの拳が叩き込まれれば、彼らはもう黙るしかない。
派手に立ち回る、とは言ったが、少々派手かもしれない、とヌグエンは思った。
「『凍炎不死鳥』め、はしゃぎすぎだ」
ヌグエンの頭上で炎を撒き散らし、凍結させるフェニックス。
それはあまりにも目立つものであるから、四方八方から党員たちが迫りくるのだ。だが、これでいい。
自分が派手に立ち回れば立ち回るほどに前線基地内部に入り込んだ妻たちが魔法陣を見つけて破壊する機械が増える。
「ま、あいつらの心配はねぇか。なにせ、俺様の伴侶だからな。そのへんは抜かりねぇってことだ」
ヌグエンは妻たちが必ずや魔法陣を破壊し、己の元に戻って来ることを確信しながら、迫りくる防衛戦力を引き付け大暴れするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『悪魔の王』を召喚する儀式
向こうも悪魔召喚士の力を使えるのかしら
知りたいけど、まずは企みを阻止しなくてはね
青い月に祈り、輝く月齢図を天に描いて、五月雨を降らせましょう
光と雨で敵の気を引くわ
足を止めれば、この雨はもっと速く降り続ける
防ぐ時間も与えない
雨の中に潜んで、浄化の力を雨に込めるわ
魔術の仕掛けも雨水に触れれば破壊されることでしょう
雨よ、やさしい音を立てて、戦場に降り注いで
戦いを終わらせる雨となりますように
幻朧帝国の尖兵『黯党』が目論むのは『悪魔の王』の召喚。
「この儀式……向こうも悪魔召喚士の力を使えるのかしら」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己が力の一端である悪魔召喚士としての力を思う。
己が名は悪魔より与えられた名である。
故に『黯党』が『悪魔の王』を召喚する大規模儀式魔術を行うというのならば、捨て置けないと思ったのだ。
それ以上に知りたい、という欲求があれど、まずはこの企みを阻止せねばならない。
「……思った以上に混乱しているわね」
静漓は他の猟兵たちがすでに前線基地へと入り込み、魔法陣や呪術仕掛けを破壊して回っている事に気がつく。
なぜなら、防衛戦力も猟兵たちの陽動作戦にはまって右往左往している状況なのだ。
混乱満ちる戦場にあって静漓は己が為すべきことを知る。
細められた瞳の奥にユーベルコードの輝きが満ちる。
「朧なる 青し月下の 半夏雨」
謳うように紡がれた言葉が力へと変わる。
ありえないもの。
青い月。
月長石のように輝く天に存在する月齢図。
その何れもが青い月光を放っていた。
降りしきるはブルームーンの雨(ブルームーンノアメ)。
「青い、月……!? ありえない、なんだあれは!?」
混乱満ちる戦場にあって月光が降り注ぐ。
それも青い光。
その奇異なる光景に『黯党』の党員たちは畏怖する。彼らを取り巻く状況はあり得ないの連続だった。
猟兵の襲撃。魔法陣が次々と破壊されているという報告。
精神を摩耗させるような状況にあって、さらに天より雨水が降り注ぐのだ。
「足を止めるな! この雨は……!」
「足を止めれば、この雨はもっと速く振り続ける」
彼女は戦場に立ち止まって祈りを捧げる。ユーベルコードは、足を止めれば、さらなる攻撃の速度を上げていくのだ。
圧倒的な速度による攻撃。
静漓は党員たちに雨水を防ぐ時間を与えない。
「雨よ、やさしい音を立てて、戦場に降り注いで」
彼女の祈りは、ユーベルコードとなって雨を降らせる。
雨を防ぐ手立てなどない。
雨の中を一滴すら浴びずに走ることなどできようはずもない。故に彼女の攻撃はすでに完了しているのだ。
雨粒一粒。
「くそっ、後退しろ! 魔法陣を護れ!」
「ダメだ、っ、この雨自体が……!」
それだけで『黯党』の党員たちは打ちのめされていく。
「どんなものにだって雨は降り注ぐ。なら」
彼女のユーベルコードは、ありえないを実現するもの。
降り注ぐ雨は、魔法陣や呪術仕掛けすら破壊するのだ。
彼女は祈る。
戦いが終わるようにと。
この雨がそのための一つであればいい、と。
「あなたたちだって、このまま此処で朽ちゆく定めではないなず。退きなさい。誰も咎めはしないわ」
その言葉は染み渡るように。
けれど、やさしい雨はやまない。
『悪魔の王』がもたらすのは争いだ。それが人の心に如何なる影響を及ぼすかなんて言うまでもない。
また戦いが引き起こされてしまう。
そんなことを彼女は望まない。他の誰だって望まないだろう。
だから、戦いは終わって欲しい。
戦いばかりの世界ばかりではないと知ったから、彼女はそう祈るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エアリーネ・シルベンスタイン
……成程、その「悪魔」召喚の術式、少し調べさせてもらいましょうか……
忍び足で気配を殺して街中を移動、目につく金目のものを片っ端から盗…回収し、UCを使用しましょう…さあ、出番ですよゴーレム…派手に暴れてください……
出てきた敵兵士に対しゴーレムに気を取られているうちに不意打ちで毒を塗ったダガーとナイフで攻撃を加えつつ、おまけで所持品を盗んでいきますね…勿論、盗んだ金品はゴーレムに投入しますよ…
何らかのマジックアイテムであればは盗…回収して、魔法陣等であれば陣にダガーで傷を入れるか薬品を上からかけます…
この手の術式は模様や描かれた文字などに傷が入ると本来の用途を果たせない事も多いですので……
幻朧帝国の尖兵たる『黯党』が目論むは『悪魔の王』の召喚である。
強大な存在であることを伺わせるほどにウラジオストクを占領して作り上げた前線基地は大掛かりなものであった。
これだけの人員と魔法陣を用いてもまだ完璧ではない。
故にこれを崩すことは容易であったが、同時に『黯党』の党員たちが立て直すのもまた同様だった。
故に、猟兵たちは波状攻撃のように囮作戦と魔法陣の破壊工作を続ける。
これは根比べだ。
『黯党』が音を上げるまで、召喚儀式を諦めるまで、魔法陣を徹底的に破壊し、これを阻む。
それほどまでに『悪魔の王』は強大なのだ。
「……成程、その『悪魔』召喚の術式、少し調べさせてもらいましょうか……」
エアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)は大規模儀式魔術に興味を示していた。
数多の魔法陣と呪術仕掛けを用いてようやく召喚することのできる『悪魔の王』。
その存在が如何なるものか、そして、その術式というもの事態にエアリーネは興味を示していたのだ。
忍び足でウラジオストクの街中を走る。
すでに他の猟兵達による陽動作戦は『黯党』の防衛戦力を疲弊させていた。
あちこちに戦いの痕がある。
目に付く金目のものを盗……改修しながら、彼女はユーベルコードを発動する。
「……さあ、出番ですよ、黄金ゴーレムくんバージョン2.0(ハッシンダイサンザイゴーレムカイ)……派手に暴れてください」
集めた物品を用いて生み出されるは古代魔法文明が生み出したとも言える黄金ゴーレム。
巨大なゴーレムは己が威容を誇るようにマッシヴなポーズを取り、己の存在を誇示する。
突如としてウラジオストクの街中に現れたゴーレムに『黯党』党員たちは目を見開く。
「なんであんなところに敵が出る!?」
「先程までは確認できていなかったはずだぞ!?」
「……ふっ、やはり混乱していますね……」
エアリーネは即座に党員たちの背後にまわり、毒を塗ったダガーとナイフでこれを無力化し、おまけのように彼らの所持品を弄り、金目の物を手にしては黄金ゴーレムへと投げ放つ。
「……せいぜい、彼の相手をしておいてくださいね」
エアリーネは強化されたゴーレムが防衛戦力の党員たちと激しい戦いを繰り広げているな中、前線基地へと入り込む。
呪術仕掛け、というのならば、なんらかのマジックアイテムを媒介としているはずだ。
「それらしいものがあれば、それこそが召喚儀式に必要なもの。このような大仕掛けの召喚儀式なんです。一つでも欠ければ十全に機能しなくなるのは必定……」
エアリーネは基地内部に配された物品に視線を向ける。
手にしたダガーで魔法陣の文言らしく物を見つけ、傷をつけていく。
「……なるほど、この前線基地そのものが魔法陣に組み込まれている呪術仕掛けの物品というわけ、ですか……」
考えたものだ。
これだけの大掛かりな儀式。
建物の上や、中にて組み込むより、基地そのものを呪術仕掛けにしてしまえば一石二鳥である。
だが、問題が一つある。
「……仕掛けが大きいが故に繊細な扱いが必要になる。これだけの人員がいた、ということは些細な問題も見逃さないため、ですね……」
なら、と僅かな傷も致命的になる。
それをチェックする煩わしさもあるだろう。加えて、多く傷をつければ、それだけ彼らの手順は煩雑になる。
故にエアリーネは次々と建物の内部を傷つけ、その仕掛けを台無しにしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵

朱鷺透・小枝子
うぉおおお!!
ディスポーザブル01操縦メガスラスター【推力移動】
『渚の戦端』霊物質の海、そして自立ディスポーザブル01の群体を引き連れ突撃!01の【鉄壁】の装甲で攻勢を弾き、RX騎兵刀を【なぎ払い】
搭載武装で以て盛大に暴れ、壊し敵を引き寄せる!
大地を踏み鳴らせ!砲火の雨を降らせろ!!
蹂躙し、更地にしてしまえ!!!
【集団戦術】後方01群から火牟須比一斉【砲撃】
前線にいる01群もろとも前線基地を【吹き飛ばし】
【継戦能力】01群はその頑丈さで戦闘続行。暴れ続け、自分は人工魔眼の【第六感】で以て残留している魔法陣、呪術の気配を感じ取り、地上ならば01で、地下ならば霊物質の海で沈め【念動力】で破砕する!
「うぉおおおお!!」
咆哮が迸る。
幻朧帝国の前線基地。
ウラジオストクに建設された基地に突貫するのは、鋼鉄の巨人『ディスポーザブル01』であった。
それを駆る朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の咆哮は大気を揺るがし、対峙する『黯党』党員たちを圧倒するものであった。
「次から次に!」
「構えろ! あの敵を基地に近づけさせるな!」
党員たちは武装を構え、迫る『ディスポーザブル01』へと放つ。
だが『ディスポーザブル01』は止まらない。
止まらないどころか、その装甲に傷一つついていないのだ。
「な、なんだあの硬さは!?」
異常な硬さを持つ『ディスポーザブル-01』の装甲は『黯党』の攻撃程度では止まらない。まるで意に介していないかのように振る舞う鋼鉄の巨人は騎兵刀を振るい上げ、大地へと叩き込む。
衝撃が迸り『黯党』党員たちの体躯が舞い上げられる。
「ぐわぁっ!?」
「退避! 退避!」
「ならん! ここを突破されれば、我等が要、儀式魔術が! 踏ん張れ、持ちこたえよ!!」
奮起する党員たちを小枝子は見下ろす。
その瞳にあるのはユーベルコードの輝き。
「大地を踏み鳴らせ!『ディスポーザブル』! 砲火の雨を降らせろ!! 蹂躙し、更地にしてしまえ!!!」
小枝子の言葉に応えるように『ディスポーザブル01』の武装が展開する。
搭載された武装の全てが砲火となって降り注ぎ、『黯党』党員の防衛線はガタガタになってしまう。しかし、彼らに敗走は許されない。
なぜならば、彼らの背後には『悪魔の王』召喚の儀式が行われているからだ。
しかし、それも今は猟兵達によって破壊され、さらに復旧作業と合わせて混乱の只中にあるのだ。
「後方! 撃ち方はじめ!!」
さらにダメ押しのように小枝子は後方に備えていた『ディスポーザブル01』群から砲撃を命じる。
火砲が迸り、その砲火が次々と防衛線に降り注ぐのだ。
破壊しかない。
破壊の痕しかそこにはない。
爆煙と硝煙。
吹きすさぶような猛攻。
これを前にして『黯党』党員たちは立ち尽くすしかなかっただろう。
己たちの眼の前にある鋼鉄の巨人が単眼を輝かせながら、爆煙の中を進んでいく様は、まさしく彼らの戦いが灰燼へと帰すものであると知らしめるものであったのだ。
「魔法陣は……そこか!」
小枝子は人工魔眼による魔力の経路と大地に染み込む力を見定める。
この儀式魔術は大規模なものだ。
だからこそ、気配が大きい。
故に魔力が集約する箇所がわかりやすいとも言えた。
小枝子の瞳が捉えたのもそうした魔力の集約点の一つだった。
「地下に敷設している魔力原……これが呪物! ならば!! 沈めぇええええ!!!」
小枝子の咆哮と共に『ディスポーザブル01』のクローが振るい上げられ、魔力の集約点へと叩き込まれ、念動力と霊物質でもって地下にある呪物を粉砕し、『黯党』の目論見すらも破壊してみせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…さて…警備をおびき寄せて宝(魔法陣)を頂く…と言ったところだね…
…自己判断型伝令術式【ヤタ】で魔法陣と警備の位置を確認……いくとしますか…
…現影投射術式【ファンタスマゴリア】による怪しい人影や操音作寂術式【メレテー】による偽の呼びかけを駆使して警備をおびき寄せて…設置した【開けてはならぬ玩具箱】を発見させよう…
…仕掛けてる罠は閃光と轟音によるスタン罠…音で更に警備を引き寄せようか…
…これで大騒ぎになってるうちに心理隠密術式【シュレディンガー】を発動してこっそり魔法陣に近づいて派手に破壊…更に騒ぎを広げて混乱させていくとしよう…
「……さて……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は猟兵達による囮作戦、陽動によって混乱満ちるウラジオストク、その前線基地を見やる。
いい具合に混乱している、とも取れた。
他の猟兵たちの突入によって幻朧帝国の尖兵たる『黯党』の党員たちは防衛戦力を前に突出させ過ぎていた。
なおかつ、基地内部の魔法陣や呪術仕掛けと言ったものが潜入した猟兵達によって次々と破壊されている。
そのような報告が前線と基地内部で往復し、情報が錯綜しているのだ。
これで混乱しないほうがおかしい。
故にメンカルはこれが非情にイージーな事態になっていることを理解するだろう。
「……まあ、ね。警備をおびき寄せて
宝を
頂く……という作戦だものね……」
自己判断型伝令術式による基地内部の構造をメンカルは把握する。
他の猟兵たちが破壊した魔法陣は捨て置く。
時間を欠ければ復元されてしまうが、今は全ての魔法陣を破壊することのほうが先だ。
いや、一つでも多くを破壊する方が、というのが正しいだろう。
敵は人員を多く用意している。
それは即ち、『悪魔の王』を召喚するために、これだけのものが必要ということだ。不測の事態にも備えているだろう。
一つ二つで不備が出るような大規模術式であるから、一つでも壊しておけば完遂はできない。
だが、これを復元できないわけがないのだ。
ならばこそ、残らず破壊すれば『黯党』の党員たちの精神に打撃を与える事ができる。
「……いくとしますか」
メンカルは現影投射術式によって怪しい人影を生み出し、操音作寂術式に寄る贋の号令を作り上げ、防衛戦力に混乱を呼び起こす。
『基地前方似て奇襲有り! 至急対応に当たられたし!』
「基地前方!? 先ほど部隊を向かわせたぞ? 新たな敵だというのか?」
『左翼からも敵性戦力の出現。加えて、基地内部での破壊活動も確認』
「次から次へと!」
メンカルの引き起こした混乱と他の猟兵たちの作戦によって見事に党員たちは混乱に満ちていく。
加えて、メンカルは開けてはならぬ玩具箱(パンドラズ・トイボックス)を転がす。
不審物にも程がある。
これを党員たちが発見すれば、対処しなければならない。
これだけ混乱に満ちた中にあってなお、これを確認しないわけにはいかないのだ。
それもご丁寧に『危険! 開けるな!』とまで張り紙がされているのだ。
明らかに不審物。
そう書いてあるからといって、本当に処理しないわけにはいかないのが、こうした軍隊である。
「……だが、開けて確認しないことには」
「いえ! それは……」
でも、と彼らは好奇心が引き起こされる。本当にそうなのか? 危険なのか? もしかしたら、ただのジョークグッズで取越苦労かも知れない。
そんな感情が湧き上がってきているのだ。
故に、彼らは手を伸ばす。
開けなければ、それは災禍を齎さない。だが、確認せずにはいられないのだ。
そんな彼らの欲求は、彼らに文字通りの危険を炸裂させる。
閃光と轟音。
そのショックで党員たちは目を回し、その場に昏倒してしまう。
「……ちゃんと張り紙までしたのに……」
それでも開けてしまうんだね、とメンカルは彼らの心理を慮りながらも、騒ぎ満ちる基地内部へと潜入し、魔法陣を破壊する。
盛大に爆発の音が響けば、更に基地内部は混乱に満ちるだろう。
後は、この混乱に乗じて拡大させ、さらに退散するだけでいい。
「……うん、なんともイージーだったね……」
メンカルは魔法陣を見つけては騒ぎを起こしながら、基地の外へと見事に脱出するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
「呪術とかは門外漢だから探すのは難しいが…」
SPD
「囮ならやりようあるぜ。任せとけ」
ブルースティールに騎乗。前線基地にエントリーしたら挨拶代わりのバルカンで誘き寄せるぜ
鋼の巨人が急に現れて喧嘩を仕掛けて来たんだ。嫌でも目立つだろうさ
敵が出てきたらジャンプ、ダッシュと推力移動を組み合わせた3次元機動で翻弄しつつ
適度にバズーカの爆撃で応戦しながら基地から離していく
…ここまで離せたら十分だな
気を見て高度を一気に上昇。がら空きになった基地をUCを乗せたビームライフルで吹き飛ばす
魔法陣らしき物があれば追撃で破壊し、無ければ次の基地へ行こうか
「ここまで追いかけてご苦労さん。じゃあな、あばよ!」
アドリブ歓迎
ウラジオストクの前線基地は、それ自体が『悪魔の王』を召喚するための大規模儀式魔術なのだという。
その内部には多くの魔法陣と呪術仕掛けが施されており、召喚しようとしている『悪魔の王』があまりにも強大な存在であることを知らしめるようであった。
これが召喚されてしまえば、『黯党』はさらなる力を得て、この獣人世界大戦において猟兵の脅威へと変貌することだろう。
だからこそ、止めねばならない。
「とは言ってもなぁ……呪術とか門外漢だから探すのは難しいが……」
でもまあ、と星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は、此度の戦いがそればかりではないことを知る。
そう、敵もまた馬鹿ではないのだ。
此処にある魔法陣や呪術仕掛けを守るために防衛戦力を有している。
基地全体が今は猟兵たちの作戦によって混乱しているが、それでもなんとか体勢を整えようとしている。
ならばこそ、祐一は己が乗機『ブルースティール』と共に前線基地へと仕掛ける。
挨拶代わりのバルカンを発砲し、防衛戦力の『黯党』党員たちを惹きつけるのだ。
「囮ならやりようあるぜ。任せとけ!」
祐一は他の猟兵たちが基地に潜入しやすいように囮として己が乗機と共に戦場に飛び出す。
鋼鉄の巨人の如き戦術兵器『ブルースティール』は敵の注意を引くに値するだろう。
「二時の方角に敵影! 一つ!」
「くそっ、次から次に……飽和攻撃のつもりか!」
「対応しろ! 基地にやつを近づけさせるな!」
党員たちの怒号が飛び交う中、祐一は嫌でも目立つ『ブルースティール』と共に戦場を疾駆する。
アンダーフレームの脚部が跳ねるようにして戦場を飛び、またブースターによる推力移動で持って照準を絞らせない。
「くっ、照準があわない……!」
「そんな簡単に狙わせるものかよ! そらっ!」
祐一はバズーカを叩き込みながら、爆風遊ぶ戦場を走り抜ける。
敵戦力が此方を猛追してくれれば、それだけ基地から敵戦力が引き剥がされていく。
そのために必要なのは二つ。
そう、此方が撃破されないこと。
加えて、敵を撃破し過ぎないこと、だ。
敵の戦力が消耗しすぎれば、突出しようとしないだろう。だが、敵が健在であり、これを撃破できるとわかれば、敵は必ず追ってくる。
故に祐一は今まで三味線を弾いていたのだ。
つまり、手心を加えていたのだ。
敵が己を仕留めようという気にさせるために、あえて敵を撃破しないで泳がせ、己を追うように仕向けたのだ。
「追え! 逃がすな! 敵を撃滅せよ!」
「よし、かかった! 此処まで話せたなら十分だ!」
祐一は『ブルースティール』と共に一気に空へと舞い上がる。
『ブルースティール』のアイセンサーが認めるのは、敵戦力が引き剥がされたことによって無防備と成った基地である。
「ここまでおいかけてご苦労さん。じゃあな、あばよ!」
構えたビームライフルにユーベルコードの輝きが乗る。
それは、冬雷(トウライ)。
チャージされたエネルギーを光条に代えて放つ一撃。
それは溜め込まれたエネルギーを圧縮して放たれた強大な一撃であった。無防備な基地の壁面を吹き飛ばす光条と熱波。
そして衝撃が内部にあった魔法陣を吹き飛ばし、その瓦礫がさらに周囲の建物を破壊していく。
「さって、次行くぜ!」
祐一は見事に敵戦力を退き派が成しながら、基地へと打撃を与え、さらなる基地の破壊を為すために敵戦力を引き付けながら飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
エイル粒子が薄すぎて、ステラさんのレーダーが乱れてます!?
ステラさんが雄叫んでくれないなんて、
これじゃよりシリアスになっちゃうじゃないですか!
こんなじゃそのうち、練乳代で赤字になっちゃいますよう。
え? なんですかステラさん。
たしかに若干シリアスのアナフィラキシーでてますけども!
って……えっ
『いっぱい演奏していいぞ(はーと)』?
ステラさんが命令形でデレました!?
なんですかこれ!
エイル粒子の薄さでクールなくせにデレるとかいう絶妙のバランスになってます!
少女漫画のプリンスがちょっと眠たい時みたいですよ!
とりあえず動画、と。
よし、それではステラさんのデレと自分の健康のために!
いっきまーす!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
エイル様の! 香りがしま……す??
んー、ここまで隠密な香りは初めてですねえ
関係しているような気がするのですが
では囮ですね
大暴れ、奇策
まさに
光の勇者の出番では??
ルクス様ー演奏してないとこの世界では窒息しかけちゃうルクス様ー
いっぱい演奏していいぞ(はーと)
私は空に逃げますが!
フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリア召喚
からの
【ル・ディアーブル・ヴィアン】!!
ルクス様にやられた(誤字に非ず)隙に
儀式に関する仕掛けを盛大に破壊!
しかし、悪魔の王ですか
悪魔……力ある者の象徴、あるいは何かの概念
さて、悪魔の王とは『何の』あるいは『誰にとっての』悪魔なのでしょうね?
「
『エイル』様の! 香りがしま……す??」
え、なんでここに来て自信なさげなんです、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の様子を見て思った。
もしかして、『エイル』粒子が薄すぎて彼女のレーダーが乱れているのかな、とも思った。さも当然のように出てくる『エイル』粒子という単語。
説明しようにも説明できないので割愛させて頂く。
というか、ルクスにとってはステラが叫んでくれないとシリアスになってしまうので、そうなるとまあ、蕁麻疹がまたでてきて大変なことになる。
だから困る。
このシリアスな雰囲気を一発でぶち壊してくれるルクスのやべーメイドっぷりがないと困ってしまうのだ。
だが、そんなルクスをよそにステラは考える。
「んー、ここまで隠密な香りは初めてですねえ……もしかして、此処が同担のあの女のハウスっていうわけじゃあないですよね? 関係しているような気がするのですが」
怖い。
ナチュラルに怖い。
ステラは鼻を引く付かせている。
「わ、一気にシリアス空気が瓦解した気がします! 流石です、ステラさん!」
ルクスはこのままじゃあ練乳破産してしまうと思っていたが、ステラのいつもどおりの姿に空気がシリアスからギャグに移り変わるのを敏感に察するのだ。
「では、囮ですね」
「わ、急に本題に入らないでくださいよぅ!」
「いえ、大暴れ、奇策。つまりは
光の勇者の出番では?」
「え、そうなんですか? ちょっと待ってください、まだ若干のシリアスアナフィラキシーでてるんですけど……」
そんなルクスにステラはイケボで壁ドンである。
どこに壁があるのかと言われたら、それを見ている天の声が壁担っているので心配しないで欲しい。
「いっぱい演奏していいぞ(はーと)」
イケボで壁ドンに加えて、演奏の許可が出たのである。
「ステラさんが命令形でデレました!?」
おもしれー勇者である。
そんな一言で此処まで発奮するのかと言わんばかりにルクスのテンションがテンアゲである。テンアゲ。最近覚えた言葉である。流行から遅れに遅れていることは否めないが、いいのである。
こういうのは雰囲気ってもんである。
「なんですかこれ!『エイル』粒子の薄さでクールなくせにデレるとかいう絶妙のバランス!」
クーデレってやつでしょ。知ってるよ。
「少女漫画のプリンスがちょっと眠たい時みたいですよ!」
ちゃっかり動画を撮っているところからして、この勇者慣れている。
「ええ、どうぞ。私は空に逃げますが! フォル!」
そんなわちゃわちゃをよそにステラは呼び出したキャバリアに乗ってお空にトンズラである。
「ちょ、ちょっと! ええい、空に逃げた程度でわたしの演奏から逃げられるとは思わないことですね! いっきまーす! ハンガリー狂詩曲(ハンガリーキョウシキョク)!」
ユーベルコードに輝く演奏。
いや、演奏がユーベルコード。
ルクスの演奏は常識を破壊する。
それはもう演奏で何ができるっていう『黯党』の常識を、である。
彼女の演奏は理屈じゃあないのである。魂で聞け! ならわかるはずだ! これが推すって感情だってことを!
「な、なんだこの心揺さぶる演奏は! この感情は!」
「困惑しているのにもっと聞きたい! もっとこの破滅的な演奏を私にぃぃぃ!!」
次々とルクスに殺到する『黯党』の党員たち。
「えっ、えっ、えー!?」
ルクスは『黯党』党員たちに囲まれ、担ぎ上げられている。
とんでもないことである。
しかし、ステラは上空から盛大に儀式行う基地へと『フォルティス・フォルトゥーナ』の武装を叩き込み、考えていた。
彼らが召喚せしめんとしていたのは『悪魔の王』である。
悪魔とは、概念の象徴。
ならば、その『悪魔の王』とは一体『何の』あるいは『誰にとっての』悪魔なのか。
「ここに同担の女がいた、というのなら……いえ、詮無きことですね。ルクス様、あそんでないで!」
「遊んでないですけど!?」
担ぎ上げられたルクスをステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』でもって掴みながら、戦線を離脱するのだった――。
大成功
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ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
つまりドッ派手にやればいいんだね!
わーい!
(カチカチカチと歯を鳴らして何か言いたげな[餓鬼球]くんズ)
ぇ、なに?街は壊しちゃダメ?そっかー
いやいやボクはちゃんとそこらへん配慮してるよ!
なにせ神様だからね!
●すごく冴えた作戦
空にスーパードカデカサイズの[球体]くんを浮かべます
UC『神罰』で強化・透過能力付与済みです
それを見上げて反応した敵の子のところへドンドン落としていきます
敵の子の動きも参考に見て、魔法陣なんかの仕掛けも【第六感】でそこっぽいと思ったとこにドンドン落としていきます
壊しちゃいけないものだけはスゥーーッと幽霊のように擦り抜けてドーーーンッ!です
かんぺき!
ウラジオストクの前線基地を防衛する『黯党』党員たちの戦力は多い。
真っ向から突撃しても此方に勝ち目はないであろうし、彼らは己たちに勝つ必要はないのだ。
そう、大規模儀式魔術を護れば良い。
勝つ必要がない、というのならば『黯党』党員たちは守りに専念すればよかったのだ。
だからこそ、猟兵たちは囮作戦によって陽動し、基地内部へと潜入して魔法陣を破壊して回ったのだ。
「つまり! ドッ派手にやればいいんだね!」
そういうのなら大の得意だよ、と言わんばかりにロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は頷く。
「わーい!」
ロニは戦略も戦術も関係ないとばかりに前線基地へと飛び出す。
カチカチと歯を鳴らす球体たちと共に走り出し、前線基地にてドッ派手に大立ち回りを演じようとしていたのだ。
だが、そんな球体たちが何か言いたげに此方を見ている。
「え、なに? 街は壊しちゃダメ? そっかー」
球体たちは心配していた。
絶対壊す、と。
大丈夫っていう言葉ほど信用ならない。ダメって言われたらやる。やるなって言われたらやる。
そういう存在なのだ。
逆張りへの信頼が厚い。厚すぎる。
「いやいやボクはちゃんとそこらへん配慮してるよ! なにせ神様だからね!」
それが一番、と球体たちは思ったが歯をカチカチ鳴らすことかできなかった。
「それにね、すごく冴えた作戦を思いついているんだよ! まず!」
空に巨大なサイズの球体を浮かべる。
そうすれば、敵は皆、注目するだろう。
そうしたのならば、これをユーベルコードによって強化された一撃とともに叩き落とす。
どんどこ叩き落とす。
そうすれば、敵はこの動きを見て魔法陣や重要な施設を護ろうとするだろう。
「そしたら、そこにドーンッ! ほら、これでバッチリ! 敵の陽動も兼ねて魔法陣も壊せる!」
それにね、とロニは実際にやりながら言う。
そういうのって説明してから改めて行動に移すものではないだろうか。
球体たちは訝しんだ。
だが、そんなことロニには関係ない。
とりあえず、やってみる。そして、見せる。そんでもって聞かせる。
これに尽きるのである。
その言葉通りロニの操る球体は、神罰(ゴッドパニッシュメント)の如き力を得て、壊してはならなぬものだけを透過させ、壊すべきものだけを叩き潰していくのだ。
どんどこどんと盛大な音が響き渡っている。
「ね、簡単でしょ? それにかんぺき!」
すぅーって通り抜けてドーンってやる。
そんな説明だけで納得できる部下がいるのならば連れてきてほしいが、あいにくとロニに必要なのは部下ではない。
己が理屈通っているト思えるだけの作戦なのだ。
故に彼の放つ球体は、前線基地に混乱をもたらしながら、その魔法陣をずたずたに破壊し、けれど、建物などは破壊せずにまるで厄災の如き時間を『黯党』の党員たちにプレゼントするのだった――。
大成功
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