獣人世界大戦③〜モスクワの攻防に介入せよ
「獣人世界大戦への参戦に感謝します。リムは状況を報告します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は獣人戦線の世界地図を広げ、現在の状況を語り始めた。
「第一戦線での戦闘はこちらの優勢。数日後には第二戦線での戦闘が開始されるものと思われます」
伝説の『はじまりの猟兵』を巡って各々の思惑で動きだした超大国。その侵攻や作戦は今のところ妨害できているが、油断はできない。この戦争における猟兵の活躍は戦争の被害や戦後の復興度も左右するため、ほどほどで満足せずに最善を尽くしたいところだ。
「今回皆様にお願いしたいのは、モスクワに侵攻中のゾルダートグラード軍への奇襲です」
ロシア西部の大都市モスクワでは現在、ゾルダートグラード軍とワルシャワ条約機構軍が激突している。これに乗じて奇襲を仕掛ければ、敵軍の戦力低下を狙えるだろう。今回は競り合う二軍勢のうち、モスクワに攻め入るゾルダートグラード軍の背後を突く作戦となる。
「狙うのは兵員輸送型パンツァーキャバリア『キャンサー・ワゴン』部隊。この機体は一機につき10~20名ほどの兵員を収容して、あらゆる地形の迅速な踏破が可能であることから、モスクワ攻略における輸送車両として用いられているようです」
名前が示す通り、蟹のハサミめいた障害撤去用アームが特徴で、輸送型とはいえ戦闘能力も無いわけではない。しかしゾルダートグラード軍がモスクワ攻略に注力している中、うまく後背を強襲できれば、大きな打撃を与えられるだろう。
「モスクワにはワルシャワ条約機構軍のオブリビオンだけではなく獣人もいます。早急にこの攻防戦を終息させるためにも、皆様の力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、獣人戦線のモスクワ近郊へと猟兵達を送り出す。
二大超大国の激突に乗じたゾルダートグラードへの奇襲作戦。これが成功すれば敵に与えられる被害は甚大だ。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはモスクワ攻防戦にてワルシャワ条約機構軍と激突中の、ゾルダートグラード軍を奇襲する依頼です。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……敵の背後を突いて強襲を仕掛ける。
敵はゾルダートグラード軍の兵員輸送型パンツァーキャバリア『キャンサー・ワゴン』部隊。
モスクワへ攻め入ろうとする彼らの後背を突くことができれば、大きな打撃を与えられるでしょう。うまく不意を打つような作戦があればなお有効です。
この戦場は【第一戦線】で、完結までの締切が5月10日(金)16時となっています。
そのため、執筆状況によっては採用できないプレイングが出るかもしれないことを、予めご了承下さい。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『キャンサー・ワゴン』
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POW : シザ―ハンド・アタック
単純で重い【障害撤去用アーム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : キャンサー・ストンプ
【装甲付き多脚による踏みつけ】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
WIZ : 緊急射撃戦闘
【収容している兵員】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲塔、固定機銃、兵員の装備する小銃】で攻撃する。
👑11
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紫・藍
(こっそりこそこそ目立たずお忍び中なのでっす!
背中が無防備なようでっしてー。
一つ、驚かせちゃいましょう!)
藍ちゃんくんでっすよー!
後ろからおっきな声で吹き飛ばしちゃうのでっす!
あらゆる地形を迅速に踏破できるとのことでっすがー。
空はどうでっすかー?
自慢の多脚も浮かしてしまえば話は別でっすよねー!
それにモスクワを攻め入ろうとしていた所、後ろから吹き飛ばされたということは即ち!
吹き飛ぶ先はモスクワなのでっす!
藍ちゃんくんに反撃する余裕もなくモスクワ側に迎撃されるのではー?
モスクワ側も重くて破壊力のあるアーム付きのワゴンが降ってきたらたまったものではないかと!
上手くいけば向こうにも被害出るのでっす!
(こっそりこそこそ目立たずお忍び中なのでっす!)
ワルシャワ条約機構軍が守るモスクワへと、世界大戦勃発に乗じて侵攻するゾルダートグラード軍。その後方から静かに近寄るのは、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)だった。隠密裏の行動を意識した甲斐あって、敵軍にはまだ気付かれていない。
(背中が無防備なようでっしてー。一つ、驚かせちゃいましょう!)
目標は兵員輸送型パンツァーキャバリア『キャンサー・ワゴン』部隊。乗っている兵士ごと破壊すれば、敵軍に大きな損耗を与えられるだろう。多脚とアームを用いてのしのしと雪地を進む敵機の背後に、そうっと近付いた藍は――。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
「うおっ?!」「なんだ……わぁぁッ!?!」
声高々と名乗りを上げ、【藍ちゃんくんパッショネイトステージ!】の幕を開ける。瞬間的に湧き上がるライブの熱狂とパッションは、物理的な力となってキャンサー・ワゴンを宙に舞い上げる。一緒に吹き飛ばされた乗員達は、何が起こったのかと阿鼻叫喚だ。
「あらゆる地形を迅速に踏破できるとのことでっすがー。空はどうでっすかー? 自慢の多脚も浮かしてしまえば話は別でっすよねー!」
陸上においては無類の走破性を誇るキャンサー・ワゴンだが、飛行機能は搭載されていない。くるくると無防備に空を泳ぐ敵機は、大きな放物線を描いて、藍の狙い通りモスクワのほうに飛んでいった。モスクワを攻め入ろうとしていた所を後ろから吹き飛ばされたのだから、必然的にそうなる。
「おい、なにか降ってくるぞ!」「退避ーーーッ!!」
驚いたのはモスクワを防衛するワルシャワ条約機構軍も同じだ。重くて破壊力のある障害撤去用アーム付きの戦車が降ってきたらたまったものではない。ドガァン! と派手な落着音が響き渡り、混乱する兵士達の喚き声が聞こえた。
「くそっ、ゾルダートどもめ!」「撃て撃て!」
「チクショウ、やられた……ぐわっ!」「おい、やべぇぞ!」
そのまま双方はなし崩し的に交戦状態へ。最前線に送り込まれたキャンサー・ワゴンの乗員は、藍に反撃する余裕もなくモスクワ側の迎撃を受けることになる。お互いに態勢が乱れた状態での戦闘は被害も大きくなりやすく――どちらにとっても、この接触は不幸な事故であった。
「上手くいったのでっす!」
この事態の火付け人にして、ただ一人笑うのは藍。敵対する二つの超大国が対峙する状況を利用して、少ない労力でゾルダートグラードだけでなくワルシャワ条約機構にも被害を与えた。あのキャンサー・ワゴンが無事帰還してくることは、もう不可能だろう。
「どっちも藍ちゃんくん達と獣人さん達にとって、危険な相手には違いないでっすからー!」
強襲の利を活かし、彼はその後もできる限りのゾルダートグラード軍を吹き飛ばし、モスクワ側に送り込んでいく。
猟兵という不確定な第三勢力の介入によって、モスクワ攻防戦は両超大国とも予期しない戦況へと動き始める――。
大成功
🔵🔵🔵
陽・緋蜂
敵を背後から襲って一気に殲滅、デスネ。
了解、ボコボコにしてやるデス。
電影紅瞳の望遠視覚(【視力】)で敵を探し、見つけたら進路に程近い何処かに隠れて一旦やり過ごすデス。
通り過ぎたところで、転身尸虎発動の上で背後から襲い掛かるデス。
爆火槍砲を叩き込んで【爆撃】、徹甲弾頭を充填した機関砲の【弾幕】で装甲も搭載兵員も撃ち抜いて仕留めていくデス。
敵が逃走しようとするなら、噴進炎翼の【推力移動】で飛翔。反撃で足止めを試みてくる敵を飛び越えて、逃げるヤツから攻撃デス。
一機残らず此処で仕留めてやるデス、覚悟するがいいデス!
「敵を背後から襲って一気に殲滅、デスネ。了解、ボコボコにしてやるデス」
依頼内容を受諾した陽・緋蜂(機甲武装的虎尸人小娘・f39902)は、モスクワ市街からやや離れた見晴らしの良い場所に陣取ると、サイバーアイ「電影紅瞳」の望遠視覚で敵を探す。モスクワ攻略に注力するゾルダートグラード軍は、特に隠密性を意識してはおらず、目標の捕捉は容易だった。
(あれが言っていたやつデスネ)
蟹や甲虫を連想させるフォルムのパンツァーキャバリア『キャンサー・ワゴン』。兵員を満載したそれがモスクワに向かってガシャンガシャンと進んでいくのを見つけた緋蜂は、進路にほど近い場所に身を隠し、一旦敵をやり過ごす。
「急げ! 全速前進だ!」
今もモスクワで戦っている同胞と合流するために、キャンサー・ワゴン部隊は雪をかき分け進み続ける。潜伏する猟兵の気配にはまったく気付かぬまま。緋蜂は敵が目の前を通り過ぎるのを息を潜めて待ち――頃合いを見計らって【転身尸虎】を発動した。
「フェイの虎っぽいトコ、見せてやるデス」
自身に宿る虎の遺伝子を活性化させ、身体各所から多数の銃火器を生やした、巨大な虎型僵尸に変身する。人民租界での苦役を経て手に入れた、獣と機械の二つの力――その総力をもって、彼女は敵機甲部隊の背後より襲い掛かった。
「まずは御挨拶デス」
「がッ?! なんだ!」「伏兵だ! 後ろから撃たれてるぞ!」
緋蜂の袖から飛び出したロケットランチャー「爆火槍砲」が、キャンサー・ワゴンの脚部を吹き飛ばす。立ち往生となったところに徹甲弾頭を充填した機関砲の弾幕を浴びせれば、キャバリアの走行も乗員も次々に撃ち抜かれていく。
「マズいぞ、どうする?」「止まるな! 本隊の元へ急げ!」
「逃がさないデス!」
まだ動ける機体はここで戦うよりも味方との合流を優先し、態勢の立て直しを図る。だが、敵が逃走しようとすれば緋蜂はジェットパック「噴進炎翼」を起動し、プラズマの炎をなびかせながら敵の頭上を飛び越える。踏破性に秀でたキャバリアと言えど、機動力ではこちらの方が上だ。
「くそッ、止まれ!」
キャバリアの固定機銃や【シザ―ハンド・アタック】で足止めを試みてくる敵もいるが、そんなもの掠りもしない。
あっという間に巨体で敵の逃げ道を塞いだ緋蜂は、銃火器を駆使して逃げようとするヤツから集中砲火を叩き込む。
「一機残らず此処で仕留めてやるデス、覚悟するがいいデス!」
「だ、ダメだ、やられる……ぐわぁぁぁぁぁッ
!!!!」
徹甲弾とロケット弾で蜂の巣にされ、乗員ごと爆散するキャンサー・ワゴン。雪原に消えるゾルダートグラード兵の断末魔。モスクワにいるワルシャワ条約機構のオブリビオンよりも、よほど恐ろしい存在が潜んでいたとは、彼らも予想だにしなかっただろう――。
大成功
🔵🔵🔵

朱鷺透・小枝子
兵員の輸送。潰せばそれだけ味方への損害も防げるというもの!
壊せ!接げろ回点号!!
回点号【操縦】メガスラスター【推力移動】加速を掛けながら『禍葬天間接』発動!空間を歪め、敵との距離を一気に詰める事で背後からの強襲!
RXSハルバードを振るい【なぎ払い】ハルバードの【重量攻撃】に加速の勢いを乗せキャンサーワゴンを【吹き飛ばし】敵を【威圧】
再度空間を捻じ曲げながら高速移動!
るぅうううあああああああ!!!!
【瞬間思考力】別敵ワゴンの動きを認識、【早業】遠距離攻撃を反射し距離を詰め、ハルバードにサイキックシールドを纏わせ【切断】防御を許さず、目についたワゴンを片端からなぎ払い壊しに掛かる!
「兵員の輸送。潰せばそれだけ味方への損害も防げるというもの!」
いつの時代でも、兵士が戦場に行くためには「足」が必要だ。徒歩よりも迅速に、一度に多くの兵士を運べる輸送型キャバリア『キャンサー・ワゴン』。その機影を捕捉した瞬間、朱鷺透・小枝子(
亡国の戦塵・f29924)は自らのキャバリアと共に戦場へ打って出た。
「壊せ! 接げろ回点号!!」
操縦者の超能力を増幅することで驚異的なスペックを実現したクロムキャバリア「回点号」。その背部に搭載されたメガスラスターが唸りを上げ、凄まじい推力で機体を加速させる。さらに【禍葬天間接】まで発動することで、彼女の機動は空間を超える。
「なッ
……!!!?」
キャンサー・ワゴンの乗員が見たのは、空間を歪めて突如背後より現れた、未知のキャバリアだった。それは全体に怨念結界を纏い、巨大なハルバードを携えている。彼らが驚愕から立ち直る前に、小枝子は最初の一撃を叩きつけた。
「てッ、敵しゅ……」
「遅い!!」
力任せに振るわれた斧刃の質量が、加速の勢いを乗せて敵部隊を薙ぎ払う。通常のキャバリアより重量はあるはずのキャンサー・ワゴンが、まるで空の紙箱のように吹っ飛ばされた。破壊力もさることながら、その光景は敵を威圧するのに十分である。
「るぅうううあああああああ
!!!!」
小枝子が獣の如き咆哮を発すると、再度空間が捻じ曲がる。ユーベルコードの力で瞬間移動に等しい高速移動能力を手に入れた「回点号」は、戦場を縦横無尽に飛び回って敵機を強襲する。真に恐るべきは、そのスピードに対応できるパイロットの反応速度と対G耐性だ。
「うっ、うわぁぁぁ!」「来るなッ……ぐわぁ!?」
敵兵は半狂乱になりながら砲台や機銃を乱射するが、小枝子の瞬間思考力は全ての動きを認識している。空間歪曲の応用によって砲弾は射手の元に反射され、ワゴン自身を傷つける。そんな豆鉄砲で彼女を止められると思わぬことだ。
「壊せ、壊せ、壊せぇぇぇ!!」
相手がオブリビオン化したキャバリアということもあってか、小枝子の戦いぶりには微塵も容赦がない。目についた敵機の元まで距離を詰めると、サイキックシールドを纏わせたハルバードで叩き切る。空間ごと切断するその斬撃に、一切の防御は許されない。
「だめだ、やられ……ぎゃぁぁぁッ!!!」
あえなく真っ二つにされ、乗員と共に爆発四散するキャンサー・ワゴン。モスクワ攻めに突如として来襲した亡霊の戦機により、ゾルダートグラードの兵員輸送部隊は深刻な被害を受けつつあった。だが、それでも未だ危機は去らず、少女の咆哮は戦場に轟いた――。
大成功
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ニクロム・チタノ
あれが敵の乗り物だね、戦闘に集中しているおかげでこっちに気づいてないみたいだね?
それに辺りに破片や薬莢みたいな無機物もたくさんあるね、ようし
さあ反抗せよ
無数に戦場に散らばる無機物を重力槍に変えてワゴンを撃ち抜くよ
今さら気づいても遅いよ、主砲部分を重力槍の不意討ちで真っ先に破壊したからボクの盾を抜ける武装はもうないよ
歩兵の小銃や固定機銃は蒼焔の盾で全て防ぐよ
弾を撃てば薬莢が散らばる、そうしてできた無機物もボクの盾となり槍となるのさ
どれだけ物質に任せてもそれはお前達に返って来るよ
結局圧政は反抗を生む、力はより大きな力の競争を生む
こんな圧政は終わらせないといけないね
「あれが敵の乗り物だね、戦闘に集中しているおかげでこっちに気づいてないみたいだね?」
モスクワに向かって進軍する『キャンサー・ワゴン』部隊の様子を、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は後方から観察していた。超大国にとって最大の敵は他の超大国であり、ワルシャワ条約機構と交戦中の今、猟兵の介入を警戒する余裕はゾルダートグラード側にはないようだ。
「それに辺りに破片や薬莢みたいな無機物もたくさんあるね、ようし」
戦場に散らばった無数の遺物を見て、ニクロムは微かに目を細める。どうやら敵を撃破する作戦は決まったようだ。
我が物顔に振る舞い、獣人達の苦しみをよそに覇権争いを続けるオブリビオンども。この世界は奴らのものではないと思い知らせてやろう。
「さあ反抗せよ」
ニクロムが【反抗地帯】を発動すると、戦場に散らばる無数の無機物が重力槍に変換され、敵の元へと飛んでいく。
それらは一本一本が尋常ならざる質量と破壊力を秘めて、無防備な背後からキャンサー・ワゴン部隊を撃ち抜いた。
「ぐおッ?! なんだ!」「敵襲だ! ワルシャワの奴らじゃないぞ!」
「今さら気づいても遅いよ」
動揺しながらもゾルダートグラード兵は猟兵の奇襲を察知したが、今の不意打ちで主砲塔部分が破壊された。兵員輸送型であるキャンサー・ワゴンに残された武装は申し訳程度の固定機銃、それと障害撤去用のアームくらいしかない。
「これでボクの盾を抜ける武装はもうないよ」
「くそっ、撃て、撃てー!」
キャンサー・ワゴンの兵員は手持ちの小銃と機銃で【緊急射撃戦闘】を仕掛けるが、それはニクロムの周囲に現れた蒼焔の盾に防がれる。この盾も槍と同じく周囲の無機物を変換したもので、小口径の弾丸くらいではビクともしない。
「弾を撃てば薬莢が散らばる、そうしてできた無機物もボクの盾となり槍となるのさ」
戦場にいる限りニクロムに弾切れはあり得ず、敵兵の攻撃は新しい武器を提供するだけ。初撃が成功した時点で決着はついていたのだ。無意味な反撃を凌ぎきったのち、彼女は再び重力槍を放ち、キャンサー・ワゴンを撃破していく。
「どれだけ物質に任せてもそれはお前達に返って来るよ」
「ば、バカな……」「こんなところで
……!!」
槍に貫かれたキャンサー・ワゴンは黒煙を上げて機能を停止し、乗っていた兵員も串刺しにされて骸の海へと還る。
精強を誇ったゾルダートグラード軍は、文字通り自らの撒いた種によって敗れ、甚大な損害を受けることになった。
「結局圧政は反抗を生む、力はより大きな力の競争を生む。こんな圧政は終わらせないといけないね」
100年以上に渡って続いている超大国による獣人戦線の支配。この大戦はそれを終結させる兆しとなるのだろうか。
反抗の守護竜チタノに選ばれた反抗者として、ニクロムには圧制者と戦い続ける使命がある。心の火を絶やさずに、彼女は次なる敵の元へと向かった――。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
オブリビオン同士で相争う状況、存分に利用させてもらう
黒い軍服を身に纏い(転身・死葬冥妃)、手には二挺の拳銃を携える
【闇に紛れた】この身を捉えることは、警戒する軍人であろうと容易ではない
人並外れた脚力(ダッシュ)で追い縋り、跳躍(ジャンプ)して上部に乗り込む
反応する隙を与えず(クイックドロウ)、魔銃ストラーフの【呪殺弾】による銃撃――
死葬冥妃の加護を受けたそれは、もはや【砲撃】と呼ぶべき破壊力を以って【蹂躙】する
ハッチを開け、車両内に銃を突っ込み発砲、発砲、発砲
機能停止させれば別の車両に跳び移る
「オブリビオン同士で相争う状況、存分に利用させてもらう」
黒い軍服を身に纏い、手には二挺の拳銃を携えて、雪原の戦場に降り立つはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。彼女がオブリビオンどもに見咎められないのは、両軍がモスクワ攻防にかまけているのだけが理由ではない。
(闇に紛れたこの身を捉えることは、警戒する軍人であろうと容易ではない)
【転身・死葬冥妃】により冥府の女王の加護を授かった彼女は、隠密力・速度・攻撃力が大幅に向上している。誰にも気付かれぬまま人並外れた脚力で地を駆け、敵軍に追い縋る。狙うはゾルダートグラード軍の兵員輸送型キャバリア『キャンサー・ワゴン』だ。
「呼応せよ、冥府の女王。死を齎す者よ。御身に宿りし万死の呪詛を、我が双銃に貸し与え賜え――!」
ひとっ跳びでキャバリアの上部に乗り込んだオリヴィアは、乗員に反応する隙を与えず「魔銃ストラーフ」を抜き、祈りと共にトリガーを引く。放たれた呪殺弾――
死葬冥妃の加護を受けたそれは、もはや砲撃と呼ぶべき破壊力を以って敵を蹂躙した。
「なッ……ぐはぁッ!」「ぎゃぁぁッ!!」
銃座や小銃を構えて敵に備えていたはずのゾルダートグラード兵は、一度も撃ち返す機会のないまま蹴散らされる。
上部の兵員を一掃したオリヴィアは、キャバリア内部に入るためのハッチを開けると、車両内に銃口を突っ込んだ。
「冥府に落ちろ」
「ぐはッ!?」「ぎゃッ!!」「がへッ?!」
発砲、発砲、発砲。キャンサー・ワゴンに撃ち込まれた銃弾は狭い車内で何度も跳弾を繰り返し、乗員に牙を剥く。
逃げ場のない地獄と化した車内に、断末魔の悲鳴がぐわんぐわんと反響し――それが止む時には、生存者は誰一人としていなかった。
「敵襲だ!」「味方がやられてるぞ!」「クソがッ!」
遅れて事態を把握した僚機は、襲撃者を排除しようと障害撤去用アームを振りかざすが、オリヴィアはそれを無視するように別の車両へと跳び移る。キャンサー・ワゴンの構造上、上部に立っていれば【シザ―ハンド・アタック】は届かず、射撃武装だけでは彼女を捉えきれない。
「貴様達の進軍はここまでだ」
「ひ、ひぃッ
……!!」
冥府の加護を纏ったオリヴィアの威圧は目撃者を恐怖させ、戦意を挫く。華麗にして無慈悲な死の銃奏をもって敵兵を葬り、キャバリアを機能停止させる彼女を誰も止められない。動かなくなった車両から次の車両へと飛び移る様は、さながら死の遣いだ。
「チクショウ、猟兵め……がはッ!」
超大国の敵は超大国だけではない。ワルシャワとの戦いに傾注していたゾルダートグラード軍も思い知っただろう。
獣人の生命と尊厳を無視し、無意味な侵略戦争に明け暮れるオブリビオンに明日はない。死を齎す魔銃使いから逃げられた者はいなかった――。
大成功
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エリン・エーテリオン
よし、行くぜブラッドムーン、エキドゥーマ…
私とブラッドムーンとエキドゥーマは迷彩を使用します
『コレゾバックアタックデスネ…』『行くよ?』
敵の背後から爆破属性攻撃の光線を放ち戦車のタイヤを破壊するか横転させる
おら!くたばりやがれ!
敵のUCに対しては推力移動で攻撃範囲から逃げてから衝撃波を放つ
『カニハコウキュウショクザイ!』『君達はモスクワでは無く骸の海へ還るといい!』
ブラッドムーンは敵は斬撃波を放ちエキドゥーマは電撃を放ち攻撃
行くぜ!久しぶりの…魔喰無!
UCを発動し虹炎反射水晶を出現させて虹炎を放ち敵を貫いた
『グッバイゲドウ!』
『さあ諦めて死のう!』
ブラッドムーンとエキドゥーマも斬撃波を敵に放つ
「よし、行くぜブラッドムーン、エキドゥーマ……」
モスクワ攻略に向けて進軍するゾルダートグラードの『キャンサー・ワゴン』を発見したエリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)は、仲間の邪神龍ブラッドムーン、エキドゥーマと一緒に迷彩を使用し、こっそりと近付いていく。
『コレゾバックアタックデスネ……』『行くよ?』
モスクワを防衛するワルシャワ条約機構軍を意識するがゆえに、ゾルダートグラード軍は猟兵に背後を突かれるとは露ほども考えていないだろう。まんまと軍の背後を取った三人は、キャバリアの多脚部を狙って一斉に光線を放った。
「ッ! なんだ!」「背後から敵襲! 足をやられた!」「チッ、撃ち返せ!」
奇襲により脚部を爆破されたキャンサー・ワゴンは、辛うじて横転は免れたものの移動力を喪失する。乗員の兵士は主砲や機銃を使って【緊急射撃戦闘】を仕掛けてくるが、動けない固定砲台からの攻撃などエリン達の脅威ではない。
「おら! くたばりやがれ!」
「グワァーーーッ?!!」
推力移動で射線から逃れつつ衝撃波を放つと、鈍重なキャバリアは横倒しになり、中にいた兵士達が投げ出される。
こいつらはモスクワ攻略のために前線へ送られるはずの連中だ。ここで車両ごと潰しておけば、ゾルダートグラードの被害は深刻だろう。
『カニハコウキュウショクザイ!』『君達はモスクワでは無く骸の海へ還るといい!』
ブラッドムーンは斬撃波を、エキドゥーマは電撃を放ち、キャンサー・ワゴンとゾルダートグラード兵を攻撃する。
やはり初手で足を潰したのが効いており、機動力を殺された敵部隊は射撃戦で完全に撃ち負けている。もちろん逃走することもできないため、猟兵側が圧倒的有利な状況だ。
「行くぜ! 久しぶりの……魔喰無!」
ここでエリンは【虹炎殲滅魔法・魔喰無】を発動し、虹色の炎と水晶を同時に出現させる。彼女が放った炎は水晶によって反射され、四方八方から何度も敵に襲い掛かる。その火力はあらゆる耐性や防御を貫通し、キャンサー・ワゴンの装甲を紙のように突き破った。
『グッバイゲドウ!』『さあ諦めて死のう!』
追い討ちをかけるようにブラッドムーンとエキドゥーマも斬撃波を放つ。人智を超えた邪神龍である彼らの攻撃も、戦車の装甲を切り裂くには十分すぎる威力を誇り――裂けた装甲の隙間から飛び込んだ虹炎が、敵兵を丸焼きにする。
「「ウギャァァァァーーーーッ
!!!」」
キャバリアと運命を共にし、絶叫しながら燃え尽きていくゾルダートグラードの兵士達。モスクワの寒気に晒されて死ぬ覚悟はあっても、まさかこんな死に方をするとは思いもしなかっただろう。立ち上る虹色の炎と煙の前で、三人の邪神龍はハイタッチを交わすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ソラウ・エクステリア
絶対に止めてやる…!
『ええ…行くわよソラウ』
迷彩を使用してエミリアーノと共に敵に背後から攻撃しようとした時
『わはーん、キングラーミアなのだ〜』『クイーンラーミアなのだ〜』『プリンスラーミアなのだ!』『プリンセスラーミアなのだ〜!』
僕らよりも先に背後から王冠を被ったラーミアが歪波動を放ち襲撃していた
他のラーミア達は光線を放つ
…えっ?ラーミアなの?って早く攻撃しないと!
『えっ…あれキングラーミアじゃない?珍しい…』
エミリアーノはラーミアを見ながらも電撃の弾幕を放ち敵を攻撃
行くよ…ライトニング・パルサー!
敵のUCは念動力による推力移動で回避したら反撃にUC轟雷槍・ライトニング・パルサーを発動して攻撃
「絶対に止めてやる……!」
ゾルダートグラード軍によるモスクワ侵攻、迎え撃つワルシャワ条約機構軍。超大国同士の争いの背景で蹂躙される罪なき獣人達の犠牲を、ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)は断じて許容しない。
『ええ……行くわよソラウ』
その気持ちは彼女の相方である時空龍エミリアーノも同じだ。モスクワ近郊に到着した二人は迷彩で姿を消しつつ、ゾルダートグラードの背後に回り込み――兵員輸送型キャバリア『キャンサー・ワゴン』に攻撃を仕掛けようとした、その時。
『わはーん、キングラーミアなのだ〜』『クイーンラーミアなのだ〜』『プリンスラーミアなのだ!』『プリンセスラーミアなのだ〜!』
喋る梟のような奇妙な生命体の群れが、ソラウ達よりも先にキャンサー・ワゴン部隊を襲撃していた。王冠を被った【ロイヤルラーミアファミリー】は歪波動を放ち、その他のラーミア達は光線を放つ。獣人でも猟兵でもオブリビオンでもない未知の存在からの攻撃に、敵兵は大混乱だ。
「なんなんだコイツら?!」「うわぁぁぁぁっ!!」
可愛い見た目によらず次元災害と呼ばれることもある狂気の生命体・ラーミア。その攻撃の原理も不明だが、量産型キャバリアの装甲程度では止められないのは確かだった。たちまち戦場には兵士達の阿鼻叫喚、そしてラーミアの囀りが響き渡る。
「……えっ? ラーミアなの? って早く攻撃しないと!」
『えっ……あれキングラーミアじゃない? 珍しい……』
予想外の事態に一瞬ぽかんとしてしまったソラウだが、すぐに気を取り直して戦闘に参加する。エミリアーノも同様で、王冠とティアラにマントを装着したレアなラーミアを気にしつつも、電撃の弾幕をキャンサー・ワゴンに放った。
「ぐあっ……くそ、足が!」「畜生、死ねッ!」
その攻撃で駆動系統の一部がショートしたのか、キャバリア脚部の動きが止まる。【キャンサー・ストンプ】による反撃も移動もできなくなれば、いよいよ彼らは無防備だ。神速で飛び回るラーミアに撹乱され、照準もままならない。
「行くよ……ライトニング・パルサー!」
散発的な攻撃を推力移動で回避し、ソラウは【轟雷槍・ライトニング・パルサー】を発動。時間操作と空間次元移動によって瞬時に敵の間合いに踏み込むと、轟雷を纏った槍で連続突きを放つ。これは彼女が時空騎士団に所属していた頃の必殺技で、神速の雷撃は全てを破壊する。
「これでどうだ!」
「う、うわぁぁぁぁーーーッ
!!!?!」
刹那に放たれた四度の突きを全て食らったキャンサー・ワゴンは、動力炉を貫かれて大爆発。乗っていた兵士全てを道連れにしてスクラップと化した。モスクワに無事到着することなく、彼らは時空騎士とラーミアの前に斃れたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
フラーウム・ティラメイト
『フラーウム、私がUCを発動したら頃く待機です』
分かりました、とりあえず迷彩を使いましょう
私は迷彩を使用して待機する
マーアリアがUCを使用して姿を変えて支配の力で敵を操る
凄い、勝手に敵が倒れていきますね…
敵のUCは敵同士で攻撃させあっていた
あっそろそろいいですね?
『ええ…行きますよ!』
敵のUCが止まったら結界術を展開しながら推力移動で敵に迫りながら私は魔力吸収と生命力吸収の斬撃波を放ち敵に攻撃する
『効率よく消していきましょう』
マーアリアは次元能力で瞬間移動しながら電撃を放ち戦車を攻撃してから素早く呪殺弾を敵に放つ
『フラーウム、まだまだ敵がいますよ?』
分かりました、行きますよ!
と戦闘を再開した
『フラーウム、私がユーベルコードを発動したら頃く待機です』
「分かりました、とりあえず迷彩を使いましょう」
保護者である因果獣皇マーアリアの指示通り、フラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は雪原に紛れるように迷彩を纏い、モスクワ攻防戦の様子を眺めていた。今、あの都市では二つの超大国が正面から激突し、これまでにない規模の戦闘が行われている。
『私はマーアリア……因果の支配者です』
【因果獣皇・因果の支配者】を発動したマーアリアは、この状況を利用して敵軍を操る。禍々しい角と翼を生やした彼女の真の姿はまるで悪魔のようで、その権能は支配を司る。すでに勃発した戦火を煽り、被害を拡大させることなど造作もない。
「凄い、勝手に敵が倒れていきますね……」
マーアリアに操られているとも知らずに、ゾルダートグラード軍とワルシャワ条約機構軍は互いを傷つけ合い、友軍による同士討ちまでもが発生する。兵員輸送を担当する『キャンサー・ワゴン』にも累が及ぶところを、フラーウムは感心しながら見ていた。
「ウオオオオッ!」「死ねッ、死ねッ!!」
キャバリアに収容された兵士達は、主砲塔や固定機銃を闇雲に撃ちまくって【緊急射撃戦闘】を行っているが、そんな調子では長く保たないだろう。案の定、すぐに弾切れを起こしてカチカチと無駄にトリガーを鳴らすことになった。
「あっそろそろいいですね?」
『ええ……行きますよ!』
敵の射撃が止まるとフラーウムとマーアリアは結界を展開しながら前進。推力移動でキャンサー・ワゴンに迫ると、まずはフラーウムが鍵形の黒剣から斬撃波を放つ。その一撃は切れ味もさることながら、魔力と生命力を吸収する効果を持っていた。
「ぐ、おぉぉッ?!」「くそっ、猟兵め……うぎゃぁッ!!」
『効率よく消していきましょう』
体力を奪われ弱った兵士は、マーアリアの呪殺弾に始末される。彼女はクールな態度で敵を見下ろしながら、次元能力で瞬間移動を繰り返し――出現と同時に放たれる電撃は、キャンサー・ワゴンを次々とスクラップに変えていった。
『フラーウム、まだまだ敵がいますよ?』
「分かりました、行きますよ!」
敵の戦車を一台や二台潰した程度では、大した損害とは言えないだろう。これを機にゾルダートグラード軍に徹底的な打撃を与えるべく、フラーウムとマーアリアは戦闘を継続する。因果を支配する彼女達の手にかかれば、この戦いの結末はすでに決まったも同然であった――。
大成功
🔵🔵🔵
リュカシオン・カーネーション
《早く破壊した方が…ん?!》
あっ、運が悪かったな…
推力移動で移動しながら迷彩を自身とアロナちゃんの姿を消しながら進んでいると何か現れた
『ラーミアなのだ』バァーン『ここはラーミア達のベストプレイスなのだ』バァーン『ラーミアのプレイスから出て行って欲しいのだ』バァーン
ラーミア達が敵に光線を放ち敵と交戦していた
知らねえのか、この辺はラーミアの縄張りだぞ
《ここ獣人戦線ですよね?!もういいです!》
アロナちゃんは炎と水と風の魔法を敵の背後から放ち固定機銃と敵を攻撃する
おいおい、砲撃はさせねえよ?
オーラ防御で攻撃を防ぎながら素早く爆破のエネルギー弾を放ち敵の主砲搭を破壊してからアズリエルの斬撃波で攻撃
《早く破壊した方が……ん?!》
「あっ、運が悪かったな……」
モスクワを攻めるゾルダートグラード軍を背後から強襲するために、迷彩で姿を消しながら移動中だったリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)と精霊王アロナフィナ。しかし、戦場に到着した彼女達が見たのは予想外の光景だった。
『ラーミアなのだ(バァーン)』『ここはラーミア達のベストプレイスなのだ(バァーン)』『ラーミアのプレイスから出て行って欲しいのだ(バァーン)』
「クソっ、なんだコイツら?!」「知らねえよ! どこから出てきやがった!」
丸っこくて可愛い梟のような生命体の群れが、ゾルダートグラードの『キャンサー・ワゴン』と交戦している。彼らの名はラーミア――この世界の外からやって来た次元の怪物は「わはーん」と鳴きながら、謎の光線を敵に浴びせる。
「知らねえのか、この辺はラーミアの縄張りだぞ」
《ここ獣人戦線ですよね?! もういいです!》
どうして、いつの間に、勝手によその世界で縄張りを作っているのかは不明だが、【次元からラーミアが大量に出てくるのだ】によって現れたラーミアの群れはゾルダートグラード軍を敵だと認識しているようだ。アレを敵に回した時の面倒くささはリュカシオン達もよく知っている。訳が分からなくてもこの状況は利用すべきだ。
《えいっ!》
「ッ?! こんな時に、また伏兵かよ!」
精霊王が放つ炎と水と風の魔法は、キャンサー・ワゴンの上部に備え付けられた固定機銃と、射手を担当する兵士達を背後から吹き飛ばした。残された乗員は悪態を吐きながら主砲塔を旋回させ、【緊急射撃戦闘】を開始するが――。
「おいおい、砲撃はさせねえよ?」
そこに割り込んできたリュカシオンが、オーラの盾で攻撃を防ぎながらエネルギー弾を放つ、発砲寸前の砲塔に飛び込んだそれは、弾薬と反応して大爆発。「うぎゃぁッ?!」と中にいた兵士の悲鳴と共に、ひしゃげた砲台からもくもくと黒煙が上がった。
「これでもう撃てないよな」
射撃武装を失ったキャンサー・ワゴンへと、リュカシオンは悠々と接近して「天災邪神鎌龍アズリエル」を振るう。
禍々しき大鎌の刃はキャバリアの装甲をケーキのように切断し、乗員の兵士もろともバラバラに切り刻んでいった。
「ラーミアのお陰で助かったな」
《確かにそうですけど……》
『わはーん(バァーン)』
誰にとっても予想外だったラーミアの出現により、労せずして強襲作戦を成功させたリュカシオンとアロナフィナ。
縄張りから全てのオブリビオンを追い出すまで、ラーミア達に止まる気配はなく。これに乗じて彼女達も攻撃を続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鎬木・一郎
はぁー、全く軍って奴らはよォ。まァー俺のやることなんて大海に一石を投じる様なもンだろうが、昔の仕事よりかはマシな方かァ。
以前は、互いの戦力を適度に間引いて戦争を長引かせるなんてクソみてェな仕事もしたが、それに比べりゃァ気が楽かァ。
先ずは、見付かりにくい配色の服だなァ。雪が多いから白を基調にした服が良いだろうなァ。銃も白のカラーリングにするかァ。
無想の一射の射程内を維持して息を殺して身を隠す。咄嗟に身を隠せる所がある場所が好ましい。
通り過ぎるのを待ち、ある程度距離が開いたらスナイパーライフルで狙う。優先順位は、指揮官、操縦士、砲撃士、一般兵の順。砲撃士が居なくなれば距離を詰めるのも良い。
戦場ってのはホント独特の空気だよねェ。懐かしいねェ、この感覚。心はこれ以上ない位に冷えきってるのに、頭の奧は熱く滾って感覚が鋭くなる。何年経っても忘れないもンだねェー。クックック……。
お宅らに恨みは無いんだけどさァ、悪いねェ、戦争ってそんなもんだからさァ。(ニィ…と口だけ笑みを深め咥えた飴を噛み潰す)
「はぁー、全く軍って奴らはよォ。まァー俺のやることなんて大海に一石を投じる様なもンだろうが、昔の仕事よりかはマシな方かァ」
巻き込まれる一般人の犠牲など考えもせずに、好き勝手に戦火をばら撒く超大国。そこに横槍を入れる依頼を受けた鎬木・一郎(人間のガンスリンガー・f42982)は、ほとほと呆れたという顔で溜息を吐いた。あらゆる物事を楽しもうとする彼でも、気が乗らないことはあるものだ。
「以前は、互いの戦力を適度に間引いて戦争を長引かせるなんてクソみてェな仕事もしたが、それに比べりゃァ気が楽かァ」
過去に彼がどこで何をしていたのか、詳細な経歴を知る者は少ない。分かっているのはガンスリンガーとしての卓越した技術と、言動の節々から滲む実戦経験のみ。それがあればモスクワ攻防戦に乗じて敵軍の背後を突くなど、造作もないことだろう。
「先ずは、見付かりにくい配色の服だなァ」
雪が多いモスクワの風土に合わせて、白に基調にした服を身に着け、銃も白のカラーリングに塗り替えてきた一郎。
カモフラージュの支度を万全にした上で、彼は息を殺して潜伏する。敵軍の通り道を射程距離に収められ、なおかつバレた時に咄嗟に身を隠せる起伏と遮蔽物のある場所だ。
(さァて、おいでなすったかァ)
やって来たのはゾルダートグラードの兵員輸送型キャバリア『キャンサー・ワゴン』の部隊。収容した兵士を前線に送り届ける最中だろう。現在、ゾルダートグラード軍の戦力はモスクワを防衛するワルシャワ条約機構軍に集中しており、第三勢力――すなわち猟兵の介入については警戒が薄くなっている。
「当てよう、狙おうなんて考えなくても、当たるもんは当たるのさァ」
キャバリアが通り過ぎるのを待ち、ある程度距離が開いてから、一郎はスナイパーライフルで敵の背後を狙う。緊張する様子もなく、口には飴玉を咥えたまま、普段と変わらぬ自然体で。かつて数多の頭に風穴を開けた信頼の逸品と、身体に染み付いた技術と経験があれば、この程度は外しようがない距離だ。
「がッ
……!」「しゃ、車長殿?!」
優先順位は指揮官、操縦士、砲撃士、一般兵の順だ。狙われているのにも気付いていないゾルダートグラード兵は、一郎の【無想の一射】に撃ち抜かれ、絶命する。他の兵士は殺された仲間の屍を見て、ようやく事態を知る有り様だ。
「そ、狙撃だ!」「狙われているぞ!」「一体どこからだ?!」
キャンサー・ワゴンの乗員達は慌てて砲塔や銃座を旋回させ、狙撃手の姿を探すが、そんな簡単に見つかるほど杜撰なカモフラージュはしていない。指揮官を撃って統率を乱し、操縦士を撃って機体の動きを止めれば、次は砲撃士を撃って攻撃力を削ぐ。
「戦場ってのはホント独特の空気だよねェ。懐かしいねェ、この感覚。心はこれ以上ない位に冷えきってるのに、頭の奧は熱く滾って感覚が鋭くなる」
機械の如き正確無比な狙撃を繰り返しながら、一郎は心底楽しそうに笑っていた。久方ぶりに味わう戦場の空気は、彼に高揚と緊張感を同時にもたらし――まるで郷里に帰ってきたかのように、彼の心身はこの感覚に即座に順応した。
「何年経っても忘れないもンだねェー。クックック……」
慌てふためく兵士をスコープの視界に収め、息をするように狙い撃つ一郎。砲撃士を始末してキャバリアの砲塔が沈黙すると、距離を詰めて攻撃を継続する。モスクワ攻防戦に乗じて少しでも多くの損害を与えるのが目的である以上、ここで奴らを逃がす理由はなにも無かった。
「お宅らに恨みは無いんだけどさァ、悪いねェ、戦争ってそんなもんだからさァ」
「ギャッ!?」「ぐぁッ!!」
ニィ……と口だけ笑みを深め、咥えた飴を噛み潰す。銃声と悲鳴が戦場に響き渡り、鮮血が雪原を赤く染めていく。
無情なる戦争の理に従って、一郎の射程にいた全ての敵が動かなくなるまで、さほどの時間はかからなかった――。
かくして猟兵達による強襲作戦は、モスクワを攻めるゾルダートグラード軍に大きな損害を与えることに成功した。
モスクワを防衛するワルシャワ条約機構側にも、別の作戦部隊が攻撃を仕掛けているだろう。この戦果が次の戦線、そして獣人世界大戦の行方にもたらす影響は、決して小さくないはずだ――。
大成功
🔵🔵🔵