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獣人世界大戦⑧〜メーデー・ソング

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #人民租界 #シャングリラ・シュミセン #『A』ubade

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●渾沌の先駆け
「カカッ……此処までは『王』と『師父』の思惑通り!」
 渾沌の先駆けたるコンキスタドール『有頂天道人』は虎の牙を打ち鳴らして笑う。
『渾沌』と『サイバー化』、その二つのまるで異なる異形を纏った虎獣人は、山一つを改造した数々の仙術サイバー都市『須弥山型都市』に同時に現れ、瞬く間に『有頂天天蓋』を制圧する。
 彼にとって、それは容易いことであった。
「本田と黯党は、本気で俺から領土を奪えたと思っているだろう。だが、それは全て幻朧帝国の中枢に深く食い込んでいる『王』の策略」
 そう、これは策略の先駆けである。
 己と黯党が本気で争えば、『始祖人狼』は己達を捨て置き、欧州に注力することになる。
 そうなれば、『有頂天道人』の『師父』が求める『はじまりの猟兵』を探す時間を稼げない。
 故に、本気で争うことはなく、こうして時間を得たのだ。

「すでに俺の『師父』は既に『はじまりの場所』の目星をつけている。故に、俺は『王』の想像より疾く、『はじまりの猟兵』を見つけ出すだろう。さあ、お前達よ征け」
『有頂天道人』は配下たる『コウモリ爆撃兵』たちに告げる。
 きっと己の行動は猟兵に知られている所であろう。
 ならば確実に猟兵たちは来ると考えるのが自然の道理。
 己が座す『有頂天天蓋』に至る道を圧倒的物量で封鎖すれば、如何に猟兵と言えど時間が足りなくなるだろう。
 そうなれば、自ずと己と己の『師父』が求めたる時間を得ることができるのだ。

「『師父』は『はじまりの猟兵』をご所望なのだ。悪いが土壇場では裏切らせてもらうぞ、『カルロス王』よ」
『有頂天道人』は『有頂天天蓋』に立ち、睥睨する。
 猟兵たちは恐らく止まらぬだろう。
 ならばこそ、彼は己に迫るであろう猟兵たちを『コウモリ爆撃兵』たちに足止めさせるべく、号令を出したのだ。
「ギキッ!」
 その号令に従った『コウモリ爆撃兵』たちは『有頂天天蓋』の更に上空を覆い尽くす暗雲の如き群れでもって駆け上がってくる猟兵たちを迎え撃つのだった――。

●獣人世界大戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。獣人戦線にて、遂に超大国が一つ『ワルシャワ条約機構』が動き出しました。彼らの目的は一つ。『はじまりの猟兵』の拠点を探し出すこと。その手がかりを彼らが掴んだのです」
 彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
 更に悪いことには、その『ワルシャワ上条約機構』の動きに呼応して他の超大国も大規模な軍事侵略を開始したのだ。
 この戦争によって犠牲になるのは罪なき獣人達である。
 加えて、この超大国のオブリビオンたちは世界の滅亡……即ち『カタストロフ』さえも意に介していない。

 獣人を護れるのは菱栄だけなのだ。
「まずは第一戦線が一つ、人民租界に多数存在する『須弥山型都市』の一つを瞬く間に制圧したコンキスタドール『有頂天道人』の目論見を打破せねばなりません」
 この『須弥山型都市』は以前猟兵たちが戦いに赴いた都市の一つでもある。
 そこには『熾天大聖』と呼ばれる大鴉の獣人やサイバー武侠たる虎の獣人たちも制圧されども、隠れ潜み、打って出る好機を伺っているようなのだ。
「敵の数はあまりにも膨大です。故に皆さんだけでは……」
 時間が足りない、ということなのだろう。
 だが、この『須弥山型都市』にて好機を伺っている獣人たちと連携することができれば、この膨大な戦力の敵を撃滅し、『有頂天道人』への道を開くことができるだろう。

「どうかお願い致します。獣人の皆さんは罪なき人々。再び戦火に晒された彼らを救えるのは皆さんだけなのです」
 ナイアルテはそう告げ、猟兵たちを送り出す。
 全世界の超大国をも巻き込んだ大いなる戦い。
 その初戦を、第一戦線を制するため、猟兵たちはきっと躊躇わずに一歩を踏み出すことだろう――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。

 山一つを改造した『須弥山型都市』の数々に突如として現れ、瞬く間に制圧したコンキスタドール『有頂天道人』。
 彼は『サイバー化』と『渾沌化』という二つのまるで異なる異形を纏った超強敵です。
 これを撃破し、『須弥山型都市』を奪還するためには、『有頂天天蓋』を覆う暗雲の如き膨大なオブリビオン『コウモリ爆撃兵』を蹴散らさなければなりません。
 ですが、この数は圧倒的です。
 猟兵である皆さんだけでは時間が足りないでしょう。

 ですが、この『須弥山型都市』は制圧されどもサイバー武侠を始めとする獣人たちが好機を伺っています。
 彼らに呼びかけ、助太刀を求めれば以前この『須弥山型都市』にて共に戦った彼らが駆けつけることでしょう。

 プレイングボーナス……現地住民の信を得、彼らと協力して敵を蹴散らす。

 それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『コウモリ爆撃兵』

POW   :    無差別爆撃
戦場にレベル×5本の【焼夷弾】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【多くの被害と死者が出る】対象を優先して攻撃する。
SPD   :    反響定位
【超音波】を体内から放出している間、レベルm半径内で行われている全ての【攻撃】行動を感知する。
WIZ   :    空飛ぶ悪魔
戦場内で「【助けて・死にたくない・怖い・熱い・神様】」と叫んだ対象全員の位置を把握し、任意の対象の元へ出現(テレポート)できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

禹・黄風
…私は私にできる事を。
まずは信を得られるように戦いましょう。

先に援軍が来た事を示します。
UC起動、無数の蝙蝠の投下する焼夷弾を見切り瞬時に棍を伸ばし空中で弾き返します。
狙って落としてくるならその軌道を逸らせれば被害は抑制できる筈、可能なら敵兵にぶつけて炎上させましょう。
特に焼夷弾が集中している位置があるならそこの敵兵の隙を見切り棍で直に打ち据え移動を封じます。
ここに来るのは初めて、ですが仲間の猟兵がこの地で戦った事は伺っています。
この敵数を私達だけで倒す事は難しい、ですが皆さんの力があれば必ず守り切れます。
それを示す為、私は戦い続けます。
言葉より行動で信を得られれば、と。

※アドリブ絡み等お任せ



 戦う、というのならば示さねばならない。
 目にするは暗雲立ち込めるかのような様相を見せつけるオブリビオン『コウモリ爆撃兵』の群れ。
『須弥山型都市』の『有頂天天蓋』を守るように上空を飛び、迫る猟兵を爆殺せんと放つは無数の焼夷弾。
 炸裂する爆発は猛烈なる勢いで持って駆け上がろうとする猟兵たちを襲うだろう。
「ギキッ! 猟兵たちを殲滅セヨ!」
「ありったけを放て。無差別ダ!」
 彼らはしきりに互いの位置を把握し、数に任せて焼夷弾を放ち続けている。
 この状況では元々『須弥山型都市』にいたサイバー武侠である虎獣人たちも飛び出すことはできないだろう。

 徒に飛び出せば、それだけで敵に利することになるからだ。
「……私は私にできることを」
 何事においても礼儀は、大切なことである。
 だが、それ以上に信を得るために必要なことは何か、と問われたのならば禹・黄風(武の頂を・f40009)は応えるだろう。
 先駆けを征くことである。
 確かに焼夷弾の爆発は恐ろしい。
 けれど、此処にあるのは一人ではないということを示さねばならない。
「その破壊活動を――阻む」
 紫嵐(ズーラン)のように膨れ上がっていく練り上げられた気が可視化され、紫炎の闘気となって噴出する。

 黄風の体躯を包み込む闘気は、一瞬で彼を『コウモリ爆撃兵』へと走らせる。
 振るう自在三節棍が投下された焼夷弾を尽く弾き、さらに空中で爆散させるのだ。炸裂した爆発が『コウモリ爆撃兵』たちの体躯を揺らす。
「ギキッ! 弾き返すだと!?」
「然り。これ以上『須弥山型都市』を焼かせはいたしません。そのためのユーベルコード、そして、これまでの鍛錬、功夫なのです」
 黄風は三節棍を振るい、次々と迫る焼夷弾を弾き返す。
 逆手に持ち、順手に持ち替え、振るう三節棍は闘気と共に嵐を呼ぶ。

「ここに来るのは初めて。ですが、仲間の猟兵がこの地で戦ったことは伺っております」
 そして、黄風は喉を震わせる。
 よく通る声であった。
 周囲にて身を潜めていたであろう虎獣人たちへと呼びかけるのだ。
 猟兵の力は確かに驚異的なものだろう。
 だが、敵の数はさらに多い。これを己達だけでどうにかしようというのは、あまりにも無理な話なのだ。
 ならば、なんとするか。
 助力を乞うのだ。
「この敵数を私達だけで倒すことは難しい、ですが皆さんの力があれば必ず守り切れます」
「できるモノか! 我等が帯びた使命を此処で果たさせてモラウ!」
『コウモリ爆撃兵』たちの放つ焼夷弾が黄風に迫る。
 放つ三節棍に弾き返せる数も限界がきていた。

 だが、それでも戦う。
 何故ならば、己は此処に示すために来たのだ。
 己達が戦い続け、オブリビオンの脅威を打ち払う、と。
 故に彼は言葉以上に行動で示す。
「汝に信あり。響いたぞ、貴殿の行いは」
 その言葉と共に黄風は見ただろう、今まで機をうかがうだけであったサイバー武侠たち、その虎獣人たちが飛び出す姿を。
「ご助力、感謝いたします!」
「なに、信を見て動かずは義ではない。それだけのこと。往くぞ、猟兵よ」
 サイバー武侠の虎獣人の言葉に黄風は頷く。
 迫る焼夷弾の嵐を打ち払うように、共に嵐を生み出し、爆風を退けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風吹・香織
 へぇ、「空飛ぶ悪魔」?
 面白いね、私の|P-38 ライトニング《相棒》、「双胴の悪魔」とどっちが悪魔の名前に相応しいか勝負するとしよう。

 戦場内で助けを求めた対象の位置に移動するとは悪逆な奴らだね。
 けど、ってことは敵は地上付近に現れるはずだ。
 こっちは敵より高度を取りつつ、急降下して、機関銃で攻撃し、現地住民を助けていく。ロケットランチャーや機関砲、爆弾では、現地住民を傷つけちゃうかもしれないからね

 あとは檄文を書いておいて、空中から巻くよ。
「我ら六番目の猟兵、『須弥山型都市』奪還のために立つ! 勇気ある者よ、共に立て! JOIN US!」
 私が巻いてると分かるよう相棒の絵も添えておこう。



『須弥山型都市』の上空を埋め尽くすは暗雲の如きオブリビオン軍団『コウモリ爆撃兵』たちであった。
 彼らは圧倒的な数でもって『有頂天天蓋』へと迫らんとしている猟兵たちを阻む。
 数の暴力は如何に猟兵たちが強大な存在になったとしても、その脅威をこそ阻むものであったのだ。
「ギッ! 隊列を意地しろ! 奴らは駆け上がることしかできない」
「駆け上がるなら撃ち落とせばいいだけの話だ。地の利も数の利も此方に有り!」
 彼らの言う通りだった。
 空は彼らの独壇場。
 見下ろす猟兵たちを攻撃で持って退ければ良い。
 ただそれだけなのだ。

 空を飛翔できるということは、それだけ有利なのだ。
 だが、彼らは知らなかったのだ。
 己達だけが空を飛ぶものではないということを。
「へぇ、『空飛ぶ悪魔』? この私の前でよくその名を名乗ったものだね。面白いね」
 その言葉と共に風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)は己が相棒である『双胴の悪魔』たる『P-38ライトニング』と共に『コウモリ爆撃兵』たちの頭上を取るようにして飛翔していた。
 エンジン音が聞こえる。
 風を切る翼。
 それはスズメの獣人である彼女の翼ではない。
 彼女は双発機を手繰り、一気に戦場の暗雲たる『コウモリ爆撃兵』の群れを切り裂くようにして飛ぶ。

「戦闘機!? なんだアノ奇妙な形は!」
 香織の駆る双発機の姿に『コウモリ爆撃兵』たちは目を剝く。
「どっちが悪魔の名前にふさわしいか勝負するとしよう」
 敵は地上から駆け上がる猟兵達ばかりを見ていた。
 当然だ。
 猟兵達が『有頂天天蓋』に迫る手段は限られていたからだ。けれど、彼らは香織のように戦闘機を用いて、そもそも地の利である高さをイーブンに持ち込める存在がいるとは思ってもいなかったのだ。
「高高度、取った! 私の相棒の方が……高い!」
 香織の瞳がユーベルコードに輝き、『コウモリ爆撃兵』を見下ろす。
 翻るようにして双発機が空にて機体を回転させ、反転直下の軌道を示す。
 急降下。
 機関銃のトリガーを引き、頭を取られた『コウモリ爆撃兵』たちの体躯を貫く。
 さらに香織は地面すれすれを飛び、都市群の合間を縫う。

 制圧されたとは言え、未だサイバー武侠たちが機を伺っている。
 他の猟兵の呼びかけに応えた者もいるが、地の利は奪えても数の利は未だ猟兵達に不利であった。
 だからこそ、香織はキャノピーを空けると同時に己の機体のハッチを展開する。
 そこから放たれたのはミサイルでもなければ爆弾でもないものだった。
 白い紙束。
 空中から落下する『それ』は『須弥山型都市』中にばら撒かれる。
 まるで吹雪のようであった。

 人々は、空を見上げ双発機のエンジン音を聞くだろう。
 降り注ぐ雪のようなものが紙片であることにも気がついた。
「……なんだ、これは? ……『我ら六番目の猟兵、『須弥山型都市』奪還の為に立つ! 勇気ある者よ、共に立て! JOIN US!』……?」
 そして紙片の端には描かれた双発機の絵。
 つまり、紙片……つまりは檄文を撒いたのが双発機を操る猟兵であると知らしめるものだった。
 呼びかける言葉は限界がある。
 ならば、都市に身を隠しているサイバー武侠たちに今が立ち上がる時だと、香織は示して回ったのだ。
 そして、彼女は逃げ惑う獣人たちを追い立てる『コウモリ爆撃兵』たちを打ち倒し、空を飛ぶ『悪魔』ではなく、救世主を見るかの如き眼差しを受けて高く空へと飛び立つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
いやー敵さんも大分本腰を入れて攻めてきてるじゃん
ここまで来ると逆に凄い!
感心しちゃうね

敵が目論見通りとニヤけているなら、その面を張り倒したくなるのが猟兵魂
有頂天になった時こそ御用心!

さて、どう協力を求めるかだけと
うーん…うーーーん…
ま、派手に暴れてたら向こうから見つけて助けてくれるっしょ!
信を得るのは行動で表すのが1番
決して何も考えて無いわけじゃあない!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:T.S】起動
最大延長、沢山いるなら適当に斬っても当たる!
纏めて『なぎ払い』!
ついでに斬りながら剣の軌跡でタスケテって空に描こう
完璧じゃん私!
焼夷弾も纏めて空中で斬って派手にしよ



「いやー敵さんも大分本腰入れて攻めてきてるじゃん」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は『須弥山型都市』を瞬く間に制圧したコンキスタドール『有頂天道人』率いるオブリビオン軍団『コウモリ爆撃兵』たちが空にて暗雲にも思える数でもって飛ぶ様を見やる。
 圧倒的な戦力。
 あまりの数の多さに猟兵達だけでは対処に時間がかかることがうかがえる。
「ここまで来ると逆に凄い! 感心しちゃうね」
 玲はしかし、頭を振る。
 いや、本当に感心しているのかも知れない。

 敵の目論見は確かに達成されている。
 僅かな時間で『須弥山型都市』が制圧されたのもまた、同様だ。
 有頂天になっているのもわかる。
 だからこそ。
「そのニヤケ面張り倒したくなるのが猟兵魂」
 玲は模造神器を抜刀する。
 蒼い刀身が煌き、そのユーベルコードの力を発露する。雷がほとばしるようにして刀身を形成していくのだ。

「有頂天になった時こそご用心!」
 玲の瞳が見据えるは暗雲。
「暗雲と雷はワンセットでしょ! というわけでCode:T.S(コード・サンダーソード)! 出力上昇、雷刃形!」
 玲は、この『須弥山型都市』にて未だ好機を伺っているサイバー武侠たちに如何にして呼びかけるのかを悩んだ。
 悩んだと言っても一瞬である。
 本当に一瞬だけ悩んだ。どうやって呼びかけるべきかな、と。
 この状況では協力を仰がなければ覆せぬものがあると知っているからこそ、効果的かつ効率的にサイバー武侠たちの信を得なければならないのだ。

 うーん、と僅かに唸った。
 だが、まあ、何事も即行動が玲の本領である。
 ならば。
「派手に暴れてたら向こうから見つけて救けてくれるっしょ! というわけで最大延長!」
 形成された雷刃を玲は振りかぶって『コウモリ爆撃兵』たちめがけて振るう。
 狙いはつけていなかった。
 単純に目についた端から端を切り裂くようにして凄まじい長さへと変貌した刀身をふるったのだ。
 それは暗雲を切り裂く稲妻のようであった。
 同時に篝火でもあったことだろう。
「あっ! そうだ! これで『タスケテ』ってやったら、目立つっしょ! 完璧じゃん私!」
 ナイスアイデア! と言わんばかりに玲は敵の群れを切り裂くついでに絵文字ならぬ斬り文字を刻むように放つのだ。

「ギギッ、ば、ばかみたいなことを!」
「バカっていうなバーカ! 沢山いるんだから適当にやっても当たるでしょ! おりゃー!」
「か、考え無しも此処に極まれりだナ!?」
「いや、そうでもないです」
 玲はその言葉に見上げる。
 そこにいたのは二振りの炎と雷の刃を持つ大鴉の獣人『熾天大聖』であった。
 嘗てこの地で戦っていた獣人が玲の斬撃の軌跡を見て助太刀に来たのだ。

「ほら、何も考えてないわけじゃあないんだからね!」
「結果オーライ、ということですか」
「そうとも言うよね! さあ、助けに来てくれたからにはキリキリ働く!」
 玲はそう言って投下される焼夷弾を形成された雷刃でもって空中で切り裂き、爆散させながら『有頂天天蓋』を目指すべく駆け出す。
 その背中を守るように大鴉の翼が羽ばたき、敵陣を切り裂きながら駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
戦争か、忙しくなりそうだね
そして、こいつらは大迷惑だ。なんとかしないといけないな

スペース手拭いを伸ばし、ビルに引っかけて、一息に屋上に上がる
さて、一仕事だ

手拭いを風桜子で覆い、一振りすれば数十mも広がって、焼夷弾から人々を守る傘になる
「手の空いたやつは手伝ってくれ。今から、こいつらを叩き落とす」
潜む武侠達に明朗に告げ、俺は手拭いを今度はムチのようにしならせ、【早業】で空を舞う外道コウモリの翼を打ち据え、地上に叩き落として回りたい
仕留める必要はない。地に落とせば、後は武侠の兄さん方や獣人達が仕留めてくれるはずだ
建物の間を跳びながら、一匹でも多く奴等を叩き落としてやろう



 獣人世界大戦は獣人戦線の世界を巻き込んだ戦いである。
 超大国が入り乱れ、互いの領域を侵略することもいとわずに争い続ける。
 いつだってそうだが、争いの犠牲になるのは罪なき人々だ。
 人民租界の『須弥山型都市』の一つもそうだ。
 瞬く間にコンキスタドール『有頂天道人』によって制圧され、今や『有頂天天蓋』を覆うようにして無数のオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちが焼夷弾を放ち、爆発を持って迫る猟兵たちを退けようとしている。

 苛烈。
 一言で言えば、それであった。
 あまりにも苛烈なる爆撃。
 どうあっても猟兵たちは『有頂天天蓋』へと至るためには、駆け上がっていかねばならない。ならば、『コウモリ爆撃兵』たちは上空よりこれを狙って焼夷弾を放てばいい。
「簡単なことだ、ギギッ!」
「空より降りしきる雨を躱すことができないのと同じダッ!」
 彼らの言葉は尤もである。
 しかし、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は不敵に笑む。
「何がおかしい!」
「いやなに、こいつは大迷惑だ、とt思っただけさ。そして、なんとかしないといけないとな」
 その言葉と共に『スペース手拭い』が伸び『有頂天天蓋』へと至る道筋に巻きつけられ、体を駆け上がらせた。

 恭二郎は笑む。
「さてさて」
 迫る焼夷弾。
 その爆発は凄まじいものだった。
 用意に人の生命を奪うものであった。だからこそ、今日治郎は『風桜子』を纏う『スペース手拭い』をひとふりし、焼夷弾を空中で爆散させる。
「ナニッ!?」
「言ったはずだ、大迷惑だ、と。俺達を止めるために、そんなに爆発物を撒き散らされては人々に危害が及ぶ。それはゴメンだってことだ」
 これぞ神酒坂式千変布操術(センペンフソウジュツ)である。
 振るう『スペース手拭い』は一気に伸縮し、鞭のようにしならせて『コウモリ爆撃兵』へと巻き付き、引きずり落として大地へと叩きつけるのだ。

 恭二郎は敵を打ち倒すつもりはなかった。
 地に落とせば、己ではない……そう、サイバー武侠の虎獣人たちがトドメを刺すだろう。
 他の猟兵たちが呼びかけていてくれてよかったと恭二郎は思った。
「さて、兄さん方、頼むぜ?」
「あいわかった。こちらは任せよ」
「それじゃあ、俺は一匹でも多く奴らを叩き落としてやろう」
 恭二郎はサイバー武侠たる虎獣人たちに目配せ一つして『有頂天天蓋』へと至る道を走る。
 駆け上がり、焼夷弾の爆発を防ぎながら、さらに駆け上がっていく。
 確かにこれだけの数は己達だけではどうしようもないだろう。
 やはり、サイバー武侠たちの助力が不可欠。

 恭二郎は『スペース手拭い』を振るって『コウモリ爆撃兵』たちの翼を叩き切り、時には巻き付けた体躯を振るって空中から叩き落としていくのだ。
「手の空いたやつは手伝ってくれ!」
 恭二郎はそう呼びかけながら走る。
 味方は多ければ多いほうがいい。
 今も好機を伺っているサイバー武侠たちが、己の言葉に応えて走り出している。
「応とも!」
「頼んだぜ!」
 呼びかけに応えた者たちに恭二郎は手を振り、手拭を振り、さらに駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レニー・リー
中国、人民租界
おれのルーツでもあるし…師匠の故郷だ
世界中の何処も放っておきたくないけど
此処はどうしても譲れないね

此処に来るのは初めてだ
だからこそ、できる限り礼は尽くすよ

現地の住民達に接触、のち
|拱手《きょうしゅ》で挨拶

さらには
「|你好《ネイホウ》!猟兵として、此処にルーツを持つ者として、協力させてくれないかな」
現地の言葉を使って…というか、普通におれの口癖なんだけど
そうやって、彼らに近しい者だということを示すよ

戦闘は
【太陽気功】発動
【寅の型】併用

おれが敵の不意を打って行動阻害してる間に
現地の皆の攻撃で蹴散らしてもらうね

皆で協力すれば、|冇問題《モーマンタイ》
おれ達の世界は、おれ達で守らなきゃね



 己のルーツを知る。
 それは人の歩みにおいて、重要なものであったことだろう。
 レニー・リー(眠れる獅子兎・f43295)は米国にて生まれた。中華街の孤児――それが彼のルーツである。
 そういう意味ではレニーは人民租界にもルーツを持つ者であると言えるだろう。
 そしてなによりも、己の育ての親とも言うべき師の故郷たる人民租界を襲ったオブリビオンを許しておけるわけがなかった。
「本当は、世界の何処も放ってはおきたくはないけど」
 けれど、どうしても、と彼は意思みなぎらせた。
「此処はどうしても譲れないね」

 迫るは暗雲の如き群れとなって飛ぶオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちであった。
 彼らは超音波を放ち、此方の動きを把握しているのだ。
 それは汎ゆる攻撃の動作を事前に察知できる、ということだ。レニーにとっては相性が悪いとも言える敵であったことだろう。
 だが、そんなことは関係ない。
 此処に訪れることも初めてだとしても、やはり関係ない。
 多くの事柄がレニーの行動を縛るだろう。抑制するだろう。制限するだろう。
「それでもおれは戦える!」
 拳を包み込む掌。

 彼が最初にしたことは拱手であった。
 最低限の礼儀。
 そして、その礼儀こそが人民租界、『須弥山型都市』に生きる獣人達の心を掴むのである。
「ネイホウ! 猟兵として、此処にルーツを持つ者として協力させてくれないかな」
 その言葉は彼の口癖だった。
 彼らの言葉を使って、という意識もあったが、それは些細なことだった。
 人と人とのつながりは単純なものだ。
 だからこそ、尊ばれるし大切なものなのだ。
「悠長なことを! ギギッ! これで終わりだ! 猟兵!」
 一礼したレニーへと襲いかかる『コウモリ爆撃兵』たち。

 しかし、その背を彼らの攻撃が捉えることはなかった。
 横合いから飛び出したサイバー武侠の虎獣人たちが、これを蹴り飛ばしたのだ。
 徒手空拳。
 いや、サイバー義体化技術と合わさるがゆえのサイバー剄の一撃でもって、『コウモリ爆撃兵』を吹き飛ばしたのだとレニーは知るだろう。
「よく練られているね! なら、おれも負けていられない!」
 レニーは己が身より気を放出し、まばゆい光を放つ。
 それは圧倒的な光であり、同時に虎の如き闘気を身にまとう。

「虎の如く……集中!」 
 敵が此方の行動を察知するというのならば、察知しても無意味なほどの速度で踏み込めば良い。
「疾いッ!?」
「おまえたちの行動を見逃さない。その全てを邪魔してやる!」
 帯びた虎の闘気と共にレニーは『コウモリ爆撃兵』が攻撃に移ろうとした瞬間を尽く潰すようにして動くのだ。
 そして、機先を削がれた『コウモリ爆撃兵』たちがたたらを踏むようにして空中で翻った隙を虎獣人たちが蹴落とすのだ。
 大地に砕かれるようにして落ちる敵を見やりレニーは笑む。
「みんなで協力すれば、モーマンタイ! おれ達の世界は、おれ達で守らなきゃね」
 そう言ってレニーは共に戦う虎獣人たちに笑いかけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
あーあ、事前に家族にいろいろと話しておいたんだけどな。
それでスッキリした直後にコレ。
ま、世界を異にしても、やることは変わらねぇな!

てなわけでな!さっそくのUCだ!
攻撃行動を感知しようと、意味はねえ!お前らを撃つのは、稲妻だからな!
そして…この地において、反撃を伺う者たちには、回復になるんだよ!

ははは、一緒に戦おうぜ。
この都市を奪い返すには、現地民であるお前たちの力も必要だからな!
俺様はUCで援護になるが…金翅蝶と凍炎不死鳥が羽ばたいて攻撃してるからな!



 わだかまり、というほどのものではなかった。
 己の中に抱えたものを少し吐き出しただけだ、とヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は思った。
 自身のこと。
 多くのことを己が家族に語った。
 それはヌグエンの肩の荷を少しだけ肩代わりしてもらったようなものだった。
 彼女たちもそれを望んでいたし、そうであるのならば少しだけ身軽になった体で戦場を駆け抜けるだけである。
「あーあ」
 だが、ヌグエンは溜息を吐き出す。

 別に、本当にそうだと思っていても構わないことなのだが、ヌグエンは呆れ果てていた。
 世界に戦いは満ちている。
 己がスッキリしても、世界は変わらず争いで満ちているのだ。
 どうしようもないことであるから、溜息が漏れるのだ。
「ま、世界を異にしても、やることは変わらねぇな!」
 走り出す。
 己の身より放たれる凍れる炎でできた雲が『有頂天天蓋』を覆うかのような無数のオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちの頭上に生み出される。
 それはまるで矛盾存在(ツメタクテアタタカイモノ)であった。
 凍結する炎の稲妻でもって彼らは打ちのめされていた。
「なんだ、これは!? ギギッ、冷たいのに熱い!?」
『コウモリ爆撃兵』たちの同様も当然だろう。

 今まさに彼らに襲いかかっているのは、言葉通りのものなのだ。
 凍結すると同時に燃やすもの。
 それをヌグエンはユーベルコードとしてはなったのだ。
 肩の荷が降りたがゆえに使う事のできるユーベルコードであった。己のことであるが、己だけでは抱えられぬのならば、共にある者たちが背負ってくれる。
 何も恐れることはないのだ。
 故にヌグエンは力を盛大に振るう。

「ははは、一緒に戦おうぜ。獣人のお前ら」
 ヌグエンは機をうかがう獣人たちを見やる。
 共に戦おう、と手を伸ばす。
「この都市を奪い返すには、現地民であるお前達の力も必要だからな!」
 そう、奪われたのならば奪い返すまでである。
 座して待つことなど彼らはしないだろうとヌグエンは思っていた。
 信を得る。
 それは言葉であってもいいし、行動であっても良い。
 此処は彼らの住まう場所だ。
 その場所を誰かが奪い返してくれることを待つだけなんてありえない。だからこそ、ヌグエンは手を伸ばす。

 己の力は誰かのために。
 背中を押す力へと変じるのだというように降り注ぐ凍れる炎がサイバー武侠である虎獣人達の傷を癒やしていくのだ。
「これは……」
「援護、バフってやつだよ。傷のことは気にすんな。生命力を活性化し続けてやる。それが俺様のやるべきことだ。誰かの背を押すこと。お前達が、この都市を奪い返したいと願うのなら、俺様が叶えてやる。だから、行こうぜ! あいつらをぶっ飛ばしてやろうぜ!」
 ヌグエンの言葉に虎獣人たちは頷く。
 戦える。
 いや、戦う。
 その意思をみなぎらせた彼らと共にヌグエンは笑って『有頂天天蓋』を駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝・成豊
おお、大変なことになっておるのう……。
猟兵は規格外ではあるが、それゆえ人手としては不足気味じゃ。
一般人とて、無力出ないのであれば、声をかけるが良策というものよ。

獣人の皆に、「焼夷弾の火はこちらで防ぐ故、その隙にあれらを落としては貰えぬか」と声をかける。
UCを使い、火を無効化する『根っこ』を大量に生やし、屋根のようにすることで焼夷弾の被害を防ぐ。
引火した場所や、けが人には『水球』をぶつけ、火を消し、癒やそう。

そうして敵が弾を降らすために上空に来たところを狙って貰おうぞ。
可能であれば、周囲の熱エネルギーを『紋章』で吸収して強化し、『根っこ』や『伸ばした髪』を足にでも絡めて引きずり落としてくれるわ。



『有頂天天蓋』を目指す猟兵と、それを阻まんとするオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちの激突は凄まじいものだった。
 焼夷弾がばら撒かれ、その爆発が空にて風を呼び込む。
 熱波は衝撃と共に走り、大地を揺らすだろう。
『須弥山型都市』に生きる人々の殆どは逃げ惑うばかりであった。誰もが戦えるわけではないのだ。
「おお、大変なことになっておるのう……」
 祝・成豊(豊穣・鎮守・盛衰・f42643)は炎吹き荒れる戦場となってしまった都市に立つ。
 確かに猟兵という存在は規格外である。
 生命の埒外と言われる存在。
 その力は強大である。だが、それを数の利だけで押しつぶさんとするのがオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちである。

 吹き荒れるようにして炎が渦を巻いている。
 見上げれば、空には暗雲の如き大群。
「やはり人手不足気味か」
 成豊は、ふむ、と頷く。
 この都市にはサイバー義体化した獣人たちがいると聞き及んでいたのだ。
 他の猟兵達の呼びかけに応えて戦う者たちだっている。けれど、やはりそれでも数が足りない。
 戦えるものばかりではないのだろう。
 けれど、、戦う意志があるのならば。
「焼夷弾の炎はこちらで防ぐ故、その隙に戦える者は、あれらを落としてはもらえぬか」
 彼の言葉に機を伺っていた獣人たちは頷く。
 だが、と言葉を濁す。
「あの炎はどうする。本当にそんなことが可能なのか?」
「然り。わしは確かに元は大樹なれど、長く生きている分、炎への対策というものは講じておるのじゃ」
 故に、この通り、と彼の瞳がユーベルコードに輝く。

 天を呑む星の大樹(エオニオ・デントーロ)。
 嘗てはそうとも呼ばれた彼のユーベルコードは降り注ぐ焼夷弾の炎を防ぐのではなく『無視』して見せたのだ。
 己が呼び寄せる無数の木の根。
 これを用いて、炎を無視する箇所を増やしていくのだ。
「これは……!」
「よい、これを持て。引火した場所には『水球』を。これより屋根を編み上げる。負傷者や戦えぬ者は、この屋根の下に誘導せよ」
 成豊は次々と指示を飛ばしていく。
 虎獣人たちは頷き、手分けして戦えぬ人々を編み上げた屋根の下に運び込む。

「なぜ、燃えない!」
「あの木の根だ。あの木の根……やはり猟兵か!」
「釣られてきおったわ」
『コウモリ爆撃兵』たちが燃えぬ編み上げた根の屋根めがけて急降下してくる。
 直接、焼夷弾を叩き込み成豊を排除しようというのだろう。
 だが、それは敵わない。
 周囲の熱エネルギーを吸い上げた紋章で強化し、編み上げた屋根の根を走らせ『コウモリ爆撃兵』たちを引きずり落としたのだ。
「うぐっ!?」
「さあ、今じゃ。叩くのじゃ」
 その言葉に虎獣人たちは一斉に『コウモリ爆撃兵』たちに襲いかかる。
 確かに敵の数は多い。
 けれど、猟兵たちに味方する者たちもまた多いのだ。

「ならば、戦いに対する気概でいくらでも精兵となるであろうよ」
 成豊は共に戦う決意をした虎獣人たちを頼もしく思いながら、迫りくる『コウモリ爆撃兵』たちを打ち倒すべく、さらに踏み出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あやー。
助けを求める声などに反応し、転移してくる爆撃兵さんでっすかー。
厄介なのでっす!
でしたら、ええ!
悲鳴ではなく熱狂を!
全く別の言葉を皆様に叫んでもらいましょう!
藍ちゃんくんでっすよー!
ライブ会場、展開なのでっす!
大丈夫でっすよー、皆様方!
藍ちゃんくんのステージでは爆撃も悪意もへなちょこになっちゃうのでっす!
藍ちゃんくんの歌とダンスをお楽しみくださいなのでっす!
戦場でのパフォーマンスは当然注目を集めるかと!
来てくださった武侠者さん達には、ライブ関係者である警備員として手伝ってもらうのでっす!
迷惑な爆撃兵さん達にはお帰り願うのでっす!
それでは皆様、ご一緒に!
藍ちゃんくんでっすよー!



『有頂天天蓋』を目指して駆け上がる猟兵達を阻むためにオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちは焼夷弾を投下し続ける。
 見上げる先にあるのは暗雲の如き大群。
 彼らはただ敵の頭上に爆撃するだけでよかったのだ。
 それだけで猟兵は多くを護ろうとして手を伸ばすだろう。それこそが致命的になる。
「た、助けて……!」
『須弥山型都市』にて獣人たちは全てが戦える者たちではない。
 中には子供だっているだろう。

『コウモリ爆撃兵』たちは、子供であろうが戦う者であろうが関係ない。
 全てを灰燼に帰すべく焼夷弾を放ち続け、救命を求める者の下へと瞬時に転移し、さらなる炎を打ち込もうとするのだ。
「なんと厄介なのでっすかー!」
 助けを求める声に応えるのは、ただそれだけではないと示すように紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、瞳をユーベルコードに輝かせながら戦場へと降り立つ。
 瞬時に世界が書き換えられていく。
 光が迸り、色とりどりの光が乱舞する。
 凄まじい音が響き渡る。
 しかし、それは体躯を打ち据えるものではなく、身に力強くぶつかるようなものであった。
 不快感はない。
 あったのは不思議な高揚だけだった。
「響くは悲鳴ではなく、熱狂を! 皆々様!」

 光が重ねられていく。
 赤、青、緑、黄、紫……多くのスポットライトの光が集約され、まばゆい光へと変貌する。
 そこに立っていたのは一人の猟兵であった。
「そう、藍ちゃんうんでっすよー!」
 それはユーベルコード。
 藍のままに輪が侭に(ズットズットキミガキミデアルヨウニ)と、藍が戦場を書き換えたのだ。
 そして、この書き換えた戦場――否、ライブ会場は法則性を持つ。
 即ち。

 ライブをより素晴らしくするための行為全てが肯定され、強化される。
 そして、ライブに関係のない行為とあとなんか悪意が弱体化されるのだ。
 即ち。
「焼夷弾が不発……!?」
「どうなってる! 飛行も……!」
 空にて『コウモリ爆撃兵』たちがどよめいている。彼らの行動は全てライブに無関係。ならば、弱体化されるのは自然なことだったのだ。
「大丈夫でっすよー、皆様方! ここは藍ちゃんくんのステージなのでっす! 歌とダンスをお楽しみくださいなのでっす!」
 ステージに立つ藍はスポットライトの光で輝いていた。
 その全てがユーベルコード。

「さあ、武侠の皆さんは軽微よろしくなのでっす! 迷惑な爆撃兵さんたちにはお帰り願うのでっす!」
 その号令と共に一気に虎獣人のサイバー武侠たちが駆け出し、ライブ会場からオブリビオンを締め出すように動き始めるのだ。
 そこにはもう藍と獣人たちしかいない。
 藍は笑む。
 こんな状況で、と思うかも知れない。いや、こんな状況だからこそだ。
「それでは皆様、ご一緒に!」
 マイクを掲げる。
 そう、いつだってそうだ。
 お決まりのコール。
 さあ!

「藍ちゃんくんでっすよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ連携歓迎

さあ、戻ってきたわよ
まさか縁のあるこの場所も、今回の騒乱の中の渦中なんて…
空の同胞さん、大丈夫かしら
それになんだか覚えのあるシチュエーション
だからこそ、一度守ったから地を見放しはしない!

方針:町への被害を減らすよう、空中で爆弾を止める

まずはメイガスで【運搬】してきた物資を離れた場所に低空飛行で投下
コンテナのお宿のマークで住人が察してくれると助かるけれど

軽量化した状態で戦場へ
【索敵・空中戦・空中機動・情報収集・情報伝達】で味方に敵の位置情報を送信
メイガスの〔霊刃羽〕を飛ばし【指定UC】を展開
敵と焼夷弾を空中で【捕縛】、空中へ放り【切断】!

お届け予定はまだあるの
まだまだ行くわよ!



 獣人戦線、人民租界には山を一つ改造した『須弥山型都市』がいくつか存在している。
 そのうちの一つを嘗て猟兵たちは救った。
 笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)もそんな呂兵の一人だったのだ。
「さあ、戻ってきたのはいいけれど、まさか縁のある此処が、今回の争乱の渦中なんて……」
 暁子は表情を曇らせる。
 戦いに晒された都市。
 いつだって犠牲になるの罪なき獣人たちである。
 戦争とはそういうものだ。だからこそ、憂う。そして、共に戦った大鴉の獣人のことを思い出すのだ。
「あの空の同胞さん、大丈夫かしら」
 心配だ。
 ちゃんと食べているだろうか。そう思う。

「あらやだ。なんだか既視感ね」
 身に覚えのあるシチュエーションだ。でも、だからこそ、と暁子は奮起する。
 一度守ったのだ。なら、もう一度守る。見放しはしない。絶対に取りこぼさにと暁子は焼夷弾が降り注ぐ戦場へと飛ぶ。
「ギギッ! 猟兵! これだけの敵を前にしてよもや逃げられると思うナッ!」
 オブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちの数は膨大だ。
 数の利はあちらにある。
 けれど、暁子は己が飛行甲冑『サウス』からコンテナを都市に投下し、身軽になったように飛翔する。

「今更荷物を捨てたところデ!」
 さらに迫る焼夷弾。
 暁子は、コンテナを捨てたのではない。
 投下したのだ。
 コンテナには『お宿』のマークが記されている。瞬く間に制圧されたとは言え、けが人だっているだろう。
 ならばこそ、暁子はそんな彼らにこそ不足した物資を届けることを最優先したのだ。
 それは彼女の優しさであったことあろう。
 戦いにまみれ、戦うしかない世界に生まれたからこそ、優しさを失いたくないのだ。
 そういう優しさこそが人と人をつなぐ強固なものへと変わることを暁子は理解していたのだ。

「いいえ、これは! 人の誰かを思いやる気持ちよ!『サウス』、いけるわよね!」
 それに応えるように飛行甲冑『サウス』が飛翔し、霊刃羽を解き放つ。
 その羽が『コウモリ爆撃兵』を切り裂きながら、投下された焼夷弾を掴み空中へと放り投げるのだ。
 そこに飛び込む影があった。
 暁子は知っていた。それは大鴉の獣人『熾天大聖』であった。
 二振りの刃が暁子が投げ放った焼夷弾を空中で切り裂き、全てを爆発させたのだ。
「大事ないですか!」
「おかげさまでね! でも、みんなにお届け予定はまだあるの。手伝ってくださる?」
 変わらぬ亜麻色の髪を揺らし、星写す黒い瞳を勝己子は見ただろう。
 変わっていない。
 それは彼にもまた大事なかった、ということだ。

「ちゃんと食べているかしら?」
「え、あっ、はい」
「そう、ならいいの。戦いは始まったばかりよ。まだまだ行ける?」
 勿論、と応えた彼と共に暁子は物資を未だ空を覆うような大群の『コウモリ爆撃兵』たちへと『熾天大聖』と共に飛び込み、『有頂天天蓋』への道を切り拓くように、そのユーベルコードの力を発露するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
彼らが見れるように、その|心《熾火》に、希望を焚べんが為に。
回転号よ、破壊を纏え!!

回点号操縦『雷霆架台』超高速戦闘形態変身メガスラスター【推力移動】
蒼い光子の流星となって戦場上空を飛翔し!
サイキックシールド展開、敵が落とす焼夷弾を片っ端から【オーラ防御】
自身の騎兵刀の射程外からの焼夷弾は実質無効だ!!

見ているか獣人達よ!熾天大聖よ!!自分は戦い続けるぞ!!!
いつまでだって、壊し続けてくれる!!!

【継戦能力】敵陣に突っ込み、RX騎兵刀とフォースサーベルを振るいコウモリ共を【切断】ウィングブースターで【空中機動】縦横無尽に機動し、人工魔眼の【動体視力】で目に付いた端から【なぎ払い】斬り倒す!!!



 空には暗雲の如きオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちが炎を撒き散らしていた。
 焼夷弾。
 それは地上にある者たちを焼き払う炎である。
 次々と投下されていく焼夷弾は獣人たちを死に追いやる。
 誰もが空を仰いだ。
 天に祈りを。
 否である。
 それは祈りではなかったし、諦観に塗れたものでもなかった。

 そこに在ったのは星である。
 そして、熾火であった。
 希望という熾火が今もなお、暗雲のなかに輝いていた。
「『回転号』よ、破壊を纏え!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が放つ光が星のようであったのだ。彼女のユーベルコードの輝きは、蒼い光子の線上紋となって空を、暗雲を切り裂く力であった。
 彼女は希望を焚べる。
 地上に這う獣人たちが見上げる空に、その心に、一条の光となって飛ぶのだ。
「あれは……!」
 大鴉の獣人『熾天大聖』は、その機体を知っている。

 キャバリア。
 パンツァーキャバリアとは異なる戦術兵器。
 超高速戦闘形態へと変身しメガスラスターの噴射光と共に小枝子は戦場に降り立つ。
 サイキックシールドが展開され、迫る爆風を押しのけるようにして……いや、受け止めて『回転号』は飛ぶ。
 焼夷弾をものともしていない。
「ナゼ、燃えない!?」
「直撃弾のハズだ!」
 なのに、燃えない。
 それどころか勢いすら衰えていない。圧倒的な速度でもって『回転号』は飛ぶ。

「見ているか獣人達よ!『熾天大聖』よ!! 自分は戦い続けるぞ!!!」
 その声に獣人と『熾天大聖』は瞳を向ける。
 瞳に宿すは光だった。
 小枝子のユーベルコードの輝きが人々の瞳に希望を焚べていた。
「いつだって、壊し続けてくれる!!!」
 騎兵刀を振るい、その一撃で以て『コウモリ爆撃兵』たちを切り裂き、さらにウィングブースターの点火と共に加速しては彼らを翻弄するのだ。
 縦横無尽に暗雲を切り裂く光。
「雷霆架台(ライカ・ブラスト)!!!」
 咆哮と共に小枝子の人工魔眼に映る敵全てを彼女は薙ぎ払い、切り倒していく。
 その戦いぶりは苛烈であったが、人々は思い出したのだ。

 オブリビオンによって戦火に晒された『須弥山型都市』での出来事を。
 戦いしかできない。
 破壊しかできない。
 そんな小枝子が今まさに見せたのは希望の光だった。 
 絶望するにはまだ早い。
 そういうかのように彼女は力を振るい続ける。
「壊して、壊して、そして獣人達よ、貴殿らが再生すればいい! そのために自分はオブリビオンを破壊する!!!」
 小枝子の言葉に応えるように『回転号』はユーベルコードの輝きを灯しながら戦場を駆け抜け、その灯火を追うようにして獣人たちもまた暗雲たるオブリビオン軍団へと立ち向かうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:灰遠雷

なるほど。現地民の反抗もあるということですね。
ええ、頼もしいことです。その地に生きる者の力を、思い知らせるのにも良い機会でしょう。

では…味方とわかってもらうためにも、私なりの抗いを。
反響定位でわかったとしても、どうしようもない物を敵に与えましょう。UC使用し、四天刀鍵で増幅させた雷属性も付けての狙撃ですよ。
数が多い敵には、相応の数をお見舞いしますから。避けることも叶わず、落ちていきなさい。
増幅させた雷属性で、痺れるでしょうしね。



 生きることは戦いの連続である。
 戦いは常に生命の傍らにあるのだ。
「ギギッ! 此処から先へは行かせない」
「貴様たちの攻撃の初動は理解していル! 無駄ダ、反響定位は、貴様たちを捉えている!」
 オブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちは、その類まれなる聴覚でもって『須弥山型都市』の『有頂天天蓋』を目指す猟兵たちを阻むようにして次々と攻勢を仕掛けてくる。
 暗雲のように群れなす彼らの数は一向に減ることを知らないようでった。
 膨大な数。
 敵には地の利と数の利がある。

 故に、猟兵たちだけではどうしようもないものであった。
 徒に時間が過ぎていけば、獣人世界大戦は猟兵達の敗北にて決着を迎えるだろう。
 だからこそ猟兵たちは『須弥山型都市』にて生きるサイバー武侠たちの力を借り受けるのだ。
「なるほど。現地民の反抗もあるということですね。ええ、頼もしいことです」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は救いを求める声以上に己達でもって立ち上がらんとする者たちを好ましく思っていた。
 そして、同時にオブリビオンたちに示さねばならないとも思っていた。
「この地に生きる者の力を思い知らせる良い機会でしょう」
『静かなる者』の瞳がユーベルコードに輝く。
 共に戦う、と言葉はでは如何様にも言える。
 行動で示す。
 それが『静かなる者』のできるただ一つのことであった。

「ムダだ! 貴様の攻撃の初動は!」
『コウモリ爆撃兵』たちが『静かなる者』に殺到する。
 それを見据える。
 敵の数は多い。『静かなる者』は強弓の弦を引く。
 ぎりぎりと音が成るほどに引き絞った弦は風を切るようにして矢を放つ。
 空気を切り裂いて飛ぶ矢。
 その音を『コウモリ爆撃兵』たちは類稀なる聴覚でもって捉え、躱す。
「馬鹿め、言ったであろう! 攻撃は!」
 届かない、と。
 だが、空を切った矢は分裂し、黒く染まりゆく。
 呪詛に染まった矢は、空中で分裂し宙を舞うようにして旋回して躱した『コウモリ爆撃兵』たちへと殺到するのだ。

「確かに反響定位で此方の攻撃の初動を見切ることができるのでしょう。わかっていますよ。けれど、それが通常の矢であったのならば、の話です」
 四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)。
 ユーベルコード、その呪詛によって染まった矢は分裂して、さらに敵を追尾する。
 いかに初撃を躱せても、それが数を増やし追い込むようにして分裂するというのならば話は別であろう。
 躱しようのない包囲攻撃。
 これによって『静かなる者』は『コウモリ爆撃兵』たちを追い立て、その翼を貫くのだ。

「ぐっ、だが……!」
「良い忘れていましたが、それには雷が込められています」
 身を痺れさせる力。
 それは僅かなものであったが、しかし『コウモリ爆撃兵』たちは空を飛んでいる。僅かな雷でも筋肉が弛緩し、動かせなく成るのだ。
 そうなれば後は言うまでもない。
 空より落ちる彼らを待ち受けるのは大地の鉄槌である。
 ひしゃげる音を聞き、『静かなる者』は矢をつがえる。
「悪霊からは逃げられない……そういうことです」
 己が戦う姿を見せる。
 言葉ではなく、共に戦う者がいるということが、この地を奪われた者たちを奮い立たせるだろう。
 そのために戦うのだと『静かなる者』は、その名の通に粛々と弓を引くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
典型的な時間稼ぎだね
必ず道を開いてみせる

降り立った処に…獣人たち居るね
「こんにちは。割り込みゴメンな」

険しい顔、毛皮が裂けてまだ血が滲む姿
厳しい状況は直ぐに見て取れる

「俺は大規模攻撃はできる…けど全部の殲滅は無理だ」
どうしても打ち漏らし出るしね
「怪我も癒せるし、頼む。一緒に出てくれないか」

俺は命令とかは出来ないから
可能な限り真摯な顔で願い出るよ
だって彼らはこの世界を護る気概で共に此処に居るから

OK貰えたら白燐大拡散砲詠唱
ククルカンが全域に広がって蝙蝠を倒すけど
やっぱり流石に無理が出るレベルの多さ
「頼む!」

俺も全力で錫杖を振るいながら殲滅を
必要なら幾度でも掛け直して
「絶対諦めずに一緒に進もう!」



『須弥山型都市』をまたたく間に制圧したコンキスタドール『有頂天道人』。
 それもいくつもの都市を同時に、である。
 いかなる手段を用いたのかはわからないが、彼の力の凄まじさは言うまでもないだろう。だからこそ、この都市を奪い返さなければならない。
 それに何より、この地に住まう獣人たちのためだ。
 だが、それを阻む者たちがいる。
 オブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちである。
 彼らは『有頂天天蓋』より高く飛び、はるか上空から駆け上がってくる猟兵たちを狙い撃っているのだ
「それだけであったのならば、まだ対処のしようがあったけれど……これは、典型的な時間稼ぎだね」
 葛城・時人(光望護花・f35294)は、空を見上げた。

 そこに在ったのは暗雲の如き大群。
 あまりにも膨大な敵の数。
 これに阻まれて猟兵たちは未だ『有頂天天蓋』へと至ることができないのだ。
「でも、必ず道を拓いてみせる。そうでしょう」
 時人が呼びかけたのは、『有頂天道人』に制圧された時に負った傷から血をにじませた虎獣人たちであった。
 サイバー武侠と呼ばれる彼らは、この都市を守っていたのだろう。
 だが、今は打ちのめされている。
 険しい表情。
 痛みに歪んだ顔。
 毛皮は血と泥に汚れている。
 厳しい状況だ。予断を許さないのだと理解できる。

 けれど、時人は告げる。
「俺は」
「憐れんでくれるな」
 虎獣人の言葉に時人は頷く。元よりそのつもりはなかった。
 共に戦おうと、己は来たのだ。己が手より白燐蟲が光を放つ。
「憐れんでいるんじゃあない。これは施しじゃあない。君たちに頼みにきたんだ。共に戦って欲しい、と」
 命令しに来たわけではない。
 強制したいわけでもない。
 ましてや、彼らの言う通り憐れんでいるのでもない。
 あるのは、戦う意志だ。
 己達だけでは、あの数は対処できない。頼りにしたいと思ったのだ。そして、自分を頼って欲しいとも思ったのだ。

「君たちもそうなんだろう。この世界を守る気概があるんだろう?」
「そんな大層なものじゃあない。俺達はただ、自分たちの住処を守りたいと思っただけだ」
「それでも戦う意志がある」
「ああ、そのとおりだ」
 手を取り合う。
 それだけでいいのだ。こんな単純なことなのだ。
「俺が討ち漏らした敵を頼むよ」
 そういって時人は駆け出す。

 ユーベルコードの輝きが戦場の空を照らす。
 己が身より放たれる白燐蟲の大群が一斉に『コウモリ爆撃兵』たちへと襲いかかる。
 だが、どうしたって数が違いすぎるのだ。
 それに敵は反響定位でもって此方の攻撃の初動を察知している。
「ギギッ! 躱せないとでも思ったか!」
「待てっ、この反応は、一つじゃあなイ!」
『コウモリ爆撃兵』たちは虚を突かれていた。時人の放った白燐大拡散砲(ビャクリンダイカクサンホウ)の一撃は目がくらむような一撃だった。
 だが、反響定位を用いる彼らには無意味。
 なのにどうしてか彼らは獣人たちの攻撃を察知できていなかったのだ。
 横合いから殴りつけられ『コウモリ爆撃兵』たちが大地に落ちていく。

「助かるよ!」
「汝の放った一撃、その蟲の羽ばたきが俺達の動きを敵に悟らせないのだな」
「ああ、でもまだ敵は多い」
「諦めには」
「まだ遠い。絶対諦めずに一緒に進もう!」
 時人はそう告げ、虎獣人たちと手を取り合って『有頂天天蓋』を駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
SPD アドリブ歓迎

ドーモ! バルタンデース!
獣人のエブリワン、ご協力を要請しマース!
敵はあまりに多勢、ワタシたち猟兵だけでは撃滅は困難なのであります!
どうか、力を貸してくだサーイ!
と。ここで我輩が10秒で152品作れる超級料理人の技量で用意したピザを取り出し、手ずから切り裂き獣人の方々に振る舞いマース!
賄賂ではありマセーン、この料理を食べれば怪我が治りマース!
さらに! コウモリ爆撃兵の超音波による感知に対抗できるよう、皆様の攻撃性能も向上するというお得付きであります!
おかわりもありマスヨー!

……どうか皆様、立ち上がってくだサーイ。
オブリビオンの支配を跳ね除ける活力を奮い立たせてくだサーイ!



『須弥山型都市』に生きる獣人たちは仙術とサイバー義体化によって高い戦闘力を有している。そんな彼らを瞬く間に打ち倒したのがコンキスタドール『有頂天道人』である。
 その力の強大さは言うまでもないことだろう。
 獣人たちは皆傷ついていた。
 血を流し、傷口を縫うことすらままならない。
 義体化した体躯は強靭であったが、しかし、敵の強大さを前にしては意味をなさないものであった。
 忸怩たる思いがこみ上げてくる。
 だが、そんな思いを払拭するように明るい声が響き渡った。

「ドーモ! バルタンデース!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が突如として彼らの前に現れ、助力を乞うのだ。
 しかし、獣人たちは傷ついている。
 むしろ、足手まといに成ることは言うまでもないことだった。
「イエ! そんなことはありマセーン!」
 バルタンは首を振る。
 オブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちの数はあまりにも膨大。
 自分たち猟兵だけでは対処できないほどであった。だからこそ、バルタンは傷ついた獣人たちの元に訪れたのだ。

「どうか、力を貸してくだサーイ!」
「だが、俺達は」
「とんでもない! さあ、これを!」
 彼女が差し出したのはピザであった。ほかほかの湯気が立ち上る生地とトマトソース。
「う、なんだこの乳臭いのは」
「馴染ないデスカ! これはピザデース!」
 手にしたピザカッターで手ずから獣人たちに振る舞う。
 それは獣人たちにとっては馴染みのない食べ物であったが、こんな状況でも腹は減るのである。
 生きているとはそういうことである。
「これは賄賂ではありマセーン! この料理を食べれば怪我が治りマース!」
「ぬぐっ!」
「むぐ!?」
 バルタンの手ずからピザを食べさせられた獣人たちはみるみる間に負った傷が癒やされていくのを感じただろう。
 そして、それだけではない。

「力がみなぎってくる……!」
「おお、己の体躯が燃えるようだ……!」
「ハイ! これぞ、バルタン・ホスピタル! 如何に相手がオブリビオンであっても、皆様のこれまで練磨してきた体躯は、その技はきっと届くことデショウ! バルタンお墨付きデース!」
 バルタンは次々とピザを振る舞っていく。
 食は生命の基本だ。
 食べることに喜びを見い出せば、体は活性化していく。
 故に獣人たちは、それまで傷を負い、打倒されていた悲壮感を何処かに吹き飛ばすように咆哮するのだ。

「オオオオオッ!!」
「そうデース! 皆様、立ち上がるのデース! オブリビオンの支配をはねのける活力を奮い立たせ、共に戦ってくだサーイ!」
 バルタンの言葉に獣人たちは頷く。
「食事だけではなく、傷も癒やしていただき、感謝の極み。この御恩は」
「共に戦ってくれるだけでいいのデース! さあ、いきまショー!」
 バルタンはピザを片手に拳を突き上げる。
 これからが反撃だ、と言うように手傷を負った獣人たちを癒やし、一大戦力となって『有頂天天蓋』へと駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

また来てしまいました。
ここは体によくないって解っているのに、来ちゃいました。

だってステラさんが『エイルさんの香りが』っていうんですもん。
あ、でも半減なぶんおとなし……くはないですね。
ステラさんが狂っ……来るって言うなら仕方ないじゃないですか!

相棒ですし(てれっ

そ、それはそれとして!
オブリビオンから獣人さんたちを守るのも勇者の務めですし、
好きとか嫌いとか言ってる場合ではないです!

それにわたしの演奏なら、獣人さんたちの信頼を勝ち取りつつ、
コウモリへの攻撃もいっしょにできますからね。
しかも攻撃開始の合図にもなっちゃう一石三鳥です!

さ、ステラさん、練乳がなくなる前に倒しちゃいましょうー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁすっ!!
ステラ参上しましたっ
熾天大聖さまー♪(ファンサを求めるファンのようなムーブ

はい、というわけで獣人戦線です
ノイン様がいない分エイル様要素が半減ですね
誰が|狂女《くるいめ》ですか

まぁ
そこでデレられても困るのですが
相棒には間違いなかろう
演奏だけはやめた方が……もうしてる?!
にげてー超逃げて獣人の皆様!!
あ、熾天大聖様は私にお任せください
【いかなる時もメイドたるもの】
主人様の危機には立ち向かうのです!
ええ、美人メイドにお任せください!
『アンゲールス・アラース』で飛翔
『ニゲル・プラティヌム』を使って
コウモリごとき撃ち落としてみせましょう!



「また来てしまいました」
 周囲に流れるのはシリアスという名の剣呑なる雰囲気。
 それはあまりにも殺伐としたものであり、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)のアレルギー体質を加速させるものであった。
 わかっている。
 此処が体によくない場所だっていうことは。
 わかっているのだ。
 何度も言うが、理解しているのだ。けれど、ルクスがそんなアレルギー体質を推して獣人戦線の世界へとやってきたのには理由がある。

「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁすっ!!!」
 これである。
 この叫びである。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は叫んでいた。
 いつものやつである。ルクスがこうしてやってきたのは、このためなのだ。
「ステラ参上しましたっ!『熾天大聖』さまー♪」
『有頂天天蓋』へと向かう空への道、そこに飛ぶは大鴉の獣人『熾天大聖』であった。
 彼はステラの声に気がついた。いや、気が付かないわけがない。
 あの絶叫とも取れる声量に戦場にあって気が付かないわけがないのである。そして、その声量故に反響定位を持って敵の位置を探るオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちは多くが目を回していた。

 双剣の一撃が彼らを切り裂き、これを蹴落としながら『熾天大聖』は曖昧な笑顔を浮かべていた。いや、複雑な表情と言えばいいだろうか。
「こ、こんにちは……」
「こんにちはいただきましたー♪」
 まるでファンサを求めるファンのようなムーヴである。
 こっち見て! 笑って!! みたいなそんな感じのあれである。
「はい、というわけで獣人戦線です」
 どうしてこのメイドを連れてきたんですか。
 A.『エイル』さんの香りがって言うから。

「ステラさんが狂っ……来るって言うなら仕方ないじゃないですか!」
「誰が|狂女《くるいめ》ですか」
「言ってないです、ギリギリ!」
 そうかな。
「それに相棒ですし。ついていくのは当然じゃあないですか」
「まぁ、そこでデレてもらっても困るのですが」
 相棒に違いはなかろうなのである。
『熾天大聖』もそう思ったが、いらんことは言わないほうがいいし、迫るオブリビオンは大群である。これの対処に追われていたのだ。

「そ、それはそれとして! オブリビオンから獣人さんたちを守るのも勇者の務めですし! 好きとか嫌いとか言ってる場合ではないのです!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
 そう、守らねばならないのだ。
 己は勇者である。ならばこそ、ルクスはバイオリンを構えた。
「Canon(カノン)が皆さんの攻撃の合図です!」
 敵が反響定位を持って位置を知るほどの優れた聴覚を持つというのならば、ステラの絶叫に目を回したようにルクスの演奏で、その聴覚を狂わせてしまえば良いのである。
 無自覚に知略を巡らせている。
 ステラは、ちょっとまってと言いたかったがすでにルクスは止まらない。

 バイオリンが奏でられる。
 普通、こういうときって出だしだけはきれいな旋律が放たれるものであるが、ルクスの場合のっけから壊滅的な旋律が奏でられる。
 凄まじい音波。
「ギギィッ!?」
「この不快な、身を引き裂くような音は、なんダ!?」
 頭を抱える『コウモリ爆撃兵』たち。
「ふふん、これで獣人さんたちの信頼を勝ち取りつつ、コウモリへの攻撃も一緒にできて、しかも攻撃開始の合図にもなっちゃう一石三鳥です!」
「にげてー! 超逃げて獣人の皆様! 音より疾く走って1あ、『熾天大聖』様は、私の腕のなかに落ちてきてくださって構いませんよ。むしろ、ハリー! はりあっぷ!!」
 どんとこい! とステラは余裕である。
 なんてったって、彼女は、いかなる時もメイドたるもの(ダレガヤベーメイドデスカ)の精神が根付いているのである。本当カ?

 あるときは美人メイド。
 あるときはクールメイド。
 あるときは妖怪紫くねくね。
 最後の方しか該当なくない? 気の所為?
「気の所為です」
「あの、なんでそんなに近いんですか?」
『熾天大聖』の側に侍るようにしてステラは二丁拳銃を構えて『コウモリ爆撃兵』たちを撃ち落としていくのだ。
「メイドというものは、そういうものですから」
 にこり、と笑むステラ。
 完全にやべーメイドである。
 シリアスな空気が完全に薄まっている。これならばルクスも練乳の出番はなさそうである。

「そこ! いちゃついてないで! ステラさん、練乳が必要になる前に倒しちゃいましょうー!」
「邪魔しない!」
 そんなやり取りを背で聞きながら『熾天大聖』は大丈夫なのかなぁ、と思うばかりであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェリデル・ナイトホーク
現地の獣人の皆さんに呼びかけ、共に戦いへ赴きます!

この地の戦火を払うには、皆さんの力が必要なのです!
わたしも猟兵、力の限り戦いますので、どうか協力お願いしますっ!

戦場に出ましたら、UCを発動して空を飛び、敵を攻撃していきます。
主に翼を狙ってSwallowTailで斬りつけ、地上に叩き落としたところを獣人さん達に追撃して貰ったり、わたしを狙ってきた敵へ銃撃を仕掛けてもらうといった戦い方になるでしょうか。

適宜UCの効果で炎を撒いて、敵の爆弾への誘爆を狙いつつダメージを与えたり、獣人さん達の傷を治したりしていきましょう。
さあ、まだまだいきますよー!



 空を覆う暗雲は全てオブリビオン『コウモリ爆撃兵』である。
 戦場には悲鳴が飛び交う。
 誰もが生きるのに必死であった。戦えぬ獣人たちは逃げ惑うことしかできない。そして、『コウモリ爆撃兵』たちは、そんな逃げ惑う獣人たちをこそ狙うのだ。
「ギギッ! 逃がしはしない!」
 彼らは次々と獣人たちを襲う。
 だが、そんな彼らを横合から炎が荒ぶ。
 ユーベルコードの炎であった。

「誰一人、やらせはしません……!」
 不死鳥の炎(フェニックス・フレイム)が戦場に吹き荒れる。
 ドラゴニアンの翼が羽ばたき、風が巻き上がる中、フェリデル・ナイトホーク(想いの運び手・f37476)は戦場に降り立つ。
 逃げ惑う獣人たちを助けるために割って入った彼女は炎でもって傷を負った獣人たちを癒やす。
「この地の戦火を払うには、皆さんの力が必要なのです!」
 フェリデルは声を張り上げる。
 そう、この戦いは猟兵だけではどうしようもない戦いだ。
 圧倒的な数に対処していては、時間が足りない。敵の戦線が押し上げられてしまい、此方がすり潰される。
 故にフェリデルは『須弥山型都市』に生きる獣人達の手を借りなければならないと思ったのだ。

「わたしも猟兵、力の限り戦いますので、どうか協力お願いしますっ!」
 真摯なる声に獣人たちは立ち上がる。
 その声を聞き、フェリデルは蒼く透き通った刀身を持つ長剣を掲げる。
 暗雲の如きオブリビオンが空を埋め尽くすのだとしても、それでも彼女が掲げた蒼い刀身の剣が、それを切り裂くと言わんばかりに輝くのだ。
「ギギッ! 言葉だけで人が動くものか!」
 迫る『コウモリ爆撃兵』たちにフェリデルは頭を振る。
「知らないのですね、オブリビオン。いつだって人は戦うことを選べるのです。自分の意志で!」
 ユーベルコードの炎が噴出する。
 ドラゴニアンの翼が、その炎を戦場に吹き荒れさせるようにして羽ばたき、鍔迫り合う『コウモリ爆撃兵』を打ち倒す。
 叩き落とした『コウモリ爆撃兵』が立ち上がろうとした瞬間、そこに獣人たちが一斉に攻撃を仕掛けたのだ。

「加勢するぜ、嬢ちゃん」
「ありがとう! 皆さんの傷の回復は、この炎で!」
 フェリデルは笑む。
 オブリビオンは言葉では人は動かないと言った。それは事実だろう。
 けれど、フェリデルは行動と言葉を持って示したのだ。戦うことを。共に戦うのならば、まだ希望は捨てるものではない、と。
 故に彼女に獣人たちは加勢したのだ。
 なんと頼もしいことだろうか。
 未だ『有頂天天蓋』への道は拓けていない。
 けれど、それでも前に進むことができる。獣人たちが己たちに加勢してくれているからだ。
「さあ、まだまだいきますよー! 獣人の皆さん、いけますか?」
「誰に物いっていやがる!」
「こいつ、嬢ちゃんが美人だから舞い上がってんだよ」
 そんな獣人たちの軽口にフェリデルは笑って『有頂天天蓋』へと駆け上がっていく。
 彼女の言葉通りだった。
 いつだって人は戦うことを選ぶことができる。
 それは自分で決定できる一つのことだ。故にフェリデルはオブリビオンたちの言葉を否定するように、勢いよくドラゴニアンの翼を羽ばたかせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルトルート・ヘンシェル
●POW【ケルナノ】

まぁ、ナノ様よりお誘いがあるだなんて久しぶりですわ
最近はあの狼ゴリ…こほん、並行世界より参られました超大型新人の|教育《プロデュース》にお熱でしたもの
私もお嬢様たる道を目指していた頃にナノ様に資質を見出され、今や売れっ子ケルチューバー
ここは期待の超大型新人なお二方へ、先輩ケルチューバーとして格の違さをお教えしてあげますわ
おーっほっほっほ!

信頼を得る?
愚問ですわ…お嬢様たる者、言葉より行動で示してみよ
好機を伺っている方々には、飾った言葉ではなく実力を持ってしてご理解を得られるものでありませんのでは?

ナノ様のお援護で私は攻撃に専念できますわ
それでは参りましょう…『オーッホッ砲』


ナノ・ナーノ
●POW【ケルナノ】

今日は久しぶりにヴィルトルートさんをプロデュースなのー
題して「|機械兵《ダモクレス》お嬢様が須弥山型都市にやってきた」なの
他の世界の戦争で撮影するのは胸が痛むけど、これで集まった収益は獣人戦線のロケ地ごとに寄付されるなの
そう思うとプロデューサーであるボクも頑張らないとなのー

じゃあ、まずは現地住民の信頼を得るパートの撮影なの
うーん…何時も以上な言葉の意味は分からないけど、とにかく凄い自信なの
そうしている内に敵に見つかったから、その通りに撮れ高一杯に戦うなの

投下される焼夷弾はボクの『ジャッジメントセイバー・レイン』で迎撃するなの
編集でどうにかなるし、あとはお嬢様にお任せなの



 タイトルは『|機械兵《ダモクレス》お嬢様が須弥山型都市にやってきた』である。
 一体なんのことであろうか。
 それはケルチューブと呼ばれる動画配信サービスにアップロードされた動画のタイトルである。
 プロデューサーは言うまでもなく『ナノP』ことナノ・ナーノ(ナノナノなの・f41032)である。久しぶりのプロデュース。
 いつもは狼ゴリ……いや、別のケルチューバーをプロデュースしているのだが、今回は違う。
 機械兵お嬢様ことヴィルトルート・ヘンシェル(機械兵お嬢様・f40812)をプロデュースすることと決めたのだ。
 確かに他の世界とは言え、戦争を撮影することに胸が痛む。
 けれど、これで集まった収益は獣人戦線にて勃発した獣人世界大戦の復興費に当てられるのだ。

「プロデューサーであるボクも頑張らないとなのー」
「まぁ、ナノ様よりお誘いがあるなんて滅多にないことですもの。最近はあの狼ゴリ……こほん、並行世界より参られました超大型新人の|教育《プロデュース》にお熱でしたもの」
 ヴィルトルートは頷く。
 寂しさがないと言えば嘘になるかもしれない。
 だがしかし、今のヴィルトルートは独り立ちしたケルチューバーである。
 お嬢様を目指す道を邁進する者。
 今や売れっ子なのである。
 そんな自分が泣き言なんて言ってられないのである。
 先輩ケルチューバーとしての意地がある。矜持がある。
 そして、示すのだ。
 格の違いってやつを!
「おーっほっほっほ!」
「出たなの。ヴィルトルートのオープニング高笑いなの」
 撮れ高! と言わんばかりにナノはカメラを向ける。

「ヴィルトルート、はじめは現地住民の信頼を得るパートの撮影なの」
「信頼を得る? 愚問ですわナノ様。お嬢様たる者、言葉より行動で示してみよ。ノブレス・オブリージュ! 高貴なる者の務めはここに! そして!」
 ヴィルトルートの凄まじい自信にナノは圧倒される。
 いつも以上に言葉の意味がわからないが、とにかく凄い自信である。ならば、ここは彼女の好きにさせるほうが良いだろうと判断したのだ。

「虚飾に塗れた言葉より、実力! 獣人の皆様はどうやら実力主義の模様、ならばこのわたくしめの実力を持って示すのならば、ご理解得られるものではありませんこと!」
 言い切った。
 ナノは豪快だなぁと思った。
「ギギッ! 何をごちゃごちゃと!」
 迫るオブリビオン『コウモリ爆撃兵』たち。
 投下される焼夷弾の炎が巻き上がる。
 だが、その炎程度でお嬢様が止まるだろうか。いや、止まらない。
 お嬢様というのは炎の海だろうが、氷の礫降り注ぐ嵐だろうが止まらんのである。
 そういうものである。

 そして、口に手を当てたヴィルトルートの瞳がユーベルコードに輝き、ナノのジャッジメントセイバー・レインが光り輝く裁きの剣と共に『コウモリ爆撃兵』へと降り注ぐ。
「グッ、こいつらふざけた態度とは一転して……!」
「なの、まあ、編集でどうにかなるし、あとはお嬢様にお任せなの」
「任されましたわ~!! お〜っほっほっほ! 口からおビームですわ〜〜っ!!」
 高出力のビームがヴィルトルートの口から放たれる。
 どこから? となる造形であるが、口元と言ったら口元なのである。
 出るといったら出るのである。
 そういうもんなの! という謎の説得力と共にヴィルトルートのユーベルコード、オーッホッ砲(オーッホッホウ)が『コウモリ爆撃兵』へと炸裂する。

「おーっほっほっほ!! コウモリというよりカトンボでございますわね~!!!」
 高笑い高飛車お嬢様へと変貌したヴィルトルートはビームをばらまき続ける。
 暗雲が立ち込めるかのような敵勢であっても関係ない。
 己が実力を示して信を得る。
 それこそがお嬢様道の一つ。
 高貴なる者は、その立ち振舞一つでもって他を圧倒するのだ。いやまあ、今回はビームで強制的に圧倒しているような気がしないでもないが。
 だがまあ、ナノはカメラを回し続ける。
 なんだかんだで滅茶苦茶であっても撮れ高一杯になるのがヴィルトルートの天性の資質なのだ。
「うん。撮れ高オーケーなの」
「まだですわ、ナノ様! おーっほっほっほ!!」
 そんな高笑いと共に戦場には渾沌たる有り様がオブリビオンを飲み込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
コウモリだぁ?哺乳類ごときが空でわちゃわちゃやってんじゃねーですよ、ここはてめーらの居場所じゃねーですからね!
どんだけ数がいても片っ端から叩き落としてやるですから覚悟しとけです!
超音波で周りの状況を把握するのが得意らしいですけど、音速を超えたモノはどう感じるんですかね?
まぁどーでも良いです。
グラップルで引っ掴んだり衝撃波で吹き飛ばしたりしてこいつらを一箇所に纏めたら、焼夷弾もそっちに行ったりしねーですかね?
そうならなくてもこいつら盾にしてやり過ごしてやるですよ!

後は大声で叫ぶです。
おい、戦えるやろーども!
とっとと隠れ家から出て来て協力しろです!
今落とした奴ら、二度と飛ばすんじゃねーですよ!



 戦うことに理由が必要なのであれば、生きるためである。
 争いが満ちる世界に生まれ落ちた者の宿命であるというのならば、そうなのだろう。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)はラプターウィングでもって風を切りながら飛翔する。
 目指すは『須弥山型都市』の『有頂天天蓋』。
 そこにこの都市を制圧したコンキスタドール『有頂天道人』がいる。
 だが、その道行きを阻む者がいる。
 そう、オブリビオン『コウモリ爆撃兵』である。
 彼らの数は膨大。
 まるで暗雲のように空にはびこり、迫る猟兵たちを押し留めようとしているのだ。

 だが、ファルコには関係なかった。
 ロケット噴射に寄る飛翔。
 凄まじい加速によって彼女は音速を超えて、その腕部に装着されたナックルアローの一撃を『コウモリ爆撃兵』へと叩き込むのだ。
「コウモリだぁ? 哺乳類如きが空でわちゃわちゃやってんじゃねーですよ、ここはてめーらの居場所じゃねーですからね!」
 ぶっ飛ばした『コウモリ爆撃兵』は大地に失墜していくが、敵の数が膨大過ぎた。
 不意打ちの如き一撃で打ち倒しても、まだまだ数が多いのだ。
 だが、ファルコは叫ぶ。

 いや、宣言している、というのが正しいだろう。
「どれだけ数がいても片っ端から叩き落としてやるですから覚悟しとけです!」
 ファルコの瞳にユーベルコードの輝きが満ちている。
 そう、彼女は止まらない。
 激突しても、敵の焼夷弾が炎で持って彼女に迫るのだとしても、止まらない。
 空を飛ぶことだけが彼女の存在意義であった。
 此処は空に蓋がない。
 なら、ファルコは自由だ。
 今までの鬱憤を晴らすように飛翔し、その拳で以て『コウモリ爆撃兵』たちを打ちのめしていく。
 圧倒的な速度でありながら、空中で自在に方向を転換し、ヘッドブレードが風を切る音を響かせる。
「ギギッ、こいつ、速すぎる……!」
「そらそらそらぁ!! 止まってる暇なんて与えねーですよ!」
 ファルコの鉄拳が飛び、『コウモリ爆撃兵』たちが失墜していく。

 敵はやはり同じ空を戦場とする者への対策が取れていない。 
 あくまで駆け上がってくる者たちに対するアドバンテージしか有していないのだ。故にファルコのように空を自在に飛ぶ者に対しては、その優位性を保てないのだ。
 そして、ファルコのように加速と旋回性能を有する存在には一方的に食い物にされてしまうのだ。
「おい、戦えるやろーども!」
 ファルコは地上にて此方を伺っている獣人たちへと叫ぶ。
 それは裂帛の気合であり、同時にあまりにも口汚い誹りめいたものであった。
「とっとと隠れ家からでてきて協力しろです!」
 彼女のそれは、元いた部隊の隊員たちの口が感染ったものであったけれど、荒くれ者である武侠たちには響くものであった。
 彼女が空を飛び、懸命に戦う姿を見て心動かされぬ者はいなかっただろう。
「今戦わねーでいつ戦うってんですか! 戦えるんでしょ! なら!」
 ファルコは拳で『コウモリ爆撃兵』を叩き落とす。
 戦わねければ生きれない。
 なら、懸命になるということは命がけで戦うということだ。

 ファルコは叫ぶ。
「今落とした奴ら、二度と飛ばすんじゃねーですよ!」
「わかってるよ! 怒鳴るな!」
「そんだけ元気があるってんなら大丈夫ですね! いくですよ!」
 言い返された言葉にさえ、ファルコは頷く。
 それくらいのが張り合いがあっていい。隊員たちに揉まれ生きてきたからこそ、生きる活力はいつだって、そんな衝動めいたものなのだと示すようにファルコは自由なる空を駆けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

はじまりの猟兵…?
つまり1から5番まで揃えればコンプリートってことだね!
いや…もしかしたボクたちが倒れても第7、第8の…?
一匹見れば100匹イル的なやつだね!

東ローマと西ローマが争っていたらどうする?
北ローマと南ローマが争っていたらどうする?
その問いにある|賢人《蛮族》はこう答えた
みんな襲おう!

●空中制圧
UC『神罰』で巨大化させた[球体]くん達で空を封鎖していって爆撃と飛行を防ぐとともに彼らを圧殺してこう!
避けられないなら感知できても意味無いよね!
そしてこれだけ派手にやればみんないいタイミングだって分かるはずよ!
【第六感】に任せた球体の操作で彼らに道を作ってあげよう!



 獣人世界大戦を引き起こした者たちの目的は『はじまりの猟兵』であるという。
「つまり、1から5番まで揃えればコンプリートってことだね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はウンウンと頷いた。
 己達猟兵のことを時折オブリビオンは六番目の猟兵と呼ぶことを知ってから久しい。
「もしかしたらボクたちが倒れても第七、第八の……?」
 そんなふうにして世代を重ねていくのかもしれないとロニは思ったのだ。
「一匹見れば百匹いる的な奴だね!」
 そういうものなのだろうか。

 それとは違うが、『須弥山型都市』の上空は暗雲が立ち込めている。
 否、それは雲ではない。
 蜘蛛の如く形成されているのは、オブリビオン『コウモリ爆撃兵』たちの数があまりにも膨大であるからだ。
「ギギッ!!」
 けたたましい音を立てて彼らは飛び、反響定位によって互いの位置を知り連携を取っている。
 連携と数。
 これを強みにし、さらには上空から『有頂天天蓋』へと駆け上がってくる猟兵達の頭上を取れるという地の利さえ得ているのだ。

「東ローマと西ローマが争っていたらどうする? 北ローマと南ローマが争っていたらどうする?」
 急にロニは謎掛けめいた言葉を発する。
 オブリビオンたちにとっては意味不明だった。
 この期に及んで、そのような謎掛けをする意味がわからなかったのだ。
「その問いにある|賢人《蛮族》はこう答えた」
 ロニの言わんとすることを理解することはできなかったかもしれない。
 だが、一つだけはっきりしていることがある。
 ローマはオブリビオン。東西南北。それは超大国なのであろう。
 では、賢人もとい蛮族とは?

「答えは、みんな襲おう!」
 そう、猟兵である。
「目はいつも二つある。一つはボク自身を見るために。もう一つはキミを見るために。神罰(ゴッドパニッシュメント)は此処に」
 ユーベルコードによって球体をさらに百万倍にしたものを複製し、空を埋め尽くする。
 空を覆う暗雲があるというのならば、それらを圧殺しえる物を生み出せば良い。
 避けられるというのならば、避けられぬほどの巨大なる鉄槌を作り出せば良い。
 荒唐無稽が此処に極まっている。
 だが、ユーベルコードはいつだって滅茶苦茶なものだ。
 どんな力も、無意味と一蹴するかのようなユーベルコードに『コウモリ爆撃兵』たちは目を見開くことしかできなかった。

「これだけ派手にやればみんないいタイミングだってわかるはずだよ!」
 さあ、とロニは球体を操作し、敵を圧殺していく。
 そこに容赦なんてなかった。
 賢人と蛮族は紙一重というものなのだろう。
 ロニの振る舞いは蛮族そのものであったし、その発想は賢人そのものであっただろう。
 そうした相反するものを内包するのが猟兵であるというのならば、オブリビオンが敵に回したのは、まさしく天敵ともいうべき存在なのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月02日


挿絵イラスト