猟兵RTA・Any%
「そんな! 一撃喰らうだけで即死!?」
実に説明口調の区切・始(緩々悠々・f42846)絶叫が響き渡った。事実その通りなのだから致し方ない。
「現実の話じゃないからな。あくまでもゲームでの話だ」
区切・終(飢餓文学・f42796)はゲームでもあっても理不尽に変わりないが、とぼやく。
「ゴッドゲームオンラインでは、バグプロトコルによって倒れされると、遺伝子番号を焼却されて、現実で人権剥奪されてしまう。ここまではいいな?」
「う、うん……」
「即死するとどうなる?」
「そ……即座に……人権が剥奪される……。そんなの、むちゃくちゃじゃないか……」
真っ青な始に、まぁそうなるなと答える終。
「ゴッドゲームオンラインでは、一撃だけで即死するような理不尽な難易度は存在していないはずだ、一応現状は。あったとしても高難易度として設定されるはず。とすると、考えられるのはバグによるもの。……対策しないとな」
眉間にシワを寄せる終に、始も頷いた。
●
「皆さんには、メチャクチャ素早くバグプロトコルを回避してもらいます」
……結局のところ始によって考えられた対策は力技であった。終がとても文句を言いたげにしている。
「だ、だって猟兵さんでも一撃加えられたら即死扱いで退場なんだものぉ! こうするしかないよぉ!」
「……まぁ多分これが一番手っ取り早いんだろうがなあ……俺らも物書きの端くれとして良い作戦考えられたら良いんだが、いかんせん一撃即死なもんだから物理的に回避するしかないんだわ」
頭を抱えたい気分であるが致し方ない――そして始は続ける。
「それで、その即死バグはとあるクエストに発生しているらしいんだ。そのクエストが――」
●
「いらっしゃいませェ! お客様ァァァァ!」
絶叫とともに猟兵を迎え入れたのは飛びかかるメイドである。
本来のクエストであれば、悪しきモンスターによって屋敷の中に囚われたメイド達を助けるといったクエストであったはずなのだが、縦横無尽に駆け回るメイド達は紅茶とか紅茶とか紅茶とかでおもてな死をご提供してくる。スコーンが欲しいところであるが生憎そのような提供はない。アッツアツの凶悪な紅茶が飛び交う空間である。
――……ともあれ、屋敷の中のメイド達の攻撃を避けつつ、殲滅する他あるまい。
クエストを進行することによって分かることもあるだろう――今は目の前の凶悪メイドだ。
tk
tkです。多分これが一番早いと思います。
というわけでバグまみれの世界で皆様には頑張っていただきます。
シナリオの進行によっては皆様にはバグテクニックを披露していただくことになります。
奇行を恐れず向かいましょう。さすればゲームの神は貴方達に微笑みます。
第1章 集団戦
『バグに侵されたメイドNPC』
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POW : 紅茶は如何ですか?
【侵食毒の入った紅茶】を給仕している間、戦場にいる侵食毒の入った紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : 紅茶は如何ですか?
【麻痺毒の入った紅茶】を給仕している間、戦場にいる麻痺毒の入った紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ : 紅茶は如何ですか?
【混乱毒の入った紅茶】を給仕している間、戦場にいる混乱毒の入った紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
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オニキス・ヴァレンタイン
メイドにはメイドをぶつけるんだよ!
と言いたいところですがメイドがいないので僕がメイドになりますね。(コスプレ)
ダメダメダメ、全然駄目ですッ!
お辞儀の角度はこう。
そんな叫び声ではなく「いらっしゃいませ、お客様♥」ってにこやかに言わなきゃ。
お客様を満足させるには、ただ襲いかかるのでは駄目です。
紅茶もこんなにこぼして、もぅ〜。ドジっ娘設定なんですか? ならよし!
アルテミスカード(SPD)で攻撃回数を増やし月光弓で技能『矢弾の雨』を放ち『武器落とし』(カップごと紅茶を落とす)を狙います。
麻痺毒の入った紅茶は辞退したいところですね。
「いらっしゃいませェェェェ! お客様ァァァァ!」
大絶叫とともに挙動諸々が異常な速度だったり関節が若干アカン方向に行ってる感じで紅茶を投げつけて襲いかかるメイドNPCに、自らも何故かメイド服に身を包んだオニキス・ヴァレンタイン(八月のヴァレンタイン・f41830)はため息をついて、腰に手を当て、もう片方の手で人差し指をピンと立てた。
「ダメダメダメ、全然駄目ですッ!」
飛び交う爆速接近おもてな死紅茶を回避しつつ、オニキスは綺麗で優雅なお辞儀をする。
「お辞儀の角度はこう!」
その頭上を爆速で投げられた紅茶が通り過ぎて行く。
「お客様ァァァァ! 困りますゥゥゥゥ! お茶結構おいしいですよォォォォ!」
「あっ結構おいしいんです? いやいや、そんな叫び声でなく! もっといらっしゃいませ、お客様! ……と、にこやかにいわなきゃ!」
バグっていることによりワンパターン行動しか取れぬNPC。哀れに思いつつも爆速接近紅茶を首を少しずらす形で躱した。
「紅茶もこんなにこぼして、もぅ~……ドジっ娘設定なんですか? ならよし!」
周辺のビッチャビチャに汚れた様子を見て、一人納得したオニキスは、おのれのユーベルコードを起動する。
「おッ客ッ様ッァァァァ! 六番のテーブルにどうぞォォォォ!」
「ドジっ娘設定はまぁアリだとして……麻痺毒のある紅茶は辞退したいところですねぇ」
アルテミスカードを起動、月光弓を取り出し、矢弾の雨を降らせる――武器落としによって、場にいたメイド達のティーカップは全て取り落とされた。増援はあるだろうが、一時しのぎにはなろう。
「お客様ァァァァ! おかわりがございますためェェェェ! お待ちをォォォォ! ウオオオ結構おいしいお茶ァァァァ!」
大成功
🔵🔵🔵
家綿・衣更着
アニエス(f28971)さんと「おばあちゃんと狸」
アドリブ歓迎
ゲーム世界!難易度高めだけど楽しむっす!
「RTAとはリアルタイムアタック、つまりぱぱっとやっちまうっす!」
ゲーム不慣れなアニエスさんに説明しつつ
どろんと大量の妖怪煙を煙幕にしつつUC『妖怪忍法葉っぱ乱舞』の立体映像で敵を攪乱
アニエスさんも【化術】と【結界術】で見えなくして守りつつ自分は【第六感】で【見切り】紅茶回避を楽しんでるっす
「敵が同じ行動ばかりのゲームは普通っすよ!バグは敵の事、そんな動きでしょ?(面倒くさくなった)」
【化術】で段差を作り【地形を利用】して【おびき寄せ】、アニエスさんに焼き払ってもらう
乱数調整っぽく進むっす!
アニエス・ベルラン
【おばあちゃんと狸】
衣更着君(f28451)と連携
現実じゃない…げーむの世界、ねぇ
やれやれ、年寄りにはわからないね
あーるてぃーえーってなんだい?
…りある・たいむ・あたっく?
よくわからないが、当たらなければいいのだろう?
じゃあ援護はしてあげるからメインは任せたよ衣更着君!
前衛は衣更着君に任せ、ぼくは【高速詠唱】からの流光「シューティングレーザー」による魔光線で援護しよう
頃合いを見てUC【灼熱「煙炎漲天」】で焼き尽くすよ
このメイドたちはなんで紅茶ばかり投げて、しかも同じ言葉ばかり繰り返すんだい?
ばぐ?虫のことかい?
…敵の名前か。つまりこのメイドたちの総称がばぐってことだね!
「時に、衣更着君」
「はい、何でしょう」
「あーるてぃーえーってなんだい?」
爆速異常動作メイドNPCを目の前にして、始からそんな風に言われたことを思い出してアニエス・ベルラン(自称知識人の幼い老婆・f28971)は家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)に問いかけた。
「RTAとはリアルタイムアタック、つまりぱぱっとやっちまうことっす!」
「……りある・たいむ・あたっく?」
殺意満点爆裂異常動作紅茶を最低限の動きで避けつつ、ビッチャビチャの床を見ながらすごくもったいないねえというアニエスに、家綿は大丈夫ゲームですから……と一応フォローを入れる。
「よくわからないが、当たらなければいいのだろう?」
「はい、そうなるっす!」
「よし。じゃあ、そうすると、援護はしてあげるからメインは任せたよ衣更着君!」
「あいあいさー、っすよ!」
早速化術と結界術で即座にアニエスをメイドの視界から消し、自身は第六感と見切りによってメイドの動きを見えるようにセッティング。
「よいしょっ!」
「お客様ァァァァ! お茶は結構おいしいんですよォォォォ!」
「えっ結構おいしいのかい?」
「騙されちゃ駄目っすよ! これ麻痺とかあるっすよ! バグってるからそうなってるんす!」
異常動作紅茶を回避する家綿を、高速詠唱によってシューティングレーザーを使い、凶器の紅茶を狙い撃つ形で支援しつつ、会話は続く。
「……ばぐ? 虫のことかい?」
「アー……敵が同じ行動ばかりのゲームは普通っすよ! バグは敵の事、そんな動きでしょ?」
「お客様ァァァァ! お茶に虫なんか入っていませェェェェん!」
「入っていないのかい……?」
「ややこしくなるから喋らないで欲しいっす!? 耳を貸さないで!」
説明が面倒になってきた家綿はやや適当をいいつつも爆速異常速度メイドのおもてな死攻撃を回避し続ける、そのおかげかメイド達の攻撃が極めてワンパターンに近づいてきた。
「……つまり……アレか。敵の名前か。つまりこのメイドたちの総称がばぐってことだね!」
「そういうことっす! でも、本当はこんな動きはしないんっすよ!」
ではそうなれば大技――といはいえ、ここのメイド達は、家綿の言い方だとなんらかの被害者だということか。納得したアニエスは、詠唱し、発動するユーベルコードの発動先を変えた。
「この炎に燃やせぬものはないよ! といっても――今回はサービスだねぇ」
――そう言って燃やすは、メイド達の紅茶! ……紅茶が蒸発することはバグすらも想定していなかったのか、呆然と立ち尽くすメイド達の姿が、そこにあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オメガ・カストゥール
…メイドが高速で動きながら色々と投げていて出して来るのにも即死ダメージがあるって事か??
ここは人型で行くか。どの道、屋敷ならドラゴンでは入れん。
襲い掛かってくるメイドは【カウンター】で「ガイ・ソード」を【怪力】で思いっきり降りかかって吹き飛ばす。(UCでガイ・ソードを盛大に振り回す)
「いきなりか。礼儀がなっとらん」
紅茶が飛んで来たら【ブレス攻撃】で口からファイアーブレスを吐いて焼却する。
「バグとは、想定外の事をすることか。だが、まだ甘い」
その後もガイ・ソードを盛大に薙ぎ払ったりガイ・ソードで攻撃受けたりして即死を回避する。
「さすがに眷属や同族を出すわけにはいかんな。殺させるわけにはいかん」
メイドが高速で動く挙動がそもそも想定されていないのであるが、爆速で投げつけられるの無論想定されていない挙動である。巨体では数とその凶悪さに対して不利。どのみちドラゴンの姿では屋敷へ入れないために、オメガ・カストゥール(火焔竜にして、竜神王・f34605)は人の形をとって屋敷に突入した。
「いらっしゃいませェェェェ! お客様ァァァァ!」
先に潜入した組も遭遇している相変わらずの爆裂殺意紅茶である、ガイ・ソードにて思い切り怪力で振りかぶり、カウンターという形で床をえぐる。衝撃でメイドは吹き飛ばされ、それでも尚起き上がり攻撃しようとしてくるのだから恐ろしい。通常プレイヤーならば、ここで恐れおののいているところであろう。
「いきなりか。礼儀がなっとらん」
「結構おいしい紅茶はいかがですかァァァァ!」
「要らん!」
一蹴しつつファイアーブレスで紅茶を蒸発させる! やはり破壊、蒸発といった『攻撃する手段が消える』というものに対してはフリーズするらしく、動きはピタリと止まった。
「バグとは、想定外の事をすることか。だが、まだ甘い」
ガイ・ソードによる破壊や回避でメイド達のフリーズは続々と続いていく。
「さて、先行組と合流できると良いが……」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『危険なお誘い』
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POW : 敢えて美女についていって囮になる
SPD : 隠れて美女を観察あるいは尾行する
WIZ : 目撃情報などから行方不明者が姿を消した場所を特定し周辺を調べる
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殺意満点紅茶乱舞メイド山盛りダンジョンを乗り越えた先、ペコリと一礼するメイドが一人。
その姿はひときわ美しく、どうやら特別に用意されたNPCのように見える。
「私についてきてくださいませ……私の案内で、皆様にあの恐ろしいモンスターを倒して欲しいのです……」
さめざめと泣くメイドは、設定的にはここの屋敷のメイド長だ。
案内役という設定も、間違っていないが……。
●
「とっても……怪しいね……」
散々バグプロトコルに狂わされている屋敷だ、このメイド長もそれに漏れぬ可能性が高い。なんでも、ここに挑んだプレイヤー達はついていったNPCのせいで行方不明になっているらしい。姿を消した地点はある程度決まっていて、事前に生存したプレイヤーが残した攻略によって、始によってマッピングされている。これを見るに、決まってどこかの扉付近でプレイヤーは消えているようだ。消失を目撃した生存プレイヤー曰く、扉を抜ける時にNPCと最も会話したプレイヤーが消えるだの、NPCが触れたプレイヤーが消えるだの、そういった話が出ている。
「なんとかついていきつつ、怪しい点や違和感があれば避けたり逃げて欲しい。それと……飛ばしている式神で皆を観察している時、なんか変な感じがしたんだよな……。メイドの攻撃手段を封殺すると、ピタッと止まっただろう?」
式神越しの連絡で頷く猟兵達に、始は続ける。
「これはきっと……『無敵時間』だと思う……」
「無敵時間?」
式神越しの声に、アニエスは首を傾げた。
「無敵時間……アクションゲームとかでアイテムを手に入れた時とかにあるモノっすよね。それが起きていると?」
家綿の声に、始は頷く。
「うん。皆の、相手にとって予期されていない動きによっての硬直。これのおかげで隙ができている……というのは正確ではなく、『相手が予期せぬ動きをすると無敵になる』んだ。結果は避けているのと一緒だけど、ここから先避けられ無さそうな攻撃をしてくる相手が出た時、この無敵時間は絶対に、鍵になると思う」
「無敵時間ですか……」
「無敵時間か……」
オニキスとオメガもそれぞれ口にする。
「色々と試せそうなことがあればやって見て欲しい。こういうのはどこに穴があるか分からないからね」
真剣な始の声。
メイド長は妖しい美しさをたたえながら、猟兵達を『案内』するために立っている――。
家綿・衣更着
アニエス(f28971)さんと【おばあちゃんと狸】
アドリブ歓迎
UC『あやかしメダル「打綿狸の衣更着」』で【結界術】をアニエスさんに
おいらの忍者的推理だと、たぶんメイド長がモンスターっす
モンスターに脅されて毒紅茶はまだしも、囚われメイドが直接案内はおかしいっす
アニエスさん気を付けて(小声)
アニエスさんの使い魔を懐にしまい何かあったら合図してもらう
先行調査し【罠使い】や【第六感】で扉等の【情報収集】し、怪しい所に手裏剣投擲
どろんとアニエスさんの所に出現し結果報告&攻撃受けそうになってたら【化術】で【おどろかす】し妨害
メイド長どうしたっす?おいらたち化かし合いは得意っすよ?
(予想外れてたら赤面)
アニエス・ベルラン
【おばあちゃんと狸】
衣更着(f28451)君と連携
アドリブ歓迎
…ゲームという慣れない世界だからって惚けすぎたか
少し気を引き締めよう
結界か。ありがとう衣更着君
(小声で)メイド長が怪しい? 確かにあからさまだが…ま、注意しておくよ
案内を待たずに自分から偵察に行くとは若い子は元気だね
【八咫烏の使い魔】を持たせたし大丈夫だとは思うけど…無茶はしないようにね
メイド長さん、この先にいる恐ろしいモンスターとやらはどんな奴なんだい?
それぐらい情報を教えてくれてもいい気がするけどね
…怪しい動きをすればUC【魔眼・跼天蹐地】による幻術で対処するよ
(どろんと現れた衣更着を見て驚かず)
おかえり衣更着君
何かあったかい?
「おいらの忍者的推理だと、多分メイド長がモンスターっす。囚われたメイドが直接案内っておかしいっすよ」
「ふむ……確かにあからさまだが……ま、注意しておくよ」
怪しい、とはいえ手がかりになりそうなのもメイド長なのは事実。家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)はアニエス・ベルラン(自称知識人の幼い老婆・f28971)に向けて、あやかしメダル『打綿狸の衣更着』を使用し――悪意あるものを退け護る結界が展開された。ありがとう、衣更着君、と礼を言うのを確認するかしないかというタイミングで家綿は偵察へ意気揚々と向かう。メイド長がそれにやや止まり、お待ちを……というのをあえて振り切った。メイド長のわずかな違和感に、フリーズだろうか? と首をかしげながら、アニエスの八咫烏の使い魔がやってくるのを感じる。
「いよし、託されたっすよ」
●
家綿は使い魔を胸元にしまって先行偵察しに向かう。なにもない部屋がある、と思えば扉の隙間から見ればモンスターハウスが。なんの変哲もない廊下が続く、と思えば罠だらけの道もある。罠使いとしての心得や第六感が無ければ危ない場面もあったが、持ち前の腕前で難なく偵察をこなしていく。どうやらここは半自動生成ダンジョンらしく、扉を開く際に部屋や廊下にトラップやモンスターが配置される仕組みのようだ。なにも知らないままメイド長から案内されれば危険な目に遭うだろう。マッピング通り扉の位置は固定のようで、手裏剣を試しに投げてみても、扉に怪しい動作はない。プレイヤーの混乱のせいで自動生成ダンジョンの旨は有耶無耶になっていたのだろう。
さて、開く扉そのものに、なにかギミックがある様子はなかった。なかったのだが――。
「……?」
扉を開けた瞬間に妙な感覚がする。なんというか万能感というか具体的に言うと……『無敵』な感じ。どういうことなのだろう? あとで情報共有するべきだろう。
●
「――メイド長さん、この先にいる恐ろしいモンスターとやらは、どんな奴なんだい?」
そう聞かれたメイド長は、しくしくと泣きながら答える。
「とてもとても恐ろしいモンスターです……ご主人も他のメイド達も……気の毒に……」
「恐ろしい……例えばどんな攻撃をしてくるのかな?」
「ご主人も他のメイド達も……気の毒に……」
「……。きみ自身は何か対抗したのかな?」
「ご主人も他のメイド達も……気の毒に……」
ふむ、ゲームという慣れない世界、こういうこともあるのか。ゴッドゲームオンラインはNPCには柔軟な対応ができるAI――例えるなら使い魔に良い頭脳が搭載されている、と聞いている。このような対応もバグ、とやらのせいだろうか。しかしこれでは埒があかない。
「ご主人も他のメイド達も……気の毒に……」
「それはもう聞き飽きたよ。本当に気の毒なら、何か別の――」
「貴方も……気の毒に……」
その言葉と同時に、メイド長の眼光がほとばしった。アニエスは、それを咄嗟に同じく魔眼による目線で返す――とほぼ同時に、攻撃を悟った使い魔の反応から、家綿が瞬間的に化術でおどろかすように出現した。
「メイド長、どうしたっす? おいらたち、化かし合いは得意っすよ?」
「……。おかえりなさいませ、家綿様」
機械的に返すメイド長――取り乱す様子もないそれに、しかし明らかな沈黙があり、家綿は肩をすくめる。少なくとも、要警戒対象ということは判明した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
徳川・家光(サポート)
冒険においては、基本的に「羅刹大伽藍」による力仕事か、名馬「火産霊丸」を召喚し、騎乗技能を駆使した早駆けを利用したスピード勝負を得意としています。
また、冒険では「鎚曇斬剣」をよく使います。頑丈で折れにくいので、鉈や斧、岩盤に打ち込むくさびの代わりに重宝しています。
他には「念動力」技能で離れた場所の物体を動かして驚かせたり、ロープを浮遊させて対岸にくくりつけたりできます。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
シトー・フニョミョール
バグだらけだと穴を見つけたくなるのがシトーの悪いところですぬ。
というわけで早速ですけど、プチゴーレム君にはメイド長について行ってもらいつつシトーは比較的こっそりあちこち探索しますよ。
おおかたトラップや重要な情報があると思いますが、一番欲しいのはフラグ。物語や行動を司る貴重なポイントですぬ。
これをこう(メニューを開いて特定のコマンドを叩き込んでバグらせ、フラグ管理画面を出す)くるっとひっくり返すことでメイド長がおかしな動きをし始めたり、エンディングに突入したりするって寸法ですよ。
まぁバグプロトコルを解決しないといけないのでまだ泣かせませんけどね。Any%でもガバは見せないシトーであった。
バグだらけだと穴を見つけたくなるのが悪い癖――ということで、シトー・フニョミョール(二人で一つ?なクリスタリアンの従者・f04664)はこの状況下である種不謹慎とは理解しつつも好奇心を抱えつつ探索に挑む。メイド長にプチゴーレムを随伴させ、シトー自身は多方面を探索することにした。
「さて……」
「いったいどうする気なんです?」
徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)に尋ねられて、シトーはそうですね……と深呼吸しながらメニュー画面を出した。
「まずメニュー画面を出します」
「ふむ」
「ゴッドゲームオンラインは非常に良くできたゲームです。通常ならばゲーム中、そうそうバグは発生しませんが、現在はバグプロトコルにこの場は支配されています。つまり、バグが発生しやすい空間です」
「うんうん」
「というわけで、まずはメニューを開きます」
「うん」
「メニューを開きながら二秒ほど……はい、それから二歩ほど歩きます」
「うん?」
「歩いたのちドアを開きます」
ガコッ、と、少し建て付けの悪い扉の開く音。
「これ何の儀式?」
「それからメニューを開き、また二歩ほど。それからオブジェクトを調べて……はい」
おもむろにガコッ……ガコッ……と、を開ける音が響き渡り続ける……。
「な、何が起きてるんでしょうかねこれ!?」
「成功しましたね! ドア音持ち込みができました!」
「何!? 何なの!?」
「こうすることによって色々と悪いことができます――はい、メニューを開き、アイテム欄で右下のアイテムを左上に四回持っていき、コマンドを入れる。と……『バグプロトコルが管理しているフラグ管理画面』が出てくるというわけです。流石にゴッドゲームオンライン側はしっかりしていますからね、そちらの悪さはそうそうできませんが、バグプロトコルのやろうとしている悪さは閲覧できるというわけです」
「なるほど、ええと、つまり相手の悪さが分かると……それよりさっきから聞こえるドアの音どうにかなりませんか!?」
「なりませんね」
●
さて、フラグ管理画面を呼び出し、フラグそのものを操作する際に、明確なデストラップフラグは解除できたが、ブラックボックスと化している部分も多々あった。そこまで操作すると、相手がどんな動作をするかわからなくなるために危険だと判断し、現在は断念することとなる。しかし、これで安全に渡ることができよう。肝心のメイド長の動作もブラックボックスに入っていたが、戻ってきたプチゴーレムの観察と、フラグ管理画面の挙動一覧によって、どうやら扉付近での動作は扉による『無敵時間』の解除直後に触れて相手を消し、無敵時間を悟られないようにしている動作ということは把握できた。
「――成程、ね」
つまり相手は扉付近が鬼門だと――そう把握することができた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『ドレイクメイデン』
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POW : お掃除いたしましょう
無敵の【バックアップごとデータを消去する清掃具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : 今がチャンスでしたのに
戦場全体に、【決定的な場面でファンブルが出る世界】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : それでは皆様、ごきげんよう
【自身に関する全てのデータを消去する】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑11
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「良く分かったわね……私がここのラスボスだということを……! ……って、なんとなく分かってる風でしたわね」
豪奢なボス部屋にまでたどり着くと、メイド長――ドレイクメイデンは正体をあらわし、ため息をつきながらお辞儀をする。
「でも、そうそうやられませんわよ。私、こう見えて強いので」
ニコリと悪辣に笑ってみせる――ものの、顔をしかめた。
「それにしても、さっきから響き渡るこのドアの音、どうにかなりませんこと!?」
――そう、先程からずっとガコッガコッ鳴っているのである!
●
「フラグ管理画面を呼び出すとは、やるね……」
ごくりと始は息を呑みつつ、十中八九怪しいメイド長への対策を口にした。
「さて。整理すると、扉を通過すると『無敵時間』が発生するらしい。どうやらこれは、ランダム生成されるダンジョンのわずかなローディング時に発生するもので、先に家綿くんが感じた違和感はそれだ。扉を開け閉めする直後――その間は、文字通り無敵。なにをされてもゲームから離脱することはない」
けれども、ここのバグプロトコルはそれを許さない。無敵時間が過ぎた直後を狙って脱落させ、無敵時間を感知させないようにしていたのだ。
「相手も仕様を把握していたが故のトラップだね……でも、一人にしか対応できないみたいで、目撃者が居たのはそういうわけだ」
そしてラスボス部屋は大きなエントランスのため、なんと扉がいくつもある。無敵時間を悪用するには良い場所だろう。
「扉の無敵時間の他にも、バグ技はあるかもしれない。是非とも探したり試してみたりして欲しい……あとさっきから気になっているんだけど……」
なんかドアを開け閉めする音がずっと響いているのは何だい……? 始の声は非常に困惑していた。
アニエス・ベルラン
【おばあちゃんと狸】
衣更着(f28451)君と連携
アドリブ歓迎
衣更着君が機動力が心許ないぼくのために色々サポートしてくれるのは正直ありがたいね
…ではその労力を割いてくれた分だけ、期待に応えなくてはいけないね
いつの間にかメイド姿になっているけど…まあいいか
【八咫烏の使い魔】の口に【流光「シューティングレーザー」】のカードを咥えさせて魔法を撃たせよう
清掃具ぐらいは撃ち落とせるだろう
ぼく自身は隠れさせてもらうよ
我がUC【アルカナ・ブラスター】は詠唱時間が長ければ長い程威力が増す
タイミングを見計らってこいつを打ち込んでやるさ
即死攻撃に無敵、確かに強力だが…
驕るな。ぼくは90年以上生きた魔法使いだ
家綿・衣更着
アニエス(f28971)さんと【おばあちゃんと狸】
アドリブ歓迎
作戦:衣更着が敵の動きを封じ隙を作り、アニエスが強力な一撃を入れる
「さあ!狸忍者の化術奥義をとくとご覧あれ!っす」
どろんと【化術】でメイド姿に変身、UC『妖怪忍法葉っぱ乱舞』を使い一章で出た「即死紅茶」に変形した投擲攻撃で、受けたら死ぬと【おどろかす】事で、ずっと相手を動けないよう無敵状態に封殺し続ける
敵の攻撃は扉無敵を利用したり【第六感】で【見切り】したり
「いらっしゃいませェェ! お客様ァァ!」
さらにアニエスさんを【化術】と【結界術】で見えなくして残像を本人とずれた場所に配置
でかい一撃を入れてもらう際は、あえて隙をさらし攻撃を誘う
「いやーさっきから扉の音がすごいっすねえ……」
ガコッ……ガコッ……と響き渡る音に、家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)はある程度の困惑を隠しきれないまま、戦いの準備を行う。
「なにはともあれ……さあ! 狸忍者の化術奥義をとくとご覧あれ! っす!」
何を仕掛けたのか――?
ドレイクメイデンは家綿に向けて片眉を上げた。何か様子がおかしい――しかしそれを悟ることができない。何をされた!?
そして、家綿がどろん! と変身したるは最序盤で遭遇したメイド! ユーベルコード、『妖怪忍法葉っぱ乱舞』を発動、あの殺意満点爆速紅茶を再現した投擲攻撃がドレイクメイデンへと襲いかかる。
「いらっしゃいませェェ! お客様ァァ!」
「……!」
回避するドレイクメイデンの動きもまたバグじみて高速だ。しかしそれに引けをとる家綿ではない。
「よく攻撃しますわね――! では、こちらはいかが?」
ドレイクメイデンは片手を上げると、清掃具を武具のように展開。弾幕のように襲いかかる! 通常なら回避不能の物量だ、しかし――。
「……ッとぉ!」
瞬時に扉へ近寄り、開ける! 扉の開閉によって付与される無敵時間を利用して、清掃具は体をすり抜けていった。
「っちぃ……!」
「自分の使う忍法以外で透けると、不思議な感覚っすねえ~」
舌打ちするドレイクメイデンに対し、素直な感想が漏れるものの、これを利用しない手はない。
「さて、まだ戦いは続きますよ、『お客様
』……!」
●
「さて、と」
家綿の化術と結界術によって身を隠しているアニエス・ベルラン(自称知識人の幼い老婆・f28971)は杖を手に戦況を確認する。
いざという時のために、扉をすぐに開けられるよう扉のそばに待機しているが、この分ならば利用する機会はなかろう。
八咫烏の使い魔に、流光『シューティングレーザー』のカードを咥えさせて、魔法を撃たせる。
「なッ
……!?」
不意の攻撃に、動揺したドレイクメイデンはどこから攻撃が来たのかとあちらこちらを見る。
――撹乱は成功、上々か。
家綿の負担を少しでも減らすために清掃具が撃ち落とされる。無敵時間とやらがあってもあの物量は骨が折れるだろう――少しでも家綿を支援してやりながら、アニエスは詠唱を開始する。
――アルカナ・ブラスター。
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する破壊光線。狙いは定めて。着実に当たるよう。
「即死攻撃に無敵、確かに強力だが……」
練り上げられる攻撃は、しかし、相手に気取られることなく。
「――驕るな。ぼくは九十年以上生きた魔法使いだ」
その『魔法』が、ドレイクメイデンに向けて放たれた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シトー・フニョミョール
やはりあのメイド長がラスボスでしたか。最後のフィールドもなかなか面倒な――うるせー!!
この怒りはメイド長にぶつけよう。
今回のバグはローディングによる無敵時間。
ならばこちらもこれを利用して…と、思っていたのか?
どこでもいいのでドアを派手な音と共に開ける!
相手が扉を開けて無敵時間を使うのであれば、無敵時間の切れるタイミングに攻撃が直撃するように。開けないなら即いる場所に【パペット・フォーミング】の鎖を投擲!
さぁRTA恒例のフレームパーフェクトのお時間です。相手の判断予測と投擲のタイミングの補正、うまくいけば眼の前には鎖がこんにちは。そうでなくても回避はほぼ不可でしょう。
お祈りお願いしまーす!
「やはりあのメイド長がラスボスでしたか。最後のフィールドもなかなか面倒な――うるせー!」
この怒りはメイド長へぶつけよう――そう心に決めたシトー・フニョミョール(二人で一つ?なクリスタリアンの従者・f04664)は、不気味なドアの開閉音がする中、いっそう派手な音を鳴らしてドアを開ける。
「――!」
先の攻撃で破損した体を庇うように、ドレイクメイデンはドアの無敵時間を自身も利用しようとドアへと接近しようとする。
それを見逃すシトーではなかった。無敵時間の効果時間は測って把握してある。
――ぴったりのタイミングで『パペット・フォーミング』の鎖を投擲――フレームパーフェクト技はなるか!
「がッ……!」
失敗にしろ回避はほぼ不可能な攻撃が、ドレイクメイデンの目前に迫り、咄嗟に庇った腕が大きくダメージを受けたのか、後退する。
「ひ、卑怯な……!」
「卑怯なのはそちらでしょう! 無敵時間を悟らせずに人を消した所業、許しませんからね!」
鎖はさらに唸り、ドレイクメイデンの庇っている腕を固定した。
そして特大級の雷撃がドレイクメイデンを襲う――!
大成功
🔵🔵🔵
アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、可能なら末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。
正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。
基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――
起動!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「
神機召喚――
起動!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
ズタボロとなっている相手に、更に追撃を行う。
「いっくにゃー!」
アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)はドアを開けてからの早速の無敵時間のまま、ユーベルコードを発動しながらドレイクメイデンの方へ突撃する。咄嗟に受け身をとれなかったドレイクメイデンは、直にアイクルの攻撃をその体に受けた。
「このままでは……!」
ドレイクメイデンは手をかざし、おのれに有利な、そして相手に不利な迷路を作り出そうとする。
「――させません」
鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)がすかさず扉から現れ、アイクルと同じくユーベルコードによってオーラを纏った右拳で殴りかかった。
「がッ……!」
直に受けた魔法、そして雷撃によってボロボロのドレイクメイデンは、その拳を受けていよいよふらつき、姿勢を保つのに精一杯といった様相だ。最早無敵時間のためにドアへ接近することもままならない。
「小癪な……!」
そう言いながらも尚も能力を発揮しようとする。
仕掛けるなら今か。互いに目線を配った。
「トドメ、一緒にいくにゃ……!」
「……はい」
そして、さらに拳を握りしめたアイクルと鈴乃宮がドレイクメイデンへ踊りかかった――。
●
――かくして、ご主人を喪ったお屋敷は、悲しみにくれつつも平和になりました。
悪の親玉は消され、このお屋敷は亡くなったご主人を待ちながらも、慕われていたご主人のためにお屋敷は保全されることになりました。
「このエリアは、安全なゾーンとなります。アイテムの売買や修理、回復などを行うことが可能です」
そんなシステムメッセージとともに、バグまみれの空間が終われば、そこはメイド達が粛々と亡き主人に仕える物悲しい空間となっていた。正当に話が進んでいれば、所謂『鬱シナリオ』として運用されていたのであろう。
猟兵達はここから去る。……なんだかまだガコッガコッとドアの開閉音がする感覚を持ちつつも。なんとか忘れたい、この音。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴