絢爛サアカス、明と暗
昨日まで元気に文通をしていた作家仲間の訃報は、ぼくを深く失望に落とした。
ぼくの書くことばを、一番理解してくれていたあの人は、あっけなくこの世を去った。事故だったらしい。
桜舞い散る中、とぼとぼと歩く。
さみしい。どうしようもなくさみしい。
さみしく歩いたとしても、どうせ寄り添ってくれる人は居ない。
桜がどれだけ世界をその色で彩ってくれたところで、ぼくにとってはモノクロオムの世界にしか見えない……。
●
「サクラミラージュでサーカス、だってさ! 始さんはまだ、サーカスとやらを実際に見たことないんだけどね」
でも生憎、目に楽しいものじゃないらしいんだけどね、と、区切・始(緩々悠々・f42846)は視線を落とした。
「――逢魔が時、心の弱っている人に『影朧』が近づいて、サーカスに誘うらしい」
その名も『影朧サアカス』。その心の弱っている人間――孤独を抱えている者――を『団長』として祭り上げ、大量の影朧達が団員となって組織行動を取り、逢魔が時に行う興行でその規模を大きくしているという。
「放置しておけば、『移動する逢魔が辻』って事態になっちゃう。どうにかして原因を究明して、サーカスをおしまいにしないと」
始はふうと目を伏せ、自分の机の上にある数々の物語を見る。
「夢は良いものだ。悪い現実から目を閉ざすことができる。つらい出来事からずっと目を逸らすことも決して悪いことじゃない。でも――醒めなきゃ余計苦しい夢も、あるものだからね」
ゆる、と自身の式神達を手で弄んでいるうち、式神達はふわふわと貴方にお茶を淹れてくれることだろう。
「……どうか夢から目覚めさせてあげてほしい」
●
さみしい君の孤独に寄り添う我々だ。
さあさあ、御覧あれ!
楽しいサアカスの始まりだよ――。
tk
サクラミラージュでとーってもあやしいサアカスを追うシナリオとなります。
第一章はサアカスの興行に混ざり、影朧達や団長に近づくことが目的となります。
第二章以降の内容は物語が進みましたら断章にてご説明いたします!
皆様のプレイング次第で状況は変化いたします。
ふるってご参加くださいませ!
第1章 冒険
『乱入! 影朧サアカス興行』
|
POW : 猛獣との格闘や怪力パフォーマンスを演じる
SPD : 華麗なジャグリングやナイフ投げを演じる
WIZ : ド派手なイリュージョンを披露する
|
スイミー・サウザンスリー
tkマスターにおまかせします。かっこいいスイミー・サウザンスリーをお願いします!
★なお描写のフックとして、スイミーも一族の末裔として孤独の自覚があるため、この騒動に思うところがあるかもしれません。こちらを織り込むか否かもお任せします。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)」、尊敬する人には「丁寧(俺、~殿、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「見て! サメよ!」
サアカスの中、次の演目が始まろうとした時に、観客の一人が空中を指さした。
――空中にサメが一匹、泳いでいる。
「あれが次の演し物かね?」
「サメとは珍しいね、しかし本物みたいだ」
のんびりと見ていた観客だったが、そのサメが次第に増えていくとざわめきも同時に増えていく。
「あれ……サメよな?」
「何故サメが……?」
困惑の中、サアカスの内部には半透明に見えるサメが増えていく。言うなければ幽霊鮫か、それらは次第に数が増えると、室内をうねるように嵐を形成していき――。
「さ、サメ嵐だ!」
「こ、こりゃどえれえ! どえれえことだべ!」
ハイカラに言うのであればシャアク・トルネイドと呼称するべきそれ――その中で小器用にサメ同士で連携してジャグリングのようなことをするサメもいれば、風の輪をくぐるサメもおり、観客達は動揺しながらも拍手を送った。次の演目をしようとした団員も、思わず拍手を送っている。
●
「……満足の行く結果になったな」
スイミー・サウザンスリー(ロンリー・シャーク・ワイルドハント・f42925)は観客の満足そうな顔をその目で見やる。ヒレで宙空を泳ぎながら、拍手を聞き届けて――おのれにも人を喜ばせることができるのか、と、ある種の感慨すらあった。一族の最後の一尾としての孤独を抱えている彼としては、団長すらも喜ばせることができたのならば、と、瞬間よぎる。このサアカスの団長と祭り上げられた人物もまた、同じく孤独を抱えているとするのならば。
「いや、全ては解決してからだ」
そうしたら、聞いてみよう。
――俺の演目は、楽しかったか?
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「中には一生埋まらぬ寂しさもありますから。必ず癒せる、とは申し上げられませんけれど。其の方が自ら立つ事が出来るようなお手伝いはしたいと思います」
籠に鉄屑や岩塩詰め舞台へ
「種も仕掛けもある手妻です」
最近流行りの歌を歌いながらUC「食欲の権化」
桜鋼扇で鉄屑や岩塩殴って林檎や梨等投げても問題なさそうな果物に食材化
歌に合わせて笑顔で観客席に向かって放り投げる
「どれも普通に美味しく食べられます。宜しければお家に持って帰ってお食べ下さいね?」
序でに団長に向かっても果物放り投げ食べるのを勧める
「どうぞ貴方も食べてみて下さい。其の方が観客の皆さんも楽しめます。団長さんなら、貴方も楽しいを提供しませんか」
微笑む
――中には一生埋まらぬ寂しさもありますから。必ず癒せる、とは申し上げられませんけれど。其の方が自ら立つ事が出来るようなお手伝いはしたいと思います。
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)はその想いと共に、桜鋼扇と、何故か鉄屑と岩塩を詰めて花道から舞台へ歩いていく。新しい演し物を出そうとした団員は、また珍妙なものが来た、と好奇心に任せて、今度の乱入者はどんな芸当をこなすのか観劇を決め込むことにしたようだ。
花道を歩く御園の口から響き渡るは流行のハイカラな歌。伸びやかな歌声に反して無骨なものを籠に入れているのに、サテ次はどんな愉快なことが起こるのか、観客は興味津々だ。
「では。これより始まるは――種も仕掛けもある手品です」
一礼、のちに鉄屑の一つを上へ投げると、桜鋼扇でチョイと殴る、そうすると鉄屑が林檎に変わり、扇の上に転がされた。拍手の中、高々と扇を掲げて林檎を見せたあと、扇を軽く振り上げて観客へ林檎を投げ渡した。受け取った女性が目を輝かせている。それから次々に鉄屑やら、岩塩やらを果物に変えていきながら観客にヒョイヒョイと投げていく。
「さて、どれも普通に美味しく食べられます。宜しければ、お家に持って帰ってお食べ下さいね?」
服の端をつまみあげてまた一礼。大きな拍手が湧き上がった。
●
団長と呼ばれていた人物が居た、とスイミーから聞いていた御園は、どこか影のある様相の男に声をかける。
「どうぞ貴方も、食べてみて下さい。其の方が観客の皆さんも楽しめます。――もし貴方が団長さんなら、貴方も『楽しい』を提供しませんか?」
そう言われて、勿論だとも、答えるとその男は林檎を齧った。甘い味がするであろうに、どこか苦そうな顔していた。
――こんな仮初のサアカスではなくて、本当のサアカスを楽しみに行きましょう?
その時はきっと、今よりも晴れやかな心持ちでしょうから。
大成功
🔵🔵🔵
月羽・みたま
夢を見せるストリーマーの私としては、身につまされる話だなあ
まあそれならそれで!私が見せる夢で楽しんでいってもらおう!
よし、配信開始!
こんみたー!みたまちゃんねるへようこそ!
今日は飛び入りでサーカスをやっちゃうよ!
【ここは遥か彼方の開拓前線】で呼び出した村人たちにサーカスをさせるよ
村作りゲーの村には娯楽が必要、娯楽を提供するのも村人、つまりこの村人たちはサーカスぐらいできる!(強引な理論)
演目はマスターさんにお任せ!
リスナーさん(観客)に楽しんでもらうことを第一に、村人のドジすら笑いに変えて
ショートケーキ(ワイバーン)にも頑張ってもらう!
楽しんでいってくれたかな?見てくれてありがとう、またねー!
月羽・みたま(Mitama Ch.・f41282)という、ひとりのストリーマーとしては今回のことは身につまされる話だった。
夢を見せる立場としては、無理矢理夢を見せるってことは何か違うんじゃないかとか、夢って、もっと明るくて、素敵なものなんじゃないかとか――ともあれ、その考えを今はしまいこんで、今日は私が見せる夢で楽しんでいってもらおう!
●
「さあっ、飛び入り参加の月羽・みたまだよーっ!」
『ここは遥か彼方の開拓前線』の展開によって呼び出された村人達は、楽屋にて最初はえっ!? いきなりサーカス!? と驚愕していたものの、最終的には円陣を組んでいる。なんとも馴染む速度の速さよ。
彼らが行うのは大規模なパントマイムだ。それを実況するようにして月羽は観客に向けて賑やかしを行う。
「ああーっと? 壁がいきなり抜けちゃった!?」
パントマイムに失敗した村人は、月羽の声に合わせてそのままわざと転がってみせる。そのあとオーバーリアクションで飛び上がり、抜けた壁を不思議そうにぺたぺたと触るパントマイムを行う村人に、笑いが起こる。
この笑い声の中に、団長さんも居ればいいけれども――ううん、今は、『ここに居る皆』に楽しんでもらおうっ!
●
演目は結果として大成功、素人なのかそうじゃないのか、分からない絶妙な緩さと、月羽の巧みな実況が活きた。
団長の男は目を伏せた。
――楽しい。だから、このまま――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『踊る影』
|
POW : ずっと一緒に踊りましょう?・・・死ぬまで
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【踊りと踊る影の事以外の全ての記憶と感情】、否定したら【踊りを否定しようとした理由の記憶】、理解不能なら【踊る影への否定的な感情】を奪う。
SPD : ずっと楽しく踊りましょう?・・・死ぬまで
レベルm半径内に【黒い霧状の香気】を放出し、味方に治癒を、敵に【魅了と衰弱】の状態異常、全員に興奮作用を与える。
WIZ : もっと私達と踊りましょう?・・・死ぬまで
【楽しそうな踊り】を披露した指定の全対象に【共に死ぬまで踊りたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
無事に興行が終わったその日。
興行のひとときの賑やかさが嘘のように、静寂が支配していた。
いつの間にか潜り込んでいた、知らぬ演目を行っていた者ども。
――同じ『影朧』ならば良い。だが、乱入してきたあいつらは、違う。
――異物だ。
我らと同じではない。
不要。不要。不要。
●
「団長、今日はもうお休みになられてください」
「うん? 今日の興行が良かったから、小説としてしたためようとしていたのだけれども……」
「連日お疲れでしょう。今日は特に賑わっていましたし、こういう時こそしっかり休まないと」
心配の声を寄せられると、おのれも心配される立場になったのか、と眉を下げて笑う。
「分かったよ、でも、皆も休むんだよ。あとは、今日新しく来た人達によろしくしてあげて」
ワカリマシタ、その笑顔は張り付くような笑顔だった。
●
空中ブランコ、火の輪くぐり、ジャグリング、その他、さまざまな道具。
それを凶器として手にする『団員』達。
猟兵達は、人を楽しませるための道具を、殺意を以て手にするサアカスに向かって戦わねばならぬ。
すっかりサアカスのテントは殺戮の場と化してしまった。
異物を排除せよ、と団員は目をギラつかせている。
――食い止めよ、狂乱を。
太目・乃子(サポート)
サキュバスの戦場傭兵×戦闘猟兵、10歳の女です。
普段の口調は「無口(私、あなた、呼び捨て、言い捨て)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的でマイペース、夢見がちで元気いっぱいな女の子
好奇心旺盛で無邪気であるが、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も遵守しようとするが、それはそれとして常に楽しい、面白いで物事を判断しているので、時にはそれを優先して行動することも
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、即時回復目的の捕食等、野性味溢れる肉弾戦を好む
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
サアカスの中に、小さな、そしてひそやかなざわめきがある。
火の輪くぐりの道具は相手をくぐらせれば丸焦げさせる凶器と化し、空中ブランコも、テントの上空からの奇襲の道具となっている。先に潜入した猟兵と入れ替わるように立ち入った太目・乃子(サキュバスの欠食児童・f40815)とアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は、殺戮の場と化したサアカスの中に、間違っても一般人が紛れ込んでいないことに安堵の息をついた――ここは、危険すぎる。
「うーわ、思ってたよりいっぱい居る。これ、大丈夫かなぁ」
「……」
無言のまま頷く相手は肯定か、否定か。ま、いけるでしょう! と明るい声を出し、するべきことをやるために向かっていく――つまるところ、このサアカスの悪事を止めるために、目の前の連中をやっつければいい。実にシンプルな任務であり、そして難儀な任務である。
●
「おっと!」
「……!」
空中ブランコから投擲されたナイフを避ける。頭の上に林檎があるわけでもない、無論頭部を狙った攻撃を二人は避けると、いよいよもって臨戦態勢となる。多様な凶器を手にした地上の相手と相対するのは厄介であるが――。
「エンキドゥ! 動きを止めて!」
空からの奇襲が最も危険だと判断したアウルは、光の鎖を発射させた。相手がユーベルコードを使用してきたら厄介だ、さっさと動きを止め、仕留めるに限る。
「……」
立て続けに援護するように宙空へ向けてライフルによる射撃が行われる。空中ブランコでナイフ投擲を行ってきた人員を掃討――しきることは二人だけでは難しいものの、数を減らすことはできる。後続になる猟兵の道をひらくために、仕事をせねばなるまい。光の鎖とライフルの乱舞もまた、サアカスの演目の一つのようにすら見える。鎖の輝きがライフルによってぱちぱちと弾けるさまは幻想的で、しかし相手の悲鳴は聞いていて心地の良いものではない。
「がんばろーね! 乃子さん!」
「……」
声をかけられ、こく、と太目は頷いた。
――今宵のサアカスの演目は――長くなるだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
スイミー・サウザンスリー
「大魚の影に群がる雑魚どもが。演者まで選り好むとは良いご身分だな」
凶暴な亡霊鮫の群れとともに泳ぎ回り、自身も担いだチェーンソーなどでどこか愉しげに戦闘及び支援を行います。
正統派格好いい感じでもいやこれはB級作品で見たやつやろというニュアンスでも、味つけはマスターにおまかせします。
「いいだろう、だが舞い踊るのは貴様らの血肉だ!」
御園・桜花
「貴女達の
欲望の、更に元は何でしょう」
「一人は寂しい、でしょうか?群れる為に其の障害となるものを排除したい、と願うのは」
「ならば貴女達に必要なのは転生です。何故なら貴女達が今心の儘に仲間を増やしても、影朧の貴女達には満たされると言う想いの変化が生きている方々程には得られないからです」
「そして心弱い貴女達には、もう元々の願いを思い出す事も難しいのでしょう。ですから」
「私が貴女達を、転生の道に叩き込んで差し上げます」
UC「精霊覚醒・風」
桜鋼扇構え吶喊
敵の間を舞うように飛行しながら桜鋼扇でどんどん敵を打ち据える
敵の攻撃は第六感や見切りで踊るように躱す
「どうぞ望みの儘に転生を」
鎮魂歌歌う
月羽・みたま
(動画配信継続中)
殺戮サーカスなんて、止めなきゃならないよね!ね、リスナーのみんな!
よーしそれじゃあやっちゃおうかー!
リアライズドアーム:ショットで具現化させた拳銃と、リアライズドアーム:クロスで具現化させた剣を持って
まずは応戦!切って、撃って、防いで、避ける!
そしてやにわに【メガロドン艦隊】発動!
沢山のメガロドンを呼び出すよ!
こいつらはただのメガロドンじゃない、なんとロケランが生えているのです!
敵UCで踊らされても無問題、やっちゃえロケラン発射ー!
って感じで団員たちを蹂躙するよ
やっぱ狂乱といえばサメだよねサメ!
先に潜入していた三者も戦いに馳せ参じる。
「――殺戮サーカスなんて、止めなきゃいけないよね! ね、リスナーのみんな!」
カメラに向けて月羽・みたま(Mitama Ch.・f41282)は画面の向こうのリスナーにウィンク、それから物騒なオーディエンス達――否、敵に目線を向ける。ブーイングが聞こえて、どうやら向こうからは歓迎されていないね、そう肩をすくめてみせる。
「大魚の影に群がる雑魚どもが。演者まで選り好むとは良いご身分だな」
そう言って宙空に舞うはスイミー・サウザンスリー(ロンリー・シャーク・ワイルドハント・f42925)。言葉と裏腹にどこか高揚しているような目はまっすぐにサアカス団を見つめていて、担いだチェンソーを唸らせていた。
「――貴女達の欲望の、更に元は何でしょう」
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、桜鋼扇を手にする。
「一人は寂しい、でしょうか? 群れる為に其の障害となるものを排除したい、と願うのは」
――その一言に挑発されたのか、勢いよく相手が各々の凶器を手に御園の元へ群がってくる。ノコギリ、包丁、ナイフ、なんでもありだ。彼女を守るようにスイミーが前線に躍り出て亡霊鮫を呼び込み、集団で襲いかかる踊る影達に群がっていく。センタ・パラタス――備えは万全。そのように進めねばなるまい。
「あくまで戦うのみか――いいだろう、だが舞い踊るのは貴様らの血肉だ!」
チェーンソーのエンジンがこれでもかと唸り、スイミー自身もおのれの味方である亡霊鮫の元へと乱入する。大勢の相手取るには充分な手勢の中、後押しするようにメガロドン艦隊を月羽が呼び出す。
「いっくよー!」
鮫が敵を食い荒らす中、メガロドンのロケラン発射が繰り広げられて、はたから見ればモンスターパニック映画のような有様だ。相手の血肉やら爆発やらで、派手な有様、戦闘を開始していた太目とアウルは巻き込まれぬよう後退した。
●
「あらあら……とんでもないことをなさりますね、貴方がたは」
一種の感動を覚えつつ、御園は目の前の光景に手を合わせる。
「でも、ここからが本番っ! 御園、そっちはお願いーっ!」
「――行け!」
では、と御園は歩を進めた。
「――……貴女達に必要なのは転生です。何故なら。貴女達が今心の儘に仲間を増やしても、影朧の貴女達には、満たされると言う想いの変化が、生きている方々ほどには得られないからです」
歩き、桜鋼扇を構える。
「そして心弱い貴女達には、もう元々の願いを思い出す事も難しいのでしょう。ですから――」
乱戦の中、襲いかかる相手へゆったりと歩いていって、それから。
「私が貴女達を、転生の道に叩き込んで差し上げます」
精霊覚醒・風――飛び上がる桜吹雪とともに尚もゆったりと歩く。
次々と飛ぶ凶器を避けながら、スイミーと月羽が相手取る方向と逆の方向の相手を掃討する、戦線は混乱していき、次第に団員の数は減っていく。
「このまま押し通せるか……!」
「いくだけいってみよー!」
●
なんだか騒がしい。
休もうとしたけれども、なんだか心が落ち着かない。
『皆』は、どうしたんだろう……?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『殺人者』桜守』
|
POW : 無限開花・彼岸大桜
【周囲の幻朧桜を一時的に変異させ、自身の】【影朧をレベル×10体を召喚する。自身の】【数が減れば即座に補充し、戦力を強化する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 反魂桜~満開~
自身の【周辺に存在している幻朧桜】を代償に、【凄まじい数の影朧を召喚し、その影朧】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【猟兵に対抗する形で変質し続ける身体】で戦う。
WIZ : 華胥の桜花
無敵の【ユーベルコードと、無敵の影朧】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
――騒がしくて、様子を見に行った。
団員達が暴れている。
乱入してきた人達が、明らかに狙われている。
どうして? ここは色んな人を受け入れるところだったはずだ。
なにより、こんな光景はサアカスじゃあり得ない。
人を傷つけるなんていけないよ、団員と、お客様に注意しないと。
ぼくは皆に近寄ろうとすると、団員達はぼくの方を見た。
「ねえ、さみしいでしょう?」
「さみしいでしょう!」
そんな声が聞こえる。
「ああ、寂しいとも……。もう、『なにかを失う』なんて、ぼくは――」
そうして影朧達は、団長たる男を取り巻くよう、渦を巻き、一体の、影朧となった。
●
「!? 状況変化! ……これは……」
式神を飛ばして状況を確認していた始は、全員に式神を通じて通達する。
「……団長は本来戦えない一般人のはずだ! 無理矢理影朧にされている!」
必死の号令、まさかこんな事態になるなんて!
「無傷で助けて欲しい……! どうにか……どうにかできないか……!」
「甘っちょろいことを言ってんじゃねぇ」
始の相棒たる区切・終(飢餓文学・f42796)の冷たい声が、式神越しに響く。
「――が、付け入る隙はおそらく、ある。力ではなく、『言葉』による説得はどうだ?」
始の式神を通じて解析する、相手が抱えているのはおそらく孤独。
であるのならば、それを解きほぐす『言葉』が鍵になるはずだ、と。
「……! それで行こう! 攻撃もある程度は団長本体には響かないはずだ! だから……!」
――どうか、彼の孤独に寄り添って欲しい。
スイミー・サウザンスリー
「おい、団長様よ。お前の孤独はまさに今、体の良い食い物にされているぞ!」
「それで良いと言うのなら、もはやお前は俺を侮辱しているのと同じだ。お前ごとこの茶番を食い荒らしてやろう」
ボス敵の攻撃に対抗しつつ、団長は影朧達に利用されているという面からサーカスへの疑念と離別を促す言動をとります。多少乱暴な物言いになるかと思いますが、可能な限り無傷での保護を目標とし、他の猟兵たちにも協力します。
実際の挙動、および上記鍵括弧内セリフの有無についても全体の流れ次第でお任せします。よろしくおねがいします!
目に見える明確な異変の他に、始が飛ばした指示。スイミー・サウザンスリー(ロンリー・シャーク・ワイルドハント・f42925)は空中を泳ぎながら、同胞たる亡霊鮫とともに居る。――そう、スイミーには仲間がいる。はたから見れば孤独に見えようと、目に見えない形で、確かに絆はある。それはきっと――お前も同じだろう?
「おい、団長様よ。お前の孤独はまさに今、テイの良い食い物にされているぞ!」
叫びながら、『殺人者』桜守が発する桜から現れる影朧をチェーンソーと亡霊鮫達とともにいなす。
もう嫌だ。失いたくない。何も……だってぼくは、ひとりで……。
「知性体が知性体である限り、絶対に独りなんかじゃない。――独りで居ることは、あり得ない」
捌きおろした影朧は圧倒的な数がある。それでもチェーンソーをさらに唸らせた。
「ここに居る『俺達』がそうだ。見えない繋がりが、ここにある」
おのれの中にある、苛烈な衝動をもたらす、火。それがスイミーを動かしている。
だったら、サアカスの皆だって……。
「……そうしてお前の命を喰らおうとしているのにか。それはあまりにも……哀れだ。お前の孤独を弄んでいたというのに」
……。
「思い出せ。観客の顔を。思い出せ。――俺達の顔を」
あのひとたちの。きみたちの……。
大成功
🔵🔵🔵
シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)
傷つけるわけにはいかない。さりとて、反撃しないわけにもいかない。
シェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)はスイミーが決死の説得を行っている中、繰り出される桜吹雪を目前に振り払う。サアカスの中に舞う桜は倒錯的な美しさを含んでいたが、切なる願いをその桜の内に隠してしまうのであれば――それは美しくない。
「アナタのその願いは美しいわ」
そう呟いて、シェリーは手にした銃で桜を払う。団長を内包している『殺人者』桜守をいたずらに傷つけるわけにはいかない、もどかしい戦いを強いられる。
「そちらがそうするのなら――こちらは愛で受け止めるだけよ!」
血液の形をとったそれで桜を受け止め、そしてその形はみるみるうちに、桜の花弁となっていく。
舞い散る桜の花弁に対抗するように咲き乱れるそれは、相手の花弁を覆うようにして発生する影朧を妨害する。
これで時間稼ぎはできよう、説得する者達の道は開けた。
――どうか、アナタの願いが、アナタが本当に望む形で叶いますよう――。
成功
🔵🔵🔴
ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)
探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ
戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!
エジィルビーナ・ライアドノルト(サポート)
私はエジィルビーナ、エジィでもルビーでも好きに呼んでくれていいよ。
困ってる人がいるなら助けたいし、倒さなきゃいけない強い敵がいるなら全力で立ち向かわなきゃ。全力で頑張るからね!
実は近接戦闘以外はあんまり得意じゃないんだけど……あっ、畑仕事ならチェリから教えてもらったから、少しはわかるよ!
力仕事はそんなに得意じゃないけど、足りない分は気合と根性でカバーするから任せといて!
☆
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ゆきソリでエジィルビーナ・ライアドノルト(シールドスピアの天誓騎士・f39095)を連れたネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)は、サアカスのテントの中、空中を移動しながらスイミーの加勢に出る。
「……っ直接的な攻撃はし辛いね」
先に前線へ立つ乱戦中のスイミーとシェリーを見て、エジィルビーナは加勢のために降り立つ。言葉による説得はすでに行われているところだ、であるのならば彼らの支援だ。『殺人者』桜守が放つ、少なくはない攻撃で身が削れつつあるスイミーにスーパーライフベリーを投げ渡し、その身を癒やすように促す。感謝の意を空中で一回転して伝えるスイミーに、エジィルビーナは頷いた。
「では こちらも おてつだいを」
しろくじらの歌が響く。桜守はその歌声に動きを止めた。
「ひとりぼっちは さみしいでしょう でも、そのままだと さみしいまま いっぽ すすまないと」
「――そう。でも、とても辛い時は……その歩みを止めたっていいと思うんだ」
真器開放――解き放て。その一言と共に、撹乱のために駆け出す。
「あゆみをとめて ゆっくりやすんだっていい」
「そのあとにまた、ゆっくり歩み出せばいい。一番怖いのは――」
歩むこともできずに、そのまま倒れてしまうことだから。
どうかキミはそのまま倒れないでいて。
どうか あなたは いつか あゆめるひとでいて。
●
立ち止まってしまえば楽だった。あとはサアカスの皆が賑やかにしてくれている。
今だって、ほら、賑やかに――でもこれは、ぼくのためなんかじゃない。
わかっている、このままだとぼくは歩めない。ぼくは倒れてしまう。
わかっているけれども、賑やかな瞬間は忘れられなくて。
でも、こんな情けないぼくでも、でも、前を向かなきゃいけないじゃないか――ああ、そうだ。
●
「相手の動きが変わった」
エジィルビーナは相変わらず機動力を確保しながらもつぶやく。
「あと すこし?」
「きっと」
もう少し耐えてくれ――そうして、救い出してみせるから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――
起動!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「
神機召喚――
起動!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)が最後に参じた。情報はすでに聞き及んでいる、イグニッションカードにより武装展開――するものの、今回することはあくまで足止めだ。
「彼の力を以て世界を改める――止まるな、進撃せよ!」
黒燐蟲によって桜の脅威はさらに弱まり、その中を一歩一歩踏みしめながら、剣を片手に、鈴乃宮は『殺人者』桜守に対面した。
「……この剣の使い方……私は、友人から教わりました。とても、とても大切な」
……そうか、とても良い友達がいるんだね。
「いえ。正確には、『居た』――という方が、正しいです。私も、あなたと同じように、喪いました」
……。
「けれども……今こうして、歩みだすことができています。どうか――貴方も、少し休んだら。また、歩いてみませんか。この先、あなたが終わらせなければ、きっと人生は続きます。ですから――」
桜守は絶叫する。桜が飛び散る。そして――。
●
桜が舞い散る中、ぼくは膝をついていた。今まで、何をしていたのか、記憶がはっきりしない。
――ああ、とても、寂しかったんだ。もうこの世界が真っ暗になったように思えて、身動きができなかったんだ。
でも、それでも、全てが終わったわけじゃない。
あの人の人生は終わってしまったけれども、ぼくの人生は、また続く。続いてしまう。
こういうことが、きっと生きている内にたくさん起こるんだろう。それが、人生なんだろう。
だからこそぼくは――歩まなければ――厭でも、つらくても――。
立ち上がってみる。体は重たい。まだ、全然歩けそうにない。
でも……少し休んだら、ちょっとずつ歩んでみてもいいかな?
●
「桜が――」
始は桜を見て、手の平におさまるそれがきらりと消えるのを確認する。
いくら美しかろうとそれは影朧のものだ。表情を少し厳しくして、それでも――今はこの光景に酔っていいだろうか。
膝をついている『彼』のところに駆け寄る猟兵達を見て、目を細める。
どうか、彼が――誰かに担ぎ上げられた『団長』ではない、彼自身が。
自分のその足で、暗闇の中から、明るさの中に出られますよう。
そう願わなくても、もう、きっと、大丈夫だろう。
成功
🔵🔵🔴