●
GGOにあるその街は、この周辺では有名な商業の中心地であった。ここを中心に交易が行われ、集まった素材は職人系NPC達によりレア度が高く質のいいの武具や装飾品に加工される。
良質のアイテムにより街は潤い、栄えて行く。
そのようにして発展してきた、冒険者達の集まる活気のある街だった。
しかし。
「グォォォォオ!!!」
街を行き交うのは今や冒険者や商人、職人ではなく、黒玉の鎧に全身を覆われた二足歩行型モンスターであった。
突如現れた彼らは、ひたすらに破壊の限りを尽くし、街を占拠した。それにより交易は麻痺し、困り果てた周囲の冒険者達が討伐に乗り出したが、歯が立たない。
「ひ、ひぃっ
……!!」
すっかり普通に異常発生したモンスターの討伐にやってきた予定だった冒険者──つまり、プレイヤー達が、まるでゴミのように薙ぎ払われて行く。
「こいつら……弱点は胸部じゃないのかよ?!」
通常の個体ならばあるはずの胸部の宝玉がない個体が多い。それだけではない。異常なまでに、斬撃が鋭く、速いのだ。
それもそのはず、彼らはこの近辺でよく見るモンスターに似て非なるもの──バグプロトコルだったのだから。
●
プルミエール・ラヴィンスは、グリモアベースに集まった猟兵達に向け、GGOで起こっている事件と、これから起こる事件についての説明を始める。
「GGOの商業都市がバグプロトコルに乗っ取られ、周囲の街の交易が麻痺しています」
それだけならまだいい。まぁ、良くはないが、まだマシだった。
「そして、これからその街を奪還すべく、有志のプレイヤー達が討伐隊を結成し、街に乗り込んでいきます。そして、全滅させられてしまいます。皆さんには、討伐隊が街に辿り着くより前に、バグプロトコルを一掃してきてください。それが終わったら、到着した討伐隊や付き添いのNPCと共に街の修復のお手伝いをお願いします。街がある程度修復されたら、元より街の産業である交易の手伝いを手伝ってあげてください。よろしくお願いします」
そして、プルミエールは猟兵達を見送ったのだった。
秋野
●
今回は全3章構成、戦闘は第一章のみとなります。
●第一章
街を占拠した黒玉の鎧に全身を覆われた、二足歩行型のバグプロトコルとの戦闘になります。通常の同型モンスターは胸部が弱点ですが、バグプロトコル化した為、弱点が移動しています。
●第二章
素材を集め、壊れた建造物の補修を行います。
●第三章
元通りになった街に帰ってきた商人達や職人達の手伝いを行います。
第1章 集団戦
『ジェットソード』
|
POW : ソードアンドビーム
【原始的な形状の剣】が命中した敵を【宝石からの魔力光線】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[宝石からの魔力光線]で受け止め[原始的な形状の剣]で反撃する。
SPD : バグプロテクター
【弱点の宝石を覆うバグの塊】を召喚装着し、無敵になる。ただし視覚外からの攻撃は回避不能となり、防御力も適用されない。
WIZ : 超高速斬り
速度マッハ5.0以上の【斬撃】で攻撃する。軌跡にはしばらく【宝石色の輝き】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
太目・乃子(サポート)
サキュバスの戦場傭兵×戦闘猟兵、10歳の女です。
普段の口調は「無口(私、あなた、呼び捨て、言い捨て)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可
合わせ等も自由にどうぞ
●
ズン……ズン……。
その黒玉の鎧に全身を覆われた巨軀が一歩足を踏み出す毎に、地面が揺れる。みしりとひとつ、地面を覆う石畳のオブジェクトにヒビが入る。街の住民達はバグプロトコルに追われた。住うものも立ち寄るものもいない、荒廃した街。補修し整備する者のいない街は、ただただ壊れていくのみ。
専門のNPCと材料さえあれば、街の立て直しも可能に違いないが、バグプロトコルがいる限り、不可能だ。
「あいつらを倒せば良いんだね?」
そう言って、バグプロトコルを指差す赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)に、太目・乃子(サキュバスの欠食児童・f40815)はこくりと頷く。
その後の事は後で考えればいいだろう。だから今は、奴らを倒す事を最優先に。
「よしっ!!」
たっ、と軽快に駆け出す緋色の足部で、ブースターレッドがきらりと赤く尾を引く。
「グルルゥ
……!!」
それに気付いたバグプロトコルは、緑に光る瞳を緋色へ向ける。その手には、原始的な形状の剣が握られていた。
「君達随分大きいね!! ついて来れるかな?!」
圧縮した大気を使って加速するブースターレッドに、速さを誇るバグプロトコルも狙いを定めづらく、動きを止める。だが、決して追いつけない相手ではない。そう判断したバグプロトコル達は、数秒で動きを読み、その手に持つ剣を構える。
「ウグォオオオォッッ!!!」
雄叫びと共に振るわれたマッハ5.0の刃を、緋色は第六感で回避する。空振りしたその軌跡に残った宝石色の輝きを蹴り、緋色は飛び退る。
「こっち、忘れてる
…………?」
剣を振り抜いた隙を突き、入れ替わるように前に出たのは乃子。彼女は懐に入り込み、
簡易黒瞳覚醒を使用する。莫大なグラビティ・チェインと万色のドリームエナジーで重視して強化したのは、攻撃力。
「いくよ」
強化された渾身の力で振るったコンバットナイフは、バグプロトコルの脇腹へと深々と突き刺さる。グルゥ、と凶悪に唸るバグプロトコルの懐から横に退避した乃子。その間に距離を取った緋色は、ガトリングガンをバグプロトコルへと向ける。その標的は、先程まで戦っていたバグプロトコルに止まらない。狙うは、見える全てのバグプロトコル。
「ひっさーつ!」
緋色の放ったセミオートバーストは有効な属性を帯びて、バグプロトコルを射抜いたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
指導・操真
「また硬そうな連中だな。取り敢えず戦線を作るか」
『我が覇道に連なる死霊達よ!我が言霊に応え現出せよ!!』
『死霊の連隊!!』
(戦況を理解するとUCを発動し、無数の死霊兵を呼び出す。ただ一人で戦線を作り出せるのが操真の強みの一つだ)
「相手の弱点は変わっている。まずは持久戦だ!他の猟兵達と連携を取って戦いながら弱点の情報収集を行え!戦線は死んでも死守しろ!お前らはもう死んでるけどな!」
(無数の死霊兵達を【集団戦術】の技能を用いて巧みに統率、指揮を行い他の猟兵達と連携し時には猟兵達の指揮も取りジェットソード達に応戦、【継戦能力】の技能もあり、戦線を維持しながら情報を得て行く)
※アドリブ・絡み歓迎です。
シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)
硬質な質感で光を反射し、そして自らも淡く光を放つ、バグプロトコル。その上、弱点の場所もランダム。そして、ジェットソードという名の通り、スピードもある。
「また硬そうな連中だな。取り敢えず戦線を作るか」
指導・操真(人間のシャーマン・f19142)は状況を冷静に分析し、そう判断する。数が揃えば、ある程度は楽に戦えるようになるだろう。そして、数と連携の面、敵の特性から推察するに、持久戦ならば我が方に利がある。
「我が覇道に連なる死霊達よ!我が言霊に応え現出せよ!!」
操真の呼び声に応え、発動したのは
死霊の連隊。現出した死霊兵達に、操真は告げる。
「相手の弱点は変わっている。まずは持久戦だ! 他の猟兵達と連携を取って戦いながら弱点の情報収集を行え! 戦線は死んでも死守しろ! お前らはもう死んでるけどな!」
自身の主人にして指揮官である操真の命令は絶対。そして、彼が命じてくれる事自体が、死霊兵達の士気を上げる。
個々が何を言っているのかはわからないが、とにかく彼らはわっと応じ、それぞれの武器を携え、ジェットソード達へと向かっていく。
「なかなか綺麗に動くじゃない?」
そんな死霊兵達の連携の取れた動きを眺めつつ、シェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)は呟く。そんな彼の背後に、迫る影。
「この街も、普通の状況だったら美しかったでしょうね……」
建造物、景色、人々の営み。そこにあった可愛いものと、美しいもの。その面影を眺め、そして。
「さっさと片付けるわよ」
前に跳んだシェリーのついさっきまでいた場所を、速度マッハ5.0より速い斬撃が斬り裂く。そこに残る宝石の如き輝きに、目を細める。それだけ見れば、美しいと言えなくもないのに。
「残念ね」
溜息を吐きつつ、シェリーは後ろに引いた足で地を蹴り一転、前へと跳ぶ。そして、斬撃の軌跡を足場に、ジェットソードの頭上を飛び越す。
落下しながら瞬時に後頭部へとヴァーチュアの照準を合わせ、引き金を引く。瞬きよりも速く、ナノマシン溶出性銃弾が着弾し、それと同時にジェットソードの頭部へと弾頭からナノマシン入り血液が流入し、そして。
「ノックもせずに失礼。さっそくお邪魔するわヨ~♥」
シェリーが着地するよりも速く、ジェットソードの頭部が爆ぜ、残された身体はゆっくりと、倒れていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生
正義感が強く困っている人は見過ごせない
UCは業火の一撃や灼熱の束縛を中心に使用
攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる
逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
みんな大丈夫?助けにきたよ!
そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!
技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態
アドリブ絡み歓迎
サクラミラージュの影朧などの場合は説得もしたい
「この街からみんなを追い出したのは、あいつか
……!!」
距離を取り、物陰から大通りをうかがう百地・モユル(ももも・f03218)。その視線の先には、我が物顔で街を闊歩するジェットソードが数体。他の場所でも同じようにジェットソードが確認され、同じように猟兵達によって倒されているらしいく、残り僅かだという話だ。
こいつらを倒せば、街に人々が戻ってきて、また平和に暮らせる環境が戻って来る。
その姿を思い、モユルはルーンソードの柄へと手をやる。
「あいつらをぶっ飛ばせばいいって事だろ? 行くぜ!!」
その横を、陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)が駆け抜けていく。それはまさしく火の玉の如き勢いであった。
「わっ……!! 負けてらんないな!!」
その後ろを、モユルが追いかけていく。それに気付いているのかいないのか、柳火の突撃する勢いはまるで衰えない。
そんな彼女は腰にマタタビ丸を提げ、片手に持った爆符『烈火乱れ咲き』を構え、そして。
「おらよっ!!」
ばっ、と勢いよくばら撒いた烈火乱れ咲きは、ジェットソード達の真ん中で爆発する。しかし、爆炎が舞い上がるその中にあって、ジェットソード自慢のボディは数ひとつついていないようだった。
その様子を見据え、モユルはきゅっと気合いを入れる。
「なら……これでどうだ!!」
走りながら展開していくのは、全身に装備した幾多の銃火器。攻撃力を重視して発動したヴァリアブル・ウェポンの集中砲火により、ジェットソード達は空気を巻き込み、大きく燃え上がる。
不規則な爆発と四方から迫る爆撃は、ジェットソードの死角からの攻撃となり、結果としてジェットソード達は弱点の宝石を防御できずに爆破され、ばらばらと崩れ落ちていく。
運良く弱点の宝石をバグの塊で覆う事の出来たジェットソードは、一体のみ。
「運が良かったのか、悪かったのか……どっちにしろやられるんだから、変わりねぇな」
爆炎に紛れ、ジェットソードの背後に回り込んだ柳火が、鞘に収めたままの刀を振るうのは、ジェットソードが振り向くよりも遥かに速い。
柳火の放った剣戟は、ジェットソードの胴体を両断する。その中央にあった宝石もまた、同様に。
「これで終わりだ」
かちん。
柳火が刀を鞘に収めると同時、宝石を砕かれたジェットソードは崩れ落ちたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『生産系クエスト』
|
POW : 狩りや採集で素材を集める。
SPD : 生産施設の警備。
WIZ : 新たなアイテムのレシピを開発する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
●
「あれ……? モンスター達が街を占拠したって聞いたんだけど」
おかしいな。
遅れて街にやってきた討伐隊の面々は、状況が理解できず、口々に疑問を口にする。だが、どこを探してもいないものはいないのだ。猟兵達が、すべてのバグプロトコルを倒してしまったのだから。
それから暫く街の中を探索した討伐隊であるが、当然バグプロトコルは見つけられなかった。
「それにしても、壊れ方が凄まじいな……」
討伐隊の一人が、そう呟く。
モンスターはいないが、モンスターに破壊された街はある。モンスターはいないとしても、この壊れた街では、誰も戻っては来られまい。
外周を囲む防壁、商会の建物、石橋、ギルド、宿屋、石畳。街を構成するありとあらゆる建造物が破壊され、とてもじゃないが人が暮らせる街ではない。
補修に動き出した討伐隊に、猟兵達もそれぞれに手伝いを申し出ていく。
ブレイン・エイクリィ(サポート)
ミミックの自宅警備員×UDCメカニック、58歳の男です。
普段の口調は「脳髄的(私、貴殿、~である、だ、~であろう、~であるか?)」、宿敵には人類的(私、相手の名前、言い捨て)です。
脳味噌です
好きに使ってください
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
御門・儚(サポート)
人間の神器遣い×ヘリオン 29歳の男です。
普段の口調ぽややん(オレ、君、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )
真剣な時は クール(俺、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)です。
「目立つのは嫌なのであくまでもこっそりで内緒内緒だよ?」
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)
佐藤・和鏡子
私は土木工事用には設計されていないので復興工事には役立てそうにありませんが、救急車を使っての資材運びや怪我人が出た際の治療など、私に出来る事を探して手伝おうと思います。
怪我人の治療には看護のユーベルコードと医術・救助活動の技能を併用してより効果を高めるようにします。
荷物運びの時は運転と運搬を使って出来るだけ多くの荷物を積み込んで効率良く運ぶようにします。
もし、他に私に出来る事があれば積極的に協力するつもりです。(アドリブ連携その他大歓迎です。どんどん動かしてください)
猟兵達と討伐隊とで街中を探索し、比較的無事な生産施設を探し出す。外はそこそこに壊れているが、内部はバグプロトコル達に興味が無かったのか、手付かずだった。そもそもあの図体だったので、中に入ろうと思わなかったのかもしれない。
「とにかくここで各施設の補習材料を作ろう。幸い、一通り道具は揃っているな。私は生産系のスキルがあるので、ここで作業をさせてもらおうと思う。大丈夫かな?」
討伐隊の隊長のその申し出に反対するものはいなかった。
「ただ、ここには碌な材料がないな……。どこかで採取してこなければ」
そう言う隊長に、ブレイン・エイクリィ(脳缶・f40871)が声を上げる。
「私が資材を調達してこよう。何人か貸してもらえれば、作業効率も上がるだろうと思うが、可能かな?」
見た目のインパクトが大きくて一瞬絶句する隊長ではあるが、すぐに気を取り直して自身の討伐隊にいた3人ほどのガタイの良い隊員を指名する。
「こいつらは今回のメンバーの中でも資材収集系のスキルに長けている者達だ。その手のクエストにも参加しているし、簡単なものなら鑑定も出来る。こいつらを連れて行ってくれ。力もあるし、こいつらは運搬にも長けている。採取して、運搬して……まぁ、いくらか時間はかかるが、緊急時だからな。仕方ない」
そう言って肩を竦める隊長に、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)がぴしりと手を挙げる。
「では、私は物資の運搬を請け負います。土木工事用には設計されていないので復興工事には役立てそうにありませんので。あとは工事や作業などで怪我をされた方の治療などなら任せてください」
そう言う鏡子が指し示すのは、彼女持参の救急車。運転も得意です! と朗らかに笑う鏡子に、隊長は目を丸くする。
「そんな素晴らしいものをお貸しいただけるとは……ありがたい限りだ。助かる」
そして、ブレインと3人、それから鏡子は時間短縮のため救急車に乗って森へと向かう。
「それでは諸君、このチェーンソーを使って木々の伐採から始めよう」
現地に着いたブレインがまず取り掛かったのは、ミミックトレジャーでエクトプラズムで道具を作成する事だった。
「これはすごい……」
チェーンソーを手にして木材の切り出しを始めた隊員は、その使い勝手の良さと自身のスキルの強化具合に目を見張る。
「もし怪我をしたら遠慮なく呼んでくださいね」
作業を進めるブレインと隊員達にそう声を掛けながら、鏡子は木材を救急車き積み込んでいくのだった。
「お、来た来た」
到着した救急車にいち早く気が付いたのは御門・儚(銀雪の梟(もりのふくろうちゃん)・f35472)だった。彼は作業場を狙ってきたモンスターを八辻で袈裟に斬る。そのモンスターへとトドメを刺したのは、グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)のレイガンによるコズミック・ギャンビットだった。目にも止まらぬ早撃ちで撃ち抜かれたモンスターは消滅したが、他にも数体が残っている。
「こっちはあたしに任せて、あんたはさっさとそっちの積荷を早く降ろしちまいな」
グレナティンの口調は荒っぽいが、そこにあるのは恐らくは気遣いと、冷静に状況を分析した上での判断であろう。そう受け取って、儚は素直にこくりと頷く。
「じゃあ、お言葉に甘えて。車止めて、後ろを開けてもらって良いかな」
鏡子はにっこりと笑いかける儚を信じ、車を止めて、素早く車外へと飛び降りて、バックドアを開く。
「餅は餅屋。ここは専門家にお任せっと」
本来ならば人が乗る箇所に積み込まれた木材の一つ。人と同じサイズのそれへと儚は実行したい行動の専門家──つまり、今回の運搬作業についての専門家である有名運送会社の作業員を憑依させる。
「がんばりましょう」
そう言う鏡子に、儚もやる気を見せる。とはいえ、二人は素人。さほど早く作業場を進まないが、運搬と荷下ろしの補佐をするのはその道のプロ。作業は驚くほど早く進み、街の重だった施設の修復は想定より遥かに早く作業が進んでいったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『物資運び』
|
POW : 自身の身体で運ぶ
SPD : 車や飛行機を駆使する
WIZ : 魔法や召喚獣で運ぶ
|
御梅乃・藍斗(サポート)
一人称:僕
二人称:君、あなた
他人にはさん付け
基本的に敬語(ですます調)、動揺した時など男子っぽい口調になるのも可
まじめで負けず嫌い
積極的に他人と親しくする方ではないが任務に必要であれば協力は惜しまない
NPCと親しくする必要があればコミュ力、勝者のカリスマ技能など使用
名家の出であり、力あるものはそうでないものを守る義務があると考えている
サキュバスだが種族ゆえに性的な要素を警戒あるいは期待されることを厭っており、色恋には及び腰であったり、下世話な話題には嫌悪感を示す潔癖な性格
UCは活性化した物をどれでも使用
迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません
ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!
普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?
騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!
基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!
仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!
指導・操真
「まぁわざわざユーベルコードを使うまでもないな。地道にやるか」
(何も派手か力をいつも使えばいいという訳ではない、地味ではあるがせっかく復興とはいえ日常を過ごすのだから皆と協力して汗を流すのむもいいだろう)
「まぁ俺はハデスがあるから重機代わりにされてるけどな!あ、その荷物はこっちだぞー!」
(人力では運べない物質をキャバリエの力で運んでいく)
※アドリブ&絡み歓迎
●
街が復興していくにつれ、徐々に住人達も戻り、人が増え。街の修復を行う職人達は忙しなく作業を行い、そんな彼らに物資を卸す商人達もまた、右は左への大忙しだ。
彼らが言うに、なによりの問題は、物資の輸送である、とのこと。食べ物、飲み物、資材、商材、諸々。人がいれば必要な物が増える。必要とすると言う事は、商人達の好む利益がそこにあるということ。
曰く、物はそこにあるだけでは用を成さない。物は使う人がいればこそ、価値がある。
商人達と役人達、猟兵達の努力で物資はあれど、運ぶ人がいない。それが、今のこの街の現状であった。
あっちの現場で、建物を建てる木材が足らないらしい。向こうの施設では、施設を仮住まいにしている人々の食べ物が足らないらしい。そんな情報を耳にした御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)は、運搬作業に彼ら猟兵達に協力を仰ぐ事にしたギルド所属の商人の元へと走る。
「すいません、東の現場で木材、南の施設では食べ物が足らないようです」
得意の情報収集技術を活かした彼の伝達に、商人はふむと一つ頷く。
「木材と食べ物をそれぞれ運んで行ってくれ。木材は500程度、食べ物は50人分だな。食べ物が足らんのなら、水も入り用だろう。水もセットだな」
商人が自身の記憶から必要数を割り出して、指示を出す。
「しかし、そうとなると荷物がなかなかの重量になりますよ……」
そうなると、いくら猟兵と言えども、キツイのでは。
と、首を捻る在庫管理係のギルド職員に、ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)が胸を張ってふんと挙手をする。
「そのような些事、弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士ことベルト・ラムバルドにかかれば!!」
言うや否や、ベラムは
幻影暗黒聖騎士団を使用し、自身の乗るキャバリアを増殖させる、が。
「頼れる仲間達が来てくれたぞ~……! このまま突き進めーッ!」
「「いや、そんなにたくさん居られても」」
という商人とギルド職員の一言に、がくりと肩を落とす。確かに数が多すぎて補修した壁が怪しくなってるし、道路とてそんな広さはないのだ。仕方なく互いに互いを殴り、数を四体くらいに減らしたベルト達は、粛々と水と食料を運搬していくのだった。
残った木材の塊を抱えたのは、指導・操真(人間のシャーマン・f19142)のキャバリア、冥府機神ハデス。
「こっちは俺が持って行こう」
UCを使うまでもない……というか、さっきの今では迂闊に使えない。さすがギルドなだけあって、もう既にさっき怪しくなっていた壁は元通りに戻っているけれど。
どっちにせよ、UCを使うまでも無い。地道に、そして堅実にこなせば。
などと思いつつ、現場に辿り着いた操真は、そこにいた職人達に木材を渡す。
「なぁ兄ちゃん、ついでにそれをあそこまで上げてくれねぇか?」
現場監督に指さされた先は、屋根の上。確かにあそこまで木材を持ち上げるのは大変だろう。
「わかった。任せろ」
地味ではあるが、復興作業のために日常を過ごすのだから皆と協力して汗を流すのむもいいだろう──と思う反面、もうこれ重機扱いなんじゃないか、などと思ったり、思わなかったり。
「ありがとな! 助かるよ!」
とはいえ、そう言われて、嫌な気はしなかった。
そうこうしながら、猟兵達は街に帰ってきたら人々と共に、復興作業を進めていく。
街が元通りの姿を取り戻すまで、あと少し。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴